説明

莢果判別構造

【課題】莢果の品質を適切に判別する。
【解決手段】莢果判別構造では、莢果22を透過した透過光によって撮像された莢果22の撮像画像を二値化処理する。さらに、二値化処理された莢果22の二値化画像において、莢果22の画素数に対する豆26の画素数の比率を計算して、莢24への豆26の収容状態を判別する。しかも、莢果22の画素数に対する豆26の画素数の比率と所定数の閾値との大小関係に基づき、莢果22が複数の等級の何れであるかを判別する。このため、莢24への豆26の収容状態についての莢果22の品質を適切かつ明瞭に判別できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、莢果の品質を判別する莢果判別構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エダマメ莢の精選別方法としては、CCDカメラでエダマメ莢の画像を取得し、画像処理部でエダマメ莢の外形形状と変色部の抽出を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、このようなエダマメ莢の精選別方法では、エダマメ莢の品質を適切に判別できるのが好ましい。
【特許文献1】特開2005−279524公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、莢果の品質を適切に判別できる莢果判別構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の莢果判別構造は、莢に豆が収容された莢果を透過した透過光によって莢果の画像を撮像する撮像手段と、莢果が撮像された画素数、莢果の豆収容部分が撮像された画素数、及び、莢果の豆収容部分以外が撮像された画素数の少なくとも2つの比率に基づき莢への豆の収容状態についての莢果の品質を判別する判別手段と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載の莢果判別構造は、莢果に反射された反射光によって莢果の画像を撮像する撮像手段と、莢果が撮像された画素数、莢果の損傷部分が撮像された画素数、及び、莢果の損傷部分以外が撮像された画素数の少なくとも2つの比率に基づき莢果の損傷状態を判別する判別手段と、を備えている。
【0007】
請求項3に記載の莢果判別構造は、莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する撮像手段と、莢果が撮像された画素数に基づき莢果の大きさを判別する判別手段と、を備えている。
【0008】
請求項4に記載の莢果判別構造は、莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する撮像手段と、莢果の画像の長手方向端部を莢果の画像の幅方向へ通過する通過線上において莢果が撮像された画素間に莢果が撮像されていない画素が存在するか否かに基づき莢果の長手方向端部の裂け状態を判別する判別手段と、を備えている。
【0009】
請求項5に記載の莢果判別構造は、莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する撮像手段と、莢果の画像の面積に基づく重心を通過する莢果の画像の長手方向の長手線に沿った莢果の画像の長さと当該重心を通過する莢果の画像の幅方向の幅線に沿った莢果の画像の長さとの比率に基づき莢果の形状を判別する判別手段と、を備えている。
【0010】
請求項6に記載の莢果判別構造は、莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する撮像手段と、莢果の画像の面積に基づく重心が莢果の画像の範囲内に存在するか否かに基づき莢果の形状を判別する判別手段と、を備えている。
【0011】
請求項7に記載の莢果判別構造は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の莢果判別構造において、莢果の画像を二値化処理する二値化手段を備えた、ことを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載の莢果判別構造は、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の莢果判別構造において、前記判別手段は、莢果の等級を判別する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の莢果判別構造では、撮像手段が莢果を透過した透過光によって莢果の画像を撮像する。さらに、判別手段が、莢果が撮像された画素数、莢果の豆収容部分が撮像された画素数、及び、莢果の豆収容部分以外が撮像された画素数の少なくとも2つの比率に基づき、莢への豆の収容状態を判別する。このため、莢果の品質を適切に判別することができる。
【0014】
請求項2に記載の莢果判別構造では、撮像手段が莢果に反射された反射光によって莢果の画像を撮像する。さらに、判別手段が、莢果が撮像された画素数、莢果の損傷部分が撮像された画素数、及び、莢果の損傷部分以外が撮像された画素数の少なくとも2つの比率に基づき、莢果の損傷状態を判別する。このため、莢果の品質を適切に判別することができる。
【0015】
請求項3に記載の莢果判別構造では、撮像手段が、莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する。さらに、判別手段が、莢果が撮像された画素数に基づき、莢果の大きさを判別する。このため、莢果の品質を適切に判別することができる。
【0016】
請求項4に記載の莢果判別構造では、撮像手段が、莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する。さらに、判別手段が、莢果の画像の長手方向端部を莢果の画像の幅方向へ通過する通過線上において、莢果が撮像された画素間に莢果が撮像されていない画素が存在するか否かに基づき、莢果の長手方向端部の裂け状態を判別する。このため、莢果の品質を適切に判別することができる。
【0017】
請求項5に記載の莢果判別構造では、撮像手段が、莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する。さらに、判別手段が、莢果の画像の面積に基づく重心を通過する莢果の画像の長手方向の長手線に沿った莢果の画像の長さと当該重心を通過する莢果の画像の幅方向の幅線に沿った莢果の画像の長さとの比率に基づき、莢果の形状を判別する。このため、莢果の品質を適切に判別することができる。
【0018】
請求項6に記載の莢果判別構造では、撮像手段が、莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する。さらに、判別手段が、莢果の画像の面積に基づく重心が莢果の画像の範囲内に存在するか否かに基づき、莢果の形状を判別する。このため、莢果の品質を適切に判別することができる。
【0019】
請求項7に記載の莢果判別構造では、二値化手段が莢果の画像を二値化処理する。このため、判別手段が莢果の品質を容易に判別することができる。
【0020】
請求項8に記載の莢果判別構造では、判別手段が莢果の等級を判別する。このため、莢果の品質を明瞭に判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図8には、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造10が右方から見た模式図にて示されている。なお、図面では、莢果判別構造10の前方を矢印FRで示し、莢果判別構造10の上方を矢印UPで示す。
【0022】
本実施の形態に係る莢果判別構造10は、搬送手段としてのベルトコンベア12を備えている。ベルトコンベア12では、一対のローラ14に無端帯状のベルト16が巻き掛けられており、ベルトコンベア12が駆動されることで、ベルト16が回動されて、ベルト16の上側部分が前方へ移動される共に、ベルト16の下側部分が後方へ移動される。また、ベルト16は、例えば網目状のネットにされて、光を透過可能にされている。
【0023】
ベルト16の直上には、長尺板状の仕切板18が一対固定されており、一対の仕切板18は、それぞれ前後方向へ延伸されて、間に搬送路20が形成されている。このため、ベルト16の上側部分上の搬送路20に莢果22(本実施の形態ではエダマメの莢果)が載置されることで、莢果22が長手方向を前後方向へ向けられた状態でベルト16によって前方(搬送方向X)へ搬送される。また、搬送路20に載置される莢果22は、脱莢機(図示省略)や手作業によって枝から離脱された(もぎ取られた)後のものであり、莢果22は、通常、莢24内に所定数の豆26(子実)が収容されている(図1参照、図1は莢24内に2粒の豆26が収容されている莢果22を例示)。
【0024】
ベルト16の上方には、撮像手段としてのカメラ28(例えばCCDカメラ)が設けられており、ベルト16によって前方へ搬送される莢果22がカメラ28の下方に配置された際には、カメラ28が上方から莢果22を撮像可能にされている。
【0025】
ベルト16の上方には、暗室形成手段としての直方体形箱状のカメラブース30が設けられており、カメラブース30の下面は、開放されて、ベルト16の上側部分の直上に配置されている。カメラブース30の前壁及び後壁の下端部は、一対の仕切板18間の範囲において矩形状に開放されており、これにより、ベルト16によって前方へ搬送される莢果22のカメラブース30内への搬入及びカメラブース30外への搬出が阻害されない構成にされている。カメラブース30の内部には、カメラブース30の上壁からカメラ28のレンズ部28Aが挿入されており、カメラブース30は、内部に暗室32を形成して、カメラ28に撮像される莢果22の領域を暗室32にしている。
【0026】
ベルト16の下方には、カメラ28の下方位置において、透過光照射手段としての透過光照射装置34が設けられており、透過光照射装置34は、カメラ28に撮像される莢果22へベルト16を介して下方から均等な強度で光を照射可能にされている。
【0027】
カメラブース30内には、カメラ28の前側及び後側において、反射光照射手段としての反射光ランプ36が設けられており、一対の反射光ランプ36は、カメラ28に撮像される莢果22へ前斜め上方及び後斜め上方から光を照射することで、当該莢果22の上側面(一側面)の全体へ光を照射可能にされている。
【0028】
カメラ28には、二値化手段及び判別手段としての制御装置38が設けられており、制御装置38は、カメラ28に撮像された莢果22の画像を二値化処理すると共に、撮像された莢果22の撮像画像又は二値化処理された莢果22の二値化画像に基づき莢果22の品質を判別可能にされている。
【0029】
また、現行では、莢果22は、図10に示す品質規格によって、秀品と良品と不良品とに判別されたり、又は、良品(秀品を含む)と不良品とに判別されて、複数の等級に判別されている。
【0030】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0031】
以上の構成の莢果判別構造10では、ベルトコンベア12が駆動された状態で、ベルト16の上側部分上における一対の仕切板18間の搬送路20に莢果22が載置されることで、莢果22が長手方向を前後方向へ向けられた状態でベルト16によって前方(搬送方向X)へ搬送される。さらに、ベルト16によって前方へ搬送される莢果22がカメラブース30内(暗室32内)においてカメラ28の下方に配置された際には、透過光照射装置34がベルト16を介して莢果22へ下方から均等な強度で光を照射することで莢果22を透過した透過光によって、カメラ28が上方から莢果22を撮像する。
【0032】
カメラ28が撮像した図1(A)に示す莢果22の撮像画像は、制御装置38によって所定の閾値で二値化処理されて、莢果22(莢24全体)が撮像される二値化レベル1の二値化画像(図1(B)参照)と、莢果22の豆26が撮像される二値化レベル2の二値化画像(図1(C)参照)と、莢果22の豆26以外の部分が撮像される二値化レベル2の二値化画像(図1(D)参照;図1(C)の二値化画像を反転表示したもの)と、が作成される。
【0033】
制御装置38は、莢果22の二値化画像において、莢果22の画素数(莢果22の面積に対応する)に対する豆26の合計画素数(豆26の合計面積に対応する)の比率を計算して、莢果22における莢24への豆26の収容状態(実入り状態、熟度)を判別する。しかも、制御装置38は、莢果22の画素数に対する豆26の画素数の比率と予め定められた所定数の閾値との大小関係に基づき、莢24への豆26の収容状態について、莢果22が良品と不良品(未熟品及び過熟品)との何れであるかを判別したり、莢果22が秀品と良品と不良品との何れであるかを判別したりして、莢果22が複数の等級の何れであるかを判別する。これにより、莢24への豆26の収容状態についての莢果22の品質を適切かつ明瞭に判別することができる。なお、莢果22はエダマメの莢果であるため、莢果22が過熟品であっても、莢果22の豆26は、別途大豆として利用される。
【0034】
また、制御装置38は、莢果22の撮像画像又は莢果22の二値化画像(二値化レベル1の画像)において、莢果22の画素数を計算して、莢果22の大きさを判別する。しかも、制御装置38は、莢果22の画素数と予め定められた所定数の閾値との大小関係に基づいて、莢果22の大きさについて、莢果22が良品と不良品との何れであるかを判別したり、莢果22が秀品と良品と不良品との何れであるかを判別したりして、莢果22が複数の等級の何れであるかを判別する。これにより、大きさについての莢果22の品質を適切かつ明瞭に判別することができる。
【0035】
さらに、図2及び図3の(A)及び(B)に示す如く、制御装置38は、莢果22の撮像画像又は莢果22の二値化画像(二値化レベル1の画像)において、莢果22の長手方向(ベルトコンベア12による搬送方向Xに沿った前後方向)両端から所定距離L(莢果22の長手方向における果梗24Aの長さ以下の距離)莢果22長手方向へ莢果22側に離間した部位を莢果22の幅方向(莢果22の長手方向に垂直な左右方向)へ通過する一対の横直線A、B(通過線)上で、莢果22が撮像された画素(莢果22の画素であり、本実施の形態では比較的暗い画素)に莢果22が撮像されていない画素(非莢果22の画素であり、本実施の形態では比較的明るい画素)が存在するか否かを判断して、莢果22の先裂け状態(特に果梗24Aの裂け状態)を判別する。すなわち、制御装置38は、一対の横直線A、Bの少なくとも一方上において莢果22の画素に非莢果22の画素が存在する場合には、莢果22に先裂けが存在するため不良品と判別し、一対の横直線A、Bの両方上において莢果22の画素に非莢果22の画素が存在しない場合には、莢果22に先裂けが存在しないため良品と判別して、莢果22が複数の等級の何れであるかを判別する。これにより、先裂け状態についての莢果22の品質を適切かつ明瞭に判別することができる。図3(A)(B)は、その横直線A、B上の撮像画像の画素波形を示している。
【0036】
また、これに変えて、制御装置38は、莢果22の撮像画像又は莢果22の二値化画像(二値化レベル1の画像)において、莢果22の面積に基づく重心Gから莢果22長手方向へ遠い側の横直線A上で、莢果22の画素に非莢果22の画素が存在するか否かを判断して、莢果22の果梗24Aの裂け状態を判別することもできる。すなわち、莢果22は果梗24Aがその反対側端より重心Gから常に遠い側にあるので、制御装置38は、当該横直線A上において莢果22の画素に非莢果22の画素が存在するか否かを判断し、存在する場合には果梗24Aに裂けが存在するため不良品と判別し、存在しない場合には果梗24Aに裂けが存在しないため良品と判別して、莢果22が複数の等級の何れであるかを判別する。これにより、果梗24Aの裂け状態についての莢果22の品質を適切、明瞭かつ簡単に判別することができる。
【0037】
さらに、図4の(A)乃至(C)に示す如く、制御装置38は、莢果22の撮像画像又は莢果22の二値化画像(二値化レベル1の画像)において、莢果22の面積に基づく重心Gを通過する莢果22の長手方向の長軸直線S(長手線)に沿った莢果22の長さと、重心Gを通過する莢果22の幅方向の短軸直線T(幅線)に沿った莢果22の長さとの比率を計算して、莢果22の形状を判別する。例えば、制御装置38は、図4(A)に示す如く長軸直線Sに沿った莢果22の長さに対する短軸直線Tに沿った莢果22の長さの比率が第1閾値(1より小さくかつ0に近い値)未満である場合には、莢果22が細い形状の良品と判別し、図4(B)に示す如く長軸直線Sに沿った莢果22の長さに対する短軸直線Tに沿った莢果22の長さの比率が第1閾値以上第2閾値(1より小さくかつ1に近い値)未満である場合には、莢果22が正常形状の秀品と判別し、図4(C)に示す如く長軸直線Sに沿った莢果22の長さに対する短軸直線Tに沿った莢果22の長さの比率が第2閾値以上である場合には、莢果22が異常形状の不良品(例えば豆26が1つのもの)と判別して、莢果22が複数の等級の何れであるかを判別する。これにより、形状についての莢果22の品質を適切かつ明瞭に判別することができる。なお、制御装置38は、図4の(A)及び(B)の良品及び秀品と判別した莢果22を、単に良品と判別してもよい。
【0038】
また、図5の(A)及び(B)に示す如く、制御装置38は、莢果22の撮像画像又は莢果22の二値化画像(二値化レベル1の画像)において、莢果22の面積に基づく重心Gが莢果22の範囲内に存在するか否かを判断して、莢果22の形状を判別する。すなわち、制御装置38は、図5(A)に示す如く重心Gが莢果22の範囲内に存在する場合には、莢果22が正常形状の良品と判別し、図5(B)に示す如く重心Gが莢果22の範囲内に存在しない場合には、莢果22が異常形状(例えば曲がり形状)の不良品と判別して、莢果22が複数の等級の何れであるかを判別する。これにより、形状についての莢果22の品質を一層適切に判別することができる。なお、図4(A)(B)及び図5(A)(B)は莢24内に3粒の豆26が収容されている莢果22を例示している。
【0039】
さらに、本実施の形態に係る莢果判別構造10では、ベルト16によって前方へ搬送される莢果22がカメラブース30内(暗室32内)においてカメラ28の下方に配置された際に、一対の反射光ランプ36が莢果22へ前斜め上方及び後斜め上方から光(可視域(RGB)又は近赤外域(IR)のもの)を照射することで莢果22に反射された反射光によって、カメラ28が上方から莢果22を撮像する。
【0040】
カメラ28が撮像した図6の(A)乃至(E)に示す莢果22の撮像画像は、制御装置38によって、分光フィルタにより分光抽出しかつ所定の閾値で二値化処理されて、莢果22(莢24全体)が撮像される二値化レベル1の二値化画像(図7(A−1)〜(E−1)参照)と、莢果22(莢24)の損傷部分22Aが撮像される二値化レベル2の二値化画像(図7(A−2)〜(E−2)参照)と、莢果22(莢24)の正常部分22Bが撮像される二値化レベル2の二値化画像(図7(A−3)〜(E−3)参照;図7(A−2)〜(E−2)を反転表示したもの)と、が作成される。
【0041】
制御装置38は、莢果22の二値化画像において、莢果22の画素数(莢果22の面積に対応する)に対する莢果22の損傷部分22Aの画素数(損傷部分22Aの面積に対応する)の比率を計算して、莢果22の損傷状態を判別する。しかも、制御装置38は、莢果22の画素数に対する莢果22の損傷部分22Aの画素数の比率と予め定められた所定数の閾値との大小関係に基づき、莢果22の損傷状態について、莢果22が良品(例えば当該比率が8%未満)と不良品(例えば当該比率が8%以上)との何れであるかを判別したり、莢果22が秀品(例えば当該比率が1%未満)と良品(例えば当該比率が1%以上8%未満)と不良品(例えば当該比率が8%以上)との何れであるかを判別したりして、莢果22が複数の等級の何れであるかを判別する。これにより、損傷状態についての莢果22の品質を適切かつ明瞭に判別することができる。
【0042】
また、莢果22の正常部分22Bは、緑色である。一方、莢果22の損傷部分22Aは、病虫害や、莢果22の枝からの離脱時等の損傷等によるものであり、通常、莢果22の損傷部分22Aには、さび(皺)、圧縮(豆押され)、変色(特に褐色又は黒色への変色)、及び、傷等がある。ここで、図9に示す如く、莢果22の損傷部分22Aがさび(皺)、圧縮(豆押され)、変色及び傷の何れの場合でも、莢果22の正常部分22Bと損傷部分22Aとの分光反射率の差は、540nm又は730nmの波長域で大きくなる。このため、一対の反射光ランプ36から540nm又は730nmの波長域の光を莢果22へ照射して反射された反射光を分光抽出する二値化処理によって、莢果22の二値化画像において莢果22の正常部分22Bと損傷部分22Aとを良好に区別することができる。これにより、損傷状態についての莢果22の品質を一層適切に判別することができる。
【0043】
以上により、莢果22の品質を機械的に判別することができ、莢果22の品質に基づく選別を自動化することを可能にすることができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、莢果22を透過された透過光によって撮像された莢果22の撮像画像又は当該撮像画像の二値化画像において、莢果22の大きさ、莢果22の先裂け状態(果梗24Aの裂け状態を含む)、及び、莢果22の形状を判別する構成としたが、莢果22に反射された反射光によって撮像された莢果22の撮像画像又は当該撮像画像の二値化画像において、莢果22の大きさ、莢果22の先裂け状態(果梗24Aの裂け状態を含む)、及び、莢果22の形状を判別する構成としてもよい。
【0045】
また、本実施の形態では、莢果22の画素数に対する豆26の画素数の比率を計算して莢24への豆26の収容状態を判別する構成としたが、莢果22の画素数、豆26の画素数、及び、豆26以外の画素数(莢果22の画素数から豆26の画素数を減じたものに等しい)の少なくとも2つの比率に基づき莢24への豆26の収容状態を判別する構成であればよい。
【0046】
さらに、本実施の形態では、莢果22の画素数に対する莢果22の損傷部分22Aの画素数の比率を計算して莢果22の損傷状態を判別する構成としたが、莢果22の画素数、莢果22の損傷部分22Aの画素数、及び、莢果22の正常部分22Bの画素数(莢果22の画素数から損傷部分22Aの画素数を減じたものに等しい)の少なくとも2つの比率に基づき莢果22の損傷状態を判別する構成であればよい。
【0047】
また、本実施の形態では、莢果22に反射された反射光によって撮像された莢果22の画像に基づき莢果22の品質を判別する場合に、莢果22の上側面(一側面)の画像に基づき莢果22の品質を判別する構成としたが、通常、莢果22の上側面(一側面)と下側面(他側面)とは殆ど同じ状態であるため、必ずしも莢果22の一側面と他側面との画像に基づき莢果22の品質を判別する必要はなく、莢果22の一側面のみの画像に基づき莢果22の品質を判別しても、莢果22の品質を適切に判別することができる。
【0048】
さらに、本実施の形態では、莢果22としてエダマメの莢果を使用したが、莢果22としてインゲンマメ、エンドウ又はソラマメの莢果を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(A)は、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造において莢果を透過された透過光によって撮像された莢果の撮像画像を示す莢果の豆収容状態判別用の図であり、(B)は、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造において莢果を透過された透過光によって撮像された莢果の莢の二値化画像を示す莢果の豆収容状態判別用の図であり、(C)は、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造において莢果を透過された透過光によって撮像された莢果の豆の二値化画像を示す莢果の豆収容状態判別用の図であり、(D)は、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造において莢果を透過された透過光によって撮像された莢果の豆以外の部分の二値化画像を示す莢果の豆収容状態判別用の図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る莢果判別構造における莢果の画像を示す莢果の先裂け状態判別用の図である。
【図3】(A)は、図2の横直線A上での画素の明度を示す波形であり、(B)は、図2の横直線B上での画素の明度を示す波形である。
【図4】(A)乃至(C)は、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造における莢果の画像を示す莢果の太さ形状判別用の図である。
【図5】(A)及び(B)は、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造における莢果の画像を示す莢果の曲がり形状判別用の図である。
【図6】(A)乃至(E)は、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造において莢果に反射された反射光によって撮像された莢果の撮像画像を示す莢果の損傷状態判別用の図である。
【図7】(A−1)乃至(E−1)は、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造において莢果に反射された反射光によって撮像された莢果の莢の二値化画像を示す莢果の損傷状態判別用の図であり、(A−2)乃至(E−2)は、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造において莢果に反射された反射光によって撮像された莢果の損傷部分の二値化画像を示す莢果の損傷状態判別用の図であり、(A−3)乃至(E−3)は、本発明の実施の形態に係る莢果判別構造において莢果に反射された反射光によって撮像された莢果の正常部分の二値化画像を示す莢果の損傷状態判別用の図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る莢果判別構造を示す右方から見た模式図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る莢果判別構造における莢果へ照射する光の波長と、莢果の正常部分と損傷部分とに反射された反射光の分光反射率の差と、の関係を示すグラフである。
【図10】現行の莢果品質規格を示す表である。
【符号の説明】
【0050】
10 莢果判別構造
22 莢果
22A 損傷部分
24 莢
26 豆
28 カメラ(撮像手段)
38 制御装置(二値化手段、判別手段)
A 横直線(通過線)
B 横直線(通過線)
G 重心
S 長軸直線(長手線)
T 短軸直線(幅線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
莢に豆が収容された莢果を透過した透過光によって莢果の画像を撮像する撮像手段と、
莢果が撮像された画素数、莢果の豆収容部分が撮像された画素数、及び、莢果の豆収容部分以外が撮像された画素数の少なくとも2つの比率に基づき莢への豆の収容状態を判別する判別手段と、
を備えた莢果判別構造。
【請求項2】
莢果に反射された反射光によって莢果の画像を撮像する撮像手段と、
莢果が撮像された画素数、莢果の損傷部分が撮像された画素数、及び、莢果の損傷部分以外が撮像された画素数の少なくとも2つの比率に基づき莢果の損傷状態を判別する判別手段と、
を備えた莢果判別構造。
【請求項3】
莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する撮像手段と、
莢果が撮像された画素数に基づき莢果の大きさを判別する判別手段と、
を備えた莢果判別構造。
【請求項4】
莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する撮像手段と、
莢果の画像の長手方向端部を莢果の画像の幅方向へ通過する通過線上において莢果が撮像された画素間に莢果が撮像されていない画素が存在するか否かに基づき莢果の長手方向端部の裂け状態を判別する判別手段と、
を備えた莢果判別構造。
【請求項5】
莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する撮像手段と、
莢果の画像の面積に基づく重心を通過する莢果の画像の長手方向の長手線に沿った莢果の画像の長さと当該重心を通過する莢果の画像の幅方向の幅線に沿った莢果の画像の長さとの比率に基づき莢果の形状を判別する判別手段と、
を備えた莢果判別構造。
【請求項6】
莢果を透過した透過光及び莢果に反射された反射光の少なくとも1つによって莢果の画像を撮像する撮像手段と、
莢果の画像の面積に基づく重心が莢果の画像の範囲内に存在するか否かに基づき莢果の形状を判別する判別手段と、
を備えた莢果判別構造。
【請求項7】
莢果の画像を二値化処理する二値化手段を備えた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の莢果判別構造。
【請求項8】
前記判別手段は、莢果の等級を判別する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項記載の莢果判別構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−20347(P2008−20347A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192895(P2006−192895)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、農林水産省、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業に係る委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591108178)秋田県 (126)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】