説明

表示装置及び表示装置の製造方法

【課題】光源である有機ELユニットと液晶表示ユニットとの距離を短くて、ほぼ均一にする表示装置及び表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】発光ユニット(有機ELユニット)20と、前記発光ユニット20に密着して形成され、前記発光ユニット20から照射された光を受光すると電気的な抵抗値が低下する光導電層52を備えた記憶性表示ユニット(液晶表示ユニット)10と、から構成されることによって、高表示階調を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書き込み画像を記憶する表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2には、光書き込み型の電子ペーパが開示されている。
これらの文献に開示された電子ペーパは、光照射部からの書き込み光を書込面に受光し、書き込み光による画像を記憶し、記憶した画像を表示面に表示する。
光照射部としては、高密度面発光性及び高速応答性という特徴から、有機EL素子が有効である。
【0003】
【特許文献1】特開2000−111942号公報
【特許文献2】特開2006−259332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1と特許文献2に開示された構成では、図16(b)に示すように、電子ペーパと光照射部との間に間隙45が存在する。このため、電子ペーパに入力される画像がぼけてしまい、電子ペーパの表示画像もぼけてしまうという問題がある。
【0005】
具体的に説明すると、図15(a)に示すように、光照射部を構成する有機EL素子23の発光層38と光導電層52との距離110aが離れている場合には、隣接する有機EL素子23が光導電層52へ発光するEL光の受光エネルギー112が重なるため、解像度が低くなる。
【0006】
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、高解像度の画像を書き込み表示することが可能な表示装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る表示装置は、
発光ユニットと、
前記発光ユニットに密着して形成され、前記発光ユニットから照射された光を受光すると電気的な抵抗値が低下する光導電層を備えた記憶性表示ユニットと、から構成されることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記発光ユニットは、
基板と、
前記基板上に形成された第1電極層と、
前記第1電極層上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成され、前記第1電極層と対向して形成された複数の第2電極層と、
前記発光ユニットを覆い、前記発光ユニットの凹凸を平坦化する透明平坦化層と、を備えることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記記憶性表示ユニットは、
前記透明平坦化層の上に形成された、第3電極層と、
前記第3電極層の上に形成された前記光導電層上に配置され、印加電圧の強さに応じて配向状態が変化し前記光を透過及び/又は反射し、電圧の印加が終わった後も変化後の配向状態を保持する液晶層と、
前記液晶層の上に配置され、前記第3電極層と対向して形成された第4電極層と、を備えることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記発光ユニットの前記第2電極層と前記記憶性表示ユニットの前記第3電極層との間の前記透明平坦化層の厚みは、0.05〜200μmである、ことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記記憶性表示ユニットは、
前記発光ユニットの第2電極層の上に形成された光導電層と、
前記光導電層上に配置された液晶層と、
前記液晶層の上に配置され、前記第2電極層と対向し、前記第2電極層と共に前記光導電層を介して前記液晶層に電圧を印加する第3電極層と、を備えることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記発光ユニットと前記記憶性表示ユニットとは、それぞれ複数の画素を備え、
前記発光ユニットの画素は、前記記憶性表示ユニットの画素の色に応じて異なる強度を基準として自発光する、ことを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記発光ユニットと前記記憶性表示ユニットとは、それぞれ複数の画素を備え、
前記記憶性表示ユニットは、前記発光ユニットから照射された光を受光して、受光した表示画像を記憶する際に、画素の色に応じて異なる電圧を印加する、ことを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る表示装置の製造方法は、
発光ユニットを形成する発光ユニット形成工程と、
前記発光ユニットに密着して形成され、前記発光ユニットから照射された光を受光すると電気的な抵抗値が低下する光導電層を備えた記憶性表示ユニットを形成する記憶性表示ユニット形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記発光ユニット形成工程は、
基板上に第1電極層を形成する工程と、
前記第1電極層上に有機エレクトロルミネッセンス層を形成する工程と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層上に、前記第1電極層と対向した複数の第2電極層を形成する工程と、
前記発光ユニットを覆い、前記発光ユニットの凹凸を平坦化する透明平坦化層を形成する透明平坦化層形成工程と、
で構成される、前記発光ユニットを形成する、ことを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記記憶性表示ユニット形成工程は、
前記透明平坦化層の上に、第3電極層を形成する工程と、
前記第3電極層の上に形成された前記光導電層上に配置され、印加電圧の強さに応じて配向状態が変化し前記光を透過及び/又は反射し、電圧の印加が終わった後も変化後の配向状態を保持する液晶層を形成する工程と、
前記液晶層の上に配置され、前記第3電極層と対向した第4電極層を形成する工程と、
で構成される、前記記憶性表示ユニットを形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、発光ユニットと記憶性表示ユニットとの距離を短く、ほぼ均一にすることができ、高表示階調を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る表示装置及び表示装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
本実施形態の表示装置100(電子ペーパ)は、図1(a)に示すように、メモリ性を有するコレスティック液晶等を有する液晶表示ユニット(記憶性表示ユニット)10と、書き込み光を発光する有機ELユニット(発光ユニット)20とが透明平坦化層41を介して積層された構造を有し、液晶表示ユニット10と有機ELユニット20との間の距離が透明平坦化層41の厚さのみであるという特徴を有する。また、表示装置100の1画素は、図1(b)に示すように、有機ELユニット20の画素30の上に液晶表示ユニット10の画素50を積層した構造を有している。
【0020】
以下、液晶表示ユニット10と有機ELユニット20とを順に説明する。
まず、有機ELユニット20は、図2に示すように、行列状に配列された画素30と、行毎に配置され、対応する行の複数の画素30に駆動電圧を印加するアノードラインLaと、列毎に配置され、対応する列の複数の画素30に接地電圧Vssを印加するカソードラインLcと、列毎に配置され、対応する列の画素30にデータ電圧(階調信号)Vpixを印加するデータラインLdと、行毎に配置され、対応する行の画素30を選択状態に設定するための走査ラインLsと、を備える。
【0021】
各有機ELユニット20の画素30は、図3に示すように、ダイオードで表される有機EL素子23と、有機EL素子23をアクティブ動作する画素駆動回路2とを備える。画素駆動回路2は、トランジスタ(選択トランジスタ)Tr21と、トランジスタ(発光駆動トランジスタ)Tr22と、キャパシタCsと、を備える。トランジスタTr21及びトランジスタTr22は、例えば、nチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタから構成される。これに限らず、少なくとも一方がpチャネル型でもよく、ポリシリコン薄膜トランジスタであってもよい。
【0022】
走査ラインLsは、有機ELユニット20の周縁部に配置された走査ドライバ(図示せず)に接続されており、所定タイミングで有機ELユニット20の行方向に配列された複数の表示画素を選択状態に設定するための選択電圧信号(走査信号)Sselが印加される。また、データラインLdは、有機ELユニット20の周縁部に配置されたデータドライバ(図示せず)に接続され、上記表示画素の選択状態に同期するタイミングで表示データに応じたデータ電圧(階調信号)Vpixが印加される。走査ドライバ及びデータドライバは別個のICチップであってもよく、同一のICチップでもよい。
【0023】
各行に配列された複数のトランジスタTr22を、当該トランジスタTr22に接続された有機EL素子23のアノード電極に表示データに応じた発光駆動電流を流す状態に設定するように、複数のアノードラインLaは、いずれも所定の高電位電源に直接又は間接的に接続されている。つまり、アノードラインLaには、有機EL素子23のカソード電極に印加される基準電圧Vssより十分電位の高い所定の高電位が印加される。また、複数のカソードラインLcは、例えば、所定の低電位電源に直接又は間接的に接続され、絶縁性基板上に2次元配列された全ての表示画素に、単一の電極層により形成されたカソード電極を介して、所定の低電圧(基準電圧Vss、例えば接地電位GND)を共通に印加する。
【0024】
すなわち、各画素駆動回路2は、対応する画素30において、直列に接続されたトランジスタTr22の電流路と有機EL素子23の組の両端(トランジスタTr22のドレイン端子と有機EL素子23のカソード端子)に、それぞれ供給電圧Vddと基準電圧Vssを印加して有機EL素子23に順バイアスを付与して有機EL素子23が発光できる状態にし、更に階調信号Vpixに応じて流れる発光駆動電流の電流値を画素駆動回路2により制御している。
【0025】
本実施形態では、有機ELユニット20は、図4及び図5に示すように、有機EL層で発光した光を絶縁性基板を介して視野側(絶縁性基板の他面側)に出射するトップエミッション型の発光構造を有するパネルで構成される。
【0026】
画素基板31は、絶縁性と可撓性とを備える材料から形成され、例えばポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂又はポリイミド樹脂等のフィルムから構成される。
画素基板31上には、ゲート電極21gと、ゲート電極22g兼キャパシタCsの片側電極と、データラインLdとを形成する。
キャパシタCsの片側電極は、上層に画素電極34を形成する長方形の区域に形成され、これと接続するゲート電極22gは、画素電極34を形成する長方形区域の右辺に沿った、右辺より短い長方形区域に形成される。ゲート電極21gは、画素電極34を形成する長方形区域の右上角から離れ、角付近を囲む区域に形成される。データラインLdは、画素電極34を形成する長方形区域の左辺から離れ、画素電極34の行方向に延びた区域に形成される。
【0027】
絶縁膜32は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から構成されており、ゲート電極22gと、キャパシタCsと、データラインLdとを覆うように画素基板31の上全面に形成される。また、絶縁膜32はゲート電極22gが形成された区域においてトランジスタTr21及びTr22のゲート絶縁膜として機能する。
【0028】
トランジスタTr21、Tr22は、それぞれnチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Tranaiator)である。トランジスタTr21、Tr22は、それぞれ画素基板31上に形成される。図5に示すように、トランジスタTr22は半導体層27と、ソース電極22sと、ドレイン電極22dと、n+オーミックコンタクト層24、25と、ゲート電極22gと、保護膜26と、を備える。トランジスタTr22のソース電極22sは画素電極34に接続される。なお、トランジスタTr21は、トランジスタTr22と同様の構成を備える。
【0029】
トランジスタTr22において、ゲート電極22gは、例えば、アルミニウム−ネオジウム−チタン(AlNdTi)またはクロム(Cr)から形成される。また、ソース電極22s、ドレイン電極22dはそれぞれ例えばアルミニウム−チタン(AlTi)/Crの2層構造、AlNdTi/Crの2層構造またはCrから形成されている。また、それぞれのソース電極22s及びドレイン電極22dと半導体層27との間には低抵抗性接触のため、n+オーミックコンタクト層24、25が形成される。なお、アノードラインLaと走査ラインLsとは、ソース電極22s及びドレイン電極22dと同一に形成される。
【0030】
画素電極(アノード電極)34は、絶縁層32上に長方形状に形成され、下層としてAl等の光反射性金属層と、上層としてITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電層とが、積層構造となっており、上面から入射された光を反射する。画素電極34は、後述する画素領域に塗布される有機化合物含有液に対して親液性を有するように、プラズマ表面処理が施されている。また、各画素電極34は隣接する他の画素の画素電極34とは、層間絶縁膜35aと隔壁35bとメタルバンク39によって絶縁されている。
【0031】
層間絶縁膜35aは、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から構成され、トランジスタTr21、Tr22及び絶縁膜32を覆うように形成される。また、層間絶縁膜35aは、発光領域に対応する領域に開口35cが形成されているので、画素電極34の周縁を囲むようにマトリクス状に形成され、隣接する画素電極34、34間を絶縁する。さらに、層間絶縁膜35aは、発光層38が発する光がトランジスタTr21、Tr22に入り込み、誤動作することを防止する。
【0032】
隔壁35bは、層間絶縁膜35a上で列方向に沿って複数配列されている。隔壁35bは、アクリル系、ポリイミド系の樹脂等から形成されており、層間絶縁膜35aより幅狭である。また、隔壁35b上に列方向に沿って複数のメタルバンク39(カソードラインLc)が形成されている。詳細に後述するように隔壁35bはカソードラインLcをマスクとしてドライエッチングによって形成される。このため、隔壁35bはカソードラインLcと面一に形成される。また、隔壁35bの表面は、酸素プラズマ、紫外線オゾン等によるエッチングによって形成され、この際隔壁35bの表面は親水化される。
【0033】
正孔注入層36は、画素電極34上に形成され、発光層38に正孔を供給する。正孔注入層36は正孔(ホール)注入、輸送が可能な有機高分子系の材料から構成される。また、本実施形態では有機高分子系のホール注入・輸送材料を含む有機化合物含有液として、導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)とを水系溶媒に分散させた分散液であるPEDOT/PSS水溶液を用いている。
【0034】
インターレイヤ37は、正孔注入層36上に形成される。インターレイヤ37は、正孔注入層36の正孔注入性を抑制して発光層38内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層38の発光効率を高めるために設けられている。
【0035】
発光層38は、インターレイヤ37上に形成されている。発光層38は、画素電極34とカソード電極40との間に所定の電圧を印加することにより光を発生する機能を有する。発光層38は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)をノズルコート法やインクジェット法等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0036】
対向電極(カソード電極)40は、導電材料、例えばMg、Li、Ba、Ca等から形成される。本実施形態では、対向電極40はメタルバンク39とGNDとに接続されている。なお、本実施形態は対向電極40側、つまり図5における上側から光を取り出す構成であるため、対向電極40は所定程度の透光性を備える材料、及び/又は厚みに形成される。
【0037】
メタルバンク39は、表面に酸化膜が形成されにくい金、銀、銅、又はそれらを主成分とする合金から構成され、隔壁35b上に形成される。また、メタルバンク39は正孔注入層36、発光層38等を形成する際に、画素内膜厚を均一に形成するため、隣接する画素間で混色が生じないようにするための隔壁(バンク)として機能するとともに、図3に示すカソードラインLc(39、40)としても機能する。このようにカソードラインLcを膜厚に形成し低抵抗にすることにより、配線信号の遅延を防止することができる。さらに、メタルバンク39は、発光層38が発する光を反射して発光層38の上部方向に光を集中させ明るくし、メタルバンク39の上部方向を暗くするので、画素間の明暗をはっきりさせることができる。
【0038】
対向電極(カソード電極)40まで、形成した有機ELユニット20の画素30の上全面に透明平坦化層41を形成する。本発明の実施形態では、有機ELユニット20の画素30の透明平坦化層41が液晶表示ユニット10の画素50の透明基板と兼用するので、液晶表示ユニット10と有機ELユニット20との間の距離が透明平坦化層41の厚さのみとなる。透明平坦化層41についての詳細は後述する。
【0039】
次に、有機ELユニット20の透明平坦化層41上に形成される液晶表示ユニット10について述べる。
液晶表示ユニット10は、図6に示すように、ブラックマスク62によって行列状に区分けされた複数の液晶表示ユニット10の画素50を2次元配列したパネルである。液晶表示ユニット10には、光書き込み時にパルス電圧を印加する書き込み回路(図示せず)が接続されている。
【0040】
本実施形態の液晶表示ユニット10で用いるコレスティック液晶は、配向状態により任意の波長光を反射する性質があり、この配向状態は制御することができる。
図7に示す、両透明電極51、59間にパルス状のバイアス電圧を印加しながら、パターン光を数100ms程度、光導電層52に照射すると、光が当たった場所のインピーダンスが低下し、光導電層52の上部にある液晶に強い電界が加わる。強い電界により液晶の配向状態が外光を反射する状態になり、電圧の印加を止めた後も、液晶は外光を反射する配向状態を保持する。光が当たらない場所は、光導電層52のインピーダンスが高いままなので、液晶層側に弱い電界しか加わらない。弱い電界によって液晶の状態は光を透過する配向状態になり、電圧の印加を止めた後も、液晶は外光を透過する配向状態を保持する。この反射と透過との配向状態の差により、画像を形成する。画像は何度でも書換が可能であり、無電源で半永久的に保持することもできる。
【0041】
液晶表示ユニット10の画素50は、メモリ性を有するコレスティック液晶層57の配向状態を変化させるための機能を備える。画素50は、一対の下部透明電極51、上部透明電極59と、一対の配向膜54、58と、コレスティック液晶層57と、光を受けるとインピーダンスが低下する光導電層52と、光吸収層53と、透明平坦化層41と、透明画素基板60と、ブラックマスク62とを備える。
【0042】
透明平坦化層41は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等から構成されており、カソード電極40を覆うように有機ELユニット20の画素30の上に形成される。透明平坦化層41は、透湿性能を考慮して0.05μm以上の厚さで、かつ発光層38と光導電層52の距離、上部の対向基板厚を考慮すると200μm以下に形成される。好ましくは、透明平坦化層41を100μm程度の厚さに形成される。透明平坦化層41が、メタルバンク39よりも十分な厚みがある場合には、上記の形成法によりその基板平面は、ほぼ平坦に形成される。十分な厚みが無い場合でも、透明平坦化層41は、カソード電極40上に平坦化して形成することが好ましい。平坦化することにより、上部に密着する光導電層52との距離をほぼ均一することができ、書き込み時の表示ムラを防止しやすくなる。
【0043】
下部透明電極51は、透明平坦化層41の上に全域ITO等の透明電極層として形成される。また、上部透明電極59は、上部の透明画素基板60上にITO等で形成される。
【0044】
光導電層52は、光の照射(有機EL素子23からの書き込み光)によって、インピーダンスが変化する有機感光体(OPC、Organic Photoconductor)等で形成される。光導電層52の電荷発生素材は、有機EL素子23が発光する光を効率よく吸収するために、吸収する光の色と補色の色が好適である。例えば、発光色が青、緑、赤である場合には、電荷発生素材の色は、発光色の補色である黄色、赤紫色、青緑色になる。また、発光色が赤の場合には、長波長領域に極大感度を持つ亜鉛フタロシアニン(ZnPc)等、緑の場合は、中長波領域に極大感度を持つローダミン6G(R6G)等、青の場合には、短長波領域に極大感度を持つクマリン6(C6)等が好適である。なお、電荷発生素材は、吸収する発光色以外の色を透過する性質を有するものがあり、上記の素材は、その性質を有する。
【0045】
光吸収層53は、可視領域の波長の光を全て吸収する層が好ましく、絶縁性樹脂に挟まれたカーボンブラック粒子等の顔料を用いることができる。コレスティック液晶層57で反射されない光を吸収することにより、表示/非表示を表すことができる。なお、コレスティック液晶以外の液晶で、透過/非透過を制御できる液晶を用いる場合には、光吸収層53の代わりに、外光を反射する反射層を設ける。
【0046】
配向膜54、58は、液晶分子群を一定方向に配列させるための細かい溝がある薄い膜であり、ポリイミド等を塗布した膜にラビリング処理やイオンビーム処理等をして形成される。配向膜54と、配向膜58とでは、溝の方向が異なっており、液晶分子の配列を90度若しくは270度捻る。
【0047】
ブラックマスク62は、隣接する非画素部からの光漏れによる表示コントラスト低下を防ぐための格子状薄膜である。例えば、表面に黒色インクをオフセット印刷し加熱処理を施して形成される。
【0048】
スペーサ(図示せず)は、液晶を挟む上下の基板の所定の厚さの隙間を確保し、配向膜54、58上に散布される。なお、スペーサが塊になり表示ムラ等により画質低下が生じるおそれがある場合には、スペーサを散布する代わりに上下の両基板のいずれかに数μmの柱を立ててスペーサの代用にしてもよい。また、ブラックマスク62を形成する際に、黒色インクにスペーサを混ぜてもよい。
【0049】
図1に示す、シール材56は、例えば熱や紫外線で硬化する樹脂等で形成され、上下の両基板を接着し、液晶分子が流出することを防止し、水分や空気が侵入することを防止する。
【0050】
透明画素基板60は、絶縁性と可撓性とを備える材料から形成され、例えばポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂又はポリイミド樹脂等のフィルムから構成される。
【0051】
次に、本発明の実施形態に係る表示装置100の製造方法について、有機ELユニット20と液晶表示ユニット10とに分けて、図8乃至図11を用いて説明する。
【0052】
有機ELユニット20を、画素基板31の上に形成する工程について説明する。
図8(a)に示すように、画素基板31として、絶縁性と可撓性とを備える材料から形成され、例えばポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂又はポリイミド樹脂等のフィルムを用意する。
【0053】
画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により金属膜を形成し、これをゲート電極21gと、ゲート電極22g兼キャパシタCsの片側電極と、データラインLdと、の形状にパターニングする。
その形状は、図4に示すように、キャパシタCsの片側電極は、上層に画素電極34を形成する長方形の区域に形成され、これと接続するゲート電極22gは、画素電極34を形成する長方形区域の右辺に沿った、右辺より短い長方形区域に形成される。ゲート電極21gは、画素電極34を形成する長方形区域の右上角から離れ、角付近を囲む区域に形成される。データラインLdは、画素電極34を形成する長方形区域の左辺から離れ、画素電極34の行方向に延びた区域に形成される。
【0054】
図8(a)に戻り、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極21g、22g、データラインLd、キャパシタCsの片側電極の上全面に絶縁膜32を形成する。絶縁膜32上で、ゲート電極21g、22gを形成した区域の上層でゲート電極21g、22gよりも広く細長い長方形区域にアモルファスシリコン等からなる半導体層27を形成する。続いて、半導体層27の上面に、半導体層27区域よりも狭く細長い長方形区域に酸化シリコン等からなる保護膜26を形成する。
【0055】
半導体層27上に保護膜26の両側から一部が保護膜26の上を覆う区域まで、保護膜26が開口するように、アモルファスシリコンにn型不純物が含まれたn+オーミックコンタクト層24、25を形成する。
【0056】
トランジスタTr21、Tr22を形成する部分をn+オーミックコンタクト層24、25と保護膜26との上をマスクした後、スパッタ法、蒸着法等により、絶縁膜32上に画素電極34を形成する。画素電極34は、図4に示すように、有機ELユニット20の画素30を形成する区域であり、キャパシタCsの片側電極を形成した区域の上層に形成する。
【0057】
n+オーミックコンタクト層24、25と保護膜26とを覆うマスクを取り除き、スパッタ法、真空蒸着法等により、ソース電極21s、22sと、ドレイン電極21d、22dと、アノードラインLaと走査ラインLsとを形成する。
アノードラインLaは、画素電極34長方形区域の下辺を離れ、横方向に延びる直線状の区域に形成される。
走査ラインLsは、画素電極34長方形区域の上辺を離れ、横方向に延びる直線状の区域に形成される。
ドレイン電極22dは、右側は半導体層27よりも右側に広く、左側はn+オーミックコンタクト層25を覆う範囲までで、上下に延びる長方形の区域と、画素電極34の右辺を離れて横方向に延びるアノードラインLaと接続するまでの区域に形成される。
ソース電極22sは、左側は画素電極34の右辺を覆い、右側はn+オーミックコンタクト層24を覆う範囲までで、画素電極34の長辺より短く、上下に延びる長方形の区域に形成される。
ソース電極21sは、半導体層27の上側を覆い、ゲート電極21gの上層に形成されるn+オーミックコンタクト層を覆う区域に形成される。
ドレイン電極21dは、ゲート電極21gの保護膜を挟んで、ソース電極21sと対向し、且つ画素電極34を形成の上辺を離れ、左右に延びる区域に形成される。
【0058】
図8(a)に戻り、トランジスタTr21、Tr22等を覆うように層間絶縁膜35aをCVD法等により形成する。次にフォトリソグラフィ、エッチング等によって層間絶縁膜35aに開口35cを形成する。この開口35cを介して画素電極34が露出し、この開口35cを介して露出する領域が発光領域となる。
【0059】
次に、図8(b)に示すように、アクリル系、ポリイミド系等の樹脂層81を画素電極34及び層間絶縁膜35aを覆うように形成する。樹脂層81は、塗布型の熱硬化性材料を用い、スピンコートやダイコート等の方法で成膜した後、熱硬化を行う。塗布する材料は非感光性の材料で良く、また誘電率の低い材料を選択することが望ましく、フッ素系樹脂が好適である。また、硬化した樹脂層81の厚みは、層間絶縁膜35aの十倍以上の厚さであることが好ましく、0.5μm〜3μm程度でよい。
【0060】
図9(a)に示すように、樹脂層81の上に金属層82をスパッタや真空蒸着等の方法で全面に成膜する。金属層82は、金、銀、銅、又はそれらを主成分とする合金を用いて形成するのが好適である。金属層82の厚みは0.2〜0.3μm以上あればよい。なお、金属層82の成膜前に酸素プラズマ、あるいはアルゴンプラズマ等の表面処理を行い、金属層82と樹脂層81との密着性を向上させても良い。
【0061】
図9(b)に示すように、金属層82を所望の隔壁形状にパターニングしてメタルバンク39を形成する。具体的には金属層82上に、フォトレジストによるマスクを形成した後、ウエットエッチングをする。金属層82として、銅や銅合金を用いる場合には、第二塩化鉄系等のエッチング液を用い、金の場合にはヨウ素系のエッチング液を用いて、金属層82のエッチングを行いメタルバンク39を形成する。
【0062】
次に、図10(a)のように、メタルバンク39をマスクとして、下層の樹脂層81を酸素プラズマによりドライエッチングし、隔壁35bを形成する。ドライエッチングによって形成することにより、隔壁35bとメタルバンク39とを同形状にパターニングすることが可能となる。
【0063】
樹脂層81(隔壁35b)のドライエッチングが完了した時点で、画素基板31表面を超純水超音波洗浄等の受入線上を行う。乾燥後、酸素プラズマ処理若しくは紫外線オゾン処理等により画素基板31表面全体の親水化を行う。
【0064】
次に、フッ素系トリアジンチオール誘導体の溶液等を用いて、金属層の撥液化処理を行う。まず、画素基板31を酸系の水溶液に浸漬することによりメタルバンク39表面をソフトエッチングし、表面に付着している酸化物等の不純物を除去する。次に、画素基板31を水洗及び乾燥する。
【0065】
続いて、画素基板31をフッ素系トリアジンジチオール誘導体水溶液に浸す。画素基板31を取り出し、アルコールで濯ぐことにより、余分なフッ素系トリアジンジチオール誘導体を洗い流す。更に画素基板を更に水で2次洗浄した後、窒素ブローで乾燥させる。
【0066】
なお、フッ素系トリアジンジチオールのチオール基のHが外れ、チオール基はメタルバンク39の表面の金属と結合する。従って、フッ素系トリアジンチオールは、表面が金属であるメタルバンク39のみに選択的に結合され、金属酸化物である画素電極34、非金属である層間絶縁膜35a及び隔壁35bとは撥液性を十分に発現するほど結合しないため、メタルバンク39のみが選択的にフッ素系トリアジンチオールによって撥液化される。
【0067】
メタルバンク39の撥液処理後、図10(b)に示すように、正孔注入材料(導電性高分子であるPEDOT(poyl ethylenedioxy thiophene)及びドーパントとなるPSS(poly styrene sulfonic acid))を含有した含有液(以下、PEDOT含有液)を、インクジェット等の印刷方法で画素基板31に塗布する。
【0068】
次に、PEDOTの塗布後、180℃程度の温度にて画素基板31を乾燥させる。メタルバンク39の撥液性と隔壁35bの親液性とにより、PEDOT含有液が側面に引っ張られる形で乾燥するので、正孔注入層36は、均一に形成される。
【0069】
次に、赤、緑、青色等の発光材料(ポリフルオレン系)をテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン等の有機溶剤に溶かしたEL含有液を、インクジェット等の印刷方法により、正孔注入層36上にそれぞれ成膜する。発光材料を成膜後、窒素雰囲気中でのホットプレートによる加熱、あるいは真空中でのシーズヒータによる乾燥を行い、残留溶媒の除去を行い、発光層38を形成する。なお、隣接する画素間で異なる色の発光材料が使用されても、メタルバンク39が撥液性であるため、混色が防止できる。
【0070】
発光層38まで形成した画素基板に、真空蒸着やスパッタリングで1nm程度のCa、Ba等の低仕事関数の透明な電子注入金属層及び電子注入金属層を覆い、シート抵抗を低くする高仕事関数の透明なITO等の透明な対向電極40を形成する。
【0071】
対向電極40を形成した後、画素基板の一面側全域にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等からなる透明平坦化層41をCVD(Chemical Vapor Deposition)法等で形成する。透明平坦化層41は、透湿性能を考慮すると0.05μm以上の厚さで、かつ発光層38と光導電層52との距離を考慮すると200μm以下に形成する。好ましくは、透明平坦化層41を100μm程度の厚さに形成する。透明平坦化層41が、隔壁35bとメタルバンク39をあわせた厚さよりも十分な厚さがある場合には、上記の形成法によりその基板平面は、ほぼ平坦に形成される。好ましくは、透明平坦化層41は、対向電極40の上に基板平面を平坦化するように形成する。平坦化することにより、上部に密着する液晶表示ユニット10との距離を均一にしやすくなり、書き込み時の表示ムラを防止しやすくなる。上記工程で、有機ELユニット20が完成する。
【0072】
次に、液晶表示ユニット10の下層部を、図11(a)に示すように、有機ELユニット20の上に形成する。有機ELユニット20の透明平坦化層41の上部面に、全域ITO等からなる液晶表示ユニット10の下部透明電極51をCVD法等で形成する。
【0073】
液晶表示ユニット10の下部透明電極51を形成する際に、透明平坦化層41の形成に引き続き、インライン(大気開放せず)のままチャンバー内で下部透明電極51の形成を行ってもよい。単位時間当たりの生産性が向上すると伴に、大気開放せず真空状態を保ったまま形成するため、信頼性の向上が期待できる。
【0074】
次に、光導電層52を蒸着法(スパッタ法、CVD法等を含む)又は、ウェット法(スピンコート法、インクジェットプリント法、印刷法等を含む)によって、下部透明電極51の上部全面に形成する。光導電層52は、光の照射(有機ELからの書き込み光)によって、インピーダンスが変化する有機感光体(OPC、Organic Photoconductor)等で形成する。
【0075】
光導電層52の上部全面に、外光を吸収する光吸収層53を形成する。ポリアセタール、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリカーボーネート等のバインダーポリマーによってカーボンブラック粒子等の顔料を光導電層52の上に接着する。その際にバーコート法、スリットコート法、スピンコート法、ブレードコート法等の塗布方法を用いる。
【0076】
光吸収層53の上部全面に、図11(b)に示すように、液晶分子群を一定方向に配列させるための細かい溝がある薄い膜で構成された配向膜54を形成する。
【0077】
配向膜54の上部面に、図6に示すように、格子状に黒色インクをオフセット印刷し、加熱処理をして、ブラックマスク62を形成する。ブラックマスク62を形成した配向膜54の上に、基板の間隔を均一に維持するための材料であるスペーサを配向膜54の全面に散布する。なお、ブラックマスク62を形成する黒色インクにスペーサを混ぜてもよい。さらに、液晶表示ユニット10の周囲に液晶の流出防止及び外部からの水等の侵入を防止する土手をシール材56で形成する。
【0078】
液晶表示ユニット10の下層部とは別に、液晶表示ユニット10の上層部として、透明画素基板60の液晶面に、上部透明電極59を形成し、その上に配向膜58を形成する。配向膜58の溝の向きは、配向膜54の溝の向きと異なるように形成する。
【0079】
透明画素基板60に配向膜58まで形成した液晶表示ユニット10の上層部と、液晶表示ユニット10の下層部を形成した画素基板31とをシール材56で貼り合わせて集成体を作る。
【0080】
集成体にコレスティック液晶を注入してコレスティック液晶層57を形成する。例えば、真空を利用して液晶を吸引方法等がある。液晶注入後の集成体に紫外線を照射したり、熱を加えてシール材56を硬化させて、液晶表示ユニット10を形成する。なお、液晶表示ユニット10の上層部若しくは下層部のいずれか一方の層にスペーサ及びシール材56で土手を築き、土手を築いた層上にコレスティック液晶を注いでから他方の層を貼り合わせてもよい。
【0081】
表示装置100は、液晶表示ユニット10を有機ELユニット20の上部に連続して作成するので、発光層38と光導電層52との距離は、主に透明平坦化層41の厚さによって決まる。図16に示すように、単純に液晶表示ユニット10と有機ELユニット20とを貼り合わせた場合よりも、発光層38と光導電層52との距離を短くすることができる。透明平坦化層41の厚さを薄くすることで、発光層38と光導電層52との距離を短く、且つほぼ均一に保つことができる。表示装置100では、各有機EL発光素子23が発する光が光導電層52に当たる領域を狭く、ほぼ均一にすることができるので、高解像度で書き込みを行える。
【0082】
また、表示装置100は、液晶表示ユニット10を有機ELユニット20の上部に連続して作成するので、部材数を減らせるので、コストを削減でき、単位時間当たりの製造量を増やすことができる。さらに、大気曝露せずに表示素子を作成するため、光書き込み時に欠陥の原因となる異物の混入を防げることができ、歩留率、信頼性に優れている。
【0083】
なお、上記説明では、発光層38の下部の画素電極34をアノード電極、上部の対向電極40をカソード電極としているが、上部の対向電極40をアノード透明電極で、下部の画素電極34をカソード電極でもよい。なお、電極を逆に形成する場合には、正孔注入層36、インターレイヤ37、発光層38の形成順を逆にする。
【0084】
下部の画素電極34をアノード電極とする場合には、正孔の注入を効率よく行うため、仕事関数が大きい素材を用いる。ITO、IZO等の導電性金属酸化物を用いて形成することができる。その場合、下に反射率が高いメタル電極(アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブテン(Mo)、タングステン(W))等を形成しておくことが望ましい。
【0085】
下部の画素電極34をカソード電極とする場合には、仕事関数が小さい材料であるリチウム(Li)、ナトリウム(Na)カリウム(K)等のアルカリ金属、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属、マグネシウム(Mg)又はこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との化合物等を用いてもよい。
【0086】
上部の対向電極40をカソード透明電極とする場合には、電子を効率よく注入するために仕事関数が小さく、発光層38が発光する波長域において透明な電極を形成する必要である。有機ELと接する部分に、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)カリウム(K)等のアルカリ金属、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属、マグネシウム(Mg)又はこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との化合物等をEL光が透過する厚さで形成する。その上にITO、IZO等の透明電極を形成する。
【0087】
上部の対向電極40をアノード透明電極とする場合には、正孔注入効率を高めるために仕事関数の大きく、発光層38が発光する波長域において透明な電極を形成する必要である。ITO、IZO等の透明電極を形成する。
【0088】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、発光層38の上部の対向電極40(カソード電極)、透明平坦化層41、液晶表示ユニット10の下部透明電極51、光導電層52の順に形成した。第2の実施形態では、透明平坦化層41を形成せず、発光層38の上部の対向電極40(カソード電極)と液晶表示ユニット10の下部透明電極51とを共通層として構成する。
【0089】
図10(a)に示すように、対向電極40(カソード電極)形成までの工程を行い、有機EL素子23を完成させる。但し、隔壁35b、メタルバンク39の厚さをできるだけ薄く形成し、有機ELユニット20の画素30の発光面の凸凹を少なくする。
【0090】
図12に示すように、対向電極40の上に、真空蒸着法やスパッタリング法等で、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(In2O3-ZnO)等の下部透明電極51を形成する。その際に、対向電極40と下部透明電極51との厚さは、発光層38の発光が透過できる厚さ(50nm以下程度)に形成する。なお、対向電極40と下部透明電極51とは、同電位となるので、どちらか一方のみ形成して、他方の電極を形成しなくてもよい。
【0091】
以降の工程は、実施の形態と同様に、対向電極40と下部透明電極51とを兼用する層の上に光導電層52と、光吸収層53とを形成する。次に、配向膜54を形成するが、全面に溝を形成するのではなく、イオンビーム法等で、液晶表示画素の表示部分54aにのみ溝を設け、他の部分には、溝を設けなくてもよい。また、液晶表示ユニット10の下層部が平坦になるように、配向膜54の表示部分54aを厚く形成してもよい。配向膜54の上に格子状のブラックマスク62を形成する。ここまでの工程で液晶表示ユニット10の下層部を形成する。
【0092】
以降の工程は、基本的に実施の形態と同様に行うが、上部透明電極59、配向膜58を形成した透明画素基板60のほぼ平坦な面上にスペーサを散布し、シール材56を塗布して土手を築き、液晶表示ユニット10の上層部を形成する。この液晶表示ユニット10の上層部と液晶表示ユニット10の下層部とを密着させ、隙間にコレスティック液晶を注入して、封止する。
【0093】
表示装置100は、図13Aに示すように、発光層38と光導電層52とが密着した構成となる。図13Bに示す等価回路で表せるような構成になる。
【0094】
上記の工程で形成された表示装置100は、透明平坦化層41を形成しないので、発光層38と光導電層52との距離を短く、ほぼ均一に形成することができる。また、1つの電極層と、透明平坦化層41とを形成せずに表示装置100を作ることができるので、材料コストを削減でき、製造時間も短くすることができる。
【0095】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、モノカラーの表示装置100について説明したが、本願発明はカラー表示装置(カラー電子ペーパー)についても適用可能である。この場合、カラー表示の表示装置100は、例えば、図14に示すように、第3の実施形態では3つの有機ELユニット20の画素30と3つの液晶表示ユニット10の画素50とを1組として構成される。
【0096】
図14(a)に示すように、表示装置100の構成は、モノカラーの場合と同様であるが、3つの画素を1組として三原色であるR(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色を反射するようにする。光書き込み時に、各色ごとに発光層38の基準発光量を変えることにより、各液晶表示ユニット10の画素50に掛かる電圧を変えて、液晶の配向状態を色別に制御する。発光層38は、各色ごとの基準発光量を元に階調に応じて発光量を増減させて、有機ELユニット20の画素30が各色を反射する配向状態にする。
【0097】
図14(b)に示すように、例えば、液晶表示ユニット10の画素50を列ごとに同じ色を揃えることで、発光層38の基準発光量を制御しやすくしてもよい。
【0098】
例えばまた、図14(c)に示すように、発光層38の発光量の制御する代わりに、液晶表示ユニット10の画素50上部透明電極59、又は下部透明電極51を液晶表示ユニット10の画素50の列又行ごとに区切って形成する。各色の液晶表示ユニット10の画素50の列又は列ごとに各色に応じて異なるパルス電圧を印加して、液晶の配向状態を制御してもよい。
【0099】
表示装置100は、有機ELユニット20の画素30の発光層38の発光量の制御方法を変更したり、液晶表示ユニット10の画素50の上部透明電極59、又は下部透明電極51の構成及び印加電圧の制御方法の変更することで、高解像度のカラー表示が可能となる。
【0100】
なお、上述した実施形態では、画素駆動回路2が2個のトランジスタを有して構成されるものとしたが、一例を示したに過ぎず、3個以上のトランジスタT21、Tr22を有して構成されるものであってもよく、1個のトランジスタを有して構成されるものであってもよい。
【0101】
その他、前記のハードウエア構成や工程は一例であり、任意に変更及び修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る表示装置の断面図である。
【図2】表示装置の有機ELユニット部の構成例を示す平面図である。
【図3】有機ELユニット部の画素の等価回路図である。
【図4】有機ELユニット部の画素の配列を示す平面図である。
【図5】図4に示すIV−IV線断面図である。
【図6】表示装置の液晶表示ユニット部の構成例を示す平面図である。
【図7】液晶表示ユニット部の表示方法を示す概略図である。
【図8】表示装置の製造方法を示す図である。
【図9】表示装置の製造方法を示す図である。
【図10】表示装置の製造方法を示す図である。
【図11】表示装置の製造方法を示す図である。
【図12】第2の実施形態に係る表示装置の構成例を示す断面図である。
【図13A】表示装置の概略断面図である。
【図13B】表示装置の液晶部の概略断面と有機EL素子の等価回路の略図である。
【図14】第3の実施形態に係るカラー表示装置の構成例を示す図である。
【図15】有機EL層と光導電層の距離の関係を示す図である。
【図16】有機ELユニット部と液晶表示ユニット部とを貼り合わせた場合の例示図である。
【符号の説明】
【0103】
2・・・画素駆動回路、10・・・液晶表示ユニット(記憶性表示ユニット)、20・・・有機ELユニット(発光ユニット)、21g、22g・・・ゲート電極、21s、22s・・・ソース電極、21d、22d・・・ドレイン電極、23・・・有機EL素子、24、25・・・n+オーミックコンタクト層、26・・・保護膜、27・・・半導体層、30・・・有機ELユニットの画素、31・・・画素基板、32・・・絶縁膜、34・・・画素電極(アノード電極)、35a・・・層間絶縁膜、35b・・・隔壁、35c・・・開口、36・・・正孔注入層、37・・・インターレイヤ、38・・・発光層、39・・・メタルバンク、40・・・対向電極(カソード電極)、41・・・透明平坦化層、50・・・液晶表示ユニットの画素、51・・・下部透明電極、52・・・光導電層、52a・・・光到達領域、53・・・光吸収層、54、58・・・配向膜、54a・・・表示部分、56・・・シール材、57・・・コレスティック液晶層、59・・・上部透明電極、60・・・透明画素基板、62・・・ブラックマスク、81・・・樹脂層、82・・・金属層、100・・・表示装置、Tr21、Tr22・・・トランジスタ、Cs・・・キャパシタ、La・・・アノードライン、Lc・・・カソードライン、Ld・・・データライン、Ls・・・走査ライン、Ssel・・・選択電圧信号(走査信号)、Vpix・・・データ電圧(階調信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ユニットと、
前記発光ユニットに密着して形成され、前記発光ユニットから照射された光を受光すると電気的な抵抗値が低下する光導電層を備えた記憶性表示ユニットと、から構成されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記発光ユニットは、
基板と、
前記基板上に形成された第1電極層と、
前記第1電極層上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成され、前記第1電極層と対向して形成された複数の第2電極層と、
前記発光ユニットを覆い、前記発光ユニットの凹凸を平坦化する透明平坦化層と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記記憶性表示ユニットは、
前記透明平坦化層の上に形成された、第3電極層と、
前記第3電極層の上に形成された前記光導電層上に配置され、印加電圧の強さに応じて配向状態が変化し前記光を透過及び/又は反射し、電圧の印加が終わった後も変化後の配向状態を保持する液晶層と、
前記液晶層の上に配置され、前記第3電極層と対向して形成された第4電極層と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記発光ユニットの前記第2電極層と前記記憶性表示ユニットの前記第3電極層との間の前記透明平坦化層の厚みは、0.05〜200μmである、ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記記憶性表示ユニットは、
前記発光ユニットの第2電極層の上に形成された光導電層と、
前記光導電層上に配置された液晶層と、
前記液晶層の上に配置され、前記第2電極層と対向し、前記第2電極層と共に前記光導電層を介して前記液晶層に電圧を印加する第3電極層と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光ユニットと前記記憶性表示ユニットとは、それぞれ複数の画素を備え、
前記発光ユニットの画素は、前記記憶性表示ユニットの画素の色に応じて異なる強度を基準として自発光する、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光ユニットと前記記憶性表示ユニットとは、それぞれ複数の画素を備え、
前記記憶性表示ユニットは、前記発光ユニットから照射された光を受光して、受光した表示画像を記憶する際に、画素の色に応じて異なる電圧を印加する、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
発光ユニットを形成する発光ユニット形成工程と、
前記発光ユニットに密着して形成され、前記発光ユニットから照射された光を受光すると電気的な抵抗値が低下する光導電層を備えた記憶性表示ユニットを形成する記憶性表示ユニット形成工程と、を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記発光ユニット形成工程は、
基板上に第1電極層を形成する工程と、
前記第1電極層上に有機エレクトロルミネッセンス層を形成する工程と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層上に、前記第1電極層と対向した複数の第2電極層を形成する工程と、
前記発光ユニットを覆い、前記発光ユニットの凹凸を平坦化する透明平坦化層を形成する透明平坦化層形成工程と、
で構成される、前記発光ユニットを形成する、ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記記憶性表示ユニット形成工程は、
前記透明平坦化層の上に、第3電極層を形成する工程と、
前記第3電極層の上に形成された前記光導電層上に配置され、印加電圧の強さに応じて配向状態が変化し前記光を透過及び/又は反射し、電圧の印加が終わった後も変化後の配向状態を保持する液晶層を形成する工程と、
前記液晶層の上に配置され、前記第3電極層と対向した第4電極層を形成する工程と、
で構成される、前記記憶性表示ユニットを形成する、ことを特徴とする請求項9に記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−79146(P2010−79146A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249751(P2008−249751)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】