説明

衝突光に影響を及ぼすための結像装置

【課題】光学素子と、その光学素子を変形させるためのアクチュエータとを備える、衝突光に影響を及ぼすための結像装置を提供する。
【解決手段】光学素子2は、衝突光に向いた表面を有し、アクチュエータ3は、少なくとも1つの圧電素子4を有する。この場合、圧電素子4は、制御デバイス7を用いて駆動されることが可能である。さらに、圧電素子4は、衝突光に向いた光学素子2の裏面および/またはその表面に張り付けられる。光学素子2は、少なくとも1つの回転の自由度および/または変位の自由度に対する方向依存のあるコンプライアンスを各々が有するような少なくとも1つのベアリング要素6a、6bを用いて支えられ、これにより、光学素子2の実質的に固定された全体的位置によって実質的に縦方向の力のかからない曲げを達成することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子と、その光学素子を変形させるためのアクチュエータとを備える衝突光または入射光に影響を及ぼす結像装置に関するものであり、光学素子は、衝突光に向いた表面を有し、アクチュエータは、少なくとも1つの圧電素子を有し、圧電素子は、制御デバイスを用いて駆動されることが可能である。さらに、本発明は、光学素子を使って光学的結像を生成する方法、および上記の結像装置の助けを借りて結像の像面の位置を設定するシステムにも関係する。
【0002】
特に、本発明は、主に光を操作するために使用される適応光学系に関するものである。このタイプの光学系は、特に空間的部分的コヒーレント光またはコヒーレント光の場合、位相を変えることが意図されている。
【背景技術】
【0003】
適応光学系は、従来技術からすでに広く知られており、適応ミラーを形成する複数の光学系である特殊な光学系の一群である。このタイプの適応ミラーは、これまでに、主に天文学の分野で使用されてきた。この場合、適応ミラーの表面は、変形可能なように構成されており、したがって、反射光の位相は、影響を受ける可能性がある。
【0004】
この場合、従来技術では、適応ミラーの鏡面または構造を変形する数多くの異なる方法を開示している。アクチュエータは、主に、変形される鏡内に、または鏡面内に力を導入するために使用される。圧電アクチュエータ、磁歪アクチュエータ、電磁アクチュエータ、あるいは他のアクチュエータが、この場合に使用される。
【0005】
欧州特許出願EP 0 743 541 A1では、プリアンブルにより知られている鏡を開示している。この可変形バイモルフミラーは、一方の面に反射面が形成されたスリーブ型ハウジングを備える。この場合、少なくとも2つの圧電セラミックプレートが反射面の裏面に貼り付けられ、前記プレートはアクチュエータとして作動する。圧電セラミックプレートは、それぞれの場合において、プレート間に設けられ、ケーブルを使って互いに接続された電極を有し、プレートの偏極ベクトルは反対方向である。しかし、反射面の領域の厚さがこの表面の周辺領域の厚さよりも大きくなるように、単一ピースで具現化されているハウジングが備えられる。さらに、シーリングコンパウンドが、ハウジング内の圧電セラミックプレートの領域内に挿入され、前記シーリングコンパウンドは電圧が印加されている状態で反射面を初期位置に戻す役目を持つ。しかし、この構造に関して不利な点は、光学面が厚く作られており、加える力を増していっても光学面が変形するだけだという点である。しかし、圧電セラミックプレートは非常に大きな力を加えることができるような造りでないため、ミリメートル範囲での変形を引き起こすことは出来ない。さらに、このようにして変形が生じた結果、光学面は伸長を生じ、このため、光学面は、たとえばその結像特性に関して非常に大きな悪影響を受ける。
【0006】
国際特許出願WO 2005/124425 A2では、可変形ミラーの類似の構造を説明している。この場合、ミラー層は、鏡面の上に連続する電極上に付随して形成される。反対方向に偏極する2つの圧電セラミックプレートの組み合わせが、電極の自由表面に取り付けられる。電圧が2つの圧電セラミックプレートに印加され、一方のプレートは伸長し、他方のプレートは収縮する。用途は、主に、電極の配列とその構造に関するものであり、温度の影響を受けない可変形ミラーが得られる。光学面も、可変形ミラーのこの構造では伸長し、その結果、結像光の望ましくない品質劣化を引き起こし、そのようなミラーの寿命を縮める。
【0007】
さらに、セグメント化された適応光学素子が従来から知られている。しかし、鏡面としてはあまりよい形状を有していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を解消し、また光学素子の結像品質に悪影響を及ぼすことなく光学素子の影響要因に関して広範にわたる応用において単純で費用効果が高く、効果的な使い方ができる光学素子を用いて衝突光に影響を及ぼす方法および結像装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、結像装置に関する請求項1に記載の特徴を用い、またその方法に関する請求項37に記載の特徴を用い、また像位置を設定するシステムに関する請求項47に記載の特徴を用いて、達成される。
【0010】
本発明によれば、この目的は、圧電素子が裏面に、および/または衝突光に向いた光学素子のその表面に張り付けられるか、または取り付けられるという理由により、結像装置に関して達成され、光学素子は、少なくとも1つの回転の自由度および/または変位の自由度に対し方向依存のある柔軟性またはコンプライアンスを各々が有するような少なくとも1つのベアリング要素によって支えられ、それにより、光学素子の実質的に固定された全体的位置によって実質的に縦方向の力のかからない曲げまたは変形を達成することが可能である。別の言い方をすれば、ベアリング要素は、少なくとも1つの回転の自由度および/または変位の自由度を1つにまとめるものであって、これにより光学素子の実質的に縦方向の力のかからない曲げを引き起こすことが可能であるということである。したがって、光学素子は、全体として固定されるけれども、自由に曲げられる。歪みおよび望ましくない伸長は、したがって排除される。
【0011】
本発明による結像装置は、衝突光に影響を及ぼすために、光学素子、有利には鏡、および調節デバイスとしてアクチュエータを有する。この場合、光学素子は、衝突光に向いた、衝突光を結像するため、または衝突光から結像を生成するために使用される好ましくは反射光学面を有する。アクチュエータは、制御デバイスを用いて駆動される少なくとも1つの圧電素子を有する。したがって、アクチュエータは、光学素子の変形を駆動し、衝突光に影響を及ぼすことを通じて動作する。光学素子を変形させるために、アクチュエータは、光学素子の裏面および/または光学面もしくは前面に作用する。アクチュエータは、たとえば、裏面にのみ、有利には光学的活性領域と平行な表面もしくは前面にのみ、または光学素子の両面に作用しうる。光学素子を変形させる力は、特に有利には、光学特性が悪影響を受けないように、光学的活性領域の外側で導入される。光学素子の変形または反りは、圧電素子の伸長または収縮により遂行または抑制される。特に光学素子が両サイドで固定される場合、変形プロセスの過程で、光学素子の不都合な伸長が実質的に妨げられ、光学素子の実質的に縦方向の力が加わらない曲げが引き起こされるように少なくとも1つのベアリング要素を用いて光学素子の少なくとも1つの端面が支持され、そのまま光学面が高品質を保つ場合に、有利である。それとは別に、光学素子は、さらに、その中心領域を用いるだけで支えることもでき、光学素子の2つの端面は支持点を持たない。この両方の選択には、光学素子の縦方向の力の効果がゼロであるか、または非常に小さいという帰結があり、それにより、光学的活性面の望ましくない悪影響が避けられる。
【0012】
表面の光学領域の外側から、つまり、光学素子の裏面から、または可能ならば光学活性領域の外側の表面上の領域から、力を導入するのを開始するのは、画質に関してかなり有利である。これは、この方法では、知られているシステムとは対照的に、口径食(けられ)も不連続も光学素子の曲げ線の途上に生じることは不可能であるためである。
【0013】
背後における作用、および/または表面からの作用のおかげで、光学面または光学領域を変形させるために、すでに知られている適応光学素子の力と比較して比較的小さな力があるだけでよい。利点は、ここでは、過剰に大きな力を加えることなく、広い調節範囲(たとえば、平面光学素子または凹面光学素子から凸面光学素子までの範囲)で光学素子を変形できるという点である。つまり、調節範囲は、従来技術から知られているように、もはやマイクロメートル範囲だけでなく、ミリメートル範囲とすることも可能であるということである。口径に関して、比較的大きい光学素子、さらには非常に小さな光学素子も、光学的品質を落とすことなく、また多数のアクチュエータを使用せずに変形させることができる。これは、後者が、光学素子のサイズとは完全に無関係に、必要な規定に従ってアクチュエータを用いて変形できることを意味する。調節範囲が広いことに加えて、さらに、本発明による結像装置を用いて調節速度を高速化することができる。
【0014】
光学素子の裏面および/または表面に作用するただ1つのアクチュエータを使用することで、結像装置全体の構造的サイズを非常に小さく保てる。したがって、力を伝達するための付加的要素が不要であるため、アクチュエータを駆動する際の制御に関わる支出も少なくて済む。
【0015】
光学素子の曲げの設定または調節が異なるため、光学素子の焦点距離は、非常に大きな範囲で変化する。したがって、このタイプの結像装置は、特に光をトラッキングする適応光学系として好適であり、ここでは特に、好ましくは三次元で再構成されたシーンを観察するときに観察者の位置に応じて波面をトラッキングするホログラフィック投影デバイスにおいて好適である。信号トラッキングまたは波面トラッキングに加えて、本発明による結像装置は、同様に、たとえばホログラフィック投影デバイスの波面収差の動的補正、およびシステム固有の収差の補正に使用されうる。
【0016】
本発明の有利な一構成では、ベアリング要素がバネ要素を含むとしてもよい。ベアリング要素の弾力性を持たせた実施形態の結果として、またはその弾性の結果として、ベアリング要素それ自体をずらすことなく、光学素子を変形させるか、または曲げる際に、光学素子の少なくとも1つ、有利には2つの端面を、これにより引き寄せることができる。その結果、ベアリング要素を移動するためのスライド層が不要になる。ベアリング要素がこのように構成され、光学素子の両側に有利な形で備えられているため、光学素子に力が導入されたときに、それに応じて、その2つの端面の同時引き込みまたはトラッキングにより、対称的な曲げまたは座屈が発生しうる。曲げまたは座屈に対し、ここではアクチュエータの制御デバイスを用いて影響を及ぼすことができる。上の記述は、特に軸方向に対称的な光学素子に当てはまる。
【0017】
本発明のさらなる有利な構成において、ベアリング要素は、少なくとも2つの関節継手を持つ剛性のある中間部材を有し、関節継手の1つは光学素子の端面または複数の保持要素のうちの1つの保持要素に接続されるとしてもよい。関節継手は、ソリッドな関節継手として具現化できる。この方法では、単純な手段を使用して光学素子の支持を可能にすることができ、これを用いて、変形時に光学素子の少なくとも1つの端面を引き寄せるか、またはトラッキングできる。
【0018】
これとは別に、ベアリング要素は、光学素子の複数の端面のうちの1つの端面に対し複数の保持要素のうちの1つの保持要素に接続された、変形可能な追加の要素を有するとしてもよい。このようにして、たとえば光学素子に対し、ソリッドな関節継手などの追加の要素を備えず、支持を簡素化することも可能である。
【0019】
光学素子の可能な限り対称的屈曲が生じるようにするために、これは、変形された光学素子または屈曲部分が円形であるか、または要求条件に応じて多角形の形状を取りうる場合に有利である。保持要素は、光学素子の屈曲において、ベアリング要素を用いて光学素子の中心の方向に引っ張られるようにできる。このようにして、光学素子の縦方向の力の効果は、小さく抑えられ、その結果、光学面の望ましくない伸長または歪みが避けられ、要求される光学品質が制限なく保証される。
【0020】
他の可能性も、同様に、有利な形で、ベアリング要素が光学素子の端面を少なくとも部分的に囲む弾性ポリマー要素を含むという事実の中にありうる。この場合、光学素子は、たとえばベアリング要素またはバネ要素として使用される接着層を用いて複数の保持要素のうちの1つの保持要素に接続されうる。
【0021】
光学素子が中心領域内に支えられている場合、中心領域内の光学素子の縦方向の力が加わらない曲げを生じさせることが可能なように、光学素子とベアリング要素との間の接触を十分に小さくすると有利であると思われる。この目的のために、ベアリング要素は、有利には、線接触または点支持を有するベアリング要素であるとしてよい。これにより、光学素子が変形プロセスにおいて曲げ線内で悪影響を受けることが防止される。
【0022】
本発明のさらなる有利な構成において、アクチュエータの圧電素子は、光学素子の裏面に張り付けられ、伸長および/または収縮が制御デバイスを用いて実行できるような方法で形成された少なくとも1つの圧電セラミック膜であるとしてよい。アクチュエータを圧電セラミック膜として設計することにより、単純な手段を使用して、光学素子を変形させる大きな力を発生させることが可能である。さらに、このタイプのアクチュエータは、高いロバスト性と高い機械的安定性を有している。このように設計を小型にすることで、構造と空間に関する最適化を果たしつつ結像装置全体に組み込むことが可能になり、その結果、構造をコンパクトな形で具現化することができ、それにも関わらず光学素子の大きな変形を、アクチュエータを用いて実現できる。
【0023】
しかし、なおいっそう大きな力を発生するため、有利には、制御デバイスを用いて反対の方向に駆動することができる少なくとも2つの圧電セラミック膜を圧電素子が備え、圧電セラミック膜は光学素子の裏面で互いに平行に配列されるようにするとよい。しかし、この効果は、積み重ねた圧電セラミック膜の数に比例して強められるわけではない。したがって、圧電セラミック膜の数に関して得られる力を正確に評価する必要がある。2つまたは3つの圧電セラミック膜が、有利に使用される。
【0024】
このような効果は、さらに、一方の圧電セラミック膜が光学素子の裏面に配列され、他方の圧電セラミック膜が光学素子の表面に配列されている場合に得ることができ、表面に張り付けられた圧電セラミック膜は光学活性領域用の切り欠きを有し、その結果、後者または衝突光は悪影響を受けない。
【0025】
本発明による結像装置内の光学素子を本発明に従って支持するという概念を明らかにするために、まず最初に、本発明による結像装置の概略図を示す図4を参照する。
【0026】
この場合、図4は、光学素子2の変形後の結像装置1を示しているが、ただし、光学素子2は変形後に曲率2’を有する。アクチュエータ3は、ここでは原理に関してのみ例示されており、以下でさらに詳しく説明され、図1から3に例示されている実施形態のうちの1つを備えることができる。ここで、光学素子2は、可動ベアリングとして具現化されている2つのベアリング要素106を用いて支持されているが、2つの可動ベアリング106で光学素子2の端面を固定する保持要素は例示されていない。この場合、ベアリング要素106は、大きさの等しいバネ定数を有するバネ要素で具現化される。ベアリング要素106に対しては、有利にプレストレスを与えることができる。光学素子2の端面に対する保持要素は、それぞれの場合においてベアリング要素106に結合される。したがって、光学素子2を2’に変形するときに、光学素子2の2つの端面は、反るときにベアリング要素106の弾性により引き寄せられ、その結果、光学素子2の縦方向の力の効果は小さくなる、つまり、曲げのみが生じる。システム全体が対称的に動作すると仮定されているため、距離の変化Δxは半分になり、両側で等しく生じる。
【0027】
図9は、光学素子2を支持するための第2の有利な概念の概略を示している。したがって、光学素子2は、ベアリング要素806を用いて中心領域内で支持され、これにより、光学素子2の横方向領域は自由に動けるため、光学素子2の非拘束曲げ変形は、ここでも、生じる。結像装置1の構造は、この方法で著しく簡素化されうる。上で説明されている実施例にすでに示されているように、ベアリング要素806は、バネ要素または弾性ベアリング要素として具現化されるか、またはそのような要素を備え、可能な最も狭い領域または十分に小さな領域上で光学素子2と接触する。これは、たとえば、線接触または点支持によるベアリング要素を用いて行うことができる。これは、ベアリング要素806上の光学素子2の支持部は、非常に小さな特定の領域を有するが、曲げが可能なように少なくとも2つの端点を持たなければならないことを意味する。
【0028】
ベアリング要素806は、z方向に固定され、その結果、変位は引き起こされない。しかし、このベアリングオプションの場合、ただ1つの非常に小さな領域内で有利に、z方向変位が許容されないよう注意しなければならない。しかし、ベアリング要素806の両側(右と左)で弾性実施形態を用いて、この領域内で光学素子2を安定させることができる。
【0029】
本発明の有利な構成において、さらに、光の所望の影響に応じてR=(−∞、−250mm)からR=(+250mm、+∞)までの調節範囲で設定できる曲率半径となるように光学素子の光学面を湾曲させることができるとしてよい。そのような大きな調節範囲を用いることで、光学素子の焦点距離を求めるために特に有利なまたは必要な、光学素子の湾曲、特に屈曲を形成することが可能であり、これを用い、特にホログラフィック投影デバイスにおいて、たとえば三次元のシーンを観察するときに観察者の変更された位置に従って光のトラッキングを実現することが可能である。
【0030】
それに加えて、大きな調節範囲内で光学素子を変形させるために2Hzから20Hzまでの範囲、好ましくは5Hzの周波数が与えられ、また所望の半径の値を中心として5%の微調節範囲で光学素子を変形させるために最大150Hzまでの周波数が与えられる場合、光をトラッキングするか、または結像の像面を設定するホログラフィック投影デバイスへの応用に有利な場合がある。本発明の目的に関して、広い調節範囲とは、調節範囲全体を意味する。光学素子の半径、または屈曲の設定は、調節範囲全体において5Hzで有利に行うことができる。対照的に、半径の所望の値を正確に設定するための半径の微細範囲設定または半径の小さな変化は、最大約150Hzまでの周波数で引き起こされうる。最大約150Hzまでの周波数でもたらされるこのような変化は、半径の所望の値を中心とする±5%の範囲内で生じる。半径の小さな調節には、小さな調節距離が必要であり、このため、システムに作用する力は、たとえば第1の座屈または曲げを引き起こすためには、大きな範囲調節の場合よりも小さい。しかし、3色を用いる50Hz信号の場合には光学収差補正を実行するために、この変化はかなり速くなければならない(最大約150Hzまで)。つまり、力の差は、小さな調節距離の場合に小さいということである。しかしながら、力は、それでも、最大の大きさで作用し、絶対位置に直線的に依存することはない。
【0031】
このような非常に精度の高い調節および制御を可能にするために、請求項47に記載の像面に関して法線方向に結像の像平面の位置を設定するシステムが実現され、これは、調節装置または制御デバイスを備え、これを用いて、センサの出力、特に位置検出センサの出力に応じて、上述の結像装置を設定することができる。このシステムは、好ましくはホログラフィック投影デバイスだけでなく、他の分野においても使用されうる。そこでは、広い範囲調節が2Hzから20Hzの周波数、特に5Hzの周波数で行われる場合に有利であると思われる。
【0032】
本発明の範囲内において、アクチュエータを用いて広い範囲調節と微細範囲調節を実行することが可能である。
【0033】
本発明の目的は、さらに、光学素子に衝突する光に影響を及ぼす方法を用いて達成され、光学素子は、請求項1から36のいずれか1項に記載の結像装置の一部であり、光学素子は、光学面および/または裏面への作用を通してアクチュエータを用いて変形され、これにより、実質的に縦方向の力が加わらない曲げが、光学素子の実質的に固定された全体的位置で引き起こされる。
【0034】
光学的結像を生成するため、または光学装置内の光に影響を及ぼすために、結像装置は、光学素子がその焦点距離を変化させ、その結果光の集束が変えられるように光学素子により駆動される。これは、使用されるアクチュエータの特に高い精度で達成されるが、その場合、制御または調節は、コンピュータを用いて行うことができる。この場合、この利点は、好ましくは、二次元および/または三次元シーンを観察しているときに観察者の位置に応じて光をトラッキングするためにホログラフィック投影デバイスにおいて使用できる。この場合、光は、観察者がスクリーンに向かって移動するか、そこから遠ざかる場合にスクリーン観察者の領域内でとトラッキングされる。
【0035】
光学素子の表面の湾曲の方向は、アクチュエータに印加される電圧の極性(符号)を設定することにより有利に設定できる。つまり、印加される電圧の極性に応じて、凸または凹の曲げ線が形成されうるということである。
【0036】
本発明の有利な構成において、さらに、少なくとも1つの偏光素子を用いて結像され、ある角度で偏光素子に衝突する波面の波面収差は、光学素子を備える結像装置を用いて補正されるとしてよい。光源から発生する波面が、光学系を通過すると、前記波面は変形される。変形された波面は、結像が擾乱され、そのため劣化するという影響を有する。波面収差をなくすために、結像装置は、光学素子の表面の対応する屈曲または湾曲を通して波面の変形がリアルタイムで補正されるようにアクチュエータまたは光学素子を用いて駆動または調節され、アクチュエータまたは光学素子の影響を受ける。
【0037】
さらに、色収差、特に軸上色収差は、光学素子を備える結像装置を用いて補正されるとすると有利であろう。色収差は、光がレンズにより回折されると発生し、たとえば、スペクトルの短波長の青色端は、この場合、長波長の赤色端よりも大きく回折される。そこで、レンズが異なる焦点を有するため、異なる光色はレンズの焦点に集束しない。光学素子の異なる屈曲は、異なる焦点距離を生じさせるため、それにより、結像装置を用いて光学系の特に軸上色収差を補正することが可能である。したがって、光学素子の屈曲は、光色の個別焦点がレンズの基準波長焦点のところで常に結合されるように設定することができ、それにより、色収差は低減されるか、または除去され、像の鮮明さが増大する。
【0038】
本発明の他の構成は、従属請求項の残りの部分で示されている。本発明は、これ以降主に、図でさらに詳しく説明されている例示的な実施形態に基づいて説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
結像装置1の構造および機能について、以下で説明する。
【0040】
図1は、結像装置1の基本構造を例示しており、結像装置1は非常に簡略化された側面図として示されている。結像装置1は、光学素子2と平行して、ここでは鏡、たとえば、光学素子2を変形させるためのアクチュエータ3を備える。結像装置1は、示されている実施例では対称的に構成されている。
【0041】
光学素子2は、光を偏向させるか、または光に影響を及ぼすため反射面または前面を有する。この目的のために、光学素子2は、変形可能なように具現化される。光学素子2は、好ましくは鏡、特に円筒鏡である、つまり、変形のためアクチュエータ3を用いて光学素子2に力を導入した後、光学素子2は、球状ではなく、むしろ円筒状の反射光学面を有するということである。光学素子2は、変型可能なように構成されることが意図されているため、非常によい弾性的変形能および疲労強度と併せて高い光学面品質を保証することが重要である。このことを可能にするために、適当な弾性材料が基本材料またはキャリア材料として使用することができ、キャリア材料は好ましくは薄膜として、好ましくはプラスチック製の薄膜として具現化される。しかし、この薄膜は、たとえば、鋼鉄(バネ鋼)などの金属材料から形成することも可能である。このような光学的素子2をアクチュエータ3と併せて生産するために、さまざまな可能性について以下で簡単に説明する。
【0042】
第1の可能性は、薄膜を形成するためにすでに知られている機械加工デバイスを使用して、サイズ、厚さ、形状などの所定のパラメータに従って、キャリア材料、たとえば、微細研磨されたバネ鋼またはプラスチックを、第1の工程において機械加工することにある。その後、第2の工程で、光学層として使用される材料が、形成された薄膜上に堆積される。たとえば、100μmのニッケル(NiP)は、外部電流を使用しない方法で薄膜として具現化されているキャリア材料上に光学層として堆積されうる。この場合、堆積は、光学品質に影響を及ぼす条痕、包含、または他の欠陥をもたらすことなく有利に引き起こされる。このニッケル−リン被膜(NiP)は、一方でリン含有量により決定され、他方で熱処理による硬度に関する目標とする方法で影響を及ぼされうる特性を有する。さらに、これらのNiP被膜は、高い磨耗抵抗と良好な腐食防止効果を有し、その結果、光学素子2の長い耐用期間を実現できる。外部電流を使用しない方法を使用することにより(化学析出)、キャリア材料の被膜加工は、輪郭に追随し、常に層の厚さを同じにして行われる。NiP被膜が施された後、さらなる工程において、光学層として使用される材料は、フライス加工法を用いて、特に回転、好ましくはモノリシック、ダイヤモンド工具を用いて、機械加工される。NiP被膜を機械加工し、キャリア材料上に光学面を形成する作業は、フライス加工、特に、回転するダイヤモンドチップを使用する微細機械加工(フライカッティング)を用いて行われる。この方法で、表面は、UHP機械加工(超高精度機械加工)により反射するように形成される。
【0043】
また、弾性キャリア材料、たとえば、CFP(炭素繊維強化プラスチック)を用意し、ミラーコートして光学的反射層を持たせた滑らかな表面とすることも可能である。
【0044】
後続の工程において、光学素子2として使用される薄膜は、アクチュエータ3に接続される。これは、薄膜をアクチュエータ3上にラミネートするか、または薄膜をアクチュエータ3にコートするか、さもなければ厚膜技術を用いてアクチュエータ3に薄膜を付けることにより行うことができる。
【0045】
図1では、アクチュエータ3は、制御デバイス7を用いて駆動される圧電素子4を有する。圧電素子4は、一軸圧電セラミック膜として有利に具現化され、光学素子2の裏面に面的に張り付けられ、これにより光学素子2の裏面に作用し、変形力を後者に伝える。この場合、圧電素子4は、光学素子2の幅の大半にわたって広がるように構成される。これは、圧電素子4が光学素子2の幅全体にわたって広がっている場合に特に有利であり、そのため、それに対応して、後者の一部だけでなく、光学素子2全体を変形させることができる。光学的非活性領域内で光学素子2の表面または前面に圧電素子4を張り付けることも可能である。
【0046】
結像装置1による衝突光の影響が生じた後に、安定した支持のため多角形となるように有利に影響される光学素子2を変形させるために、前記素子は、両側のそれぞれの保持要素5内に配列されるか、または取り付けられる。それぞれの保持要素5は、ベアリング要素6aまたは6bを光学素子2のそれぞれの端面または縁面に接続する。しかし、光学素子2のこのような支持は、光学素子2の弾性伸びを生じさせることではなく、弾性曲げを生じさせることを意図している。これを実現するために、図1に例示されている右側のベアリング要素6bは、ある種の可動ベアリングとして具現化され、これにより、光学素子2の変形または湾曲の後に、保持要素5は光学素子2の中心の方向にそれぞれの端面とともに引かれるという効果が生じる。この場合、左側のベアリング要素6aは、固定ベアリングであり、その結果、デバイス全体が、望ましくない形で変位することがない。
【0047】
すでに上で述べたように、結像装置1は、圧電素子4とともにアクチュエータ3を有し、これを用いて光学素子2の変形が行われる。曲げアクチュエータとして具現化されている、アクチュエータ3は、短いレスポンスタイムを有し、高い達成可能な力を加える。
【0048】
光学素子2の変形または曲げを実現するために、アクチュエータ3は、制御デバイス7を用いて駆動され、これにより、印加された電圧の極性を選ぶことで、凹または凸のいずれかの屈曲の所望の方向または湾曲の方向が設定されうる。しかし、制御デバイス7の操作者自身が、印加電圧に対する定義済みの符号調節を予め決めることができる。これは、光がどのように影響を受けるかに応じて、光学素子2の凹または凸の屈曲を得るために、対応する電圧、たとえばU=−500V〜+1500Vの範囲の電圧がアクチュエータ3または圧電素子4に印加される。光学素子2の対称的屈曲では、もちろん、対称的電圧、たとえばU=−500V〜+500Vの範囲の電圧を印加する必要がある。さらに、圧電素子4は、プレストレスをかけられ、負電圧により駆動されうる。屈曲の方向が電圧の極性を用いて予め決定された後、アクチュエータ3は、制御デバイス7を用いて直接駆動され、光学素子2の光軸8に平行な力が光学素子2に印加される。次いで、光学素子2の変形または曲げは、アクチュエータ3の一方向への伸長または収縮により引き起こされる。そのため、光学素子2は、印加電圧の符号に応じて、伸長または収縮により付随して変形または制約されて屈曲する。達成可能な最大制約屈曲は、光学素子2の厚さに応じて影響を受けうる。さらに、印加電圧と得ることができる屈曲との間に比例関係がある。それに応じて、力が光学面の外側の光学素子2に導入され、その結果、曲げ線の途上で口径食も不連続も生じない。
【0049】
光学素子2は、伸長または収縮により変形されるが、弾性伸びはなく、これにより、光学素子2の厚さは、屈曲の途中も一定に保たれる。この場合、可動ベアリング6bに結合されている光学素子2の端面は、光学素子2の弾性曲げと同時に引き込まれる。この場合、固定ベアリング6aに結合されている光学素子2の端面は、曲げに従って引き寄せられない。したがって、光学素子2の平面内の平行移動は、光学素子2の片面でしか生じないが、ただし、Δxは距離の変化量である。したがって、光学素子2の屈曲は、自由曲げの場合を引き起こすアクチュエータ3により達成され、これは光学素子2の端面の直線的変位により得られる。
【0050】
光学素子2の変形は、弾性的であり、屈曲の両方向で発生しうる。結像装置1を用いて光学素子2を変形させるときに、すべての力が、好ましくは、コンピュータ制御により設定され、メカトロニクスを利用して伝達される。この場合、プロセッサユニット9または調節装置は、印加される力の強度を時間的に監視する。変形は、光学素子2の平面内での距離(Δx)を測定することにより、または加えられる屈曲hを用いて監視されうる。力などの設定特性は、出力デバイス上でΔx、h、およびR(光学素子2の半径)を用いて表すことができる。
【0051】
光学素子2は、好ましくは、約80mmの口径を有するが、それよりも大きい、または小さい口径も、もちろん可能である。光学素子2または光学素子2の光学面は、その変形前、またはアクチュエータ3もしくはアクチュエータ3の圧電素子4の駆動前に、半径が実質的にR=∞である表面を有する。この場合、光学素子2の屈曲の調節範囲は、有利には、R=(−∞、−250mm)からR=(+250mm、+∞)の範囲内で結像装置1とともにあり、光の影響に応じて調節範囲内で光学素子2の半径を変えることが可能である。口径を約80mmとすると、この調節範囲は、±3.5mmの屈曲hに対応する。このような屈曲は、従来の装置を用いたのでは得られない。
【0052】
さらに、アクチュエータ3の助けを借りて光学素子2を変形させるために必要な変位を加えた結果、高い調節周波数を実現することができ、また必要な力を加えることができる。光学素子2は、周波数2Hzから20Hzにおいて、調節範囲全体にわたって、またはR=−250mmからR=+250mmまでの広い範囲調節で、影響を受けるか、または調節されうる。周波数5Hzは、特に有利である。それに加えて、小さな調節範囲において、つまり、所望の値を中心に±5%の半径の変化において(範囲微調節)、最大150Hzまで、またはそれ以上の周波数で光学素子2を調節することが可能である。
【0053】
図2は、光学素子2と併せてアクチュエータ3の構成の他の可能性を例示している。この場合、アクチュエータ3の圧電素子4は、2つの圧電セラミック膜4’および4”を有し、これらは、制御デバイス7を用いて反対の方向に有利に駆動される。圧電セラミック膜4’および4”が反対方向に駆動される結果として、大きな力が得られ、それにより、光学素子2の大きな屈曲が達成されうる。しかし、これら2つの圧電セラミック膜4’および4”は、もちろん、2つの異なる制御デバイスを用いて駆動されうる。同じ方向に駆動することも可能であろうが、反対方向に駆動する場合に得られるような大きな力は、達成されえない。
【0054】
図2において、圧電素子4の2つの圧電セラミック膜4’および4”は、光学素子2の裏面に互いに平行になるように張り付けられる。圧電セラミック膜4’および4”は両方とも、同じサイズを有し、実質的に光学素子2のサイズまたは幅全体にわたって面として広がる。しかし、これら2つの膜4’および4”のうちの1つ、有利には、圧電セラミック膜4”を小さく作り、たとえば変形のほかにいくつかの幾何学的形状効果をもたらすことも可能である。つまり、たとえば圧電セラミック膜4’および4”の厚さを変えることにより、光学素子2の形状の補正を行うことができるということである。したがって、異なる向きの圧電セラミック膜4’および4”の変えられる組み合わせを用いて異なる最大の曲げおよび力が実現されうる。
【0055】
光学素子2の支持点は、図1で説明され、例示されている支持点に対応し、ベアリング要素6cは、有利にプレストレスをかけられるバネ要素、ここでは引張バネを備える。
【0056】
アクチュエータ3の構成の第3の可能性は、図3において指定されている。ここでも、圧電素子4は、互いに平行に配列されている2つの圧電セラミック膜4’および4”を有し、一方の圧電セラミック膜4’は光学素子2の裏面に配列されるか、または張り付けられ、もう一方の圧電セラミック膜4”は光学素子2の表面に配列されるか、または張り付けられる。表面に張り付けられている圧電セラミック膜4”は、光信号または光のトラッキングに使用される光学的活性領域用の対応する切り欠き10を有する。ここでも、図1および2のように、光学素子2は、すでに上で説明されているように、固定ベアリングと可動ベアリングを用いて支持され、これら2つのベアリング要素6dおよび6eは、プレストレスをかけられるバネ要素、ここではトーションバネを備える。ここでも、アクチュエータ3の圧電セラミック膜4’および4”は、光学素子2の必要な屈曲を得るために、反対方向に、または同じ方向に駆動できる。
【0057】
この可能性は、アクチュエータ3のこのような構成と圧電セラミック膜4’および4”の反対方向への有利な駆動のおかげで、特に圧電セラミック膜4”を用いて変形の際に生じるエッジ効果を補正できるため、特に有利である。
【0058】
光学素子2と併せたアクチュエータ3の構成の他の可能性は、光学素子2の表面および/または裏面に施すことができる回折格子要素として圧電素子4を具現化することである。これは、圧電セラミック膜4’または4”の代わりに、圧電セラミック網は、たとえば、厚膜技術を用いて光学素子2の裏面および/または表面に直接印刷されることを意味する。このようにして、光学素子2の表面および/または裏面に作用する力または圧電セラミック網内で発生する力は、圧電セラミック膜の場合に比べて光学素子2の対応する表面により近い。これにより、より大きな力効果が達成される。
【0059】
対称的に具現化されている支持部の場合に図4による光学素子2の変形を引き起こすために、まず、光の所望の影響に応じて必要な所望の半径を決定または指定する必要があり、その場合、屈曲が凸または凹の曲げ線を有することが意図されているかどうかが知られていなければならない。屈曲のどの方向が必要かに応じて、アクチュエータ3に印加される電圧の極性が選ばれる。次いで、アクチュエータ3は、制御デバイス7を用いて駆動される。そこで、アクチュエータ3は、必要な所望の半径に応じて伸長および/または収縮するように圧電素子4に指令する信号を受信する。このようにして、次いで、力が光学素子2内に導入され、これにより、対称的な変形が引き起こされる。この場合、印加される力の連続的な調節が、必要になる。光学素子2の現在の半径を決定するために、屈曲プロセスの進行中に、光学素子2の変形または屈曲を連続的に測定し、所望の/実際の値調節を実行することができ、その際に学習測定ユニットが使用される。現在の半径は、さらに、光学素子2内の測定された伸長を用いて決定されうる。光学素子2の半径が上述の両方の可能性において間接的に決定されることが考慮されなければならない。この目的のために、光学素子2は、さらに、光学的にスキャンできる。このときに決定された半径は、制御デバイス7に対し信号として伝達され、評価される。光学素子2の必要な変形が非常に高い精度で実行されるように、連続制御または調節が必要である。特に、第1の工程において、変形される光学素子2の定義済み半径が、20Hzで広い調節範囲において形成される場合に有利であると思われ、たとえば、その際に、半径の所望の値は、たとえば、第2の工程におけるより小さな力の場合に、150Hzに細かく設定される。小さな調節範囲における調節とは、ここでは、所望の値を中心として±5%の範囲内の半径の変化を意味する。これにより、150Hzにおける半径の変化は、そのような細かな範囲調節に対し拡大される力が広い範囲調節と比較して小さいため、可能になる。この場合、もちろん、屈曲プロセスを使用した場合の不連続性を解消するために作用する力が連続的調節を受けることが考慮されなければならない。このようにして、半径の必要な所望の値は、高い精度で設定されうる。
【0060】
力を加えるときに、ベアリング要素106が光学素子2の縁面の支持位置に応じて同期的に引き込まれるか、または運ばれる必要がある。光学素子2の縁面を保持し、保持要素5に接続されているベアリング要素106は、可動ベアリングとして具現化されるため、直線的変位が達成され、したがって縁面は光学素子2の中心の方向の屈曲に応じて引き寄せられるか、またはそれにそって運ばれる。
【0061】
光学素子2に作用するすべての力は、コンピュータを利用して設定され、監視される。
【0062】
結像装置1を用いて光学素子2を変形させるときに、導入される力のコンピュータを利用した同期されたバランスを用いて異なる曲げ線、たとえば、円、楕円、正弦あるいは多角形を設定できる。曲げ線は、中立軸の変形の数学的記述であり、再現可能でなければならない。つまり、曲げ線は、所定の値に応じて再現可能でなければならないということである。これは、光学素子2が可動ベアリングとして具現化され、光学素子2の変形時に互いに向かって移動する2つの対称的に移動するベアリング要素106を用いて支えられるという事実により有利に達成される。曲げ線の再現性は、光学素子2に対する異なる材料の選択により影響され、助長されうる。曲げ線は、材料により異なる挙動を示す。また、公式R=f(Δx)を使用して学習曲線を作成することも可能であり、その際に所定の半径または所望の半径が光学素子2の変形により生じる半径の実際の値と比較され、付随して光の影響の可能な偏差を考慮することが可能である。このタイプの手順により、曲げ線の高い形状忠実度を保証することが可能である。形状忠実度は、光学素子2の光学領域全体にわたって一定であることを意図している。
【0063】
それに加えて、曲げ線は、光学素子2の断面に影響を及ぼすことにより変えられる。これは、断面は、光学素子2の厚さを変化させることにより保持要素5内に光学素子2を取り付けるのに先立って影響を受ける可能性があることを意味する。たとえば、光学素子2の縁領域は、中心領域と異なる厚さを有し、あるいはその逆が言える。その結果、曲げ線は、光学素子2の可変厚さを用いて変えることができる。さらに、この方法で再現性も改善できる。整形すべき曲げ線の設定特性は、出力デバイス上でΔx、h、およびR(図1を参照)を用いて同様に表すことができる。
【0064】
ベアリング要素106の有利な構成の他の異なる可能性について、以下で説明する。光学素子2の支持は、静的に決定された支持あるいは静的に過剰決定された支持を用いてもたらされうる。
【0065】
光学素子2の静的に決定された支持の1つの可能性は、図5に例示されており、図4からの抜粋部分Aが拡大して示されている。ベアリング要素206として具現化されているバネ要素は、2つのソリッドな関節継手12を備える剛体特性を持つ中間部材11を有し、ソリッドな関節継手12のうちの1つは光学素子2の端面の保持要素5(図に示されていない)に、または光学素子2の端面に接続もしくは連結されている。他のソリッドな関節継手12は、1つの場所に固定されるように取り付けられ、したがって、その位置を変えることができない。ソリッドな関節継手12は、両方とも遊びを持たない。この構成の結果、光学素子2は、したがって、2自由度で、つまり、x方向とz方向に変位可能であり、1自由度で(z方向に)回転することができる。このようにして、ベアリング要素またはバネ要素206は、屈曲Δαに従って光学素子2の端面にそって引き寄せられる。
【0066】
図6は、図4に示されているベアリング要素106の構成の第2の可能性を例示しており、この支持も同様に静的に決定された支持である。ベアリング要素306は、ここでも同様に、膨らみに基づき以上のように、変形可能なように具現化された、追加の要素13を有するバネ要素として具現化され、光学素子2の端面に対する保持要素5(図に示されていない)に接続または連結される。ここで、追加の要素13は、連続的弾性要素、ここではロッドであり、これは、有利には、バネ鋼で作られる。この例示的な実施形態でも、追加の要素13は、1つの場所に一端を固定されるようにして取り付けられ、したがって、そこではその位置を変えることができない。図5のように、同様に、2自由度の変位(x方向とz方向)および1自由度の回転(z方向)が、追加の要素13を用いて実現される。追加の要素13の変形を通じて、端面は、それに応じて、光学素子2の屈曲時に引き寄せられるか、または引き込まれうる。図7a、7b、および7cは、それぞれ、ベアリング要素406、506、および606を示しており、図7cのベアリング要素606は変形を表すために仮想的にのみ使用されている。この場合、図に例示されているそれぞれのベアリング要素406、506、および606は、図6のベアリング要素306に対応する。図7aにおいて、ベアリング要素406または追加の要素13は、光学素子2の端面の領域内に備えられ、追加の要素13は追加の要素13と光学素子2との間の支持点に向かって縁領域内でのみ変形される。支持点は、これにより、x方向およびz方向に変位され、これにより、光学素子2の屈曲の端面は、この方向に引き寄せられる。
【0067】
図7bは、光学素子2に関するベアリング要素506または追加の要素13の配列に対するさらなる可能性を示している。以上のように、追加の要素13は、もはや、ラックまたはフレーム上の縁領域のレベルのところに固定されず、むしろ、中心領域内に備えられる。この配列は、追加の要素13が弾力的な形で具現化されるため可能である。したがって、同様に、光学素子2の端面の引き込みが必ず生じるようにすることが可能であり、それにより、追加の要素13は、膨らむことで光学素子2の端面をトラッキングする。ベアリング要素506のこのような構成は、たとえば、光学素子2の縁領域内にベアリング要素106を備える可能性がない場合に、特に有利なものとなりうる。
【0068】
追加の要素13の一次元の剛性は、追加の要素13と光学素子2との間の支持点を考慮したときのみ生じる。追加の要素13内において、すべての方向(x、y、z方向)に変位が生じうる。この例示的な実施形態でも、追加の要素13は、引き込み時にx方向およびz方向に屈することになる。この方法で、変位も回転とともに引き起こされなければならないため、ベアリング要素506の弾性回転の位置合わせが行われる。
【0069】
上述の例示的な実施形態はすべて、z方向の変位成分を含む。しかし、変位は、角偏向が小さい場合には無視してよい。
【0070】
図7cは、仮想的に具現化されたベアリング要素606を示しており、ここでも、バネ要素として具現化される。ベアリング要素606は、前と同様、フレーム上の1つの位置に固定されるように取り付けられ、そのため、ベアリング要素606全体の変位は可能でない。以上のように、ベアリング要素606は、x方向にのみ変形される。しかし、ここではz方向への変形は生じない。これは、ベアリング要素606と光学素子2との間の支持点が常にその元の線上に残ることを意味する。このタイプのベアリング要素606を用いることで、z方向の変位を同時に生じさせることなく支持点をx方向に変位させることができる。
【0071】
図8は、図4に例示されている概念によるベアリング要素106のさらなる可能な構成を表す。この支持は、静的に過剰決定された支持である。これは、ここでは、支持変位の補正がベアリング要素706それ自体を用いて行われることを意味する。この目的のために、ベアリング要素706は、個別に弾性的なように具現化される。同様にバネ要素として具現化されている、ベアリング要素706は、たとえば、光学素子2の端面を少なくとも部分的に囲むか、または光学素子2の端面が埋め込まれる、弾性ポリマーから形成される。この場合、光学素子2は、実質的に堅い締め付けを用いてベアリング要素706に接続されうる。このようにして、光学素子2は、z方向に移動または変位できない。したがって、光学素子2の移動は、x方向にのみ可能である。
【0072】
ベアリング要素706またはバネ要素は、さらに、力の作用がゆっくりである場合に、高粘度液体のように粘性を持つように反応する粘弾性ベアリング要素とすることもできるが、対照的に、急な機械的ストレスがある場合に弾力的なもの、たとえば、シリコーンである。ベアリング要素706または弾性ポリマー要素は、たとえば、光学素子2がx方向に保持され、接着層と光学素子2との間の固定接続がこのようにして実現される接着層とすることも可能である。しかし、光学素子2の端面の引き込みは、屈曲h=約±−3.5mmの場合はごくわずか(μmの範囲内)であるため、それでも補正は可能である。そのため、ベアリング要素706は、1自由度(x方向)で変位可能であり、また1自由度(z方向)で回転可能であるものとして具現化される。
【0073】
これの代わりとして、ベアリング要素706は、光学素子2の端面の1つを囲むリセプタクルを備えることができ、接着弾性組成物が前記リセプタクル内に入っている。
【0074】
図5から8のさまざまなベアリング要素206、306、406、506、606、および706に関して、他の自由度は除外されることは言うまでもない。しかし、これらは、結像装置1の固有振動挙動に悪影響を及ぼす。
【0075】
光学素子2をさらに中心領域内で支持できるようにするために(図9を参照)、ベアリング要素906(抜粋部分B)の構成に対する可能性が図10に例示されている。ベアリング要素906、ここでは、線接触または点支持を有するベアリング要素は、x方向およびz方向に固定され、これにより、これらの方向の変位は可能でなくなる。中心位置に支持を固定することに加えて、それぞれの場合にそれに関して横方向に、ここでバネ要素14によりそれぞれの場合に表される弾性層は、光学素子2に接続される。これらの層14またはバネ要素は、安定のため使用されるか、または支持部全体が不安定になるのを防ぐ。弾性層14は、たとえば、ポリマーを用いて実現することができる。
【0076】
アクチュエータ3(支持の説明を簡単にするために図に示されていない)は、光学素子2の光学的非活性領域の表面、および/または裏面に張り付けることができる。裏面では、アクチュエータ3を実質的にその裏面全体にわたって連続的に張り付けて、アクチュエータ3は、光学素子2とベアリング要素906と層14との間に配列されるようにできる。しかし、アクチュエータ3の圧電素子4は、さらに、複数のピースに分けて具現化することができ(図11を参照)、たとえば、ベアリング要素916が光学素子2に直接接続され、圧電素子104aおよび104bの個別部分またはピースが光学素子2上でそれに関して横方向に張り付けられるようにできる。次いで、光学素子2の変形は、中心領域がその位置に実質的に留まり、光学素子2の必要な湾曲2’を得るために中心領域からそれぞれの端面にわたる領域がアクチュエータ3を用いて変形されるという事実のおかげで引き起こされる。この場合、光学素子2の中心点または中心線だけが変形または曲げの作用を受けないということを述べておきたい。
【0077】
図11は、図9に示されている支持部の構成に対する他の可能性を示している。ここで、ベアリング要素916は、たとえば、ポリマーなどの弾性材料だけで作られる。弾性を示すために、バネ要素はベアリング要素916内に例示されており、前記バネ要素はx方向のベアリング要素916の横方向変位およびz方向の変位が可能でないように構成される。弾性材料は、異方特性を有していてもよい。これは、この材料が、分子および繊維配向に関して異方性を有することを意味する。したがって、強度および剛性は、方向に応じて最大2桁ほど異なることがある。ベアリングのこの構成でも、ベアリング要素916は、光学素子2に関して小さな領域を占有するだけであるべきである。アクチュエータ3の配列は、光学素子2の変形の場合と同様、図10の下で説明されているように行うことができる。
【0078】
中心領域で光学素子2を支持するため、端面は、引き寄せられるか、またはトラッキングされなくてよく、そのため、より単純な構造を形成することができる。
【0079】
共振が発生する場合に大きな振幅を回避するように減衰を構成するために、個別連続減衰要素を備えることができる。これは、ベアリング要素306、406、506、606、706、806、906、および916がそれ自体減衰要素であることを意味しうる。図8に関して、粘弾性物質または接着層は、減衰ベアリング要素706として使用されうる。図6、7a、7b、7c、9、10、および11に関して、減衰は、準能動な方法で、または受動的な方法で引き起こされうる。準能動的減衰の場合、これは、たとえば、共振範囲においてのみ減衰を生じさせる圧電セラミック膜を用いて引き起こされる。圧電セラミック膜は、たとえば、追加の要素13に張り付けることができ、これにより、直接的圧電効果が利用される。さらなるアクチュエータにより、追加の能動的減衰を引き起こすことができ、その場合、後者は減衰のため、追加の要素13により発生する振動に関して振動相殺を適用する。圧電ベースの物質も、同様に、このタイプのアクチュエータに使用できる。受動的減衰は、ポリマー塗膜(サンドイッチ設計)を用いてもたらすことができる。たとえば、追加の要素13にポリマー塗膜をコートすることができ、これにより、減衰が周波数範囲全体において引き起こされる。さらなる減衰要素も同様に可能であり、すでに述べられている可能性の組み合わせも考えられる。
【0080】
このようにして、結像装置1の系全体で弾性が加わり、作業範囲内の固有周波数における振幅が小さいとしても、光学素子2の高い一次固有周波数を得ることが可能である。
【0081】
変形に使用される高い周波数において、維持できる妥当な範囲内で低ノイズレベルを実現することが可能であるために、さらに結像装置1の音響減衰が必要である。次いで、音響減衰を得るためのさまざまな可能性がある。第1の可能性は、結像装置1を真空状態の筐体内に導入することである。この筐体内に音波を伝搬する媒体はないため、この方法で減衰を行うことができる。さらに、駆動それ自体を減衰することにより能動音響減衰を達成することも可能である。これは、詳細には、たとえば高速では必要な半径の所望の値の90%を、著しく遅い速度では残り10%を動かすことにより達成されうる。さらに、結像装置1を丸ごと囲む、たとえば、結像装置1を振動減衰足要素上に取り付けることにより受動音響減衰を行うことも考えられる。
【0082】
結像装置1のアクチュエータ3を用いて非常に広い調節範囲にわたって光学素子2の屈曲を調節した結果、光学素子2の焦点距離は、光軸8にそって非常に大きなセクションにおいて変化する。そのため、この事実から、結像装置1を、たとえば、ホログラフィック投影デバイスにおけるトラッキング光学系として使用することが可能になる。光の波面をトラッキングするために、この場合、スクリーンの正面の観察者の位置に応じて、非常に高いダイナミックレンジおよび高速な調節速度を有する適応光学ユニットが必要になる。このようにして必要な適応光学ユニットは、半径の大きな調節範囲を達成することができる、非常によい形状忠実度を有する、凸および凹の屈曲を設定する、再現可能な曲げ線を確実にもたらすことができる、ということを必須とする。これらの要件はすべて、本発明による結像装置1により満たされる。
【0083】
この場合、像または像面のトラッキングは、たとえば、スクリーンの正面の観察者の位置など、測定された入力パラメータに応じた方法によりホログラフィック投影デバイスの光軸の方向に引き起こされる。
【0084】
二次元および/または三次元のシーンのホログラフィック再構成のために備えられているホログラフィック投影デバイスで使用される結像装置1の機能については、図12aおよび12bを参照しつつ以下で説明される。もちろん、たとえば、天体望遠鏡、マスク(レチクル)の像を感光基板(ウェハ)上に結像するための投影露光設備、レーザービームを用いた材料加工用のデバイス、医療技術、自動車産業などの分野またはこのタイプの結像装置1が有益である類似の用途分野において、結像装置1を使用することも可能である。
【0085】
図12aおよび12bによって例示されているホログラフィック投影デバイスからの抜粋において、本発明にとって最も重要な部分のみが例示されている。このタイプのホログラフィック投影デバイスは、たとえば、ドイツ特許出願DE 10 2005 023 743から知られており、その機能については以下でごく簡単に説明する。図12aおよび12bに例示されているホログラフィック投影デバイスは、好ましくはコヒーレント光で照射される光変調デバイス15、結像要素A、A、A、およびスクリーン16を備え、説明を簡単にするために、また説明しやすくするために両方の図に折り畳まれていないビーム経路が例示されている。図12aに関して、光変調デバイス15内にコード化されたホログラムまたは光変調デバイス15それ自体が、ここではレンズとして表されている、結像要素A、A、Aを用いてスクリーン16上に結像され、波面を例示するために2つのビーム経路のみが示されている。ビーム経路は、この場合波線で示されている。空間周波数スペクトルの平面内に配列されている空間周波数フィルタ17、たとえばダイアフラムは、結像要素A、A、Aおよびスクリーン16を用いて観察者平面18内に同時に結像され、そこで、この方法により、仮想的可視領域または仮想的観察者ウィンドウ19を生成する。以上のように、光変調デバイス15は、結像要素A、Aを介して結像要素Aの像側焦点面内に、また結像要素A3の対物側焦点面内にそれぞれ結像される。そこで生じる光変調デバイス15の像は、倒立像である。光変調デバイス15は、そこで、結像要素Aを介してスクリーン16上に結像される。ソリッドのビームは、光変調デバイス15がスクリーン16上にどのように結像されるかを示している。光変調デバイス15の倒立像は、結像要素Aの対物側焦点面内に生成されるため、光変調デバイス15の正像は、再び、スクリーン16上に生じる。
【0086】
観察者が、再構成された、有利には三次元のシーンを観察できるためには、観察者は、仮想的観察者ウィンドウ19を通して少なくとも一方の目で見なければならない、つまり、観察者ウィンドウ19は、できる限り、観察者の目の瞳と一致していなければならない。しかし、再構成されたシーンがそれでも、観察者がスクリーン16に向かって移動するか、またはそこから遠ざかる場合に、または光軸OAにそって移動したときに制約を受けることなく観察されうるためには、観察者のそれぞれの目に対し仮想的可視領域または仮想的観察者ウィンドウ19をトラッキングする必要がある。
【0087】
このことを可能にするために、ホログラフィック投影デバイスの光軸OAにそって仮想的観察者ウィンドウ19をトラッキングするための上述の結像装置1は、少なくとも1つの光変調デバイス15とスクリーン16との間に配列される。この場合、結像装置1は、光変調デバイス15の像が、たとえば結像要素AとAとの間に生じる平面内に有利に配列されるが、ただし、これは、図12aおよび12bにおいて非常に簡素化された形で示されている。このタイプの平面内の結像装置1内の配列は、そうしないとスクリーン16上の光変調デバイス15の像が移動し、シーンの正確な、要求された再構成が可能でないため、特に重要である。結像装置1は、このタイプの平面上に配列されるため、したがって、スクリーン16上の光変調デバイス15の像に対し影響を及ぼさない。図12aは、結像装置1が駆動されていないときの2つのビーム経路を例示している。そのため、光学素子2は、ほぼ平坦な表面を有する。
【0088】
図12bは、光軸OAにそって観察者ウィンドウ19をトラッキングするために結像装置1の湾曲光学素子2を備える図12aからのホログラフィック投影デバイスを示している。そこで、結像装置1の像側焦点面は、結像要素Aの対物側焦点面と一致する。その結果、この平面内で生じる空間周波数フィルタ17の結像は、無限大に結像され、その結果、したがって、空間周波数フィルタ17の結像は、結像要素Aとスクリーン16との間に形成されない。このようにして、空間周波数フィルタ17の結像により生じる観察者ウィンドウ19は、スクリーン16の像側焦点面20内に形成される。光変調デバイス15は、すでに上で述べられているように、結像装置1に同時に結像され、次いで結像要素Aを介してスクリーン16上に結像される。したがって、この結像は、結像装置1により影響されない。図12aおよび図12bによる2つのホログラフィック投影デバイスの比較結果からわかるように、図12bの観察者ウィンドウ19は、スクリーン16に向けて光軸OAにそって距離aだけ変位されている。
【0089】
図12bに例示されているように、観察者ウィンドウ19のトラッキングを達成するために光学素子2の必要な屈曲を生じさせることについて、以下で説明する。すでに述べたように、変形される光学素子2は、有利には円筒鏡である。光学素子2としての球面鏡は、より有利であるが、これは、上で指定されている要件により実現することはできない。しかし、球面光学素子の効果を生み出すために、ホログラフィック投影デバイスの光軸OAにそって次々に後ろから前へと配列され、互いに関して90°オフセットされた2つの結像装置1が備えられ、それぞれの結像装置1は円筒鏡を有する。ホログラフィック投影デバイスの光軸OA上に光方向にまず配列されている第1の円筒鏡を備える結像装置1の効果は、第2の円筒鏡を備える下流の結像装置1の効果を中心とする。この場合、2つの円筒鏡は、それぞれ、相互に異なる平面内でのみ作用する。順々に配列されている2つの結像装置1は、光の焦点の変化が球面鏡の変形の場合と同様に得られるような方法で円筒鏡を変形させなければならない。
【0090】
ホログラフィック投影デバイスの光軸OAにそって仮想的観察者ウィンドウ19のトラッキングを実行するために、結像装置1のアクチュエータ3は、波面上に必要な収束が生じるか、またはそこに加えられるように変形され、これにより光は光軸OAにそった対応する位置に集束される。したがって、この方法で、観察者ウィンドウ19は、スクリーン16に向かうか、またはそこから遠ざかる形で光軸OAにそって1人または複数の観察者に対する位置の変化が生じた場合にトラッキングされうる。
【0091】
仮想的観察者ウィンドウ19のトラッキングは、1人または複数の観察者がスクリーン16に向かって移動するか、またはそこから遠ざかる場合にのみ結像装置1を用いて引き起こされる。観察者平面18内で1人または複数の観察者が移動する場合、水平方向に波面を偏向させるために、さらに結像装置、たとえば、ガルバノメーター鏡が必要である。
【0092】
結像装置1は、信号トラッキングだけでなく、波面収差およびシステム固有の収差の動的補正にも使用される。
【0093】
波面収差は、さらに、ホログラフィック投影デバイス内で2つの結像装置1を用いて同時に補正されうる。しかし、観察者は、観察者平面18内でも移動するため、ここでも、そのまま再構成されたシーンを観察できるようにするために移動した場合に前記観察者に対し仮想的観察者ウィンドウ19をトラッキングする必要がある。トラッキングは、偏向要素を用いて上述のように引き起こされるが、その結果、波面収差または収差は、副次的効果として発生する。これらは、トラッキングまたは仮想的観察者ウィンドウ19の品質に大きな影響を及ぼす。このような波面収差を補正するために、光学素子2の表面、たとえば、1つの結像装置1のみの光学素子2の表面に対し、たとえば、仮想的観察者ウィンドウ19のトラッキングに必要とされる以上に高い曲率を用いてわずかに異なる変形を引き起こす。これは、波面収差の同時補正および仮想的観察者ウィンドウ19のトラッキングが可能であることを意味しており、光学素子2の表面は波面収差の補正に応じて変形され、特定の表面形状は、トラッキングを行うために同時に加えられる。こうして、2つの表面の幾何学的加算が行われる。
【0094】
非点収差などのシステム固有の収差または幾何収差は、2つの結像装置1を用いて特に有利に補正されうる。しかし、他の幾何収差も、補正することができ、収差の総和の低減は、たとえば、ホログラフィック投影デバイスに対する光学的最適化の場合に最も有利である。
【0095】
レンズまたはレンズ系(たとえば、結像要素A、A、A)は、さらに、光を結像するためにホログラフィック投影デバイス内に鏡のほかに備えられるため(たとえば、光学素子2として)、光がレンズを通過するときに、色収差が発生する。つまり、色収差は、波長がレンズの屈折率に依存しているため結像の場合に生じるということである。したがって、異なる波長を有する光は、異なる点に集束される。観察者は、さらに、再構成されたシーンをカラーで観察することを望むため、たとえば、時分割多重法を用いてリアルタイムでカラーシーンを再構成する必要がある。この場合、シーンは、3原色RGB(赤−緑−青)により順次カラーで再構成される。そのような再構成は、個別の単色の3原色RGBを次々にスイッチオンするために、カラーだと有利である、十分なコヒーレンスを有する光源と、スイッチングデバイスを必要とする。このようにして、カラーによる再構成は、非常に高速に連続して生成されうる。しかし、この場合に発生する色収差−つまり、赤色に比べて大きく屈折される青色光、単色光ビームの焦点は一致しない−は、したがって、画質を損なう。
【0096】
主に仮想的観察者ウィンドウ19をトラッキングするために用意されている、結像装置1は、光学素子2の対応する変形を通じて特に軸上色収差を補正するために使用されうる。したがって、仮想的観察者ウィンドウ19の位置は、幾何学的な方法だけでなく、波長に依存する方法でも定義される。
【0097】
観察者が制限を受けることなくカラー再構成シーンを観察できるためには、個別単色3原色RGBの切り換えを非常に高速に実行し、色収差が同時に補正されるようにする必要がある。シーンの再構成が、観察者の両目に対し単一ビーム経路においてなされる場合、右目から左目への切り換えなどが必要であり、次いで、これは、再構成されたシーンを両目で同時に観察する印象を観察者に与えるために非常に迅速に実行されなければならない。追加の要因として、観察者が移動するときに、仮想的観察者ウィンドウ19は、観察者に対し新規位置にトラッキングされなければならない点が挙げられる。観察者が約20cm/sの速さで移動すると仮定すると、一方の目に対する像信号のトラッキングは、説明された大きな範囲調節における約25Hzによる光学素子2の変形の場合にゆっくり生じうる。観察者の2つの目に対し、50Hzの周波数を持つ像信号が与えられ、像信号は両目に対し時分割多重で片方の目毎に25Hzで出力される。しかし、この場合、右目と左目との間、および個別単色3原色RGBの間の切り換えを同時に行う必要が常にある。次いで、この切り換えは、約150Hzの周波数で有利に行われる(微細範囲調節)。これらすべての要件を満たすために、広い範囲調節を微細範囲調節に重ね合わせる必要がある。これは、コンピュータを利用した制御および調節アルゴリズムを用いて実行されうる。
【0098】
したがって、結像装置1を用いることで、高い調節速度を使用し大きな調節範囲において衝突光に影響を与えるために光学素子を変形させることが可能であり、波面収差およびシステム固有の収差はさらに補正されうる。このタイプの結像装置1は、光をトラッキングするために特に投影デバイス内で使用されうる。
【0099】
しかし、言うまでもなく、結像装置1のさまざまな実施形態が可能であり、ここにはいくつかの好ましい実施形態が例示されているにすぎない。したがって、示されている実施形態の修正は、本発明の範囲から逸脱することなく可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
ホログラフィック投影デバイスの他の結像装置1の可能な使用分野は、天文学の分野、レーザービームを用いた材料加工の分野、あるいはレーザー共振器内の素子の分野としてよい。
【0101】
言うまでもなく、本発明の結像装置1は、さらに、ここで述べられていない他の分野でも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】光に影響を及ぼす結像装置の第1の実施形態の側面を示す図である。
【図2】結像装置の第2の実施形態の側面を示す図である。
【図3】結像装置の第3の実施形態の側面を示す図である。
【図4】光学素子の屈曲と併せた本発明による支持の概念を明らかにするための図である。
【図5】本発明の他の実施形態による図4に概念的に例示されている支持部の抜粋部分の図である。
【図6】本発明の他の実施形態による図4に概念的に例示されている支持部の抜粋部分の図である。
【図7a】本発明の他の実施形態によるベアリング要素の図である。
【図7b】本発明の他の実施形態による他のベアリング要素の図である。
【図7c】光学素子の端面の水平トラッキングを例示するための架空の要素の図である。
【図8】構成の第3の可能性において図4に例示されている支持部の抜粋部分の図である。
【図9】光学素子の第2の支持の概念を明らかにするための図である。
【図10】ベアリング要素の構成の第1の可能性に関する図9の抜粋部分の図である。
【図11】ベアリング要素の構成の第2の可能性に関する図9の抜粋部分の図である。
【図12a】光学素子の非湾曲面を有する、本発明による結像装置を備えるホログラフィック投影装置の抜粋部分の図である。
【図12b】光学素子の湾曲面を有する、図12aに示されているホログラフィック投影装置の図である。
【符号の説明】
【0103】
、A、A 結像要素
OA 光軸
1 結像装置
2 光学素子
3 アクチュエータ
4 圧電素子
4’および4” 圧電セラミック膜
5 保持要素
6aまたは6b ベアリング要素
7 制御デバイス
8 光軸
9 プロセッサユニット
10 切り欠き
11 中間部材
12 関節継手
13 追加の要素
14 バネ要素
15 光変調デバイス
16 スクリーン
17 空間周波数フィルタ
18 観察者平面
19 仮想的可視領域または仮想的観察者ウィンドウ
104aおよび104b 圧電素子
106 ベアリング要素
206 バネ要素
306、406、506、606、706、806、906、および916 ベアリング要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子と該光学素子を変形させるためのアクチュエータとを備える、衝突光に影響を及ぼすための結像装置であって、前記光学素子は前記衝突光に面する表面を有し、前記アクチュエータは少なくとも1つの圧電素子を有し、前記圧電素子は制御デバイスによる駆動が可能なものであり、
前記圧電素子(4、4’、4”、104a、104b)は、前記衝突光に面する前記光学素子(2)の裏面および表面の少なくとも一方に張り付けられ、
前記光学素子(2)は、回転の自由度および変位の自由度の少なくとも一方の少なくとも1つに対し方向依存のあるコンプライアンスを各々が有するような少なくとも1つのベアリング要素(6a、6b、6a、6c、6d、6e、106、206、306、406、506、606、706、806、906、916)によって支えられ、
これにより、前記光学素子(2)の実質的に固定された全体位置によって、実質的に縦方向に力のかからない曲げを達成することを特徴とする結像装置。
【請求項2】
前記光学素子(2)の前記ベアリング要素(6c、6d、6e、106、206、306、406、506、606、706、806、906、916)は、バネ要素を備えることを特徴とする請求項1に記載の結像装置。
【請求項3】
前記圧電素子(4、4’、4”、104a、104b)は、前記光学素子(2)の片面または両面に面状にあてがわれた要素であることを特徴とする請求項1に記載の結像装置。
【請求項4】
前記ベアリング要素(6c、6d、6e、106、206、306、406、506、606、706)は、減衰要素を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の結像装置。
【請求項5】
前記減衰要素は、ポリマー要素、接着層、または粘弾性要素であることを特徴とする請求項4に記載の結像装置。
【請求項6】
前記光学素子(2)の少なくとも1つの端面は、前記ベアリング要素(6a、6b、6a、6c、6d、6e、106、206、306、406、506、606、706)を用いて支持されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項7】
前記光学素子(2)は、それぞれの場合に前記ベアリング要素(6a、6b、6a、6c、6d、6e、106、206、306、406、506、606、706)のうちの1つに結合される保持要素(5)を用いて反対側に支持されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項8】
前記ベアリング要素(206)は、少なくとも2つの関節継手(12)を持つ剛性のある中間部材(11)を有し、前記関節継手(12)の1つは前記光学素子(2)の前記端面または前記端面に対する前記保持要素(5)のうちの1つに接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の結像装置。
【請求項9】
前記ベアリング要素(306)は、前記光学素子(2)の前記端面のうちの1つの端面に対する前記保持要素(5)のうちの1つに接続された、変形可能な追加の要素(13)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の結像装置。
【請求項10】
前記光学素子(2)は、少なくとも2自由度で変位可能であり、少なくとも1自由度で回転可能であることを特徴とする請求項8または9に記載の結像装置。
【請求項11】
前記ベアリング要素(706)は、前記光学素子(2)の前記端面を少なくとも部分的に囲む弾性ポリマー要素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の結像装置。
【請求項12】
前記弾性ポリマー要素は、接着層であることを特徴とする請求項11に記載の結像装置。
【請求項13】
前記ベアリング要素(706)は、前記光学素子(2)の前記端面の1つを囲むリセプタクルを備え、接着弾性組成物が前記リセプタクル内に収納されることを特徴とする請求項11または12に記載の結像装置。
【請求項14】
前記ベアリング要素(706)は、粘弾性要素を備えることを特徴とする請求項11に記載の結像装置。
【請求項15】
前記光学素子(2)は、少なくとも1自由度で変位可能であり、少なくとも1自由度で回転可能であることを特徴とする請求項11に記載の結像装置。
【請求項16】
前記光学素子(2)は、その中心領域内で支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の結像装置。
【請求項17】
前記光学素子(2)は、線接触または点支持を有するベアリング要素として具現化されたベアリング要素(806、906、916)を用いて支持され、これにより、少なくとも前記ベアリング要素(806、906、916)に関して横方向の領域で前記光学素子(2)の縦方向の力がかからない曲げを引き起こすことが可能であることを特徴とする請求項16に記載の結像装置。
【請求項18】
前記ベアリング要素(806、906、916)は、それぞれの場合においてそれに関して横方向に備えられるバネ要素(14)を有する線接触または点支持を含むベアリング要素を備えることを特徴とする請求項17に記載の結像装置。
【請求項19】
前記光学素子(2)と前記ベアリング要素(806、906、916)との間の前記接触は、前記中心領域において縦方向の力がかからない曲がりを引き起こすことが可能なように十分に小さいことを特徴とする請求項16に記載の結像装置。
【請求項20】
前記圧電素子(104a、104b)は、複数のピースで具現化されることを特徴とする請求項3または16乃至19の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項21】
前記アクチュエータ(3)は、前記ベアリング要素(806、906、916)と前記光学素子(2)との間に配列され、前記アクチュエータ(3)は前記光学素子(2)の大多数の上に広がることを特徴とする請求項16に記載の結像装置。
【請求項22】
前記光学素子(2)の光軸(8)に平行な力が、前記アクチュエータ(3)を用いて前記光学素子(2)に加えられうることを特徴とする請求項1乃至21の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項23】
前記圧電素子(4、4’、4”)は、前記光学的非活性領域内の前記光学素子(2)の前記表面上に張り付けられることを特徴とする請求項1乃至22の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項24】
前記アクチュエータ(3)の前記圧電素子(4、4’、4”、104a、104b)は、前記表面および前記裏面の少なくとも一方に付けられた回折格子要素として具現化されることを特徴とする請求項23に記載の結像装置。
【請求項25】
前記アクチュエータ(3)の前記圧電素子(4、4’、4”、104a、104b)は、前記光学素子(2)の前記裏面に張り付けられた少なくとも1つの圧電セラミック膜であり、前記圧電セラミック膜の伸長および収縮の少なくとも一方は前記制御デバイス(7)を用いて行われうることを特徴とする請求項23に記載の結像装置。
【請求項26】
前記圧電素子(4、4’、4”、104a、104b)は、少なくとも前記光学素子(2)の幅の大部分にわたって、特に前記光学素子(2)の幅全体にわたって広がることを特徴とする請求項1乃至25の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項27】
前記圧電素子(4、4’、4”、104a、104b)は、前記制御デバイス(7)を用いて反対方向に駆動されうる少なくとも2つの圧電セラミック膜を有することを特徴とする請求項1乃至26の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項28】
前記少なくとも2つの圧電セラミック膜(4’、4”)は、前記光学素子(2)の前記裏面に互いに平行になるように配列されることを特徴とする請求項1乃至27の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項29】
前記2つの圧電セラミック膜(4’、4”)は、互いに平行になるように配列され、一方の圧電セラミック膜(4’)は前記光学素子(2)の前記裏面に配列され、もう一方の圧電セラミック膜(4”)は前記光学素子(2)の前記表面に配列され、前記圧電セラミック膜(4”)は前記表面の前記光学活性領域用の切り欠きを有する前記表面に張り付けられていることを特徴とする請求項1乃至28の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項30】
前記圧電素子(4、4’、4”、104a、104b)は、プレストレスをかけられることを特徴とする請求項1乃至29の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項31】
前記光学素子(2)は、光学面を有する膜として具現化されることを特徴とする請求項1乃至30の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項32】
前記光学素子(2)の前記光学面は、前記光の影響に応じてR=(−∞、−250mm)からR=(+250mm、+∞)までの調節範囲で設定できる曲率半径となるように湾曲させることができることを特徴とする請求項1乃至31の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項33】
2Hzから20Hzまでの範囲内の周波数、好ましくは5Hzの周波数は、広い調節範囲において前記光学素子(2)を変形させるために規定されることを特徴とする請求項1乃至32の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項34】
最大150Hzまでの周波数は、前記半径の所望の値を中心として5%の微調節範囲内で前記光学素子(2)を変形させるために規定されることを特徴とする請求項1乃至33の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項35】
前記光学素子(2)の前記厚さは、屈曲の過程で一定のままであることを特徴とする請求項1乃至34の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項36】
前記光学素子(2)は、鏡、特に円筒鏡であることを特徴とする請求項1乃至35の何れか一項に記載の結像装置。
【請求項37】
光学素子に衝突する光に影響を及ぼす方法であって、前記光学素子に衝突する前記光は結像され、前記光学素子(2)は、請求項1乃至36の何れか一項に記載の結像装置(1)の一部であり、前記光学面および裏面の少なくとも一方への作用を通じてアクチュエータ(3)を用いて変形され、これにより、実質的に縦方向の力のかからない曲げが、前記光学素子(2)の実質的に固定された全体的位置によって引き起こされることを特徴とする方法。
【請求項38】
前記光学素子(2)を変形させるための力は、前記表面の前記光学活性領域の外にある前記光学素子(2)内に導入されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記アクチュエータ(3)により前記光学素子(2)に加えられる前記力は、特にコンピュータ制御の下で電圧および電流を前記アクチュエータ(3)に印加することにより、メカトロニクスを用いて発生させられることを特徴とする請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記光学素子(2)の前記表面の湾曲の方向は、前記アクチュエータ(3)に印加される前記電圧の極性を設定することにより設定されることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記光学素子(2)に関する前記結像の設定は、前記光学素子(2)の前記変形を用いて行われることを特徴とする請求項37乃至40の何れか一項に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1つの偏光素子を用いて結像され、ある角度で前記偏光素子に衝突する波面の波面収差は、前記光学素子(2)を備える前記結像装置(1)を用いて補正されることを特徴とする請求項37乃至41の何れか一項に記載の方法。
【請求項43】
色収差、特に軸上色収差は、前記光学素子(2)を備える前記結像装置(1)を用いて補正されることを特徴とする請求項37乃至42の何れか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記光学素子(2)の形状は、前記アクチュエータ(3)の厚さを変化させることにより補正されることを特徴とする請求項37乃至43の何れか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記アクチュエータ(3)を備える前記光学素子(2)は、
−所定のパラメータに従ってキャリア材料を機械加工して膜を形成する工程と、
−前記膜上に光学層として使用される物質を蒸着し、微細機械加工する工程と、
−前記膜(2)をアクチュエータ(3)にラミネートする工程、または
−前記膜(2)をアクチュエータ(3)にコーティングする工程、または
−厚膜技術を用いてアクチュエータ(3)に前記膜(2)に施す工程、
を用いて形成されることを特徴とする請求項37乃至44の何れか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記光の波面は、特に少なくとも1人の観察者の目による監視に対する応答として、前記結像装置(1)の前記光学素子(2)の前記変形を用いて三次元のシーンを表すためのホログラフィック投影デバイスの光軸(OA)にそってトラッキングされることを特徴とする請求項37乃至45の何れか一項に記載の方法。
【請求項47】
調節器(9)により結像の像面の位置を前記像面に関する法線方向に設定するためのシステムであって、前記システムを用いることにより、センサの出力に応じて請求項1乃至36の何れか一項に記載の結像装置(1)が設定されうることを特徴とするシステム。
【請求項48】
前記センサは、位置検出センサであることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
2Hzから20Hzまでの範囲内の周波数、好ましくは5Hzの周波数が、前記位置検出センサにより検出されたとおりに観察者の位置に前記結像の前記像面を配置するために使用されることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
25Hzの周波数を使用して観察者の一方の目に対する、前記同じ周波数を使用する前記結像装置(1)により微調節できる像信号が与えられることを特徴とする請求項47乃至49の何れか一項に記載のシステム。
【請求項51】
50Hzの周波数を使用して観察者の両方の目に対する像信号が与えられ、この場合、両方の目の時分割多重のため、前記像信号は目毎に25Hzで光学素子(2)に当たり、前記同じ周波数を持つ前記結像装置(1)により微調節できることを特徴とする請求項47乃至49の何れか一項に記載のシステム。
【請求項52】
150Hzの周波数で微細範囲調節が行われ、観察者の両目および3つの単色に対する信号が時分割多重を用いて光学素子(2)に当たることを特徴とする請求項47乃至49の何れか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8】
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【図10】
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【図12a】
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【図12b】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−80467(P2009−80467A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−209798(P2008−209798)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(507230267)シーリアル テクノロジーズ ソシエテ アノニム (89)
【氏名又は名称原語表記】SEEREAL TECHNOLOGIES S.A.
【Fターム(参考)】