説明

表示装置および電子機器

【課題】プロセスや部品の増加を招くことなく容易に赤外フィルタを形成可能であり、かつ電源投入時のキャリブレーション動作を要することなく、ノイズによる影響を小さくでき、受光システムのSN比を向上することが可能な表示装置および電子機器を提供する。
【解決手段】受光素子311を含み表示領域における外光の強度を検出する第1の光センサ部31と、受光素子321への光路に赤外フィルタFLT321が配置された第2の光センサ部32と、第1の光センサ部31の検出信号と第2の光センサ部32の検出信号との差分処理を行う信号処理機能と、を有し、赤外フィルタFLT321は、少なくとも2種類のカラーフィルタを積層して形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画素部や額縁上に光センサを備えた表示装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォトセンサで外光の照度を検出することにより、環境照度が明るい場合は、画面輝度を上げ、環境照度が暗い場合は逆に画面輝度を下げる技術が知られている。この技術を用いることで画面が見やすくなるばかりでなく、液晶表示装置などのようにバックライトシステムにより表示している場合などは、バックライトシステムの消費電力の削減になり、携帯電話等のモバイルアプリケーションの電池寿命へ貢献できることからこの種技術が種々検討されている。
【0003】
また、表示装置自体に座標入力機能を設けた技術がいくつか提案されている。
具体的には、たとえば、感圧式タッチパネル(特許文献1,2を参照)方式による表示装置や電磁誘導型タッチパネル方式(特許文献3を参照)による表示装置などが知られている。
【0004】
しかし、上記のような座標入力機能付随の表示装置は小型化するのが困難であり、通常の表示装置と比較し、コストが高くなってしまうという問題点があった。
そこで、近年、上記の問題を解決すべく表示装置の各画素に受光素子を設け、受光素子への入射光を検知することにより表示装置内の座標を特定する表示装置の開発が盛んに行われている(特許文献4,5を参照)。
【0005】
上記のように、受光素子を設けることによって表示装置内の座標入力を可能とした装置は、座標入力機能を設けた表示装置と比較し、小型化が可能でコストも低減できるという利点を有するだけでなく、多点座標入力や面積入力も可能である。
【特許文献1】特開2002-149085号公報
【特許文献2】特開2002-41244号公報
【特許文献3】特開平11-134105号公報
【特許文献4】特開2004-318067号公報
【特許文献5】特開2004-318819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、フォトセンサは可視光のみならず、図1に示すように、近赤外域にも感度を持つ。
このために、環境光に赤外を持つような白熱球下などでは、赤外域の光を検出してしまい、本来さほど照度が高くない環境でも、照度が比較的高い環境であるかの如く反応してしまい、環境照度の評価誤差が大きくなる。
【0007】
そこで、可視域の照度だけを評価するために、赤外カットフィルタを別途センサ前に装着する必要があった。
この赤外カットフィルタは、通常ガラスに無機膜を多層コートした誘電体フィルタか赤外域に吸収をもつ色素をコーティングしたフィルタが用いられてきた。
【0008】
ところが、表示デバイスの表示領域の周辺に作り込む場合、センサ部分に別途フィルタを取り付けるためには、表示領域との干渉を避けるために、ある程度表示領域からの距離を保って装着する必要があり、画面照度を測定する場合の誤差となる。
さらには、別途フィルタを設けるので、部品点数の増加や、製造プロセスが煩雑となり、コスト増にもつながる。
【0009】
また、液晶表示デバイスのように、表示に偏光板のようなフィルムを用いる場合、そのフィルムと赤外カットフィルタの一体化により、部品点数の削減や、フォトセンサの表示領域付近への配置の方法も考えられるが、赤外カットフィルタは、それそのものが着色されているために、表示品位そのものへ影響してしまい採用は難しい。
【0010】
また、上記システムあるいは指等の検出対象物のバックライト光からの反射光を利用して、タッチパネルやイメージセンサ等を実現するシステムにおいて、表示装置内部での反射光ノイズをリアルタイムで除去できないという不利益がある。
また、上記バックライト光によるシステム、もしくは外光による撮像システムにおいて、ディスプレイ部からの干渉ノイズをリアルタイムで除去できない。
また、このような理由のため、温度特性、時間変動に強い高信頼性システムが実現できない。
また、高信頼性システムを実現使用とすると、電源投入時のキャリブレーション動作が必要になる。
【0011】
本発明は、プロセスや部品の増加を招くことなく容易に赤外フィルタを形成可能であり、かつ電源投入時のキャリブレーション動作を要することなく、ノイズによる影響を小さくでき、受光システムのSN比を向上することが可能な表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点の表示装置は、受光素子を含み、表示領域における外光の強度を検出する第1の光センサ部と、受光素子を含み、当該受光素子への光路に赤外フィルタが配置された第2の光センサ部と、上記第1の光センサ部の検出信号と上記第2の光センサ部の検出信号との差分処理を行う信号処理部と、を有し、上記赤外フィルタは、少なくとも2種類のカラーフィルタを積層して形成されている。
【0013】
好適には、上記赤外フィルタは、色の三原色である赤(R),緑(G),青(B)のカラーフィルタのうち、赤用カラーフィルタと青用カラーフィルタの2層、赤用カラーフィルタと緑用カラーフィルタの2層、赤用カラーフィルタと緑用カラーフィルタと青用カラーフィルタの3層のうちのいずれかの積層構造を有する。
【0014】
好適には、上記第1の光センサ部は、遮光マスクに、上記受光素子に光を導く開口部が形成され、上記第2の光センサ部は、遮光マスクに、上記受光素子に光を導く開口部が形成され、当該開口部に上記赤外フィルタが形成されている。
【0015】
好適には、上記第1の光センサ部の開口部に、一つのカラーフィルタが形成されている。
【0016】
好適には、上記表示部は表面輝度が変更可能であり、上記信号処理部は、上記差分信号処理結果に応じて上記表示部の表面輝度を変化させる。
【0017】
好適には、表示光を上記表示部に照射するバックライトを有し、上記信号処理部は、上記バックライトによる表示光のレベルを制御する。
【0018】
好適には、上記第1の光センサ部は、物体からの反射光を検出可能であり、上記信号処理部は、上記第1の光センサ部の検出信号と上記第2の光センサ部の検出信号との差分処理結果により上記第1の光センサ部に物体があるか否かを示す信号を出力する。
【0019】
好適には、有効表示領域部に、複数の上記表示セルがマトリクス状に配列され、上記表示セルのマトリクス配列に混在して、上記第1の光センサ部および上記第2の光センサ部のうち少なくとも上記第1の光センサ部が配列されている。
【0020】
好適には、複数の上記第1の光センサ部が、各表示セルに隣接してそれぞれ配列されている。
【0021】
好適には、上記有効表示領域部は、上記バックライトに対向して配置され、セル回路および受光素子が形成される第1透明基板と、上記第2透明基板と対向して配置される第2透明基板と、上記第1透明基板および上記第2透明基板間に配置された液晶層と、上記第1の光センサ部および第2の光センサ部に形成されて光を遮蔽するめの遮光マスクと、を有し、上記第1の光センサ部および第2の光センサ部の遮光マスクには、光を受光素子に導くための開口部が形成され、上記第2の光センサ部の開口部に上記赤外センサが形成されている。
【0022】
本発明の第2の観点は、表示装置を有する電子機器であって、上記表示装置は、受光素子を含み、表示領域における外光の強度を検出する第1の光センサ部と、受光素子を含み、当該受光素子への光路に赤外フィルタが配置された第2の光センサ部と、上記第1の光センサ部の検出信号と上記第2の光センサ部の検出信号との差分処理を行う信号処理部と、を有し、上記赤外フィルタは、少なくとも2種類のカラーフィルタを積層して形成されている。
【0023】
本発明によれば、第2の光センサ部で赤外光が検出される。そして、信号処理部において、第1の光センサ部の検出信号と第2の光センサ部の検出信号の対する差分処理が行われる。その処理結果の信号は、第1の光センサ部内の反射ノイズや遮光時の暗電流および近赤外領域の感度による漏れ電流、オフセットノイズの影響を極めて小さく抑えた信号となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プロセスや部品の増加を招くことなく容易に赤外フィルタを形成可能であり、かつ電源投入時のキャリブレーション動作を要することなく、ノイズによる影響を小さくでき、受光システムのSN比を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
【0026】
<第1実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示すブロック図である。
図3(A)〜(C)は、図2の液晶表示装置における有効表示領域部の構成例を示す図であって、図3(A)はセルのマトリクス配列を、図3(B)は平面図を、図3(C)は断面図をそれぞれ示している。
また、図4は、本実施形態に係る光検出回路の構成例を示す図である。
【0027】
液晶表示装置1は、図2に示すように、表示部としての有効表示領域部(画像表示部)2、光検出部(LDTC)3、垂直駆動回路(VDRV)4、水平駆動回路(HDRV)5、および信号処理回路(SPRC)6を有している。
【0028】
本実施形態の液晶表示装置1は、外光の強度(照度)に応じて有効表示領域部2の表面輝度を変更可能(実際にはバックライト25の発光強度を変更可能)に構成されている。すなわち、本実施形態の液晶表示装置1は、調光機能を有している。
【0029】
有効表示領域部2は、表示画素を形成する表示回路210を含む複数の表示セル21がマトリクス状に配列されている。有効表示領域部2は、表示画面を形成する。
そして、有効表示領域部2に隣接(近接)して光検出部3が配置されている。
なお、光検出部3は、有効表示領域部2外部(表示領域部の有効領域外の非表示領域部)に隣接して形成する代わりに、後で第2の実施形態として説明するように、有効表示領域部2と一体的に形成することも可能である。
【0030】
光検出部3は、図4に示すように、第1の光センサ部31、第2の光センサ部32、リセット用スイッチ33、コンパレータ34、およびキャパシタC31を有する。
【0031】
第1の光センサ部31は、受光素子(フォトセンサ、調光側センサ)311を含み、有効表示領域部2における外光の強度を検出する。
第2の光センサ部32は、受光素子321を含み、この受光素子321への光路に赤外フィルタFLT321が配置され、遮光時の暗電流および近赤外領域の感度による漏れ電流を検出可能に構成されている。
この赤外フィルタFLT321は、後で詳述するように、少なくとも2種類のカラーフィルタを積層して形成されている。より具体的には、赤外フィルタFLT321は、色の三原色である赤(R),緑(G),青(B)のカラーフィルタのうち、赤用カラーフィルタFLT−Rと青用カラーフィルタFLT−Bの2層、赤用カラーフィルタFLT−Rと緑用カラーフィルタFLT−Gの2層、赤用カラーフィルタFLT−Rと緑用カラーフィルタFLT−Gと青用カラーフィルタFLT−Bの3層のうちのいずれの積層構造を有する。
【0032】
なお、第1の光センサ部31および第2の光センサ部32は、たとえば遮光物体(たとえばユーザの指)が上部にかざされず、かつ、外光を受光してその外光レベルを検出可能な領域に配置される。
【0033】
図4の光検出部3においては、第1の光センサ部31の調光側センサ311と第2の光センサ部32の遮光側センサ321とが、電源電位VDDと基準電位VSS(たとえば接地電位GND)との間に、直近で(近接させて)直列に接続されている。
そして、光検出部3は、第1の光センサ部31の調光側センサ311の検出電流成分から第2の光センサ部32の遮光側センサ321の検出電流成分である赤外成分を取り除いた信号を、コンパレータ34を用いて参照電圧との比較結果して外光強度信号を得、検出信号S3として信号処理回路6に出力する。
光検出部3による検出信号S3は、調光側センサ311が検出した赤外域の検出成分が除去されている。
このように、光検出部3は、第1の光センサ部の検出信号と第2の光センサ部の検出信号との差分処理を行う信号処理部としての機能を有している。
【0034】
そして、信号処理回路6は、光検出部3による検出信号S3に応じて、有効表示領域部2に与える光量を制御する。
本実施形態においては、信号処理回路6は、光検出部3の検出信号S3の出力レベルに応じて、制御信号CTLにより、有効表示領域部(画面表示部)2の表面輝度を変化させる。
【0035】
有効表示領域部2の説明に戻る。
たとえば、有効表示領域部2の所定領域において、図3中の左から、色の三原色に対応したR色の表示セル21R、G色の表示セル21G、B色の表示セル21Bが配列され、たとえば図示しない遮光マスク(ブラックマスク)を介して、あるいはブラックマスクを介さずにこの配列が繰り返される。
【0036】
また、有効表示領域部2においては、図3(B)に示すように、R色の表示セル21Rの配置領域にはR色フィルタFLT−R、G色の表示セル21Gの配置領域にはG色フィルタFLT−G、B色の表示セル21Bの配置領域にはB色フィルタFLT−Bが形成されている。
【0037】
有効表示領域部2においては、図3(C)に示すように、たとえばガラスにより形成されたTFT基板(第1透明基板)22と対向基板(第2透明基板)23との間に液晶層24が封入されて形成されている。また、たとえばTFT基板22の底面221側にバックライト25が配置されている。
また、TFT基板22の基面222側には各表示セル21の表示回路210が形成されている。
一方、対向基板23の基面231には各種フィルタFLT−R,FLT−G,FLT−Bが形成されている。
【0038】
各表示セル21における表示回路210は、図3(A)に示すように、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT;thin film transistor)211と、TFT211のドレイン電極(またはソース電極)に画素電極が接続された液晶セル(LC)212と、TFT211のドレイン電極に一方の電極が接続された保持容量(Cs)213とにより構成されている。
【0039】
これら表示セル21の各々に対して、走査線(ゲート線)7−1〜7−mが各行ごとにその画素配列方向に沿って配線され、表示信号線8−1〜8−nが列ごとにその画素配列方向に沿って配線されている。
そして、各表示セル21のTFT211のゲート電極は、各行単位で同一の走査線(ゲート線)7−1〜7−mにそれぞれ接続されている。また、各表示セル21のTFT211のソース電極(または、ドレイン電極)は、各列単位で同一の表示信号線8−1〜8−nに各々接続されている。
【0040】
図3(A)の構成においては、走査線7−1〜7−mは垂直駆動回路4に接続されて、この垂直駆動回路4により駆動される。
また、表示セル21に対応した配線された表示信号線8−1〜8−nは水平駆動回路5に接続され、この水平駆動回路5により駆動される。
【0041】
さらに、一般的な液晶表示装置においては、画素保持容量配線(Cs)9−1〜9−mが独立に配線され、この画素保持容量配線9−1〜9−mと接続電極との間に保持容量213が形成されている。
そして、各画素部20の表示セル21の液晶セル212の対向電極および/または保持容量213の他方の電極には、コモン配線(共通配線)を通してたとえば所定の直流電圧がコモン電圧VCOMとして与えられる。
あるいは、各表示セル21の液晶セル212の対向電極および保持容量213の他方の電極には、たとえば1水平走査期間(1H)毎に極性が反転するコモン電圧VCOMが与えられる。
【0042】
垂直駆動回路4は、図示しないクロックジェネレータにより生成された垂直スタート信号VST、垂直クロックVCK、イネーブル信号ENBを受けて、1フィールド期間ごとに垂直方向(行方向)に走査して走査線7−1〜7−mに接続された各表示セル21を行単位で順次選択する処理を行う。
すなわち、垂直駆動回路4から走査線7−1に対して走査パルスSP1が与えられたときには第1行目の各列の画素が選択され、走査線7−2に対して走査パルスSP2が与えられたときには第2行目の各列の画素が選択される。以下同様にして、走査線7−3,…,7−mに対して走査パルスSP3,…,SPmが順に与えられる。
【0043】
水平駆動回路5は、図示しないクロックジェネレータにより生成された水平走査の開始を指令する水平スタートパルスHST、水平走査の基準となる互いに逆相の水平クロックHCKを受けてサンプリングパルスを生成し、入力される画像データR(赤)、G(緑)、B(青)を、生成したサンプリングパルスに応答して順次サンプリングして、各表示セル21に書き込むベきデータ信号として各表示信号線8−1〜8−nに供給する。
【0044】
以下に、光検出部3における第1のセンサ部31および第2のセンサ部32の構成についてさらに詳細に説明する。
【0045】
図5は、第1の光センサ部および第2の光センサ部のフォトセンサ(受光素子)をTFTにより形成した構造例を示す断面図である。
【0046】
TFT基板22(透明絶縁基板、たとえばガラス基板)上にゲート絶縁膜331で覆われたゲート電極332が形成されている。ゲート電極は、たとえばモリブデン(Mo)、タンタル(Ta)などの金属または合金をスパッタリングなどの方法で成膜して形成される。
ゲート絶縁膜331上に半導体膜(チャネル形成領域)333、並びに半導体膜333を挟んで一対のn拡散層(LDD領域)334,335、n拡散層336,337(ソース、ドレイン領域)が形成されている。さらに、ゲート絶縁膜331、半導体層(チャネル形成領域)333、n拡散層(LDD領域)334,335、n拡散層336,337(ソース、ドレイン領域)を覆うように層間絶縁膜338が形成され、層間絶縁膜338を覆うように層間絶縁膜339が形成されている。層間絶縁膜339は、たとえばSiN、SiO等により形成される。
一方のn拡散層336には、層間絶縁膜338,339に形成されたコンタクトホール340aを介してソース電極341が接続され、他方のn拡散層337には、層間絶縁膜338,339に形成されたコンタクトホール340bを介してドレイン電極342が接続される。
ソース電極341およびドレイン電極342は、たとえばアルミニウム(Al)をパターニングしたものである。
層間絶縁膜339、ソース電極341、ドレイン電極342、層間絶縁膜339上に平坦化膜343が形成されている。
そして、たとえば表示領域部の有効表示領域あるいは、非表示領域に配置される場合には、この平坦化膜343上に液晶層24が形成される。
【0047】
そして、本実施形態においては、たとえば第2の光センサ部32のブラックマスクBMSKに形成される開口部にカラーフィルタの多層構造からなる赤外フィルタFLT321が形成されている。
ここで、本実施形態に係る赤外フィルタFLT321の構成例および作製方法について、図面に関連付けて説明する。
【0048】
図6に、R色フィルタ(カラーフィルタ)FLT−R、G色フィルタFLT−G、およびB色フィルタFLT−Bの各カラーフィルタCFの可視領域(VIS)と赤外領域NIRの吸収スペクトルを示す。
図6において、横軸は波長を、縦軸が吸収率をそれぞれ示している。
【0049】
図7は、赤外フィルタの第1の構成例を示す図である。
また、図8は、図7の赤外フィルタの分光特性を示す図である。
図8において、横軸が波長を、縦軸が透過率をそれぞれ示している。
【0050】
図7の赤外フィルタFLT321−1は、ブラックマスクBMSKの開口部BMSK321にR色フィルタFLT−RとB色フィルタFLT−Bの2色のカラーフィルタを積層して形成されている。
この赤外フィルタFLT321−1は、図8に示すように、赤外域に対して良好な透過特性を有している。
また、図8の例では、第1の光センサ部31におけるブラックマスクBMSKの開口部BMSK311に可視光を良好に受光素子(フォトセンサ)311に導くように、1層のG色フィルタFTL−Gが形成されている。この第1の光センサ部31のG色フィルタFTL−Gはなくても良い。
【0051】
図9(A)〜(L)は、図7のフィルタの製造プロセスを示す図である。
【0052】
まず、図9(A)に示すように、ガラス基板(対向基板)23のブラック(黒)光感光レジスト401を塗布する。
次に、図9(B)に示すように、ブラック光感光レジスト401上にフォトマスク402を形成し、ブラック光感光レジスト401を選択的に露光する。
そして、図9(C)に示すように、ブラックのパターンを現像する。
次に、図9(D)に示すように、グリーン(G)光感光レジスト403を塗布する。
図9(E)に示すように、グリーン光感光レジスト403上にフォトマスク404を形成し、グリーン光感光レジスト403を選択的に露光する。
そして、図9(F)に示すように、グリーンのパターンを現像する。
次に、図9(G)に示すように、レッド(R)光感光レジスト405を塗布する。
図9(H)に示すように、レッド光感光レジスト405上にフォトマスク406を形成し、レッド光感光レジスト405を選択的に露光する。
そして、図9(I)に示すように、レッドのパターンを現像する。
次に、図9(J)に示すように、ブルー(B)光感光レジスト407を塗布する。
図9(K)に示すように、ブルー光感光レジスト407上にフォトマスク408を形成し、ブルー光感光レジスト407を選択的に露光する。
そして、図12(L)に示すように、ブルーのパターンを現像する。
以上の製造プロセスを経て第2の光センサ部32の赤外フィルタFTL321−1、および第1の光センサ部31のG色フィルタFLT−Gが形成される。
【0053】
図10は、赤外フィルタの第2の構成例を示す図である。
また、図11は、図10の赤外フィルタの分光特性を示す図である。
図11において、横軸が波長を、縦軸が透過率をそれぞれ示している。
【0054】
図10の赤外フィルタFLT321−2は、ブラックマスクBMSKの開口部BMSK321にG色フィルタFLT−GとR色フィルタFLT−RとB色フィルタFLT−Bの3色のカラーフィルタを積層して形成されている。
この赤外フィルタFLT321−2は、図11に示すように、赤外域に対して良好な透過特性を有している。
また、図10の例では、図7の例と同様に、第1の光センサ部31におけるブラックマスクBMSKの開口部BMSK311に可視光を良好に受光素子(フォトセンサ)311に導くように、1層のG色フィルタFTL−Gが形成されている。この第1の光センサ部31のG色フィルタFTL−Gはなくても良い。
【0055】
図12(A)〜(L)は、図10のフィルタの製造プロセスを示す図である。
【0056】
まず、図12(A)に示すように、ガラス基板(対向基板)23のブラック(黒)光感光レジスト411を塗布する。
次に、図12(B)に示すように、ブラック光感光レジスト411上にフォトマスク412を形成し、ブラック光感光レジスト411を選択的に露光する。
そして、図12(C)に示すように、ブラックのパターンを現像する。
次に、図12(D)に示すように、グリーン(G)光感光レジスト413を塗布する。
図12(E)に示すように、グリーン光感光レジスト413上にフォトマスク414を形成し、グリーン光感光レジスト413を選択的に露光する。
そして、図12(F)に示すように、グリーンのパターンを現像する。
次に、図12(G)に示すように、レッド(R)光感光レジスト415を塗布する。
図12(H)に示すように、レッド光感光レジスト415上にフォトマスク416を形成し、レッド光感光レジスト415を選択的に露光する。
そして、図12(I)に示すように、レッドのパターンを現像する。
次に、図12(J)に示すように、ブルー(B)光感光レジスト417を塗布する。
図12(K)に示すように、ブルー光感光レジスト417上にフォトマスク418を形成し、ブルー光感光レジスト417を選択的に露光する。
そして、図12(L)に示すように、ブルーのパターンを現像する。
以上の製造プロセスを経て第2の光センサ部32の赤外フィルタFTL321−2、および第1の光センサ部31のG色フィルタFLT−Gが形成される。
【0057】
図13は、赤外フィルタの第3の構成例を示す図である。
また、図14は、図13の赤外フィルタの分光特性を示す図である。
図14において、横軸が波長を、縦軸が透過率をそれぞれ示している。
【0058】
図13の赤外フィルタFLT321−3は、図10の第1の構成例と同様に、ブラックマスクBMSKの開口部BMSK321にR色フィルタFLT−RとB色フィルタFLT−Bの2色のカラーフィルタを積層して形成されている。
この赤外フィルタFLT321−3は、図14に示すように、赤外域に対して良好な透過特性を有している。
また、図13の例では、図7の例と異なり、第1の光センサ部31におけるブラックマスクBMSKの開口部BMSK321にG色フィルタFTL−Gが形成されていない。
【0059】
図15(A)〜(L)は、図13のフィルタの製造プロセスを示す図である。
【0060】
まず、図15(A)に示すように、ガラス基板(対向基板)23のブラック(黒)光感光レジスト421を塗布する。
次に、図15(B)に示すように、ブラック光感光レジスト421上にフォトマスク422を形成し、ブラック光感光レジスト421を選択的に露光する。
そして、図15(C)に示すように、ブラックのパターンを現像する。
次に、図15(D)に示すように、グリーン(G)光感光レジスト423を塗布する。
図15(E)に示すように、グリーン光感光レジスト423上にフォトマスク424を形成し、グリーン光感光レジスト423を選択的に露光する。
そして、図15(F)に示すように、グリーンのパターンを現像する。
次に、図15(G)に示すように、レッド(R)光感光レジスト425を塗布する。
図15(H)に示すように、レッド光感光レジスト425上にフォトマスク426を形成し、レッド光感光レジスト425を選択的に露光する。
そして、図15(I)に示すように、レッドのパターンを現像する。
次に、図15(J)に示すように、ブルー(B)光感光レジスト427を塗布する。
図15(K)に示すように、ブルー光感光レジスト427上にフォトマスク428を形成し、ブルー光感光レジスト427を選択的に露光する。
そして、図15(L)に示すように、ブルーのパターンを現像する。
以上の製造プロセスを経て第2の光センサ部32の赤外フィルタFTL321−3、および第1の光センサ部31の開口部BMSK311が形成される。
【0061】
図16は、赤外フィルタの第4の構成例を示す図である。
また、図17は、図16の赤外フィルタの分光特性を示す図である。
図17において、横軸が波長を、縦軸が透過率をそれぞれ示している。
【0062】
図17の赤外フィルタFLT321−4は、図10の第2の構成例と同様に、ブラックマスクBMSKの開口部BMSK321にG色フィルタFLT−GとR色フィルタFLT−RとB色フィルタFLT−Bの3色のカラーフィルタを積層して形成されている。
この赤外フィルタFLT32−4は、図17に示すように、赤外域に対して良好な透過特性を有している。
また、図16の例では、図10の例と異なり、第1の光センサ部31におけるブラックマスクBMSKの開口部BMSK311にG色フィルタFTL−Gが形成されていない。
【0063】
図18(A)〜(L)は、図16のフィルタの製造プロセスを示す図である。
【0064】
まず、図18(A)に示すように、ガラス基板(対向基板)23のブラック(黒)光感光レジスト431を塗布する。
次に、図18(B)に示すように、ブラック光感光レジスト431上にフォトマスク432を形成し、ブラック光感光レジスト431を選択的に露光する。
そして、図18(C)に示すように、ブラックのパターンを現像する。
次に、図18(D)に示すように、グリーン(G)光感光レジスト433を塗布する。
図18(E)に示すように、グリーン光感光レジスト433上にフォトマスク434を形成し、グリーン光感光レジスト433を選択的に露光する。
そして、図18(F)に示すように、グリーンのパターンを現像する。
次に、図18(G)に示すように、レッド(R)光感光レジスト435を塗布する。
図18(H)に示すように、レッド光感光レジスト435上にフォトマスク436を形成し、レッド光感光レジスト435を選択的に露光する。
そして、図18(I)に示すように、レッドのパターンを現像する。
次に、図18(J)に示すように、ブルー(B)光感光レジスト437を塗布する。
図18(K)に示すように、ブルー光感光レジスト437上にフォトマスク438を形成し、ブルー光感光レジスト437を選択的に露光する。
そして、図18(L)に示すように、ブルーのパターンを現像する。
以上の製造プロセスを経て第2の光センサ部32の赤外フィルタFTL321−4、および第1の光センサ部31の開口部BMSK311が形成される。
【0065】
図19は、第1〜第4の構成例の赤外フィルタを有する第2の光センサ部の赤外感度特性の一例を示す図である。
【0066】
図19においては、(A)赤外フィルタを形成しない場合、(B)G色フィルタFLT−Gの1層のみのカラーフィルタを形成した場合、(C)R色フィルタFLT−RとB色フィルタFLT−Bの2色のカラーフィルタを積層した場合、(D)G色フィルタFLT−GとR色フィルタFLT−RとB色フィルタFLT−Bの3色のカラーフィルタを積層した場合の赤外感度特性を示している。
【0067】
図19からわかるように、赤外フィルタを形成しない場合、およびG色フィルタFLT−Gの1層のカラーフィルタのみを形成した場合は近赤外領域の感度は良くない。
これに対して、R色フィルタFLT−RとB色フィルタFLT−Bの2色のカラーフィルタを積層した場合、およびG色フィルタFLT−GとR色フィルタFLT−RとB色フィルタFLT−Bの3色のカラーフィルタを積層した場合は近赤外領域の感度は良好である。
このことから、近赤外領域の感度が良好な赤外フィルタを実現するには、異なる色のカラーフィルタを2層以上積層して形成する必要があることがわかる。
【0068】
なお、以上の説明においては、2層構造の赤外フィルタとしてR色フィルタFLT−RとB色フィルタFLT−Bの2色のカラーフィルタを積層した場合を例に説明したが、図20および図21に示すように、G色フィルタFLT−GとR色フィルタFLT−Rの2色のカラーフィルタを積層した構成の赤外フィルタFLT321−5も適用することが可能である。
製造プロセスは、上述した方法と同様に行われることから、ここではその詳細な説明は省略する。
この場合も、近赤外領域の感度が良好である。
【0069】
以上の構成を有する光検出部3においては、第1の光センサ部31の調光側センサ311と第2の光センサ部32の遮光側センサ321とが、電源電位VDDと基準電位VSS(たとえば接地電位GND)との間に、直近で(近接させて)直列に接続されている。
光検出部3においては、有効表示領域部2に照射される外光が第1の光センサ部31の調光側センサ311で直接、または1層のたとえばG色フィルタFLT−Gを介して受光される。また、第2の光センサ部32の遮光側センサ321においては、赤外フィルタFTL321を通過した赤外域の光が受光される。
そして、光検出部3は、第1の光センサ部31の調光側センサ311の検出電流成分から第2の光センサ部32の遮光側センサ321の検出電流成分である赤外成分が取り除かれた信号が、コンパレータ34を用いて参照電圧と比較される。その比較結果、外光強度信号として得られ、検出信号S3として信号処理回路6に出力される。
光検出部3による検出信号S3は、調光側センサ311が検出した赤外域の検出成分が除去されている。
そして、信号処理回路6は、光検出部3の検出信号S3の出力レベルに応じて、制御信号CTLにより、有効表示領域部(画面表示部)2の表面輝度を変化させる。
【0070】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、光検出部3は、受光素子311を含み表示領域における外光の強度を検出する第1の光センサ部31と、受光素子321への光路に赤外フィルタFLT321が配置された第2の光センサ部32と、を有し、第1の光センサ部31の出力から第2の光センサ部32の検出した少なくとも赤外成分に相当する成分を取り除く機能を有し、赤外フィルタFLT231は、少なくとも2種類のカラーフィルタを積層して形成されていることから、以下の効果を得ることができる。
【0071】
すなわち、本実施形態によれば、センサの個体差をキャンセルするばかりでなく、近赤外感度をキャンセルすることが可能となり、可視領域の環境照度を正確に評価可能となる。
また、赤外フィルタを既存のカラーフィルタと同時に形成できるので、製造プロセスにも影響が無く、コスト増を招くこともない。
また、赤外フィルタの形成にフォトリソグラフィプロセスを用いるので、フィルタ形成の位置精度が良く、表示領域付近にセンサを配置した場合でも、表示領域と、センサとの干渉もなく、センサの配置に対して制約がなくなる。
また、電源投入時のキャリブレーション動作を要することなく、ノイズによる影響を小さくでき、受光システムのSN比を向上することが可能となる。
【0072】
<第2実施形態>
図22は、本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示すブロック図である。
図23(A)〜(C)は、図22の液晶表示装置における有効表示領域部の構成例を示す図であって、図23(A)はセルのマトリクス配列を、図23(B)は平面図を、図23(C)は断面図をそれぞれ示している。
【0073】
本第2の実施形態の液晶表示装置1Aが上述した第1の実施形態の液晶表示装置1と異なる点は、上述した第1の実施形態においては、光検出部3を有効表示領域部2外部(表示領域部の有効領域外の非表示領域部)に隣接して形成したが、本第2の実施形態では、光検出部3Aを有効表示領域部2Aと一体的に形成したことにある。
【0074】
本液晶表示装置1Aは、図22に示すように、表示部としての有効表示領域部(画像表示部)2A、有効表示領域部2に一体的に形成された光検出部3A、垂直駆動回路(VDRV)4、水平駆動回路(HDRV)5、信号処理回路(SPRC)6A、および受光制御回路(RCTL)10を有している。
【0075】
本第2の実施形態の液晶表示装置1Aは、外光の強度(照度)に応じて有効表示領域部2Aの表面輝度を変更可能(実際にはバックライト25の発光強度を変更可能)に構成されている。すなわち、本実施形態の液晶表示装置1Aは、調光機能を有している。
【0076】
有効表示領域部2Aは、表示画素を形成する表示回路210を含む複数の表示セル21がマトリクス状に配列されている。有効表示領域部2Aは、表示画面を形成する。
そして、有効表示領域部2Aにおいては、所定の領域に第1の光センサ部31および第2の光センサ部32を含む光検出部3Aが配置されている。
【0077】
光検出部3Aの基本的な構成は、第1の実施形態と同様である。
すなわち、第1の光センサ部31は、受光素子(フォトセンサ、調光側センサ)311を含み、有効表示領域部2Aにおける外光の強度を検出する。
第2の光センサ部32は、受光素子321を含み、この受光素子321への光路に赤外フィルタFLT321が配置され、遮光時の暗電流および近赤外領域の感度による漏れ電流を検出可能に構成されている。
この赤外フィルタFLT321は、前述したように、少なくとも2種類のカラーフィルタを積層して形成されている。より具体的には、赤外フィルタFLT321は、色の三原色である赤(R),緑(G),青(B)のカラーフィルタのうち、赤用カラーフィルタと青用カラーフィルタの2層、赤用カラーフィルタと緑用カラーフィルタの2層、赤用カラーフィルタと緑用カラーフィルタと青用カラーフィルタの3層のうちのいずれの積層構造を有する。
【0078】
なお、第1の光センサ部31および第2の光センサ部32は、たとえば遮光物体物体(たとえばユーザの指)が上部にかざされず、かつ、外光を受光してその外光レベルを検出可能な領域に配置される。
【0079】
たとえば、有効表示領域部2Aの所定領域において、図23中の左から、色の三原色に対応したR色の表示セル21R、G色の表示セル21G、B色の表示セル21Bが配列されていて、この表示セル21Bに隣接して光検出部3Aが配置されている。
そして、たとえば、この光検出部3Aに続いて、R色の表示セル21R、さらにG色の表示セル21G、B色の表示セル21Bが配列されている。
【0080】
図23の光検出部3Aにおいては、第1の実施形態の場合と同様に、第1の光センサ部31の調光側センサ311と第2の光センサ部32の遮光側センサ321とが、電源電位VDDと基準電位VSS(たとえば接地電位GND)との間に、直近で(近接させて)直列に接続されている。
そして、光検出部3Aは、第1の光センサ部31の調光側センサ311の検出電流成分から第2の光センサ部32の遮光側センサ321の検出電流成分である赤外成分を取り除いた信号を、コンパレータ34を用いて参照電圧との比較結果して外光強度信号を得、検出信号S3として信号処理回路6Aに出力する。
光検出部3による検出信号S3Aは、調光側センサ311が検出した赤外域の検出成分が除去されている。
【0081】
そして、信号処理回路6Aは、光検出部3Aによる検出信号S3Aに応じて、有効表示領域部2Aに与える光量を制御する。
本実施形態においては、信号処理回路6Aは、光検出部3Aの検出信号S3Aの出力レベルに応じて、制御信号CTLにより、有効表示領域部(画面表示部)2Aの表面輝度を変化させる。
【0082】
有効表示領域部2Aの説明に戻る。
光検出部3Aの配置領域には遮光機能を有するブラックマスク(遮光マスク)BMSK3が形成されている。
第1の光センサ部31に含まれるブラックマスクBMSK3には、受光素子311に光を入射させるための開口部BMSK311が形成されている。あるいは、この開口部BMSK311には、たとえば1種類のカラーフィルタ、たとえばG色カラーフィルタFLT−Gが形成される。
同様に、第2の光センサ部32に含まれるブラックマスクBMSK3には、受光素子321に光を入射させるための開口部BMSK321が形成され、この開口部BMSK321にカラーフィルタの多層構造からなる赤外フィルタFLT321が形成されている。
この赤外フィルタ231の構造等については前述した通りである。
【0083】
有効表示領域部2Aにおいては、図23(C)に示すように、図3(C)と同様、たとえばガラスにより形成されたTFT基板(第1透明基板)22と対向基板(第2透明基板)23との間に液晶層24が封入されて形成されている。また、たとえばTFT基板22の底面221側にバックライト25が配置されている。
また、TFT基板22の基面222側には各表示セル21の表示回路210、光検出部3Aの読み出し回路350および受光素子(フォトセンサ)311(321)が形成されている。
一方、図23(C)に示すように、対向基板23の基面231には各種フィルタFLT−R,FLT−G,FLT−B、ブラックマスクBMSK3、赤外フィルタFLT321(図23には図示せず)が形成されている。
【0084】
各表示セル21における表示回路210は、第1の実施形態と同様であり、その説明は省略する。
【0085】
また、有効表示領域部2Aにおいては、光検出部3Aに対応して受光信号線11が配線されている。
受光信号線11は、信号処理回路6Aに接続され、受光制御回路5の制御の下に読み出される検出信号3Aを信号処理回路6Aに伝搬する。
また、光検出部3Aに対して、第1の制御線(リセット信号線)12、および第2の制御線(読み出し信号線)13がその画素配列方向に沿って配線されている。
また、第1の制御線12および第2の制御線13は、受光制御回路10により駆動制御される。
【0086】
図24は、本実施形態に係る第1の光センサ部(第2の光センサ部)の基本構成例を示す回路図であって、図23(A)の回路を拡大して示す図である。なお、図24においては、隣接する表示セルの表示回路210も併せて示している。
【0087】
本第2の実施形態の光検出部3Aは、第1の光センサ部31の受光素子311および第2の光センサ部32の受光素子321の他に、読み出し回路350を形成するリセットTFT351、増幅TFT352、選択(読み出し)TFT353、受光信号蓄積容量(キャパシタ)354、およびノードND351を有している。
受光素子311,321は、TFT、ダイオード等により形成される。
【0088】
受光素子311と受光素子321は電源電位VDDと基準電位VSS間に直列に接続されている。具体的には、受光素子311のカソード側が電源電位VDDに接続され、アノード側が受光素子321のカソード側に接続され、受光素子321のアノード側が基準電位VSSに接続されている。そして、受光素子311のアノード側と受光素子321のカソード側の接続点がリセットTFT351のドレインに接続されている。
リセットTFT351は、たとえばnチャネルトランジスタにより形成され、そのソースが基準電位VSS(たとえばグランドGND)に接続され、ドレインがノードND351に接続されている。そして、リセットTFT351のゲート電極が対応する行に配線された第1の制御線11に接続されている。
増幅TFT352のゲートがノードND351に接続され、ドレインが電源電位VDDに接続され、ソースが選択TFT353のドレインに接続されている。選択TFT353のゲートが第2の制御線12に接続され、ソースが対応する列に配線された受光信号線11に接続されている。
この増幅TFT352と選択TFT353により、いわゆるソースフォロワが形成されている。したがって、受光信号線11には電流源が接続される。この電流源は、本実施形態においては、たとえば信号処理回路6Aに形成される。
また、キャパシタ(受光信号蓄積容量)354がノードND351と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0089】
図25は、本第2の実施形態に係る第1の光センサ部31の簡略断面図であって、図23(C)の第1の光センサ部31の部分を拡大して示す図である。
図26は、本第2の実施形態に係る第2の光センサ部32の簡略断面図であって、図23(C)の第2の光センサ部32の部分を拡大して示す図である。
【0090】
光検出部3Aの第1の光センサ部31および第2の光センサ部32は、基本的に、図25および図26に示すように、透明絶縁基板(たとえばガラス基板)により形成されたTFT基板22の基面222側に形成されている。光検出部3Aは、読み出し回路350および受光素子(フォトセンサ)311,321により構成されている。
対向基板透明絶縁基板(たとえばガラス基板)により形成された対向基板23の基面231側にはブラックマスクBMSK3が形成され、受光素子(フォトセンサ)311,321の形成領域と対向するブラックマスクBMSK3には外光を受光素子(フォトセンサ)311,321に導く開口部BMSK311,BMSK321が形成されている。
そして、TFT基板22と対向基板23との間に液晶層24が封入されている。また、たとえばTFT基板22の底面221側にバックライト25が配置されている。
また、このTFT基板22の底面221には偏光フィルタ26が形成され、対向基板23の前面(光入射面)232に偏光フィルタ27が形成されている。
受光素子(フォトセンサ)311,321並びに読み出し回路350は、LTPS(低温ポリシリコン)TFTにより形成される。
【0091】
そして、図5に関連付けて説明したように、第1の光センサ部および第2の光センサ部のフォトセンサ(受光素子)はTFTにより形成することが可能である。
【0092】
そして、本実施形態においては、第2の光センサ部32の開口部BMSK321にカラーフィルタの多層構造からなる赤外フィルタFLT321が形成されている。
ここで、本実施形態に係る赤外フィルタFLT321の構成例および作製方法について、既に説明したことからここではその説明を省略する。
【0093】
ここで、表示装置の構成および機能に説明に戻る。
【0094】
第1の制御線12と第2の制御配線13は受光制御回路10に接続されている。
受光制御回路105は、所定のタイミングでリセットパルスRSTを第1の制御線12に印加する。
これにより、光検出部3Aのリセット用TFT351が一定期間オンし、ノードND351がリセットされる。
換言すれば、光検出部3Aにおいては、たとえばノードND351に接続された受光信号蓄積容量354の電荷が放電されて、ノードND351の電位が基準電位にセットされ、光検出部3Aが初期の状態となる。
この状態で受光素子311,321が所定の光量を受光すると、受光素子311,321が導通し、第1の光センサ部31の調光側センサ311の検出電流成分から第2の光センサ部32の遮光側センサ321の検出電流成分である赤外成分を取り除いた信号によりノードND351の電位が上昇し、キャパシタ(受光信号蓄積容量)354に電荷が蓄積される。
このとき、受光制御回路10により読み出し信号RDがハイレベルで第2に制御線13に印加されて選択TFT353がオン状態に保持される。これにより、キャパシタ354に蓄積された電荷が電気信号として増幅TFT352で増幅され、選択TFT353を介して受光信号として受光信号線11に出力される。
【0095】
そして、受光信号線11を伝搬された検出信号3Aは信号処理回路6に入力され、信号処理回路6は、検出信号S3Aのレベルに応じてたとえば制御信号CTLにより、有効表示領域部(画面表示部)2Aの表面輝度を変化させる。
【0096】
第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
なお、第1及び第2の実施形態においては、第1の光センサ部31の調光側センサ311と第2の光センサ部32の遮光側センサ321とを近接させて光検出部内で赤外成分を取り除く差分処理を行うようにした。
本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、図27に示すように、調光側センサ311の検出信号と遮光側センサ321の検出信号を個別に読み出し、有効表示領域部2B外に配置した信号処理回路6にて赤外成分を取り除くように構成することも可能である。
この場合、図27に示すように、第1の光センサ部31において、調光側センサ(受光素子)311のカソード側が電源電位VDDに接続され、アノード側がノードND531に接続されている。
同様に、第2の光センサ部32において、遮光側センサ(受光素子)321のカソード側が電源電位VDDに接続され、アノード側がノードND531に接続されている。
その他の構成および機能は、基本的に前述した第2の実施形態と同様であることから、その詳細な説明は省略する。
【0098】
以上の説明では、外光の強度(照度)に応じて有効表示領域部2,2A,2Bの表面輝度を変更可能(実際にはバックライト25の発光強度を変更可能)な調光機能を有する液晶表示装置について説明した。
本発明は調光機能に限定されず、図28に示すような、バックライトの反射光の検出システム等にも適用可能である。
この場合、第1の光センサ部31が検出セルとして用いられ、第2の光センサ部32が参照セルとして用いられる。
【0099】
ここでは、第1の光センサ部31の検出信号と第2の光センサ部32の検出信号との差分信号処理により第1の光センサ部22内の反射ノイズや遮光時の暗電流および近赤外領域の感度による漏れ電流、オフセットノイズの影響を極めて小さく抑えた信号が得られることについても併せて説明する。
なお、ここでは、図28に示すように、バックライトの反射光の検出システムとして構成された場合を例に説明する。
【0100】
図29(A),(B)は、本実施形態に係る第1の光センサ部31と第2の光センサ部32出力信号の差分信号処理によりノイズの除去できる理由を説明するための図であって、図29(A)が第1の光センサ部の状態を示す図であり、図29(B)が第2の光センサ部の状態を示す図である。
図29(A),(B)において、矢印Aが検出対象光を示す、矢印Bのノイズ光を示している。
【0101】
バックライトの反射光の検出システムにおける第1の光センサ部31においては、図28および図29(A)に示すように、バックライト25による検出対象光Aが有効表示領域部2Aの偏光フィルタ26、TFT基板22、液晶層24、所定の位置(座標位置)に配置されている第1の光センサ部31のブラックマスクBMSK3の開口部BMSK311、対向基板23、偏光フィルタ27を透過して、対向基板23の前面側232に配置されたユーザの被検出体(たとえば指)で反射される。
この反射光Aが、偏光フィルタ27、対向基板23、液晶層24を透過して第1の光センサ部31のブラックマスクBMSK3の開口部BMSK311を通して、たとえばTFTからなる受光素子(フォトセンサ)311のアクティブ領域(チャネル領域)で受光され、フォト電流として取り出される。
【0102】
第1の光センサ部31において、バックライト25による光は、検出対象光Aになるものの他に、たとえば平坦化膜343と液晶層24の界面領域で反射して受光素子311に入射してしまうノイズ光B1や直接的に受光素子311に入射してしまうノイズ光B2、近赤外領域の感度による漏れ電流が存在する。
すなわち、第1の光センサ部31の出力信号には、検出対象光Aおよびノイズ光B1、B2等を含む。
【0103】
また、第2の光センサ部32において、ブラックマスクBMSK3の開口部BMSK321に赤外フィルタFLT321が形成されていることから、バックライト25による光は、検出対象光Aになるものはなく、たとえば平坦化膜343と液晶層24の界面領域で反射して受光素子321に入射してしまうノイズ光B1や直接的に受光素子321に入射してしまうノイズ光B2が存在する。また、受光素子321には赤外フィルタFLT321を通過した近赤外光が入射する
すなわち、第2の光センサ部32の検出信号(出力信号)には、ノイズ光B1、B2や第1の光センサ部31の検出信号(出力信号)にも含まれる、近赤外領域の感度による漏れ電流成分を含む。
【0104】
なお、ノイズ光B2は直接的にTFTのゲート電極を通過してチャネル領域に直接的に入射するように図示しているが、実際には、ボトムゲート型TFTのゲート電極がバックライト光のTFTのチャネル領域への光路上に形成されていることから、ここで反射されてゲート電極の周囲に回り込んでノイズ光B2となる場合があるという意味で示してある。
【0105】
したがって、光検出部3,3A、あるいは信号処理回路6において、第1の光センサ部31の検出信号と第2の光センサ部32の検出信号の差分処理を行うことによりノイズ成分を略除去することが可能となる。
その結果、差分処理後の検出信号は、第1の光センサ部31内の反射ノイズや遮光時の暗電流および近赤外領域の感度による漏れ電流、オフセットノイズの影響を極めて小さく抑えた信号となる。
【0106】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示回路210を有する複数の表示セル21と、受光素子221を含み表示領域における外光の強度を検出する第1の光センサ部22と、受光素子231への光路に赤外フィルタFLT231が配置された第2の光センサ部23と、第1の光センサ部31の検出信号から第2の光センサ部32の検出した少なくとも赤外成分に相当する成分を取り除く機能と、を含み、赤外フィルタFLT231は、少なくとも2種類のカラーフィルタを積層して形成されていることから、以下の効果を得ることができる。
【0107】
すなわち、本実施形態によれば、センサの個体差をキャンセルするばかりでなく、近赤外感度をキャンセルすることが可能となり、可視領域の環境照度を正確に評価可能となる。
また、赤外フィルタを既存のカラーフィルタと同時に形成できるので、製造プロセスにも影響が無く、コスト増を招くこともない。
また、赤外フィルタの形成にフォトリソグラフィプロセスを用いるので、フィルタ形成の位置精度が良く、表示領域付近にセンサを配置した場合でも、表示領域と、センサとの干渉もなく、センサの配置に対して制約がなくなる。
また、電源投入時のキャリブレーション動作を要することなく、ノイズによる影響を小さくでき、受光システムのSN比を向上することが可能となる。
【0108】
また、検出対象物のバックライト光からの反射光を利用して、タッチパネル・イメージセンサ等を実現するシステムにおいて、ブラックマスクより下にある層での内部反射光ノイズや近赤外領域の感度による漏れ電流による影響を除去でき、高SN比化を実現できる。
上記バックライトを用いたシステム、もしくは外光の撮像システムにおいて、受光素子(フォトセンサ)および画素回路のオフセットノイズを除去できるため、高SN比化を実現できる。
上記バックライト光を用いたシステム、もしくは外光の撮像システムにおいて、ディスプレイからの干渉ノイズを除去できるため、高SN比化を実現できる。
上記ノイズをリアルタイムでキャンセルできるため、温度特性、時間変動に強い高信頼性システムを実現できる。
上記と同一の理由により、電源投入時のキャリブレーション動作が不要になる。
【0109】
なお、複数画素に対して、一つの受光素子を配置する構成でも構わないし、受光素子はRGBそれぞれに対し一つずつが配置されていても構わないし、一画素に対して受光素子が一つ配置されていても構わない。
本発明を適用する場合の表示装置内の受光素子配置は特に言及しないものとする。このように、本発明を受光素子内蔵の表示装置に適用することにより、ノイズの影響の少ない受光信号を後処理で用いることが可能となり、また、表示側信号の撮像側信号への混入を防ぎつつ、受光(撮像)を行うことが可能となる。
【0110】
本実施形態に係る表示装置は、図30に示すようにフラット型のモジュール形状のものを含む。
たとえば絶縁性の基板22上に、液晶素子、薄膜トランジスタ、薄膜容量、受光素子等からなる画素をマトリックス状に集積形成した画素アレイ部を設ける、この画素アレイ部(画素マトリックス部)を囲むように接着剤を配し、ガラス等の対向基板を貼り付けて表示モジュールとする。
この透明な対向基板23には必要に応じて、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜等を設けてもよい。表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するためのコネクタCNTとしてたとえばFPC(フレキシブルプリントサーキット)を設けてもよい。
【0111】
以上説明した本実施形態に係る表示装置は、図31〜図35に示す様々な電子機器、たとえば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
以下に、本実施形態が適用される電子機器の一例について説明する。
【0112】
図31は、本実施形態が適用されるテレビジョンを示す斜視図である。
本適用例に係るテレビジョン500は、フロントパネル520やフィルターガラス530等から構成される映像表示画面部510を含み、その映像表示画面部510として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0113】
図32は、本実施形態が適用されるデジタルカメラを示す斜視図であり、図32(A)は表側から見た斜視図、図32(B)は裏側から見た斜視図である。
本適用例に係るデジタルカメラ500Aは、フラッシュ用の発光部511、表示部512、メニュースイッチ513、シャッターボタン514等を含み、その表示部512として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0114】
図33は、本実施形態が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータ500Bは、本体521に、文字等を入力するとき操作されるキーボード522、画像を表示する表示部523等を含み、その表示部523として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0115】
図34は、本実施形態が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。
本適用例に係るビデオカメラ500Cは、本体部531、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ532、撮影時のスタート/ストップスイッチ533、表示部534等を含み、その表示部534として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0116】
図35は、本実施形態が適用される携帯端末装置、たとえば携帯電話機を示す図であり、図35(A)は開いた状態での正面図、図35(B)はその側面図、図35(C)は閉じた状態での正面図、図35(D)は左側面図、図35(E)は右側面図、図35(F)は上面図、図35(G)は下面図である。
本適用例に係る携帯電話機500Dは、上側筐体541、下側筐体542、連結部(ここではヒンジ部)543、ディスプレイ544、サブディスプレイ545、ピクチャーライト546、カメラ547等を含み、そのディスプレイ544やサブディスプレイ545として本実施形態に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0117】
また、本実施形態に係る表示装置は、以下のような表示撮像装置に適用可能である。また、この表示撮像装置は、先に説明した各種電子機器に適用可能である。
【0118】
図36は、表示撮像装置の全体構成を示す図である。
この表示撮像装置1000は、I/Oディスプレイパネル2000と、バックライト1500と、表示ドライブ回路1200と、受光ドライブ回路1300と、画像処理部1400と、アプリケーションプログラム実行部1100とを有している。
【0119】
I/Oディスプレイパネル2000は、複数の画素が全面にわたってマトリクス状に配置された液晶パネル(LCD(Liquid Crystal Display))からなり、線順次動作をしながら表示データに基づく所定の図形や文字などの画像を表示する機能(表示機能)を有し、後述するようにこのI/Oディスプレイ2000に接触または近接する物体を撮像する機能(撮像機能)を有する。
また、バックライト1500は、たとえば複数の発光ダイオードが配置されてなるI/Oディスプレイパネル2000の光源であり、後述するようにI/Oディスプレイ2000の動作タイミングに同期した所定のタイミングで、高速にオン・オフ動作を行うようになっている。
【0120】
表示ドライブ回路1200は、I/Oディスプレイパネル2000において表示データに基づく画像が表示されるように(表示動作を行うように)、このI/Oディスプレイパネル2000の駆動を行う(線順次動作の駆動を行う)回路である。
【0121】
受光ドライブ回路1300は、I/Oディスプレイパネル2000において受光データが得られるように(物体を撮像するように)、このI/Oディスプレイパネル2000の駆動を行う(線順次動作の駆動を行う)回路である。なお、各画素での受光データは、たとえばフレーム単位でフレームメモリ1300Aに蓄積され、撮像画像として画像処理部14へ出力される。
【0122】
画像処理部1400は、受光ドライブ回路1300から出力される撮像画像に基づいて所定の画像処理(演算処理)を行い、I/Oディスプレイ2000に接触または近接する物体に関する情報(位置座標データ、物体の形状や大きさに関するデータなど)を検出し、取得するものである。なお、この検知する処理の詳細については後述する。
【0123】
アプリケーションプログラム実行部1100は、画像処理部1400による検知結果に基づいて所定のアプリケーションソフトに応じた処理を実行するものであり、たとえば検知した物体の位置座標を表示データに含むようにし、I/Oディスプレイパネル2000上に表示させるものなどが挙げられる。
なお、このアプリケーションプログラム実行部1100で生成される表示データは表示ドライブ回路1200へ供給される。
【0124】
次に、図37を参照してI/Oディスプレイパネル2000の詳細構成例について説明する。このI/Oディスプレイパネル2000は、表示エリア(センサエリア)2100と、表示用Hドライバ2200と、表示用Vドライバ2300と、センサ読み出し用Hドライバ2500と、センサ用Vドライバ2400とを有している。
【0125】
表示エリア(センサエリア)2100は、バックライト1500からの光を変調して表示光を出射すると共にこのエリアに接触または近接する物体を撮像する領域であり、発光素子(表示素子)である液晶素子と後述する受光素子(撮像素子)とがそれぞれマトリクス状に配置されている。
【0126】
表示用Hドライバ2200は、表示ドライブ回路1200から供給される表示駆動用の表示信号および制御クロックに基づいて、表示用Vドライバ2300と共に表示エリア2100内の各画素の液晶素子を線順次駆動するものである。
【0127】
センサ読み出し用Hドライバ2500は、センサ用Vドライバ2400と共にセンサエリア2100内の各画素の受光素子を線順次駆動し、受光信号を取得するものである。
【0128】
次に、図38を参照して、表示エリア2100における各画素の詳細構成例について説明する。この図38に示した画素3100は、表示素子である液晶素子と受光素子とから構成されている。
【0129】
具体的には、表示素子側には、水平方向に延在するゲート電極3100hと垂直方向に延在するドレイン電極3100iとの交点に薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)などからなるスイッチング素子3100aが配置され、このスイッチング素子3100aと対向電極との間に液晶を含む画素電極3100bが配置されている。
そして、ゲート電極3100hを介して供給される駆動信号に基づいてスイッチング素子3100aがオン・オフ動作し、オン状態のときにドレイン電極3100iを介して供給される表示信号に基づいて画素電極3100bに画素電圧が印加され、表示状態が設定される。
【0130】
一方、表示素子に隣接する受光素子側には、たとえばフォトダイオードなどからなる受光用のセンサ3100cが配置され、電源電圧VDDが供給される。
また、この受光センサ3100cには、リセットスイッチ3100dとキャパシタ3100eが接続され、リセットスイッチ3100dによってリセットされながら、キャパシタ3100eにおいて受光量に対応した電荷が蓄積される。
そして、蓄積された電荷は読み出しスイッチ3100gがオンとなるタイミングで、バッファアンプ3100fを介して信号出力用電極3100jに供給され、外部へ出力される。また、リセットスイッチ3100dのオン・オフ動作はリセット電極3100kにより供給される信号により制御され、読み出しスイッチ3100gのオン・オフ動作は、読出し制御電極3100kにより供給される信号により制御される。
【0131】
次に、図39を参照して、表示エリア2100内の各画素とセンサ読み出し用Hドライバ2500との接続関係について説明する。この表示エリア2100では、赤(R)用の画素3100と、緑(G)用の画素3200と、青(B)用の画素3300とが並んで配置されている。
【0132】
各画素の受光センサ3100c,3200c,3300cに接続されたキャパシタに蓄積された電荷は、それぞれのバッファアンプ3100f,3200f,3300fで増幅され、読み出しスイッチ3100g,3200g,3300gがオンになるタイミングで、信号出力用電極を介してセンサ読み出し用Hドライバ2500へ供給される。
なお、各信号出力用電極には定電流源4100a,4100b,4100cがそれぞれ接続され、センサ読み出し用Hドライバ2500で感度良く受光量に対応した信号が検出される。
【0133】
次に、表示撮像装置の動作について詳細に説明する。
【0134】
まず、この表示撮像装置の基本動作、すなわち画像の表示動作および物体の撮像動作について説明する。
【0135】
この表示撮像装置では、アプリケーションプログラム実行部1100から供給される表示データに基づいて、表示用ドライブ回路1200において表示用の駆動信号が生成され、この駆動信号により、I/Oディスプレイ2000に対して線順次表示駆動がなされ、画像が表示される。
また、このときバックライト1500も表示ドライブ回路1200によって駆動され、I/Oディスプレイ2000と同期した点灯・消灯動作がなされる。
【0136】
ここで、図40に関連付けて、バックライト1500のオン・オフ状態とI/Oディスプレイパネル2000の表示状態との関係について説明する。
【0137】
まず、たとえば1/60秒のフレーム周期で画像表示がなされている場合、各フレーム期間の前半期間(1/120秒間)にバックライト1500が消灯し(オフ状態となり)、表示が行われない。一方、各フレーム期間の後半期間には、バックライト1500が点灯し(オン状態となり)、各画素に表示信号が供給され、そのフレーム期間の画像が表示されるようになっている。
【0138】
このように、各フレーム期間の前半期間は、I/Oディスプレイパネル2000から表示光が出射されない無光期間である一方、各フレーム期間の後半期間は、I/Oディスプレイパネル2000から表示光が出射される有光期間となっている。
【0139】
ここで、I/Oディスプレイパネル2000に接触または近接する物体(たとえば、指先など)がある場合、受光ドライブ回路1300による線順次受光駆動により、このI/Oディスプレイパネル2000における各画素の受光素子においてその物体が撮像され、各受光素子からの受光信号が受光ドライブ回路1300へ供給される。受光ドライブ回路1300では、1フレーム分の画素の受光信号が蓄積され、撮像画像として画像処理部14へ出力される。
【0140】
そして画像処理部1400では、この撮像画像に基づいて、以下説明する所定の画像処理(演算処理)を行い、I/Oディスプレイ2000に接触または近接する物体に関する情報(位置座標データ、物体の形状や大きさに関するデータなど)が検出される。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】光センサの素子特性を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の液晶表示装置における有効画素領域の構成例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る光検出部の構成例を示す回路図である。
【図5】第1の光センサ部および第2の光センサ部のフォトセンサ(受光素子)をTFTにより形成した構造例を示す断面図である。
【図6】R色フィルタ、G色フィルタ、およびB色フィルタの各カラーフィルタの可視領域と赤外領域の吸収スペクトルを示す図である。
【図7】赤外フィルタの第1の構成例を示す図である。
【図8】図7の赤外フィルタの分光特性を示す図である。
【図9】図7のフィルタの製造プロセスを示す図である。
【図10】赤外フィルタの第2の構成例を示す図である。
【図11】図10の赤外フィルタの分光特性を示す図である。
【図12】図10のフィルタの製造プロセスを示す図である。
【図13】赤外フィルタの第1の構成例を示す図である。
【図14】図13の赤外フィルタの分光特性を示す図である。
【図15】図13のフィルタの製造プロセスを示す図である。
【図16】赤外フィルタの第1の構成例を示す図である。
【図17】図16の赤外フィルタの分光特性を示す図である。
【図18】図16のフィルタの製造プロセスを示す図である。
【図19】第1〜第4の構成例の赤外フィルタを有する第2の光センサ部の赤外感度特性の一例を示す図である。
【図20】第2の光センサ部のG色フィルタとR色フィルタの2色のカラーフィルタを積層した赤外フィルタと第1の光センサ部の第1の構成例を示す図である。
【図21】第2の光センサ部のG色フィルタとR色フィルタの2色のカラーフィルタを積層した赤外フィルタと第1の光センサ部の第2の構成例を示す図である。
【図22】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図23】図22の液晶表示装置における有効表示領域部の構成例を示す図である。
【図24】本第2の実施形態に係る第1の光センサ部(第2の光センサ部)の基本構成例を示す回路図である。
【図25】本実施形態に係る第1の光センサ部の簡略断面図である。
【図26】本実施形態に係る第2の光センサ部の簡略断面図である。
【図27】本実施形態に係る第1の光センサ部と第2の光センサ部の配置の他の例を示す図である。
【図28】バックライトの反射光の検出システムを模式的に示す図である。
【図29】本実施形態に係る第1の光センサ部と第2の光センサ部の出力信号の差分信号処理によりノイズの除去できる理由を説明するための図である。
【図30】フラット型のモジュール形状の例を示す模式図である。
【図31】本実施形態が適用されるテレビを示す斜視図である。
【図32】本実施形態が適用されるデジタルカメラを示す斜視図である。
【図33】本実施形態が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図34】本実施形態が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。
【図35】本実施形態が適用される携帯端末装置、たとえば携帯電話機を示す図である。
【図36】本発明の実施形態に係る表示撮像装置の構成を表すブロック図である。
【図37】図36に示したI/Oディスプレイパネルの構成例を表すブロック図である。
【図38】各画素の構成例を表す回路図である。
【図39】各画素とセンサ読み出し用Hドライバとの接続関係を説明するための回路図である。
【図40】バックライトのオン・オフ状態と表示状態との関係について説明するためのタイミング図である。
【符号の説明】
【0142】
1,1A・・・液晶表示装置、2,2A,2B・・・有効表示領域部、3,3A・・・光検出部、4・・・垂直駆動回路(VDRV)、5・・・水平駆動回路(HDRV)、6,6A・・・信号処理回路(SPRC)、11・・・受光信号線、10・・・受光制御回路(RCTL)、12・・・第1の制御線、13・・・第2の制御線、21・・・表示セル、31・・・第1の光センサ部、32・・第2の光センサ部、311,321・・・受光素子(フォトセンサ)、BMSK、BMSK3・・・ブラックマスク(遮光マスク)、BMSK311,BMSK321・・・開口部、FLT321,FLT321−1〜FLT321−5・・・赤外フィルタ、350・・・読み出し回路、351・・・リセットTFT、352・・・増幅TFT、353・・・選択(読み出し)TFT、354・・・受光信号蓄積容量(キャパシタ)、ND351・・・ノード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子を含み、表示領域における外光の強度を検出する第1の光センサ部と、
受光素子を含み、当該受光素子への光路に赤外フィルタが配置された第2の光センサ部と、
上記第1の光センサ部の検出信号と上記第2の光センサ部の検出信号との差分処理を行う信号処理部と、を有し、
上記赤外フィルタは、
少なくとも2種類のカラーフィルタを積層して形成されている
表示装置。
【請求項2】
上記赤外フィルタは、
色の三原色である赤(R),緑(G),青(B)のカラーフィルタのうち、赤用カラーフィルタと青用カラーフィルタの2層、赤用カラーフィルタと緑用カラーフィルタの2層、赤用カラーフィルタと緑用カラーフィルタと青用カラーフィルタの3層のうちのいずれかの積層構造を有する
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
上記第1の光センサ部は、
遮光マスクに、上記受光素子に光を導く開口部が形成され、
上記第2の光センサ部は、
遮光マスクに、上記受光素子に光を導く開口部が形成され、当該開口部に上記赤外フィルタが形成されている
請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
上記第1の光センサ部の開口部に、一つのカラーフィルタが形成されている
請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
上記表示部は表面輝度が変更可能であり、
上記信号処理部は、
上記差分信号処理結果に応じて上記表示部の表面輝度を変化させる
請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
表示光を上記表示部に照射するバックライトを有し、
上記信号処理部は、
上記バックライトによる表示光のレベルを制御する
請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
上記第1の光センサ部は、
物体からの反射光を検出可能であり、
上記信号処理部は、
上記第1の光センサ部の検出信号と上記第2の光センサ部の検出信号との差分処理結果により上記第1の光センサ部に物体があるか否かを示す信号を出力する
請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
表示光を上記表示部に照射するバックライトを有する
請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
有効表示領域部に、
複数の上記表示セルがマトリクス状に配列され、
上記表示セルのマトリクス配列に混在して、上記第1の光センサ部および上記第2の光センサ部のうち少なくとも上記第1の光センサ部が配列されている
請求項1記載の表示装置。
【請求項10】
複数の上記第1の光センサ部が、
各表示セルに隣接してそれぞれ配列されている
請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
上記有効表示領域部は、
上記バックライトに対向して配置され、セル回路および受光素子が形成される第1透明基板と、
上記第2透明基板と対向して配置される第2透明基板と、
上記第1透明基板および上記第2透明基板間に配置された液晶層と、
上記第1の光センサ部および第2の光センサ部に形成されて光を遮蔽するめの遮光マスクと、を有し、
上記第1の光センサ部および第2の光センサ部の遮光マスクには、光を受光素子に導くための開口部が形成され、
上記第2の光センサ部の開口部に上記赤外センサが形成されている
請求項9記載の表示装置。
【請求項12】
上記第1の光センサ部の開口部に、一つのカラーフィルタが形成されている
請求項11記載の表示装置。
【請求項13】
表示装置を有する電子機器であって、
上記表示装置は、
受光素子を含み、表示領域における外光の強度を検出する第1の光センサ部と、
受光素子を含み、当該受光素子への光路に赤外フィルタが配置された第2の光センサ部と、
上記第1の光センサ部の検出信号と上記第2の光センサ部の検出信号との差分処理を行う信号処理部と、を有し、
上記赤外フィルタは、
少なくとも2種類のカラーフィルタを積層して形成されている
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2009−128686(P2009−128686A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304341(P2007−304341)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】