説明

表示パネルの製造方法およびそれに用いる露光システム

【課題】 1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質むらを容易に低減する。
【解決手段】 基板上に薄膜を形成する工程と、前記薄膜をエッチングする工程とを複数回繰り返して、前記基板上に複数本の走査信号線と、絶縁層を介して前記複数本の走査信号線と立体的に交差する複数本の映像信号線と、2本の隣接する走査信号線および2本の隣接する映像信号線で囲まれた画素領域に対して配置されるTFT素子および画素電極とを形成する表示パネルの製造方法であって、あらかじめ用意された設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いてレジスト膜を露光する工程と、露光したレジスト膜を現像して形成されたエッチングレジストを利用して前記薄膜をエッチングし、薄膜パターンを形成する工程と、形成された薄膜パターンの完成寸法に基づいて、前記設計パターンを補正する工程とを有する表示パネルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの製造方法およびそれに用いる露光システムに関し、特に、液晶表示パネルに用いるTFT基板の製造方法に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置は、テレビやパーソナル・コンピュータ(PC)のディスプレイなどから、携帯電話端末や携帯情報端末(PDA)のディスプレイまで、幅広く用いられている。
【0003】
前記液晶表示装置は、一対の基板の間に液晶材料を挟持した液晶表示パネルを有する表示装置であり、前記一対の基板のうちの一方の基板(以下、TFT基板と呼ぶ)には、たとえば、複数本の走査信号線と、絶縁層を介して前記複数本の走査信号線と立体的に交差する複数本の映像信号線と、2本の隣接する走査信号線および2本の隣接する映像信号線で囲まれた画素領域に対して配置されるTFT素子および画素電極などが形成されている。
【0004】
また、前記液晶表示パネルが、たとえば、TN方式やVA方式などの縦電界方式の場合、前記TFT基板と対向するもう一方の基板に、前記画素電極と対向する対向電極(共通電極とも呼ばれる)が形成されている。また、前記液晶表示パネルが、たとえば、IPS方式などの横電界方式の場合、前記TFT基板に、前記画素電極と対向する対向電極が形成されている。
【0005】
前記液晶表示パネルの前記TFT基板を製造するときには、たとえば、ガラス基板上に薄膜を形成(成膜)する工程と、前記薄膜をエッチングする工程とを複数回繰り返して前記走査信号線などのパターンを順次形成していく。
【0006】
前記薄膜をエッチングする工程では、まず、前記薄膜上に感光性のレジスト膜を形成(成膜)し、あらかじめ定められた設計パターンに基づいて前記レジスト膜を露光した後、前記露光したレジスト膜を現像してエッチングマスクを形成する。そして、前記エッチングマスクを利用して前記薄膜をエッチングし、前記設計パターンを反映した薄膜パターンを形成する。
【0007】
また、従来のTFT基板の製造過程では、前記レジスト膜を露光するときに、フォトマスクを用いるのが一般的である。前記フォトマスクは、たとえば、クロム(Cr)などの金属膜を用いて、ガラス基板上に前記設計パターンを反映した露光パターンを形成したマスクである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記液晶表示装置を製造する際に重要な点の1つに、1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質を均一にすることが挙げられる。すなわち、1枚の液晶表示パネルの表示領域の各領域の画質、たとえば、中央部分と角部の画質や、左端部と右端部の画質、あるいは上端部と下端部の画質を比較したときに、視覚的に均一になるようにすることが重要視されている。
【0009】
しかしながら、前記従来の液晶表示装置のうち、たとえば、液晶テレビやPC向けの液晶ディスプレイなどの大型の液晶表示装置では、1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質を均一にすることが難しく、画質むらが発生するという問題があった。
【0010】
前記1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質むらの原因の1つに、SD細りと呼ばれる現象が挙げられる。前記SD細りとは、実際に導体膜をエッチングして形成されたTFT素子のソース電極やドレイン電極を平面でみたときの幅が、設計パターンにおける幅よりも細くなってしまう現象である。
【0011】
実際に形成されたソース電極やドレイン電極の幅が設計パターンにおける幅よりも細くなってしまうと、たとえば、TFT素子のチャネル幅が細くなり、TFT素子への書き込み電流値が小さくなるので、階調データの書き込み不足が生じる。そのため、たとえば、実際に形成されたソース電極やドレイン電極の幅が設計パターンの幅とほぼ同じ画素と、前記SD細りが生じた画素が並んで存在しているような場合、その境界付近に輝度むらが発生する。
【0012】
従来のフォトマスクを用いた露光方法で露光して形成されたエッチングレジストを利用してTFT素子のソース電極やドレイン電極(映像信号線)を形成した場合、このようなSD細りと呼ばれる現象が発生すると、SD細りが発生した箇所の露光パターンを補正したフォトマスクを新たに作成する必要がある。
【0013】
しかしながら、前記フォトマスクは露光パターンを高精度に形成する必要があり、フォトマスクの作成には、多大な時間と費用を要する。また、前記SD細りは、常に同じ箇所に発生するわけではなく、たとえば、ソース電極やドレイン電極(映像信号線)を形成する際の条件によって変化する。そのため、フォトマスクの露光パターンを補正して前記SD細りを防ぐという方法は現実的ではない。
【0014】
また、1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質むらの原因には、一般に、たとえば、1枚のTFT基板に形成された各走査信号線の幅のばらつき、1本の走査信号線の各領域における幅のばらつきなどの、1枚のTFT基板上の各画素領域に実際に形成されたパターンの寸法のばらつきが関係していることが知られている。また、前記各画素領域に実際に形成されたパターンの寸法のばらつきには、たとえば、ガラス基板上に導体膜や絶縁膜などの薄膜を成膜したときに生じる前記ガラス基板上の各領域における膜厚のばらつきや、前記薄膜をエッチングしたときに生じる前記ガラス基板上の各領域におけるエッチング量のばらつきが関係していることも知られている。そして、前記薄膜の膜厚のばらつきやエッチング量のばらつきは、前記ガラス基板が大型化し、一度に成膜する領域やエッチングする領域が大きくなるにつれて顕著になる。
【0015】
従来のフォトマスクを用いて露光する方法の場合、たとえば、フォトマスクに形成された複数本の走査信号線の露光パターンは、設計パターンを反映しており、各走査信号線の幅や、隣接する2本の走査信号線の間隔が一定になるように形成されている。そのため、たとえば、前記薄膜の膜厚にばらつきが生じていても、すべての走査信号線が同じ幅になるようなエッチングレジストが形成される。その結果、たとえば、薄膜の膜厚が薄い箇所と厚い箇所でエッチング量にばらつきが生じ、各走査信号線の幅にばらつきが生じる。つまり、薄膜の膜厚が薄い箇所では、膜厚が厚い箇所に比べて走査信号線の幅が狭くなる。
【0016】
しかしながら、前述のように、前記フォトマスクの作成には、多大な時間と費用を要する。また、前記薄膜の膜厚のばらつきには、ガラス基板の中心付近が厚くなり、端部に向かうにつれて薄くなるという傾向があるが、その分布にはばらつきがある。また、TFT基板を製造するときには、たとえば、マザーガラスと呼ばれる大面積の基板を用いた多面取りと呼ばれる方法で製造される。そのため、同じフォトマスクを使用して薄膜パターンを形成するTFT基板であっても、前記マザーガラス上のどの領域に位置するかによって、薄膜の膜厚の分布が変わってくる。そのため、たとえば、前記フォトマスクの露光パターンを補正して前記薄膜の膜厚のばらつきやエッチング量のばらつきに対応するといういう方法も現実的ではない。
【0017】
このように、従来の液晶表示パネルでは、TFT基板の製造過程において、従来のフォトマスクを用いる露光方法で前記レジスト膜を露光しているので、薄膜の膜厚のばらつきやエッチング量のばらつきによる、各走査信号線や各映像信号線の幅のばらつき、TFT素子の書き込み電流値のばらつきなど制御することが難しく、1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質むらを低減することが難しいという問題があった。
【0018】
本発明の目的は、1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質むらを容易に低減することが可能な表示パネルの製造方法および露光システムを提供することにある。
【0019】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概略を説明すれば、以下の通りである。
【0021】
(1)基板上に薄膜を形成する工程と、前記薄膜をエッチングする工程とを複数回繰り返して、前記基板上に複数本の走査信号線と、絶縁層を介して前記複数本の走査信号線と立体的に交差する複数本の映像信号線と、2本の隣接する走査信号線および2本の隣接する映像信号線で囲まれた画素領域に対して配置されるTFT素子および画素電極とを形成する表示パネルの製造方法であって、前記基板に形成された薄膜上に感光性のレジスト膜を形成する第1の工程と、あらかじめ用意された設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いて前記レジスト膜を露光する第2の工程と、前記第2の工程で露光した前記レジスト膜を現像してエッチングレジストを形成する第3の工程と、前記第3の工程で形成したエッチングレジストを利用して前記薄膜をエッチングし、前記設計パターンを反映した薄膜パターンを形成する第4の工程と、前記第4の工程で形成された薄膜パターンの完成寸法を計測する第5の工程と、前記第5の工程で計測した薄膜パターンの完成寸法に基づいて、前記設計パターンを補正する第6の工程とを有し、前記第6の工程で前記設計パターンを補正した後、前記第2の工程は、前記補正した設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いて前記レジスト膜を露光する表示パネルの製造方法。
【0022】
(2)前記(1)の表示パネルの製造方法において、前記第2の工程は、前記レジスト膜の全領域を複数の微小領域に分割し、前記露光寸法に基づいて前記複数の微小領域を、露光する微小領域と露光しない微小領域に分別し、前記複数の微小領域のうちの、前記露光する微小領域のみを順次、または一括して露光する表示パネルの製造方法。
【0023】
(3)前記(1)または(2)の表示パネルの製造方法において、前記第2の工程で用いる前記露光寸法は、前記レジスト膜の露光する領域を1つの図形または複数の図形の組み合わせで表現し、各図形の寸法および位置によって露光する領域を特定する表示パネルの製造方法。
【0024】
(4)前記(1)から(3)のいずれかの表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法であり、前記第6の工程は、前記各測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法と、前記設計パターンの前記平面での設計寸法との差が、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正する表示パネルの製造方法。
【0025】
(5)前記(1)から(3)のいずれかの表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法であり、前記第6の工程は、前記各測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法のばらつきが、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正する表示パネルの製造方法。
【0026】
(6)前記(4)または(5)の表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法、および前記第6の工程で補正する前記設計パターンは、前記複数本の走査信号線を平面でみた寸法である表示パネルの製造方法。
【0027】
(7)前記(4)または(5)の表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法、および前記第6の工程で補正する前記設計パターンは、前記複数本の映像信号線を平面でみた寸法である表示パネルの製造方法。
【0028】
(8)前記(4)または(5)の表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法、および前記第6の工程で補正する前記設計パターンは、前記TFT素子のチャネル幅とチャネル長のいずれか一方、あるいは両方である表示パネルの製造方法。
【0029】
(9)前記(4)または(5)の表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法、および前記第6の工程で補正する前記設計パターンは、前記画素電極を平面でみた寸法である表示パネルの製造方法。
【0030】
(10)前記(1)から(3)のいずれかの表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた寸法および膜厚であり、前記第6の工程は、前記各測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚から算出される電気的特性と、前記設計パターンから得られる電気的特性との差が、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正する表示パネルの製造方法。
【0031】
(11)前記(1)から(3)のいずれかの表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚であり、前記第6の工程は、前記各測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚から算出される電気的特性のばらつきが、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正する表示パネルの製造方法。
【0032】
(12)前記(10)または(11)の表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚は、前記走査信号線を平面でみた完成寸法および膜厚であり、前記第6の工程は、前記走査信号線の膜厚が薄い測定点に対する前記設計パターンの走査信号線の幅を広くし、前記走査信号線の膜厚が厚い測定点に対する前記設計パターンの走査信号線の幅を狭くする表示パネルの製造方法。
【0033】
(13)前記(10)または(11)の表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚は、前記TFT素子のゲート絶縁膜の膜厚、前記TFT素子のドレイン電極とソース電極の間に構成されるチャネルの幅および長さであり、前記第6の工程は、前記TFT素子のゲート絶縁膜の膜厚、前記TFT素子の前記チャネルの幅および長さから、各測定点における前記TFT素子の書き込み電流値を算出する工程と、算出した前記書き込み電流値に基づいて前記設計パターンの前記TFT素子の前記チャネルの幅と長さのいずれか一方、あるいは両方の寸法を補正する工程とを有する表示パネルの製造方法。
【0034】
(14)前記(10)または(11)の表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚は、前記走査信号線を平面でみた完成寸法および膜厚、前記映像信号線を平面でみた完成寸法、前記TFT素子のゲート絶縁膜の膜厚、前記TFT素子のチャネル幅およびチャネル長であり、前記第6の工程は、前記走査信号線を平面でみた完成寸法および膜厚、前記映像信号線を平面でみた完成寸法、前記TFT素子のゲート絶縁膜の膜厚、前記TFT素子のチャネル幅およびチャネル長から各測定点における配線遅延時間を算出する工程と、算出した前記配線遅延時間に基づいて前記設計パターンの前記TFT素子の前記チャネルの幅と長さのいずれか一方、あるいは両方の寸法を補正する工程とを有する表示パネルの製造方法。
【0035】
(15)前記(13)または(14)の表示パネルの製造方法において、前記設計パターンの前記TFT素子の前記チャネルの幅および長さの補正は、前記TFT素子のドレイン電極の寸法、および前記TFT素子のソース電極の寸法の補正によって行う表示パネルの製造方法。
【0036】
(16)前記(10)または(11)の表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚は、前記走査信号線、または前記走査信号線と併設して形成される保持容量線と前記画素電極の平面でみて重なる領域の寸法と、前記走査信号線または前記保持容量線と前記画素電極の間に介在する絶縁層の膜厚であり、前記第6の工程は、前記走査信号線または前記保持容量線と前記画素電極の平面でみて重なる領域の寸法と、前記走査信号線または前記保持容量線と前記画素電極の間に介在する絶縁層の膜厚から、前記走査信号線または前記保持容量線と前記画素電極の平面でみて重なる領域に構成される保持容量を算出する工程と、算出した前記保持容量に基づいて前記設計パターンの前記画素電極の前記走査信号線または前記保持容量線と平面でみて重なる領域の寸法を補正する工程とを有する表示パネルの製造方法。
【0037】
(17)前記(1)から(16)のいずれかの表示パネルの製造方法において、前記表示パネルは、一対の基板の間に液晶材料を挟持した液晶表示パネルであり、前記走査信号線、前記映像信号線、前記TFT素子、および前記画素電極は、前記一対の基板のうちの一方の基板に前記薄膜パターンを積層して形成する表示パネルの製造方法。
【0038】
(18)基板上に薄膜を形成する工程と、薄膜をエッチングする工程とを複数回繰り返して、基板上に複数本の走査信号線と、絶縁層を介して前記複数本の走査信号線と立体的に交差する複数本の映像信号線と、2本の隣接する走査信号線および2本の隣接する映像信号線で囲まれた画素領域に対して配置されるTFT素子および画素電極とを形成する表示パネルの製造過程で、前記薄膜上に形成した感光性のレジスト膜を露光する露光システムであって、あらかじめ用意された設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いて前記感光性のレジスト膜を露光する露光装置と、前記基板上に形成された薄膜パターンの完成寸法を計測する完成寸法計測装置と、前記完成寸法計測装置の計測結果に基づいて前記露光装置で用いる前記設計パターンの数値を補正し、前記補正した設計パターンを前記露光装置に送信する設計パターン補正装置とを有する露光システム。
【0039】
(19)前記(18)の露光システムにおいて、前記露光装置は、外部装置または外部の記録媒体から前記設計パターンを取得する設計パターン取得手段と、前記取得した設計パターンから前記露光寸法を作成する露光寸法作成手段と、作成した前記露光寸法を保持する露光寸法保持手段と、前記レジスト膜の全領域を複数の微小領域に分割し、前記露光寸法に基づいて前記複数の微小領域を、露光する微小領域と露光しない微小領域に分別する露光制御手段と、前記複数の微小領域のうちの、前記露光する微小領域のみを順次、または一括して露光する露光ヘッドを有する露光システム。
【0040】
(20)前記(18)または(19)の露光システムにおいて、前記完成寸法計測装置は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法を計測する装置である露光システム。
【0041】
(21)前記(18)または(19)の露光システムにおいて、前記完成寸法計測装置は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法を計測する手段と、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンの膜厚を計測する手段を有する露光システム。
【0042】
(22)前記(18)から(21)のいずれかの露光システムにおいて、前記完成寸法計測装置は、前記設計パターン補正装置と一体的に設けられている露光システム。
【0043】
(23)前記(18)から(21)のいずれかの露光システムにおいて、前記露光装置、前記完成寸法計測装置、および前記設計パターン補正装置は、ネットワークを介して相互に接続されている露光システム。
【0044】
(24)前記(18)から(21)のいずれかの露光システムにおいて、前記露光装置、前記計測装置、および前記設計パターン補正装置に加え、前記あらかじめ用意された設計パターンを保持する設計パターン保持装置を有し、前記露光装置、前記計測装置、前記設計パターン補正装置、および前記設計パターン保持装置は、ネットワークを介して相互に接続されている露光システム。
【発明の効果】
【0045】
本発明の表示パネルの製造方法は、基板上に薄膜を形成する工程と、前記薄膜をエッチングする工程とを複数回繰り返して、前記基板上に複数本の走査信号線と、絶縁層を介して前記複数本の走査信号線と立体的に交差する複数本の映像信号線と、2本の隣接する走査信号線および2本の隣接する映像信号線で囲まれた画素領域に対して配置されるTFT素子および画素電極とを形成することを前提とする。
【0046】
そして、本発明の表示パネルの製造方法において、前記薄膜をエッチングする工程は、前記基板に形成された薄膜上に感光性のレジスト膜を形成する第1の工程と、あらかじめ用意された設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いて前記レジスト膜を露光する第2の工程と、前記第2の工程で露光した前記レジスト膜を現像してエッチングレジストを形成する第3の工程と、前記第3の工程で形成したエッチングレジストを利用して前記薄膜をエッチングし、前記設計パターンを反映した薄膜パターンを形成する第4の工程とを有する。
【0047】
また、本発明の表示パネルの製造方法では、前記第1の工程から前記第4の工程に加えて、前記第4の工程で形成された薄膜パターンの完成寸法を計測する第5の工程と、前記第5の工程で計測した薄膜パターンの完成寸法に基づいて、前記設計パターンを補正する第6の工程とをする。そして、前記第6の工程で前記設計パターンを補正した場合、前記第2の工程は、前記補正した設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いて前記レジスト膜を露光する。
【0048】
つまり、本発明の表示パネルの製造方法は、レジスト膜を露光するときに、数値化された露光寸法に基づいて露光するので、前記露光寸法の数値を変更することで、容易にレジスト膜の露光領域(露光パターン)を変更することができる。そのため、たとえば、薄膜をエッチングする際に生じるエッチング量のばらつきなどによる、基板上の複数の箇所に形成された同一の機能を持つ薄膜パターンの寸法にばらつきが生じたときに、ばらつきが大きい箇所の薄膜パターンの露光寸法を容易に変更することができ、薄膜パターンの寸法のばらつきを容易に低減することができる。その結果、薄膜パターンの寸法のばらつきによる表示領域の各画素の電気的特性のばらつきを低減でき、1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質むらを容易に低減することができる。
【0049】
また、本発明の表示パネルの製造方法において、前記第2の工程は、たとえば、直描露光機と呼ばれる露光装置を用いて行い、前記レジスト膜の全領域を複数の微小領域に分割し、前記露光寸法に基づいて前記複数の微小領域を、露光する微小領域と露光しない微小領域に分別し、前記複数の微小領域のうちの、前記露光する微小領域のみを順次、または一括して露光する。このとき、前記露光寸法は、たとえば、前記レジスト膜の露光する領域を1つの図形または複数の図形の組み合わせで表現し、各図形の寸法および位置によって露光する領域を特定する。
【0050】
また、本発明の表示パネルの製造方法において、前記第5の工程で計測する薄膜パターンの完成寸法は、たとえば、薄膜パターンを平面でみた完成寸法のみであってもよいし、薄膜パターンを平面でみた完成寸法と膜厚であってもよい。なお、前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法と膜厚を計測する場合、たとえば、ある機能を持つ薄膜パターンについては平面でみた完成寸法のみを計測し、別の機能を持つ薄膜パターンについては平面でみた完成寸法および膜厚、あるいは膜厚のみを計測してもよい。
【0051】
前記第5の工程で計測する薄膜パターンの完成寸法が薄膜パターンを平面でみた完成寸法のみの場合、前記第6の工程は、たとえば、複数の測定点で計測した薄膜パターンの完成寸法と、設計パターンにおける前記薄膜パターンの平面でみた寸法とを比較し、各測定点における薄膜パターンの完成寸法と前記設計パターンの前記平面での設計寸法との差が、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正する。このようにすることで、基板上に多数形成される同一の機能を持つ薄膜パターンを設計パターンの寸法とほぼ同じ寸法に形成することができる。
【0052】
また、前記表示パネルでは通常、1枚の表示パネルの表示領域の画質が視覚的に均一であればよく、たとえば、各画素のTFT素子の寸法などが設計パターンと同じ寸法である必要はない。そのため、前記第6の工程は、たとえば、各測定点における薄膜パターンの完成寸法のばらつきが、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正してもよい。
【0053】
このように、薄膜パターンの平面でみた寸法のばらつきを低減するように設計パターンを補正する場合、たとえば、複数本の走査信号線の平面でみた完成寸法のばらつきや、複数本の映像信号線の平面でみた完成寸法ばらつきを低減することができる。また、各画素領域に対して配置されるTFT素子のチャネル幅やチャネル長の寸法のばらつきや、画素電極の寸法のばらつきを低減できる。
【0054】
ところで、前記基板上に薄膜を形成する工程では、たとえば、スパッタリング法やCVD法を用いて基板上に薄膜を成膜することが多い。このとき、基板上の複数の測定点で成膜された前記薄膜の膜厚を測定すると、その膜厚にはばらつきが生じる。そのため、単純に各測定点における薄膜パターンを平面でみた完成寸法のばらつきを低減すると、膜厚のばらつきの影響で電気的特性にばらつきが生じ、画質むらが生じることがある。特に、テレビやPC向けのディスプレイなどの大画面の表示パネルに用いられる大面積の基板では、成膜した薄膜の膜厚に生じるばらつきが大きくなり、膜厚のばらつきによる電気的特性のばらつきが大きくなりやすい。そのため、大面積の基板上に走査信号線などの薄膜パターンを計測する場合、前記第5の工程で薄膜パターンを平面でみた完成寸法と膜厚を計測することが望ましい。このとき、前記第6の工程では、たとえば、各測定点で計測した前記平面でみた完成寸法および膜厚から算出される電気的特性と、設計パターンから得られる電気的特性との差が、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正する。
【0055】
また、前記表示パネルでは通常、1枚の表示パネルの表示領域の画質が視覚的に均一であればよく、たとえば、各画素のTFT素子の電気的特性などが設計パターンから得られる特性と同じである必要はない。そのため、前記第6の工程は、たとえば、前記各測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚から算出される電気的特性のばらつきが、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正してもよい。
【0056】
このように、薄膜パターンの膜厚も計測する場合、たとえば、TFT素子のドレイン電極およびソース電極を平面でみた完成寸法から得られるチャネル幅およびチャネル長の寸法と、ゲート絶縁膜の膜厚から各測定点におけるTFT素子の書き込み電流値を算出して見積もることができる。そのため、たとえば、ゲート絶縁膜が厚いTFT素子はチャネル幅を広くし、ゲート絶縁膜が薄いTFT素子はチャネル幅を狭くするように設計パターンを補正することで、各測定点におけるTFT素子の書き込み電流値のばらつきを低減することができる。
【0057】
また、薄膜パターンの膜厚も計測する場合、たとえば、TFT素子のチャネル幅およびチャネル長の寸法と、ゲート絶縁膜の膜厚に加え、走査信号線を平面でみた寸法および膜厚、映像信号線を平面でみた寸法を計測することで、たとえば、各測定点における走査信号線の配線遅延時間を算出して見積もることができる。そのため、たとえば、配線遅延時間が大きい測定点のTFT素子はチャネル幅を広くし、配線遅延時間が小さい測定点のTFT素子はチャネル幅を狭くするように設計パターンを補正することで、各測定点におけるTFT素子の書き込み時間のばらつきを低減することができる。
【0058】
またさらに、薄膜パターンの膜厚も計測する場合、たとえば、走査信号線と画素電極との平面でみて重なる領域の寸法と、その領域に介在する絶縁膜の総厚から、各測定点の画素領域の保持容量を算出して見積もることができる。そのため、たとえば、介在する絶縁膜の総厚が薄い測定点の画素電極は走査信号線と平面でみて重なる領域の寸法を小さくし、介在する絶縁膜の総厚が厚い測定点の画素電極は走査信号線と平面でみて重なる領域の寸法を大きくするように設計パターンを補正することで、各測定点における保持容量のばらつきを低減することができる。
【0059】
なお、基板の構成によっては、たとえば、走査信号線を形成するときに、走査信号線と併設した保持容量線も形成し、前記保持容量線と前記画素電極との平面でみて重なる領域に保持容量を構成することがある。その場合は、保持容量線と画素電極との平面でみて重なる領域の寸法と、その領域に介在する絶縁膜の総厚から、各測定点の画素領域の保持容量を算出して見積もる。この場合も、たとえば、介在する絶縁膜の総厚が薄い測定点の画素電極は保持容量線と平面でみて重なる領域の寸法を小さくし、介在する絶縁膜の総厚が厚い測定点の画素電極は保持容量線と平面でみて重なる領域の寸法を大きくするように設計パターンを補正することで、各測定点における保持容量のばらつきを低減することができる。また、保持容量線を設ける場合は、画素電極の寸法を補正する代わりに、保持容量線の寸法を補正してもよい。
【0060】
また、本発明の表示パネルの製造方法は、前述のように、1枚の基板上に前記走査信号線、前記映像信号線、前記TFT素子、および前記画素電極などを形成する方法に関する。そのため、本発明の表示パネルの製造方法は、このような方法で形成される基板を有する表示パネルに対してであれば、どのような表示方式の表示パネルの製造方法にも適用できる。本発明の表示パネルの製造方法を適用できるものとしては、たとえば、一対の基板の間に液晶材料を挟持した液晶表示パネルや、前記画素電極として有機EL(ElectroLuminescence)を用いた自発光型の表示パネルがある。
【0061】
また、本発明の表示パネルの製造方法を適用して前記液晶表示パネルなどの基板を製造する過程で使用する、前記感光性のレジスト膜を露光する露光システムは、たとえば、あらかじめ用意された設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いて前記感光性のレジスト膜を露光する露光装置と、前記基板上に形成された薄膜パターンの完成寸法を計測する完成寸法計測装置と、前記完成寸法計測装置の計測結果に基づいて前記露光装置で用いる前記設計パターンの数値を補正し、前記補正した設計パターンを前記露光装置に送信する設計パターン補正装置とを有する構成にすればよい。
【0062】
このとき、前記露光装置は、たとえば、外部装置または外部の記録媒体から前記設計パターンを取得する設計パターン取得手段と、前記取得した設計パターンから前記露光寸法を作成する露光寸法作成手段と、作成した前記露光寸法を保持する露光寸法保持手段と、前記レジスト膜の全領域を複数の微小領域に分割し、前記露光寸法に基づいて前記複数の微小領域を、露光する微小領域と露光しない微小領域に分別する露光制御手段と、前記複数の微小領域のうちの、前記露光する微小領域のみを順次、または一括して露光する露光ヘッドを有する構成にすればよい。
【0063】
また、前記完成寸法計測装置は、たとえば、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法を計測する装置であってもよいし、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法を計測する手段と、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンの膜厚を計測する手段を有する装置であってもよい。
【0064】
また、前記露光システムの各装置は、それぞれ独立した装置であってもよいし、いくつかの装置で行われる動作・処理を担う手段を複合した一体的な装置であってもよい。つまり、前記露光システムは、たとえば、前記完成寸法計測装置と前記設計パターン補正装置が一体的な構成になっており、完成寸法を計測する手段と設計パターンを補正する手段を有する構成の1つの装置であってもよい。
【0065】
また、前記露光システムの各装置は、たとえば、製造ライン毎に配置するだけでなく、ネットワークを介して相互に接続されていてもよい。このようにすると、たとえば、1つの設計パターン補正装置を複数の製造ラインで共有することができる。
【0066】
またこのとき、前記露光装置が取得する設計パターンは、たとえば、CD−ROMなどの記録媒体に記録して提供するだけでなく、前記設計パターンを保持する設計パターン保持装置をネットワーク上に設置し、ネットワークを介して前記設計パターン保持装置と前記露光装置などを相互に接続してもよいことはもちろんである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0068】
本発明の表示パネルの製造方法では、たとえば、基板上に形成(成膜)した導体膜などの薄膜をエッチングするときに、数値化された露光寸法を用いて感光性のレジスト膜を露光し、エッチングレジストを形成する。そして、エッチングして実際に形成された薄膜パターンの完成寸法を計測して前記露光寸法の元になる設計パターンの寸法と比較し、前記薄膜パターンの完成寸法と前記設計パターンの寸法の差が許容範囲を超えた場合は、寸法の差に基づいて前記設計パターンの寸法を補正する。
【0069】
図1乃至図6は、本発明を適用して製造される表示パネルの概略構成を示す模式図である。
図1は、液晶表示パネルの概略構成を示す模式正面図である。図2は、図1のA−A’線における模式断面図である。図3は、液晶表示パネルで用いるTFT基板の概略構成を示す模式正面図である。図4は、TFT基板の画素の一構成例を示す模式正面図である。図5は、図4のB−B’線における模式断面図である。図6は、図4のC−C’線における模式断面図である。なお、図6には、TFT基板と対向する対向基板の断面構成も示している。
【0070】
本発明の表示パネルの製造方法は、たとえば、液晶表示パネルの製造方法、特に、液晶表示パネルに用いるTFT基板の製造方法に適用することが望ましい。
【0071】
前記液晶表示パネルは、たとえば、図1および図2に示すように、TFT基板1と対向基板2の一対の基板で液晶材料(液晶層とも呼ばれる)3を挟持した表示パネルである。このとき、TFT基板1と対向基板2は、表示領域DAの外側に環状に配置されたシール材4で接着されており、液晶材料3は、TFT基板1および対向基板2ならびにシール材4で囲まれた空間に封入されている。
【0072】
また、TFT基板1は、平面でみた寸法が対向基板2よりも大きく、図3に示すように、x方向に延在する複数本の走査信号線101と、y方向に延在する複数本の映像信号線102とを有する。このとき、走査信号線101と映像信号線102は、絶縁層を介して立体的に交差している。また、TFT基板1は、複数本の走査信号線101のうちの最も外側に配置される2本の走査信号線と、複数本の映像信号線102のうちの最も外側に配置される2本の映像信号線で囲まれた領域が表示領域DAに相当する。
【0073】
また、TFT基板1は、隣接して配置された2本の走査信号線101と、隣接して配置された2本の映像信号線102で囲まれる領域が1つの画素領域に相当し、各画素領域に対してTFT素子および画素電極が配置されている。このとき、各画素領域に対して配置されるTFT素子や画素電極の構成には種々の構成がある。前記TFT素子および画素電極の一構成例を、図4乃至図6に示す。
【0074】
TFT基板1は、たとえば、図4乃至図6に示すように、ガラス基板100の表面に複数本の走査信号線101が形成されている。走査信号線101は、TFT素子のゲートとしての機能を持ち、TFT素子を配置する位置にゲート電極部101Gを有する。
【0075】
また、走査信号線101およびゲート電極部101Gの上には、第1の絶縁層103が形成されており、ゲート電極部101Gの上には、第1の絶縁層103を介して半導体層104が形成されている。
【0076】
また、第1の絶縁層103の上には、半導体層104の他に、映像信号線102やソース電極105が形成されている。映像信号線102は、TFT素子のドレインとしての機能を持ち、TFT素子を配置する位置にドレイン電極部102Dを有する。このとき、ドレイン電極部102Dの先端は、半導体層104の上に位置している。また、ソース電極105は、TFT素子のソースとしての機能を持ち、ソース電極105の一部は、半導体層104の上に位置している。
【0077】
また、映像信号線102やソース電極105の上には、第2の絶縁層106を介して画素電極107が形成されている。画素電極107は、画素領域毎に形成されており、スルーホールTHによってソース電極105と電気的に接続されている。また、画素電極107は、その一部分が走査信号線101と平面でみて重なっており、走査信号線101および画素電極107ならびにそれらが重なる領域に介在する絶縁層103,106による保持容量が構成されている。なお、画素電極107が平面でみて重なる走査信号線101は、上下方向で隣接する画素領域に対して配置されるTFT素子のゲートが接続されている走査信号線である。
【0078】
また、画素電極107の上には、配向膜108が形成されている。
【0079】
なお、図4乃至図6に示したTFT基板1は、たとえば、TN方式やVA方式などの縦電界方式の液晶表示パネルに用いるTFT基板である。そのため、図4乃至図6に示したTFT基板1を用いて液晶表示パネルを作成するときには、図6に示すように、ガラス基板200のTFT基板1と対向する面に、画素電極107と対向する対向電極(共通電極とも呼ばれる)201を有する対向基板2と組み合わせて液晶材料3を挟持する。
【0080】
また、液晶表示パネルがカラー表示に対応したものである場合、対向基板2は、たとえば、ガラス基板200のTFT基板1と対向する面には、各画素領域を分離するブラックマトリックス202やカラーフィルタ203が形成されている。そして、カラーフィルタ203上に、オーバーコート層204を介して対向電極201が形成されており、対向電極201上には配向膜205が形成されている。
【0081】
このような構成の液晶表示パネルは、画素電極107と対向電極201との間の電位差によって生じる電界EがTFT基板1の画素電極107の形成面に対して垂直であり、この電界Eの強さを変えることで液晶材料3の液晶分子(図示しない)の配向を制御し、階調(輝度)を制御する。
【0082】
以下、1つの画素領域の構成が図4乃至図6に示したような構成のTFT基板1を例に挙げ、本発明を適用した表示パネルの製造方法を説明する。
【実施例1】
【0083】
図7は、本発明による実施例1のTFT基板の製造方法の概要を説明するための模式フロー図である。
【0084】
実施例1のTFT基板1の製造方法は、大まかに言うと、ガラス基板100上に薄膜を形成(成膜)する工程と、形成した薄膜をエッチングして薄膜パターンを形成する工程とを繰り返し、走査信号線101などを積層していくものである。
【0085】
実施例1において、走査信号線101などの導体パターンを形成する工程は、たとえば、図7に示したステップ501からステップ509のような手順で行われる。
【0086】
ガラス基板100上に導体パターンを形成する工程では、まず、ガラス基板100上に、導体パターンのもとになる導体膜を形成する(ステップ501)。ステップ501は、たとえば、スパッタリング法を用いて行い、ガラス基板100の導体パターンを形成する面の全域に導体膜が成膜される。
【0087】
次に、ステップ501で形成(成膜)した導体膜上に、感光性のレジスト膜を形成する(ステップ502)。ステップ502は、たとえば、フィルム状に成形されたレジスト膜を導体膜上に貼り付けて行う。
【0088】
次に、ステップ502で形成したレジスト膜を、数値化された設計パターンに基づいて露光する(ステップ503)。ステップ503は、たとえば、後で述べるような構成の直描露光機と呼ばれる露光装置を用いて行う。
【0089】
次に、露光したレジスト膜を現像してエッチングレジストを形成する(ステップ504)。ステップ504は、たとえば、アルカリ現像液などを用いて、レジスト膜の露光した領域のみ、あるいは露光していない領域のみを除去する。
【0090】
次に、ステップ504で形成したエッチングレジストをマスクにして、ステップ501で形成した導体膜をエッチングし、走査信号線101など導体パターンを形成する(ステップ505)。
【0091】
次に、ステップ505で形成した導体パターンの完成寸法を計測する(ステップ506)。ステップ506は、基板の導体パターンなどを形成する面を複数の小領域に分割し、たとえば、各小領域の中心などの代表点を測定点とし、各測定点における導体パターンの寸法を計測する。また、実施例1の製造方法の場合、ステップ506では、導体パターンを平面でみたときの完成寸法を計測する。
【0092】
次に、測定点毎に、ステップ506で計測した導体パターンの完成寸法と設計パターンにおける寸法を比較し、設計パターンの補正が必要であるか否かを判定する(ステップ507)。そして、ステップ507の判定から、設計パターンに補正が必要な測定点があるか否かを判断し(ステップ508)、補正が必要な測定点がある場合は、補正が必要な測定点に対応する位置の設計パターンの寸法(数値)を補正する(ステップ509)。
【0093】
なお、ステップ509で設計パターンの寸法を補正した場合、ステップ503は、補正された設計パターンに基づいてレジスト膜を露光する。
【0094】
このように、実施例1のTFT基板1の製造方法では、数値化された設計パターンに基づいてレジスト膜を露光して形成されたエッチングレジストを利用して導体膜をエッチングし、導体パターンを形成する。そして、たとえば、形成された導体パターンの完成寸法と設計パターンにおける寸法の差が大きい測定点がある場合は、その測定点の近傍の設計パターンの寸法(数値)を補正し、以後の導体膜上に形成されたレジスト膜を露光するステップ503では、その補正された設計パターンの寸法に基づいて露光する。すなわち、実施例1のTFT基板1の製造方法は、たとえば、導体膜のエッチング量のばらつきなどによって生じる導体パターンの完成寸法のばらつきに対して、迅速かつ容易に対応することができ、1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質むらを容易に低減することができる。
【0095】
図8は、実施例1のTFT基板の製造方法で使用する露光システムの一構成例を示す模式ブロック図である。
【0096】
実施例1のTFT基板1の製造方法では、導体膜などの薄膜の上に形成した感光性のレジスト膜を露光するときに、数値化された設計パターンに基づいて露光する。具体的には、レジスト膜の全域を複数の微小領域に分割し、設計パターンの寸法(数値)に基づいて複数の微小領域を露光する微小領域と露光しない微小領域に分別した後、露光する微小領域のみを順次または一括して露光する。また、設計パターンの寸法(数値)は、実際に形成された導体パターンの完成寸法に基づき必要に応じて補正する。このような製造方法(露光方法)を実現する露光システムの一構成例を図8に示す。
【0097】
実施例1のTFT基板1の製造過程で使用する露光システムは、たとえば、図8に示すように、感光性のレジスト膜を露光する露光装置6と、露光装置6で利用する設計パターンを保持する設計パターン保持装置7と、実際に形成された導体パターン(薄膜パターン)の画像を撮影する完成パターン撮影手段8と、完成パターン撮影手段8で撮影した画像に基づいて設計パターンに補正が必要か否かを判定し、補正が必要な場合は、該当する設計パターンの寸法を補正する設計パターン補正装置9とを有する。
【0098】
露光装置6は、たとえば、レジスト膜形成装置10で導体膜上に形成した感光性のレジスト膜を露光する装置であり、実施例1では、直描露光機と呼ばれる露光装置を用いる。このとき、露光装置6は、たとえば、レジスト膜を露光する露光手段601と、設計パターン保持装置7の設計パターンデータベース701から所定の設計パターンを取得する設計パターン取得手段602と、設計パターン取得手段602により取得した設計パターンから露光寸法を算出する露光寸法算出手段603と、露光寸法算出手段603で算出した露光寸法を保持する露光寸法保持手段604と、露光寸法保持手段604で保持する露光寸法に基づいて前記露光手段601による露光を制御する露光制御手段605とを有する。
【0099】
設計パターン保持装置7は、たとえば、TFT基板1に形成する各走査信号線101およびゲート電極部101G、半導体層104、各映像信号線102およびドレイン電極部102D、ソース電極105、画素電極107、スルーホールTHの寸法や形成する位置などを指定する設計パターンを保持する装置であり、これらの設計パターンは、設計パターンデータベース701に保持されている。また、設計パターン保持装置7は、たとえば、LAN(Local Area Network)などのネットワーク回線を介して露光装置6と接続されている。
【0100】
完成パターン撮影手段8は、たとえば、露光装置6で露光したレジスト膜を現像装置11で現像してエッチングレジストを形成し、そのエッチングレジストをマスクにしてエッチング装置12で薄膜をエッチングしたときに形成される薄膜パターン(完成パターン)の画像を撮影する手段である。
【0101】
設計パターン補正装置9は、完成パターン撮影手段8で撮影した画像から実際に形成された薄膜パターンの完成寸法を計測し、設計パターンにおける寸法と比較し、必要に応じて設計パターンの寸法(数値)を補正する装置である。このとき、設計パターン補正装置9は、たとえば、薄膜パターンの完成寸法を算出する完成寸法算出手段901と、設計パターンを補正する必要があるか否かを判定する補正要/不要判定手段902と、補正する必要があると判定された場合に、設計パターンの寸法(数値)を補正する設計寸法補正手段903とを有する。また、設計パターン補正装置9は、たとえば、LANなどのネットワーク回線を介して完成パターン撮影手段8、設計パターン保持装置7、および露光装置6と接続されている。
【0102】
なお、実施例1のTFT基板1の製造過程で使用する露光システムは、図8に示したような構成に限らず、たとえば、設計パターン補正装置9と完成パターン撮影手段8、あるいは設計パターン補正装置9と設計パターン保持装置7は、それぞれの機能を複合した1つの装置として構成されていてもよい。
【0103】
図9は、図8に示した露光システムで用いる露光装置の露光手段の一構成例を示す模式図である。図10は、図9に示した露光手段による露光手順を説明するための模式図である。なお、図9には、露光手段の上からみた図と、下方側の側面からみた図を示している。
【0104】
実施例1のTFT基板1の製造過程で使用する露光システムにおいて、露光装置6は、前述のように、直描露光機と呼ばれる露光装置を用いる。前記直描露光機は、ガラス基板上にクロムなどの金属膜で露光パターンを形成したフォトマスクを使用せずに、数値化された露光寸法に基づく数値制御により、レジスト膜に露光パターンを直接的に描画する露光装置である。このとき、露光手段601は、たとえば、図9に示すように、露光部601aを有する露光ヘッド601bと、露光ヘッド601bをu方向に移動自在な状態で支持するヘッドガイド601cと、感光性のレジスト膜が形成されたマザーガラス13を水平に保持するテーブル601dと、テーブル601dをv方向に移動自在な状態で支持するテーブルガイド601eと、テーブルガイド601eを固定する基台601fと、ヘッドガイド601cを基台601fに固定するヘッドガイド固定部材601gとを有する。
【0105】
なお、マザーガラス13は、たとえば、図9に示すように、4つのTFT基板1として切り出す領域100a,100b,100c,100dを有するガラス基板であり、TFT基板1を製造するときには、このように1枚のマザーガラス13を用いて複数枚分のTFT基板1を一括して形成した後、各領域100a,100b,100c,100dを切り出して個別化する。
【0106】
また、図示は省略するが、露光ヘッド601bの下部には、たとえば、ヘッドガイド601cと並行した第1のボールネジが連結されており、第1のボールネジの一方の端部には、第1のボールネジを回転駆動させる第1のモーターが連結されている。すなわち、第1のモーターによって第1のボールネジを回転駆動させることで、露光ヘッド601bがヘッドガイド601c上でu方向に移動するように構成されている。
【0107】
同様に、図示は省略するが、テーブル601dの下部には、たとえば、テーブルガイド601eと並行した第2のボールネジが連結されており、第2のボールネジの一方の端部には、第2のボールネジを回転駆動させる第2のモーターが連結されている。すなわち、第2のモーターによって第2のボールネジを回転駆動させることで、テーブル601dがv方向に移動するように構成されている。
【0108】
図9に示したような露光手段601で、マザーガラス13に形成されたレジスト膜を露光するときには、たとえば、テーブル601dを固定した状態で、露光ヘッド601bをu方向に移動させながら露光する。そして、マザーガラス13の一方の端から他方の端まで帯状に露光したら、露光ヘッド601bを最初の位置まで戻し、テーブル601dをv方向にずらす。この一連の動作を繰り返して、マザーガラス13に形成されたレジスト膜の全域に対する露光を行い、露光パターンを描画する。
【0109】
また、露光ヘッド601bをu方向に移動させながら露光するときには、たとえば、帯状の露光領域13Lを複数の微小領域に分割し、露光寸法保持手段604で保持する露光寸法に基づいて複数の微小領域を露光する微小領域と露光しない微小領域に分別し、露光部601aが露光する微小領域上に移動したときのみ、露光部からレジスト膜に光を照射し、露光する。露光する微小領域と露光しない微小領域の分別、および露光部601aの光の照射・非照射は露光制御手段605によって行う。このときの露光方法について、図10を用いて具体的に説明する。
【0110】
露光ヘッド601bに収容された露光部601aが、たとえば、図10の上側に示すように、5つの独立して光の照射・非照射の制御が可能な照射機構を有する構成になっている場合、たとえば、露光ヘッド601bがu方向でみた位置u1にあれば、導体膜14の上に形成されたレジスト膜15の微小領域のうち、微小領域SからSの5つの微小領域が露光可能である。このとき、レジスト膜15の5つの微小領域SからSを露光するか否かは露光寸法によって決まる。そして、露光寸法から、たとえば、5つの微小領域SからSのうち、微小領域SおよびSを露光することがわかった場合、露光制御手段605は、露光部601aの5つの照射機構のうち、微小領域Sと対向する1番目の照射機構および微小領域Sと対向する4番目の照射機構は光を照射し、微小領域Sと対向する2番目の照射機構および微小領域Sと対向する3番目の照射機構ならびに微小領域Sと対向する5番目の照射機構は光を照射しないように、露光ヘッド601bに制御信号を送信する。こうすると、図10の上側に示したように、レジスト膜15の5つの微小領域SからSのうち、微小領域SおよびSのみを露光し、感光させることができる。
【0111】
また、レジスト膜15の微小領域SからSの5つの微小領域に対する露光が済んだら、図10の下側に示すように、露光ヘッド601bを、次の5つの微小領域SからS10が露光可能な位置u2まで移動させる。そして、ここでも、露光寸法に基づいて5つの微小領域SからS10のうちの露光する微小領域を判断し、たとえば、5つの微小領域SからS10のうち、微小領域SおよびS10を露光することがわかった場合、露光制御手段605は、露光制御手段605は、露光部601aの5つの照射機構のうち、微小領域Sと対向する2番目の照射機構および微小領域S10と対向する5番目の照射機構は光を照射し、微小領域Sと対向する1番目の照射機構および微小領域Sと対向する3番目の照射機構ならびに微小領域Sと対向する4番目の照射機構は光を照射しないように、露光ヘッド601bに制御信号を送信する。こうすると、図10の下側に示したように、レジスト膜15の5つの微小領域SからS10のうち、微小領域SおよびS10のみを露光し、感光させることができる。
【0112】
図11は、図4に示した画素構成の設計パターンにおける寸法の指定方法の一例を説明するための模式図である。図12は、走査信号線の寸法の指定方法の一具体例を説明するための模式図である。図13は、半導体層の寸法の指定方法の一具体例を説明するための模式図である。図14は、映像信号線およびソース電極の寸法の指定方法の一具体例を説明するための模式図である。図15は、画素電極の寸法の指定方法の一具体例を説明するための模式図である。
【0113】
実施例1では、1画素の構成が図4乃至図6に示したような構成のTFT基板1を製造する場合を例に挙げている。このとき、露光装置6で用いる設計パターンには、TFT基板1に形成する走査信号線101およびゲート電極部101G、半導体層104、映像信号線102およびドレイン電極部102D、ソース電極105、画素電極107、スルーホールTHの寸法や形成する位置などが指定されている。
【0114】
走査信号線101の寸法は、たとえば、複数個のゲート電極部101Gを含む一体物として指定することも可能であるが、その場合、指定方法が複雑になり、取り扱いが難しくなる。そのため、走査信号線101の寸法を指定する場合、たとえば、図11に示すように、1本の走査信号線101を、x方向に延在する概略長方形の主線部101Mと複数個のゲート電極部101Gとに分けて考え、主線部101Mの寸法と各ゲート電極部101Gの寸法で指定することが望ましい。
【0115】
つまり、1本の走査信号線101の寸法や形成する位置を指定する場合、たとえば、図12に示すように、表示領域DAを横切る主線部101Mを4つの頂角P,P,P,Pを有する四角形で表現し、図形番号としてRect1を割り当て、平面位置情報を頂角Pの座標(x,y),頂角Pの座標(x,y),頂角Pの座標(x,y),頂角Pの座標(x,y)で指定する。
【0116】
また、ある1本の走査信号線101の主線部101Mに接続する複数のゲート電極部101Gは、それぞれを、4つの頂角を有する四角形で表現し、ゲート電極部101G毎に図形番号および平面位置情報を指定する。またこのとき、各ゲート電極部101Gの図形番号は、たとえば、走査信号線101の入力端、すなわち走査信号が入力される側の端から順に付けるようにする。
【0117】
つまり、走査信号線101の入力端に最も近いゲート電極部101Gは、4つの頂角P,P,P,Pを有する四角形で表現し、図形番号としてRect2を割り当て、平面位置情報を頂角Pの座標(x,y),頂角Pの座標(x,y),頂角Pの座標(x,y),頂角Pの座標(x,y)で指定する。また、走査信号線101の入力端から2番目のゲート電極部101Gは、4つの頂角P,P10,P11,P12を有する四角形として表現し、図形番号としてRect3を割り当て、平面位置情報を頂角Pの座標(x,y),頂角P10の座標(x10,y10),頂角P11の座標(x11,y11),頂角P12の座標(x12,y12)で指定する。また、繰り返しの説明は省略するが、他のゲート電極部についても同様に4つの頂角を有する四角形として表現し、固有の図形番号を与え、平面位置情報を頂角の座標で指定する。
【0118】
なお、走査信号線101は、一般に、入力端側の、表示領域DAの外側に、フレキシブル配線板(FPC)の配線、あるいは走査ドライバ(ゲートドライバ)の端子と接続するために集線している領域がある。この領域の寸法および形成する位置は、ゲート電極部101Gと同様に、四角形などの単純な図形に分割して固有の図形番号を与え、平面位置情報を頂角の座標で指定すればよい。
【0119】
走査信号線101のゲート電極部101Gの上に第1の絶縁層103を介在させて形成する半導体層104の寸法や形成する位置は、ゲート電極部101Gと同様の考え方で指定すればよい。
【0120】
つまり、たとえば、図13に示すように、あるゲート電極部101Gの上に形成する半導体層104は、4つの頂角P,P,P,Pを有する四角形で表現し、図形番号としてRect1を割り当て、平面位置情報を頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標で指定する。また、別のゲート電極部101Gの上に形成する半導体層104は、4つの頂角P,P,P,Pを有する四角形で表現し、図形番号としてRect2を割り当て、平面位置情報を頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標で指定する。また、繰り返しの説明は省略するが、他の半導体層についても同様に4つの頂角を有する四角形として表現し、固有の図形番号を与え、平面位置情報を頂角の座標で指定する。
【0121】
半導体層104の上に形成する映像信号線102およびソース電極105の寸法や形成する位置のうち、映像信号線102の寸法および形成する位置は、たとえば、図11に示すように、1本の映像信号線102を、y方向に延在する概略長方形の主線部102Mと複数個のドレイン電極部102Dとに分けて考え、主線部102Mの寸法と各ドレイン電極部102Dの寸法で指定する。
【0122】
つまり、1本の映像信号線102の寸法や形成する位置を指定する場合、たとえば、図14に示すように、表示領域DAを縦断する主線部102Mを4つの頂角P,P,P,Pを有する四角形で表現し、図形番号としてRect1を割り当て、平面位置情報を頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標で指定する。
【0123】
また、たとえば、映像信号線102の入力端に最も近いドレイン電極部102Dは、4つの頂角P,P,P,Pを有する四角形で表現し、図形番号としてRect2を割り当て、平面位置情報を頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標で指定する。また、繰り返しの説明は省略するが、他のドレイン電極部についても同様に4つの頂角を有する四角形として表現し、固有の図形番号を与え、平面位置情報を頂角の座標で指定する。
【0124】
なお、映像信号線102は、一般に、入力端側の、表示領域DAの外側に、フレキシブル配線板(FPC)の配線、あるいはデータドライバ(ドレインドライバ)の端子と接続するために集線している領域がある。この領域の寸法および形成する位置は、ドレイン電極部102Dと同様に、四角形などの単純な図形に分割して固有の図形番号を与え、平面位置情報を頂角の座標で指定すればよい。
【0125】
また、たとえば、映像信号線102の入力端に最も近いドレイン電極部102Dと対になるソース電極105は、6つの頂角P,P10,P11,P12,P13,P14を有する六角形で表現し、図形番号としてRect3を割り当て、平面位置情報を頂角Pの座標,頂角P10の座標,頂角P11の座標,頂角P12の座標,頂角P13の座標,頂角P14の座標で指定する。また、繰り返しの説明は省略するが、他のソース電極についても同様に6つの頂角を有する六角形として表現し、固有の図形番号を与え、平面位置情報を頂角の座標で指定する。
【0126】
映像信号線102およびソース電極105の上に形成する画素電極107の寸法や形成する位置は、ソース電極105と同じ考え方で指定すればよい。つまり、図15に示すように、6つの頂角P,P,P,P,P,Pを有する六角形で表現し、図形番号としてRect1を割り当て、平面位置情報を頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標,頂角Pの座標で指定する。また、繰り返しの説明は省略するが、他の画素電極についても同様に6つの頂角を有する六角形として表現し、固有の図形番号を与え、平面位置情報を頂角の座標で指定する。
【0127】
ところで、1枚のTFT基板1を製造する場合、走査信号線101を形成する課程、半導体層104を形成する過程、映像信号線102およびソース電極105を形成する過程、画素電極107を形成する過程の各課程で行われる感光性のレジスト膜の露光は、同じ露光装置6を用いて行うのが一般的である。つまり、設計パターン保持装置7では、走査信号線101などの各構成要素の寸法および形成する位置を関連づけて1つのパターンデータとしてまとめて保持する。そのため、たとえば、各構成要素の設計パターンは、平面的な寸法や形成する位置に加え、三次元位置を指定する情報を持たせる。このような設計パターンのデータ構成をまとめると、下記表1のようになる。
【0128】
【表1】

【0129】
図16は、走査信号線の寸法の指定方法の第1の変形例を説明するための模式図である。図17は、走査信号線の寸法の指定方法の第2の変形例を説明するための模式図である。図18は、半導体層の寸法の指定方法の変形例を説明するための模式図である。図19は、映像信号線およびソース電極の寸法の指定方法の変形例を説明するための模式図である。図20は、画素電極の寸法の指定方法の変形例を説明するための模式図である。
【0130】
設計パターンにおいて、走査信号線101の主線部101Mやゲート電極部101Gの寸法や形成する位置を、たとえば、図12に示したように、四角形の4つの頂角の座標で指定する場合、1つの構成要素の寸法を指定するのに8個のデータ(数値)が必要である。そのため、たとえば、テレビ用などの解像度が高い(画素数が多い)液晶表示パネルのTFT基板1を製造するときには、設計パターンのデータ量が膨大になり、取り扱いが難しくなる。つまり、設計パターンにおいて、1つの走査信号線101(主線部101M)の寸法や、1つのゲート電極部101Gの寸法を指定するのに必要なデータ数は、可能な限り少なくすることが望ましい。
【0131】
設計パターンのデータ数(量)を少なくする方法としては、たとえば、四角形の4つの頂角のうちの1つの頂角の座標で形成する位置を指定し、その位置を指定する頂角からx方向に延びる辺の長さおよびy方向に延びる辺の長さで寸法を指定する方法がある。走査信号線101の場合、たとえば、図16に示すように、走査信号線101の主線部101Mは、四角形の4つの頂角のうちの1つの頂角Pの座標(x,y)で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定する。このようにすれば、1つの走査信号線101の主線部101Mの寸法および形成する位置を、4つのデータ(数値)で指定することができる。
【0132】
同様に、ゲート電極部101Gは、4つの頂角のうちの1つの頂角Pの座標(x,y)で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定する。また、別のゲート電極部101Gは、4つの頂角のうちの1つの頂角Pの座標(x,y)で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定する。このようにすれば、各ゲート電極部101Gの寸法および形成する位置を、それぞれ4つのデータ(数値)で指定することができる。
【0133】
またさらに、たとえば、走査信号線101の主線部101Mは、TFT基板1の表示領域DAをx方向で横断する配線であり、延在方向(x方向)の長さが、延在方向と直交する方向(y方向)の長さにくらべて非常に長い。そのため、主線部101Mの寸法および形成する位置は、たとえば、図17に示すように、中心線と主線部101Mの一端が交差する点Pの座標と幅Wで規定してもよい。
【0134】
また、半導体層104の寸法や形成する位置を指定する場合も、たとえば、図18に示すように、あるゲート電極部101Gの上に形成する半導体層104は、4つの頂角のうちの1つの頂角Pの座標で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定してもよい。このとき、別のゲート電極部101Gの上に形成する半導体層104は、4つの頂角のうちの1つの頂角Pの座標で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定する。このようにすれば、1つの半導体層104の寸法および形成する位置を、4つのデータ(数値)で指定することができる。
【0135】
また、1つの映像信号線102の主線部102Mの寸法を指定する場合も、たとえば、図19に示すように、四角形の4つの頂角のうちの1つの頂角Pの座標で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定してもよい。このようにすれば、1つの映像信号線102の主線部102Mの寸法および形成する位置を、4つのデータ(数値)で定義することができる。
【0136】
このとき、ドレイン電極部102Dは、4つの頂角のうちの1つの頂角Pの座標で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定する。また、繰り返しの説明は省略するが、他のドレイン電極部102Dについても同様の方法で指定する。このようにすれば、各ドレイン電極部102Dの寸法および形成する位置を、それぞれ4つのデータ(数値)で定義することができる。
【0137】
またこのとき、ソース電極105の寸法および形成する位置は、たとえば、1つの六角形状のソース電極105を2つの四角形に分割し、各四角形の寸法および形成する位置を、1つの頂角の二次元座標とその頂角からx方向に延びる辺の長さおよびy方向に延びる辺の長さで指定してもよい。つまり、図19に示すように、1つのソース電極105を2つの四角形に分割し、1つめの四角形は頂角Pの座標で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定する。そして、2つめの四角形は頂角Pの座標で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定する。このようにすれば、各四角形の寸法および形成する位置は、それぞれ4つのデータ(数値)で規定することができ、1つのソース電極105の寸法および形成する位置を8つのデータ(数値)で規定することができる。
【0138】
またさらに、たとえば、映像信号線102の主線部102Mは、TFT基板1の表示領域DAをy方向で縦断する配線であり、延在方向(y方向)の長さが、延在方向と直交する方向(x方向)の長さにくらべて非常に長い。そのため、主線部102Mの寸法および形成する位置は、たとえば、中心線の位置と幅で規定してもよい。
【0139】
また、画素電極107の寸法や形成する位置を指定する場合も、たとえば、ある画素領域に形成する1つの六角形状の画素電極107を2つの四角形に分割し、各四角形の寸法および形成する位置を、1つの頂角の二次元座標とその頂角からx方向に延びる辺の長さおよびy方向に延びる辺の長さで指定してもよい。つまり、図20に示すように、1つの画素電極107を2つの四角形に分割し、1つめの四角形は頂角Pの座標で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定する。そして、2つめの四角形は頂角Pの座標で形成する位置を指定し、頂角Pからx方向に延びる辺の長さΔxとy方向に延びる辺の長さΔyによって寸法を指定する。このようにすれば、各四角形の寸法および形成する位置は、それぞれ4つのデータ(数値)で規定することができ、1つの画素電極107の寸法および形成する位置を8つのデータ(数値)で規定することができる。
【0140】
図21および図22は、実施例1のTFT基板1の製造方法における補正方法の原理を説明するための模式図である。
図21は、実施例1の製造方法における補正の必要性の有無の判定方法を説明するための模式平面図である。図22は、実施例1の製造方法における設計パターンの補正方法の一例を説明するための模式平面図である。
なお、図21および図22には、実施例1の製造方法において補正可能な設計パターン(構成要素)の一例として、TFT素子のドレイン電極部102Dおよびソース電極105を挙げている。また、図21には、補正が不要な場合(a)と、補正が必要な場合(b)を縦に並べて示している。
【0141】
実施例1のTFT基板1の製造方法では、たとえば、図9および図10に示したような露光手段601(直描露光機)を用いて感光性のレジスト膜に露光パターンを描画した後、現像装置11でそのレジスト膜を現像し、エッチングレジストを形成する。そして、エッチング装置12でエッチングレジストの下方に形成されている薄膜をエッチングして設計パターンを反映した薄膜パターンを形成する。
【0142】
実施例1のTFT基板1の製造方法において、たとえば、映像信号線102およびドレイン電極部102Dならびにソース電極105を形成するときには、図14あるいは図19に示したような方法で映像信号線102およびドレイン電極部102Dならびにソース電極105の寸法および形成する位置を指定した設計パターンに基づいて感光性のレジスト膜を露光する。このとき、実際に形成された映像信号線102およびドレイン電極部102Dならびにソース電極105の寸法は、たとえば、図21の(a)に示したようになる。なお、図21の(a)は、実際に形成されたパターンを実線で示し、設計パターンを破線で示している。すなわち、実際に形成された映像信号線102の主線部102Mの幅DLWrは、設計パターンにおける主線部102Mの幅DLWiとほぼ等しくなる。
【0143】
また、実際に形成されたドレイン電極部102Dやソース電極105の寸法も、設計パターンにおける寸法とほぼ等しくなる。そのため、実際に形成されたTFT素子のチャネル幅Wrおよびチャネル長Lrは、それぞれ設計パターンにおけるTFT素子のチャネル幅Wiおよびチャネル長Liとほぼ等しくなる。
【0144】
しかしながら、エッチングにより映像信号線102およびドレイン電極部102Dならびにソース電極105を形成した場合、たとえば、図21の(b)に示すように、実際に形成された映像信号線102の主線部102Mの幅DLWrが、設計パターンにおける主線部102Mの幅DLWiに比べて細くなってしまうことがある。なお、図21の(b)も、実際に形成されたパターンを実線で示し、設計パターンを破線で示している。このとき、実際に形成されたドレイン電極部102Dやソース電極105の寸法も、設計パターンにおける寸法に比べて細く(小さく)なってしまうことがある。このような現象は、たとえば、SD細りと呼ばれ、実際に形成されたTFT素子のチャネル幅Wrは設計パターンにおけるTFT素子のチャネル幅Wiよりも細く(狭く)なり、チャネル長Lrは設計パターンにおけるTFT素子のチャネル長Liよりも長くなってしまう。そのため、TFT素子への書き込み電流値が小さくなり、階調データの書き込み不足が発生してしまうことがある。
【0145】
またこのとき、1枚のTFT基板1に形成された多数の画素領域において、実際に形成された映像信号線102およびドレイン電極部102Dならびにソース電極105の寸法を計測すると、たとえば、図21の(a)に示したように設計パターンにおける寸法とほぼ等しくなっている画素領域と、図21の(b)に示したように設計パターンにおける寸法に比べて細く(小さく)なっている画素領域が存在することがある。その場合、たとえば図21の(a)に示したような画素領域と、図21の(b)に示したような画素領域が並んで存在していると、その境界付近に輝度むらが発生してしまう。
【0146】
またさらに、1枚のTFT基板1を製造したときに、たとえば、図21の(b)に示したようなSD細りが発生する画素領域は、常に同じ箇所であるとは限らない。そのため、従来のフォトマスクを用いた露光方法で、SD細りを防ぐことは非常に難しい。
【0147】
一方、実施例1のTFT基板1の製造方法では、感光性のレジスト膜を露光するときに、設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いている。そのため、基板平面においてSD細りが発生した画素領域の位置と寸法の差がわかれば、実際に形成される映像信号線102およびドレイン電極部102Dならびにソース電極105の寸法が設計パターンにおける寸法になるように、設計パターンのデータ(数値)を容易に補正することができる。
【0148】
具体的には、たとえば、実際に形成された映像信号線102およびドレイン電極部102Dならびにソース電極105の寸法と、設計パターンにおける映像信号線102およびドレイン電極部102Dならびにソース電極105の寸法の差に基づいて、図22の上段に示したように、SD細りが発生した画素領域の設計パターンにおける映像信号線102およびドレイン電極部102Dならびにソース電極105の寸法を大きくする。なお、図22の上段は、補正前の設計パターンを破線で示し、補正した設計パターンを実線で示している。
【0149】
つまり、SD細りが発生した画素領域は、実際に形成された映像信号線102の主線部102Mの幅DLWrと設計パターンにおける主線部102Mの幅DLWiの差に基づいて、設計パターンにおける主線部102Mの幅をDLWi’に補正する。また、実際に形成されたTFT素子のチャネル幅Wrおよびチャネル長Lrと設計パターンにおけるTFT素子のチャネル幅Wiおよびチャネル長Liに基づいて、設計パターンにおけるTFT素子のチャネル幅がWi’、チャネル長がLi’になるようにドレイン電極部102Dの寸法およびソース電極105の寸法を補正する。
【0150】
なお、設計パターンにおける寸法を補正するときには、たとえば、寸法や形成する位置を表すデータ(数値)を書き換える補正でもよいし、寸法や形成する位置を表すデータ(数値)に補正量を示すデータを付加する補正でもよい。
【0151】
このように補正した設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いて、SD細りが発生した画素領域のレジスト膜を露光すれば、図22の下段に示したように、実際に形成された映像信号線102の主線部102Mの幅DLWr’は補正前の設計パターンにおける主線部102Mの幅DLWiとほぼ等しくなる。なお、図22の下段は、実際に形成されたパターンを実線で示し、補正前の設計パターンを破線で示している。同様に、実際に形成されたドレイン電極部102Dやソース電極105の寸法も、設計パターンにおける寸法とほぼ等しくなる。そのため、実際に形成されたTFT素子のチャネル幅Wr’およびチャネル長Lr’は、それぞれ補正前の設計パターンにおけるTFT素子のチャネル幅Wiおよびチャネル長Liとほぼ等しくなる。
【0152】
図23は、実際に形成された薄膜パターンの寸法の測定方法の一具体例を説明するための模式図である。
【0153】
実施例1のTFT基板1の製造方法において、前記SD細りのような現象は、どの画素領域に生じるかがわからないので、実際に形成された薄膜パターンの寸法を計測するときには、たとえば、1枚のTFT基板1のすべての画素領域において計測することが望ましい。
【0154】
しかしながら、1枚のTFT基板1には、非常に多数の画素領域が存在するので、すべての画素領域において寸法を計測するのには非常に時間がかかる。また、SD細りのような現象は、たとえば、1つの画素領域に局所的に発生することは希であり、通常、TFT基板1の、ある領域に含まれる複数の画素領域に発生する。そのため、実際に形成された薄膜パターンの寸法を計測するときには、たとえば、1枚のTFT基板1の薄膜形成面を複数の領域に分割し、各領域の中央部などの代表点(測定点)で計測した薄膜パターンの寸法を、その測定点を含む領域全体における寸法と見なすことで計測処理にかかる時間を短縮化する。
【0155】
つまり、たとえば、1枚の大面積のマザーガラス13から4枚のTFT基板1を切り出す、いわゆる4面取りの場合、図23に示すように、4つのTFT基板として切り出す領域100a,100b,100c,100dのそれぞれを、複数の小領域に分割する。そして、たとえば、左上に位置するTFT基板として切り出す領域100aの小領域のうち、左上隅の小領域における薄膜パターンの寸法は、測定点A(1,1)で計測した薄膜パターンの寸法と等しいと見なす。そして、測定点A(1,1)で計測した薄膜パターンの寸法と、設計パターンにおける寸法との差が許容範囲内である場合、左上隅の小領域に含まれる各画素領域の薄膜パターンの寸法は補正しない。一方、測定点A(1,1)で計測した薄膜パターンの寸法と、設計パターンにおける寸法との差が許容範囲を超えている場合、測定点A(1,1)の寸法の補正に合わせて、左上隅の小領域に含まれる各画素領域の薄膜パターンの寸法を一括して補正する。
【0156】
同様に、その右隣の小領域における薄膜パターンの寸法は測定点A(2,1)で計測した薄膜パターンの寸法と等しいと見なし、たとえば、測定点A(2,1)において補正の必要があれば、測定点A(2,1)を含む小領域の各画素領域の薄膜パターンの寸法を一括して補正する。また、下側の薄膜パターンの寸法は、測定点A(1,2)で計測した薄膜パターンの寸法と等しいと見なし、たとえば、測定点A(2,1)において補正の必要があれば、測定点A(2,1)を含む小領域の各画素領域の薄膜パターンの寸法を一括して補正する。
【0157】
ところで、液晶表示パネルなどの表示パネルにおいて重要なのは、1枚の表示パネルのなかに輝度むらなどの画質むらが発生しないようにすることである。そのため、薄膜パターンの寸法を測定し、補正が必要であるか否かを判定する場合、各測定点で実際に形成された薄膜パターンの寸法と設計パターンにおける寸法を比較するだけでなく、隣接する測定点で実際に形成された薄膜パターンの寸法も比較することが望ましい。
【0158】
つまり、たとえば、図23に示すように、マザーガラスの右上に位置するTFT基板として切り出す領域100bにある、測定点A(i,j)で計測した薄膜パターンの完成寸法に基づいて、補正が必要であるか否かを判定する場合、まず、設計パターンにおける寸法と比較する。そして、次に、測定点A(i,j)を含む小領域と隣接する上下左右の4つの小領域の測定点A(i,j−1),A(i,j+1),A(i−1,j),A(i+1,j)における薄膜パターンの完成寸法と比較する。そして、たとえば、それぞれの比較結果のうち、1つでも許容範囲を超える場合は、許容範囲を超えた比較結果に基づいて、設計パターンにおける測定点A(i,j)を含む小領域の薄膜パターンの寸法を一括して補正する。
【0159】
なお、このような、実際に形成された薄膜パターンの寸法(完成寸法)の計測、および補正の必要の有無の判定、ならびに補正が必要な場合の設計パターンの補正は、図8に示した露光システムにおける設計パターン補正装置9で行う。以下、設計パターン補正装置9における補正処理の手順について、図24に沿って説明する。
【0160】
図24は、設計パターン補正装置における補正処理の手順を説明するためのフロー図である。なお、図24に示した処理手順は、図7に示した処理手順におけるステップ506およびステップ507の処理に相当する。
【0161】
実施例1のTFT基板1の製造方法では、たとえば、エッチング装置12で薄膜をエッチングして薄膜パターンを形成した後、露光システムの完成パターン撮影手段8によって、ガラス基板100に形成された薄膜パターンの画像を撮影する。このとき、設計パターン補正装置9は、たとえば、図24に示すように、まず、完成寸法算出手段901によって、完成パターン撮影手段8で撮影された画像を取得する(ステップ506a)。
【0162】
次に、完成寸法算出手段901は、取得した画像から、1枚のTFT基板1として切り出す領域の各測定点の周辺領域の部分画像を抽出し、補正の対象となる薄膜パターンの完成寸法を算出する(ステップ506b)。ステップ506bは、どのような方法で算出してもよいが、設計パターンにおいて寸法や形成する位置を指定する方法に合わせて算出することが望ましい。すなわち、設計パターンにおける寸法や形成する位置が、図12乃至図15に示したように、多角形の各頂角の位置の二次元座標で指定されている場合、ステップ506bでも、形成された薄膜パターンの頂角の位置の二次元座標を算出する。また、設計パターンにおける寸法や形成する位置が、図16乃至図20に示したように、多角形の1つの頂角の位置の二次元座標と、x方向の辺の長さおよびy方向の辺の長さで指定されている場合、ステップ506bでも、形成された薄膜パターンの1つの頂角の位置の二次元座標と、x方向の辺の長さおよびy方向の辺の長さを算出する。
【0163】
次に、補正要/不要判定手段902において、測定点毎に、初期の設計パターンの寸法とステップ506bで算出した完成寸法との差分を計算する(ステップ507a)。ステップ507aは、たとえば、設計パターンデータベース701から初期の設計パターンを取得し、完成寸法との差分を計算する。
【0164】
次に、補正要/不要判定手段902において、ステップ506bで算出したすべての測定点の完成寸法を用いて、隣接する測定点の完成寸法の差分(隣接差分)を計算する(ステップ507b)。ステップ507bは、たとえば、図23に示したように、測定点A(i,j)の完成寸法と、測定点A(i,j)に上下左右で隣接する各測定点での完成寸法との差分を計算し、その最大値を隣接差分とする。
【0165】
次に、補正要・不要判定手段902において、各測定点の隣接差分が許容範囲内であるか判定する(ステップ507c)。そして、各測定点の隣接差分が許容範囲内である場合は、補正は不要と判定する(ステップ507d)。また、各測定点の隣接差分のなかに、許容範囲を超えているものがあれば、その測定点を含む小領域に補正が必要であると判定する(ステップ507e)。
【0166】
ステップ507dで補正は不要と判定した後、またはステップ507eで補正が必要であると判定した後は、図7に示したように、補正が必要な測定点があるか否かの判定をする(ステップ508)。そして、補正が必要な測定点がある場合、たとえば、設計寸法補正手段903において、ステップ507aで算出した完成寸法と初期の設計パターンの寸法との差分に基づき設計パターンの寸法を補正する(ステップ509)。また、ステップ509で設計パターンの寸法を補正した場合、設計寸法補正手段903は、補正した設計パターンを露光装置6の設計パターン取得手段602に送信する。
【0167】
設計寸法補正手段903から補正した設計パターンを取得した露光装置6は、その補正した設計パターンに基づいて新たな露光寸法を算出し、保持する。以後、露光装置6でレジスト膜を露光するときには、補正した設計パターンに基づいて数値化された露光寸法を用いて露光する。このようにすることで、たとえば、SD細りのような現象を容易に防ぐことができる。
【0168】
なお、ステップ509では、たとえば、各測定点の隣接差分の半分を初期の設計パターンの寸法に加えるような補正を行ってもよい。また、補正をするときには、初期の設計パターンの数値を書き換えてもよいし、初期の設計パターンの数値に補正量を表す数値を付加してもよい。
【0169】
以上説明したように、実施例1のTFT基板1の製造方法によれば、数値化された露光寸法に基づいてレジスト膜を露光する露光装置を用い、実際に形成された薄膜パターンの寸法と設計パターンの寸法を比較して、補正が必要な領域の設計パターンの寸法(数値)を補正することで、1枚のTFT基板1の各画素領域に形成される薄膜パターンの寸法のばらつきを容易に低減できる。そのため、1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質むらを容易に低減することができる。
【0170】
なお、実施例1では、薄膜パターンを形成する毎に完成寸法を計測し、該当する設計パターンの寸法(数値)に補正が必要であるか否かを判定しているが、これに限らず、たとえば、何層かの薄膜パターンを連続して形成した後、各層の薄膜パターンの完成寸法を計測し、該当する設計パターンの寸法(数値)に補正が必要であるか否かを判定してもよいことはもちろんである。
【0171】
また、実施例1では、各薄膜パターンの寸法に関して補正が必要であるか否かの判定をしているが、これに限らず、たとえば、異なる機能を持つ2つの薄膜パターンの相対的な位置関係を計測し、その位置のずれが許容範囲を超えている場合に、いずれか一方の薄膜パターンの形成する位置を補正するような処理があってもよいことはもちろんである。
【0172】
またさらに、実施例1では、画素領域の構成が図4乃至図6に示したような構成のTFT基板1を例に挙げたが、これに限らず、別の画素構成であってもよいことはもちろんである。
【実施例2】
【0173】
図25乃至図32は、本発明による実施例2のTFT基板の製造方法の原理を説明するための模式図である。
図25は、マザーガラスに導体膜を成膜したときの膜厚分布の一例を示す模式平面図である。図26は、図25の左上に位置するTFT基板形成領域の拡大平面図である。図27は、図26のD−D’線における模式断面図である。図28は、図27の領域PX1,PX2,PX3の各領域を取り出し、従来の方法で導体膜をエッチングしたときの様子を示す模式断面図である。図29は、図27の領域PX1,PX2,PX3の各領域を取り出し、実施例1の製造方法を適用して導体膜をエッチングしたときの様子を示す模式断面図である。図30は、図27の領域PX1,PX2,PX3の各領域を取り出し、実施例1の製造方法を適用したときのTFT素子の寸法を示す模式平面図である。図31は、図30のE−E’線,F−F’線,G−G’線における断面図を横に並べて示した模式断面図である。図32は、図25の左上に位置するTFT基板形成領域における配線遅延時間のばらつきを説明するための模式図である。
【0174】
実施例1のTFT基板1の製造方法では、たとえば、ガラス基板100上に成膜した導体膜(薄膜)をエッチングして走査信号線101を形成した後、実際に形成された各走査信号線101の主線部101Mやゲート電極部101Gの寸法(完成寸法)を計測し、必要に応じて設計パターンの寸法(数値)を補正している。
【0175】
しかしながら、実施例1では、実際に形成された各走査信号線101の主線部101Mやゲート電極部101Gを平面でみた寸法を計測し、必要に応じて補正している。つまり、実施例1のTFT基板1の製造方法では、平面でみたときの寸法のばらつきが低減するように設計パターンを補正している。
【0176】
ところで、TFT基板1を製造するときには、通常、マザーガラス13と呼ばれる1枚の大型のガラス基板の複数箇所にTFT基板1を形成し、最後にマザーガラス13から各TFT基板1の形成領域を切り出すという方法で製造する。
【0177】
つまり、たとえば、1枚のマザーガラス13から4枚のTFT基板1を切り出す、いわゆる4面取りの場合、図25に示すように、マザーガラス13には4つのTFT基板として切り出す領域100a,100b,100c,100dがあり、一度の工程で4枚のTFT基板1が製造される。このとき、たとえば、マザーガラス13に、走査信号線101を形成するための導体膜を成膜すると、導体膜の厚さは、たとえば、図25に示すように、マザーガラス13の中心Pを中心とする同心円BL1,BL2,BL3で表すことができる。このとき、導体膜の膜厚は、中心Pを含む同心円BL1の内側の領域、同心円BL1の外側でありかつ同心円BL2の内側の領域、同心円BL2の外側でありかつ同心円BL3の内側の領域、同心円BL3の外側の領域の順に薄くなっていく。また、各領域のなかでも、中心Pから遠ざかるにつれて、導体膜の膜厚はだんだんと薄くなっていく。これは、導体膜を形成する際に、たとえば、スパッタリング法で形成(成膜)するためである。
【0178】
このとき、マザーガラス13の左上に位置するTFT基板として切り出す領域100aに注目すると、導体膜14の膜厚分布は、たとえば、図26および図27に示すようになる。このとき、たとえば、導体膜14をエッチングして形成する導体パターンがx方向に延在する走査信号線101であるとし、図27に示した領域PX1,領域PX2,領域PX3の3つの領域に形成される走査信号線101がどのような形状になるかを、図28および図29に沿って説明する。
【0179】
まず、従来の製造方法の場合、導体膜14上に形成した感光性のレジスト膜15を露光するときには、フォトマスクを用いており、図28の上段に示すように、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成されているレジスト膜15の露光される領域の幅RW1,RW2,RW3はほぼ同じ幅になる。このようにして、導体膜14の膜厚によらず、ほぼ同じ幅のエッチングレジストを形成して導体膜14をエッチングすると、膜厚が薄いほど後退量が大きくなる。そのため、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成される走査信号線101,101,101の幅をそれぞれGLW1,GLW2,GLW3とすると、図28の下段に示すように、GLW1<GLW2<GLW3という関係になる。
【0180】
そして、実施例1の製造方法の場合、たとえば、図28の下段に示したように、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成された走査信号線101,101,101の幅GLW1,GLW2,GLW3が、GLW1<GLW2<GLW3という関係になると、たとえば、領域PX1の走査信号線101や領域PX2の走査信号線101の幅に補正が必要であると判定され、設計パターンにおける領域PX1や領域PX2の走査信号線101の寸法(幅)を太くするような補正が行われる。そうすると、以後は、導体膜14上に形成した感光性のレジスト膜を露光するときに、たとえば、図29の上段に示すように、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成されているレジスト膜15の露光される領域の幅RW1,RW2,RW3が、RW1>RW2>RW3という関係になる。このようにしてエッチングレジストを形成し、導体膜14をエッチングすると、図29の下段に示すように、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成された走査信号線101,101,101の幅GLW1,GLW2,GLW3が、GLW1≒GLW2≒GLW3という関係になる。
【0181】
しかしながら、実施例1の製造方法の場合、図29の下段に示したように、導体膜14の膜厚によらず、すべての走査信号線の幅がほぼ等しくなるように設計パターンを補正する。そのため、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成された走査信号線101,101,101の断面積(配線抵抗)にばらつきが生じ、画質むらが発生する可能性がある。
【0182】
また、実施例1の製造方法の場合、たとえば、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成されたTFT素子を平面でみると、図30に示したように、領域PX1のチャネル幅W1,領域PX2のチャネル幅W2,領域PX3のチャネル幅W3、および領域PX1のチャネル長L1,領域PX2のチャネル長L2,領域PX3のチャネル長L3はほぼ等しくなる。
【0183】
しかしながら、TFT素子のゲート絶縁膜として機能を持つ第1の絶縁膜103をマザーガラス13上に形成(成膜)するときには、導体膜14を成膜したときと同様の膜厚分布が生じる。そのため、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域の第1の絶縁膜103の厚さをそれぞれGID1,GID2,GID3とすると、図31に示すように、GID1<GID2<GID3という関係になる。このとき、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域の第1の絶縁膜103の厚さGID1,GID2,GID3のばらつきが大きいと、各領域のTFT素子の書き込み電流値にばらつきが生じ、画質むらが発生する可能性がある。
【0184】
また、たとえば、図30および図31に示したように、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成される各薄膜パターンの寸法がほぼ等しい場合に、各領域に形成される走査信号線101,101,101のそれぞれの配線遅延時間を計算すると、たとえば、図32に示すような結果が得られる。つまり、実施例1の製造方法でTFT基板1を製造した場合、走査ドライバからの距離が同じ画素領域の走査信号線の配線遅延時間は、導体膜や絶縁膜が薄くなる箇所ほど長くなる。なお、図32のD−D’線は、図26に示したD−D’線の走査ドライバからの距離に相当する位置を示している。
【0185】
このように、実施例1のTFT基板1の製造方法は、TFT基板1を平面でみたときの、各画素領域に形成される薄膜パターンの二次元的な寸法のばらつきを低減する方法であり、1枚のTFT基板1に形成される導体膜などの膜厚に生じるばらつきが大きくなると、各画素の電気的特性にばらつきが生じ、画質むらが発生する可能性がある。
【0186】
TFT基板1が、たとえば、携帯電話端末やPDAのディスプレイに用いられるTFT基板のように、小面積のTFT基板であれば、このような膜厚のばらつきに起因する各画素の電気的特性のばらつきは小さいので、実施例1の製造方法を適用して製造しても画質むらが発生する可能性は低い。しかしながら、TFT基板1が、テレビなどに用いられる大面積のTFT基板の場合、膜厚のばらつきが大きくなり、各画素の電気的特性のばらつきが生じやすくなる。そのため、テレビなどに用いられる大面積のTFT基板1の場合、実際に形成された薄膜パターンの二次元的な寸法だけでなく、膜厚も考慮し、電気的特性が均一になるように設計パターンを補正することが望ましい。
【0187】
そこで、実施例2では、電気的特性が均一になるように設計パターンを補正するTFT基板1の製造方法の一例について説明する。なお、実施例2でも、製造するTFT基板1の一例として、画素の構成が図4乃至図6に示したような構成のTFT基板1を挙げる。
【0188】
図33は、本発明による実施例2のTFT基板の製造方法の概要を説明するための模式フロー図である。図34は、走査信号線の配線遅延時間のばらつきを低減するための補正方法の一例を説明するための模式図である。
【0189】
実施例2のTFT基板1の製造方法も、大まかに言うと、ガラス基板100上に薄膜を形成(成膜)する工程と、形成した薄膜をエッチングして薄膜パターンを形成する工程とを繰り返し、走査信号線101などを積層していくものである。
【0190】
ただし、実施例2において、走査信号線101などの導体パターンを形成する工程は、たとえば、図33に示したステップ511からステップ520のような手順で行われる。
【0191】
ガラス基板100上に導体パターンを形成する工程では、まず、ガラス基板100上に、第1の導体膜を形成し、膜厚分布を計測する(ステップ511)。ステップ511は、たとえば、スパッタリング法を用いて行い、ガラス基板100の導体パターンを形成する面の全域に導体膜が成膜される。また、膜厚分布は、たとえば、エリプソメーターなどを用いて計測する。計測した膜厚分布は、たとえば、図8に示した露光システムにおける設計パターン補正装置9で保持する。
【0192】
次に、ステップ511で形成(成膜)した第1の導体膜をエッチングして走査信号線101やゲート電極部101Gを形成する(ステップ512)。ステップ512は、第1の導電膜の上に感光性のレジスト膜を形成し、実施例1で説明したような露光装置6でレジスト膜を露光し、現像して形成したエッチングレジストを用いて第1の導体膜をエッチングする。
【0193】
次に、たとえば、図23に示した複数の測定点における走査信号線101の主線部101Mやゲート電極部101Gの完成寸法を計測する(ステップ513)。ステップ513は、たとえば、TFT基板1を平面でみた画像を撮影し、その画像から測定点の周辺領域を抽出して二次元的な寸法を算出する。算出した完成寸法は、たとえば、図8に示した露光システムにおける設計パターン補正装置9で保持する。
【0194】
次に、第1の絶縁層103(ゲート絶縁膜)および半導体層104を形成するとともに、第1の絶縁層103の膜厚分布を測定する(ステップ514)。ステップ514は、たとえば、第1の絶縁層103および半導体層104を一括して形成した後、第1の絶縁層103の膜厚分布を測定する。測定した膜厚分布は、たとえば、図8に示した露光システムにおける設計パターン補正装置9で保持する。
【0195】
次に、第2の導体膜を形成し、膜厚分布を計測する(ステップ515)。ステップ515でも、膜厚分布は、たとえば、エリプソメーターなどを用いて計測する。計測した膜厚分布は、たとえば、図8に示した露光システムにおける設計パターン補正装置9で保持する。
【0196】
次に、第2の導体膜をエッチングして映像信号線102、ソース電極105などを形成する(ステップ516)。ステップ516は、ステップ512と同様の手順でエッチングレジストを形成し、第2の導体膜をエッチングする。
【0197】
次に、たとえば、図23に示した複数の測定点における映像信号線102の主線部102Mやドレイン電極部102D、ソース電極105の完成寸法を計測するとともに、TFT素子のチャネル幅、チャネル長の完成寸法を計測する(ステップ517)。ステップ517も、たとえば、TFT基板1を平面でみた画像を撮影し、その画像から測定点の周辺領域を抽出して二次元的な寸法を算出する。算出した完成寸法は、たとえば、図8に示した露光システムにおける設計パターン補正装置9で保持する。
【0198】
次に、ステップ511およびステップ514ならびにステップ515で計測した各薄膜の膜厚分布と、ステップ513およびステップ517で計測した各薄膜パターンの完成寸法を用いて、たとえば、各測定点における走査信号線の配線遅延時間を算出する(ステップ518)。
【0199】
次に、ステップ518で算出した、各測定点における走査信号線101の配線遅延時間が許容範囲内であるか否かの判定をする(ステップ519)。そして、許容範囲を超えている測定点がある場合、その測定点を含む小領域に対応する位置の設計パターンの寸法を補正する(ステップ520)。ステップ520は、たとえば、ゲート絶縁膜(第1の絶縁膜103)が薄い測定点のTFT素子のチャネル幅を狭くし、書き込み電流値が小さくなるように補正する。つまり、ステップ518で算出した3本の走査信号線101,101,101の配線遅延時間が、たとえば、図32に示したようになっている場合、ステップ520では、たとえば、図34に示すように、配線遅延時間が長い走査信号線101に沿って配置されるTFT素子のチャネル幅を細くし、配線遅延時間が短い走査信号線101に沿って配置されるTFT素子のチャネル幅を太くするように設計パターンの寸法(数値)を補正する。なお、図34のD−D’線は、図26に示したD−D’線の走査ドライバからの距離に相当する位置を示している。
【0200】
なお、TFT素子のチャネル幅を補正するには、たとえば、映像信号線102のドレイン電極部102Dの幅を補正すればよい。
【0201】
図35は、図33に示した手順に沿って設計パターンを補正した後の、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成されるTFT素子を平面でみた模式図である。
【0202】
実施例2の製造方法を適用した場合、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成されたTFT素子の寸法が、たとえば、図30および図31に示したようになっていると、設計パターンにおけるTFT素子のチャネル幅の寸法が補正される。設計パターンにおけるTFT素子のチャネル幅の寸法が補正されると、露光装置6は、この補正された設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いてレジスト膜を露光する。そのため、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成されるTFT素子のチャネル幅およびチャネル長は、たとえば、図35に示すようになる。つまり、ゲート絶縁膜が薄い領域PX1はTFT素子のチャネル幅W1を狭くして書き込み電流値を小さくし、ゲート絶縁膜が厚い領域PX3はTFT素子のチャネル幅W3を広くして書き込み電流値を大きくする。このようにすることで、各領域のTFT素子の書き込み電流値のばらつきが低減で、階調データの書き込み不足を防げるので、1枚の液晶表示パネルの表示領域における画質むら(輝度むら)を容易に低減することができる。
【0203】
図36は、実施例2のTFT基板の製造方法で使用する露光システムの一構成例を示す模式ブロック図である。
【0204】
実施例2のTFT基板の製造方法で使用する露光システムの基本的な構成は、実施例1で説明した露光システムとほぼ同じであるが、実施例2では、薄膜パターンの膜厚を測定するための手段(装置)が必要である。そのため、実施例2の露光システムは、たとえば、図36のような構成になる。
【0205】
すなわち、実施例2の露光システムは、露光装置6と、設計パターン保持装置7と、完成パターン撮影手段8と、設計パターン補正装置9と、膜厚分布計測手段16とを有する構成になる。このうち、露光装置6、設計パターン保持装置7、完成パターン撮影手段8は、実施例1で説明したものと同じ構成でよいので、説明は省略する。
【0206】
また、膜厚分布計測手段16は、たとえば、エリプソメーターのような計測装置である。
【0207】
また、設計パターン補正装置9は、実施例1で説明した完成寸法算出手段901、補正要/不要判定手段902、設計寸法補正手段903に加え、たとえば、算出した完成寸法を一時的に保持しておく完成寸法保持手段904と、計測した膜厚分布を一時的に保持しておく膜厚分布保持手段905とを有する。
【0208】
なお、図36に示した露光システムでは、完成パターン撮影手段8および膜厚分布計測手段16は、設計パターン補正装置9と独立した装置として示しているが、これに限らず、たとえば、完成パターン撮影手段8および膜厚分布計測手段16が設計パターン補正装置9に内蔵されているような構成であってもよいことはもちろんである。
【0209】
図37は、実施例2のTFT基板1の製造方法の応用例を説明するための模式断面図である。
【0210】
これまでの説明では、実施例2のTFT基板1の製造方法の一例として、図33に示した手順に沿って設計パターンの補正を行い、たとえば、TFT素子のチャネル幅を補正することで、走査信号線の配線遅延時間のばらつきを低減している。しかしながら、実施例2において重要なのは、平面でみた二次元的な寸法だけでなく、膜厚も計測し、それらの値から算出される電気的特性のばらつきを低減し、画質むらを低減することにある。そのため、たとえば、走査信号線の配線遅延時間のばらつきを低減する場合、TFT素子のチャネル幅を補正するだけでなく、図37に示すように、導体膜14が薄い領域PX1の走査信号線101の幅を広くし、導体膜14が厚い領域PX3の走査信号線101は走査信号線の幅を狭くするような補正をすることも可能である。すなわち、導体膜14の膜厚分布に基づいて、各領域に形成される走査信号線の断面積、あるいは幅と厚さの積がほぼ同じ値になるように設計パターンを補正することでも、配線遅延時間のばらつきを低減することができる。
【0211】
以上説明したように、実施例2のTFT基板1の製造方法によれば、平面でみた完成寸法と膜厚に基づいて、各測定点における画素の電気的特性のばらつきを低減するように設計パターンの寸法(数値)を補正することができる。そのため、たとえば、テレビやPC向けのディスプレイなどの大画面の表示パネルに用いるTFT基板1を製造するときにも、膜厚分布に起因する電気的特性のばらつきを容易に低減することができ、1枚の表示パネルの表示領域における画質むらを容易に低減することができる。
【0212】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【0213】
たとえば、実施例1および実施例2では、たとえば、図4乃至図6に示したような画素構成のTFT基板1を製造する場合を例に挙げたが、本発明は、これに限らず、種々の画素構成のTFT基板の製造方法に適用できることはもちろんである。
【0214】
また、実施例1および実施例2では、液晶表示パネルに用いるTFT基板の製造方法を例に挙げたが、本発明は、これに限らず、液晶表示パネルに用いるTFT基板と同等の構成を有する種々の基板の製造方法に適用できることはもちろんである。本発明が適用できる表示パネルの基板の例としては、たとえば、有機ELを用いた自発光型の表示パネルのTFT基板が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】液晶表示パネルの概略構成を示す模式正面図である。
【図2】図1のA−A’線における模式断面図である。
【図3】液晶表示パネルで用いるTFT基板の概略構成を示す模式正面図である。
【図4】TFT基板の画素の一構成例を示す模式正面図である。
【図5】図4のB−B’線における模式断面図である。
【図6】図4のC−C’線における模式断面図である。
【図7】本発明による実施例1のTFT基板の製造方法の概要を説明するための模式フロー図である。
【図8】実施例1のTFT基板の製造方法で使用する露光システムの一構成例を示す模式ブロック図である。
【図9】図8に示した露光システムで用いる露光装置の露光手段の一構成例を示す模式図である。
【図10】図9に示した露光手段による露光手順を説明するための模式図である。
【図11】図4に示した画素構成の設計パターンにおける寸法の指定方法の一例を説明するための模式図である。
【図12】走査信号線の寸法の指定方法の一具体例を説明するための模式図である。
【図13】半導体層の寸法の指定方法の一具体例を説明するための模式図である。
【図14】映像信号線およびソース電極の寸法の指定方法の一具体例を説明するための模式図である。
【図15】、画素電極の寸法の指定方法の一具体例を説明するための模式図である。
【図16】走査信号線の寸法の指定方法の第1の変形例を説明するための模式図である。
【図17】走査信号線の寸法の指定方法の第2の変形例を説明するための模式図である。
【図18】半導体層の寸法の指定方法の変形例を説明するための模式図である。
【図19】映像信号線およびソース電極の寸法の指定方法の変形例を説明するための模式図である。
【図20】画素電極の寸法の指定方法の変形例を説明するための模式図である。
【図21】実施例1の製造方法における補正の必要性の有無の判定方法を説明するための模式平面図である。
【図22】実施例1の製造方法における設計パターンの補正方法の一例を説明するための模式平面図である。
【図23】実際に形成された薄膜パターンの寸法の測定方法の一具体例を説明するための模式図である。
【図24】設計パターン補正装置における補正処理の手順を説明するためのフロー図である。
【図25】マザーガラスに導体膜を成膜したときの膜厚分布の一例を示す模式平面図である。
【図26】図25の左上に位置するTFT基板形成領域の拡大平面図である。
【図27】図26のD−D’線における模式断面図である。
【図28】図27の領域PX1,PX2,PX3の各領域を取り出し、従来の方法で導体膜をエッチングしたときの様子を示す模式断面図である。
【図29】図27の領域PX1,PX2,PX3の各領域を取り出し、実施例1の製造方法を適用して導体膜をエッチングしたときの様子を示す模式断面図である。
【図30】図27の領域PX1,PX2,PX3の各領域を取り出し、実施例1の製造方法を適用したときのTFT素子の寸法を示す模式平面図である。
【図31】図30のE−E’線,F−F’線,G−G’線における断面図を横に並べて示した模式断面図である。
【図32】図25の左上に位置するTFT基板形成領域における配線遅延時間のばらつきを説明するための模式図である。
【図33】本発明による実施例2のTFT基板の製造方法の概要を説明するための模式フロー図である。
【図34】走査信号線の配線遅延時間のばらつきを低減するための補正方法の一例を説明するための模式図である。
【図35】図33に示した手順に沿って設計パターンを補正した後の、領域PX1,領域PX2,領域PX3の各領域に形成されるTFT素子を平面でみた模式図である。
【図36】実施例2のTFT基板の製造方法で使用する露光システムの一構成例を示す模式ブロック図である。
【図37】実施例2のTFT基板1の製造方法の応用例を説明するための模式断面図である。
【符号の説明】
【0216】
1…TFT基板
100…ガラス基板
100a,100b,100c,100d…TFT基板として切り出す領域
101,101,101,101…走査信号線
101M…主線部
101G,101G,101G…ゲート電極部
102…映像信号線
102M…主線部
102D…ドレイン電極部
103…第1の絶縁層(ゲート絶縁膜)
104,104,104…半導体層
105…ソース電極
106…第2の絶縁層
107…画素電極
108…配向膜
TH…スルーホール
2…対向基板
200…ガラス基板
201…対向電極
202…ブラックマトリックス
203…カラーフィルタ
204…オーバーコート層
205…配向膜
3…液晶材料
4…シール材
6…露光装置
601…露光手段
601a…露光部
601b…露光ヘッド
601c…ヘッドガイド
601d…テーブル
601e…テーブルガイド
601f…基台
601g…ヘッドガイド固定部材
602…設計パターン取得手段
603…露光寸法算出手段
604…露光寸法保持手段
605…露光制御手段
7…設計パターン保持装置
701…設計パターンデータベース
8…完成パターン撮影手段
9…設計パターン補正装置
901…完成寸法算出手段
902…補正要/不要判定手段
903…設計寸法補正手段
904…完成寸法保持手段
905…膜厚分布保持手段
10…レジスト膜形成装置
11…現像装置
12…エッチング装置
13…マザーガラス
14…導体膜
15…レジスト膜
16…膜厚分布計測手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に薄膜を形成する工程と、前記薄膜をエッチングする工程とを複数回繰り返して、
前記基板上に複数本の走査信号線と、絶縁層を介して前記複数本の走査信号線と立体的に交差する複数本の映像信号線と、2本の隣接する走査信号線および2本の隣接する映像信号線で囲まれた画素領域に対して配置されるTFT素子および画素電極とを形成する表示パネルの製造方法であって、
前記基板に形成された薄膜上に感光性のレジスト膜を形成する第1の工程と、
あらかじめ用意された設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いて前記レジスト膜を露光する第2の工程と、
前記第2の工程で露光した前記レジスト膜を現像してエッチングレジストを形成する第3の工程と、
前記第3の工程で形成したエッチングレジストを利用して前記薄膜をエッチングし、前記設計パターンを反映した薄膜パターンを形成する第4の工程と、
前記第4の工程で形成された薄膜パターンの完成寸法を計測する第5の工程と、
前記第5の工程で計測した薄膜パターンの完成寸法に基づいて、前記設計パターンを補正する第6の工程とを有し、
前記第6の工程で前記設計パターンを補正した後、前記第2の工程は、前記補正した設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いて前記レジスト膜を露光することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項2】
前記第2の工程は、前記レジスト膜の全領域を複数の微小領域に分割し、
前記露光寸法に基づいて前記複数の微小領域を、露光する微小領域と露光しない微小領域に分別し、
前記複数の微小領域のうちの、前記露光する微小領域のみを順次、または一括して露光することを特徴とする請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項3】
前記第2の工程で用いる前記露光寸法は、前記レジスト膜の露光する領域を1つの図形または複数の図形の組み合わせで表現し、各図形の寸法および位置によって露光する領域を特定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項4】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法であり、
前記第6の工程は、前記各測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法と、前記設計パターンの前記平面での設計寸法との差が、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項5】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法であり、
前記第6の工程は、前記各測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法のばらつきが、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項6】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法、および前記第6の工程で補正する前記設計パターンは、前記複数本の走査信号線を平面でみた寸法であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項7】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法、および前記第6の工程で補正する前記設計パターンは、前記複数本の映像信号線を平面でみた寸法であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項8】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法、および前記第6の工程で補正する前記設計パターンは、前記TFT素子のチャネル幅とチャネル長のいずれか一方、あるいは両方であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項9】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法、および前記第6の工程で補正する前記設計パターンは、前記画素電極を平面でみた寸法であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項10】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた寸法および膜厚であり、
前記第6の工程は、前記各測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚から算出される電気的特性と、前記設計パターンから得られる電気的特性との差が、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項11】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンの完成寸法は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚であり、
前記第6の工程は、前記各測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚から算出される電気的特性のばらつきが、あらかじめ定められた値よりも小さくなるように前記設計パターンの前記平面でみた寸法を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項12】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚は、前記走査信号線を平面でみた完成寸法および膜厚であり、
前記第6の工程は、前記走査信号線の膜厚が薄い測定点に対する前記設計パターンの走査信号線の幅を広くし、前記走査信号線の膜厚が厚い測定点に対する前記設計パターンの走査信号線の幅を狭くすることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項13】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚は、前記TFT素子のゲート絶縁膜の膜厚、前記TFT素子のドレイン電極とソース電極の間に構成されるチャネルの幅および長さであり、
前記第6の工程は、前記TFT素子のゲート絶縁膜の膜厚、前記TFT素子の前記チャネルの幅および長さから、各測定点における前記TFT素子の書き込み電流値を算出する工程と、算出した前記書き込み電流値に基づいて前記設計パターンの前記TFT素子の前記チャネルの幅と長さのいずれか一方、あるいは両方の寸法を補正する工程とを有することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項14】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚は、前記走査信号線を平面でみた完成寸法および膜厚、前記映像信号線を平面でみた完成寸法、前記TFT素子のゲート絶縁膜の膜厚、前記TFT素子のチャネル幅およびチャネル長であり、
前記第6の工程は、前記走査信号線を平面でみた完成寸法および膜厚、前記映像信号線を平面でみた完成寸法、前記TFT素子のゲート絶縁膜の膜厚、前記TFT素子のチャネル幅およびチャネル長から各測定点における配線遅延時間を算出する工程と、
算出した前記配線遅延時間に基づいて前記設計パターンの前記TFT素子の前記チャネルの幅と長さのいずれか一方、あるいは両方の寸法を補正する工程とを有することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項15】
前記設計パターンの前記TFT素子の前記チャネルの幅および長さの補正は、前記TFT素子のドレイン電極の寸法、および前記TFT素子のソース電極の寸法の補正によって行うことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項16】
前記第5の工程で計測する前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法および膜厚は、前記走査信号線、または前記走査信号線と併設して形成される保持容量線と前記画素電極の平面でみて重なる領域の寸法と、前記走査信号線または前記保持容量線と前記画素電極の間に介在する絶縁層の膜厚であり、
前記第6の工程は、前記走査信号線または前記保持容量線と前記画素電極の平面でみて重なる領域の寸法と、前記走査信号線または前記保持容量線と前記画素電極の間に介在する絶縁層の膜厚から、前記走査信号線または前記保持容量線と前記画素電極の平面でみて重なる領域に構成される保持容量を算出する工程と、
算出した前記保持容量に基づいて前記設計パターンの前記画素電極の前記走査信号線または前記保持容量線と平面でみて重なる領域の寸法を補正する工程とを有することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項17】
前記表示パネルは、一対の基板の間に液晶材料を挟持した液晶表示パネルであり、
前記走査信号線、前記映像信号線、前記TFT素子、および前記画素電極は、前記一対の基板のうちの一方の基板に前記薄膜パターンを積層して形成することを特徴とする請求項1乃至請求項16に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項18】
基板上に薄膜を形成する工程と、薄膜をエッチングする工程とを複数回繰り返して、
基板上に複数本の走査信号線と、絶縁層を介して前記複数本の走査信号線と立体的に交差する複数本の映像信号線と、2本の隣接する走査信号線および2本の隣接する映像信号線で囲まれた画素領域に対して配置されるTFT素子および画素電極とを形成する表示パネルの製造過程で、
前記薄膜上に形成した感光性のレジスト膜を露光する露光システムであって、
あらかじめ用意された設計パターンに基づいて数値化した露光寸法を用いて前記感光性のレジスト膜を露光する露光装置と、
前記基板上に形成された薄膜パターンの完成寸法を計測する完成寸法計測装置と、
前記完成寸法計測装置の計測結果に基づいて前記露光装置で用いる前記設計パターンの数値を補正し、前記補正した設計パターンを前記露光装置に送信する設計パターン補正装置とを有することを特徴とする露光システム。
【請求項19】
前記露光装置は、外部装置または外部の記録媒体から前記設計パターンを取得する設計パターン取得手段と、
前記取得した設計パターンから前記露光寸法を作成する露光寸法作成手段と、
作成した前記露光寸法を保持する露光寸法保持手段と、
前記レジスト膜の全領域を複数の微小領域に分割し、前記露光寸法に基づいて前記複数の微小領域を、露光する微小領域と露光しない微小領域に分別する露光制御手段と、
前記複数の微小領域のうちの、前記露光する微小領域のみを順次、または一括して露光する露光ヘッドを有することを特徴とする請求項18に記載の露光システム。
【請求項20】
前記完成寸法計測装置は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法を計測する装置であることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の露光システム。
【請求項21】
前記完成寸法計測装置は、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンを平面でみた完成寸法を計測する手段と、前記基板上の複数の測定点における前記薄膜パターンの膜厚を計測する手段を有することを特徴とする請求項18または請求項19に記載の露光システム。
【請求項22】
前記完成寸法計測装置は、前記設計パターン補正装置と一体的に設けられていることを特徴とする請求項18乃至請求項21のいずれか1項に記載の露光システム。
【請求項23】
前記露光装置、前記完成寸法計測装置、および前記設計パターン補正装置は、ネットワークを介して相互に接続されていることを特徴とする請求項18乃至請求項21のいずれか1項に記載の露光システム。
【請求項24】
前記露光装置、前記計測装置、および前記設計パターン補正装置に加え、前記あらかじめ用意された設計パターンを保持する設計パターン保持装置を有し、
前記露光装置、前記計測装置、前記設計パターン補正装置、および前記設計パターン保持装置は、ネットワークを介して相互に接続されていることを特徴とする請求項18乃至請求項21のいずれか1項に記載の露光システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2008−40436(P2008−40436A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218541(P2006−218541)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】