線形サブアンテナによって構成される十字アンテナおよび一連の処理
本発明は、線形サブアンテナを含む十字アンテナ及びその一連の処理に関するものである。特に、本発明は、第1及び第2線形部を形成し、基本信号(Si´,Gj´)を生成するセンサ(21−2M,31−3N)を備え、第1及び第2線形部のそれぞれの中間点に接する、第1及び第2のそれぞれの接線方向ベクトル間の角度が、30°から150°の間の角度である第1(2)及び第2(3)線形サブアンテナと、結合信号(VSi,VGj)を形成するアンテナ処理装置(4,5)と、有用な結合信号(TSi,TGj)を生成する信号処理装置(6,7)と、有用な結合信号間の相関係数([Cij])を算出する装置(8)と、相関係数が閾値を超える場合に、検出信号([Rij])を生成する装置(8)とを有するアンテナ(1)に関するものである。本発明は、例えば、同等の性能レベルのためのいくつかのセンサを有するアンテナを得るために用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アンテナに関するものであり、特に、アンテナの構造と、受信に用いられるアンテナのセンサからのデータ処理とに関するものである。
【0002】
レーダーの分野では、標的または情報源を発見し、探し出し、そして区分するために、演算によりビームを形成する平面アンテナを使用することで知られている。このようなアンテナは、一般に長方形の平らな面を形成するように並べられた数千のセンサを含むアレイによって構成されている。これらのセンサは、一般に、同一の指向性パターンを有する。この基本的な指向性パターンは、場所によってはアンテナから要求される性能を満足するための十分な分解能を持たない。ビームを形成する装置は、センサにより、要求された仰角と指向性とを形成するように生成された信号の組み合わせ(例として線形組み合わせ)を生成する。
【0003】
このようなアンテナはデメリットを有する。仰角と方向とによって正確な位置を与えるためには、このアンテナはとても高額であり、また、海軍のプラットフォーム、航空機、陸上の乗り物、あるいは宇宙船のような固定された、もしくは可動性のプラットフォームに集約するのが困難である。
【0004】
従って、この一つもしくはそれ以上のデメリットを解決するアンテナが必要とされる。
【0005】
本発明は、それゆえに
−第1及び第2線形部を形成するために配置される、各々が基本信号を発生するセンサである複数個のセンサを備え、
−第1及び第2線形部のそれぞれの中間点に接する第1及び第2のそれぞれの接線方向ベクトル間の角度が、30°から150°の間の角度である
−第1及び第2線形サブアンテナと、
−各線形部毎に、該線形部のセンサの基本信号の結合である、複数の結合信号(VSi,VGj)を形成するためのアンテナ処理装置と、
−各線形部から与えられる前記結合信号のノイズを濾過するために有用な結合信号を生成する信号処理装置と、
−第1線形部の結合信号と第2線形部の結合信号との間の相関係数を算出するための装置と、
−相関係数が所定の閾値を超える場合に、検出信号を生成する装置とを有することを特徴とするアンテナに関するものである。
【0006】
代わりの案によると、アンテナは、また、標的検出装置を含み、予め定義され、関連付けられた閾値で算出された相関係数を比較し、相関係数が関連付けられた閾値を超える場合に標的を検出し、位置を確認する。
【0007】
さらに代わりの案によると、アンテナは、検出信号を処理する装置を含み、相関係数は標的の検出に関する情報を生成する。さらに代わりの案によると、生成された情報は、標的の、距離、仰角、方向、および速度を含む。アンテナは、また、生成された情報を表示する装置を含むことも可能である。
【0008】
さらに代わりの案によると、それぞれのセンサは、レーダー、無電および電磁気センサ、水中聴音器、変換器、マイクロフォン、超音波センサ、加速度測定器、光学および赤外線センサからなるグループから選択される多数の単純なセンサを含む。
【0009】
単純なセンサが伝送し、データ処理装置がそれぞれのセンサによって伝送された信号に従い結合信号を処理することは可能である。この処理には、例えば、パルス圧縮処理が含まれる。
【0010】
代わりの案によると、アンテナは、また、送信器を有し、データ処理装置は、上記送信器から送信された信号に従って結合信号を処理する。この処理には、例えば、パルス圧縮処理が含まれる。
【0011】
さらに代わりの案によると、第1および第2線形部は、変曲点がない曲線である。第1および第2線形部は、直線状であり、仰角をなすような方位に位置づけられている。これらの直線線形部は、平行でないことが好ましい。
【0012】
本発明の他の特徴および有利な点は、無制限の例として与えられる図に関する、次の記述からより明瞭になるだろう。これらの図を示す。
【0013】
図1は、本発明に係る、アンテナ構造の一例およびアンテナのセンサからのデータ処理に関する構成を示す図である。
【0014】
図2から図4は、異なる事例に関して情報源を比較する図である。
【0015】
図5から図14は、それぞれ、線形サブアンテナの例を示す図である。
【0016】
本項目のセンサは、以下、一つもしくはそれ以上の単純なセンサを含む装置について言及する。多数の単純なセンサを有するセンサは、ある程度本質的に知られている単純なセンサの信号に基づいて基本信号を生成する。
【0017】
センサの性能を改善するために、多数のセンサを結合させるモジュールを使用する事はごく普通である。この文書で使用された本項目のセンサもまた、センサのモジュールを含む、なぜならば、センサおよびセンサのモジュールは、アンテナ処理関しては機能的に同一だからである。
【0018】
本項目のアンテナ処理は、以下、センサ信号を結合させることによって形成されるセンサの信号処理について言及し、信号は、チャンネルもしくはビームと呼ばれ、物理量の空間の移動方向に有利に働く。以下で述べられる信号の組み合わせは、例えば、信号の線形の組み合わせである。
【0019】
本発明は、それぞれが線形部を構成するセンサを備え付けた、少なくとも2つの線形サブアンテナを含むアンテナを提案する。2つの線形部は以下で定義される。
【0020】
それぞれの線形部の中間点に接線が構成される。接線の方向ベクトルの間の角度は、30度と150度との間でなければならない。線形部の方向は、このようにアンテナが直角とみなされた2つの全く異なった軸に従って十分な情報を取り戻すのに十分明瞭である。それぞれの線形サブアンテナは、一つもしくはそれ以上の結合信号を生成するアンテナ処理装置を有する。それぞれの線形サブアンテナは、一つもしくはそれ以上の有用な結合信号を供給するアンテナ処理装置を有する。これらの有用な結合信号は、結合信号の処理の結果であり、相関処理の前に生成される雑音を取り出す。アンテナはまた、一つの線形サブアンテナの有用な結合信号と他の線形サブアンテナの有用な結合信号との間の相関係数を算出する装置を有する。分解能情報は、センサの数の増加よりむしろ算出によって得られる。
【0021】
アンテナの簡素な構成例を、図1を参照して述べる。図1のアンテナは、2つの線形サブアンテナ2および3を含む。線形サブアンテナ2および3は、それぞれ、21から2Mおよび31から3Nの多数のセンサを含む。センサ21から2Mは、第1線形部を構成するように配置される。センサ31から3Nは、第2線形部を構成するように配置される。
【0022】
図1の第1および第2線形部は、以前に定義された方向の条件が正しいかどうか確かめる。この場合、これらの線形部は、同一の場所に直線に配置され、そして、これらの線形部は、直角である。方向ベクトル間の角度は、当業者によって選択された適切な範囲にすることができる。この角度は、次の範囲にすることが可能である。「40度,140度」、「50度,130度」、「60度,120度」、「70度,110度」、「80度,100度」、「85度,95度」および「89度,91度」である。この場合、センサ21から2Mが、情報源または標的の仰角を割り出し、一方では、そこからセンサ31から3Nが、方向を割り出す。
【0023】
これらのセンサは、一つもしくはそれ以上の単純で適切な、図示しないセンサを含む。一つもしくはそれ以上の単純なセンサを有するセンサは、ある程度本質的に知られている単純なセンサの信号に基づいて基本信号を生成する。それゆえに、それぞれのセンサは、アンテナ処理の前に命令を処理する特定の信号を受けることができる基本信号を生成する。線形部のセンサは、同一の指向性を有することが可能であり、この線形部に均一に分布する。センサ21から2Mは、それぞれ、Si’で示された基本信号S1からSMを生成する。センサ31から3Mは、それぞれ、Gj’で示された基本信号G1からGNを生成する。記号i’は、以下では、センサ2i’に関連付けられる全ての信号および構成を示すために使用する。従って、信号S4は、センサ24に関連付けられる。同様に、記号j’は、センサ3j’に関連付けられる全ての信号および構成を示すために使用する。従って、信号G2は、センサ32に関連付けられる。
【0024】
アンテナ処理装置4は、ある程度本質的に知られているが、線形部のセンサの結合信号を形成する。アンテナ処理装置4は、このように、信号Si’に関連する結合信号VSiを生成する。アンテナ処理装置5は、他の線形部のセンサの結合信号を形成することがある程度本質的に知られている。アンテナ処理装置5は、このように、信号Gj’に関連する結合信号VGjを生成する。結合信号は、特に、受信に使用される指向性アンテナの突出部を形成するために用いられる。
【0025】
線形サブアンテナのそれぞれは、アンテナ処理からの信号を処理する信号処理装置を有する。この信号処理装置は、一つもしくはそれ以上の有用な結合信号をそれぞれの線形サブアンテナの出力に供給する。
【0026】
信号処理装置6および7は、ノイズから有用な信号を抽出することがある程度本質的に知られている。信号処理装置6および7は、従って、有用な結合信号TSiおよびTGjを生成するために、結合信号VSiおよびVGjをそれぞれ処理する。信号処理装置6および7は、パルス圧縮として知られる、伝送された信号の処理操作を行うために、伝送/受信型アンテナまたは受信専用アンテナの伝送装置に接続される。
【0027】
算出装置8は、第1線形部の有用な結合信号TSiと第2線形部の有用な結合信号TGjとの間の時間もしくは周波数相関係数を演算する(処理が時間で行われたか周波数領域で行われたかに依存する)。従って、相関係数の行列[Cij]はこのように形成される。これらの相関係数の演算に関する詳細は、以下で与えられる。演算装置8は、さらに、標的を探知し、探知信号を生成するために相関係数[Cij]を使用する。可能な操作は次のとおりである。探知装置(例えば演算装置8に含まれる)は、予め定義された閾値と相関係数とを比較する。与えられた相関係数が定義された閾値より下である時は、仰角iおよび方向jで定められた、2つの指向性ローブVSiおよびVGjの交点に、情報源あるいは標的がないと考えられる。しかしながら、相関係数が定義された閾値を越える時は、仰角iおよび方向jで定められた、2つの指向性ローブVSiおよびVGjの交点に、情報源あるいは標的があると考えられる。比較結果に関連付けられた探知信号は、それゆえに、2進数の形で生成することができる。全ての信号は、行列[Rij]に配列される。閾値は、アンテナおよび関連するデータ処理装置(アンテナ処理、信号処理、および情報処理を含む)に要求される性能に従い、探知の確率および誤り検出の点から定義される。
【0028】
アンテナ処理操作が、当業者に知られている場合で、図1のアンテナが伝送/受信型アンテナならば、アンテナの伝送の指向性を示す図は、ローブが十字形になり、相互依存の関係によると、受信の指向性を示す図は、伝送のものと同じとなる。示されたアンテナ構造については、アンテナおよび信号処理操作の関わりは、一例が平面アンテナである、表面アンテナが得るのと同じ情報を得ることを可能にする。その受信の指向性ローブは、指向性ローブによって形成された十字形の中心と同じくらい薄い。その上、さらにアンテナ処理操作が、当業者に知られている場合で、図1のアンテナが、線形サブアンテナから来る信号間の相関処理を果たさないならば、探知性能はサブアンテナ単体と同等である。この性能は、本発明によって得られた性能よりも明らかに劣っている。
【0029】
処理装置9は、例えば、誤り検出の確率に関する性能を改善するために、あるいは速度、標的の距離もしくは他の有用な情報を割り出すために、付加情報処理工程を行うことができる。処理装置9は、技師もしくは処理装置が情報を処理することを可能にする。この処理装置9は、入力として、行列[Cij]、行列[Rij]のようなデータもしくは類似したデータを受け取る。全ての割り出された情報は、本質的に知られている適切な表示装置10によって使用者に供給される。
【0030】
図5から図14は、本発明で使用される線形サブアンテナの線形部の様々な形を示す。
【0031】
図5は、センサの表面に配置された、ある球を示す。線形サブアンテナのセンサの線形部は、センサの円の円弧により選択的に形成される。円および円弧は、それらに所属する点によって示される。従って、図5の球は、センサの円EAOB、ASBN、およびESONを有する。上述の処理操作は、線形部の異なる対で行われる。十字アンテナの線形部の対は、NASとEAOと、SBNとOBEと、AOBとSONと、BEAとNESと、BNAとONEと、ASBとESOと、もしくは、例えば、NAとEAOと、あるいは、NA部の点とAS部の点とによって形成された線形部とEA部の点とAO部の点とによって形成された線形部と等の同一の対と線形部のサブ部とであってもよい。従って、線形サブアンテナのセンサによって形成される線形部は、表面の直角な測地線に沿って配置される。線形部が、閉曲線形状を有する時、直線線形部と同等の指向性を有する線形部を定義するために、サブ部に分割される。線形部の中間点は、他の線形サブアンテナの線形部に対する間隔が最も短くなる水準の点として決定される。
【0032】
図6は、ソーラーパネルに、2つの直交方向で配置された線形サブアンテナ62および63を有する衛星を示す。
【0033】
図7は、翼の上部もしくは下部にそれぞれ横向きに配置された、線形サブアンテナのセンサにより形成された線形部73、および胴体の上部もしくは下部にそれぞれ軸方向に配置された、センサにより形成された線形部72を有する航空機を示す。
【0034】
図8は、胴体に軸方向に配置された線形部82および胴体断面を取り巻く円形線形部83を有するミサイルを示す。
【0035】
図9は、胴体断面に複合線形部が配置された他のミサイルを示す。
【0036】
図10は、潜水艦に適した線形サブアンテナの線形部を示す。線形部102は、外郭の表面の軸方向に伸びている。線形部103は、艦橋と外郭との間に横向きに伸びている。
【0037】
図11は、2つの直交する線形部112および113を支える荷台を有する車を示す。
【0038】
図12は、垂直軸について回転するアンテナを示す。直線線形部123は、アンテナ台の軸上に伸びている。直線線形部122は、アンテナの上部に伸びている。
【0039】
図13は、静止アンテナを示す。直線線形部133は、それぞれの台の多数の表面上に伸びている。円線形部132は、アンテナの上部に伸びている。
【0040】
図14もまた、静止アンテナを示す。上部は平行六面体の形状を有する。それぞれの側面は、垂直の直線線形部143および水平の直線線形部142を有する。
【0041】
線形部の形状に関して、さまざまな限定を使用することは可能である。特に、少なくとも一つの線形部が、曲線形状を有することは可能である。このような曲線が屈折点を有さないことは可能である。また、湾曲の変化が制限されることも可能である。
【0042】
従って、線形部の中間点近くの湾曲を制限することは可能である。線形部の長さLおよび線形部の、点と中間点との間の曲線の距離dは定義される。d/Lが0.1より小さい点は、この点の標的の接線方向ベクトルと中間点の標的の接線方向ベクトルとの間の角度は、45度から135度の範囲に含まれないことは可能である。
【0043】
線形部が一致することは可能である、即ち、土台の非直線形と調和する形を有すること、そしてこの線形部を直線線形部と同一にさせるためにモジュールの信号を処理することである。特に、ニールソンの表面、航空機の翼および尾部に取り付けられた線形部へ、そのような処理操作を適用することは可能である。適合アンテナの処理は、当業者にとって、周知の技術である。
【0044】
2つの線形部は、2つのサブアンテナから離れた場所に標的又は情報源が存在する状態において、いくらかの距離をおいて隔てることが可能である。この距離は、当業者によって、サブアンテナ毎に、アンテナの直線長の2乗とアンテナで使用される最低波長との比として定義される。
【0045】
2つの線形部のセンサ間の結合を弱くするために、該2つの線形部は、十分な距離を隔てた位置に配置することができる。しかしながら、2つの線形部は交差することが可能であり、その場合には、2つの線形部に共通する1つのセンサと、2つの線形部のうち1つの線形部に孔部とが存在してもよい。1つのセンサを2つの線形部で共有することによって、相関係数は自己相関係数まで小さくなり、上記孔部は、当業者に知られている間隙アンテナに該当する。
【0046】
多数の図面に図示されている種類のアンテナのみならず、例えば、長方形状のセンサアレイを有するアンテナを本発明に適用することも可能である。そして、そのアレイは、上記定義づけられたサブアンテナ部に分類される。それは、特に、複数の行列を定めることが可能であり、また、複数の行列のペアに対する相関係数を算出することが可能である。それは、また、アレイを形成しないが、上記定義づけられた方位を有する2つ以上のサブアンテナ部を考慮すること、及び、これらのサブアンテナ部の複数ペア毎に相関係数を算出することも可能である。多数のペア毎の相関係数の算出は、アンテナの性能を高めるために交雑される(crossed)ことが可能である。
【0047】
超音波探知機アプリケーションでは、センサが水中聴音器である受動アンテナ、又はセンサが変換器である能動アンテナを使うことができる。結合信号を生成する処理装置は、特に、チャンネル形成機能を果たす。
【0048】
レーダー(電波探知機)に関するアンテナアプリケーションにおいて、アンテナは受信に用いられ、モジュールのセンサはレーダー信号の検出に適している。結合信号を生成する装置は、特に、ビーム形成機能を果たす。
【0049】
特に、レーダーアプリケーションに適した複雑な映像信号(例えば、図1の例におけるTSi,TGj)の時間相関係数の算出を実行するために、[Cij]の係数は以下で算出することができる。
【0050】
X(t)とY(t)とを複素数、任意値、非周期的、集合、二次の定常信号とする。2つの信号の相関関数は、Y(t−τ)の共役複素数とX(t)との積の数学的期待値として定義される。ここで、τは2つの信号間の時間変化である。
【0051】
【数1】
【0052】
エルゴード信号の場合において、相関関数は以下の等式が成り立つことを証明する。
【0053】
【数2】
【0054】
実際、積分は、積分時間に一致する有限時間区間を超えて算出される。
【0055】
当業者にとって、周期的な信号、非集合、あるいは上述した統計学的性質のすべてを検証しない場合に、その式を適応することは周知である。
【0056】
正規化された2つの信号間の相関関数は、以下のように定義づけられる。
【0057】
【数3】
【0058】
正規化された相関関数を用いることにより、XY間のレベルの相違について考慮することなしに、標的を検出することが可能となる。
【0059】
τが無限大に向かって移動するとき、相関関数はゼロ(0)に向かって移動するので、実際、時間変化τは有限であると考えられる。例えば、もし、τが時間間隔[−τ max、τ max]の間にある場合、前記正規化された相関関数には、2つの線形サブアンテナ間の最大相関関数である最大値CXYに到達するためのτの値τ0が存在する。
【0060】
【数4】
【0061】
時間変化τ0は、アンテナの形状によって決められる。2つの同一線形サブアンテナが中心部で交差する場合、その最大値CXYはτ0=0に達する。
【0062】
最大相関係数Cijは、無作為信号X(t)、Y(t)と上記定義付けられたTSi,TGjとして有用な結合信号とを置換することによって得られる。よって、該最大相関係数Cijは、0と1の間にある数値のマトリックス(行列)[Cij]を形成する。
【0063】
あらかじめ定義された相関閾値である最大相関係数値Cijとは、2つの線形サブアンテナ2i、3jの指向性ローブの仮想的な交点で、少なくとも1つの情報源又は1つの標的が検出されることを意味する。図1の場合、情報源又は標的の存在は、仰角iと方向jの交点にあると決定される。
【0064】
実際の結合信号を基礎として用いるもう一方の算出方法は、算出手段の簡易化を可能にする。
【0065】
相関係数は以下の式における相関関数を考慮することによって確定される。
【0066】
【数5】
【0067】
【数6】
【0068】
この方法は、単純な足し算又は引き算を行うことによって、信号強度から直接的に相関係数を得ることを可能にする。
【0069】
さらに、検波から弱すぎる信号を除いたものを考慮することが可能である。従って、はじめに、上述した正規化された相関関数の共通因子を算出し、それから、その値と最小閾値とを比較する。正規化された相関関数の共通因子が、前記最小閾値よりも小さいときは、検波を行わず、結果的には、ゼロを与えることになる。同様の性能に対して必要な積分時間を著しく減らすことも可能にする。代わりに、それぞれの閾値と共通因子の各々の閾値とを比較することも可能にする。
【0070】
最適な結果を確実にするために、相関算出に用いられる信号の取得が同時期であることが望まれる。
【0071】
相関算出結果は、時間領域に描写されるけれども、例えば、超音波探知機のように周波数領域において相関係数を算出することを考慮することも可能である。周波数領域における相関係数は、以下に定義されるコヒーレンス関数から求められることが可能である。
【0072】
上述した2つの信号XおよびYの相関関数のフーリエ変換は、相互スペクトル密度である(相互作用スペクトル密度)。
【0073】
フーリエ変換(correlationXY)(f)=SXY(f)
同様に、上記定義した信号X、Yの相関関数のフーリエ変換は、信号X、Yのパワースペクトル密度である。
【0074】
フーリエ変換(correlationXX)(f)=SXX(f)
フーリエ変換(correlationYY)(f)=SYY(f)
XとYとの間のコヒーレンス関数は、以下の式によって定義される。
【0075】
【数7】
【0076】
コヒーレンス係数の算出は、分解(Bf)の全周波数帯域に対して一般化される。
この場合、コヒーレンス関数の算出は、次のようになる。
【0077】
【数8】
【0078】
アンテナ処理装置(4)、(5)がこれらの信号の結合(例えば、線形)を実行する前に、指向性または感度の相違に従って、センサの基本信号を比較検討することが可能である。
【0079】
アンテナ処理装置は、相関性やアンテナのもしくは関連するデータ処理の性能を改善することを可能にするために、妨害送信機、又は他の処理から来る寄生信号を取り除くアダプティブ処理も含むことができる。
【0080】
結合信号のための信号処理装置(6),(7)は、帯域通過フィルター、ドップラー又はMTIフィルター、パルス圧縮処理操作、角度誤差測定、相関性やアンテナの実行性や関連するデータ処理を改良することを可能にする他の処理操作等を行うことができる。
【0081】
示されていないけれども、前記アンテナは、適切な情報を操作部に供給する適切データ処理段階を含むことが可能である。一般的に、相関係数の算出は、アンテナ処理段階や信号処理段階の後に行われることが好ましい。相関係数の算出は、一般的に、閾値や情報処理段階によって求められる。
【0082】
図1における装置8〜10に該当する前記情報処理段階は、例えば、検出、位置づけ、情報源または標的の存在の表示を行う。
【0083】
離散信号に関して、相関係数の算出は、数Nの有用な結合信号サンプルによって実行される。当業者は、要求される、検出や誤り検出の確率に従って、必要なサンプルの数を決める。
【0084】
例えば、時間領域において、複素信号XやYのN時間サンプルが考慮され、最大CXYがτ0=0に達すると仮定される。
【0085】
【数9】
【0086】
もし、微弱な信号が、上述した共通因子試験を実行することにより、取り除かれる場合、誤り検出や検出の確率に対して同様な性能を得るために、サンプルNの数を著しく減らすことが可能である。
【0087】
比較による試験及び研究が実行されている。本発明に関するアンテナは、それぞれ25個のモジュール、すなわち、全体で50個のモジュールから構成される、直角を成した2つの直線線形部を有する。該言及したアンテナは、正方形の表面上に分布された100個のモジュールのアレイを有する。このアンテナは、当業者に知られている、振動しない標的、ゆっくり振動する標的、迅速に振動する標的の3タイプの標的に基づいて比較研究される。前記試験にとって、使用される送信器は、スイッチによってパルスがさえぎられる、9345GHZの信号を送信する合成機を含む。該アンテナチャネルは、周波数で置き換えられ、1MHZのサンプル周波数で番号付けされる。該アンテナの検出能力は、送信器の方向において、アンテナの位置決めをすることによって、信号対雑音比に基づいて試験される。検出ローブ外の標的を拒絶するためのアンテナ能力は、方位において、アンテナの位置決めを不適切にすることによって、試験される。送信器近くの妨害送信機(重大なバックグラウンドノイズ発生装置)の影響もまた試験される。前記妨害送信機は、合成機の周波数変調によってシュミレーションする。
【0088】
他の物が全て等しい場合において、振動しない又はゆっくり振動する標的に対する、共通因子テスト方法での本発明アンテナのサンプル数Nが、標準アンテナのサンプル数より4倍以上多いとき、2つのアンテナは同じ検出可能性を得る。また、迅速に振動する標的に対する、共通因子テスト方法での本発明アンテナの前記サンプル数Nが前記標準アンテナのサンプル数よりも4倍以上多いとき、前記2つのアンテナはよりよい検出可能性を得る。共通因子テスト方法での本発明のアンテナ性能の前記改善点iは、誤り検出確率が、標準アンテナのそれよりも6dBも低い10−4であるときに、0.9の検出確率を得るために必要な信号対雑音比によって証明することができる。
【0089】
さらに、モジュールの数が半数まで減ったとしても本発明のアンテナは、検出確率または誤り検出確率が、標準アンテナと同性能を達成することができる。また、補助ローブのレベルが、主ローブのレベルに対して十分に低下した状態において、本発明のアンテナの性能は、同数のモジュールを有する標準アンテナの性能よりも実質的によいということが理解される。
【0090】
理論上、相関係数の算出は、通常、アンテナで実行されるコヒーレント積分と区別される非コヒーレント積分に匹敵する。非コヒーレント検出は、コヒーレント積分より長時間にわたって行われる。本発明のアンテナ処理と関連する補助ローブは、中心ローブの垂直面(例えば、仰角−方向平面)上に、決定的ではないが、ランダムに割り当てられている。従って、図2から図4に示すように、アンテナは補助ローブ上の標的を自動的に追尾しない。
【0091】
本発明のアンテナは、標準アンテナの四角形の側辺に対して、線形部の長さにより、標準アンテナの分解能よりも2.5倍優れた分解能を有する。
【0092】
相関係数の共通因子をテストする方法は、特に、与えられた性能レベルに対して必要なサンプル数を3まで減らすことを可能にした。
【0093】
図2から図4は、様々なケースにおける、従来のアンテナの検出図D1、及びそれと比較した、十字アンテナの検出図D2、D3を示している。D1は、標準アンテナによって発生した図に一致し、D2は、本発明におけるアンテナによって発生した図に一致し、D3は閾値後にD2から得た図である。
【0094】
図2は、単一の標的が存在下での位置性能に合致するものである。図D2やD3は、検出される標的91の付近で、非常に鮮明な痕跡を有する。これに対して、図D1において、従来のアンテナの補助ローブでは、標的91の輪郭が不鮮明である。
【0095】
図3は、単一の標的が存在下での位置性能や、近傍にある妨害送信機に合致するものである。図D2やD3中に、標的91や妨害送信機92が正確に位置づけられている。また、該標的や該妨害送信機の痕跡も、図D1に比べて図D2やD3中にはかなり鮮明に示されている。
【0096】
図4は、2つの標的93や94の存在下における位置性能に合致するものである。図D2やD3は、D1の分解能よりも優れた分解能を有している。D2やD3は、D1と異なり、2つの標的93や94を識別することが可能である。
【0097】
標的として同位置にある妨害送信機の存在が、アンテナの位置選定性能を低下させないように、アンテナは、妨害送信機の位置を選定し、その位置を提示し、前記妨害送信機から来る信号を測定し、モジュールによって測定される信号から前記信号を差し引くという工程を実行することが可能である。それらの最初の軸に対して、例えば45°の線形サブアンテナの傾きが、測定における妨害送信機の影響を低減することを可能にする。
【0098】
本発明は、特に、レーダーセンサに好都合であるが、もちろん、簡単なセンサ(elementary sensor)が水中聴音器、マイクロフォン、変換器、無電センサ、超音波センサ、加速度測定器、光学及び赤外線センサであるアンテナにも適用することができる。
【0099】
本発明は、例えば、航空分野において、障害物や目的物の検出、それらの像(イメージ)の提供に用いることができる。
【0100】
本発明は、また、海底分野において、障害物や海底にある目的物の検出、それらの像の提供に用いることができる。
【0101】
本発明は、また、天文分野において、衛星や弾道ミサイルのように地球の近くにある天体目的物や、星のように地球から遠く離れている天体目的物の検出、それらの像の提供に用いることができる。
【0102】
本発明は、また、宇宙分野において、飛行物体等の地球の近くにある目的物の検出、地球上における不動若しくは可動目的物の空からの検出、または、それらの像の提供に用いることができる。
【0103】
本発明は、また、サイズモロジカル分野において、地球の表面下や地表内部に存在する固体、液体、気体目的物の検出や、それらの像を提供に用いることができる。
【0104】
本発明は、また、医療分野において、生物又は人体の内部に存在する固体、液体、気体目的物の検出、またはそれらの像の提供に用いることができる。
【0105】
本発明は、例えば、セキュリティー分野(安全保障)において、地上における保護空間への侵入物の検出や、該侵入物の像の提供に用いることができる。
【0106】
本発明は、海上分野において、海面上の船舶の発見や、該船舶の像の提供に用いることができる。
【0107】
本発明は、例えば、航空保全の分野において、空港や、核センター及び核保護建造物等のセンシティブ区域近傍を航行する航空機の検出や、該航空機像の提供に用いることができる。
【0108】
本発明は、例えば、地上ナビゲーション分野(例,自動車)や、海上ナビゲーション分野(例,船)や、海底ナビゲーション分野(例,潜水艦)や、航空ナビゲーション分野(例,旅客機)等の分野において、非可視的な障害物の検出、該障害物像の提供に用いることができ、その結果、それらの安全をさらに改善することができる。
【0109】
本発明は、例えば、宇宙や海底通信の分野において、通信チャネルの数の増加や、それらの受信性能の向上に用いることができる。
【0110】
本発明は、例えば、電子戦分野において、検出性能の改善に用いることができる。
【0111】
本発明は、例えば、ミサイルや魚雷に対する自動追尾装置分野において、航行(ナビゲーション)性能の改善に用いることができる。
【0112】
本発明は、例えば、音響分野において、マイクロフォンの性能の改善に用いることができる。
【0113】
本発明は、例えば、ロボット工学の分野において、ロボットの近傍に位置する物や障害物の検出、該物像の提供に用いることができる。
【0114】
本発明は、例えば、非破壊試験の分野において、超音波プローブ性能の改善に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明に係るアンテナ構造の一例およびアンテナのセンサからのデータ処理に関する構成を示す図である。
【図2】様々なケースにおける、従来のアンテナの検出図D1、及びそれと比較した、十字アンテナの検出図D2、D3を示す図である。
【図3】様々なケースにおける、従来のアンテナの検出図D1、及びそれと比較した、十字アンテナの検出図D2、D3を示す図である。
【図4】様々なケースにおける、従来のアンテナの検出図D1、及びそれと比較した、十字アンテナの検出図D2、D3を示す図である。
【図5】センサの表面に配置された、ある球を示す図である。
【図6】ソーラーパネルに、2つの直交方向で配置された線形サブアンテナ62および63を有する衛星を示す図である。
【図7】翼の上部もしくは下部にそれぞれ横向きに配置された、線形サブアンテナのセンサにより形成された線形部73、および胴体の上部もしくは下部にそれぞれ軸方向に配置された、センサにより形成された線形部72を有する航空機を示す図である。
【図8】胴体に軸方向に配置された線形部82および胴体断面を取り巻く円形線形部83を有するミサイルを示す図である。
【図9】胴体断面に複合線形部が配置された他のミサイルを示す図である。
【図10】潜水艦に適した線形サブアンテナの線形部を示す図である。
【図11】2つの直交する線形部112および113を支える荷台を有する車を示す図である。
【図12】垂直軸について回転するアンテナを示す図である。
【図13】静止アンテナを示す図である。
【図14】静止アンテナを示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アンテナに関するものであり、特に、アンテナの構造と、受信に用いられるアンテナのセンサからのデータ処理とに関するものである。
【0002】
レーダーの分野では、標的または情報源を発見し、探し出し、そして区分するために、演算によりビームを形成する平面アンテナを使用することで知られている。このようなアンテナは、一般に長方形の平らな面を形成するように並べられた数千のセンサを含むアレイによって構成されている。これらのセンサは、一般に、同一の指向性パターンを有する。この基本的な指向性パターンは、場所によってはアンテナから要求される性能を満足するための十分な分解能を持たない。ビームを形成する装置は、センサにより、要求された仰角と指向性とを形成するように生成された信号の組み合わせ(例として線形組み合わせ)を生成する。
【0003】
このようなアンテナはデメリットを有する。仰角と方向とによって正確な位置を与えるためには、このアンテナはとても高額であり、また、海軍のプラットフォーム、航空機、陸上の乗り物、あるいは宇宙船のような固定された、もしくは可動性のプラットフォームに集約するのが困難である。
【0004】
従って、この一つもしくはそれ以上のデメリットを解決するアンテナが必要とされる。
【0005】
本発明は、それゆえに
−第1及び第2線形部を形成するために配置される、各々が基本信号を発生するセンサである複数個のセンサを備え、
−第1及び第2線形部のそれぞれの中間点に接する第1及び第2のそれぞれの接線方向ベクトル間の角度が、30°から150°の間の角度である
−第1及び第2線形サブアンテナと、
−各線形部毎に、該線形部のセンサの基本信号の結合である、複数の結合信号(VSi,VGj)を形成するためのアンテナ処理装置と、
−各線形部から与えられる前記結合信号のノイズを濾過するために有用な結合信号を生成する信号処理装置と、
−第1線形部の結合信号と第2線形部の結合信号との間の相関係数を算出するための装置と、
−相関係数が所定の閾値を超える場合に、検出信号を生成する装置とを有することを特徴とするアンテナに関するものである。
【0006】
代わりの案によると、アンテナは、また、標的検出装置を含み、予め定義され、関連付けられた閾値で算出された相関係数を比較し、相関係数が関連付けられた閾値を超える場合に標的を検出し、位置を確認する。
【0007】
さらに代わりの案によると、アンテナは、検出信号を処理する装置を含み、相関係数は標的の検出に関する情報を生成する。さらに代わりの案によると、生成された情報は、標的の、距離、仰角、方向、および速度を含む。アンテナは、また、生成された情報を表示する装置を含むことも可能である。
【0008】
さらに代わりの案によると、それぞれのセンサは、レーダー、無電および電磁気センサ、水中聴音器、変換器、マイクロフォン、超音波センサ、加速度測定器、光学および赤外線センサからなるグループから選択される多数の単純なセンサを含む。
【0009】
単純なセンサが伝送し、データ処理装置がそれぞれのセンサによって伝送された信号に従い結合信号を処理することは可能である。この処理には、例えば、パルス圧縮処理が含まれる。
【0010】
代わりの案によると、アンテナは、また、送信器を有し、データ処理装置は、上記送信器から送信された信号に従って結合信号を処理する。この処理には、例えば、パルス圧縮処理が含まれる。
【0011】
さらに代わりの案によると、第1および第2線形部は、変曲点がない曲線である。第1および第2線形部は、直線状であり、仰角をなすような方位に位置づけられている。これらの直線線形部は、平行でないことが好ましい。
【0012】
本発明の他の特徴および有利な点は、無制限の例として与えられる図に関する、次の記述からより明瞭になるだろう。これらの図を示す。
【0013】
図1は、本発明に係る、アンテナ構造の一例およびアンテナのセンサからのデータ処理に関する構成を示す図である。
【0014】
図2から図4は、異なる事例に関して情報源を比較する図である。
【0015】
図5から図14は、それぞれ、線形サブアンテナの例を示す図である。
【0016】
本項目のセンサは、以下、一つもしくはそれ以上の単純なセンサを含む装置について言及する。多数の単純なセンサを有するセンサは、ある程度本質的に知られている単純なセンサの信号に基づいて基本信号を生成する。
【0017】
センサの性能を改善するために、多数のセンサを結合させるモジュールを使用する事はごく普通である。この文書で使用された本項目のセンサもまた、センサのモジュールを含む、なぜならば、センサおよびセンサのモジュールは、アンテナ処理関しては機能的に同一だからである。
【0018】
本項目のアンテナ処理は、以下、センサ信号を結合させることによって形成されるセンサの信号処理について言及し、信号は、チャンネルもしくはビームと呼ばれ、物理量の空間の移動方向に有利に働く。以下で述べられる信号の組み合わせは、例えば、信号の線形の組み合わせである。
【0019】
本発明は、それぞれが線形部を構成するセンサを備え付けた、少なくとも2つの線形サブアンテナを含むアンテナを提案する。2つの線形部は以下で定義される。
【0020】
それぞれの線形部の中間点に接線が構成される。接線の方向ベクトルの間の角度は、30度と150度との間でなければならない。線形部の方向は、このようにアンテナが直角とみなされた2つの全く異なった軸に従って十分な情報を取り戻すのに十分明瞭である。それぞれの線形サブアンテナは、一つもしくはそれ以上の結合信号を生成するアンテナ処理装置を有する。それぞれの線形サブアンテナは、一つもしくはそれ以上の有用な結合信号を供給するアンテナ処理装置を有する。これらの有用な結合信号は、結合信号の処理の結果であり、相関処理の前に生成される雑音を取り出す。アンテナはまた、一つの線形サブアンテナの有用な結合信号と他の線形サブアンテナの有用な結合信号との間の相関係数を算出する装置を有する。分解能情報は、センサの数の増加よりむしろ算出によって得られる。
【0021】
アンテナの簡素な構成例を、図1を参照して述べる。図1のアンテナは、2つの線形サブアンテナ2および3を含む。線形サブアンテナ2および3は、それぞれ、21から2Mおよび31から3Nの多数のセンサを含む。センサ21から2Mは、第1線形部を構成するように配置される。センサ31から3Nは、第2線形部を構成するように配置される。
【0022】
図1の第1および第2線形部は、以前に定義された方向の条件が正しいかどうか確かめる。この場合、これらの線形部は、同一の場所に直線に配置され、そして、これらの線形部は、直角である。方向ベクトル間の角度は、当業者によって選択された適切な範囲にすることができる。この角度は、次の範囲にすることが可能である。「40度,140度」、「50度,130度」、「60度,120度」、「70度,110度」、「80度,100度」、「85度,95度」および「89度,91度」である。この場合、センサ21から2Mが、情報源または標的の仰角を割り出し、一方では、そこからセンサ31から3Nが、方向を割り出す。
【0023】
これらのセンサは、一つもしくはそれ以上の単純で適切な、図示しないセンサを含む。一つもしくはそれ以上の単純なセンサを有するセンサは、ある程度本質的に知られている単純なセンサの信号に基づいて基本信号を生成する。それゆえに、それぞれのセンサは、アンテナ処理の前に命令を処理する特定の信号を受けることができる基本信号を生成する。線形部のセンサは、同一の指向性を有することが可能であり、この線形部に均一に分布する。センサ21から2Mは、それぞれ、Si’で示された基本信号S1からSMを生成する。センサ31から3Mは、それぞれ、Gj’で示された基本信号G1からGNを生成する。記号i’は、以下では、センサ2i’に関連付けられる全ての信号および構成を示すために使用する。従って、信号S4は、センサ24に関連付けられる。同様に、記号j’は、センサ3j’に関連付けられる全ての信号および構成を示すために使用する。従って、信号G2は、センサ32に関連付けられる。
【0024】
アンテナ処理装置4は、ある程度本質的に知られているが、線形部のセンサの結合信号を形成する。アンテナ処理装置4は、このように、信号Si’に関連する結合信号VSiを生成する。アンテナ処理装置5は、他の線形部のセンサの結合信号を形成することがある程度本質的に知られている。アンテナ処理装置5は、このように、信号Gj’に関連する結合信号VGjを生成する。結合信号は、特に、受信に使用される指向性アンテナの突出部を形成するために用いられる。
【0025】
線形サブアンテナのそれぞれは、アンテナ処理からの信号を処理する信号処理装置を有する。この信号処理装置は、一つもしくはそれ以上の有用な結合信号をそれぞれの線形サブアンテナの出力に供給する。
【0026】
信号処理装置6および7は、ノイズから有用な信号を抽出することがある程度本質的に知られている。信号処理装置6および7は、従って、有用な結合信号TSiおよびTGjを生成するために、結合信号VSiおよびVGjをそれぞれ処理する。信号処理装置6および7は、パルス圧縮として知られる、伝送された信号の処理操作を行うために、伝送/受信型アンテナまたは受信専用アンテナの伝送装置に接続される。
【0027】
算出装置8は、第1線形部の有用な結合信号TSiと第2線形部の有用な結合信号TGjとの間の時間もしくは周波数相関係数を演算する(処理が時間で行われたか周波数領域で行われたかに依存する)。従って、相関係数の行列[Cij]はこのように形成される。これらの相関係数の演算に関する詳細は、以下で与えられる。演算装置8は、さらに、標的を探知し、探知信号を生成するために相関係数[Cij]を使用する。可能な操作は次のとおりである。探知装置(例えば演算装置8に含まれる)は、予め定義された閾値と相関係数とを比較する。与えられた相関係数が定義された閾値より下である時は、仰角iおよび方向jで定められた、2つの指向性ローブVSiおよびVGjの交点に、情報源あるいは標的がないと考えられる。しかしながら、相関係数が定義された閾値を越える時は、仰角iおよび方向jで定められた、2つの指向性ローブVSiおよびVGjの交点に、情報源あるいは標的があると考えられる。比較結果に関連付けられた探知信号は、それゆえに、2進数の形で生成することができる。全ての信号は、行列[Rij]に配列される。閾値は、アンテナおよび関連するデータ処理装置(アンテナ処理、信号処理、および情報処理を含む)に要求される性能に従い、探知の確率および誤り検出の点から定義される。
【0028】
アンテナ処理操作が、当業者に知られている場合で、図1のアンテナが伝送/受信型アンテナならば、アンテナの伝送の指向性を示す図は、ローブが十字形になり、相互依存の関係によると、受信の指向性を示す図は、伝送のものと同じとなる。示されたアンテナ構造については、アンテナおよび信号処理操作の関わりは、一例が平面アンテナである、表面アンテナが得るのと同じ情報を得ることを可能にする。その受信の指向性ローブは、指向性ローブによって形成された十字形の中心と同じくらい薄い。その上、さらにアンテナ処理操作が、当業者に知られている場合で、図1のアンテナが、線形サブアンテナから来る信号間の相関処理を果たさないならば、探知性能はサブアンテナ単体と同等である。この性能は、本発明によって得られた性能よりも明らかに劣っている。
【0029】
処理装置9は、例えば、誤り検出の確率に関する性能を改善するために、あるいは速度、標的の距離もしくは他の有用な情報を割り出すために、付加情報処理工程を行うことができる。処理装置9は、技師もしくは処理装置が情報を処理することを可能にする。この処理装置9は、入力として、行列[Cij]、行列[Rij]のようなデータもしくは類似したデータを受け取る。全ての割り出された情報は、本質的に知られている適切な表示装置10によって使用者に供給される。
【0030】
図5から図14は、本発明で使用される線形サブアンテナの線形部の様々な形を示す。
【0031】
図5は、センサの表面に配置された、ある球を示す。線形サブアンテナのセンサの線形部は、センサの円の円弧により選択的に形成される。円および円弧は、それらに所属する点によって示される。従って、図5の球は、センサの円EAOB、ASBN、およびESONを有する。上述の処理操作は、線形部の異なる対で行われる。十字アンテナの線形部の対は、NASとEAOと、SBNとOBEと、AOBとSONと、BEAとNESと、BNAとONEと、ASBとESOと、もしくは、例えば、NAとEAOと、あるいは、NA部の点とAS部の点とによって形成された線形部とEA部の点とAO部の点とによって形成された線形部と等の同一の対と線形部のサブ部とであってもよい。従って、線形サブアンテナのセンサによって形成される線形部は、表面の直角な測地線に沿って配置される。線形部が、閉曲線形状を有する時、直線線形部と同等の指向性を有する線形部を定義するために、サブ部に分割される。線形部の中間点は、他の線形サブアンテナの線形部に対する間隔が最も短くなる水準の点として決定される。
【0032】
図6は、ソーラーパネルに、2つの直交方向で配置された線形サブアンテナ62および63を有する衛星を示す。
【0033】
図7は、翼の上部もしくは下部にそれぞれ横向きに配置された、線形サブアンテナのセンサにより形成された線形部73、および胴体の上部もしくは下部にそれぞれ軸方向に配置された、センサにより形成された線形部72を有する航空機を示す。
【0034】
図8は、胴体に軸方向に配置された線形部82および胴体断面を取り巻く円形線形部83を有するミサイルを示す。
【0035】
図9は、胴体断面に複合線形部が配置された他のミサイルを示す。
【0036】
図10は、潜水艦に適した線形サブアンテナの線形部を示す。線形部102は、外郭の表面の軸方向に伸びている。線形部103は、艦橋と外郭との間に横向きに伸びている。
【0037】
図11は、2つの直交する線形部112および113を支える荷台を有する車を示す。
【0038】
図12は、垂直軸について回転するアンテナを示す。直線線形部123は、アンテナ台の軸上に伸びている。直線線形部122は、アンテナの上部に伸びている。
【0039】
図13は、静止アンテナを示す。直線線形部133は、それぞれの台の多数の表面上に伸びている。円線形部132は、アンテナの上部に伸びている。
【0040】
図14もまた、静止アンテナを示す。上部は平行六面体の形状を有する。それぞれの側面は、垂直の直線線形部143および水平の直線線形部142を有する。
【0041】
線形部の形状に関して、さまざまな限定を使用することは可能である。特に、少なくとも一つの線形部が、曲線形状を有することは可能である。このような曲線が屈折点を有さないことは可能である。また、湾曲の変化が制限されることも可能である。
【0042】
従って、線形部の中間点近くの湾曲を制限することは可能である。線形部の長さLおよび線形部の、点と中間点との間の曲線の距離dは定義される。d/Lが0.1より小さい点は、この点の標的の接線方向ベクトルと中間点の標的の接線方向ベクトルとの間の角度は、45度から135度の範囲に含まれないことは可能である。
【0043】
線形部が一致することは可能である、即ち、土台の非直線形と調和する形を有すること、そしてこの線形部を直線線形部と同一にさせるためにモジュールの信号を処理することである。特に、ニールソンの表面、航空機の翼および尾部に取り付けられた線形部へ、そのような処理操作を適用することは可能である。適合アンテナの処理は、当業者にとって、周知の技術である。
【0044】
2つの線形部は、2つのサブアンテナから離れた場所に標的又は情報源が存在する状態において、いくらかの距離をおいて隔てることが可能である。この距離は、当業者によって、サブアンテナ毎に、アンテナの直線長の2乗とアンテナで使用される最低波長との比として定義される。
【0045】
2つの線形部のセンサ間の結合を弱くするために、該2つの線形部は、十分な距離を隔てた位置に配置することができる。しかしながら、2つの線形部は交差することが可能であり、その場合には、2つの線形部に共通する1つのセンサと、2つの線形部のうち1つの線形部に孔部とが存在してもよい。1つのセンサを2つの線形部で共有することによって、相関係数は自己相関係数まで小さくなり、上記孔部は、当業者に知られている間隙アンテナに該当する。
【0046】
多数の図面に図示されている種類のアンテナのみならず、例えば、長方形状のセンサアレイを有するアンテナを本発明に適用することも可能である。そして、そのアレイは、上記定義づけられたサブアンテナ部に分類される。それは、特に、複数の行列を定めることが可能であり、また、複数の行列のペアに対する相関係数を算出することが可能である。それは、また、アレイを形成しないが、上記定義づけられた方位を有する2つ以上のサブアンテナ部を考慮すること、及び、これらのサブアンテナ部の複数ペア毎に相関係数を算出することも可能である。多数のペア毎の相関係数の算出は、アンテナの性能を高めるために交雑される(crossed)ことが可能である。
【0047】
超音波探知機アプリケーションでは、センサが水中聴音器である受動アンテナ、又はセンサが変換器である能動アンテナを使うことができる。結合信号を生成する処理装置は、特に、チャンネル形成機能を果たす。
【0048】
レーダー(電波探知機)に関するアンテナアプリケーションにおいて、アンテナは受信に用いられ、モジュールのセンサはレーダー信号の検出に適している。結合信号を生成する装置は、特に、ビーム形成機能を果たす。
【0049】
特に、レーダーアプリケーションに適した複雑な映像信号(例えば、図1の例におけるTSi,TGj)の時間相関係数の算出を実行するために、[Cij]の係数は以下で算出することができる。
【0050】
X(t)とY(t)とを複素数、任意値、非周期的、集合、二次の定常信号とする。2つの信号の相関関数は、Y(t−τ)の共役複素数とX(t)との積の数学的期待値として定義される。ここで、τは2つの信号間の時間変化である。
【0051】
【数1】
【0052】
エルゴード信号の場合において、相関関数は以下の等式が成り立つことを証明する。
【0053】
【数2】
【0054】
実際、積分は、積分時間に一致する有限時間区間を超えて算出される。
【0055】
当業者にとって、周期的な信号、非集合、あるいは上述した統計学的性質のすべてを検証しない場合に、その式を適応することは周知である。
【0056】
正規化された2つの信号間の相関関数は、以下のように定義づけられる。
【0057】
【数3】
【0058】
正規化された相関関数を用いることにより、XY間のレベルの相違について考慮することなしに、標的を検出することが可能となる。
【0059】
τが無限大に向かって移動するとき、相関関数はゼロ(0)に向かって移動するので、実際、時間変化τは有限であると考えられる。例えば、もし、τが時間間隔[−τ max、τ max]の間にある場合、前記正規化された相関関数には、2つの線形サブアンテナ間の最大相関関数である最大値CXYに到達するためのτの値τ0が存在する。
【0060】
【数4】
【0061】
時間変化τ0は、アンテナの形状によって決められる。2つの同一線形サブアンテナが中心部で交差する場合、その最大値CXYはτ0=0に達する。
【0062】
最大相関係数Cijは、無作為信号X(t)、Y(t)と上記定義付けられたTSi,TGjとして有用な結合信号とを置換することによって得られる。よって、該最大相関係数Cijは、0と1の間にある数値のマトリックス(行列)[Cij]を形成する。
【0063】
あらかじめ定義された相関閾値である最大相関係数値Cijとは、2つの線形サブアンテナ2i、3jの指向性ローブの仮想的な交点で、少なくとも1つの情報源又は1つの標的が検出されることを意味する。図1の場合、情報源又は標的の存在は、仰角iと方向jの交点にあると決定される。
【0064】
実際の結合信号を基礎として用いるもう一方の算出方法は、算出手段の簡易化を可能にする。
【0065】
相関係数は以下の式における相関関数を考慮することによって確定される。
【0066】
【数5】
【0067】
【数6】
【0068】
この方法は、単純な足し算又は引き算を行うことによって、信号強度から直接的に相関係数を得ることを可能にする。
【0069】
さらに、検波から弱すぎる信号を除いたものを考慮することが可能である。従って、はじめに、上述した正規化された相関関数の共通因子を算出し、それから、その値と最小閾値とを比較する。正規化された相関関数の共通因子が、前記最小閾値よりも小さいときは、検波を行わず、結果的には、ゼロを与えることになる。同様の性能に対して必要な積分時間を著しく減らすことも可能にする。代わりに、それぞれの閾値と共通因子の各々の閾値とを比較することも可能にする。
【0070】
最適な結果を確実にするために、相関算出に用いられる信号の取得が同時期であることが望まれる。
【0071】
相関算出結果は、時間領域に描写されるけれども、例えば、超音波探知機のように周波数領域において相関係数を算出することを考慮することも可能である。周波数領域における相関係数は、以下に定義されるコヒーレンス関数から求められることが可能である。
【0072】
上述した2つの信号XおよびYの相関関数のフーリエ変換は、相互スペクトル密度である(相互作用スペクトル密度)。
【0073】
フーリエ変換(correlationXY)(f)=SXY(f)
同様に、上記定義した信号X、Yの相関関数のフーリエ変換は、信号X、Yのパワースペクトル密度である。
【0074】
フーリエ変換(correlationXX)(f)=SXX(f)
フーリエ変換(correlationYY)(f)=SYY(f)
XとYとの間のコヒーレンス関数は、以下の式によって定義される。
【0075】
【数7】
【0076】
コヒーレンス係数の算出は、分解(Bf)の全周波数帯域に対して一般化される。
この場合、コヒーレンス関数の算出は、次のようになる。
【0077】
【数8】
【0078】
アンテナ処理装置(4)、(5)がこれらの信号の結合(例えば、線形)を実行する前に、指向性または感度の相違に従って、センサの基本信号を比較検討することが可能である。
【0079】
アンテナ処理装置は、相関性やアンテナのもしくは関連するデータ処理の性能を改善することを可能にするために、妨害送信機、又は他の処理から来る寄生信号を取り除くアダプティブ処理も含むことができる。
【0080】
結合信号のための信号処理装置(6),(7)は、帯域通過フィルター、ドップラー又はMTIフィルター、パルス圧縮処理操作、角度誤差測定、相関性やアンテナの実行性や関連するデータ処理を改良することを可能にする他の処理操作等を行うことができる。
【0081】
示されていないけれども、前記アンテナは、適切な情報を操作部に供給する適切データ処理段階を含むことが可能である。一般的に、相関係数の算出は、アンテナ処理段階や信号処理段階の後に行われることが好ましい。相関係数の算出は、一般的に、閾値や情報処理段階によって求められる。
【0082】
図1における装置8〜10に該当する前記情報処理段階は、例えば、検出、位置づけ、情報源または標的の存在の表示を行う。
【0083】
離散信号に関して、相関係数の算出は、数Nの有用な結合信号サンプルによって実行される。当業者は、要求される、検出や誤り検出の確率に従って、必要なサンプルの数を決める。
【0084】
例えば、時間領域において、複素信号XやYのN時間サンプルが考慮され、最大CXYがτ0=0に達すると仮定される。
【0085】
【数9】
【0086】
もし、微弱な信号が、上述した共通因子試験を実行することにより、取り除かれる場合、誤り検出や検出の確率に対して同様な性能を得るために、サンプルNの数を著しく減らすことが可能である。
【0087】
比較による試験及び研究が実行されている。本発明に関するアンテナは、それぞれ25個のモジュール、すなわち、全体で50個のモジュールから構成される、直角を成した2つの直線線形部を有する。該言及したアンテナは、正方形の表面上に分布された100個のモジュールのアレイを有する。このアンテナは、当業者に知られている、振動しない標的、ゆっくり振動する標的、迅速に振動する標的の3タイプの標的に基づいて比較研究される。前記試験にとって、使用される送信器は、スイッチによってパルスがさえぎられる、9345GHZの信号を送信する合成機を含む。該アンテナチャネルは、周波数で置き換えられ、1MHZのサンプル周波数で番号付けされる。該アンテナの検出能力は、送信器の方向において、アンテナの位置決めをすることによって、信号対雑音比に基づいて試験される。検出ローブ外の標的を拒絶するためのアンテナ能力は、方位において、アンテナの位置決めを不適切にすることによって、試験される。送信器近くの妨害送信機(重大なバックグラウンドノイズ発生装置)の影響もまた試験される。前記妨害送信機は、合成機の周波数変調によってシュミレーションする。
【0088】
他の物が全て等しい場合において、振動しない又はゆっくり振動する標的に対する、共通因子テスト方法での本発明アンテナのサンプル数Nが、標準アンテナのサンプル数より4倍以上多いとき、2つのアンテナは同じ検出可能性を得る。また、迅速に振動する標的に対する、共通因子テスト方法での本発明アンテナの前記サンプル数Nが前記標準アンテナのサンプル数よりも4倍以上多いとき、前記2つのアンテナはよりよい検出可能性を得る。共通因子テスト方法での本発明のアンテナ性能の前記改善点iは、誤り検出確率が、標準アンテナのそれよりも6dBも低い10−4であるときに、0.9の検出確率を得るために必要な信号対雑音比によって証明することができる。
【0089】
さらに、モジュールの数が半数まで減ったとしても本発明のアンテナは、検出確率または誤り検出確率が、標準アンテナと同性能を達成することができる。また、補助ローブのレベルが、主ローブのレベルに対して十分に低下した状態において、本発明のアンテナの性能は、同数のモジュールを有する標準アンテナの性能よりも実質的によいということが理解される。
【0090】
理論上、相関係数の算出は、通常、アンテナで実行されるコヒーレント積分と区別される非コヒーレント積分に匹敵する。非コヒーレント検出は、コヒーレント積分より長時間にわたって行われる。本発明のアンテナ処理と関連する補助ローブは、中心ローブの垂直面(例えば、仰角−方向平面)上に、決定的ではないが、ランダムに割り当てられている。従って、図2から図4に示すように、アンテナは補助ローブ上の標的を自動的に追尾しない。
【0091】
本発明のアンテナは、標準アンテナの四角形の側辺に対して、線形部の長さにより、標準アンテナの分解能よりも2.5倍優れた分解能を有する。
【0092】
相関係数の共通因子をテストする方法は、特に、与えられた性能レベルに対して必要なサンプル数を3まで減らすことを可能にした。
【0093】
図2から図4は、様々なケースにおける、従来のアンテナの検出図D1、及びそれと比較した、十字アンテナの検出図D2、D3を示している。D1は、標準アンテナによって発生した図に一致し、D2は、本発明におけるアンテナによって発生した図に一致し、D3は閾値後にD2から得た図である。
【0094】
図2は、単一の標的が存在下での位置性能に合致するものである。図D2やD3は、検出される標的91の付近で、非常に鮮明な痕跡を有する。これに対して、図D1において、従来のアンテナの補助ローブでは、標的91の輪郭が不鮮明である。
【0095】
図3は、単一の標的が存在下での位置性能や、近傍にある妨害送信機に合致するものである。図D2やD3中に、標的91や妨害送信機92が正確に位置づけられている。また、該標的や該妨害送信機の痕跡も、図D1に比べて図D2やD3中にはかなり鮮明に示されている。
【0096】
図4は、2つの標的93や94の存在下における位置性能に合致するものである。図D2やD3は、D1の分解能よりも優れた分解能を有している。D2やD3は、D1と異なり、2つの標的93や94を識別することが可能である。
【0097】
標的として同位置にある妨害送信機の存在が、アンテナの位置選定性能を低下させないように、アンテナは、妨害送信機の位置を選定し、その位置を提示し、前記妨害送信機から来る信号を測定し、モジュールによって測定される信号から前記信号を差し引くという工程を実行することが可能である。それらの最初の軸に対して、例えば45°の線形サブアンテナの傾きが、測定における妨害送信機の影響を低減することを可能にする。
【0098】
本発明は、特に、レーダーセンサに好都合であるが、もちろん、簡単なセンサ(elementary sensor)が水中聴音器、マイクロフォン、変換器、無電センサ、超音波センサ、加速度測定器、光学及び赤外線センサであるアンテナにも適用することができる。
【0099】
本発明は、例えば、航空分野において、障害物や目的物の検出、それらの像(イメージ)の提供に用いることができる。
【0100】
本発明は、また、海底分野において、障害物や海底にある目的物の検出、それらの像の提供に用いることができる。
【0101】
本発明は、また、天文分野において、衛星や弾道ミサイルのように地球の近くにある天体目的物や、星のように地球から遠く離れている天体目的物の検出、それらの像の提供に用いることができる。
【0102】
本発明は、また、宇宙分野において、飛行物体等の地球の近くにある目的物の検出、地球上における不動若しくは可動目的物の空からの検出、または、それらの像の提供に用いることができる。
【0103】
本発明は、また、サイズモロジカル分野において、地球の表面下や地表内部に存在する固体、液体、気体目的物の検出や、それらの像を提供に用いることができる。
【0104】
本発明は、また、医療分野において、生物又は人体の内部に存在する固体、液体、気体目的物の検出、またはそれらの像の提供に用いることができる。
【0105】
本発明は、例えば、セキュリティー分野(安全保障)において、地上における保護空間への侵入物の検出や、該侵入物の像の提供に用いることができる。
【0106】
本発明は、海上分野において、海面上の船舶の発見や、該船舶の像の提供に用いることができる。
【0107】
本発明は、例えば、航空保全の分野において、空港や、核センター及び核保護建造物等のセンシティブ区域近傍を航行する航空機の検出や、該航空機像の提供に用いることができる。
【0108】
本発明は、例えば、地上ナビゲーション分野(例,自動車)や、海上ナビゲーション分野(例,船)や、海底ナビゲーション分野(例,潜水艦)や、航空ナビゲーション分野(例,旅客機)等の分野において、非可視的な障害物の検出、該障害物像の提供に用いることができ、その結果、それらの安全をさらに改善することができる。
【0109】
本発明は、例えば、宇宙や海底通信の分野において、通信チャネルの数の増加や、それらの受信性能の向上に用いることができる。
【0110】
本発明は、例えば、電子戦分野において、検出性能の改善に用いることができる。
【0111】
本発明は、例えば、ミサイルや魚雷に対する自動追尾装置分野において、航行(ナビゲーション)性能の改善に用いることができる。
【0112】
本発明は、例えば、音響分野において、マイクロフォンの性能の改善に用いることができる。
【0113】
本発明は、例えば、ロボット工学の分野において、ロボットの近傍に位置する物や障害物の検出、該物像の提供に用いることができる。
【0114】
本発明は、例えば、非破壊試験の分野において、超音波プローブ性能の改善に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明に係るアンテナ構造の一例およびアンテナのセンサからのデータ処理に関する構成を示す図である。
【図2】様々なケースにおける、従来のアンテナの検出図D1、及びそれと比較した、十字アンテナの検出図D2、D3を示す図である。
【図3】様々なケースにおける、従来のアンテナの検出図D1、及びそれと比較した、十字アンテナの検出図D2、D3を示す図である。
【図4】様々なケースにおける、従来のアンテナの検出図D1、及びそれと比較した、十字アンテナの検出図D2、D3を示す図である。
【図5】センサの表面に配置された、ある球を示す図である。
【図6】ソーラーパネルに、2つの直交方向で配置された線形サブアンテナ62および63を有する衛星を示す図である。
【図7】翼の上部もしくは下部にそれぞれ横向きに配置された、線形サブアンテナのセンサにより形成された線形部73、および胴体の上部もしくは下部にそれぞれ軸方向に配置された、センサにより形成された線形部72を有する航空機を示す図である。
【図8】胴体に軸方向に配置された線形部82および胴体断面を取り巻く円形線形部83を有するミサイルを示す図である。
【図9】胴体断面に複合線形部が配置された他のミサイルを示す図である。
【図10】潜水艦に適した線形サブアンテナの線形部を示す図である。
【図11】2つの直交する線形部112および113を支える荷台を有する車を示す図である。
【図12】垂直軸について回転するアンテナを示す図である。
【図13】静止アンテナを示す図である。
【図14】静止アンテナを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2線形部を形成するために配置される、各々が基本信号(Si’,Gj’)を発生するセンサで複数個のセンサ(21−2M,31−3N)を備え、第1及び第2線形部のそれぞれの中間点に接する第1及び第2のそれぞれの接線方向ベクトル間の角度が、30°から150°の間の角度である第1(2)及び第2(3)線形サブアンテナと、
各線形部毎に、該線形部のセンサの基本信号の結合である、複数の結合信号(VSi,VGj)を形成するためのアンテナ処理装置(4,5)と、
各線形部から与えられる前記結合信号のノイズを濾過するために有用な結合信号(TSi,TGj)を生成する信号処理装置(6,7)と、
第1線形部の前記有用な結合信号と第2線形部の前記有用な結合信号との間の相関係数([Cij])を算出するための装置(8)と、
相関係数が所定の閾値を超える場合に、検出信号([Rij])を生成する装置(8)とを有することを特徴とするアンテナ(1)。
【請求項2】
前記アンテナが、関連する標的検出閾値と各々算出された相関係数とを比較し、相関係数が前記関連する閾値を超える場合に、標的を検出し、位置づける、標的検出装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記アンテナが、検出信号及び相関係数を処理し、前記検出された標的に関する情報を生成する処理装置(9)を含むことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記生成された情報が、標的の距離、仰角、方向、及び速度を含むことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記アンテナが、前記生成された情報を表示する装置(10)を含むことを特徴とする請求項3または4に記載のアンテナ。
【請求項6】
各センサが、レーダー、無電及び電磁気センサ、水中聴音器、変換器、マイクロフォン、超音波センサ、加速度測定器、光学及び赤外線センサにより構成されるグループから選択される多数の簡単なセンサを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記簡単なセンサは、伝達可能であり、データ処理装置は、例えば、パルス圧縮を含む処理のような、各センサによって伝達される信号に従って前記結合信号を処理することを特徴とする請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記アンテナは、さらに送信機を含み、前記データ処理装置は、前記送信機によって伝送される信号に従って結合信号を処理し、該処理は、例えば、パルス圧縮処理を含むことを特徴とする請求項6に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記第1及び第2線形部が、変曲点がない曲線であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記第1及び第2線形部は、直線状であり、仰角をなすような方位に位置づけられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記直線状の線形部が、互いに平行でないことを特徴とする請求項10に記載のアンテナ。
【請求項1】
第1及び第2線形部を形成するために配置される、各々が基本信号(Si’,Gj’)を発生するセンサで複数個のセンサ(21−2M,31−3N)を備え、第1及び第2線形部のそれぞれの中間点に接する第1及び第2のそれぞれの接線方向ベクトル間の角度が、30°から150°の間の角度である第1(2)及び第2(3)線形サブアンテナと、
各線形部毎に、該線形部のセンサの基本信号の結合である、複数の結合信号(VSi,VGj)を形成するためのアンテナ処理装置(4,5)と、
各線形部から与えられる前記結合信号のノイズを濾過するために有用な結合信号(TSi,TGj)を生成する信号処理装置(6,7)と、
第1線形部の前記有用な結合信号と第2線形部の前記有用な結合信号との間の相関係数([Cij])を算出するための装置(8)と、
相関係数が所定の閾値を超える場合に、検出信号([Rij])を生成する装置(8)とを有することを特徴とするアンテナ(1)。
【請求項2】
前記アンテナが、関連する標的検出閾値と各々算出された相関係数とを比較し、相関係数が前記関連する閾値を超える場合に、標的を検出し、位置づける、標的検出装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記アンテナが、検出信号及び相関係数を処理し、前記検出された標的に関する情報を生成する処理装置(9)を含むことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記生成された情報が、標的の距離、仰角、方向、及び速度を含むことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記アンテナが、前記生成された情報を表示する装置(10)を含むことを特徴とする請求項3または4に記載のアンテナ。
【請求項6】
各センサが、レーダー、無電及び電磁気センサ、水中聴音器、変換器、マイクロフォン、超音波センサ、加速度測定器、光学及び赤外線センサにより構成されるグループから選択される多数の簡単なセンサを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記簡単なセンサは、伝達可能であり、データ処理装置は、例えば、パルス圧縮を含む処理のような、各センサによって伝達される信号に従って前記結合信号を処理することを特徴とする請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記アンテナは、さらに送信機を含み、前記データ処理装置は、前記送信機によって伝送される信号に従って結合信号を処理し、該処理は、例えば、パルス圧縮処理を含むことを特徴とする請求項6に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記第1及び第2線形部が、変曲点がない曲線であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記第1及び第2線形部は、直線状であり、仰角をなすような方位に位置づけられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記直線状の線形部が、互いに平行でないことを特徴とする請求項10に記載のアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2007−515107(P2007−515107A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540510(P2006−540510)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002925
【国際公開番号】WO2005/050786
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(506166686)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002925
【国際公開番号】WO2005/050786
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(506166686)
【Fターム(参考)】
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