説明

発光ダイオード装置およびその製造方法

【課題】製造コストの上昇を抑制できるとともに、光半導体層の発光効率の低下を防止しながら、均一な白色光を発光して、光の取出効率を向上させることができる発光ダイオード装置の製造方法、および、その製造方法に得られる発光ダイオード装置を提供すること。
【解決手段】ベース基板16を用意し、電極部4が上に設けられた光半導体層3とベース基板16とを厚み方向に対向配置させ、電極部4と端子15とを電気的に接続して、光半導体層3をベース基板16にフリップチップ実装し、ベース基板16の上に、光半導体層3および電極部4を被覆するように、光反射成分を含有する封止樹脂層14を形成し、封止樹脂層14の上側部を、光半導体層3が露出されるように除去し、シート状に形成された蛍光体層17を、光半導体層3の上面と接触するように形成して、蛍光体層17、光半導体層3および電極部4を備える発光ダイオード素子20を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード装置およびその製造方法、詳しくは、発光ダイオード装置の製造方法およびそれにより得られる発光ダイオード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高エネルギーの光を発光できる発光装置として、白色発光装置が知られている。白色発光装置には、例えば、ベース基板と、それに積層され、青色光を発光するLED(発光ダイオード)と、青色光を黄色光に変換でき、LEDを被覆する蛍光体層と、LEDを封止する封止層とが設けられている。そのような白色発光装置は、封止層によって封止され、ベース基板から電力が供給されるLEDから発光され、封止層および蛍光体層を透過した青色光と、蛍光体層において青色光の一部が波長変換された黄色光との混色によって、高エネルギーの白色光を発光する。
【0003】
そのような白色発光装置を製造する方法として、例えば、次の方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
すなわち、まず、基板部と、それの周部から上側に突出する白色の反射枠部とからなる基体を形成し、次いで、半導体発光素子を、基板部の中央において反射枠部によって形成される凹部の底部に、反射枠部の内側に間隔を隔てるようにワイヤーボンディングする。
【0005】
次いで、凹部に、蛍光体と液状のエポキシ樹脂との混合物を塗布によって充填し、続いて、蛍光体を凹部の底部に自然沈降させ、その後、エポキシ樹脂を加熱硬化させる方法が提案されている。
【0006】
特許文献1で提案される方法によって得られる白色発光装置では、沈降によって形成される蛍光体を高濃度で含む蛍光体層(波長変換層)が、半導体発光素子の上側の領域に区画され、エポキシ樹脂を高濃度で含む封止部が、蛍光体層の上側の領域に区画される。
【0007】
そして、その白色発光装置では、光半導体発光素子が青色光を放射状に発光し、そのうち、光半導体発光素子から上方に向かって発光された青色光の一部は、蛍光体層で黄色光に変換されるとともに、残部は、蛍光体層を通過する。また、光半導体発光素子から側方向かって発光された青色光は、反射枠部で反射して、続いて、上側に向かって照射される。そして、特許文献1の白色発光装置は、それら青色光および黄色光の混色によって、白色光を発色している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−191420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の蛍光体層は、混合物において蛍光体の自然沈降により生じる蛍光体の濃度差によって区画される領域であるため、厚みが不均一となり易い。その場合には、蛍光体層における波長変換の効率が不均一となり、白色発光装置は、ムラのある白色光を発光するという不具合がある。
【0010】
また、蛍光体層を形成するには、上記した自然沈降を利用することから、長時間が必要とされ、さらには、かかる時間を厳密に管理する必要もあるため、製造工程が複雑となる。その結果、製造コストが上昇するという不具合がある。
【0011】
さらに、光半導体発光素子を反射枠部と間隔を隔てて配置しているので、光半導体発光素子から側方に向かって発光される光の一部は、反射枠部で反射される前に、封止部に吸収され、そのため、光の取出効率が低下するという不具合がある。
【0012】
さらにまた、特許文献1の白色発光装置では、光半導体発光素子の上に、蛍光体層および封止部が順次形成されているため、光半導体発光素子が発光時に発熱される熱は、たとえ、蛍光体を高濃度で含む蛍光層を熱伝導しても、その後、エポキシ樹脂を高濃度で含む封止部によって容易に蓄熱される。そのため、光半導体発光素子の発光時の放熱が不十分となり、その結果、光半導体発光素子の発光効率が低下するという不具合がある。
【0013】
また、特許文献1の白色発光装置では、ワイヤーボンディングによって、光半導体発光素子が基板部と接続されているため、ワイヤーの影によって輝度が低下するという不具合がある。
【0014】
本発明の目的は、製造コストの上昇を抑制できるとともに、光半導体層の発光効率の低下を防止しながら、均一な白色光を発光して、光の取出効率を向上させることができる発光ダイオード装置の製造方法、および、その製造方法に得られる発光ダイオード装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の発光ダイオード装置の製造方法は、端子が設けられたベース基板と、前記ベース基板にフリップ実装される発光ダイオード素子とを備える発光ダイオード装置の製造方法であって、前記ベース基板を用意する工程、電極部が厚み方向一方側に設けられた光半導体層と、前記ベース基板とを、前記厚み方向に対向配置させ、前記電極部と前記端子とを電気的に接続して、前記光半導体層を前記ベース基板にフリップチップ実装する工程、前記ベース基板の前記厚み方向他方側に、前記光半導体層および前記電極部を被覆するように、光反射成分を含有する封止樹脂層を形成する工程、前記封止樹脂層の前記厚み方向他方側部を、前記光半導体層が露出するように、除去する工程、および、シート状に形成された蛍光体層を、前記光半導体層の前記厚み方向他方面と接触するように形成して、前記蛍光体層、前記光半導体層および前記電極部を備える前記発光ダイオード素子を形成する工程を備えることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の発光ダイオード装置の製造方法では、前記封止樹脂層の前記厚み方向他方側部を除去する工程において、前記光半導体層の前記厚み方向他方側部を除去することが好適である。
【0017】
また、本発明の発光ダイオード装置は、ベース基板と、前記ベース基板にフリップ実装された発光ダイオード素子とを備え、前記発光ダイオード素子は、シート状に形成された蛍光体層と、前記蛍光体層の前記厚み方向一方面に形成される光半導体層と、前記光半導体層の前記厚み方向一方面に、前記光半導体層と接続されるように形成される電極部と、前記蛍光体層の前記厚み方向一方側に、前記光半導体層および前記電極部を被覆し、かつ、前記電極部の前記厚み方向一方面を露出するように形成される、光反射成分を含有する封止樹脂層とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の発光ダイオード装置の製造方法では、シート状の蛍光体層を形成するので、均一な蛍光体層を確実に形成することができる。そのため、蛍光体層において均一な波長変換を達成することができる。その結果、本発明の発光ダイオード装置の製造方法によって得られる本発明の発光ダイオード装置は、均一な白色光を発光することができる。
【0019】
また、本発明の発光ダイオード装置の製造方法では、シート状に予め形成された蛍光体層を形成するので、蛍光体層を、短時間、かつ、簡便に形成することができる。そのため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0020】
さらに、本発明の発光ダイオード装置の製造方法では、光反射成分を含有する封止樹脂層を、光半導体層を被覆するように形成するので、光半導体層から発光される光は、他の部材によって吸収される前に、封止樹脂層の光反射成分によって反射される。そのため、光の取出効率を向上させることができる。
【0021】
さらにまた、本発明の発光ダイオード装置の製造方法により得られる本発明の発光ダイオード装置では、蛍光体層が、光半導体層の厚み方向他方面に形成されているので、光半導体層の熱を、蛍光体層を介して、厚み方向他方側に放熱することができる。そのため、光半導体層の発光効率の低下を防止することができる。
【0022】
また、本発明の発光ダイオード装置の製造方法では、光半導体層をベース基板にフリップチップ実装するので、輝度の向上を図って、取出効率のさらなる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の発光ダイオード装置の製造方法の一実施形態を説明する工程図であり、(a)は、ベース基板を用意する工程、(b)は、光半導体層をベース基板にフリップ実装する工程、(c)は、封止樹脂層を形成する工程を示す。
【図2】図2は、図1に引き続き、本発明の発光ダイオード装置の製造方法の一実施形態を説明する工程図であり、(d)は、封止樹脂層の上側部と支持基板とを除去する工程、(e)は、蛍光体層を形成する工程を示す。
【図3】図3は、図1(b)に示す光半導体層を用意する工程を説明する断面図を示す。
【図4】図4は、本発明の発光ダイオード装置の製造方法の他の実施形態(支持基板を部分的に残存させる態様)を説明する工程図であり、(a)は、支持基板を部分的に残存させる工程、(b)は、蛍光体層を支持基板の上面に形成する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および図2は、本発明の発光ダイオード装置の製造方法の一実施形態を説明する工程図、図3は、図1(b)に示す光半導体層を用意する工程を説明する断面図を示す。
【0025】
図2(e)において、本発明の発光ダイオードの一実施形態である発光ダイオード装置21は、ベース基板16と、ベース基板16にフリップ実装された発光ダイオード素子20とを備えている。
【0026】
ベース基板16は、略平板状をなし、具体的には、絶縁基板の上に、導体層が回路パターンとして積層された積層板から形成されている。絶縁基板は、例えば、シリコン基板、セラミックス基板、ポリイミド樹脂基板などからなり、好ましくは、セラミックス基板、具体的には、サファイア(Al)基板からなる。導体層は、例えば、金、銅、銀、ニッケルなどの導体から形成されている。これら導体は、単独使用または併用することができる。
【0027】
また、導体層は、端子15を含んでいる。
【0028】
端子15は、絶縁基板の上面において、面方向に間隔を隔てて形成されており、後述するバンプ13に対応するパターンに形成されている。なお、端子15は、図示しないが、導体層を介して電力供給部と電気的に接続されている。
【0029】
発光ダイオード素子20は、ベース基板16の上に設けられており、蛍光体層17と、蛍光体層17の下面(厚み方向一方面)に形成される光半導体層3と、光半導体層3の下面(厚み方向一方面)に形成される電極部4と、光半導体層3を封止する封止樹脂層14とを備えている。
【0030】
蛍光体層17は、シート状に形成されている。
【0031】
蛍光体層17は、例えば、蛍光体を含有する蛍光体組成物から形成されている。
【0032】
蛍光体組成物は、好ましくは、蛍光体および樹脂を含有している。
【0033】
蛍光体としては、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体が挙げられる。そのような蛍光体としては、例えば、複合金属酸化物や金属硫化物などに、例えば、セリウム(Ce)やユウロピウム(Eu)などの金属原子がドープされた蛍光体が挙げられる。
【0034】
具体的には、蛍光体としては、例えば、YAl12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、(Y,Gd)Al12:Ce、TbAl12:Ce、CaScSi12:Ce、LuCaMg(Si,Ge)12:Ceなどのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、(Sr,Ba)SiO:Eu、CaSiOCl:Eu、SrSiO:Eu、LiSrSiO:Eu、CaSi:Euなどのシリケート蛍光体、例えば、CaAl1219:Mn、SrAl:Euなどのアルミネート蛍光体、例えば、ZnS:Cu,Al、CaS:Eu、CaGa:Eu、SrGa:Euなどの硫化物蛍光体、例えば、CaSi:Eu、SrSi:Eu、BaSi:Eu、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体、例えば、CaAlSiN:Eu、CaSi:Euなどの窒化物蛍光体、例えば、KSiF:Mn、KTiF:Mnなどのフッ化物系蛍光体などが挙げられる。好ましくは、ガーネット型蛍光体、さらに好ましくは、YAl12:Ce(YAG)が挙げられる。
【0035】
また、上記した蛍光体は、例えば、粒子状をなし、平均粒子径が、例えば、0.1〜30μm、好ましくは、0.2〜10μmである。蛍光体(蛍光体粒子)の平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定される。
【0036】
蛍光体は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0037】
蛍光体の配合割合は、例えば、蛍光体組成物に対して、例えば、1〜50重量%、好ましくは、5〜30重量%である。また、樹脂100質量部に対する蛍光体の配合割合は、例えば、1〜100質量部、好ましくは、5〜40質量部である。
【0038】
樹脂は、蛍光体を分散させるマトリックスであって、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明樹脂などが挙げられる。好ましくは、耐久性の観点から、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0039】
シリコーン樹脂は、主として、シロキサン結合(−Si−O−Si−)からなる主鎖と、主鎖の硅素原子(Si)に結合する、アルキル基(例えば、メチル基など)またはアルコキシル基(例えば、メトキシ基)などの有機基からなる側鎖とを分子内に有している。
【0040】
具体的には、シリコーン樹脂としては、例えば、脱水縮合型シリコーンレジン、付加反応型シリコーンレジン、過酸化物硬化型シリコーンレジン、湿気硬化型シリコーンレジン、硬化型シリコーンレジンなどが挙げられる。好ましくは、付加反応型シリコーンレジンなどが挙げられる。
【0041】
シリコーン樹脂の25℃における動粘度は、例えば、10〜30mm/sである。
【0042】
樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0043】
樹脂の配合割合は、蛍光体組成物に対して、例えば、50〜99質量%、好ましくは、70〜95質量%である。
【0044】
蛍光体組成物は、蛍光体および樹脂を上記した配合割合で配合し、攪拌混合することにより調製される。
【0045】
蛍光体層17の厚みは、例えば、20〜500μm、好ましくは、50〜300μmである。
【0046】
光半導体層3は、蛍光体層17の下面における面方向(厚み方向に直交する方向、つまり、図2(e)における紙面左右方向および紙面奥行き方向)中央部において所定パターンに形成されている。
【0047】
光半導体層3は、厚み方向に投影した時に、蛍光体層17に含まれるように形成されており、具体的には、蛍光体層17の下面の中央部に形成されている。光半導体層3は、半導体層3の緩衝層6、その下に形成されるN形半導体層7、その下に形成される発光層8、および、その下に形成されるP形半導体層9を備えている。
【0048】
緩衝層6は、光半導体層3の外形形状に対応するように形成されている。
【0049】
緩衝層6は、次に説明するN形半導体層7の格子定数の不正を緩衝する。
【0050】
緩衝層6を形成する緩衝材料としては、例えば、元素半導体(単元素半導体)、酸化物半導体、化合物半導体(酸化物半導体を除く)などの半導体が挙げられる。
【0051】
元素半導体としては、例えば、Si、Ge、Snなどの4B元素(長周期型周期表における4B元素、以下同様)が挙げられる。
【0052】
酸化物半導体としては、例えば、Al、ZnO、SnOなどの典型元素の酸化物、例えば、TiO、V、Cr、MnO、Fe、NiO、CuOなどの遷移元素の酸化物などが挙げられる。これらは、単独使用または併用することができる。
【0053】
化合物半導体は、Oを除く複数の元素が結合する化合物であって、例えば、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlGaN、InGaN、AlInN、AlGaInNなどの3B元素と5B元素との化合物、例えば、ZnS、SnSe、ZnTeなどの2B元素と6B元素との化合物などが挙げられる。好ましくは、3B元素と5B元素との化合物が挙げられる。
【0054】
上記した半導体のうち、好ましくは、化合物半導体が挙げられる。
【0055】
緩衝層6の厚みは、例えば、0.5〜200nm、好ましくは、1〜100nmである。
【0056】
N形半導体層7は、緩衝層6の下面全面に形成されている。N形半導体層7を形成するN形半導体としては、特に限定されず、公知のN形半導体が挙げられ、上記した半導体に、例えば、5B元素、または、4B元素などの不純物が微量ドープ(添加)された不純物半導体が挙げられる。
【0057】
N形半導体層7の厚みは、特に限定されず、例えば、10nm〜10μmである。
【0058】
発光層8は、緩衝層6の下面に、面方向一方側(図2(e)における右側)端部において所定パターンに形成されている。つまり、発光層8は、面方向他方側端部(図2(e)における左側)において、N形半導体層7の下面を露出している。
【0059】
発光層8を形成する発光材料としては、上記した緩衝層6で例示した半導体と同様の半導体が挙げられ、好ましくは、化合物半導体が挙げられる。
【0060】
発光層8の厚みは、例えば、20〜300nm、好ましくは、30〜200nmである。
【0061】
P形半導体層9は、発光層8の下面全面に、発光層8と同一パターンに形成されている。P形半導体層9を形成するP形半導体としては、特に限定されず、公知のP形半導体が挙げられ、例えば、上記した半導体に、3B元素、2A元素などの不純物が微量ドープ(添加)された不純物半導体が挙げられる。2A元素としては、例えば、Be、Mgなどのアルカリ土類金属が挙げられる。
【0062】
P形半導体層9の厚みは、特に限定されず、例えば、10nm〜10μmである。
【0063】
電極部4は、光半導体層3と電気的に接続されており、アノード電極10およびカソード電極11を備えている。
【0064】
アノード電極10は、P形半導体層9の下に、透明電極12を挟むように形成されており、透明電極12を介してP形半導体層9と電気的に接続されている。
【0065】
透明電極12は、P形半導体層9の下面に形成され、厚み方向に投影したときに、P形半導体層9に含まれるように、配置されている。透明電極12を形成する電極材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)などの金属酸化物が挙げられ、その厚みは、例えば、10〜300nm、好ましくは、20〜200nmである。
【0066】
アノード電極10は、厚み方向に投影したときに、透明電極12に含まれるパターンに形成されている。
【0067】
アノード電極10を形成する電極材料としては、例えば、金、アルミニウムなどが挙げられる。好ましくは、金が挙げられる。アノード電極10の厚みは、例えば、10〜300nm、好ましくは、20〜200nmである。
【0068】
カソード電極11は、N形半導体層7の下に形成され、具体的には、P形半導体層9および発光層8から露出するN形半導体層7の下面に形成されている。カソード電極11は、N形半導体層7と電気的に接続されている。
【0069】
カソード電極11を形成する電極材料としては、例えば、金、アルミニウムなどが挙げられる。好ましくは、金が挙げられる。カソード電極11の厚みは、例えば、10〜300nm、好ましくは、20〜200nmである。
【0070】
また、この電極部4には、バンプ13が設けられている。
【0071】
バンプ13は、アノード電極10の下面と、カソード電極11の下面とに形成されている。各バンプ13は、それぞれ、平面視において、アノード電極10およびカソード電極11に含まれるパターンに形成されている。また、バンプ13は、上記したベース基板16の端子15と実質的に同一パターンに形成されている。
【0072】
バンプ13を形成する材料としては、例えば、金、銀、鉛、錫、それらの合金(具体的には、はんだなど)などの導体が挙げられる。
【0073】
各バンプ13の厚みは、ベース基板16へのフリップチップ実装前においては、アノード電極10の下面に形成されるバンプ13の下面と、カソード電極11の下面に形成されるバンプ13の下面とが同じ高さ(深さ)となるように、調整されている。すなわち、各バンプ13の厚みは、面方向に投影したときに、それらが同じ位置(厚み方向位置)となるように、調整されている。
【0074】
封止樹脂層14は、光反射成分を含有しており、具体的には、封止樹脂層14は、封止材料と、光反射成分とを含有する封止樹脂組成物から形成されている。
【0075】
封止材料としては、例えば、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられ、好ましくは、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0076】
光反射成分は、例えば、白色の化合物であって、そのような白色の化合物としては、具体的には、白色顔料が挙げられる。
【0077】
白色顔料としては、例えば、白色無機顔料が挙げられ、そのような白色無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの酸化物、例えば、鉛白(炭酸亜鉛)、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、例えば、カオリン(カオリナイト)などの粘土鉱物などが挙げられる。
【0078】
白色無機顔料として、好ましくは、酸化物、さらに好ましくは、酸化チタンが挙げられる。
【0079】
酸化チタンであれば、高い白色度、高い光反射性、優れた隠蔽性(隠蔽力)、優れた着色性(着色力)、高い分散性、優れた耐候性、高い化学的安定性などの特性を得ることができる。
【0080】
そのような酸化チタンは、具体的には、TiO2、(酸化チタン(IV)、二酸化チタン)である。
【0081】
酸化チタンの結晶構造は、特に限定されず、例えば、ルチル、ブルッカイト(板チタン石)、アナターゼ(鋭錐石)などであり、好ましくは、ルチルである。
【0082】
また、酸化チタンの結晶系は、特に限定されず、例えば、正方晶系、斜方晶系などであり、好ましくは、正方晶系である。
【0083】
酸化チタンの結晶構造および結晶系が、ルチルおよび正方晶系であれば、封止樹脂層14が長期間高温に曝される場合でも、光(具体的には、可視光、とりわけ、波長450nm付近の光)に対する反射率が低下することを有効に防止することができる。
【0084】
光反射成分は、粒子状であり、その形状は限定されず、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。光反射成分の最大長さの平均値(球状である場合には、その平均粒子径)は、例えば、1〜1000nmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
【0085】
光反射成分の配合割合は、封止材料100質量部に対して、例えば、0.5〜90質量部、好ましくは、着色性、光反射性および封止樹脂組成物のハンドリング性の観点から、1.5〜70質量部である。
【0086】
上記した光反射成分は、封止材料中に均一に分散混合される。
【0087】
また、封止樹脂組成物には、さらに、充填剤を添加することもできる。つまり、充填剤を、光反射成分(具体的には、白色顔料)と併用することができる。
【0088】
充填剤は、上記した白色顔料を除く、公知の充填剤が挙げられ、具体的には、無機質充填剤が挙げられ、そのような無機質充填剤としては、例えば、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ケイ素粉末などが挙げられる。
【0089】
充填剤として、好ましくは、封止樹脂層14の線膨張率を低減する観点から、シリカ粉末が挙げられる。
【0090】
シリカ粉末としては、例えば、溶融シリカ粉末、結晶シリカ粉末などが挙げられ、好ましくは、溶融シリカ粉末(すなわち、石英ガラス粉末)が挙げられる。
【0091】
充填剤の形状としては、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。好ましくは、優れた充填性および流動性の観点から、球状が挙げられる。
【0092】
従って、シリカ粉末として、好ましくは、球状溶融シリカ粉末が挙げられる。
【0093】
充填剤の最大長さの平均値(球状である場合には、平均粒子径)は、例えば、5〜60μm、好ましくは、15〜45μmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
【0094】
充填剤の添加割合は、充填剤および光反射成分の総量が、例えば、封止樹脂100質量部に対して、10〜80質量部となるように、調整され、線膨張率の低減および流動性の確保の観点から、封止樹脂100質量部に対して、好ましくは、25〜75質量部、さらに好ましくは、40〜60質量部となるように、調整される。
【0095】
封止樹脂組成物は、上記した封止材料と、光反射成分と、必要により添加される充填剤とを配合して、均一混合することにより調製される。
【0096】
封止樹脂層14は、蛍光体層17の下(厚み方向一方側)において、光半導体層3および電極部4の側面を被覆し、かつ、電極部4の下面(厚み方向一方面)を露出するように、形成されている。
【0097】
詳しくは、封止樹脂層14によって、アノード電極10に対応するバンプ13の側面と、かかるバンプ13から露出するアノード電極10の下面および側面と、アノード電極10から露出する透明電極12の下面および側面と、透明電極12から露出するP形半導体層9の下面および側面と、発光層8の側面と、N形半導体層7の側面と、緩衝層6の側面とが被覆されている。また、アノード電極10に対応するバンプ13の下面は、封止樹脂層14から露出している。つまり、アノード電極10に対応するバンプ13の下面は、端子15の上面と接触している。
【0098】
また、封止樹脂層14によって、カソード電極11に対応するバンプ13の側面と、かかるバンプ13から露出するカソード電極11の下面および側面とが被覆されている。また、カソード電極11に対応するバンプ13の下面は、封止樹脂層14から露出している。つまり、カソード電極11に対応するバンプ13の下面は、端子15の上面と接触している。
【0099】
さらに、封止樹脂層14によって、N形半導体層7の下面(発光層8およびカソード電極11から露出するN形半導体層7の下面)も被覆されている。
【0100】
さらにまた、封止樹脂層14によって、光半導体層3から露出する蛍光体層17の下面が被覆されている。
【0101】
このようにして、光半導体層3は、封止樹脂層14によって封止されている。
【0102】
次に、図2(e)に示す発光ダイオード装置21を製造する方法について、図1および図2を参照して説明する。
【0103】
この方法では、まず、図1(a)に示すように、上記したベース基板2を用意する。
【0104】
また、図1(b)の仮想線が参照されるように、光半導体層3を用意する。
【0105】
光半導体層3は、支持基板2の下にそれとともに設けられ、光半導体層3の下には、電極部4が設けられている。
【0106】
光半導体層3を形成するには、例えば、図3が参照されるように、支持基板2の上に、光半導体層3および電極部4を順次積層する。
【0107】
支持基板2は、例えば、平面視略円板状に形成されており、光半導体層3を支持する。
【0108】
支持基板2を形成する支持材料としては、例えば、Al(サファイア)、SiC、Si、GaNなどが挙げられる。好ましくは、サファイアが挙げられる。
【0109】
支持基板2の厚みは、例えば、100〜1000μm、好ましくは、200〜800μmである。
【0110】
光半導体層3は、図3に示すように、支持基板2の上面において、例えば、エピタキシャル成長法などの公知の成長法によって、上記したパターンで積層する。
【0111】
光半導体層3は、支持基板2の上面において、面方向において互いに間隔を隔てて複数配置されている。
【0112】
なお、緩衝層6を、支持基板2の上面全面に形成する。N形半導体層7を、緩衝層6の上面全面に形成する。発光層8およびP形半導体層9を、上記した成長法の後に、例えば、マスクを用いるエッチングによって、上記したパターンに複数形成する。
【0113】
続いて、電極部4を、光半導体層3の上面において、公知のパターンニング法によって上記したパターンで積層する。
【0114】
その後、図3の1点破線で示すように、各光半導体層3間の支持基板2、緩衝層6およびN形半導体層7を切断加工(ダイシング)することにより、複数の光半導体層3に切り分ける。すなわち、光半導体層3を個別化(個片化)する。
【0115】
これにより、上面に電極部4が設けられ、下面に支持基板2が設けられた光半導体層3を用意する。
【0116】
その後、図1(b)の仮想線で示すように、図3に示す光半導体層3を上下反転させ(裏返し)て、ベース基板16と厚み方向に対向配置させる。
【0117】
続いて、図1(b)の仮想線の矢印に示すように、バンプ13と端子15とを電気的に接続して、光半導体層3をベース基板16にフリップチップ実装する。
【0118】
フリップチップ実装では、光半導体層3を、ベース基板16の上に、バンプ13と端子15とが厚み方向に隣接するように載置した後、バンプ13を、例えば、加熱または超音波などによって、リフローさせる。これにより、バンプ13が端子15と厚み方向に接触する。
【0119】
次いで、図1(c)に示すように、ベース基板16の上(厚み方向他方側)に、支持基板2、光半導体層3および電極部4を被覆するように、封止樹脂層14を形成する。
【0120】
封止樹脂層14を形成するには、上記した封止樹脂組成物を、支持基板2、光半導体層3および電極部4を含む支持基板2の上に、例えば、ラミネータやアプリケータを用いた塗布方法により塗布して、封止皮膜を形成する。その後、封止材料が熱硬化性樹脂である場合には、封止皮膜を、加熱により硬化させる。
【0121】
また、封止樹脂組成物が、シート状に予め形成されている場合には、かかる封止樹脂組成物を、蛍光体層17の上に、支持基板2、光半導体層3および電極部4を埋設するように載置し、加熱により硬化させることによって、封止樹脂層14を成形することもできる。
【0122】
さらには、封止樹脂組成物が、粉末状の熱硬化性樹脂を含有している場合には、封止樹脂組成物を、圧縮成形機によって、加熱しながら圧縮成形することによって、硬化させて、封止樹脂層14を成形することもできる。
【0123】
これによって、封止樹脂層14を形成する。
【0124】
具体的には、封止樹脂層14は、支持基板2の上面および側面と、光半導体層3の下面および側面と、電極部4の側面とを被覆している。
【0125】
次いで、図2(d)に示すように、封止樹脂層14の上面より上側にある上側部を、光半導体層3が露出するように、除去する。
【0126】
具体的には、封止樹脂層14の上側部を除去するとともに、支持基板2を除去する。
【0127】
封止樹脂層14の上側部および支持基板2の除去には、例えば、上記したエッチング、機械加工(具体的には、グラインド加工など)などが採用される。
【0128】
支持基板2が除去され、上側部が除去された封止樹脂層14は、緩衝層6の上面を露出する。これによって、封止樹脂層14において、緩衝層6の周囲の上面が、バンプ13の上面と面一に形成される。
【0129】
次いで、図2(e)に示すように、シート状に形成された蛍光体層17を、光半導体層3の上面と接触するように形成する。
【0130】
蛍光体層17を形成するには、例えば、上記した蛍光体組成物を、光半導体層3(緩衝層6)の上面、および、光半導体層3を露出する封止樹脂層14の上面に塗布して、シート状の蛍光体皮膜(図示せず)を形成する。
【0131】
その後、蛍光体皮膜を、例えば、50〜150℃に、加熱して乾燥することにより、上記したパターンのシート状に形成する。
【0132】
これによって、シート状の蛍光体層17を形成する。
【0133】
これによって、蛍光体層17、光半導体層3および電極部4を備える発光ダイオード素子20を形成することができ、それによって、ベース基板16と、ベース基板16にフリップ実装された発光ダイオード素子20とを備える発光ダイオード装置21を製造する。
【0134】
そして、上記した発光ダイオード装置21の製造方法では、シート状の蛍光体層17を形成するので、均一な蛍光体層17を確実に形成することができる。そのため、蛍光体層17において均一な波長変換を達成することができる。その結果、この発光ダイオード装置21は、均一な白色光を発光することができる。
【0135】
また、上記した発光ダイオード装置21の製造方法では、シート状に予め形成された蛍光体層17を形成するので、蛍光体層17を、短時間、かつ、簡便に形成することができる。そのため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0136】
さらに、上記した発光ダイオード装置21の製造方法では、光反射成分を含有する封止樹脂層14を、光半導体層3を被覆するように形成するので、光半導体層3から発光される光は、他の部材によって吸収される前に、封止樹脂層14の光反射成分によって反射される。そのため、光の取出効率を向上させることができる。
【0137】
さらにまた、上記した発光ダイオード装置21では、蛍光体層17が、光半導体層3の上面に形成されているので、光半導体層3の熱を、蛍光体層17を介して、上側に放熱することができる。そのため、光半導体層3の発光効率の低下を防止することができる。
【0138】
また、上記した発光ダイオード装置21の製造方法では、光半導体層3をベース基板16にフリップチップ実装するので、輝度の向上を図って、取出効率のさらなる向上を図ることができる。
【0139】
図4は、本発明の発光ダイオード装置の製造方法の他の実施形態(支持基板を部分的に残存させる態様)を説明する工程図を示す。
【0140】
なお、上記した各部に対応する部材については、図4において同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0141】
図1および図2の実施形態では、図2(d)において、支持基板2を全部除去しているが、例えば、図4に示すように、支持基板2を一部除去して、支持基板2を部分的に残存させて、その後、残存した支持基板2の上面に蛍光体層17を形成することもできる。
【0142】
つまり、図4(a)に示すように、支持基板2の上側部を除去して、支持基板2の下側部を残存させる。支持基板2の下側部は、その周囲の封止樹脂層14の上面と面一に形成される。
【0143】
上側部の除去後の支持基板2の厚みは、除去前の厚みに対して、例えば、80%以下、好ましくは、30%以下であり、通常、1%以上であり、具体的には、例えば、320μm以下、好ましくは、10〜120μmである。
【0144】
上記した範囲を超えると、光の取出効率および放熱効率が低下する場合があり、一方、上記した範囲に満たないと、光半導体層3を十分に支持することができない場合がある。
【0145】
次いで、図4(b)に示すように、支持基板2の上面、および、封止樹脂層14の上面に、蛍光体層17を形成する。
【0146】
これによって、ベース基板16と、光半導体層3に支持基板2が残存する発光ダイオード素子20とを備える発光ダイオード装置21を得る。
【0147】
図4(b)の発光ダイオード装置21では、残存する支持基板2によって光半導体層3が支持されるので、封止樹脂層14の上側部の除去時における光半導体層3の損傷を有効に防止することができる。
【0148】
図4(b)の発光ダイオード装置21に対して、図2(e)の発光ダイオード装置21では、光半導体層3の上面に蛍光体層17が接触しているので、光半導体層3から発光させる光は、蛍光体層17に直接至る。そのため、波長変換効率を向上させて、発光ダイオード装置21の発光効率を向上させることができる。
【実施例】
【0149】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されない。
【0150】
実施例1
サファイア(Al)からなる絶縁基板の上面に、銅、ニッケルおよび金からなる端子を含む導体層が積層された、厚み1mmのベース基板を用意した(図1(a)参照)。
【0151】
また、サファイアからなる厚み450μmの支持基板を用意した(図3参照)。続いて、エピタキシャル成長法によって、支持基板の上に、GaNからなる厚み30nmの緩衝層、SiがドープされたN形GaN(n−GaN:Si、以下同様に示す)からなる厚み5μmのN形半導体層、InGaNからなる厚み120nmの発光層、および、p−GaN:Mgからなる厚み50nmのP形半導体層を、上記したパターンで順次形成した(図3参照)。
【0152】
次いで、電極部を、光半導体層の上面に、パターンニング法によって、光半導体層と接続されるように形成した(図3参照)。
【0153】
すなわち、ITOからなる厚み50nmの透明電極を、P形半導体層の上に形成し、続いて、透明電極の上に、金からなる厚み50nmのアノード電極を形成した。同時に、金からなる厚み50nmのカソード電極を、N形半導体層の上に形成した。
【0154】
続いて、金からなるバンプを、アノード電極およびカソード電極の上に、それぞれ、形成した。
【0155】
詳しくは、アノード電極の上のバンプの厚みと、カソード電極の上のバンプの厚みとを、それらバンプの上面が、面方向に投影した時に、同じ高さとなるように、調整した(図3参照)。
【0156】
その後、各光半導体層間の支持基板、緩衝層およびN形半導体層をダイシングすることにより、複数の光半導体層に切り分けた。すなわち、光半導体層を個片化した(図3の1点破線参照)。
【0157】
これにより、支持基板および電極部が設けられた光半導体層を用意した。
【0158】
次いで、用意した光半導体層を裏返(上下反転)し、光半導体層とベース基板とを対向配置させた(図1(b)参照)。
【0159】
その後、バンプを、加熱によりリフローさせて、バンプと端子とを接触させて、それらを電気的に直接接続して、光半導体層をベース基板にフリップチップ実装した。
【0160】
次いで、封止樹脂層を、蛍光体層の上に、支持基板、光半導体層および電極部を被覆するように形成した(図1(c)参照)。
【0161】
具体的には、まず、熱硬化性シリコーン樹脂100質量部、および、球状で、平均粒子径300nmの酸化チタン(TiO2、:ルチルの正方晶系)粒子20質量部を均一に混合することにより、ペースト状の封止樹脂組成物を調製した。続いて、調製した封止樹脂組成物を、支持基板、光半導体層および電極部を含む蛍光体層の上に塗布し、半硬化状態(Bステージ状態)の封止皮膜を形成した。その後、封止皮膜を、加熱により硬化させた。
【0162】
これにより、封止樹脂層により、支持基板、光半導体層および電極部を封止した(図1(c)参照)。
【0163】
次いで、封止樹脂層の上側部および支持基板をグラインド加工によって、除去した(図2(d)参照)。
【0164】
これにより、光半導体層の上面を、封止樹脂層から露出させた。また、封止樹脂層の上側部と、緩衝層の上面とが、面一となった。
【0165】
次いで、シート状に形成された厚み75μmの蛍光体層を、光半導体層の上面と接触するように形成した(図2(e)参照)。
【0166】
詳しくは、YAl12:Ceからなる蛍光体粒子(球形状、平均粒子径8μm)26質量部、および、シリコーン樹脂(付加反応型シリコーンレジン、動粘度(25℃)20mm/s、旭化成ワッカーシリコーン社製)74質量部を配合して、均一攪拌することにより、蛍光体組成物を調製した。
【0167】
次いで、調製した蛍光体組成物を、光半導体層(緩衝層)の上面、および、光半導体層を露出する封止樹脂層の上面に塗布して、シート状の蛍光体皮膜を形成した。その後、形成した蛍光体皮膜を、100℃で乾燥させて、上記したパターンのシート状の蛍光体層を形成した。
【0168】
これによって、蛍光体層、光半導体層および電極部を備える発光ダイオード素子を形成するとともに、ベース基板と、ベース基板にフリップ実装された発光ダイオード素子とを備える発光ダイオード装置を製造した。
【符号の説明】
【0169】
3 光半導体層
4 電極部
14封止樹脂層
15端子
16ベース基板
17蛍光体層
20発光ダイオード素子
21発光ダイオード装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子が設けられたベース基板と、前記ベース基板にフリップ実装される発光ダイオード素子とを備える発光ダイオード装置の製造方法であって、
前記ベース基板を用意する工程、
電極部が厚み方向一方側に設けられた光半導体層と、前記ベース基板とを、前記厚み方向に対向配置させ、前記電極部と前記端子とを電気的に接続して、前記光半導体層を前記ベース基板にフリップチップ実装する工程、
前記ベース基板の前記厚み方向他方側に、前記光半導体層および前記電極部を被覆するように、光反射成分を含有する封止樹脂層を形成する工程、
前記封止樹脂層の前記厚み方向他方側部を、前記光半導体層が露出するように、除去する工程、および、
シート状に形成された蛍光体層を、前記光半導体層の前記厚み方向他方面と接触するように形成して、前記蛍光体層、前記光半導体層および前記電極部を備える前記発光ダイオード素子を形成する工程
を備えることを特徴とする、発光ダイオード装置の製造方法。
【請求項2】
前記封止樹脂層の前記厚み方向他方側部を除去する工程において、
前記光半導体層の前記厚み方向他方側部を除去することを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード装置の製造方法。
【請求項3】
ベース基板と、
前記ベース基板にフリップ実装された発光ダイオード素子とを備え、
前記発光ダイオード素子は、
シート状に形成された蛍光体層と、
前記蛍光体層の前記厚み方向一方面に形成される光半導体層と、
前記光半導体層の前記厚み方向一方面に、前記光半導体層と接続されるように形成される電極部と、
前記蛍光体層の前記厚み方向一方側に、前記光半導体層および前記電極部を被覆し、かつ、前記電極部の前記厚み方向一方面を露出するように形成される、光反射成分を含有する封止樹脂層と
を備えることを特徴とする、発光ダイオード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−216713(P2012−216713A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81854(P2011−81854)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】