説明

異常監視システム、異常監視装置および異常監視方法

【課題】 監視対象となっている情報機器に接続することなく、この情報機器の異常発生を監視する異常監視システムを提供する。
【解決手段】 ロボット200と、外部の監視サーバ100とから構成される。ロボット200はCCDカメラなどを備え、監視ルームR内を移動しながら情報機器の異常発生を監視する。ロボット200は、情報機器から異常の発生を示すメッセージやLEDが発する光などを受信すると、異常の内容を解析するための情報を収集し、監視サーバ100に送信する。監視サーバ100は、ロボット200から送信された情報を解析し、異常の内容に応じた保守要員に異常発生を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常監視システム、異常監視装置および方法に関し、特に、情報機器の無人運転時に発生した異常を保守要員に通報する異常監視システム、異常監視装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンピュータシステムの動作を遠隔監視するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている異常通報方式では、監視対象となっているホストコンピュータに、異常をオペレータに通知する自動通報プログラムがインストールされている。そして、自動通報プログラムは、ホストコンピュータで実行されている各種プログラムが発するメッセージを解析して、異常が発生したと判別した場合に、異常の種類に応じて適切なオペレータに通信回線を経由して異常発生を通知する。
【0004】
また、特許文献2に開示されている監視システムでは、監視対象のコンピュータにネットワーク回線を介して接続された監視装置と、監視装置と接続された監視カメラとが、協調動作して、コンピュータの異常発生を検出する。監視装置は、監視対象のコンピュータから、ソフト的情報なるものを取り込み、また、監視カメラが撮像した映像を表す映像データをコンピュータと対応付けて格納する。
【特許文献1】特開平5−250223号公報(第2、3頁、図2)
【特許文献2】特開2002−23833号公報(第4、5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコンピュータの異常通報手段では、コンピュータ自身に通報機能を内蔵、またはコンピュータネットワークを介して接続された監視システムを経由した通報のため、コンピュータの故障状況によっては、監視機能が働かない可能性があった。逆に、監視システム側の故障が顧客コンピュータに悪影響を与えて、異常通報ができなくなる可能性もあった。また、顧客コンピュータと監視システムとが通信回線により接続されているため、クラッキングにより、顧客コンピュータ内の情報が漏洩する可能性があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、物理的に接続することなく、コンピュータなどの異常発生を監視し、異常が発生するとその旨を、異常に対処する保守要員やコールセンターなどに通報する異常監視システム、異常監視装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点にかかる異常監視システムは、
自己の異常を視覚的に外部へ示す異常表示部を具備する機器の異常発生を検知し、異常発生を保守要員に通知する異常監視システムであって、
監視対象となっている機器が異常状態にある場合の、前記異常表示部の表示状態を示した異常状態データを格納する異常状態格納部と、
前記異常表示部に表示される内容を視覚的に取得して、映像データを生成する撮像部と、
前記撮像部で生成した映像データを解析して得た解析データと、前記異常状態格納部に格納されている異常状態データとを比較して、前記機器に異常が発生しているか否かを判別する判別部と、
前記判別部により、前記機器に異常が発生していると判別した場合に、異常が発生している旨を示すデータを、通信ネットワークを介して前記監視サーバに送信する送信部と、
を具備する監視クライアントと、
前記監視クライアントの送信部から送信されたデータを受信する受信部と、
前記受信部で受信したデータを受信したことを契機として、異常発生を示すメッセージを出力する指示出力部と、
を具備する監視サーバと、
を備える。
【0008】
この発明によれば、異常監視システムと監視対象である機器とを物理的に接続することなく、異常監視システムが機器に異常が発生したことを監視できる。
【0009】
上記異常監視システムにおいて、
前記送信部は、異常が発生している旨を示すデータと共に、前記解析データを前記監視サーバに送信してもよい。
【0010】
この発明によれば、異常状態を分析するための資料が増え、異常状態の分析が容易になる。
【0011】
上記異常監視システムにおいて、
前記監視クライアントは、
前記判別部により、前記機器に異常が発生していると判別した場合に、さらに該機器の異常表示部に表示される内容を視覚的に前記撮像部に取得させる異常表示収集部を具備することが望ましい。
この場合、前記送信部は、
前記機器に異常が発生していると判別した場合に、異常が発生している旨を示すデータと共に、前記異常表示収集部が収集した映像データを前記監視サーバに送信する。
【0012】
上記異常監視システムにおいて、
前記送信部は、異常が発生している旨を示すデータと共に、前記機器に発生した異常の種別を示すデータを送信することが望ましい。
この場合、前記指示出力部は、前記受信部で受信したデータに基づいて、前記機器に発生した異常の種別を判別し、判別した異常の種別に応じたメッセージを出力することができる。
【0013】
この発明によれば、発生した異常の種別に応じた保守要員の派遣が可能となる。
【0014】
上記異常監視システムにおいて、
前記監視クライアントは、自走するための駆動部を具備してもよい。
【0015】
この異常監視システムにおいて、
前記監視サーバと前記監視クライアントとの間の通信を中継する中継装置をさらに備えることが望ましい。
この場合、前記中継装置と前記監視クライアントとの間の通信が無線通信により行われることが望ましい。
【0016】
この発明によれば、監視クライアントに接続された通信ケーブルが断線するようなトラブルにより通信が途絶することが無くなり、監視クライアントの移動が容易になる。
【0017】
本発明の第2の観点にかかる異常監視装置は、
自己の異常を視覚的に外部へ示す異常表示部を具備する機器の異常発生を検知し、通信ネットワークを介して異常発生を保守要員に通知する異常監視装置であって、
監視対象となっている機器が異常状態にある場合の、前記異常表示部の表示状態を示した異常状態データを格納する異常状態格納部と、
前記異常表示部に表示される内容を視覚的に取得して、映像データを生成する撮像部と、
前記撮像部で生成した映像データを解析して得た解析データと、前記異常状態格納部に格納されている異常状態データとを比較して、前記機器に異常が発生しているか否かを判別する判別部と、
前記判別部により、前記機器に異常が発生していると判別した場合に、異常が発生している旨を示すデータを、通信ネットワークを介して保守要員に向けて出力する送信部と、
を具備する。
【0018】
本発明の第3の観点にかかる異常監視方法は、
自己の異常を視覚的に外部へ示す異常表示部を具備する機器の異常発生を検知し、通信ネットワークを介して異常発生を保守要員に通知する異常通報方法であって、
前記異常表示部の表示内容を取得して、表示状態を示すデータを生成する撮像ステップと、
前記撮像ステップで生成した表示状態を示すデータを解析して得た解析データと、予め記憶手段に格納されている該機器の異常時の表示状態を示すデータとを比較して、該機器が異常状態であるか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより、前記機器に異常が発生していると判別した場合に、異常が発生している旨を示すデータを、前記通信ネットワークを介して保守要員に向けて出力する出力ステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、監視対象となっている機器に物理的に接続することなく当該機器を監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明にかかる実施の形態を、以下図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる異常監視システムの構成を示すブロック図である。
【0021】
本実施形態の異常監視システム1は、監視サーバ100とロボット200とにより構成される。監視サーバ100とロボット200との間は、通信ネットワークCを介して接続されている。
【0022】
通信ネットワークCは、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの所定の通信プロトコルに基づくLAN(Local Area Network)などの通信ネットワークである。
【0023】
ロボット200は、監視ルームR内に設置されている、サーバ、ディスクアレイ、プリンタなどの被監視機器のインジケータの表示状態やディスプレイに表示されているメッセージテキストなどに基づいて、非監視機器の異常発生を検知し、その旨を監視サーバ100に送信する。ロボット200は車輪を備えており、所定の経路を移動しながら、機器の異常発生を監視する。
【0024】
監視サーバ100は、コールセンターなどに設置された情報処理装置であって、監視ルームR内の情報機器の異常発生を遠隔監視している。情報機器に異常が発生した場合、異常の内容に応じた(保守)要員を監視ルームRに派遣させるためのメッセージを出力する。
【0025】
被監視機器は、サーバ、ディスクアレイ、プリンタなどの情報機器であり、顧客が使用する機器である。これらの被監視機器は、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワーク(図示無し)により、相互に接続される。
【0026】
図2に示すように、本実施の形態にかかる監視サーバ100は、制御部110と、記憶部120と、入力制御部130と、出力制御部140と、通信制御部150とを備える。そして、入力制御部130に入力装置13が、出力制御部140に出力装置14がそれぞれ接続されている。
【0027】
制御部110は、例えば、中央演算処理装置(CPU、Central Processing Unit)やワークエリアとなる記憶装置(RAM(Random Access Memory)等)などを備える。制御部110は、記憶部120に格納されている動作プログラム(例えば、オペレーティングシステム、文字認識プログラム、後述する監視処理用の専用プログラム等)を読み出して実行することにより、監視サーバ100の各部を制御しつつ、後述する監視処理などを実行する。
【0028】
記憶部120は、ハードディスク装置などの記憶装置から構成され、制御部110で実行される動作プログラムや監視処理において生成される一時データ、後述する監視処理において取り扱う異常状態の情報や異常対処のために派遣される要員の情報などを格納する。
【0029】
図3は、記憶部120に格納されるデータベースを示した図である。図示するように、記憶部120はメッセージデータベース(DB)121と、要員データベース(DB)122とを含む。
【0030】
メッセージDB121は、監視対象である被監視機器から発せられるメッセージ表示などのうち、異常監視システム1で対処できるメッセージ表示などと対応する対処策を示した情報である「メッセージ管理情報」を格納する。図4に示すように、メッセージ管理情報は、「メッセージID」、「連絡フラグ情報」、「連絡要員情報」、「通知メッセージ情報」などを含む。
【0031】
ここで、「メッセージID」は、監視対象である被監視機器から発せされるメッセージ表示などに割り当てられた識別情報である。「連絡フラグ情報」は、当該メッセージ表示等に対応する異常が要員派遣を要するものか否かを示す情報である。ここで、「Y」と示されているものは、要員派遣を要する異常であることを、「N」と示されているものは、要員派遣を要しない異常であることを示す。「連絡要員情報」は、メッセージIDに対応付けられている異常が発生した際に、派遣される要員を示した情報であり、例えば、後述する「要員ID」を格納する。なお、図4に示した例では、各メッセージIDに対応する異常に対し、要員IDを1つしか記していないが、2つ以上であってもよい。この場合、「連絡要員情報」に記録されている要員が同時に派遣される。また、代理の要員に関する情報を記録してもよい。「通知メッセージ情報」は、要員に異常発生を通知する場合に、要員に通知されるメッセージを記録している。なお、「連絡フラグ情報」が、要員派遣を要しない異常であることを示す「N」であった場合、「連絡要員情報」と「通知メッセージ情報」とが設定されている必要はない。
【0032】
要員DB122は、監視サーバ100より現地急行の指示を受けて、監視ルームRに派遣される要員に関するデータである「要員情報」を格納する。図5は、要員DB122に格納される要員情報の例を示したものである。図示するように、要員情報は、テーブルの形式で格納されており、「要員ID」、「連絡先情報」、「氏名情報」などを含む。
【0033】
ここで、「要員ID」は、監視ルームRに派遣される要員に割り当てられる識別情報である。また、「連絡先情報」は、当該要員の連絡先を示す情報であり、例えば、当該要員が使用する携帯電話機で受信することのできる電子メールアドレスである。また、「氏名情報」は、当該要員の氏名の情報が記録される。
【0034】
図2に戻って、入力制御部130は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置13を接続し、入力装置13から入力された制御部110への指示などを受け付けて制御部110に伝達する。
【0035】
出力制御部140は、例えば、ディスプレイなどの出力装置14を接続し、制御部110の処理結果などを必要に応じて出力装置14に出力する。
【0036】
通信制御部150は、例えば、NIC(Network Interface Card)やルータなどの通信装置から構成され、監視サーバ100と通信ネットワークCとを接続し、通信ネットワークCを介したロボット200との間で行われる通信を制御する。
【0037】
図1に戻り、ロボット200は、車輪を回転させて監視ルームR内を移動し、被監視機器から異常を知らせるメッセージ等が発せられていないかどうかを監視する。もし、そのようなメッセージを受信した場合、通信ネットワークCを介して、その旨を監視サーバ100に送信する。
【0038】
図6に示すように、ロボット200は、制御部210と、記憶部220と、操作入力部230と、出力部240と、通信制御部250と、本体駆動部260と、センサ部270とを備える。そして、図示した各部は内部バスを介して相互に接続されている。
【0039】
制御部210は、例えば、中央演算処理装置(CPU、Central Processing Unit)やワークエリアとなる記憶装置(RAM(Random Access Memory)等)などを備える。制御部210は、記憶部220に格納されている動作プログラムを読み出して実行することにより、後述する監視処理を実行する。
【0040】
制御部210は、本体駆動部260やセンサ部270から送信されるデータに基づいて、ロボット200の現在位置を特定する。なお、本実施の形態では、現在位置は監視ルームR内に設定された基準位置からの変位で計算される。
【0041】
制御部210は、センサ部270から送信される映像データを解析して得られたデータと、記憶部220内の装置DB221に格納されている「機器監視情報」(なお、「機器監視情報」に関しては後述する。)と比較し、被監視機器に異常が発生したか否かを判別する。制御部210は、被監視機器に異常が発生したと判別した場合、さらに、被監視機器に発生した異常を特定するために必要と思われる情報の収集を行う。この場合、制御部210は、「機器監視情報」を参照し、センサ部270や、必要に応じて、本体駆動部260を動作させ、ロボット200の位置や向きを変化させる。
【0042】
図6に戻って、記憶部220は、ハードディスク装置などの記憶装置から構成され、情報機器を監視するために必要な情報や、監視処理において生成される一時データ、制御部210の動作プログラムなどを格納する。記憶部220は、ロボット200の監視対象である被監視機器に発生する可能性のある異常状態をまとめた「機器監視情報」を格納したデータベースである装置DB221を格納する。なお、装置DB221に格納される機器監視情報は、本監視システムの運用者により、操作入力部230から入力されたり、通信ネットワークCを介して、監視サーバ100よりインストールされたりする。
【0043】
装置DB221に格納される「機器監視情報」の例を図7に示す。図示するように、装置DB221は「機器監視情報」をテーブルの形式で格納し、「機器監視情報」は「装置ID」と、「種別情報」と、「位置情報」と、「異常判断情報」と、「異常発生時収集情報」とを含む。
【0044】
ここで、「装置ID」は、監視ルームR内に設置されている被監視機器それぞれに割り当てられた識別子である。「種別情報」は、被監視機器の種別を示す情報である。「位置情報」は、被監視機器が監視ルームR内で占める位置を示した情報で、基準位置からの3次元座標2点で示される(単位はcm)。被監視機器はおおよそ、これらの2点を結ぶ線分を対角線とする直方体内に設置されている。
【0045】
そして、「異常判断情報」は、被監視機器に異常が発生したか否かを判別するための情報である。「異常発生時収集情報」は、異常発生時に、その被監視機器に発生した異常の内容を解析するために必要な情報である。
【0046】
なお、記載内容の理解を容易にするため、図7では、「異常判断情報」や「異常発生時収集情報」を自然言語で記載しているが、実際には、制御部210においてこれらの情報として記載されている内容の解釈を容易にするため、専用の記述言語やマークアップ言語などを用いて記述される。
【0047】
図6に戻って、操作入力部230は、例えば、キーボードや押しボタン等の入力手段を備え、入力手段から入力された制御部210への指示などを受け付けて制御部210に伝達する。
【0048】
出力部240は、例えば、ディスプレイなどの出力手段を備え、制御部210の処理結果などを必要に応じて出力手段に出力する。
【0049】
通信制御部250は、例えば、NIC(Network Interface Card)などの通信装置から構成され、ロボット200と通信ネットワークCとを接続し、通信ネットワークCを介した監視サーバ100との間で行われる通信を制御する。
【0050】
本体駆動部260は、車輪や車軸を回転させるモータなどから構成されており、制御部210が指示する場所へロボット200を移動させ、ロボット200の向き、特にセンサ部270の向きを変化させる機能を有する。また、車輪の回転数や車軸の向きの変化を表すデータを制御部210に送信する。
【0051】
センサ部270は、監視ルームR内に設置されている被監視機器の異常発生を監視する。また、異常発生時には、制御部210から指示を受け、異常発生の原因を解析するために必要な情報を被監視機器から収集する。
【0052】
図8に示すように、センサ部270は、センサ制御部271と、撮像部駆動部272と、撮像部273と、距離センサ274とから構成される。センサ部270は、距離センサ274から入力される信号により、ロボット200の現在位置を認識し、撮像部272で取得した映像データを制御部210に送信する。センサ部270は、制御部210からの指示を受けて、撮像部駆動部272を動作させ、撮像部273を移動させることができる。場合により、撮像部駆動部272と本体駆動部260とが協動することもある。これは、ロボット200の現在位置と、機器監視情報とに従って、制御部210が判別する。
【0053】
センサ制御部271は、例えば、演算処理装置やワークエリアとなる記憶装置(RAM等)、演算処理装置の動作プログラムを格納する記憶装置(ROM(Read Only Memory)等)などを備える。センサ制御部271は、制御部210からの指示を受けて、撮像部駆動部272を作動させ、撮像部273を所望の位置に移動させる。また、撮像部273から送信される映像データを制御部210に転送する。さらに、距離センサ274から送信される測距データを制御部210に転送する。
【0054】
撮像部駆動部272は、モータなどを備え、センサ制御部271からの指示を受け、撮像部273を指示された位置へ移動させる機能を有する。
【0055】
撮像部273は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラを備え、CCDカメラから入力された信号を映像データに加工して、センサ制御部271に送信する。
【0056】
距離センサ274は、超音波センサや、赤外線センサなどを備え、ロボット200から監視ルームR内の被監視機器や壁面などまでの前後左右高さ方向の距離を測定する。距離センサ274は、センサ制御部271にロボット200から対象物(被監視機器や壁面など)までの距離を示す信号である測距データを送信する。この測距データは、ロボット200の現在位置の認識および撮像部273の位置決めなどに使用される。
【0057】
次に、図面を参照して本実施の形態にかかる異常監視システム1の動作を説明する。図9は、本実施の形態にかかる異常監視システム1の監視処理を説明するためのフローチャートである。
【0058】
ロボット200は、本体駆動部260を稼働させて監視ルームR内を移動しながら、監視ルームR内の各情報機器の異常監視を行う(ステップS101)。この時、制御部210は、本体駆動部260や距離センサ274から送信される信号から、ロボット200の現在位置を特定する。ロボット200の撮像部273で、被監視機器の表示部に表示される文字やLED(Light Emitting Diode)が発する光などを映像として捉え、これを制御部210に転送する。制御部210は、撮像部273から転送された映像を画像解析し、装置DB221に格納されている異常判断情報と比較して、異常が発生しているか否かを判別する(ステップS102)。より詳細には、制御部210は、現在位置と装置DB221内の位置情報とを参照して、その時点で監視している被監視機器を特定する。そして、制御部210は特定された被監視機器に対応付けられて装置DB221に格納されている異常判断情報を基に、異常が発生しているか否かを判別する。
【0059】
コンピュータの異常を発見した場合(ステップS102:YES)に、制御部210は装置DB221により、異常が発生している情報機器の種類並びに異常発生時収集情報を確認し、撮像部駆動部272により撮像部273を移動させて、異常発生機器の異常内容の解析に必要な情報を収集する(ステップS103)。この時、必要に応じて、制御部210は、本体駆動部260を動作させてロボット200自体を移動させる。制御部210は収集した情報を「異常機器情報」として、通信ネットワークCを介して監視サーバ100へ送信する(ステップS104)。ロボット200は、監視サーバ100から監視終了の指示がされていない限り、ステップS101に戻り、引き続き異常発生の監視を行う(ステップS105:NO)。
【0060】
監視サーバ100は、ロボット200から受信した異常機器情報を画像解析することにより、被監視機器が表示したメッセージテキストやLED表示を取得する。そして、取得したメッセージテキストやLED表示のうち、メッセージDB121内の通知メッセージ情報と一致したものに対応するメッセージIDを特定する。これにより、監視サーバ100は、被監視機器に発生した異常の種別を特定する(ステップS201)。
【0061】
そして、監視サーバ100は、ステップS201で特定したメッセージIDに対応する連絡要員情報から、異常発生を通知する要員に付与されている要員IDを得る。そして、要員DB122を検索して、該当する要員の連絡先情報を取得する。また、メッセージDB121から、メッセージIDに対応する通知メッセージ情報を取得する。監視サーバ100は、連絡先情報と通知メッセージ情報とから、保守員の所持する携帯電話機に対して、異常発生を知らせる電子メールを送信することで、保守員へ連絡する(ステップS202)。
【0062】
ロボット200は、監視ルームR内の被監視機器に異常が無い場合は(ステップS102:NO)、監視サーバ100から監視終了の指示がされない限り、ステップS101に戻り、異常発生の監視を続行する(ステップS105)。監視サーバ100から監視終了の指示がされている場合は(ステップS105:YES)、監視処理を終了する。
【0063】
以上、説明したように、本発明の実施の形態にかかる異常監視システム1によれば、被監視機器と通信回線を介して接続することなく、当該被監視機器を監視できる。このため、異常監視システム1を経由したクラッキングを阻止できる。
【0064】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形および応用が可能である。
例えば、上記ロボット200の移動方法は二足歩行、無限軌道など、既知の方法を用いることができる。また、ロボット200から本体駆動部260が取り除かれた装置をベルトコンベヤの上に配置し、この装置がベルトコンベヤの動きと連動して移動させられながら情報機器を監視するように構成してもよい。
【0065】
また、被監視機器間が通信ネットワークを介して接続されていることは、本発明において必須の要件ではなく、被監視機器(の少なくとも一部)が独立して動作していても、本異常監視システム1を適用できる。さらに、図1に例示した機器以外でも、視覚的に外部から異常発生が確認されうる機器であれば、異常監視システム1の監視対象とすることができる。
【0066】
また、上記実施の形態において、異常判断情報は被監視機器の異常状態を示す情報であったが、被監視機器の正常状態を示す情報であってもよい。
【0067】
また、ロボット200内の制御部210において、撮像部273が撮像した映像データを解析するように構成してもよい。
【0068】
また、ロボット200と通信ネットワークCとの間に、中継装置を挿入し、この中継装置とロボット200との間の通信が無線通信で行われるようにしてもよい。なお、被監視機器が無線LANにより接続されている場合には、被監視機器間の通信と、ロボット200と中継装置との間の通信とが混信しないように、ロボット200と中継装置との間の通信方式が適切に設定される。このような構成を採ることにより、ロボット200に接続される通信ケーブルの取り回しを考慮する必要性が無くなり、ロボット200の行動の自由度が増大する。
【0069】
また、監視サーバ100により、複数の監視場所を同時に監視できる。この場合、各監視場所にロボット200が配置される。監視サーバ100は、各ロボット200の設置場所を識別しながら通信を行い、監視場所を区別することができる。
【0070】
また、監視サーバ100の機能とロボット200の機能とを併せ持つ装置により、上記各機能を実現してもよい。
【0071】
なお、本発明の実施の形態にかかる監視サーバ100を実現するための情報処理装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した媒体(CD−ROMなど)から当該プログラムを記憶部120にインストールすることにより、上述の処理を実行する監視サーバ100を構成することができる。
【0072】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協動により実現する場合などには、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0073】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に該プログラムを掲示し、ネットワークを介して該プログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態にかかる異常監視システムのブロック図である。
【図2】図1の監視サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】図2の記憶部に格納されるデータを説明するための図である。
【図4】図3のメッセージDBに格納される通知メッセージ情報を説明するための図である。
【図5】図3の要員DBに格納される要員情報を説明するための図である。
【図6】図1のロボットの構成を示すブロック図である。
【図7】図6の記憶部内の装置DBに格納されるデータを説明するための図である。
【図8】図6のセンサ部の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかる監視処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 異常監視システム
100 監視サーバ
110、210 制御部
120、220 記憶部
121 メッセージデータベース(DB)
122 要員データベース(DB)
130 入力制御部
13 入力装置
140 出力制御部
14 出力装置
150、250 通信制御部
200 ロボット
221 装置データベース(DB)
230 操作入力部
240 出力部
260 本体駆動部
270 センサ部
271 センサ制御部
272 撮像部駆動部
273 撮像部
274 距離センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己の異常を視覚的に外部へ示す異常表示部を具備する機器の異常発生を検知し、異常発生を保守要員に通知する異常監視システムであって、
監視対象となっている機器が異常状態にある場合の、前記異常表示部の表示状態を示した異常状態データを格納する異常状態格納部と、
前記異常表示部に表示される内容を視覚的に取得して、映像データを生成する撮像部と、
前記撮像部で生成した映像データを解析して得た解析データと、前記異常状態格納部に格納されている異常状態データとを比較して、前記機器に異常が発生しているか否かを判別する判別部と、
前記判別部により、前記機器に異常が発生していると判別した場合に、異常が発生している旨を示すデータを、通信ネットワークを介して前記監視サーバに送信する送信部と、
を具備する監視クライアントと、
前記監視クライアントの送信部から送信されたデータを受信する受信部と、
前記受信部で受信したデータを受信したことを契機として、異常発生を示すメッセージを出力する指示出力部と、
を具備する監視サーバと、
を備えることを特徴とする異常監視システム。
【請求項2】
前記送信部は、異常が発生している旨を示すデータと共に、前記解析データを前記監視サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の異常監視システム。
【請求項3】
前記監視クライアントは、
前記判別部により、前記機器に異常が発生していると判別した場合に、さらに該機器の異常表示部に表示される内容を視覚的に前記撮像部に取得させる異常表示収集部を具備し、
前記送信部は、
前記機器に異常が発生していると判別した場合に、異常が発生している旨を示すデータと共に、前記異常表示収集部が収集した映像データを前記監視サーバに送信すること、
を特徴とする請求項1または2に記載の異常監視システム。
【請求項4】
前記送信部は、異常が発生している旨を示すデータと共に、前記機器に発生した異常の種別を示すデータを送信し、
前記指示出力部は、前記受信部で受信したデータに基づいて、前記機器に発生した異常の種別を判別し、判別した異常の種別に応じたメッセージを出力すること、
を特徴とする請求項1、2または3のいずれか1項に記載の異常監視システム。
【請求項5】
前記監視クライアントは、自走するための駆動部を具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の異常監視システム。
【請求項6】
前記異常監視システムは、前記監視サーバと前記監視クライアントとの間の通信を中継する中継装置をさらに備え、
前記中継装置と前記監視クライアントとの間の通信が無線通信により行われること、
を特徴とする請求項5に記載の異常監視システム。
【請求項7】
自己の異常を視覚的に外部へ示す異常表示部を具備する機器の異常発生を検知し、通信ネットワークを介して異常発生を保守要員に通知する異常監視装置であって、
監視対象となっている機器が異常状態にある場合の、前記異常表示部の表示状態を示した異常状態データを格納する異常状態格納部と、
前記異常表示部に表示される内容を視覚的に取得して、映像データを生成する撮像部と、
前記撮像部で生成した映像データを解析して得た解析データと、前記異常状態格納部に格納されている異常状態データとを比較して、前記機器に異常が発生しているか否かを判別する判別部と、
前記判別部により、前記機器に異常が発生していると判別した場合に、異常が発生している旨を示すデータを、通信ネットワークを介して保守要員に向けて出力する送信部と、
を具備することを特徴とする異常監視装置。
【請求項8】
自己の異常を視覚的に外部へ示す異常表示部を具備する機器の異常発生を検知し、通信ネットワークを介して異常発生を保守要員に通知する異常監視方法であって、
前記異常表示部の表示内容を取得して、表示状態を示すデータを生成する撮像ステップと、
前記撮像ステップで生成した表示状態を示すデータを解析して得た解析データと、予め記憶手段に格納されている該機器の異常時の表示状態を示すデータとを比較して、該機器が異常状態であるか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより、前記機器に異常が発生していると判別した場合に、異常が発生している旨を示すデータを、前記通信ネットワークを介して保守要員に向けて出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする異常監視方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−119756(P2006−119756A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304728(P2004−304728)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】