説明

異常検出装置

【課題】 サーボモータによって駆動される被駆動部の異常部位を特定可能な異常検出装置を提供する。
【解決手段】 本発明の異常検出装置は、サーボモータの位置情報が位置検出器から入力される入力部と、位置情報を周波数変換する周波数変換部と、周波数変換された所定周波数における振幅と被駆動部の異常を判定する閾値とを比較する比較判定部と、を有し、比較判定部は、所定周波数における振幅が被駆動部の異常を判定する閾値以上となる周波数から被駆動部の異常部位を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータによって駆動される被駆動部の異常を検出する異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーボモータによって駆動される被駆動部の異常を検出する異常検出装置の一例として、例えば、特許文献1に挙げられる発明が知られている。特許文献1に記載の発明は、経年劣化による制御装置の故障を解析するために、制御装置のインターフェース部に出力ポートを設けて、解析データを外部に出力可能としている。そして、収集した解析データと期待値データとを比較することにより、経年劣化によるアクチュエータの動作異常の有無を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−096005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、アクチュエータの動作異常の有無を判定することはできるが、アクチュエータの異常がどの部位に起因するかまでは特定することができない。そのため、異常検出後に改めてアクチュエータの異常部位の特定を行う必要があり、アクチュエータのメンテナンス作業は煩雑であった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、サーボモータによって駆動される被駆動部の異常部位を特定可能な異常検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る異常検出装置は、サーボモータと、サーボモータの位置を検出する位置検出器と、サーボモータを駆動するサーボドライブと、サーボドライブを制御するサーボコントローラと、を備えるサーボシステムにおいて、サーボモータによって駆動される被駆動部の異常を検出する異常検出装置であって、サーボモータの位置情報が位置検出器から入力される入力部と、位置情報を周波数変換する周波数変換部と、周波数変換された所定周波数における振幅と被駆動部の異常を判定する閾値とを比較する比較判定部と、を有し、比較判定部は、振幅が閾値以上となる周波数から被駆動部の異常部位を特定することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る異常検出装置は、請求項1において、周波数変換は、高速フーリエ変換である。
【0008】
請求項3に係る異常検出装置は、請求項1又は2において、比較判定部の判定結果を表示する表示部をさらに備える。
【0009】
請求項4に係る異常検出装置は、請求項1〜3のいずれか1項において、被駆動部の加速度、減速度、速度及びサーボモータの制御ゲインのうちの少なくとも1つを比較判定部の判定結果に応じて低下させる制御部をさらに備える。
【0010】
請求項5に係る異常検出装置は、請求項1〜4のいずれか1項において、被駆動部は、部品実装装置に備えられている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る異常検出装置によれば、周波数変換された所定周波数におけるサーボモータの位置情報の振幅と、被駆動部の異常を判定する閾値と、を比較する比較判定部を有するので、サーボモータの位置情報に基づいて被駆動部の異常部位を特定することができる。そのため、被駆動部の部位毎に加速度センサ等の検出器を設けることなく、被駆動部の異常部位を特定することができる。また、検出された被駆動部の異常部位に合わせてメンテナンスを行うことができるので、保守作業の作業性が向上する。
【0012】
請求項2に係る異常検出装置によれば、高速フーリエ変換によって周波数変換されるので、大量のサーボモータの位置情報を高速に周波数変換することができ、周波数変換に要する演算時間を短縮することができる。
【0013】
請求項3に係る異常検出装置によれば、比較判定部の判定結果を表示する表示部を備えるので、制御装置のユーザは、被駆動部のメンテナンス時期を容易に知得することができる。
【0014】
請求項4に係る異常検出装置によれば、制御部は、被駆動部の加速度、減速度、速度及びサーボモータの制御ゲインのうちの少なくとも1つを比較判定部の判定結果に応じて低下させることができるので、例えば、被駆動部に異常が発生したときに、正常時とは異なる制御モードによって制御装置の稼働を継続させることができる。
【0015】
請求項5に係る異常検出装置によれば、被駆動部は、部品実装装置に備えられているので、例えば、部品実装装置の稼働中にサーボモータの位置情報を取得しておき、部品実装装置の非稼働中に被駆動部の異常検出を行うことができる。そのため、例えば、プリント基板の搬送待ちや部品交換のための待機時間等を使って、部品実装装置の実装ラインを停止させることなく、被駆動部の異常検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】サーボシステムの一例を示す構成図である。
【図2】図1の制御ブロック図である。
【図3】位置情報の周波数と振幅の関係の一例を示す図である。
【図4】異常検出装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図5】部品実装装置の一例を示す斜視図である。
【図6】部品装着ヘッドの一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面は概念図であり、細部構造の寸法まで規定するものではない。
【0018】
(1)サーボシステムの構成
図1はサーボシステムの一例を示す構成図である。サーボシステム100は、サーボモータ1と、サーボモータ1の位置を検出する位置検出器2と、サーボモータ1を駆動するサーボドライブ3と、サーボドライブ3を制御するサーボコントローラ4と、を備えている。
【0019】
サーボモータ1には、サーボモータ1の位置を検出する位置検出器2が設けられており、位置検出器2は、サーボモータ1の回転に同期してサーボモータ1の位置情報を出力することができる。サーボモータ1及び位置検出器2は、数値制御機において採用される公知のサーボモータ及び位置検出器を用いることができる。例えば、ACサーボモータやエンコーダ等が挙げられる。エンコーダとしてインクリメンタルエンコーダを用いる場合は、位置情報は、サーボモータ1の回転変位量に応じたパルス列をカウントした計数値である。アブソリュートエンコーダを用いる場合は、位置情報は、サーボモータ1の回転変位量に応じた出力コードである。位置情報は、サーボモータ1のエラー情報などの種々のデータを含めることができ、所定の周期毎に情報伝送路5を介してサーボドライブ3に送信される。
【0020】
サーボドライブ3は、CPU30、メモリ31、入出力インターフェース32、通信インターフェース33及び電力変換器34を有しており、これらは、各種データ及び制御信号を送受信可能にバス35で接続されている。位置検出器2から送信される位置情報は、入出力インターフェース32、バス35を介してメモリ31に送信される。CPU30は、バス35、通信インターフェース33を介して、位置情報をサーボコントローラ4に送信することができる。
【0021】
サーボコントローラ4は、CPU40、メモリ41、通信インターフェース42及び表示器4Dを有しており、これらは、各種データ及び制御信号を送受信可能にバス43で接続されている。サーボドライブ3から送信される位置情報は、通信インターフェース42、バス43を介してメモリ41に送信される。サーボドライブ3及びサーボコントローラ4では、CPU30、40及びメモリ31、41によって、後述するサーボ制御部7及び異常検出装置8の各種演算を行うことができる。インバータ等の電力変換器34は、各種演算結果に基づくモータ電流を電力伝送路5Mを介してサーボモータ1に供給することにより、サーボモータ1を駆動することができる。
【0022】
通信インターフェース42、33の間は、各種データ及び制御信号を送受信可能に情報伝送路5で接続されてネットワークが構成されている。各種データには、サーボモータ1の位置情報及び上記の各種演算結果が含まれる。情報伝送路5における通信手段、プロトコル等は特に限定されない。ネットワークは、例えば、サーボネットワークを用いることができる。なお、ネットワークを構成しないで、例えば、公知のシリアル通信(RS−232C)等によって各種データ及び制御信号を送受信することもできる。
【0023】
また、位置情報などの入出力データは、ダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)によって送信することもできる。DMAは、CPU30、40を介さないで、入出力装置とメモリ31、41との間で種々のデータを直接送受信することができる。例えば、位置検出器2とメモリ31、41との間で位置情報を直接送信することができる。
【0024】
サーボモータ1には、被駆動部6が駆動可能に接続されている。被駆動部6は、サーボモータ1によって駆動可能な機構を有するものであれば、特に限定されない。例えば、ボールねじ駆動機構などを用いることができる。ボールねじ駆動機構は、サーボモータ1によってボールねじ軸が回転し、ボールねじ軸とボールナット間でボールが転動することにより、サーボモータ1の回転運動が直線運動に変換され、ワークテーブル(被駆動体)を直動案内することができる。
【0025】
(2)サーボシステムの制御
図2は図1の制御ブロック図である。サーボシステム100は、制御ブロックとして捉えると、サーボ制御部7及び異常検出装置8を有しており、図1に示すメモリ31、41内に格納されるプログラムを実行することによって、サーボ制御部7及び異常検出装置8の各種演算を行うことができる。
【0026】
(2−1)サーボ制御部
サーボ制御部7は、サーボモータ1の指令を生成するプロファイル生成部71と、サーボモータ1の位置を制御する位置制御部72と、サーボモータ1の速度を制御する速度制御部73と、サーボモータ1のモータ電流を制御する電流制御部74と、被駆動部6に生じる摩擦力を補償する摩擦補償器75と、を有しており、位置制御ループ、速度制御ループ及び電流制御ループの3重の制御ループがカスケード接続されている。
【0027】
プロファイル生成部71は、図示しない上位コントローラからの指令に基づいてサーボモータ1の位置指令を演算する。上位コントローラからの指令には、例えば、制御対象の移動指令、加速度指令、減速度指令及び速度指令などが含まれる。位置制御部72は、プロファイル生成部71からの位置指令と位置検出器2からの位置情報との偏差から速度指令を生成する。速度制御部73は、位置制御部72からの速度指令とサーボモータ1の速度情報との偏差から電流指令(トルク指令)を生成する。サーボモータ1の速度情報は、位置情報を微分することにより算出することができる。また、サーボモータ1の速度情報は、図示しない速度検出器の検出結果を用いることもできる。
【0028】
電流制御部74は、速度制御部73からの電流指令(トルク指令)とサーボモータ1のモータ電流との偏差から電力変換器34の駆動信号を生成する。サーボモータ1のモータ電流は、サーボドライブ3に内蔵される図示しない電流検出器の検出結果を用いることができる。位置検出器2からの位置情報は、力率を調整するために用いることができる。電力変換器34の駆動信号は、例えば、PWM制御におけるパルスのON幅とOFF幅の比であるデューティ比で表すことができる。PWM制御においては、スイッチング素子がONのときに対応する相にモータ電流が流れ、スイッチング素子がONしている時間(ON幅)に応じてモータ電流が変化する。つまり、ON幅が長くなるとモータ電流は大きくなり、ON幅が短くなるとモータ電流は小さくなる。電力変換器34は、電流制御部74が生成する駆動信号に基づくモータ電流を電力伝送路5Mを介してサーボモータ1に供給することにより、サーボモータ1を駆動することができる。位置制御、速度制御及び電流制御の方法は特に限定されない。例えば、PID制御などの公知のフィードバック制御を用いることができる。
【0029】
摩擦補償器75には、サーボモータ1の位置指令が入力され、摩擦補償器75の出力は、速度制御部73からの電流指令(トルク指令)に加算される。例えば、被駆動部6がボールねじ駆動機構の場合、駆動機構を構成する直動ガイド、ボールねじのナット、ボールねじの支持軸受等にはさまざまな摩擦が発生する。摩擦補償器75は、被駆動部6に生じるこれらの摩擦力を補償することができる。例えば、摩擦補償器75は、移動軸反転時の摩擦力を相殺する電流指令(トルク指令)を付与することができる。つまり、摩擦補償器75は、移動軸反転時の摩擦トルクの変化と反対のトルクパターンを発生するように、電流指令(トルク指令)を付与する。これにより、摩擦補償器75は、スティックモーションを抑制することができる。スティックモーションは、移動軸反転時の摩擦力の変化に対して、サーボ制御系が応答を開始するまでの遅れによって発生する運動誤差である。
【0030】
また、摩擦補償器75は、ロストモーションを抑制することもできる。ロストモーションは、駆動機構が摩擦力によって送り運動とは逆方向に弾性変形することにより発生する運動誤差である。この場合、摩擦補償器75は、弾性変形に要するトルク分を電流指令(トルク指令)に付与する。本明細書では、摩擦補償器75で用いられる制御ゲインを摩擦フィードフォワードゲインと呼称する。なお、スティックモーションの抑制及びロストモーションの抑制は一例であり、摩擦補償器75の補償対象は、これらに限定されるものではない。
【0031】
(2−2)異常検出装置
異常検出装置8は、入力部81、周波数変換部82、比較判定部83、表示部84、制御部85及び異常判定テーブル8Tを有しており、サーボモータ1によって駆動される被駆動部6の異常を検出することができる。被駆動部6の異常とは、例えば、被駆動部6の経年劣化や故障によって被駆動部6の粘性、摩擦等が変化して、被駆動部6の位置決め精度が劣化することをいう。被駆動部6の異常には、被駆動部6に振動や異音等が生じる場合も含まれる。なお、これらの現象は一例であり、被駆動部6の異常は、これらの現象に限定されるものではない。
【0032】
入力部81には、サーボモータ1が略一定速度で回転しているときに位置検出器2で検出されたサーボモータ1の位置情報が所定のサンプリング周期で入力される。入力された位置情報は、必要に応じて各種のフィルタを掛けることができる。例えば、フィルタにバンドパスフィルタを用いると、異常を検出する被駆動部6の周波数特性に合わせて、入力された位置情報の周波数範囲を限定することができる。入力部81は、所定数の位置情報を一単位として周波数変換部82に出力する。
【0033】
周波数変換部82は、入力部81から出力される位置情報を周波数変換して、比較判定部83に出力する。周波数変換は、例えば、フーリエ変換やウェーブレット変換などの既知の方法を用いることができる。位置情報の数が多いほど正確な周波数変換を行うことができるが、周波数変換に要する演算時間が長くなる。そこで、高速フーリエ変換(FFT)を用いると好適である。周波数変換に高速フーリエ変換(FFT)を用いると、大量の位置情報を高速に周波数変換することができ、周波数変換に要する演算時間を短縮することができる。また、広周波数帯域に亘って周波数変換を行う場合は、ウェーブレット変換を用いると好適である。ウェーブレット変換は、基底関数の拡大及び縮小を行うことができるので、フーリエ変換と比べて、広周波数帯域に亘って効率良く周波数変換することができる。
【0034】
比較判定部83は、周波数変換部82から出力される位置情報の振幅と、被駆動部6の異常を判定する閾値と、を比較する。閾値は、第1閾値と第1閾値より大きい第2閾値とを有している。第1閾値は、既述のサーボ制御部7の通常の制御によって制御装置の運転を継続可能な状態であり、制御装置のユーザに注意喚起を行うレベルをいう。第2閾値は、サーボ制御部7の通常の制御によって制御装置の運転を継続することが困難な状態であり、後述する制御部85によってサーボ制御部7の制御モードを変更する必要があるレベルをいう。なお、閾値は、3つ以上設けることも可能であり、制御装置の種類や制御に応じて任意に設定することができる。
【0035】
閾値は、予めシミュレーションや実験によって被駆動部6の部位ごとに設定されており、異常判定テーブル8Tに格納されている。比較判定部83は、異常を判定する被駆動部6の部位に応じて、異常判定テーブル8Tから閾値を読み出して位置情報の振幅と比較する。ここで、閾値の設定方法の一例について説明する。
【0036】
被駆動部6に異常が生じると、正常時と比べて、特定の周波数帯域において位置情報の振幅が増加する。異常時に位置情報の振幅が増加する周波数帯域は、被駆動部6の部位によって異なる。そのため、予め被駆動部6が異常な状態を設けて正常な状態と比較することにより、被駆動部6の部位ごとに位置情報の振幅が増加する周波数帯域及びそのときの振幅を取得することができる。このとき、サーボモータ1は略一定速度で回転させ、例えば、取得する周波数帯域の上限の回転数にすると良い。被駆動部6が正常な状態とは、例えば、制御装置の出荷時の状態であり、被駆動部6が異常な状態は、例えば、ボールねじの場合、経年劣化したボールねじを取り付けることにより設けることができる。また、ボールねじの固定部を緩めることにより、異常な状態を設けることもできる。
【0037】
図3は、位置情報の周波数と振幅の関係の一例を示す図である。横軸は周波数を示し、縦軸は位置情報の振幅を示している。破線で示す曲線8L1は、ボールねじ駆動機構の正常時の周波数特性を示しており、実線で示す曲線8L2は、ボールねじ駆動機構の異常時の周波数特性を示している。
【0038】
同図において、ボールねじは、正常時には周波数f10において振幅が突出する周波数特性を有している(曲線8L1)。ボールねじの経年劣化や固定部の緩み等によってボールねじに異常が生じると、振幅が突出する周波数は周波数f11に移行する(曲線8L2)。ボールねじの場合は、後述するテーブルガイドと比べて振幅が突出する周波数範囲f12〜f13が狭いので、周波数f12、f13の略中間の周波数f11において、ボールねじの異常判定を行う。比較判定部83は、周波数f11における位置情報の振幅A11と第1閾値A12とを比較して、位置情報の振幅A11が第1閾値A12以上のときは、ボールねじが異常であると判定する。比較判定部83は、位置情報の振幅A11が第1閾値A12より小さい場合は、ボールねじは正常であると判定する。同図では、ボールねじが正常時の位置情報の振幅をA11で示し、ボールねじが異常時の位置情報の振幅をA11’で示している。なお、第2閾値A13についても第1閾値A12と同様にボールねじの異常判定を行うことができる。
【0039】
ワークテーブルを案内するテーブルガイドは、正常時には周波数範囲f21〜f22において、位置情報の振幅が緩やかに増加する周波数特性を有している(曲線8L1)。例えば、ナットの与圧抜け等によって、ワークテーブルの移動の際のロストモーションが増加すると、ワークテーブルの移動に伴い振動が発生する。このようにテーブルガイドに異常が生じると、周波数範囲f21〜f22において、位置情報の振幅が増加する(曲線8L2)。位置情報の振幅に変動が現れる周波数範囲f21〜f22は、ボールねじと比べて広帯域なので、周波数f21、f22及びこれらの略中間の周波数f20において、それぞれテーブルガイドの異常判定を行う。比較判定部83は、周波数f20における位置情報の振幅A20、周波数f21における位置情報の振幅A21及び周波数f22における位置情報の振幅A22のうちの少なくともひとつが第1閾値A23以上のときは、テーブルガイドが異常であると判定する。比較判定部83は、位置情報の振幅A20、A21、A22のすべてが第1閾値A23より小さい場合は、テーブルガイドは正常であると判定する。同図では、テーブルガイドが正常時の位置情報の振幅をA20、A21、A22で示し、テーブルガイドが異常時の位置情報の振幅をA20’、A21’、A22’で示している。なお、第2閾値A24についても第1閾値A23と同様にテーブルガイドの異常判定を行うことができる。
【0040】
表示部84は、比較判定部83の判定結果を表示器4Dに表示する。表示器4Dは、ブラウン管、液晶ディスプレイ、プリンタ等の出力機器であり、制御装置の操作画面等を用いて代用することもできる。表示部84は、比較判定部83の判定結果に基づいて、少なくとも被駆動部6の異常部位を表示器4Dに表示することができる。表示部84は、被駆動部6の異常を判定したときの周波数、位置情報の振幅等を表示器4Dに表示することもできる。判定結果の表示方法は特に限定されない。例えば、2次元または3次元の描画やテキスト表示であっても良く、図形、記号、表、イラスト、写真、動画等を用いても良い。本実施形態では、比較判定部83の判定結果を表示する表示部84を備えるので、制御装置のユーザは、被駆動部6のメンテナンス時期を容易に知得することができる。
【0041】
制御部85は、被駆動部6の加速度、減速度、速度及びサーボモータ1の制御ゲインのうちの少なくとも1つを比較判定部83の判定結果に応じて低下させることができる。被駆動部6の加速度、減速度及び速度をそれぞれ低下させるには、プロファイル生成部71の加速度指令、減速度指令及び速度指令をそれぞれ変更する。サーボモータ1の制御ゲインは、例えば、位置制御部72における位置制御ゲイン、速度制御部73における速度制御ゲイン、電流制御部74における電流制御ゲイン、摩擦補償器75における摩擦フィードフォワードゲイン等が挙げられ、これらの制御ゲインのうちの少なくとも1つを低下させることができる。加速度、減速度、速度及び制御ゲインは、すべて同じ割合で減少させても良く、異なる割合で減少させても良い。
【0042】
本実施形態では、制御部85は、被駆動部6の加速度、減速度、速度及びサーボモータ1の制御ゲインのうちの少なくとも1つを比較判定部83の判定結果に応じて低下させることができるので、例えば、被駆動部6に異常が発生したときに、正常時とは異なる制御モードによって制御装置の稼働を継続させることができる。
【0043】
(2−3)異常検出装置の制御フロー
図4は、異常検出装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。サーボモータ1が略一定速度で回転しているときに、入力部81によって所定のサンプリング周期でサーボモータ1の位置情報が入力される(ステップS1)。周波数変換部82によってサーボモータ1の位置情報が周波数変換される(ステップS2)。比較判定部83によって、位置情報の振幅A11と第1閾値A12とが比較される(ステップS3)。位置情報の振幅A11が第1閾値A12以上のときは、表示部84によってボールねじの異常表示がされる(ステップS4)。次に、比較判定部83によって、位置情報の振幅A11と第2閾値A13が比較される(ステップS5)。位置情報の振幅A11が第2閾値A13以上のときは、制御部85によって被駆動部6の加速度、減速度、速度及びサーボモータ1の制御ゲインのうちの少なくとも1つが低下される(ステップS6)。
【0044】
比較判定部83によって、位置情報の振幅A20、A21、A22が第1閾値A23とそれぞれ比較される(ステップS7)。位置情報の振幅A20、A21、A22のうちの少なくともひとつが第1閾値A23以上のときは、表示部84によってテーブルガイドの異常表示がされる(ステップS8)。次に、比較判定部83によって、位置情報の振幅A20、A21、A22が第2閾値A24とそれぞれ比較される(ステップS9)。位置情報の振幅A20、A21、A22のうちの少なくともひとつが第2閾値A24以上のときは、制御部85によって被駆動部6の加速度、減速度、速度及びサーボモータ1の制御ゲインのうちの少なくとも1つが低下される(ステップS10)。そして、一旦本ルーチンを終了する。
【0045】
同図に示すステップS1〜S10のすべてを一度に実行することもできるが、ステップS1〜S10のうちの一部を制御装置の稼働中(オンライン時)に実行しておき、残りを制御装置の非稼働中(オフライン時)に実行することもできる。例えば、制御装置の稼働中にステップS1のみを実行して、サーボモータ1の位置情報を取得しておく。制御装置の非稼働中に残りのステップS2〜S10を実行することにより、制御装置の演算負荷を分散させることができる。また、制御装置の上位コントローラにサーボモータ1の位置情報を送信して、上位コントローラにおいて、ステップS1〜S10と同様の演算処理を実行することもできる。
【0046】
本実施形態では、周波数変換された所定周波数におけるサーボモータ1の位置情報の振幅と、被駆動部6の異常を判定する閾値と、を比較する比較判定部83を有するので、サーボモータ1の位置情報に基づいて被駆動部6の異常部位を特定することができる。そのため、被駆動部6の部位毎に加速度センサ等の検出器を設けることなく、被駆動部6の異常部位を特定することができる。また、検出された被駆動部6の異常部位に合わせてメンテナンスを行うことができるので、保守作業の作業性が向上する。
【0047】
また、サーボモータ1の位置情報の振幅が第1閾値以上のときは、表示部84によって被駆動部6の異常表示がされるので、制御装置のユーザに注意喚起を行うことができる。さらに、サーボモータ1の位置情報の振幅が第2閾値以上のときは、正常時とは異なるサーボ制御部7の制御モードによって制御装置の稼働を継続させることができる。
【0048】
(変形形態)
異常検出装置8は、サーボドライブ3に設けることもできる。サーボ制御部7のプロファイル生成部71、位置制御部72、速度制御部73、電流制御部74及び摩擦補償器75は、サーボドライブ3及びサーボコントローラ4の間で適宜配置することができる。図1及び図2において、サーボシステム100はサーボモータ1、位置検出器2及びサーボドライブ3をそれぞれ1つずつ備えているが、軸毎に複数のサーボモータ1、位置検出器2及びサーボドライブ3を備えることができ、それらを同時に制御することもできる。また、サーボモータ1の加速度情報、減速度情報及び速度情報は位置情報に基づいており、サーボモータ1の電流指令(トルク指令)はサーボモータ1の位置情報及び速度情報がフィードバックされて生成されるので、サーボモータ1の位置情報の代わりに、サーボモータ1の加速度情報、減速度情報、速度情報及び電流指令(トルク指令)のうちの少なくとも1つを用いて、周波数変換を行うこともできる。
【0049】
(3)被駆動部
被駆動部6は、例えば、部品実装装置の被駆動部とすることができる。図5は部品実装装置の一例を示す斜視図である。図6は部品装着ヘッドの一例を示す正面図である。
【0050】
部品実装装置9は、図5に示すように、部品供給装置970、基板搬送装置960及び部品移載装置980を備えている。部品供給装置970は、基枠990上に複数のカセット式フィーダ971を並設して構成したものである。カセット式フィーダ971は、基枠990に離脱可能に取付けた本体972と、本体972の後部に設けた供給リール973と、本体972の先端に設けた部品取出部974を備えている。供給リール973には電子部品Pが所定ピッチで封入された細長いテープが巻回保持され、このテープが図示しないスプロケットにより所定ピッチで引き出され、電子部品Pが封入状態を解除されて部品取出部974に順次送り込まれる。
【0051】
部品供給装置970と基板搬送装置960の間には、電子部品Pの保持位置を検出する撮像手段950としての部品カメラ975が設けられている。部品カメラ975は、後述する吸着ノズル918に吸着された電子部品Pの吸着ノズル918に対する位置ずれ及び角度ずれを検出することができる。位置ずれ及び角度ずれの検出結果は、電子部品Pの装着位置を補正するときに使用することができる。
【0052】
基板搬送装置960は、プリント基板を図5に示すX軸方向に搬送するもので、第1搬送装置961及び第2搬送装置962を2列並設したいわゆるダブルコンベアタイプのものである。第1搬送装置961及び第2搬送装置962は、基台963上にそれぞれ一対のガイドレール964a、964b、965a、965bを互いに平行に対向させてそれぞれ水平に並設し、これらガイドレール964a、964b、965a、965bによりそれぞれ案内されるプリント基板を支持して搬送する一対の図示しないコンベアベルトを互いに対向させて並設して構成されている。また、基板搬送装置960には所定位置まで搬送されたプリント基板を押し上げてクランプする図示しないクランプ装置が設けられ、このクランプ装置によってプリント基板が装着位置で位置決め固定される。
【0053】
部品移載装置980はXYロボットタイプのものであり、基枠990上に装架されて基板搬送装置960及び部品供給装置970の上方に配設され、Y軸サーボモータ911によりY軸方向に移動されるY軸スライダ912を備えている。Y軸スライダ912には、図6に示すように、X軸スライダ913がY軸方向と直交するX軸方向に移動可能に案内されている。
【0054】
X軸スライダ913は、Y軸スライダ912に固定されたX軸方向に延びる一対のガイドレール912aと、X軸スライダ913に固定された一対のガイドブロック913aを介して、Y軸スライダ912に移動可能に保持されている。X軸スライダ913には図示しないX軸サーボモータが固定され、このX軸サーボモータの出力軸にはX軸方向に延びるボールねじ軸912bが連結されている。ボールねじ軸912bは、図示しないボールを介して、X軸スライダ913に固定されたボールナット913bに螺合されている。これにより、X軸サーボモータが回転するとボールねじ軸912bが回転し、X軸スライダ913はボールナット913bを介してガイドレール912aに案内されてX軸方向に移動する。
【0055】
X軸スライダ913上には、電子部品Pを吸着してプリント基板に装着する部品装着ヘッド910が取付けられている。部品装着ヘッド910は、図6に示すように、R軸モータ915、インデックス軸916、ノズルホルダ917、吸着ノズル918、θ軸モータ919、Z軸モータ920、CCDカメラ921を備えた撮像手段950等によって構成されている。
【0056】
X軸スライダ913には、水平方向に延びる第1、2フレーム925、926が上下方向(Z軸方向)に離間して一体的に設けられ、第1フレーム925にR軸モータ915が固定されている。R軸モータ915の出力軸には、鉛直軸線ALの回り(R軸方向)に回転可能に支持されたインデックス軸916が接続されている。インデックス軸916上には、従動ギヤ927とθ軸ギヤ929を形成した回転体928が回転可能に支持されている。インデックス軸916の下端部には、リボルバヘッドを構成する円筒状のノズルホルダ917が固定されている。
【0057】
ノズルホルダ917には、鉛直軸線ALと同心の円周上において複数の吸着ノズル918がZ軸方向に移動可能に保持されている。各吸着ノズル918は、ノズルホルダ917にZ軸方向に摺動可能に支持されたノズルスピンドル933の下端に取付けられている。ノズルスピンドル933の下端部には大径部933aが形成され、ノズルスピンドル933の上端部にはノズルギヤ934が固定されている。ノズルギヤ934とノズルホルダ917との間には圧縮スプリング935が設けられ、この圧縮スプリング935によって、ノズルスピンドル933及び吸着ノズル918が上方に付勢されるとともに、大径部933aがノズルホルダ917の下面に当接することにより、ノズルスピンドル933及び吸着ノズル918の上方への移動が規制されている。また、各吸着ノズル918には、ノズルスピンドル933を介して図示しない吸着ノズル駆動装置から負圧が供給されるようになっている。これにより、各吸着ノズル918は、その先端部918aで電子部品Pを吸着することができる。
【0058】
ノズルホルダ917の下端中央部には、光を反射可能な円筒状の反射体931が固定されている。そのため、ノズルホルダ917及び反射体931は、インデックス軸916とともに鉛直軸線ALの回りに回動されることになる。これにより、R軸モータ915を回転させると、インデックス軸916を介して複数の吸着ノズル918を保持したノズルホルダ917を鉛直軸線ALの回り(R軸方向)に回動させることができ、複数の吸着ノズル918を装着ステーションに順次割出すことができる。
【0059】
第1フレーム925にはθ軸モータ919が固定され、θ軸モータ919の出力軸には駆動ギヤ936が固定されている。駆動ギヤ936は、インデックス軸916に回転可能に支持された回転体928上の従動ギヤ927に噛合されている。また、回転体928上には軸方向の所定長さに亘ってθ軸ギヤ929が形成され、このθ軸ギヤ929は、ノズルスピンドル933に固定された各ノズルギヤ934にそれぞれ摺動可能に噛合されている。これにより、θ軸モータ919を回転させると、駆動ギヤ936、従動ギヤ927、θ軸ギヤ929及びノズルギヤ934を介して、全ての吸着ノズル918をノズルホルダ917に対して自転させることができる。
【0060】
また、第1フレーム925にはZ軸モータ920が固定され、Z軸モータ920の出力軸にはボールねじ軸937が接続されている。ボールねじ軸937は、第1フレーム925に固定された軸受938及び第2フレーム926に固定された軸受939により、鉛直軸線ALと平行な軸線の回りに回動可能に支持されている。ボールねじ軸937には、図示しないボールを介して、Z軸モータ920の回転運動を直線運動に変換するボールナット940が螺合されている。ボールナット940は、第1及び第2フレーム925、926に固定された上下方向に伸びるガイド942に上下方向に摺動可能にガイドされたノズルレバー941に固定されている。
【0061】
ノズルレバー941には、装着ステーションに割出されたノズルスピンドル933の上端に当接して、ノズルスピンドル933をZ軸方向の下方に押圧する押圧部941aが突設されている。これにより、Z軸モータ920を回転させると、ボールねじ軸937が回転し、ノズルレバー941はボールナット940を介してガイド942に案内されて上下に移動する。ノズルレバー941が上下に移動すると、押圧部941aに対応するノズルスピンドル933及び吸着ノズル918を上下に移動させることができる。
【0062】
ノズルレバー941の押圧部941aは、ノズルホルダ917の回転方向に装着ステーションを中心として所定の幅W1を有しており、吸着ノズル918が装着ステーションの前後の所定の角度範囲に位置している状態において、その吸着ノズル918のノズルスピンドル933の上端に押圧部941aが当接可能となっている。これにより、装着ステーションの前後の所定の角度範囲において、ノズルホルダ917の回動動作中に吸着ノズル918の上下方向(Z軸方向)の移動を可能にしている。
【0063】
第2フレーム926には支持ブラケット943が懸架され、支持ブラケット943には、ノズルホルダ917の装着ステーションの直前直後のステーションに割出された2つの吸着ノズル918の先端部918aに吸着された電子部品Pの二次元画像を取得する1つのCCDカメラ921が固定されている。CCDカメラ921は、反射体931により反射された光により吸着ノズル918の先端部918aに吸着された電子部品Pの二次元画像を取得することができる。
【0064】
支持ブラケット943の吸着ノズル918に対応する側には、撮像ケース本体945が固定され、撮像ケース本体945の反射体931に対向する側には、ノズルホルダ917を取巻くように鉛直軸線ALを円弧中心とする円弧状の壁面が、ノズルホルダ917の装着ステーションの直前直後のステーションに亘って形成されている。撮像ケース本体945の円弧状壁面には、反射体931に向けて光を照射するLEDからなる複数の照射体946が装着されている。
【0065】
次に上記構成の部品実装装置9によって、電子部品Pをプリント基板に装着する動作について説明する。まず、図示しない制御装置からの指令に基づいて、基板搬送装置960のコンベアベルトが駆動され、プリント基板がガイドレール964a、964b(965a、965b)に案内されて所定の位置まで搬送される。そして、クランプ装置により、プリント基板が押し上げられてクランプされ、所定位置に位置決め固定される。続いて、Y軸サーボモータ911及び図示しないX軸サーボモータが駆動されることにより、Y軸スライダ912及びX軸スライダ913が移動され、部品装着ヘッド910が部品供給装置970の部品取出部974まで移動される。その後、制御装置により、R軸モータ915が回転されることにより、ノズルホルダ917が回動され、所定の吸着ノズル918を装着したノズルスピンドル933がノズルレバー941の押圧部941aの下方に割出される。
【0066】
また、制御装置により、Z軸モータ920が正転されることにより、ノズルレバー941が圧縮スプリング935の付勢力に抗して下方に押下げられ、ノズルスピンドル933を介して吸着ノズル918の先端部918aが部品取出部974に搬送された電子部品Pに接近する位置まで押下げられる。その状態で、図示しない吸着ノズル駆動装置から吸着ノズル918に負圧が供給され、吸着ノズル918の先端部918aに電子部品Pが吸着保持される。その後、Z軸モータ920が逆転されることにより、ノズルレバー941が上方に移動され、圧縮スプリング935の付勢力により吸着ノズル918が上昇端位置まで押上げられる。このような動作を繰り返すことにより、複数の吸着ノズル918に電子部品Pがそれぞれ吸着保持される。
【0067】
続いて、Y軸サーボモータ911及び図示しないX軸サーボモータが駆動されることにより、Y軸スライダ912及びX軸スライダ913が移動され、部品装着ヘッド910がプリント基板の装着位置の上方まで移動される。次いで、θ軸モータ919の回転により、ノズルホルダ917の装着ステーションに割出された吸着ノズル918の先端部918aに吸着保持された電子部品Pが所定の姿勢に制御されるとともに、Z軸モータ920が正転されることにより、ノズルレバー941が圧縮スプリング935の付勢力に抗して下方に押下げられ、吸着ノズル918の先端部918aの電子部品Pがプリント基板に装着されるまで押下げられる。その後、Z軸モータ920が逆転されることにより、ノズルレバー941が上方に移動され、圧縮スプリング935の付勢力により吸着ノズル918が最上端に移動した状態まで押上げられる。
【0068】
このような装着ステーションに割出された吸着ノズル918の下降動作によって、プリント基板への電子部品Pの装着が行われるが、かかる電子部品Pの装着作業の間に、装着ステーションの直前直後のステーションに位置決め停止されている2つの吸着ノズル918の先端部918aの側面画像が撮像手段950によって取得され、取得された2つの側面画像は画像認識手段に入力されて画像認識される。
【0069】
本発明の異常検出装置は、例えば、Y軸スライダ912、X軸スライダ913のボールねじ軸912b、ボールナット913b、ガイドレール912a及びガイドブロック913aの異常を検出することができる。また、異常検出装置は、Z軸モータ920の出力軸に接続されるボールねじ軸937、軸受938、939、ボールナット940及びガイド942の異常を検出することもできる。特に、部品装着ヘッド910が部品供給装置970の部品取出部974まで移動するときに、異常検出装置が被駆動部の異常を検出すると良い。このとき、Y軸スライダ912及びX軸スライダ913は、略一定速度で高速に移動することができるので、これらを駆動するY軸サーボモータ911及び図示しないX軸サーボモータの位置情報が広周波数帯域に亘って安定して得られる。
【0070】
さらに、本発明の異常検出装置は、例えば、部品実装装置9の稼働中にサーボモータの位置情報を取得しておき、部品実装装置9の非稼働中に被駆動部の異常検出を行うことができる。そのため、例えば、プリント基板の搬送待ちや部品交換のための待機時間等を使って、部品実装装置9の実装ラインを停止させることなく、被駆動部の異常検出を行うことができる。
【0071】
(4)その他
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。
【符号の説明】
【0072】
1:サーボモータ
2:位置検出器
3:サーボドライブ
4:サーボコントローラ
6:被駆動部
8:異常検出装置
81:入力部 82:周波数変換部 83:比較判定部
84:表示部 85:制御部
9:部品実装装置
100:サーボシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボモータと、前記サーボモータの位置を検出する位置検出器と、前記サーボモータを駆動するサーボドライブと、前記サーボドライブを制御するサーボコントローラと、を備えるサーボシステムにおいて、前記サーボモータによって駆動される被駆動部の異常を検出する異常検出装置であって、
前記サーボモータの位置情報が前記位置検出器から入力される入力部と、前記位置情報を周波数変換する周波数変換部と、前記周波数変換された所定周波数における振幅と前記被駆動部の異常を判定する閾値とを比較する比較判定部と、を有し、
前記比較判定部は、前記振幅が前記閾値以上となる周波数から前記被駆動部の異常部位を特定することを特徴とする異常検出装置。
【請求項2】
前記周波数変換は、高速フーリエ変換である請求項1に記載の異常検出装置。
【請求項3】
前記比較判定部の判定結果を表示する表示部をさらに備える請求項1又は2に記載の異常検出装置。
【請求項4】
前記被駆動部の加速度、減速度、速度及び前記サーボモータの制御ゲインのうちの少なくとも1つを前記比較判定部の判定結果に応じて低下させる制御部をさらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の異常検出装置。
【請求項5】
前記被駆動部は、部品実装装置に備えられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の異常検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−81282(P2013−81282A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219146(P2011−219146)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】