説明

表示装置

【課題】半導体素子が実装されたフレキシブル配線基板を折り曲げることなく表示パネルの狭額縁化が可能な表示装置を提供すること。
【解決手段】電極配線3cを備えた表示パネル3と、前記電極配線3cに対して印加する電圧を供給するための回路基板5と、前記電極配線3cと前記回路基板5とを電気的に接続するためのフレキシブル配線基板11を備えた表示装置1において、前記フレキシブル配線基板11に実装された半導体素子12が前記回路基板5の回路パターン6上を跨ぐように配されると共に、前記回路基板5と前記半導体素子12との間には導電性部材17が設けられ、この導電性部材17が前記回路基板5のグランドパターン16に電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子が実装されたフレキシブル配線基板を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータやテレビなどの家電製品の表示部として液晶表示装置が用いられている。この種の液晶表示装置が備える表示パネルを構成するガラス基板には、液晶材料を駆動するための電極配線が形成されている。一般的に、このような表示パネルの周縁部には、ガラス基板の電極配線に電圧を印加するプリント回路基板が備えられており、このプリント回路基板とガラス基板の電極配線の電気的な接続には可撓性を有するフレキシブル配線基板が用いられている。
【0003】
フレキシブル配線基板の中でも半導体素子の実装がCOF(Chip on Film)方式のものは、デバイスホールがなく配線の狭ピッチ化が容易であることから、広く採用されている。図5(a)は、従来から用いられているCOF方式のフレキシブル配線基板11の接続構造を示した図である。
【0004】
図示されるフレキシブル配線基板11は、可撓性のフィルム基材11a上に配線パターン13が形成され、半導体素子であるドライバチップ12がCOF方式により実装された構成となっている。この配線パターン13は、その引き出し部13a、13bがフィルム基材11aの端部から相互に並行になるように引き出され、異方性導電膜15を介して、図中右側の引出部13bは表示パネル3の電極配線3cに、左側の引き出し部13aは電源や表示信号が伝送されるプリント回路基板5のパッド部8に、それぞれ接続されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−235353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図示されるように、フレキシブル配線基板11のドライバチップ12が実装されている面が、プリント回路基板5と向かい合ってるいる構成になっているため、フレキシブル配線基板11の長さを短くする、つまり表示パネル3とプリント回路基板5を接近させて、表示パネル3の額縁であるベゼル2を小さくすることが困難であった。
【0007】
そこで、図5(b)に示すように、フレキシブル配線基板11を折り曲げて、プリント回路基板5をバックライトユニット4側面などの空きスペースに移載することが行われているが、フレキシブル配線基板11の折り曲げのための長尺化によるコスト高、及びプリント回路基板5を移載するため作業工数が増加するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明が解決する課題は、半導体素子が実装されたフレキシブル配線基板を折り曲げることなく表示パネルの狭額縁化が可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る表示装置は、電極配線を備えた表示パネルと、前記電極配線に対して印加する電圧を供給するための回路基板と、前記電極配線と前記回路基板とを電気的に接続するためのフレキシブル配線基板を備えた表示装置において、前記フレキシブル配線基板に実装された半導体素子が前記回路基板に形成された回路パターン上を跨ぐように配されると共に、前記回路基板と前記半導体素子との間には導電性部材が設けられ、この導電性部材が前記回路基板に形成された回路パターンのうちグランドパターン又はダミーパターンに電気的に接続されていることを要旨とするものである。
【0010】
また、別の本発明に係る表示装置は、電極配線を備えた表示パネルと、前記電極配線に対して印加する電圧を供給するための回路基板と、前記電極配線と前記回路基板とを電気的に接続するためのフレキシブル配線基板を備えた表示装置において、前記フレキシブル配線基板に実装された半導体素子が前記回路基板に形成された回路パターン上を跨ぐように配されると共に、前記回路基板と前記半導体素子との間には絶縁性部材が設けられていることを要旨とするものである。
【0011】
さらに、別の本発明に係る表示装置は、電極配線を備えた表示パネルと、前記電極配線に対して印加する電圧を供給するための回路基板と、前記電極配線と前記回路基板とを電気的に接続するためのフレキシブル配線基板を備えた表示装置において、前記フレキシブル配線基板に実装された半導体素子が前記回路基板に形成された回路パターン上を跨ぐように配されると共に、前記回路基板と前記半導体素子との間には前記半導体素子に密着する放熱部材が設けられていることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0012】
上記構成を有する表示装置によれば、フレキシブル配線基板に実装された半導体素子が回路基板に形成された回路パターン上を跨ぐように配されていることにより、COF方式により半導体素子が実装されたフレキシブル配線基板を用いても、表示パネルと回路基板を接近させた構成にすることが可能になる。これにより、図5(b)に示すようにフレキシブル配線基板11を折り曲げることなく、表示パネル3の額縁であるベゼル2を小型化することができる。
【0013】
この場合、回路基板と半導体素子との間には導電性部材が設けられ、この導電性部材が回路基板に形成された回路パターンのうちグランドパターン又はダミーパターンに電気的に接続されている構成にすれば、通常グランド電位となっている半導体素子の実装面とは反対側の面と、回路基板のグランドパターンとを導電性部材により接続することができるので、半導体素子がグランドパターン以外の回路パターンと接触してしまうことによる誤動作等が防止される。また、通常グランド電位となっている半導体素子の実装面とは反対側の面と、回路パターンのうち余剰又は使用していないダミーパターン(電気的にグランドや電源から絶縁された回路パターン)とを導電性部材により接続することでも同様の効果が得られる。
【0014】
また、回路基板と半導体素子との間には絶縁性部材が設けられている構成にすれば、半導体素子が回路基板の回路パターンと接触してしまうことによる誤動作等が防止される。更に、回路基板と半導体素子との間には半導体素子に密着する放熱部材が設けられている構成にすれば、半導体素子の発熱を抑えることができ、半導体素子の動作不良が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明に係る表示装置の実施の形態について図面を参照して説明する。図1(a)は本発明の第1の実施形態である液晶表示装置の概略構成を示した断面図、図1(b)は図1(a)の平面図である。
【0016】
図示される液晶表示装置1は、ベゼル2、表示パネル3、バックライトユニット4を備える。ベゼル2は表示パネル3の額縁となる部材で、表示パネル3は、2枚のガラス基板3a、3bを貼り合わせてその間に液晶を封止したものである。バックライトユニット4には図示しない放電管などの光源が備えられている。
【0017】
表示パネル3の下側のガラス基板3b上には、液晶材料を駆動するための電極配線3cが形成されている。この表示パネル3の図中左側には、この電極配線3cに電圧を印加するプリント回路基板5が備えられている。このプリント回路基板5の基材5aの上側には、回路パターン6がパターニングされており、その回路パターン6の一方の端部には、被覆材であるソルダーレジスト7から露出された部分であるパッド部8が形成されている。
【0018】
また、回路パターン6の他方の端部には、スルーホール部9が形成されており、回路パターン6は、これらスルーホール部9内に引き込まれ、基材5a内部において、プリント回路基板5の長手方向に配されている内部回路パターン(内部グランドパターン10のみ図示)に接続されている。この内部回路パターンには、バックライトユニット4の背面に取り付けられる図示しないコントロール基板からの電源や表示信号が伝送されるようになっている。
【0019】
そして、このプリント回路基板5とガラス基板3bの電極配線3cとの電気的な接続に用いられるフレキシブル配線基板11は、下側に実装されたドライバチップ12がプリント回路基板5の回路パターン6上を跨ぐように配されている。
【0020】
図示されるフレキシブル配線基板11は、可撓性のフィルム基材11aの下面に配線パターン13が形成され、半導体素子であるドライバチップ12がCOF方式により実装された構成となっている。
【0021】
この配線パターン13の被覆材であるソルダーレジスト14から露出した部分である引き出部13a、13bは、異方性導電膜15を介して、右側の引出部13bは表示パネル3の電極配線3cに、左側の引出部13aは電源や表示信号が伝送されるプリント回路基板5のパッド部8に、それぞれ接続されている。
【0022】
プリント回路基板5の基材5a内部の内部グランドパターン10にスルーホール部9を介して接続されたグランドパターン16には、パッド部8以外に2つ導電性凸部17がスルーホール部9から分岐されて接続されている。
【0023】
導電性凸部17は、半田を二コブ状に盛り付けたもので、フレキシブル回路基板11に実装されたドライバチップ12が上側となる位置に形成されている。
【0024】
この導電性凸部17は、通常グランド電位となっているドライバチップ12の実装面とは反対側のグランド面12aが、他の回路パターン6と接触してしまうのを防止するためのものである。この導電性凸部17により、ドライバチップ12のグランド面12aが、プリント回路基板5上のグランドパターン16以外の回路パターン6と接触してしまうことによる誤動作等が防止される。
【0025】
また、ドライバチップ12のグランド面12aとプリント回路基板5の導電性凸部17との接触によるグランドパターン16への電気的接続により、ドライバチップ12の動作がより安定するという効果もある。更には、ドライバチップ12のグランド面12aがプリント回路基板5の導電性凸部17と接触することで、ドライバチップ12の熱が導電性凸部17に熱伝導することによる放熱効果もある。これによりドライバチップ12の発熱が抑えられ、動作をより安定させることができる。
【0026】
この場合、図2に示すように、ベゼル2の下側に取り付けられた押圧部材18と、バックライトユニット4の左側面に取り付けられたブラケット19により、フレキシブル配線基板11とプリント回路基板5を挟み込む構成にすれば、ドライバチップ12のグランド面12aとプリント回路基板5の導電性凸部17とを密着させることができる。これにより、グランドパターン16への接続信頼性の向上と、放熱性を高めることが可能になる。
【0027】
上述した構成の液晶表示装置1によれば、フレキシブル配線基板11に実装されたドライバチップ12がプリント回路基板5の回路パターン6上を跨ぐように配されていることにより、COF方式によりドライバチップ12が実装されたフレキシブル配線基板11を用いても、図示されるように表示パネル3とプリント回路基板5を接近させた構成にすることが可能になる。これにより、図5(b)に示すようにフレキシブル配線基板11を折り曲げることなく、表示パネル3の額縁であるベゼル2を小型化することができる。尚、グランドパターン16以外の回路パターン6のうち余剰あるいは使用していないダミーパターン(電気的にグランドや電源から絶縁された回路パターン)がある場合は、そのダミーパターンと、ドライバチップ12のグランド面12aとを導電性凸部17で電気的に接続させる構成にしても、上述した効果と同様のものが得られる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置について図3を用いて説明する。尚、上述した第1の実施の形態に係る液晶表示装置1と同一の構成については同符号を付して説明は省略し、異なる点を中心に説明する。図示される液晶表示装置20のフレキシブル配線基板11に実装されたドライバチップ12の下側に位置するプリント回路基板5上には、通常よりも厚く盛り付けられたソルダーレジスト7からなる絶縁性凸部21が形成されている。この絶縁性凸部21により、ドライバチップ12のグランド面12aが、プリント回路基板5上の回路パターン6と接触してしまうことによる誤動作等が防止される。
【0029】
次に、本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置について図4を用いて説明する。尚、上述した第1の実施の形態に係る液晶表示装置1と同一の構成については同符号を付して説明は省略し、異なる点について説明する。図示される液晶表示装置22のフレキシブル配線基板11に実装されたドライバチップ12と、その下側に位置するプリント回路基板5との間には、放熱シリコンゴム等からなる放熱性部材23が、ドライバチップ12のグランド面12aに密着して設けられている。このように放熱性部材23を設ければ、ドライバチップ12の放熱効果により、ドライバチップ12の動作をより安定させることができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、ドライバチップ12のグランド面12aに接触する導電性凸部17は、上述した材料・形状・大きさ以外にも種々なる態様で実施できることは言うまでもなく、上記実施の形態に限定されない。また、図2に示した押圧部材18とブラケット19による挟み込み構造は、図3及び図4に示される液晶表示装置の構成にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の概略を示した断面図とその平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の変形例を示した図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の概略を示した断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る表示装置の概略を示した断面図である。
【図5】従来用いられてきた表示装置の概略を示した断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1,20,22 液晶表示装置
2 ベゼル
3 表示パネル
3a,3b ガラス基板
3c 電極配線
4 バックライトユニット
5 プリント回路基板
5a 基材
6 回路パターン
7 ソルダーレジスト
8 パッド部
9 スルーホール部
10 内部グランドパターン
11 フレキシブル配線基板
11a フィルム基材
12 ドライバチップ
12a グランド面
13 配線パターン
13a,13b 引き出し部
14 ソルダーレジスト
15 異方性導電膜
16 グランドパターン
17 導電性凸部
18 押圧部材
19 ブラケット
21 絶縁性凸部
23 放熱性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極配線を備えた表示パネルと、前記電極配線に対して印加する電圧を供給するための回路基板と、前記電極配線と前記回路基板とを電気的に接続するためのフレキシブル配線基板を備えた表示装置において、前記フレキシブル配線基板に実装された半導体素子が前記回路基板に形成された回路パターン上を跨ぐように配されると共に、前記回路基板と前記半導体素子との間には導電性部材が設けられ、この導電性部材が前記回路基板に形成された回路パターンのうちグランドパターン又はダミーパターンに電気的に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
電極配線を備えた表示パネルと、前記電極配線に対して印加する電圧を供給するための回路基板と、前記電極配線と前記回路基板とを電気的に接続するためのフレキシブル配線基板を備えた表示装置において、前記フレキシブル配線基板に実装された半導体素子が前記回路基板に形成された回路パターン上を跨ぐように配されると共に、前記回路基板と前記半導体素子との間には絶縁性部材が設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
電極配線を備えた表示パネルと、前記電極配線に対して印加する電圧を供給するための回路基板と、前記電極配線と前記回路基板とを電気的に接続するためのフレキシブル配線基板を備えた表示装置において、前記フレキシブル配線基板に実装された半導体素子が前記回路基板に形成された回路パターン上を跨ぐように配されると共に、前記回路基板と前記半導体素子との間には前記半導体素子に密着する放熱部材が設けられていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−108386(P2007−108386A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298661(P2005−298661)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】