説明

経路案内装置

【課題】各経路候補を通行する際に受ける紫外線量を認識して、各経路候補の中から好みの経路候補を案内経路として特定することができるようにする。
【解決手段】案内経路の経路候補を抽出し(S106)、予め定められた区間毎の紫外線被爆量が記憶されたデータベースから、抽出した各経路候補に対する区間毎の紫外線被爆量を取得し(S108)、取得した区間毎の紫外線被爆量に基づいて各経路候補に対する全区間における総紫外線被爆量を算出し(S110)、総紫外線被爆量を各経路候補に対応付けて表示機14に表示させ、案内経路の各候補の中からユーザ操作により特定された候補を案内経路として特定する(S114)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地に至る案内経路を探索し、当該探索した案内経路に従って案内する経路案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キーボードと、実測された日陰分布地図の情報が保管されたデータ保管装置と、日陰分布地図を作成するための演算装置と、日陰分布地図を表示するための表示装置を備え、キーボードから入力された時刻に該当する季節及び時間帯の日陰分布地図をデータ保管装置に保管されている日陰分布地図から取得し、表示装置へ送信するようにした装置がある(例えば、特許文献1参照)。この装置では、複数の経路候補の中から日陰部分の長さを考慮した経路の探索が可能である。
【特許文献1】特開2005−258107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載された装置は、各経路候補を通行する場合に受ける紫外線量を認識することができないので、ユーザは各経路候補を通行する場合に受ける紫外線量を認識して、各経路候補の中から好みの経路候補を案内経路として特定することができないといった問題がある。
【0004】
本発明は上記問題に鑑みたもので、各経路候補を通行する際に受ける紫外線量を認識して、各経路候補の中から好みの経路候補を案内経路として特定することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、出発地から目的地に至る案内経路を探索し、当該探索した案内経路に従って案内する経路案内装置であって、案内経路の経路候補を抽出する案内経路候補抽出手段と、予め定められた区間毎の紫外線被爆量が記憶されたデータベースから候補抽出手段により抽出された各経路候補に対する区間毎の紫外線被爆量を取得する紫外線被爆量取得手段と、紫外線被爆量取得手段により取得された区間毎の紫外線被爆量に基づいて各経路候補に対する全区間における総紫外線被爆量を算出する総紫外線被爆量算出手段と、総紫外線被爆量算出手段により算出された総紫外線被爆量を各経路候補に対応付けて表示手段に表示させる表示制御手段と、案内経路の各経路候補の中からユーザ操作により特定された経路候補を案内経路として特定する案内経路特定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0006】
このような構成によれば、案内経路の経路候補を抽出し、予め定められた区間毎の紫外線被爆量が記憶されたデータベースから各経路候補に対する区間毎の紫外線被爆量を取得し、区間毎の紫外線被爆量に基づいて各経路候補に対する全区間における総紫外線被爆量を算出し、算出された総紫外線被爆量を各経路候補に対応付けて表示し、案内経路の各候補の中からユーザ操作により特定された候補を案内経路として特定するので、ユーザは各経路候補を通行する際に受ける紫外線量を認識して、各経路候補の中から好みの経路候補を案内経路として特定することができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、外部と通信する通信手段を備え、紫外線被爆量取得手段は、通信手段を介して外部より経路候補の各区間における一定時間毎の天気状況を予想した天気情報を取得し、経路候補の各区間を通行する時間帯の各区間の天気状況に応じてデータベースから取得した各区間における紫外線被爆量を補正することを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、経路候補の各区間における一定時間毎の天気状況を予想した天気情報を取得し、経路候補の各区間を通行する時間帯の各区間の天気状況に応じてデータベースから取得した各区間における紫外線被爆量が補正されるので、より精度よく総紫外線被爆量を算出することが可能である。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、表示制御手段は、各経路候補に対する区間毎の紫外線被爆量を、紫外線被爆量に応じて異なる色で描画した画像を表示手段に表示させることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、各経路候補に対する区間毎の紫外線被爆量を、紫外線被爆量に応じて異なる色で描画した画像が表示されるので、ユーザは紫外線被爆量の多い区間と少ない区間を容易に認識することが可能である。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、表示制御手段は、総被爆量算出手段により算出された総紫外線被爆量に予め定められた基準値を超過するものがあることを判定した場合、基準値を超過する経路候補について総紫外線被爆量が基準値を超過する旨を警告表示することを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、算出された総紫外線被爆量に予め定められた基準値を超過するものがあることを判定した場合、基準値を超過する経路候補について総紫外線被爆量が基準値を超過する旨の警告表示が行われる。したがって、例えば、日焼けによる影響を受けるか否かの判断基準となる許容被爆量を基準値として設定することにより、許容被爆量を超過する経路候補について総紫外線被爆量が許容被爆量を超過する旨の警告表示を行うことが可能である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、車両に照射される紫外線に応じた信号を出力する紫外線検出手段と、紫外線検出手段より出力される信号に基づいて車両が走行を開始してから車両に照射された紫外線被爆量を算出する紫外線被爆量算出手段と、紫外線被爆量算出手段により算出された紫外線被爆量が案内経路特定手段により特定された案内経路に対して総被爆量算出手段により算出された総紫外線被爆量を超過したことを判定した場合、車両が走行を開始してから車両に照射された累積紫外線被爆量が案内経路に対して算出された総紫外線被爆量を超過した旨を報知する第1の報知手段と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、車両が走行を開始してから車両に照射された累積紫外線被爆量が案内経路に対して算出された総紫外線被爆量を超過したことを判定した場合、車両が走行を開始してから車両に照射された累積紫外線被爆量が案内経路に対して算出された総紫外線被爆量を超過した旨が報知されるので、例えば、ユーザは必要に応じて日焼け対策等を行い日焼けによる影響を少なくすることが可能である。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、車両に照射される紫外線に応じた信号を出力する紫外線検出手段と、紫外線検出手段より出力される信号に基づいて車両が走行を開始してから車両に照射された紫外線被爆量を算出する紫外線被爆量算出手段と、紫外線被爆量算出手段により算出された紫外線被爆量が予め定められた基準値を超過したことを判定した場合、車両が走行を開始してから車両に照射された累積紫外線被爆量が基準値を超過した旨を報知する第2の報知手段と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、車両が走行を開始してから車両に照射された紫外線被爆量が予め定められた基準値を超過したことを判定した場合、車両が走行を開始してから車両に照射された累積紫外線被爆量が基準値を超過した旨が報知されるので、例えば、ユーザは必要に応じて日焼け対策等を行い日焼けによる影響を少なくすることが可能である。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、車両に照射される紫外線に応じた信号を出力する紫外線検出手段と、紫外線検出手段より出力される信号に基づいて予め定められた区間内の紫外線被爆量を特定する区間紫外線被爆量特定手段と、区間紫外線被爆量特定手段により特定された区間内の紫外線被爆量が案内経路特定手段により特定された案内経路の同一区間における紫外線被爆量を超過したことを判定した場合、区間内の紫外線被爆量が案内経路の同一区間における紫外線被爆量を超過した旨を報知する第3の報知手段と、を備えたことを特徴としている。
【0018】
このように、車両に照射された区間内の紫外線被爆量が、案内経路の同一区間における紫外線被爆量を超過したことを判定した場合、車両に照射された区間内の紫外線被爆量が案内経路の同一区間における紫外線被爆量を超過した旨を報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る経路案内装置の構成を図1に示す。本経路案内装置1は、位置計測器10、光センサ11、記憶装置12、表示機13、通信装置14および制御器15を備えたナビゲーション装置として構成されている。
【0020】
位置検出器10は、GPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ、地磁気センサ等を有しており、これらセンサにより検出された車両の現在位置、向きを特定するための情報を制御器15に出力する。
【0021】
光センサ11は、車両のウィンドシールドガラスを介して車室内に照射される光の照度を検出するもので、車室内に照射される光の照度に応じた信号を出力する。本実施形態における光センサ11は、フロントガラスの上部に取り付けられている。
【0022】
記憶装置12は、ハードディスクドライブとして構成されており、地図表示や経路探索用の地図データ、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、制御器15により実行される各種プログラム等の各種データを記憶している。
【0023】
本実施形態における記憶装置12には、予め定められた区間(例えば、リンク)毎に紫外線被爆量を規定した紫外線被爆量データベースが記憶されている。この紫外線被爆量データベースは、いわゆるプローブカーの走行に伴って予め定められた区間(例えば、リンク)毎に実測した紫外線被爆量に基づいて規定されたものである。紫外線被爆量は、季節や時間帯により異なるため、区間毎の紫外線被爆量が月別、時間帯別(例えば、1時間毎)に分類して規定されている。また、同一区間であっても、車両の進路方向によって紫外線被爆量は異なるため、区間毎の紫外線被爆量が区間(例えば、リンク)および進路方向と関連付けて規定されている。また、紫外線被爆量データベースには、各区間の天気状況が晴れのときに実測した紫外線被爆量に基づいて各区間の紫外線被爆量が規定されている。
【0024】
なお、トンネル、ビル、山等の日陰となる要因が多く存在する区間では、周囲に日陰の要因となるようなものが存在しない区間と比較して、区間内の紫外線被爆量が少なくなる。また、夜間における各区間の紫外線被爆量は、0キロワット時/平方メートルとして規定されている。
【0025】
本実施形態においては、自車の走行に伴って区間毎の紫外線被爆量を収集するようになっており、この収集した区間毎の紫外線被爆量により紫外線被爆量データベースに規定された区間毎の紫外線被爆量を更新することが可能となっている。
【0026】
表示機13は、液晶等のディスプレイを有し、制御器15より入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【0027】
通信装置14は、無線通信を介して外部と通信するためのものである。本経路案内装置1は、この通信装置14を介して情報センタ2と通信することが可能となっている。
【0028】
制御器15は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUは記憶装置12に記憶された各種プログラムに従って各種処理を実施する。
【0029】
制御器15の処理としては、位置検出器10から入力される車両の現在位置、向きを特定するための情報に基づいて車両の現在位置、向き、走行中の道路区間、進路方向を特定する現在位置特定処理、自車位置周辺の地図上に自車位置マークを重ねて表示する地図表示処理、出発地から目的地に至る最適な案内経路を探索する経路探索処理、案内経路に従って案内する経路案内処理等がある。
【0030】
本実施形態における経路案内装置1は、紫外線被爆量を考慮して出発地から目的地に至る案内経路を探索するとともに、当該探索した案内経路に従って案内する経路案内処理を実施する。
【0031】
図2に、この経路案内処理のフローチャートを示す。車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、本経路案内装置1は動作状態となり、制御器15は、上記した現在位置特定処理、地図表示処理等を開始する。また、ユーザの操作に応じて経路探索処理の開始が指示されると、図2に示す処理を開始する。
【0032】
まず、目的地を設定する(S100)。具体的には、目的地の設定の入力を促す画面を表示させ、ユーザ操作により指定された特定地点または特定施設を目的地に設定する。なお、特に指定のない限り現在位置が出発地として設定されるようになっているが、ユーザ操作により出発地を設定することも可能となっている。
【0033】
次に、出発日および出発時刻を設定する(S102)。具体的には、出発日および出発時刻の入力を促す画面を表示させ、ユーザ操作により指定された内容に従って出発日および出発時刻を設定する。
【0034】
次に、経路計算を行う(S104)。具体的には、地図データに基づいて出発地から目的地に至る複数の経路に対し、区間(例えば、リンク)毎の経路コストを算出するとともに出発地から目的地までの総経路コストを算出する。なお、この区間毎の経路コストを算出して出発地から目的地までの総経路コストを算出する技術は周知である。
【0035】
次に、経路候補を特定する(S106)。本実施形態では、総経路コストの小さな複数の経路を経路候補として特定する。
【0036】
次に、紫外線被爆量データベースから各経路候補の区間毎の紫外線被爆量の読み出しを行う(S108)。具体的には、S106にて特定した複数の各経路候補について、各区間を通行する月日、時間帯を予測するとともに、各区間を通行する場合の進路方向を特定し、各区間を通行する月日、時間帯および進路方向と同一条件の紫外線被爆量を紫外線被爆量データベースから取得する。本実施形態における情報センタ2は、気象庁、天気情報センタ等の気象予報機関より各地の天気状況を示す天気情報を収集するようになっており、制御器15は、通信装置13を介して情報センタ2より経路候補の各区間における一定時間(例えば、1時間)毎の天気状況を予想した天気情報を取得し、各区間を通行する時間帯の各区間の天気状況(晴れ、曇り、雨)に応じて紫外線被爆量データベースから読み出した各区間における紫外線被爆量を補正する処理を実施する。この処理においては、晴れよりも曇りの方が紫外線被爆量が小さくなるように、また、曇りよりも雨の方が紫外線被爆量が小さくなるように補正する。補正の手法としては、例えば、各区間における紫外線被爆量に天気状況に応じた係数を乗算して補正することができる。
【0037】
次に、各経路候補に対する全区間における総紫外線被爆量を算出する(S110)。全区間における総紫外線被爆量は、区間毎の紫外線被爆量を加算することにより算出することができる。
【0038】
次に、各経路候補とともに総紫外線被爆量を表示機14に表示させる。図3に、表示機14の表示例を示す。図3には、出発地Aから地点B、Cを経由して目的地Dに至る経路候補ABCDと、出発地Aから地点E、Fを経由して目的地Dに至る経路候補AEFDが示されている。図に示すように、各経路候補に対する区間毎の紫外線被爆量を、紫外線被爆量に応じて異なる色で描画した画像を地図形式で表示機14に表示させる。この図では、各区間を、高密度の点ハッチング、低密度の点ハッチング、白色で色分けしたような表示となっているが、実際には、各区間の紫外線被爆量の高い順に、赤色(高密度の点ハッチングに対応する部分)、橙色(低密度の点ハッチングに対応する部分)、白色(白色に対応する部分)で色分けして各区間の紫外線被爆量をカラー表示するようになっている。また、各経路候補に対する全区間における総紫外線被爆量についてもグラフ化して表示する。このグラフには、日焼けによる影響を受けるか否かの判断基準となる許容被爆量も示されている。なお、許容被爆量を基準値として、総紫外線被爆量が許容被爆量を超過するものがある場合には、総紫外線被爆量が基準値を超過することを示すメッセージとともに手袋や腕カバー等の日焼け対策用品の携帯や日焼け止めクリームの塗布等の日焼け対策を促すメッセージを警告表示するようになっている。
【0039】
次に、ユーザ操作により特定された経路候補を案内経路として特定する(S114)。具体的には、表示画面に従って、複数の経路候補の中からユーザ操作により特定の経路候補が選択可能となっており、ユーザ操作により選択された経路候補を案内経路として特定する。
【0040】
次に、案内経路に従って走行案内を行う(S116)。この案内により、例えば、車両が右左折交差点の手前に位置すると右左折案内を実施する。
【0041】
本実施形態における経路案内装置1は、車両が走行を開始すると、区間毎の紫外線被爆量を測定するとともに、測定した区間毎の紫外線被爆量により紫外線被爆量データベースを更新する処理を実施する。
【0042】
図4に、この処理のフローチャートを示す。制御器15は、車両が走行を開始すると、図に示す処理を開始する。
【0043】
まず、自車が次区間に入ったか否かを判定する(S200)。具体的には、自車位置と地図データに基づいて自車が位置する区間(例えば、リンク)を特定し、自車が次の区間に進入したか否かを判定する。
【0044】
走行開始時、自車は1つ目の区間に進入しているものとする。したがって、S200の判定はNOとなり、車外照度の計測を行う(S202)。具体的には、光センサ11から入力される信号に基づいて車両に照射される光の照度を計測する。
【0045】
次に、紫外線量の換算を行う(S204)。本実施形態では、光センサ11により検出される光の照度と紫外線量とが比例関係にあるものとして、光センサ11により検出された光の照度から紫外線量を特定する。なお、車両のフロントガラスに紫外線の透過を低減するための処理がなされている場合には、フロントガラスにより低減する紫外線量を考慮して紫外線量を補正する。
【0046】
次に、計測データを記憶する(S206)。具体的には、S204にて換算した紫外線量をメモリに記憶し、S200へ戻る。
【0047】
このように、自車が次の区間に進入するまで、S202〜S206を一定時間毎に繰り返し実施する。したがって、区間内における一定時間毎の紫外線量がメモリに蓄積される。
【0048】
そして、自車が次の区間に進入すると、S200の判定はYESとなり、区間内の紫外線被爆量を算出してメモリに記憶する(S208)。ここでいう区間内の紫外線被爆量は、前区間の紫外線被爆量である。なお、区間内の紫外線被爆量は、区間内において一定時間毎に計測された各紫外線量の平均値と、区間内の走行時間を乗算して算出することができる。
【0049】
次に、紫外線被爆量データベースから同一区間の紫外線被爆量の読み出しを行う(S210)。具体的には、紫外線被爆量データベースから同一区間で、かつ、進路方向、月、時間帯が同一条件の紫外線被爆量の読み出しを行う。
【0050】
次に、区間内の紫外線被爆量を更新する(S212)。具体的な、S208にて算出した前区間の紫外線被爆量とS210にて紫外線被爆量データベースから読み出した同一区間の紫外線被爆量を平均化処理して新たな紫外線被爆量として紫外線被爆量データベースを更新する。ただし、本実施形態では、通信装置15を介して情報センタ2より現在位置における現在時刻の天気状況を予想した天気情報を取得し、現在位置における現在時刻の天気状況が晴れの場合にのみ更新するようになっている。また、この紫外線被爆量データベースの更新は、ユーザ操作により禁止することも可能となっている。また、事故や渋滞等の影響により区間内の走行時間が長くなると、S208にて算出される前区間の紫外線被爆量も大きくなってしまうため、区間内の走行時間が異常値を示していると判定した場合には、区間内の紫外線被爆量の更新を実施しないようになっている。
【0051】
このように、車両の走行に伴って、区間毎の紫外線被爆量が測定され、測定した区間毎の紫外線被爆量により紫外線被爆量データベースが更新される。
【0052】
本実施形態における経路案内装置1は、測定した区間毎の紫外線被爆量に基づいて紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過したことを判定すると、紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過した旨を乗員に報知する処理を実施する。
【0053】
図5に、この処理のフローチャートを示す。制御器15は、車両が走行を開始すると、図4に示した処理と並行して図5に示す処理を開始する。
【0054】
まず、自車が次区間に入ったか否かを判定する(S300)。具体的には、自車位置と地図データに基づいて自車が位置する区間(例えば、リンク)を特定し、自車が次の区間に進入したか否かを判定する。
【0055】
走行開始時、自車は1つ目の区間に進入しているものとする。したがって、S300の判定はNOとなり、S300の判定を繰り返す。
【0056】
そして、自車が次区間に進入すると、S300の判定はYESとなり、次に、前区間の紫外線被爆量の読み出しを行う(S302)。具体的には、図3に示したS208にて、出発地から1つ目の区間の紫外線被爆量としてメモリに記憶された紫外線被爆量の読み出しを行う。
【0057】
次に、前区間の紫外線被爆量が予め定められた基準値を超えたか否かを判定する(S304)。本実施形態では、図2に示したS110において総紫外線被爆量を算出する際に用いた該当区間の紫外線被爆量を基準値として、前区間の紫外線被爆量がこの基準値を超えたか否かを判定する。
【0058】
前区間の紫外線被爆量が基準値を超えている場合、S306の判定はYESとなり、区間内の紫外線被爆量の超過を警告する(S306)。具体的には、区間内の紫外線被爆量が予め定められた基準値を超過した旨を警告表示するとともに図示しないスピーカより音声出力させて区間被爆量アラームを発出させる。
【0059】
また、前区間の紫外線被爆量が基準値以下の場合、S306の判定はNOとなり、次に、出発時からの総紫外線被爆量を算出する(S308)。出発時からの総紫外線被爆量は、出発地点からの区間毎の紫外線被爆量を順次累積加算することにより算出することができる。
【0060】
次に、総紫外線被爆量が予め定められた基準値を超過したか否かを判定する(S310)。
【0061】
総紫外線被爆量が予め定められた基準値を超過すると、S310の判定はYESとなり、次に、総紫外線被爆量の超過を警告する(S312)。具体的には、出発時からの総紫外線被爆量が予め定められた基準値を超過した旨を警告表示するとともに図示しないスピーカより音声出力させてリアルタイム被爆量アラームを発出させる。
【0062】
また、総紫外線被爆量が予め定められた基準値を超過していない場合、S310の判定はNOとなり、次に、出発時からの総紫外線被爆量が案内経路の総紫外線被爆量を超えたか否かを判定する(S314)。具体的には、出発時からの総紫外線被爆量が、図2に示したS110にて算出された総紫外線被爆量を超えたか否かを判定する。
【0063】
ここで、出発時からの総紫外線被爆量が、図2に示したS110にて算出された総紫外線被爆量を超えた場合、S314の判定はYESとなり、次に、総紫外線被爆量の超過を警告する(S316)。具体的には、出発時からの総紫外線被爆量が出発時に想定した総紫外線被爆量を超過した旨を警告表示するとともに図示しないスピーカより音声出力させて経路累積被爆量アラームを発出させる。
【0064】
上記したように、車両の走行に伴って計測した紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過したことを判定すると、紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過した旨の報知が行われる。
【0065】
上記した構成によれば、案内経路の経路候補を抽出し、予め定められた区間毎の紫外線被爆量が記憶されたデータベースから各経路候補に対する区間毎の紫外線被爆量を取得し、区間毎の紫外線被爆量に基づいて各経路候補に対する全区間における総紫外線被爆量を算出し、算出された総紫外線被爆量を各経路候補に対応付けて表示し、案内経路の各経路候補の中からユーザ操作により特定された経路候補を案内経路として特定するので、ユーザは各経路候補を通行する際に受ける紫外線量を認識して、各経路候補の中から好みの経路候補を案内経路として特定することができる。
【0066】
また、経路候補の各区間における一定時間毎の天気状況を予想した天気情報を取得し、経路候補の各区間を通行する時間帯の各区間の天気状況に応じてデータベースから取得した各区間における紫外線被爆量が補正されるので、より精度よく総紫外線被爆量を算出することが可能である。
【0067】
また、各経路候補に対する区間毎の紫外線被爆量を、紫外線被爆量に応じて異なる色で描画した画像が表示されるので、ユーザは紫外線被爆量の多い区間と少ない区間を容易に認識することが可能である。
【0068】
また、各経路候補に対して算出された総紫外線被爆量に予め定められた基準値を超過するものがあることを判定した場合、基準値を超過する経路候補について総紫外線被爆量が基準値を超過する旨の警告表示が行われる。したがって、例えば、日焼けによる影響を受けるか否かの判断基準となる許容被爆量を基準値として設定することにより、許容被爆量を超過する経路候補について総紫外線被爆量が許容被爆量を超過する旨の警告表示を行うことが可能である。
【0069】
また、車両が走行を開始してから車両に照射された累積紫外線被爆量が案内経路に対して算出された総紫外線被爆量を超過したことを判定した場合、車両が走行を開始してから車両に照射された累積紫外線被爆量が案内経路に対して算出された総紫外線被爆量を超過した旨が報知されるので、例えば、ユーザは必要に応じて日焼け対策等を行い日焼けによる影響を少なくすることが可能である。
【0070】
また、車両が走行を開始してから車両に照射された紫外線被爆量が予め定められた基準値を超過したことを判定した場合、車両が走行を開始してから車両に照射された累積紫外線被爆量が基準値を超過した旨が報知されるので、例えば、ユーザは必要に応じて日焼け対策等を行い日焼けによる影響を少なくすることが可能である。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0072】
例えば、上記実施形態では、S306、S312、S316にて、紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過したことを判定した場合に、紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過した旨を乗員に報知したが、例えば、図6に示すように、出発地から現在地までの経路について収集された区間毎の紫外線被爆量を累積した紫外線被爆量(リアルタイム被爆量)、区間内の紫外線被爆量(区間被爆量)および出発地から現在地までの経路について算出された区間毎の紫外線被爆量を累積した紫外線被爆量(経路累積被爆量)をグラフ表示したアラームパネルを表示機14のディスプレイの一部に表示させるようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、図4に示した処理を実施して光センサ11により検出された照度に基づいて区間内の紫外線被爆量を算出したが、例えば、乗員が手袋や腕カバー等の日焼け対策用品を着用している場合には乗員の皮膚に到達する紫外線量も減少することから、車室内の乗員を撮影する車室内カメラを備え、この車室内カメラにより撮影された画像の画像認識処理を施して乗員が手袋や腕カバー等の日焼け対策用品を着用しているか否かを判定し、乗員が紫外線防護対策を行っていると判定した場合には、区間内の紫外線被爆量が小さくなるように補正してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、記憶装置12に記憶された紫外線被爆量データベースから区間毎の紫外線被爆量を取得したが、例えば、情報センタ2に設置された装置に紫外線被爆量データベースを記憶させておき、通信装置13を介して情報センタ2に設置された装置から区間毎の紫外線被爆量を取得するようにしてもよい。この場合、例えば、通信装置14を介してS208にて算出した区間内の紫外線被爆量を情報センタ2に送信するようにして、情報センタ2に、各車両の走行に伴って収集された区間毎の紫外線被爆量を蓄積させるようにしてもよい。また、車両上空の様子を撮影する車外カメラを備え、この車外カメラにより撮影された車両上空の撮影画像を情報センタ2に送信するようにしてもよい。情報センタ2は、この撮影画像から各区間の天気状況を判断し、各区間のリアルタイムの天気情報として各車両に配信することが可能である。
【0075】
また、上記実施形態では、図5に示した処理において、測定した区間毎の紫外線被爆量に基づいて紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過したことを判定すると、紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過した旨を乗員に報知する処理を実施したが、例えば、測定した区間毎の紫外線被爆量に基づいて紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過するか否かを事前に予測し、紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過する前に報知を行うようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、車室内の乗員の体質と関係なく各種警告を発するようにした構成を示したが、車室内に日焼けしやすい体質の乗員が乗車しているか否かを示す情報を記憶装置12に記憶するようにしておき、車室内に日焼けしやすい体質の乗員が乗車している場合と車室内に日焼けしやすい体質の乗員が乗車していない場合とで、各種警告を発する条件を変化させるようにしてもよい。例えば、記憶装置12に記憶された情報に基づいて車室内に日焼けしやすい体質の乗員が乗車していることを判定した場合には、車室内に日焼けしやすい体質の乗員が乗車していない場合の半分程度の紫外線被爆量で各種警告を発するようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、各区間の天気状況が晴れのときに実測した紫外線被爆量に基づいて各区間の紫外線被爆量が規定された紫外線被爆量データベースから各区間の紫外線被爆量を取得するとともに、情報センタ2より経路候補の各区間における一定時間毎の天気状況を予想した天気情報を取得し、各区間を通行する時間帯の各区間の天気状況に応じて紫外線被爆量データベースから読み出した各区間における紫外線被爆量を補正したが、例えば、各区間の各天気状況が、晴れ、曇り、雨のときに実測した各紫外線被爆量を別々に紫外線被爆量データベースに記憶しておき、情報センタ2より経路候補の各区間における一定時間毎の天気状況を予想した天気情報を取得し、各区間を通行する時間帯の各区間の天気状況に応じた各区間の紫外線被爆量を紫外線被爆量データベースから読み出すようにして、各区間を通行する時間帯の各区間の天気状況に応じて紫外線被爆量データベースから読み出した各区間における紫外線被爆量を補正するようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、S306、S312、S316にて、紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過した旨を乗員に報知したが、更に、どのようなケアをすれば良いかをアドバイスするようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、S110にて通信装置13を介して情報センタ2より経路候補の各区間における一定時間毎の天気状況を予想した天気情報を取得し、各区間を通行する時間帯の各区間の天気状況に応じて各区間における紫外線被爆量を補正したが、走行中に経路候補の各区間において予想されていた各区間の天気状況が変動することも考えられることから、通信装置13を介して情報センタ2より経路候補の各区間において予想されていた各区間の天気状況が変動することを示す情報を取得した場合、出発地を現在位置に変更して、再度、図2に示した処理を実施するようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、図3に示したように、各経路候補に対する区間毎の紫外線被爆量を、紫外線被爆量に応じて異なる色で描画した画像を地図形式で表示機14に表示させたが、このような表示形式に限定されるものではなく、例えば、図表形式で模式的に表示させるようにしてもよい。
【0081】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S106が案内経路候補抽出手段に相当し、S108が紫外線被爆量取得手段に相当し、S110が総紫外線被爆量算出手段に相当し、表示機14が表示手段に相当し、S112が表示制御手段に相当し、S114が案内経路特定手段に相当し、通信装置13が通信手段に相当し、光センサ11およびS202、S204が紫外線検出手段に相当し、S308が紫外線被爆量算出手段に相当し、S314、S316が第1の報知手段に相当し、S310、S312が第2の報知手段に相当し、S302が区間紫外線被爆量特定手段に相当し、S304、S306が第3の報知手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る経路案内装置の構成を示す図である。
【図2】経路案内処理のフローチャートである。
【図3】表示機の表示例を示す図である。
【図4】区間毎の紫外線被爆量を測定し、測定した区間毎の紫外線被爆量により紫外線被爆量データベースを更新する処理のフローチャートである。
【図5】測定した紫外線被爆量が予め定められた紫外線量を超過した旨を乗員に報知する処理のフローチャートである。
【図6】アラームパネルの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 経路案内装置
2 情報センタ
10 位置計測器
11 光センサ
12 記憶装置
13 表示機
14 通信装置
15 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地に至る案内経路を探索し、当該探索した案内経路に従って案内する経路案内装置であって、
前記案内経路の経路候補を抽出する案内経路候補抽出手段と、
予め定められた区間毎の紫外線被爆量が記憶されたデータベースから前記候補抽出手段により抽出された各経路候補に対する前記区間毎の紫外線被爆量を取得する紫外線被爆量取得手段と、
前記紫外線被爆量取得手段により取得された前記区間毎の紫外線被爆量に基づいて前記各経路候補に対する全区間における総紫外線被爆量を算出する総紫外線被爆量算出手段と、
前記総紫外線被爆量算出手段により算出された前記総紫外線被爆量を前記各経路候補に対応付けて表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記案内経路の各経路候補の中からユーザ操作により特定された経路候補を前記案内経路として特定する案内経路特定手段と、を備えたことを特徴とする経路案内装置。
【請求項2】
外部と通信する通信手段を備え、
前記紫外線被爆量取得手段は、前記通信手段を介して外部より前記経路候補の各区間における一定時間毎の天気状況を予想した天気情報を取得し、前記経路候補の各区間を通行する時間帯の各区間の天気状況に応じて前記データベースから取得した各区間における紫外線被爆量を補正することを特徴とする請求項1に記載の経路案内装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記各経路候補に対する前記区間毎の紫外線被爆量を、前記紫外線被爆量に応じて異なる色で描画した画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の経路案内装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記総被爆量算出手段により算出された前記総紫外線被爆量に予め定められた基準値を超過するものがあることを判定した場合、前記基準値を超過する前記経路候補について前記総紫外線被爆量が前記基準値を超過する旨を警告表示することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の経路案内装置。
【請求項5】
前記車両に照射される紫外線に応じた信号を出力する紫外線検出手段と、
前記紫外線検出手段より出力される信号に基づいて前記車両が走行を開始してから前記車両に照射された紫外線被爆量を算出する紫外線被爆量算出手段と、
前記紫外線被爆量算出手段により算出された前記紫外線被爆量が前記案内経路特定手段により特定された前記案内経路に対して前記総被爆量算出手段により算出された前記総紫外線被爆量を超過したことを判定した場合、前記車両が走行を開始してから前記車両に照射された累積紫外線被爆量が前記案内経路に対して算出された前記総紫外線被爆量を超過した旨を報知する第1の報知手段と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の経路案内装置。
【請求項6】
前記車両に照射される紫外線に応じた信号を出力する紫外線検出手段と、
前記紫外線検出手段より出力される信号に基づいて前記車両が走行を開始してから前記車両に照射された紫外線被爆量を算出する紫外線被爆量算出手段と、
前記紫外線被爆量算出手段により算出された前記紫外線被爆量が予め定められた基準値を超過したことを判定した場合、前記車両が走行を開始してから前記車両に照射された累積紫外線被爆量が前記基準値を超過した旨を報知する第2の報知手段と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の経路案内装置。
【請求項7】
前記車両に照射される紫外線に応じた信号を出力する紫外線検出手段と、
前記紫外線検出手段より出力される信号に基づいて予め定められた区間内の紫外線被爆量を特定する区間紫外線被爆量特定手段と、
前記区間紫外線被爆量特定手段により特定された前記区間内の紫外線被爆量が前記案内経路特定手段により特定された前記案内経路の同一区間における紫外線被爆量を超過したことを判定した場合、前記区間内の紫外線被爆量が前記案内経路の同一区間における紫外線被爆量を超過した旨を報知する第3の報知手段と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の経路案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−264902(P2009−264902A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114139(P2008−114139)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】