説明

荷電粒子ビーム・システム用の基板取扱いデバイス

電子ビーム・リソグラフィ・システムは、主室(4)およびゲート弁(7)を介して接続された交換室(5)を備える。ロボット(15)を用いて、半導体ウェハを搬送するチャック(8)がカセット(10)とレーザ干渉計ミラー・アセンブリ(13)との間で移送される。ロボットは、バー(17)と、チャックを支持するためにバーから側方に延ばされた側部部材(18)とを備える。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子ビーム・システム用の基板取扱いデバイスに関する。
【0002】
本発明は荷電粒子ビーム・システム用の基板取扱いデバイスを提供しようとするものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一態様によれば、主室と、交換室と、主室の内および外に基板をロードおよびアンロードする主室内に設置された基板取扱いデバイスを備えた荷電粒子ビーム・システムが提供され、該デバイスは、バーと、該バーから側方に延在し、基板を該バーの一方の側に支持するための側部部材と、側部部材が交換室の内および外に移動可能であるように構成された、バーをその長手軸に沿って並進させるための手段を備えたデバイスを含む。
【0004】
バーの前方ではなく側方に基板を全体的に支持することによって、基板取扱いデバイスは小型になって主室内に収容され得る。さらに、基板取扱いデバイスを収容するために主室を実質的に拡張しなくてよい。このため、荷電粒子ビーム・システムの寸法を最小化することができる。
【0005】
基板は基板支持体によって支持され得、側部部材はこの基板支持体を支持するように構成され得る。基板は加工物(workpiece)または試料(specimen)であり得る。例えば、基板はウェハ、ウェハの一部、またはマスクであってよい。基板はベースを覆う少なくとも1つの層を含み得る。基板は少なくとも2つの層、すなわちベースを覆う第1の層および該第1の層を覆う第2の層を含み得る。この層はエピタキシャル層であり得る。基板はパタン化され得る。基板はマスク・ブランクであり得る。基板はレジスト層で被覆され得る。
【0006】
バーを並進させる手段にはバーから突出したレールを含み得る。このレールはバーに沿って走るないし延びる(run)ものであってもよい。バーを並進させる手段にはレールを保持するリニア軸受のセットをさらに含み得る。
【0007】
バーは、ラックを成すように歯が形成されていても良い。バーを並進させる手段には、ラックに噛み合うように配置されたピニオンをさらに含み得る。ピニオンはモータに直接に接続(coupled)され得る。
【0008】
本デバイスはバーを支持する手段をさらに含み得る。バーを支持する手段は、例えば上下に移動可能であってよい。本デバイスは、バーをその横軸に沿って並進させる(例えばバーを上昇および下降させる)手段をさらに含み得る。
【0009】
側部部材は片持ち羽根の形態であり得る。
【0010】
本デバイスは室の内壁に設置され得る。本デバイスは室の壁の開口部を通してバーおよび側部部材を、引っ込めることができるように(retractably)突出させるように構成され得る。基板は基板支持体によって支持され得、側部部材は基板支持体を支持し得る。本デバイスは第1と第2の室の間で基板を交換するように構成され得る。
【0011】
本デバイスは少なくとも1つの棚を有するカセットと協働するように構成され得、この棚は、間隙の周囲にレッジ(ledge:出っ張り)を有しており、本デバイスは、棚の上に基板を置くことができるように、または棚から基板を拾い上げることができるように、側部部材が上昇または下降されるときに前記の間隙を通過することができるように構成され得る。
【0012】
本システムは複数の基板を保持するためのカセットをさらに含み得る。このカセットは複数の棚を含み得る。各棚は、側部部材が棚の平面を通って上昇または下降されるときに通過することのできる間隙の周囲にレッジを提供するように構成され得る。各棚の内周の一部分は、側部部材の外周の一部分と相補的な形状を有し得る。複数の基板は個々の基板支持体によって支持され得る。
【0013】
本発明の別の態様によれば、荷電粒子ビーム・システム用の基板取扱いデバイスが提供され、該デバイスは、バーと、該バーの一方の側に基板を支持する、該バーから側方に延在する側部部材と、バーをその長手軸に沿って摺動的に移動させる手段とを含む。
【0014】
本発明のさらに別の態様によれば、バーと、該バーから側方に延在する、バーの一方の側に基板を支持する側部部材とを備えた基板取扱いデバイスが提供され、このバーはその長手軸に沿って並進するように構成されている。バーは実質的に水平であってよい。
【0015】
本発明のまた別の態様によれば、バーと、該バーの一方の側に基板を支持する、該バーから側方に延在する側部部材と、バーをその長手軸に沿って並進させる手段とを備えたデバイスを用いて、荷電粒子ビーム・システムにおいて基板を取り扱う方法が提供され、該方法はバーをその長手軸に沿って並進させる工程を含む。
【0016】
本方法は、基板が拾い上げられるようにバーを上昇させる工程をさらに含み得る。本方法は基板が置かれるようにバーを下降させる工程をさらに含み得る。本方法は、棚の上または下に側部部材を位置決めする工程を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここで本発明の一実施形態を添付図面を参照しながら一例として記載する。
【図1】電子ビーム・リソグラフィ・システムを示す概略図である。
【図2】図1の電子ビーム・リソグラフィ・システムの主室および交換室を示す斜視図である。
【図3】本発明のロボットを示す詳細な斜視図である。
【図4】ロボットと室の壁にある開口部とを示す側面図である。
【図5】カセットの棚とチャックが棚上に置かれたときのミラー・アセンブリとを示す斜視図である。
【図6】カセットの棚とチャックが棚上に置かれたときのミラー・アセンブリとを示す斜視図である。
【図7】図7aから図7eは、ロボット操作中の多数の段階のチャックを示す側面図である。
【図8】ロボットを制御するための装置を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
電子ビーム・リソグラフィ・システム1
図1を参照すると、電子ビーム・リソグラフィ・システム1が示されている。電子ビーム・リソグラフィ・システム1は銃2、コラム(column)3、主室4、交換室5、および真空システム6を備えている。
【0019】
主室4および交換室5がゲート弁7によって接続されている。ゲート弁7が開くと、本願明細書ではチャック8と呼ぶ、基板9を搬送する基板支持体8が、ゲート弁7を通って室4、5の間を移動され得る。交換室5は、個々の基板9を各々支持する複数のチャック8を保持することのできるカセット10を収容する。しかし、わかりやすいように図1には1つのチャック8および1つの基板9のみを示している。交換室5はカセット10の交換を可能にする蓋11を備えている。
【0020】
この例では、基板9はウェハ、例えば、少なくとも一部をパタン化し、電子ビーム・レジスト(図示せず)で被覆されるかも知れない半導体層および誘電体層などの複数の重ね合わせ層(図示せず)を含むかも知れない特に半導体ウェハである。しかし、基板8は一般に「チップ」と呼ばれるウェハの一部であってよい。基板9は例えばガラス・ベース(図示せず)および金属重ね合わせ層(図示せず)を含み、かつ電子ビーム・レジスト(図示せず)で被覆されたマスク・ブランク(mask blank)であってよい。一旦マスク・ブランクが処理されると、それは光リソグラフィに使用されるマスクを提供し得る。
【0021】
ゲート弁7が閉じると、交換室5は大気圧と通気できるようになり、開放されて1つのカセット10を取り出して別のカセットと交換することができるようになる。一旦カセット10が交換室5内に置かれると、交換室5は再び真空排気される。次に、ゲート弁7を開放してチャック8を主室4内にロード(load:搬入)することが可能となる。このため、主室4はカセット10が交換されている間は通気されない。
【0022】
主室4はレーザ干渉計ミラー・アセンブリ(laser interferometer mirror assembly)13を支持するx−y位置決めステージ12を収容する。以下により詳細に説明するように、レーザ干渉計ミラー・アセンブリ13はチャック8を支持し、続いて該チャックは基板9が電子ビーム(図示せず)に曝露されている間基板9を支持する。
【0023】
主室4は、この場合は、基板9を支持するチャック8を、室4の内および外にロードかつアンロード(unload:搬出)する基板取扱いデバイス14も収容する。デバイス14は一般には「ロボット」と呼ばれるので、以降はそのように呼ぶ。
【0024】
図2を参照すると、主室4および交換室5がより詳細に示されている。
【0025】
カセット10は個々のチャック(図示せず)を保持する複数の棚15を有する。棚15は垂直方向に積層されている。つまり1つの棚は別の棚に重なっている。カセット10は第1のモータ51(図8)によって駆動されるリフト機構16によって上昇および下降され得る。このリフト機構16はロボット14がカセット10内の各チャック(図示せず)に接近できるようにする。
【0026】
x−y位置決めステージ12はベース12ならびに第1および第2のプラットフォーム12、12を備えている。第1のプラットフォーム12は、ベース12に対して、第1の直交方向に、例えば、y軸に沿って移動することができ、第2のプラットフォーム12は、第1のプラットフォーム12に対して、第2の直交方向に、この場合はx軸に沿って移動することができる。第1および第2のプラットフォーム12、12は各々のステッピング・モータ54、55(図8)によって駆動される。
【0027】
レーザ干渉計ミラー・アセンブリ13はベース13ならびに第1および第2の直交するミラー・ブロック13、13を備える。ミラー・アセンブリ13は干渉計ユニット56(図8)と協働(co-operate)してミラー・アセンブリ13の位置、故にチャック8の位置を測定(determine)する。以下に詳細に説明するように、ミラー・アセンブリ13はチャック8を受け取りかつ支持するように構成されている。しかし、ミラー・アセンブリ13は省かれてよく、x−y位置決めステージ12がチャック8を直接受け取りかつ支持するように配置されてよい。
【0028】
図3を参照すると、ロボット14をさらに詳細に示している。
【0029】
ロボット14は、バー17と、該バー17から、この場合はバー17の第1の側面19から側方に延在する、バー17の一方の側にチャック8および基板9を支持するための側部部材18とを備えている。側部部材18はバー17の第1の端部17に近接して配設されている。側部部材18は片持ち羽根(cantilevered wing)の形態である。この場合、側部部材18は広げられて(splayed)いる。側部部材18はその遠位端において平坦なプレートを有するロッドの形態であってよい。側部部材18は、フォークを成すように、3つ以上のロッドまたはバーの形態であってよい。側部部材18はフレームの形態であってよい。側部部材18は、例えば直立しているかまたは従属的フィンを介して、バー17に対して高くまたは低くなるように配置されてよい。側部部材18は段状であってよい。側部部材18はステンレス鋼などの金属から形成されている。
【0030】
バー17は横断面が略矩形であり、ステンレス鋼などの金属から形成されている。しかし、バーは断面が略円形または多角形であってよい。バー17は約400mmの長さlを有する。レール20はバー17の第2の側部21から突出し、実質的にはバー17の長さに沿って走っている(延びている)。バー17は底面22に沿って歯が形成されてラック23を提供する。しかし、バー17は側部19、21または上面24に沿って歯が形成されていてもよい。
【0031】
ロボット14はバー17を支持する台車25も備えている。台車25はバー17に対して全体的に側方に配設されている。台車25はレール20を保持するリニア軸受26、27のセットを有する。レール20はリニア軸受26、27に沿って滑動(slide)することができるので、バー17はその長手軸Γに沿って並進することが可能となる。台車25は、モータ29に接続されかつラック23に噛み合わされた(engaged)ピニオン28も、バー17をその長手軸Γに沿って前後に駆動するために、有している。長手軸Γは水平面(x−y平面)に存在し、この例ではx軸に平行である。バー17は車輪(図示せず)のセットなどの他の手段を用いて台車25によって支持されてよい。
【0032】
ロボット14は、台車25を支持するためのプレート30も含む。プレート30は台車25に対して概ね側方に配設されている。プレート30は少なくとも1つのレール、この場合は台車25における各々のリニア軸受32、32内で受け取られる1対のレール31、31を備えている。レール31、31は各々のリニア軸受32、32において上下に滑動することができるので、台車25およびバー17は横断方向の運動、すなわち垂直移動が可能となる。台車25は従属的支柱33を備えている。この支柱33は一方の側面34に沿って歯が形成されており、これにより別のラック35が形成される。プレート30は、モータ37に接続され、かつ、台車25を上昇および下降させるためのラック35に噛み合わされた別のピニオン36を支持する。ピストン装置(図示せず)も使用されてもよい。プレート30は室4の内壁38に取り付けられる。内壁38はモータ37を収容するように凹状(recessed)であってよい。ロボット14はバー17が内壁38と平行に走るように配置されている。バー17および台車25は室4の内壁38とミラー・アセンブリ13との間に配設されている。他方のピニオン36およびモータ37が室4の内壁38に取り付けられてよい。
【0033】
図4を参照すると、バー17および側部部材18は、バー17が上昇され、前方に伸長されたときにバー17および側部部材18が室4の内壁40の開口部39およびゲート弁7(図2)を通って交換室5(図2)に入るように、配置されている。ロボット14および室4、5は、バー17および側部部材18を下降させるために間隙41が存在するように構成されている。
【0034】
図5および6を参照すると、チャック8、側部部材18、ミラー・アセンブリ13、およびカセット棚15を示している。わかりやすいように、ミラー・ブロック13、13(図2)および基板9(図1)は省略している。
【0035】
チャック8は少なくとも3本の脚部42、43、44を備えている。
【0036】
ミラー・アセンブリ13は、そのベース13から直立した、脚部42、43、44を受ける(receive)3つのブロック45、46、47を備えている。したがって、チャック8がミラー・アセンブリ13に置かれると、脚部42、43、44は3つのブロック45、46、47上に位置する。これによってチャック・ベース8とミラー・アセンブリ・ベース13との間には側部部材18が入ることのできる間隙Sが生まれる。
【0037】
カセット棚15の各々は、側部部材18が上昇または下降されるときに棚15の平面を通過することのできる間隙Tの周囲のレッジを提供するように構成されている。各棚15は、チャック8が棚15を落とさないように、部分8、8、8などのチャック8の周辺部分を支持するように配置されている。これは、チャック8が位置する棚15の少なくとも3つの部分が、三角形(チャック8の質量中心(図示せず)がその上に存在している)(図示せず)の隅を形成するように、各棚15を形成することによって達成される。この場合、各カセット棚15は平面視において概ね「L」字形である。概ね「J」または「C」形などの他の構成が使用されてよい。棚15の各々は側部部材18の外周の部分Pの形状と相補的な形状を有する内周の部分Pを有する。各棚15は3本の脚部42、43、44を受ける2つの穴48、49を有している。このため、チャック8が棚15の上に置かれると、チャック・ベース8は棚15によって直接的に支持される。
【0038】
カセット棚15は中心間隙周囲にレッジを提供するように構成する必要はない。その代わり、チャック8の脚部42、43、44が棚15の上に位置するように、切欠きの無い棚(例えば矩形でありうる)が設けられてもよい。したがって、チャック8を拾い上げるか、または下ろすために、側部部材18は棚15とチャック8との間に挿入される。棚15は例えばミラー・アセンブリ13に類似する装置(arrangement)を用いて、脚部42、43、44を受ける直立したブロック(図示せず)を備えてよい。
【0039】
再び図2を参照すると、バー17および側部部材18は、チャック8をバー17の端部ではなく、すなわちバー17の前方ではなくバー17の側部に支持することができるように配置されている。ロボット14はカセット10とx−y位置決めステージ12およびミラー・アセンブリ13との間ではなく、x−y位置決めステージ12およびミラー・アセンブリ13の傍に全体的に配置されているので、チャック8を、ミラー・アセンブリ13から拾い上げ、かつ棚15に置きながらその間で回転させなくてよい。したがって、チャック8をロードおよびアンロードする工程は、バー17をその長手軸に沿って並進させ、かつバー17を上昇および下降させることによって完了され得る。さらに、ロボット14が占める空間は縮小されるので、より小さな室装置(smaller chamber arrangement)を使用することが可能となる。
【0040】
操作
バー17および側部部材18は、それが停止または静止し得る多数の位置を有することができ、この位置は、延長長さLに関して、および台車25を上昇させるか、または下降させるかに関して表現される。この位置を以下の表1にまとめた。
【0041】
【表1】

【0042】
表1では、L、L、L、Lは第2のリニア軸受27の端部からバー17の端部まで定められ、L>L≧L>Lである。L=0を使用することができるが、バー17を釣り合わせるように値L>0が使用されてよい。L=Lを使用することができ、この場合Lはレール20の長さからリニア軸受26、27の長さを引いたものであるが、バー17の釣り合いを保つようにL<Lが使用されてよい。
【0043】
長さLは、バー17および側部部材18がカセット10(図2)から引き出されてカセット10を上昇または下降させることができるように配置される。
【0044】
長さLは、バー17および側部部材18が主室4に入ったままで、かつゲート弁7を閉じることができるように配置される。また、長さLは、x−y位置決めステージ12(図2)が移動するときに、バー17および側部部材18がミラー・アセンブリ13の動きに干渉しないように、特にブロック45、46、47(図5および6)と衝突しないように配置される。
【0045】
図7a〜7eを参照すると、チャック8をミラー・アセンブリ13から拾い上げ、かつ棚15にチャック8を置く工程が示されている。
【0046】
一旦基板9(図1)が露光されると、チャック8をアンロードするために、x−y位置決めステージ12(図2)は、ミラー・アセンブリ13を「ロード」位置まで移動させる。側部部材18は、例えば図7aに示したように、チャック8の下の間隙S内に移動し始める。側部部材18はラック23およびピニオン28を介してモータ29(図3)によって駆動されるバー17を並進させることによって移動される。
【0047】
例えば図7bに示したように、一旦側部部材18がチャック8の下に移動されると、支持部材18は上昇し始める。側部部材18は、他方のラック35および他方のピニオン36を介してモータ37によって駆動される台車25(図3)を上げることによって上昇される。
【0048】
例えば図7cに示したように、側部部材18はチャック8のベース8と係合(engage)し、ミラー・アセンブリ13からチャック8を、側部部材18がブロック45、46、47から離れるまで、持ち上げる。まだ開いていない場合、ゲート弁7(図2)を開けてチャック8および基板9が通過できるようにする。次に、この支持部材18はカセット10(図2)に向かって移動し始める。
【0049】
例えば図7dに示したように、一旦チャック8が棚15上にかぶさる(hang over)ようにカセット10(図2)に到達すると、側部部材18は降下し始める。
【0050】
側部部材18が降下するとき、棚15はチャック8のベース8と係合する。したがって、側部部材18は例えば図7eに示したように、棚15の上にチャック8を残す。
【0051】
側部部材18が引き出される。カセット10(図2)は別の棚(図示せず)および別の基板(図示せず)を支持する別のチャック(図示せず)に接近するように上昇され得る。
【0052】
棚(図示せず)からチャック(図示せず)を拾い上げ、ミラー・アセンブリ13上にチャック(図示せず)を置く工程は、上記した移動の工程の順序および方法を逆にすることを含む。
【0053】
一旦チャック8および基板9が主室4内に入ると、ゲート弁7(図2)が閉じられてよい。
【0054】
図8を参照すると、チャックをロードおよびアンロードする工程はマイクロコンピュータ50の形態のコントローラによって制御される。
【0055】
マイクロコンピュータ50は、カセット・リフト機構16(図2)を駆動するモータ51と、ゲート弁7(図2)を空圧的に駆動する圧縮機52と、バー17(図3)を前後に駆動するモータ29(図3)と、台車25(図3)を上昇および下降させるモータ37とを制御する。
【0056】
マイクロコンピュータ50はバー17(図3)、台車25(図3)およびゲート弁7(図2)の位置を測定するためのセンサ53のセットから信号を受け取り得る。マイクロコンピュータ50はまた、x−y位置決めステージ12(図2)を駆動するためのステッピング・モータ(stepper motors)54、55も制御し、ミラー・アセンブリ13(図2)の位置を測定するための干渉計ユニット56からの信号を受け取る。マイクロコンピュータ50は交換室4を真空排気するとともに通気するための真空ポンプおよび弁57の動作も制御することができる。
【0057】
上記実施形態には多数の変形がなされてよいことが理解されよう。ロボットはチャックなしで基板を直接取り扱ってよい。ロボットはイオン・ビーム・システム内に基板をロードおよびアンロードしてよい。基板は、走査電子顕微鏡などの、電子またはイオン・ビーム分析機を用いて検査される試料であってよい。ロボットは基板を室内にロードしなくてよい。主室は乾燥空気または窒素を室内に送り届ける装置などの室内の環境を制御する手段を備えてよい。突出したレールは省かれてよく、バーはリニア軸受によって支持されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主室と、交換室と、前記主室の内部に設置され、前記主室の内および外へ基板をロードおよびアンロードするための基板取扱いデバイスとを備えた荷電粒子ビーム・システムであって、前記デバイスは、バーと、該バーから側方に延在し、前記基板を該バーの一方の側に支持するための側部部材と、該バーをその長手軸に沿って並進させるための手段とを含み、前記側部部材が前記交換室の内および外に移動可能であるように構成された、荷電粒子ビーム・システム。
【請求項2】
前記バーを並進させる手段は、前記バーから突出するレールを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記レールは前記バーに沿って走る請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記バーを並進させる手段は、前記レールを保持するリニア軸受のセットをさらに備える請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記バーは歯が付けられていてラックを成している前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記バーを並進させる手段は、前記ラックと噛み合うように配置されたピニオンをさらに備える請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ピニオンはモータに直接結合されている請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記デバイスは前記バーを支持する手段をさらに備えた前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記バーを並進させる手段は前記バーから突出するレールを含み、かつ前記バーを支持する手段は、前記レールを保持するためのリニア軸受のセットを含む請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記バーはラックを成すように歯が付けられており、かつ前記バーを支持する手段は前記ラックと噛み合うように配置されたピニオンを含む請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
横断軸に沿って前記バーを並進させる手段をさらに備えた前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
横断軸に沿って前記バーを並進させる前記手段は、前記バーを上昇および下降させる手段を備えた請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記側部部材は片持ち羽根の形態である前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記デバイスは室の内壁に設置されている前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記デバイスは、前記主室の内壁における開口部を通して、前記バーおよび前記側部部材を突出させるように構成されている前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記バーは実質的に水平である前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
複数の棚を有するカセットと協働するように構成された前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
少なくとも1つの棚を有するカセットと協働するように構成されており、前記棚は間隙の周囲にレッジを有し、前記デバイスは、基板を前記棚の上に置くか、または前記棚から拾い上げることができるように、前記側部部材が上昇または下降されるときに、前記側部部材が前記間隙を通過できるように構成されている前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項19】
前記基板は基板支持体によって支持され、かつ前記側部部材は前記基板支持体を支持するように構成された前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記基板は加工品である請求項1から19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記基板はウェハである請求項1から20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記基板はウェハ・チップである請求項1から20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記基板はベースを覆う少なくとも1つの層を含む請求項21または22に記載のシステム。
【請求項24】
前記基板は少なくとも2つの層を含んでおり、第1の層は、ベースを覆っており、かつ、第2の層は、該第1の層を覆っている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記1つの層はエピタキシャル層である請求項23または24に記載のシステム。
【請求項26】
前記基板はパタン化されている請求項21または22に記載のシステム。
【請求項27】
前記基板はマスク・ブランクである請求項1から20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記基板の表面はレジスト層で被覆された前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
前記基板は試料である請求項1から20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
複数のウェハを支持するカセットをさらに備えた前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
前記カセットは複数の棚を備えた請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記側部部材が、前記棚の平面を通って上昇または下降させられるときに通過することのできる間隙の周囲に、各棚が、レッジを提供するように構成されている請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
各棚の内周の一部分は前記側部部材の外周の一部分と相補的な形状を有する請求項31または32に記載のシステム。
【請求項34】
ウェハは個々のウェハ支持体によって支持される前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項35】
前記デバイスは、第1の位置において、前記室に含まれている、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項36】
前記室を真空排気する手段をさらに備えた前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項37】
前記室内の環境を制御する手段をさらに備えた前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項38】
荷電粒子ビーム・システム用の基板取扱いデバイスであって、該デバイスは、バーと、該バーの一方の側に基板を支持するために、該バーから側方に延在する側部部材と、該バーをその長手軸に沿って摺動的に移動させる手段とを備えた基板取扱いデバイス。
【請求項39】
荷電粒子ビーム・システム用の基板取扱いデバイスであって、該デバイスは、バーと、該バーの一方の側に基板を支持するための、該バーから側方に延在する側部部材とを備え、該バーは、その長手軸に沿って並進するように構成されている基板取扱いデバイス。
【請求項40】
バーと、該バーの一方の側に基板を支持するための、該バーから側方に延在する側部部材と、前記バーをその長手軸に沿って並進させる手段とを備えたデバイスを用いて、荷電粒子ビーム・システムにおいて基板を取り扱う方法であって、該方法はその長手軸に沿って前記バーを並進させることを含む方法。
【請求項41】
基板が拾い上げられるように前記バーを上昇させることをさらに含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
基板が置かれるように前記バーを下降させることをさらに含む請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
荷電粒子ビーム・システム用の基板取扱いデバイスであって、
該デバイスは、
バーと、該バーの一方の側に基板を支持するための、該バーから側方に延在する側部部材と、
前記バーをその長手軸に沿って並進させる手段と
を備えた基板取扱いデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−507116(P2008−507116A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516056(P2007−516056)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/GB2005/050067
【国際公開番号】WO2006/032930
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(505367394)ナノビーム リミテッド (4)
【Fターム(参考)】