磁気ディスク装置
【課題】 振動特性の向上と小型化とを図ることのできる磁気ディスク装置を提供する。
【解決手段】 磁気ディスクを回転させるためのモータシャフト20と、前記モータシャフト20を回転可能に支持するスリーブ30と、前記モータシャフト20が圧入され、当該モータシャフト20の回転軸に垂直な方向に、当該圧入されたモータシャフト20と接する内面と前記スリーブに対向する外面とを有する突出部を有し、前記磁気ディスクを支持するモータハブ10と、を有する磁気ディスク装置とする。
【解決手段】 磁気ディスクを回転させるためのモータシャフト20と、前記モータシャフト20を回転可能に支持するスリーブ30と、前記モータシャフト20が圧入され、当該モータシャフト20の回転軸に垂直な方向に、当該圧入されたモータシャフト20と接する内面と前記スリーブに対向する外面とを有する突出部を有し、前記磁気ディスクを支持するモータハブ10と、を有する磁気ディスク装置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置に関し、特に、磁気ディスク装置の振動特性の向上と小型化に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク装置の小型化が求められている。このような磁気ディスク装置としては、例えば、図11に示すような片持ち型のスピンドルモータと流体軸受とを用いたものがある。
【0003】
この磁気ディスク装置100は、磁気ディスク(図示せず)を回転させるためのモータシャフト101と、当該モータシャフト101が圧入され、当該磁気ディスクを支持するモータハブ102と、オイルXを介して当該モータシャフト101を回転可能に支持するスリーブ103と、を有している。
【0004】
このような片持ち型の磁気ディスク装置100は、外部からの振動等の影響を受けやすいため、例えば、ラジアル軸受の剛性を高めることによる振動特性の向上が図られる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−339899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の磁気ディスク装置100においては、モータシャフト101がモータハブ103に圧入される長さY1と、モータシャフト101とスリーブ103との間に保持されるオイルXのうち余剰分を蓄えておくオイルバッファの長さY2と、モータシャフト101を支持するスリーブ103のラジアル軸受の長さY3と、をその厚さ方向にそれぞれ直列的に確保していた。
【0006】
このため、上記従来の磁気ディスク装置100の小型化においては、その厚さの低減に限界があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、振動特性の向上と小型化とを図ることのできる磁気ディスク装置を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置は、磁気ディスクを回転させるためのモータシャフトと、前記モータシャフトを回転可能に支持するスリーブと、前記モータシャフトが圧入され、当該モータシャフトの回転軸に垂直な方向に、当該圧入されたモータシャフトと接する内面と前記スリーブに対向する外面とを有する突出部を有し、前記磁気ディスクを支持するモータハブと、を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置について、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態に係る磁気ディスク装置(以下、ディスク装置1と呼ぶ。)の第一の例についての断面を示す。
【0010】
図1に示すように、ディスク装置1は、磁気ディスク(図示せず)を支持するモータハブ10と、当該モータハブ10に圧入されるモータシャフト20と、オイルOを介して当該モータハブ10に圧入されたモータシャフト20を回転可能に支持するスリーブ30と、を有している。
【0011】
また、このディスク装置1は、モータハブ10とスリーブ30との間に、モータシャフト20を回転させるための磁界を発生させるコイルステータ40とマグネット41とを有している。
【0012】
ここで、このディスク装置1に特徴的なことの一つは、モータシャフト10がモータハブ10に圧入されている長さL1の範囲内に、長さL2のオイルバッファAの少なくとも一部が形成されていることである。
【0013】
すなわち、このディスク装置1においては、モータシャフト20とモータハブ10とが接触する圧入部分の一部から、当該モータシャフト20の回転軸Pに垂直な方向に、オイルバッファAの一部が形成されている。
【0014】
図2に、ディスク装置1のモータハブ10の断面を示す。図2に示すように、このモータハブ10は、モータシャフト20が圧入される圧入穴Bを形成する圧入内面11を有する中央部12と、当該中央部12から回転軸Pに対して略垂直な方向に円板状に広がる天板部13と、当該天板部13の外周端から下方に延びる円筒側面状の側板部14と、当該側板部14の下端から回転軸Pに対して略垂直な方向に延び出して磁気ディスク(図示せず)を支持するディスク受け部15と、を有している。
【0015】
また、中央部11は、その下面側、すなわち、スリーブ30と対向する側に、天板部下面16から下方に延び出る突出部50を有する。
【0016】
この突出部50は、回転軸Pに対して垂直な方向に、圧入穴Bに圧入されたモータシャフト20と接する突出部内面51と、後述するスリーブ30の一部に対向する突出部外面52と、を有している。
【0017】
この突出部内面51は、突出部50の中央に開口する圧入穴Bの下端を囲む圧入内面11の一部である。また、突出部外面52は、回転軸Pに対して傾斜して形成されている。
【0018】
また、天板部下面16から突出部50の下端までの長さ、すなわち、突出部50の長さL3は、オイルバッファAの長さL2と略等しくなっている。図1に示すように、ディスク装置1においては、この突出部51の長さL3の範囲内に、オイルバッファAの一部が形成されている。
【0019】
また、圧入内面11の長さは、モータハブ10にモータシャフト20が圧入されている長さL1に等しく、中央部上面17から天板部下面16までの長さL4と、突出部50の長さL3と、の合計となっている。
【0020】
図3に、ディスク装置1のスリーブ30の断面を示す。図3に示すように、このスリーブ30は、モータハブ10の突出部外面52と略平行に対向するバッファ内面31と、オイルOを介してモータシャフト20を回転可能に支持する軸受内面32と、を有する。
【0021】
このバッファ内面31は、回転軸Pに沿った方向にオイルバッファAの長さと等しい長さL2をもって形成されている。また、このバッファ内面31は、図1に示すように、ディスク装置1において長さL3の突出部50を受け入れる突出部受入穴Cを形成する。すなわち、このディスク装置1においては、この突出部受入穴C内に受け入れられた突出部50の外面52と、当該突出部外面52に対向するバッファ内面31と、の間にオイルバッファAが形成される。
【0022】
このように、このディスク装置1は、回転軸Pに垂直な方向に、モータハブ10に圧入されたモータシャフト20と接触する突出部内面51と、互いに対向してオイルバッファAを形成する突出部外面52とバッファ内面31と、を有する。
【0023】
また、軸受内面32は、モータシャフト20が挿入される(図1参照)軸受穴Dを形成する円筒内面である。図1に示すように、ディスク装置1においては、この軸受内面32と、軸受穴Dに挿入されたモータシャフト20との間にオイルOが保持される。
【0024】
また、この軸受内面32は、流体軸受としてモータシャフト20を回転可能に支持するためにオイルOによる動圧を発生させる溝が形成された複数のラジアル軸受領域33,34を有する。
【0025】
すなわち、この軸受内面32は、回転軸Pに沿った方向に所定の距離だけ互いに離れた上ラジアル軸受領域33と下ラジアル軸受領域34とを有している。
【0026】
この上ラジアル軸受領域33においては、長さL5の範囲内に、オイルOによる動圧を発生させる複数の溝からなるバランスグルーブEが形成されている。また、この上ラジアル軸受領域33においては、バランスグルーブEの上方の長さL6の範囲内に、当該バランスグルーブに連なり、オイルOが軸受穴D或いはオイルバッファAから漏れ出ることを防止する複数の溝からなるアンバランスグルーブFが形成されている。また、下ラジアル軸受領域33においては、バランスグルーブEのみが形成されている。
【0027】
また、このスリーブ30は、図4に示すように、アンバランスグルーブFが形成されたバッファ内面31を有することとしてもよい。この場合、軸受内面32の上ラジアル軸受領域33には、バランスグルーブEのみが形成されることとなるため、スリーブ30は、図3の場合に比べて、より上方に上ラジアル軸受領域33を有することになり、モータシャフト20をより安定して支持することができる。
【0028】
次に、図5に、ディスク装置1の第二の例についての断面を示す。また、この場合のモータハブ10の断面を図6に、スリーブ30の断面を図7に、それぞれ示す。なお、この第二の例において第一の例と共通する部分については詳細な説明を省略する。
【0029】
この第二の例において、ディスク装置1のモータハブ10は、回転軸Pに略平行な突出部外面52と、当該突出部外面52と突出部内面51とを繋ぎ、回転軸Pに対して略垂直な突出部下面53と、を有する突出部50を有する(図5、図6参照)。
【0030】
また、このディスク装置1のスリーブ30は、モータハブ10の突出部外面52に略平行に対向するバッファ内面31と、突出部下面53に略平行に対向するバッファ底面35と、を有する(図5、図7参照)。
【0031】
このスリーブ30において、突出部受入穴Cは、バッファ内面31とバッファ底面35とに囲まれて形成されている。
【0032】
そして、図5に示すように、ディスク装置1においては、このスリーブ30の突出部受入穴C内に受け入れられた突出部50の外面52及び下面53と、これらの面に対向する当該スリーブ30のバッファ内面31及びバッファ底面35と、の間にオイルOを蓄積するオイルバッファAが形成される。
【0033】
この第二の例においてもまた、モータシャフト20がモータハブ10に圧入されている長さL7の範囲内に、長さL8のオイルバッファAの少なくとも一部が形成される。なお、図7に示すスリーブ30において、例えば、図3や図4に示すようなバランスグルーブEやアンバランスグルーブFが形成されてもよい。
【0034】
また、このディスク装置1は、図8に示すように、スリーブ30のバッファ内面31と軸受内面32との間に、オイルOを循環させるためのオイル循環流路Gが形成されることとしてもよい。
【0035】
この場合のスリーブ30の上面図を図9に、また、図9のH−H線に沿った断面を図10にそれぞれ示す。図9に示すように、このスリーブ30においては、回転軸Pを中心としたバッファ内面31や軸受内面32の同心円周上であって、当該バッファ内面31と当該軸受内面32との間に、オイル循環流路Gが形成されている。
【0036】
このオイル循環流路Gは、図8及び図10に示すように、スリーブ30のバッファ底面35から下方に向かって、軸受内面32の長さL9の範囲にわたって貫通孔として形成されている。このオイル循環流路Gは、例えば、モータシャフト20とスリーブ30との間に発生した微小な気泡を逃がす役割も果たす。
【0037】
このようなディスク装置1において、スリーブ30のモータハブ10の側板部14に対向する側に固定されたコイルステータ40と、当該コイルステータ40に対向する当該側板部14に固定されたマグネット41と、の間に磁界を発生させることにより、当該モータハブ10と、当該モータハブのディスク受け部15に支持される磁気ディスクと、当該モータハブ10に圧入されたモータシャフト20と、が一体に回転する。
【0038】
なお、このモータシャフト20の回転に際して、当該モータシャフト20とスリーブ30との間に保持されるオイルOが軸受内面32のラジアル軸受領域33,34に形成されたバランスグルーブEに沿って集められて発生する動圧によって、当該モータシャフト20は軸受穴D内で浮上し、滑らかに回転する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態における第一の例に係る磁気ディスク装置についての回転軸Pに沿った断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における第一の例に係るモータハブについての回転軸Pに沿った断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における第一の例に係るスリーブについての回転軸Pに沿った断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における第一の例に係るスリーブについて、バッファ内面にアンバランスグルーブが形成された場合の回転軸Pに沿った断面図である。
【図5】本発明の一実施形態における第二の例に係る磁気ディスク装置についての回転軸Pに沿った断面図である。
【図6】本発明の一実施形態における第二の例に係るモータハブについての回転軸Pに沿った断面図である。
【図7】本発明の一実施形態における第二の例に係るスリーブについての回転軸Pに沿った断面図である。
【図8】本発明の一実施形態における第二の例に係る磁気ディスク装置について、オイル循環流路が形成された場合の回転軸Pに沿った断面図である。
【図9】本発明の一実施形態における第二の例に係るスリーブについて、オイル循環流路が形成された場合の上面図である。
【図10】図9に示すスリーブのH−H線に沿った断面図である。
【図11】従来の磁気ディスク装置の一例についての断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 磁気ディスク装置、10 モータハブ、11 圧入内面、12 中央部、13 天板部、14 側板部、15 ディスク受け部、16 天板部下面、17 中央部上面、20 モータシャフト、30 スリーブ、31 バッファ内面、32 軸受内面、33 上ラジアル軸受領域、34 下ラジアル軸受領域、35 バッファ底面、40 コイルステータ、41 マグネット、50 突出部、51 突出部内面、52 突出部外面、53 突出部下面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置に関し、特に、磁気ディスク装置の振動特性の向上と小型化に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク装置の小型化が求められている。このような磁気ディスク装置としては、例えば、図11に示すような片持ち型のスピンドルモータと流体軸受とを用いたものがある。
【0003】
この磁気ディスク装置100は、磁気ディスク(図示せず)を回転させるためのモータシャフト101と、当該モータシャフト101が圧入され、当該磁気ディスクを支持するモータハブ102と、オイルXを介して当該モータシャフト101を回転可能に支持するスリーブ103と、を有している。
【0004】
このような片持ち型の磁気ディスク装置100は、外部からの振動等の影響を受けやすいため、例えば、ラジアル軸受の剛性を高めることによる振動特性の向上が図られる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−339899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の磁気ディスク装置100においては、モータシャフト101がモータハブ103に圧入される長さY1と、モータシャフト101とスリーブ103との間に保持されるオイルXのうち余剰分を蓄えておくオイルバッファの長さY2と、モータシャフト101を支持するスリーブ103のラジアル軸受の長さY3と、をその厚さ方向にそれぞれ直列的に確保していた。
【0006】
このため、上記従来の磁気ディスク装置100の小型化においては、その厚さの低減に限界があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、振動特性の向上と小型化とを図ることのできる磁気ディスク装置を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置は、磁気ディスクを回転させるためのモータシャフトと、前記モータシャフトを回転可能に支持するスリーブと、前記モータシャフトが圧入され、当該モータシャフトの回転軸に垂直な方向に、当該圧入されたモータシャフトと接する内面と前記スリーブに対向する外面とを有する突出部を有し、前記磁気ディスクを支持するモータハブと、を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置について、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態に係る磁気ディスク装置(以下、ディスク装置1と呼ぶ。)の第一の例についての断面を示す。
【0010】
図1に示すように、ディスク装置1は、磁気ディスク(図示せず)を支持するモータハブ10と、当該モータハブ10に圧入されるモータシャフト20と、オイルOを介して当該モータハブ10に圧入されたモータシャフト20を回転可能に支持するスリーブ30と、を有している。
【0011】
また、このディスク装置1は、モータハブ10とスリーブ30との間に、モータシャフト20を回転させるための磁界を発生させるコイルステータ40とマグネット41とを有している。
【0012】
ここで、このディスク装置1に特徴的なことの一つは、モータシャフト10がモータハブ10に圧入されている長さL1の範囲内に、長さL2のオイルバッファAの少なくとも一部が形成されていることである。
【0013】
すなわち、このディスク装置1においては、モータシャフト20とモータハブ10とが接触する圧入部分の一部から、当該モータシャフト20の回転軸Pに垂直な方向に、オイルバッファAの一部が形成されている。
【0014】
図2に、ディスク装置1のモータハブ10の断面を示す。図2に示すように、このモータハブ10は、モータシャフト20が圧入される圧入穴Bを形成する圧入内面11を有する中央部12と、当該中央部12から回転軸Pに対して略垂直な方向に円板状に広がる天板部13と、当該天板部13の外周端から下方に延びる円筒側面状の側板部14と、当該側板部14の下端から回転軸Pに対して略垂直な方向に延び出して磁気ディスク(図示せず)を支持するディスク受け部15と、を有している。
【0015】
また、中央部11は、その下面側、すなわち、スリーブ30と対向する側に、天板部下面16から下方に延び出る突出部50を有する。
【0016】
この突出部50は、回転軸Pに対して垂直な方向に、圧入穴Bに圧入されたモータシャフト20と接する突出部内面51と、後述するスリーブ30の一部に対向する突出部外面52と、を有している。
【0017】
この突出部内面51は、突出部50の中央に開口する圧入穴Bの下端を囲む圧入内面11の一部である。また、突出部外面52は、回転軸Pに対して傾斜して形成されている。
【0018】
また、天板部下面16から突出部50の下端までの長さ、すなわち、突出部50の長さL3は、オイルバッファAの長さL2と略等しくなっている。図1に示すように、ディスク装置1においては、この突出部51の長さL3の範囲内に、オイルバッファAの一部が形成されている。
【0019】
また、圧入内面11の長さは、モータハブ10にモータシャフト20が圧入されている長さL1に等しく、中央部上面17から天板部下面16までの長さL4と、突出部50の長さL3と、の合計となっている。
【0020】
図3に、ディスク装置1のスリーブ30の断面を示す。図3に示すように、このスリーブ30は、モータハブ10の突出部外面52と略平行に対向するバッファ内面31と、オイルOを介してモータシャフト20を回転可能に支持する軸受内面32と、を有する。
【0021】
このバッファ内面31は、回転軸Pに沿った方向にオイルバッファAの長さと等しい長さL2をもって形成されている。また、このバッファ内面31は、図1に示すように、ディスク装置1において長さL3の突出部50を受け入れる突出部受入穴Cを形成する。すなわち、このディスク装置1においては、この突出部受入穴C内に受け入れられた突出部50の外面52と、当該突出部外面52に対向するバッファ内面31と、の間にオイルバッファAが形成される。
【0022】
このように、このディスク装置1は、回転軸Pに垂直な方向に、モータハブ10に圧入されたモータシャフト20と接触する突出部内面51と、互いに対向してオイルバッファAを形成する突出部外面52とバッファ内面31と、を有する。
【0023】
また、軸受内面32は、モータシャフト20が挿入される(図1参照)軸受穴Dを形成する円筒内面である。図1に示すように、ディスク装置1においては、この軸受内面32と、軸受穴Dに挿入されたモータシャフト20との間にオイルOが保持される。
【0024】
また、この軸受内面32は、流体軸受としてモータシャフト20を回転可能に支持するためにオイルOによる動圧を発生させる溝が形成された複数のラジアル軸受領域33,34を有する。
【0025】
すなわち、この軸受内面32は、回転軸Pに沿った方向に所定の距離だけ互いに離れた上ラジアル軸受領域33と下ラジアル軸受領域34とを有している。
【0026】
この上ラジアル軸受領域33においては、長さL5の範囲内に、オイルOによる動圧を発生させる複数の溝からなるバランスグルーブEが形成されている。また、この上ラジアル軸受領域33においては、バランスグルーブEの上方の長さL6の範囲内に、当該バランスグルーブに連なり、オイルOが軸受穴D或いはオイルバッファAから漏れ出ることを防止する複数の溝からなるアンバランスグルーブFが形成されている。また、下ラジアル軸受領域33においては、バランスグルーブEのみが形成されている。
【0027】
また、このスリーブ30は、図4に示すように、アンバランスグルーブFが形成されたバッファ内面31を有することとしてもよい。この場合、軸受内面32の上ラジアル軸受領域33には、バランスグルーブEのみが形成されることとなるため、スリーブ30は、図3の場合に比べて、より上方に上ラジアル軸受領域33を有することになり、モータシャフト20をより安定して支持することができる。
【0028】
次に、図5に、ディスク装置1の第二の例についての断面を示す。また、この場合のモータハブ10の断面を図6に、スリーブ30の断面を図7に、それぞれ示す。なお、この第二の例において第一の例と共通する部分については詳細な説明を省略する。
【0029】
この第二の例において、ディスク装置1のモータハブ10は、回転軸Pに略平行な突出部外面52と、当該突出部外面52と突出部内面51とを繋ぎ、回転軸Pに対して略垂直な突出部下面53と、を有する突出部50を有する(図5、図6参照)。
【0030】
また、このディスク装置1のスリーブ30は、モータハブ10の突出部外面52に略平行に対向するバッファ内面31と、突出部下面53に略平行に対向するバッファ底面35と、を有する(図5、図7参照)。
【0031】
このスリーブ30において、突出部受入穴Cは、バッファ内面31とバッファ底面35とに囲まれて形成されている。
【0032】
そして、図5に示すように、ディスク装置1においては、このスリーブ30の突出部受入穴C内に受け入れられた突出部50の外面52及び下面53と、これらの面に対向する当該スリーブ30のバッファ内面31及びバッファ底面35と、の間にオイルOを蓄積するオイルバッファAが形成される。
【0033】
この第二の例においてもまた、モータシャフト20がモータハブ10に圧入されている長さL7の範囲内に、長さL8のオイルバッファAの少なくとも一部が形成される。なお、図7に示すスリーブ30において、例えば、図3や図4に示すようなバランスグルーブEやアンバランスグルーブFが形成されてもよい。
【0034】
また、このディスク装置1は、図8に示すように、スリーブ30のバッファ内面31と軸受内面32との間に、オイルOを循環させるためのオイル循環流路Gが形成されることとしてもよい。
【0035】
この場合のスリーブ30の上面図を図9に、また、図9のH−H線に沿った断面を図10にそれぞれ示す。図9に示すように、このスリーブ30においては、回転軸Pを中心としたバッファ内面31や軸受内面32の同心円周上であって、当該バッファ内面31と当該軸受内面32との間に、オイル循環流路Gが形成されている。
【0036】
このオイル循環流路Gは、図8及び図10に示すように、スリーブ30のバッファ底面35から下方に向かって、軸受内面32の長さL9の範囲にわたって貫通孔として形成されている。このオイル循環流路Gは、例えば、モータシャフト20とスリーブ30との間に発生した微小な気泡を逃がす役割も果たす。
【0037】
このようなディスク装置1において、スリーブ30のモータハブ10の側板部14に対向する側に固定されたコイルステータ40と、当該コイルステータ40に対向する当該側板部14に固定されたマグネット41と、の間に磁界を発生させることにより、当該モータハブ10と、当該モータハブのディスク受け部15に支持される磁気ディスクと、当該モータハブ10に圧入されたモータシャフト20と、が一体に回転する。
【0038】
なお、このモータシャフト20の回転に際して、当該モータシャフト20とスリーブ30との間に保持されるオイルOが軸受内面32のラジアル軸受領域33,34に形成されたバランスグルーブEに沿って集められて発生する動圧によって、当該モータシャフト20は軸受穴D内で浮上し、滑らかに回転する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態における第一の例に係る磁気ディスク装置についての回転軸Pに沿った断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における第一の例に係るモータハブについての回転軸Pに沿った断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における第一の例に係るスリーブについての回転軸Pに沿った断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における第一の例に係るスリーブについて、バッファ内面にアンバランスグルーブが形成された場合の回転軸Pに沿った断面図である。
【図5】本発明の一実施形態における第二の例に係る磁気ディスク装置についての回転軸Pに沿った断面図である。
【図6】本発明の一実施形態における第二の例に係るモータハブについての回転軸Pに沿った断面図である。
【図7】本発明の一実施形態における第二の例に係るスリーブについての回転軸Pに沿った断面図である。
【図8】本発明の一実施形態における第二の例に係る磁気ディスク装置について、オイル循環流路が形成された場合の回転軸Pに沿った断面図である。
【図9】本発明の一実施形態における第二の例に係るスリーブについて、オイル循環流路が形成された場合の上面図である。
【図10】図9に示すスリーブのH−H線に沿った断面図である。
【図11】従来の磁気ディスク装置の一例についての断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 磁気ディスク装置、10 モータハブ、11 圧入内面、12 中央部、13 天板部、14 側板部、15 ディスク受け部、16 天板部下面、17 中央部上面、20 モータシャフト、30 スリーブ、31 バッファ内面、32 軸受内面、33 上ラジアル軸受領域、34 下ラジアル軸受領域、35 バッファ底面、40 コイルステータ、41 マグネット、50 突出部、51 突出部内面、52 突出部外面、53 突出部下面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスクを回転させるためのモータシャフトと、
前記モータシャフトを回転可能に支持するスリーブと、
前記モータシャフトが圧入され、当該モータシャフトの回転軸に垂直な方向に、当該圧入されたモータシャフトと接する内面と前記スリーブに対向する外面とを有する突出部を有し、前記磁気ディスクを支持するモータハブと、
を有する磁気ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気ディスク装置において、
前記突出部の外面と前記スリーブとの間にオイルが保持される磁気ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気ディスク装置において、
前記突出部の外面に対向する前記スリーブの内面に、オイル漏れ防止溝が形成されている磁気ディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気ディスク装置において、
前記突出部の外面が、前記磁気ディスクの回転軸に対して傾斜している磁気ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の磁気ディスク装置において、
前記突出部の外面が、前記磁気ディスクの回転軸と略平行である磁気ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の磁気ディスク装置において、
前記スリーブの前記モータシャフトと接するラジアル軸受内面と、前記突出部の外面に対向するスリーブの内面と、の間に、当該突出部の外面と当該スリーブとの間に保持されるオイルを循環させるための流路が形成される磁気ディスク装置。
【請求項1】
磁気ディスクを回転させるためのモータシャフトと、
前記モータシャフトを回転可能に支持するスリーブと、
前記モータシャフトが圧入され、当該モータシャフトの回転軸に垂直な方向に、当該圧入されたモータシャフトと接する内面と前記スリーブに対向する外面とを有する突出部を有し、前記磁気ディスクを支持するモータハブと、
を有する磁気ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気ディスク装置において、
前記突出部の外面と前記スリーブとの間にオイルが保持される磁気ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気ディスク装置において、
前記突出部の外面に対向する前記スリーブの内面に、オイル漏れ防止溝が形成されている磁気ディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気ディスク装置において、
前記突出部の外面が、前記磁気ディスクの回転軸に対して傾斜している磁気ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の磁気ディスク装置において、
前記突出部の外面が、前記磁気ディスクの回転軸と略平行である磁気ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の磁気ディスク装置において、
前記スリーブの前記モータシャフトと接するラジアル軸受内面と、前記突出部の外面に対向するスリーブの内面と、の間に、当該突出部の外面と当該スリーブとの間に保持されるオイルを循環させるための流路が形成される磁気ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−230106(P2006−230106A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40793(P2005−40793)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】
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