説明

薄膜ソーラー製造中に基板温度を制御する装置及び方法

薄膜ソーラーセル製造中に基板温度を制御する装置及び方法が提供される。1つの方法は、第1チャンバ内で、ある時間周期中に基板を予熱するように基板上で温度安定化プロセスを遂行し、第2チャンバに対する待機時間周期を計算し、待機時間周期中の基板からの熱の損失を補償するよう温度安定化時間周期を調整することを含み、上記待機時間周期は、第2チャンバの利用性、第1チャンバから第2チャンバへ基板を移送するように適応される真空移送ロボットの利用性、又はその両方に基づく。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般的に、薄膜ソーラー製造中に基板温度を制御する装置及び方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]結晶性シリコンソーラーセル及び薄膜ソーラーセルは、ソーラーセルの2つの形式である。結晶性シリコンソーラーセルは、典型的に、単結晶性基板(即ち、純粋なシリコンの単結晶性基板)、又は多結晶性シリコン基板(即ち、多結晶性又はポリシリコン)のいずれかを使用する。光の捕捉を改善し、電気回路を形成し、且つデバイスを保護するために、シリコン基板上に付加的な膜層が堆積される。薄膜ソーラーセルは、適切な基板上に堆積された薄い材料層を使用して、1つ以上のp−i−n接合を形成する。
【0003】
[0003]図1は、光又は太陽放射101に向けられた単一のp−i−n接合型薄膜ソーラーセル100の特定の実施形態の概略図である。このソーラーセル100は、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板、又は他の適切な基板のような基板102を備えている。基板102上に第1の透明導電性酸化物(TCO)層110が形成される。pドープのシリコン層122、真性シリコン層124及びnドープのシリコン層126を含む単一のp−i−n接合120が第1のTCO層110上に形成される。一実施形態では、pドープのシリコン層122と真性シリコン層124との間にアモルファスシリコンバッファ層(図示せず)が形成される。真性シリコン層124は、典型的に、アモルファスシリコンで構成される。一実施形態において、nドープのシリコン層126は、異なる抵抗率を各々が有する二重層で構成される。単一のp−i−n接合120にわたって第2のTCO層140が形成され、次いで、この第2のTCO層140上に金属後方反射層150が形成される。
【0004】
[0004]図2は、光又は太陽放射201に向けられたタンデムp−i−n接合型薄膜ソーラーセル200の特定の実施形態の概略図である。このソーラーセル200は、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板、又は他の適切な基板のような基板202を備えている。基板202上に第1の透明導電性酸化物(TCO)層210が形成される。pドープのシリコン層222、真性シリコン層224及びnドープのシリコン層226を含む第1のp−i−n接合220が第1のTCO層210上に形成される。この第1のp−i−n接合220の真性シリコン層224は、典型的に、アモルファスシリコンで構成される。一実施形態では、pドープのシリコン層222と真性シリコン層224との間にアモルファスシリコンバッファ層(図示せず)が形成される。pドープのシリコン層232、真性シリコン層234及びnドープのシリコン層236を含む第2のp−i−n接合230が、第1のp−i−n接合220上に形成される。第2のp−i−n接合230の真性シリコン層234は、典型的に、多結晶性シリコンで構成される。第2のp−i−n接合230上に第2のTCO層240が形成され、次いで、第2のTCO層240の上には金属後方反射層250が形成される。タンデムp−i−n接合型薄膜ソーラーセル200は、典型的に、太陽放射スペクトルの異なる部分が捕捉されるように異なる材料の真性シリコン層224、234を備えている。
【0005】
[0005]現在の薄膜ソーラーセルに伴う問題は、効率が低く、コストが高いことを含む。それ故、薄膜ソーラーセルを形成するための改良された装置及び方法が要望されている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本発明の実施形態は、一般的に、薄膜ソーラー製造中に基板温度を制御する装置及び方法を提供する。一実施形態では、基板上に薄膜ソーラーセルを形成する方法が提供される。この方法は、第1チャンバ内で基板安定化時間周期中に基板を予熱するように基板上で温度安定化プロセスを遂行するステップ、第2チャンバに対する待機時間周期を計算するステップを含むが、この待機時間周期は、第2チャンバの利用性、第1チャンバから第2チャンバへ基板を移送するのに適応された真空移送ロボットの利用性、又はこれら第2チャンバの利用性及び真空移送ロボットの利用性の両方の組合せ、に基づくものであり、更に、待機時間周期中の基板からの熱の損失を補償するように温度安定化時間周期を調整するステップを含む。
【0007】
[0007]別の実施形態では、基板上に薄膜ソーラーセルを形成する方法が提供される。この方法は、移送チャンバと、移送チャンバに結合された1つ以上の処理チャンバと、移送チャンバに配置された基板移送ロボットと、移送チャンバに結合され、複数の加熱素子を有する余熱チャンバを有するロードロックチャンバとを備えた真空システムを準備するステップ、余熱チャンバ内で基板を第1温度へ余熱するステップ、基板移送ロボットで基板を、余熱チャンバから、p−i−n接合のp型シリコン層を堆積するように適応される第1処理チャンバへ移送するステップ、基板のp−i−n接合上に第2温度でp型シリコン層を形成するステップを含む。
【0008】
[0008]更に別の実施形態では、基板上に薄膜ソーラーセルを形成するための真空システムが提供される。このシステムは、移送チャンバと、移送チャンバに結合された1つ以上の処理チャンバと、移送チャンバに配置された基板移送ロボットと、移送チャンバに結合されたロードロックチャンバとを備えている。ロードロックチャンバは、第1の排気可能なチャンバと、第2の排気可能なチャンバと、基板安定化時間周期中に基板上で温度安定化プロセスを遂行するように適応された余熱チャンバとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
[0009]本発明の前述した特徴を詳細に理解できるように、概要について簡単に前述した本発明について、幾つかを添付図面に例示している実施形態に関して、以下により特定して説明する。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを例示したもので、従って、本発明の範囲は、それに限定されるものではなく、本発明は、同等の効果を発揮できる他の実施形態も包含できることに注意されたい。
【図1】単一p−i−n接合型薄膜ソーラーセルの特定の実施形態の概略図である。
【図2】タンデムp−i−n接合型薄膜ソーラーセルの特定の実施形態の概略図である。
【図3】複数のPECVDプロセスチャンバを有するプロセスシステムの一実施形態の概略上面図である。
【図4】複数のPECVDプロセスチャンバを有するプロセスシステムの別の実施形態の概略上面図である。
【図5】ロードロックチャンバの一実施形態の概略断面図である。
【図6】プラズマ増強化学的気相堆積(PECVD)チャンバの一実施形態の概略断面図である。
【0010】
[0016]理解を容易にするため、複数の図面に共通の同一要素を示すのにできるだけ同一の参照番号が使用されている。特定の実施形態に開示された要素は、特に記載がなくても、他の実施形態にも有益に利用できることが意図される。
【詳細な説明】
【0011】
[0017]本発明の実施形態は、薄膜ソーラー製造中に基板温度を制御する改良された装置及び方法を包含する。
【0012】
[0018]図3は、製造にふさわしいプロセス内で図1及び図2のソーラーセルのような薄膜ソーラーセルを形成するためにシリコン膜を堆積するように適応された複数のPECVDプロセスチャンバ331−335を有するプロセスシステム300の一実施形態の概略上面図である。このプロセスシステム300は、ロードロックチャンバ310及びプロセスチャンバ331−335に結合された移送チャンバ320を含む。ロードロックチャンバ310は、システムの外側の周囲環境と、移送チャンバ320及びプロセスチャンバ331−335内の真空環境との間で基板を移送できるようにする。ロードロックチャンバ310は、1つ以上の基板を保持する1つ以上の排気可能な領域を含む。排気可能な領域は、システム300へ基板を入れる間にポンプダウンされ、システム300から基板を出す間に通気される。移送チャンバ320には、ロードロックチャンバ310とプロセスチャンバ331−335との間で基板を移送するように適応された少なくとも1つの真空ロボット322が配置されている。システムコントローラ340は、ロードロックチャンバ310、真空ロボット322を含む移送チャンバ320、プロセスチャンバ331−335、及びシステム300に結合されたパイロメータ350のような温度測定装置を制御する。図3には、5つのプロセスチャンバが示されている。しかしながら、システムは、適切な数のプロセスチャンバを有することができ、例えば、図4に示すシステム400では7つのプロセスチャンバ431−437を有することができる。
【0013】
[0019]図4は、複数のPECVDプロセスチャンバ431−437を有するプロセスシステム400の別の実施形態の概略上面図である。図3のシステム300について述べたように、図4のシステム400は、ロードロックチャンバ410及びプロセスチャンバ431−437に結合された移送チャンバ420を含む。ロードロックチャンバ410は、少なくとも1つの真空ロボット422を有する。システムコントローラ440は、ロードロックチャンバ410、真空ロボット422を含む移送チャンバ420、プロセスチャンバ431−437、及びシステム400に結合されたパイロメータ450のような温度測定装置を制御する。
【0014】
[0020]図5は、ロードロックチャンバ500の一実施形態の概略断面図である。ロードロックチャンバ500は、第1の排気可能なチャンバ510及び第2の排気可能なチャンバ520を備えている。図示されたように、各排気可能なチャンバ510、520は、2つの基板を保持するように適応される2セットの基板支持体530a、530bを有する。他の実施形態において、排気可能なチャンバ510、520の各々は、1つ以上の基板を保持するために適切なセット数の基板支持体を有することができる。ロードロックチャンバ500は、更に、基板を予熱するための複数の加熱素子542、例えば、赤外線加熱ランプのような加熱ランプを有する余熱チャンバ540を備えることができる。図示されたように、余熱チャンバ540は、1セットの基板支持体530を有する。他の実施形態において、余熱チャンバは、1つ以上の基板を保持するために適切なセット数の基板支持体を有することができる。
【0015】
[0021]図6は、プラズマ増強化学的気相堆積(PECVD)チャンバ600の一実施形態の概略断面図である。1つの適切なプラズマ増強化学的気相堆積チャンバが、カリフォルニア州サンタクララに所在のアプライドマテリアルズ社から入手できる。他の製造者からのものを含む他の堆積チャンバを使用して、本発明を実施できることも意図される。
【0016】
[0022]チャンバ600は、一般的に、壁602と、底部604と、シャワーヘッド610と、基板支持体630とを備え、これらでプロセス容積部606が画成される。このプロセス容積部は、チャンバ600に基板を移送、更にチャンバ600から基板を移送できるようにバルブ608を通してアクセスされる。バルブ608をシールするためのスリットバルブドア607が設けられる。基板支持体630は、基板を支持するための基板受け入れ面632と、基板支持体630を上げ下げするためにリフトシステム636に結合されたステム634とを含む。基板の周囲には、シャドーフレーム633を任意に置くことができる。基板を基板受け入れ面632に移動、更に基板受け入れ面632から移動するために、基板支持体630を貫通してリフトピン638が可動に配設される。また、基板支持体630は、この基板支持体630を所望の温度に維持するために加熱及び/又は冷却素子639を含むこともできる。また、基板支持体630は、この基板支持体630の周囲にRF接地を与えるために接地ストラップ631を含むこともできる。
【0017】
[0023]シャワーヘッド610は、その周囲内でサスペンション614によりバッキングプレート612に結合される。また、シャワーヘッド610は、シャワーヘッド610のたるみを防止し、更に/又はその直線性/曲率を制御する上で助けとなるように1つ以上の中央支持体616によってもバッキングプレートに結合することができる。バッキングプレート612及びシャワーヘッド610を通して基板受け入れ面632へガスを供給するためにバッキングプレート612にガス源620が結合される。プロセス容積部606を所望の圧力に制御するためにチャンバ600に真空ポンプ609が結合される。バッキングプレート612及び/又はシャワーヘッド610にRF電源622が結合されて、シャワーヘッド610へRF電力を供給し、シャワーヘッドと基板支持体との間に電界を生成して、シャワーヘッド610と基板支持体630との間のガスからプラズマを発生できるようにする。約0.3MHzから約200MHzの周波数のような種々のRF周波数を使用することができる。一実施形態では、13.56MHzの周波数のRF電源が設けられる。
【0018】
[0024]ガス源とバッキングプレートとの間にはリモートプラズマ源624を結合することもできる。基板の処理と処理との間に、リモートプラズマ源624へ洗浄ガスを供給してリモートプラズマを発生し、チャンバコンポーネントの洗浄を行うことができる。洗浄ガスは、シャワーヘッドに対して設けられるRF電源622によって更に励起することができる。
【0019】
[0025]本発明の特定の実施形態において、図3のシステム300又は図4のシステム400のようなシステムは、図1の単一p−i−n接合、又は図2のp−i−n接合230、240の1つのような単一p−i−n接合を堆積するように構成される。プロセスチャンバ(換言すれば、Pチャンバ)の1つ、例えば、図3のプロセスチャンバ331−335の1つ、又は図4のプロセスチャンバ431−437の1つは、p−i−n接合のpドープのシリコン層を堆積するように構成される一方、残りのプロセスチャンバ、例えば、図3の残りのプロセスチャンバ331−335又は図4の残りのプロセスチャンバ431−437は、各々が真性型のシリコン層及びnドープのシリコン層の両方を堆積するように構成される(換言すれば、I−Nチャンバ)。従って、基板は、ロードロックチャンバを通してシステムへ入る。特定の実施形態では、真空ロボットが基板を余熱チャンバへ移送する。真空ロボットは、その後、基板をPチャンバへ移送する。次いで、真空ロボットは、基板をI−Nチャンバへ移送する。次いで、真空ロボットは、基板をロードロックチャンバへ戻すように移送する。
【0020】
[0026]特定の場合には、真空ロボットは、チャンバから基板を取り出した後、その基板を次のチャンバへ移送するために、次のチャンバが使用可能になるのを待機しなければならないことがあり、例えば、次のチャンバは、現在、異なる基板を処理している。例えば、真空ロボットは、余熱チャンバから基板を取り出した後、Pチャンバの準備ができるのを待機しなければならないことがある。別の例において、真空ロボットは、Pチャンバから基板を取り出した後、I−Nチャンバの準備ができるのを待機しなければならないことがある。待機中に、基板は、熱の損失を受ける。特定の実施形態において、図3のシステムコントローラ340又は図4のシステムコントローラ440のようなシステムコントローラは、次に空くチャンバの待機時間を決定する。真空ロボットの待機時間に依存して、システムコントローラは、その待機時間中の基板の熱損失を補償するために次に空くチャンバで遂行される基板温度安定化ステップを増加させる。
【0021】
[0027]例えば、真空ロボットは、Pチャンバから基板を取り出す。真空ロボットに対するI−Nチャンバの待機時間が60秒から70秒である場合には、真空ロボットにおいて待機した基板の処理中に30秒から45秒の付加的な基板温度安定化時間だけ基板温度安定化ステップが増加される。
【0022】
[0028]ソーラーセルの性能は、真性層中の膜成長の温度に非常に敏感である。理論で縛るつもりはないが、pドープのシリコン層と真性層との界面の制御が重要であると考えられる。というのは、その界面へのダメージがあると、pドープのシリコン層から真性シリコン層へのp型ドーパントの拡散が生じ得るからである。従って、pドープのシリコン層と真性層との界面における電子・ホール対の再結合の増加のために吸収真性層からの光収集効率が低下する。別の理論では、シリコン膜の堆積中に温度を維持すると、品質及び導電率の均一性を改善し、ひいては、効率を改善する上で助けとなると考えられる。
【0023】
[0029]従って、システムコントローラは、真空ロボットの待機時間に基づいて基板温度安定化時間をダイナミックに調整する。特定の実施形態において、基板温度安定化時間の調整は、種々の移送に対する所定の時間値又は真空ロボット待機時間から外挿することができる。他の実施形態において、基板温度安定化時間の調整は、基板の実際の温度に基づいて行うことができる。例えば、基板の温度は、移送チャンバ内、又はPECVDチャンバの全く外側に配置されたパイロメータにより測定することができる。次いで、基板の温度に依存して、基板温度安定化時間が調整される。
【0024】
[0030]堆積チャンバの前方に配置された温度センサ(パイロメータ)を使用することにより温度損失を測定し、パイロメータからの測定温度に基づきソフトウェアで「長い」安定化を設定することができる。
【0025】
[0031]特定の場合において、基板は、真空ロボットがPチャンバからそれを取り出す準備ができるのを待機しなければならない。典型的に、基板は、リフトピンにより基板支持体から取り外される非接触位置で待機する。従って、基板は、熱損失を受ける。この熱損失を補償するため、真空ロボットがPチャンバから基板を取り出す準備ができるまで待機しなければならない場合に、システムコントローラは、基板支持体上の基板を接触位置に移動させる一方、真空ロボットが移送に利用できるまで基板支持体の加熱素子が基板を加熱する。基板の加熱中に、ヘリウム、水素、又は別の非反応性ガスのような任意のガス流を与えて、均一な基板温度を維持することができる。特定の実施形態では、均一な基板温度を与える上で助けとなるように、ガス流が高い圧力で与えられる。
【0026】
[0032]他の実施形態において、余熱チャンバ内での基板の予熱は、Pチャンネルにおける所望の基板温度より若干高い予熱温度に設定される。より高い余熱チャンバは、基板が余熱チャンバからPチャンバへ移送されるときに熱の損失を補償する。
実施例
[0033]ここに開示する実施例は、事実上の例示であり、請求の範囲で明確に記載されない限り、本発明の範囲を限定することを意味していない。以下に述べるプロセス条件は、例示に過ぎない。他のプロセス条件及び範囲も考えられる。
実施例1
[0034]表面積57,200cm及び厚み3mmの基板が、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手できるPECVD 60K薄膜ソーラーシステムにおいて処理されて、単一接合P−I−Nソーラーセルが形成された。PECVD 60K薄膜ソーラーシステムの内部チャンバ容積は、約2,700リッターである。
【0027】
[0035]表1(a)は、余熱チャンバからPチャンバへの待機時間がゼロ又は最小の状態でPECVDチャンバ内でpドープのアモルファスシリコン層を堆積するためのプロセス条件を示している。処理中に、圧力が約1トールから4トールに設定され、間隔が400ミルから約800ミルに設定され、また、基板支持体の温度が約150℃から約300℃に設定された。p型ドーパントは、Hのようなキャリアガス中にトリメチルボロン(TMB)が0.5%含まれたものであった。
【0028】
【表1】

【0029】
[0035]表1(b)は、PチャンバからI−Nチャンバへの待機時間がゼロ又は最小の状態でPECVDチャンバ内で真性アモルファスシリコン層及びnドープのアモルファスシリコン層を堆積するためのプロセス条件を示す。処理中に、圧力が約1トールから4トールに設定され、間隔が400ミルから約800ミルに設定され、また、基板支持体の温度が約150℃から約300℃に設定された。n型ドーパントは、Hのようなキャリアガス中にホスフィンが0.5%モル又は容積濃度で含まれたものであった。
【0030】
【表2】

【0031】
実施例2
[0037]表面積57,200cm及び厚み3mmの基板が、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手できるPECVD 60K薄膜ソーラーシステムにおいて処理されて、タンデム接合P−I−Nソーラーセルが形成された。PECVD60K薄膜ソーラーシステムの内部チャンバ容積は、約2,700リッターである。
【0032】
[0038]表2(a)は、余熱チャンバからPチャンバへの待機時間がゼロ又は最小の状態でPECVDチャンバ内で第1のp−i−n接合のpドープのアモルファスシリコン層を堆積するためのプロセス条件を示している。処理中、圧力が約1トールから4トールに設定され、間隔が400ミルから約800ミルに設定され、また、基板支持体の温度が約150℃から約300℃に設定された。p型ドーパントは、Hのようなキャリアガス中にトリメチルボロン(TMB)が0.5%含まれたものであった。
【0033】
【表3】

【0034】
[0039]表2(b)は、PチャンバからI−Nチャンバへの待機時間がゼロ又は最小の状態でPECVDチャンバ内で真性アモルファスシリコン層及び第1のp−i−n接合のnドープの微結晶性シリコン層を堆積するためのプロセス条件を示す。処理中に、圧力が約1トールから12トールに設定され、間隔が400ミルから約800ミルに設定され、また、基板支持体の温度が約150℃から約300℃に設定された。n型ドーパントは、Hのようなキャリアガス中にホスフィンが0.5%モル又は容積濃度で含まれたものであった。
【0035】
【表4】

【0036】
[0040]表2(c)は、予熱チャンバからPチャンバへの待機時間がゼロ又は最小の状態でPECVDチャンバ内で第2のp−i−n接合のpドープの微結晶性シリコン層を堆積するためのプロセス条件を示す。処理中に、圧力が約4トールから12トールに設定され、間隔が400ミルから約1,500ミルに設定され、また、基板支持体の温度が約150℃から約300℃に設定された。p型ドーパントは、Hのようなキャリアガスにトリメチルボロン(TMB)が0.5%含まれたものであった。
【0037】
【表5】

【0038】
[0041]表2(d)は、PチャンバからI−Nチャンバへの待機時間がゼロ又は最小の状態でPECVDチャンバ内で真性微結晶性シリコン層及び第2のp−i−n接合のnドープのアモルファスシリコン層を堆積するためのプロセス条件を示す。処理中に、圧力が約1トールから12トールに設定され、間隔が400ミルから約800ミルに設定され、また、基板支持体の温度が約150℃から約300℃に設定された。n型ドーパントは、Hのようなキャリアガス中にホスフィンが0.5%モル又は容積濃度で含まれたものであった。
【0039】
【表6】

【0040】
[0042]本発明の実施形態は、インラインシステム、及びインライン/クラスターのハイブリッドシステムにおいても実現できることを理解されたい。例えば、本発明の実施形態は、第1のp−i−n接合及び第2のp−i−n接合を形成するように構成された第1のシステムを参照して説明された。本発明の他の実施形態では、第1のp−i−n接合及び第2のp−i−n接合を単一システムで形成できることを理解されたい。例えば、本発明の実施形態は、真性型層及びn型層の両方を堆積するように適応されたプロセスチャンバを参照して説明された。本発明の他の実施形態では、真性型層及びn型層を堆積するように別々のチャンバを適応させられることを理解されたい。また、本発明の他の実施形態では、p型層及び真性型層の両方を堆積するようにプロセスチャンバを適応させられることを理解されたい。
実施例3
[0043]表3は、実施例2及び実施例3で示された基板温度安定化時間に対して与えられる付加的な基板温度安定化時間の一例である。調整は、真空ロボット待機時間又は測定された基板温度に基づいて行うことができる。
【0041】
【表7】

【0042】
[0044]基板内の均一性及び運転ごとの均一性の両方に関してソーラーセル性能の変動を改善する、薄膜ソーラー製造中に基板温度を制御する改良された装置及び方法が提供された。理論に縛られることなく、本発明者は、PIN型のシリコン薄膜ソーラーセルの性能が多数の理由で成長中の膜の温度に非常に敏感であることが分かった。第1に、窓層のP型半導体膜の品質は、温度により生じる導電率の変化のために温度に非常に敏感である。第2に、P型層とI型層の界面における温度制御は、青い光の吸収を回避することが重要であり、その界面がP型層からのドーパントの拡散によってダメージを受けた場合には、吸収真性層からの光収集効率が、P−I界面における電子・ホール対の再結合の増加のために著しく影響を受けることになる。第3に、I型層の堆積温度が、ドーパント拡散のスレッシュホールド温度より高い場合には、P−I界面へのドーパント拡散の増加がソーラーセルの性能に著しく影響する。それ故、膜堆積プロセス中の正確な温度制御及び処理中の基板移送を与える、ここに開示する装置及び方法が要望される。
【0043】
[0045]以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに、他の実施形態及び更に別の実施形態を案出することができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。例えば、プロセスチャンバは、水平位置で示された。本発明の他の実施形態において、プロセスチャンバは、非水平位置、例えば、垂直位置でもよいことを理解されたい。例えば、本発明の実施形態は、複数プロセスチャンバクラスターツールを参照して説明された。また、本発明の実施形態は、インラインシステム及びインライン/クラスターのハイブリッドシステムでも実現できることを理解されたい。例えば、本発明の実施形態は、第1のp−i−n接合及び第2のp−i−n接合を形成するように構成された第1のシステムを参照して説明された。本発明の他の実施形態では、第1のp−i−n接合及び第2のp−i−n接合を単一のシステムにおいて形成できることを理解されたい。例えば、本発明の実施形態は、真性型層及びn型層の両方を堆積するように適応されたプロセスチャンバを参照して説明された。本発明の他の実施形態では、真性型層及びn型層を堆積するように別々のチャンバを適応させてもよいことが理解されよう。また、本発明の他の実施形態では、p型層及び真性型層の両方を堆積するようにプロセスチャンバを適応させてもよいことが理解されよう。
【符号の説明】
【0044】
100…単一p−i−n接合型薄膜ソーラーセル、101…光又は太陽放射、102…基板、110…第1の透明導電性酸化物(TCO)層、120…単一p−i−n接合、122…pドープのシリコン層、124…真性シリコン層、126…nドープのシリコン層、140…第2のTCO層、150…金属後方反射層、200…タンデムp−i−n接合型薄膜ソーラーセル、201…光又は太陽放射、202…基板、210…第1の透明導電性酸化物(TCO)層、220…第1のp−i−n接合、222…pドープのシリコン層、224…真性シリコン層、226…nドープのシリコン層、230…第2のp−i−n接合、232…pドープのシリコン層、234…真性シリコン層、236…nドープのシリコン層、240…第2のTCO層、300…プロセスシステム、310…ロードロックチャンバ、320…移送チャンバ、331−335…PECVDプロセスチャンバ、340…システムコントローラ、400…プロセスシステム、410…ロードロックチャンバ、420…移送チャンバ、422…真空ロボット、431−437…PECVDプロセスチャンバ、440…システムコントローラ、450…パイロメータ、500…ロードロックチャンバ、510、520…排気可能なチャンバ、530a、530b…基板支持体、540…余熱チャンバ、542…加熱素子、600…PECVDチャンバ、602…壁、604…底部、606…プロセス容積部、607…スリットバルブ、608…バルブ、609…真空ポンプ、610…シャワーヘッド、612…バッキングプレート、614…サスペンション、620…ガス源、622…RF電源、624…リモートプラズマ源、630…基板支持体、631…接地ストラップ、632…基板受け入れ面、633…シャドーフレーム、634…ステム、636…リフトシステム、638…リフトピン、639…加熱及び/又は冷却素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に薄膜ソーラーセルを形成する方法において、
第1チャンバ内で基板安定化時間周期中に基板を予熱するように基板上で温度安定化プロセスを遂行するステップと、
第2チャンバに対する待機時間周期を計算するステップであって、この待機時間周期は、上記第2チャンバの利用性、上記第1チャンバから上記第2チャンバへ基板を移送するように適応される真空移送ロボットの利用性、又はこれら第2チャンバの利用性及び真空移送ロボットの利用性の両方の組合せ、に基づくものである前記ステップと、
上記待機時間周期中の基板からの熱の損失を補償するように上記温度安定化時間周期を調整するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
上記調整された温度安定化時間周期の完了後に上記第2チャンバへ基板を移送するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
温度安定化プロセスを遂行する上記ステップは、基板を処理する温度より高い温度まで基板を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
熱の損失を補償するように温度安定化時間周期を調整する上記ステップは、上記温度安定化時間周期を延長することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記温度安定化時間周期は、基板の実際の温度に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記第1チャンバは、複数の加熱素子を有する余熱チャンバを含むロードロックチャンバであり、上記第2チャンバは、p−i−n接合のp型シリコン層を堆積するように適応された処理チャンバである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記温度安定化ステップを遂行した後に上記第1チャンバ内で基板にp−i−n接合のp型シリコン層を形成するステップと、
上記調整された温度安定化時間周期の完了後に上記第2チャンバ内で真性型シリコン層及びp−i−n接合のnドープのシリコン層の両方を形成するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板がリフトピンにより支持される非接触位置から、基板が基板支持体により支持される接触位置へと基板を移動するステップと、
上記調整された温度安定化周期が完了するまで基板を上記基板支持体で加熱するステップと、
上記基板支持体で基板を加熱しながら均一な基板温度を維持するようにヘリウム又は水素のような非反応性ガスを流すステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板上に薄膜ソーラーセルを形成するための真空システムにおいて、
移送チャンバと、
上記移送チャンバに結合された1つ以上の処理チャンバと、
上記移送チャンバ内に配設された基板移送ロボットと、
上記移送チャンバに結合されたロードロックチャンバと、
を備え、上記ロードロックチャンバは、
第1の排気可能なチャンバ、
第2の排気可能なチャンバ、及び
基板安定化時間周期中基板上で温度安定化プロセスを遂行するように適応された余熱チャンバ、
を含む真空システム。
【請求項10】
上記システムが、
第1チャンバ内で基板安定化時間周期中基板を予熱するように基板上で温度安定化プロセスを遂行すること、
第2チャンバに対する待機時間周期を計算すること、
上記待機時間周期中の基板からの熱の損失を補償するように上記温度安定化時間周期を調整すること、
を遂行するように適応されたシステムコントローラを更に備え、
上記待機時間は、上記第2チャンバの利用性、上記基板移送ロボットの利用性、又はこれら第2チャンバの利用性及び基板移送ロボットの利用性の両方の組合せに基づく、請求項9に記載の真空システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−534940(P2010−534940A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518385(P2010−518385)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/071024
【国際公開番号】WO2009/015277
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】