説明

薄膜ガスセンサ、ガス漏れ警報器、薄膜ガスセンサ設定調節装置および薄膜ガスセンサ設定調節方法

【課題】安価かつ簡易な構成により調節作業の高精度化および機械化を実現し、性能および生産性の向上を共に図る薄膜ガスセンサを提供する。また、このような薄膜ガスセンサを搭載して性能および生産性の向上を共に図るガス漏れ警報器を提供する。さらにまた、このような薄膜ガスセンサの調節作業を行う薄膜ガスセンサ設定調節装置および薄膜ガスセンサ設定調節方法を提供する。
【解決手段】設定調節部7は、ヒータ層3、設定調節部7およびシャント抵抗8により形成される直列回路に電源を供給したときのヒータ層3およびシャント抵抗8を通じて取得された情報に基づいて、デジタルポテンショメータ71の抵抗値を変化させて設定調節部7の合成抵抗値を増減させて、ヒータ層3が最適出力をするように設定調節された薄膜ガスセンサ100,200,300とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池駆動を念頭においた低消費電力型の薄膜ガスセンサ、このような薄膜ガスセンサを搭載したガス漏れ警報器、および、このような薄膜ガスセンサに対して設定を行う薄膜ガスセンサ設定調節装置に関する。さらにこのような薄膜ガスセンサに対して設定を行う薄膜ガスセンサ設定調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にガスセンサは、ガス漏れ警報器などの用途に用いられている。ガスセンサは、ある特定ガス、例えば、一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH)、プロパンガス(C)、メタノール蒸気(CHOH)等に選択的に感応するデバイスであり、その性格上、高感度、高選択性、高応答性、高信頼性、低消費電力が必要不可欠である。
【0003】
ところで、家庭用として普及しているガス漏れ警報器は、都市ガス用やプロパンガス用の可燃性ガス検知を目的としたもの、燃焼機器の不完全燃焼ガス検知を目的としたもの、または、両方の機能を併せ持ったもの、などであるが、いずれもコストや設置性(ガス検知が必要であるが電源供給不能の箇所に設置できない点)の問題から、ガス漏れ警報器の普及率はそれほど高くない。そこで、ガス漏れ警報器の普及率の向上を図るべく、設置性の改善、具体的には、電池駆動によるガス漏れ警報器としてコードレス化することが望まれている。
【0004】
ガス漏れ警報器の電池駆動を実現するためにはガスセンサの低消費電力化が最も重要である。しかしながら、接触燃焼式や半導体式のガスセンサを動作させるためには、ガスセンサのガス感知膜を300℃〜500℃の高温に加熱する必要があり、この加熱が電力を消費する要因である。SnOなどの粉体を焼結して作製したガス感知膜によるガスセンサは、スクリーン印刷等の方法を用いてガス感知膜の厚みを可能な限り薄くしてガス感知膜の熱容量を小さくしているが、このスクリーン印刷等による薄膜化は限界があって、ガス感知膜は充分に薄くならない。このため、ガスセンサを電池駆動する場合、ガス感知膜の熱容量は大きすぎることとなり、ガス感知膜を高温に加熱するには大きい電力が必要となって電池の消耗が大きくなる。このような理由から、ガス感知膜を電池駆動するガスセンサは、実用化が困難であった。
そこで、微細加工プロセスにより高断熱・低熱容量のダイアフラム構造として、実用上許容しうる低消費電力の薄膜ガスセンサが開発実用化されて現在に至っている。
【0005】
この従来技術の薄膜ガスセンサについて図を参照しつつ説明する。図6は、従来技術の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。この薄膜ガスセンサ100は、シリコン基板(以下Si基板)1、熱絶縁支持層2、ヒータ層3、電気絶縁層4、ガス検出層5を備える。熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層21、CVD−Si層22、CVD−SiO層23の三層構造となっている。また、ガス検出層5は、詳しくは、接合層51、感知電極層52、ガス感応層53、ガス選択燃焼層54を備える。このガス感応層53はアンチモン(Sb)をドープした二酸化スズ層(以下、SnO層)であり、ガス選択燃焼層54はパラジウム(Pd)または白金(Pt)を触媒として担持したアルミナ焼結材(以下、触媒担持Al焼結材)である。そして、ヒータ層3およびガス検出層5(詳しくは感知電極層52を介してガス感応層53)は、図示しない駆動・処理部に接続されている。
【0006】
この従来技術の薄膜ガスセンサは、様々な気体成分と接触することにより酸化物半導体であるガス感応層53の電気抵抗値(センサ抵抗値)が変化する現象を利用するセンサである。300〜500℃程度に加熱された金属酸化物半導体は、ガス濃度によりその導電率が変化する特性を持つ。金属酸化物半導体は、空気中では酸素を吸着して高抵抗化するが可燃性ガス中では可燃性ガスを吸着して低抵抗化する。
【0007】
詳しくは以下のような理由による。
SnO層などのn型金属酸化物半導体であるガス感応層53は、空気中にある場合、ガス感応層53の表面に酸素などを活性化吸着する。酸素は電子受容性が強くて負電荷吸着するため、ガス感応層53の表面に空間電荷層が形成される。したがって、ガス感応層53は導電率が低下して高抵抗化する。
そして、SnO層などのn型金属酸化物半導体であるガス感応層53は、可燃性ガスなどの電子供与性の還元性気体中にあるガス感応層53が300〜500℃程度に加熱されることにより可燃性ガスの燃焼反応が起こる場合、ガス感応層53の表面の吸着酸素が消費され、吸着酸素が捕獲していた電子がガス感応層53内にもどされることによりガス感応層53内の電子密度が増加する。したがって、ガス感応層53は導電率が増大して低抵抗化する。
【0008】
このガス感応層53は、多様なガスの検知が可能である反面、特定のガスを選択的に検知することは困難であった。
そこでガス検出層5は、SnO層であるガス感応層53の表面全体を、触媒担持Al焼結材で構成されたガス選択燃焼層54が覆う構造としている。
このガス選択燃焼層54は、検知ガスよりも酸化活性の強いガスを燃焼させるため、ガス検出層5におけるある特定のガスのみの感度を向上させる機能を有している。さらにそのガス検出層5の大きさや膜厚、Si基板1のダイアフラム径との比なども工夫されている。これにより、ある特定のガス選択性がさらに高められ、消費電力の低減化が可能となっている。
【0009】
このような薄膜式ガスセンサは、CH,C等の可燃性ガス検知に低消費電力化を実現するため、そのヒータ層3の駆動方式が工夫されたセンサとしている。この点について図を参照しつつ説明する。図7は、High−Off方式によるヒータ層温度の時間特性を説明する説明図、図8は、High−Low−Off方式によるヒータ層温度の時間特性を説明する説明図である。
【0010】
High−Off方式は、特にCH,C等の可燃性ガス濃度の検出で用いられる方式である。ヒータ層3の駆動部であるヒータ層電源(図示せず)は、ヒータ層3に図7で示すような電流による駆動信号を流してヒータ層3のヒータ温度を一定期間(例えば0.05〜0.5s)にわたり高温状態(High状態:300〜500℃)に保持し、その後一定期間にわたりヒータ層3に駆動信号を流さない状態(Off状態)として、検出時以外では不要な電力の消費が抑止される。そして、ヒータ層3の駆動部(図示せず)は、このようなHigh−Offによる駆動を所定の周期(例えば30秒周期)で繰り返し、ヒータ層3を間欠駆動している。
【0011】
このHigh−Off方式のヒータ層3は、High状態でガス検知を行うものであり、ガス検知ではガス感応層53のセンサ抵抗値が感知電極層52を介して測定され、その変化からCH,C等の可燃性ガス濃度が検出される。このとき、ヒータ温度が高温になるとともにガス選択燃焼層54は高温になり、この高温のガス選択燃焼層54がCO,H等の還元性ガスその他の雑ガスを燃焼させる。しかしながら、ガス選択燃焼層54は不活性なCH,C等の可燃性ガスはそのまま通過させる。可燃性ガスは拡散し、ガス感応層53に到達してガス感応層53のSnOと反応する。するとガス感応層53のSnOの抵抗値は可燃性ガスの吸着量に応じて変化する。薄膜ガスセンサは、このような現象を利用してガス機器などのガス漏れ時に発生するCH,C等の可燃性ガスの濃度を検出するものである。
【0012】
また、High−Low−Off方式は、不完全燃焼(CO)を検知するために用いられる方式である。ヒータ層3の駆動部(図示せず)は、ヒータ層3に図8で示すような電流による駆動信号を流して、一旦、ヒータ層3のヒータ温度を一定期間(例えば、0.05s〜0.5s)にわたり高温状態(High状態:300〜500℃)に保持してガス感応層53のクリーニングを行ってから、低温状態(Low状態:約50〜150℃)に降温してガス検知を行い、その後一定期間ヒータ層3に駆動信号を流さない状態(OFF状態)として、検出時以外では不要な電力の消費を抑止する。そして、ヒータ層3の駆動部(図示せず)は、このようなHigh−Low−Offによる駆動を所定の周期(例えば30秒周期)で繰り返し、ヒータ層3を間欠駆動している。
このようなHigh−Low−Off方式は、CO感度および選択性が高くなる方式として知られている。
【0013】
また、このHigh−Low−Off方式は、High状態でクリーニングのみならずメタン(CH)検知も行い、かつLow状態でCO検知を行い、メタン・COの両方を検知する方式としても良く、このようなHigh−Low−Off方式の薄膜ガスセンサも存在する。
【0014】
続いて、従来技術の他の薄膜ガスセンサについて説明する。図9は、従来技術の他の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。薄膜ガスセンサ200は、Si基板1、熱絶縁支持層2、ヒータ層3、ガス検出層5を備える。熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層21、CVD−Si層22、CVD−SiO層23を備え、三層構造となっている。また、ガス検出層5は、詳しくは、接合層51、感知電極層52、ガス感応層53、ガス選択燃焼層54を備える。先に図6を用いて説明した薄膜ガスセンサ100と比較すると、この薄膜ガスセンサ200は、電気絶縁層4がない構成としてガス検出層5が熱絶縁支持層2のCVD−SiO層23上に当接するように設けられ、さらに、ヒータ層3がCVD−SiO層23上であってガス感応層53に隣接する位置でガス選択燃焼層54により覆われるように設けられる。
【0015】
続いて、従来技術の他の薄膜ガスセンサについて説明する。図10は、従来技術の他の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。この薄膜ガスセンサ300は、熱線型半導体式ガスセンサであり、Si基板1、熱絶縁支持層(SiO層)2、ボンディングワイヤ6、ヒータ層を兼ねた感知電極層(Pt層)55、ガス感応層53を備える。ヒータ層を兼ねた感知電極層55がガス感応層53を加熱している状態で、SnO 層であるガス感応層53にガスが吸着すると、一対のワイヤボンディング6間の抵抗値が変化する。薄膜ガスセンサ300は、この抵抗値の変化を検出する。
【0016】
これらのような薄膜ガスセンサを用いてCO,CH等の可燃性ガスを検知する場合、センサ出力であるガス感知膜の抵抗値は温度によって大きく変化する。この点につき代表的なガス感知膜の材料である酸化スズ(SnO)の特性を示しつつ説明する。
【0017】
図11は酸化スズのセンサ温度−抵抗値を示す特性図である。体積濃度1000ppmの種々のガス中で酸化スズの温度を変えたときの酸化スズの抵抗値変化を示しており、同じ濃度のガス中でも温度によって抵抗値が大きく変化することが分かる。
【0018】
図12は酸化スズのセンサ温度−規格化抵抗値を示す特性図である。濃度1000ppm、温度450℃のイソブタン中でのガス感知膜のセンサ抵抗値(1.13kΩ)で規格化したものである。あるガス(1000ppm)に対する酸化スズの検出感度は、あるセンサ温度でのRair,Rgasの比で表される。
【0019】
これら図11または図12の特性図に共通して表される特徴は、センサ温度が430℃より低い場合、酸化スズによるガス感応層は、イソブタンの検出感度より一酸化炭素の検出感度が高く、一方センサ温度が430℃を越える場合、これが逆転して一酸化炭素の検出感度よりイソブタンの検出感度が高くなる点である。このように酸化スズによるガス感応層は、温度依存性を有している。そして、このような温度依存性は他のガス感応層を形成する材料でも有する特性であり、ガス検出では温度管理が重要となる。
【0020】
このようにガス感応層の特性を最大限に引き出したい場合には、検出対象であるガス(以下、被検出ガスという)感度が最大となり、かつ、検出対象ではないガス(以下、非検出ガスという)感度が最小となるセンサ温度を選択できるように、ガス感応層の周囲に薄膜によるヒータ層を設置し、このヒータ層を用いて精度の良い温度コントロールを行う必要がある。例えば定電圧回路または定電流回路によりヒータ層に一定の電圧を加えたり、一定の電流を流したりしてヒータ層の温度を一定にする、というような温度コントロールが行われている。
【0021】
ところが、半導体プロセスで製作した薄膜のヒータ層は、ウェハ内の面内バラツキに加え、ウェハ毎のヒータ層の厚さおよび組成のバラツキにも起因して抵抗値が必ずしも一定値ではない。このような理由により、従来技術のように定電圧回路または定電流回路によりヒータ層に一定の電圧を加えたり、一定の電流を流したりしてもヒータ層の温度は必ずしも一定にならず、極端な場合には、被検出ガスに比べて非検出ガスの感度のほうが高くなるまで温度変化するという不具合を生じる場合もある。その結果、正確なガス濃度を検出することが不可能な事態が起こりうるという問題があった。
【0022】
正確なガス濃度を検出するためには、個々の薄膜ガスセンサに対して所望の消費電力となるように薄膜のヒータ層に加える電力を調節する必要がある。
加えて、個々の薄膜ガスセンサの形状や組成の相違に起因して放熱にバラツキがあるためヒータ層の温度は加える電力に対して必ずしも一定ではなく、この観点からも、個々の薄膜ガスセンサ毎に所望のヒータ層温度になるようにヒータ層に加えられる電力を調節することが望ましい。
【0023】
このようにヒータ層の抵抗値や放熱特性のバラツキを吸収し、ヒータ層に加える電力を調節するため、従来技術では薄膜ガスセンサ及びガス漏れ警報器に対し、電源電圧の変圧回路として昇降圧回路により電圧の変圧やデューティー比制御を行ったり、平滑回路により降圧を行ったりしていた。
また、ヒータ層の抵抗値のバラツキを吸収し、ヒータ層に加える電力を調節する他の方法としては、ヒータ層に直列接続したアナログ可変抵抗による電力調節を行っていた。
なお、アナログ可変抵抗を用いる調節については特許文献1にも記載のように一般的な従来技術である。
【0024】
【特許文献1】特開平9−210831号公報(段落番号[0010],図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、薄膜のヒータ層の抵抗値や放熱特性のバラツキを吸収し、ヒータ層に加える電力を調節する従来技術は、問題を内包するものであった。
先に説明した電源電圧の昇降圧回路による電圧の変圧やデューティー比制御や、平滑回路による降圧を行う電力調節では、回路の複雑化及び構成回路部品の増加に起因して、小型化に支障をきたし、さらに薄膜ガスセンサやガス漏れ警報器毎に搭載するには製造コストも増大する。
【0026】
また、ヒータ層に直列に接続したアナログ可変抵抗による電力調節では、ヒータ層の抵抗値のバラツキに応じて微妙な電力調節を作業員がマニュアル(手動)で調節するため、調節コストが増大するだけでなく、ヒューマンエラーを完全に防止することはできないため調整ミスが発生するおそれもあった。
【0027】
また、薄膜ガスセンサの製造現場では、特性評価及びセンサ特性を安定化させるエージング処理を行う際に、量産性を上げるため特性評価・通電基板に多数の薄膜ガスセンサを搭載しているが、全数の薄膜ガスセンサ個々に対して電源電圧の昇降圧回路を配置することや微妙な電力調節をマニュアルで施すことも困難である。
【0028】
そこで、本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、安価かつ簡易な構成により調節作業の高精度化および機械化を実現し、性能および生産性の向上を共に図る薄膜ガスセンサを提供することにある。
また、このような薄膜ガスセンサを搭載して性能および生産性の向上を共に図るガス漏れ警報器を提供することにある。
さらにまた、このような薄膜ガスセンサの調節作業を行う薄膜ガスセンサ設定調節装置および薄膜ガスセンサ設定調節方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
請求項1に記載の発明によれば、
吸着したガスによりその電気抵抗値が変化するガス感応層と、
このガス感応層の近傍に設けられて、該ガス感応層を加熱するヒータ層と、
デジタルポテンショメータを有し、ヒータ層に加える電力を設定調節する設定調節部と、
ヒータ層からの出力についての情報を取得するためのシャント抵抗と、
を備え、
前記設定調節部は、ヒータ層、設定調節部およびシャント抵抗により形成される直列回路に電源を供給したときのヒータ層およびシャント抵抗を通じて取得された情報に基づいて、デジタルポテンショメータの抵抗値を変化させて設定調節部の抵抗値を増減させて、ヒータ層が最適出力をするように設定調節されたものであることを特徴とする薄膜ガスセンサが提供される。
【0030】
この構成によれば、特にデジタルポテンショメータ・シャント抵抗等による簡易な回路を採用するものであり、従来技術のように昇降圧回路や平滑回路等の高コストで複雑な回路を不要とした。また、デジタルポテンショメータにより自動調節を容易にし、調節コストを低減した。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、
前記薄膜ガスセンサは、貫通孔を有するSi基板と、
この貫通孔の開口部に張られるダイアフラム様の熱絶縁支持層と、
を備え、
前記ヒータ層および前記ガス感応層は、前記熱絶縁支持層における一方の面上にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1に記載の薄膜ガスセンサが提供される。
【0032】
この構成によれば、ヒータ層およびガス感応層が熱絶縁支持層の面上にそれぞれ設けられた構成を採用する薄膜ガスセンサに対して、シャント抵抗やヒータ層を通じて取得された情報に基づいて、デジタルポテンショメータの抵抗値を変化させて設定調節部の抵抗値を増減させて、ヒータ層が最適出力をするように設定調節されるようにした。このような薄膜ガスセンサでも構成の簡素化や調節コストの低減を実現する。
【0033】
請求項3に記載の発明によれば、
前記薄膜ガスセンサは、貫通孔を有するSi基板と、
この貫通孔の開口部に張られるダイアフラム様の熱絶縁支持層と、
この熱絶縁支持層上に設けられるヒータ層と、
前記熱絶縁支持層および前記ヒータ層を覆うように設けられる電気絶縁層と、
この電気絶縁層上に設けられるガス感応層と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の薄膜ガスセンサが提供される。
【0034】
この構成によれば、熱絶縁支持層がヒータ層の面上に形成され、さらにガス感応層が熱絶縁支持層の面上に設けられた構成を採用する薄膜ガスセンサに対して、シャント抵抗やヒータ層を通じて取得された情報に基づいて、デジタルポテンショメータの抵抗値を変化させて設定調節部の抵抗値を増減させて、ヒータ層が最適出力をするように設定調節されるようにした。このような薄膜ガスセンサでも構成の簡素化や調節コストの低減を実現する。
【0035】
請求項4に記載の発明によれば、
前記ガス感応層は、SnOにより形成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサが提供される。
【0036】
ガス感応層としてSnOが選択されることが特に好ましい点を知見した。
【0037】
請求項5に記載の発明によれば、
前記薄膜ガスセンサは、更に前記ガス感応層の表面を覆うように設けられ、Pd(パラジウム)またはPt(白金)を触媒として担持したAl焼結材によるガス選択燃焼層を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサが提供される。
【0038】
Pd(パラジウム)またはPt(白金)を触媒として担持したAl焼結材であってガス感応層を覆うガス選択燃焼層は、ガス感応層における検出対象ガスの選択性を向上させる。
【0039】
請求項6に記載の発明によれば、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサを搭載したことを特徴とするガス漏れ警報器が提供される。
【0040】
上記の薄膜ガスセンサを搭載したガス漏れ警報器として用いることが好ましい。
【0041】
請求項7に記載の発明によれば、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサの設定調節部を調節する薄膜ガスセンサ設定調節装置であって、
ヒータ層の両端電圧を測定するヒータ層電圧測定手段と、
シャント抵抗の両端電圧を測定するシャント抵抗電圧測定手段と、
測定したヒータ層およびシャント抵抗の両端電圧からヒータ層の消費電力を算出するヒータ層電力算出手段と、
ヒータ層の消費電力と目標電力とを比較して所望の消費電力となるようにデジタルポテンショメータの抵抗値を変更調節する変更調節手段と、
を備えることを特徴とした薄膜ガスセンサ設定調節装置が提供される。
【0042】
薄膜ガスセンサのシャント抵抗を通じて取得された情報に基づいて電力を算出し、この電力に基づいて設定装置がデジタルポテンショメータの抵抗値を変化させて設定調節部の抵抗値を増減させて、ヒータ層が最適出力をするように設定調節されるよう自動化を図る薄膜ガスセンサ設定調節装置が提供される。
【0043】
請求項8に記載の発明によれば、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサの設定調節部を調節する薄膜ガスセンサ設定調節装置であって、
ヒータ層の両端電圧を測定するヒータ層電圧測定手段と、
シャント抵抗の両端電圧を測定するシャント抵抗電圧測定手段と、
測定したヒータ層およびシャント抵抗の両端電圧からヒータ層の温度を算出するヒータ層温度算出手段と、
ヒータ層の温度と目標温度とを比較して所望の温度となるようにデジタルポテンショメータの抵抗値を変更調節する変更調節手段と、
を備えることを特徴とした薄膜ガスセンサ設定調節装置が提供される。
【0044】
薄膜ガスセンサのシャント抵抗を通じて取得された情報に基づいて温度を算出し、この温度に基づいて設定装置がデジタルポテンショメータの抵抗値を変化させて設定調節部の抵抗値を増減させて、ヒータ層が最適出力をするように設定調節されるよう自動化を図る薄膜ガスセンサ設定調節装置とした。
【0045】
請求項9に記載の発明によれば、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサの設定調節部を調節する薄膜ガスセンサ設定調節方法であって、
ヒータ層の両端電圧を測定し、
シャント抵抗の両端電圧を測定し、
測定したヒータ層およびシャント抵抗の両端電圧からヒータ層の消費電力を算出し、
ヒータ層の消費電力と目標電力とを比較して所望の消費電力となるようにデジタルポテンショメータの抵抗値を変更調節する、
ことを特徴とした薄膜ガスセンサ設定調節方法が提供される。
【0046】
薄膜ガスセンサのシャント抵抗を通じて取得された情報に基づいて電力を算出し、この電力に基づいてデジタルポテンショメータの抵抗値を変化させて設定調節部の抵抗値を増減させて、ヒータ層が最適出力をするように設定調節されるよう自動化を図る薄膜ガスセンサ設定調節方法とした。
【0047】
請求項10に記載の発明によれば、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサの設定調節部を調節する薄膜ガスセンサ設定調節方法であって、
ヒータ層の両端電圧を測定し、
シャント抵抗の両端電圧を測定し、
測定したヒータ層およびシャント抵抗の両端電圧からヒータ層の温度を算出し、
ヒータ層の温度と目標温度とを比較して所望の温度となるようにデジタルポテンショメータの抵抗値を変更調節する、
ことを特徴とした薄膜ガスセンサ設定調節方法が提供される。
【0048】
薄膜ガスセンサのシャント抵抗を通じて取得された情報に基づいて温度を算出し、この温度に基づいてデジタルポテンショメータの抵抗値を変化させて設定調節部の抵抗値を増減させて、ヒータ層が最適出力をするように設定調節されるよう自動化を図る薄膜ガスセンサ設定調節方法とした。
【発明の効果】
【0049】
請求項1に係る発明によれば、シャント抵抗およびヒータ層を通じて設定調節に必要な情報を取得し、この情報に基づいて設定調節部で設定調節を行うため、最適な消費電力または温度で出力する薄膜ガスセンサとすることができる。さらに設定調節はデジタルポテンショメータを操作して設定調節するため、低コストで設定調節も容易な薄膜ガスセンサとすることができる。
【0050】
また、請求項2に係る発明によれば、ヒータ層およびガス感応層が熱絶縁支持層の面上にそれぞれ設けられた構成が採用されたときにも出力の最適化および設定調節の容易化が実現された薄膜ガスセンサとすることができる。
【0051】
また、請求項3に係る発明によれば、熱絶縁支持層がヒータ層の面上に形成され、さらにガス感応層が熱絶縁支持層の面上に設けられた構成が採用されたときにも出力の最適化および設定調節の容易化が実現された薄膜ガスセンサとすることができる。
【0052】
また、請求項4に係る発明によれば、ガス感応層としてSnOが選択されるときにも出力の最適化および設定調節の容易化が実現された薄膜ガスセンサとすることができる。
【0053】
また、請求項5に係る発明によれば、Pd(パラジウム)またはPt(白金)を触媒として担持したAl焼結材であるガス選択燃焼層がさらに設けられて、ガス選択性を向上させるときにも出力の最適化および設定調節の容易化が実現された薄膜ガスセンサとすることができる。
【0054】
また、請求項6に係る発明によれば、出力の最適化および設定調節の容易化が実現された薄膜ガスセンサをガス漏れ警報器に搭載して、低コストで性能を向上させたガス漏れ警報器とすることができる。
【0055】
また、請求項7に係る発明によれば、算出した電力に基づいて設定調節を行って電力の最適化を実現する薄膜ガスセンサ設定調節装置を提供できる。
【0056】
また、請求項8に係る発明によれば、算出した温度に基づいて設定調節を行って電力の最適化を実現する薄膜ガスセンサ設定調節装置を提供できる。
【0057】
また、請求項9に係る発明によれば、算出した電力に基づいて設定調節を行って電力の最適化を実現する薄膜ガスセンサ設定調節方法を提供できる。
【0058】
また、請求項10に係る発明によれば、算出した温度に基づいて設定調節を行って電力の最適化を実現する薄膜ガスセンサ設定調節方法を提供できる。
【0059】
総じて以上のような本発明によれば、安価かつ簡易な構成により調節作業の高精度化および機械化を実現し、性能および生産性の向上を共に図る薄膜ガスセンサを提供することができる。
また、このような薄膜ガスセンサを搭載して性能および生産性の向上を共に図るガス漏れ警報器を提供することができる。
さらにまた、このような薄膜ガスセンサの調節作業を行う薄膜ガスセンサ設定調節装置および薄膜ガスセンサ設定調節方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、本発明を実施するための最良の形態の薄膜ガスセンサ、ガス漏れ警報器、薄膜ガスセンサ設定調節装置および薄膜ガスセンサ設定調節方法について図を参照しつつ説明する。なお、本形態の薄膜ガスセンサは、主にヒータ層に供給される電力やヒータ層の発熱温度の設定調節を行う点に特徴があり、薄膜ガスセンサの構造そのものは、図6で示した従来技術の薄膜ガスセンサ100と同じである。
【0061】
すなわち薄膜ガスセンサ100は、図6で示すように、Si基板1、熱絶縁支持層2、ヒータ層3、電気絶縁層4、ガス検出層5を備える。熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層21、CVD−Si層22、CVD−SiO層23の三層構造となっている。また、ガス検出層5は、詳しくは、接合層51、感知電極層52、ガス感応層53、ガス選択燃焼層54を備える。このガス感応層53はSbをドープしたSnO層であり、ガス選択燃焼層54は触媒担持Al焼結材である。そして、ヒータ層3およびガス検出層5(詳しくは感知電極層52を介してガス感応層53)は、駆動・処理部(図示せず)に接続されている。
【0062】
続いて各部構成について説明する。
Si基板1はシリコン(Si)により形成され、貫通孔を有するように形成される。
熱絶縁支持層2はこの貫通孔の開口部に張られてダイアフラム様に形成されており、Si基板1の上に設けられる。
【0063】
熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層21、CVD−Si層22、CVD−SiO層23の三層構造となっている。
熱酸化SiO層21は、熱絶縁層として形成され、ヒータ層3で発生する熱をSi基板1側へ熱伝導しないようにして熱容量を小さくする機能を有する。また、この熱酸化SiO層21はプラズマエッチングに対して高い抵抗力を示し、後述するがプラズマエッチングによるSi基板1への貫通孔の形成を容易にする。
CVD−Si層22は、熱酸化SiO層21の上側に形成される。
CVD−SiO層23は、ヒータ層3との密着性を向上させるとともに電気的絶縁を確保する。CVD(化学気相成長法)によるSiO層は内部応力が小さい。
【0064】
ヒータ層3は、薄膜状のNi−Cr膜(ニッケル−クロム膜)であって、熱絶縁支持層2のほぼ中央の上面に設けられる。また、図示しない電源供給ラインも形成される。この電源ラインは、後述するヒータ駆動回路に接続される。
電気絶縁層4は、電気的に絶縁を確保するスパッタSiO層からなり、熱絶縁支持層2およびヒータ層3を覆うように設けられる。ヒータ層3と感知電極層52との間に電気的な絶縁を確保し、また、電気絶縁層4はガス感応層53との密着性を向上させる。
【0065】
接合層51は、例えば、Ta膜(タンタル膜)またはTi膜(チタン膜)からなり、電気絶縁層4の上に設けられる。この接合層51は、感知電極層52と電気絶縁層4との間に介在して接合強度を高める機能を有している。
感知電極層52は、例えば、Pt膜(白金膜)またはAu膜(金膜)からなり、ガス感応層53の感知電極となるように左右一対に設けられる。
ガス感応層53は、SbをドープしたSnO層からなり、一対の感知電極層52,52を渡されるように電気絶縁層4の上に形成される。
【0066】
ガス選択燃焼層54は、白金(Pt)またはパラジウム(Pd)である触媒を担持した焼結体であり、先に説明したように触媒担持Al焼結材である。ガス選択燃焼層54は、ガス感応層53の表面に設けられる。Alは多孔質体であるため、孔を通過する検知ガスが触媒に接触する機会を増加させて燃焼反応を促進させる。ガス選択燃焼層54は、電気絶縁層4、接合層51、一対の感知電極層52,52およびガス感応層53の表面を覆うように設けられる。
このような薄膜ガスセンサはダイアフラム構造により高断熱,低熱容量の構造としている。
【0067】
なお、図示しない信号処理部がガス感知電極層52を介してガス感応層53と接続されており、信号処理部がガス感応層53のセンサ抵抗値の変化を検出してガス検出駆動が行われる。
同様に図示しないヒータ層電源がヒータ層3と接続されており、ガス感応層53のセンサ抵抗値の変化を検出するための最適な温度にてヒータ層3を駆動する。
薄膜ガスセンサ100の構成はこのようなものである。
【0068】
続いて、本形態の薄膜ガスセンサの製造方法について概略説明する。
まず、熱酸化SiO層21が、板状のシリコンウェハー(図示せず)の表裏両面に設けられる。熱酸化SiO層21は熱酸化法により熱酸化が施されて形成された熱酸化SiO膜である。
CVD−Si層22は、熱酸化SiO層21の上面に設けられる。このCVD−Si層22は、プラズマCVD法にて堆積して形成したCVD−Si膜である。
CVD−SiO層23は、CVD−Si層22の上面に設けられる。このCVD−SiO層23は、プラズマCVD法により堆積して形成したCVD−SiO膜である。
【0069】
ヒータ層3は、CVD−SiO層23の上面に設けられる。このヒータ層3は、スパッタリング法により蒸着して形成したNi−Cr膜である。
電気絶縁層4は、CVD−SiO層23とヒータ層3との上面に設けられる。この電気絶縁層4は、スパッタリング法により蒸着して形成したスパッタSiO膜である。
【0070】
接合層51は、電気絶縁層4の上に形成される。
感知電極層52は、接合層51の上に形成される。
これら接合層51および感知電極層52の成膜は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、通常のスパッタリング法によって行う。成膜条件は接合層(TaあるいはTi)51、感知電極層(PtあるいはAu)52とも同じで、Arガス(アルゴンガス)圧力1Pa、基板温度300℃、RFパワー2W/cm、膜厚は接合層51/感知電極層52=500Å/2000Åである。
【0071】
ガス感応層53は、一対の感知電極層52,52の間を渡されるように電気絶縁層4上に設けられる。ガス感応層53は、スパッタリング法により蒸着して形成したSb−doped SnO膜である。
成膜はRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、反応性スパッタリング法によって行う。ターゲットにはSbを0.5wt%含有するSnOを用いる。成膜条件はAr+Oガス圧力2Pa、基板温度150〜300℃、RFパワー2W/cmである。ガス感応層53の大きさは、50ないし200μm角程度、厚さは0.2ないし1.6μm程度が望ましい。
【0072】
ガス選択燃焼層54は、電気絶縁層4、接合層51、一対の感知電極層52,52およびガス感応層53を覆うように形成される。このガス選択燃焼層54は、PdやPtという触媒を担持したアルミナ粉末、バインダーおよび有機溶剤を混合調製した印刷ペーストをスクリーン印刷で印刷し、室温で乾燥後、500℃で1時間焼き付けすることにより形成される。ガス選択燃焼層54の大きさは、ガス感応層53を十分に覆う大きさとする。このようにスクリーン印刷により厚みを薄くしている。
【0073】
最後にシリコンウェハー(図示せず)は、その裏面から微細加工プロセスとしてエッチングによりシリコンが除去され、貫通孔が形成されたSi基板1となる。これによりダイアフラム構造の薄膜ガスセンサ100となる。そして、ヒータ層3はヒータ層電源に接続され、また、感知電極層52は信号処理部に通信可能に接続される。
薄膜ガスセンサ100の製造方法はこのようなものである。
【0074】
続いて薄膜ガスセンサのヒータ駆動回路およびヒータ駆動回路の設定調節について図を参照しつつ説明する。図1は本形態の薄膜ガスセンサのヒータ駆動回路および薄膜ガスセンサ設定調節装置を示す図である。薄膜ガスセンサ100にはヒータ駆動回路が形成されている。このヒータ駆動回路は、ヒータ層3、設定調節部7、シャント抵抗8が直列接続された回路である。なお、ヒータ層電源520は薄膜ガスセンサ100が内蔵しないこととなる。
【0075】
設定調節部7は、デジタルポテンショメータ71と、このデジタルポテンショメータ71に並列接続される固定抵抗72と、を有している。なお、設定調節部7に最大値の小さなデジタルポテンショメータを用いる場合、並列接続する固定抵抗72は不要である。
デジタルポテンショメータ71は、ワイパーコンタクト付きの固定抵抗を備えており、固定抵抗値Rsを256分割した値、つまりRdp=Rs・n/256(n=1〜256)の値から選択した可変抵抗値を設定することができる。このような可変抵抗値の設定は、薄膜ガスセンサ設定調節装置500の設定装置511からシリアル通信によりデジタルの設定値を入力することにより行われる。
固定抵抗72は、デジタルポテンショメータ71に並列に接続されており、デジタルポテンショメータ71(抵抗値Rdp)と固定抵抗72(抵抗値R)とで合成抵抗が形成される。この固定抵抗72によりヒータ層3のバラツキの幅に合わせ必要な調節分解能が取れるようにしており、さらに合成抵抗を可変としているのでヒータ層3に加わる電力を調節できるようにしている。
【0076】
ヒータ層3の両端にはヒータ層両端電圧(V)を計測するための端子が二個設けられている。これら二個の端子には薄膜ガスセンサ設定調節装置500の電圧計測部512(本発明のヒータ層電圧測定手段の一具体例である)が接続される。
シャント抵抗8の両端にはシャント抵抗両端電圧(Vhs)を計測するための端子が二個設けられている。これら二個の端子には薄膜ガスセンサ設定調節装置500の電圧計測部513(本発明のシャント抵抗電圧測定手段の一具体例である)が接続される。なお、シャント抵抗値(Rhs)は予め計測されたり、設計時に指定された抵抗値とすることにより、予め判別されているものとする。
【0077】
設定調節時には、図1に示すように、ヒータ層3、設定調節部7、シャント抵抗8を直列接続し、さらにヒータ層電源520が接続されてヒータ駆動回路が形成される。さらに、図1に示す設定装置511や電圧計測部512,513が接続されて計測や設定調節が可能になされる。これにより計測や調節が可能となる。
このヒータ駆動回路は、ヒータ層3の発熱に必要な電力がヒータ層電源520から供給されることとなる。ここで、ヒータ層電源520が供給する電力は所定の電力値とし、所定の電力値が供給された時にヒータ層3の発熱量は一定となるように調節される。
なお、このヒータ層電源520は外部に設置されるものであり、図1では薄膜ガスセンサ設定調節装置500が備えるものとして説明している。
【0078】
このような薄膜ガスセンサ100の設定調節部7は、ヒータ層3、ヒータ層電源520、設定調節部7およびシャント抵抗8により形成される直列回路のうちのヒータ層3およびシャント抵抗8を通じて取得された情報に基づいて、設定装置511を介して後述するような調節方法によりデジタルポテンショメータ71の抵抗値を変化させて設定調節部7の合成抵抗値を増減させて、ヒータ層3が最適出力をするように設定調節される。
そして、設定調節終了後に薄膜ガスセンサ設定調節装置500のヒータ層電源520、設定装置511や電圧計測部512,513が取り外されて、薄膜ガスセンサ100単体として出荷される。
【0079】
このような本発明の薄膜ガスセンサによれば、以下のような利点を有する。
一般に薄膜ガスセンサによれば、ウェハ内の面内バラツキに加え、ウェハ毎のヒータ層3の厚さおよび組成のバラツキに起因してヒータ層3の抵抗値は必ずしも一定値ではないが、本発明によれば、予めヒータ層3の出力電力や発熱温度が最適になるように設定調節部60を調節して出荷するため、検出対象であるガス(以下、被検出ガスという)感度が最大となり、かつ、検出対象ではないガス(以下、非検出ガスという)感度が最小となるセンサ温度で稼働される薄膜ガスセンサとすることができる。
【0080】
続いて、このような薄膜ガスセンサの設定調節を行う薄膜ガスセンサ設定調節装置について図を参照しつつ説明する。図2は本形態の薄膜ガスセンサ設定調節装置を説明する説明図である。薄膜ガスセンサ設定調節装置500は、設定調節用基板510、ヒータ電源520、計測処理装置530、中央処理装置540を備えている。
【0081】
設定調節用基板510は、薄膜ガスセンサ100を搭載すると図1で示したようにヒータ層電源520、設定装置511や電圧計測部512,513に電気的に接続できるように配線されている。図1では一個の薄膜ガスセンサ100を接続するものとして説明しているが、実際は図2で示すように多数(図2では6個)の薄膜ガスセンサを搭載するようにして設定調節作業の効率を高めている。
ヒータ電源520は、多数の薄膜ガスセンサ100のヒータ駆動回路と図1で示すように電気的に接続されて多数のヒータ駆動回路のヒータ層3へそれぞれ所定値の電力を供給する。
【0082】
計測処理装置530は、設定調節用基板510の電圧計測部512,513から出力されるアナログの計測信号であるヒータ層両端電圧およびシャント抵抗両端電圧を入力する。そして、デジタルの計測データであるヒータ層両端電圧およびシャント抵抗両端電圧を中央処理装置540へ出力する。
中央処理装置540は、ヒータ層両端電圧およびシャント抵抗両端電圧を用いて後述する設定調節方法によりデジタルポテンショメータ71の設定値を算出し、設定調節用基板510へ出力する。すると設定調節用基板510の設定装置511が設定値に基づいてデジタルポテンショメータ71に対して設定を行う。デジタルポテンショメータ71から設定装置511へ現在の設定値が返信され、設定の正否の確認を行いつつ最終的に設定値によるデジタルポテンショメータ71の抵抗値と固定抵抗72の抵抗値とによる合成抵抗に設定調節される。
薄膜ガスセンサ設定調節装置500の構成はこのようなものである。
【0083】
なお、図示しないが、実際の薄膜ガスセンサ設定調節装置による調節では、更なる作業効率化のため、例えば24個の薄膜ガスセンサを搭載可能とし、ワンチップで4個の独立したデジタルポテンショメータを内蔵したチップを6個用い、ヒータ層両端電圧およびシャント抵抗両端電圧の測定はAD変換ボードなどの計測処理装置により一括で中央処理装置(パソコンなどのコンピュータ)に取り込み、デジタルポテンショメータ71の設定も一括で行うようにしている。
【0084】
続いて中央処理装置540による設定調節フローについて図を参照しつつ説明する。図3は設定調節フローを説明するフローチャートである。ヒータ層消費電力により薄膜ガスセンサのヒータ層に加える電力を自動で調節するフローチャートである。
まず、中央処理装置540は、ヒータ層両端電圧Vおよびシャント抵抗両端電圧VhSの入力を行う(ステップS10)。中央処理装置540は、上記のように設定調節用基板510の電圧計測部512,513で計測され、計測処理装置530で変換出力されたヒータ層両端電圧Vおよびシャント抵抗両端電圧VhSを入力する。
【0085】
中央処理装置540は、ヒータ層消費電力Pを算出する(ステップS11)。ここでシャント抵抗8は設計により所定の抵抗値RhSが選択されているものであり、抵抗値RhSは予め登録されているものとする。この場合のヒータ層消費電力Pは、ヒータ駆動回路を流れる電流をIで表すと次式のようになる。
【0086】
[数1]
=V×I=V×VhS/RhS
【0087】
中央処理装置540は、ヒータ層目標電力Pとヒータ層消費電力Pとを比較する(ステップS12)。比較の結果、ヒータ層目標電力Pよりもヒータ層消費電力Pが小さい場合(ステップS13)には、ヒータ層消費電力Pを大きくするためヒータ層両端電圧Vを大きくする、すなわち設定調節部7の合成抵抗値をダウンさせるようなデジタルポテンショメータ71のステップ値i(i=1〜256)を設定する(ステップS16)。このステップ値の大きさはヒータ層目標電力Pとヒータ層消費電力Pとの差分値に比例した大きさだけ変化させる相対値とする。そして設定したステップ値を設定値として設定調節用基板510の設定装置511へシリアル通信により送信し、設定装置511がデジタルポテンショメータ71へ設定値を送信して設定を行い(ステップS18)、設定調節部7の合成抵抗値を小さくする。なお、デジタルポテンショメータ71から設定装置511へ現在の設定値が返信されて設定が正しくなされたかを確認している。
【0088】
一方、ヒータ層目標電力Pよりもヒータ消費電力Pが大きい場合(ステップS14)には、ヒータ層消費電力Pを小さくするためヒータ層両端電圧Vを小さくする、すなわち設定調節部7の合成抵抗値をアップさせるようなデジタルポテンショメータ71のステップ値i(i=1〜256)を設定する(ステップS17)。このステップ値の大きさはヒータ層目標電力Pとヒータ層消費電力Pとの差分値に比例した大きさだけ変化させる相対値とする。そして設定したステップ値を設定値として設定調節用基板510の設定装置511へシリアル通信により送信し、設定装置511がデジタルポテンショメータ71へ設定値を送信して設定を行い(ステップS18)、設定調節部7の合成抵抗値を大きくする。
【0089】
ステップS18終了後はステップS10の先頭に戻って以下同様の設定処理を行い、最終的にヒータ層目標電力Pとヒータ層消費電力Pとが等しい場合(ステップS15)には、最後の設定が正しいものとして調節処理を終了する。
調節はこのようにして行われ、ヒータ層の消費電力を所望の値に設定するものである。
【0090】
続いて中央処理装置540による他の設定調節フローについて図を参照しつつ説明する。まず、薄膜ガスセンサと温度との関係について図を参照しつつ説明する。図4は薄膜ガスセンサの温度−抵抗値を示す特性図である。この特性図では複数個(図4では4個)の薄膜ガスセンサを高温炉に入れて全体の温度を上げ、それぞれのヒータ層3の抵抗値変化を測定した結果の一例である。図4の特性図に示されるように、0℃から約500℃の温度範囲においてヒータ層3の抵抗値は温度に対してほぼ線形に変化している。言い換えると、ヒータ層3の抵抗値を測定することによりヒータ層3の温度が推定できる。推定は次式により行う。
【0091】
[数2]
=Rh0(1+αT)
ここで、
T:ヒータ層温度
:温度Tでのヒータ層抵抗値
h0:基準温度でのヒータ層抵抗値(例えば基準温度0℃等)
α:ヒータ層の温度抵抗係数
【0092】
この式から温度Tを求める式へ変形すると次式のようになる。
【0093】
[数3]
T=(R−Rh0)/αRh0
【0094】
この式からも明らかなように、ヒータ層3の電気抵抗であるヒータ層抵抗値Rを読み取り、読み取ったヒータ層抵抗値Rから数3によりヒータの温度Tを計算する。温度Tを計算するときに個々の薄膜ガスセンサのRh0とαを予め与える必要がある。ただし、薄膜ガスセンサを作成するウェハ内のバラツキは少ないので、これらの値は1枚のウェハから取れる薄膜ガスセンサでは同じ値を与えてもかまわない。
【0095】
続いて設定調節について説明する。図5は他の設定調節フローを説明するフローチャートである。算出したヒータ層温度により薄膜ガスセンサのヒータ層に加える電力を自動で調節するフローチャートである。
【0096】
まず、中央処理装置540は、ヒータ層両端電圧Vおよびシャント抵抗両端電圧VhSの入力を行う(ステップS20)。中央処理装置540は、上記のように設定調節用基板510の電圧計測部512,513で計測され、計測処理装置530で変換出力されたヒータ層両端電圧Vおよびシャント抵抗両端電圧VhSを入力する。
【0097】
中央処理装置540は、ヒータ層抵抗Rを算出する(ステップS21)。ここでシャント抵抗8は設計により所定の抵抗値RhSが選択されているものであり、抵抗値RhSは予め登録されているものとする。この場合のヒータ層抵抗Rは、ヒータ駆動回路を流れる電流をIで表すと次式のようになる。
【0098】
[数4]
=V/I=V×RhS /VhS
【0099】
中央処理装置540は、ヒータ層温度Tを算出する(ステップS22)。この場合のヒータ層温度Tは先に説明した[数3]のようになる。
【0100】
中央処理装置540は、ヒータ層目標温度Tとヒータ層温度Tとを比較する(ステップS23)。比較の結果、ヒータ層目標温度Tよりもヒータ層温度Tが小さい場合(ステップS24)には、ヒータ層温度Tを大きくするためヒータ層両端電圧Vを大きくする、すなわち設定調節部7の合成抵抗値をダウンさせるようなデジタルポテンショメータ71のステップ値i(i=1〜256)を設定する(ステップS27)。このステップ値の大きさはヒータ層目標温度Tとヒータ層温度Tとの差分値に比例した大きさだけ変化させる相対値とする。そして設定したステップ値を設定値として設定調節用基板510の設定装置511へシリアル通信により送信し、設定装置511がデジタルポテンショメータ71のステップ値の設定を行い(ステップS29)、設定調節部7の合成抵抗値を小さくする。なお、デジタルポテンショメータ71から現在の設定値が返信されて設定が正しくなされたかを確認している。
【0101】
一方、ヒータ層目標温度Tよりもヒータ層温度Tが大きい場合(ステップS25)には、ヒータ層温度Tを小さくするためヒータ層両端電圧Vを小さくする、すなわち設定調節部7の合成抵抗値をアップさせるようにデジタルポテンショメータ71のステップ値i(i=1〜256)を設定する(ステップS28)。このステップ値の大きさはヒータ層目標温度Tとヒータ層温度Tとの差分値に比例した大きさだけ変化させる相対値とする。そして設定したステップ値を設定値として設定調節用基板510の設定装置511へシリアル通信により送信し、設定装置511がデジタルポテンショメータ71のステップ値の設定を行い(ステップS29)、設定調節部7の合成抵抗値を大きくする。
【0102】
ステップS29の終了後にステップS20の先頭に戻って以下同様の設定処理を行い、最終的にヒータ層目標温度Tとヒータ層温度Tとが等しい場合には(ステップS26)には、最後の設定が正しいものとして調節処理を終了する。
調節はこのようにして行われ、ヒータ層の発熱温度を所望の値に設定するものである。このような設定調節フロー採用しても良い。
本発明の薄膜ガスセンサ、薄膜ガスセンサ設定調節装置および薄膜ガスセンサ設定調節方法はこのようなものである。
【0103】
なお、本発明の薄膜ガスセンサを搭載したガス漏れ警報器とすることも可能である。ガス漏れ警報器などに薄膜ガスセンサ100を搭載したときはガス漏れ警報器が内蔵するヒータ層電源が、薄膜ガスセンサが内蔵するヒータ層3、設定調節部7、シャント抵抗8と直列接続されて図1で示すようなヒータ駆動回路が形成されることとなる。この場合、電圧計測部512,513はガス漏れ警報器が内蔵していないため当然に接続されない。このようなガス漏れ警報器では、ヒータ層の発熱温度が最適化されているため、薄膜ガスセンサの検出能力が向上している。
【0104】
また、本発明の薄膜ガスセンサは先に図6,図7,図8を用いて説明した薄膜ガスセンサ100であるものとして説明したが、図9,図10の薄膜ガスセンサ200,300が図1で示したようにヒータ層3に直列接続される設定調節部7、シャント抵抗8を備え、さらにヒータ層3、設定調節部7、シャント抵抗8およびヒータ層電源と直列接続されてヒータ駆動回路を構成した場合には上記と同様の設定調節を行うことができる。さらに、これらのような薄膜ガスセンサ200,300を搭載したガス漏れ警報器や、これらのような薄膜ガスセンサ200,300に対する薄膜ガスセンサ設定調節装置および薄膜ガスセンサ設定調節方法としても良い。ヒータ駆動回路や設定調節は同様であるため、これらのような薄膜ガスセンサ200,300についても同様の効果が期待できる。
【0105】
以上本発明の薄膜ガスセンサ、ガス漏れ警報器、薄膜ガスセンサ設定調節装置および薄膜ガスセンサ設定調節方法について説明した。
総じて以上のような本発明によれば、従来技術で用いていた複雑な電源電圧の昇降圧回路や手動調節をなくしてコストを削減でき、安価かつ簡易な構成を追加することで調節作業の高精度化および機械化を実現し、性能および生産性の向上をともに図る薄膜ガスセンサを提供することができる。
また、このような薄膜ガスセンサを搭載して性能および生産性の向上をともに図るガス漏れ警報器を提供することができる。
さらにまた、このような薄膜ガスセンサの調節作業を行う薄膜ガスセンサ設定調節装置および薄膜ガスセンサ設定調節方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明を実施するための最良の形態の薄膜ガスセンサのヒータ駆動回路および薄膜ガスセンサ設定調節装置を示す図である。
【図2】本発明を実施するための最良の形態の薄膜ガスセンサ設定調節装置を説明する説明図である。
【図3】設定調節フローを説明するフローチャートである。
【図4】薄膜ガスセンサの温度−抵抗値を示す特性図である。
【図5】他の設定調節フローを説明するフローチャートである。
【図6】従来技術の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。
【図7】High−Off方式によるヒータ層温度の時間特性を説明する説明図である。
【図8】High−Low−Off方式によるヒータ層温度の時間特性を説明する説明図である。
【図9】従来技術の他の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。
【図10】従来技術の他の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。
【図11】酸化スズのセンサ温度−抵抗値を示す特性図である。
【図12】酸化スズのセンサ温度−規格化抵抗値を示す特性図である。
【符号の説明】
【0107】
100,200,300:薄膜ガスセンサ
1:Si基板
2:絶縁支持層
21:熱酸化SiO
22:CVD−Si
23:CVD−SiO
3:ヒータ層
4:電気絶縁層
5:ガス検出層
51:接合層
52:感知電極層
53:感知層(SnO層)
54:ガス選択燃焼層(Pd担持Al焼結材)
55:ヒータ層を兼ねた感知電極層
6:ボンディングワイヤ
7:設定調節部
71:デジタルポテンショメータ
72:固定抵抗
8:シャント抵抗
500:薄膜ガスセンサ設定調節装置
510:設定調節用基板
511:設定装置
512:電圧計測部
513:電圧計測部
520:ヒータ層電源
530:計測処理装置
540:中央処理装置(コンピュータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着したガスによりその電気抵抗値が変化するガス感応層と、
このガス感応層の近傍に設けられて、該ガス感応層を加熱するヒータ層と、
デジタルポテンショメータを有し、ヒータ層に加える電力を設定調節する設定調節部と、
ヒータ層からの出力についての情報を取得するためのシャント抵抗と、
を備え、
前記設定調節部は、ヒータ層、設定調節部およびシャント抵抗により形成される直列回路に電源を供給したときのヒータ層およびシャント抵抗を通じて取得された情報に基づいて、デジタルポテンショメータの抵抗値を変化させて設定調節部の抵抗値を増減させて、ヒータ層が最適出力をするように設定調節されたものであることを特徴とする薄膜ガスセンサ。
【請求項2】
前記薄膜ガスセンサは、貫通孔を有するSi基板と、
この貫通孔の開口部に張られるダイアフラム様の熱絶縁支持層と、
を備え、
前記ヒータ層および前記ガス感応層は、前記熱絶縁支持層における一方の面上にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1に記載の薄膜ガスセンサ。
【請求項3】
前記薄膜ガスセンサは、貫通孔を有するSi基板と、
この貫通孔の開口部に張られるダイアフラム様の熱絶縁支持層と、
この熱絶縁支持層上に設けられるヒータ層と、
前記熱絶縁支持層および前記ヒータ層を覆うように設けられる電気絶縁層と、
この電気絶縁層上に設けられるガス感応層と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の薄膜ガスセンサ。
【請求項4】
前記ガス感応層は、SnOにより形成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサ。
【請求項5】
前記薄膜ガスセンサは、更に前記ガス感応層の表面を覆うように設けられ、Pd(パラジウム)またはPt(白金)を触媒として担持したAl焼結材によるガス選択燃焼層を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサを搭載したことを特徴とするガス漏れ警報器。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサの設定調節部を調節する薄膜ガスセンサ設定調節装置であって、
ヒータ層の両端電圧を測定するヒータ層電圧測定手段と、
シャント抵抗の両端電圧を測定するシャント抵抗電圧測定手段と、
測定したヒータ層およびシャント抵抗の両端電圧からヒータ層の消費電力を算出するヒータ層電力算出手段と、
ヒータ層の消費電力と目標電力とを比較して所望の消費電力となるようにデジタルポテンショメータの抵抗値を変更調節する変更調節手段と、
を備えることを特徴とした薄膜ガスセンサ設定調節装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサの設定調節部を調節する薄膜ガスセンサ設定調節装置であって、
ヒータ層の両端電圧を測定するヒータ層電圧測定手段と、
シャント抵抗の両端電圧を測定するシャント抵抗電圧測定手段と、
測定したヒータ層およびシャント抵抗の両端電圧からヒータ層の温度を算出するヒータ層温度算出手段と、
ヒータ層の温度と目標温度とを比較して所望の温度となるようにデジタルポテンショメータの抵抗値を変更調節する変更調節手段と、
を備えることを特徴とした薄膜ガスセンサ設定調節装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサの設定調節部を調節する薄膜ガスセンサ設定調節方法であって、
ヒータ層の両端電圧を測定し、
シャント抵抗の両端電圧を測定し、
測定したヒータ層およびシャント抵抗の両端電圧からヒータ層の消費電力を算出し、
ヒータ層の消費電力と目標電力とを比較して所望の消費電力となるようにデジタルポテンショメータの抵抗値を変更調節する、
ことを特徴とした薄膜ガスセンサ設定調節方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサの設定調節部を調節する薄膜ガスセンサ設定調節方法であって、
ヒータ層の両端電圧を測定し、
シャント抵抗の両端電圧を測定し、
測定したヒータ層およびシャント抵抗の両端電圧からヒータ層の温度を算出し、
ヒータ層の温度と目標温度とを比較して所望の温度となるようにデジタルポテンショメータの抵抗値を変更調節する、
ことを特徴とした薄膜ガスセンサ設定調節方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−281758(P2009−281758A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131587(P2008−131587)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(508296738)富士電機機器制御株式会社 (299)
【Fターム(参考)】