説明

窒化物膜の堆積方法及び堆積装置

【課題】触媒反応に伴う化学エネルギーを利用することにより、窒化物膜を基板上に低コストで効率良く形成する技術を提供する。
【解決手段】触媒反応装置5内にヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを導入し、この窒素供給ガスを触媒と接触させることにより生成される反応性ガスを触媒反応装置5から噴出させ、反応性ガスと化合物ガスとを反応させて、基板7上に窒化物膜を堆積させる、窒化物膜の堆積方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ガリウム、窒化アルミニウム等の窒化物を基板上に堆積させて、半導体素子製造用材料等として有用な窒化物膜を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)等の窒化物は、高い融点、化学安定性、高い絶縁破壊電圧や大きい飽和ドリフト速度等の特徴を持つワイドギャップ半導体であり、次世代のハードエレクトロニクス用材料として期待されている。
各種の基板表面に窒化ガリウム等の窒化物膜を形成する方法としては、パルスレーザー堆積法(PLD)、レーザーアブレーション法、スパッタリング法、各種CVD法等の多数の方法が提案されている。(例えば特許文献1〜3参照)
【特許文献1】特開2004−327905号公報
【特許文献2】特開2004−103745号公報
【特許文献3】特開平8−186329号公報
【0003】
これらの製膜方法は、予めターゲットを準備し、レーザー、高速微粒子等をターゲット表面に衝突させて、ターゲット表面から生じたターゲット微粒子を基板表面に堆積させる;有機金属化合物等を反応性ガスとともに高温に加熱した基板表面に接触させて、その表面で生じる熱分解反応を利用する;或いはこれらのガスの混合気体を放電させてプラズマを形成することにより分解し、ラジカルを再結合させて膜を堆積するものである。したがって、これらの方法では、窒化物膜の堆積に大量のエネルギーを必要とする。また、例えばGaN膜を堆積する際には、窒素源となるアンモニアガスが難分解性であることから、通常の有機金属化学気相堆積(MOCVD)法ではGa源に対して1000倍以上のアンモニアガスを供給することが必要であり、省資源化の観点と毒性のある未反応アンモニアガスの処理に多額の費用を必要とすることから改善が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明はこれら従来技術の問題点を解消して、触媒反応に伴う化学エネルギーを利用することにより、窒化物膜を基板上に低コストで効率良く形成する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は鋭意検討した結果、触媒反応装置内にヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを導入し、触媒と接触させて得られた反応性ガスを触媒反応装置から噴出させて、化合物ガスと反応させることによって上記課題が解決されることを発見し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は次の1〜23の構成を採用するものである。
1.触媒反応装置内にヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを導入し、該窒素供給ガスを触媒と接触させることにより生成される反応性ガスを前記触媒反応装置から噴出させ、該反応性ガスと化合物ガスとを反応させて、基板上に窒化物膜を堆積させる、窒化物膜の堆積方法。
2.前記触媒反応装置が減圧に排気可能な反応室内に配置され、前記触媒が粒子状であり、前記化合物ガスが有機金属化合物のガスである、1に記載の堆積方法。
3.前記化合物ガスが金属化合物のガスである、1に記載の堆積方法。
4.前記金属化合物が有機金属化合物である、3に記載の堆積方法。
5.前記有機金属化合物がガリウム、アルミニウム、及びインジウムから選択された少なくとも一種類の金属の有機金属化合物である、2又は4に記載の堆積方法。
6.前記化合物ガスがガリウム含有ガスである、1〜5のいずれか1項に記載の堆積方法。
7.前記化合物ガスが珪素化合物のガスである、1〜4のいずれか1項に記載の堆積方法。
8.前記珪素化合物が有機珪素化合物又は水素化珪素化合物又はハロゲン化珪素化合物である、7に記載の堆積方法。
9.前記触媒が粒子状である、1、3〜8のいずれか1項に記載の堆積方法。
10.前記触媒が、平均粒径0.05〜2.0mmの粒子状の担体と、該担体に担持される平均粒径1〜10nmの粒子状の触媒成分とを含む、1〜9のいずれか1項に記載の堆積方法。
11.前記有機金属化合物がトリアルキルガリウムであり、
前記触媒が、粒子状の酸化物セラミックスの担体と、該担体に担持される、白金、ルテニウム、イリジウム、及び銅の少なくとも一つの金属の粒子とを含む、2又は4に記載の堆積方法。
12.前記担体が酸化アルミニウムの担体であり、前記粒子がルテニウムの粒子である、11に記載の堆積方法。
13.前記窒素供給ガスがヒドラジンを含む、1〜12のいずれか1項に記載の堆積方法。
14.前記触媒反応装置が、減圧に排気可能な反応室内に配置される、1、3〜13のいずれか1項に記載の堆積方法。
15.前記触媒反応装置の噴出口近辺で前記反応性ガスと前記化合物ガスを反応させる、1〜14のいずれか1項に記載の堆積方法。
16.前記触媒反応装置内において、前記窒素供給ガスを前記触媒と接触させることにより、反応熱により加熱された前記反応性ガスを生成する、1〜15のいずれか1項に記載の堆積方法。
17.前記基板が金属、金属窒化物、ガラス、セラミックス、半導体、プラスチックから選択される、1〜16のいずれか1項に記載の堆積方法。
18.前記基板の温度が室温〜1500℃の範囲にある、1〜17のいずれか1項に記載の堆積方法。
19.触媒を収納する触媒反応装置内にヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを導入し、該窒素供給ガスを触媒と接触させることにより反応性ガスを生成する工程と、
前記生成された反応性ガスを前記触媒反応装置から噴出させ、該反応性ガスと化合物ガスとを反応させる工程と、
前記反応性ガスと前記化合物ガスとの反応により生成される窒化物を基板上に堆積させる工程と
を含む、窒化物膜の堆積方法。
20.前記反応性ガスを生成する工程が、前記窒素供給ガスの前記触媒による反応を調整する反応調整ガスを前記触媒反応装置内に導入する工程を含む、19に記載の堆積方法。
21.基板を支持する基板支持部と、
化合物ガスを供給する化合物ガス供給部と、
ヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを接触させることにより反応性ガスを生成することが可能な触媒を内部に収納し、該反応性ガスを前記基板に向けて噴出させる触媒反応装置と
を備え、前記化合物ガスと前記反応性ガスとを反応させて前記基板上に窒化物膜を堆積する、窒化物膜の堆積装置。
22.減圧に排気可能な反応室を更に備え、
前記基板支持部と前記触媒反応装置とが前記反応室内に配置される、21に記載の堆積装置。
23.減圧に排気可能な反応室を更に備え、
前記基板支持部が前記反応室内に配置され、前記触媒反応装置が前記反応室の外に配置される、請求項21に記載の堆積装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施の形態によれば、大量の電気エネルギーを必要とせずに、各種の基板上に低コストで効率良く窒化物膜を形成することができる。
また、窒化物膜の窒素源として、従来法のように毒性のあるアンモニアを大量に使用する必要がないので、環境に対する負荷を大幅に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施の形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材又は部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施の形態に照らし、当業者により決定されるべきものである。
【0009】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態では、減圧に排気可能な反応室内に配置した反応ガス噴出ノズルを有する触媒反応装置内に、ヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを導入し、微粒子状の触媒と接触させて得られた反応性ガスを触媒反応装置から噴出させて、有機金属化合物のガス(蒸気)と反応させることにより、基板上に金属窒化物膜を堆積させるものである。
【0010】
すなわち、ヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを触媒反応装置内で微粒子状の触媒と接触させて反応させることにより、反応熱により700〜800℃程度の高温に加熱された反応性ガスを発生させ、この反応性ガスを噴出ノズルから噴出させて金属窒化膜の材料となる有機金属化合物ガスと混合、反応させて基板表面に金属窒化物膜を形成するものである。なお、窒素供給ガスはヒドラジンを含むと好ましい。
【0011】
触媒反応装置内に収納される触媒の例としては、平均粒径0.05〜2.0mmの微粒子状の担体に、平均粒径1〜10nmの超微粒子状の触媒成分を担持したものがある。この場合の触媒成分の例としては、白金、ルテニウム、イリジウム、銅等の金属がある。また、平均粒径が0.1mm〜0.5mm程度の、白金、ルテニウム、イリジウム、銅等の金属粉末又は微粒子等を使用することができる。
【0012】
担体としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化亜鉛等の金属酸化物の微粒子、即ち、酸化物セラミックスの微粒子やゼオライト等の微粒子を使用することができる。特に好ましい担体としては、多孔質γ−アルミナを500〜1200℃程度の温度で加熱処理して、その表面構造を維持したままα−アルミナ結晶相に変換したものをあげることができる。
好適に用いられる触媒としては、例えば上記の酸化アルミニウム担体上に、1〜30重量%程度のルテニウムやイリジウムのナノ粒子を担持させたもの(例えば、10wt%Ru/α−A1触媒)等が挙げられる。
【0013】
つぎに、図面を参照しながら本発明の好適な形態について説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の第1の実施の形態による、各種の基板上に窒化物膜を形成する堆積装置を示す模式図であり、図2は、この堆積装置内に配置される触媒反応装置の拡大模式図である。そして、図3はこの堆積装置内に配置される触媒反応装置の他の例を示す断面拡大模式図である。
【0014】
図1及び図2を参照すると、堆積装置1は減圧に排気可能な反応室2を有し、反応室2内には、窒素供給ガス供給部11に接続された窒素供給ガス導入口3及び反応ガス噴出ノズル4を有する触媒反応装置5と、窒化物膜の原料となる有機金属化合物ガスを供給するために、有機金属化合物ガス供給部12に接続された化合物ガス導入ノズル6と、基板7を支持する基板ホルダー8とが配置されている。また、反応室2は、排気管13を介してターボ分子ポンプ14及びロータリーポンプ15に接続されている。
【0015】
図2を参照すると、触媒反応装置5は、例えばステンレス鋼などの金属により構成された円筒状の触媒容器ジャケット21内に、セラミックス又は金属等の材料により構成された触媒反応容器22を収納し、反応ガス噴出ノズル4により触媒容器ジャケット21を封鎖したものである。触媒反応容器22内には、微粒子状の担体に超微粒子状の触媒成分を担持させた触媒25が配置される。触媒反応容器22の一端部は、窒素供給ガス導入口3を介して窒素供給ガス供給部11に接続されており、他端部には触媒25を押さえるために金属メッシュ23が配置されている。
【0016】
この触媒反応装置5内に、窒素供給ガス供給部11に接続された窒素供給ガス導入口3から、ヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを導入すると、微粒子状の触媒25により窒素供給ガスの分解反応が行われる。これらの反応は大量の発熱を伴うものであり、この反応熱により700〜800℃程度の高温に加熱された反応性ガスが、反応ガス噴出ノズル4から基板ホルダー8に保持された基板7に向かって勢いよく噴出する。噴出した反応性ガスは、本実施の形態においては、有機金属化合物ガス供給部12に接続された化合物ガス導入ノズル6から供給される有機金属化合物ガスと反応して、金属窒化物ガス24となり基板7の表面に金属窒化物膜を堆積する。
【0017】
触媒反応装置5の反応ガス噴出ノズル4の先端部には開閉可能なシャッター26を設け、反応初期にシャッター26を閉じて副生ガス(未成熟なプリカーサ)が基板7に到達するのを遮断しているが、このシャッター26は省略することができる。シャッター26を設けた場合には、基板7上により均一な性状を有する金属窒化物膜を形成することが可能となる。すなわち、上記の窒素供給ガスを触媒反応装置5に導入した直後は触媒25の温度は低く、窒素供給ガスの分解割合も低いため、窒素と金属との実質的な供給比が所望の値となっていない場合があるが、シャッター26を閉じたまま、触媒25の温度が700〜800℃程度の範囲の所定の温度で安定するのを待ってシャッター26を開くことにより、堆積初期の段階から、所望の供給比を実現することができる。その結果、均一な性状を有する金属窒化物膜を形成することが可能となる。
【0018】
また、図3に示すように、触媒反応装置5’の触媒容器ジャケット31を、中心部に連通孔35を有するセパレーター32により2室に分割し、一室に第1の触媒反応容器33を配置し、他室に第2の触媒反応容器34を配置しても良い。このようにすれば、触媒反応装置5’内で触媒反応を2段階で行うことが可能である。例えば、窒素供給ガスとしてヒドラジンを使用する際に、第1の触媒反応容器33内にヒドラジンをアンモニア成分に分解するヒドラジン分解触媒25aを充填し、第2の触媒反応容器34内に分解されたアンモニア成分をさらにラジカルに分解するアンモニア分解触媒25bを充填することもできる。
【0019】
このような、第1の触媒反応容器33内に充填するヒドラジン分解触媒25aとしては、例えばアルミナ、シリカ、ゼオライト等からなる微粒子状の担体に、5〜30重量%程度のイリジウム超微粒子を担持させた触媒を使用することができる。また、第2の触媒反応容器34内に充填するアンモニア分解触媒25bとしては、例えば同様の担体に、2〜10重量%程度のルテニウム超微粒子を担持させた触媒を使用することができる。
このようなヒドラジンの2段階分解反応は、次のように進行するものと考えられる。
(1)2N → 2NH+H
(2) NH → NH + H,NH + H
【0020】
なお、触媒反応容器33,34に同一種類の触媒を充填しても良い。また、触媒反応装置5’を3室以上に分割し、触媒反応を3段階以上の多段階で行うようにすることも可能である。
上記のように、第1の実施の形態においては、触媒反応装置5内にヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを導入し、微粒子状の触媒と接触させて得られた高エネルギーの反応性ガスを触媒反応装置から噴出させて有機金属化合物ガスと反応させることによって、大量の電気エネルギーを必要とせずに、各種の基板上に低コストで効率良く金属窒化物膜を形成することができる。このような、大量の発熱を伴う化学反応は、窒素供給ガスとして特定のガスを選択し、微粒子状の触媒を使用することによって、初めて実現することができたものである。
【0021】
本発明の第1の実施の形態においては、基板を高温に加熱する必要がないために、従来の熱CVD法では実現できなかった600℃以下の低温においても、基板上に高品質の膜及びエピタキシャル膜を形成することが可能となる。したがって、従来の技術では実現することが困難であった基板を使用して、半導体材料や各種の電子材料等を低コストで堆積することが可能となる。また、金属窒化物膜の窒素源として、従来法のように毒性のあるアンモニアを大量に使用する必要がないので、環境に対する負荷を大幅に軽減することができる。
【0022】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、ヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスと、触媒反応を調整する反応調整ガスとを別々に触媒反応装置内に導入し、触媒反応装置内でこれらのガスを微粒子状の触媒と接触させて得られた反応性ガスを触媒反応装置から噴出させて、窒化物膜の材料となる有機金属化合物ガスと混合、反応させることにより、基板上に金属窒化物膜が形成される。
【0023】
すなわち、ヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスと、触媒反応を調整する反応調整ガスとを触媒反応装置内で微粒子状の触媒と接触させて反応させることにより、反応熱により約300〜約800℃程度に加熱された反応性ガスを発生させ、この反応性ガスを噴出ノズルから噴出させて金属窒化膜の材料となる有機金属化合物ガスと混合、反応させて基板表面に金属窒化物膜を形成するものである。窒素供給ガスはヒドラジンを含むと好ましい。
なお、触媒反応装置内に収納される触媒、触媒の担体などは、第1の実施の形態における触媒及び担体と同様であるため、重複する記載を省略する。
【0024】
つぎに、図面を参照しながら本実施の形態について説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
図4は、本発明の第2の実施の形態による、各種の基板上に窒化物膜を形成する堆積装置を示す模式図であり、図5は、この堆積装置内に配置される触媒反応装置の拡大模式図である。
【0025】
この反応装置201は減圧に排気可能な反応室202を有し、反応室202内には、本実施の形態において金属窒化物膜の原料として使用される有機金属化合物を供給するために、有機金属化合物ガス供給部212に接続された化合物ガス導入ノズル206と、基板207を支持する基板ホルダー208とが配置されている。反応室202は、排気管213を介してターボ分子ポンプ214及びロータリーポンプ215に接続されている。
【0026】
減圧に排気可能な反応室202には、上記の有機金属化合物を窒化して窒化物膜を形成する窒素供給ガスを供給する窒素供給ガス供給部210と、窒素供給ガスを主に希釈して触媒反応を調整する反応調整ガスを供給する反応調整ガス供給部211が接続されている。詳細には、窒素供給ガス供給部210は、窒素供給ガス導入口203(図5)を介して、反応室202内に配置される触媒反応装置205に接続されている。また、反応調整ガス供給部211は、反応調整ガス導入口213(図5)を介して触媒反応装置205に接続されている。反応調整ガスとしては、例えばアンモニア、窒素などの窒素含有ガスを用いることができる。また、反応調整ガスは、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの不活性ガスや水素(H)ガスであっても良い。
【0027】
触媒反応装置205は、例えばステンレス鋼などの金属により構成された円筒状の触媒容器ジャケット221と、触媒容器ジャケット221内に収納され、セラミックス又は金属等の材料により構成された触媒反応容器222と、触媒反応容器222の内部と連通する貫通孔を有し、触媒容器ジャケット221に取り付けられる噴射ノズル204とにより構成される。
【0028】
触媒反応容器222内には、微粒子状の担体に超微粒子状の触媒成分を担持させた触媒225が配置される。また、触媒反応容器221の一端部は、窒素供給ガス導入口203を介して窒素供給ガス供給部210と接続され、反応調整ガス導入口213を介して反応調整ガス供給部211に接続されており、他端部には、触媒225が噴射ノズル204を通して触媒反応装置205の外へ吹き飛ばされないように触媒を押さえるために金属メッシュ223が配置されている。
【0029】
この触媒反応装置205(触媒反応容器221)内に、窒素供給ガス供給部210に接続された窒素供給ガス導入口203から窒素供給ガスと、反応調整ガス供給部211に接続された反応調整ガス導入口213から反応調整ガスを導入する。例えば、窒素供給ガスとしてのヒドラジンと、反応調整ガスとしてのアンモニアとを触媒反応容器221内へ導入することにより、触媒反応容器221内のヒドラジンの濃度をアンモニアにより調整することができる。微粒子状の触媒によるヒドラジンの分解は、大量の発熱を伴うが、アンモニアでヒドラジンの濃度を調整することにより、触媒反応容器221内の温度を調整することが可能となる。また、アンモニアの一部も触媒反応容器221内で触媒225により分解されて、金属化合物ガスと反応する反応性ガスとなる。
なお、窒素供給ガスとしてのヒドラジンと、反応調整ガスとしての窒素(N)とを触媒反応容器221内へ供給することによっても、同様に、触媒反応容器221内のヒドラジンの濃度をNにより調整することができる。
【0030】
このようにして、温度が調整された反応性ガスが反応ガス噴出ノズル204から基板ホルダー208に保持された基板207に向かって勢いよく噴出する。この反応性ガスは、有機金属化合物ガス供給部212に接続された化合物ガス導入ノズル206から供給される有機金属化合物ガスと基板207の近傍において反応して金属窒化物224となり、基板207の表面に金属窒化物膜が堆積される。
【0031】
なお、第1の実施の形態による堆積装置1と同様に、触媒反応装置205と基板207の間に開閉可能なシャッター226(図中では開いた状態を示す)を設け、反応初期にシャッターを閉じて副生ガス(堆積プロセスが安定して進行する状態になる前の段階で触媒反応装置205から基板207に向かって噴出する膜堆積に不適なガス)を遮断するようにしてもよい。このような構成を採用した場合には、基板207上により均一な性状を有する金属窒化物膜を形成することが可能となる。
【0032】
上記のように、第2の実施の形態においては、触媒反応装置205内に金属窒化物膜の窒素源となる窒素供給ガスを導入し、窒素供給ガスと微粒子状の触媒との接触により得られた反応性ガスを触媒反応装置205から噴出させて有機金属化合物ガスと反応させることができるため、第1の実施の形態と同様に、大量の電気エネルギーを必要とせずに、各種の基板上に低コストで効率良く金属窒化物膜を形成することが可能となる。このような、大量の発熱を伴う化学反応は、窒素源として特定のガスを選択し、微粒子状の触媒を使用することによって、初めて実現することができたものである。
さらに、第2の実施の形態では、基板を高温に加熱する必要がないために、従来の熱CVD法では実現できなかった400℃以下の低温においても、基板上に高品質の窒化物膜を形成することが可能となる。したがって、従来の技術では実現することが困難であった基板を使用して、半導体材料や各種の電子材料等を低コストで堆積することが可能となる。
【0033】
また、本実施の形態による堆積装置201においては、触媒反応装置205に対して、窒素供給ガス導入口203(図5)を介して窒素供給ガス供給部210が接続されているだけでなく、反応調整ガス導入口213(図5)を介して反応調整ガス供給部211が接続されているため、窒素供給ガスとしてのヒドラジンとともに、例えば反応調整ガスとしてのアンモニア又はNを触媒反応装置205へ導入することができる。これにより、触媒225でヒドラジンを分解することにより発生する反応性ガスの量、すなわち、基板207へ供給される反応性ガスの量を調整することができ、その結果、基板207に堆積される窒化物膜の特性を向上することが可能となる。さらに、ヒドラジンの濃度を調整することにより分解による発熱量を調整することができ、触媒225の温度だけでなく反応性ガスの温度もまた調整されるため、基板207へ堆積される窒化物膜の特性を向上することが可能となる。換言すると、第2の実施の形態によれば、反応調整ガスの利用により、プロセスウィンドウを広げることができ、堆積条件の最適化を通して高品位な窒化物膜を得ることが可能となる。
【0034】
なお、本実施の形態において、窒素供給ガス導入口203及び反応調整ガス導入口213は、図5に示すように、反応ガス噴出ノズル204に対向した位置において触媒反応装置205に接続されているが、他の実施の形態においては、図6に示すように、窒素供給ガス導入口203及び反応調整ガス導入口213のどちらか一方を反応ガス噴出ノズル204に対向した位置に接続し、他方を触媒反応装置205の側面となる位置に接続しても良い。また、別の実施の形態においては、図7に示すように、窒素供給ガス導入口203と、反応調整ガス導入口213とを、触媒反応装置205の側面となる位置に接続しても良い。これらの構成によっても上記の効果が発揮される。
【0035】
次に、図8に基づき、本実施の形態における金属窒化物膜の堆積プロセスについて、より詳しく説明する。
最初に、窒素供給ガス供給部210から窒素供給ガス導入口203(図5)を介して触媒反応装置205内へ窒素供給ガスを導入する。窒素供給ガスは、ヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上のガスであって良く、ヒドラジンを含んでいると好ましい。窒素供給ガスを触媒反応装置205内へ導入すると、ステップS102に示すように、微粒子状の触媒により窒素供給ガスの少なくとも一部が分解して反応性ガスが生成される。この分解は大量の発熱を伴うものであり、この反応熱により加熱された高温の反応性ガスが、反応ガス噴出ノズル204から基板ホルダー208に保持された基板207に向かって勢いよく噴出する。
【0036】
次に、ステップS104に示すように、有機金属化合物ガス供給部212から化合物ガス導入ノズル206を通して供給すると、生成された反応性ガスと有機金属化合物ガスとが化学反応し、触媒反応装置205と基板207の間、又は触媒反応装置205の反応ガス噴出ノズル204の近辺において、金属窒化物ガス224が生成される。
次に、ステップS106に示すように、生成された金属窒化物ガス224が基板207の表面に吸着し、基板207上に金属窒化物膜が堆積される。このような工程により、金属窒化物膜の堆積が行われる。
【0037】
なお、ステップS102とS104は、上記の順番に従って行う必要はない。例えば、ステップS102における触媒反応装置205への窒素供給ガスの導入と、ステップS104における有機金属化合物ガスの供給とは同時に行っても良い。また、使用する基板や堆積条件によっては、有機金属化合物ガスの供給が、窒素供給ガスの導入より先に行われても構わない。
また、ステップS102においては、触媒反応装置205へ窒素供給ガスを供給することに加えて、反応調整ガスを触媒反応装置205へ供給しても良い。また、ステップS104においては、有機金属化合物ガスに限らず、他の化合物ガスを供給しても良い。
【実施例】
【0038】
つぎに、実施例により本発明をさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。以下の例では、第1の実施の形態による、図1及び図2に示す反応装置を使用して、シリコン基板上に窒化ガリウム膜を形成した。
【0039】
(実施例1)
平均粒子径0.3mmのγ−Al担体を大気中1000℃で4時間焼成し、α−Al担体109を作製した。この担体に塩化ルテニウム0.943gを含浸担持した後、空気中450℃で4時間焼成することにより、3wt%Ru/α−Al触媒を得た。
図2の触媒反応容器22に5gの3wt%Ru/α−Al触媒を充填し、金属メッシュ23を配置した後に、噴射ノズル4を設置して触媒反応装置5を構成し、減圧に排気可能な反応室2内に配置した。
【0040】
上記の触媒反応装置5内に、窒素供給ガス供給部11からヒドラジンをバルブ(図示せず)を短時間で開閉(バルブ開時間20ms)することにより導入し、触媒表面でヒドラジンを分解し、触媒反応容器22内で温度700℃となるヒドラジン分解ガスを生成した。そして、ノズル先端に設置したシャッター26を閉じた状態で噴射ノズル4からこのヒドラジン分解ガスを噴射させた。(この状態では、ヒドラジン分解ガスはシャッター26の側端部から基板7と平行な方向に噴出され、基板7には到達しない。)
一方、有機金属化合物ガス供給部12から、化合物ガス導入ノズル6を介してトリメチルガリウム1×10−3Torr(0.133Pa)を反応室2内に導入し、上記の高温ヒドラジン分解ガスに接触させてGaN前駆体を形成した。
【0041】
つぎに、反応室2内に配置した表面温度600℃のシリコン単結晶基板(サイズ5mm×20mm)の表面に、触媒反応装置5のシャッター26を開けることによってGaN前駆体を供給し、GaN膜を堆積した。この例では、堆積時間を20分として、膜厚約1μmのGaN膜が得られた。得られたGaN膜について測定したX線回折(XRD)パターンを図10に、またフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを図11に示す。XRDパターンにおいては、(0002)面からの回折が顕著であり、ほぼ単結晶のGaN膜が得られることが分かる。また、PLスペクトルにおいては、半値幅の狭いバンド端発光が顕著に認められ、光学的にも優れたGaN膜が得られていることが分かる。これらから、本発明の実施の形態による堆積装置及び堆積方法の利点が理解される。なお、シリコン基板の代わりにサファイア基板を用いても同様の結果が得られた。
【0042】
本発明では、触媒反応装置内にヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを導入し、微粒子状の触媒と接触させて得られた高エネルギーの反応性ガスを触媒反応装置から噴出させて化合物ガスと反応させることによって、大量の電気エネルギーを必要とせずに、各種の基板上に低コストで効率良く均一な性状を有する窒化物膜を形成することができる。また、窒化物膜の窒素源として、従来法のように毒性のあるアンモニアを大量に使用する必要がないので、環境に対する負荷を大幅に軽減することができる。
【0043】
以上、幾つかの実施の形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されることなく、添付の請求の範囲に照らし、種々の変更・改変が可能である。
たとえば、第1及び第2の実施の形態において、基板表面に堆積する窒化物、窒化物の原料となる金属化合物ガス、使用する基板、及び触媒の形状は、以下のように種々に変更して良い。
【0044】
基板表面に堆積する窒化物としては、上記の窒化ガリウムに限らず、例えば窒化アルミニウム、窒化インジウム、窒化ガリウムインジウム(GaInN)、窒化ガリウムアルミニウム(GaAlN)、窒化ガリウムインジウムアルミニウム(GaInAlN)などの金属窒化物や、半金属窒化物を挙げることができる。半金属窒化物は例えば半導体窒化物を含み、半導体窒化物の一例は窒化珪素である。
【0045】
金属窒化物膜を堆積する場合、原料となる金属化合物ガスとしては特に制限はなく、例えば従来CVD法で金属窒化物を形成する際に使用される有機金属化合物ガスはいずれも使用することができる。このような有機金属化合物としては、例えば各種金属のアルキル化合物、アルケニル化合物、フェニルあるいはアルキルフェニル化合物、アルコキシド化合物、ジ−ピバロイルメタン化合物、ハロゲン化合物、アセチルアセトネート化合物、EDTA化合物等が挙げられる。
【0046】
好ましい有機金属化合物としては、各種金属のアルキル化合物、アルコキシド化合物が挙げられる。具体的には、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、トリエトキシガリウム、トリエトキシアルミニウム、トリエトキシインジウム等が挙げられる。
基板表面に窒化ガリウム膜を形成する場合には、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム等のトリアルキルガリウムを原料とし、触媒として微粒子状の多孔質アルミナにルテニウム超微粒子を担持させたものを使用することが好ましい。
【0047】
また、金属窒化物膜の原料となる金属化合物ガスは、有機金属化合物ガスに限らず、無機金属化合物ガスであっても良い。無機金属化合物ガスは、これらに限定されないが例えば、有機金属化合物以外のハロゲン化合物ガスであって良く、具体的には、塩化ガリウム(GaCl,GaCl,GaCl)等の塩化物ガスであって良い。また、無機金属化合物ガスを用いる場合は、有機金属化合物ガス供給部212の代わりに、無機金属化合物ガスが充填されたガスシリンダを堆積装置1(201,101)に設け、化合物ガス導入ノズル6(206,106)を介して無機金属化合物ガスを供給するようにして良い。
【0048】
基板表面に窒化珪素膜を形成する場合には、珪素の原料として、例えば、水素化珪素化合物、ハロゲン化珪素化合物、有機珪素化合物を用いることができる。水素化珪素化合物の例としては、シラン(Silane)、ジシラン(Disilane)がある。ハロゲン化珪素化合物の例としては、ジクロロシラン(Dichlorosilane)、トリクロロシラン(Trichlorosilane)、テトラクロロシラン(Tetrachlorosilane)などの塩化珪素化合物がある。有機珪素化合物の例としては、テトラエトキシシラン(Tetraethoxysilane)、テトラメトキシシラン(Tetramethoxysilane)、ヘキサメチルジシラザン(Hexamethyldisilazane)がある。
【0049】
基板としては、例えば金属、金属窒化物、ガラス、セラミックス、半導体、プラスチックから選択されたものを使用することができる。
好ましい基板としては、サファイア等に代表される化合物単結晶基板、Si等に代表される単結晶基板、ガラスに代表されるアモルファス基板、ポリイミド等のエンジニアリングプラスチック基板等が挙げられる。
【0050】
さらに、触媒を担持する担体の形状は、スポンジ状等の多くの孔を有する形状や、ハニカム状等の貫通孔を有する形状等のバルク形状であってもよい。また、担体に担持される白金、ルテニウム、イリジウム、銅等の触媒物質の形状は、微粒子状に限られず、例えば、膜状であっても良い。本実施の形態における効果を確実に得るためには触媒物質の表面積が大きい方が好ましい。そこで、例えば、上述の担体の表面に触媒物質の膜を形成すれば、触媒物質の表面積を大きくすることができるため、微粒子状の触媒と同様の効果を得ることができる。
【0051】
また、第1の実施の形態による堆積装置1と第2の実施の形態による堆積装置201とにおいて、触媒反応装置205は、反応室202の内部に配置されたが、反応室の外に設けられて、反応室と接続されても良い。そのような配置を図9に示す。図示の通り、この反応装置101では、窒素供給ガス供給部111に接続された窒素供給ガス導入口103及び反応ガス噴出ノズル104を有する触媒反応装置105が、反応室102の外に配置され、反応ガス噴出ノズル104により減圧に排気可能な反応室102と接続されている。また、減圧に排気可能な反応室102内には、窒化物膜の原料となる有機金属化合物(有機珪素化合物を含む)を供給する有機金属化合物ガス供給部112に接続された化合物ガス導入ノズル106と、基板107を支持する基板ホルダー108とが配置されている。さらに、反応室102は、排気管113を介してターボ分子ポンプ114及びロータリーポンプ115に接続されている。なお、図9に示す反応装置101においても、触媒反応装置105と基板107の間に開閉可能なシャッター126(図中では開いた状態を示す)を設け、反応初期にシャッターを閉じて副生ガスを遮断するようにしてもよい。このような構成を採用した場合には、基板107上により均一な性状を有する窒化物膜を形成することが可能となる。
【0052】
なお、上記の実施例においては、第1の実施の形態による成膜装置1を使用したが、第2の実施の形態による、図5に示す成膜装置201や、図9に示す成膜装置101を用いた場合にも同様の結果が得られることが分かっている。また、基板の温度が室温から1500℃程度までの範囲で高品位なGaN薄膜が得られることが確認されている。ただし、基板温度は、約500℃から約1200℃までの範囲であれば、より好適である。
【0053】
また、第2の実施の形態による堆積装置201おいて、反応調整ガスと窒素供給ガスとを別々に触媒反応装置205へ導入したが、第1の実施の形態による堆積装置1において、窒素供給ガスと反応調整ガスの混合ガスを供給できるように窒素供給ガス供給部11を構成し、この混合ガスを触媒反応装置5へ導入しても良い。
さらに、図1(図4、図9)においては、一つの有機金属化合物ガス供給部12(212、112)が図示されているが、堆積装置1(201、101)は、複数の有機金属化合物ガス供給部12(212、112)とこれらに対応した複数の化合物ガス導入ノズル6(206、106)とを有して良い。このようにすれば、GaInNやGaAlNなどの3元混晶及びGaInAlNなどの4元混晶を堆積することが可能となり、また、GaN、AlNなどの2元化合物やこれらの混晶によるヘテロエピタキシャル層を形成することも可能となる。
【0054】
また、堆積装置1,201,101の基板ホルダー208は、基板207をほぼ垂直に支持するのではなく水平に支持するように配置しても良い。さらに、基板ホルダー208に、基板207の温度を制御する温度調整部を設け、基板207の温度を室温から1500℃程度の範囲で制御するようにしても良い。温度調整部は、基板207の温度を上げるだけでなく、高温の反応性ガスによって基板207の温度が上昇しすぎないように基板207を冷却することができるように構成しても良い。このような構成は、例えば、基板ホルダー208内に冷却水が循環することができる導管を設けたり、ペルチェ素子を内蔵したりすることにより実現することができ、特に、プラスチック基板上に窒化物膜を堆積する場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施の形態による堆積装置を示す模式図である。
【図2】図1の装置内に配置される触媒反応装置の断面拡大模式図である。
【図3】図1の装置内に配置される触媒反応装置の他の例を示す断面拡大模式図である
【図4】本発明の第2の実施の形態による堆積装置を示す模式図である。
【図5】図4の装置内に配置される触媒反応装置の断面拡大模式図である。
【図6】図4の装置内に配置される触媒反応装置の他の例を示す断面拡大模式図である。
【図7】図4の装置内に配置される触媒反応装置のまた別の例を示す断面拡大模式図である。
【図8】本発明の実施の形態による成膜方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施の形態による堆積装置を示す模式図である。
【図10】実施例で得られたGaN膜のXRDパターンを示す図である。
【図11】実施例で得られたGaN膜のフォトルミネッセンススペクトルを示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1、101、201 反応装置
2、102、202 反応室
3、103、203 窒素供給ガス導入口
4、104、204 噴出ノズル
5、5’、105、205 触媒反応装置
6、106、206 化合物ガス導入ノズル
7、107、207 基板
8、108、208 基板ホルダー
11、111、211 窒素供給ガス供給部
12、112、212 化合物ガス供給部
13、113、213 排気管
14、114、214 ターボ分子ポンプ
15、115、215 ロータリーポンプ
21、31、221 触媒容器ジャケット
22、222 触媒反応容器
23、223 金属メッシュ
24、224 窒化物ガス
25、25a、25b、225 触媒
26、126、226 シャッター
32 セパレーター
33 第1の触媒反応容器
34 第2の触媒反応容器
35 連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒反応装置内にヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを導入し、該窒素供給ガスを触媒と接触させることにより生成される反応性ガスを前記触媒反応装置から噴出させ、該反応性ガスと化合物ガスとを反応させて、基板上に窒化物膜を堆積させる、窒化物膜の堆積方法。
【請求項2】
前記触媒反応装置が減圧に排気可能な反応室内に配置され、前記触媒が粒子状であり、前記化合物ガスが有機金属化合物のガスである、請求項1に記載の堆積方法。
【請求項3】
前記化合物ガスが金属化合物のガスである、請求項1に記載の堆積方法。
【請求項4】
前記金属化合物が有機金属化合物である、請求項3に記載の堆積方法。
【請求項5】
前記有機金属化合物がガリウム、アルミニウム、及びインジウムから選択された少なくとも一種類の金属の有機金属化合物である、請求項2又は4に記載の堆積方法。
【請求項6】
前記化合物ガスがガリウム含有ガスである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の堆積方法。
【請求項7】
前記化合物ガスが珪素化合物のガスである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の堆積方法。
【請求項8】
前記珪素化合物が有機珪素化合物又は水素化珪素化合物又はハロゲン化珪素化合物である、請求項7に記載の堆積方法。
【請求項9】
前記触媒が粒子状である、請求項1、3〜8のいずれか1項に記載の堆積方法。
【請求項10】
前記触媒が、平均粒径0.05〜2.0mmの粒子状の担体と、該担体に担持される平均粒径1〜10nmの粒子状の触媒成分とを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の堆積方法。
【請求項11】
前記有機金属化合物がトリアルキルガリウムであり、
前記触媒が、粒子状の酸化物セラミックスの担体と、該担体に担持される、白金、ルテニウム、イリジウム、及び銅の少なくとも一つの金属の粒子とを含む、請求項2又は4に記載の堆積方法。
【請求項12】
前記担体が酸化アルミニウムの担体であり、前記粒子がルテニウムの粒子である、請求項11に記載の堆積方法。
【請求項13】
前記窒素供給ガスがヒドラジンを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の堆積方法。
【請求項14】
前記触媒反応装置が、減圧に排気可能な反応室内に配置される、請求項1、3〜13のいずれか1項に記載の堆積方法。
【請求項15】
前記触媒反応装置の噴出口近辺で前記反応性ガスと前記化合物ガスを反応させる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の堆積方法。
【請求項16】
前記触媒反応装置内において、前記窒素供給ガスを前記触媒と接触させることにより、反応熱により加熱された前記反応性ガスを生成する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の堆積方法。
【請求項17】
前記基板が金属、金属窒化物、ガラス、セラミックス、半導体、プラスチックから選択される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の堆積方法。
【請求項18】
前記基板の温度が室温〜1500℃の範囲にある、請求項1〜17のいずれか1項に記載の堆積方法。
【請求項19】
触媒を収納する触媒反応装置内にヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを導入し、該窒素供給ガスを触媒と接触させることにより反応性ガスを生成する工程と、
前記生成された反応性ガスを前記触媒反応装置から噴出させ、該反応性ガスと化合物ガスとを反応させる工程と、
前記反応性ガスと前記化合物ガスとの反応により生成される窒化物を基板上に堆積させる工程と
を含む、窒化物膜の堆積方法。
【請求項20】
前記反応性ガスを生成する工程が、前記窒素供給ガスの前記触媒による反応を調整する反応調整ガスを前記触媒反応装置内に導入する工程を含む、請求項19に記載の堆積方法。
【請求項21】
基板を支持する基板支持部と、
化合物ガスを供給する化合物ガス供給部と、
ヒドラジン及び窒素酸化物から選択された1種以上の窒素供給ガスを接触させることにより反応性ガスを生成することが可能な触媒を内部に収納し、該反応性ガスを前記基板に向けて噴出させる触媒反応装置と
を備え、前記化合物ガスと前記反応性ガスとを反応させて前記基板上に窒化物膜を堆積する、窒化物膜の堆積装置。
【請求項22】
減圧に排気可能な反応室を更に備え、
前記基板支持部と前記触媒反応装置とが前記反応室内に配置される、請求項21に記載の堆積装置。
【請求項23】
減圧に排気可能な反応室を更に備え、
前記基板支持部が前記反応室内に配置され、前記触媒反応装置が前記反応室の外に配置される、請求項21に記載の堆積装置。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−49392(P2009−49392A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187952(P2008−187952)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【Fターム(参考)】