説明

荷電粒子線を用いた試料検査方法および検査装置ならびに欠陥レビュー装置

【課題】周期性のある領域を簡易に且つ精密に設定することが困難であり、検査時に領域に対する位置ずれで誤検出が発生する場合がある。
【解決手段】ストライプ状に電子線画像を連続して取得し、画像の明るさ変化より領域情報を設定あるいは補正することで精密に帯電等の影響も含めた領域情報を設定することができるようになる。
【効果】簡易,短時間に精密に領域を設定でき、領域情報と画像との位置ずれによる誤検出を低減でき、検査結果の信頼性,安定性が向上するため、高感度検査が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置や液晶、あるいはフォトマスク等の微細な回路パターンを有する基板製造方法及び装置に係わり、特に半導体装置製造過程途中のウエハ上のパターンに対して電子線を使用して検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの検査を一例として説明する。
【0003】
半導体装置は、半導体装置やウエハ上に主にフォトマスク上に形成されたパターンをリソグラフィー処理およびエッチング処理により転写する工程を繰返すことにより製造される。半導体装置の製造過程において、リソグラフィー処理やエッチング処理その他各種加工処理の良否,異物発生等は、半導体装置の歩留まりに大きく影響を及ぼすため、異常や不良発生を早期にあるいは事前に検知して製造プロセスへフィードバックする必要がある。このため、光学式あるいは電子線式の外観検査装置を用いて、製造過程の半導体ウエハ上のパターンの欠陥あるいは異物の存在箇所を検出することは従来から実施されている。
【0004】
また、欠陥のレビューを目的としたSEM(走査電子顕微鏡;以下レビューSEMと呼ぶ)や半導体の寸法計測を目的としたSEM(以下、測長SEMと呼ぶ)などといった観察装置あるいは計測装置を用いた製造プロセスのモニタリングも従来から行われているが、半導体装置の微細化に伴い、これらの装置にも欠陥の有無を検査する機能が搭載されるようになってきている。
【0005】
上述の電子線式の外観検査装置(以下、検査SEMと略)やレビューSEMあるいは測長SEMといった電子線を用いた検査・計測においては、光学画像を用いた検査・計測と比較して、より微細な回路パターン上の微小異物や欠陥の検出が可能である。加えて、取得画像の電位コントラストに含まれる情報から、試料の表面や下層で発生した回路パターンの導通・非導通,配線やトランジスタのショート等といった電気特性欠陥を検出することが可能である。ここで、電位コントラストとは、電子線照射による試料帯電の影響で、試料の表面電位の差が検出器に到達する二次電子量に反映されることにより形成される。
【0006】
半導体装置上に形成される回路パターンは、基本的な単位構造を持つパターンが周期的に配列された構造を有している場合が多い。上記の検査装置は、同じ単位構造の画像同士を比較、あるいはある単位構造の画像を適当な参照画像と比較することで、欠陥の有無を判定する。例えば、比較単位がメモリセルである場合には隣接するメモリセルパターン同士で比較し、ダイである場合には隣接するダイ同士で比較を行う。
【0007】
電子線式の検査装置のような高分解能な画像を用いた検査のメリットを生かすためには、比較単位が配置されている領域、例えばメモリセルであればメモリマット領域を精密に領域設定する必要がある。例えばDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)の場合、メモリ領域が非常に多く、メモリセルマットは細かく分割され、数千から数万箇所と膨大な数になるため、装置のオペレータが、全部のメモリマットを画像上で目視確認しながら領域設定することは事実上不可能である。
【0008】
そこで従来、検査条件設定時に、装置のオペレータが、検査したい製品および工程のウエハを1枚選び、さらにそのウエハ内の1ダイを選び、メモリセルマットの光学顕微鏡画像をGUIに表示させ、メモリセルマットコーナーを光学顕微鏡画像上で指定し、検査装置が、指定されたコーナーの位置情報を用いてメモリマットの配列を計算し、これを他のメモリマットに展開することにより、検査領域を設定している。
【0009】
検査領域の設定に関する先行文献として、例えば、特許文献1には、半導体装置上の1つのチップ画像を取得し、装置オペレータが画像上で繰り返しパターン領域とランダムパターン領域を指定することにより、繰り返しパターン領域とランダムパターン領域を設定し、残りのチップについては、設定された領域情報をコピーすることにより検査領域が設定される機能を備えた光学式ウエハ検査装置が記載されている。
【0010】
また、特許文献2には、複数のメモリセルを含む領域のストライプ画像を取得し、ストライプの濃淡からメモリセル領域と非メモリセル領域を自動検出する機能を備えた光学式ウエハ検査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−313861号公報
【特許文献2】特開2008−58124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献2に記載の発明では、検査レシピ設定時にメモリセル領域の画像濃淡から領域に関する情報を取得している。しかしながら、微細化が進んだ近年の半導体装置に対して領域設定を行うためには、光学画像では分解能が不足である。
【0013】
加えて、検査装置の対象物である回路パターンは、近年ではランダムな不良発生に備えて冗長ビットを追加したレイアウトになっていることが多く、比較単位が全て同一サイズあるいは全て同一ピッチで配列されているとは限らない場合が多い。
【0014】
回路パターン中の比較単位の配列情報は、半導体装置の設計データが利用できれば算出可能であるが、検査装置が設置される半導体装置や液晶装置の製造ラインでは、設計データ情報が利用できない場合が多い。従って、検査対象のもつ周期構造、つまり比較単位の配列構造を特定し、領域設定を完了するまでに膨大な時間を要しているという問題がある。
【0015】
本発明の目的は、上記課題を解決し、半導体装置や液晶、あるいはフォトマスクといった回路パターンが形成された基板において、比較検査を行う際の比較単位の配列に関する情報を精密に取得し、検査対象領域を精密に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では、電子線式検査装置において、複数の比較単位が含まれるストライプ状の画像を取得し、画像の濃淡変化情報を用いて、検査対象中の比較単位の配列に関する情報、たとえば比較単位のサイズ、配列ピッチなどの情報を求め、これらの配列に関する情報を用いて検査対象の領域設定を実行することにより上記課題を解決する。上記の領域設定のために使用する画像は、比較単位の配列が画像で認識できる倍率あるいは検査と同じ倍率で取得することが好ましい。また、この領域設定は、好ましくは本検査開始前の検査条件設定時に行う。
【0017】
上記の領域設定時に取得した配列に関する情報を本検査時の検査領域モニタに使用することも可能である。電子線式検査装置の場合、検査中の帯電変化やウエハの温度変化により、電子ビームが、本来意図している照射領域からシフトする場合がある。
【0018】
上記の配列情報を用いると、現在電子ビームがどの位置の比較単位に照射されているかを推定することが可能である。上記の配列情報から推定される現在の撮像位置での比較単位の境界情報と、本検査時に順次取得される画像から得られる比較単位の境界情報とを比較することにより、領域情報がずれているかどうかをモニタすることができる。これにより、検査条件の設定時に設定した領域に対して、電子ビームを照射箇所がシフトしてしまった場合にも、シフト量を把握することが可能となる。把握されたシフト量は、適当な方法で検査にフィードバックされる。
【発明の効果】
【0019】
短時間で精密に検査領域を設定できるようになるため、検査時の感度および精度が向上するとともに、検査条件(レシピ)を設定する時間も短縮できる。かつ、レシピ設定者のスキルによらず所望の設定を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の装置構成を示す図。
【図2】被検査ウエハの回路パターン配列を示す図。
【図3】レシピ設定のフローを示す図。
【図4】メモリセル領域設定の操作画面例を示す図。
【図5】メモリセル領域設定の操作画面例を示す図。
【図6】取得された電子線画像を示す図。
【図7】帯電による電子ビーム照射位置シフトの様子を示す図。
【図8】複数ダイでの電子線画像取得の一例を示す図。
【図9】既に設定された領域情報と電子線画像から求めた領域方法の差分を示す図。
【図10】検査中の電子線画像取得方法を示す図。
【図11】レビューSEMでのメモリセル領域情報補正方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例の検査方法、および装置の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
(実施例1)
本実施例では、ウエハ上に形成された半導体装置の回路パターンについて、電子線を用いて欠陥の有無を検査する方法および検査装置について記載する。
【0023】
本実施例における回路パターン検査装置の構成を図1に示す。本装置は、電子光学系,ステージ機構系,ウエハ搬送系,真空排気系,制御系,画像処理系,操作部より構成されている。
【0024】
電子光学系は、電子銃101,引き出し電極102,コンデンサレンズ103,絞り104,上段偏向器105,下段偏向器106,ExB偏向器107,対物レンズ108,帯電制御電極109,高さセンサ110,プリチャージユニット111,シールド電極112,検出器117,プリアンプ118,AD変換器119などより構成され、所定の電子光学鏡筒内に保持される。
【0025】
ステージ機構系は、XYステージ115,116、絶縁層,ウエハを載置するための部材(本実施例ではホルダ)114、ホルダおよびウエハにゼロまたは負の電圧を印加するためのリターディング電源、ホルダに流れる電流を測定する電流計より構成されている。XYステージには、レーザ測長による位置検出器が取り付けられている。
【0026】
制御系は、対物レンズ制御部130,信号検出系制御部129,ビーム偏向補正制御部128,電子光学系制御部127,ステージ制御部131、およびこれらを統括制御する全体制御部126により構成されている。
【0027】
画像処理系は、信号処理部136,第一の画像メモリ120,第二の画像メモリ121,比較演算部122,欠陥判定部123,検査画像処理部125により構成され、図1では点線の四角で囲まれた領域として表現されている。操作部124はコンピュータであって、操作のためのGUIや検査結果が表示される操作画面やマウス,キーボードといった操作手段のほか、GUI表示される画像データを格納するメモリ(画像・検査データ保存部)や検査条件設定のために必要な各種の演算処理を実行するプロセッサを含んで構成されている。
【0028】
本実施例では、ウエハ113を載置する部材としてホルダを用いているが、その他の試料台,チャック等でも同様である。
【0029】
その他、本実施例の検査装置は被検査試料の光学顕微鏡画像を取得する光学顕微鏡ユニット134を備える。光学顕微鏡ユニット134の出力信号はAD変換器135に入力され、検出器117の出力信号と同様に処理される。図示はされていないが、光学顕微鏡ユニット134は全体制御部126と信号線で結線されており、他の構成要素と同様に、全体制御部126により制御される。なお光学顕微鏡ユニット134としては明視野式顕微鏡が使用されるが、明視野式顕微鏡に加えて暗視野式顕微鏡の機能を備えていてもよい。
【0030】
次に本実施例で検査する被検査ウエハ上に形成されたパターンレイアウトの一例を図2(1)〜(5)を用いて説明する。本実施例では、DRAM製品を検査する場合について記載するが、他の種類の製品についても同様である。
【0031】
ウエハ113上には、露光時のショット単位に同じパターン201が形成されている(図2(1))。製品によっては、ショットの内部が複数のダイ単位に分割されており、各々のダイ202は同じパターン配列になっている(図2(2))。
【0032】
ダイの内部は、例えば大きく4つのブロック203に分割されており、ブロックの間には比較的パターンの密度が少ない帯状の領域が存在する(図2(3))。一つのブロック203を拡大すると、細かいメモリセルマット204が規則的に配置されている(図2(4))。各々のメモリセルマット204は、ほぼ同じサイズのものが配列されているが、場合によっては幅の異なるものも存在する。例えば、図2(4)では、メモリセルマット204の横方向のサイズは、左端がd1、次に二つd2のものが続き、左から4つめはd3と異なるサイズだが5つめは再びd2となる。縦方向についても、一番上から3つはd4のサイズであるが、4つめはd5と異なるサイズであり、5つめは再びサイズd4となっている。サイズの差は数ミクロンと小さく、画像の目視だけでサイズの差を認識することは困難である。また、ブロックの端列は、メモリ製品の場合冗長回路として使われるため、その他のセルマット領域と異なる幅になっていることがある。
【0033】
このメモリセルマットをさらに拡大すると、図2(5)中に丸印で示されるような周期性のあるパターンが細かく配列されている。このようなパターンは、メモリセルのような回路の構成単位の場合もあれば、コンタクトホールやビアホール、あるいはプラグといった回路の構成物の場合もある。半導体装置メモリパターンの繰り返し性は、通常nmオーダーからμmオーダーであり、縦方向,横方向とも独立に繰り返しピッチP1およびP2が存在する(図2(5))。検査を行う際には、上記の繰り返しピッチやメモリマットセル寸法といった比較単位の配列に関する情報を正確に把握することが必要となる。
【0034】
半導体の検査時には、隣接する同等の回路パターン同士を比較し、欠陥の有無を判定する。検査で使用する比較単位がダイであれば、隣接するダイ202同士を比較する(ダイ比較)。比較単位がメモリセルであれば、隣接するメモリセル205同士を比較する(セル比較)。ダイ比較の比較ピッチはmmオーダーであり、一方セル比較の比較ピッチはnmあるいはμmオーダーである。
【0035】
比較先が近いセル比較の方が、位置の誤差も少なく、電子線画像の画質ばらつき(明るさやコントラスト等)も少ないため、一般的にダイ比較よりも高感度に欠陥を検出することができる。そのため、一般的にはダイの中にメモリセル領域を設定し、メモリセル領域は高感度に検査できるセル比較、それ以外はダイ比較で検査する場合が多い。特に、メモリ製品では、検査する工程によってはメモリセル領域のみに最表面のパターンが形成され、それ以外はパターンが形成されていない場合もあり、このような場合にはメモリセル部のみをセル比較で検査する。
【0036】
図1に示した検査装置で検査条件を設定するフローを図3に示す。検査で使用する比較単位としては、ダイおよびメモリセルを想定している。検査条件設定では、まずウエハを装置内にロードする(301)。プリチャージ条件を設定し(302)、検査時の照射電子ビームの光学条件を設定し(303)、被検査ウエハに形成された被検査パターンにおいて焦点を合わせ、被検査ウエハ上に配置されたショットおよびダイのレイアウト情報を設定する(304)。次に、ウエハの回転,倍率,直交度を調整するためのアライメント用パターンの位置を登録し、その後アライメントを実行する(305)。次に、設定されたダイレイアウトから、一つのダイを選択し、メモリセル領域を設定する(306)。さらに、同様にダイ比較として検査する領域を設定する(307)。その後、検査時の画像の明るさおよびコントラストを調整するパラメータを設定し、実際に明るさおよびコントラストを所望の状態に調整する(308)。この状態で、欠陥を検出するための各種画像処理条件を設定し(309)、テストランとして検査を実行(310)し、欠陥と画像ばらつき(誤検出)を遠別するための画像処理条件をさらに詳細に設定し、最終的に検査するダイおよび検査するダイ内の領域を選択し(311)、結果を保存する(312)。このまま続けて実際に検査を実行し、結果をレビューして欠陥の分類や欠陥の画像保存を実行する場合もある。
【0037】
上記フローの中で、メモリセル領域を設定する実施例を以下に記載する。図4は、図3に示した検査レシピ作成フローを実行するためのレシピ作成画面の模式図であり、上記図3で示した検査条件設定フローの中のメモリセル領域の設定(図3のステップ306)画面を表示させた場合に対応している。このGUI画面は、操作部124に含まれるディスプレイ上に表示され、図3の各ステップの設定画面は、タグ302〜310を切替えることにより表示を切替えることができる。
【0038】
まず、図3のステップ305の終了後、全体制御部126は、ステージ制御部131と光学顕微鏡ユニット134を制御し、選択されたダイ中の適当なメモリセルを撮像する。撮像倍率は、1ブロック分のメモリセルマットが視野に納まる程度に、装置使用者により適当に調整される。撮像された光学顕微鏡画像は、図4の画面左側に低倍率画像401として表示される。
【0039】
装置使用者は、図4の下側に矢印で示されるポインタを操作し、光学顕微鏡の低倍率画像401上で、一つのメモリセルマットの対角コーナー(C1,C2)を選択する。選択動作は、ポインタを低倍率画像401上のC1,C2の位置にポインタを移動させることにより行われる。これにより、一つのメモリセルマットのサイズが検査装置に入力される。次に、一つ先のセルマットのコーナー(C3)を選択する。これにより、セルマット間のピッチ間隔が設定される。そして、セルブロックの一番下のセルマットコーナー(C4)を選択することで、同じ間隔のマットの個数が入力され、縦方向のセルマット配列が決まる。同様の操作を横方向にも実施し、横方向の配列を決める。選択されたセルマットコーナーの情報やメモリセルマットのサイズ情報といった配列情報は、操作部124に入力される。
【0040】
1ブロック分のメモリセルマットの配列情報が入力されると、操作部124は、ブロック内の配列情報をグループ化し、コピーし、他のブロックのコーナーに展開する。これを繰り返すことで、光学顕微鏡画像で認識できる精度での大まかな領域情報が設定される。
【0041】
しかし、前述のように、光学顕微鏡画像では精度が足りず、また、セルマットサイズが異なる箇所には対応できない。そこで装置使用者が、図4に示される「SEM画像ボタン」をクリックすると、全体制御部126がステージ制御部131,電子光学系,画像処理系を制御し、セルマットの端部が含まれる領域を1ダイ分横方向にスキャンし、取得画像をGUI上に表示する。画像の撮像条件は、図3のステップ302,303で設定された通り、テストラン検査あるいは本検査と同じである。図5には、全体制御部126によるSEM画像の撮像後のGUI画面を示す。撮像されたSEM画像がストライプ501として、光学顕微鏡画像に重ねて表示されている。ストライプ501の画像は操作部124に備えられたメモリに一時保存される。
【0042】
図6には、一時保存されたストライプ画像601および画像プロファイル(明るさプロファイル602)の1つを示す。この明るさプロファイル602は、ストライプ画像601のX方向(図6の紙面左右方向)の画像信号強度プロファイルであり、ストライプ画像を構成する画素の輝度値を適当なスケール(例えば256階調)の階調値に変換し、GUI画面上でX方向にプロットすることにより得られる。明るさプロファイル602を生成する画素データとしては、装置使用者のポインタ操作により、ストライプ画像601から任意のプロファイルを選択することができる。あるいは、ストライプ画像601を構成する画素データをX方向またはY方向に1ストライプ分平均化した平均化プロファイルを明るさプロファイル602として表示させても良い。以上説明した明るさプロファイル602の生成処理は、操作部124に備えられたプロセッサにより実行される。
【0043】
メモリセル(あるいはメモリセルマット)が存在する箇所は、パターンが無いあるいは疎な箇所と比べ、平均的な明るさが大きく変わる。操作部124内のプロセッサは、明るさプロファイル602のレベル変化を検出することにより明るさが変わる箇所を検知する。そして、検知した明るさの変化箇所の情報から、ストライプ画像601を構成する画素のうちいずれの画素がメモリセルあるいはメモリセルマットの境界に相当するかを算出し、上記光学顕微鏡画像で求めたメモリセルマット配列情報の位置を精密に補正する。これにより、実際のSEM画像上で検査領域がストライプ内のどの位置に存在するかが算出される。検査対象が冗長ビットを含むメモリセル構造をもつ場合、この算出過程は、サイズや配列ピッチが不規則なメモリセルの配列周期(原理的には比較単位の配列周期)を算出していることにほかならない。
【0044】
明るさプロファイル602のレベル変化位置は、隣接プロファイル間(例えば、図6のプロファイルであればY方向に隣接するプロファイル)で若干変動する可能性があるため、画素情報から求めたメモリセルあるいはメモリセルマットの境界は、画素サイズのレベルでディザ(境界が直線状にならずギザギザ状になること)が生じる場合がある。その場合には、操作部124内のプロセッサは隣接プロファイル間で境界位置の平均化を行って、メモリセルあるいはメモリセルマット境界が直線となるように補正してもよい。
【0045】
以上説明したX方向へのスキャンと同様なスキャンを縦方向(Y方向)にも実行し、同様の領域設定処理を実施することで、縦方向と横方向の精密な位置情報を入力することができる。なお、上記光学顕微鏡で事前にコーナーを選択する工程は省略してもかまわない。
【0046】
補正後のメモリセルマット配列情報は、領域情報として操作部124内のメモリに登録され、その後全体制御部126に送信される。
【0047】
明るさプロファイル602のレベル変化検出方法としては、たとえば、明るさの閾値603より明るい箇所と暗い箇所の反転する箇所を認識する方法や、明るさプロファイルの強度微分により明るさ変化ポイント604を求める方法などがある。また、登録された領域と保存されたSEM画像をGUI画面上で重ねて表示(605)すれば、装置使用者が設定された領域が正しいかどうかを目視確認することができる。図6の例では、設定された領域情報が1つのメモリセルを囲む四角として、保存画像に重ねて表示されている。
【0048】
以上説明した構成により、被検査パターンが検査時と類似の帯電状態で領域の設定が可能になる。縦方向と横方向の両方について画像を取得すれば、縦方向にも横方向にも不規則な配列があっても検知できる。
【0049】
また、以上説明したような、実際に検査と同じ光学条件で電子線画像を取得し、その画像情報から領域を求めることにより、以下のような副次的な効果が得られる。
【0050】
電子ビームは検査時すなわち画像取得時に試料を帯電させる性質がある。そのため、比較的帯電しやすい材料・構造と比較的帯電しにくい材料・構造が試料にあると、帯電の影響で電子ビームの照射位置がシフトしてしまう場合がある。
【0051】
図7に、被検査パターン回路の配列断面と、ビームドリフトの様子を示す。例えば半導体メモリ製品の場合、ダイとダイの間にシリコン酸化膜701の領域が存在し、その隣にメモリセルブロック702が存在すると、パターンの疎なシリコン酸化膜の方が帯電しやすいため、例えば図7(1)に示すようにプラスに帯電(703)するとビーム704は帯電電位が変化する境界部にてプラス帯電側に曲がる場合があり、逆に図7(2)に示すようにマイナスに帯電(705)するとビーム704は帯電していない側に曲がる場合がある。このような特性により電子ビーム照射位置がシフトすると、物理的な回路パターン位置とずれて画像を取得してしまう可能性がある。従って、本実施例にて記載しているように、実際に検査と同じ光学条件で電子線画像を取得し、その画像情報から領域を求めることにより、位置がシフトしてしまうことによる誤検出をなくすことができる。
【0052】
なお、本実施例では、検査の比較単位の配列を粗設定するための低倍率画像として光学顕微鏡画像を、粗設定された配列をより微細に補正するための高倍率画像としてSEMを使用したが、他の撮像手段を用いることもできる。例えば、低倍率画像を撮像するための第1撮像手段として光学顕微鏡を、高倍率画像を撮像する第2撮像手段としてイオン顕微鏡を用いてもよい。すなわち、画像分解能の異なる複数の撮像手段を備えた検査装置あるいは欠陥観察装置であれば、本実施例の構成は撮像手段の種類を問わず有効である。
【0053】
以上、本実施例により、検査と同様の動作で画像を数ストライプ取得し、この画像より検査領域情報を自動的に認識し設定できるようになるため、未知のレイアウトの半導体装置、特にメモリ製品の領域を設定する時間を短時間にすることができる。また、高分解能な電子線画像を用いての領域設定なので、領域の精度が向上する。検査時と同じ帯電状態を形成し画像を取得することで、チップ内のパターン配列による帯電の影響も加味した状態で領域を設定することができるため、電子線特有の帯電による領域シフトを回避することができる。
【0054】
(実施例2)
第二の実施例は、第一の実施例で記載したメモリセル領域設定をさらに精密にするための方法について記載している。装置の全体構成は、実施例1と同様であるので、以下の説明では、実施例1で説明した図面を引用する。
【0055】
第一の実施例では、被検査ウエハ内の一つのダイを選択して縦方向および横方向に各々ストライプ状の1ダイ分の画像を取得し、その画像の明るさ変化を検知することで領域端部を認識し、領域情報とする方法について説明した。しかしながら、これはウエハ内の1ダイについての情報であり、例えば12インチのウエハ全面では特にウエハの外周部でウエハを載置したホルダとの段差や隙間,微妙なウエハの高さ変動,反りの影響、また、パターン配列の規則性が変化する影響でビーム位置がシフト(ドリフト)する場合がある。ドリフトが発生すると所望領域でない箇所の画像を検査領域として取得してしまい、その場所を欠陥として誤検出するという問題がある。
【0056】
そのため、セル領域設定の画面にて、縦方向および横方向に1回あるいは数回に分けて、1ストライプ分の画像を取得し、取得時に一時保存された画像より、メモリセルマット領域のずれ量を求め、この量をチップ毎あるいはチップ内セルマット毎にオフセット量として保存し、他のダイについては補間した数値を求め、実際に検査を実施する場合に検査領域をオフセット分ずらして設定するようにした。
【0057】
以下、装置の具体動作について説明する。
【0058】
まず、第一の実施例と同じ要領で検査レシピを作成する。その後、装置使用者は、GUI上に、図5に示される「セル領域入力」画面を呼び出す。図面左側の「領域情報画面」下側に表示される「ウエハ表示ボタン」をクリックすると、領域情報画面にウエハの全体図(以下、ウエハマップと称する)がダイレイアウトとともに表示され、ポインタ操作によりウエハマップ上でストライプ画像の取得領域を設定することが可能となる。装置使用者がストライプ画像を取得する領域をウエハマップ上で設定し、「ストライプ画像取得Xボタン」あるいは「ストライプ画像取得Yボタン」をクリックすると、全体制御部126が、ステージ制御部131,電子光学系,画像処理系を制御し、設定領域分のスキャンを開始し、ストライプ画像を取得する。取得方法は、第一の実施例の図5で説明したと同じ方法である。
【0059】
図8には、図5に示されるウエハマップ上で、ストライプ801〜806と6本のストライプ画像の撮像を指示した例を示す。
【0060】
次に、ストライプ画像に含まれるダイの各メモリセルマットについて、実施例1の説明と同じ要領でメモリセルマットの配列情報を求め、レシピ設定された配列情報とのずれ量を求める。ずれ量の算出は、撮像されたストライプ画像全てについて行われる。
【0061】
ストライプ801から算出されたずれ量のダイ・メモリマット位置に対する変化(以下、ずれ量プロファイルと称する)を図9に示す。図中に示される一点鎖線は、検査領域のオフセット補正が必要になるずれ量を示す閾値であり、閾値以上のずれ量が発生する領域については、補正が必要となる。閾値は、例えば操作部124内のメモリに格納され、ずれ量の算出時にプロセッサにより参照される。図9の場合は、グラフの左側、つまりストライプ801の左端に相当するウエハの端部領域でずれ量が大きくなっている。
【0062】
次に、操作部124内のプロセッサは、横方向のストライプ801〜803から得られるずれ量を合成して、ダイレイアウトの一端と、該一端と対向する側の端部とを結ぶずれ量プロファイルを生成する。図8に示す例では、ストライプ801の左端とストライプ803の右端を結ぶXずれ量プロファイルと、ストライプ804の上端とストライプ806の下端を結ぶYずれ量プロファイルを生成する。ずれ量プロファイルが存在しない領域については、線形補間を行う。
【0063】
その後、Xずれ量プロファイルとYずれ量プロファイルを用いて、適当な回転補間演算を行い、ウエハ全面に対するずれ量の分布を計算する。回転補間演算としては、最二乗法やスプライン補間などが使用される。更に、操作部124内のプロセッサは、計算されたずれ量の分布データとダイのレイアウト情報およびチップ内セルマット情報とを比較して、各ダイあるいは各メモリマットに対するずれ量を算出する。算出されたずれ量は、ダイIDあるいはメモリマットIDとともに全体制御部126に送信され、電子ビーム照射位置制御時のオフセット情報として使用される。
【0064】
これにより、ウエハ面内でビームシフトがあった場合でも、検査領域情報にオフセットを追加し、セル比較検査を実行開始するフラグを出す信号のタイミングを調整することで、ウエハ内の位置による領域ずれ起因の誤検出をなくすことができる。
【0065】
なお、本実施例では、ストライプを6本指定してストライプ画像を取得したが、指定本数が多いほどずれ補正の精度は向上する。また、ストライプ801〜803あるいはストライプ804〜806といったようにストライプを分けて指定せずに、最初からダイレイアウトの端部と端部を結ぶような長いストライプを指定してもよい。
【0066】
以上、本実施例では、ウエハ上にレイアウトされたチップ配列の縦一列および横一列について各々ストライプ上の画像を取得し、ウエハ面内のマクロな領域情報を取得し、面内の帯電や電界によるビーム照射位置のずれ情報も取得することができる。さらに、このシフト量を、例えば次のダイを検査する際のステージ位置あるいはウエハ位置とビーム照射する位置の関係に対して補正することにより、帯電や温度変化による取得位置ずれを回避することができ、これによる誤検出を低減できるようになる。
【0067】
(実施例3)
実施例3では、検査条件設定ではなく、検査時にメモリセル領域情報をモニタすることで、ビーム位置シフト量の経時変化に対応する方法について記載する。実施例2と同様、装置の全体構成は実施例1と同様であるので、以下の説明では、実施例1で説明した図面を引用する。
【0068】
図10に、ウエハ上をビームが走査し検査するスキャン方法を示す。ビームはおおよそ一軸方向に走査し、同時にステージが移動しながら連続して画像を取得し、ウエハ内所定の領域を検査していく。検査は、検査領域の設定によっては数十分から数時間以上になる場合がある。このように、長時間連続して検査を実行していると、ウエハ全体に帯電が蓄積されていく。またビーム照射によりウエハの温度が数度上昇する場合がある。
【0069】
このように時間とともにウエハの状態が変わると、その影響でビーム照射位置がシフトする場合がある。このシフト量は、ウエハ全体の帯電や温度により変わるため、検査開始時と数時間経過後ではシフト量が変化する。よって、実施例1および実施例2に示した検査装置あるいは検査方法を用いても検査領域がずれてしまい、誤検出が発生する場合があった。
【0070】
そのため、本実施例では検査実行中に連続して取得した画像を用いて、メモリセル領域端部情報を認識するようにした。
【0071】
図1に示すように、検査時に連続して電子ビーム132を照射しながら、検出器117の出力信号を第一の画像メモリ120および第二の画像メモリ121に保存していく。各画像メモリに入った画像は比較演算部122に送信され、欠陥検出が行われるが、本実施例では並行して検査画像処理部125にも送信される。検査画像処理部125は、検査画像のレベル変化からメモリセルの境界を検知し、全体制御部126に送られる。全体制御部126では、実際に実施例1および実施例2の方法で設定されたメモリセル領域と検査中のメモリセルマット端部の情報を比較してずれ量を算出する。ずれ量が一定値以上になったら、全体制御部126は、電子ビーム照射偏向位置の補正あるいは領域情報のオフセット追加のいずれかの方法を用いて、設定された検査領域と実際に電子ビーム照射で画像取得する位置の関係を逐次補正する。
【0072】
補正の方法としては、現在ずれ量が算出された次のセルマットの位置にかける方法,1チップ先に補正値を追加する方法,1ストライプ先に補正値を追加する方法のいずれかを設定することができ、いずれも全体制御部126がビーム偏向補正制御部128を制御して実行される。本実施例の検査中の検査領域補正を行うか行わないかは、検査条件レシピの中で設定することができる。これにより、帯電変化や温度変化による経時的な変動に対しても領域ずれを回避することが可能となる。
【0073】
以上、本実施例では、検査時に連続的に画像を取得しながら、その取得した画像より領域端部情報を得て、この領域端部情報と実際の検査領域情報のずれ量を次のダイあるいは次のストライプで画像を取得する際に電子ビーム照射位置を補正するのに使うことで、帯電やウエハ温度起因の経時的変化の影響も回避することができるようになる。
【0074】
その結果、レシピ作成が簡便になるだけでなく、検査時の領域ずれをなくすことができ、検査条件設定範囲の尤度、検査領域設定範囲の尤度が増すとともに長時間安定な検査ができるようになり、誤検出を低減することができるようになる。その結果、検査結果の信頼性が向上し、高感度検査を安定して適用できるようになる。
【0075】
(実施例4)
本実施例ではレビューSEMで所望の箇所を画像取得し検査する場合の領域設定および補正方法について記載する。ここではレビューSEMの例について記載するが、撮像装置が測長SEMの場合でも同様である。本実施例はレビューSEMの実施例であるが、装置の全体構成は図1と共通する部分が多いので、以下の説明では図1を適宜引用する。
【0076】
図11に、本実施例のレシピ設定フローを示す。最初に照射する電子ビーム光学条件を設定し(1101)、ウエハを試料室にロードする(1102)。基本の図2(1)(2)に示すパターンのレイアウトを入力しショットあるいはダイ配列を予め設定する(1103)。次にウエハの回転,倍率,直交度を補正するためのアライメントマークを登録し、アライメントを実行する(1104)。その後、他装置で設定されたメモリセル情報をダウンロードする(1105)。ウエハ内の1ダイを選択し、メモリセルブロック位置とアライメントマークのオフセット値を補正する(1106)。
【0077】
その後、装置使用者は、図4または図5に類似したGUI画面を操作部124のディスプレイ上に呼び出し、ポインタ操作により検査したい箇所を指定する(1107)。検査箇所の指定は、例えばGUI上に表示されたメモリセルマットの画像をポインタで指定、あるいはメモリセルマットを枠で囲むなどの動作により指定する。検査箇所が指定されると、操作部124は、指定箇所の周囲のメモリセルマットコーナー数箇所について、位置情報を全体制御部126に送信し、全体制御部126は、送信された位置情報に従ってステージ制御部131と電子光学系を制御してSEM画像を取得する(1108)。取得したSEM画像の画像データは、信号処理部136を介して操作部124に伝送され、操作部124のプロセッサは、画像の明るさ変化を検知して検査領域情報を補正する。各メモリマットに対する補正量、すなわちずれ量は、メモリマットIDあるいはメモリマットの位置情報と対応付けられ、補正テーブルとして操作部124内のメモリに格納される。
【0078】
同様に、ウエハ面内の数チップについても、SEM画像を取得してウエハ面内位置での領域ずれも補正することができる。さらに、ウエハ中央数箇所およびウエハ外周の数箇所を選択した場合、実施例2と同じ要領でビームシフトによるずれ量のウエハ面内分布を推定することが可能となる。これにより、ウエハ面内の電界や反りによるビームシフトの影響をオフセット値としてもち、実際に検査で画像を取得する際に補正できるようになる。以上計算された複数ダイに対するずれ量の補正値は、チップID(あるいはダイID)と対応付けられ、補正テーブルとして操作部124内のメモリに格納される。
【0079】
上述のメモリセル補正テーブルあるいはダイ補正テーブルは、ファイルとして操作部124に設けられた二次記憶装置に保存され(1110)、検査時の領域情報にフィードバックされる。欠陥を認識するための画像処理条件を設定し(1111)、実際に検査性能を確認するためのテストランを実施し(1112)、結果がよければレシピファイルを保存し(1113)、レシピ作成を終了する。
【0080】
以上説明した各種実施例の方法および装置により、比較検査時の比較単位の領域設定を従来よりも格段に精度よく実行できるようになる。且つ、ウエハ面内や経時変化でのビーム照射位置シフトによる誤検出(虚報)を少なくした結果を出力することができるようになった。その結果、微細な半導体装置のパターンについても高感度高精度で結果を出せるようになり、検査結果の信頼性を向上することができるようになる。
【0081】
このように半導体装置の帯電を活用したパターン(例えばコンタクトホール工程)を高感度・高精度に検査する技術を提供することにより、製造過程において重要である配線工程の不良内容を早期に検知でき、且つ対策を実施するために必要な欠陥位置やサイズの情報を検査と同時に取得できるため、対策までのTATが短縮でき、結果として半導体の歩留まり向上や生産性を高めることに寄与できる。
【0082】
以上、本発明の代表的な装置の構成および、検査方法について、具体的な検査のフローおよび各部の作用,検査条件を決定するための操作画面、そして、検査および検査条件設定の操作方法の実施例について説明してきたが、本発明の範囲を逸脱しない範囲で請求項目に掲げた複数の特徴を組み合わせた検査方法および検査装置についても可能である。
【符号の説明】
【0083】
101 電子銃
102 引き出し電極
103 コンデンサレンズ
104 絞り
105 上段偏向器
106 下段偏向器
107 ExB偏向器
108 対物レンズ
109 帯電制御電極
110 高さセンサ
111 プリチャージユニット
112 シールド電極
113 ウエハ
114 ホルダ
115,116 XYステージ
117 検出器
118 プリアンプ
119,135 AD変換器
120 第一の画像メモリ
121 第二の画像メモリ
122 比較演算部
123 欠陥判定部
124 操作部
125 検査画像処理部
126 全体制御部
127 電子光学系制御部
128 ビーム偏向補正制御部
129 信号検出系制御部
130 対物レンズ制御部
131 ステージ制御部
132 電子ビーム
133 二次荷電粒子
134 光学顕微鏡ユニット
136 信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンが形成された試料に対し、所定の検査条件を記述する検査レシピに沿った条件で電子ビームを照射し、得られる二次荷電粒子を検出して信号出力する電子光学鏡筒と、
前記出力された信号から得られる画像を用いて、前記回路パターンの一部の画像を比較単位として、当該比較単位の画像を所定参照画像と、あるいは隣接する比較単位の画像と比較することにより前記試料上の欠陥位置を算出する画像処理手段と、
前記検査レシピの設定を行うコンピュータとを備え、
当該コンピュータは、前記二次荷電粒子画像から、前記回路パターン上における前記比較単位の配列周期を算出し、
当該配列周期に関する情報を用いて検査実行時の検査領域を設定することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、
前記コンピュータは、前記試料上に形成されたメモリマットのマット配列の境界を自動認識する機能を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項2記載の検査装置において、
前記コンピュータは、前記メモリマットのマット配列のピッチ情報とマットのサイズ情報を算出する機能を更に備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検査装置において、
前記試料上の検査領域を設定する処理を、前記のレシピ設定時に実行することを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項1に記載の検査装置において、
前記画像処理手段は、
前記レシピ設定時に設定された検査領域の情報と、実際の検査実行時に取得される二次荷電粒子画像に基づき算出される前記比較単位の境界情報とを比較することにより、前記試料上の実際の検査位置と一次電子ビームの照射位置とのずれを計算する検査画像処理部を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査装置において、
前記ずれ量に基づき一次電子ビームの偏向位置を補正する制御部を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項5に記載の検査装置において、
前記画像処理手段は、前記ずれ量に基づき、検査のための比較演算処理の開始位置を補正することを特徴とする検査装置。
【請求項8】
回路パターンが形成された試料の一部の画像を比較単位として、当該比較単位の画像を所定参照画像と、あるいは隣接する比較単位の画像と比較することにより前記試料上の欠陥位置を算出する検査装置であって、
第1の撮像手段と、
当該第1の撮像手段よりも分解能の高い画像を取得する第2の撮像手段と、
前記比較単位に対する前記欠陥位置の算出処理を画像処理手段と、
検査条件を設定するコンピュータとを有し、
該コンピュータは、前記第1の撮像手段により得られた画像を用いて前記比較単位の配列周期に関する情報を取得し、
前記第2の撮像手段により得られた画像を用いて、前記比較単位の配列周期に関する情報を補正することを特徴とする検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載の検査装置において、
前記第1の撮像手段が光学顕微鏡であり、
前記第2の撮像手段が走査電子顕微鏡であることを特徴とする検査装置。
【請求項10】
請求項8に記載の検査装置において、
前記走査電子顕微鏡により得られた画像により補正された前記配列周期に関する情報を用いて前記試料上の検査領域を設定することを特徴とする検査装置。
【請求項11】
請求項9に記載の検査装置において、
前記補正された配列周期の情報から得られる前記比較単位の輪郭線を、前記第1の撮像手段または前記第2の撮像手段により得られた画像上に重ねて表示する表示手段を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項12】
回路パターンが形成された複数のダイを備える被検査ウエハに一次電子ビームを走査し、得られる二次荷電粒子に基づく信号を画像化して表示する工程を含む検査方法であって、
被検査試料の所定領域の画像を取得し、かつ保存する工程と、
保存された画像から検査領域情報を抽出する工程と、
抽出された領域情報に基づいて被検査試料の検査領域を決める工程とを含むことを特徴とする回路パターンの検査方法。
【請求項13】
請求項12に記載の検査方法において、
被検査ウエハの1から数ダイあるいは1ストライプ分の画像を取得し、かつ保存する工程と、
保存された画像から被検査ウエハのメモリマット領域の境界位置を自動検出する工程と、
検出された位置より検査領域を補正する工程を含むことを特徴とする回路パターンの検査方法。
【請求項14】
請求項12に記載の検査方法において、
検査時に逐次画像を記憶する工程と、
逐次記憶された画像から被検査ウエハのメモリマット境界を検出する工程と、
検査前に設定された検査領域と該自動検出されたメモリマット境界位置のずれ量を計算する工程と、
検査中に逐次検査領域ずれ量を補正する工程を含むことを特徴とする回路パターンの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−247603(P2011−247603A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117911(P2010−117911)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】