説明

素子、素子の製造方法、基板、基板の製造方法、実装構造体、実装方法、発光ダイオードディスプレイ、発光ダイオードバックライトおよび電子機器

【課題】基板上に素子を実装する場合に、基板上の配線と素子とを確実に電気的に接続することができ、しかもバンプのさらなる微細化、多ピン接続が可能な実装構造体および実装方法を提供する。
【解決手段】配線基板10の配線12上に弾性体からなる凸部13の少なくとも先端部の表面が導電膜14で被覆された構造の突起部15を少なくとも一つ形成する。素子20上にバンプ22を形成する。配線基板10上に接着剤30を塗布し、この接着剤30に素子20を仮実装する。素子20を配線基板10に対して加圧することにより、配線基板10上の突起部15の少なくとも先端部を素子20のバンプ22に埋没させる。その後、接着剤30を硬化させ、素子20と配線基板10とを接着固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、素子、素子の製造方法、基板、基板の製造方法、実装構造体、実装方法、発光ダイオードディスプレイ、発光ダイオードバックライトおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に形成された配線と素子とを電気的に接続する方法には、はんだ接合、圧着による接合、導電性ペーストによる接続、非導電性ペーストによる接合などの種々の方法があるが、それぞれ次のような問題点を有している。
はんだ接合では、例えば250〜300℃程度のはんだ溶融温度への昇温が必要であるため、素子および基板にその温度での耐熱性が必要とされる。また、はんだバンプの微細化が困難であること、はんだが溶融して広がることなどから、例えば30μm程度の狭ピッチの配線接続は実現困難である。
【0003】
圧着による接合では、一般的に、接合面に対して圧力と超音波振動との両方を加えることで、バンプおよび配線の新生面同士を接触させ接合させる。ところが、チップサイズが例えば30mm×30mm程度に大きくなると均等な超音波振動を与えることが難しく、多ピン接続が困難である。さらに、バンプが例えば10μm×10μm程度に小さくなると、例えば20μm程度の振幅の超音波では、接続原理自体が成り立たなくなり、微細化が困難である。
【0004】
導電性ペーストによる接続では、一般的に導電フィラーによって導電性を発現させているため、そのフィラーサイズよりも十分大きなバンプ、配線同士の接続にしか適用できない。カーボンや銀などの一般的な導電フィラーは、小さいもので直径1μm程度のものなどがあるものの、そのような導電フィラーでも粒径分布を有しており、例えば直径50μm程度のものも混在している。そのため、例えば100μm以下のサイズのバンプや配線の接続には適していない。また、一般的に導電性ペーストは接着力に乏しく、信頼性の高い接続を得るのは困難である。
非導電性ペーストによる接合は、バンプの微細化には適しているものの、熱サイクルなどの応力に対する信頼性確保が困難である。
【0005】
以上の従来技術では実現できなかった微細、多ピン接続を実現する技術として、直径5μm程度の導電粒子を熱硬化フィルム中に分散させた異方導電フィルム(Anisotropic Conductive Film,ACF)による接続技術が開発され(例えば、特許文献1参照。)、現時点で約30μmピッチ、1000ピン程度の接続が実現されている。
【特許文献1】特開2005−144745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の異方導電フィルムによる接続技術は、バンプが微細化した際のバンプによる導電粒子の捕獲確率が小さくなったり、導電粒子が小さくなったときのバンプの高さのばらつきの吸収が難しいなど、バンプのさらなる微細化、多ピン化には多くの課題を有している。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、基板上に素子を実装する場合に、基板上の配線と素子とを確実に電気的に接続することができ、しかもバンプのさらなる微細化、多ピン接続が可能な実装構造体および実装方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記のような実装構造体および実装方法に適用して好適な素子および基板ならびにそれらの製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、上記のような実装構造体に基づく発光ダイオードディスプレイ、発光ダイオードバックライトおよび電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明は、
弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有することを特徴とする素子である。
ここで、突起部の数は、例えばこの素子を基板上のバンプを用いて実装する際のバンプの平面形状や面積などに応じて適宜決められ、一つであっても複数であってもよいが、通常は三つ以内で十分である。この突起部の大きさ(高さ、幅)も、例えばこの素子を基板上のバンプを用いて実装する際のバンプの平面形状や面積などに応じて適宜決められる。この突起部の形状は、平面形状も断面形状も基本的にはどのようなものであってもよく、必要に応じて選ばれるが、具体的には、例えば、円錐台、四角錐台などである。
【0008】
凸部を構成する弾性体としては、基本的にはどのようなものを用いてもよく、必要に応じて選ばれるが、好適には、素子を実装する際に加える荷重により突起部が圧縮力を受けたときに凸部が弾性変形し、必要な反発力が得られるような圧縮弾性率を有するものが用いられる。この弾性体の材料は、一般的には有機材料が用いられるが、これに限定されるものではない。また、この弾性体は非導電性であっても導電性であってもよい。
【0009】
弾性体に用いる有機材料の例を挙げると、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリウレタン樹脂、ポリエステル、シリコーンゴム、エポキシ樹脂、シロキサン結合を有する有機シリコーン化合物などであり、これらを二種以上含むものでもよい。これらに加えて、発泡物質、具体的には、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンまたはこれらの混合物を用いてもよく、これらは特に弾性に富み柔軟な弾性体を得る場合に好適なものである。有機材料としては、例えばイオンを取り込んで変形する有機導電性物質、例えば、複素芳香環系導電性高分子、具体的にはポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどを用いてもよい。さらに、有機材料として高分子ゲル材料を用いることもできる。これらの有機材料のいくつかの圧縮弾性率を挙げると、PBOは2〜3GPa、ポリスチレン樹脂およびメラミン樹脂は2〜12GPa、シリコーンゴムは1〜100MPaである。
【0010】
典型的には、素子は少なくとも一つの電極を有し、突起部はこの電極上に、この電極と凸部の表面を被覆する導電膜とが導通した状態で設けられるが、凸部が導電性の弾性体からなる場合には必ずしもそのようにする必要はない。また、例えば基板上にこの素子を実装する場合に、この基板上に設けられたバンプに対して突起部の少なくとも先端部が埋没した時点で初めて、この電極と凸部の表面を被覆する導電膜とが導通するようにしてもよい。
さらに、素子の電極上にバンプを設け、このバンプ上に突起部を設けてもよい。
凸部の大きさ(高さ、幅)は、素子を実装する際に加える荷重により突起部が圧縮力を受けたときにこの凸部が弾性変形し、必要な反発力が得られるように選ばれる。凸部の形状は、平面形状も断面形状も基本的にはどのようなものであってもよく、必要に応じて選ばれるが、具体的には、例えば、円錐台、四角錐台などである。
【0011】
凸部を被覆する導電膜の材料としては、基本的にはどのようなものを用いてもよく、必要に応じて選ばれるが、例えばこの素子を基板上のバンプを用いて実装する場合に、バンプ材料(例えば、Au、はんだなど)などとの兼ね合いで、この基板上のバンプに対して突起部の少なくとも先端部を埋没させることができる程度の機械的強度(特に、硬度)を有し、かつ、このバンプとの接続抵抗が十分に低く(例えば、100Ω以下、好適には30Ω以下、より好適には20Ω以下、さらに好適には5Ω以下)、良好な電気的接触が得られる程度の抵抗率を有するものが用いられる。この導電膜は、具体的には、例えば、各種の金属(単体金属および合金)、導電性酸化物などである。金属の具体例を挙げると、Au、Al、Cuなどであるが、これに限定されるものではない。導電性酸化物の具体例を挙げると、インジウム−スズ酸化物(ITO)などであるが、これに限定されるものではない。この導電膜は、好適には凸部の表面全体を被覆するように設けられるが、これに限定されるものではない。
【0012】
素子は、基本的にはどのようなものであってもよいが、例えば、発光素子(発光ダイオード、半導体レーザ、エレクトロルミネッセンス(EL)素子など)、受光素子(フォトダイオード、CCDセンサ、MOSセンサなど)、電子素子(ICチップなど)などである。この素子は、半導体素子(発光素子、受光素子、電子走行素子など)のほか、圧電素子、焦電素子、光学素子(非線形光学結晶を用いる第2次高調波発生素子など)、誘電体素子(強誘電体素子を含む)、超伝導素子などの各種のものを含む。素子の大きさ(チップサイズ)も特に制限されない。
【0013】
第2の発明は、
素子上に弾性体からなる凸部を少なくとも一つ形成し、この凸部の少なくとも先端部の表面を導電膜で被覆して突起部を少なくとも一つ形成するようにしたことを特徴とする素子の製造方法である。
ここで、凸部の形成方法としては、基本的にはどのような方法を用いてもよく、必要に応じて選ばれるが、例えば、弾性体からなる膜を形成した後、この膜をリソグラフィーおよびエッチングによりパターニングする方法、印刷方法(コンタクトプリント法、インプリント法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷など)などを用いることができる。
この第2の発明においては、上記以外のことについては、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【0014】
第3の発明は、
弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有することを特徴とする基板である。
典型的には、基板上に配線(電極も含むものとする)が設けられ、突起部はこの配線上に、この配線と凸部の表面を被覆する導電膜とが導通した状態で設けられる。この基板の材料としては、基本的にはどのようなものを用いてもよく、必要に応じて選ばれるが、例えば、ガラス、プラスチックなどである。この基板の形態も板状、フィルム状、テープ状などのいずれであってもよい。
基板上の配線上にバンプを設け、このバンプ上に突起部を設けてもよい。
この第3の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【0015】
第4の発明は、
基板上に弾性体からなる凸部を少なくとも一つ形成し、この凸部の少なくとも先端部の表面を導電膜で被覆することにより突起部を少なくとも一つ形成するようにしたことを特徴とする基板の製造方法である。
この第4の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3の発明に関連して説明したことが成立する。
【0016】
第5の発明は、
少なくとも一つのバンプを有する基板上に、弾性体からなる凸部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有する素子が少なくとも一つ実装された実装構造体であって、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とするものである。
【0017】
ここで、典型的には、基板と素子とは接着剤により相互に接着されて固定されている。この接着剤としては、基本的にはどのようなものを用いてもよく、必要に応じて選ばれるが、未硬化の状態ではこの接着剤の粘着性を利用して素子を仮実装(仮留め)することができ、硬化後に基板と素子とを確実に相互に固定することができるものを用いるのが望ましい。接着剤の形態も、ペースト、フィルムなどの各種のものであってよい。接着剤としては、典型的には、樹脂製のもの(接着樹脂)が用いられる。接着樹脂は、好適には、熱硬化性樹脂であるが、これに限定されるものではない。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミドなどが挙げられる。
【0018】
基板上に実装する素子は、一つまたは複数であり、基板の用途や機能などに応じてその数、種類、配置、間隔などが決められる。
この実装構造体は、基本的にはどのような用途や機能を有するものであってもよいが、例えば、発光ダイオードディスプレイ、発光ダイオードバックライト、発光ダイオード照明装置、ELディスプレイ、電子機器などである。
この第5の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3の発明に関連して説明したことが成立する。
【0019】
第6の発明は、
少なくとも一つのバンプを有する基板上に、弾性体からなる凸部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有する素子を少なくとも一つ実装する実装方法であって、
上記基板および上記素子のうちの一方に対して他方を加圧することにより、少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部を少なくとも一つの上記バンプに埋没させるようにした
ことを特徴とするものである。
【0020】
典型的には、基板および素子のうちの少なくとも一方の上にあらかじめ接着剤を塗布した状態でこれらの基板および素子のうちの一方に対して他方を加圧することにより、少なくとも一つの突起部の少なくとも先端部を少なくとも一つのバンプに埋没させるようにする。このとき、好適には、突起部の弾性体からなる凸部が弾性変形しつつ、バンプに突起部の少なくとも先端部が埋没するようにする。この後、こうして加圧したままの状態で接着剤を硬化させることにより、この状態を保持することができる。
この第6の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3および第5の発明に関連して説明したことが成立する。
【0021】
第7の発明は、
弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有する基板上に、少なくとも一つのバンプを有する素子が少なくとも一つ実装された実装構造体であって、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とするものである。
この第7の発明においては、その性質に反しない限り、第1〜第3、第5および第6の発明に関連して説明したことが成立する。
【0022】
第8の発明は、
弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有する基板上に、少なくとも一つのバンプを有する素子を少なくとも一つ実装する実装方法であって、
上記基板および上記素子のうちの一方に対して他方を加圧することにより、少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部を少なくとも一つの上記バンプに埋没させるようにした
ことを特徴とするものである。
この第8の発明においては、その性質に反しない限り、第1〜第3、第5および第6の発明に関連して説明したことが成立する。
【0023】
第9の発明は、
赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードが基板上にそれぞれ複数個実装された発光ダイオードディスプレイにおいて、
上記赤色発光の発光ダイオード、上記緑色発光の発光ダイオードおよび上記青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一つの発光ダイオードが、その少なくとも一つの電極上に、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
上記基板は少なくとも一つのバンプを有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とするものである。
【0024】
第9の発明においては、赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードとしては、例えば、窒化物系III−V族化合物半導体を用いたものを用いることができる。赤色発光の発光ダイオードとしては、例えば、AlGaInP系半導体を用いたものを用いることもできる。
この第9の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3、第5および第6の発明に関連して説明したことが成立する。
【0025】
第10の発明は、
赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードが基板上にそれぞれ複数個実装された発光ダイオードディスプレイにおいて、
上記赤色発光の発光ダイオード、上記緑色発光の発光ダイオードおよび上記青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一つの発光ダイオードが、その少なくとも一つの電極上に少なくとも一つのバンプを有し、
上記基板は、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とするものである。
この第10の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3、第5、第6および第9の発明に関連して説明したことが成立する。
【0026】
第11の発明は、
赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードが基板上にそれぞれ複数個実装された発光ダイオードバックライトにおいて、
上記赤色発光の発光ダイオード、上記緑色発光の発光ダイオードおよび上記青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一つの発光ダイオードが、その少なくとも一つの電極上に、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
上記基板は少なくとも一つのバンプを有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とするものである。
この第11の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3、第5、第6および第9の発明に関連して説明したことが成立する。
【0027】
第12の発明は、
赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードが基板上にそれぞれ複数個実装された発光ダイオードバックライトにおいて、
上記赤色発光の発光ダイオード、上記緑色発光の発光ダイオードおよび上記青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一つの発光ダイオードが、その少なくとも一つの電極上に少なくとも一つのバンプを有し、
上記基板は、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とするものである。
この第12の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3、第5、第6および第9の発明に関連して説明したことが成立する。
【0028】
第13の発明は、
一つまたは複数の素子を有する電子機器において、
少なくとも一つの上記素子が、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
上記基板は少なくとも一つのバンプを有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とするものである。
【0029】
この電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含み、具体例を挙げると、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、車載機器、各種家庭電気製品などである。
第13の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3、第5、第6および第9の発明に関連して説明したことが成立する。
【0030】
第14の発明は、
一つまたは複数の素子を有する電子機器において、
少なくとも一つの上記素子が、少なくとも一つのバンプを有し、
上記基板は、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とするものである。
第14の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1〜第3、第5、第6、第9および第13の発明に関連して説明したことが成立する。
【0031】
上述のように構成されたこの発明においては、素子または基板の一方が、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有するので、素子を基板上に実装する場合、基板および素子のうちの一方に対して他方を加圧することにより、少なくとも一つの突起部の少なくとも先端部を少なくとも一つのバンプに埋没させると、突起部が圧縮力を受けて圧縮され、それによって弾性体からなる凸部が弾性変形することにより反発力がバンプに加わる。この状態では、突起部の導電膜が常にバンプを押圧している。この状態で基板と素子とを接着固定することにより、この突起部の導電膜がバンプを押圧している状態が保持される。この状態では、素子と基板上の配線とが確実に電気的に接続されており、接続信頼性が高い。これは、バンプのピッチを例えば30μm以下あるいは20μm以下に小さくしても変わらないため、多ピン化に有利である。また、例えば基板上に複数のバンプを形成する場合、これらのバンプの高さにばらつきがあっても、突起部が弾力を有するため、このばらつきを補償することができる。また、基板上に複数の素子を実装する場合、これらの素子と基板との平行度も高くすることができる。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、基板上に素子を実装する場合に、基板上の配線と素子とを確実に電気的に接続することができ、しかもバンプのさらなる微細化、多ピン接続が可能となる。そして、高性能の発光ダイオードディスプレイ、発光ダイオードバックライト、発光ダイオード照明装置、各種の電子機器などを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
まず、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1はこの第1の実施形態において用いる配線基板10を示す。
図1に示すように、この配線基板10においては、基板11上に所定のパターンで配線12が形成されている。この配線12上の所定部分に、凸部13とこの凸部13の表面を覆う導電膜14とからなる突起部15が形成されている。この突起部15は一つまたは複数形成されるが、ここでは一つだけ示している。凸部13は弾性体からなり、例えば円錐台状または四角錐台状の形状を有する。導電膜14は配線12上に延在しており、この配線12と電気的に接続されている。ここで、凸部13を形成する弾性体ならびに導電膜14の材料および厚さは、この配線基板10上に実装しようとする素子をこの配線基板10に加圧接合する場合に、その時に加える荷重により突起部15の少なくとも先端部が、素子上のバンプに埋没するように選択される。
図2はこの第1の実施形態において配線基板10上に実装する素子20を示す。
図2に示すように、この素子20においては、素子本体21の図示省略した電極上にバンプ22が形成されている。このバンプ22はAuやはんだなどからなるが、これに限定されるものではない。
【0034】
次に、素子20を配線基板10上に実装する方法について説明する。
まず、図3Aに示すように、突起部15を形成した配線基板10上に接着剤30を塗布する。この接着剤30を塗布する温度はこの接着剤30の材料に応じて適宜選択され、室温であっても室温と異なる温度であってもよい。ここでは、接着剤30として熱硬化性樹脂を用いる。この接着剤30の厚さは突起部15の高さよりも大きくする。
次に、接着剤30が未硬化の状態で、図3Bに示すように、素子20と配線基板10とを互いに平行に保ちながら、素子20のバンプ22を配線基板10上の突起部15に位置合わせする。
次に、図4Aに示すように、素子20を配線基板10側に移動させて未硬化の接着剤30と接触させ、この接着剤30の粘着力を利用して素子20を仮実装する。この仮実装時の温度は接着剤30の材料に応じて適宜選択され、室温であっても室温と異なる温度であってもよい。素子20は配線基板10上に一つまたは複数実装されるが、ここでは一つだけ示している。
【0035】
次に、図4Bに示すように、配線基板10に対して素子20をバンプ22と反対の面側から加圧し、バンプ22を突起部15の先端部に接触させる。この加圧は、素子20に損傷を与えないようにするために、例えば厚さ5μm程度のシリコーンラバーなどを介して行うのが望ましい。また、この加圧時の温度は、室温であっても室温と異なる温度であってもよい。
次に、図5Aに示すように、素子20をさらに加圧すると突起部15の先端部がバンプ22に埋没し始め、最終的に図5Bに示すような状態となる。こうして突起部15の先端部がバンプ22に埋没した状態では、突起部15の弾性体からなる凸部13が圧縮されて弾性変形した状態となっているため、この凸部13による反発力により突起部15の導電膜14が常にバンプ22を押圧した状態となっている。このため、この状態では、突起部15の導電膜14がバンプ22と電気的に確実に接続されている。
【0036】
次に、この状態で加熱を行うことにより接着剤30を硬化させる。この結果、素子20と配線基板10とが接着剤30により接着固定され、突起部15の導電膜14がバンプ22と電気的に確実に接続された状態が保持される。
以上のようにして、配線基板10上に素子20が、配線基板10の配線12と素子20のバンプ22とが電気的に確実に接続された状態で実装された実装構造体を得ることができる。
図6に、一つのバンプ22に三つの突起部15が接続されている実装構造体の一例を示す。
【0037】
〈実施例〉
素子20として、シリコンチップ(素子本体21)上にバンプ22としてAuバンプを50μmピッチで合計820個形成したものを用いた。Auバンプの大きさは30μm×85μm、高さ(厚さ)は15±3μm、ビッカース硬度Hv は50以上であった。
基板11上に配線12として厚さ200nmのAl膜からなるAl配線を形成し、その上に突起部15を形成した。この状態の電子顕微鏡写真を図7Aに示す。突起部15の凸部13は、基板11上にPBO膜を形成した後、このPBO膜をフォトリソグラフィーおよびエッチングによりパターニングすることにより形成した。この凸部13の直径は6μm、高さは5.1μmとした。導電膜14は、スパッタリング法により厚さ10nmのTi膜および厚さ200μmのAu膜を順次成膜した後、このTi/Au膜をフォトリソグラフィーおよびエッチングによりパターニングすることにより形成した。
【0038】
次に、突起部15を形成した配線基板10上に接着剤30として厚さ25μmの非導電性ペースト(Non-Conductive Paste, NCP)を塗布した。
次に、素子20を配線基板10上に加圧接合し、突起部15の少なくとも先端部をAuバンプに埋没させた。この状態の電子顕微鏡写真を図7Bに示す。この加圧時に加える荷重は、一つの突起部15(1ドット(dot))当たり0.55〜3.3gfとした。一つのAuバンプ当たりの突起部15の数は平均して5.6個(ドット)であった。
この後、190℃で10秒間加熱処理を行うことにより、接着剤30としてのNCFを硬化させた。
こうして素子20を配線基板10上に実装した。この状態の電子顕微鏡写真を図7Cに示す。
【0039】
図8に、加圧接合時に1ドット当たりに加える荷重と接合された状態の突起部15の高さ(凸高さ)および突起部15のバンプ22への埋入深さとの関係を測定した結果を示す(凸高さおよび埋入深さについては図5B参照)。図8に示すように、突起部15の凸部13の高さは、最初5.1μmであったものが2.8μmになった時点で変形がストップする傾向があるが、バンプ22への埋入深さは荷重が大きくなるにつれて増加する傾向がある。図9に、1ドット当たりに加える荷重を変化させた時に突起部15が圧縮により変形する様子を示す。ここで、図9Aは接続前、図9B、C、D、EおよびFはそれぞれ、図8のデータB、C、D、EおよびFが得られた実装構造体の電子顕微鏡写真を示す。総合的に見ると、この例では、加圧接合時に1ドット当たりに加える荷重は1〜3gfであるのが望ましいと考えられる。図9Gは比較のためのもので、突起部15がない部位のバンプ22を示す。
図10A、B、C、DおよびEはそれぞれ、図9のデータB、C、D、EおよびFが得られた実装構造体における一つのバンプ22当たりの接続抵抗の測定結果を示す。全ての測定箇所で導通が取れており、多くの測定箇所で接続抵抗は0.12Ω以下であった。
【0040】
以上のように、この第1の実施形態によれば、配線基板10の配線12上に、弾性体からなる凸部13の表面を導電膜14で被覆した構造の突起部15を形成し、この配線基板10上に接着剤30を塗布した状態で素子20を仮実装し、配線基板10に対して素子20を加圧することにより、素子20のバンプ22に突起部15の少なくとも先端部を埋没させた後、接着剤30を硬化させるようにしているので、バンプ22と突起部15とを電気的に確実に接続することができる。このため、素子20と配線基板10の配線12とを電気的に確実に接続することができ、高い接続信頼性を得ることができる。また、配線基板10上にバンプ22を複数形成する場合にそれらの高さのばらつきが生じても、突起部15の弾性体からなる凸部13が高さ方向に弾性変形するため、この高さのばらつきを補償することができる。また、同様な理由により、配線基板10に対する素子20の平行度を補償することができ、高い平行度を得ることができる。
【0041】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。
図11はこの第2の実施形態において用いる配線基板10を示す。
図11に示すように、この第2の実施形態においては、配線基板10上の突起部15の構成が第1の実施形態と異なる。すなわち、この配線基板10においては、配線12の所定部分において、基板11とこの配線12との間に凸部13が形成されている。そして、この凸部13とこの凸部13の表面を覆う部分の配線12からなる導電膜とにより突起部15が形成されている。
素子20の構成および配線基板10上への素子20の実装方法は第1の実施形態と同様である。
図12に、素子20を配線基板10上に実装した実装構造体を示す。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0042】
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。
図13はこの第3の実施形態において用いる配線基板10を示す。
図13に示すように、この第3の実施形態においては、配線基板10の配線12上にバンプ22が形成されている。この場合、この配線基板10上には突起部15が形成されていない。その代わりに、図14に示すように、素子20の電極23上に突起部15が形成されている。
配線基板10上への素子20の実装方法は第1の実施形態と同様である。
図15に、素子20を配線基板10上に実装した実装構造体を示す。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0043】
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。この第4の実施形態においては、素子20がマイクロ発光ダイオードであり、このマイクロ発光ダイオードを配線基板10上に実装する場合について説明する。
図16にこのマイクロ発光ダイオード40を示す。
図16に示すように、このマイクロ発光ダイオード40においては、n型半導体層41、その上の活性層42およびその上のp型半導体層43により発光ダイオード構造が形成されている。これらのn型半導体層41、活性層42およびp型半導体層43は全体として例えば円形の平面形状を有し、その端面(側面)44はn型半導体層41の下面に対して角度θ1 傾斜している。これらのn型半導体層41、活性層42およびp型半導体層43の直径方向の断面形状は、台形(θ1 <90度)、長方形(θ1 =90度)または逆台形(θ1 >90度)であり、p型半導体層43上には、例えば円形のp側電極45が形成されている。このp側電極45上にバンプ22が形成されている。n型半導体層41の下面の一部には例えば円形のn側電極46が形成されている。端面44、p側電極45およびバンプ22の周囲は樹脂などの封止材47により封止されている。
【0044】
n型半導体層41、活性層42およびp型半導体層43に用いる半導体は必要に応じて選択されるが、具体的には、例えば、GaN系半導体、AlGaInP系半導体などである。
このマイクロ発光ダイオード40が例えばGaN系発光ダイオードである場合、その各部の寸法、材料などの具体例を挙げると次のとおりである。n型半導体層41はn型GaN層でその厚さは例えば2600nm、活性層42の厚さは例えば200nm、p型半導体層43はp型GaN層でその厚さは例えば200nmである。活性層42は、例えば、InGaN井戸層とGaN障壁層とからなる多重量子井戸(MQW)構造を有し、InGaN井戸層のIn組成は、このGaN系発光ダイオードが青色発光である場合は例えば0.17、緑色発光である場合は例えば0.25である。発光ダイオード構造の最大径、すなわちn型GaN層41の下面の直径をaとすると、aは例えば20μmである。上記のようにn型半導体層41としてのn型GaN層11の厚さが2600nm、活性層42およびp型半導体層43としてのp型GaN層の厚さがそれぞれ200nmである場合、この発光ダイオード構造の全体の厚さは2600+200+200=3000nm=3μmである。この場合、発光ダイオード構造のアスペクト比は、この発光ダイオード構造の全体の厚さ(高さ)をbとすると、b/a=3/20=0.15である。θ1 は例えば50度である。p側電極45は例えばAg/Pt/Au構造の金属多層膜からなり、Ag膜の厚さは例えば50nm、Pt膜の厚さは例えば50nm、Au膜の厚さは例えば2000nmである。p側電極45はAgの単層膜からなるものであってもよい。n側電極46は例えばTi/Pt/Au構造の金属積層膜からなり、Ti膜およびPt膜の厚さは例えばそれぞれ50nm、Au膜の厚さは例えば2000nmである。
バンプ22は例えば円形のAuバンプであり、直径は例えば15μm、高さ(厚さ)は例えば7μm、ビッカース硬度Hv は60である。
【0045】
このマイクロ発光ダイオード40においては、動作時に活性層42から発生する光は、端面44で反射されてn型半導体層41の下面から外部に取り出され、あるいは、直接n型半導体層41の下面に向かってそのまま外部に取り出される。
配線基板10の構成および配線基板10上へのマイクロ発光ダイオード40の実装方法は第1の実施形態と同様である。配線基板10上の突起部15の凸部13は例えば直径5μm、厚さ(高さ)は例えば3μm、凸部13を構成する弾性体の圧縮弾性率は例えば3GPa、導電膜14は例えば厚さ0.1μmのAu膜である。
図17に、マイクロ発光ダイオード40を配線基板10上に実装した実装構造体を示す。
この第4の実施形態によれば、マイクロ発光ダイオード40を配線基板10上に実装する場合に第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0046】
次に、この発明の第5の実施形態について説明する。
図18に示すように、この第5の実施形態においては、第4の実施形態におけるマイクロ発光ダイオード40を第2の実施形態と同様な配線基板10上に実装する。
配線基板10上へのマイクロ発光ダイオード40の実装方法は第1の実施形態と同様である。
この第5の実施形態によれば、マイクロ発光ダイオード40を配線基板10上に実装する場合に第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0047】
次に、この発明の第6の実施形態について説明する。
この第6の実施形態においては、図19に示すマイクロ発光ダイオード40を配線基板10上に実装する場合について説明する。
図19に示すように、このマイクロ発光ダイオード40は、p側電極44上にバンプ22が形成されておらず、代わりに突起部15が形成されていることを除いて、第4の実施形態におけるマイクロ発光ダイオード40と同様な構成を有する。
配線基板10の構成は第3の実施形態と同様であり、配線基板10上へのマイクロ発光ダイオード40の実装方法は第1の実施形態と同様である。
図20に、このマイクロ発光ダイオード40を配線基板10上に実装した実装構造体を示す。
この第6の実施形態によれば、マイクロ発光ダイオード40を配線基板10上に実装する場合に第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0048】
次に、この発明の第7の実施形態について説明する。この第7の実施形態においては、第4の実施形態による実装方法を用いて、図16に示すマイクロ発光ダイオード40と同様な構造を有する赤色発光のマイクロ発光ダイオード、緑色発光のマイクロ発光ダイオードおよび緑色発光のマイクロ発光ダイオードを配線基板10上に実装することによりマイクロ発光ダイオードディスプレイを製造する方法について説明する。
ディスプレイ基板である配線基板10の配線12上には、マイクロ発光ダイオードが実装される全ての場所に、突起部15が一つのマイクロ発光ダイオード当たり3個形成されている。
まず、図3Aに示すと同様に、突起部15を形成した配線基板10上に接着剤30を塗布する。この接着剤30としては、例えば熱硬化性エポキシ樹脂を用い、その厚さは例えば5μmとする。
次に、接着剤30が未硬化の状態で、図4Aに示すと同様に、まず配線基板10上の所定の領域に、赤色発光のマイクロ発光ダイオード40Rを接着剤30による粘着力を利用して、例えば160×120個並列に仮実装する。次に、配線基板10上の隣の領域に、赤色発光のマイクロ発光ダイオード40Rを同様にして、160×120個並列に仮実装する。これを4×4回繰り返して合計640×480個の赤色発光のマイクロ発光ダイオード40Rを仮実装する。次に、同様の方法で、緑色発光のマイクロ発光ダイオード40Gおよび青色発光のマイクロ発光ダイオード40Bを入れ子状に仮実装し、RGB×640×480個のマイクロ発光ダイオードアレイを形成する。
【0049】
次に、図4Bに示すと同様に、こうしてマイクロ発光ダイオードアレイが仮実装された配線基板10に対してこのマイクロ発光ダイオードアレイをバンプ22と反対の面側から一括して加圧して、バンプ22を突起部15の先端部と接触させる。この加圧は、マイクロ発光ダイオードアレイに損傷を与えないようにするために、例えば厚さ5μm程度のシリコーンラバーなどを介して行う。
次に、図5Aに示すと同様に、マイクロ発光ダイオードアレイを加圧して突起部15の先端部をバンプ22に埋没させ、最終的に図5Bに示すと同様な状態とする。こうして突起部15の先端部がバンプ22に埋没した状態では、突起部15の弾性体からなる凸部13が圧縮されて弾性変形した状態となっているため、この凸部13による反発力により突起部15の導電膜14が常にバンプ22を押圧した状態となっている。このため、この状態では、突起部15の導電膜14がバンプ22と電気的に確実に接続されている。加圧時に加える荷重は一つのバンプ22当たり例えば3gfで、全体では2.8t(トン)である。
【0050】
次に、この状態で加熱を行うことにより接着剤30を硬化させる。この結果、突起部15の導電膜14がバンプ22と電気的に確実に接続された状態が保持される。
以上のようにして、配線基板10上にマイクロ発光ダイオード40R、40G、40Bが、それらのバンプ22と配線基板10の配線12とが電気的に確実に接続された状態で実装された実装構造体を得ることができる。
この後、マイクロ発光ダイオード40R、40G、40Bのn側電極46側に所定の配線を施し、図21に示すように、マイクロ発光ダイオードディスプレイを製造する。
【0051】
以上のように、この第7の実施形態によれば、配線基板10上の突起部15とマイクロ発光ダイオード40R、40G、40Bのバンプ22との接続を利用することで配線基板10上の配線12とマイクロ発光ダイオード40R、40G、40Bとを電気的に確実に接続することができ、高信頼性の640×480画素フルカラーマイクロ発光ダイオードディスプレイを容易に実現することができる。しかも、マイクロ発光ダイオード40R、40G、40Bを配線基板10に対して20μm程度以下の狭ピッチで接続可能なため、例えば5インチ−フルHD(High Definition)高精細フルカラーマイクロ発光ダイオードディスプレイを実現することが可能である。
【0052】
次に、この発明の第8の実施形態について説明する。
この第8の実施形態においては、図22に示すように、液晶ディスプレイのディスプレイ基板である配線基板10の画素領域、すなわち液晶表示部50の外周に、画素駆動用ICチップ51をCOG(Chip On Glass)実装する。この画素駆動用ICチップ51は、例えば、バンプピッチ15μm、2000ピン、チップサイズ2mm×20mmである。
具体的には、例えば、基板11としてガラス基板を用いた配線基板10上に従来公知の方法によりあらかじめ液晶表示部50を形成した後、この配線基板10の画素駆動用ICチップ51を実装する部位における配線12上の、画素駆動用ICチップ51のバンプ22に対応する位置に突起部15を形成する。
次に、図3Aに示すと同様に、突起部15を形成した配線基板10上に接着剤30を塗布する。この接着剤30としては、例えばNCPや熱硬化性エポキシ樹脂などを用いる。
次に、接着剤30が未硬化の状態で、図4Aに示すと同様に、配線基板10上の所定の領域に、画素駆動用ICチップ51を接着剤30による粘着力を利用して、必要な数だけ仮実装する。
【0053】
次に、図4Bに示すと同様に、こうして画素駆動用ICチップ51が仮実装された配線基板10に対してこの画素駆動用ICチップ51をバンプ22と反対の面側から加圧して、バンプ22を突起部15の先端部と接触させる。この加圧は、画素駆動用ICチップ51に損傷を与えないようにするために、例えばシリコーンラバーなどの弾性体シートなどを介して行う。
次に、図5Aに示すと同様に、画素駆動用ICチップ51をさらに加圧して突起部15の先端部をバンプ22に埋没させ、最終的に図5Bに示すと同様な状態とする。こうして突起部15の先端部がバンプ22に埋没した状態では、突起部15の弾性体からなる凸部13が圧縮されて弾性変形した状態となっているため、この凸部13による反発力により突起部15の導電膜14が常にバンプ22を押圧した状態となっている。このため、この状態では、突起部15の導電膜14がバンプ22と電気的に確実に接続されている。加圧時に加える荷重は一つのバンプ22当たり例えば3gfである。
【0054】
次に、この状態で加熱を行うことにより接着剤30を硬化させる。この結果、突起部15の導電膜14がバンプ22と電気的に確実に接続された状態が保持される。
以上のようにして、配線基板10上の液晶表示部50の外周に、画素駆動用ICチップ51が、そのバンプ22と配線基板10の配線12とが電気的に確実に接続された状態でCOG実装された液晶ディスプレイを得ることができる。
以上のように、この第8の実施形態によれば、突起部15とバンプ22との接続を利用することで配線基板10上の配線12と画素駆動用ICチップ51とを電気的に確実に接続することができ、高信頼性の液晶ディスプレイを容易に実現することができる。しかも、画素駆動用ICチップ51のバンプ22を15μmと狭ピッチで形成しても接続可能であるため、画素駆動用ICチップ51のチップサイズを小さくすることができ、画素駆動用ICチップ51の低コスト化を図ることができる。そして、例えば、5インチ−フルHD高精細フルカラー液晶ディスプレイを実現することが可能である。
【0055】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の第1〜第8の実施形態において挙げた数値、材料、構造、形状、基板、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、構造、形状、基板、原料、プロセスなどを用いてもよい。
また、例えば、図23に示すように、素子20として、素子本体21の電極23上にバンプ22を形成し、その上にさらに突起部15を形成したものを用いてもよい。図24はこの素子20を加圧接合により配線基板10上に実装した実装構造体を示す。素子20と配線基板10とは接着剤30により接着固定されている。
【0056】
あるいは、例えば、図25に示すように、配線基板10の配線12上にバンプ22を形成し、その上に突起部15を形成してもよい。素子20はバンプ22を有する。図26はこの素子20を加圧接合により配線基板10上に実装した実装構造体を示す。素子20と配線基板10とは接着剤30により接着固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の第1の実施形態において実装に用いられる配線基板を示す断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態において実装される素子を示す断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態による実装方法を説明するための断面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態による実装方法を説明するための断面図である。
【図5】この発明の第1の実施形態による実装方法を説明するための断面図である。
【図6】この発明の第1の実施形態による実装方法により素子が実装された実装構造体の他の例を示す断面図である。
【図7】この発明の第1の実施形態による実装方法により素子が実装された実装構造体の実施例を説明するための図面代用写真である。
【図8】この発明の第1の実施形態による実装方法により素子が実装された実装構造体の実施例において加圧接合時に一つの突起部当たりに加える荷重と接合後の突起部の高さおよびバンプへの埋入深さとの関係を測定した結果を示す略線図である。
【図9】この発明の第1の実施形態による実装方法により素子が実装された実装構造体の実施例において加圧接合時に加える荷重を変えて接合を行ったときの突起部とバンプとの圧着部の様子を示す図面代用写真である。
【図10】この発明の第1の実施形態による実装方法により素子が実装された実装構造体の実施例において加圧接合時に加える荷重を変えて接合を行ったときの突起部とバンプとの圧着部の接続抵抗の測定結果を示す略線図である。
【図11】この発明の第2の実施形態において実装に用いられる配線基板を示す断面図である。
【図12】この発明の第2の実施形態による実装方法により素子が実装された実装構造体の例を示す断面図である。
【図13】この発明の第3の実施形態において実装に用いられる配線基板を示す断面図である。
【図14】この発明の第3の実施形態において実装される素子を示す断面図である。
【図15】この発明の第3の実施形態による実装方法により素子が実装された実装構造体を示す断面図である。
【図16】この発明の第4の実施形態において実装されるマイクロ発光ダイオードを示す断面図である。
【図17】この発明の第4の実施形態による実装方法によりマイクロ発光ダイオードが実装された実装構造体を示す断面図である。
【図18】この発明の第5の実施形態による実装方法によりマイクロ発光ダイオードが実装された実装構造体を示す断面図である。
【図19】この発明の第6の実施形態において実装されるマイクロ発光ダイオードを示す断面図である。
【図20】この発明の第6の実施形態による実装方法によりマイクロ発光ダイオードが実装された実装構造体を示す断面図である。
【図21】この発明の第7の実施形態による実装方法によりマイクロ発光ダイオードが実装されたマイクロ発光ダイオードディスプレイを示す略線図である。
【図22】この発明の第8の実施形態による実装方法により画素駆動用ICチップが実装された液晶ディスプレイを示す略線図である。
【図23】この発明の他の実施形態において実装される素子を示す断面図である。
【図24】この発明の他の実施形態による実装方法により素子が実装された実装構造体を示す断面図である。
【図25】この発明のさらに他の実施形態において実装される素子を示す断面図である。
【図26】この発明のさらに他の実施形態による実装方法により素子が実装された実装構造体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
10…配線基板、11…基板、12…配線、20…素子、21…素子本体、22…バンプ、23…電極、30…接着剤、40、40R、40G、40B…マイクロ発光ダイオード、41…n型半導体層、42…活性層、43…p型半導体層、45…p側電極、46…n側電極、50…液晶表示部、51…画素駆動用ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有することを特徴とする素子。
【請求項2】
上記素子は少なくとも一つの電極を有し、上記突起部はこの電極上に、この電極と上記導電膜とが導通した状態で設けられていることを特徴とする請求項1記載の素子。
【請求項3】
上記素子は少なくとも一つの電極を有し、この電極上にバンプを有し、上記突起部はこのバンプ上に設けられていることを特徴とする請求項1記載の素子。
【請求項4】
素子上に弾性体からなる凸部を少なくとも一つ形成し、この凸部の少なくとも先端部の表面を導電膜で被覆して突起部を少なくとも一つ形成するようにしたことを特徴とする素子の製造方法。
【請求項5】
弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有することを特徴とする基板。
【請求項6】
上記基板上に配線が設けられ、上記突起部はこの配線上に、この配線と上記導電膜とが導通した状態で設けられていることを特徴とする請求項5記載の基板。
【請求項7】
上記基板上に配線が設けられ、上記凸部はこの配線と上記基板との間にこの配線で被覆されるように設けられ、この配線のうちの上記凸部を被覆する部分が上記導電膜を構成することを特徴とする請求項5記載の基板。
【請求項8】
基板上に弾性体からなる凸部を少なくとも一つ形成し、この凸部の少なくとも先端部の表面を導電膜で被覆することにより突起部を少なくとも一つ形成するようにしたことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項9】
少なくとも一つのバンプを有する基板上に、弾性体からなる凸部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有する素子が少なくとも一つ実装された実装構造体であって、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とする実装構造体。
【請求項10】
上記基板と上記素子とが接着剤により接着されていることを特徴とする請求項9記載の実装構造体。
【請求項11】
少なくとも一つのバンプを有する基板上に、弾性体からなる凸部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有する素子を少なくとも一つ実装する実装方法であって、
上記基板および上記素子のうちの一方に対して他方を加圧することにより、少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部を少なくとも一つの上記バンプに埋没させるようにした
ことを特徴とする実装方法。
【請求項12】
上記基板および上記素子のうちの少なくとも一方の上にあらかじめ接着剤を塗布した状態で上記基板および上記素子のうちの一方に対して他方を加圧することにより、少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部を少なくとも一つの上記バンプに埋没させるようにしたことを特徴とする請求項11記載の実装方法。
【請求項13】
弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有する基板上に、少なくとも一つのバンプを有する素子が少なくとも一つ実装された実装構造体であって、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とする実装構造体。
【請求項14】
弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有する基板上に、少なくとも一つのバンプを有する素子を少なくとも一つ実装する実装方法であって、
上記基板および上記素子のうちの一方に対して他方を加圧することにより、少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部を少なくとも一つの上記バンプに埋没させるようにした
ことを特徴とする実装方法。
【請求項15】
赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードが基板上にそれぞれ複数個実装された発光ダイオードディスプレイにおいて、
上記赤色発光の発光ダイオード、上記緑色発光の発光ダイオードおよび上記青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一つの発光ダイオードが、その少なくとも一つの電極上に、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
上記基板は少なくとも一つのバンプを有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とする発光ダイオードディスプレイ。
【請求項16】
赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードが基板上にそれぞれ複数個実装された発光ダイオードディスプレイにおいて、
上記赤色発光の発光ダイオード、上記緑色発光の発光ダイオードおよび上記青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一つの発光ダイオードが、その少なくとも一つの電極上に少なくとも一つのバンプを有し、
上記基板は、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とする発光ダイオードディスプレイ。
【請求項17】
赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードが基板上にそれぞれ複数個実装された発光ダイオードバックライトにおいて、
上記赤色発光の発光ダイオード、上記緑色発光の発光ダイオードおよび上記青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一つの発光ダイオードが、その少なくとも一つの電極上に、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
上記基板は少なくとも一つのバンプを有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とする発光ダイオードバックライト。
【請求項18】
赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードが基板上にそれぞれ複数個実装された発光ダイオードバックライトにおいて、
上記赤色発光の発光ダイオード、上記緑色発光の発光ダイオードおよび上記青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一つの発光ダイオードが、その少なくとも一つの電極上に少なくとも一つのバンプを有し、
上記基板は、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とする発光ダイオードバックライト。
【請求項19】
一つまたは複数の素子を有する電子機器において、
少なくとも一つの上記素子が、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
上記基板は少なくとも一つのバンプを有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項20】
一つまたは複数の素子を有する電子機器において、
少なくとも一つの上記素子が、少なくとも一つのバンプを有し、
上記基板は、弾性体からなる凸部の少なくとも先端部の表面が導電膜で被覆された構造の突起部を少なくとも一つ有し、
少なくとも一つの上記突起部の少なくとも先端部が少なくとも一つの上記バンプに埋没している
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−27933(P2008−27933A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195051(P2006−195051)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】