自動車のホイールのホイールキャンバを変更するための装置
本発明は、自動車のホイール(1)のホイールキャンバを変更するための装置であって、ホイール(1)が旋回軸受(4,50)を介して旋回可能にホイールキャリヤ(5,51)に支承されており、旋回軸受(4,50)により画成される旋回平面が少なくともほぼホイール中心平面(E)に対して横方向で配置されている形式のものに関する。本発明により、旋回軸受(4,50)の仮想の旋回点(D)の位置がホイール接地平面の上側に、かつホイール中心平面(E)の車両寄りの側にあるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のホイールのホイールキャンバを変更するための装置に関する。この種のアクティブなキャンバ調節装置はホイールキャンバをその都度の走行状況、例えばカーブ走行、フルブレーキまたは加速に依存して変更する。
【0002】
例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10349159号明細書から、特に自動車のホイールのためのガイド装置が公知である。この公知のガイド装置は円弧ガイドを有している。円弧ガイドの軸線は走行レーン表面とホイール中心平面との間の交線の領域に位置している。その際、円弧ガイドはホイール軸受の領域を延びている。このガイド装置は多数の既存のホイールサスペンションで使用されることができる。ホイールの、円弧ガイドに対する相対摺動時、ホイールキャンバが操作される。実際の使用に近い構成はドイツ連邦共和国特許出願公開第10249159号明細書には見て取ることができない。さらに、この開示によれば、旋回軸受の旋回点はほぼホイール接地面の下側、つまりほぼ走行レーン表面の下側にある。つまり有効なレバーアームは小さく維持されている。ただしレバーアームはホイール力の力導入箇所と旋回軸受の旋回点との間の間隔により形成されている。旋回軸受の旋回点がこのように道路の下に位置している場合、車両構造は右カーブ時、カーブ外側のホイールがネガティブなキャンバに、カーブ内側のホイールがポジティブなキャンバに調節されると、ホイールに対して相対的に若干左向きに運動する。このことはドライバにとって不可解な構造反応になりかねない。
【0003】
本発明の課題は、請求項1の上位概念部に記載した特徴を備えた装置を改良して、上記欠点が取り除かれた装置を提供することである。
【0004】
本発明により上記課題は、旋回軸受の仮想の旋回点の位置がホイール接地平面の上側に、かつホイール中心平面の車両寄りの側に配置されている、つまり軸方向でホイール中心平面の内側に配置されていることにより解決される。道路上の間隔が小さければ小さいほど、アクチュエータにより印加しなければならないモーメントは小さくなる。上記の望ましくない構造反応は起こらない。旋回軸受の最適な操作を可能にするために、旋回軸受の旋回点が有利に位置すべきフィールド、いわゆる場が見出された。まず、原点または基準点として、ホイールの回転軸線と交差し、かつホイール中心平面内に位置するY軸線と、ホイール接地平面内に位置するX軸線とにより交点が形成される。その際、X値は150mmよりも小さく、Y値は150mmよりも小さくあるべきである。
【0005】
このフィールド内に、旋回軸受の旋回点がアクチュエータの均衡の取れた負荷に関して位置すべき位置ベクトルが提示される。この位置ベクトルは、ホイール接地平面内に位置するX軸線の、既に定義されたY軸線との交点と交差する。その際、位置ベクトルは、X軸線に関する下側の値が約30°であり、上側の値が約60°である角度範囲をカバーする。この角度範囲内で、アクチュエータを均衡に負荷するために、150mmよりも大きいX値とY値とが調節されることもできる。
【0006】
例えば17インチのホイールでは、旋回点の良好なポジショニングが以下の値で与えられている。すなわち、原点としての上記交点を基点として、X=35mmおよびY=30mm、X=50mmおよびY=50mm、X=103mmおよびY=140mmの値ペアが適している。旋回点のこのポジショニングでは、アクチュエータにより果たされるべき作業は種々異なる走行状況のために均衡が取れている。いずれにせよ、旋回点はホイール内側、つまり車両寄りに位置しているべきである。そうすると、ホイール接地面における力導入部と旋回軸受の旋回点との間の仮想のレバーは左カーブのためにも右カーブのためにも均衡の取れた比にある。
【0007】
有利には、旋回軸受が、ホイールキャリヤに対して固定的に配置された固定的な旋回軸受部分と、固定的な旋回軸受部分に対して旋回平面内で旋回運動可能に配置された旋回可能な旋回軸受部分とを有している。この場合、ホイールは旋回可能な旋回軸受部分に例えば従来慣用のホイール軸受を介して回転可能に支承されていることができる。
【0008】
この配置では、電気機械式のアクチュエータが使用され、電気機械式のアクチュエータが一方でホイールキャリヤに対して支持されており、他方で旋回可能な旋回軸受部分に作用するようになっていると特に有利である。この種の電気機械式のアクチュエータは電動モータを有している。電動モータは自動車の車載電源網から電気的なエネルギを供給される。仮想の旋回点の位置が本発明によりすべての走行状況のために均衡が取れているので、車載電源網により提供される電気的なエネルギにより申し分なく運転されることができる従来慣用の電動モータが使用されることができる。
【0009】
電気機械式のアクチュエータを前記配置で使用する場合、仮想の旋回点の、提示された所定の範囲の外側にある位置も考えられる。
【0010】
有利には、電気機械式のアクチュエータが電動モータと転動体ねじ山式伝動装置とを有しており、転動体ねじ山式伝動装置のスピンドルナットがねじ山付スピンドルに回転可能に支承されている。自体公知のこの種の電気機械式のアクチュエータは確実に回転運動を並進運動に変換する。並進運動は旋回可能な旋回軸受部分を調節するための調節運動として使用される。
【0011】
有利には、スピンドルナットが電動モータのロータとして形成されており、ねじ山付スピンドルが回動不能に保持されている。このことは、ねじ山付スピンドルが例えば直接、旋回可能な旋回軸受部分に収容されることができるという利点を有している。
【0012】
電動モータは負荷時に加熱される。この熱は、特に先行の極端な負荷後、車速が低いときにモータの過熱が発生しないように導出されねばならない。空気を介した冷却だけでは場合によっては不十分である。電動モータをさらに冷却するために、電動モータは本発明の別の構成では直接ホイールキャリヤに取り付けられている。この結合部は、電動モータから、一般に金属から成るホイールキャリヤへの極めて良好な熱伝達を有するコンタクトが保証されているように構成されている。この熱は結果としてホイールキャリヤに導出される。導入箇所は有利にはモータよりも冷たい箇所である。適当な箇所は例えばホイールキャリヤの、トランスバースコントロールアームよりも上側に位置する箇所であることができる。電動モータの大きさに比してホイールキャリヤの相対的に大きな質量に基づいて、ホイールキャリヤの熱容量が利用されることができる。この箇所はそれに加えて飛石の衝突および車両の望ましくない乗り上げから保護されている。
【0013】
既に述べたように、ねじ山付スピンドルは有利には、旋回可能な旋回軸受部分に回動不能に保持されていることができる。さらに本発明の別の構成では、ねじ山付スピンドルが、旋回可能な旋回軸受部分に軸方向で摺動不能に収容されており、旋回可能な部分がねじ山付スピンドルに対して、ねじ山付スピンドルに対して横方向で配置された傾倒軸線を中心に傾倒運動するようになっている。電動モータの操作時、この例示的に選択された配置ではねじ山付スピンドルがその軸線に沿って移動させられる。ねじ山付スピンドルの軸線を第1の辺とし、仮想の旋回点と、ねじ山付スピンドルを旋回可能な旋回軸受部分に枢設する枢設点とを結ぶ直線を第2の辺とし、その際、枢設点が両辺の交点を成すとすると、例えばキャンバが0゜に調節されているときに、これらの両辺間の出発角度が調節されている。アクチュエータの操作の下、この角度は変化する。枢設点における前記傾倒運動可能な配置はその結果として、不都合にねじ山付スピンドルに導入される横方向力または曲げモーメントを回避する。
【0014】
一方で旋回可能な旋回軸受部分の遊びのない枢設を可能にし、他方で申し分のない傾倒運動を可能にするために、ねじ山付スピンドルに対して横方向で配置されたジャーナルをねじ山付スピンドルに、特に予圧された転がり軸受、特にころ軸受を介して半径方向で支承することが提案される。その際、ジャーナルは旋回可能な旋回軸受部分に取り付けられていることができる。旋回可能な旋回軸受部分とねじ山付スピンドルとの間の遊びのない結合は申し分のない精緻な枢設特性のために役立つ。それとは異なり、ジャーナルを回動不能にねじ山付スピンドルに配置し、ジャーナルをラジアル転がり軸受を介して、旋回可能な旋回軸受部分に半径方向で支承することも可能である。
【0015】
提案される発明は、駆動されるホイールのためにも適している。ホイールの運動自由度を保証するために、場合によっては輪距を若干拡大することができる。それにより、ホイールがホイールハウスおよびばねストラットに当接することはなくなる。ホイールハウスおよびばねストラットにおける変更は場合によっては行われずに済む。クリティカルなのはさらにばねの伸縮時およびホイールの操舵時のジョイント式の駆動軸の屈曲角である。主影響量は操舵角およびばねストロークの他にとりわけジョイント間の駆動軸の長さである。ホイールをネガティブなキャンバに調節した場合、屈曲角は過度に広く高められてはならない。結果として、本発明による旋回軸受の軸方向の構成長さが過度に大きくなってはならないことが要求される。ただし、コーナリングフォースからホイールに生じる曲げモーメントを旋回軸受で支持するために、強度上の理由から、所定のキャンバ長さが必要である。このキャンバ長さは軸方向で必要な構成スペースを定義する。すべてのこれらの判定基準はそれ相応に、本発明の別の構成が、駆動軸の、ホイール軸受を貫く通し案内を企図していることにより顧慮される。駆動軸は過度に短縮される必要はなく、屈曲角は高められる必要はない。有利には、旋回軸受、ホイール軸受および駆動軸が入れ子に配置されている。本発明による旋回軸受を備えていない公知の配置に対して、最大で調節可能なネガティブなキャンバの極端な事例で、駆動軸は僅かに短縮されるにすぎないか、またはまったく短縮されない。それというのも、この位置で、必要な輪距拡大はほぼ、この位置への調節時の駆動軸の理論的な短縮と均衡下にあるからである。
【0016】
本発明による旋回軸受を設けることは場合によっては付加的な所要スペースを必要とする。それに加えて、旋回軸受の申し分のない潤滑が保証されていなければならない。本発明の別の構成では、旋回軸受と、ホイール軸受と、駆動軸のジョイントとが、潤滑剤を施された1つの共通の潤滑室内に配置されている。したがって1つの潤滑室が必要であるにすぎない。その結果、付加的な構成スペースは最小化されている。旋回軸受、ホイール軸受およびジョイント軸は適当な高性能グリースで潤滑されていることができる。潤滑室が有利には1つの共通のシール、特に蛇腹形ブーツ(Faltenbalg)または転動形ブーツ(Rollenbalg)により画定されており、シールが一方で固定的な旋回軸受部分に、他方でジョイント軸に当て付けられている。このシールは固定的な旋回軸受部分の面に固くかつ密に配置されていることができる一方で、本発明の別の構成では、シールとジョイント軸との間に、ジョイント軸に相対回動可能に支承されたシールカラーが配置されている。このシールカラーは例えばシールリップを有していることができる。
【0017】
ホイール外側にはやはり旋回軸受のためのシールが設けられていることができる。ホイール軸受自体はシールディスクを介してシールされることができる。旋回軸受は転動形ブーツを介してシールされていることができる。この転動形ブーツは蛇腹形ブーツ式のシールに比して、半径方向で極めて小さく構成され、エラストマにおける大きな曲げ半径に基づいて僅かな肉厚で済み、かつ軸方向でも極めて短く構成されるという利点を有している。こぶ状の屈曲部は旋回軸受の所定のストローク時その半分の値の分だけ運動する。このシールシステムは丈夫なシールを可能にする。その際、滑動するシールリップは省略されることができる。軸方向および半径方向で小さく構成されたこのシールにより、ブレーキディスクの内側の狭小な空間が最適に利用されることができる。旋回可能な旋回軸受部分にはホイール外側の面に鍔が設けられていることができ、鍔は付加的な部分としてまたは一体的に、旋回可能な旋回軸受部分に成形されていることができる。この鍔は同時にその閉鎖された環状の面により転動形ブーツ式のシールの収容を可能にし、アクチュエータ力およびブレーキモーメントの、旋回可能な旋回軸受部分への均等な力導入を提供する。
【0018】
アクチュエータのねじ山付スピンドルはシール内に格納されていることができる。このシールはやはり蛇腹形ブーツまたは転動形ブーツとして構成されていることができる。こうして、ねじ山付スピンドルは望ましくない汚れから申し分なく保護されている。
【0019】
固定的な旋回軸受部分と旋回可能な旋回軸受部分との間の申し分のない旋回運動が、大きな負荷の発生下でも申し分なく実施されることができるように、本発明の別の構成では、固定的な旋回軸受部分と旋回可能な旋回軸受部分との間に転がり支承部が設けられており、転がり支承部において、転動体が、弧状に形成された走行軌道に沿って転動する。転動体の直径は実現したい旋回角に合わせて調整されている。その際、例えば3°のキャンバ調節時、負荷された転動体が少なくとも一度その全転動周面でもって転動するように企図されていることができる。こうして、望ましくない塑性変形および早期的な損傷が回避されることができ、かつ走行軌道の均等な負荷が保証されることができる。
【0020】
有利には、この種の転がり軸受において、少なくとも1つのエンドレスな転動体通路が設けられており、転動体通路内を転動体がエンドレスに循環することができるようになっており、転動体通路が、弧状の走行軌道を有する1つの負荷区分と、1つの戻し案内区分と、負荷区分を戻し案内区分にエンドレスに接続する2つの変向区分とを有している。往復運動を行うにすぎない有端式の転動体連鎖に対して、ここでは、転動体連鎖の各転動体が運転中走行軌道の各箇所を通過することができる、つまり場合によっては転動体通路内での完全な循環を行うこともできることが保証され得る。
【0021】
有利には、旋回可能な旋回軸受部分と固定的な旋回軸受部分とが入れ子に配置されており、互いに対面した周面に弧状の走行軌道を有している。付加的に、両旋回軸受部分のうちの1つが戻し案内区分を有している。この戻し案内通路は例えば直線の孔として構成されていることができる。変向区分は有利には、旋回軸受の互いに背離した端面、すなわち両端の端面に例えばフランジ固定されていることができるヘッド部材に形成されている。
【0022】
外側の固定的なまたは旋回可能な旋回軸受部分は中空プロフィルとして形成されており、かつ2つの縦部分から構成されていることができる。その際、旋回軸受部分の縦軸線は両縦部分の分割平面内に位置している。
【0023】
この旋回軸受部分を2つの縦部分に分割したことは、各縦部分のその都度の内面に、転がり軸受のための走行軌道を申し分なく例えば研削プロセスで製作することができるという利点を有している。これらの両部分が再び組み合わされるとき、正確な位置での接合が必要である。このことは、中空プロフィルとして構成されたこの旋回軸受部分がまず唯一の構成部分として形成されており、その際、分割平面に沿って目標破断箇所が設けられていることにより簡単化されることができる。この構成部分は目標破断箇所に沿って破断されることができる。その結果、両縦部分が形成されている。両縦部分には、互いに対面した、分割平面内に位置する破断箇所に破断面が設けられており、破断面は両縦部分の正確な接合を可能にする。
【0024】
この例では内側の旋回可能なまたは固定的な旋回軸受部分は横断面で見て管形に形成されており、その外側の周面に、周囲にわたって分配され、旋回軸受の旋回点に対して同心的に配置された複数のウェブを有していることができる。その際、ウェブは走行軌道を支持している。有利には、これらのウェブは周方向で対向して位置する面に転動体のための走行軌道を有している。
【0025】
電流失陥時または駐車時にホイールの調節されたキャンバ位置を確実に固定するために、本発明の別の構成では、フェイルセーフ装置が設けられており、フェイルセーフ装置によりホイールのキャンバ位置が解放可能にロックされることができる。例えば電気機械式のアクチュエータが設けられており、電気機械式のアクチュエータに、ねじ山付スピンドルと、ねじ山付スピンドルに回転可能に配置されたスピンドルナットとが設けられているとき、フェイルセーフ装置は有利には、スピンドルナットをフレーム定置の部分に形状結合(formschluessig:形状による束縛)式に結合するための形状結合部分(Formschlussteil)を有している。
【0026】
例えばスピンドル伝動装置のナットはピンおよびばねにより確実に機械的にブロックされることができる。十分な供給電圧が存在していれば、ピンは例えば磁気的にそのロックから引き戻されることができる。その際、電動モータによるナットの回転運動、ひいてはアクティブなキャンバ調節は解放されている。この磁石は例えばホイールキャリヤに取り付けられていることができる。ピンが角度を成したその先端で係入する、所定の角度を備えた端面歯列により、電動モータをアクティブにロックの解除のために使用することが可能である。このことは特に、ピンが汚れに基づいて動きづらくなってしまったり、磁力だけでは不十分であったりした場合に有利である。磁力はこの事例では、開放された位置でのピンの保持が保証されているように設定されていることができる。この種の構造は省スペースの構造形式および減じられた電力消費を可能する。それというのも、キャンバの全制御プロセス中、このピンが開放された位置に保持されているからである。以下に本発明について、計13個の図面に示した2つの実施例を参照しながら詳細に説明する。
図1:本発明による装置を備えた自動車のホイールの横断面図である。
図2:図1と同様の、ただし変更された断面線に沿った図である。
図3:旋回軸受の旋回点を規定するための座標系を示す、自動車のホイールの概略横断面図である。
図4:電気機械式のアクチュエータの電動モータの断面図である。
図5:図2の細部の拡大図である。
図6:図1の細部の拡大図である。
図7:図1の細部の拡大図である。
図7a:図1の細部の拡大図である。
図8:フェイルセーフ装置の概略図である。
図9:図8に示した線IX−IXに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
図10:図9に示した線X−Xに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
図11:図9に示した線XI−XIに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
図12:本発明による別の装置を備えた自動車のホイールの概略横断面図である。
図13:図12に示した線XIII−XIIIに沿った断面図である。
【0027】
図1には、ホイールサスペンションと、ホイールキャンバを変更するための本発明による装置とを備えた自動車のホイールの横断面図が示されている。ホイール1はそのハブ2で回転可能にホイール軸受3に支承されている。ホイール軸受3は旋回軸受4を介してホイールキャリヤ5に旋回可能に支承されている。旋回軸受4は、ホイールキャリヤ5に対して固定的に配置された固定的な旋回軸受部分7と、固定的な旋回軸受部分7に対して旋回平面E内で旋回運動可能に配置された旋回可能な旋回軸受部分8とを有している。ホイール軸受3はここでは旋回可能な旋回軸受部分8に取り付けられている。
【0028】
旋回平面内での旋回軸受4の旋回運動は中心点もしくは旋回点Dを有している。旋回点Dはここではホイール内側に、路面の若干上側に選択されている。この旋回点Dはバーチャルである。この仮想の旋回点Dは旋回軸受4の構成に起因している。旋回軸受4について以下に詳細に説明する。
【0029】
旋回点Dの最適な位置の規定については図3を参照されたい。ここに示したホイールでは凸曲面状の周面が取られている。ホイールの回転軸線Rと交差し、ホイール中心平面E内に位置するY軸線は、ホイール接地平面内に位置するX軸線と交差する。その結果、交点Sが形成されている。旋回軸受4の旋回点Dの、交点Sに関する位置は、以下の条件を満たす。すなわち、Xは0mm〜150mmの間の値を取ることができ、Yは0mm〜150mmの間の値を取ることができる。XおよびYの値のペアはその都度の旋回点Dを定義する。この例では、規定された値ペアX,Yのために、旋回軸受4の旋回点Dが確定されている。交点Sと旋回点Dとを通る直線を引くと、この直線と、ホイール接地平面内に位置するX軸線との間には角度αが形成されている。角度αはX軸線に関して有利には30°〜60°にある。この位置ベクトル上に旋回点Dが位置している。旋回点Dがこの規定にしたがって選択されると、すべての走行状況において最適なレバー比が調節されている。
【0030】
図1には暗示的に、旋回軸受4が転がり軸受9を有していることが示されている。この転がり軸受4は図6〜図7aに示されている。これらの図面には、固定的な、ここでは外側の旋回軸受部分7が2つの縦部分10,11から構成されていることが見て取れる。外側の旋回軸受部分7も内側の旋回軸受部分8も共に中空プロフィルとして形成されている。外側の旋回軸受部分7の縦軸線は両縦部分10,11の分割平面内に位置している。旋回運動可能な、ここでは内側の旋回軸受部分8はほぼ管形の横断面を有している。管形の旋回可能な旋回軸受部分8の外周面には、周囲にわたって分配配置された複数のウェブ12が設けられている。ウェブ12は旋回軸受4の旋回点Dに対して同心的に配置されている。ウェブ12は、周方向で対向して位置する面に、転動体14のための走行軌道13を有している。転動体14はここではボールにより形成されている。
【0031】
外側の旋回軸受部分7はその内周面に、周囲にわたって分配配置された複数の縦溝15を有している。その際、縦溝15の周方向の壁は転動体14のための走行軌道16を有している。走行軌道13,16は弧状に形成されている。その際、これらの走行軌道13,16は旋回軸受4の共通の旋回軸線Dを有している。
【0032】
図7aには、転がり軸受9がリニア転がり軸受の形式でエンドレスな転動体循環を伴って形成されていることが見て取れる。この転がり軸受9は複数のエンドレスな転動体通路17を有している。無端通路として形成されたこれらの複数の転動体通路17のうちの1つが図7aに概略的に示されている。この転動体通路17内で転動体14がエンドレスに循環する。これらの転動体17は、弧状の走行軌道13,16を備えた1つの負荷区分18と、さらに1つの戻し案内区分19と、負荷区分18を戻し案内区分19にエンドレスに接続する2つの変向区分20とを有している。こうしてエンドレスな転動体循環が保証されている。変向区分20はヘッド部材21に形成されている。ヘッド部材21は旋回軸受4の端面で外側の旋回軸受部分7に取り付けられている。ここでは旋回軸受部分7,8が入れ子に、つまり内外に配置されており、互いに対面した周面に弧状の走行軌道13,16を有している。
【0033】
図6には、分割平面内に位置する分割面22が破断面であることが見て取れる。当初互いに一体的に結合された縦部分10,11は分割平面に、ここには示されていない目標破断箇所を有している。その際、破壊力の印加の下、外側の旋回軸受部分7が分割平面内で破断される。こうして、両縦部分10,11は正確に一致するように再び接合される。もちろん、これらの縦部分10,11は別々に製作されることができる。その結果、破断の方法ステップは省略される。
【0034】
図1にはさらに電気機械式のアクチュエータが示されている。電気機械式のアクチュエータはより良好に図2に見て取れる。この電気機械式のアクチュエータ23はここでは電動モータ24を有している。電動モータ24はホイールキャリヤ5に取り付けられている。電動モータ24とホイールキャリヤ5との間の結合は、電動モータ24からホイールキャリヤ5への良好な熱伝達が保証されているように選択されている。結合部自体はここには示されていない。
【0035】
図4には電気機械式のアクチュエータ23が部分的に示されている。ここでは縦断された電動モータ24はロータ25を有している。ロータ25は同時に、転動体ねじ山式伝動装置としてのボールねじ伝動装置のスピンドルナット26を形成する。ボールねじ伝動装置自体は古くから公知である。常にスピンドルナットはねじ山付スピンドル(ここでは符号27)に相対回動可能に配置されている。スピンドルナット26とねじ山付スピンドル27との間で、ボールがスピンドルナット26ならびにねじ山付スピンドル27の走行軌道に沿って転動する。ロータ25、つまりここではスピンドルナットでもあるロータの回転と、ねじ山付スピンドル27の回動不能な配置との関係で、並進的な相対摺動がねじ山付スピンドル27とスピンドルナット26との間で行われる。ここではこの並進運動が、旋回可能な旋回軸受部分8の旋回のために使用される。
【0036】
図2にはねじ山付スピンドル27がレバーアーム28に作用するようになっていることが見て取れる。レバーアーム28はここでは一体的に、旋回可能な旋回軸受部分8に形成されている。
【0037】
図5には著しく拡大された図面で旋回軸受4の枢設部の領域が示されている。図5にはレバーアーム28がその端部でほぼフォーク状に形成されていることが見て取れる。その際、ねじ山付スピンドル27は両脚片29の間に係入する。ねじ山付スピンドル27は横孔30を有している。その際、ジャーナル31はこの横孔を貫いて案内されており、脚片29の収容孔内に固く挿入されている。ねじ山付スピンドル27は傾倒運動可能にラジアル転がり軸受33を介してジャーナル31に配置されている。ラジアル転がり軸受33はここでは予圧されたころ軸受として形成されている。この構成では枢設部が遊びなしに構成されていることが保証されている。
【0038】
図1にはさらに、電気機械式のアクチュエータ23がほぼトランスバースコントロールアーム(Querlenker)34の上側に配置されていることが見て取れる。この配置では電気機械式のアクチュエータ23が例えば飛石の衝突から保護されている。
【0039】
図1および図2に示したホイールは駆動されている。駆動軸35は旋回軸受4に対して同軸的に配置されており、この旋回軸受4とホイール軸受3とを貫いて案内されている。この同軸的な配置では運転中付加的な旋回軸受4にもかかわらず駆動軸35の満足のいく低い屈曲角が得られる。図2には駆動軸35のジョイント36が示されている。ジョイント36は旋回可能な旋回軸受部分8内に保護されて配置されている。旋回軸受4と、ホイール軸受3と、ジョイント36を備えた駆動軸35とはその結果、軸方向で極めて省スペースな構造形式で、半径方向で入れ子に配置されている。
【0040】
図1および図2にはさらに、ベローズとも呼ばれる蛇腹形ブーツ37がその一端で潤滑剤密に、固定的な旋回軸受部分7に収容されていることが見て取れる。その対向して位置する端部でもって、蛇腹形ブーツ37は、回転可能に駆動軸35に支承されたシールカラー38を介して配置されている。蛇腹形ブーツ37は1つの共通の潤滑室40を、旋回軸受4と、ホイール軸受3と、駆動軸35のジョイント36とのために画定する。固定的な旋回軸受部分7の一方の面には蛇腹形ブーツ37が設置されており、それに対して、対向して位置する、車両とは反対側の面には転動形ブーツ41が潤滑室40のシールのために設けられている。この転動形ブーツ41は一端で潤滑剤密に、旋回可能な旋回軸受部分8に収容されており、他端で固定的な旋回軸受部分7に収容されている。
【0041】
電気機械式のアクチュエータ23のねじ山付スピンドル27を汚損および損傷から保護するために、ねじ山付スピンドル27の、レバーアーム28とは反対側の端部には、シールキャップ42が設けられている。シールキャップ42は電動モータ24に取り付けられている。さらに、ねじ山付スピンドル27の、レバーアーム28側の端部には、別の蛇腹形ブーツ42が設けられている。蛇腹形ブーツ42はねじ山付スピンドル27を包囲している。
【0042】
図1に示した走行状況ではニュートラルなキャンバが示されており、それに対して図2には、ポジティブに調節された、約3°のキャンバ角を有するキャンバを備えたホイールが示されている。
【0043】
電気機械式のアクチュエータ23はさらに、ロータ25をブロックするためのフェイルセーフ装置43を有している。このフェイルセーフ装置43は図8〜図11に示されている。相対回動不能にスピンドルナット26に結合されたロータ25は端面にブロックディスク44を有している。ブロックディスク44はその一方の端面に端面歯列45を有している。端面歯列45は明瞭に図9に見て取れる。電動モータ24のハウジング46に取り付けられた電磁式のストロークタイプ磁石、すなわちソレノイド47は、ロックピン48を有している。ロックピン48の自由端は楔形に尖鋭化されている。その楔形の先端でもってロックピン48は形状結合式に端面歯列45に係入することができる。このことは特に図10および図11に見て取れる。楔形の先端49が端面歯列45と協働するようになっていると、ロックピン48が、ロックピン48の解放を不可能にしかねない高い横方向力に曝され得ないことが保証されている。ソレノイド47がロックピン48の解除のために操作され、同時に電動モータ24がロータ25を駆動すると、ロータ25の回転は、端面歯列45と楔形の先端49との間の楔作用の結果として、ロックピン48の解除を助成する。このフェイルセーフ装置43は例えば電流失陥時または駐車時にも使用されることができる。
【0044】
図12および図13には概略的にのみ、ホイール1のホイールキャンバを変更するための本発明による装置の択一的な構成が示されている。太く印刷された線内には旋回軸受50が示されている。旋回軸受50は、外側の、ホイールキャリヤ51に取り付けられた旋回軸受部分52と、旋回軸受部分52に対して旋回運動可能な旋回軸受部分53とを有している。この改変された旋回軸受50の機能および作用形式は前記実施例に相当する。旋回運動可能な旋回軸受部分53はホイール軸受3を支持している。
【0045】
ここではやはり電気機械式のアクチュエータ54が使用されている。電気機械式のアクチュエータ54は前記電気機械式のアクチュエータと同一である。前記実施例とは異なり、ここではただし電動モータ55が、旋回運動可能な旋回軸受53にヒンジ式に取り付けられている。ねじ山付スピンドル56は、ここには示されていないスピンドルナットを有している。その際、スピンドルナットは固定的な旋回軸受部分52に収容されている。電動モータ55の、図示されていないロータの回転の下、ねじ山付スピンドル56は回転する。その際、旋回可能な旋回軸受部分53は旋回する。旋回軸受50の旋回点の位置は、前記実施例と同じ観点の下で選択される。
【0046】
図13にはやはり、前記実施例と同様に、旋回運動可能な旋回軸受部分53の、固定的な旋回軸受部分52に対する転がり支承が示されている。転動体57はこの目的のために両旋回軸受部分52,53の走行軌道58,59に沿って転動する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による装置を備えた自動車のホイールの横断面図である。
【図2】図1と同様の、ただし変更された断面線に沿った図である。
【図3】旋回軸受の旋回点を規定するための座標系を示す、自動車のホイールの概略横断面図である。
【図4】電気機械式のアクチュエータの電動モータの断面図である。
【図5】図2の細部の拡大図である。
【図6】図1の細部の拡大図である。
【図7】図1の細部の拡大図である。
【図7a】図1の細部の拡大図である。
【図8】フェイルセーフ装置の概略図である。
【図9】図8に示した線IX−IXに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
【図10】図9に示した線X−Xに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
【図11】図9に示した線XI−XIに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
【図12】本発明による別の装置を備えた自動車のホイールの概略横断面図である。
【図13】図12に示した線XIII−XIIIに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ホイール、 2 ハブ、 3 ホイール軸受、 4 旋回軸受、 5 ホイールキャリヤ、 6 ばねストラット、 7 固定的な旋回軸受部分、 8 旋回可能な旋回軸受部分、 9 転がり軸受、 10 縦部分、 11 縦部分、 12 ウェブ、 13 走行軌道、 14 転動体、 15 縦溝、 16 走行軌道、 17 転動体通路、 18 負荷区分、 19 戻し案内区分、 20 変向区分、 21 ヘッド部材、 22 分割面、 23 電気機械式のアクチュエータ、 24 電動モータ、 25 ロータ、 26 スピンドルナット、 27 ねじ山付スピンドル、 28 レバーアーム、 29 脚片、 30 横孔、 31 ジャーナル、 32 収容孔、 33 ラジアル転がり軸受、 34 トランスバースコントロールアーム、 35 駆動軸、 36 ジョイント、 37 蛇腹形ブーツ、 38 シールカラー、 40 潤滑室、 41 転動形ブーツ、 42 蛇腹形ブーツ、 43 フェイルセーフ装置、 44 ブロックディスク、 45 端面歯列、 46 ハウジング、 47 電気機械式のストロークタイプ磁石(ソレノイド)、 48 ロックピン、 49 楔形の先端、 50 旋回軸受、 51 ホイールキャリヤ、 52 旋回軸受部分、 53 旋回可能な旋回軸受部分、 54 電気機械式のアクチュエータ、 55 電動モータ、 56 ねじ山付スピンドル、 57 転動体、 58 走行軌道、 59 走行軌道
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のホイールのホイールキャンバを変更するための装置に関する。この種のアクティブなキャンバ調節装置はホイールキャンバをその都度の走行状況、例えばカーブ走行、フルブレーキまたは加速に依存して変更する。
【0002】
例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10349159号明細書から、特に自動車のホイールのためのガイド装置が公知である。この公知のガイド装置は円弧ガイドを有している。円弧ガイドの軸線は走行レーン表面とホイール中心平面との間の交線の領域に位置している。その際、円弧ガイドはホイール軸受の領域を延びている。このガイド装置は多数の既存のホイールサスペンションで使用されることができる。ホイールの、円弧ガイドに対する相対摺動時、ホイールキャンバが操作される。実際の使用に近い構成はドイツ連邦共和国特許出願公開第10249159号明細書には見て取ることができない。さらに、この開示によれば、旋回軸受の旋回点はほぼホイール接地面の下側、つまりほぼ走行レーン表面の下側にある。つまり有効なレバーアームは小さく維持されている。ただしレバーアームはホイール力の力導入箇所と旋回軸受の旋回点との間の間隔により形成されている。旋回軸受の旋回点がこのように道路の下に位置している場合、車両構造は右カーブ時、カーブ外側のホイールがネガティブなキャンバに、カーブ内側のホイールがポジティブなキャンバに調節されると、ホイールに対して相対的に若干左向きに運動する。このことはドライバにとって不可解な構造反応になりかねない。
【0003】
本発明の課題は、請求項1の上位概念部に記載した特徴を備えた装置を改良して、上記欠点が取り除かれた装置を提供することである。
【0004】
本発明により上記課題は、旋回軸受の仮想の旋回点の位置がホイール接地平面の上側に、かつホイール中心平面の車両寄りの側に配置されている、つまり軸方向でホイール中心平面の内側に配置されていることにより解決される。道路上の間隔が小さければ小さいほど、アクチュエータにより印加しなければならないモーメントは小さくなる。上記の望ましくない構造反応は起こらない。旋回軸受の最適な操作を可能にするために、旋回軸受の旋回点が有利に位置すべきフィールド、いわゆる場が見出された。まず、原点または基準点として、ホイールの回転軸線と交差し、かつホイール中心平面内に位置するY軸線と、ホイール接地平面内に位置するX軸線とにより交点が形成される。その際、X値は150mmよりも小さく、Y値は150mmよりも小さくあるべきである。
【0005】
このフィールド内に、旋回軸受の旋回点がアクチュエータの均衡の取れた負荷に関して位置すべき位置ベクトルが提示される。この位置ベクトルは、ホイール接地平面内に位置するX軸線の、既に定義されたY軸線との交点と交差する。その際、位置ベクトルは、X軸線に関する下側の値が約30°であり、上側の値が約60°である角度範囲をカバーする。この角度範囲内で、アクチュエータを均衡に負荷するために、150mmよりも大きいX値とY値とが調節されることもできる。
【0006】
例えば17インチのホイールでは、旋回点の良好なポジショニングが以下の値で与えられている。すなわち、原点としての上記交点を基点として、X=35mmおよびY=30mm、X=50mmおよびY=50mm、X=103mmおよびY=140mmの値ペアが適している。旋回点のこのポジショニングでは、アクチュエータにより果たされるべき作業は種々異なる走行状況のために均衡が取れている。いずれにせよ、旋回点はホイール内側、つまり車両寄りに位置しているべきである。そうすると、ホイール接地面における力導入部と旋回軸受の旋回点との間の仮想のレバーは左カーブのためにも右カーブのためにも均衡の取れた比にある。
【0007】
有利には、旋回軸受が、ホイールキャリヤに対して固定的に配置された固定的な旋回軸受部分と、固定的な旋回軸受部分に対して旋回平面内で旋回運動可能に配置された旋回可能な旋回軸受部分とを有している。この場合、ホイールは旋回可能な旋回軸受部分に例えば従来慣用のホイール軸受を介して回転可能に支承されていることができる。
【0008】
この配置では、電気機械式のアクチュエータが使用され、電気機械式のアクチュエータが一方でホイールキャリヤに対して支持されており、他方で旋回可能な旋回軸受部分に作用するようになっていると特に有利である。この種の電気機械式のアクチュエータは電動モータを有している。電動モータは自動車の車載電源網から電気的なエネルギを供給される。仮想の旋回点の位置が本発明によりすべての走行状況のために均衡が取れているので、車載電源網により提供される電気的なエネルギにより申し分なく運転されることができる従来慣用の電動モータが使用されることができる。
【0009】
電気機械式のアクチュエータを前記配置で使用する場合、仮想の旋回点の、提示された所定の範囲の外側にある位置も考えられる。
【0010】
有利には、電気機械式のアクチュエータが電動モータと転動体ねじ山式伝動装置とを有しており、転動体ねじ山式伝動装置のスピンドルナットがねじ山付スピンドルに回転可能に支承されている。自体公知のこの種の電気機械式のアクチュエータは確実に回転運動を並進運動に変換する。並進運動は旋回可能な旋回軸受部分を調節するための調節運動として使用される。
【0011】
有利には、スピンドルナットが電動モータのロータとして形成されており、ねじ山付スピンドルが回動不能に保持されている。このことは、ねじ山付スピンドルが例えば直接、旋回可能な旋回軸受部分に収容されることができるという利点を有している。
【0012】
電動モータは負荷時に加熱される。この熱は、特に先行の極端な負荷後、車速が低いときにモータの過熱が発生しないように導出されねばならない。空気を介した冷却だけでは場合によっては不十分である。電動モータをさらに冷却するために、電動モータは本発明の別の構成では直接ホイールキャリヤに取り付けられている。この結合部は、電動モータから、一般に金属から成るホイールキャリヤへの極めて良好な熱伝達を有するコンタクトが保証されているように構成されている。この熱は結果としてホイールキャリヤに導出される。導入箇所は有利にはモータよりも冷たい箇所である。適当な箇所は例えばホイールキャリヤの、トランスバースコントロールアームよりも上側に位置する箇所であることができる。電動モータの大きさに比してホイールキャリヤの相対的に大きな質量に基づいて、ホイールキャリヤの熱容量が利用されることができる。この箇所はそれに加えて飛石の衝突および車両の望ましくない乗り上げから保護されている。
【0013】
既に述べたように、ねじ山付スピンドルは有利には、旋回可能な旋回軸受部分に回動不能に保持されていることができる。さらに本発明の別の構成では、ねじ山付スピンドルが、旋回可能な旋回軸受部分に軸方向で摺動不能に収容されており、旋回可能な部分がねじ山付スピンドルに対して、ねじ山付スピンドルに対して横方向で配置された傾倒軸線を中心に傾倒運動するようになっている。電動モータの操作時、この例示的に選択された配置ではねじ山付スピンドルがその軸線に沿って移動させられる。ねじ山付スピンドルの軸線を第1の辺とし、仮想の旋回点と、ねじ山付スピンドルを旋回可能な旋回軸受部分に枢設する枢設点とを結ぶ直線を第2の辺とし、その際、枢設点が両辺の交点を成すとすると、例えばキャンバが0゜に調節されているときに、これらの両辺間の出発角度が調節されている。アクチュエータの操作の下、この角度は変化する。枢設点における前記傾倒運動可能な配置はその結果として、不都合にねじ山付スピンドルに導入される横方向力または曲げモーメントを回避する。
【0014】
一方で旋回可能な旋回軸受部分の遊びのない枢設を可能にし、他方で申し分のない傾倒運動を可能にするために、ねじ山付スピンドルに対して横方向で配置されたジャーナルをねじ山付スピンドルに、特に予圧された転がり軸受、特にころ軸受を介して半径方向で支承することが提案される。その際、ジャーナルは旋回可能な旋回軸受部分に取り付けられていることができる。旋回可能な旋回軸受部分とねじ山付スピンドルとの間の遊びのない結合は申し分のない精緻な枢設特性のために役立つ。それとは異なり、ジャーナルを回動不能にねじ山付スピンドルに配置し、ジャーナルをラジアル転がり軸受を介して、旋回可能な旋回軸受部分に半径方向で支承することも可能である。
【0015】
提案される発明は、駆動されるホイールのためにも適している。ホイールの運動自由度を保証するために、場合によっては輪距を若干拡大することができる。それにより、ホイールがホイールハウスおよびばねストラットに当接することはなくなる。ホイールハウスおよびばねストラットにおける変更は場合によっては行われずに済む。クリティカルなのはさらにばねの伸縮時およびホイールの操舵時のジョイント式の駆動軸の屈曲角である。主影響量は操舵角およびばねストロークの他にとりわけジョイント間の駆動軸の長さである。ホイールをネガティブなキャンバに調節した場合、屈曲角は過度に広く高められてはならない。結果として、本発明による旋回軸受の軸方向の構成長さが過度に大きくなってはならないことが要求される。ただし、コーナリングフォースからホイールに生じる曲げモーメントを旋回軸受で支持するために、強度上の理由から、所定のキャンバ長さが必要である。このキャンバ長さは軸方向で必要な構成スペースを定義する。すべてのこれらの判定基準はそれ相応に、本発明の別の構成が、駆動軸の、ホイール軸受を貫く通し案内を企図していることにより顧慮される。駆動軸は過度に短縮される必要はなく、屈曲角は高められる必要はない。有利には、旋回軸受、ホイール軸受および駆動軸が入れ子に配置されている。本発明による旋回軸受を備えていない公知の配置に対して、最大で調節可能なネガティブなキャンバの極端な事例で、駆動軸は僅かに短縮されるにすぎないか、またはまったく短縮されない。それというのも、この位置で、必要な輪距拡大はほぼ、この位置への調節時の駆動軸の理論的な短縮と均衡下にあるからである。
【0016】
本発明による旋回軸受を設けることは場合によっては付加的な所要スペースを必要とする。それに加えて、旋回軸受の申し分のない潤滑が保証されていなければならない。本発明の別の構成では、旋回軸受と、ホイール軸受と、駆動軸のジョイントとが、潤滑剤を施された1つの共通の潤滑室内に配置されている。したがって1つの潤滑室が必要であるにすぎない。その結果、付加的な構成スペースは最小化されている。旋回軸受、ホイール軸受およびジョイント軸は適当な高性能グリースで潤滑されていることができる。潤滑室が有利には1つの共通のシール、特に蛇腹形ブーツ(Faltenbalg)または転動形ブーツ(Rollenbalg)により画定されており、シールが一方で固定的な旋回軸受部分に、他方でジョイント軸に当て付けられている。このシールは固定的な旋回軸受部分の面に固くかつ密に配置されていることができる一方で、本発明の別の構成では、シールとジョイント軸との間に、ジョイント軸に相対回動可能に支承されたシールカラーが配置されている。このシールカラーは例えばシールリップを有していることができる。
【0017】
ホイール外側にはやはり旋回軸受のためのシールが設けられていることができる。ホイール軸受自体はシールディスクを介してシールされることができる。旋回軸受は転動形ブーツを介してシールされていることができる。この転動形ブーツは蛇腹形ブーツ式のシールに比して、半径方向で極めて小さく構成され、エラストマにおける大きな曲げ半径に基づいて僅かな肉厚で済み、かつ軸方向でも極めて短く構成されるという利点を有している。こぶ状の屈曲部は旋回軸受の所定のストローク時その半分の値の分だけ運動する。このシールシステムは丈夫なシールを可能にする。その際、滑動するシールリップは省略されることができる。軸方向および半径方向で小さく構成されたこのシールにより、ブレーキディスクの内側の狭小な空間が最適に利用されることができる。旋回可能な旋回軸受部分にはホイール外側の面に鍔が設けられていることができ、鍔は付加的な部分としてまたは一体的に、旋回可能な旋回軸受部分に成形されていることができる。この鍔は同時にその閉鎖された環状の面により転動形ブーツ式のシールの収容を可能にし、アクチュエータ力およびブレーキモーメントの、旋回可能な旋回軸受部分への均等な力導入を提供する。
【0018】
アクチュエータのねじ山付スピンドルはシール内に格納されていることができる。このシールはやはり蛇腹形ブーツまたは転動形ブーツとして構成されていることができる。こうして、ねじ山付スピンドルは望ましくない汚れから申し分なく保護されている。
【0019】
固定的な旋回軸受部分と旋回可能な旋回軸受部分との間の申し分のない旋回運動が、大きな負荷の発生下でも申し分なく実施されることができるように、本発明の別の構成では、固定的な旋回軸受部分と旋回可能な旋回軸受部分との間に転がり支承部が設けられており、転がり支承部において、転動体が、弧状に形成された走行軌道に沿って転動する。転動体の直径は実現したい旋回角に合わせて調整されている。その際、例えば3°のキャンバ調節時、負荷された転動体が少なくとも一度その全転動周面でもって転動するように企図されていることができる。こうして、望ましくない塑性変形および早期的な損傷が回避されることができ、かつ走行軌道の均等な負荷が保証されることができる。
【0020】
有利には、この種の転がり軸受において、少なくとも1つのエンドレスな転動体通路が設けられており、転動体通路内を転動体がエンドレスに循環することができるようになっており、転動体通路が、弧状の走行軌道を有する1つの負荷区分と、1つの戻し案内区分と、負荷区分を戻し案内区分にエンドレスに接続する2つの変向区分とを有している。往復運動を行うにすぎない有端式の転動体連鎖に対して、ここでは、転動体連鎖の各転動体が運転中走行軌道の各箇所を通過することができる、つまり場合によっては転動体通路内での完全な循環を行うこともできることが保証され得る。
【0021】
有利には、旋回可能な旋回軸受部分と固定的な旋回軸受部分とが入れ子に配置されており、互いに対面した周面に弧状の走行軌道を有している。付加的に、両旋回軸受部分のうちの1つが戻し案内区分を有している。この戻し案内通路は例えば直線の孔として構成されていることができる。変向区分は有利には、旋回軸受の互いに背離した端面、すなわち両端の端面に例えばフランジ固定されていることができるヘッド部材に形成されている。
【0022】
外側の固定的なまたは旋回可能な旋回軸受部分は中空プロフィルとして形成されており、かつ2つの縦部分から構成されていることができる。その際、旋回軸受部分の縦軸線は両縦部分の分割平面内に位置している。
【0023】
この旋回軸受部分を2つの縦部分に分割したことは、各縦部分のその都度の内面に、転がり軸受のための走行軌道を申し分なく例えば研削プロセスで製作することができるという利点を有している。これらの両部分が再び組み合わされるとき、正確な位置での接合が必要である。このことは、中空プロフィルとして構成されたこの旋回軸受部分がまず唯一の構成部分として形成されており、その際、分割平面に沿って目標破断箇所が設けられていることにより簡単化されることができる。この構成部分は目標破断箇所に沿って破断されることができる。その結果、両縦部分が形成されている。両縦部分には、互いに対面した、分割平面内に位置する破断箇所に破断面が設けられており、破断面は両縦部分の正確な接合を可能にする。
【0024】
この例では内側の旋回可能なまたは固定的な旋回軸受部分は横断面で見て管形に形成されており、その外側の周面に、周囲にわたって分配され、旋回軸受の旋回点に対して同心的に配置された複数のウェブを有していることができる。その際、ウェブは走行軌道を支持している。有利には、これらのウェブは周方向で対向して位置する面に転動体のための走行軌道を有している。
【0025】
電流失陥時または駐車時にホイールの調節されたキャンバ位置を確実に固定するために、本発明の別の構成では、フェイルセーフ装置が設けられており、フェイルセーフ装置によりホイールのキャンバ位置が解放可能にロックされることができる。例えば電気機械式のアクチュエータが設けられており、電気機械式のアクチュエータに、ねじ山付スピンドルと、ねじ山付スピンドルに回転可能に配置されたスピンドルナットとが設けられているとき、フェイルセーフ装置は有利には、スピンドルナットをフレーム定置の部分に形状結合(formschluessig:形状による束縛)式に結合するための形状結合部分(Formschlussteil)を有している。
【0026】
例えばスピンドル伝動装置のナットはピンおよびばねにより確実に機械的にブロックされることができる。十分な供給電圧が存在していれば、ピンは例えば磁気的にそのロックから引き戻されることができる。その際、電動モータによるナットの回転運動、ひいてはアクティブなキャンバ調節は解放されている。この磁石は例えばホイールキャリヤに取り付けられていることができる。ピンが角度を成したその先端で係入する、所定の角度を備えた端面歯列により、電動モータをアクティブにロックの解除のために使用することが可能である。このことは特に、ピンが汚れに基づいて動きづらくなってしまったり、磁力だけでは不十分であったりした場合に有利である。磁力はこの事例では、開放された位置でのピンの保持が保証されているように設定されていることができる。この種の構造は省スペースの構造形式および減じられた電力消費を可能する。それというのも、キャンバの全制御プロセス中、このピンが開放された位置に保持されているからである。以下に本発明について、計13個の図面に示した2つの実施例を参照しながら詳細に説明する。
図1:本発明による装置を備えた自動車のホイールの横断面図である。
図2:図1と同様の、ただし変更された断面線に沿った図である。
図3:旋回軸受の旋回点を規定するための座標系を示す、自動車のホイールの概略横断面図である。
図4:電気機械式のアクチュエータの電動モータの断面図である。
図5:図2の細部の拡大図である。
図6:図1の細部の拡大図である。
図7:図1の細部の拡大図である。
図7a:図1の細部の拡大図である。
図8:フェイルセーフ装置の概略図である。
図9:図8に示した線IX−IXに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
図10:図9に示した線X−Xに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
図11:図9に示した線XI−XIに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
図12:本発明による別の装置を備えた自動車のホイールの概略横断面図である。
図13:図12に示した線XIII−XIIIに沿った断面図である。
【0027】
図1には、ホイールサスペンションと、ホイールキャンバを変更するための本発明による装置とを備えた自動車のホイールの横断面図が示されている。ホイール1はそのハブ2で回転可能にホイール軸受3に支承されている。ホイール軸受3は旋回軸受4を介してホイールキャリヤ5に旋回可能に支承されている。旋回軸受4は、ホイールキャリヤ5に対して固定的に配置された固定的な旋回軸受部分7と、固定的な旋回軸受部分7に対して旋回平面E内で旋回運動可能に配置された旋回可能な旋回軸受部分8とを有している。ホイール軸受3はここでは旋回可能な旋回軸受部分8に取り付けられている。
【0028】
旋回平面内での旋回軸受4の旋回運動は中心点もしくは旋回点Dを有している。旋回点Dはここではホイール内側に、路面の若干上側に選択されている。この旋回点Dはバーチャルである。この仮想の旋回点Dは旋回軸受4の構成に起因している。旋回軸受4について以下に詳細に説明する。
【0029】
旋回点Dの最適な位置の規定については図3を参照されたい。ここに示したホイールでは凸曲面状の周面が取られている。ホイールの回転軸線Rと交差し、ホイール中心平面E内に位置するY軸線は、ホイール接地平面内に位置するX軸線と交差する。その結果、交点Sが形成されている。旋回軸受4の旋回点Dの、交点Sに関する位置は、以下の条件を満たす。すなわち、Xは0mm〜150mmの間の値を取ることができ、Yは0mm〜150mmの間の値を取ることができる。XおよびYの値のペアはその都度の旋回点Dを定義する。この例では、規定された値ペアX,Yのために、旋回軸受4の旋回点Dが確定されている。交点Sと旋回点Dとを通る直線を引くと、この直線と、ホイール接地平面内に位置するX軸線との間には角度αが形成されている。角度αはX軸線に関して有利には30°〜60°にある。この位置ベクトル上に旋回点Dが位置している。旋回点Dがこの規定にしたがって選択されると、すべての走行状況において最適なレバー比が調節されている。
【0030】
図1には暗示的に、旋回軸受4が転がり軸受9を有していることが示されている。この転がり軸受4は図6〜図7aに示されている。これらの図面には、固定的な、ここでは外側の旋回軸受部分7が2つの縦部分10,11から構成されていることが見て取れる。外側の旋回軸受部分7も内側の旋回軸受部分8も共に中空プロフィルとして形成されている。外側の旋回軸受部分7の縦軸線は両縦部分10,11の分割平面内に位置している。旋回運動可能な、ここでは内側の旋回軸受部分8はほぼ管形の横断面を有している。管形の旋回可能な旋回軸受部分8の外周面には、周囲にわたって分配配置された複数のウェブ12が設けられている。ウェブ12は旋回軸受4の旋回点Dに対して同心的に配置されている。ウェブ12は、周方向で対向して位置する面に、転動体14のための走行軌道13を有している。転動体14はここではボールにより形成されている。
【0031】
外側の旋回軸受部分7はその内周面に、周囲にわたって分配配置された複数の縦溝15を有している。その際、縦溝15の周方向の壁は転動体14のための走行軌道16を有している。走行軌道13,16は弧状に形成されている。その際、これらの走行軌道13,16は旋回軸受4の共通の旋回軸線Dを有している。
【0032】
図7aには、転がり軸受9がリニア転がり軸受の形式でエンドレスな転動体循環を伴って形成されていることが見て取れる。この転がり軸受9は複数のエンドレスな転動体通路17を有している。無端通路として形成されたこれらの複数の転動体通路17のうちの1つが図7aに概略的に示されている。この転動体通路17内で転動体14がエンドレスに循環する。これらの転動体17は、弧状の走行軌道13,16を備えた1つの負荷区分18と、さらに1つの戻し案内区分19と、負荷区分18を戻し案内区分19にエンドレスに接続する2つの変向区分20とを有している。こうしてエンドレスな転動体循環が保証されている。変向区分20はヘッド部材21に形成されている。ヘッド部材21は旋回軸受4の端面で外側の旋回軸受部分7に取り付けられている。ここでは旋回軸受部分7,8が入れ子に、つまり内外に配置されており、互いに対面した周面に弧状の走行軌道13,16を有している。
【0033】
図6には、分割平面内に位置する分割面22が破断面であることが見て取れる。当初互いに一体的に結合された縦部分10,11は分割平面に、ここには示されていない目標破断箇所を有している。その際、破壊力の印加の下、外側の旋回軸受部分7が分割平面内で破断される。こうして、両縦部分10,11は正確に一致するように再び接合される。もちろん、これらの縦部分10,11は別々に製作されることができる。その結果、破断の方法ステップは省略される。
【0034】
図1にはさらに電気機械式のアクチュエータが示されている。電気機械式のアクチュエータはより良好に図2に見て取れる。この電気機械式のアクチュエータ23はここでは電動モータ24を有している。電動モータ24はホイールキャリヤ5に取り付けられている。電動モータ24とホイールキャリヤ5との間の結合は、電動モータ24からホイールキャリヤ5への良好な熱伝達が保証されているように選択されている。結合部自体はここには示されていない。
【0035】
図4には電気機械式のアクチュエータ23が部分的に示されている。ここでは縦断された電動モータ24はロータ25を有している。ロータ25は同時に、転動体ねじ山式伝動装置としてのボールねじ伝動装置のスピンドルナット26を形成する。ボールねじ伝動装置自体は古くから公知である。常にスピンドルナットはねじ山付スピンドル(ここでは符号27)に相対回動可能に配置されている。スピンドルナット26とねじ山付スピンドル27との間で、ボールがスピンドルナット26ならびにねじ山付スピンドル27の走行軌道に沿って転動する。ロータ25、つまりここではスピンドルナットでもあるロータの回転と、ねじ山付スピンドル27の回動不能な配置との関係で、並進的な相対摺動がねじ山付スピンドル27とスピンドルナット26との間で行われる。ここではこの並進運動が、旋回可能な旋回軸受部分8の旋回のために使用される。
【0036】
図2にはねじ山付スピンドル27がレバーアーム28に作用するようになっていることが見て取れる。レバーアーム28はここでは一体的に、旋回可能な旋回軸受部分8に形成されている。
【0037】
図5には著しく拡大された図面で旋回軸受4の枢設部の領域が示されている。図5にはレバーアーム28がその端部でほぼフォーク状に形成されていることが見て取れる。その際、ねじ山付スピンドル27は両脚片29の間に係入する。ねじ山付スピンドル27は横孔30を有している。その際、ジャーナル31はこの横孔を貫いて案内されており、脚片29の収容孔内に固く挿入されている。ねじ山付スピンドル27は傾倒運動可能にラジアル転がり軸受33を介してジャーナル31に配置されている。ラジアル転がり軸受33はここでは予圧されたころ軸受として形成されている。この構成では枢設部が遊びなしに構成されていることが保証されている。
【0038】
図1にはさらに、電気機械式のアクチュエータ23がほぼトランスバースコントロールアーム(Querlenker)34の上側に配置されていることが見て取れる。この配置では電気機械式のアクチュエータ23が例えば飛石の衝突から保護されている。
【0039】
図1および図2に示したホイールは駆動されている。駆動軸35は旋回軸受4に対して同軸的に配置されており、この旋回軸受4とホイール軸受3とを貫いて案内されている。この同軸的な配置では運転中付加的な旋回軸受4にもかかわらず駆動軸35の満足のいく低い屈曲角が得られる。図2には駆動軸35のジョイント36が示されている。ジョイント36は旋回可能な旋回軸受部分8内に保護されて配置されている。旋回軸受4と、ホイール軸受3と、ジョイント36を備えた駆動軸35とはその結果、軸方向で極めて省スペースな構造形式で、半径方向で入れ子に配置されている。
【0040】
図1および図2にはさらに、ベローズとも呼ばれる蛇腹形ブーツ37がその一端で潤滑剤密に、固定的な旋回軸受部分7に収容されていることが見て取れる。その対向して位置する端部でもって、蛇腹形ブーツ37は、回転可能に駆動軸35に支承されたシールカラー38を介して配置されている。蛇腹形ブーツ37は1つの共通の潤滑室40を、旋回軸受4と、ホイール軸受3と、駆動軸35のジョイント36とのために画定する。固定的な旋回軸受部分7の一方の面には蛇腹形ブーツ37が設置されており、それに対して、対向して位置する、車両とは反対側の面には転動形ブーツ41が潤滑室40のシールのために設けられている。この転動形ブーツ41は一端で潤滑剤密に、旋回可能な旋回軸受部分8に収容されており、他端で固定的な旋回軸受部分7に収容されている。
【0041】
電気機械式のアクチュエータ23のねじ山付スピンドル27を汚損および損傷から保護するために、ねじ山付スピンドル27の、レバーアーム28とは反対側の端部には、シールキャップ42が設けられている。シールキャップ42は電動モータ24に取り付けられている。さらに、ねじ山付スピンドル27の、レバーアーム28側の端部には、別の蛇腹形ブーツ42が設けられている。蛇腹形ブーツ42はねじ山付スピンドル27を包囲している。
【0042】
図1に示した走行状況ではニュートラルなキャンバが示されており、それに対して図2には、ポジティブに調節された、約3°のキャンバ角を有するキャンバを備えたホイールが示されている。
【0043】
電気機械式のアクチュエータ23はさらに、ロータ25をブロックするためのフェイルセーフ装置43を有している。このフェイルセーフ装置43は図8〜図11に示されている。相対回動不能にスピンドルナット26に結合されたロータ25は端面にブロックディスク44を有している。ブロックディスク44はその一方の端面に端面歯列45を有している。端面歯列45は明瞭に図9に見て取れる。電動モータ24のハウジング46に取り付けられた電磁式のストロークタイプ磁石、すなわちソレノイド47は、ロックピン48を有している。ロックピン48の自由端は楔形に尖鋭化されている。その楔形の先端でもってロックピン48は形状結合式に端面歯列45に係入することができる。このことは特に図10および図11に見て取れる。楔形の先端49が端面歯列45と協働するようになっていると、ロックピン48が、ロックピン48の解放を不可能にしかねない高い横方向力に曝され得ないことが保証されている。ソレノイド47がロックピン48の解除のために操作され、同時に電動モータ24がロータ25を駆動すると、ロータ25の回転は、端面歯列45と楔形の先端49との間の楔作用の結果として、ロックピン48の解除を助成する。このフェイルセーフ装置43は例えば電流失陥時または駐車時にも使用されることができる。
【0044】
図12および図13には概略的にのみ、ホイール1のホイールキャンバを変更するための本発明による装置の択一的な構成が示されている。太く印刷された線内には旋回軸受50が示されている。旋回軸受50は、外側の、ホイールキャリヤ51に取り付けられた旋回軸受部分52と、旋回軸受部分52に対して旋回運動可能な旋回軸受部分53とを有している。この改変された旋回軸受50の機能および作用形式は前記実施例に相当する。旋回運動可能な旋回軸受部分53はホイール軸受3を支持している。
【0045】
ここではやはり電気機械式のアクチュエータ54が使用されている。電気機械式のアクチュエータ54は前記電気機械式のアクチュエータと同一である。前記実施例とは異なり、ここではただし電動モータ55が、旋回運動可能な旋回軸受53にヒンジ式に取り付けられている。ねじ山付スピンドル56は、ここには示されていないスピンドルナットを有している。その際、スピンドルナットは固定的な旋回軸受部分52に収容されている。電動モータ55の、図示されていないロータの回転の下、ねじ山付スピンドル56は回転する。その際、旋回可能な旋回軸受部分53は旋回する。旋回軸受50の旋回点の位置は、前記実施例と同じ観点の下で選択される。
【0046】
図13にはやはり、前記実施例と同様に、旋回運動可能な旋回軸受部分53の、固定的な旋回軸受部分52に対する転がり支承が示されている。転動体57はこの目的のために両旋回軸受部分52,53の走行軌道58,59に沿って転動する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による装置を備えた自動車のホイールの横断面図である。
【図2】図1と同様の、ただし変更された断面線に沿った図である。
【図3】旋回軸受の旋回点を規定するための座標系を示す、自動車のホイールの概略横断面図である。
【図4】電気機械式のアクチュエータの電動モータの断面図である。
【図5】図2の細部の拡大図である。
【図6】図1の細部の拡大図である。
【図7】図1の細部の拡大図である。
【図7a】図1の細部の拡大図である。
【図8】フェイルセーフ装置の概略図である。
【図9】図8に示した線IX−IXに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
【図10】図9に示した線X−Xに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
【図11】図9に示した線XI−XIに沿ったフェイルセーフ装置の断面図である。
【図12】本発明による別の装置を備えた自動車のホイールの概略横断面図である。
【図13】図12に示した線XIII−XIIIに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ホイール、 2 ハブ、 3 ホイール軸受、 4 旋回軸受、 5 ホイールキャリヤ、 6 ばねストラット、 7 固定的な旋回軸受部分、 8 旋回可能な旋回軸受部分、 9 転がり軸受、 10 縦部分、 11 縦部分、 12 ウェブ、 13 走行軌道、 14 転動体、 15 縦溝、 16 走行軌道、 17 転動体通路、 18 負荷区分、 19 戻し案内区分、 20 変向区分、 21 ヘッド部材、 22 分割面、 23 電気機械式のアクチュエータ、 24 電動モータ、 25 ロータ、 26 スピンドルナット、 27 ねじ山付スピンドル、 28 レバーアーム、 29 脚片、 30 横孔、 31 ジャーナル、 32 収容孔、 33 ラジアル転がり軸受、 34 トランスバースコントロールアーム、 35 駆動軸、 36 ジョイント、 37 蛇腹形ブーツ、 38 シールカラー、 40 潤滑室、 41 転動形ブーツ、 42 蛇腹形ブーツ、 43 フェイルセーフ装置、 44 ブロックディスク、 45 端面歯列、 46 ハウジング、 47 電気機械式のストロークタイプ磁石(ソレノイド)、 48 ロックピン、 49 楔形の先端、 50 旋回軸受、 51 ホイールキャリヤ、 52 旋回軸受部分、 53 旋回可能な旋回軸受部分、 54 電気機械式のアクチュエータ、 55 電動モータ、 56 ねじ山付スピンドル、 57 転動体、 58 走行軌道、 59 走行軌道
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のホイール(1)のホイールキャンバを変更するための装置であって、ホイール(1)が旋回軸受(4,50)を介して旋回可能にホイールキャリヤ(5,51)に支承されており、旋回軸受(4,50)により画成される旋回平面が少なくともほぼホイール中心平面(E)に対して横方向で配置されている形式のものにおいて、旋回軸受(4,50)の仮想の旋回点(D)の位置がホイール接地平面の上側に、かつホイール中心平面(E)の車両寄りの側にあることを特徴とする、自動車のホイールのホイールキャンバを変更するための装置。
【請求項2】
ホイール(1)の回転軸線と交差し、ホイール中心平面(E)内に位置するY軸線と、ホイール接地平面内に位置するX軸線とにより交点(S)が形成されており、旋回軸受(4)の旋回点(D)が交点(S)に関して、150mmにほぼ等しいXと、150mmにほぼ等しいYとにより提示されているフィールド内に配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
旋回軸受(4)の旋回点(D)が、交点(S)と交差する位置ベクトル上に位置し、位置ベクトルが、X軸線に関して、下側の値として約30°から上側の値として約60°までの角度範囲をカバーする、請求項2記載の装置。
【請求項4】
旋回軸受(4,50)が、ホイールキャリヤ(5,51)に対して固定的に配置された固定的な旋回軸受部分(7,52)と、固定的な旋回軸受部分(7,52)に対して旋回平面内で旋回運動可能に配置された旋回可能な旋回軸受部分(8,53)とを有している、請求項1記載の装置。
【請求項5】
ホイールが、旋回可能な旋回軸受部分(8,53)に回転可能に支承されている、請求項3記載の装置。
【請求項6】
有利には電気機械式のアクチュエータ(23,54)が一方でホイールキャリヤ(5,51)に対して支持されており、他方で旋回可能な旋回軸受部分(8,53)に作用するようになっている、請求項4記載の装置。
【請求項7】
自動車のホイール(1)のホイールキャンバを変更するための装置であって、ホイール(1)が旋回軸受(4,50)を介して旋回可能にホイールキャリヤ(5,51)に支承されており、旋回軸受(5,51)により画成される旋回平面が少なくともほぼホイール中心平面Eに対して横方向で配置されており、旋回軸受(4,50)が、ホイールキャリヤ(5,51)に対して固定的に配置された固定的な旋回軸受部分(7,52)と、固定的な旋回軸受部分(7,52)に対して旋回平面内で旋回運動可能に配置された旋回可能な旋回軸受部分(8,53)とを有しており、ホイール(1)が、旋回可能な旋回軸受部分(8,53)に回転可能に支承されている形式のものにおいて、有利には電気機械式のアクチュエータ(23,54)が一方でホイールキャリヤ(5,51)に対して支持されており、他方で旋回可能な旋回軸受部分(8,53)に、旋回可能な旋回軸受部分(8,53)の旋回のために作用するようになっていることを特徴とする、自動車のホイールのホイールキャンバを変更するための装置。
【請求項8】
電気機械式のアクチュエータ(23,54)が電動モータ(24,55)と転動体ねじ山式伝動装置とを有しており、転動体ねじ山式伝動装置のスピンドルナット(26)がねじ山付スピンドル(27,56)に回転可能に支承されている、請求項6または7記載の装置。
【請求項9】
スピンドルナット(26)が電動モータ(24)のロータ(25)として形成されており、ねじ山付スピンドル(27)が回動不能に保持されている、請求項8記載の装置。
【請求項10】
電動モータ(24)がホイールキャリヤ(5)に取り付けられている、請求項8記載の装置。
【請求項11】
電動モータ(24)が直接、金属製のホイールキャリヤ(5)と金属接触している、請求項10記載の装置。
【請求項12】
ねじ山付スピンドル(27)が、旋回可能な旋回軸受部分(8)に回動不能にかつ軸方向で摺動不能に収容されており、旋回可能な旋回軸受部分(8)がねじ山付スピンドル(27)に対して、ねじ山付スピンドル(27)に対して横方向で配置された傾倒軸線を中心に傾倒運動するようになっている、請求項4または9記載の装置。
【請求項13】
ねじ山付スピンドル(27)に対して横方向で配置されたジャーナル(31)がねじ山付スピンドル(27)に、特に予圧された転がり軸受(33)、特にころ軸受を介して半径方向で転がり支承されており、ジャーナル(31)が、旋回可能な旋回軸受部分(8)に取り付けられている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
ホイール(1)が駆動軸(35)により駆動されており、駆動軸(35)が旋回軸受(4)を貫いて通し案内されている、請求項1または7記載の装置。
【請求項15】
駆動軸(35)がホイール軸受(3)を貫いて通し案内されている、請求項14記載の装置。
【請求項16】
ホイール軸受(3)が、旋回可能な旋回軸受部分(8)に取り付けられている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
駆動軸(35)がジョイント(36)を有している、請求項14記載の装置。
【請求項18】
旋回軸受(4)と、ホイール軸受(3)と、ジョイント(36)を備えた駆動軸(35)とが半径方向で入れ子に配置されている、請求項15記載の装置。
【請求項19】
旋回軸受(4)と、ホイール軸受(3)と、駆動軸(35)のジョイント(36)とが、潤滑剤を施された1つの共通の潤滑室(40)内に配置されている、請求項18記載の装置。
【請求項20】
潤滑室(40)がシール、特に蛇腹形ブーツまたは転動形ブーツ(37)により画定されており、シールが一方で固定的な旋回軸受部分(7)に、他方で駆動軸(35)に当て付けられている、請求項19記載の装置。
【請求項21】
シールと駆動軸(35)との間に、駆動軸(35)に回転可能に支承されたシールカラー(38)が配置されている、請求項20記載の装置。
【請求項22】
固定的な旋回軸受部分(7)と旋回可能な旋回軸受部分(8)との間に転がり支承部が設けられており、転がり支承部において、転動体(14)が、弧状に形成された走行軌道(13,16)に沿って転動する、請求項4または7記載の装置。
【請求項23】
少なくとも1つのエンドレスな転動体通路(17)が設けられており、転動体通路(17)内を転動体(14)がエンドレスに循環することができるようになっており、転動体通路(14)が、弧状の走行軌道(13,16)を有する1つの負荷区分(18)と、1つの戻し案内区分(19)と、負荷区分(18)を戻し案内区分(19)にエンドレスに接続する2つの変向区分(20)とを有している、請求項22記載の装置。
【請求項24】
旋回可能な旋回軸受部分(8)と固定的な旋回軸受部分(7)とが入れ子に配置されており、互いに対面した周面に弧状の走行軌道(13,16)を有している、請求項23記載の装置。
【請求項25】
両旋回軸受部分(7,8)のうちの1つが戻し案内区分(19)を有している、請求項23記載の装置。
【請求項26】
変向区分(20)を備えたヘッド部材(21)が、旋回軸受(4)の、互いに背離した端面に配置されている、請求項23記載の装置。
【請求項27】
外側の固定的なまたは旋回可能な旋回軸受部分(7)が2つの縦部分(10,11)から構成されており、この旋回軸受部分(7)の縦軸線が分割平面内に位置している、請求項24記載の装置。
【請求項28】
請求項27記載の装置を製作する方法において、外側の固定的なまたは旋回可能な旋回軸受部分(8)に分割平面に沿って目標破断箇所を設け、当初一体的な旋回軸受部分(8)を目標破断箇所に沿って破断し、その結果、両縦部分(10,11)を形成し、両縦部分(10,11)に、互いに対面した、分割平面内に位置する破断箇所に破断面を設け、破断面により両縦部分(10,11)の正確な接合を可能にすることを特徴とする、請求項27記載の装置を製作する方法。
【請求項29】
内側の旋回可能なまたは固定的な旋回軸受部分(7)が横断面で見て管形に形成されており、その外側の周面に、周囲にわたって分配され、旋回軸受(4)の旋回点Dに対して同心的に配置された複数のウェブ(12)を有しており、ウェブ(12)が走行軌道(13,16)を支持している、請求高24記載の装置。
【請求項30】
走行軌道(13,16)が、ウェブ(12)の、周方向で対向して位置する面に形成されている、請求項29記載の装置。
【請求項31】
フェイルセーフ装置(43)が設けられており、フェイルセーフ装置(43)によりホイール(1)のキャンバ位置が解放可能にロックされることができる、請求項1から30までのいずれか1項記載の装置。
【請求項32】
フェイルセーフ装置(43)が、スピンドルナット(26)をフレーム定置の部分に形状結合式に結合するための形状結合部分を有している、請求項8または31記載の装置。
【請求項1】
自動車のホイール(1)のホイールキャンバを変更するための装置であって、ホイール(1)が旋回軸受(4,50)を介して旋回可能にホイールキャリヤ(5,51)に支承されており、旋回軸受(4,50)により画成される旋回平面が少なくともほぼホイール中心平面(E)に対して横方向で配置されている形式のものにおいて、旋回軸受(4,50)の仮想の旋回点(D)の位置がホイール接地平面の上側に、かつホイール中心平面(E)の車両寄りの側にあることを特徴とする、自動車のホイールのホイールキャンバを変更するための装置。
【請求項2】
ホイール(1)の回転軸線と交差し、ホイール中心平面(E)内に位置するY軸線と、ホイール接地平面内に位置するX軸線とにより交点(S)が形成されており、旋回軸受(4)の旋回点(D)が交点(S)に関して、150mmにほぼ等しいXと、150mmにほぼ等しいYとにより提示されているフィールド内に配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
旋回軸受(4)の旋回点(D)が、交点(S)と交差する位置ベクトル上に位置し、位置ベクトルが、X軸線に関して、下側の値として約30°から上側の値として約60°までの角度範囲をカバーする、請求項2記載の装置。
【請求項4】
旋回軸受(4,50)が、ホイールキャリヤ(5,51)に対して固定的に配置された固定的な旋回軸受部分(7,52)と、固定的な旋回軸受部分(7,52)に対して旋回平面内で旋回運動可能に配置された旋回可能な旋回軸受部分(8,53)とを有している、請求項1記載の装置。
【請求項5】
ホイールが、旋回可能な旋回軸受部分(8,53)に回転可能に支承されている、請求項3記載の装置。
【請求項6】
有利には電気機械式のアクチュエータ(23,54)が一方でホイールキャリヤ(5,51)に対して支持されており、他方で旋回可能な旋回軸受部分(8,53)に作用するようになっている、請求項4記載の装置。
【請求項7】
自動車のホイール(1)のホイールキャンバを変更するための装置であって、ホイール(1)が旋回軸受(4,50)を介して旋回可能にホイールキャリヤ(5,51)に支承されており、旋回軸受(5,51)により画成される旋回平面が少なくともほぼホイール中心平面Eに対して横方向で配置されており、旋回軸受(4,50)が、ホイールキャリヤ(5,51)に対して固定的に配置された固定的な旋回軸受部分(7,52)と、固定的な旋回軸受部分(7,52)に対して旋回平面内で旋回運動可能に配置された旋回可能な旋回軸受部分(8,53)とを有しており、ホイール(1)が、旋回可能な旋回軸受部分(8,53)に回転可能に支承されている形式のものにおいて、有利には電気機械式のアクチュエータ(23,54)が一方でホイールキャリヤ(5,51)に対して支持されており、他方で旋回可能な旋回軸受部分(8,53)に、旋回可能な旋回軸受部分(8,53)の旋回のために作用するようになっていることを特徴とする、自動車のホイールのホイールキャンバを変更するための装置。
【請求項8】
電気機械式のアクチュエータ(23,54)が電動モータ(24,55)と転動体ねじ山式伝動装置とを有しており、転動体ねじ山式伝動装置のスピンドルナット(26)がねじ山付スピンドル(27,56)に回転可能に支承されている、請求項6または7記載の装置。
【請求項9】
スピンドルナット(26)が電動モータ(24)のロータ(25)として形成されており、ねじ山付スピンドル(27)が回動不能に保持されている、請求項8記載の装置。
【請求項10】
電動モータ(24)がホイールキャリヤ(5)に取り付けられている、請求項8記載の装置。
【請求項11】
電動モータ(24)が直接、金属製のホイールキャリヤ(5)と金属接触している、請求項10記載の装置。
【請求項12】
ねじ山付スピンドル(27)が、旋回可能な旋回軸受部分(8)に回動不能にかつ軸方向で摺動不能に収容されており、旋回可能な旋回軸受部分(8)がねじ山付スピンドル(27)に対して、ねじ山付スピンドル(27)に対して横方向で配置された傾倒軸線を中心に傾倒運動するようになっている、請求項4または9記載の装置。
【請求項13】
ねじ山付スピンドル(27)に対して横方向で配置されたジャーナル(31)がねじ山付スピンドル(27)に、特に予圧された転がり軸受(33)、特にころ軸受を介して半径方向で転がり支承されており、ジャーナル(31)が、旋回可能な旋回軸受部分(8)に取り付けられている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
ホイール(1)が駆動軸(35)により駆動されており、駆動軸(35)が旋回軸受(4)を貫いて通し案内されている、請求項1または7記載の装置。
【請求項15】
駆動軸(35)がホイール軸受(3)を貫いて通し案内されている、請求項14記載の装置。
【請求項16】
ホイール軸受(3)が、旋回可能な旋回軸受部分(8)に取り付けられている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
駆動軸(35)がジョイント(36)を有している、請求項14記載の装置。
【請求項18】
旋回軸受(4)と、ホイール軸受(3)と、ジョイント(36)を備えた駆動軸(35)とが半径方向で入れ子に配置されている、請求項15記載の装置。
【請求項19】
旋回軸受(4)と、ホイール軸受(3)と、駆動軸(35)のジョイント(36)とが、潤滑剤を施された1つの共通の潤滑室(40)内に配置されている、請求項18記載の装置。
【請求項20】
潤滑室(40)がシール、特に蛇腹形ブーツまたは転動形ブーツ(37)により画定されており、シールが一方で固定的な旋回軸受部分(7)に、他方で駆動軸(35)に当て付けられている、請求項19記載の装置。
【請求項21】
シールと駆動軸(35)との間に、駆動軸(35)に回転可能に支承されたシールカラー(38)が配置されている、請求項20記載の装置。
【請求項22】
固定的な旋回軸受部分(7)と旋回可能な旋回軸受部分(8)との間に転がり支承部が設けられており、転がり支承部において、転動体(14)が、弧状に形成された走行軌道(13,16)に沿って転動する、請求項4または7記載の装置。
【請求項23】
少なくとも1つのエンドレスな転動体通路(17)が設けられており、転動体通路(17)内を転動体(14)がエンドレスに循環することができるようになっており、転動体通路(14)が、弧状の走行軌道(13,16)を有する1つの負荷区分(18)と、1つの戻し案内区分(19)と、負荷区分(18)を戻し案内区分(19)にエンドレスに接続する2つの変向区分(20)とを有している、請求項22記載の装置。
【請求項24】
旋回可能な旋回軸受部分(8)と固定的な旋回軸受部分(7)とが入れ子に配置されており、互いに対面した周面に弧状の走行軌道(13,16)を有している、請求項23記載の装置。
【請求項25】
両旋回軸受部分(7,8)のうちの1つが戻し案内区分(19)を有している、請求項23記載の装置。
【請求項26】
変向区分(20)を備えたヘッド部材(21)が、旋回軸受(4)の、互いに背離した端面に配置されている、請求項23記載の装置。
【請求項27】
外側の固定的なまたは旋回可能な旋回軸受部分(7)が2つの縦部分(10,11)から構成されており、この旋回軸受部分(7)の縦軸線が分割平面内に位置している、請求項24記載の装置。
【請求項28】
請求項27記載の装置を製作する方法において、外側の固定的なまたは旋回可能な旋回軸受部分(8)に分割平面に沿って目標破断箇所を設け、当初一体的な旋回軸受部分(8)を目標破断箇所に沿って破断し、その結果、両縦部分(10,11)を形成し、両縦部分(10,11)に、互いに対面した、分割平面内に位置する破断箇所に破断面を設け、破断面により両縦部分(10,11)の正確な接合を可能にすることを特徴とする、請求項27記載の装置を製作する方法。
【請求項29】
内側の旋回可能なまたは固定的な旋回軸受部分(7)が横断面で見て管形に形成されており、その外側の周面に、周囲にわたって分配され、旋回軸受(4)の旋回点Dに対して同心的に配置された複数のウェブ(12)を有しており、ウェブ(12)が走行軌道(13,16)を支持している、請求高24記載の装置。
【請求項30】
走行軌道(13,16)が、ウェブ(12)の、周方向で対向して位置する面に形成されている、請求項29記載の装置。
【請求項31】
フェイルセーフ装置(43)が設けられており、フェイルセーフ装置(43)によりホイール(1)のキャンバ位置が解放可能にロックされることができる、請求項1から30までのいずれか1項記載の装置。
【請求項32】
フェイルセーフ装置(43)が、スピンドルナット(26)をフレーム定置の部分に形状結合式に結合するための形状結合部分を有している、請求項8または31記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7a】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7a】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−510569(P2007−510569A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534604(P2006−534604)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009479
【国際公開番号】WO2005/047030
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(390009623)シエツフレル コマンディートゲゼルシャフト (99)
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1−3, D−91074 Herzogenaurach, Germany
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3、 D−77815 Buehl、 Baden、 Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009479
【国際公開番号】WO2005/047030
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(390009623)シエツフレル コマンディートゲゼルシャフト (99)
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1−3, D−91074 Herzogenaurach, Germany
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3、 D−77815 Buehl、 Baden、 Germany
【Fターム(参考)】
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