説明

表面欠陥検査方法及び検査装置

【課題】正確に、かつ短時間に空間フィルタの設定を行なうことができ、検出感度の低下防止も可能な表面欠陥検査装置を実現する。
【解決手段】それぞれ異なるパターンピッチを有する複数の領域からの光像が混在した回折光像710aを表示し、選択した領域のパターンピッチ702aと算出された回折光ピッチ702bが表示される。回折光ピッチ702bに合わせたピッチのゲージ710b、701cが回折光像710aに重畳して表示させる。ゲージ710b、710cは回折光像710cのピッチに合わせられるように作業者が移動でき、ゲージ710b、710cを合わせたピッチの画像が抽出され、別の表示領域に表示される。異なるパターンピッチを有する複数の領域のそれぞれに対して実行し、それぞれのパターンピッチとそれに対応する画像を表示する。表示した画像等に従い、選択した回折光を除去可能なように空間フィルタの間隔を設定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の被検査物の表面に存在する異物、傷、欠陥、汚れ等を検出する表面欠陥検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査物の表面、例えば半導体ウェーハの表面の欠陥(表面に存在する異物、傷、欠陥、汚れ等)を検出する表面欠陥検査装置は、レーザ光等の検査光をウェーハ表面に照射し、ウェーハの表面で発生した反射光又は散乱光を検出することにより、ウェーハの表面に存在する欠陥を検出する。
【0003】
この種の検査装置では、ウェーハの表面にチップを構成するパターンが形成されている場合、通常、検出した反射光又は散乱光の強度から画像信号を作成し、検査エリア(検査チップ又は検査ショット)の画像信号を参照エリア(参照チップ又は参照ショット)の画像信号と比較して、両者の差分が閾値以上である箇所を欠陥と判定している。
【0004】
参照エリアには、検査エリアの隣接エリア(隣接チップ或いは隣接ショット)又は予め用意した良品エリア(良品チップ或いは良品ショット)が用いられる。
【0005】
また、上記欠陥を検査する技術として、特許文献1や特許文献2に、ウェーハにコヒーレント光を照射してウェーハ上の繰り返しパターンからの回折光を空間フィルタで除去し、欠陥からの繰り返し性のもたない散乱光を効率良く検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−184142号公報
【特許文献2】特開2004−177377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、表面欠陥検査装置では、ウェーハの品種及び検査工程に対応した検査条件データが必要であり、そのデータ作成に多くの時間を要している。その検査条件データの中の一つに空間フィルタの設定があるが、作業者が適切な空間フィルタの設定をする為には、ウェーハの品種によって存在する複数の繰り返し性を持ったパターンとその各パターンに対応した回折光を見極める必要がある。
【0008】
この各パターンに対応した回折光を見極める作業には非常に時間が必要である。パターンに対応した回折光を見極める作業の時間を単に短縮すると、空間フィルタを正確に設定することができず、表面の欠陥検出感度が低下する可能性がある。
【0009】
従来技術においては、例えば、繰り返しパターンが複数存在する場合のパターンからの回折光は、幾つも重なり合い、作業者が特定のパターンからの回折光を見分ける手段(方法)についての配慮は十分ではなく、空間フィルタの設定に長時間を必要としていた。
【0010】
本発明の目的は、正確に、かつ短時間に空間フィルタの設定を行なうことができ、検出感度の低下防止も可能な表面欠陥検査装置及び検査方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために次のように構成される。
【0012】
本発明の表面検査方法及び装置は、複数種類の回路パターンの回折光像が重畳された被検査物画像を表示し、被検査物の複数種類の回路パターンの種類毎のレイアウトと回路パターンのピッチとを記憶手段に格納し、上記記憶手段に記憶された回路パターンのピッチのうちのいずれかのピッチを選択して抽出し、抽出した回路パターンに対応する回折光ピッチを有する複数のゲージ線を表示し、表示した上記ゲージ線と上記被検査物画像とに基づいて、上記表示した被検査物画像のうちの上記抽出した回路パターンに対応する回折光ピッチを有する回折光像のみを有する特定パターン被検査画像を抽出して表示する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、正確に、かつ短時間に空間フィルタの設定を行なうことができ、検出感度の低下防止も可能な表面欠陥検査装置及び検査方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用される表面欠陥検査装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例における検査光の走査を説明する図である。
【図3】本発明の一実施例の検査条件を作成し、空間フィルタの設定を行なうフローチャートである。
【図4】表面欠陥検査装置により検査されるチップレイアウトの例を示す図である。
【図5】被検査物であるチップの複数領域からの回折光像が重畳された回折画像の説明図である。
【図6】パターンピッチと回折光像ピッチの関係を説明する図である。
【図7】本発明の一実施例における、エリア別の回折光像を抽出時に、検査装置の表示部に表示される画面表示例である。
【図8】本発明の一実施例における、エリア別の回折光像を抽出後に、検査装置の表示部に表示される画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の一実施例が適用される表面欠陥検査装置の概略構成図である。図1において、表面欠陥検査装置は、照明手段10と、検出手段400と、Xスケール30と、Yスケール40と、処理装置100とを備えている。なお、外部計算装置を備えても良い。
【0017】
検出手段400は、照明手段10より、検査対象物であるウェーハ1上に照射された検査光によるパターン(回路パターン)及び欠陥からの散乱光をセンサ面(この例では、センサとしてTDIセンサを使用)に結像させるフーリエ変換レンズ20と、逆フーリエ変換レンズ22と、フーリエ変換面に配置した空間フィルタ21と、TDIセンサ50と、フーリエ変換面観察用手段23とを備えている。
【0018】
検出部400は、ウェーハ1の直上及び斜方に配置しても良い。
【0019】
フーリエ変換レンズ20は、ウェーハ1の繰り返しパターンからの回折像を結像させ、フーリエ変換面観察手段23で観察できる機構を備えている。
【0020】
また、空間フィルタ21は、ウェーハ1上に照射された検査光によるパターン及び欠陥からの散乱光のうち、欠陥からの散乱光以外であるパターン上の繰り返しピッチに応じた回折光を遮光する機構を有している。
【0021】
ウェーハ1上の繰り返しパターンからの散乱光は、フーリエ変換レンズ20のフーリエ変換面で繰り返しパターンピッチに対応した回折像を結ぶ。一方で、ウェーハ1の欠陥からの散乱光はフーリエ変換面では結像しない。このため、フーリエ変換面での回折光を空間フィルタ21により遮光することで、ウェーハ1上に形成されたパターンからの散乱光の大部分を遮光し、一方で欠陥からの散乱光を大部分通過させることができる。
【0022】
これにより、ウェーハ1に形成されたパターンからの散乱光を除去し、欠陥からの散乱光のみをTDIセンサ50に結像でき、高いS/Nで欠陥の信号を得ることが可能となる。
【0023】
また、空間フィルタ21は、ウェーハ1のパターン上の繰り返しピッチに応じたXY方向(図1に図示)に結像した回折光の間隔に合わせて遮光できるようにXY方向の間隔及び位置を任意で切り替える機構を有している。
【0024】
逆フーリエ変換レンズ22は、何本かの個別に倍率を持つ逆フーリエ変換レンズを任意で切替え可能な機構を備え、被検査物の種類、又は検出したい欠陥の大きさにより検出感度を変更できる構成となっている。
【0025】
また、照明手段10は、例えば、所定波長のレーザ光等の検査光を発生するレーザ装置であり、検査光を被検査物であるウェーハ1の表面へ照射する。例えば、検査光をウェーハ1の表面に斜めに(所定の角度12で)照射しても良い。表面にチップ2が形成されたウェーハ1がXYステージ上に搭載され、このXYステージがX方向及びY方向へ移動することによって、照明手段10から照射された検査光がウェーハ1の表面を走査する構成となっている。
【0026】
図2は本発明の一実施例である表面欠陥検査装置における検査光の走査を説明する図である。
【0027】
図2において、ウェーハ1を搭載したウェーハステージが、図2に示したX方向へ移動すると、照明手段10から照射された検査光が、ウェーハ1上に形成されたチップ2a、2b、2c、2dの表面を矢印S1で示す方向に移動し、1ラインの走査が行われる。
【0028】
次に、ウェーハステージが図2に示したY方向へ移動する。そして、ウェーハステージがX方向に1ライン目の走査時と反対向きに移動すると、検査光がチップ2d、2c、2b、2aの表面を矢印S2で示す方向に移動して、2ライン目の走査が行われる。これらの動作を繰り返すことにより、ウェーハ1の表面全体の走査が行われる。
【0029】
図1に戻り、Xスケール30及びYスケール40は、例えばレーザースケール等からなり、ウェーハ1を載せたウェーハステージのX方向位置及びY方向位置をそれぞれ検出して、その位置情報を処理装置100の座標管理装置140へ出力する。
【0030】
処理装置100は、A/D変換器110と、画像処理装置120と、欠陥判定装置130と、座標管理装置140と、検査結果記憶装置150と、検査結果表示装置160と、入力装置170と、結果処理装置180とを備えている。
【0031】
A/D変換器110は、検出器50を含む検出部400から入力したアナログ信号の画像信号を、ディジタル信号の画像信号に変換して出力する。
【0032】
画像処理装置120は、画像比較回路121と、閾値演算回路122と、閾値格納回路123とを備えている。
【0033】
画像比較回路121は、例えば遅延回路と差分検出回路を備えており、検出部400で検出された検査エリアの画像信号を参照エリアの対応画素の画像信号と比較して両者の差分を検出する比較手段としての役割を果たす。画像比較回路121の遅延回路は、A/D変換器110から画像信号を入力して遅延することにより、図2に示した走査で、現在の検査光が照射されている検査エリアの1つ前の既に検査光の照射が終了した検査エリアの画像信号を出力する。
【0034】
画像比較回路121の差分検出回路は、A/D変換器110からの現在の検査光が照射されている検査エリアの画像信号と遅延回路からの画像信号とを入力し、両者の差分を検出して出力する。これにより、画像比較回路121は、検査エリアと、これに隣接する参照エリアの画像信号とを比較する。
【0035】
検査エリアの表面に欠陥が存在する場合、欠陥で散乱した散乱光が、隣接するチップ相互の画像信号の差分となって現れる。
【0036】
なお、画像比較回路121は、遅延回路の代わりに予め用意した良品チップの画像信号のデータを記憶したメモリを備え、良品の検査エリアの画像信号との比較を行うようにしても良い。
【0037】
閾値演算回路122は、例えば各検査エリアに対応する画素の画像信号の統計値を基に、対応画素の画像信号の差分と比較するための閾値を演算するしき値演算手段として機能する。つまり、A/D変換器110からの検査エリアの画像信号と遅延回路からの各参照エリアの画像信号を画素毎に対応させ、各検査エリア間でばらつき(標準偏差)量を算出し、そのばらつき量を基に欠陥の有無の判定に用いる閾値データを算出する。
【0038】
閾値格納回路123には、閾値演算回路122から入力された閾値が座標管理装置140から入力された検査エリアの座標情報に対応付けられて保存される。
【0039】
欠陥判定装置130は、判定回路131と、係数テーブル132、133とを備えている。係数テーブル132、133には、閾値演算回路122で演算された閾値を変更するための係数が、ウェーハ1上の座標情報と対応付けられて格納されている。
【0040】
係数テーブル132、133は、座標管理装置140からの座標情報を入力し、その座標情報に対応する係数を判定回路131へ出力する。係数テーブル132、133に格納された係数は、判定回路131に出力された際に、対応する座標の閾値に乗じられる。これにより、例えば多数の同一製品を検査する場合、過去の検査・分析データの蓄積から、欠陥の生じ易い検査エリア内の箇所或いはウェーハ上の箇所(エッジ近傍等)とそうでない箇所とで閾値が柔軟に調整される。
【0041】
判定回路131には、画像比較回路121からの検査エリアと参照エリアとの対応画素の画像信号の差分信号と、閾値格納回路123から読み出された対応画素の閾値データと、係数テーブル132、133から入力された対応画素の閾値変更用の係数が入力される。
【0042】
判定回路131は、画像処理装置120から入力された閾値に係数テーブル132、133から入力した対応画素の係数を乗じて判定用閾値を作成する。そして、画像比較回路121からの差分信号と対応画素の判定用閾値とを比較し、欠陥の有無を判定する。
【0043】
ここでは、差分信号が判定用閾値以上である場合に当該画素が欠陥からの散乱光によるものと判定し、その検査結果を検査結果記憶装置150へ出力する。また、判定回路131は、判定に用いた閾値の情報を検査結果記憶装置150へ出力する。
【0044】
座標管理装置140は、Xスケール30及びYスケール40から入力したウェーハステージの位置情報(ウェーハ1の位置情報)に基づき、ウェーハ1上の現在検査光が照射されている位置のX座標及びY座標を検出して、その座標情報を画像処理装置120や欠陥判定装置130、検査結果記憶装置150に出力する。
【0045】
この座標管理装置140には、ウェーハ1上の各検査エリアの配置情報が記憶されている。座標管理装置140に記憶された各検査エリアの配置情報が、前述したように画像処理装置120や係数テーブル132、133に出力される。
【0046】
検査結果記憶装置150は、欠陥判定装置130から入力した検査結果と、座標管理装置140から入力した対応画素の座標情報とを対応付けて記憶する。また、検査結果記憶装置150は、欠陥判定装置130から入力した閾値の情報を、対応画素の検査結果又は座標情報と対応付けて記憶する。
【0047】
また、チップレイアウト及びチップ内座標に対応付けしたフーリエ変換面観察用手段23での撮像した像、及び入力装置170から入力したチップレイアウト及びこのチップレイアウトに対応付けしたパターンピッチを記憶する。
【0048】
入力装置170は、例えばチップレイアウト及びチップレイアウトに対応付けしたパターンピッチを入力する。なお、入力部の一例として、入力装置170が相当する。
【0049】
結果処理装置180は、例えば検査結果記憶装置150に記録されているチップレイアウトに対応付けしたパターンピッチから回折光ピッチの演算を行う。なお、処理部の一例として、結果処理装置180が相当する。
【0050】
検査結果表示装置160は、検査結果記憶装置150から入力した検査結果情報を表示する。また、例えばフーリエ変換面観察用手段23での撮像した像や、本発明のGUI機能を表示する。なお、検査結果表示部の一例として、検査結果表示装置160が相当する。
【0051】
図3は、本発明の一実施例における上記構成の検査装置による検査条件フローチャートである。
【0052】
まず、図3のステップ301では、ウェーハを検査装置上にロードする。次のステップ302では、被検査物の検査に必要なウェーハサイズ、チップサイズ、ウエハマトリクス、アライメントチップ等の標準的な情報を入力し、品種ファイルとし記憶する。
【0053】
また、ステップ302aでは、図4に示すチップレイアウト(領域401、402、403で構成されているパターンレイアウトの一例)及びこのチップレイアウトに対応付けしたパターンピッチを入力し、品種ファイルに記憶する。なお、例えば、上記パターンレイアウトや上記パターンピッチはSEM像での測定値や設計値を入力してもよい。
【0054】
次に、ステップ303では、検査感度に関わる検査条件の設定、すなわち、照明角度、照明仰角、検査倍率、検出器角度、レーザパワー、閾値の設定、空間フィルタの設定を工程ファイルに記憶する。
【0055】
なお、空間フィルタの設定では、パターンレイアウトに存在する複数の繰り返し性を持ったパターンと各パターンに対応した回折光像を見極める必要がある。この各パターンからの回折光像に適切に空間フィルタを設定することが重要である。
【0056】
ここで、パターンレイアウトに存在する複数の繰り返し性を持ったパターンと各パターンに対応した回折光を見極める方法について説明する。
【0057】
図5に示すように、回折光像(フーリエ変換面像)500は、図4に示す3つの領域401、402、403からの各々の回折光像501、502、503が混在して現れている。
【0058】
図6に示すように、パターンピッチpと回折光像ピッチdの関係式は、一般的に次式(1)で表すことができる。
【0059】
回折光像ピッチ(d)=k/パターンピッチ(p) ・・・(1)
なお、上記式(1)において、kは係数であり、例えば、レーザ波長で決定される値である。この係数kは、レーザ波長で決定される値であるから、予め表面欠陥検査装置の記憶装置に記憶することが可能である。係数テーブル132又は133に格納してもよい。
【0060】
本発明は、上記(1)式で表せる事象を応用している。
【0061】
図7は、回折光像を抽出するためのアシストツール画面(GUI)700を示す図である。図7において、アシストツール画面(GUI)700は、ピッチ表示エリア710と、ピッチ算出部730と、チップマトリクス750とを備える。
【0062】
まず、作業者が画像取得700aボタンをクリックすることで、回折光像710a(領域A、B、Cが混在した画像500)がアシストツール画面700のピッチ表示エリア710に表示される。
【0063】
次に、選択欄701aの回折光ピッチ算出を選択し、次に、エリア番号指定701を選択又はチップマトリクスの領域(ここでは、図4と同様に401、402、403の3つの領域)をクリックすると、図3の品種ファイルのエリア別パターンピッチ入力302aでの入力値が検査結果記憶装置150より読み出され、パターンピッチ(X、Y)部702aへ表示されると同時に、算出された回折光像ピッチ(X、Y)部702bの値が出力表示される。
【0064】
また、ピッチ表示エリア710に、算出した回折像ピッチに対応した等間隔なゲージX710b、ゲージY710cが回折光像710aと重なるように表示される。
【0065】
ピッチ表示エリア710に表示されたゲージX710b、ゲージY710cはスライダ720b、720cの移動に合わせて動く機能を有し、作業者(操作者)は、スライダ720b、720cを移動して、ゲージ710b、710cを移動させる。そして、回折光像710aに混在する回折像のうちの、表示されたピッチと合う回折像を作業者(操作者)が、目視観察で判断し、パターンエリアとその回折光像を対応付ける事が可能となる。
【0066】
ゲージX710b又はゲージY710cとピッチが重なった回折像(特定パターン被検査画)は、抽出ボタン730b又は730cをクリックする事で、パターン領域とパターンピッチと回折像ピッチと関連付けて抽出した回折像画像(図8の回折画像820エリアに表示する)が記憶装置150に記憶される。
【0067】
記憶装置150に記憶された情報は、一覧表示ボタン700cをクリックするとデータ一覧表示画面(GUI)800が表示される(図8参照)。
【0068】
また、アシストツール画面(GUI)700では、上記機能に加え、回折光像ピッチからパターンピッチを算出する機能も有している。
【0069】
まず、パターンピッチを算出するには、選択欄701bをクリックし、次にピッチ表示エリア710に表示された回折光像710aのピッチを、Xピッチをスライダ720bとスライダ740bとで、Yピッチをスライダ720cと740cとで、ゲージX710b、ゲージY710cを動かす。そして、任意の繰り返しがあると思われる回折像に重なるようにし、実行ボタン700bをクリックすると、パターンピッチ(X、Y)702aにパターンピッチ算出値が表示される。
【0070】
図8に示したデータ一覧表示画面(GUI)800は、情報エリア810と、回折光像エリア820と、チップマトリクス情報エリア840と、実画像エリア830とが表示されており、作業者が一目で確認できるようになっている。
【0071】
情報エリア810には、パターンマトリクスの領域、検査条件、パターンピッチ及び回折光ピッチを表示する。また、回折像を取得したチップ内のX及びY座標を表示してもよい。
【0072】
回折光像エリア820には、アシストツール画面(GUI)700で記憶した情報である抽出した回折光画像を表示する。
【0073】
実画像エリア830には、例えばSEM像やCADデータをインポートして表示できるようにデータ一覧表示画面(GUI)800に加えてもよい。
【0074】
チップマトリクス情報エリア840の領域(ここでは、領域401、402、403の三つの領域で構成されている)をクリックする事で、その領域の回折光像が一目でわかる様になっている。また、回折像を取得したチップ内のX及びY座標をドット840aで表示してもよい。
【0075】
また、検査条件が複数存在する場合を考慮し、データ一覧表示画面(GUI)800にて、例えば、検査条件別に複数のタグ801(本形態では4条件を表示)で記憶できるようにしてもよい。
【0076】
作業者は、データ一覧表示画面(GUI)800を参照することで、チップレイアウト内の各領域のパターンとの対応付けを認識しながら、空間フィルタの設定ができることがポイントである。
【0077】
図3のステップ303に戻り、チップレイアウトの領域別に検査条件303aを設定し、上記方法にて、ステップ303bでは、チップレイアウトの領域別の回折光を抽出し、ステップ303cにて、検査条件毎に空間フィルタの設定を行う。
【0078】
次に、検査条件選択ステップ304において、どの領域を検査対象にするかを選択する。この時、複数の検査条件を選択できてもよい。
【0079】
次に、ステップ305で検査を開始し、ステップ306で検査結果表示とレビューを行い、ステップ307で欠陥か擬似かの判定を行う。ステップ307で、疑似である場合は、ステップ308に進み、検査条件毎に閾値及びレーザパワーを変更し、ステップ305に戻る。そして、擬似が無くなるまでステップ305〜308を繰り返す。
【0080】
擬似が無くなったところで、ステップ307からステップ309に進み、ウェーハをアンロードし、処理は終了する。
【0081】
以上のように、本発明の一実施例によれば、それぞれ異なるパターンピッチを有する複数の領域からの光像が混在した回折光像を表示し、上記複数の領域のうちの選択した領域のパターンピッチと、そのパターンピッチから算出された回折光ピッチが表示される。そして、算出された回折光ピッチに合わせたピッチのゲージが、複数の領域からの光像が混在した回折光像に重畳して表示させる。回折光ピッチに合わせたピッチのゲージは、表示された回折光像のピッチに合わせられるように作業者により移動可能となっており、混在したピッチのうちのゲージを合わせられたピッチの画像が抽出され、別の表示領域に表示される。
【0082】
以上の動作を、異なるパターンピッチを有する複数の領域のそれぞれに対して実行し、それぞれのパターンピッチとそれに対応する画像を表示する。
【0083】
作業者は、各パターンの画像及びパターンピッチを参照して、空間フィルタの設定を行なうことができる。つまり、反射光又は散乱光から選択した回折光を除去可能なように空間フィルタの間隔を設定することができる。
【0084】
したがって、正確に、かつ短時間に空間フィルタの設定を行なうことができ、検出感度の低下防止も可能な表面欠陥検査装置及び検査方法を実現することができる。
【0085】
また、相乗効果として、全体的な検査条件データ作成時間の短縮も図ることができる。
【符号の説明】
【0086】
1・・・ウェーハ、10・・・照明手段、20・・・フーリエ変換レンズ、21・・・空間フィルタ、22・・・逆フーリエ変換レンズ、23・・・フーリエ変換面観察手段、50・・・TDIセンサ、100・・・処理装置、120・・・画像処理装置、121・・・画像比較回路、122・・・閾値演算回路、123・・・閾値格納回路、130・・・欠陥判定装置、131・・・判定回路、132、133・・・係数テーブル、140・・・座標管理装置、150・・・検査結果記憶装置、160・・・検査結果表示装置、170・・・入力装置、180・・・結果処理装置、700・・・アシストツール画面、710・・・ピッチ表示エリア、710a・・・回折光像、710b、710c・・・ゲージ、720a、720b・・・スライダ、800・・・データ一覧表示画面、810・・・情報エリア、820・・・回折画像、830・・・実画像、840・・・チップマトリクス情報エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査光を被検査物へ照射し、上記被検査物からの反射光又は散乱光のうち上記被検査物に存在する複数種類の回路パターンからの回折光を空間フィルタにより遮光して、上記反射光及び散乱光を検出し、検出した上記被検査物からの反射光又は散乱光の強度と、検出した反射光又は散乱光が発生した上記検査領域内での位置とを検出する表面欠陥検査方法において、
上記複数種類の回路パターンの回折光像が重畳された被検査物画像を表示し、
上記被検査物の複数種類の回路パターンの種類毎のレイアウトと回路パターンのピッチとを記憶手段に格納し、
上記記憶手段に記憶された回路パターンのピッチのうちのいずれかのピッチを選択して抽出し、
抽出した回路パターンに対応する回折光ピッチを有する複数のゲージ線を表示し、
表示した上記ゲージ線と上記被検査物画像とに基づいて、上記表示した被検査物画像のうちの上記抽出した回路パターンに対応する回折光ピッチを有する回折光像のみを有する特定パターン被検査画像を抽出して表示し、
上記特定パターン被検査画像を用いて、上記空間フィルタにより遮光する回折光を設定することを特徴とする表面欠陥検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表面欠陥検査方法において、上記複数種類の回路パターンの種類毎のレイアウトを表示すると共に、上記ゲージ線と上記被検査物画像とを重畳して表示することを特徴とする表面欠陥検査方法。
【請求項3】
請求項2に記載の表面欠陥検査方法において、上記複数のゲージ線を上記回折光ピッチを維持した状態で移動し、上記被検査物画像の回路パターンピッチに重ね合わせて、上記表示した被検査物画像のうちの上記抽出した回路パターンに対応する回折光ピッチを有する回折光像のみを有する特定パターン被検査画像を抽出すること特徴とする表面欠陥検査方法。
【請求項4】
請求項2に記載の表面欠陥検査方法において、上記複数のゲージ線のピッチは変更可能であり、上記表示された被検査物画像の回折光ピッチのいずれかに上記複数のゲージ線を重ね合わせ、そのときの回折光ピッチから回路パターンピッチを算出し、上記回折光ピッチ及びこの回折光ピッチに対応する回路パターンピッチを上記記憶手段に記憶することを特徴とする表面欠陥検査方法。
【請求項5】
検査光を被検査物へ照射する照射手段と、上記被検査物からの反射光又は散乱光のうち上記被検査物に存在する複数種類の回路パターンからの回折光を遮光する空間フィルタと、上記反射光及び散乱光を検出する検出手段と、検出した上記被検査物からの反射光又は散乱光の強度と、検出した反射光又は散乱光が発生した上記検査領域内での位置とを検出手段とを有し、上記日検査物の表面の欠陥を検査する表面欠陥検査装置において、
上記複数種類の回路パターンの回折光像が重畳された被検査物画像を表示する表示手段と、
上記被検査物の複数種類の回路パターンの種類毎のレイアウトと回路パターンのピッチとを格納する記憶手段と、
上記記憶手段に記憶された回路パターンのピッチのうちのいずれかのピッチを選択する入力手段と、
抽出した回路パターンに対応する回折光ピッチを有する複数のゲージ線を上記表示手段に表示させ、表示した上記ゲージ線と上記被検査物画像とに基づいて、上記表示した被検査物画像のうちの上記抽出した回路パターンに対応する回折光ピッチを有する回折光像のみを有する特定パターン被検査画像を抽出して表示させる処理手段と、
を備えることを特徴とする表面欠陥検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表面欠陥検査装置において、上記処理手段は、上記表示手段に、上記複数種類の回路パターンの種類毎のレイアウトを表示させると共に、上記ゲージ線と上記被検査物画像とを重畳して表示させることを特徴とする表面欠陥検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表面欠陥検査装置において、上記複数のゲージ線を上記回折光ピッチを維持した状態で移動可能なゲージ移動手段を有し、上記ゲージ移動手段により移動された複数のゲージ線が、上記被検査物画像の回路パターンピッチに重ね合わせられ、上記表示した被検査物画像のうちの上記抽出した回路パターンに対応する回折光ピッチを有する回折光像のみを有する特定パターン被検査画像を上記処理手段が抽出すること特徴とする表面欠陥検査装置。
【請求項8】
請求項6に記載の表面欠陥検査装置において、上記複数のゲージ線のピッチは、上記ゲージ移動手段により変更可能であり、上記表示された被検査物画像の回折光ピッチのいずれかに上記複数のゲージ線が重ね合わせられると、上記処理手段は、そのときの回折光ピッチから回路パターンピッチを算出し、上記回折光ピッチ及びこの回折光ピッチに対応する回路パターンピッチを上記記憶手段に記憶させることを特徴とする表面欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−112449(P2011−112449A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267605(P2009−267605)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】