説明

膜厚検知器及び真空処理装置

【課題】最適なメンテナンス時期を通知する膜厚検知器を提供する。
【解決手段】減圧雰囲気において被処理体の上に薄膜を形成しまたは前記被処理体をエッチングする真空処理装置内に設けられる膜厚検知器であり、第1の導電性端子と、前記第1の導電性端子に隣接する第2の導電性端子と、を備え、前記被処理体以外の部分に堆積する被膜の厚みを、前記第1の導電性端子と前記第2の導電性端子との間に堆積する被膜の厚みに応じた前記第1及び前記第2の導電性端子の間の電気特性の変化として検知可能としたことを特徴とする膜厚検知器が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜厚検知器及び真空処理装置に関し、具体的には、成膜装置やエッチング装置などの真空処理装置のメンテナンス時期を検知する膜厚検知器及びこれを備えた真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成膜装置では、被処理体である基板上に被膜が形成されるほか、成膜装置の内壁や成膜装置内に取り付けられた防着板等にも被膜が形成する。また、減圧雰囲気において被処理体のエッチングを実施するエッチング装置においても、エッチングされた材料などがエッチング装置の内壁や防着板などに堆積し被膜を形成することがある。
このような真空処理装置では、処理回数が増すにつれ、内壁、防着板等に付着した被膜の膜厚が厚くなる。その結果、被膜の応力が増加し、ある膜厚を超えたところで内壁もしくは防着板から被膜が剥離してしまう。
このような剥離が生じると、被膜成分が異物となって真空処理装置内の電極や基板などに付着する。これにより、成膜中あるいはエッチング中の異常放電や、基板上に形成する素子の不良を招来してしまう。
【0003】
これに対して、例えば、スパッタリング装置では、ターゲット電圧の変化を電圧計により検知し、異常放電による電圧降下が、単一基板への成膜中に規格回数以上発生した基板の発生割合を示す指数に上限管理値を設け、防着板およびターゲットの表面をクリーニングすべきメンテナンスサイクルを決定する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、ターゲット電圧の変化を検知して、メンテナンスサイクルを決定しても、成膜装置内の内壁、防着板等に付着する被膜の実際の堆積量については充分に把握できないというのが実情である。このため、検出したメンテナンスサイクルよりも短い周期で被膜が成膜装置内で剥がれてしまい、上述した異常放電や、素子不良を引き起こしてしまう場合がある。
このように、最適なメンテナンス時期を通知する膜厚検知器が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−226965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、最適なメンテナンス時期を通知する膜厚検知器及びこれを備えた真空処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、減圧雰囲気において被処理体の上に薄膜を形成しまたは前記被処理体をエッチングする真空処理装置内に設けられる膜厚検知器であり、第1の導電性端子と、前記第1の導電性端子に隣接する第2の導電性端子と、を備え、前記被処理体以外の部分に堆積する被膜の厚みを、前記第1の導電性端子と前記第2の導電性端子との間に堆積する被膜の厚みに応じた前記第1及び前記第2の導電性端子の間の電気特性の変化として検知可能としたことを特徴とする膜厚検知器が提供される。
【0008】
また、本発明の別の一態様によれば、減圧雰囲気において被処理体の上に薄膜を形成しまたは前記被処理体をエッチングする真空処理装置内に設けられる膜厚検知器であり、前記真空処理装置内に設けられた防着板もしくは前記真空処理装置の壁面に対向する導電性端子を備え、前記被処理体以外の部分に堆積する被膜の厚みを、前記導電性端子と、前記防着板もしくは前記壁面との間に堆積する被膜の厚みに応じた、前記導電性端子と前記防着板もしくは前記壁面との間の電気特性の変化として検知可能としたことを特徴とする膜厚検知器が提供される。
【0009】
また、本発明の他の一態様によれば、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空槽と、前記真空槽の中に設けられた上記のいずれかの膜厚検知器と、前記真空槽の中に設けられ、前記被処理体を支持可能な支持部と、を備えたことを特徴とする真空処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、最適なメンテナンス時期を通知する膜厚検知器およびこの膜厚検知機を備えた真空処理装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】膜厚検知器の要部断面図である。
【図2】膜厚検知器の動作を説明するための図である。
【図3】膜厚検知器の動作を説明するための図である。
【図4】膜厚検知器の要部断面図である。
【図5】膜厚検知器の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、膜厚検知器の要部断面図である。
膜厚検知器1は、金属端子(導電性端子)10aと、金属端子10bと、金属端子10aを保護するカバー部材20aと、金属端子10bを保護するカバー部材20bと、金属端子10aを支持する絶縁部材30aと、金属端子10bを支持する絶縁部材30bと、を備えている。金属端子10aの先端面10atと、金属端子10bの先端面10btとは所定の距離を隔てて対向している。金属端子10aの先端面10atは、カバー部材20aの端部20atから突出している。金属端子10bの先端面10btは、カバー部材20bの端部20btから突出している。金属端子10aおよび金属端子10bは、その長手方向(図中の矢印A)にスライドすることが可能であり、先端面10atと先端面10btとの隙間の距離「d」を変更することができる。
【0014】
また、金属端子10aと金属端子10bには、電源40が接続され、金属端子10aと金属端子10bとの間に電位差が与えられる。また、金属端子10aと金属端子10bとが導通した場合に、その電気抵抗を計測するための抵抗計41が設けられている。この膜厚検知器1は、スパッタリング装置、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、EB(Electron Beam)源蒸着装置等の成膜装置、エッチング装置などの真空処理装置の内部に取り付けられる。
【0015】
次に、膜厚検知器1の動作を説明する。また、真空処理装置としては、成膜装置を例示する。
図2および図3は、膜厚検知器の動作を説明するための図である。
先ず、膜厚検知器1が取り付けられた成膜装置100について説明する。
図2には、成膜装置の要部断面が示されている。図2(a)には、成膜装置100の全体が示され、図2(b)には、膜厚検知器1の周辺が示されている。
成膜装置100としては、一例としてスパッタリング装置が示されている。成膜装置100は、真空槽101と、被処理体である基板200を支持する支持台102と、支持台102に対向するように配置されたターゲット103と、を有している。ターゲット103には、電源104が接続され、所定の電圧を印加することができる。真空槽101の内壁には、支持台102およびターゲット103を取り囲むように、防着板110が取り付けられている。この防着板110の存在により、スパッタ粒子が直接真空槽101の内壁に付着することが抑制される。
【0016】
成膜装置100の内側面には、上述した膜厚検知器1が取り付けられている。金属端子10aの先端面10atと金属端子10bの先端面10btとの間の距離dは、真空槽101外からの自動操作(あるいは、手動操作)で短くしたり、長くしたりすることができる。この距離dが所定の距離に設定された後、成膜を開始する。なお、膜厚検知器1は、着脱可能であり、成膜装置100から取り外すこともできる。
また、成膜装置100は、膜厚検知器1が検知する信号(例えば、抵抗変化)に応じて、防着板110もしくは真空槽101の壁面に堆積する被膜を除去する時期(タイミング)を出力する出力制御装置121をさらに備えている。
【0017】
続いて、成膜開始後の状態について説明する。
例えば、真空槽101内に放電用ガスを導入して、ターゲット103に所定の電圧を印加すると、真空槽101内にプラズマが発生する。電源40としては直流電源を用いる。これにより、ターゲット103からのスパッタ粒子が基板200にまで到達して、基板200上への成膜がなされる。また、スパッタ粒子は、基板200以外の部分にも付着する。例えば、スパッタ粒子は、防着板110、膜厚検知器1の金属端子10a、10b等にも堆積する。
【0018】
図3(a)には、金属端子10a、10b上に金属被膜が堆積する様子が模式的に示されている。図3(b)には、金属端子10aと、金属端子10bとの間の電気抵抗の変化が示されている。
【0019】
ここで、成膜開始前においては、金属端子10aの先端面10atと、金属端子10bの先端面10btとの隙間の距離は、所定の間隔「d」で離れているものの、成膜開始後においては、金属被膜が先端面10at、10btに堆積するので、その距離は徐々に縮まってしまう。その縮まる距離を「d」とする。図3(b)の横軸は、その距離dであり、縦軸は、金属端子10aと、金属端子10bとの間の電気抵抗である。電気抵抗は、放電用ガスを真空槽101から排気した後に計測される。
【0020】
まず、成膜開始前においては、金属端子10aの先端面10atと、金属端子10bの先端面10btとの隙間の距離dは、「d」なので、この場合、金属端子10aと、金属端子10bとは、非接触状態にあり、金属端子10aと、金属端子10bとの間の電気抵抗は高抵抗状態(∞(Ω))にある。
【0021】
次に、成膜を開始して、金属端子10a、10b上に金属被膜50aが堆積したとする。すると、先端面10at、10btに金属被膜50aが堆積した分、先端面10atと先端面10btとの隙間が縮まって、距離dが小さくなる。例えば、成膜後、距離dは、「d(d<d)」になったとする。
この場合、金属端子10aと、金属端子10bとは、未だ非接触状態にあり、金属端子10aと、金属端子10bとの間の電気抵抗は高抵抗状態(∞(Ω))にある。
【0022】
さらに、成膜を進行させて、金属被膜50a上に金属被膜50bが堆積したとする。この場合、距離dがさらに縮まって、距離dは、「d(d<d)」になる。
この場合も、金属端子10aと、金属端子10bとは、非接触状態にあり、金属端子10aと、金属端子10bとの間の電気抵抗は高抵抗状態(∞(Ω))にある。
【0023】
そして、成膜をさらに進行させると、距離dがさらに縮まって、ついには金属端子10aと、金属端子10bとが電気的に接続してしまう(距離d=0)。この場合、金属端子10aと、金属端子10bとの間の電気抵抗は、先端面10atと先端面10btとの間に形成した金属被膜の電気抵抗により決定され、急激に低抵抗になる。なお、距離「d」は、先端面10atと先端面10btとの間に形成する金属被膜の厚みにも相当している。
【0024】
ここで、防着板110に堆積する金属被膜の厚みを「厚みD」とし、厚みDと、先端面10atと先端面10btとの間に形成する金属被膜の「厚みd」との関係を、図3(c)に示す。
図3(c)に示すように、厚みdが増加するほど、厚みDは増加する関係にある。
【0025】
このような検量線を予め作成しておき、防着板110から自発的に金属被膜が剥がれる寸前の金属被膜の厚みDと、厚みdの対応付けを図る。例えば、図3(c)では、厚みdが「P」のときに、厚みDが「厚みD」になっている。
すなわち、金属端子10aと、金属端子10bとの間の電気抵抗が急激に低抵抗(図3(b)のd)になったときには、上述したように、先端面10atと先端面10btとの間には、厚みdの金属被膜が形成している。このとき、検量線から防着板110上には、厚みDの金属被膜が形成していることになる。この後に、成膜装置100のメンテナンスを図れば、防着板110等に堆積した金属被膜の剥離を事前に食い止めることができる。メンテナンスでは、防着板110等に堆積した金属被膜の除去作業が行われる。これにより、上述した成膜中の異常放電や、素子不良が抑制される。
【0026】
このように、膜厚検知器1を用いれば、防着板110上に剥離寸前の厚みDの金属被膜が形成しているか否かの適確な判断をすることができる。これにより、使用者は、最適なメンテナンス時期を認知することができる。
【0027】
なお、図2、図3の説明では、電源40としては直流電源を用い、先端面10atと先端面10btとの間に金属被膜が形成する例を示した。成膜装置100を用いて、絶縁被膜(誘電体被膜)を成膜する場合は、電源40として交流電源を用いることができる。
この場合、金属端子10aと金属端子10bとの間に絶縁被膜が埋め尽くされた場合の容量性インピーダンス「Z」を予め求めておき、成膜開始後に金属端子10aと金属端子10bとの間の容量性インピーダンス「Z」を計測する。そして、「Z」が「Z」に到達したか否かの判断をすることにより、防着板110上に厚みDの絶縁被膜が形成しているか否かの判断をすることができる。
【0028】
メンテナンスが終了した後には、金属端子10aおよび金属端子10bの少なくともいずれかをスライドさせることにより、先端面10atと先端面10btとの間の距離dを再び距離「d」に設定することもできる。このような設定により、先端面10atと先端面10btとの間の距離dが再度距離「d」にリセットされる。そして、次の成膜からは、図3により説明した手順と同様の方法により、防着板110上に厚みDの絶縁被膜が形成しているか否かの判断をすることができる。
なお、距離dが「d」から「0」になるまでは、連続して成膜を進行させる必要はなく、成膜を適宜中断してもよい。中断の際には、真空槽101を大気開放してもよい。 このように、本実施の形態では、基板200等の被処理体以外の部分に堆積する被膜の厚みを、金属端子10aと金属端子10bとの間に堆積する被膜の厚みに応じた金属端子10a、10b間の電気特性の変化として検知する。
【実施例2】
【0029】
次に、膜厚検知器の変形例について説明する。以下の説明では、図1〜図3に示した同一の部材には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図4は、膜厚検知器の要部断面図である。
図4(a)に示すように、膜厚検知器2は、金属端子10aと、金属端子10bと、金属端子10aおよび金属端子10bを保護するカバー部材20と、金属端子10aを支持する絶縁部材30aと、金属端子10bを支持する絶縁部材30bと、を備えている。金属端子10aの主面10afと、金属端子10bの主面10bfとは所定の距離を隔てて対向している。それぞれの先端面10at、10btは、カバー部材20の端部20tから突出している。また、金属端子10bの長手方向(図中の矢印B)において、先端面10btは、先端面10atよりも突出している。
【0030】
金属端子10aと金属端子10bとは、図中の矢印Aの方向に、その位置を変えることができ、金属端子10aの主面10afと金属端子10bの主面10bfとの間隔「d」を変更することができる。
【0031】
また、金属端子10aと金属端子10bには、電源40が接続され、金属端子10aと金属端子10bとの間に電位差が設けられる。また、金属端子10aと金属端子10bとが導通した場合に、その電気抵抗を計測するための抵抗計41が設けられている。
このような膜厚検知器2によっても、成膜が開始すると、金属端子10aと、金属端子10bとの間が金属被膜によって埋め尽くされる。
【0032】
例えば、図4(b)に示すように、成膜開始前においては、金属端子10aの主面10afと、金属端子10bの主面10bfとの間の距離dは、「d」である。そして、成膜を開始して、金属端子10b上に金属被膜50aが堆積すると、金属被膜50aが堆積した分、主面10afと主面10bfとの隙間が縮まって、距離dが小さくなる。さらに、成膜を進行させて、金属被膜50a上に金属被膜50bが堆積すると、距離dがさらに縮まる。ここまでは、金属端子10aと、金属端子10bとは、非接触状態にあり、金属端子10aと、金属端子10bとの間の電気抵抗は高抵抗状態(∞(Ω))にある。
そして、成膜をさらに進行させると、距離dがさらに縮まって、ついには金属端子10aと、金属端子10bとが電気的に接続してしまう。
【0033】
このような膜厚検知器2においても、上述した膜厚検知器1と同様の原理により、防着板110上に剥離寸前の厚みDの金属被膜が形成しているか否かの適確な判断をすることができる。これにより、使用者は、最適なメンテナンス時期を認知することができる。 このように、膜厚検知器1、2においては、金属端子10aと、金属端子10aに隣接する金属端子10bと、金属端子10aと金属端子10bとの間に電位差を設ける電源40と、を備える。そして、基板200以外の部分に堆積する被膜の厚みを、金属端子10aと金属端子10bとの間に埋め込まれた被膜の厚みと対応させることにより検知する。
【0034】
ここで、基板200以外の部分に堆積する導電性被膜の厚みは、電源104として直流電源を用い、金属端子10aと金属端子10bとの間の導通状態から検知される。
また、基板200以外の部分に堆積する絶縁性被膜の厚みは、電源104として交流電源を用い、金属端子10aと金属端子10bとの間のインピーダンスから検知される。
【実施例3】
【0035】
次に、膜厚検知器の別の変形例について説明する。
図5は、膜厚検知器の要部断面図である。
図5(a)に示すように、膜厚検知器3は、L字状の金属端子11と、金属端子11を支持する絶縁部材120と、を備えている。真空槽101の内壁上には、防着板110(防着板110a、110b)が設けられている。金属端子11の主面11afと、防着板110bとは、所定の距離を隔てて対向している。
【0036】
金属端子11は、絶縁部材120内でスライドし、図中の矢印Aの方向に、その位置を変えることができる。これにより、金属端子11の主面11afと防着板110bとの間隔「d」を変更することができる。
【0037】
また、金属端子11と防着板110bには、電源40が接続され、金属端子11と防着板110bとの間に電位差が設けられる。また、金属端子11と防着板110bとが導通した場合に、その電気抵抗を計測するための抵抗計41が設けられている。
【0038】
このような膜厚検知器3によっても、成膜が開始すると、金属端子11と、防着板110bとの間が金属被膜によって埋め尽くされる。
例えば、図5(b)に示すように、成膜開始前においては、金属端子11の主面11afと、防着板110bとの間の距離dは、「d」である。そして、成膜を開始して、防着板110b上に金属被膜50aが堆積すると、金属被膜50aが堆積した分、金属端子11の主面11afと防着板110bとの隙間が縮まって、距離dが小さくなる。さらに、成膜を進行させて、金属被膜50a上に金属被膜50bが堆積すると、距離dがさらに縮まる。ここまでは、金属端子11と、防着板110bとは、非接触状態にあり、金属端子11と、防着板110bとの間の電気抵抗は高抵抗状態(∞(Ω))にある。
そして、成膜をさらに進行させると、距離dがさらに縮まって、ついには金属端子11と、防着板110bとが電気的に接続してしまう。
【0039】
このような膜厚検知器3においても、上述した膜厚検知器1と同様の原理により、防着板110上に剥離寸前の厚みDの金属被膜が形成しているか否かの適確な判断をすることができる。これにより、使用者は、最適なメンテナンス時期を認知することができる。
【0040】
このように、膜厚検知器3においては、金属端子11と、金属端子11に隣接する防着板110bと、金属端子11と防着板110bとの間に電位差を設ける電源104と、を備える。そして、基板200以外の部分に堆積する被膜の厚みを、金属端子11と防着板110bとの間に埋め込まれる被膜の厚みと対応させることにより検知する。
【0041】
ここで、基板200以外の部分に堆積する導電性被膜の厚みは、電源104として直流電源を用い、金属端子11と防着板110bとの間の導通状態から検知される。
また、基板200以外の部分に堆積する絶縁性被膜の厚みは、電源104として交流電源を用い、金属端子11と防着板110bとの間のインピーダンスから検知される。なお、必要に応じて、防着板110を取り除き、成膜装置100の真空槽101の内壁(壁面)と金属端子11との間との電気特性変化を検知してもよい。
【0042】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本実施の形態はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、以上の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。 また、前述した各具体例が備える各要素およびその形成、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、金属端子10a、10b間の電気抵抗を計測するほか、本実施の形態では、金属端子10a、10bに流れる電流を計測してもよい。また、防着板110は、適宜取り外してもよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて複合することができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものも含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1、2、3 膜厚検知器
10a、10b、11 金属端子(導電性端子)
10af、10bf、11af 主面
10at、10bt 先端面
20、20a、20b カバー部材
20at、20bt、20t 端部
30a、30b、120 絶縁部材
40 電源
41 抵抗計
50a、50b 金属被膜
100 成膜装置(真空処理装置)
101 真空槽
102 支持台
103 ターゲット
104 電源
110、110a、110b 防着板
121 出力制御装置
200 基板
A、B 矢印
D、D、d 厚み
d 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧雰囲気において被処理体の上に薄膜を形成しまたは前記被処理体をエッチングする真空処理装置内に設けられる膜厚検知器であり、
第1の導電性端子と、
前記第1の導電性端子に隣接する第2の導電性端子と、
を備え、
前記被処理体以外の部分に堆積する被膜の厚みを、前記第1の導電性端子と前記第2の導電性端子との間に堆積する被膜の厚みに応じた前記第1及び前記第2の導電性端子の間の電気特性の変化として検知可能としたことを特徴とする膜厚検知器。
【請求項2】
前記第1の導電性端子と前記第2の導電性端子との間に前記被膜が埋め込まれたか否かを、前記第1の導電性端子と前記第2の導電性端子との間の導通状態もしくは前記第1の導電性端子と前記第2の導電性端子との間のインピーダンスから検知可能としたことを特徴とする請求項1記載の膜厚検知器。
【請求項3】
前記第1の導電性端子と前記第2の導電性端子とが対向する距離は、変更可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の膜厚検知器。
【請求項4】
減圧雰囲気において被処理体の上に薄膜を形成しまたは前記被処理体をエッチングする真空処理装置内に設けられる膜厚検知器であり、
前記真空処理装置内に設けられた防着板もしくは前記真空処理装置の壁面に対向する導電性端子を備え、
前記被処理体以外の部分に堆積する被膜の厚みを、前記導電性端子と、前記防着板もしくは前記壁面との間に堆積する被膜の厚みに応じた、前記導電性端子と前記防着板もしくは前記壁面との間の電気特性の変化として検知可能としたことを特徴とする膜厚検知器。
【請求項5】
前記導電性端子と、前記防着板もしくは前記壁面との間に前記被膜が埋め込まれたか否かを、前記導電性端子と、前記防着板もしくは前記壁面との間の導通状態、もしくは前記導電性端子と、前記防着板もしくは前記壁面との間のインピーダンスから検知可能としたことを特徴とする請求項4記載の膜厚検知器。
【請求項6】
前記導電性端子と、前記防着板もしくは前記壁面とが対向する距離は、変更可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の膜厚検知器。
【請求項7】
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空槽と、
前記真空槽の中に設けられた請求項1〜6のいずれか1つに記載の膜厚検知器と、
前記真空槽の中に設けられ、前記被処理体を支持可能な支持部と、
を備えたことを特徴とする真空処理装置。
【請求項8】
前記膜厚検知器が検知する信号に応じて、前記防着板もしくは前記壁面に堆積する前記被膜を除去する時期を出力する出力制御装置をさらに備えたことを特徴とする請求項7記載の真空処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−38147(P2011−38147A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186116(P2009−186116)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】