説明

磁気トンネル接合デバイスおよび製造

磁気トンネル接合デバイスおよび製造方法が開示される。特定の実施形態では、方法は、磁気トンネル接合構造のフリー層(110)上にキャップ材料(112)を堆積させてキャップ層を形成するステップと、キャップ材料の一部分を酸化して酸化された材料の層を形成するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、磁気トンネル接合(MTJ)デバイスおよび製造に関し、特に、キャップ層を組み込んだMTJ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
MTJ素子は、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の作成に使用することができる。MTJ素子は、ピン層、磁気トンネルバリア、およびフリー層を通常含んでおり、ビット値はフリー層中の磁気モーメントにより表される。MTJ素子に保存されるビット値は、ピン層が有する固定された磁気モーメントの向きに対する、フリー層の磁気モーメントの向きにより決定される。ピン層の磁化は固定されているが、一方フリー層の磁化は切り換えることができる。
【0003】
MTJ素子を電流が通過すると、電流が閾値、すなわち臨界スイッチング電流(I)を超えた場合、フリー層の磁化の方向を変化させることができる。J.Sloneczewskiによるスピントルクトランスファーモデルによれば、Iは有効減衰定数(α)、飽和磁化(M)およびフリー層の厚さ(tfree)に比例し、すなわちI〜αMfreeである。臨界スイッチング電流を低くすると、STT−MRAM技術の電力消費とチップ面積の低減が可能になるが、これはα、M、tfreeを低減することで達成できる。とりわけ、αを低減してもMTJの熱安定性(E)は低下しないことがあるが、E〜Mfreeであるため、Mおよびtfreeを小さくするとEは悪化する可能性がある。一般に、フリー層のような薄い強磁性金属膜の有効減衰定数は、膜の厚さと、周囲層の組成に大きく影響されうる。特に、フリー層に隣接する非磁性金属は、スピンポンピング効果によって、有効減衰定数を大きく増大させることがある。従来のMTJ膜構造は、フリー層の上にキャップ層を有することがあり、MTJ膜の蒸着に続くその後の製造プロセスのステップから、MTJ膜を保護できる。Si CMOSプロセスに適合する非磁性金属(例えば、TaまたはTaN)が、キャップ層として使用されてきた。
【0004】
フリー層の有効減衰定数は、通常、フリー層に対応するバルク材料の本来の減衰定数よりも大きく、それは、フリー層から離れることができる自由電子との交換結合に起因する、フリー層の磁化からの角運動量の損失を表す減衰成分を含むためである。この「スピンポンピング」効果により、フリー層の磁気モーメントの方向を変えるのに必要な電流の量がより大きくなる。スピンポンピング効果を抑制することで、MTJデバイスの臨界スイッチング電流密度を低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャップ層からのスピンポンピング効果を抑制し、αを低減するために、キャップ層のための様々な材料および方法が研究されてきた。例として、「二重MgO」MTJ構造が提案されている。二重MgO MTJ構造は、フリー層の上にRFスパッタリングされたMgOを組み込むことにより、低い臨界スイッチング電流(約0.52MA/cm)を示したが、これはスピンポンピング効果が低減したことによるものである。しかし、MgO層を追加することで抵抗面積積(RA)が増大して磁気抵抗(MR)が劣化し、これはSTT−MRAMのビットセルの動作マージンを確保する上で一般に望ましくない。したがって、RAおよびMRを犠牲にすることなくスピンポンピング効果を抑制する、より現実的な方法が、STT−MRAMデバイスの適切な書き込みおよび読み出し性能を保証することを助ける上で、有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
MTJデバイスのフリー層に隣接するキャップ層を、金属層および金属酸化物層で形成することができる。金属酸化物を含むキャップ層は、スイッチング電流密度を低減することができ、金属層は磁気アニーリングステップ中に酸化物層からの酸素の拡散を防ぐことができ、それによりMRの低下を防ぐことができる。さらに、高品質の金属/金属酸化物キャップ層は、スピン分極電子の二重バリアを通るコヒーレントトンネル現象を実現することにより、RAを増大させないことが可能である。
【0007】
特定の実施形態では、MTJデバイスを含む装置が開示される。MTJデバイスはバリア層、フリー層、およびキャップ層を含む。フリー層は、バリア層とキャップ層の間に位置する。キャップ層は、第1の金属部分と、酸化された金属部分を含む。
【0008】
別の特定の実施形態では、MTJデバイスを含む装置が開示される。MTJデバイスはフリー層、フリー層に隣接するバリア層、およびフリー層に隣接するキャップ層を含む。キャップ層は、第1の材料の第1の層、第2の材料の第2の層、およびバッファ層を含む。第2の材料は、第1の材料の酸化物を含む。
【0009】
別の特定の実施形態では、臨界スイッチング電流密度を超えるスピン分極電流によってプログラム可能な磁気モーメントの方向として、データ値を保存する手段を含む装置が開示される。装置は、バリアを通る伝導電子の量子力学的トンネル効果によって、上記の保存する手段に十分な伝導電子を与えるのに、十分薄いトンネルバリア手段も含む。装置はさらに、スピンポンピング効果を低減するためのキャップ手段を含む。キャップ手段は、第1の金属部分および酸化された金属部分を含む。保存する手段は、トンネルバリア手段とキャップ手段の間に位置する。
【0010】
別の特定の実施形態では、MTJ構造のフリー層上にキャップ材料を堆積させてキャップ層を形成するステップを含む方法が開示される。この方法は、キャップ材料の一部分を酸化して酸化材料の層を形成するステップも含む。
【0011】
別の実施形態では、方法は、バリア層を形成するステップ、フリー層を形成するステップ、およびキャップ層を形成するステップを含む。バリア層はフリー層に隣接し、キャップ層はフリー層に隣接する。キャップ層は実質的に非磁性の材料の第1の層と、実質的に非磁性の材料の酸化物の第2の層を含む。
【0012】
開示された実施形態の少なくとも1つにより実現される1つの特定の利点は、酸化物キャップ層を含まないMTJデバイスと比較して有効減衰定数を低減することによりスイッチング電流密度を低減しつつ、同時に、酸化物のみのキャップ層を使用するMTJデバイスと比較して、MTJの磁気抵抗(MR)を増大させ、抵抗面積積(RA)を低減することである。本開示の他の態様、利点、および特徴は、以下の項目、すなわち図面の簡単な説明、発明を実施するための形態、および特許請求の範囲を含む、本出願全体を検討した後で明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】金属/金属酸化物キャップ層を有する磁気トンネル接合(MTJ)デバイスを含むスピントルクトランスファー磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)の素子の例示的な実施形態を示す図である。
【図2】薄い金属バッファ/金属/金属酸化物キャップ層を有する磁気トンネル接合(MTJ)構造を含むメモリアレイの例示的な実施形態を示す図である。
【図3】磁気トンネル接合(MTJ)デバイスを形成する方法の第1の例示的な実施形態の流れ図である。
【図4】磁気トンネル接合(MTJ)デバイスを形成する方法の第2の例示的な実施形態の流れ図である。
【図5】磁気トンネル接合(MTJ)デバイスとともに用いる製造プロセスを例示するデータフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、スピントルクトランスファー磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)の素子の第1の例示的な実施形態が図示されており、全体が番号100で表されている。STT−MRAMの素子100は、磁気トンネル接合(MTJ)デバイス101を有するメモリセルと、基板126上のアクセストランジスタ116を含む。MTJデバイス101は、アクセストランジスタ電極114、シード層103、反強磁性(AFM)ピン止め層104、ピン層106、トンネルバリア層108、フリー層110、キャップ層112、およびビット線118に結合されたビット線アクセス電極102を含む。アクセストランジスタ電極114は、アクセストランジスタ116のドレイン領域130に結合される。アクセストランジスタ116はワード線119によってゲート駆動され、ソースコンタクト120に結合されたソース領域132を有する。
【0015】
シード層103は、アクセストランジスタ電極114と接触している。シード層103は、MTJ膜の堆積のための表面を提供し、いくつかの異なる層からなっていてもよい。AFMピン止め層104は、シード層103と接触している。AFMピン止め層104は、ピン層106の磁気モーメント125の方向が特定の方向にピン止めされるようにする。ピン層106は、AFMピン止め層104と接触しており、強磁性材料からなっていてもよい。
【0016】
トンネルバリア層108は、ピン層106と接触しており、フリー層110からピン層106を物理的に分離すると同時に、トンネルバリア層108を横切るの電子トンネリングによって、電流が流れるようにする。トンネルバリア層108は、非磁性材料からなっていてもよい。例示的な実施形態では、トンネルバリア層108は、酸化マグネシウム(MgO)を含む。
【0017】
フリー層110は、トンネルバリア層108と接触しており、基板126から距離d1 140の場所に位置する。フリー層110は、ピン層106の磁気モーメント125と平行または逆平行の配向であってよい磁気モーメント124を有する。ピン層106は、基板126から距離d2 142の場所に位置してもよく、ここで距離d2 142は、距離d1 140よりも短い。フリー層110の磁気モーメント124は、臨界スイッチング電流を超える電流によって書き込むことができ、臨界スイッチング電流よりも小さい電流を用いて読み出すことができる。例えば、読み出し電流は、読み出し時のじょう乱を防ぐため、臨界スイッチング電流よりもはるかに小さくてもよい。例示的な実施形態では、フリー層110は単一の強磁性層であってよい。別の例示的な実施形態では、フリー層110は合成した強磁性層であってもよい。
【0018】
キャップ層112は、フリー層110と接触している。キャップ層112は、スピンポンピング効果を低減することによりフリー層110の有効減衰定数を低減するように構成されており、したがってMTJデバイス101に実質的な直列抵抗を与えることなく、臨界スイッチング電流を低減する。キャップ層112は、金属部分190および酸化された金属部分192を含む。例えば、金属部分190は大部分がマグネシウム(Mg)(例えば、偶然または意図的に不純物を含むMg)であってよく、酸化された金属部分192は大部分が酸化マグネシウム(MgO)(例えば、偶然または意図的に不純物を含むMgO)であってよい。トンネルバリア層108は、マグネシウム(Mg)および酸化マグネシウム(MgO)も含んでよく、STT−MRAM100の素子の製造中、複数層に同一の材料を使用できるようにして、使用する材料の数を減らす。
【0019】
例示的な実施形態において、キャップ層112は、マグネシウムを堆積させて全体の厚さ(t)を有する金属層を形成し、次いで酸化プロセスを実行して酸化された金属部分192を形成することによって形成される、MgMgO1−x傾斜層を含む。酸化プロセスは、得られるMgO層の厚さおよびばらつきを、他の堆積法による場合よりも、より信頼性が高くなるように制御するように設定されてもよい。例えば、キャップ層112の全体の厚さは1ナノメートルより小さくてもよく、酸化された金属部分192の厚さは、例えば、5オングストローム(0.5nm)、4オングストローム、3オングストローム、または他の任意の厚さであってもよい。
【0020】
特定の実施形態では、酸化された金属部分192の材料は、スピンポンピング効果を低減する物理的特性を有してもよく、それによって、フリー層110の有効減衰定数を低減する。しかし、酸化された金属部分192の材料は、酸化物絶縁体を追加することで付加された直列抵抗のために、MTJデバイス101に高い抵抗を与える可能性がある。金属部分190の部分酸化によって金属酸化物層を形成することで、MTJデバイス101の抵抗は、二重MgOバリアを横切るスピン分極電子のコヒーレントトンネル現象によって、大きくは増大しないようにできる。同時に、酸化された金属部分192によるフリー層110の有効減衰定数の低減による有益な効果も、得ることができる。例えば、キャップ層112はMTJデバイス101の直列抵抗を200オーム以下だけ増大させる可能性があるが、同時に、臨界スイッチング電流密度を30パーセント以上低減する。臨界スイッチング電流密度が小さくなることにより、デバイスの小型化、メモリアレイの高密度化、動作の低電力化、クロック周波数の向上、またはこれらの任意の組合せが実現できる。
【0021】
金属部分190は、幅広く様々な種類の材料で形成することができる。例えば、特定の実施形態では、金属部分190はハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、Mg、またはそれらの任意の組合せを含む。例えば、Hf、Zr、Mgのような電気陰性度の低い元素は、磁気アニーリング中にフリー層110内で酸素を除去し、MRを向上させることができる可能性がある。例を挙げると、Mgはタンタル(Ta)よりも電気陰性度が低く、Mgキャップ層を有するMTJは、Taキャップ層を有する類似のMTJよりも高いMRを示すことができる。したがって、キャップ層112の金属部分190におけるMgのような電気陰性度の低い元素は、MRの維持または、MRの向上の助けにもなる可能性がある。しかし、他の実施形態では、キャップ層はHf、Zr、Mg、またはHf、Zr、もしくはMgの任意の組合せを含まなくてもよく、代わりに他の材料を含んでもよい。
【0022】
書き込み電流がMTJデバイス101内を通過する方向は、フリー層110の磁気モーメント124がピン層106の磁気モーメント125に平行に配向されるか、反平行に配向されるかを決定する。例示的な実施形態では、データ値「1」は、ビット線アクセス電極102からアクセストランジスタ電極114へ第1の書き込み電流が通過することで保存することができ、磁気モーメント124は磁気モーメント125に対して反平行に配向できる。データ値「0」は、アクセストランジスタ電極114からビット線アクセス電極102へ第2の書き込み電流が通過することで保存することができ、磁気モーメント124は磁気モーメント125に対して平行に配向できる。
【0023】
読み出し動作122がSTT−MRAM100で実行されるとき、読み出し電流はビット線アクセス電極102からソース120へ流れることができるか、または読み出し電流はソース120からビット線アクセス電極102へ流れることができる。特定の実施形態では、読み出し電流の方向は、どの方向が最大の読み出し信号をもたらすかに基づいて決定される。特定の実施形態では、読み出し動作122がSTT−MRAM100の素子で実行されるとき、読み出し電流はビット線(BL)118を介して、ビット線アクセス電極102からアクセストランジスタ電極114の方向に流れる。MTJデバイス101を通る読み出し電流は、磁気モーメント125および磁気モーメント124の相対的な方向に対応する抵抗を受ける。ピン層106の磁気モーメント125の方向が、フリー層110の磁気モーメント124に対して平行であるとき、読み出し電流は、ピン層106の磁気モーメント125の方向が、フリー層110の磁気モーメント124と反平行のときとは異なる抵抗を受ける。
【0024】
したがって、ビットセルは、STT−MRAMのようなメモリデバイスの素子として用いることができる。キャップ層112を使用することで、フリー層110の有効減衰定数は実質的に低減することができ、酸化物のみのキャップ材料を用いた場合ほど抵抗面積(RA)積を増大させることなく、かつ磁気抵抗(MR)を劣化させることなく、臨界スイッチング電流密度(J)を低減する。実質的にMRを低減することなく、かつ実質的にRAを増大させることなくJが低減する結果、より低電力での動作および熱の発生の低減が実現でき、より短い書き込みパルス長およびより高いクロック周波数での動作も可能とすることができる。
【0025】
図2を参照すると、メモリシステムの別の例示的な実施形態が図示されており、全体が番号200で表される。メモリシステム200は、STT−MRAMメモリアレイのようなメモリアレイ280を含み、メモリアレイ280は、代表的なメモリセル282、ならびにhighの論理値およびlowの論理値を保存する一対の代表的な参照セルを含む、複数のメモリセルを含む。センスアンプ284は参照セルからの出力に加えて、選択されたメモリセルからの出力を受け取るように結合される。センスアンプ284は、選択されたメモリセルに保存された値を示すアンプ出力286を作成するように構成される。
【0026】
メモリセル282は、アクセストランジスタ228に結合されたMTJ構造201を含む。MTJ構造201は、トップコンタクト202、キャップ層212、磁気モーメント224を有するフリー層210、トンネルバリア層208、ピン止めされた磁気モーメント225を有するピン層206、反強磁性(AFM)ピン止め層204、シード層203、およびボトムコンタクト218を含む。アクセストランジスタ228はボトムコンタクト218に結合され、ワード線230およびソース線232に結合される。
【0027】
トップコンタクト202は、ビット線222に対する第1の電気的な接触を与える。AFMピン止め層204は、ピン層206の磁気モーメント225の方向を固定する。ピン層206は、複数の層(図示せず)を含む合成のピン層であってもよい。トンネルバリア層208は、自由電子の接近を制限することができるが、フリー層210へのトンネル電流を可能にする。フリー層210は、臨界スイッチング電流を超えるスピン分極電流の印加によってプログラム可能な磁気モーメント224の方向として、データ値を保存することができる。フリー層210はトンネルバリア層208およびキャップ層212の間に位置し、トンネルバリア層208がフリー層210の第1の側に隣接し、キャップ層212がフリー層210の第2の側に隣接するようになっており、ここで上記の第2の側は上記の第1の側の反対側である。
【0028】
キャップ層212はスピンポンピング効果を低減し、フリー層210の有効減衰定数を低減する。キャップ層212は、第1の材料の第1の層290および第2の材料の第2の層292を含む。特定の実施形態において、第1の材料は金属であり、第2の材料は第1の材料の酸化物である。例えば、第1の層290は金属層であってよく、第2の層292は酸化された金属層であってよい。キャップ層212は第3の層294も含んでよく、第3の層294は、薄い金属バッファ層であってよい。特定の実施形態では、第3の層294は非磁性の材料の層である。第3の層294は、高品質の酸化物を成長させるのに適切な表面を与えるように選択されてもよい。例示的な実施形態では、第1の層290の第1の材料は、大部分がマグネシウム(Mg)であり、第2の層292の第2の材料は、大部分が酸化マグネシウム(MgO)である。
【0029】
第1の層290は厚さt1を有していてもよく、フリー層210から第1の距離d1の場所に位置してもよい。第2の層292は厚さt2を有していてもよく、フリー層210から第2の距離d2の場所に位置してもよい。特定の実施形態では、第2の距離d2は、第1の距離d1よりも長い。キャップ層212は、第3の層294を含んでもよい。別の実施形態では、キャップ層212は第3の層294を含まなくてもよく、または1つもしくは複数の追加の層(図示せず)を含んでもよい。
【0030】
特定の実施形態では、第1の層290および第2の層292は、全体の厚さtまで材料(例えばMg)の単一の層を堆積し、次いで材料を酸化することによって形成することができ、第1の層290の上に第2の層292を形成する。第2の層292は厚さt2を有していてもよく、第1の層290は厚さt1を有していてもよいが、ここでt1とt2の和は全体の厚さtとほぼ等しい。代わりに、別の実施形態では、キャップ層212の1つまたは複数の層が高周波(RF)スパッタリングまたは他のタイプの製造プロセスによって形成されてもよい。
【0031】
キャップ層212は、図1のキャップ層112の動作と実質的に同様の方法で、フリー層210の有効減衰定数を低減することができる。さらに、第1の材料は、第1の層290を含まないMTJ構造と比較して、フリー層210と第2の層292の間の直列抵抗を低減するように選択され、かつ構成されてもよい。同様に、第3の層294の材料は、第1の層290の堆積に適切な表面を与えるように選択することができ、スピンフリップ散乱を低減し、他の物理的特性または物理的特性の任意の組合せをもたらすことができる。
【0032】
図2に示されるメモリアレイ280は、代表的なメモリセル282に実質的に同様の複数のセルを含んでもよい。例示として、メモリアレイ280、または図1のMTJデバイス101もしくは図2のMTJ構造201を用いる他の任意のセルのアレイは、レベル2(L2)キャッシュまたは他のタイプの組み込みメモリのような、組み込みメモリ内に実装することができる。そのようなMTJセルのアレイは、STT−MRAMメモリとして実装することができ、例えばスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはフラッシュメモリ技術を用いるメモリアレイを置き換えることができる。
【0033】
図3は、磁気トンネル接合(MTJ)デバイスを形成する方法の第1の例示的な実施形態の流れ図である。例示的な実施形態では、MTJデバイスは図1のMTJデバイス101または図2のMTJ構造201であってもよい。特定の実施形態では、方法は、302においてシード層材料を堆積させてシード層を形成し、304においてシード層上に反強磁性(AFM)材料を堆積させてAFM層を形成し、306においてAFM層上にピン層を形成し、308においてピン層上にバリア材料を堆積させてバリア層を形成し、310においてバリア層上にMTJのフリー層を形成することによって磁気トンネル接合を形成するステップを含む。
【0034】
続いて312で、キャップ材料が磁気トンネル接合構造のフリー層上に堆積されて、キャップ層を形成する。キャップ層の厚さは、1ナノメートルよりも薄くてよい。特定の実施形態では、キャップ材料はマグネシウムを含む。
【0035】
314に進み、キャップ材料の一部を酸化し、酸化された材料(例えばMgO)の層を形成する。特定の実施形態では、キャップ材料を酸化することで、キャップ層がない場合のMTJが有する臨界電流密度と比較して、MTJの臨界電流密度が低減する。
【0036】
堆積するステップおよび酸化するステップは、製造機械を制御するように構成されたコンピュータのような、電子機器に組み込まれたプロセッサによって制御されうる。キャップ材料を酸化することで、酸化された材料の層の厚さは、RFスパッタリングなどの材料を適用する他の技術による場合よりも、より正確に制御されうる。例えば、酸化された材料の層は、均一性を向上しつつ、4オングストロームより薄い厚さを有するように制御することができる。
【0037】
図4は、磁気トンネル接合(MTJ)デバイスを形成する方法の第2の例示的な実施形態の流れ図である。例示的な実施形態において、MTJデバイスは図1のMTJデバイス101または図2のMTJ構造201であってもよい。402では、ピン層が形成されうる。404に移り、バリア層が形成され、406において、フリー層が形成される。
【0038】
続いて408で、キャップ層が形成され、ここでバリア層はフリー層と隣接し、キャップ層はフリー層と隣接する。キャップ層は実質的に非磁性の材料の第1の層および実質的に非磁性の材料の酸化物の第2の層を含む。特定の実施形態では、実質的に非磁性の材料はマグネシウム(Mg)を含み、酸化物は酸化マグネシウム(MgO)を含む。
【0039】
例えば、バリア層がフリー層の第1の側に隣接してもよく、キャップ層がフリー層の第2の側に隣接してもよい。ここで、第2の側は第1の側の反対側である。第1の層は第2の層よりもフリー層の近くに位置してもよく、そのため第1の層とフリー層の間の第1の距離が、第2の層とフリー層の間の第2の距離よりも短くなる。
【0040】
他の実施形態では、図4の方法は図示されたものと異なる順序で実行されてもよい。例えば、キャップ層はフリー層の形成の前に形成されてもよい。代替的な実施形態では、形成されるMTJデバイスは図1に示した構造とは反転した構造を有していてもよく、キャップ層がフリー層よりも基板に近く、フリー層がキャップ層よりも基板に近くてよい。
【0041】
前述の開示されたデバイスおよび機能(例えば図1もしくは図2のデバイス、図3もしくは図4の方法、またはそれらの任意の組合せ)は、コンピュータ可読媒体に保存されたコンピュータファイル(例えば、RTL、GDSII、GERBERなど)で設計され、構成されることが可能である。そのようなファイルの一部または全ては、そのようなファイルに基づいてデバイスを製造する製造担当者に与えることができる。得られる製品には半導体ウェハが含まれ、半導体ウェハは次いで半導体のダイにカットされ、半導体チップにパッケージングされる。そして、半導体チップは電子機器において使用される。図5は、電子機器製造プロセス500の特定の例示的な実施形態を示す。
【0042】
物理的なデバイス情報502は、例えば研究用コンピュータ506において、製造プロセス500で受け取られる。物理的なデバイス情報502は、図1のMTJデバイス101、図2のメモリアレイ280、図2のメモリセル282、図2のMTJ構造201、またはこれらの任意の組合せのような半導体デバイスの、少なくとも1つの物理的特性を表す設計情報を含んでもよい。例えば、物理的なデバイス情報502は、研究用コンピュータ506に結合されたユーザーインターフェイス504を介して入力された、物理的パラメータ、材料特性、および構造の情報を含んでもよい。研究用コンピュータ506は、メモリ510のようなコンピュータ可読媒体に結合された1つまたは複数のプロセシングコアなどのプロセッサ508を含む。メモリ510はコンピュータ可読命令を保存することができ、コンピュータ可読命令は、プロセッサ508に、物理的なデバイス情報502を変換させ、ファイルフォーマットに適合させライブラリファイル512を生成するように、実行可能である。
【0043】
特定の実施形態では、ライブラリファイル512は、変換された設計情報を含む少なくとも1つのデータファイルを含む。例えば、ライブラリファイル512は、図1のMTJデバイス101、図2のメモリアレイ280、図2のメモリセル282、図2のMTJ構造201、またはこれらの任意の組合せを含む半導体デバイスのライブラリを含んでもよく、ライブラリは、電子設計自動化(EDA)ツール520とともに使用するために提供される。
【0044】
ライブラリファイル512は、メモリ518に結合された、1つまたは複数のプロセシングコアのようなプロセッサ516を含む設計用コンピュータ514において、EDAツール520とともに用いることができる。EDAツール520は、メモリ518においてプロセッサ実行可能命令として保存することができ、設計用コンピュータ514のユーザーが、ライブラリファイル512の、図1のMTJデバイス101、図2のメモリアレイ280、図2のメモリセル282、図2のMTJ構造201、またはこれらの任意の組合せを用いて、回路を設計することを可能にする。例えば、設計用コンピュータ514のユーザーは、設計用コンピュータ514に結合されたユーザーインターフェイス524を介して、回路設計情報522を入力することができる。回路設計情報522は、図1のMTJデバイス101、図2のメモリアレイ280、図2のメモリセル282、図2のMTJ構造201、またはこれらの任意の組合せのような半導体デバイスの、少なくとも1つの物理的特性を表す設計情報を含んでもよい。例を挙げると、回路設計特性は、特定の回路の識別および回路設計における他の素子との関係、位置情報、フィーチャサイズ情報、相互接続情報、または半導体デバイスの物理的特性を表す他の情報を含んでもよい。
【0045】
設計用コンピュータ514は、回路設計情報522を含む設計情報を変換して、ファイルフォーマットに適合するように構成されてよい。例を挙げると、ファイル形式は、平面的な幾何学形状を表すデータベースバイナリファイルフォーマット、テキストラベル、およびGraphic Data System(GDSII)ファイルフォーマットのような回路レイアウトに関する階層フォーマットの他の情報を含んでもよい。設計用コンピュータ514は、他の回路または情報に加えて、図1のMTJデバイス101、図2のメモリアレイ280、図2のメモリセル282、図2のMTJ構造201、またはこれらの任意の組合せを記述する情報を含むGDSIIファイル526のような、変換された設計情報を含むデータファイルを生成するように構成されてもよい。例を挙げると、データファイルはシステムオンチップ(SOC)に対応する情報を含んでもよく、SOCは図2のメモリアレイ280を含み、SOC内に付加的な電子回路および部品も含む。
【0046】
GDSIIファイル526は、製造プロセス528で受け取られ、GDSIIファイル526中の変換された情報にしたがって、図1のMTJデバイス101、図2のメモリアレイ280、図2のメモリセル282、図2のMTJ構造201、またはこれらの任意の組合せを製造する。例えば、デバイス製造プロセスは、フォトリソグラフィ工程で使用されるマスクのような、代表的なマスク532として図示される1つまたは複数のマスクを作成するために、マスク製造機530にGDSIIファイル526を与えることを含んでもよい。マスク532は、製造プロセスの間、1つまたは複数のウェハ534を生成するために使用することができ、ウェハ534は検査されて、代表的なダイ536のようなダイに分割されうる。ダイ536は、図1のMTJデバイス101、図2のメモリアレイ280、図2のメモリセル282、図2のMTJ構造201、またはこれらの任意の組合せを含む回路を含む。
【0047】
ダイ536はパッケージングプロセス538に提供され、パッケージングプロセス538では、ダイ536が代表的なパッケージ540に組み込まれてよい。例えば、パッケージ540は単一のダイ536、またはシステムインパッケージ(SiP)構成のように複数のダイを含んでもよい。パッケージ540は、電子機器技術評議会(JEDEC)規格のような、1つまたは複数の規格または仕様に適合するように構成することができる。
【0048】
パッケージ540に関する情報は、コンピュータ546に保存されている部品ライブラリなどを介して、様々な製品設計者に分配することができる。コンピュータ546は、メモリ550に結合された1つまたは複数のプロセシングコアのような、プロセッサ548を含んでもよい。プリント配線基板(PCB)ツールがメモリ550においてプロセッサ実行可能命令として保存されてもよく、ユーザーインターフェイス544を介してコンピュータ546のユーザーから受け取ったPCB設計情報542を処理することができる。PCB設計情報542は、回路基板上のパッケージングされた半導体デバイスの、および図1のMTJデバイス101、図2のメモリアレイ280、図2のメモリセル282、図2のMTJ構造201、またはこれらの任意の組合せを含むパッケージ540に対応するパッケージングされた半導体デバイスの、物理的な位置情報を含んでもよい。
【0049】
コンピュータ546は、PCB設計情報542を変換し、GERBERファイル552のようなデータファイルを生成するように構成することができる。GERBERファイル552は、配線やビアのような電気的な接続のレイアウトとともに、回路基板上のパッケージングされた半導体デバイスの物理的な位置情報を含むデータを有する。ここで、パッケージングされた半導体デバイスは、図1のMTJデバイス101、図2のメモリアレイ280、図2のメモリセル282、図2のMTJ構造201、またはこれらの任意の組合せを含むパッケージ540に対応する。他の実施形態では、変換されたPCB設計情報によって生成されたデータファイルは、GERBERフォーマット以外のフォーマットを有してもよい。
【0050】
GERBERファイル552は、基板組み立てプロセス554において受け取られてよく、GERBERファイル552内に保存された設計情報にしたがって製造される、代表的なPCB556のようなPCBを作成するのに使用することができる。例えば、GERBERファイル552は、PCB製造プロセスの様々なステップを実行するための、1つまたは複数の機械にアップロードされてもよい。PCB556は、パッケージ540を含む電子部品が備えられていてよく、代表的なプリント回路アセンブリ(PCA)558を形成する。
【0051】
PCA558は、製品製造プロセス560において受け取られてもよく、第1の代表的な電子機器562および第2の代表的な電子機器564のような、1つまたは複数の電子機器に組み込まれてもよい。例示的な、限定的ではない例として、第1の代表的な電子機器562、第2の代表的な電子機器564、またはその両方は、セットトップボックス、音楽プレーヤー、ビデオプレーヤー、娯楽装置、ナビゲーション機器、通信機器、携帯情報端末(PDA)、固定位置データユニット、およびコンピュータからなる群から選択することができる。別の例示的な、限定的ではない例として、1つまたは複数の電子機器562および564は、携帯電話、携帯型パーソナル通信システム(PCS)ユニット、携帯情報端末のようなポータブルデータユニット、グローバルポジショニングシステム(GPS)対応機器、ナビゲーション機器、メーター読み取り装置のような固定位置データユニット、またはデータもしくはコンピュータ命令を保存し、読み出す任意の他の機器、またはこれらの機器の任意の組合せのような、遠隔装置であってよい。図5は本開示の教示にしたがった遠隔装置を示すが、本開示はこれらの例示的に示された装置に制限されない。本開示の実施形態は、試験または特性評価のためのメモリおよびオンチップ回路を含む、能動集積回路を含む任意の機器において、好適に実施することができる。
【0052】
したがって、図1のMTJデバイス101、図2のメモリアレイ280、図2のメモリセル282、図2のMTJ構造201、またはこれらの任意の組合せは、例示的なプロセス500で記載されたように、製造し、処理し、電子機器に組み込むことができる。図1〜4に関して開示された実施形態の1つまたは複数の態様は、ライブラリファイル512、GDSIIファイル526、GERBERファイル552などの様々なプロセスの段階で含まれていてもよく、また、基板組み立てプロセス554のような様々な段階で使用される、研究用コンピュータ506のメモリ510、設計用コンピュータ514のメモリ518、コンピュータ546のメモリ550、1つまたは複数の他のコンピュータまたはプロセッサ(図示せず)のメモリに保存されてもよい。上記の態様はまた、マスク532、ダイ536、パッケージ540、PCA558、プロトタイプ回路もしくは機器(図示せず)のような他の製品、またはこれらの任意の組合せのような、1つまたは複数の他の物理的な実施形態に組み込まれてもよい。例えば、GDSIIファイル526または製造プロセス528は、コンピュータが実行可能な命令を保存する、コンピュータ可読で有形の媒体を含むことができる。上記の命令は、磁気トンネル接合構造のフリー層上へのキャップ材料の堆積を開始してキャップ層を形成する、コンピュータが実行可能な命令と、キャップ材料の一部分の酸化を開始して酸化された材料の層を形成する、コンピュータが実行可能な命令とを含む。キャップ材料はマグネシウムを含んでよく、キャップ材料を酸化してマグネシウム酸化物を形成することにより、フリー層のスピンポンピング効果を低減することができる。物理的なデバイス設計から最終製品に至るまで、製造における様々な代表的段階が示されているが、他の実施形態では、段階はより少なくてもよく、または追加の段階が含まれてもよい。同様に、プロセス500は単一の構成要素で実行されてもよく、またプロセス500の様々な段階を実行する1つまたは複数の構成要素によって実行されてもよい。
【0053】
本明細書で開示された実施形態に関連して記載された様々な例示的な論理ブロック、構成、モジュール、回路、および方法のステップは、電子的ハードウェア、プロセシングユニットによって実行されるコンピュータソフトウェア、またはこれら両方の組合せによって実装できることを、当業者はさらに理解するだろう。ハードウェアと実行するソフトウェアの間のこの互換性を明確に説明するために、様々な例示的な部品、ブロック、構成、モジュール、回路、およびステップが、概してその機能の観点から、上で記載されてきた。そのような機能がハードウェアで実装されるか、実行可能な処理命令で実装されるかは、特定の用途と、システム全体に課せられた設計制約によって決まる。当業者は、それぞれの特定の用途について、様々な方法で記載された機能を実装できるが、そのような実装方法についての判断は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものと解釈されるべきではない。
【0054】
本明細書で開示された実施形態と関連して記載された方法またはアルゴリズムのステップは、直接にハードウェアで、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、またはこれら2つの組合せによって、具体化される。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去およびプログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、または当技術分野で知られている任意の他の形態の記憶媒体に存在してよい。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、また記憶媒体へ情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。別の方法として、記憶媒体はプロセッサに組み込まれてもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC)内に存在することができる。ASICは、コンピューティング機器またはユーザー端末内に存在することができる。別の方法として、プロセッサおよび記憶媒体は、コンピューティング機器またはユーザー端末内の個別の部品として存在することができる。
【0055】
開示された実施形態の上記の記述は、当業者が、開示された実施形態を実現できるように、または使用できるようにするために与えられる。これらの実施形態に対する様々な変更が、当業者には容易に明らかになるであろう。本明細書で明らかにされた原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用することができる。したがって、本開示は本明細書で示された実施形態に制限されることを意図しておらず、以下の特許請求の範囲で定義される原理および新規の特徴に合致する、可能な限り最も広い範囲まで認められるべきである。
【符号の説明】
【0056】
100 STT−MRAMの素子
101 磁気トンネル接合(MTJ)デバイス
102 ビット線アクセス電極
103 シード層
104 反強磁性(AFM)ピン止め層
106 ピン層
108 トンネルバリア層
110 フリー層
112 キャップ層
114 アクセストランジスタ電極
116 アクセストランジスタ
118 ビット線
119 ワード線
120 ソースコンタクト
122 読み出し動作
124 磁気モーメント
125 磁気モーメント
126 基板
130 ドレイン領域
132 ソース領域
140 距離d1
142 距離d2
190 金属部分
192 酸化された金属部分
200 メモリシステム
202 トップコンタクト
203 シード層
204 反強磁性(AFM)ピン止め層
206 ピン層
208 トンネルバリア層
210 フリー層
212 キャップ層
218 ボトムコンタクト
222 ビット線
224 磁気モーメント
225 磁気モーメント
228 アクセストランジスタ
230 ワード線
232 ソース線
280 メモリアレイ
282 メモリセル
284 センスアンプ
286 アンプ出力
290 第1の材料の第1の層
292 第2の材料の第2の層
294 第3の層
500 製造プロセス
502 物理的なデバイス情報
504 ユーザーインターフェイス
506 研究用コンピュータ
508 プロセッサ
510 メモリ
512 ライブラリファイル
514 設計用コンピュータ
516 プロセッサ
518 メモリ
520 EDAツール
522 回路設計情報
524 ユーザーインターフェイス
526 GDSIIファイル
528 製造プロセス
530 マスク製造機
532 マスク
534 ウェハ
536 ダイ
538 パッケージングプロセス
540 パッケージ
542 PCB設計情報
544 ユーザーインターフェイス
546 コンピュータ
548 プロセッサ
550 メモリ
552 GERBERファイル
554 基板組み立てプロセス
556 PCB
558 プリント回路アセンブリ(PCA)
560 製品製造プロセス
562 電子機器
564 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気トンネル接合デバイスであって、
バリア層と、
フリー層と、
キャップ層であって、前記フリー層が前記バリア層と前記キャップ層の間に位置し、前記キャップ層が第1の金属部分と酸化された金属部分とを含むキャップ層と、を備える磁気トンネル接合デバイス
を備える、装置。
【請求項2】
前記金属部分がマグネシウムを含み、前記酸化された金属部分が酸化マグネシウムを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の金属部分の第1の側が前記フリー層と接触し、前記第1の金属部分の第2の側が前記酸化された金属部分と接触する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
ピン層をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの半導体ダイに組み込まれた、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記磁気トンネル接合デバイスを含むメモリアレイをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
セットトップボックス、音楽プレーヤー、ビデオプレーヤー、娯楽装置、ナビゲーション機器、通信機器、携帯情報端末(PDA)、固定位置データユニット、およびコンピュータからなる群から選択される機器をさらに備え、前記メモリアレイが前記機器に組み込まれる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
磁気トンネル接合デバイスであって、
フリー層と、
前記フリー層に隣接するバリア層と、
前記フリー層に隣接するキャップ層であって、前記キャップ層は第1の材料の第1の層と第2の材料の第2の層とバッファ層とを含み、前記第2の材料は前記第1の材料の酸化物を含むキャップ層と、を備える磁気トンネル接合デバイス
を備える、装置。
【請求項9】
前記第2の材料が、前記第1の材料の一部分を酸化することで形成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の材料は大部分がマグネシウムであり、前記第2の材料は大部分が酸化マグネシウムである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の層が、前記フリー層から第1の距離に位置し、前記第2の層が、前記フリー層から第2の距離に位置し、前記第2の距離が前記第1の距離よりも長い、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記バッファ層が、実質的に非磁性の金属材料の層を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記バリア層が、前記フリー層の第1の側に隣接し、前記キャップ層が、前記第1の側と反対側の、前記フリー層の第2の側に隣接する、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの半導体ダイに組み込まれた、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
前記磁気トンネル接合デバイスを含むメモリアレイをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項16】
セットトップボックス、音楽プレーヤー、ビデオプレーヤー、娯楽装置、ナビゲーション機器、通信機器、携帯情報端末(PDA)、固定位置データユニット、およびコンピュータからなる群から選択される機器をさらに備え、前記メモリアレイが前記機器に組み込まれる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
閾値電流密度を超えるスピン分極電流によってプログラム可能な磁気モーメントの方向として、データ値を保存する手段と、
バリアを通る伝導電子の量子力学的トンネル効果によって、前記保存する手段に前記伝導電子を与えるための、トンネルバリア手段と、
スピンポンピング効果を低減するためのキャップ手段であって、前記キャップ手段が第1の金属部分と酸化された金属部分とを含み、前記保存する手段が前記トンネルバリア手段と前記キャップ手段の間に位置するキャップ手段と
を備える、装置。
【請求項18】
少なくとも1つの半導体ダイに組み込まれた、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記保存する手段、前記トンネルバリア手段、前記キャップ手段を含むメモリアレイをさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
セットトップボックス、音楽プレーヤー、ビデオプレーヤー、娯楽装置、ナビゲーション機器、通信機器、携帯情報端末(PDA)、固定位置データユニット、およびコンピュータからなる群から選択される機器をさらに備え、前記メモリアレイが前記機器に組み込まれる、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
磁気トンネル接合構造のフリー層上にキャップ材料を堆積させてキャップ層を形成するステップと、
前記キャップ材料の一部分を酸化して酸化された材料の層を形成するステップと
を備える、方法。
【請求項22】
前記キャップ材料がマグネシウムを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記キャップ材料を酸化することで、前記フリー層のスピンポンピング効果を低減する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記堆積させるステップと前記酸化するステップが、電子機器に組み込まれたプロセッサによって制御される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
磁気トンネル接合構造のフリー層上にキャップ材料を堆積させてキャップ層を形成するための第1のステップと、
前記キャップ材料の一部分を酸化して酸化された材料の層を形成するための第2のステップと
を備える、方法。
【請求項26】
前記第1のステップと前記第2のステップが、電子機器に組み込まれたプロセッサによって制御される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
コンピュータによって実行可能な命令を保存する、コンピュータ可読で有形な媒体であって、前記命令が、
磁気トンネル接合構造のフリー層上へのキャップ材料の堆積を開始してキャップ層を形成する、前記コンピュータによって実行可能な命令と、
前記キャップ材料の一部分の酸化を開始して酸化された材料の層を形成する、前記コンピュータが実行可能な命令と
を備える、コンピュータ可読で有形の媒体。
【請求項28】
前記キャップ材料がマグネシウムを含む、請求項27に記載のコンピュータ可読で有形な媒体。
【請求項29】
前記キャップ材料を酸化することで、前記フリー層のスピンポンピング効果を低減する、請求項27に記載のコンピュータ可読で有形な媒体。
【請求項30】
バリア層を形成するステップと、
フリー層を形成するステップと、
キャップ層を形成するステップであって、前記バリア層が前記フリー層と隣接し、前記キャップ層が前記フリー層と隣接し、前記キャップ層が実質的に非磁性の材料の第1の層と、前記実質的に非磁性の材料の酸化物の第2の層とを含むステップと
を備える、方法。
【請求項31】
前記実質的に非磁性の材料がマグネシウムを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の層と前記フリー層の間の第1の距離が、前記第2の層と前記フリー層の間の第2の距離よりも短い、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記バリア層が、前記フリー層の第1の側に隣接し、前記キャップ層が前記フリー層の第2の側に隣接し、前記第2の側は前記第1の側の反対側である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
ピン層を、前記バリア層に隣接するように形成するステップをさらに備える、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
半導体デバイスの少なくとも1つの物理的特性を表す設計情報を受け取るステップであって、前記半導体デバイスが、
バリア層と、
フリー層と、
キャップ層であって、前記フリー層が前記バリア層と前記キャップ層の間に位置し、前記キャップ層がマグネシウム部分と酸化マグネシウム部分とを含むキャップ層とを含む、設計情報を受け取るステップと、
前記設計情報を変換してファイルフォーマットに適合させるステップと、
前記変換された設計情報を含むデータファイルを生成するステップと
を備える、方法。
【請求項36】
前記データファイルがGDSIIフォーマットを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
半導体デバイスに対応する設計情報を含むデータファイルを受け取るステップと、
前記設計情報にしたがって前記半導体デバイスを製造するステップと
を備える方法であって、前記半導体デバイスが、
バリア層と、
フリー層と、
キャップ層であって、前記フリー層が前記バリア層と前記キャップ層の間に位置し、前記キャップ層がマグネシウム部分と酸化マグネシウム部分とを含むキャップ層とを含む、方法。
【請求項38】
前記データファイルがGDSIIフォーマットを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
回路基板上のパッケージングされた半導体デバイスの物理的な位置情報を含む設計情報を受け取るステップであって、前記パッケージングされた半導体デバイスが、
バリア層と、
フリー層と、
キャップ層であって、前記フリー層が前記バリア層と前記キャップ層の間に位置し、前記キャップ層がマグネシウム部分と酸化マグネシウム部分とを含むキャップ層とを備える半導体構造を含む、設計情報を受け取るステップと、
前記設計情報を変換してデータファイルを生成するステップと
を備える、方法。
【請求項40】
前記データファイルがGERBERフォーマットを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
回路基板上のパッケージングされた半導体デバイスの物理的な位置情報を含む設計情報を含むデータファイルを受け取るステップと、
前記設計情報にしたがって前記パッケージングされた半導体デバイスを受け取るように構成される、前記回路基板を製造するステップと
を備える方法であって、前記パッケージングされた半導体デバイスが、
バリア層と、
フリー層と、
キャップ層であって、前記フリー層が前記バリア層と前記キャップ層の間に位置し、前記キャップ層がマグネシウム部分と酸化マグネシウム部分とを含むキャップ層とを含む少なくとも1つのメモリセルを備える、半導体メモリアレイを含む、方法。
【請求項42】
前記データファイルがGERBERフォーマットを有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
セットトップボックス、音楽プレーヤー、ビデオプレーヤー、娯楽装置、ナビゲーション機器、通信機器、携帯情報端末(PDA)、固定位置データユニット、およびコンピュータからなる群から選択される機器に、前記回路基板を組み込むステップをさらに備える、請求項41に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−518910(P2012−518910A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551324(P2011−551324)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/025837
【国際公開番号】WO2010/101862
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(507364838)クアルコム,インコーポレイテッド (446)
【Fターム(参考)】