表面形状を薄膜コーティングを通して求めるための三角測量法及びシステム
基板及び被覆膜を有するオブジェクト及びフォトリソグラフィ装置の一部分の互いに対する位置を決める装置は、フォトリソグラフィ・システムと、ポジショナーと、光学システムと、プロセッサと、を備える。フォトリソグラフィ・システムは、オブジェクトの一部分を第1光パターンで照射するように構成され、かつ基準表面を含む。ポジショナーは、フォトリソグラフィ・システムとオブジェクトとの間の相対位置を変えることができる。光投影装置は、第2光パターンをオブジェクトの被覆薄膜に投影するように構成されている。光学システムは、基板によって拡散散乱される第2光パターンの光を撮像する。プロセッサは、オブジェクトの空間特性を拡散散乱光に基づいて求め、かつポジショナーを動作させてフォトリソグラフィ・システムとオブジェクトとの間の相対位置を変えさせるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトに関する干渉法による解析、例えば、少なくとも一部が透明な一つ以上の層を有する基板を含むオブジェクトに関する干渉法による解析に関する。
【背景技術】
【0002】
干渉法は、オブジェクトの表面の形状を測定するために一般的に使用される。このような測定を行なうために、干渉計は、着目表面によって反射される測定波面を、基準表面によって反射される基準波面と合成してインターフェログラムを生成する。インターフェログラムの干渉縞(fringe)は着目表面と基準表面との間の空間的変化を示す。
【0003】
走査干渉計は、干渉計の基準経路と測定経路との間の光路長差(OPD:Optical Path length Difference)を干渉波面のコヒーレンス長と同程度か、あるいはコヒーレンス長よりも長い範囲に渡って掃引して、インターフェログラムの測定に使用する各カメラ画素の走査干渉信号(scanning interferometry signal)を生成する。短いコヒーレンス長は、例えば白色光源及び/又は空間的に広がった光源を使用することにより得られる。例示としての技術は広帯域光源を使用する走査型白色光干渉法(SWLI:Scanning White Light Interferometry )である。走査型白色光干渉法(SWLI)による代表的な信号はゼロ光路長差(OPD)位置の近傍に位置する幾つかのフリンジである。この信号は通常、フリンジのコントラストを表わすベル型の包絡線を有する正弦波形搬送波変調(フリンジ)によって特徴付けられる。SWLI法の根底にある従来の考え方は、フリンジの局在化を利用することによって表面形状を測定することである。
【0004】
低コヒーレンス干渉計測によるデータを処理する方法には2つの大きなトレンドがある。第1のアプローチでは、包絡線のピークまたは中心の位置を、この位置が、1つのビームがオブジェクト表面によって反射される構成の2ビーム干渉計のゼロ光路長差(OPD)に対応すると仮定して特定する。第2のアプローチでは、ほぼ線形の傾斜がオブジェクト位置に直接比例すると仮定する場合に、信号を周波数領域に変換し、波長とともに位相が変化する割合を計算する。これについては、例えばPeter de Grootに付与された米国特許第5,398,113号を参照されたい。この後者のアプローチは周波数領域解析(FDA:Frequency Domain Analysis )と呼ばれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書に記載するシステム及び方法を使用して一つよりも多くの境界を有するオブジェクトの空間特性を求めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、本発明は光学システムに関するものであり、この光学システムは、オブジェクトの一部分を光パターンで照射するように構成され、かつ基準表面を含むフォトリソグラフィ・システムと、基準光路及び測定光路を有する低コヒーレンス干渉計であって、基準光路に沿って通過する光が少なくとも1回、基準表面によって反射され、測定光路に沿って通過する光が少なくとも1回、オブジェクトによって反射される、低コヒーレンス干渉計と、基準光路に沿って通過した光、及び測定光路に沿って通過した光を含む低コヒーレンス干渉信号を検出するように構成される検出器と、を備える。低コヒーレンス干渉信号は基準表面とオブジェクトとの間の空間的関係を示す。
【0007】
特定の実施形態では、フォトリソグラフィ・システムは照明光学系表面を有する照明光学系を含む。光パターンの光は照明光学系表面を含む光路に沿って伝搬する。照明光学系表面及び基準表面は少なくとも部分的に同じ領域を占有する。測定光路に沿って通過する光は、オブジェクトのうち、フォトリソグラフィ・システムによって照射される部分により少なくとも1回反射される。
【0008】
低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、基準光路に沿って通過した光、及び低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、測定光路に沿って通過した光は光路長差範囲を有する。その範囲は、低コヒーレンス干渉計のコヒーレンス長の少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、あるいはそれ以上である。その範囲は、低コヒーレンス干渉計のコヒーレンス長と少なくとも同程度である。
【0009】
特定の実施形態では、検出器は複数の検出素子を含み、各検出素子は該当する低コヒーレンス干渉信号を検出するように構成されている。各低コヒーレンス干渉信号は、基準光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光、及び測定光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光を含む。各低コヒーレンス干渉信号は、オブジェクトの異なるポイントと基準表面との間の空間的関係を示すことができる。
【0010】
光学システムは、オブジェクトの異なるポイントの各々と基準表面との間の空間的関係を、複数の低コヒーレンス干渉信号のうちの該当する少なくとも一つに基づいて求めるように構成されている。光学システムは、オブジェクトとフォトリソグラフィ・システムとの間の相対位置及び向きを操作する並進ステージを備えることができる。プロセッサは更に、オブジェクト及びフォトリソグラフィ・システムの相対位置を空間的関係に基づいて変更するように構成されている。
【0011】
本発明の別の態様は方法に関するものであり、この方法は、オブジェクトを、フォトリソグラフィ・システムの光路にほぼ沿って配置すること、光源からの光の第1部分をフォトリソグラフィ・システムの基準表面によって反射させること、光源からの光の第2部分をオブジェクトによって反射させること、基準表面によって反射される光及びオブジェクトによって反射される光を含み、かつオブジェクトと撮像システムとの間の空間的関係を示す低コヒーレンス干渉信号を形成すること、を含む。
【0012】
特定の実施形態では、本方法は、光源からの光の該当する第1部分をフォトリソグラフィ・システムの基準表面の複数の位置の各々によって反射させること、光源からの光の該当する第2部分をオブジェクトの複数の位置の各々によって、例えば斜入射角で反射させること、複数の低コヒーレンス干渉信号を形成すること、を含む。各低コヒーレンス干渉信号は、基準表面の異なる位置のうちの該当する位置によって反射される光、及びオブジェクトの異なる位置のうちの該当する位置によって反射される光を含む。各低コヒーレンス干渉信号は、オブジェクトの異なる位置のうちの少なくとも一つの位置とフォトリソグラフィ・システムとの間の空間的関係を示すことができる。
【0013】
特定の実施形態では、オブジェクトを配置した後に、光の第1及び第2部分を反射させる。
本方法は、更に、オブジェクト及び基準表面の相対位置を空間的関係に基づいて変更することを含むことができる。基準表面はフォトリソグラフィ・システムの光学系の表面とすることができる。フォトリソグラフィ・システムを使用して紫外光画像をオブジェクトに投影することができる。紫外光画像を形成する光は光学系の表面を含む光路に沿って通過する。
【0014】
オブジェクトは基板、及び外側表面を有する薄膜を含むことができる。形成することは、基準表面により反射される光、及び薄膜の外側表面により反射される光を合成することを含むことができる。空間的関係は薄膜の外側表面とフォトリソグラフィ・システムとの間の関係とすることができる。
【0015】
光源からの光の第2部分の光は、薄膜によって大きく減衰する、例えば薄膜によって吸収される。
薄膜はフォトレジストを含むことができ、この場合、光源からの光の第2部分の光のエネルギーはフォトレジストを露光するには不十分である。
【0016】
オブジェクトは基板、及び外側表面を有する薄膜を含むことができる。形成することは、基準表面により反射される光、及び基板により反射される光を合成することを含み、空間的関係は基板と撮像システムとの間の関係である。
【0017】
オブジェクトにブルースター角で照射することができ、これによって外側表面とは反対側の基板に関する空間情報を強めることができる。
本発明の別の態様はオブジェクトの空間特性を求めるシステムに関する。本システムは、光源と、光学システムであって、オブジェクトを光源からの光の第1部分を使用して斜入射角で照射して、光の第1部分の少なくとも一部がオブジェクトによって反射されるようにし、かつオブジェクトによって反射される光及び同じ光源により生成される光の第2部分を光路長差範囲に渡って合成するように構成されている光学システムと、光路長差範囲に渡って合成される光を複数の干渉フリンジとして検出するように構成されている検出器と、を備え、各干渉フリンジはピーク振幅を有し、光路長差範囲は干渉フリンジのピーク振幅を変調するために十分な範囲である。
【0018】
光路長差範囲は光学システムのコヒーレンス長と少なくとも同程度とすることができる。
本発明の別の態様は、オブジェクトを光源からの光を使用して斜入射角で照射する方法に関する。照射光の少なくとも一部がオブジェクトによって反射される。オブジェクトによって反射される光及び同じ光源からの光の第2部分を光路長差範囲に渡って合成する。光路長差範囲に渡って合成される光を複数の干渉フリンジとして検出し、各干渉フリンジはピーク振幅を有する。光路長差範囲は干渉フリンジのピーク振幅を変調するために十分な範囲である。
【0019】
本発明の別の態様は方法に関するものであり、本方法は、光の第1パターンを、基板及び被覆薄膜を含むオブジェクトに投影すること、基板によって拡散散乱される投影された第1パターンの光を撮像すること、オブジェクトの空間特性を拡散散乱光に基づいて求めること、を含む。
【0020】
被覆薄膜はフォトレジストである。空間特性を求めることは、フォトリソグラフィ・システムに対するオブジェクトの一部分の位置を求めることを含むことができる。オブジェクトの一部分は基板と被覆フォトレジストとの間の境界とすることができる。
【0021】
光の第1パターンは同じ光源からの光の第1及び第2部分を含むことができ、光の第1パターンは干渉パターンとすることができる。干渉パターンは包絡線により変調される複数のフリンジを含むことができ、オブジェクトの空間特性を求めることは、これらのフリンジに対する包絡線の一部分の位置を求めることを含む。
【0022】
オブジェクトを包絡線の一部分の位置に基づいて配置し直すことができる。
特定の実施形態は、光の基準パターンを基準表面に投影すること、基準表面に投影される基準パターンの光を検出すること、を含み、オブジェクトの空間特性を求めることは、オブジェクト及び基準表面の相対空間特性を基準パターンの検出光に基づいて求めることを含む。オブジェクトは相対空間特性に基づいて移動可能である。
【0023】
特定の実施形態は、更に、光源の特性を変更して、ほぼ同様の振幅を有する複数のフリンジを含む第2干渉パターンをオブジェクトに投影すること、基板によって拡散散乱される第2干渉パターン光を撮像すること、オブジェクトの第2空間特性を第2干渉パターンの拡散散乱光に基づいて求めること、を含む。第2空間特性はオブジェクトの一部分の形状とすることができる。第2空間特性はオブジェクトの絶対位置を示すことができる。光の第1パターンを投影する前に、少なくとも前記変更を行なうことができる。
【0024】
本明細書に記載する方法及びシステムを使用して、外側表面を有する被覆フォトレジスト層を含む基板を含むオブジェクトの空間特性を求めることができる。空間特性は外側表面の空間特性とすることができる。本方法及び本システムでは、フォトリソグラフィ・システムとオブジェクトとの間の相対位置を空間特性に基づいて変更することができる。
【0025】
本明細書に記載する方法及びシステムを使用して、液晶ディスプレイの一部分の空間特性を求めることができる。
本明細書に記載する方法及びシステムを使用して、オブジェクトを、例えばレーザによりスクライブすることができる。スクライブによってオブジェクト上に形成されるスクライブ線の空間特性を求める。更に、オブジェクトまたは別のオブジェクトのスクライブを行なう。パラメータ、例えばレーザ・パワー、オブジェクトを掃引する速度、またはレーザ焦点サイズを、スクライブ線の空間特性に基づいて選択する。
【0026】
本明細書に記載する方法及びシステムを使用して、半田バンプを形成している間に形成される構造の空間特性を求めることができる。空間特性は、半田に濡れることができないオブジェクトの一部分の空間特性とすることができる。
【0027】
本発明の別の態様は、オブジェクトの一部分を第1光パターンで照射するように構成されているフォトリソグラフィ・システムを含む装置に関するものである。フォトリソグラフィ・システムは基準表面を含む。オブジェクトは基板及び被覆薄膜を含む。本装置はまた、フォトリソグラフィ・システムとオブジェクトとの間の相対位置を変えるポジショナーと、第2光パターンをオブジェクトの被覆薄膜に投影するように構成されている光投影装置と、基板によって拡散散乱される第2光パターンの光を撮像する光学システムと、プロセッサと、を備え、このプロセッサは、オブジェクトの空間特性を拡散散乱光に基づいて求め、かつフォトリソグラフィ・システムとオブジェクトとの間の相対位置を変えるように構成されている。
【0028】
本発明の別の態様は、少なくとも2次元に配置される複数の素子を備える検出器を含む光学システムに関するものであり、光学システムは、オブジェクトの複数の離間ポイントを光源からの光で照射し、かつ各照射ポイントに対応する該当する干渉パターンを形成するように構成され、各干渉パターンは検出器の第1の次元に沿って延び、異なるポイントに対応する干渉パターンは検出器の第2の次元に沿って離間する。
【0029】
本発明の別の態様は、光学システムに関するものであり、この光学システムは、光源と、少なくとも一つの次元に延びる検出素子アレイと、光源からの光の第1部分を使用してオブジェクトのポイントを照射し、照射ポイントにより反射される光を、アレイの第1の次元に沿って延びる細長焦点像として集光し、更に光源からの光の第2部分をアレイの第1の次元に沿って延びる第2の焦点像として集光するように構成された干渉計と、を含み、第2の焦点像及び細長焦点像はアレイの第1の次元に沿って少なくとも部分的に一致し、照射ポイントにより反射される光と光源からの光の第2部分との間の光路差(OPD)は、アレイの第1の次元に沿って、照射ポイントにより反射される光のコヒーレンス長よりも大きい量だけ変化する。
【0030】
本発明の別の態様は干渉法に関するものであり、この干渉法は、オブジェクトの複数の離間ポイントを光源からの光の第1部分で照射すること、光の第1部分の少なくとも一部分をこれらの離間ポイントの各々によって反射させること、複数の干渉パターンを、少なくとも2次元に配置されている複数の検出素子を有する検出器において形成すること、を含み、各干渉パターンはオブジェクトの該当する離間ポイントによって反射される光に対応し、各干渉パターンは検出器の第1の次元に沿って延び、かつ異なる干渉パターンは検出器の第2の次元に沿って離間する。
【0031】
特に断らない限り、本明細書において使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。
本発明の他の特徴、目的、及び利点は次の詳細な説明から明らかになると思われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本明細書に記載する方法及びシステムの実施形態は干渉計の使用に関するものであり、干渉計を使用して、薄膜構造、異なる材料から成る不連続構造、または干渉顕微鏡の光学解像度では解像することができない不連続構造のような、一つよりも多くの境界を有するオブジェクトの空間特性、例えば表面形状、位置、向き、及び/又は他の特性を測定する。境界の例としては、オブジェクトの外側表面に形成される境界、または異なる材料の間の内側に形成される境界を挙げることができる。一つよりも多くの境界を有するオブジェクトの空間特性は、フラット・パネル・ディスプレイ、マイクロエレクトロニクス、フォトリソグラフィ、薄膜特性評価、及び異なる材料の解析を含む多種多様な分野に関連する。
【0033】
複数の境界を含むオブジェクトを干渉法により解析する場合、各境界によって干渉パターンを生成することができる。これらの境界が近接して離間している場合、干渉パターンが重なって互いに歪む。この歪みによってオブジェクトの空間特性に対して間違った判断が下され得る。例えば、フォトレジストに覆われた半導体ウェハをフォトリソグラフィ・システムの焦点位置に位置させようと試みる場合を考える。フォトリソグラフィの精度は、どのくらい正確にウェハ及びフォトリソグラフィ・システムの互いに対する位置を決めることができるかに関連する。しかしながら、フォトレジストの外側表面及びフォトレジストとウェハとの間の境界によって干渉パターンが結果的に生成され、これによってフォトレジストの外側表面またはウェハの正確な位置及び向きの判断が難しくなる。その結果、フォトリソグラフィの精度が低下する。
【0034】
本明細書に記載するシステム及び方法によって、他の隣接する境界または近接して離間する境界がある場合においても、オブジェクトの選択境界の空間特性を求めることができる。特定の実施形態では、オブジェクトを光で斜入射角αで照射し、オブジェクトによって反射される光を含む低コヒーレンス干渉信号を検出する。オブジェクトの法線方向の寸法線に対する角度αは少なくとも60°、少なくとも70°、少なくとも75°、例えば少なくとも80°とすることができる。
【0035】
斜入射照射によって、外側表面の反射率を被照射オブジェクトの他の境界に対して大きくすることができる。反射率が増大することによって、オブジェクトの内側境界とは反対に、外側表面からの干渉パターンが鮮明になる。従って、オブジェクトの外側表面の空間特性に対する、斜入射によって得られる干渉信号の感度を、法線方向照射による場合よりも高くすることができる。層の外側表面からの干渉パターンを鮮明にする実施形態では更に(または別の構成として)、層によって減衰する、例えば吸収される照射光の波長を選択する。層が光を吸収するので、下層の境界からの干渉パターンは非常に大きく減衰する。
【0036】
斜入射法を低コヒーレンス干渉法と組み合わせる構成の実施形態も開示する。以下に更に説明するように、低コヒーレンス干渉法によるデータを処理して、薄膜構造のような複雑な試料の一つ以上の境界についての空間情報を提供することができる。このような低コヒーレンス干渉法によるデータは、広帯域スペクトル光及び/又は空間的に広がった光源を使用することにより得られる。従って、オブジェクトの外側表面からの干渉パターンを鮮明にする特定の実施形態では、広帯域光、例えば少なくとも6nm、少なくとも12.25nm、少なくとも25nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、または少なくとも150nmの半値幅(FWHM:Full Width Half Maximum )を有する光を使用して、オブジェクトを斜入射で照射する。斜入射照射を広帯域光と組み合わせると、オブジェクトの外側表面から得られる干渉パターンを、オブジェクトの内側表面から得られる干渉パターンよりも鮮明にすることができる。
【0037】
層の外側表面から得られる干渉パターンを鮮明にすることにより、多くの用途、例えば上述したフォトリソグラフィによる位置決めに利点をもたらす。例えば、本明細書に記載する斜入射法及びシステムによって、基板を被覆するフォトレジスト層の厚さを約1%の相対精度で求めることができ、薄膜、例えば約400nm以上の厚さの膜に対してはそれよりも高い精度で求めることができる。特定の例では、450nm厚さのシリコン膜を被覆する、XF1の157nm波長のUVに対応した450nm厚さのフォトレジスト層の厚さを±4.9nmの誤差で、600nmの公称波長、200nmのFWHM、80°の入射角α、及び+/−3°のΔαを有する光を使用して求めた。
【0038】
斜入射照射の実施形態は、オブジェクトの外側表面から得られる干渉パターンを鮮明にする操作に限定されない。内側境界から得られる干渉パターンも鮮明にすることができる。例えば、オブジェクトをブルースター角(Brewster's angle)で、入射角によって定義される平面内で偏光される光を使用して照射することができる。この場合、ブルースター角は、被覆層の光学特性、例えば屈折率によって、かつ照射光の波長によって求まる。ブルースター角では、下層境界から得られる干渉パターンは、外側表面から得られる干渉パターンよりも鮮明になる。
【0039】
斜入射照射は法線方向照射とは異なる他の利点をもたらす。例えば、斜入射角を有する照射ビームを使用して、他のオブジェクトまたはシステムに近接するオブジェクトを照射することができる。例えば、本明細書に記載する斜入射干渉計では、フォトリソグラフィ・システムの撮像光学系と撮像対象のフォトレジストが付いたオブジェクトとの間に照射ビームを導入することができる。従って、薄膜解析に関する斜入射の利点が、複雑な、混雑した作業環境においてin−situ(その場での)測定の形で実現する。本明細書において説明する干渉計及び光学システムの全てを使用してフォトリソグラフィ装置に対するオブジェクトの、例えば撮像対象オブジェクトの一部分の空間特性を求め、そしてフィードバックにより、オブジェクト及びフォトリソグラフィ装置の相対位置及び/又は向きを変更することができる。更に、各干渉計及び光学システムは基準表面を含むことができ、この基準表面はそれ自体がフォトリソグラフィ装置の表面、例えばフォトリソグラフィ装置の光学系の表面である。
【0040】
従って、斜入射照射によって選択境界(外側表面または内側境界に拘らず)から得られる干渉パターンが鮮明になって干渉パターンに基づいて求められる空間特性の精度が高くなる。オブジェクトの一つ以上の空間特性を求める方法及びシステムについて以下に記載する。一つよりも多くの境界を有するオブジェクトについて概要を説明することから始め、そしてこのようなオブジェクトから得られる干渉パターンについて、例えば低コヒーレンス斜入射干渉計(low coherence grazing incidence interferometer)を使用して説明する。次に、光学システムの実施形態について説明する。
【0041】
図1aを参照すると、オブジェクト30は基板32及び層34を含むことが示されている。オブジェクト30は、異なる屈折率の複数の材料の間に生じる複数の境界を含む。例えば、オブジェクトを取り囲む境界38は、層34の外側表面39がオブジェクト30を取り囲む環境、例えば液体、空気、他の気体、または真空に触れる位置において定義される。基板−層境界36は基板32の表面35と層34の底面37との間において定義される。基板の表面35は複数のパターニング形状29を含むことができる。これらの形状の幾つかは、基板の隣接部分と同じ高さを有するが、異なる屈折率を有する。他の形状は基板の隣接部分よりも上方向または下方向に延びることができる。従って、境界36(及び勿論、境界38)は複雑かつ変化する幾何学的構造を示すことができる。
【0042】
図2を参照すると、干渉信号90は低コヒーレンス干渉信号の例であり、この干渉信号は近接離間する境界を有するオブジェクトから、本明細書に記載するシステム及び方法を使用して得られる。干渉信号90は、重なる第1及び第2干渉パターン92,96を含み、これらの干渉パターンはそれぞれ、外側表面39及び境界36から得られる。干渉信号90のX軸はオブジェクトによって反射される光と基準光との間の光路差(OPD:Optical Path Difference )に対応する。干渉計は、光学系及び/又はオブジェクトを捜査させる、例えば移動させることにより、オブジェクトによって反射される光または基準光が伝搬する光路を変化させて、OPDを変化させることができる。干渉計は別の方法として、または組み合わせた方法により、OPDを変化させることができるが、この操作は、オブジェクトによって反射される光及び基準光の空間分布を空間位置の関数として変化するOPDによって検出することにより行なう。
【0043】
干渉パターン92,96はOPDの関数として、それぞれのコヒーレンスの包絡線97,95によって変調され、これらの包絡線は、同様の形状及び幅を有する。低コヒーレンスの包絡線を用いない場合には、フリンジ98,99は通常、同様の振幅を有する。干渉パターン包絡線の幅は、検出光のコヒーレンス長にほぼ対応する。コヒーレンス長を決める要素の中では、時間的コヒーレンス現象が、例えば光源のスペクトル帯域に関連し、そして空間的コヒーレンス現象が、例えばオブジェクトを照射する光の入射角範囲に関連する。
【0044】
通常、コヒーレンス長は、(a)光源のスペクトル帯域が広がる、かつ/あるいは(b)入射角範囲が広がるにつれて短くなる。データを取得するために使用する干渉計の構成によって変わるが、これらのコヒーレンス現象のうちの一方または他方が支配的になるか、あるいはこれらのコヒーレンス現象が両方ともコヒーレンス長全体に大きく影響する。特定の実施形態では、本明細書に記載する斜入射干渉計はオブジェクトを、入射角範囲Δαを有する広帯域光で照射する。光源の光は拡張することができる。範囲Δαは±20°以下、±10°以下、±5°以下、±3°以下とすることができる。特定の実施形態では、照明開口数は0.2以下、0.1以下、0.07以下、0.06以下、例えば0.05以下である。入射角が斜めになるので、空間的コヒーレンス現象が、小さい入射角において観測される干渉信号に対して法線入射において観測される干渉信号に対するよりも大きく影響する。これは、空間的コヒーレンス現象が斜光線の光路長の変化に関連し、この変化の大きさが入射角αの余弦の逆数になるからである。空間的コヒーレンス現象による影響を含む干渉信号については、「薄膜特性の評価を含む、偏光解析、反射率測定、及び光波散乱計測を用いる斜入射干渉法(Interferometry Method for Ellipsometry, Reflectometry, and Scatterometry Measurements, Including Characterization of Thin Films )」と題された米国特許出願第10/659,060号に記載されており、この文献を本明細書において参照することによりこの文献の内容が本発明の開示に含まれる。特定の実施形態では、空間的コヒーレンス現象及び時間的コヒーレンス現象が両方ともコヒーレンス長に影響し、これによって内側境界から生成される干渉パターンを望ましい形で不鮮明にすることができる。
【0045】
干渉計のコヒーレンス長は、干渉信号を、1つの反射表面を有する、例えば薄膜構造ではないオブジェクトから取得することにより求めることができる。コヒーレンス長は、観測される干渉パターンを変調する包絡線の半値幅に対応する。図2から分かるように、干渉信号90は、コヒーレンスの包絡線の幅よりも大きく、従って検出光のコヒーレンス長よりも大きく変化する光路長差範囲を有する光を検出することにより得られる。一般的に、低コヒーレンス干渉信号は、検出光のコヒーレンスの包絡線によって振幅変調される干渉フリンジを含む。例えば、干渉パターンは、観測干渉フリンジの振幅が少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも50%だけ互いに対して異なる場合のOPDに渡って得られる。例えば、フリンジ98は、フリンジ99のピーク振幅よりも約50%だけ小さいピーク振幅を有する。特定の実施形態では、低コヒーレンス干渉信号はコヒーレンス長とほぼ同程度か、あるいはコヒーレンス長よりも長いOPDの範囲に渡って検出される。例えば、OPDの範囲はコヒーレンス長の少なくとも2倍、または少なくとも3倍の大きさとすることができる。特定の実施形態では、検出光のコヒーレンス長は、オブジェクト形状の高さ変化とほぼ同程度、または数ミクロン以下の程度である。
【0046】
本明細書に記載する方法及びシステムを使用して得られる干渉信号を多くの方法で処理してオブジェクトの空間特性を求めることができる。特定の実施形態では、干渉信号の処理では、信号を逆の次元に変換する。このような変換としては、信号のフーリエ変換を挙げることができる。変換は、周波数領域解析(FDA:Frequency Domain Analysis )機能を実行しながら、または周波数領域解析機能の拡張版を実行しながら行なうことができる。周波数領域解析(FDA)法の例は、「表面の幾何学的構造をインターフェログラムの空間−周波数解析により測定する方法及び装置(METHOD AND APPARATUS FOR SURFACE TOPOGRAPHY MEASUREMENTS BY SPATIAL-FREQUENCY ANALYSIS OF INTERFEROGRAMS)」と題された米国特許第5,398,113号、及び「高さ方向を走査する干渉法を使用して行なう複雑な表面構造の形状測定(PROFILING COMPLEX SURFACE STRUCTURES USING HEIGHT SCANNING INTERFEROMETRY )」と題された2003年3月8日出願の米国特許出願第10/795,808号に記載されており、前記特許及び特許出願を参照することによりこれらの文献の内容が本発明の開示に含まれる。しかしながら、干渉信号の処理には変換は必要ではないことを理解されたい。例えば、干渉の包絡線の最大値によって空間特性情報を得ることができ、干渉信号の変換を行わなくても済む。
【0047】
図2から分かるように、干渉信号90の部分94は干渉パターン96とは反対の干渉パターン92による影響が支配的である。上述したように、干渉パターン92はオブジェクト30の外側表面39から得られる。表面39の空間特性、例えば位置及び/又は高さは、干渉信号90全体の一部分のみを構成する部分94に基づいて求めることができる。干渉信号のこのような部分の位置を特定して、このような部分を解析する方法及びシステムは、Peter de Grootによる「表面を干渉法を用いて解析する方法及びシステム、及び関連する適用形態(METHODS AND SYSTEMS FOR INTERFEROMETRIC ANALYSIS OF SURFACES AND RELATED APPLICATIONS )」と題された2004年9月15日出願の米国特許出願に記載されている。この出願は、当該出願を本明細書において参照することによりこの出願の内容全体が本発明の開示に含まれる。
【0048】
干渉信号、例えば特定の実施形態においては複数の境界を有するオブジェクトのようなオブジェクトからの低コヒーレンス干渉信号を取得して、処理する干渉計システム及び干渉法について次に説明する。
【0049】
図3を参照すると、図示の光学システム100が回折光学系を使用してオブジェクトを斜入射角で照射することが示されている。システム100は干渉計システム101及び照明システム150を含み、これらのシステムは、測定オブジェクト30、及び被覆層が全く無いオブジェクトまたは複数のこのような層を含むオブジェクトのような他のオブジェクトを使用するように構成されている。低コヒーレンス干渉計ではないが、システム101は測定オブジェクト30の特性、例えば空間特性または光学特性を、斜入射照射を使用して求める機能を備え、かつこのような構成の利点を示すための例示である。図1a及び1bに戻ってこれらの図を参照すると、空間特性または光学特性は層34の表面39または表面の一部分40iに関連することが示される。別の構成として、または組み合わせる形で、空間特性または光学特性は境界36に、例えば基板32の表面35に関連付けることができる。システム101は通常、オブジェクト30に関する情報を提供するために位相シフト法を用いる。
【0050】
照明システム150は通常、表面オブジェクト30を光167で照射して、選択パターン、例えば回路パターンを表面38に撮像するように構成されている。図3に戻ってこの図を参照しながら、システム101及び150の種々の態様について以下に説明する。
【0051】
干渉計システム101は測定オブジェクトを解析するように構成されている斜入射システムである。ランプ、発光ダイオード、マルチモード・レーザ・ダイオード、または気体レーザとすることができる光源111はビーム102を生成する。拡大光学系103を通過した後、ビーム102は照射光の初期波面104を形成する。0次回折光を抑圧する1次元位相格子とすることができる回折ビーム・スプリッタ105は照射光の初期波面104を基準波面115及び測定波面110に分離する。2つの波面115及び110は反対の次数の格子、例えば正の1次格子及び負の1次格子から生成され、その結果、分岐方向に伝搬する。基準波面115は回折ビーム・コンバイナ170に到達する前に、基準表面130によって1回反射される。回折ビーム・コンバイナ170は回折ビーム・スプリッタ105と同様の構成とすることができる。
【0052】
以下に更に説明するように、基準表面130は、パターニング用の光をオブジェクト30、例えばオブジェクトの一部分40iに振り向ける投影光学系の一部のような照明システム150の一部として構成することができる。いずれにせよ、基準表面130は、例えば波面115の平均波長の約1/15の精度で光学的に平坦にすることができる。あるいは既知の表面形状を有するようにしてもよい。例えば、投影光学系は既知の曲率を有する弓状の表面を有するようにしてもよい。
【0053】
また、図1aを参照すると、測定光線181は、測定波面110の光がオブジェクト30と相互作用する様子を示すことが分かる。層34及び基板32が設けられた状態で、測定光線181の一部分が層表面38に衝突し、層表面38によって斜角αで反射され、次に反射光線181’として伝搬する。図3から分かるように、光線181’を含む反射測定波面110’は回折ビーム・コンバイナ170に到達し、このビーム・コンバイナにおいて、波面が基準波面115と再合成されて出力波面120を形成する。図1aに戻って同図を参照すると、測定光線181の第2部分が層34を通過し、基板32の表面の境界36により反射光線181’’として反射されることが分かる。境界36により反射される光によって第2反射波面(図示せず)が生成され、この波面は波面181’とほぼ同じ経路に沿って伝搬するが、伝搬経路に直交する方向の次元に沿ってΔsの大きさだけ離間して伝搬する。第2波面も基準波面115と合成され、基準波面115と干渉することになる。
【0054】
特定の実施形態では、システム100は、層34とオブジェクト30の周囲の環境との間の境界38の表面39によって反射される1つの測定波面を実現し、かつ基板32と層34との間の境界36により反射される測定波面を減衰または除去するように構成されている。基板−表面層の境界36により反射される測定波面は、光源111の波長を表面層34がほとんどを吸収するように選択することにより減衰又は除去可能である。光源の光は表面層が吸収するので、基板−表面層の境界36により生じる反射波面はほぼ無くなる。その代わりに、反射波面はほぼ表面層−周囲環境の境界38によってのみ、例えば表面層と、オブジェクト30を取り囲む空気、他の気体、または真空との間の境界によってのみ生じる。従って、光線181’’及び関連する全ての波面が減衰又は除去される。
【0055】
特定の実施形態では、表面層34は、照明システム150が放出する紫外光によって露光されるように構成されているフォトレジストである。通常、光活性成分を露光することなく、フォトレジスト層の成分、例えばレジスト自体の溶解成分または光活性成分が、可視光線、近赤外線、または赤外線のような低エネルギー照射線を吸収する。このような非露光吸収は、紫外光によるような電子励起ではなくレジストの振動励起によって生じ得る。いずれにせよ、レジストは測定光の一部分を吸収し、そしてシステム101は測定光線181’を含み、かつほとんど表面層34と周囲環境との間の境界38のみによって生じる測定波面を生成する。このような波面は境界38の空間特性、例えば表面39の幾何学的構造及び/又は位置に関する情報を伝達する。空間特性は、照明システム150の投影光学系の表面130のような照明システム150の一部分を基準として与えられる。
【0056】
特定の実施形態では、システム100は、基板32と層34との間の境界の表面36によって反射される1つの測定波面を実現し、かつ層34の表面と周囲環境との間の境界38により反射される測定波面を減衰または除去するように構成されている。境界38により反射される測定波面を、入射光、例えば測定光線181の偏光P及び入射角αを選択することにより減衰又は除去して、表面36により反射される測定光線181’’に対する測定光線181’の強度を最小化することができる。例えば、偏光Pを表面38での入射平面に平行になるように構成することができる。別の構成として、または組み合わせる形で、入射角αがブルースター角に等しくなるように構成することができ、ブルースター角は表面39による反射が前述の偏光で最小になる角度である。いずれにせよ、表面39による反射が小さくなるか、あるいは無くなり、そしてシステム101は、測定光線181’’を含み、かつほとんど基板32と表面層34との間の境界36のみによって生じる測定波面を生成する。このような波面は境界36の空間特性、例えば基板の表面36の幾何学的構造または位置に関する情報を伝達する。空間特性は、照明システム150の投影光学系の表面130のような照明システム150の一部分を基準として与えられる。
【0057】
表面36、表面39、または両方の表面に関する情報を含むか否かに拘らず、出力波面120はレンズ171及び撮像レンズ173を通過して観測画面、例えば試料表面160の画像190が形成されるCCD175のような2次元検出器に到達する。検出器175を斜めに傾けて焦点が検出画像に正しく結ばれるようにする。傾けることにより、試料表面160を斜角αで撮像することにより生じる画像190のフォアショートニング効果を低減することもできる。画像190は試料表面160の幾何学的構造に関連する干渉フリンジ情報を含む。このような構成では、これらのフリンジに関連する等価波長ΛがΛ=λ/cos(α)によって与えられ、λは波面104の公称波長である。
【0058】
本明細書において使用する「回折光学系」という用語は、回折格子、バイナリー・オプティクス、表面レリーフ回折レンズ(surface-relief diffractive lenses )、ホログラフィック光学素子、及びコンピュータ生成ホログラムを含むように用いられる。これらの素子は、透過の際、または反射の際にビーム・スプリッタ及びビーム・コンバイナとして機能することができる。これらの素子は不所望の回折次数、例えば0次透過光を抑制して散乱光を低減し、そして光効率を上げることができる。回折光学素子を作製する方法は、ダイアモンド加工、コヒーレント・ビーム干渉(ホログラフィ)、射出成形、及び最先端マイクロリソグラフィ法を含む。回折光学系はこの技術分野の当業者には、レンズ、プリズム、ミラー、及びプレート・ビーム・スプリッタのような屈折光学素子及び反射光学素子とは異なるものとして認識される。
【0059】
測定波面110’及び基準波面115が一緒になって出力波面120を形成する場合、測定波面110’及び基準波面115の重複部分は初期照射波面104のほぼ同じ部分から放出される。例えば、回折ビーム・コンバイナ170のポイント189で再合成される基準光線185及び測定光線181は、回折ビーム・スプリッタ105のほぼ同じポイント109から放出される。その結果、初期照射波面104の収差または空間的な非干渉性は、画像190に観察される干渉フリンジにほんの少ししか影響しない。更に別の結果として、ビーム拡大光学系103の小さな欠陥、または空気の乱れによる歪みは、画像190の解析にほんの少ししか影響しない。更に別の結果として、回折ビーム・スプリッタ105または回折ビーム・コンバイナ170から出力される光の相対パワー変動(フラットネス)のずれは、画像190に観察される干渉フリンジに小さくしか影響しない。
【0060】
システム101の更に別の特徴は、等価波長Λが光源111の波長λにほぼ無関係であるということである。これは、次のように理解することができる。システム101の構成及び回折格子の既知の特性から、入射角αがcos(α)=λ/Dによって与えられ、Dが回折ビーム・スプリッタ105及び回折ビーム・コンバイナ170の格子間隔、すなわち格子線の間の線形間隔であることが分かる。従って、等価波長Λ=Dとなる。このように、異なる光源波長λによって、格子間隔に等しい同じ等価波長Λが生成される。
【0061】
測定波面110が伝搬する光路は、基準波面115が伝搬する光路にほぼ等しい。これによってマルチモード・レーザ・ダイオードまたは他の素子の使用が容易になり、これらの素子は、素子が干渉計の光源として使用される場合に、シングル・モード・レーザまたはコヒーレンスが高く、スペクトル帯域が狭い他の素子、あるいは単色素子の不正なフリンジ・パターン及びスペックル雑音の影響を小さくするために十分な波長範囲、例えば波長範囲<0.1nmを有する。また、波面115及び110が伝搬する光路がほぼ等しくなることによって、この第1の実施形態は、レーザ励起モードの間で不意に発振するレーザ・ダイオードの問題となり得る、光源101の波長の不安定性の影響を受けないようになる。
【0062】
干渉データをシステム101から取得する一つの方法は位相シフト法であり、この位相シフト法では、多くの干渉状態を検出器175によって測定する。位相シフト・データは、測定ビームと基準ビームとの間のOPDを生じさせることにより取得することができる。このようなOPDは、格子線に直交する方向におけるように、複数の回折格子のうちの一つの回折格子を面内で並進させることにより生じさせることができる。
【0063】
OPDを生じさせる別の方法では、2つの格子の間の格子周期に小さな差を生じさせる。これによって、検出器の位置で干渉する2つの波面の間に傾きが生じ、空間的な搬送波を生じさせる干渉縞パターンが得られる。この場合、多くの方法のうちの一つの方法を使用して高さ情報を、検出器を1回だけ照射することにより取得することができる。例えば、フーリエ変換による位相測定を使用することができる。
【0064】
照明システム150に注目すると、照明光源152は光160を放出し、この光160をビーム・コンディショナ154が受信する。ビーム・コンディショナは調整済みビーム162を照明光学系156に振り向け、この照明光学系によって光164がマスクまたはレチクル158を透過し、オブジェクト30の境界38に投影光学系157を通って到達する。
【0065】
照明光源152は通常、紫外光源、例えば紫外線レーザ・ビームを放出するレーザである。特定の実施形態では、光源152は248ナノメートル(nm)、193nm、または157nmを含む波長を有する光160を放出する。光源152はパルス・レーザまたは連続波レーザとすることができる。ビーム・コンディショナ154は照明光源152から受信する光160を調整して、例えば所定断面を有するコリメート・ビーム162を生成する。例示としてのビーム調整には、例えば屈折光学系及び/又は反射光学系を用いることができ、これらの光学系については、S. Stantonらによる「フォトリソグラフィに使用するハイブリッド照明システム(Hybrid Illumination System for Use in Photolithography)」と題された米国特許第5,631,721号に記載されており、この文献を本明細書において参照することによりこの文献の内容全体が本発明の開示に含まれる。
【0066】
照明光学系156は調整済みの光162を受信し、そして光164を照射野として出力し、この照射野がマスクまたはレチクル158に当たる。光学系156は、均一な照度を有する照射野を供給し、かつ照射野のサイズが変化するときのレチクルでの照射野の角度分布及び特性を維持するように構成することができる。マスクまたはレチクル158は通常、オブジェクトに投影されるパターン、例えば回路パターンを含む。例えば、光学系156は、パターンの焦点をオブジェクトの一部分40iに合わせることができる。
【0067】
図3を参照し続けると、干渉計システム101は長い作業距離を境界38及び基準表面130の間に設けていることが分かる。作業距離とは、試料表面と、この表面に最も近接する光学部品との間の距離を指す。斜入射システム101における長い作業距離は、試料境界38または他の部品を傷付ける恐れがあることを気にすることなく、試料境界38を都合の良いように位置させることができることを意味する。
【0068】
本明細書において説明する全ての干渉計システムのように、システム100は位置決めステージ119を含むことができ、このステージ119は、オブジェクト30の位置を別のオブジェクトに対して、例えば照明システム150の投影光学系の表面130に対して決めるように構成されている。干渉計システム101が取得するデータをフィードバックする形でコンピュータが制御するステージ119は、並進及び回転位置決めを行ってオブジェクト30が他のオブジェクトと所望の空間的な位置関係を有するようにする。例えば、表面39またはその表面の一部分40iによって反射される波面から得られる干渉データに基づいて、システム100はオブジェクト30を移動させて、表面39またはその表面の一部分40iが表面130と所望の空間的な位置関係を有する、例えば表面に平行になる、かつ/もしくは表面から所定の距離に位置するようにする。システム100はオブジェクト30を移動させて、表面36と表面130との間に同様の空間的な位置関係が生じるようにする。
【0069】
図4を参照すると、複数の境界を有するオブジェクトの空間特性を求めるために使用することができる斜入射干渉計の別の例である低コヒーレンス干渉計システム250が示されている。本実施形態では、光学系を備える低コヒーレンス干渉計を含むシステムは、そのシステムが小さな設置面積を占有するようにコンパクトに構成可能であり、かつオブジェクトを操作するために使用する他のシステムと連動する形で使用可能である。
【0070】
システム250はオブジェクト252の空間特性を、オブジェクトに光を斜入射角で照射することにより求める。システム250は光源254を含み、この光源は光ビーム255を放出する広帯域及び/又は広がった光源とすることができる。光源の例として、550nmの中心波長及び120nmの半値幅(FWHM)を有する白色光LED及び200nmの半値幅(FWHM)を有するキセノン・アーク・ランプを挙げることができる。一般的に、ビーム255の中心波長に対する光ビーム255のFWHMの比は少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、例えば少なくとも20%である。
【0071】
ビーム255は光学系、例えばレンズ256が受信し、このレンズ256によってコリメート・ビーム257が得られる。レンズ265の焦点距離は(図示の実施形態では)150mmであり、この値は0.004の照明開口数に対応する。ビーム・スプリッタ258はビーム257を測定ビーム259及び基準ビーム261に分離する。測定ビーム259はミラー262によって反射され、そしてオブジェクト252に斜入射角αで衝突する。例えば、オブジェクト252は、フォトリソグラフィ・システムにより照射されるフォトレジストの付いたウェハとすることができる。システム250は、オブジェクト252の表面に対して25×80mmの視野範囲を有する。
【0072】
オブジェクト252によって反射される光263はビーム・スプリッタ264が受信する。測定ビームの光路には補償板260が位置することができ、この補償板を使用して測定ビームが高密度媒質、例えばガラスを通って伝搬する距離を変更する、かつ/もしくはビーム259の横方向変位を変更することができる。図4を参照すると、ビーム259及び263はX−Y平面に平行な平面を形成することが分かる。
【0073】
ビーム・スプリッタ264は光263及び基準ビーム261を合成してビーム265を形成し、このビーム265は検出器、例えば複数の検出素子、例えば画素を有する撮像検出器276によって検出される。撮像光学系、例えばテレセントリック光学系272,274はビーム265を検出器276に撮像して異なる画素がオブジェクト252の異なるポイントに対応する光を検出するようにする。基準ビーム261は、ミラー276,270、及び補償板260と同じ機能を実現する補償板268が位置する経路に沿って伝搬することができる。
【0074】
システム250を、ビーム259がビーム・スプリッタ258と264との間で伝搬する光路長が、基準ビーム261がビーム・スプリッタ258と264との間で伝搬する光路長と同じになるように構成することができる。従って、ビーム259と261との間の光路差(OPD)は無視できるか、あるいはゼロとすることができる。干渉は、複数のビームの間のOPDが検出光のコヒーレンス長よりも短い場合に観察される。更に、システム250を、ビーム259,261を光路長差範囲に渡って検出するように構成することができる。例えば、システム250を、ビーム259,261のうちの一方が最初に長い光路を伝搬するように構成することができる。次に、システム250は、少なくとも一つの部品を動かして、例えばOPDがゼロになるまで、あるいは他方のビームが長い光路を伝搬するようになるまで、OPDを掃引する。特定の実施形態では、システム252はビーム259,261を、少なくとも検出器276が検出する光のコヒーレンス長と同じ長さだけ変化するOPD範囲に渡って検出する。検出器276の異なる検出素子は干渉信号をOPDの関数として記録する。干渉信号は、包絡線によって変調される一つ以上の干渉パターンを含むことによって干渉信号90に類似したものとなり得る。干渉信号をシステム50に関して説明した方法で解析してオブジェクトの空間特性、例えばフォトレジスト層の外側表面の空間特性を求めることができる。
【0075】
光源254は広がった光源であるので、OPDが、光源の画像を光学系272,274の瞳面276’に形成する基準ビーム261及び測定ビーム259に跨がる位置の関数として変化するようにシステム250の配置をずらすことができる。このような配置ずれの状態では、基準経路及び測定経路の光軸は平行にすることができるが、同じ領域を占有することができない、例えば平行であるが横方向にずれる。これによって、照射光束が横方向にずれる。約50μmのXY平面でのずれによって、フリンジ・コントラストが50%小さくなる。このようなフリンジ・コントラストの低下を小さくするか、あるいは無くすために、システム250の配置を調整して横方向ずれを10μm以下、5μm以下、例えば2μm以下とすることができる。
【0076】
コントラスト低下の別の原因は、ビーム263がその伝搬軸の周りに回転し、ビーム261がその伝搬軸の周りに該当する回転を起こさないことにある。ビーム263の回転は、オブジェクトがオブジェクトを通って延びる軸Uの周りを回転することにより生じる。実際、横方向ずれを小さくしようと配置を調整することによってこのような回転が生じる。軸Uはビーム259及び263によって定義される平面に位置する。軸Vはビーム259及び263によって定義される平面の法線である。オブジェクト252がU軸またはV軸の周りに傾くと、光源の画像が瞳面276’で横方向に変位する。しかしながら、U軸の周りに傾くと、ビーム263がその軸の周りに回転するようにもなる。
【0077】
図5a及び5bを参照しながら、斜入射干渉計250の基準経路に沿って伝搬する光が形成する光源254の画像○及び測定経路に沿って伝搬する光が形成する光源254の画像◇の相対変位のシミュレーションについて説明する。光源の画像は、テレセントリック光学系272,274の瞳面276’でビーム261,263によって形成される。シミュレーションは、オブジェクトに、開口数が0.004のレンズを使用して80°の入射角で入射する光に関するものである。図5aでは、基準経路及び測定経路に関する画像はオブジェクトがU軸の周りに0.5°回転することによって生じる変位を示している。測定経路の画像◇は、基準経路の画像○に対して横方向に0.44mmだけシフトしている。図5bでは、測定経路の画像における剛体運動を差し引いて変位ベクトルを取得するが、これらのベクトルはビーム263が横方向変位の他に、ビーム261に対して0.96°だけ回転していることを示している。オブジェクトによる反射によって得られる画像の最大水平方向変位及び最大垂直方向変位は約±21μmであり、この値は0.44mmシフトの約±5%である。回転によって±5%の変化が、検出される干渉フリンジの間隔及び向きに生じる。従って、オブジェクトがU軸の周りに傾くことによって生じる回転によって、大きなコントラスト変化が検出器の視野範囲に生じる。システム250の配置を最小の横方向ずれ及び回転ずれになるように、例えばシステムの基準経路及び測定経路の各セグメントの光軸を同じ平面内に納めることにより調整することができる。オブジェクトの焦点ボケは低開口数の干渉計のフリンジ・コントラストには(1次近似では)影響しない。
【0078】
図6を参照すると、低コヒーレンス干渉計システム200はオブジェクトの空間特性を、オブジェクトを斜入射角で照射することにより求める。システム200は、測定経路及び基準経路を有する低コヒーレンス干渉計を含む。以下に説明するように、オプティカル・フラット・ペアはビーム・スプリッタ及びビーム・コンバイナとして機能する。基準経路に沿って伝搬する光はこれらのオプティカル・フラットの間のギャップを伝搬する。測定経路に沿って伝搬する光はこれらのオプティカル・フラットの間のギャップから出てギャップに再入射する前にオブジェクトによって反射される。
【0079】
システム200は光源202を含み、この光源は広帯域光源及び/又は広がった光源とすることができる。光源202はビーム204を生成する。光学系206はビーム204を受信し、そしてコリメート・ビーム207を出力し、このコリメート・ビーム207は、離間するオプティカル・フラット・ペア208,210に衝突する。ビーム207はフラット208によって屈折し、そしてギャップ233を通過し、更にフラット210に位置235’で衝突する。ギャップ233はフラット208,210のいずれとも異なる屈折率を有する。特定の実施形態では、ギャップ233は、気体、例えば空気、液体、例えば水を含むか、あるいは真空である。フラット208,210はガラスまたは溶融シリカのような任意の適切な光学媒質により作製することができる。
【0080】
ビーム207の部分220は位置235’でフラット210によって反射される。ビーム207の部分222は位置235’でフラット210によって屈折し、そしてオブジェクト30に斜入射角αで衝突する。ビーム222はオブジェクト30によって反射され、そしてフラット210に衝突し、更にフラット210によって屈折する。例えば、オブジェクト30はフォトリソグラフィ・システムにより照射されるフォトレジストの付いたウェハとすることができる。オブジェクト30によって反射されるビーム222、及びビーム220は、フラット210の位置235’’で合成されてギャップ233内部で合成ビーム224を形成する。合成ビームはフラット208に衝突し、そしてフラット208によって屈折する。撮像光学系226,228は、合成ビームを検出器230に撮像し、この検出器は、複数の画素を含む2次元撮像検出器とすることができる。検出器230の各画素はオブジェクト30の異なるポイントにより反射される光を検出する。従って、異なる画素はオブジェクト30の異なる部分の空間特性の影響を受ける干渉信号を検出することができる。
【0081】
システム200は基準経路及び測定経路を含む。ビーム220は位置235’と位置235’’との間の基準光路を伝搬する。ビーム222は位置235’と位置235’’との間の測定光路を伝搬する。基準光路と測定光路との間のOPD差は幾つかの方法により変化させることができる。特定の実施形態では、システム200は、ギャップ233の厚さを変えるように構成されている複数の圧電スペーサ237を含む。これらのスペーサ237によってギャップ233が変化するので、検出器230はオブジェクト30の複数ポイントを含む画像を検出する。OPDは、オブジェクト30をフラット208,210に対して動かすことにより掃引することもできる。
【0082】
特定の実施形態では、OPDは、フラット208,210のうちの少なくとも一つ、例えばフラット208にウェッジ(wedge )を付けることにより生じさせることができる。このようなウェッジが付いたフラットの上側表面及び下側表面は平行にならない。ウェッジが付くことにより、測定ビーム222に対して基準ビーム220の波面が傾く。従って、合成ビーム224は空間的な干渉パターンを検出器230において形成する。空間的な干渉パターンを処理して、X軸に平行に直線状に並んだ複数のポイントの上の表面38の高さを求めることができる。従って、1つの検出器によってデータを取得する場合において、システム200はオブジェクト30に関する空間情報を提供することができる。更に、オブジェクト30のシステム200に対する位置を、空間的な干渉パターンの最大干渉コントラストの横方向位置をモニターすることにより正確に決めることができる。
【0083】
OPDを掃引することにより変えて、空間的な干渉パターンを形成するか否かに拘らず、合成ビーム224を、検出光のコヒーレンス長と少なくとも同じ長さのOPD範囲に渡って検出することができる。従って、システム200は、干渉信号90に関して説明した光のコヒーレンス長を示す包絡線により変調される干渉パターンを検出することができる。システム200を使用して得られる干渉パターンを、本明細書の他の箇所で説明した方法で解析してオブジェクトの空間特性を求めることができる。
【0084】
オプティカル・フラット208,210は光学特性及び機械特性を有し、これらの特性によってシステム200はオブジェクト30の所望の視野範囲、例えば100mm×100mmを撮像することができる。特定の実施形態では、フラットは溶融シリカにより作製され、かつ少なくとも2mm、少なくとも5mm、例えば少なくとも10mmの厚さを有する。
【0085】
オプティカル・フラット208,210の表面に変更を加えて、各フラットによって反射されるか、あるいは屈折する光の量を求めることができる。例えば、オプティカル・フラット208,210の部分230に、反射防止コーティングを使用して変更を加えることができ、この反射防止コーティングは、反射光量よりも屈折光量が多くなるように構成されている。コーティングは、光源202の発光スペクトルに一致する広帯域コーティングとすることができる。オプティカル・フラットの部分235に入射する光には反射及び屈折の両方が生じる。従って、部分235にコーティングを行なわないか、あるいはコーティングして所望の反射及び屈折比を実現することができる。オプティカル・フラット208の部分231は高反射率の材料、例えば金属または誘電体コーティングを有することができる。
【0086】
本明細書において説明する斜入射干渉計を使用して干渉計に対するオブジェクトの正確な位置を求めることができる。干渉計の基準経路及び測定経路は三角測量センサとして動作する。斜入射干渉計を三角測量センサとして動作させるために、アパーチャ、例えばスリットを照明光学系に配置してアパーチャがオブジェクト表面に撮像されるようにする。干渉計101(図3)はこのようなアパーチャ96を備えるものとして示されるが、本明細書において説明するいずれの干渉計にもこのような変更を加えることができる。
【0087】
アパーチャは顕微鏡の視野絞りとして機能する。図7aを参照すると、アパーチャの第1及び第2画像200a,201aが干渉計の検出器に撮像される様子が示される。画像200aは、オブジェクトにより反射される光に対応するオブジェクト画像である。画像201aは、干渉計の基準経路に沿って伝搬する光に対応する基準画像である。アパーチャは、画像200a,201aが検出器の視野範囲の一部しか占有することがないように十分に小さい。オブジェクトの干渉計に対する位置は、干渉計101のステージ機構、例えば並進ステージ119によって決められ、この並進ステージ119は、ステージ自体の法線に沿って正確に変位することができる。
【0088】
画像200a,201aが最初に記録される場合、オブジェクトの位置は通常、測定経路及び基準経路のOPDがゼロになるように決められる訳ではない。従って、画像200a,201aは図7aに示すように互いから離間する。オブジェクト及び干渉計の相対位置は、例えばオブジェクトをその法線に沿って変位させることにより変更する。オブジェクトの変位は、並進ステージの動きに基づいて正確かつ高精度に認識される。次に、第2の画像ペア200b(第2オブジェクト画像),201b(第2基準画像)が得られる。
【0089】
画像200a,201a(図7a)を含む検出信号及び画像200b,201b(図7b)を含む検出信号を処理して、2つの検出信号のオブジェクト画像200a,200bの位置を相関させる。例えば、オブジェクト画像200a,200bの相対位置を、検出器の空間単位(例えば画素数)で求めることができる。オブジェクト変位の関数としてのオブジェクト画像変位は、画像200a,200bの相対位置から求めることができる。一旦、オブジェクト画像の変位とオブジェクトの変位との間の関係が求まると、オブジェクト画像200bと基準画像201bとの間の変位が求まる。次に、オブジェクトをゼロOPDの位置(この位置で、オブジェクト画像及び基準画像が重なる)にまで、画像200bと201bとの間の変位、及びオブジェクト画像の変位とオブジェクトの変位との間の関係に基づいて並進させることができる。
【0090】
これらのステップを行なった結果として、オブジェクトの干渉計に対する位置を、オブジェクト表面の正確な位置が干渉パターンのフリンジ間隔の数分の1よりも良好な精度で認識される形で決めることができる。斜入射干渉計を、スリットを取り外すことにより切り替えて干渉モードに戻すことができる。次に、オブジェクト表面の位置決めの精度を、本明細書に記載する干渉信号を使用して上げることができる。オブジェクト画像及び基準画像に基づく三角測量はオブジェクトの傾きの影響を受けない。何故なら、オブジェクト表面が検出器に撮像されるからである。
【0091】
図8a及び8bを参照すると、光学システム400は、基板と基板を被覆する層との間の境界により拡散散乱される光を撮像するように構成されている。拡散散乱光を撮像することにより、光学システムはオブジェクトの外側表面ではなく境界の空間特性の影響を受ける。システム400を使用して、薄膜を有する基板のフォトリソグラフィ・システムに対する位置を決めることができる。
【0092】
光学システム400は、構造化光投影装置(structured light projector)408を含み、この投影装置408は光パターン402をオブジェクトに投影し、更にテレセントリック撮像システム406を含み、この撮像システム406はパターン402を検出器420に撮像する。撮像システム406は、境界36または38により正反射される光407を避ける角度で生じるオブジェクトからの光を検出する。例えば、システム406は、光407に対して角度αの方向に揃った光軸にほぼ沿って拡散散乱される光409を検出することができる。
【0093】
拡散散乱は基板32のパターニング形状29により生じる。このような形状は光の波長に対して小さく、例えば1μm以下または0.5μm以下にすることができる。しかしながら、層34の上面39は平滑となり易い。従って、拡散散乱を基板−層の境界36に対して局在化させることができる。オブジェクトの上面39及びオブジェクト内部の各個々の境界、例えば境界36は照射光を入射角に対して、撮像システムの入射瞳から離れる正反射の方向に反射する。従って、拡散散乱光409は検出光の主成分であり、システム350は、基板−層の境界を示す空間情報を、検出される拡散散乱光に基づいて提供することができる。
【0094】
図示の実施形態では、構造化光投影装置404は光源408を含むマイケルソン干渉計(Michelson interferometer)であり、この干渉計は光ビーム411を放出し、この光ビーム411は光学系410、例えば光源408から光学系の焦点距離に位置するレンズによってコリメートされる。特定の実施形態では、光源408は、発光ダイオードのような広帯域光源及び/又は空間的に広がった光源である。光源408は、狭帯域光源、または以下に説明するように、狭帯域と広帯域との間の切り替えが可能な光源としてもよい。ビーム・スプリッタ415は光ビーム411を第1及び第2部分に分離し、これらの部分はミラー412及び414によりそれぞれ反射される。ビーム・スプリッタ415は第1及び第2部分の少なくとも幾つかの光を再合成して合成ビーム417を形成する。
【0095】
テレセントリックなリレー光学系416は合成ビーム417を中継してオブジェクトを斜入射角αで照射する。合成ビーム417の第1及び第2部分はオブジェクトに、オブジェクトを横切る位置によって異なってくるOPDを生じる形で衝突する(図8b)。従って、合成ビームの第1及び第2部分はウェハ表面36で干渉して干渉フリンジ、すなわちパターン402を形成する。干渉フリンジは、光源408が広帯域光源及び/又は空間的に広がった光源であっても観察することができる。何故なら、合成ビーム417の第1及び第2部分は、ビーム・スプリッタ415とオブジェクトとの間で同じ光路長を有することができるからである。光源は抜群の非干渉性を有するので、パターン402及び検出画像には干渉アーチファクト(スペックル)が生じない。構造化光投影装置404はパターンを干渉フリンジに基づいて形成するが、投影装置はパターンを、干渉を利用せずに画像を投影してパターン形状を形成することにより形成することができる。
【0096】
図8a及び8bに戻って同図を参照すると、パターン光投射装置によって形成されるフリンジはオブジェクトのx軸に平行に延び、かつオブジェクトのy軸に沿って離間する様子が示されている。フリンジからの拡散散乱光409が、CCDのような2次元検出器とすることができる検出器420に撮像される。幾つかのアプローチを使用してオブジェクトの空間特性を検出フリンジに基づいて求めることができる。
【0097】
空間的な搬送波を生じさせるアプローチでは、検出器は通常、複数の平行フリンジを検出するように構成され、例えばこれらのフリンジ402を検出器の全視野範囲に渡って投影する。高さの変化(基板の段差または表面不連続性のような)によってフリンジの位相がシフトする。図8bを参照すると、複数のフリンジの間の間隔Δsは光ビーム417の波長及び入射角αの関数である。オブジェクト及びビーム417が互いに対して固定されていても、入射角αは表面形状の関数として変化する。特に、フリンジ間隔Δsは、境界36の各部分に関して小さくなるか、あるいは大きくなり、これらの部分はそれぞれビーム417に向かって、あるいは離れる方向に傾いて、角度αを増大させるか、あるいは減少させる。従って、オブジェクトの空間特性はパターン402の1つの画像だけに基づいて求めることができる。
【0098】
空間的な搬送波を生じさせる実施形態では、パターン402の一つ以上の検出画像が得られる。表面の検出部分の空間特性、例えば基板の一つ以上のポイントの高さは、フリンジ402に基づいて、例えば間隔Δsに基づいて求められる。検出画像は、例えばFDAを使用し、画像変換を通して、あるいは直接、画像自体に基づいて解析することができる。例えば、間隔Δsを検出フリンジから直接求め、そしてオブジェクトの幾何学的構造に関連付けることができる。
【0099】
位相をシフトさせるアプローチでは、パターン402をオブジェクトを横切る形でシフトさせながら、パターンを検出器に複数回照射してパターンを記録する。パターンは、例えば合成ビームの第1及び第2部分のうちの一方の光路長を変更することによりシフトさせることができる。例えば、ミラー412,414のうちの一方を並進させるか、あるいは圧電変換器を使用して傾けることができる。基板の多くのポイントの各々から検出される光の位相は基板の幾何学的構造を示す。
【0100】
境界36の空間特性を投影パターン402に基づいて求めるために適する例示としてのアプローチについては、D. Robinson, G. Reid(編者)による「インターフェログラム解析:デジタル・フリンジ・パターン測定法(Interferogram analysis: digital fringe pattern measurement techniques )」(IOP Publishing, 1993)に記載されており、この文献を本明細書において参照することによりこの文献の内容が本発明の開示に含まれる。
【0101】
特定の実施形態では、素子350を広帯域光源及び/又は空間的に広がった光源である光源を使用して動作させる。この場合、時間的及び空間的コヒーレンスの包絡線によってパターン402のフリンジ振幅が変調される。包絡線によってフリンジは通常、検出器406の視野範囲の内部でも変調される。従って、検出器420は複数の平行フリンジを撮像し、この場合、各フリンジはx軸に平行に延び、かつ各フリンジは隣接フリンジとは異なる強度を有する。包絡線の最大値は合成ビームの第1部分と第2部分との間のOPDがゼロになる位置に対応する。検出フリンジに対する包絡線の最大値の位置は、オブジェクトの正確な位置及び向きを示す。従って、包絡線の最大値を使用してシステム350に対するオブジェクトの位置を正確に特定することができる。
【0102】
特定の実施形態では、システム400は基準表面427を含み、この基準表面427をオブジェクト30に隣接して、かつ表面35または表面39とほぼ同じ高さに位置させることができる。オブジェクト30及び基準表面427は並進ステージ119で固定することができる。基準表面は、光を拡散散乱するように構成可能である。例えば、基準表面をエッチングされたガラス表面またはすりガラス表面とすることができる。基準表面を使用する場合、システム350は通常、広帯域光源によって動作するので変調包絡線が得られる。基準表面427の位置は、パターンが基準表面に投影され、そして検出器によって撮像されるように決められる。ステージ119(及び、従って基準表面427)の位置は、包絡線最大値が観察フリンジ・パターンと所定の関係を有する、例えば観察フリンジ・パターンの中心に位置するように決められる。次に、オブジェクト30を検出器の視野範囲に並進させる。残りのフリンジに対する包絡線最大値の位置の変化は、基準表面とオブジェクト30との間の高さの差を示す。ステージを移動させて包絡線最大値が再度、観察フリンジ・パターンと所定の関係となるようにすることができる。従って、オブジェクトの位置を基準表面に対して正確に決めることができる。
【0103】
特定の実施形態では、システム400の光源を広帯域スペクトル光源と狭帯域スペクトル光源との間で切り替えることができる。広帯域光源は既に説明したように動作して振幅変調干渉パターンを生成し、このパターンは検出器の視野範囲の内部でも変化する。オブジェクトの位置を干渉パターンの最大値の位置に基づいて決め、OPDがゼロになる位置がオブジェクトの所定部分に一致するようにする。従って、オブジェクトの位置をシステム400に対して正確に決めることができる。一旦、オブジェクトの位置を決めてしまうと、システム400の光源を狭帯域光源に切り替えて、光源が、フリンジが検出器の視野範囲の内部ではほとんど変調されない十分な長さのコヒーレンス長を有するようにする。フリンジの特性を解析してオブジェクトの空間特性を求める。システムでは、スペクトル・フィルタを使用してビーム411を狭帯域光と広帯域光との間で切り替えることができる。
【0104】
図9a及び9bを参照すると、干渉計システム50は低コヒーレンス干渉信号をオブジェクト30、及び被覆層が全く無いオブジェクトまたは複数の被覆層を含むオブジェクトのような他のオブジェクトから取得することができることが示されている。システム50はオブジェクトの複数のポイントを第1の次元に延びる照射ストライプで照射し、そして各ポイントから生じる干渉パターンを検出する。干渉パターンは検出器の第1の次元に沿って延び、かつ検出器の第2の次元に沿って離間する。従って、システム50は干渉パターンを、構成要素を動かして光路長差を変えるという操作を全く行なうことなく、取得することができる。必ずしも斜入射モードで動作することはないが、システム50は干渉信号を短時間で複数のオブジェクト・ポイントから取得することができ、これによりオブジェクトに対して他の処理ステップを実施することができる。
【0105】
光源、例えば光源52はX軸に平行な方向に延びる光ビーム54を放出する。光源52は、光源の公称波長の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%である半値幅(FWHM)の帯域を有する広帯域光源とすることができる。特定の実施形態では、光源52は、約300nmと約1000nmとの間、例えば約500nmと約600nmとの間の公称波長を有する。
【0106】
ビーム54を円柱レンズL1が受信し、このレンズL1はX軸に平行な長軸及びY軸に平行な短軸を有する。レンズL1はビーム54をY−Z平面でコリメートし、そしてコリメート・ビーム55を透過してビーム・スプリッタB1に入射させ、このビーム・スプリッタB1はコリメート・ビーム55の第1部分を円柱レンズL2に向けて反射し、そしてコリメート・ビーム55の第2部分を透過して円柱レンズL3に入射させる。ビーム・スプリッタB1は通常、非偏光特性を有する。レンズL2はX軸に平行な長軸及びZ軸に平行な短軸を有する。レンズL3はX軸に平行な長軸及びY軸に平行な短軸を有する。
【0107】
図9aを参照すると、レンズL2はビーム・スプリッタB1から受信するコリメート・ビームの反射部分の焦点をオブジェクト30に、X軸に平行な細長いオブジェクトの焦点像、例えば照射ライン67として当てる。照射ライン67の長軸に直交する方向(Y軸に平行な)の照射ラインの寸法に対する照射ライン67の長軸に沿った(X軸に平行な)照射ラインの寸法の比は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、例えば少なくとも100とすることができる。照射ライン67のこのような寸法は、最大照度の25%に対応する位置に基づいて求めることができる。照射ライン67は通常、均一であるか、あるいはラインの長さに沿って徐々に照度が変化し、そしてオブジェクト30の複数のポイントを照射する。これらのポイントは、オブジェクト30が照射される次元、例えばX軸に沿って離間するものと考えることができる。
【0108】
図9aによれば、オブジェクト30により反射される光、例えば境界36及び/又は表面39により反射される光はレンズL2により受信され、このレンズL2が反射光をY−Z平面でコリメートし、そしてコリメート光を透過してビーム・スプリッタB1に入射させ、このビーム・スプリッタB1がその光の一部分を透過して、通常非偏光性を有するビーム・スプリッタB2に入射させる。ビーム・スプリッタB1を通過し、オブジェクト30によって反射され、そしてビーム・スプリッタB2に入射する光は測定光路を伝搬する。
【0109】
ビーム・スプリッタB1を透過するコリメート・ビームの第2部分はレンズL3により受信され、このレンズL3は収束ビームを透過して90°ルーフ・ミラー62に入射させる。この収束ビームは焦点f1に到達し、この焦点f1は通常、細長であり、かつX軸に平行に延びる。ルーフ・ミラー62は発散ビームを円柱レンズL4に入射させ、この円柱レンズL4はX軸の方向に向いた長軸及びY軸の方向に向いた短軸を有する。レンズL4はY−Z平面でコリメートしたビームを透過してビーム・スプリッタB2に入射させる。レンズL2,L3,及びL4は同じ光学特性、例えば焦点距離を有する。システム50のレンズ及び他の光学系は色収差が生じないようにすることができる。ビーム・スプリッタB1を通過し、そしてルーフ・ミラー62を通過してビーム・スプリッタB2に入射する光は基準光路を伝搬する。測定光路によって、システム50の干渉計89の測定経路が定義される。基準光路によって、システム50の干渉計89の基準経路が定義される。
【0110】
ビーム・スプリッタB2は、干渉計89の測定経路及び基準経路からの光を合成し、そして合成光59を透過させる。合成光59を構成する測定経路及び基準経路の両方の光がY−Z平面でコリメートされる。ビーム59はX−Z平面で発散することができる。円柱レンズL5は合成ビーム59を受信し、そして光を検出器に集光し、この検出器は通常、Y軸に沿って延びる行及びX軸に沿って延びる列に配列される複数の画素73を含む2次元検出器71である。異なる列は異なるY座標値を有する。異なる行は異なるX座標値を有する。検出器71は電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device )または他の撮像検出器とすることができる。レンズL5はY軸方向に向いた長軸及びZ軸方向に向いた短軸を有する。従って、レンズL5はY−Z平面よりもX−Z平面において非常に大きな集光パワーを有する、例えばレンズL5はY−Z平面には集光パワーをほとんど持たない。
【0111】
図10を参照すると、干渉計50が測定経路及び基準経路の光を検出器71に撮像する様子が示されている。オブジェクト30の各照射ポイントにより反射される光は細長い焦点像、例えば検出ラインとして撮像される。例えば、照射ポイント81aからの光は、該当する細長い焦点像81bに検出器71の画素行83に沿って撮像され、そして照射ポイント85aからの光は、該当する細長い焦点像85bとして検出器71の画素行87に沿って撮像される。基準経路の焦点f1からの光は基準焦点像99として撮像され、この基準焦点像99は、オブジェクト30の複数の照射ポイントに対応する複数の細長い焦点像に重なる。
【0112】
細長い各焦点像81b,85bの長軸に直交する(X軸に平行な)各焦点像の寸法に対する細長い各焦点像81b,85bの長軸に沿った(Y軸に平行な)各焦点像の寸法の比は少なくとも5、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、例えば少なくとも100とすることができる。図10から分かるように、オブジェクト30の照射寸法に沿って離間する複数のポイントに対応するこれらの細長い焦点像は、検出器71が検出を行なう第1の次元に沿って離間する、例えば離間ポイント81a,85aに対応する細長い焦点像81b,85bは異なる画素行73に撮像され、かつ検出器71のX軸に沿って離間する。細長い各焦点像の長軸は、検出が行なわれる第1の次元にほぼ直交する第2の次元に沿って延びる、例えば細長い焦点像81b,85bは、複数の画素列73に跨って延び、かつ検出器71のY軸に沿って延びる。従って、干渉計50は、オブジェクトの照射寸法に沿って延びる複数のポイントにより反射される光を2次元画像として撮像することができる。照射寸法に沿って離間する照射ポイントは、画像の第1の次元に沿って離間し、かつ画像の第2の次元に沿って延びる細長い焦点像として撮像される。
【0113】
図9aに戻って同図を参照すると、干渉計89の基準経路及び測定経路は、レンズL1〜L5が干渉計89の光路に対して中心に位置する場合に、ほぼ等しい経路長を有するように構成することができる様子が示される。経路長が等しい状態では、細長い焦点像81b,85bと基準焦点像99との間のOPDは、検出器71の行に沿って一定となるようにすることができる(図10)。1よりも大きい屈折率を有する光媒質、例えばシリカまたはガラス・プレート97の位置を、ビーム・スプリッタB1,B2とレンズL3,L4との間の基準光路に沿って決めてこのような媒質中の2つの干渉計経路の光路を一致させることができる。
【0114】
特定の実施形態では、干渉計89の測定経路と基準経路との間にOPDを、レンズL4を大きさΔdだけ基準光路に直交する方向に並進させる、例えばレンズL4をZ軸に平行に並進させることにより生じさせる(図9a)。光学系、例えばレンズL4を基準光路に直交する方向に並進させることにより、基準経路に沿って通過するビームを変位させる、例えば基準経路に沿って通過するビームに対して角度θだけ、このような並進が生じない状態で傾ける、例えば基準ビームを真の基準光路に対して変位させることができる。角度θの変位は1つの平面、例えばX−Y平面に収めることができる。
【0115】
基準ビームの角度が変位すると、細長い各焦点像81b,85bと基準焦点像99との間のOPDが変化する。詳細には、測定光路と基準光路との間のOPDは、検出器の細長い各焦点像の長軸に沿って、例えば細長い焦点像81b,85bに沿って変化する。例えば、検出器71の列91に撮像される光の測定光路と基準光路との間のOPDは、列93に撮像される光に関するOPDとは異なる(図10)。従って、図示の実施形態では、測定光路と基準光路との間のOPDは、検出器71のY座標値の関数として変化する。特定の実施形態では、OPDはY座標値の線形関数である、例えばOPDは、光が撮像される検出器71の列の線形関数である。例えば、図10によれば、OPDは、検出器71の行に沿って、従って細長い焦点像81b,85bの長い方の寸法に沿って、例えば線形に変化する。オブジェクト30の各照射ポイントに対応する細長い焦点像の長軸は、ほぼ検出器の行に沿って延びるので、各行の画素は、一つ以上の干渉パターンを含む干渉信号を蓄積する。通常、干渉信号の各干渉パターンは、オブジェクトの特定の境界から生じる。所定の行に沿った各列の検出画素は異なるOPDに対応する。従って、検出器の一方の次元は一直線に並んだオブジェクト・ポジションに対応し、他方の次元は、各オブジェクト・ポイントによって生成される干渉パターンの複数の位相シフト・サンプルとなる。オブジェクトをY方向にスキャンすることによって、オブジェクト表面全体の形状を連続的に求めることができる。
【0116】
図2に戻って同図を参照すると、干渉信号90は、検出器71の行に沿った、例えばオブジェクト30のポイント81aの検出行83に沿った複数の画素によって検出される光の照度変化の例であることが分かる。一つの行に沿って検出される光のOPD差は、検出光のコヒーレンス長と少なくとも同じ長さだけ変化することができる。例えば、図示のように、一つ以上の行の画素に沿って検出される光路差の範囲は、一つ以上の検出干渉パターンの各々を変調する包絡線の半値幅よりも大きくなり得る。干渉信号のコヒーレンスが低いので、システム50に対するポイント81aの位置及び/又は高さは正確に求めることができる。
【0117】
システム50を用いて得られる干渉信号は異なるオブジェクト・ポイントに関して空間的に拡散するので、検出器を1回照射するだけで、オブジェクト表面の一直線に並ぶポイント全ての形状を求めることができる。一旦、最初にオブジェクト30を照射ライン67の焦点に合わせてしまうと、オブジェクト30の第1の次元に沿って離間する複数のポイントの各々に関する干渉パターンは、システム50のどの部分も動かすことなく取得することができる。従って、特定の実施形態では、干渉計89は可動部分を持たないか、あるいは複数の離間オブジェクト・ポイントの各々から干渉パターンを取得している間にどの部分も動かすことがなく、かつ堅牢な、または固定のアセンブリとして作製することができる。
【0118】
オブジェクト30に対する照射角度範囲は、干渉計89の光学系の焦点距離を長くすることにより任意に小さくすることができる。従って、入射角に関連するオブジェクト表面の光学特性の変化を効果的に小さくするか、あるいは無くすことができる。各検出干渉パターンは、測定経路または基準経路の光路を連続的に変化させる場合に1つの検出画素において検出される信号と等価である。
【0119】
上述したように、測定ビームと基準ビームとの間のOPDは、基準ビームの光路の中心に対して光学系、例えばレンズL4をずらすことにより実現することができる。特定の実施形態において、光路差を実現する操作では、ルーフ・ミラー62を調整して基準ビームに角度変位を生じさせる。特定の実施形態において、OPDを実現する操作では、ビーム・スプリッタB2をX軸の周りに回転させるか、あるいは傾ける。図11a及び11bを参照すると、システム50は、特定の実施形態では、測定ビームに対する基準ビームの波面反転を少なくするか、あるいは無くすように構成されることが分かる。波面反転は、同じ回数の反射を干渉計の各経路に生じさせるか、あるいは干渉計の複数の経路にも生じさせることにより少なくするか、あるいは無くすことができる。図11aから分かるように、ルーフ・プリズム62によって生じる波面反転は、反射時のビーム77a,77bの反転により確認される。図11bから分かるように、3つのミラー・リフレクタ62bによっては、ビーム77c,77dの光路から分かるように波面反転は生じない。波面反転を少なくすることにより干渉計89の精度を上げることができる。
【0120】
図9aに戻って同図を参照すると、光源52はスリット57を含むことができ、このスリットはX軸にほぼ平行に延びる方向に長い寸法を有する。スリット57のY方向の投影幅は、システム50のY方向の横解像度を決定し、レンズL5のX方向の開口数はX方向の横解像度を決定する。スリット57は、例えばメカニカル・アパーチャまたは1次元ファイバ・アレイにより定義可能である。特定の実施形態では、光源52は、照射ビームの発散をXZ平面に限定するための空間フィルタを含む。例示としての空間フィルタはスリット61及びテレセントリック・レンズ80a,80bを含み、スリットは、Z軸にほぼ平行に延びる方向に長い寸法を有し、テレセントリック・レンズ80a,80bはランベルト発光体70をスリット57上に撮像する。
【0121】
照射ライン67は通常、均一な照度を有するが、特定の実施形態では、ラインの照度を不均一にすることができる。例えば、光源52は、複数の光ファイバの端部を細長いアレイ、例えばスリットの形状に配置する形で含むことができる。レンズL1,L2は細長いアレイから放出される光を撮像して、オブジェクト30を不均一な照度を有する光で照射することができる。
【0122】
プロセッサ
上述したコンピュータ解析法のいずれかをハードウェアまたはソフトウェア、あるいはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実行することができる。これらの方法はコンピュータ・プログラムで、標準のプログラム方法を本明細書に記載する方法及び図に従って使用して実行することができる。プログラム・コードを入力データに適用して本明細書に記載する機能を実行し、そして出力情報を生成する。出力情報をディスプレイ・モニターのような一つ以上の出力機器に入力する。各プログラムは、高位の手続き型言語またはオブジェクト指向プログラム言語で実行してコンピュータ・システムとの通信を可能にする。しかしながら、プログラムは必要に応じてアセンブリ言語またはマシン言語で実行することができる。いずれにせよ、言語はコンパイル言語または解釈言語とすることができる。更に、プログラムは、当該目的のために予めプログラムされる専用の集積回路で実行することができる。
【0123】
このような各コンピュータ・プログラムは、汎用プログラマブル・コンピュータまたは特定用途向けプログラマブル・コンピュータによる読み取りが可能な記憶媒体または記憶素子(例えば、ROMまたは磁気ディスケット)に保存されることが好ましく、これによって記憶媒体または記憶素子をコンピュータが読み取って本明細書に記載する手順を実行する際にコンピュータを構成するか、あるいは動作させる。コンピュータ・プログラムはまた、プログラム実行中にキャッシュに、またはメインメモリに格納することができる。解析法はまた、コンピュータ・プログラムにより構成されるコンピュータ読み取り可能な媒体として実行することができ、この場合、このように構成される記憶媒体によってコンピュータが特定の、または所定の方法で動作して本明細書に記載する機能を実行する。
【0124】
適用例
上述した低コヒーレンス干渉法及びシステムは次の表面解析課題のいずれかに関して使用することができる。すなわち、単純な薄膜;多層薄膜;回折を起こすか、あるいは複雑な干渉効果を生じさせるシャープなエッジ及び表面形状;解像度を超える表面粗さ;解像度を超える表面形状、例えば別の平滑表面上の波長以下の幅の溝;異なる材料;偏光状態によって変化する表面特性;及び入射角によって変わる干渉性摂動を生じさせる、表面の反り、振動、または運動、あるいは変形する表面形状である。薄膜の場合、着目する可変パラメータは膜厚、膜屈折率、基板屈折率、またはこれらの特定の組み合わせとすることができる。異なる材料の場合、例えば表面は薄膜及び固体金属の組み合わせを含むことができ、そして角度によって変わる表面特性のフィッティングを一連の理論的予測に対して行なうが、これらの予測には、膜または固体金属を、該当する干渉強度信号との一致によって自動的に識別する両方の表面構造タイプが含まれる。このような形状を示すオブジェクト及び素子を含む適用例について以下に説明する。
【0125】
フォトリソグラフィ
多くのマイクロエレクトロニクスの用途では、フォトリソグラフィを使用して基板、例えばシリコン・ウェハを被覆するフォトレジスト層をパターニングする。オブジェクト30を観察すると、基板32はウェハに対応し、そして層34はフォトレジスト薄膜層に対応する。境界38はフォトレジストの上側表面に対応し、そして境界36はウェハ−フォトレジストの境界に対応する。基板の表面35は、幾何学的構造及び/又は組成が変化し、かつフォトレジストの下に位置する複数のパターニング済み形状を有することができる。従って、オブジェクトは複数の境界をフォトレジストの外側表面の下に提供することができる。
【0126】
フォトリソグラフィ装置はパターンをオブジェクト上に撮像する。例えば、パターンは電子回路の素子(または回路の素子を除いた部分)に対応することができる。撮像の後、フォトレジストの各部分を除去して除去フォトレジスト下の基板を露出させる。露出基板をエッチングし、堆積材料で覆い、または露出基板に変更を加えることができる。残りのフォトレジストは基板の他の部分を保護してこのような変更が加えられることがないようにする。
【0127】
生産効率を高めるために、一つよりも多くの素子を1枚のウェハから取り出すことがある。これらの素子は同じとすることもできるし、異ならせることもできる。各素子には、ウェハの一部分を一つのパターンで撮像する必要がある。場合によっては、パターンを連続して異なる部分に撮像する。連続撮像は幾つかの理由により実行することができる。光収差が生じることによって十分なパターン焦点精度(pattern focus quality )をウェハの広い領域に渡って実現することができない。光収差が生じない場合でも、ウェハ及びフォトレジストの空間特性に起因して、十分なパターン焦点精度をウェハの広い領域に渡って実現することができない。ウェハ/レジストの空間特性と焦点精度との間の関係の形態について以下に説明する。
【0128】
図1bに戻って同図を参照すると、オブジェクト30はN個の部分40iを有するように示されており、各部分は撮像対象のオブジェクトの合計面積41よりも小さい。各部分40iの内部では、空間特性変化、例えばウェハまたはフォトレジストの高さ及び勾配変化は通常、合計面積41に渡って得られる変化よりも小さい。それにも拘らず、異なる部分40iのウェハまたはフォトレジストは通常、異なる高さ及び勾配を有する。例えば、層34は、表面39の高さ及び勾配を変化させる厚さΔt1及びΔt2を示す(図1a)。従って、オブジェクトの各部分はフォトリソグラフィ撮像装置とは異なる空間的関係を有することになる。焦点精度は空間的関係、例えばオブジェクトとフォトリソグラフィ撮像装置との間の距離に関連する。オブジェクトの異なる部分が正しく焦点を結ぶようにするためには、オブジェクト及び撮像装置の相対位置を調整し直す必要がある。オブジェクトの高さ変化及び勾配変化に起因して、撮像部分から離れたオブジェクト部分、例えばオブジェクトの辺43に対するオブジェクトの位置及び向きを求めることによってだけでは、部分が正しく焦点を結ぶことができない。
【0129】
正しい焦点合わせは、オブジェクトの空間特性を撮像対象のオブジェクト部分の内部で求める(あるいは処理する)ことによって行なうことができる。一旦、部分の位置を求めてしまうと、オブジェクト(及び/又はフォトリソグラフィ撮像装置の一部分)を移動させる、例えば並進させる、回転させる、かつ/もしくは傾けて、基準、例えばフォトリソグラフィ撮像装置の一部分に対する部分の位置を変更することができる。求める操作及び移動させる操作を(必要に応じて)撮像対象の各部分に対して繰り返すことができる。
【0130】
部分の空間特性を求める操作では、オブジェクトの薄膜層の外側表面の一つ以上のポイントの位置及び/又は高さを求め、この場合、一つ以上のポイントは撮像対象のオブジェクト部分の内部に位置する。例えば、部分402(図1a)の外側表面39の位置及び向きは、部分内部のポイント421−423の位置に基づいて求めることができる。撮像対象部分の空間特性を求める操作では、干渉計を使用して部分を光で照射し、そして照射部分により反射される光を含む干渉信号を検出することができる。特定の実施形態では、複数の部分を同時に光で撮像して複数の干渉信号を取得することができる。各干渉信号は、部分の一つ以上の空間特性を示す。従って、これらの干渉信号を使用してオブジェクトの起伏を示す画像を複数の部分に渡って作成することができる。複数の部分に対してフォトリソグラフィを行っている間、ウェハの位置を複数の干渉信号から求められる個々の部分の起伏に基づいて決めることができる。従って、各部分の位置はフォトリソグラフィ撮像装置に対して最適に焦点が合うように決めることができる。
【0131】
干渉信号を撮像対象のオブジェクトの各部分から検出する操作では、部分によって反射される光及び基準光を、少なくとも検出光のコヒーレンス長と同じ長さのOPD範囲に渡って検出することができる。例えば、光は、少なくともこの光のコヒーレンス長に渡って検出することができる。特定の実施形態では、干渉計は照射部分により反射される光が外側境界(外側表面39のような)または内側境界(境界36のような)のいずれかにより反射される光が支配的となるように構成されている。特定の実施形態では、オブジェクトの空間特性は、干渉信号の一部分にのみ基づいて求める。例えば、干渉信号が2つ以上の重複干渉パターンを含む場合、オブジェクトの空間特性は、複数の干渉パターンのうち、オブジェクトの1つの境界による影響が支配的となる一つの干渉パターンの一部分に基づいて求めることができる。
【0132】
銅配線構造及び化学的機械研磨
チップ製造業者には、所謂「デュアル・ダマシン銅」プロセスを使用してチップの異なる部分の間の電気配線を形成する手法が一般的になってきている。これは、適切な表面トポグラフィ・システム(surface topography system )を使用して効果的な機能を提供することができるプロセスの一例である。デュアル・ダマシン・プロセスは6つの工程を含むと考えることができる。すなわち、(1)層間誘電体(ILD:InterLayer Dielectric )を堆積させる工程であり、この工程では、誘電体材料(ポリマーまたはガラスのような)層をウェハ(複数の個々のチップを含む)の表面に堆積させる;(2)化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing )工程であり、この工程では、誘電体層を研磨して高精度な光リソグラフィ用光学系に適する平滑表面を形成する;(3)リソグラフィ・パターニング工程及び反応性イオン・エッチング工程を組み合わせた工程であり、この工程では、ウェハ表面に平行に走る狭い幅のトレンチ、及びトレンチの底面から下部(既に画定されている)導電層に達する小容積のビアを含む複雑な配線構造を形成する;(4)トレンチ及びビアに銅を充填するために銅を堆積させる複数の金属堆積工程を組み合わせた工程;(5)誘電体が、銅の充填されたトレンチ及びビアを覆って堆積する誘電体堆積工程;及び(6)最終CMP工程であり、この工程では、不要の銅を除去して、銅が充填されたトレンチ(及び可能であればビア)から成る配線構造が誘電体材料に取り囲まれる形で残る。
【0133】
図12aを参照すると、素子500は誘電体504を基板501上に堆積する銅パターン502を覆って堆積することにより生じる膜構造の例であることが分かる。誘電体504は、表面に沿って高さが変化する平坦ではない外側表面506を有する。素子500から得られる干渉信号は、表面506、銅パターン502と誘電体504との間の境界508、及び基板501と誘電体504との間の境界510から得られる干渉パターンを含むことができる。素子500は、これも干渉パターンを生成する複数の他のパターンを含むことができる。
【0134】
図12bを参照すると、素子500’は最終のCMP工程の後の素子500の状態を示していることが分かる。上側表面506は平坦化されて表面506’となり、そして境界508をこの時点で外部環境に晒すことができる。基板表面の境界510はそのままであり、変化しない。素子の性能及び均一性は、表面504の平坦性をモニターする操作によって大きく変わる。研磨速度、従って研磨後に残留する銅(及び誘電体)の厚さは、研磨条件(パッド圧力及び研磨スラリーの元素組成のような)だけでなく、銅及び銅周囲の誘電体領域の局部詳細構造(すなわち、向き、近接状態、及び形状)によって大きく、かつ複雑な態様で変わる。従って、表面506のうち、銅領域502を覆う部分は、表面506の他の部分とは異なる速度でエッチングされる。従って、一旦、銅領域502の境界508が露出すると、誘電体及び銅領域は異なるエッチング速度を示す。
【0135】
位置に依存するこの研磨速度によって、表面の幾何学的構造が長い横方向距離に渡って変化することが知られている。例えば、ウェハ・エッジに近くに位置する一連のチップが、中心近くに位置するチップよりも大きな速度で研磨されて、銅領域がエッジ近傍で所望の厚さよりも薄くなり、かつ中心で所望の厚さよりも厚くなることを意味する。これは、「ウェハの大きさでの」プロセスの不均一性−すなわち、ウェハ径と同じくらいの大きさに渡って生じる不均一性の例である。銅が充填されたトレンチが高い密度で存在する領域が銅配線を低い密度で含む領域の近傍よりも研磨速度が大きいことも知られている。これによって、銅が高密度で存在する領域における「CMPによるエロージョン(CMP-induced erosion )」として知られる現象が生じる。これは、「チップの大きさでの」プロセスの不均一性−すなわち、1個のチップの線形寸法と同じくらいの大きさに渡って生じる(この大きさよりもずっと小さい大きさで生じる場合がある)不均一性の例である。「ディッシング(dishing )」として知られる別のタイプの、チップの大きさでの不均一性は、銅が充填された1つのトレンチ領域(この領域は、周囲の誘電体材料よりも大きな速度で研磨される)の内部で生じる。幅が数ミクロンを超えるトレンチの場合、ディッシングは深刻な状況をもたらし、ディッシングの影響を受けた配線が後の工程で非常に大きな電気抵抗を示し、チップ不良を生じる。
【0136】
CMPによって生じる、ウェハ及びチップの大きさでのプロセスの不均一性は、本質的に予測が難しく、CMP処理システム内部の条件が新しくなるにつれて大きく変化する。プロセス条件を効果的にモニターし、かつ適切に調整して不均一性が必ず許容範囲内に収まるようにするためには、プロセス・エンジニアが表面の幾何学的構造に対する非接触の測定をチップに対して非常に多くの種々の位置で頻繁に行なうことが重要である。この操作は、上述した干渉法及びシステムの実施形態を使用して可能になる。
【0137】
特定の実施形態では、誘電体504の一つ以上の空間特性、例えば誘電体の表面506の幾何学的構造及び/又は誘電体の厚さを、CMP工程の前、及び/又はCMP工程の間に、低コヒーレンス干渉信号を構造から取得することによりモニターする。空間特性に基づいて、研磨条件を変えて所望の平坦な表面506’を実現することができる。例えば、パッド圧力、パッド圧力の配分、研磨剤の条件、溶剤組成及び溶剤の量、及び他の条件は、空間特性に基づいて決めることができる。研磨を所定の時間だけ行なった後、空間特性を再度求め、そして研磨条件を必要に応じて変えることができる。幾何学的構造及び/又は厚さは、例えば表面504’が得られるエンドポイントも示唆する。従って、低コヒーレンス干渉信号を使用して、過剰に研磨された、オブジェクトの異なる領域によって生じる窪みの発生を防止することができる。低コヒーレンス干渉法及びシステムはこの点に関して有利である。何故なら、素子の空間特性、誘電体のうち、(a)銅領域502の上の表面、及び隣接銅領域502以外の(b)基板表面510上の表面の、例えば相対的な高さは、複数の境界が存在しても求めることができるからである。
【0138】
半田バンプ形成
図13a及び13bを参照すると、構造550は半田バンプ形成の間に形成される構造の例であることが分かる。構造550は基板551、半田に濡れない領域502、及び半田に濡れる領域503を含む。領域502は外側表面507を有する。領域503は外側表面509を有する。従って、境界505が領域502と基板501との間に形成される。
【0139】
バンプ形成の間、半田504の塊の位置を、半田が濡れ領域503に接触するように決める。半田を流すと、半田は濡れ領域503との確実なコンタクトを実現する。隣接する非濡れ領域502はダムのような働きをして、フロー半田が構造の周りに不所望に移動することがないようにする。表面507,509の相対高さ、及び表面502からの半田504の寸法を含む構造の空間特性を認識することが望ましい。本明細書における他の説明から分かるように、構造550は複数の境界を含み、これらの境界の各々によって干渉パターンが生じる。複数の干渉パターンが重なると、既知の干渉法を使用して空間特性を正確に求めるということができなくなる。本明細書において説明するシステム及び方法を適用することによって空間特性を求めることができる。
【0140】
構造550から求めることができる空間特性を使用して、層502,503の堆積時間、及び領域503の単位面積当たりに使用する半田504の量のような製造条件を変えることができる。更に、半田を流すために使用する加熱条件も空間特性に基づいて変更して半田を十分に流し、かつ/もしくは半田の移動を防止することができる。
【0141】
液晶ディスプレイ
図14を参照すると、パッシブ・マトリクスLCD450が幾つかの層により構成されている様子が示されている。主要部品はシール454で接着する2つのガラス基板452,453である。偏光板456を前面ガラス基板453に取り付けて、入射光を一方向に偏光する。偏光光は前面ガラス基板453を通過する。インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)層458は電極として使用する。ハード・コート層とも呼ばれることがある、SiOXを使用するパッシベーション層460をITO層458の上にコーティングして表面を電気的に絶縁する。ポリイミド462をパッシベーション層460の上に印刷法を用いて形成して液晶464を配向させる。液晶は電界の影響を受けるので、電界が印加されると配向を変える。液晶はまた、光学的にアクティブであるので、入射光の偏光方向を回転させる。セル・ギャップΔg、すなわち液晶層464の厚さはスペーサ466によって決まり、このスペーサは2つのガラス基板452,453が固定距離だけ離れるようにこれらの基板を維持する。電位が前面基板453から背面基板452に向かって生じていない場合、偏光光は、この光が液晶層464を通過すると90°だけ回転する。電位が一方の基板から他方の基板に向かって印加される場合、光は回転しない。光が液晶層464を通過した後、光は別のポリイミド層458、別のハード・コート層470、背面ITO電極472、及び背面ガラス基板452を通過する。背面偏光板474に達すると、光は、光が90°だけ回転しているかどうかによって変わる形で偏光板を透過する、または偏光板に吸収される。セル450はカラー表示を行なうためにフィルタ476または他の着色素子を含むことができる。
【0142】
セル・ギャップΔgによって大きく左右される形で、LCDの光電特性、例えばコントラスト比及び輝度が決まる。製造工程中におけるセル・ギャップの制御は、均一かつ高品質な表示を実現するために非常に重要である。実際のセル・ギャップはスペーサ466の寸法とは異なる。何故なら、製造中に、圧力を加えて、または真空にして液晶媒質を注入し、シール454が硬化してシールの寸法が変わり、更に液晶媒質を注入することによって基板452,453の間に毛細管力が生じるからである。液晶媒質464の注入前及び注入後の両方において、基板452,453の表面480,482が光を反射して、セル・ギャップΔgを示す干渉パターンが生じる。干渉信号のコヒーレンスが低いという性質自体を利用するか、あるいはこの性質を上述の干渉信号処理法と組み合わせた形で利用して、製造工程中のセル・ギャップΔgを含むセル特性を、セルの他の層によって形成される境界が存在する状態においてもモニターすることができる。
【0143】
例示としての方法では、セル・ギャップΔgを示す干渉パターンを含み、かつ低コヒーレンス干渉信号を層464の注入前に取得することができる。セル・ギャップ(またはセルの他の空間特性)は干渉パターンから求められ、かつ指定値と比較することができる。製造条件、例えば基板452,453に加わる圧力、またはこれらの基板の間の真空を変えて、指定値と求めたセル・ギャップとの間の差が許容値を超える場合にセル・ギャップΔgを変更することができる。このプロセスは、所望のセル・ギャップが得られるまで繰り返すことができる。次に、液晶媒質をセルに注入する。注入する液晶媒質の量はセルに関する測定済みの空間特性に基づいて決定することができる。これによって、セルへの過剰注入または注入不足を防止することができる。注入プロセスはまた、表面480,482からの干渉信号を観察することによりモニターすることができる。一旦、セルが充填されてしまうと、低コヒーレンス光源による追加の干渉パターンを取得してセル・ギャップΔg(または他の空間特性)をモニターする。ここでも同じく、製造条件を変更してセル・ギャップを許容値内に維持するか、あるいは収めることができる。
【0144】
レーザ・スクライブ及びレーザ切断
レーザを使用してオブジェクトをスクライブして、同時に製造される、異なる構造、例えばマイクロエレクトロニクス構造を分離する準備をする。分離の精度はスクライブ条件、例えばレーザ焦点面のサイズ、レーザ・パワー、オブジェクトの並進速度、及びスクライブ深さに関連する。構造のパターン密度が高くなる可能性があるので、スクライブ線が構造の隣接薄膜または隣接層となる可能性がある。薄膜または層に関連する境界によって、干渉計を使用してスクライブ深さを求める場合に現われる干渉パターンが生成される。本明細書に記載する方法及びシステムを使用してスクライブ深さを、このような隣接膜または隣接層が存在する状態においても求めることができる。
【0145】
例示としての方法では、一つ以上の電子構造をスクライブし、そして構造をスクライブ線に沿って分離することができる。分離の前及び/又は後に、低コヒーレンス干渉信号を使用してスクライブ深さを求めることができる。他のスクライブ条件、例えばレーザ・スポット・サイズ、レーザ・パワー、並進速度は既知である。スクライブ深さは干渉信号により求めることができる。スクライブ深さを含むスクライブ条件によって変わる分離精度は、分離構造を評価することにより求めることができる。このようにして求めた値に基づいて、所望の分離精度を実現するために必要なスクライブ条件を決定することができる。製造工程を継続している間に、低コヒーレンス干渉信号をスクライブ領域から取得してプロセスをモニターすることができる。スクライブ条件を変えてスクライブ特性を許容値内に維持するか、あるいは収めることができる。
【0146】
他の実施形態は請求項に開示される技術範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1a】基板及び被覆層、例えば薄膜を含む測定オブジェクトの断面図。
【図1b】図1aのオブジェクトの上面図。
【図2】該当する包絡関数に従って変化する振幅を有する第1及び第2干渉パターンを含む低コヒーレンス干渉信号。
【図3】斜入射干渉計システム。
【図4】斜入射干渉計システム。
【図5a】測定オブジェクトを傾けた結果として生じる、図4の干渉計システムの測定光路に沿って通過する光と基準光路に沿って通過する光との間のシフト。
【図5b】測定オブジェクトを図5aに関して記載したように傾けた結果として生じる、測定光路に沿って通過する光と基準光路に沿って通過する光との間の回転を表わす変位ベクトル。
【図6】斜入射干渉計システム。
【図7a】斜入射干渉計システムの三角測量モードの検出画像。
【図7b】斜入射干渉計システムの三角測量モードの検出画像。
【図8a】斜入射干渉計システム。
【図8b】図8aのシステムの一部分の拡大図。
【図9a】低コヒーレンス干渉計システム。
【図9b】図9aの干渉計システムをそのX軸に沿って眺めた様子。
【図10】測定オブジェクトの照射ポイントと、図9aのシステムを使用する照射ポイントについて検出される、該当する細長画像との間の対応。
【図11a】図9aの干渉計システム基準経路の例示としての成分。
【図11b】図9aの干渉計システム基準経路の例示としての成分。
【図12a】銅配線を有する例示としての平坦化前の構造。
【図12b】銅配線を有する例示としての平坦化後の構造。
【図13a】半田バンプ処理の間に形成される例示としての半田を加える前の構造。
【図13b】半田バンプ処理の間に形成される例示としての半田を加えた後であるが半田を流し込む前の構造。
【図14】例示としての液晶ディスプレイの一部分。
【図1A】
【図1B】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトに関する干渉法による解析、例えば、少なくとも一部が透明な一つ以上の層を有する基板を含むオブジェクトに関する干渉法による解析に関する。
【背景技術】
【0002】
干渉法は、オブジェクトの表面の形状を測定するために一般的に使用される。このような測定を行なうために、干渉計は、着目表面によって反射される測定波面を、基準表面によって反射される基準波面と合成してインターフェログラムを生成する。インターフェログラムの干渉縞(fringe)は着目表面と基準表面との間の空間的変化を示す。
【0003】
走査干渉計は、干渉計の基準経路と測定経路との間の光路長差(OPD:Optical Path length Difference)を干渉波面のコヒーレンス長と同程度か、あるいはコヒーレンス長よりも長い範囲に渡って掃引して、インターフェログラムの測定に使用する各カメラ画素の走査干渉信号(scanning interferometry signal)を生成する。短いコヒーレンス長は、例えば白色光源及び/又は空間的に広がった光源を使用することにより得られる。例示としての技術は広帯域光源を使用する走査型白色光干渉法(SWLI:Scanning White Light Interferometry )である。走査型白色光干渉法(SWLI)による代表的な信号はゼロ光路長差(OPD)位置の近傍に位置する幾つかのフリンジである。この信号は通常、フリンジのコントラストを表わすベル型の包絡線を有する正弦波形搬送波変調(フリンジ)によって特徴付けられる。SWLI法の根底にある従来の考え方は、フリンジの局在化を利用することによって表面形状を測定することである。
【0004】
低コヒーレンス干渉計測によるデータを処理する方法には2つの大きなトレンドがある。第1のアプローチでは、包絡線のピークまたは中心の位置を、この位置が、1つのビームがオブジェクト表面によって反射される構成の2ビーム干渉計のゼロ光路長差(OPD)に対応すると仮定して特定する。第2のアプローチでは、ほぼ線形の傾斜がオブジェクト位置に直接比例すると仮定する場合に、信号を周波数領域に変換し、波長とともに位相が変化する割合を計算する。これについては、例えばPeter de Grootに付与された米国特許第5,398,113号を参照されたい。この後者のアプローチは周波数領域解析(FDA:Frequency Domain Analysis )と呼ばれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書に記載するシステム及び方法を使用して一つよりも多くの境界を有するオブジェクトの空間特性を求めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、本発明は光学システムに関するものであり、この光学システムは、オブジェクトの一部分を光パターンで照射するように構成され、かつ基準表面を含むフォトリソグラフィ・システムと、基準光路及び測定光路を有する低コヒーレンス干渉計であって、基準光路に沿って通過する光が少なくとも1回、基準表面によって反射され、測定光路に沿って通過する光が少なくとも1回、オブジェクトによって反射される、低コヒーレンス干渉計と、基準光路に沿って通過した光、及び測定光路に沿って通過した光を含む低コヒーレンス干渉信号を検出するように構成される検出器と、を備える。低コヒーレンス干渉信号は基準表面とオブジェクトとの間の空間的関係を示す。
【0007】
特定の実施形態では、フォトリソグラフィ・システムは照明光学系表面を有する照明光学系を含む。光パターンの光は照明光学系表面を含む光路に沿って伝搬する。照明光学系表面及び基準表面は少なくとも部分的に同じ領域を占有する。測定光路に沿って通過する光は、オブジェクトのうち、フォトリソグラフィ・システムによって照射される部分により少なくとも1回反射される。
【0008】
低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、基準光路に沿って通過した光、及び低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、測定光路に沿って通過した光は光路長差範囲を有する。その範囲は、低コヒーレンス干渉計のコヒーレンス長の少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、あるいはそれ以上である。その範囲は、低コヒーレンス干渉計のコヒーレンス長と少なくとも同程度である。
【0009】
特定の実施形態では、検出器は複数の検出素子を含み、各検出素子は該当する低コヒーレンス干渉信号を検出するように構成されている。各低コヒーレンス干渉信号は、基準光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光、及び測定光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光を含む。各低コヒーレンス干渉信号は、オブジェクトの異なるポイントと基準表面との間の空間的関係を示すことができる。
【0010】
光学システムは、オブジェクトの異なるポイントの各々と基準表面との間の空間的関係を、複数の低コヒーレンス干渉信号のうちの該当する少なくとも一つに基づいて求めるように構成されている。光学システムは、オブジェクトとフォトリソグラフィ・システムとの間の相対位置及び向きを操作する並進ステージを備えることができる。プロセッサは更に、オブジェクト及びフォトリソグラフィ・システムの相対位置を空間的関係に基づいて変更するように構成されている。
【0011】
本発明の別の態様は方法に関するものであり、この方法は、オブジェクトを、フォトリソグラフィ・システムの光路にほぼ沿って配置すること、光源からの光の第1部分をフォトリソグラフィ・システムの基準表面によって反射させること、光源からの光の第2部分をオブジェクトによって反射させること、基準表面によって反射される光及びオブジェクトによって反射される光を含み、かつオブジェクトと撮像システムとの間の空間的関係を示す低コヒーレンス干渉信号を形成すること、を含む。
【0012】
特定の実施形態では、本方法は、光源からの光の該当する第1部分をフォトリソグラフィ・システムの基準表面の複数の位置の各々によって反射させること、光源からの光の該当する第2部分をオブジェクトの複数の位置の各々によって、例えば斜入射角で反射させること、複数の低コヒーレンス干渉信号を形成すること、を含む。各低コヒーレンス干渉信号は、基準表面の異なる位置のうちの該当する位置によって反射される光、及びオブジェクトの異なる位置のうちの該当する位置によって反射される光を含む。各低コヒーレンス干渉信号は、オブジェクトの異なる位置のうちの少なくとも一つの位置とフォトリソグラフィ・システムとの間の空間的関係を示すことができる。
【0013】
特定の実施形態では、オブジェクトを配置した後に、光の第1及び第2部分を反射させる。
本方法は、更に、オブジェクト及び基準表面の相対位置を空間的関係に基づいて変更することを含むことができる。基準表面はフォトリソグラフィ・システムの光学系の表面とすることができる。フォトリソグラフィ・システムを使用して紫外光画像をオブジェクトに投影することができる。紫外光画像を形成する光は光学系の表面を含む光路に沿って通過する。
【0014】
オブジェクトは基板、及び外側表面を有する薄膜を含むことができる。形成することは、基準表面により反射される光、及び薄膜の外側表面により反射される光を合成することを含むことができる。空間的関係は薄膜の外側表面とフォトリソグラフィ・システムとの間の関係とすることができる。
【0015】
光源からの光の第2部分の光は、薄膜によって大きく減衰する、例えば薄膜によって吸収される。
薄膜はフォトレジストを含むことができ、この場合、光源からの光の第2部分の光のエネルギーはフォトレジストを露光するには不十分である。
【0016】
オブジェクトは基板、及び外側表面を有する薄膜を含むことができる。形成することは、基準表面により反射される光、及び基板により反射される光を合成することを含み、空間的関係は基板と撮像システムとの間の関係である。
【0017】
オブジェクトにブルースター角で照射することができ、これによって外側表面とは反対側の基板に関する空間情報を強めることができる。
本発明の別の態様はオブジェクトの空間特性を求めるシステムに関する。本システムは、光源と、光学システムであって、オブジェクトを光源からの光の第1部分を使用して斜入射角で照射して、光の第1部分の少なくとも一部がオブジェクトによって反射されるようにし、かつオブジェクトによって反射される光及び同じ光源により生成される光の第2部分を光路長差範囲に渡って合成するように構成されている光学システムと、光路長差範囲に渡って合成される光を複数の干渉フリンジとして検出するように構成されている検出器と、を備え、各干渉フリンジはピーク振幅を有し、光路長差範囲は干渉フリンジのピーク振幅を変調するために十分な範囲である。
【0018】
光路長差範囲は光学システムのコヒーレンス長と少なくとも同程度とすることができる。
本発明の別の態様は、オブジェクトを光源からの光を使用して斜入射角で照射する方法に関する。照射光の少なくとも一部がオブジェクトによって反射される。オブジェクトによって反射される光及び同じ光源からの光の第2部分を光路長差範囲に渡って合成する。光路長差範囲に渡って合成される光を複数の干渉フリンジとして検出し、各干渉フリンジはピーク振幅を有する。光路長差範囲は干渉フリンジのピーク振幅を変調するために十分な範囲である。
【0019】
本発明の別の態様は方法に関するものであり、本方法は、光の第1パターンを、基板及び被覆薄膜を含むオブジェクトに投影すること、基板によって拡散散乱される投影された第1パターンの光を撮像すること、オブジェクトの空間特性を拡散散乱光に基づいて求めること、を含む。
【0020】
被覆薄膜はフォトレジストである。空間特性を求めることは、フォトリソグラフィ・システムに対するオブジェクトの一部分の位置を求めることを含むことができる。オブジェクトの一部分は基板と被覆フォトレジストとの間の境界とすることができる。
【0021】
光の第1パターンは同じ光源からの光の第1及び第2部分を含むことができ、光の第1パターンは干渉パターンとすることができる。干渉パターンは包絡線により変調される複数のフリンジを含むことができ、オブジェクトの空間特性を求めることは、これらのフリンジに対する包絡線の一部分の位置を求めることを含む。
【0022】
オブジェクトを包絡線の一部分の位置に基づいて配置し直すことができる。
特定の実施形態は、光の基準パターンを基準表面に投影すること、基準表面に投影される基準パターンの光を検出すること、を含み、オブジェクトの空間特性を求めることは、オブジェクト及び基準表面の相対空間特性を基準パターンの検出光に基づいて求めることを含む。オブジェクトは相対空間特性に基づいて移動可能である。
【0023】
特定の実施形態は、更に、光源の特性を変更して、ほぼ同様の振幅を有する複数のフリンジを含む第2干渉パターンをオブジェクトに投影すること、基板によって拡散散乱される第2干渉パターン光を撮像すること、オブジェクトの第2空間特性を第2干渉パターンの拡散散乱光に基づいて求めること、を含む。第2空間特性はオブジェクトの一部分の形状とすることができる。第2空間特性はオブジェクトの絶対位置を示すことができる。光の第1パターンを投影する前に、少なくとも前記変更を行なうことができる。
【0024】
本明細書に記載する方法及びシステムを使用して、外側表面を有する被覆フォトレジスト層を含む基板を含むオブジェクトの空間特性を求めることができる。空間特性は外側表面の空間特性とすることができる。本方法及び本システムでは、フォトリソグラフィ・システムとオブジェクトとの間の相対位置を空間特性に基づいて変更することができる。
【0025】
本明細書に記載する方法及びシステムを使用して、液晶ディスプレイの一部分の空間特性を求めることができる。
本明細書に記載する方法及びシステムを使用して、オブジェクトを、例えばレーザによりスクライブすることができる。スクライブによってオブジェクト上に形成されるスクライブ線の空間特性を求める。更に、オブジェクトまたは別のオブジェクトのスクライブを行なう。パラメータ、例えばレーザ・パワー、オブジェクトを掃引する速度、またはレーザ焦点サイズを、スクライブ線の空間特性に基づいて選択する。
【0026】
本明細書に記載する方法及びシステムを使用して、半田バンプを形成している間に形成される構造の空間特性を求めることができる。空間特性は、半田に濡れることができないオブジェクトの一部分の空間特性とすることができる。
【0027】
本発明の別の態様は、オブジェクトの一部分を第1光パターンで照射するように構成されているフォトリソグラフィ・システムを含む装置に関するものである。フォトリソグラフィ・システムは基準表面を含む。オブジェクトは基板及び被覆薄膜を含む。本装置はまた、フォトリソグラフィ・システムとオブジェクトとの間の相対位置を変えるポジショナーと、第2光パターンをオブジェクトの被覆薄膜に投影するように構成されている光投影装置と、基板によって拡散散乱される第2光パターンの光を撮像する光学システムと、プロセッサと、を備え、このプロセッサは、オブジェクトの空間特性を拡散散乱光に基づいて求め、かつフォトリソグラフィ・システムとオブジェクトとの間の相対位置を変えるように構成されている。
【0028】
本発明の別の態様は、少なくとも2次元に配置される複数の素子を備える検出器を含む光学システムに関するものであり、光学システムは、オブジェクトの複数の離間ポイントを光源からの光で照射し、かつ各照射ポイントに対応する該当する干渉パターンを形成するように構成され、各干渉パターンは検出器の第1の次元に沿って延び、異なるポイントに対応する干渉パターンは検出器の第2の次元に沿って離間する。
【0029】
本発明の別の態様は、光学システムに関するものであり、この光学システムは、光源と、少なくとも一つの次元に延びる検出素子アレイと、光源からの光の第1部分を使用してオブジェクトのポイントを照射し、照射ポイントにより反射される光を、アレイの第1の次元に沿って延びる細長焦点像として集光し、更に光源からの光の第2部分をアレイの第1の次元に沿って延びる第2の焦点像として集光するように構成された干渉計と、を含み、第2の焦点像及び細長焦点像はアレイの第1の次元に沿って少なくとも部分的に一致し、照射ポイントにより反射される光と光源からの光の第2部分との間の光路差(OPD)は、アレイの第1の次元に沿って、照射ポイントにより反射される光のコヒーレンス長よりも大きい量だけ変化する。
【0030】
本発明の別の態様は干渉法に関するものであり、この干渉法は、オブジェクトの複数の離間ポイントを光源からの光の第1部分で照射すること、光の第1部分の少なくとも一部分をこれらの離間ポイントの各々によって反射させること、複数の干渉パターンを、少なくとも2次元に配置されている複数の検出素子を有する検出器において形成すること、を含み、各干渉パターンはオブジェクトの該当する離間ポイントによって反射される光に対応し、各干渉パターンは検出器の第1の次元に沿って延び、かつ異なる干渉パターンは検出器の第2の次元に沿って離間する。
【0031】
特に断らない限り、本明細書において使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。
本発明の他の特徴、目的、及び利点は次の詳細な説明から明らかになると思われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本明細書に記載する方法及びシステムの実施形態は干渉計の使用に関するものであり、干渉計を使用して、薄膜構造、異なる材料から成る不連続構造、または干渉顕微鏡の光学解像度では解像することができない不連続構造のような、一つよりも多くの境界を有するオブジェクトの空間特性、例えば表面形状、位置、向き、及び/又は他の特性を測定する。境界の例としては、オブジェクトの外側表面に形成される境界、または異なる材料の間の内側に形成される境界を挙げることができる。一つよりも多くの境界を有するオブジェクトの空間特性は、フラット・パネル・ディスプレイ、マイクロエレクトロニクス、フォトリソグラフィ、薄膜特性評価、及び異なる材料の解析を含む多種多様な分野に関連する。
【0033】
複数の境界を含むオブジェクトを干渉法により解析する場合、各境界によって干渉パターンを生成することができる。これらの境界が近接して離間している場合、干渉パターンが重なって互いに歪む。この歪みによってオブジェクトの空間特性に対して間違った判断が下され得る。例えば、フォトレジストに覆われた半導体ウェハをフォトリソグラフィ・システムの焦点位置に位置させようと試みる場合を考える。フォトリソグラフィの精度は、どのくらい正確にウェハ及びフォトリソグラフィ・システムの互いに対する位置を決めることができるかに関連する。しかしながら、フォトレジストの外側表面及びフォトレジストとウェハとの間の境界によって干渉パターンが結果的に生成され、これによってフォトレジストの外側表面またはウェハの正確な位置及び向きの判断が難しくなる。その結果、フォトリソグラフィの精度が低下する。
【0034】
本明細書に記載するシステム及び方法によって、他の隣接する境界または近接して離間する境界がある場合においても、オブジェクトの選択境界の空間特性を求めることができる。特定の実施形態では、オブジェクトを光で斜入射角αで照射し、オブジェクトによって反射される光を含む低コヒーレンス干渉信号を検出する。オブジェクトの法線方向の寸法線に対する角度αは少なくとも60°、少なくとも70°、少なくとも75°、例えば少なくとも80°とすることができる。
【0035】
斜入射照射によって、外側表面の反射率を被照射オブジェクトの他の境界に対して大きくすることができる。反射率が増大することによって、オブジェクトの内側境界とは反対に、外側表面からの干渉パターンが鮮明になる。従って、オブジェクトの外側表面の空間特性に対する、斜入射によって得られる干渉信号の感度を、法線方向照射による場合よりも高くすることができる。層の外側表面からの干渉パターンを鮮明にする実施形態では更に(または別の構成として)、層によって減衰する、例えば吸収される照射光の波長を選択する。層が光を吸収するので、下層の境界からの干渉パターンは非常に大きく減衰する。
【0036】
斜入射法を低コヒーレンス干渉法と組み合わせる構成の実施形態も開示する。以下に更に説明するように、低コヒーレンス干渉法によるデータを処理して、薄膜構造のような複雑な試料の一つ以上の境界についての空間情報を提供することができる。このような低コヒーレンス干渉法によるデータは、広帯域スペクトル光及び/又は空間的に広がった光源を使用することにより得られる。従って、オブジェクトの外側表面からの干渉パターンを鮮明にする特定の実施形態では、広帯域光、例えば少なくとも6nm、少なくとも12.25nm、少なくとも25nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、または少なくとも150nmの半値幅(FWHM:Full Width Half Maximum )を有する光を使用して、オブジェクトを斜入射で照射する。斜入射照射を広帯域光と組み合わせると、オブジェクトの外側表面から得られる干渉パターンを、オブジェクトの内側表面から得られる干渉パターンよりも鮮明にすることができる。
【0037】
層の外側表面から得られる干渉パターンを鮮明にすることにより、多くの用途、例えば上述したフォトリソグラフィによる位置決めに利点をもたらす。例えば、本明細書に記載する斜入射法及びシステムによって、基板を被覆するフォトレジスト層の厚さを約1%の相対精度で求めることができ、薄膜、例えば約400nm以上の厚さの膜に対してはそれよりも高い精度で求めることができる。特定の例では、450nm厚さのシリコン膜を被覆する、XF1の157nm波長のUVに対応した450nm厚さのフォトレジスト層の厚さを±4.9nmの誤差で、600nmの公称波長、200nmのFWHM、80°の入射角α、及び+/−3°のΔαを有する光を使用して求めた。
【0038】
斜入射照射の実施形態は、オブジェクトの外側表面から得られる干渉パターンを鮮明にする操作に限定されない。内側境界から得られる干渉パターンも鮮明にすることができる。例えば、オブジェクトをブルースター角(Brewster's angle)で、入射角によって定義される平面内で偏光される光を使用して照射することができる。この場合、ブルースター角は、被覆層の光学特性、例えば屈折率によって、かつ照射光の波長によって求まる。ブルースター角では、下層境界から得られる干渉パターンは、外側表面から得られる干渉パターンよりも鮮明になる。
【0039】
斜入射照射は法線方向照射とは異なる他の利点をもたらす。例えば、斜入射角を有する照射ビームを使用して、他のオブジェクトまたはシステムに近接するオブジェクトを照射することができる。例えば、本明細書に記載する斜入射干渉計では、フォトリソグラフィ・システムの撮像光学系と撮像対象のフォトレジストが付いたオブジェクトとの間に照射ビームを導入することができる。従って、薄膜解析に関する斜入射の利点が、複雑な、混雑した作業環境においてin−situ(その場での)測定の形で実現する。本明細書において説明する干渉計及び光学システムの全てを使用してフォトリソグラフィ装置に対するオブジェクトの、例えば撮像対象オブジェクトの一部分の空間特性を求め、そしてフィードバックにより、オブジェクト及びフォトリソグラフィ装置の相対位置及び/又は向きを変更することができる。更に、各干渉計及び光学システムは基準表面を含むことができ、この基準表面はそれ自体がフォトリソグラフィ装置の表面、例えばフォトリソグラフィ装置の光学系の表面である。
【0040】
従って、斜入射照射によって選択境界(外側表面または内側境界に拘らず)から得られる干渉パターンが鮮明になって干渉パターンに基づいて求められる空間特性の精度が高くなる。オブジェクトの一つ以上の空間特性を求める方法及びシステムについて以下に記載する。一つよりも多くの境界を有するオブジェクトについて概要を説明することから始め、そしてこのようなオブジェクトから得られる干渉パターンについて、例えば低コヒーレンス斜入射干渉計(low coherence grazing incidence interferometer)を使用して説明する。次に、光学システムの実施形態について説明する。
【0041】
図1aを参照すると、オブジェクト30は基板32及び層34を含むことが示されている。オブジェクト30は、異なる屈折率の複数の材料の間に生じる複数の境界を含む。例えば、オブジェクトを取り囲む境界38は、層34の外側表面39がオブジェクト30を取り囲む環境、例えば液体、空気、他の気体、または真空に触れる位置において定義される。基板−層境界36は基板32の表面35と層34の底面37との間において定義される。基板の表面35は複数のパターニング形状29を含むことができる。これらの形状の幾つかは、基板の隣接部分と同じ高さを有するが、異なる屈折率を有する。他の形状は基板の隣接部分よりも上方向または下方向に延びることができる。従って、境界36(及び勿論、境界38)は複雑かつ変化する幾何学的構造を示すことができる。
【0042】
図2を参照すると、干渉信号90は低コヒーレンス干渉信号の例であり、この干渉信号は近接離間する境界を有するオブジェクトから、本明細書に記載するシステム及び方法を使用して得られる。干渉信号90は、重なる第1及び第2干渉パターン92,96を含み、これらの干渉パターンはそれぞれ、外側表面39及び境界36から得られる。干渉信号90のX軸はオブジェクトによって反射される光と基準光との間の光路差(OPD:Optical Path Difference )に対応する。干渉計は、光学系及び/又はオブジェクトを捜査させる、例えば移動させることにより、オブジェクトによって反射される光または基準光が伝搬する光路を変化させて、OPDを変化させることができる。干渉計は別の方法として、または組み合わせた方法により、OPDを変化させることができるが、この操作は、オブジェクトによって反射される光及び基準光の空間分布を空間位置の関数として変化するOPDによって検出することにより行なう。
【0043】
干渉パターン92,96はOPDの関数として、それぞれのコヒーレンスの包絡線97,95によって変調され、これらの包絡線は、同様の形状及び幅を有する。低コヒーレンスの包絡線を用いない場合には、フリンジ98,99は通常、同様の振幅を有する。干渉パターン包絡線の幅は、検出光のコヒーレンス長にほぼ対応する。コヒーレンス長を決める要素の中では、時間的コヒーレンス現象が、例えば光源のスペクトル帯域に関連し、そして空間的コヒーレンス現象が、例えばオブジェクトを照射する光の入射角範囲に関連する。
【0044】
通常、コヒーレンス長は、(a)光源のスペクトル帯域が広がる、かつ/あるいは(b)入射角範囲が広がるにつれて短くなる。データを取得するために使用する干渉計の構成によって変わるが、これらのコヒーレンス現象のうちの一方または他方が支配的になるか、あるいはこれらのコヒーレンス現象が両方ともコヒーレンス長全体に大きく影響する。特定の実施形態では、本明細書に記載する斜入射干渉計はオブジェクトを、入射角範囲Δαを有する広帯域光で照射する。光源の光は拡張することができる。範囲Δαは±20°以下、±10°以下、±5°以下、±3°以下とすることができる。特定の実施形態では、照明開口数は0.2以下、0.1以下、0.07以下、0.06以下、例えば0.05以下である。入射角が斜めになるので、空間的コヒーレンス現象が、小さい入射角において観測される干渉信号に対して法線入射において観測される干渉信号に対するよりも大きく影響する。これは、空間的コヒーレンス現象が斜光線の光路長の変化に関連し、この変化の大きさが入射角αの余弦の逆数になるからである。空間的コヒーレンス現象による影響を含む干渉信号については、「薄膜特性の評価を含む、偏光解析、反射率測定、及び光波散乱計測を用いる斜入射干渉法(Interferometry Method for Ellipsometry, Reflectometry, and Scatterometry Measurements, Including Characterization of Thin Films )」と題された米国特許出願第10/659,060号に記載されており、この文献を本明細書において参照することによりこの文献の内容が本発明の開示に含まれる。特定の実施形態では、空間的コヒーレンス現象及び時間的コヒーレンス現象が両方ともコヒーレンス長に影響し、これによって内側境界から生成される干渉パターンを望ましい形で不鮮明にすることができる。
【0045】
干渉計のコヒーレンス長は、干渉信号を、1つの反射表面を有する、例えば薄膜構造ではないオブジェクトから取得することにより求めることができる。コヒーレンス長は、観測される干渉パターンを変調する包絡線の半値幅に対応する。図2から分かるように、干渉信号90は、コヒーレンスの包絡線の幅よりも大きく、従って検出光のコヒーレンス長よりも大きく変化する光路長差範囲を有する光を検出することにより得られる。一般的に、低コヒーレンス干渉信号は、検出光のコヒーレンスの包絡線によって振幅変調される干渉フリンジを含む。例えば、干渉パターンは、観測干渉フリンジの振幅が少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも50%だけ互いに対して異なる場合のOPDに渡って得られる。例えば、フリンジ98は、フリンジ99のピーク振幅よりも約50%だけ小さいピーク振幅を有する。特定の実施形態では、低コヒーレンス干渉信号はコヒーレンス長とほぼ同程度か、あるいはコヒーレンス長よりも長いOPDの範囲に渡って検出される。例えば、OPDの範囲はコヒーレンス長の少なくとも2倍、または少なくとも3倍の大きさとすることができる。特定の実施形態では、検出光のコヒーレンス長は、オブジェクト形状の高さ変化とほぼ同程度、または数ミクロン以下の程度である。
【0046】
本明細書に記載する方法及びシステムを使用して得られる干渉信号を多くの方法で処理してオブジェクトの空間特性を求めることができる。特定の実施形態では、干渉信号の処理では、信号を逆の次元に変換する。このような変換としては、信号のフーリエ変換を挙げることができる。変換は、周波数領域解析(FDA:Frequency Domain Analysis )機能を実行しながら、または周波数領域解析機能の拡張版を実行しながら行なうことができる。周波数領域解析(FDA)法の例は、「表面の幾何学的構造をインターフェログラムの空間−周波数解析により測定する方法及び装置(METHOD AND APPARATUS FOR SURFACE TOPOGRAPHY MEASUREMENTS BY SPATIAL-FREQUENCY ANALYSIS OF INTERFEROGRAMS)」と題された米国特許第5,398,113号、及び「高さ方向を走査する干渉法を使用して行なう複雑な表面構造の形状測定(PROFILING COMPLEX SURFACE STRUCTURES USING HEIGHT SCANNING INTERFEROMETRY )」と題された2003年3月8日出願の米国特許出願第10/795,808号に記載されており、前記特許及び特許出願を参照することによりこれらの文献の内容が本発明の開示に含まれる。しかしながら、干渉信号の処理には変換は必要ではないことを理解されたい。例えば、干渉の包絡線の最大値によって空間特性情報を得ることができ、干渉信号の変換を行わなくても済む。
【0047】
図2から分かるように、干渉信号90の部分94は干渉パターン96とは反対の干渉パターン92による影響が支配的である。上述したように、干渉パターン92はオブジェクト30の外側表面39から得られる。表面39の空間特性、例えば位置及び/又は高さは、干渉信号90全体の一部分のみを構成する部分94に基づいて求めることができる。干渉信号のこのような部分の位置を特定して、このような部分を解析する方法及びシステムは、Peter de Grootによる「表面を干渉法を用いて解析する方法及びシステム、及び関連する適用形態(METHODS AND SYSTEMS FOR INTERFEROMETRIC ANALYSIS OF SURFACES AND RELATED APPLICATIONS )」と題された2004年9月15日出願の米国特許出願に記載されている。この出願は、当該出願を本明細書において参照することによりこの出願の内容全体が本発明の開示に含まれる。
【0048】
干渉信号、例えば特定の実施形態においては複数の境界を有するオブジェクトのようなオブジェクトからの低コヒーレンス干渉信号を取得して、処理する干渉計システム及び干渉法について次に説明する。
【0049】
図3を参照すると、図示の光学システム100が回折光学系を使用してオブジェクトを斜入射角で照射することが示されている。システム100は干渉計システム101及び照明システム150を含み、これらのシステムは、測定オブジェクト30、及び被覆層が全く無いオブジェクトまたは複数のこのような層を含むオブジェクトのような他のオブジェクトを使用するように構成されている。低コヒーレンス干渉計ではないが、システム101は測定オブジェクト30の特性、例えば空間特性または光学特性を、斜入射照射を使用して求める機能を備え、かつこのような構成の利点を示すための例示である。図1a及び1bに戻ってこれらの図を参照すると、空間特性または光学特性は層34の表面39または表面の一部分40iに関連することが示される。別の構成として、または組み合わせる形で、空間特性または光学特性は境界36に、例えば基板32の表面35に関連付けることができる。システム101は通常、オブジェクト30に関する情報を提供するために位相シフト法を用いる。
【0050】
照明システム150は通常、表面オブジェクト30を光167で照射して、選択パターン、例えば回路パターンを表面38に撮像するように構成されている。図3に戻ってこの図を参照しながら、システム101及び150の種々の態様について以下に説明する。
【0051】
干渉計システム101は測定オブジェクトを解析するように構成されている斜入射システムである。ランプ、発光ダイオード、マルチモード・レーザ・ダイオード、または気体レーザとすることができる光源111はビーム102を生成する。拡大光学系103を通過した後、ビーム102は照射光の初期波面104を形成する。0次回折光を抑圧する1次元位相格子とすることができる回折ビーム・スプリッタ105は照射光の初期波面104を基準波面115及び測定波面110に分離する。2つの波面115及び110は反対の次数の格子、例えば正の1次格子及び負の1次格子から生成され、その結果、分岐方向に伝搬する。基準波面115は回折ビーム・コンバイナ170に到達する前に、基準表面130によって1回反射される。回折ビーム・コンバイナ170は回折ビーム・スプリッタ105と同様の構成とすることができる。
【0052】
以下に更に説明するように、基準表面130は、パターニング用の光をオブジェクト30、例えばオブジェクトの一部分40iに振り向ける投影光学系の一部のような照明システム150の一部として構成することができる。いずれにせよ、基準表面130は、例えば波面115の平均波長の約1/15の精度で光学的に平坦にすることができる。あるいは既知の表面形状を有するようにしてもよい。例えば、投影光学系は既知の曲率を有する弓状の表面を有するようにしてもよい。
【0053】
また、図1aを参照すると、測定光線181は、測定波面110の光がオブジェクト30と相互作用する様子を示すことが分かる。層34及び基板32が設けられた状態で、測定光線181の一部分が層表面38に衝突し、層表面38によって斜角αで反射され、次に反射光線181’として伝搬する。図3から分かるように、光線181’を含む反射測定波面110’は回折ビーム・コンバイナ170に到達し、このビーム・コンバイナにおいて、波面が基準波面115と再合成されて出力波面120を形成する。図1aに戻って同図を参照すると、測定光線181の第2部分が層34を通過し、基板32の表面の境界36により反射光線181’’として反射されることが分かる。境界36により反射される光によって第2反射波面(図示せず)が生成され、この波面は波面181’とほぼ同じ経路に沿って伝搬するが、伝搬経路に直交する方向の次元に沿ってΔsの大きさだけ離間して伝搬する。第2波面も基準波面115と合成され、基準波面115と干渉することになる。
【0054】
特定の実施形態では、システム100は、層34とオブジェクト30の周囲の環境との間の境界38の表面39によって反射される1つの測定波面を実現し、かつ基板32と層34との間の境界36により反射される測定波面を減衰または除去するように構成されている。基板−表面層の境界36により反射される測定波面は、光源111の波長を表面層34がほとんどを吸収するように選択することにより減衰又は除去可能である。光源の光は表面層が吸収するので、基板−表面層の境界36により生じる反射波面はほぼ無くなる。その代わりに、反射波面はほぼ表面層−周囲環境の境界38によってのみ、例えば表面層と、オブジェクト30を取り囲む空気、他の気体、または真空との間の境界によってのみ生じる。従って、光線181’’及び関連する全ての波面が減衰又は除去される。
【0055】
特定の実施形態では、表面層34は、照明システム150が放出する紫外光によって露光されるように構成されているフォトレジストである。通常、光活性成分を露光することなく、フォトレジスト層の成分、例えばレジスト自体の溶解成分または光活性成分が、可視光線、近赤外線、または赤外線のような低エネルギー照射線を吸収する。このような非露光吸収は、紫外光によるような電子励起ではなくレジストの振動励起によって生じ得る。いずれにせよ、レジストは測定光の一部分を吸収し、そしてシステム101は測定光線181’を含み、かつほとんど表面層34と周囲環境との間の境界38のみによって生じる測定波面を生成する。このような波面は境界38の空間特性、例えば表面39の幾何学的構造及び/又は位置に関する情報を伝達する。空間特性は、照明システム150の投影光学系の表面130のような照明システム150の一部分を基準として与えられる。
【0056】
特定の実施形態では、システム100は、基板32と層34との間の境界の表面36によって反射される1つの測定波面を実現し、かつ層34の表面と周囲環境との間の境界38により反射される測定波面を減衰または除去するように構成されている。境界38により反射される測定波面を、入射光、例えば測定光線181の偏光P及び入射角αを選択することにより減衰又は除去して、表面36により反射される測定光線181’’に対する測定光線181’の強度を最小化することができる。例えば、偏光Pを表面38での入射平面に平行になるように構成することができる。別の構成として、または組み合わせる形で、入射角αがブルースター角に等しくなるように構成することができ、ブルースター角は表面39による反射が前述の偏光で最小になる角度である。いずれにせよ、表面39による反射が小さくなるか、あるいは無くなり、そしてシステム101は、測定光線181’’を含み、かつほとんど基板32と表面層34との間の境界36のみによって生じる測定波面を生成する。このような波面は境界36の空間特性、例えば基板の表面36の幾何学的構造または位置に関する情報を伝達する。空間特性は、照明システム150の投影光学系の表面130のような照明システム150の一部分を基準として与えられる。
【0057】
表面36、表面39、または両方の表面に関する情報を含むか否かに拘らず、出力波面120はレンズ171及び撮像レンズ173を通過して観測画面、例えば試料表面160の画像190が形成されるCCD175のような2次元検出器に到達する。検出器175を斜めに傾けて焦点が検出画像に正しく結ばれるようにする。傾けることにより、試料表面160を斜角αで撮像することにより生じる画像190のフォアショートニング効果を低減することもできる。画像190は試料表面160の幾何学的構造に関連する干渉フリンジ情報を含む。このような構成では、これらのフリンジに関連する等価波長ΛがΛ=λ/cos(α)によって与えられ、λは波面104の公称波長である。
【0058】
本明細書において使用する「回折光学系」という用語は、回折格子、バイナリー・オプティクス、表面レリーフ回折レンズ(surface-relief diffractive lenses )、ホログラフィック光学素子、及びコンピュータ生成ホログラムを含むように用いられる。これらの素子は、透過の際、または反射の際にビーム・スプリッタ及びビーム・コンバイナとして機能することができる。これらの素子は不所望の回折次数、例えば0次透過光を抑制して散乱光を低減し、そして光効率を上げることができる。回折光学素子を作製する方法は、ダイアモンド加工、コヒーレント・ビーム干渉(ホログラフィ)、射出成形、及び最先端マイクロリソグラフィ法を含む。回折光学系はこの技術分野の当業者には、レンズ、プリズム、ミラー、及びプレート・ビーム・スプリッタのような屈折光学素子及び反射光学素子とは異なるものとして認識される。
【0059】
測定波面110’及び基準波面115が一緒になって出力波面120を形成する場合、測定波面110’及び基準波面115の重複部分は初期照射波面104のほぼ同じ部分から放出される。例えば、回折ビーム・コンバイナ170のポイント189で再合成される基準光線185及び測定光線181は、回折ビーム・スプリッタ105のほぼ同じポイント109から放出される。その結果、初期照射波面104の収差または空間的な非干渉性は、画像190に観察される干渉フリンジにほんの少ししか影響しない。更に別の結果として、ビーム拡大光学系103の小さな欠陥、または空気の乱れによる歪みは、画像190の解析にほんの少ししか影響しない。更に別の結果として、回折ビーム・スプリッタ105または回折ビーム・コンバイナ170から出力される光の相対パワー変動(フラットネス)のずれは、画像190に観察される干渉フリンジに小さくしか影響しない。
【0060】
システム101の更に別の特徴は、等価波長Λが光源111の波長λにほぼ無関係であるということである。これは、次のように理解することができる。システム101の構成及び回折格子の既知の特性から、入射角αがcos(α)=λ/Dによって与えられ、Dが回折ビーム・スプリッタ105及び回折ビーム・コンバイナ170の格子間隔、すなわち格子線の間の線形間隔であることが分かる。従って、等価波長Λ=Dとなる。このように、異なる光源波長λによって、格子間隔に等しい同じ等価波長Λが生成される。
【0061】
測定波面110が伝搬する光路は、基準波面115が伝搬する光路にほぼ等しい。これによってマルチモード・レーザ・ダイオードまたは他の素子の使用が容易になり、これらの素子は、素子が干渉計の光源として使用される場合に、シングル・モード・レーザまたはコヒーレンスが高く、スペクトル帯域が狭い他の素子、あるいは単色素子の不正なフリンジ・パターン及びスペックル雑音の影響を小さくするために十分な波長範囲、例えば波長範囲<0.1nmを有する。また、波面115及び110が伝搬する光路がほぼ等しくなることによって、この第1の実施形態は、レーザ励起モードの間で不意に発振するレーザ・ダイオードの問題となり得る、光源101の波長の不安定性の影響を受けないようになる。
【0062】
干渉データをシステム101から取得する一つの方法は位相シフト法であり、この位相シフト法では、多くの干渉状態を検出器175によって測定する。位相シフト・データは、測定ビームと基準ビームとの間のOPDを生じさせることにより取得することができる。このようなOPDは、格子線に直交する方向におけるように、複数の回折格子のうちの一つの回折格子を面内で並進させることにより生じさせることができる。
【0063】
OPDを生じさせる別の方法では、2つの格子の間の格子周期に小さな差を生じさせる。これによって、検出器の位置で干渉する2つの波面の間に傾きが生じ、空間的な搬送波を生じさせる干渉縞パターンが得られる。この場合、多くの方法のうちの一つの方法を使用して高さ情報を、検出器を1回だけ照射することにより取得することができる。例えば、フーリエ変換による位相測定を使用することができる。
【0064】
照明システム150に注目すると、照明光源152は光160を放出し、この光160をビーム・コンディショナ154が受信する。ビーム・コンディショナは調整済みビーム162を照明光学系156に振り向け、この照明光学系によって光164がマスクまたはレチクル158を透過し、オブジェクト30の境界38に投影光学系157を通って到達する。
【0065】
照明光源152は通常、紫外光源、例えば紫外線レーザ・ビームを放出するレーザである。特定の実施形態では、光源152は248ナノメートル(nm)、193nm、または157nmを含む波長を有する光160を放出する。光源152はパルス・レーザまたは連続波レーザとすることができる。ビーム・コンディショナ154は照明光源152から受信する光160を調整して、例えば所定断面を有するコリメート・ビーム162を生成する。例示としてのビーム調整には、例えば屈折光学系及び/又は反射光学系を用いることができ、これらの光学系については、S. Stantonらによる「フォトリソグラフィに使用するハイブリッド照明システム(Hybrid Illumination System for Use in Photolithography)」と題された米国特許第5,631,721号に記載されており、この文献を本明細書において参照することによりこの文献の内容全体が本発明の開示に含まれる。
【0066】
照明光学系156は調整済みの光162を受信し、そして光164を照射野として出力し、この照射野がマスクまたはレチクル158に当たる。光学系156は、均一な照度を有する照射野を供給し、かつ照射野のサイズが変化するときのレチクルでの照射野の角度分布及び特性を維持するように構成することができる。マスクまたはレチクル158は通常、オブジェクトに投影されるパターン、例えば回路パターンを含む。例えば、光学系156は、パターンの焦点をオブジェクトの一部分40iに合わせることができる。
【0067】
図3を参照し続けると、干渉計システム101は長い作業距離を境界38及び基準表面130の間に設けていることが分かる。作業距離とは、試料表面と、この表面に最も近接する光学部品との間の距離を指す。斜入射システム101における長い作業距離は、試料境界38または他の部品を傷付ける恐れがあることを気にすることなく、試料境界38を都合の良いように位置させることができることを意味する。
【0068】
本明細書において説明する全ての干渉計システムのように、システム100は位置決めステージ119を含むことができ、このステージ119は、オブジェクト30の位置を別のオブジェクトに対して、例えば照明システム150の投影光学系の表面130に対して決めるように構成されている。干渉計システム101が取得するデータをフィードバックする形でコンピュータが制御するステージ119は、並進及び回転位置決めを行ってオブジェクト30が他のオブジェクトと所望の空間的な位置関係を有するようにする。例えば、表面39またはその表面の一部分40iによって反射される波面から得られる干渉データに基づいて、システム100はオブジェクト30を移動させて、表面39またはその表面の一部分40iが表面130と所望の空間的な位置関係を有する、例えば表面に平行になる、かつ/もしくは表面から所定の距離に位置するようにする。システム100はオブジェクト30を移動させて、表面36と表面130との間に同様の空間的な位置関係が生じるようにする。
【0069】
図4を参照すると、複数の境界を有するオブジェクトの空間特性を求めるために使用することができる斜入射干渉計の別の例である低コヒーレンス干渉計システム250が示されている。本実施形態では、光学系を備える低コヒーレンス干渉計を含むシステムは、そのシステムが小さな設置面積を占有するようにコンパクトに構成可能であり、かつオブジェクトを操作するために使用する他のシステムと連動する形で使用可能である。
【0070】
システム250はオブジェクト252の空間特性を、オブジェクトに光を斜入射角で照射することにより求める。システム250は光源254を含み、この光源は光ビーム255を放出する広帯域及び/又は広がった光源とすることができる。光源の例として、550nmの中心波長及び120nmの半値幅(FWHM)を有する白色光LED及び200nmの半値幅(FWHM)を有するキセノン・アーク・ランプを挙げることができる。一般的に、ビーム255の中心波長に対する光ビーム255のFWHMの比は少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、例えば少なくとも20%である。
【0071】
ビーム255は光学系、例えばレンズ256が受信し、このレンズ256によってコリメート・ビーム257が得られる。レンズ265の焦点距離は(図示の実施形態では)150mmであり、この値は0.004の照明開口数に対応する。ビーム・スプリッタ258はビーム257を測定ビーム259及び基準ビーム261に分離する。測定ビーム259はミラー262によって反射され、そしてオブジェクト252に斜入射角αで衝突する。例えば、オブジェクト252は、フォトリソグラフィ・システムにより照射されるフォトレジストの付いたウェハとすることができる。システム250は、オブジェクト252の表面に対して25×80mmの視野範囲を有する。
【0072】
オブジェクト252によって反射される光263はビーム・スプリッタ264が受信する。測定ビームの光路には補償板260が位置することができ、この補償板を使用して測定ビームが高密度媒質、例えばガラスを通って伝搬する距離を変更する、かつ/もしくはビーム259の横方向変位を変更することができる。図4を参照すると、ビーム259及び263はX−Y平面に平行な平面を形成することが分かる。
【0073】
ビーム・スプリッタ264は光263及び基準ビーム261を合成してビーム265を形成し、このビーム265は検出器、例えば複数の検出素子、例えば画素を有する撮像検出器276によって検出される。撮像光学系、例えばテレセントリック光学系272,274はビーム265を検出器276に撮像して異なる画素がオブジェクト252の異なるポイントに対応する光を検出するようにする。基準ビーム261は、ミラー276,270、及び補償板260と同じ機能を実現する補償板268が位置する経路に沿って伝搬することができる。
【0074】
システム250を、ビーム259がビーム・スプリッタ258と264との間で伝搬する光路長が、基準ビーム261がビーム・スプリッタ258と264との間で伝搬する光路長と同じになるように構成することができる。従って、ビーム259と261との間の光路差(OPD)は無視できるか、あるいはゼロとすることができる。干渉は、複数のビームの間のOPDが検出光のコヒーレンス長よりも短い場合に観察される。更に、システム250を、ビーム259,261を光路長差範囲に渡って検出するように構成することができる。例えば、システム250を、ビーム259,261のうちの一方が最初に長い光路を伝搬するように構成することができる。次に、システム250は、少なくとも一つの部品を動かして、例えばOPDがゼロになるまで、あるいは他方のビームが長い光路を伝搬するようになるまで、OPDを掃引する。特定の実施形態では、システム252はビーム259,261を、少なくとも検出器276が検出する光のコヒーレンス長と同じ長さだけ変化するOPD範囲に渡って検出する。検出器276の異なる検出素子は干渉信号をOPDの関数として記録する。干渉信号は、包絡線によって変調される一つ以上の干渉パターンを含むことによって干渉信号90に類似したものとなり得る。干渉信号をシステム50に関して説明した方法で解析してオブジェクトの空間特性、例えばフォトレジスト層の外側表面の空間特性を求めることができる。
【0075】
光源254は広がった光源であるので、OPDが、光源の画像を光学系272,274の瞳面276’に形成する基準ビーム261及び測定ビーム259に跨がる位置の関数として変化するようにシステム250の配置をずらすことができる。このような配置ずれの状態では、基準経路及び測定経路の光軸は平行にすることができるが、同じ領域を占有することができない、例えば平行であるが横方向にずれる。これによって、照射光束が横方向にずれる。約50μmのXY平面でのずれによって、フリンジ・コントラストが50%小さくなる。このようなフリンジ・コントラストの低下を小さくするか、あるいは無くすために、システム250の配置を調整して横方向ずれを10μm以下、5μm以下、例えば2μm以下とすることができる。
【0076】
コントラスト低下の別の原因は、ビーム263がその伝搬軸の周りに回転し、ビーム261がその伝搬軸の周りに該当する回転を起こさないことにある。ビーム263の回転は、オブジェクトがオブジェクトを通って延びる軸Uの周りを回転することにより生じる。実際、横方向ずれを小さくしようと配置を調整することによってこのような回転が生じる。軸Uはビーム259及び263によって定義される平面に位置する。軸Vはビーム259及び263によって定義される平面の法線である。オブジェクト252がU軸またはV軸の周りに傾くと、光源の画像が瞳面276’で横方向に変位する。しかしながら、U軸の周りに傾くと、ビーム263がその軸の周りに回転するようにもなる。
【0077】
図5a及び5bを参照しながら、斜入射干渉計250の基準経路に沿って伝搬する光が形成する光源254の画像○及び測定経路に沿って伝搬する光が形成する光源254の画像◇の相対変位のシミュレーションについて説明する。光源の画像は、テレセントリック光学系272,274の瞳面276’でビーム261,263によって形成される。シミュレーションは、オブジェクトに、開口数が0.004のレンズを使用して80°の入射角で入射する光に関するものである。図5aでは、基準経路及び測定経路に関する画像はオブジェクトがU軸の周りに0.5°回転することによって生じる変位を示している。測定経路の画像◇は、基準経路の画像○に対して横方向に0.44mmだけシフトしている。図5bでは、測定経路の画像における剛体運動を差し引いて変位ベクトルを取得するが、これらのベクトルはビーム263が横方向変位の他に、ビーム261に対して0.96°だけ回転していることを示している。オブジェクトによる反射によって得られる画像の最大水平方向変位及び最大垂直方向変位は約±21μmであり、この値は0.44mmシフトの約±5%である。回転によって±5%の変化が、検出される干渉フリンジの間隔及び向きに生じる。従って、オブジェクトがU軸の周りに傾くことによって生じる回転によって、大きなコントラスト変化が検出器の視野範囲に生じる。システム250の配置を最小の横方向ずれ及び回転ずれになるように、例えばシステムの基準経路及び測定経路の各セグメントの光軸を同じ平面内に納めることにより調整することができる。オブジェクトの焦点ボケは低開口数の干渉計のフリンジ・コントラストには(1次近似では)影響しない。
【0078】
図6を参照すると、低コヒーレンス干渉計システム200はオブジェクトの空間特性を、オブジェクトを斜入射角で照射することにより求める。システム200は、測定経路及び基準経路を有する低コヒーレンス干渉計を含む。以下に説明するように、オプティカル・フラット・ペアはビーム・スプリッタ及びビーム・コンバイナとして機能する。基準経路に沿って伝搬する光はこれらのオプティカル・フラットの間のギャップを伝搬する。測定経路に沿って伝搬する光はこれらのオプティカル・フラットの間のギャップから出てギャップに再入射する前にオブジェクトによって反射される。
【0079】
システム200は光源202を含み、この光源は広帯域光源及び/又は広がった光源とすることができる。光源202はビーム204を生成する。光学系206はビーム204を受信し、そしてコリメート・ビーム207を出力し、このコリメート・ビーム207は、離間するオプティカル・フラット・ペア208,210に衝突する。ビーム207はフラット208によって屈折し、そしてギャップ233を通過し、更にフラット210に位置235’で衝突する。ギャップ233はフラット208,210のいずれとも異なる屈折率を有する。特定の実施形態では、ギャップ233は、気体、例えば空気、液体、例えば水を含むか、あるいは真空である。フラット208,210はガラスまたは溶融シリカのような任意の適切な光学媒質により作製することができる。
【0080】
ビーム207の部分220は位置235’でフラット210によって反射される。ビーム207の部分222は位置235’でフラット210によって屈折し、そしてオブジェクト30に斜入射角αで衝突する。ビーム222はオブジェクト30によって反射され、そしてフラット210に衝突し、更にフラット210によって屈折する。例えば、オブジェクト30はフォトリソグラフィ・システムにより照射されるフォトレジストの付いたウェハとすることができる。オブジェクト30によって反射されるビーム222、及びビーム220は、フラット210の位置235’’で合成されてギャップ233内部で合成ビーム224を形成する。合成ビームはフラット208に衝突し、そしてフラット208によって屈折する。撮像光学系226,228は、合成ビームを検出器230に撮像し、この検出器は、複数の画素を含む2次元撮像検出器とすることができる。検出器230の各画素はオブジェクト30の異なるポイントにより反射される光を検出する。従って、異なる画素はオブジェクト30の異なる部分の空間特性の影響を受ける干渉信号を検出することができる。
【0081】
システム200は基準経路及び測定経路を含む。ビーム220は位置235’と位置235’’との間の基準光路を伝搬する。ビーム222は位置235’と位置235’’との間の測定光路を伝搬する。基準光路と測定光路との間のOPD差は幾つかの方法により変化させることができる。特定の実施形態では、システム200は、ギャップ233の厚さを変えるように構成されている複数の圧電スペーサ237を含む。これらのスペーサ237によってギャップ233が変化するので、検出器230はオブジェクト30の複数ポイントを含む画像を検出する。OPDは、オブジェクト30をフラット208,210に対して動かすことにより掃引することもできる。
【0082】
特定の実施形態では、OPDは、フラット208,210のうちの少なくとも一つ、例えばフラット208にウェッジ(wedge )を付けることにより生じさせることができる。このようなウェッジが付いたフラットの上側表面及び下側表面は平行にならない。ウェッジが付くことにより、測定ビーム222に対して基準ビーム220の波面が傾く。従って、合成ビーム224は空間的な干渉パターンを検出器230において形成する。空間的な干渉パターンを処理して、X軸に平行に直線状に並んだ複数のポイントの上の表面38の高さを求めることができる。従って、1つの検出器によってデータを取得する場合において、システム200はオブジェクト30に関する空間情報を提供することができる。更に、オブジェクト30のシステム200に対する位置を、空間的な干渉パターンの最大干渉コントラストの横方向位置をモニターすることにより正確に決めることができる。
【0083】
OPDを掃引することにより変えて、空間的な干渉パターンを形成するか否かに拘らず、合成ビーム224を、検出光のコヒーレンス長と少なくとも同じ長さのOPD範囲に渡って検出することができる。従って、システム200は、干渉信号90に関して説明した光のコヒーレンス長を示す包絡線により変調される干渉パターンを検出することができる。システム200を使用して得られる干渉パターンを、本明細書の他の箇所で説明した方法で解析してオブジェクトの空間特性を求めることができる。
【0084】
オプティカル・フラット208,210は光学特性及び機械特性を有し、これらの特性によってシステム200はオブジェクト30の所望の視野範囲、例えば100mm×100mmを撮像することができる。特定の実施形態では、フラットは溶融シリカにより作製され、かつ少なくとも2mm、少なくとも5mm、例えば少なくとも10mmの厚さを有する。
【0085】
オプティカル・フラット208,210の表面に変更を加えて、各フラットによって反射されるか、あるいは屈折する光の量を求めることができる。例えば、オプティカル・フラット208,210の部分230に、反射防止コーティングを使用して変更を加えることができ、この反射防止コーティングは、反射光量よりも屈折光量が多くなるように構成されている。コーティングは、光源202の発光スペクトルに一致する広帯域コーティングとすることができる。オプティカル・フラットの部分235に入射する光には反射及び屈折の両方が生じる。従って、部分235にコーティングを行なわないか、あるいはコーティングして所望の反射及び屈折比を実現することができる。オプティカル・フラット208の部分231は高反射率の材料、例えば金属または誘電体コーティングを有することができる。
【0086】
本明細書において説明する斜入射干渉計を使用して干渉計に対するオブジェクトの正確な位置を求めることができる。干渉計の基準経路及び測定経路は三角測量センサとして動作する。斜入射干渉計を三角測量センサとして動作させるために、アパーチャ、例えばスリットを照明光学系に配置してアパーチャがオブジェクト表面に撮像されるようにする。干渉計101(図3)はこのようなアパーチャ96を備えるものとして示されるが、本明細書において説明するいずれの干渉計にもこのような変更を加えることができる。
【0087】
アパーチャは顕微鏡の視野絞りとして機能する。図7aを参照すると、アパーチャの第1及び第2画像200a,201aが干渉計の検出器に撮像される様子が示される。画像200aは、オブジェクトにより反射される光に対応するオブジェクト画像である。画像201aは、干渉計の基準経路に沿って伝搬する光に対応する基準画像である。アパーチャは、画像200a,201aが検出器の視野範囲の一部しか占有することがないように十分に小さい。オブジェクトの干渉計に対する位置は、干渉計101のステージ機構、例えば並進ステージ119によって決められ、この並進ステージ119は、ステージ自体の法線に沿って正確に変位することができる。
【0088】
画像200a,201aが最初に記録される場合、オブジェクトの位置は通常、測定経路及び基準経路のOPDがゼロになるように決められる訳ではない。従って、画像200a,201aは図7aに示すように互いから離間する。オブジェクト及び干渉計の相対位置は、例えばオブジェクトをその法線に沿って変位させることにより変更する。オブジェクトの変位は、並進ステージの動きに基づいて正確かつ高精度に認識される。次に、第2の画像ペア200b(第2オブジェクト画像),201b(第2基準画像)が得られる。
【0089】
画像200a,201a(図7a)を含む検出信号及び画像200b,201b(図7b)を含む検出信号を処理して、2つの検出信号のオブジェクト画像200a,200bの位置を相関させる。例えば、オブジェクト画像200a,200bの相対位置を、検出器の空間単位(例えば画素数)で求めることができる。オブジェクト変位の関数としてのオブジェクト画像変位は、画像200a,200bの相対位置から求めることができる。一旦、オブジェクト画像の変位とオブジェクトの変位との間の関係が求まると、オブジェクト画像200bと基準画像201bとの間の変位が求まる。次に、オブジェクトをゼロOPDの位置(この位置で、オブジェクト画像及び基準画像が重なる)にまで、画像200bと201bとの間の変位、及びオブジェクト画像の変位とオブジェクトの変位との間の関係に基づいて並進させることができる。
【0090】
これらのステップを行なった結果として、オブジェクトの干渉計に対する位置を、オブジェクト表面の正確な位置が干渉パターンのフリンジ間隔の数分の1よりも良好な精度で認識される形で決めることができる。斜入射干渉計を、スリットを取り外すことにより切り替えて干渉モードに戻すことができる。次に、オブジェクト表面の位置決めの精度を、本明細書に記載する干渉信号を使用して上げることができる。オブジェクト画像及び基準画像に基づく三角測量はオブジェクトの傾きの影響を受けない。何故なら、オブジェクト表面が検出器に撮像されるからである。
【0091】
図8a及び8bを参照すると、光学システム400は、基板と基板を被覆する層との間の境界により拡散散乱される光を撮像するように構成されている。拡散散乱光を撮像することにより、光学システムはオブジェクトの外側表面ではなく境界の空間特性の影響を受ける。システム400を使用して、薄膜を有する基板のフォトリソグラフィ・システムに対する位置を決めることができる。
【0092】
光学システム400は、構造化光投影装置(structured light projector)408を含み、この投影装置408は光パターン402をオブジェクトに投影し、更にテレセントリック撮像システム406を含み、この撮像システム406はパターン402を検出器420に撮像する。撮像システム406は、境界36または38により正反射される光407を避ける角度で生じるオブジェクトからの光を検出する。例えば、システム406は、光407に対して角度αの方向に揃った光軸にほぼ沿って拡散散乱される光409を検出することができる。
【0093】
拡散散乱は基板32のパターニング形状29により生じる。このような形状は光の波長に対して小さく、例えば1μm以下または0.5μm以下にすることができる。しかしながら、層34の上面39は平滑となり易い。従って、拡散散乱を基板−層の境界36に対して局在化させることができる。オブジェクトの上面39及びオブジェクト内部の各個々の境界、例えば境界36は照射光を入射角に対して、撮像システムの入射瞳から離れる正反射の方向に反射する。従って、拡散散乱光409は検出光の主成分であり、システム350は、基板−層の境界を示す空間情報を、検出される拡散散乱光に基づいて提供することができる。
【0094】
図示の実施形態では、構造化光投影装置404は光源408を含むマイケルソン干渉計(Michelson interferometer)であり、この干渉計は光ビーム411を放出し、この光ビーム411は光学系410、例えば光源408から光学系の焦点距離に位置するレンズによってコリメートされる。特定の実施形態では、光源408は、発光ダイオードのような広帯域光源及び/又は空間的に広がった光源である。光源408は、狭帯域光源、または以下に説明するように、狭帯域と広帯域との間の切り替えが可能な光源としてもよい。ビーム・スプリッタ415は光ビーム411を第1及び第2部分に分離し、これらの部分はミラー412及び414によりそれぞれ反射される。ビーム・スプリッタ415は第1及び第2部分の少なくとも幾つかの光を再合成して合成ビーム417を形成する。
【0095】
テレセントリックなリレー光学系416は合成ビーム417を中継してオブジェクトを斜入射角αで照射する。合成ビーム417の第1及び第2部分はオブジェクトに、オブジェクトを横切る位置によって異なってくるOPDを生じる形で衝突する(図8b)。従って、合成ビームの第1及び第2部分はウェハ表面36で干渉して干渉フリンジ、すなわちパターン402を形成する。干渉フリンジは、光源408が広帯域光源及び/又は空間的に広がった光源であっても観察することができる。何故なら、合成ビーム417の第1及び第2部分は、ビーム・スプリッタ415とオブジェクトとの間で同じ光路長を有することができるからである。光源は抜群の非干渉性を有するので、パターン402及び検出画像には干渉アーチファクト(スペックル)が生じない。構造化光投影装置404はパターンを干渉フリンジに基づいて形成するが、投影装置はパターンを、干渉を利用せずに画像を投影してパターン形状を形成することにより形成することができる。
【0096】
図8a及び8bに戻って同図を参照すると、パターン光投射装置によって形成されるフリンジはオブジェクトのx軸に平行に延び、かつオブジェクトのy軸に沿って離間する様子が示されている。フリンジからの拡散散乱光409が、CCDのような2次元検出器とすることができる検出器420に撮像される。幾つかのアプローチを使用してオブジェクトの空間特性を検出フリンジに基づいて求めることができる。
【0097】
空間的な搬送波を生じさせるアプローチでは、検出器は通常、複数の平行フリンジを検出するように構成され、例えばこれらのフリンジ402を検出器の全視野範囲に渡って投影する。高さの変化(基板の段差または表面不連続性のような)によってフリンジの位相がシフトする。図8bを参照すると、複数のフリンジの間の間隔Δsは光ビーム417の波長及び入射角αの関数である。オブジェクト及びビーム417が互いに対して固定されていても、入射角αは表面形状の関数として変化する。特に、フリンジ間隔Δsは、境界36の各部分に関して小さくなるか、あるいは大きくなり、これらの部分はそれぞれビーム417に向かって、あるいは離れる方向に傾いて、角度αを増大させるか、あるいは減少させる。従って、オブジェクトの空間特性はパターン402の1つの画像だけに基づいて求めることができる。
【0098】
空間的な搬送波を生じさせる実施形態では、パターン402の一つ以上の検出画像が得られる。表面の検出部分の空間特性、例えば基板の一つ以上のポイントの高さは、フリンジ402に基づいて、例えば間隔Δsに基づいて求められる。検出画像は、例えばFDAを使用し、画像変換を通して、あるいは直接、画像自体に基づいて解析することができる。例えば、間隔Δsを検出フリンジから直接求め、そしてオブジェクトの幾何学的構造に関連付けることができる。
【0099】
位相をシフトさせるアプローチでは、パターン402をオブジェクトを横切る形でシフトさせながら、パターンを検出器に複数回照射してパターンを記録する。パターンは、例えば合成ビームの第1及び第2部分のうちの一方の光路長を変更することによりシフトさせることができる。例えば、ミラー412,414のうちの一方を並進させるか、あるいは圧電変換器を使用して傾けることができる。基板の多くのポイントの各々から検出される光の位相は基板の幾何学的構造を示す。
【0100】
境界36の空間特性を投影パターン402に基づいて求めるために適する例示としてのアプローチについては、D. Robinson, G. Reid(編者)による「インターフェログラム解析:デジタル・フリンジ・パターン測定法(Interferogram analysis: digital fringe pattern measurement techniques )」(IOP Publishing, 1993)に記載されており、この文献を本明細書において参照することによりこの文献の内容が本発明の開示に含まれる。
【0101】
特定の実施形態では、素子350を広帯域光源及び/又は空間的に広がった光源である光源を使用して動作させる。この場合、時間的及び空間的コヒーレンスの包絡線によってパターン402のフリンジ振幅が変調される。包絡線によってフリンジは通常、検出器406の視野範囲の内部でも変調される。従って、検出器420は複数の平行フリンジを撮像し、この場合、各フリンジはx軸に平行に延び、かつ各フリンジは隣接フリンジとは異なる強度を有する。包絡線の最大値は合成ビームの第1部分と第2部分との間のOPDがゼロになる位置に対応する。検出フリンジに対する包絡線の最大値の位置は、オブジェクトの正確な位置及び向きを示す。従って、包絡線の最大値を使用してシステム350に対するオブジェクトの位置を正確に特定することができる。
【0102】
特定の実施形態では、システム400は基準表面427を含み、この基準表面427をオブジェクト30に隣接して、かつ表面35または表面39とほぼ同じ高さに位置させることができる。オブジェクト30及び基準表面427は並進ステージ119で固定することができる。基準表面は、光を拡散散乱するように構成可能である。例えば、基準表面をエッチングされたガラス表面またはすりガラス表面とすることができる。基準表面を使用する場合、システム350は通常、広帯域光源によって動作するので変調包絡線が得られる。基準表面427の位置は、パターンが基準表面に投影され、そして検出器によって撮像されるように決められる。ステージ119(及び、従って基準表面427)の位置は、包絡線最大値が観察フリンジ・パターンと所定の関係を有する、例えば観察フリンジ・パターンの中心に位置するように決められる。次に、オブジェクト30を検出器の視野範囲に並進させる。残りのフリンジに対する包絡線最大値の位置の変化は、基準表面とオブジェクト30との間の高さの差を示す。ステージを移動させて包絡線最大値が再度、観察フリンジ・パターンと所定の関係となるようにすることができる。従って、オブジェクトの位置を基準表面に対して正確に決めることができる。
【0103】
特定の実施形態では、システム400の光源を広帯域スペクトル光源と狭帯域スペクトル光源との間で切り替えることができる。広帯域光源は既に説明したように動作して振幅変調干渉パターンを生成し、このパターンは検出器の視野範囲の内部でも変化する。オブジェクトの位置を干渉パターンの最大値の位置に基づいて決め、OPDがゼロになる位置がオブジェクトの所定部分に一致するようにする。従って、オブジェクトの位置をシステム400に対して正確に決めることができる。一旦、オブジェクトの位置を決めてしまうと、システム400の光源を狭帯域光源に切り替えて、光源が、フリンジが検出器の視野範囲の内部ではほとんど変調されない十分な長さのコヒーレンス長を有するようにする。フリンジの特性を解析してオブジェクトの空間特性を求める。システムでは、スペクトル・フィルタを使用してビーム411を狭帯域光と広帯域光との間で切り替えることができる。
【0104】
図9a及び9bを参照すると、干渉計システム50は低コヒーレンス干渉信号をオブジェクト30、及び被覆層が全く無いオブジェクトまたは複数の被覆層を含むオブジェクトのような他のオブジェクトから取得することができることが示されている。システム50はオブジェクトの複数のポイントを第1の次元に延びる照射ストライプで照射し、そして各ポイントから生じる干渉パターンを検出する。干渉パターンは検出器の第1の次元に沿って延び、かつ検出器の第2の次元に沿って離間する。従って、システム50は干渉パターンを、構成要素を動かして光路長差を変えるという操作を全く行なうことなく、取得することができる。必ずしも斜入射モードで動作することはないが、システム50は干渉信号を短時間で複数のオブジェクト・ポイントから取得することができ、これによりオブジェクトに対して他の処理ステップを実施することができる。
【0105】
光源、例えば光源52はX軸に平行な方向に延びる光ビーム54を放出する。光源52は、光源の公称波長の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%である半値幅(FWHM)の帯域を有する広帯域光源とすることができる。特定の実施形態では、光源52は、約300nmと約1000nmとの間、例えば約500nmと約600nmとの間の公称波長を有する。
【0106】
ビーム54を円柱レンズL1が受信し、このレンズL1はX軸に平行な長軸及びY軸に平行な短軸を有する。レンズL1はビーム54をY−Z平面でコリメートし、そしてコリメート・ビーム55を透過してビーム・スプリッタB1に入射させ、このビーム・スプリッタB1はコリメート・ビーム55の第1部分を円柱レンズL2に向けて反射し、そしてコリメート・ビーム55の第2部分を透過して円柱レンズL3に入射させる。ビーム・スプリッタB1は通常、非偏光特性を有する。レンズL2はX軸に平行な長軸及びZ軸に平行な短軸を有する。レンズL3はX軸に平行な長軸及びY軸に平行な短軸を有する。
【0107】
図9aを参照すると、レンズL2はビーム・スプリッタB1から受信するコリメート・ビームの反射部分の焦点をオブジェクト30に、X軸に平行な細長いオブジェクトの焦点像、例えば照射ライン67として当てる。照射ライン67の長軸に直交する方向(Y軸に平行な)の照射ラインの寸法に対する照射ライン67の長軸に沿った(X軸に平行な)照射ラインの寸法の比は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、例えば少なくとも100とすることができる。照射ライン67のこのような寸法は、最大照度の25%に対応する位置に基づいて求めることができる。照射ライン67は通常、均一であるか、あるいはラインの長さに沿って徐々に照度が変化し、そしてオブジェクト30の複数のポイントを照射する。これらのポイントは、オブジェクト30が照射される次元、例えばX軸に沿って離間するものと考えることができる。
【0108】
図9aによれば、オブジェクト30により反射される光、例えば境界36及び/又は表面39により反射される光はレンズL2により受信され、このレンズL2が反射光をY−Z平面でコリメートし、そしてコリメート光を透過してビーム・スプリッタB1に入射させ、このビーム・スプリッタB1がその光の一部分を透過して、通常非偏光性を有するビーム・スプリッタB2に入射させる。ビーム・スプリッタB1を通過し、オブジェクト30によって反射され、そしてビーム・スプリッタB2に入射する光は測定光路を伝搬する。
【0109】
ビーム・スプリッタB1を透過するコリメート・ビームの第2部分はレンズL3により受信され、このレンズL3は収束ビームを透過して90°ルーフ・ミラー62に入射させる。この収束ビームは焦点f1に到達し、この焦点f1は通常、細長であり、かつX軸に平行に延びる。ルーフ・ミラー62は発散ビームを円柱レンズL4に入射させ、この円柱レンズL4はX軸の方向に向いた長軸及びY軸の方向に向いた短軸を有する。レンズL4はY−Z平面でコリメートしたビームを透過してビーム・スプリッタB2に入射させる。レンズL2,L3,及びL4は同じ光学特性、例えば焦点距離を有する。システム50のレンズ及び他の光学系は色収差が生じないようにすることができる。ビーム・スプリッタB1を通過し、そしてルーフ・ミラー62を通過してビーム・スプリッタB2に入射する光は基準光路を伝搬する。測定光路によって、システム50の干渉計89の測定経路が定義される。基準光路によって、システム50の干渉計89の基準経路が定義される。
【0110】
ビーム・スプリッタB2は、干渉計89の測定経路及び基準経路からの光を合成し、そして合成光59を透過させる。合成光59を構成する測定経路及び基準経路の両方の光がY−Z平面でコリメートされる。ビーム59はX−Z平面で発散することができる。円柱レンズL5は合成ビーム59を受信し、そして光を検出器に集光し、この検出器は通常、Y軸に沿って延びる行及びX軸に沿って延びる列に配列される複数の画素73を含む2次元検出器71である。異なる列は異なるY座標値を有する。異なる行は異なるX座標値を有する。検出器71は電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device )または他の撮像検出器とすることができる。レンズL5はY軸方向に向いた長軸及びZ軸方向に向いた短軸を有する。従って、レンズL5はY−Z平面よりもX−Z平面において非常に大きな集光パワーを有する、例えばレンズL5はY−Z平面には集光パワーをほとんど持たない。
【0111】
図10を参照すると、干渉計50が測定経路及び基準経路の光を検出器71に撮像する様子が示されている。オブジェクト30の各照射ポイントにより反射される光は細長い焦点像、例えば検出ラインとして撮像される。例えば、照射ポイント81aからの光は、該当する細長い焦点像81bに検出器71の画素行83に沿って撮像され、そして照射ポイント85aからの光は、該当する細長い焦点像85bとして検出器71の画素行87に沿って撮像される。基準経路の焦点f1からの光は基準焦点像99として撮像され、この基準焦点像99は、オブジェクト30の複数の照射ポイントに対応する複数の細長い焦点像に重なる。
【0112】
細長い各焦点像81b,85bの長軸に直交する(X軸に平行な)各焦点像の寸法に対する細長い各焦点像81b,85bの長軸に沿った(Y軸に平行な)各焦点像の寸法の比は少なくとも5、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、例えば少なくとも100とすることができる。図10から分かるように、オブジェクト30の照射寸法に沿って離間する複数のポイントに対応するこれらの細長い焦点像は、検出器71が検出を行なう第1の次元に沿って離間する、例えば離間ポイント81a,85aに対応する細長い焦点像81b,85bは異なる画素行73に撮像され、かつ検出器71のX軸に沿って離間する。細長い各焦点像の長軸は、検出が行なわれる第1の次元にほぼ直交する第2の次元に沿って延びる、例えば細長い焦点像81b,85bは、複数の画素列73に跨って延び、かつ検出器71のY軸に沿って延びる。従って、干渉計50は、オブジェクトの照射寸法に沿って延びる複数のポイントにより反射される光を2次元画像として撮像することができる。照射寸法に沿って離間する照射ポイントは、画像の第1の次元に沿って離間し、かつ画像の第2の次元に沿って延びる細長い焦点像として撮像される。
【0113】
図9aに戻って同図を参照すると、干渉計89の基準経路及び測定経路は、レンズL1〜L5が干渉計89の光路に対して中心に位置する場合に、ほぼ等しい経路長を有するように構成することができる様子が示される。経路長が等しい状態では、細長い焦点像81b,85bと基準焦点像99との間のOPDは、検出器71の行に沿って一定となるようにすることができる(図10)。1よりも大きい屈折率を有する光媒質、例えばシリカまたはガラス・プレート97の位置を、ビーム・スプリッタB1,B2とレンズL3,L4との間の基準光路に沿って決めてこのような媒質中の2つの干渉計経路の光路を一致させることができる。
【0114】
特定の実施形態では、干渉計89の測定経路と基準経路との間にOPDを、レンズL4を大きさΔdだけ基準光路に直交する方向に並進させる、例えばレンズL4をZ軸に平行に並進させることにより生じさせる(図9a)。光学系、例えばレンズL4を基準光路に直交する方向に並進させることにより、基準経路に沿って通過するビームを変位させる、例えば基準経路に沿って通過するビームに対して角度θだけ、このような並進が生じない状態で傾ける、例えば基準ビームを真の基準光路に対して変位させることができる。角度θの変位は1つの平面、例えばX−Y平面に収めることができる。
【0115】
基準ビームの角度が変位すると、細長い各焦点像81b,85bと基準焦点像99との間のOPDが変化する。詳細には、測定光路と基準光路との間のOPDは、検出器の細長い各焦点像の長軸に沿って、例えば細長い焦点像81b,85bに沿って変化する。例えば、検出器71の列91に撮像される光の測定光路と基準光路との間のOPDは、列93に撮像される光に関するOPDとは異なる(図10)。従って、図示の実施形態では、測定光路と基準光路との間のOPDは、検出器71のY座標値の関数として変化する。特定の実施形態では、OPDはY座標値の線形関数である、例えばOPDは、光が撮像される検出器71の列の線形関数である。例えば、図10によれば、OPDは、検出器71の行に沿って、従って細長い焦点像81b,85bの長い方の寸法に沿って、例えば線形に変化する。オブジェクト30の各照射ポイントに対応する細長い焦点像の長軸は、ほぼ検出器の行に沿って延びるので、各行の画素は、一つ以上の干渉パターンを含む干渉信号を蓄積する。通常、干渉信号の各干渉パターンは、オブジェクトの特定の境界から生じる。所定の行に沿った各列の検出画素は異なるOPDに対応する。従って、検出器の一方の次元は一直線に並んだオブジェクト・ポジションに対応し、他方の次元は、各オブジェクト・ポイントによって生成される干渉パターンの複数の位相シフト・サンプルとなる。オブジェクトをY方向にスキャンすることによって、オブジェクト表面全体の形状を連続的に求めることができる。
【0116】
図2に戻って同図を参照すると、干渉信号90は、検出器71の行に沿った、例えばオブジェクト30のポイント81aの検出行83に沿った複数の画素によって検出される光の照度変化の例であることが分かる。一つの行に沿って検出される光のOPD差は、検出光のコヒーレンス長と少なくとも同じ長さだけ変化することができる。例えば、図示のように、一つ以上の行の画素に沿って検出される光路差の範囲は、一つ以上の検出干渉パターンの各々を変調する包絡線の半値幅よりも大きくなり得る。干渉信号のコヒーレンスが低いので、システム50に対するポイント81aの位置及び/又は高さは正確に求めることができる。
【0117】
システム50を用いて得られる干渉信号は異なるオブジェクト・ポイントに関して空間的に拡散するので、検出器を1回照射するだけで、オブジェクト表面の一直線に並ぶポイント全ての形状を求めることができる。一旦、最初にオブジェクト30を照射ライン67の焦点に合わせてしまうと、オブジェクト30の第1の次元に沿って離間する複数のポイントの各々に関する干渉パターンは、システム50のどの部分も動かすことなく取得することができる。従って、特定の実施形態では、干渉計89は可動部分を持たないか、あるいは複数の離間オブジェクト・ポイントの各々から干渉パターンを取得している間にどの部分も動かすことがなく、かつ堅牢な、または固定のアセンブリとして作製することができる。
【0118】
オブジェクト30に対する照射角度範囲は、干渉計89の光学系の焦点距離を長くすることにより任意に小さくすることができる。従って、入射角に関連するオブジェクト表面の光学特性の変化を効果的に小さくするか、あるいは無くすことができる。各検出干渉パターンは、測定経路または基準経路の光路を連続的に変化させる場合に1つの検出画素において検出される信号と等価である。
【0119】
上述したように、測定ビームと基準ビームとの間のOPDは、基準ビームの光路の中心に対して光学系、例えばレンズL4をずらすことにより実現することができる。特定の実施形態において、光路差を実現する操作では、ルーフ・ミラー62を調整して基準ビームに角度変位を生じさせる。特定の実施形態において、OPDを実現する操作では、ビーム・スプリッタB2をX軸の周りに回転させるか、あるいは傾ける。図11a及び11bを参照すると、システム50は、特定の実施形態では、測定ビームに対する基準ビームの波面反転を少なくするか、あるいは無くすように構成されることが分かる。波面反転は、同じ回数の反射を干渉計の各経路に生じさせるか、あるいは干渉計の複数の経路にも生じさせることにより少なくするか、あるいは無くすことができる。図11aから分かるように、ルーフ・プリズム62によって生じる波面反転は、反射時のビーム77a,77bの反転により確認される。図11bから分かるように、3つのミラー・リフレクタ62bによっては、ビーム77c,77dの光路から分かるように波面反転は生じない。波面反転を少なくすることにより干渉計89の精度を上げることができる。
【0120】
図9aに戻って同図を参照すると、光源52はスリット57を含むことができ、このスリットはX軸にほぼ平行に延びる方向に長い寸法を有する。スリット57のY方向の投影幅は、システム50のY方向の横解像度を決定し、レンズL5のX方向の開口数はX方向の横解像度を決定する。スリット57は、例えばメカニカル・アパーチャまたは1次元ファイバ・アレイにより定義可能である。特定の実施形態では、光源52は、照射ビームの発散をXZ平面に限定するための空間フィルタを含む。例示としての空間フィルタはスリット61及びテレセントリック・レンズ80a,80bを含み、スリットは、Z軸にほぼ平行に延びる方向に長い寸法を有し、テレセントリック・レンズ80a,80bはランベルト発光体70をスリット57上に撮像する。
【0121】
照射ライン67は通常、均一な照度を有するが、特定の実施形態では、ラインの照度を不均一にすることができる。例えば、光源52は、複数の光ファイバの端部を細長いアレイ、例えばスリットの形状に配置する形で含むことができる。レンズL1,L2は細長いアレイから放出される光を撮像して、オブジェクト30を不均一な照度を有する光で照射することができる。
【0122】
プロセッサ
上述したコンピュータ解析法のいずれかをハードウェアまたはソフトウェア、あるいはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実行することができる。これらの方法はコンピュータ・プログラムで、標準のプログラム方法を本明細書に記載する方法及び図に従って使用して実行することができる。プログラム・コードを入力データに適用して本明細書に記載する機能を実行し、そして出力情報を生成する。出力情報をディスプレイ・モニターのような一つ以上の出力機器に入力する。各プログラムは、高位の手続き型言語またはオブジェクト指向プログラム言語で実行してコンピュータ・システムとの通信を可能にする。しかしながら、プログラムは必要に応じてアセンブリ言語またはマシン言語で実行することができる。いずれにせよ、言語はコンパイル言語または解釈言語とすることができる。更に、プログラムは、当該目的のために予めプログラムされる専用の集積回路で実行することができる。
【0123】
このような各コンピュータ・プログラムは、汎用プログラマブル・コンピュータまたは特定用途向けプログラマブル・コンピュータによる読み取りが可能な記憶媒体または記憶素子(例えば、ROMまたは磁気ディスケット)に保存されることが好ましく、これによって記憶媒体または記憶素子をコンピュータが読み取って本明細書に記載する手順を実行する際にコンピュータを構成するか、あるいは動作させる。コンピュータ・プログラムはまた、プログラム実行中にキャッシュに、またはメインメモリに格納することができる。解析法はまた、コンピュータ・プログラムにより構成されるコンピュータ読み取り可能な媒体として実行することができ、この場合、このように構成される記憶媒体によってコンピュータが特定の、または所定の方法で動作して本明細書に記載する機能を実行する。
【0124】
適用例
上述した低コヒーレンス干渉法及びシステムは次の表面解析課題のいずれかに関して使用することができる。すなわち、単純な薄膜;多層薄膜;回折を起こすか、あるいは複雑な干渉効果を生じさせるシャープなエッジ及び表面形状;解像度を超える表面粗さ;解像度を超える表面形状、例えば別の平滑表面上の波長以下の幅の溝;異なる材料;偏光状態によって変化する表面特性;及び入射角によって変わる干渉性摂動を生じさせる、表面の反り、振動、または運動、あるいは変形する表面形状である。薄膜の場合、着目する可変パラメータは膜厚、膜屈折率、基板屈折率、またはこれらの特定の組み合わせとすることができる。異なる材料の場合、例えば表面は薄膜及び固体金属の組み合わせを含むことができ、そして角度によって変わる表面特性のフィッティングを一連の理論的予測に対して行なうが、これらの予測には、膜または固体金属を、該当する干渉強度信号との一致によって自動的に識別する両方の表面構造タイプが含まれる。このような形状を示すオブジェクト及び素子を含む適用例について以下に説明する。
【0125】
フォトリソグラフィ
多くのマイクロエレクトロニクスの用途では、フォトリソグラフィを使用して基板、例えばシリコン・ウェハを被覆するフォトレジスト層をパターニングする。オブジェクト30を観察すると、基板32はウェハに対応し、そして層34はフォトレジスト薄膜層に対応する。境界38はフォトレジストの上側表面に対応し、そして境界36はウェハ−フォトレジストの境界に対応する。基板の表面35は、幾何学的構造及び/又は組成が変化し、かつフォトレジストの下に位置する複数のパターニング済み形状を有することができる。従って、オブジェクトは複数の境界をフォトレジストの外側表面の下に提供することができる。
【0126】
フォトリソグラフィ装置はパターンをオブジェクト上に撮像する。例えば、パターンは電子回路の素子(または回路の素子を除いた部分)に対応することができる。撮像の後、フォトレジストの各部分を除去して除去フォトレジスト下の基板を露出させる。露出基板をエッチングし、堆積材料で覆い、または露出基板に変更を加えることができる。残りのフォトレジストは基板の他の部分を保護してこのような変更が加えられることがないようにする。
【0127】
生産効率を高めるために、一つよりも多くの素子を1枚のウェハから取り出すことがある。これらの素子は同じとすることもできるし、異ならせることもできる。各素子には、ウェハの一部分を一つのパターンで撮像する必要がある。場合によっては、パターンを連続して異なる部分に撮像する。連続撮像は幾つかの理由により実行することができる。光収差が生じることによって十分なパターン焦点精度(pattern focus quality )をウェハの広い領域に渡って実現することができない。光収差が生じない場合でも、ウェハ及びフォトレジストの空間特性に起因して、十分なパターン焦点精度をウェハの広い領域に渡って実現することができない。ウェハ/レジストの空間特性と焦点精度との間の関係の形態について以下に説明する。
【0128】
図1bに戻って同図を参照すると、オブジェクト30はN個の部分40iを有するように示されており、各部分は撮像対象のオブジェクトの合計面積41よりも小さい。各部分40iの内部では、空間特性変化、例えばウェハまたはフォトレジストの高さ及び勾配変化は通常、合計面積41に渡って得られる変化よりも小さい。それにも拘らず、異なる部分40iのウェハまたはフォトレジストは通常、異なる高さ及び勾配を有する。例えば、層34は、表面39の高さ及び勾配を変化させる厚さΔt1及びΔt2を示す(図1a)。従って、オブジェクトの各部分はフォトリソグラフィ撮像装置とは異なる空間的関係を有することになる。焦点精度は空間的関係、例えばオブジェクトとフォトリソグラフィ撮像装置との間の距離に関連する。オブジェクトの異なる部分が正しく焦点を結ぶようにするためには、オブジェクト及び撮像装置の相対位置を調整し直す必要がある。オブジェクトの高さ変化及び勾配変化に起因して、撮像部分から離れたオブジェクト部分、例えばオブジェクトの辺43に対するオブジェクトの位置及び向きを求めることによってだけでは、部分が正しく焦点を結ぶことができない。
【0129】
正しい焦点合わせは、オブジェクトの空間特性を撮像対象のオブジェクト部分の内部で求める(あるいは処理する)ことによって行なうことができる。一旦、部分の位置を求めてしまうと、オブジェクト(及び/又はフォトリソグラフィ撮像装置の一部分)を移動させる、例えば並進させる、回転させる、かつ/もしくは傾けて、基準、例えばフォトリソグラフィ撮像装置の一部分に対する部分の位置を変更することができる。求める操作及び移動させる操作を(必要に応じて)撮像対象の各部分に対して繰り返すことができる。
【0130】
部分の空間特性を求める操作では、オブジェクトの薄膜層の外側表面の一つ以上のポイントの位置及び/又は高さを求め、この場合、一つ以上のポイントは撮像対象のオブジェクト部分の内部に位置する。例えば、部分402(図1a)の外側表面39の位置及び向きは、部分内部のポイント421−423の位置に基づいて求めることができる。撮像対象部分の空間特性を求める操作では、干渉計を使用して部分を光で照射し、そして照射部分により反射される光を含む干渉信号を検出することができる。特定の実施形態では、複数の部分を同時に光で撮像して複数の干渉信号を取得することができる。各干渉信号は、部分の一つ以上の空間特性を示す。従って、これらの干渉信号を使用してオブジェクトの起伏を示す画像を複数の部分に渡って作成することができる。複数の部分に対してフォトリソグラフィを行っている間、ウェハの位置を複数の干渉信号から求められる個々の部分の起伏に基づいて決めることができる。従って、各部分の位置はフォトリソグラフィ撮像装置に対して最適に焦点が合うように決めることができる。
【0131】
干渉信号を撮像対象のオブジェクトの各部分から検出する操作では、部分によって反射される光及び基準光を、少なくとも検出光のコヒーレンス長と同じ長さのOPD範囲に渡って検出することができる。例えば、光は、少なくともこの光のコヒーレンス長に渡って検出することができる。特定の実施形態では、干渉計は照射部分により反射される光が外側境界(外側表面39のような)または内側境界(境界36のような)のいずれかにより反射される光が支配的となるように構成されている。特定の実施形態では、オブジェクトの空間特性は、干渉信号の一部分にのみ基づいて求める。例えば、干渉信号が2つ以上の重複干渉パターンを含む場合、オブジェクトの空間特性は、複数の干渉パターンのうち、オブジェクトの1つの境界による影響が支配的となる一つの干渉パターンの一部分に基づいて求めることができる。
【0132】
銅配線構造及び化学的機械研磨
チップ製造業者には、所謂「デュアル・ダマシン銅」プロセスを使用してチップの異なる部分の間の電気配線を形成する手法が一般的になってきている。これは、適切な表面トポグラフィ・システム(surface topography system )を使用して効果的な機能を提供することができるプロセスの一例である。デュアル・ダマシン・プロセスは6つの工程を含むと考えることができる。すなわち、(1)層間誘電体(ILD:InterLayer Dielectric )を堆積させる工程であり、この工程では、誘電体材料(ポリマーまたはガラスのような)層をウェハ(複数の個々のチップを含む)の表面に堆積させる;(2)化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing )工程であり、この工程では、誘電体層を研磨して高精度な光リソグラフィ用光学系に適する平滑表面を形成する;(3)リソグラフィ・パターニング工程及び反応性イオン・エッチング工程を組み合わせた工程であり、この工程では、ウェハ表面に平行に走る狭い幅のトレンチ、及びトレンチの底面から下部(既に画定されている)導電層に達する小容積のビアを含む複雑な配線構造を形成する;(4)トレンチ及びビアに銅を充填するために銅を堆積させる複数の金属堆積工程を組み合わせた工程;(5)誘電体が、銅の充填されたトレンチ及びビアを覆って堆積する誘電体堆積工程;及び(6)最終CMP工程であり、この工程では、不要の銅を除去して、銅が充填されたトレンチ(及び可能であればビア)から成る配線構造が誘電体材料に取り囲まれる形で残る。
【0133】
図12aを参照すると、素子500は誘電体504を基板501上に堆積する銅パターン502を覆って堆積することにより生じる膜構造の例であることが分かる。誘電体504は、表面に沿って高さが変化する平坦ではない外側表面506を有する。素子500から得られる干渉信号は、表面506、銅パターン502と誘電体504との間の境界508、及び基板501と誘電体504との間の境界510から得られる干渉パターンを含むことができる。素子500は、これも干渉パターンを生成する複数の他のパターンを含むことができる。
【0134】
図12bを参照すると、素子500’は最終のCMP工程の後の素子500の状態を示していることが分かる。上側表面506は平坦化されて表面506’となり、そして境界508をこの時点で外部環境に晒すことができる。基板表面の境界510はそのままであり、変化しない。素子の性能及び均一性は、表面504の平坦性をモニターする操作によって大きく変わる。研磨速度、従って研磨後に残留する銅(及び誘電体)の厚さは、研磨条件(パッド圧力及び研磨スラリーの元素組成のような)だけでなく、銅及び銅周囲の誘電体領域の局部詳細構造(すなわち、向き、近接状態、及び形状)によって大きく、かつ複雑な態様で変わる。従って、表面506のうち、銅領域502を覆う部分は、表面506の他の部分とは異なる速度でエッチングされる。従って、一旦、銅領域502の境界508が露出すると、誘電体及び銅領域は異なるエッチング速度を示す。
【0135】
位置に依存するこの研磨速度によって、表面の幾何学的構造が長い横方向距離に渡って変化することが知られている。例えば、ウェハ・エッジに近くに位置する一連のチップが、中心近くに位置するチップよりも大きな速度で研磨されて、銅領域がエッジ近傍で所望の厚さよりも薄くなり、かつ中心で所望の厚さよりも厚くなることを意味する。これは、「ウェハの大きさでの」プロセスの不均一性−すなわち、ウェハ径と同じくらいの大きさに渡って生じる不均一性の例である。銅が充填されたトレンチが高い密度で存在する領域が銅配線を低い密度で含む領域の近傍よりも研磨速度が大きいことも知られている。これによって、銅が高密度で存在する領域における「CMPによるエロージョン(CMP-induced erosion )」として知られる現象が生じる。これは、「チップの大きさでの」プロセスの不均一性−すなわち、1個のチップの線形寸法と同じくらいの大きさに渡って生じる(この大きさよりもずっと小さい大きさで生じる場合がある)不均一性の例である。「ディッシング(dishing )」として知られる別のタイプの、チップの大きさでの不均一性は、銅が充填された1つのトレンチ領域(この領域は、周囲の誘電体材料よりも大きな速度で研磨される)の内部で生じる。幅が数ミクロンを超えるトレンチの場合、ディッシングは深刻な状況をもたらし、ディッシングの影響を受けた配線が後の工程で非常に大きな電気抵抗を示し、チップ不良を生じる。
【0136】
CMPによって生じる、ウェハ及びチップの大きさでのプロセスの不均一性は、本質的に予測が難しく、CMP処理システム内部の条件が新しくなるにつれて大きく変化する。プロセス条件を効果的にモニターし、かつ適切に調整して不均一性が必ず許容範囲内に収まるようにするためには、プロセス・エンジニアが表面の幾何学的構造に対する非接触の測定をチップに対して非常に多くの種々の位置で頻繁に行なうことが重要である。この操作は、上述した干渉法及びシステムの実施形態を使用して可能になる。
【0137】
特定の実施形態では、誘電体504の一つ以上の空間特性、例えば誘電体の表面506の幾何学的構造及び/又は誘電体の厚さを、CMP工程の前、及び/又はCMP工程の間に、低コヒーレンス干渉信号を構造から取得することによりモニターする。空間特性に基づいて、研磨条件を変えて所望の平坦な表面506’を実現することができる。例えば、パッド圧力、パッド圧力の配分、研磨剤の条件、溶剤組成及び溶剤の量、及び他の条件は、空間特性に基づいて決めることができる。研磨を所定の時間だけ行なった後、空間特性を再度求め、そして研磨条件を必要に応じて変えることができる。幾何学的構造及び/又は厚さは、例えば表面504’が得られるエンドポイントも示唆する。従って、低コヒーレンス干渉信号を使用して、過剰に研磨された、オブジェクトの異なる領域によって生じる窪みの発生を防止することができる。低コヒーレンス干渉法及びシステムはこの点に関して有利である。何故なら、素子の空間特性、誘電体のうち、(a)銅領域502の上の表面、及び隣接銅領域502以外の(b)基板表面510上の表面の、例えば相対的な高さは、複数の境界が存在しても求めることができるからである。
【0138】
半田バンプ形成
図13a及び13bを参照すると、構造550は半田バンプ形成の間に形成される構造の例であることが分かる。構造550は基板551、半田に濡れない領域502、及び半田に濡れる領域503を含む。領域502は外側表面507を有する。領域503は外側表面509を有する。従って、境界505が領域502と基板501との間に形成される。
【0139】
バンプ形成の間、半田504の塊の位置を、半田が濡れ領域503に接触するように決める。半田を流すと、半田は濡れ領域503との確実なコンタクトを実現する。隣接する非濡れ領域502はダムのような働きをして、フロー半田が構造の周りに不所望に移動することがないようにする。表面507,509の相対高さ、及び表面502からの半田504の寸法を含む構造の空間特性を認識することが望ましい。本明細書における他の説明から分かるように、構造550は複数の境界を含み、これらの境界の各々によって干渉パターンが生じる。複数の干渉パターンが重なると、既知の干渉法を使用して空間特性を正確に求めるということができなくなる。本明細書において説明するシステム及び方法を適用することによって空間特性を求めることができる。
【0140】
構造550から求めることができる空間特性を使用して、層502,503の堆積時間、及び領域503の単位面積当たりに使用する半田504の量のような製造条件を変えることができる。更に、半田を流すために使用する加熱条件も空間特性に基づいて変更して半田を十分に流し、かつ/もしくは半田の移動を防止することができる。
【0141】
液晶ディスプレイ
図14を参照すると、パッシブ・マトリクスLCD450が幾つかの層により構成されている様子が示されている。主要部品はシール454で接着する2つのガラス基板452,453である。偏光板456を前面ガラス基板453に取り付けて、入射光を一方向に偏光する。偏光光は前面ガラス基板453を通過する。インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)層458は電極として使用する。ハード・コート層とも呼ばれることがある、SiOXを使用するパッシベーション層460をITO層458の上にコーティングして表面を電気的に絶縁する。ポリイミド462をパッシベーション層460の上に印刷法を用いて形成して液晶464を配向させる。液晶は電界の影響を受けるので、電界が印加されると配向を変える。液晶はまた、光学的にアクティブであるので、入射光の偏光方向を回転させる。セル・ギャップΔg、すなわち液晶層464の厚さはスペーサ466によって決まり、このスペーサは2つのガラス基板452,453が固定距離だけ離れるようにこれらの基板を維持する。電位が前面基板453から背面基板452に向かって生じていない場合、偏光光は、この光が液晶層464を通過すると90°だけ回転する。電位が一方の基板から他方の基板に向かって印加される場合、光は回転しない。光が液晶層464を通過した後、光は別のポリイミド層458、別のハード・コート層470、背面ITO電極472、及び背面ガラス基板452を通過する。背面偏光板474に達すると、光は、光が90°だけ回転しているかどうかによって変わる形で偏光板を透過する、または偏光板に吸収される。セル450はカラー表示を行なうためにフィルタ476または他の着色素子を含むことができる。
【0142】
セル・ギャップΔgによって大きく左右される形で、LCDの光電特性、例えばコントラスト比及び輝度が決まる。製造工程中におけるセル・ギャップの制御は、均一かつ高品質な表示を実現するために非常に重要である。実際のセル・ギャップはスペーサ466の寸法とは異なる。何故なら、製造中に、圧力を加えて、または真空にして液晶媒質を注入し、シール454が硬化してシールの寸法が変わり、更に液晶媒質を注入することによって基板452,453の間に毛細管力が生じるからである。液晶媒質464の注入前及び注入後の両方において、基板452,453の表面480,482が光を反射して、セル・ギャップΔgを示す干渉パターンが生じる。干渉信号のコヒーレンスが低いという性質自体を利用するか、あるいはこの性質を上述の干渉信号処理法と組み合わせた形で利用して、製造工程中のセル・ギャップΔgを含むセル特性を、セルの他の層によって形成される境界が存在する状態においてもモニターすることができる。
【0143】
例示としての方法では、セル・ギャップΔgを示す干渉パターンを含み、かつ低コヒーレンス干渉信号を層464の注入前に取得することができる。セル・ギャップ(またはセルの他の空間特性)は干渉パターンから求められ、かつ指定値と比較することができる。製造条件、例えば基板452,453に加わる圧力、またはこれらの基板の間の真空を変えて、指定値と求めたセル・ギャップとの間の差が許容値を超える場合にセル・ギャップΔgを変更することができる。このプロセスは、所望のセル・ギャップが得られるまで繰り返すことができる。次に、液晶媒質をセルに注入する。注入する液晶媒質の量はセルに関する測定済みの空間特性に基づいて決定することができる。これによって、セルへの過剰注入または注入不足を防止することができる。注入プロセスはまた、表面480,482からの干渉信号を観察することによりモニターすることができる。一旦、セルが充填されてしまうと、低コヒーレンス光源による追加の干渉パターンを取得してセル・ギャップΔg(または他の空間特性)をモニターする。ここでも同じく、製造条件を変更してセル・ギャップを許容値内に維持するか、あるいは収めることができる。
【0144】
レーザ・スクライブ及びレーザ切断
レーザを使用してオブジェクトをスクライブして、同時に製造される、異なる構造、例えばマイクロエレクトロニクス構造を分離する準備をする。分離の精度はスクライブ条件、例えばレーザ焦点面のサイズ、レーザ・パワー、オブジェクトの並進速度、及びスクライブ深さに関連する。構造のパターン密度が高くなる可能性があるので、スクライブ線が構造の隣接薄膜または隣接層となる可能性がある。薄膜または層に関連する境界によって、干渉計を使用してスクライブ深さを求める場合に現われる干渉パターンが生成される。本明細書に記載する方法及びシステムを使用してスクライブ深さを、このような隣接膜または隣接層が存在する状態においても求めることができる。
【0145】
例示としての方法では、一つ以上の電子構造をスクライブし、そして構造をスクライブ線に沿って分離することができる。分離の前及び/又は後に、低コヒーレンス干渉信号を使用してスクライブ深さを求めることができる。他のスクライブ条件、例えばレーザ・スポット・サイズ、レーザ・パワー、並進速度は既知である。スクライブ深さは干渉信号により求めることができる。スクライブ深さを含むスクライブ条件によって変わる分離精度は、分離構造を評価することにより求めることができる。このようにして求めた値に基づいて、所望の分離精度を実現するために必要なスクライブ条件を決定することができる。製造工程を継続している間に、低コヒーレンス干渉信号をスクライブ領域から取得してプロセスをモニターすることができる。スクライブ条件を変えてスクライブ特性を許容値内に維持するか、あるいは収めることができる。
【0146】
他の実施形態は請求項に開示される技術範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1a】基板及び被覆層、例えば薄膜を含む測定オブジェクトの断面図。
【図1b】図1aのオブジェクトの上面図。
【図2】該当する包絡関数に従って変化する振幅を有する第1及び第2干渉パターンを含む低コヒーレンス干渉信号。
【図3】斜入射干渉計システム。
【図4】斜入射干渉計システム。
【図5a】測定オブジェクトを傾けた結果として生じる、図4の干渉計システムの測定光路に沿って通過する光と基準光路に沿って通過する光との間のシフト。
【図5b】測定オブジェクトを図5aに関して記載したように傾けた結果として生じる、測定光路に沿って通過する光と基準光路に沿って通過する光との間の回転を表わす変位ベクトル。
【図6】斜入射干渉計システム。
【図7a】斜入射干渉計システムの三角測量モードの検出画像。
【図7b】斜入射干渉計システムの三角測量モードの検出画像。
【図8a】斜入射干渉計システム。
【図8b】図8aのシステムの一部分の拡大図。
【図9a】低コヒーレンス干渉計システム。
【図9b】図9aの干渉計システムをそのX軸に沿って眺めた様子。
【図10】測定オブジェクトの照射ポイントと、図9aのシステムを使用する照射ポイントについて検出される、該当する細長画像との間の対応。
【図11a】図9aの干渉計システム基準経路の例示としての成分。
【図11b】図9aの干渉計システム基準経路の例示としての成分。
【図12a】銅配線を有する例示としての平坦化前の構造。
【図12b】銅配線を有する例示としての平坦化後の構造。
【図13a】半田バンプ処理の間に形成される例示としての半田を加える前の構造。
【図13b】半田バンプ処理の間に形成される例示としての半田を加えた後であるが半田を流し込む前の構造。
【図14】例示としての液晶ディスプレイの一部分。
【図1A】
【図1B】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
光の第1パターンを、基板及び被覆薄膜を含むオブジェクトに投影すること、
前記基板によって拡散散乱される前記投影された第1パターンの光を撮像すること、
前記オブジェクトの空間特性を前記拡散散乱光に基づいて求めること、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記オブジェクトの空間特性は、前記基板の位置または幾何学的構造である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記被覆薄膜はフォトレジストであり、前記空間特性を求めることは、フォトリソグラフィ・システムに対する前記オブジェクトの一部分の位置を求めることを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記オブジェクトの一部分は、前記基板と前記被覆フォトレジストとの間の境界である、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、前記光の第1パターンは、光源からの光の第1及び第2部分を含み、前記光の第1パターンは干渉パターンである、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記干渉パターンは包絡線により変調される複数のフリンジを含み、前記オブジェクトの空間特性を求めることは、該複数のフリンジに対する包絡線の一部分の位置を求めることを含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記オブジェクトを前記包絡線の一部分の位置に基づいて移動させること、
を備える方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、
光の基準パターンを基準表面に投影すること、
前記基準表面に投影された基準パターンの光を検出すること、
を備え、前記オブジェクトの空間特性を求めることは、前記オブジェクト及び前記基準表面の相対空間特性を前記検出された基準パターンの光に基づいて求めることを含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記オブジェクトを前記相対空間特性に基づいて移動させること、
を備える方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であって、更に、
光源の特性を変更して、ほぼ同様の振幅を有する複数のフリンジを含む第2干渉パターンを前記オブジェクトに投影すること、
前記基板によって拡散散乱される前記第2干渉パターンの光を撮像すること、
前記オブジェクトの第2空間特性を前記第2干渉パターンの拡散散乱光に基づいて求めること、
を備える方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記第2空間特性は前記オブジェクトの一部分の幾何学的構造である、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記第2空間特性は前記オブジェクトの正確な位置を示す、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、光の前記第1パターンを投影する前に、少なくとも前記変更を行なう、方法。
【請求項14】
装置であって、
オブジェクトの一部分を第1光パターンで照射するように構成されているフォトリソグラフィ・システムであって、該フォトリソグラフィ・システムは基準表面を含み、該オブジェクトは基板及び被覆薄膜を含む、フォトリソグラフィ・システムと、
前記フォトリソグラフィ・システムと前記オブジェクトとの間の相対位置を変えるポジショナーと、
第2光パターンを前記オブジェクトの前記被覆薄膜に投影するように構成されている光投影装置と、
前記基板によって拡散散乱される前記第2光パターンの光を撮像する光学システムと、
プロセッサであって、
前記オブジェクトの空間特性を前記拡散散乱光に基づいて求め、かつ、
前記ポジショナーを動作させて前記フォトリソグラフィ・システムと前記オブジェクトとの間の相対位置を変えさせるように構成されているプロセッサと、
を備える装置。
【請求項15】
光学システムであって、
オブジェクトの一部分を光パターンで照射するように構成され、かつ基準表面を含むフォトリソグラフィ・システムと、
基準光路及び測定光路を有する低コヒーレンス干渉計であって、前記基準光路に沿って通過する光は少なくとも1回、前記基準表面によって反射され、前記測定光路に沿って通過する光は少なくとも1回、前記オブジェクトによって反射される、低コヒーレンス干渉計と、
前記基準光路に沿って通過した光及び前記測定光路に沿って通過した光を含む低コヒーレンス干渉信号を検出するように構成されている検出器であって、前記低コヒーレンス干渉信号は前記基準表面と前記オブジェクトとの間の空間的関係を示す、検出器と、
を備える光学システム。
【請求項16】
請求項15に記載の光学システムにおいて、前記フォトリソグラフィ・システムは照明光学系表面を有する照明光学系を含み、前記光パターンの光は前記照明光学系表面を含む光路に沿って伝搬し、前記照明光学系表面及び前記基準表面は少なくとも部分的に同じ領域を占有する、光学システム。
【請求項17】
請求項15に記載の光学システムにおいて、前記測定光路に沿って通過する光は、前記オブジェクトのうち、前記フォトリソグラフィ・システムによって照射される部分により少なくとも1回反射される、光学システム。
【請求項18】
請求項15に記載の光学システムにおいて、前記低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって前記基準光路に沿って通過した光、及び前記低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって前記測定光路に沿って通過した光は、光路長差範囲を有し、該範囲は前記低コヒーレンス干渉計のコヒーレンス長の少なくとも20%である、光学システム。
【請求項19】
請求項18に記載の光学システムにおいて、前記範囲は、前記低コヒーレンス干渉計のコヒーレンス長と少なくとも同程度である、光学システム。
【請求項20】
請求項15に記載の光学システムにおいて、前記検出器は複数の検出素子を含み、該複数の検出素子の各々は、該当する低コヒーレンス干渉信号を検出するように構成され、低コヒーレンス干渉信号の各々は、前記基準光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光、及び前記測定光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光を含み、低コヒーレンス干渉信号の各々は、前記オブジェクトの異なるポイントと前記基準表面との間の空間的関係を示す、光学システム。
【請求項21】
請求項20に記載の光学システムであって、
プロセッサ、
を備え、該プロセッサは、前記オブジェクトの異なるポイントの各々と前記基準表面との間の前記空間的関係を、複数の低コヒーレンス干渉信号のうちの該当する少なくとも一つに基づいて求めるように構成されている、光学システム。
【請求項22】
請求項21に記載の光学システムであって、
前記オブジェクトと前記フォトリソグラフィ・システムとの間の相対位置及び向きを操作する並進ステージ、
を備え、前記プロセッサは、前記オブジェクト及び前記フォトリソグラフィ・システムの相対位置を前記空間的関係に基づいて変更するように構成されている、光学システム。
【請求項23】
請求項20に記載の光学システムにおいて、各低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、前記基準光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光、及び低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、前記測定光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光は、光路長差範囲を有し、該範囲は前記低コヒーレンス干渉計のコヒーレンス長の少なくとも20%である、光学システム。
【請求項24】
方法であって、
オブジェクトを、フォトリソグラフィ・システムの光路にほぼ沿って配置すること、
光源からの光の第1部分を前記フォトリソグラフィ・システムの基準表面によって反射させること、
光源からの光の第2部分を前記オブジェクトによって反射させること、
前記基準表面によって反射される光及び前記オブジェクトによって反射される光を含む低コヒーレンス干渉信号を形成することであって、該低コヒーレンス干渉信号は、前記オブジェクトと前記撮像システムとの間の空間的関係を示す、低コヒーレンス干渉信号を形成すること、
を備える方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
光源からの光の該当する第1部分を前記フォトリソグラフィ・システムの前記基準表面の複数の位置の各々によって反射させること、
光源からの光の該当する第2部分を前記オブジェクトの複数の位置の各々によって反射させること、
複数の低コヒーレンス干渉信号を形成することであって、該複数の低コヒーレンス干渉信号の各々は、前記基準表面の異なる位置のうちの該当する位置によって反射される光、及び前記オブジェクトの異なる位置のうちの該当する位置によって反射される光を含み、該複数の低コヒーレンス干渉信号の各々は、前記オブジェクトの異なる位置のうちの少なくとも一つの位置と前記フォトリソグラフィ・システムとの間の空間的関係を示す、複数の低コヒーレンス干渉信号を形成すること、
を備える方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法において、前記オブジェクトを配置した後に、前記光の第1部分を反射させること、及び前記光の第2部分を反射させることを実行する、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、更に、
前記オブジェクト及び前記基準表面の相対位置を前記空間的関係に基づいて変更すること、
を備える方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法において、前記基準表面は前記フォトリソグラフィ・システムの光学系の表面である、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、更に、
前記フォトリソグラフィ・システムを使用して紫外光画像を前記オブジェクトに投影すること、
を備え、前記紫外光画像を形成する光は前記光学系の表面を含む光路に沿って通過する、方法。
【請求項30】
請求項24に記載の方法において、前記オブジェクトは基板、及び外側表面を有する薄膜を含み、前記形成することは、前記基準表面により反射される光、及び前記薄膜の外側表面により反射される光を合成することを含み、前記空間的関係は、前記薄膜の外側表面と前記フォトリソグラフィ・システムとの間の関係である、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、光源からの前記光の第2部分の光は前記薄膜によって大きく減衰する、方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、前記薄膜はフォトレジストを含み、光源からの前記光の第2部分の光のエネルギーは、該フォトレジストを露光するには不十分である、方法。
【請求項33】
請求項24に記載の方法において、前記オブジェクトは基板、及び外側表面を有する薄膜を含み、前記形成することは、前記基準表面により反射される光、及び前記基板により反射される光を合成することを含み、前記空間的関係は前記基板と前記撮像システムとの間の関係である、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、前記光源からの光の第2部分を前記オブジェクトによって反射させることは、前記オブジェクトにブルースター角で照射することを含む、方法。
【請求項35】
請求項24に記載の方法において、前記形成することは、干渉計を使用することを含み、低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、前記基準光路に沿って通過した光、及び低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、前記測定光路に沿って通過した光は、光路長差範囲を有し、該範囲は前記干渉計のコヒーレンス長の少なくとも20%である、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、前記光の第2部分を前記オブジェクトによって反射させることは、照射光を前記オブジェクトに少なくとも50°の入射角で振り向けることを含む、方法。
【請求項37】
オブジェクトの空間特性を求めるシステムであって、
光源と、
光学システムであって、
前記オブジェクトを前記光源からの光の第1部分を使用して斜入射角で照射して、該光の第1部分の少なくとも一部が前記オブジェクトによって反射されるようにし、かつ、
前記オブジェクトによって反射される光と、同じ光源により生成される光の第2部分とを光路長差範囲に渡って合成するように構成されている光学システムと、
前記光路長差範囲に渡って合成された光を複数の干渉フリンジとして検出するように構成されている検出器と、
を備え、各干渉フリンジはピーク振幅を有し、前記光路長差範囲は前記干渉フリンジのピーク振幅を変調するために十分な範囲である、システム。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、前記光路長差範囲は前記光学システムのコヒーレンス長と少なくとも同程度である、方法。
【請求項39】
請求項37に記載のシステムであって、
プロセッサ、
を備え、該プロセッサは、前記オブジェクトの空間特性を前記複数の干渉フリンジに基づいて求めるように構成されている、システム。
【請求項40】
請求項37に記載の方法において、
前記光学システムは、
前記オブジェクトの複数のポイントの各々を、前記光源からの光の該当する第1部分を使用して斜入射角で照射して、光の該当する第1部分の各々の少なくとも一部が前記オブジェクトによって反射光の該当する部分として反射されるようにし、
反射光の各部分を同じ光源により生成される光の該当する第2部分と合成して該当する合成光を形成するように構成され、
前記検出器は、
複数の検出素子を含み、該複数の検出素子の各々は該当する複数の干渉フリンジを検出するように構成され、該当する複数の干渉フリンジの各々は該当する合成光による影響を受ける部分を含み、複数の干渉フリンジの各々の合成光は光路長差範囲を有し、各光路長差範囲は、該当する干渉フリンジのピーク振幅を変調するために十分な範囲である、方法。
【請求項41】
請求項40に記載のシステムであって、
プロセッサ、
を備え、該プロセッサは、複数のポイントの各々の空間特性を該当する複数の干渉フリンジに基づいて求めるように構成されている、システム。
【請求項42】
請求項39に記載のシステムにおいて、前記オブジェクトは基板及び被覆薄膜を含み、該薄膜は外側表面を有し、前記空間特性は該薄膜の外側表面の空間特性である、システム
【請求項43】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記プロセッサは並進ステージに接続され、該並進ステージは前記オブジェクトと基準との間の相対位置を変更するように構成され、前記プロセッサは前記相対位置を前記空間特性に基づいて変更するように構成されている、システム。
【請求項44】
方法であって、
オブジェクトを光源からの光を使用して斜入射角で照射することであって、照射光の少なくとも一部が前記オブジェクトによって反射される、照射すること、
前記オブジェクトによって反射される光及び前記光源からの光の第2部分を光路長差範囲に渡って合成すること、
前記光路長差範囲に渡って合成される光を複数の干渉フリンジとして検出すること、
を備え、各干渉フリンジはピーク振幅を有し、前記光路長差範囲は前記干渉フリンジのピーク振幅を変調するために十分な範囲である、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法において、前記合成することは、所定のコヒーレンス長を有する干渉計を使用することを含み、前記光路長差範囲は少なくとも前記コヒーレンス長と同程度である、方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法において、前記検出することは、干渉フリンジを含む干渉パターンの少なくとも一部分を検出し、前記方法は、前記オブジェクトの空間特性を前記干渉パターンの少なくとも一部分に基づいて求めることを備える方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法において、前記オブジェクトは、外側表面を有する被覆フォトレジスト層を含む基板を含み、前記空間特性は前記外側表面の空間特性である、方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法であって、
フォトリソグラフィ・システムと前記オブジェクトとの間の相対位置を前記外側表面の空間特性に基づいて変更すること、
を備える方法。
【請求項49】
請求項46に記載の方法において、前記オブジェクトは液晶ディスプレイの一部分を含む、方法。
【請求項50】
請求項46に記載の方法であって、更に、
前記オブジェクトをスクライブすること、
を備え、前記空間特性は前記スクライブすることにより形成されるスクライブ線の空間特性である、方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法であって、更に、
前記オブジェクトまたは別のオブジェクトをスクライブすること、
スクライブを更に行なうためのパラメータをスクライブ線の空間特性に基づいて変更すること、
を備える方法。
【請求項52】
請求項46に記載の方法において、前記オブジェクトは、半田バンプを形成している間の構造を含む、方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法において、前記空間特性は、半田に濡れない前記オブジェクトの一部分の空間特性である、方法。
【請求項54】
装置であって、
オブジェクトの一部分を光パターンで照射するように構成され、かつ基準表面を有するフォトリソグラフィ・システムと、
複数の検出素子と、
干渉計として、かつ三角測量システムとして動作する光学システムであって、前記干渉計は基準光路及び測定光路を有し、該基準光路に沿って通過する光は前記基準表面によって少なくとも1回反射され、該測定光路に沿って通過する光は前記オブジェクトによって少なくとも1回反射される、光学システムと、
を備え、前記複数の検出素子は、前記基準光路に沿って通過した光、及び前記測定光路に沿って通過した光を含む干渉信号を検出するように構成され、該干渉信号は前記基準表面と前記オブジェクトとの間の空間的関係を示し、
前記三角測量システムは、前記オブジェクトと前記基準表面との間の空間的関係を、前記オブジェクトの画像と前記基準表面の画像との間の空間的関係に基づいて求めるように構成されている、装置。
【請求項55】
装置であって、
オブジェクトの一部分を光パターンで照射するように構成され、かつ基準表面を有するフォトリソグラフィ・システムと、
複数の検出素子と、
前記オブジェクトの一部分を第1の光で照射し、前記基準表面を第2の光で照射し、前記第1の光の画像及び前記第2の光の画像を検出器において形成するように構成されている光学システムと、
前記オブジェクトと前記基準表面との間の空間的関係を、前記第1の光の画像と前記第2の光の画像との間の空間的関係に基づいて求めるように構成されているプロセッサと、
を備える装置。
【請求項56】
請求項55に記載の装置において、前記プロセッサは、前記第1の光の画像と前記第2の光の画像との間の空間的関係を検出素子に応じた形で求めるように構成されている、装置。
【請求項57】
請求項55に記載の装置であって、
前記オブジェクトと前記基準表面との間の相対位置を変えるように構成されているポジショナー、
を備え、前記プロセッサは、前記ポジショナーを前記オブジェクトと前記基準表面との間の空間的関係に基づいて動作させるよう構成されている、装置。
【請求項58】
請求項55に記載の装置において、光で照射される前記オブジェクトの一部は、前記オブジェクトのうち、前記フォトリソグラフィ・システムによって照射される一部である、装置。
【請求項59】
請求項58に記載の装置において、前記フォトリソグラフィ・システムは、少なくとも部分的に前記基準表面と同じ領域を占有する表面を有する光学系を含む、装置。
【請求項60】
請求項59に記載の装置において、
前記光学システムは、
基準光路及び測定光路を有する干渉計であって、該基準光路に沿って通過する光が少なくとも1回、前記基準表面によって反射され、該測定光路に沿って通過する光が少なくとも1回、前記オブジェクトによって反射される、干渉計、
を含み、前記複数の検出素子は、前記基準光路に沿って通過した光、及び前記測定光路に沿って通過した光を含む干渉信号を検出するように構成され、該干渉信号は前記基準表面と前記オブジェクトとの間の空間的関係を示す、装置。
【請求項1】
方法であって、
光の第1パターンを、基板及び被覆薄膜を含むオブジェクトに投影すること、
前記基板によって拡散散乱される前記投影された第1パターンの光を撮像すること、
前記オブジェクトの空間特性を前記拡散散乱光に基づいて求めること、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記オブジェクトの空間特性は、前記基板の位置または幾何学的構造である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記被覆薄膜はフォトレジストであり、前記空間特性を求めることは、フォトリソグラフィ・システムに対する前記オブジェクトの一部分の位置を求めることを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記オブジェクトの一部分は、前記基板と前記被覆フォトレジストとの間の境界である、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、前記光の第1パターンは、光源からの光の第1及び第2部分を含み、前記光の第1パターンは干渉パターンである、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記干渉パターンは包絡線により変調される複数のフリンジを含み、前記オブジェクトの空間特性を求めることは、該複数のフリンジに対する包絡線の一部分の位置を求めることを含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記オブジェクトを前記包絡線の一部分の位置に基づいて移動させること、
を備える方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、
光の基準パターンを基準表面に投影すること、
前記基準表面に投影された基準パターンの光を検出すること、
を備え、前記オブジェクトの空間特性を求めることは、前記オブジェクト及び前記基準表面の相対空間特性を前記検出された基準パターンの光に基づいて求めることを含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記オブジェクトを前記相対空間特性に基づいて移動させること、
を備える方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であって、更に、
光源の特性を変更して、ほぼ同様の振幅を有する複数のフリンジを含む第2干渉パターンを前記オブジェクトに投影すること、
前記基板によって拡散散乱される前記第2干渉パターンの光を撮像すること、
前記オブジェクトの第2空間特性を前記第2干渉パターンの拡散散乱光に基づいて求めること、
を備える方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記第2空間特性は前記オブジェクトの一部分の幾何学的構造である、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記第2空間特性は前記オブジェクトの正確な位置を示す、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、光の前記第1パターンを投影する前に、少なくとも前記変更を行なう、方法。
【請求項14】
装置であって、
オブジェクトの一部分を第1光パターンで照射するように構成されているフォトリソグラフィ・システムであって、該フォトリソグラフィ・システムは基準表面を含み、該オブジェクトは基板及び被覆薄膜を含む、フォトリソグラフィ・システムと、
前記フォトリソグラフィ・システムと前記オブジェクトとの間の相対位置を変えるポジショナーと、
第2光パターンを前記オブジェクトの前記被覆薄膜に投影するように構成されている光投影装置と、
前記基板によって拡散散乱される前記第2光パターンの光を撮像する光学システムと、
プロセッサであって、
前記オブジェクトの空間特性を前記拡散散乱光に基づいて求め、かつ、
前記ポジショナーを動作させて前記フォトリソグラフィ・システムと前記オブジェクトとの間の相対位置を変えさせるように構成されているプロセッサと、
を備える装置。
【請求項15】
光学システムであって、
オブジェクトの一部分を光パターンで照射するように構成され、かつ基準表面を含むフォトリソグラフィ・システムと、
基準光路及び測定光路を有する低コヒーレンス干渉計であって、前記基準光路に沿って通過する光は少なくとも1回、前記基準表面によって反射され、前記測定光路に沿って通過する光は少なくとも1回、前記オブジェクトによって反射される、低コヒーレンス干渉計と、
前記基準光路に沿って通過した光及び前記測定光路に沿って通過した光を含む低コヒーレンス干渉信号を検出するように構成されている検出器であって、前記低コヒーレンス干渉信号は前記基準表面と前記オブジェクトとの間の空間的関係を示す、検出器と、
を備える光学システム。
【請求項16】
請求項15に記載の光学システムにおいて、前記フォトリソグラフィ・システムは照明光学系表面を有する照明光学系を含み、前記光パターンの光は前記照明光学系表面を含む光路に沿って伝搬し、前記照明光学系表面及び前記基準表面は少なくとも部分的に同じ領域を占有する、光学システム。
【請求項17】
請求項15に記載の光学システムにおいて、前記測定光路に沿って通過する光は、前記オブジェクトのうち、前記フォトリソグラフィ・システムによって照射される部分により少なくとも1回反射される、光学システム。
【請求項18】
請求項15に記載の光学システムにおいて、前記低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって前記基準光路に沿って通過した光、及び前記低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって前記測定光路に沿って通過した光は、光路長差範囲を有し、該範囲は前記低コヒーレンス干渉計のコヒーレンス長の少なくとも20%である、光学システム。
【請求項19】
請求項18に記載の光学システムにおいて、前記範囲は、前記低コヒーレンス干渉計のコヒーレンス長と少なくとも同程度である、光学システム。
【請求項20】
請求項15に記載の光学システムにおいて、前記検出器は複数の検出素子を含み、該複数の検出素子の各々は、該当する低コヒーレンス干渉信号を検出するように構成され、低コヒーレンス干渉信号の各々は、前記基準光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光、及び前記測定光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光を含み、低コヒーレンス干渉信号の各々は、前記オブジェクトの異なるポイントと前記基準表面との間の空間的関係を示す、光学システム。
【請求項21】
請求項20に記載の光学システムであって、
プロセッサ、
を備え、該プロセッサは、前記オブジェクトの異なるポイントの各々と前記基準表面との間の前記空間的関係を、複数の低コヒーレンス干渉信号のうちの該当する少なくとも一つに基づいて求めるように構成されている、光学システム。
【請求項22】
請求項21に記載の光学システムであって、
前記オブジェクトと前記フォトリソグラフィ・システムとの間の相対位置及び向きを操作する並進ステージ、
を備え、前記プロセッサは、前記オブジェクト及び前記フォトリソグラフィ・システムの相対位置を前記空間的関係に基づいて変更するように構成されている、光学システム。
【請求項23】
請求項20に記載の光学システムにおいて、各低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、前記基準光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光、及び低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、前記測定光路の該当する、異なる部分に沿って通過した光は、光路長差範囲を有し、該範囲は前記低コヒーレンス干渉計のコヒーレンス長の少なくとも20%である、光学システム。
【請求項24】
方法であって、
オブジェクトを、フォトリソグラフィ・システムの光路にほぼ沿って配置すること、
光源からの光の第1部分を前記フォトリソグラフィ・システムの基準表面によって反射させること、
光源からの光の第2部分を前記オブジェクトによって反射させること、
前記基準表面によって反射される光及び前記オブジェクトによって反射される光を含む低コヒーレンス干渉信号を形成することであって、該低コヒーレンス干渉信号は、前記オブジェクトと前記撮像システムとの間の空間的関係を示す、低コヒーレンス干渉信号を形成すること、
を備える方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
光源からの光の該当する第1部分を前記フォトリソグラフィ・システムの前記基準表面の複数の位置の各々によって反射させること、
光源からの光の該当する第2部分を前記オブジェクトの複数の位置の各々によって反射させること、
複数の低コヒーレンス干渉信号を形成することであって、該複数の低コヒーレンス干渉信号の各々は、前記基準表面の異なる位置のうちの該当する位置によって反射される光、及び前記オブジェクトの異なる位置のうちの該当する位置によって反射される光を含み、該複数の低コヒーレンス干渉信号の各々は、前記オブジェクトの異なる位置のうちの少なくとも一つの位置と前記フォトリソグラフィ・システムとの間の空間的関係を示す、複数の低コヒーレンス干渉信号を形成すること、
を備える方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法において、前記オブジェクトを配置した後に、前記光の第1部分を反射させること、及び前記光の第2部分を反射させることを実行する、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、更に、
前記オブジェクト及び前記基準表面の相対位置を前記空間的関係に基づいて変更すること、
を備える方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法において、前記基準表面は前記フォトリソグラフィ・システムの光学系の表面である、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、更に、
前記フォトリソグラフィ・システムを使用して紫外光画像を前記オブジェクトに投影すること、
を備え、前記紫外光画像を形成する光は前記光学系の表面を含む光路に沿って通過する、方法。
【請求項30】
請求項24に記載の方法において、前記オブジェクトは基板、及び外側表面を有する薄膜を含み、前記形成することは、前記基準表面により反射される光、及び前記薄膜の外側表面により反射される光を合成することを含み、前記空間的関係は、前記薄膜の外側表面と前記フォトリソグラフィ・システムとの間の関係である、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、光源からの前記光の第2部分の光は前記薄膜によって大きく減衰する、方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、前記薄膜はフォトレジストを含み、光源からの前記光の第2部分の光のエネルギーは、該フォトレジストを露光するには不十分である、方法。
【請求項33】
請求項24に記載の方法において、前記オブジェクトは基板、及び外側表面を有する薄膜を含み、前記形成することは、前記基準表面により反射される光、及び前記基板により反射される光を合成することを含み、前記空間的関係は前記基板と前記撮像システムとの間の関係である、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、前記光源からの光の第2部分を前記オブジェクトによって反射させることは、前記オブジェクトにブルースター角で照射することを含む、方法。
【請求項35】
請求項24に記載の方法において、前記形成することは、干渉計を使用することを含み、低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、前記基準光路に沿って通過した光、及び低コヒーレンス干渉信号を伝送する光であって、前記測定光路に沿って通過した光は、光路長差範囲を有し、該範囲は前記干渉計のコヒーレンス長の少なくとも20%である、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、前記光の第2部分を前記オブジェクトによって反射させることは、照射光を前記オブジェクトに少なくとも50°の入射角で振り向けることを含む、方法。
【請求項37】
オブジェクトの空間特性を求めるシステムであって、
光源と、
光学システムであって、
前記オブジェクトを前記光源からの光の第1部分を使用して斜入射角で照射して、該光の第1部分の少なくとも一部が前記オブジェクトによって反射されるようにし、かつ、
前記オブジェクトによって反射される光と、同じ光源により生成される光の第2部分とを光路長差範囲に渡って合成するように構成されている光学システムと、
前記光路長差範囲に渡って合成された光を複数の干渉フリンジとして検出するように構成されている検出器と、
を備え、各干渉フリンジはピーク振幅を有し、前記光路長差範囲は前記干渉フリンジのピーク振幅を変調するために十分な範囲である、システム。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、前記光路長差範囲は前記光学システムのコヒーレンス長と少なくとも同程度である、方法。
【請求項39】
請求項37に記載のシステムであって、
プロセッサ、
を備え、該プロセッサは、前記オブジェクトの空間特性を前記複数の干渉フリンジに基づいて求めるように構成されている、システム。
【請求項40】
請求項37に記載の方法において、
前記光学システムは、
前記オブジェクトの複数のポイントの各々を、前記光源からの光の該当する第1部分を使用して斜入射角で照射して、光の該当する第1部分の各々の少なくとも一部が前記オブジェクトによって反射光の該当する部分として反射されるようにし、
反射光の各部分を同じ光源により生成される光の該当する第2部分と合成して該当する合成光を形成するように構成され、
前記検出器は、
複数の検出素子を含み、該複数の検出素子の各々は該当する複数の干渉フリンジを検出するように構成され、該当する複数の干渉フリンジの各々は該当する合成光による影響を受ける部分を含み、複数の干渉フリンジの各々の合成光は光路長差範囲を有し、各光路長差範囲は、該当する干渉フリンジのピーク振幅を変調するために十分な範囲である、方法。
【請求項41】
請求項40に記載のシステムであって、
プロセッサ、
を備え、該プロセッサは、複数のポイントの各々の空間特性を該当する複数の干渉フリンジに基づいて求めるように構成されている、システム。
【請求項42】
請求項39に記載のシステムにおいて、前記オブジェクトは基板及び被覆薄膜を含み、該薄膜は外側表面を有し、前記空間特性は該薄膜の外側表面の空間特性である、システム
【請求項43】
請求項42に記載のシステムにおいて、前記プロセッサは並進ステージに接続され、該並進ステージは前記オブジェクトと基準との間の相対位置を変更するように構成され、前記プロセッサは前記相対位置を前記空間特性に基づいて変更するように構成されている、システム。
【請求項44】
方法であって、
オブジェクトを光源からの光を使用して斜入射角で照射することであって、照射光の少なくとも一部が前記オブジェクトによって反射される、照射すること、
前記オブジェクトによって反射される光及び前記光源からの光の第2部分を光路長差範囲に渡って合成すること、
前記光路長差範囲に渡って合成される光を複数の干渉フリンジとして検出すること、
を備え、各干渉フリンジはピーク振幅を有し、前記光路長差範囲は前記干渉フリンジのピーク振幅を変調するために十分な範囲である、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法において、前記合成することは、所定のコヒーレンス長を有する干渉計を使用することを含み、前記光路長差範囲は少なくとも前記コヒーレンス長と同程度である、方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法において、前記検出することは、干渉フリンジを含む干渉パターンの少なくとも一部分を検出し、前記方法は、前記オブジェクトの空間特性を前記干渉パターンの少なくとも一部分に基づいて求めることを備える方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法において、前記オブジェクトは、外側表面を有する被覆フォトレジスト層を含む基板を含み、前記空間特性は前記外側表面の空間特性である、方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法であって、
フォトリソグラフィ・システムと前記オブジェクトとの間の相対位置を前記外側表面の空間特性に基づいて変更すること、
を備える方法。
【請求項49】
請求項46に記載の方法において、前記オブジェクトは液晶ディスプレイの一部分を含む、方法。
【請求項50】
請求項46に記載の方法であって、更に、
前記オブジェクトをスクライブすること、
を備え、前記空間特性は前記スクライブすることにより形成されるスクライブ線の空間特性である、方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法であって、更に、
前記オブジェクトまたは別のオブジェクトをスクライブすること、
スクライブを更に行なうためのパラメータをスクライブ線の空間特性に基づいて変更すること、
を備える方法。
【請求項52】
請求項46に記載の方法において、前記オブジェクトは、半田バンプを形成している間の構造を含む、方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法において、前記空間特性は、半田に濡れない前記オブジェクトの一部分の空間特性である、方法。
【請求項54】
装置であって、
オブジェクトの一部分を光パターンで照射するように構成され、かつ基準表面を有するフォトリソグラフィ・システムと、
複数の検出素子と、
干渉計として、かつ三角測量システムとして動作する光学システムであって、前記干渉計は基準光路及び測定光路を有し、該基準光路に沿って通過する光は前記基準表面によって少なくとも1回反射され、該測定光路に沿って通過する光は前記オブジェクトによって少なくとも1回反射される、光学システムと、
を備え、前記複数の検出素子は、前記基準光路に沿って通過した光、及び前記測定光路に沿って通過した光を含む干渉信号を検出するように構成され、該干渉信号は前記基準表面と前記オブジェクトとの間の空間的関係を示し、
前記三角測量システムは、前記オブジェクトと前記基準表面との間の空間的関係を、前記オブジェクトの画像と前記基準表面の画像との間の空間的関係に基づいて求めるように構成されている、装置。
【請求項55】
装置であって、
オブジェクトの一部分を光パターンで照射するように構成され、かつ基準表面を有するフォトリソグラフィ・システムと、
複数の検出素子と、
前記オブジェクトの一部分を第1の光で照射し、前記基準表面を第2の光で照射し、前記第1の光の画像及び前記第2の光の画像を検出器において形成するように構成されている光学システムと、
前記オブジェクトと前記基準表面との間の空間的関係を、前記第1の光の画像と前記第2の光の画像との間の空間的関係に基づいて求めるように構成されているプロセッサと、
を備える装置。
【請求項56】
請求項55に記載の装置において、前記プロセッサは、前記第1の光の画像と前記第2の光の画像との間の空間的関係を検出素子に応じた形で求めるように構成されている、装置。
【請求項57】
請求項55に記載の装置であって、
前記オブジェクトと前記基準表面との間の相対位置を変えるように構成されているポジショナー、
を備え、前記プロセッサは、前記ポジショナーを前記オブジェクトと前記基準表面との間の空間的関係に基づいて動作させるよう構成されている、装置。
【請求項58】
請求項55に記載の装置において、光で照射される前記オブジェクトの一部は、前記オブジェクトのうち、前記フォトリソグラフィ・システムによって照射される一部である、装置。
【請求項59】
請求項58に記載の装置において、前記フォトリソグラフィ・システムは、少なくとも部分的に前記基準表面と同じ領域を占有する表面を有する光学系を含む、装置。
【請求項60】
請求項59に記載の装置において、
前記光学システムは、
基準光路及び測定光路を有する干渉計であって、該基準光路に沿って通過する光が少なくとも1回、前記基準表面によって反射され、該測定光路に沿って通過する光が少なくとも1回、前記オブジェクトによって反射される、干渉計、
を含み、前記複数の検出素子は、前記基準光路に沿って通過した光、及び前記測定光路に沿って通過した光を含む干渉信号を検出するように構成され、該干渉信号は前記基準表面と前記オブジェクトとの間の空間的関係を示す、装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【公表番号】特表2007−506070(P2007−506070A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526408(P2006−526408)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/030051
【国際公開番号】WO2005/029192
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(598176743)ザイゴ コーポレーション (39)
【氏名又は名称原語表記】ZYGO CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/030051
【国際公開番号】WO2005/029192
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(598176743)ザイゴ コーポレーション (39)
【氏名又は名称原語表記】ZYGO CORPORATION
【Fターム(参考)】
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