説明

自動操舵制御装置

【課題】電圧飽和が発生し電流追従誤差が大きくなることを防止する。
【解決手段】転舵輪を転舵するモータ5と、前記モータの電流を検出する電流センサ9と、前記転舵輪の目標舵角の演算または外部からの受信に基づいて目標舵角を設定する目標舵角演算器11と、前記転舵輪の転舵角を検出する角度センサ7と、前記転舵角が前記目標舵角に追従するように前記モータの目標電流を演算してモータを制御する制御ユニット10と備え、前記制御ユニット10は、前記電流センサ9により検出されるモータ電流に基づいてモータ回転速度制限値を設定して前記モータの回転速度を制限する転舵角が目標舵角に追従するようにモータを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動パワーステアリングのモータを用いて転舵輪を自動操舵する自動操舵制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動操舵制御装置では、電動パワーステアリングのモータを用いて転舵輪の舵角を制御している(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
すなわち、特許文献1では、転舵角速度が所定値以下となるように、車速の制限値を設定している。また、特許文献2では、舵角偏差が閾値より大きい要因がモータの出力不足であるときに自動操舵制御を継続させ、舵角偏差が閾値より大きく電流が最大電流でないときは自動操舵制御を解除する構成となっている。また、最大操舵速度は、車速、路面摩擦係数およびバッテリ電圧から設定している。さらに、特許文献3では、自動操作制御中に、操舵トルクが閾値以上であり、操舵速度も閾値以上のとき、操舵速度を制限する操舵速度制限部を備えている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−138941号公報(段落0027〜0036、図5)
【特許文献2】特開2007−331480号公報(段落0028〜0030、図3)
【特許文献3】特開2007−326453号公報(段落0016、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような自動操舵制御装置にあっては、電動パワーステアリングのモータを用いた低コスト、低電圧電源のシステムとなるため、電圧飽和が発生しやすい。電圧飽和が発生すると、電流追従誤差が大きくなる課題がある。また、特許文献1のように、車速の制限値を設定していても、運転者が制限値以上の車速で運転すれば電圧飽和が発生する可能性がある。
【0006】
また、電圧飽和で電流追従誤差および舵角追従誤差が大きくなっている状態で、路面状況の変化により、モータ負荷が軽くなり電圧飽和から開放された時に、その偏差を低減しようとして角速度が急変する課題がある。
【0007】
また、電圧飽和が発生している時には、電流は最大電流とならないことがあり、特許文献2の構成では、電圧飽和により、自動操舵制御が解除されやすくなる可能性がある。また、特許文献3においても、電圧飽和に対して操舵速度を制限することはできない。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、電圧飽和を防止する自動操舵制御装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る自動操舵制御装置は、転舵輪を転舵するモータと、前記モータの電流を検出するモータ電流検出手段と、前記転舵輪の目標舵角の演算または外部からの受信に基づいて目標舵角を設定する目標舵角設定手段と、前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、前記転舵角が前記目標舵角に追従するように前記モータの目標電流を演算してモータを制御するモータ制御手段と備え、前記モータ制御手段は、前記モータ電流検出手段により検出されるモータ電流に基づいてモータ回転速度制限値を設定して前記モータの回転速度を制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、モータ電流に基づいてモータ回転速度を直接制限できるため、車速が高くても電圧飽和を防止でき、電流追従誤差を小さくすることができる、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。さらに、電圧飽和を防止でき、電流追従誤差を小さくすることができるため、電圧飽和が発生するようなモータ負荷が高い状況から、路面状況の変化等によりモータ負荷が軽くなった時の角度変化を滑らかにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による自動操舵制御装置を示す構成図である。ステアリングホイール1に連結したステアリング軸2の回転に応じて左右の転舵輪3が転舵される。ステアリング軸2には、トルクセンサ4が配置され、ステアリング軸2に作用する操舵トルクを検出する。モータ5は、減速機構6を介してステアリング軸2に連結しており、モータ5が発生するトルクをステアリング軸2に付与することができる。モータ5には、モータ5のロータの回転角度を検出する角度センサ(転舵角検出手段)7が配置されている。車両の車速は車速センサ8で検出される。また、モータ5に流れる電流はモータ電流検出手段としての電流センサ9で検出される。
【0012】
制御ユニット10は、モータ制御手段となるもので、転舵輪3を位置制御する自動操舵制御を実行するために必要なモータ5の目標電流である自動操舵用目標電流を演算する自動操舵制御部101と、運転者のステアリング操舵をアシストする電動パワーアシスト制御を実施するために必要なモータ5の目標電流である電動パワーアシスト用目標電流を演算する電動パワーアシスト制御部102と、電流センサ9で検出した電流が、電動パワーアシスト用目標電流、または、自動操舵用目標電流に一致するようにモータ5の電流を制御する電流制御部103を備えている。また、制御ユニット10は、ROM、RAMを含むメモリを設けたマイコンとモータ電流を駆動する駆動回路から構成される。
【0013】
目標舵角演算器11は、目標舵角設定手段となるもので、自動操舵制御時の目標舵角を演算し、演算した目標舵角を制御ユニット10に送信する。バッテリ電圧センサ12は、モータ駆動の電源電圧であるバッテリ電圧を検出する。自動操舵制御が実施されておらず、運転者がステアリングホイール1を操作する手動操舵時は、電動パワーアシスト制御部102が演算する電動パワーアシスト用目標電流にモータ5の電流が一致するように電流制御部103を駆動する。これにより、手動操舵時は、従来の電動パワーステアリングと同等の操舵制御装置となる。
【0014】
次に、自動操舵について説明する。自動操舵中は、運転者がステアリング操作をしていない状態で、モータ5を用いてステアリング軸2を回転させ、転舵輪3を自動で転舵させる。例えば、駐車時や高速道路を走行中に、運転者が自動操舵を選択すると、目標舵角演算器11では、車速センサ8で検出した車速等の車両状態量と車両の目標走行軌跡から、車両を目標走行軌跡に追従させるための目標舵角を演算し、制御ユニット10に演算した目標舵角を送信する。制御ユニット10の自動操舵制御部101は、取得した目標舵角と角度センサ7によって検出されるロータ回転角から、ステアリング軸2が目標舵角に追従するように自動操舵用目標電流を演算し、自動操舵用目標電流を電流制御部103に出力する。
【0015】
自動操舵時は、電流制御部103は、自動操舵制御部101が演算した自動操舵用目標電流に、モータ5の電流が追従するように電流制御を行う。これにより、運転者が自動操舵を選択した時には、モータ5がステアリング操作を実施されるため、運転者はステアリング操作なしにアクセルやブレーキの操作のみで駐車や高速道路走行が可能になる。
【0016】
次に、この発明の要部である自動操舵制御部101について図2に示すフローチャートで説明する。なお、フローチャートに示す動作は所定時間の制御周期で繰り返し実行される。まず、ステップS1において、外部の自動操舵メインコントローラから目標舵角を受信し、メモリに記憶する。ステップS2では、角度センサ6で検出した回転角、電流センサ9で検出したモータ電流、バッテリ電圧センサ12で検出したバッテリ電圧を読み込みメモリに記憶する。
【0017】
ステップS3では、電流センサ9で検出したモータ電流、バッテリ電圧センサ12で検出したバッテリ電圧からモータ回転速度制限値を演算する。実施の形態1では、モータ5はブラシレスDCモータとし、角度センサ7にはレゾルバを用いる。ただし、モータ5と角度センサ7はこの限りではなく、電動パワーステアリング、および、自動操舵に適したものであるならばよい。例えば、モータ7をブラシ付きDCモータとしても良く、角度センサをエンコーダとしてもよく、ステアリング軸2に配置した角度センサを用いてもよい。ここで、ブラシレスDCモータのdq軸上で表した電圧方程式は式(1)、トルク算出式は式(2)となる。
【0018】
【数1】

【0019】
ただし、Ψ=√(3/2Ψ)であり、Ψは永久磁石による電機子鎖交磁束の最大値、V,Vは電機子電圧のdq軸成分、i,iは電機子電流のdq軸成分、L,Lはdq軸のインダクタンス、Rは電機子巻線抵抗、p=d/dtは微分演算子、Pは極対数、ωは電気角速度である。
【0020】
dq軸のインダクタンスL,Lが等しい場合、式(2)よりモータ5が発生するトルクはq軸電流iに比例する。定常的な特性として、微分演算子pのかかる項を0とすると、式(1)は、式(3)となる。
【0021】
【数2】

【0022】
電機子電圧の大きさ√(V+V)の最大値は、モータに給電するバッテリ電圧の大きさに比例するため、バッテリ電圧がほぼ一定値であるとすると、式(3)からモータ回転速度によって発生する誘起電圧によって、q軸電流i、すなわちモータ5が発生するトルクが制限されることが分かる。言い換えると、q軸電流iにより、発生できるモータ回転速度は制限されることになる。よって、例えば、オルタネータが正常に発電してバッテリ電圧がほぼ14Vである場合のモータ電流とモータ回転速度の関係をマップとしてメモリに保存しておき、検出したq軸電流iに対応したモータ回転角速度をモータ回転速度制限値と設定する。ここで、検出したモータ電流の代わりにモータの目標電流から回転速度制限値を設定してもよい。
【0023】
また、オルタネータの故障等によるバッテリ電圧の変化によって、モータ5に給電する電圧の最大が変化するため、図3に示すように、各バッテリ電圧に対するモータ電流とモータ回転速度制限値の関係をマップとしてメモリに保存しておき、検出したモータ電流と、検出したバッテリ電圧から、対応する回転速度制限値を設定しても良い。この構成とすることで、バッテリ電圧が変化した場合においても、適切に回転速度制限値を設定することができる。
【0024】
また、電機子電流のdq軸成分i、i、および、バッテリ電圧から式(3)を用いて、回転速度制限値を演算してもよい。
【0025】
次に、ステップS4では、目標舵角、モータ回転速度制限値から新たな目標舵角2(θref2)を演算する。このステップS4の動作を図4のフローチャートに示す。ここでは、目標舵角はステアリング軸換算した転舵輪3の目標舵角θrefである。また、減速機構6の減速比を考慮してモータ回転角からステアリング軸換算した転舵輪3の転舵角θを演算し、モータ回転速度制限値からステアリング軸換算したモータ回転速度制限値
【0026】
【数3】

【0027】
を演算する。
【0028】
図4に示すフローチャートにおいて、ステップS21では、外部の自動操舵メインコントローラから受信した目標舵角と目標舵角2(θref2)の偏差とフローチャートを繰り返し実行するサンプリング時間Tとから目標舵角速度を演算する。ただし、フローチャートをはじめに実行する時の目標舵角2(θref2)の初期値は転舵輪の転舵角θとする。このように、目標舵角2(θref2)の初期値を転舵輪の転舵角θとすることで、自動操舵制御実行時に、受信した目標舵角と転舵角に偏差があっても、滑らかな自動操舵制御が実現できる。
【0029】
ステップS22では、演算した目標舵角速度の絶対値が、ステップS3で設定したモータ回転速度制限値
【0030】
【数4】

【0031】
より大きい場合、目標舵角速度の大きさをモータ回転速度制限値
【0032】
【数5】

【0033】
で制限する。そして、ステップS23では、目標舵角速度を時間積分することで、新たな目標舵角2(θref2)を演算する。
【0034】
以上の動作により、目標舵角2(θref2)の変化率は、モータ回転速度制限値
【0035】
【数6】

【0036】
で制限されているため、目標舵角2(θref2)に転舵角θが追従するようにモータ5を制御することで、モータ5の誘起電圧による電圧飽和を防止することができる。
【0037】
ステップS5では、目標舵角2(θref2)に転舵角θが追従するために必要なモータ5の目標電流を演算する。図5に、位置制御のブロック線図を示す。sはラプラス演算子である。目標舵角2(θref2)と転舵角θの偏差にPID制御を実施し、自動操舵用目標電流を演算する。Kは比例ゲイン、Kは積分ゲイン、Kは微分ゲインである。
【0038】
また、図1の電流制御部103では、演算された自動操舵用目標電流と電流センサ9にて検出された電流が一致するように電流を制御する。例えば、自動操舵用目標電流と電流センサ9にて検出された電流の偏差から、PWM信号などの電圧指令信号を演算し、駆動回路に出力し、モータ5を駆動することにより、角度追従に必要なモータトルクを出力する。
【0039】
さらに、電流制御部103には、自動操舵用目標電流と電流センサ9にて検出された電流の偏差が電流偏差閾値より大きい時、電流制御部103の異常を判定する電流制御器異常判定手段を備える。
【0040】
以上の構成により、特許文献1のように車速の制限値を設定するのではなく、モータ電流に基づいてモータの回転速度を直接制限するため、電圧飽和を確実に防止することができる。よって、モータの電流追従誤差が小さいモータ制御手段を実現することができる。直接モータ速度を制限するため、電圧飽和を確実に防止でき、外部コントローラから目標舵角だけ受信して角度制御するシステムにも対応でき、車体移動量と目標舵角が対応していない場合においても電圧飽和を防止することができる。
【0041】
また、モータ電流に基づいてモータの回転速度を制限するため、モータ負荷に応じた適切なモータ回転速度制限が実現できる。据え切りのようなモータ負荷が高い状態では、モータ回転速度制限値を低く設定し、車速がある程度出ている場合はモータ負荷が低いため、モータ回転速度制限値を高く設定できる。
【0042】
さらに、バッテリ電圧を検出し、バッテリ電圧に基づいてモータ回転速度制限値を設定する構成とすることにより、バッテリ電圧が変動した場合においても、電圧飽和を防止できる。
【0043】
そして、電圧飽和により電流偏差が大きくなっている状態で、路面状況の変化等により、モータ負荷が軽くなり電圧飽和から開放された時に、その偏差を低減しようと、舵角、または舵角速度速が急変する課題について、本実施の形態により、電圧飽和が発生する状況下ではモータ回転速度を制限し電流偏差を小さく抑えられるため、舵角、および、舵角速度速の急変を防止することができる。
【0044】
さらに、図5に示すように速度制御の有無に関わらず位置制御において、モータ電流に基づいてモータの回転速度を制限することができ、電圧飽和を防止することができる。よって、モータの電流追従誤差が小さいモータ制御手段を実現できる。また、モータの電流追従誤差を小さくできるため、電流制御器異常の判定の電流偏差閾値を小さく設定でき、電流制御異常を早期に判定できる。
【0045】
尚、モータ制御手段は、図2のフローチャートに示す動作内容を有する自動操舵制御部101及び電流制御部103に相当する。また、図2に示すフローチャートのステップS2からS4、または、図5の速度制限器がモータ回転速度制限手段に相当する。
【0046】
実施の形態2.
この実施の形態2においては、図1に示す実施の形態1と同様な構成を備える。ただし、ここでは、制御ユニット10内の自動操舵制御部101の動作内容を示す図2に示すフローチャートにおいて、実施の形態1との相違点についてのみ説明する。
【0047】
この実施の形態2では、ステップS3において、角度センサ7で検出した回転角度を2階微分し、回転角加速度を演算し、モータロータの慣性モーメントを乗算することでモータの慣性トルクを演算する。次に、演算した慣性トルクをモータのトルク定数(PΨ))で除算することで、慣性トルクのモータ電流換算値を演算する。モータ電流から慣性トルクのモータ電流換算値を引算したものを、補正したモータ電流とする。この補正したモータ電流と、図3に示すマップからモータ回転速度制限値を演算する構成とする。すなわち、自動操舵制御部101に、転舵輪3の転舵角加速度を演算(または検出)する転舵角加速度検出手段を備えるようにして、モータ電流と転舵角加速度とに基づいてモータ回転速度制限値を設定してモータの回転速度を制限する。
【0048】
以上の構成とすることで、モータ電流と転舵角加速度に基づいてモータの回転速度を制限するため、電圧飽和を防止し、さらにモータの回転角加速度が大きいときは、速度制限を緩めることができる。よって、モータの加速度が必要な過渡的応答に対しては速度制限されにくくなり、応答性と両立できる。
【0049】
また、ステップS3において、バッテリ電圧も考慮し、マップを変更しても良い。尚、本実施の形態2では、角度センサ7で検出した回転角度を2階微分して回転角加速度を演算したが、この限りではなく、モータの逆起電圧から推定したモータ角速度や、ステアリング軸2に配置した角度センサ7から演算してもよい。
【0050】
実施の形態3.
この実施の形態3においては、図1に示す実施の形態1と同様な構成を備える。ただし、ここでは、制御ユニット10内の自動操舵制御部101の動作内容を示す図2に示すフローチャートにおいて、ステップS4以降の動作が異なる。この実施の形態3のフローチャートを図6に示す。
【0051】
この実施の形態3では、ステップS34において、目標舵角と転舵角の偏差から目標舵角速度を演算する。Kppは比例ゲインである。ステップS35において、演算した目標舵角速度をステップS3で演算したモータ回転速度制限値で制限する。
【0052】
ステップS36では、制限した目標舵角速度と転舵角θを微分した転舵角速度
【0053】
【数7】

【0054】
との偏差を演算し、その偏差にPI制御を実施し、自動操舵用目標電流を演算する。
【0055】
この構成により、電圧飽和を確実に防止できる目標舵角速度を設定することができ、電圧飽和による電流誤差増大を防止した位置速度制御が実現できる。
【0056】
また、電圧飽和により電流偏差が大きくなっている状態で、路面状況の変化等により、モータ負荷が軽くなり電圧飽和から開放された時に、その偏差を低減しようと、舵角、または舵角速度速が急変する課題について、本実施の形態により、電圧飽和が発生する状況下ではモータ回転速度を制限し電流偏差を小さく抑えられるため、舵角、および、舵角速度の急変を防止することができる。
【0057】
尚、実施の形態3の位置制御の構成において、図5に示すように目標舵角の後に速度制限器を設け、新たな目標舵角2を演算し、位置制御を実施することも当然可能である。
【0058】
また、この実施の形態3において、モータ制御手段は、図6のフローチャートに示す動作内容を有する自動操舵制御部101及び電流制御部103に相当する。また、図6に示すフローチャートのステップS2からS4、または、図5の速度制限器がモータ回転速度制限手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の実施の形態1による自動操舵制御装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による自動操舵制御部101の要部の動作内容を示すフローチャートある。
【図3】この発明の実施の形態1によるモータ電流と回転速度制限値のマップである。
【図4】この発明の実施の形態1によるステップS4の詳細な内容を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による位置制御のブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態3による自動操舵制御部101の要部の動作内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 ステアリングホイール、2 ステアリング軸、3 転舵輪、4 トルクセンサ、5 モータ、6 減速機構、7 角度センサ、8 車速センサ、9 電流センサ、10 制御ユニット、11 目標舵角演算器、12 バッテリ電圧センサ、101 自動操舵制御部、102 電動パワーアシスト制御部、103 電流制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転舵輪を転舵するモータと、
前記モータの電流を検出するモータ電流検出手段と、
前記転舵輪の目標舵角の演算または外部からの受信に基づいて目標舵角を設定する目標舵角設定手段と、
前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、
前記転舵角が前記目標舵角に追従するように前記モータの目標電流を演算して前記モータ5を制御するモータ制御手段と
を備え、
前記モータ制御手段は、前記モータ電流検出手段により検出されるモータ電流に基づいてモータ回転速度制限値を設定して前記モータの回転速度を制限する
ことを特徴とする自動操舵制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動操舵制御装置において、
前記モータを駆動する電源電圧であるバッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出手段をさらに備え、
前記モータ制御手段は、前記モータ電流と前記バッテリ電圧とに基づいてモータ回転速度制限値を設定してモータの回転速度を制限する
ことを特徴とする自動操舵制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動操舵制御装置において、
前記転舵輪の転舵角加速度を検出または演算する転舵角加速度検出手段をさらに備え、
前記モータ制御手段は、前記モータ電流と前記転舵角加速度とに基づいてモータ回転速度制限値を設定してモータの回転速度を制限する
ことを特徴とする自動操舵制御装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の自動操舵制御装置において、
前記モータ制御手段は、前記目標舵角と目標舵角2の前回値とから目標舵角速度を演算し、前記目標舵角速度を前記モータ回転速度制限値で制限し、制限した目標舵角速度から前記目標舵角2を演算し、前記転舵角が前記目標舵角2に追従するようにモータを制御する
ことを特徴とする自動操舵制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動操舵制御装置において、
前記モータ制御手段は、自動操舵制御を開始する時に、前記目標舵角2の初期値を前記転舵角に一致させる
ことを特徴とする自動操舵制御装置。
【請求項6】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の自動操舵制御装置において、
前記モータ制御手段は、前記目標舵角と前記転舵角に基づいて目標舵角速度を演算すると共に、演算された目標舵角速度を前記モータ回転速度制限値で制限し、かつ前記転舵角に基づいて転舵角速度を演算し、制限した目標舵角速度と前記転舵角速度の偏差から目標電流を演算し、前記転舵角速度が前記目標舵角速度に追従するようにモータを制御する
ことを特徴とする自動操舵制御装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の自動操舵制御装置において、
前記モータ制御手段は、前記モータの目標電流と前記モータ電流検出手段により検出されるモータ電流との偏差に基づいて電流制御の異常を判定する
ことを特徴とする自動操舵制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−100091(P2010−100091A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270957(P2008−270957)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】