説明

絶縁膜形成方法

【課題】 酸素の含有量の少ないシリコンカーバイドからなる絶縁膜の上に、低誘電率絶縁材料からなる膜を形成する場合にも、十分な密着性を得ることができる絶縁膜形成方法を提供する。
【解決手段】 下地基板の上に、シリコンカーバイド、酸素含有シリコンカーバイド、シリコンオキシカーバイドからなる群より選択された絶縁材料からなる第1の膜を形成する。第1の膜の上に、比誘電率が2.7以下の低誘電率絶縁材料で形成されている絶縁膜であるか、または塗布法により形成される絶縁膜である第2の膜を形成する。第2の膜が形成された基板を、水素プラズマに晒す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁膜形成方法に関し、特にシリコンカーバイドからなる膜と、酸化シリコンよりも低誘電率の絶縁材料からなる絶縁膜とを含む絶縁膜多層構造を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置の多層配線構造において、電気信号の伝搬速度は、配線抵抗と配線間の寄生容量に依存する。近年、半導体集積回路装置の高集積化が進むに従って、配線間隔がますます狭くなり、配線間の寄生容量が大きくなってきた。配線間隔が1μm以上の世代では、寄生容量に起因する信号伝搬速度の遅延が、装置全体の処理速度に与える影響が小さかった。ところが、配線間隔が0.5μm以下になると、配線間の寄生容量の影響が大きくなり、特に配線間隔が0.2μm以下になると、配線間の寄生容量が装置の処理速度に大きく影響を及ぼすことが予想される。
【0003】
配線間の寄生容量は、配線を薄くすることにより低減させることができるが、配線を薄くすると配線抵抗が増大してしまい、半導体集積回路装置の高速化には繋がらない。配線抵抗の増大を招くことなく、寄生容量を低下させるために、絶縁膜の低誘電率化が有効である。
【0004】
低誘電率絶縁材料として、塗布法により成膜する有機系のポリアリーレンやポリアリルエーテル、無機系の水素シルセスキオキサン(HSQ)、ハイブリッドのメチルシルセスキオキサン(MSQ)、及びHSQとMSQとを混合した絶縁材料等が知られている。また、オルガノシロキサン系の材料を原料ガスとして化学気相成長(CVD)により成膜するシリコンオキシカーバイドも、低誘電率絶縁材料として注目されている。
【0005】
さらに、成膜プロセスに関わらず、低誘電率絶縁膜中に意図的に空孔を形成することにより、誘電率を低下させる技術が知られている。空孔形成によって生じる膜の機械的強度の低下と、誘電率の低下とのバランスをとりながら、低誘電率絶縁材料の開発と、半導体集積回路装置への適用が進められている。現在では、ヤング率5〜7GPaを得ながら、比誘電率を2.0〜2.5まで低下させた多孔性低誘電率材料が開発されている。
【0006】
ダマシン構造における配線層とビア層との層間絶縁膜材料の低誘電率化が進む中で、導電材料である銅(Cu)の拡散を防止するバリア層の材料にも、低誘電率化が求められるようになってきている。銅の拡散を防止する良好なバリア層の材料として、CVDにより成膜されるシリコンナイトライド(SiN)や、酸素含有シリコンカーバイド(oxygen-doped silicon carbide)等が知られている。ところが、シリコンナイトライド及び酸素含有シリコンカーバイドの比誘電率は、それぞれ7.0及び4.5程度であり、誘電率が低いとはいえない。
【0007】
そこで、近年は、オルガノシランを原料ガスとして用い、低酸素濃度状態あるいは、無酸素状態でCVDにより成膜する無酸素シリコンカーバイド(undoped silicon carbide)が注目されている。無酸素シリコンカーバイドは、膜中に酸素が少ないかまたは酸素を含有しないため、銅の拡散の良好なバリア性を維持しながら、比誘電率を3.5程度以下まで低下させることができる。
【0008】
銅の拡散バリア層の表面は、一般的に疎水性である。この疎水性の表面上に、低誘電率絶縁材料からなる膜を形成すると、密着性が悪くなりやすい。下記の特許文献1に、ノベラスシステムズ(Novellus Systems)株式会社のESL3で形成された膜に親水化処理を施し、その後低誘電率絶縁材料からなる膜を形成する技術が開示されている。ESL3の成膜には、原料ガスとしてテトラメチルシランと二酸化炭素が使用される。この方法によると、ESL3で形成された膜の表面を弗化アンモニウム水溶液に接触させることにより、親水化処理が行われる。この親水化処理により、シリコンカーバイド膜と、その上に配置される低誘電率絶縁材料からなる膜との密着性を高めることができる。
【0009】
【特許文献1】特開2004−88047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ノベラスシステムズ社のESL3で形成された膜には、酸素が含有される。無酸素シリコンカーバイドからなる絶縁膜の上に、低誘電率絶縁材料からなる膜を形成する場合には、上記特許文献1に開示された親水化処理のみでは、十分な密着性を得ることができない。
【0011】
本発明の目的は、酸素の含有量の少ないシリコンカーバイドからなる絶縁膜の上に、低誘電率絶縁材料からなる膜を形成する場合にも、十分な密着性を得ることができる絶縁膜形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための絶縁膜の形成方法は、
下地基板の上に、シリコンカーバイド、酸素含有シリコンカーバイド、シリコンオキシカーバイドからなる群より選択された絶縁材料からなる第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜の上に、比誘電率が2.7以下の低誘電率絶縁材料で形成されている絶縁膜であるか、または塗布法により形成される絶縁膜である第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜が形成された基板を、水素プラズマに晒す工程と
を有する。
【0013】
上記課題を解決するための絶縁膜の他の形成方法は、
下地基板の上に、比誘電率が2.7以下の低誘電率絶縁材料で形成されている絶縁膜であるか、または塗布法により形成される絶縁膜である第1の膜を形成する工程と、
前記低誘電率絶縁膜の上に、酸化シリコンまたはシリコンカーバイドからなる第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜の表面を水素プラズマに晒す工程と
を有する。
【0014】
本明細書において、「無酸素シリコンカーバイド」とは、酸素を含有しないか、または酸素濃度が約10原子%以下のシリコンカーバイドを意味する。「酸素含有シリコンカーバイド」及び「シリコンオキシカーバイド」とは、ともに酸素を含有するシリコンカーバイドを意味するが、両者の相違点は、骨格中の酸素濃度である。
【0015】
図11(A)及び図11(B)に、それぞれ酸素含有シリコンカーバイド及びシリコンオキシカーバイドの赤外分光分析結果を示す。酸素含有シリコンカーバイドの測定結果では、Si−Cに対応する吸収ピークの高さに対するSi−Oに対応する吸収ピークの高さの比が約1.5であるのに対し、シリコンオキシカーバイドの測定結果においては、その比が、約3である。このように、赤外分光分析を行うことにより、酸素含有シリコンカーバイドとシリコンオキシカーバイドとを区別することができる。例えば、Si−Cに対応する吸収ピークの高さに対するSi−Oに対応する吸収ピークの高さの比が2未満であれば、酸素含有シリコンカーバイドであり、この比が2以上であればシリコンオキシカーバイドと考えることができる。なお、無酸素シリコンカーバイドの場合には、Si−Oに対応する吸収ピークがほとんど観測されない。
【発明の効果】
【0016】
第2の膜が形成された基板または第2の膜の表面を水素プラズマに晒すことにより、シリコンカーバイド等からなる第1の膜と低誘電率の第2の膜との密着度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に、第1の実施例による方法で作製した半導体装置の断面図の一例を示す。シリコンからなる半導体基板1の表面に、シャロートレンチアイソレーション(STI)による素子分離絶縁膜2が形成されている。素子分離絶縁膜2で囲まれた活性領域内に、MOSFET3が形成されている。MOSFET3は、ソース領域3S、ドレイン領域3D、及びゲート電極3Gを含んで構成される。MOSFET3は、周知の方法により形成することができる。
【0018】
MOSFET3を覆うように、半導体基板1の上にリンガラス(PSG)からなる厚さ1.5μmの層間絶縁膜5が、CVDにより形成されている。層間絶縁膜5を貫通する2本のビアホールが形成されており、このビアホール内にタングステン(W)からなる導電性プラグ6S及び6Dが充填されている。導電性プラグ6S及び6Dは、基板全面を覆うタングステン膜を形成した後、化学機械研磨(CMP)を行って不要なタングステン膜を除去することにより形成される。導電性プラグ6S及び6Dは、それぞれMOSFET3のソース領域3S及びドレイン領域3Dに接続されている。
【0019】
層間絶縁膜5の上に、無酸素シリコンカーバイドからなる厚さ50nmのエッチングストッパ膜10が形成されている。その上に、低誘電率絶縁材料からなる層間絶縁膜11が形成されている。層間絶縁膜11は、例えばMSQとHSQとが混合されたハイブリッド型ポーラスシリカで形成される。このような絶縁材料として、例えば触媒化成工業株式会社から入手可能なNCS(商品名)が挙げられる。
【0020】
層間絶縁膜11及びエッチングストッパ膜10に、複数の配線溝が形成されている。配線溝の内面が、TaNからなる厚さ30nmのバリアメタル層12で覆われており、配線溝内に、銅からなる配線13が充填されている。ある配線13は、下層の導電性プラグ6Sに接続され、他のある配線13は、下層の導電性プラグ6Dに接続される。配線13及びバリアメタル層12は、周知のシングルダマシン法により形成される。無酸素シリコンカーバイドからなる膜、及び低誘電率絶縁材料からなる膜の形成方法については、後に詳述する。
【0021】
層間絶縁膜11の上に、無酸素シリコンカーバイドからなる厚さ50nmのエッチングストッパ膜20、ハイブリッド型ポーラスシリカからなる厚さ250nmの層間絶縁膜21、無酸素シリコンカーバイドからなる厚さ30nmのミドルストッパ膜22、及びハイブリッド型ポーラスシリカからなる厚さ170nmの層間絶縁膜23がこの順番に形成されている。
【0022】
層間絶縁膜23に配線溝が形成され、ミドルストッパ膜22、層間絶縁膜21及びエッチングストッパ膜20にビアホールが形成されている。この配線溝及びビアホールの内面が、TaNからなる厚さ30nmのバリアメタル層25で覆われている。ビアホール及び配線溝の内部に、銅からなる配線26が充填されている。バリアメタル層25及び配線26は、周知のデュアルダマシン法により形成される。エッチングストッパ膜20から層間絶縁膜23までの絶縁膜、バリアメタル層25及び配線26が、1層分の配線層を構成する。エッチングストッパ膜20は、ビアホール形成時のエッチングを停止させる機能に加えて、その下の配線13を形成している銅の拡散を防止する機能を有する。
【0023】
ビアホールの底面に対応する領域のエッチングストッパ膜20を除去する時に、配線溝の底面に対応する領域のミドルストッパ膜22の一部または全部が除去される場合もある。
【0024】
層間絶縁膜23の上に、配線26を含む配線層と同様の構造を有する複数の配線層が形成されている。
最も上の配線層の上に、酸素含有シリコンカーバイドからなるエッチングストッパ膜50及びハイブリッド型ポーラスシリカからなる層間絶縁膜51が形成されている。層間絶縁膜51及びエッチングストッパ膜50を貫通するビアホールが形成され、その内部にタングステンからなる導電性プラグ52が充填されている。導電性プラグ52は、下層の配線49に接続される。
【0025】
層間絶縁膜51の上に、アルミニウムからなるパッド53が形成されている。パッド53は、その下の導電性プラグ52に接続されている。パッド53及び層間絶縁膜51を、シリコンナイトライドからなる保護膜54が覆う。保護膜54に、パッド53の表面を露出させる開口が形成されている。
【0026】
図2(A)〜図2(D)を参照して、図1の層間絶縁膜11の上に、エッチングストッパ膜20及び層間絶縁膜21を形成する方法について説明する。なお、以下に説明する方法は、図1に示した無酸素シリコンカーバイドからなる膜の上に、ハイブリッド型ポーラスシリカからなる膜を成膜する他の工程にも適用される。
【0027】
図2(A)に示すように、層間絶縁膜11が露出した下地基板が準備されている。この下地基板は、図1に示した半導体基板1から層間絶縁膜11及び配線13までの積層構造を含む。層間絶縁膜11の上に、原料ガスとしてテトラメチルシランを用いたCVDにより、エッチングストッパ膜20を形成する。酸素元素を含まない原料ガスを用いることにより、無酸素シリコンカーバイドからなる膜を形成することができる。成膜条件は、下記の通りである。なお、用いた基板の直径は200mmであり、RF電力を投入するための平行平板電極の面積は、基板の面積とほぼ等しい。
・テトラメチルシランの流量:650sccm
・圧力:約600Pa(4.5Torr)
・13.56MHzのRF電力:500W
・400kHzのRF電力:150W
図2(B)に示すように、エッチングストッパ膜20の表面を、二酸化炭素のプラズマ60に晒す。プラズマ処理条件は下記の通りである。
・二酸化炭素流量:5000sccm
・圧力:約470Pa(3.5Torr)
・13.56MHzのRF電力:100W
・処理時間:5秒
図2(C)に示すように、ウェットウエハ洗浄装置を用い、エッチングストッパ膜20の表面を、親水化用薬液61に接触させる。この薬液61は、例えば、ジメチルアセトアミドと弗化アンモニウムとの水溶液である。親水化処理を行う前に、エッチングストッパ膜20の表面に純水を滴下して接触角を測定したところ約100°であった。親水化処理を行った後に、同様の測定を行うと、接触角が40°であった。エッチングストッパ膜20の表面が撥水性から親水性に変化していることがわかる。
【0028】
図2(D)に示すように、エッチングストッパ膜20の上に、塗布法により、MSQとHSQとが混合されたハイブリッド型ポーラスシリカ(触媒化成工業株式会社製の商品名NCS)からなる層間絶縁膜21を形成する。塗布後に、400℃で60分のキュアを行った。
【0029】
上記方法で形成した積層構造の密着度を、スタッドプルテスト(stud-pulltest)により評価した。
【0030】
図3に、スタッドプルテストに用いた試料の概略断面図を示す。シリコン基板100の上に、銅膜101が形成されている。銅膜101の上に、無酸素シリコンカーバイド膜102、ハイブリッド型ポーラスシリカ膜103が形成されている。その上に、SiCからなるキャップ膜104を形成した。このキャップ膜104に、エポキシ接着剤105によりスタッド106を接着した。無酸素シリコンカーバイド膜102及びポーラスシリカ膜103は、上記第1の実施例による方法で形成した。
【0031】
スタッドプルテストを行ったところ、スタッド106とキャップ膜104との間で破断が生じた。このときの引張り力は、約70MPa(約700kgf/cm)であった。すなわち、無酸素シリコンカーバイド膜102とポーラスシリカ膜103との界面の接着強度は、スタッドプルテストの計測限界の70MPa以上であると考えられる。
【0032】
これに対し、図2(B)に示した二酸化炭素プラズマに晒す処理を行わなかった試料においては、引張り力を約20MPa(200kgf/cm)にした時に、無酸素シリコンカーバイド膜102とポーラスシリカ膜103との界面で破断が生じた。
【0033】
この評価結果からわかるように、図2(B)に示した二酸化炭素プラズマ処理を行うことにより、ポーラスシリカからなる層間絶縁膜21の密着度を高めることができる。密着度が向上した理由は、二酸化炭素プラズマ処理により無酸素シリコンカーバイドからなるエッチングストッパ膜20の表層部が薄く酸化されたためと考えられる。エッチングストッパ膜20の表面を、二酸化炭素プラズマ以外の酸化性雰囲気に晒して、その表層部を酸化してもよい。例えば、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素等のプラズマに晒してもよい。
【0034】
上記実施例では、低誘電率絶縁材料としてMSQとHSQとが混合されたハイブリッド型ポーラスシリカを用いたが、その他の低誘電率絶縁材料を用いる場合にも、同様の効果が期待できる。特に、上記実施例による成膜方法は、層間絶縁膜21の材料として、比誘電率が2.7以下の絶縁材料を用いる場合に有効である。また、層間絶縁膜21が塗布法により形成される場合に有効である。
【0035】
上記実施例では、図2(C)に示した親水化処理用の薬液として、ジメチルアセトアミドと弗化アンモニウムとの水溶液を用いたが、その他に、アンモニア塩を含む水溶液を用いてもよい。
【0036】
次に、図4(A)〜図4(C)を参照して、第2の実施例について説明する。第2の実施例で作製される半導体装置は、図1に示したものとほぼ同様である。第2の実施例は、図1に示した半導体装置のエッチングストッパ膜20から層間絶縁膜23までの成膜方法に特徴を有する。
【0037】
図4(A)に示すように、層間絶縁膜11が形成された下地基板を準備する。層間絶縁膜11の上に、無酸素シリコンカーバイドからなる厚さ50nmのエッチングストッパ膜20、ハイブリッド型ポーラスシリカからなる厚さ250nmの層間絶縁膜21、酸素含有シリコンカーバイドからなる厚さ30nmのミドルストッパ膜22を形成する。エッチングストッパ膜20及び層間絶縁膜21の成膜方法は、それぞれ第1の実施例において図2(A)及び図2(D)を参照して説明したエッチングストッパ膜20及び層間絶縁膜21の成膜方法と同様である。第2の実施例の場合には、エッチングストッパ膜20を形成した後に、その表層部の酸化処理及び親水化処理を行わない。
【0038】
ミドルストッパ膜22は、ノベラスシステムズ社のESL2により形成する。使用する原料ガスはテトラメチルシランと二酸化炭素である。この手順により、酸素含有シリコンカーバイドからなるミドルストッパ膜22が形成される。
【0039】
図4(B)に示すように、ミドルストッパ膜22の表面を水素プラズマ65に晒す。この水素プラズマ処理の条件は、下記の通りである。
・水素流量:4000sccm
・圧力:307Pa(2、3Torr)
・13.56MHzのRF電力:250W
図4(C)に示すように、水素プラズマ処理を行ったミドルストッパ膜22の上に、ハイブリッド型ポーラスシリカからなる厚さ170nmの層間絶縁膜23を形成する。層間絶縁膜23の成膜方法は、その下の層間絶縁膜21の成膜方法と同様である。
【0040】
上記実施例では、ミドルストッパ膜22を形成した後に水素プラズマ処理を行ったが、ミドルストッパ膜22の一部を堆積させる工程と、水素プラズマ処理とを交互に行い、最終的に所望の厚さのミドルストッパ膜22を形成してもよい。
【0041】
図5を参照して、水素プラズマ処理の効果について説明する。図5は、ミドルストッパ膜22まで形成した状態で、スタッドプルテストを行った結果を示す。横軸は水素プラズマ処理時間を単位「秒」で表し、縦軸は破断が生じた引張り強度を単位「kgf/cm」で表す。水素プラズマ処理時間が0秒の試料は、水素プラズマ処理を行わなかったものである。残りの3つの試料は、ミドルストッパ膜22の一部を堆積させる工程と、水素プラズマ処理とを、交互に3回ずつ実施して作製したものである。グラフの横軸の水素プラズマ処理時間は、3回の水素プラズマ処理の合計の時間を示す。
【0042】
図5から、ミドルストッパ膜22の表面を水素プラズマに晒すことにより、エッチングストッパ膜20と層間絶縁膜21との界面の密着度が向上していることがわかる。水素プラズマ処理時間が40秒の時には、引張り力が500kgf/cmの時に、エッチングストッパ膜20と層間絶縁膜21との界面で破断が生じた。水素プラズマ処理時間を60秒以上にすると、スタッドプルテストによる測定限界である700kgf/cmの引張り力を加えても、エッチングストッパ膜20と層間絶縁膜21との界面で破断は生じなかった。
【0043】
上記評価結果から、水素プラズマ処理時間を、50秒以上にすることが好ましいと思われる。
上記第2の実施例では、ミドルストッパ膜22を酸素含有シリコンカーバイドで形成したが、無酸素シリコンカーバイドまたはシリコンオキシカーバイドで形成してもよい。また、ミドルストッパ膜22を形成する前に、層間絶縁膜21を直接水素プラズマに晒してもよい。
【0044】
また、第1の実施例において、図2(D)に示した層間絶縁膜21を形成した後に、水素プラズマ処理を行ってもよい。これにより、層間絶縁膜21の密着度をより高めることができる。
【0045】
図6に、第3の実施例による方法で作製される半導体装置の1つの配線層の断面図を示す。図6に示された配線層は、第1の実施例で参照した図1の配線26を含む配線層に対応する。以下、図1に示した配線層との相違点について説明する。
【0046】
第1の実施例では、エッチングストッパ膜20が無酸素シリコンカーバイドで形成された単層の膜であったが、第3の実施例では、エッチングストッパ膜20が2層構造を有する。下側のエッチングストッパ膜20aが無酸素シリコンカーバイドで形成され、その厚さは35nmである。上側のエッチングストッパ膜20bが酸素含有シリコンカーバイドで形成され、その厚さは15nmである。2層の合計の厚さが50nmとされ、十分なエッチングストッパ機能、及び銅の拡散防止機能を有する。
【0047】
また、ミドルストッパ膜22も、2層構造にされている。下側のミドルストッパ膜22aが無酸素シリコンカーバイドで形成され、その厚さは15nmである。上側のミドルストッパ膜22bが酸素含有シリコンカーバイドで形成され、その厚さは15nmである。2層の合計の厚さが30nmとされ、十分なエッチングストッパ機能を有する。
【0048】
図7(A)〜図7(E)を参照して、第3の実施例による半導体装置の製造方法について説明する。
【0049】
図7(A)に示すように、層間絶縁膜11が形成された下地基板を準備する。この下地基板は、図1に示した半導体基板1から層間絶縁膜11及び配線13までを含む。層間絶縁膜11の上に、無酸素シリコンカーバイドからなる下側のエッチングストッパ膜20aを形成する。成膜方法は、図2(A)を参照して説明した第1の実施例のエッチングストッパ膜20の成膜方法と同様である。
【0050】
図7(B)に示すように、下側のエッチングストッパ膜20aの表面を二酸化炭素プラズマ60に晒し、その表層部を酸化する。プラズマ処理条件は、図2(B)を参照して説明した第1の実施例におけるプラズマ処理条件と同様である。
【0051】
図7(C)に示すように、下側のエッチングストッパ膜20aの上に、酸素含有シリコンカーバイドからなる厚さ15nmの上側のエッチングストッパ膜20bを形成する。上側のエッチングストッパ膜20bは、例えばノベラスシステムズ社のESL3により形成される。使用する原料ガスは、テトラメチルシランと二酸化炭素である。
【0052】
図7(D)に示すように、上側のエッチングストッパ膜20bを親水化用薬液61に接触させ、その表面を親水化させる。この親水化処理は、図2(C)を参照して説明した第1の実施例による親水化処理と同様である。
【0053】
図7(E)に示すように、上側のエッチングストッパ膜20bの上に、ハイブリッド型ポーラスシリカからなる層間絶縁膜21を形成する。層間絶縁膜21の成膜方法は、図2(D)を参照して説明した第1の実施例の層間絶縁膜21の成膜方法と同様である。
【0054】
図6に示したミドルストッパ膜22及びその上の層間絶縁膜23の形成は、エッチングストッパ膜20及び層間絶縁膜21の形成方法と同様である。
【0055】
第3の実施例では、上側のエッチングストッパ膜20bが、その上の層間絶縁膜21の密着度を高める作用を奏する。同様に、上側のミドルストッパ膜22bが、その上の層間絶縁膜23の密着度を高める作用を奏する。このため、第1の実施例の構造に比べて、より高い密着度を得ることができる。ただし、酸素含有シリコンカーバイドの誘電率は無酸素シリコンカーバイドの誘電率よりも高いため、寄生容量の観点からは、第1の実施例の方が有利である。
【0056】
図8に、第4の実施例による方法で作製される半導体装置の1層分の配線層の断面図を示す。図8に示された配線層は、第1の実施例で参照した図1の配線26を含む配線層に対応する。以下、図1に示した配線層との相違点について説明する。
【0057】
第1の実施例では、層間絶縁膜21が、ハイブリッド型ポーラスシリカからなる単層の膜であったが、第4の実施例では、層間絶縁膜21が2層構造を有する。下側の層間絶縁膜21aがシリコンオキシカーバイドで形成され、その厚さは100nmである。上側の層間絶縁膜21bがハイブリッド型ポーラスシリカで形成され、その厚さは150nmである。
【0058】
図9(A)〜図9(D)を参照して、第4の実施例による半導体装置の製造方法について説明する。
【0059】
図9(A)に示すように、層間絶縁膜11が形成された下地基板を準備する。この下地基板は、図1に示した半導体基板1から層間絶縁膜11及び配線13までを含む。層間絶縁膜11の上に、無酸素シリコンカーバイドからなるエッチングストッパ膜20を形成する。成膜方法は、図2(A)を参照して説明した第1の実施例のエッチングストッパ膜20の成膜方法と同様である。
【0060】
図9(B)に示すように、エッチングストッパ膜20の表面を二酸化炭素プラズマ60に晒し、その表層部を酸化する。プラズマ処理条件は、図2(B)を参照して説明した第1の実施例のプラズマ処理条件と同様である。
【0061】
図9(C)に示すように、シリコンオキシカーバイドからなる下側の層間絶縁膜21aを、原料ガスとしてテトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)と二酸化炭素とを用いたCVDにより形成する。成膜条件は下記の通りである。
・TMCTS流量:1sccm
・二酸化炭素流量:5000sccm
・圧力:470Pa(3.5Torr)
・13.56MHzのRF電力:300W
・400kHzのRF電力:200W
図9(D)に示すように、下側の層間絶縁膜21aの上に、ハイブリッド型ポーラスシリカからなる上側の層間絶縁膜21bを形成する。上側の層間絶縁膜21bの形成は、図2(D)を参照して説明した第1の実施例の層間絶縁膜21の形成方法と同様である。
【0062】
上述の成膜条件で形成した上側の層間絶縁膜21bの比誘電率は2.9であり、ヤング率は20GPaであった。また、上側の層間絶縁膜21bと下側の層間絶縁膜21aとの密着力は、スタッドプルテストの測定限界(70GPa)以上であった。
【0063】
第4の実施例では、無酸素シリコンカーバイドからなるエッチングストッパ膜20に、ハイブリッド型ポーラスシリカからなる上側の層間絶縁膜21bが直接接触しない。両者の間に、シリコンオキシカーバイドからなる上側の層間絶縁膜21bが介在するため、高い密着度を得ることができる。
【0064】
第4の実施例では、下側の層間絶縁膜21aの材料として、シリコンオキシカーバイドを用いたが、塗布法により成膜される水素シルセスキオキサンを用いてもよい。
【0065】
次に、図10を参照して、第5の実施例による絶縁膜の形成方法について説明する。上記第1〜第4の実施例では、無酸素シリコンカーンバイドからなる膜の上に、ハイブリッド型ポーラスシリカ等の低誘電率絶縁材料からなる膜を塗布法により形成する場合の密着度の向上を図ることが目的であった。第5の実施例では、膜の上下関係が逆になり、ハイブリッド型ポーラスシリカ等の低誘電率絶縁材料からなる膜の上に、無酸素シリコンカーバイドからなる膜を形成する場合の密着性に着目する。
【0066】
一般に、低誘電率絶縁材料からなる膜の上に、無酸素シリコンカーバイドからなる膜をCVDで形成する場合には、無酸素シリコンカーバイドからなる膜の上に、低誘電率絶縁材料からなる膜を塗布法で形成する場合に比べて、高い密着性が得られる。ただし、半導体装置の信頼性をより高めるために、前者の場合にも、より高い密着性を確保することが望まれる。
【0067】
図10(A)に示すように、下地基板70の上に、ハイブリッド型ポーラスシリカからなる絶縁膜71を形成する。下地基板70は、例えば図1に示した半導体基板1から層間絶縁膜11及び配線13までの積層構造を含む。絶縁膜71の上に、無酸素シリコンカーバイドからなる絶縁膜72をCVDにより形成する。
【0068】
図10(B)に示すように、絶縁膜72の表面を水素プラズマ75に晒す。水素プラズマ処理条件は、図4(B)を参照して説明した第2の実施例における水素プラズマ処理条件と同様である。
【0069】
水素プラズマ処理を行うことにより、ハイブリッド型ポーラスシリカ等からなる絶縁膜71と、無酸素シリコンカーバイドからなる絶縁膜72との密着度を高めることができる。なお、絶縁膜72を酸化シリコンで形成する場合にも、水素プラズマ処理により密着度を高めることができるであろう。
【0070】
水素プラズマ処理は、絶縁膜72を形成する期間に、複数回に分けて実施してもよい。例えば、絶縁膜72の一部を堆積させる工程と、水素プラズマ処理を行う工程とを、交互に実施し、所望の厚さの絶縁膜72を形成してもよい。
【0071】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
上述の実施例から、以下の付記に示す発明が導出される。
【0072】
(付記1) 下地基板の上に、シリコンカーバイドからなる第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜の表面を、酸化性雰囲気に晒し、該第1の膜の表層部を酸化する工程と、
前記第1の膜の表面を、該表面を親水化させる薬液に接触させる工程と、
親水化された前記第1の膜の表面上に、比誘電率が2.7以下の低誘電率絶縁材料で形成されている絶縁膜であるか、または塗布法により形成される絶縁膜である第2の膜を形成する工程と
を有する絶縁膜形成方法。
【0073】
(付記2) 前記第1の膜を形成する工程において、酸素原子を含まない原料ガスを用いた化学気相成長により該第1の膜を堆積させる付記1に記載の絶縁膜形成方法。
【0074】
(付記3) 前記第1の膜の表層部を酸化させる工程において、二酸化炭素、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素からなる群より選択された少なくとも一つのガスのプラズマに、前記第1の膜の表面を晒す付記1または2に記載の絶縁膜形成方法。
【0075】
(付記4) 前記親水化させる薬液は、アンモニア塩を含む水溶液である付記1〜3のいずれかに記載の絶縁膜形成方法。
【0076】
(付記5) 前記第2の膜を形成した後、さらに、前記第2の膜が形成された基板を水素プラズマに晒す工程を含む付記1〜4のいずれかに記載の絶縁膜形成方法。
【0077】
(付記6) 下地基板の上に、シリコンカーバイドからなる第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜の上に、酸素含有シリコンカーバイド、シリコンオキシカーバイド、及び水素シルセスキオキサンからなる群より選択された一つの絶縁材料からなる第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜の上に、比誘電率が2.7以下の低誘電率絶縁材料で形成されている絶縁膜であるか、または塗布法により形成される絶縁膜である第3の膜を形成する工程と
を有する絶縁膜形成方法。
【0078】
(付記7) 前記第1の膜を形成する工程において、酸素原子を含まない原料ガスを用いた化学気相成長により該第1の膜を堆積させる付記6に記載の絶縁膜形成方法。
【0079】
(付記8) 前記第1の膜を形成した後、さらに、該第1の膜の表面を、酸化性雰囲気(60)に晒し、該第1の膜の表層部を酸化する工程を含む付記6または7に記載の絶縁膜形成方法。
【0080】
(付記9) 前記第2の膜を形成した後、該第2の膜の表面を、該表面を親水化させる薬液(61)に接触させる工程を含む付記6〜8のいずれかに記載の絶縁膜形成方法。
【0081】
(付記10) 前記薬液が、アンモニウム塩を含む水溶液である付記9に記載の絶縁膜形成方法。
【0082】
(付記11) 下地基板の上に、シリコンカーバイド、酸素含有シリコンカーバイド、シリコンオキシカーバイドからなる群より選択された絶縁材料からなる第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜の上に、比誘電率が2.7以下の低誘電率絶縁材料で形成されている絶縁膜であるか、または塗布法により形成される絶縁膜である第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜が形成された基板を、水素プラズマに晒す工程と
を有する絶縁膜形成方法。
【0083】
(付記12) 前記第1の膜を形成する工程において、酸素原子を含まない原料ガスを用いた化学気相成長により該第1の膜を堆積させる付記11に記載の絶縁膜形成方法。
【0084】
(付記13) 前記第2の膜を形成した後、前記水素プラズマに晒す前に、該第2の膜の上に、シリコンカーバイド、酸素含有シリコンカーバイド、シリコンオキシカーバイドからなる群より選択された絶縁材料からなる第3の膜を形成する工程を含み、前記水素プラズマに晒す工程において、該第3の膜を介して前記第2の膜を水素プラズマに晒す付記11または12に記載の絶縁膜形成方法。
【0085】
(付記14) 前記水素プラズマに晒す工程の後に、さらに、前記第3の膜と同一組成の膜を成膜する工程と、水素プラズマに晒す工程とを、交互に、少なくとも1サイクル実施する工程を有する付記11〜13のいずれかに記載の絶縁膜形成方法。
【0086】
(付記15) 前記水素プラズマに晒す合計の時間が50秒以上である付記11〜14のいずれかに記載の絶縁膜形成方法。
【0087】
(付記16) 下地基板の上に、比誘電率が2.7以下の低誘電率絶縁材料で形成されている絶縁膜であるか、または塗布法により形成される絶縁膜である第1の膜を形成する工程と、
前記低誘電率絶縁膜の上に、酸化シリコンまたはシリコンカーバイドからなる第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜の表面を水素プラズマに晒す工程と
を有する絶縁膜形成方法。
【0088】
(付記17) 前記第2の膜を形成する工程において、酸素原子を含まない原料ガスを用いた化学気相成長により該第2の膜を堆積させる付記16に記載の絶縁膜形成方法。
【0089】
(付記18) 前記第2の膜を形成する工程と、水素プラズマに晒す工程において、該第2の膜の一部を堆積させる工程と、水素プラズマに晒す工程とを交互に、少なくとも2サイクル実施する付記16または17に記載の絶縁膜形成方法。
【0090】
(付記19) 絶縁材料で形成された第1の膜と、
前記第1の膜に形成された凹部と、
前記凹部内に充填された金属部材と、
前記第1の膜及び前記金属部材の表面を覆うように形成された無酸素シリコンカーバイドからなる第2の膜と、
前記第2の膜の上に配置され、酸素含有シリコンカーバイド、シリコンオキシカーバイド、及び水素シルセスキオキサンからなる群より選択された絶縁材料で形成された第3の膜と、
前記第3の膜の上に配置され、比誘電率が2.7以下の低誘電率絶縁材料で形成されている絶縁膜であるか、または塗布法により形成される絶縁膜である第4の膜と
を有する半導体装置。
【0091】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施例による方法で作製される半導体装置の断面図である。
【図2】第1の実施例による絶縁膜形成方法を説明するための基板の断面図である。
【図3】スタッドプルテストを行っている試料の断面図である。
【図4】第2の実施例による絶縁膜形成方法を説明するための基板の断面図である。
【図5】第2の実施例による方法で作製した試料について、水素プラズマ処理時間と密着強度の平均値との関係を示すグラフである。
【図6】第3の実施例による方法で作製される半導体装置の1層分の断面図である。
【図7】第3の実施例による絶縁膜形成方法を説明するための基板の断面図である。
【図8】第4の実施例による方法で作製される半導体装置の1層分の断面図である。
【図9】第4の実施例による絶縁膜形成方法を説明するための基板の断面図である。
【図10】第5の実施例による絶縁膜形成方法を説明するための基板の断面図である。
【図11】酸素含有シリコンカーバイドとシリコンオキシカーバイドとの赤外分光分析結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0093】
1 半導体基板
2 素子分離絶縁膜
3 MOSFET
5、11、21、23、51 層間絶縁膜
6S、6D、52 導電性プラグ
10 エッチングストッパ膜
12、25 バリアメタル層
13、26、49 配線
20、50 エッチングストッパ膜
22 ミドルストッパ膜
53 パッド
54 保護膜
60 二酸化炭素プラズマ
61 親水化用薬液
65、75 水素プラズマ
70 下地基板
71、72 絶縁膜
100 シリコン基板
101 銅膜
102 無酸素シリコンカーバイド膜
103 ポーラスシリカ膜
104 シリコンカーバイド膜
105 エポキシ接着剤
106 スタッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地基板の上に、シリコンカーバイド、酸素含有シリコンカーバイド、シリコンオキシカーバイドからなる群より選択された絶縁材料からなる第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜の上に、比誘電率が2.7以下の低誘電率絶縁材料で形成されている絶縁膜であるか、または塗布法により形成される絶縁膜である第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜が形成された基板を、水素プラズマに晒す工程と
を有する絶縁膜形成方法。
【請求項2】
前記第1の膜を形成する工程において、酸素原子を含まない原料ガスを用いた化学気相成長により該第1の膜を堆積させる請求項1に記載の絶縁膜形成方法。
【請求項3】
前記第2の膜を形成した後、前記水素プラズマに晒す前に、該第2の膜の上に、シリコンカーバイド、酸素含有シリコンカーバイド、シリコンオキシカーバイドからなる群より選択された絶縁材料からなる第3の膜を形成する工程を含み、前記水素プラズマに晒す工程において、該第3の膜を介して前記第2の膜を水素プラズマに晒す請求項1または2に記載の絶縁膜形成方法。
【請求項4】
前記水素プラズマに晒す合計の時間が50秒以上である請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁膜形成方法。
【請求項5】
下地基板の上に、比誘電率が2.7以下の低誘電率絶縁材料で形成されている絶縁膜であるか、または塗布法により形成される絶縁膜である第1の膜を形成する工程と、
前記低誘電率絶縁膜の上に、酸化シリコンまたはシリコンカーバイドからなる第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜の表面を水素プラズマに晒す工程と
を有する絶縁膜形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−193120(P2008−193120A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113186(P2008−113186)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【分割の表示】特願2004−133964(P2004−133964)の分割
【原出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】