説明

視覚的に制御されるメニューナビゲーションを有する移動局

本発明は、移動体電気通信網(36)のための、特にGSM規格またはUMTS規格に従う移動局(10)に関し、移動体電気通信網(36)は中央コンピュータ装置(40)を有する。移動局(10)は、受信部および送信部、視覚的および/または聴覚的メニューナビゲーションを有する表示部(14)、移動局(10)を操作するメニュー項目を選択するための制御部(28)、ならびに、表示部に視覚的および/または聴覚的要素(27)を表示するための手段を含み、各視覚的および/または聴覚的要素は関連付けられたメニュー項目を示す。視覚的要素(26)は、移動体電気通信網(36)のコンピュータ装置(40)で中央集中的に管理される。本発明の移動局(10)は、視覚的および/または聴覚的要素(26)を通じてこれらのメニュー項目を中央コンピュータ装置(40)から検索するための手段を含む。さらに、本発明は、本発明の移動局(10)のような移動局のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体電気通信網のための、特にGSM規格またはUMTS規格に従う移動局に関し、移動体電気通信網は中央コンピュータ装置を有し、移動局は、
(a)受信部および送信部と、
(b)メニュー項目を伴う階層的メニューナビゲーションを有する表示部と、
(c)移動局を操作するメニュー項目を選択するための制御部と、
(d)表示部にメニュー項目を表示するための手段と、
を含む。
【0002】
さらに、本発明はこのような移動局のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術
移動局は周知である。移動局は、移動体電気通信網において、同じく自分の自由に使える移動局を有する他の相手と通信するために用いられる。この目的のために、移動局の各々は適切な受信部および送信部を有する。現在では移動局は、GSM規格またはUMTS規格のいずれかに従って動作する。これらの規格については、数多くの刊行物、たとえばトイプナー シュトゥットガルト−ライプツィヒ出版、エーバースペッヒャー/フェーゲル著、「移動体通信のためのGSMグローバルシステム」第2版などに記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動局はその操作および用途分野に関して、益々使い心地がよくなる。その操作は、しばしば、表示部に表示されるメニューを通じて実行される。メニューの制御は、適切な押しボタンもしくはマイクロスイッチを通じて、または移動局の数字キーボードを通じて実行される。この目的のために、メニューは原則として階層的に構成され、ときにはテキストをサポートするための個別の視覚的要素を伴ったテキスト要素として図示される。ノキア(Nokia)社によって製造されたさらに最近の移動局においては、個別のメニュー項目はこのような視覚的要素とともに用いられている。これはたとえば、ノキア社の3210番のタイプの場合などである。しかしながら、そこでは一時に1つのメニュー項目のみしか表示されない。同じ階層レベルにある複数のメニュー項目を同時に表示することはできない。
【0005】
個別の視覚的要素を伴う、テキストで制御されるこれらのメニューの欠点は、移動局の視覚的要素は、視覚的要素が移動局によって、または製造業者によって、それぞれ異なり得ることである。それにより、視覚的要素はその意味を失う。なぜなら、認知度が低いために、視覚的要素の裏にいかなる機能またはメニュー項目が隠れているか誰も直感的に想起し得ないからである。したがって、移動局は、常に、テキストで制御される追加的なメニューを必要とする。
【0006】
モトローラ(Motorola)社によって製造された移動局、たとえばティンポート(Timport)タイプでは、複数の視覚的要素が表示部に表示され、各視覚的要素に1つのメニュー項目が関連付けられる。この視覚的なメニュー表示は、しかしながら、階層の上位の第1レベルで与えられる。移動局のサイズが原因で、視覚的要素のためのメモリ容量は極めて限られざるを得ない。さらに、これらの視覚的要素について、型式によってメニューが異なり得る。
【0007】
発明の開示
本発明の目的は、先行技術の欠点を回避すること、および、統一的な、可能であれば完全な、絵柄で制御されるメニューナビゲーションを有する移動局、およびそのような移動局のための方法をそれぞれ提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、最初に述べたタイプの、移動体電気通信網のための、特にGSM規格またはUMTS規格に従う移動局によって達成され、移動体電気通信網は中央コンピュータ装置を有し、
(e)移動体電気通信網のコンピュータ装置からメニュー項目のための視覚的および/または聴覚的要素を中央集中的に検索し、表示するための手段が設けられる。
【0009】
さらに、その目的は、最初に述べたタイプの移動局のための方法であって、メニュー項目の視覚的および/または聴覚的要素のためのデータが移動体電気通信網の中央コンピュータ装置に格納され、これらのデータが、それぞれのメニュー項目が検索されると、移動局によって中央コンピュータ装置から移動局に送信されて移動局の表示部(14)に表示される、方法によって達成される。
【0010】
本発明は、すべての移動局を操作するための統一的なメニューナビゲーションを提案するという本質に基づいており、そのメニューナビゲーションは直感的に操作され得る。この直感は視覚的および/または聴覚的要素によって得られ、その統一性と移動体電気通信網の中央コンピュータによる集中管理とによって確保される。それにより、すべてのメニュー項目は、中央集中的に、かつ、統一的に、視覚的および/または聴覚的要素と関連付けられ得る。
【0011】
本発明は、階層的に構成されたメニューナビゲーションを有する。この方策により、移動局のユーザはすべての機能を同時に扱う必要はない。ユーザは1つのレベルから次のレベルへと直感的に向かうことができる。
【0012】
この目的のために、好ましくは、表示部上の視覚的および/または聴覚的要素をテキストによって説明するための手段が設けられる。これは特に、メニューナビゲーションをまれにしか操作しないユーザ、または初心者の助けとなる。このようにして、視覚的要素と関連付けられた機能は容易に学習され得る。テキストは移動局の操作についての付加的な助けを示す。
【0013】
本発明のさらなる有利な変形において、視覚的および/または聴覚的要素をテキストによって説明するための手段は、対応するメニュー項目が選択されたときのみ応答する。この方策は、各メニュー項目のテキストが連続的に表示されることを回避する。
【0014】
表示部が接触を感知する制御部として設計されると、本発明の移動局の好ましい実施例となり、メニュー項目の視覚的要素が触れられると、その都度そのメニュー項目が選択される。このような接触感知式の表示部は「タッチスクリーン」と呼ばれる。このような制御部によって、従来のキーボードが全く不要となることすらあり得る。キーもまた、接触感知式の表示部に視覚的要素として表示され得る。
【0015】
ナビゲーション要素が制御部として与えられると、有利な代替が得られる。現在のところ、接触感知式の表示部を有する移動局のコストがかなり高いかもしれないので、コストを理由に、個別のメニュー項目を操作するための他のナビゲーション機器が近い将来においては好まれるであろう。好ましくは、ナビゲーション要素は制御ピンまたはタッチパッドとして設計され得る。
【0016】
視覚的要素をユーザにとってさらに区別しやすく表示するために、視覚的要素はカラーで与えられる。
【0017】
メニュー項目の視覚的要素が予め固定的に定められていることは、その統一性に有利な局面となる。視覚的要素はさらなる変更ができないので同じ形式で各ユーザに示される。
【0018】
しかしながら、しばしば、いずれか1つの視覚的要素を個別的にユーザに対応させなければならないことも起こり得る。したがって、予め固定的に定められた視覚的要素の他に、さらにいくつかの視覚的要素が個別的に設定できると、本発明の有利かつ柔軟性のある変形となる。
【0019】
表示部に少なくとも2つのメニュー項目、または対応する視覚的要素を常に表示しておく手段が設けられると、メニュー全体が向上され得る。しかしながら、この点においては、視覚的要素のために必要となる表示部のサイズおよび解像度が考慮されるべきである。
【0020】
中央コンピュータと恒常的な通信を維持しなければならない状態を避けるために、視覚的要素がバッファされるキャッシュを設けると、本発明の有利な変形となる。これにより、バッファで入手できない視覚的要素のみが再読込みされればよいこととなる。バッファはダイナミックメモリまたはスタティックメモリであり得る。
【0021】
メニュー項目の視覚的および/または聴覚的要素の、テキストによる説明が、移動体電気通信網の中央コンピュータ装置に格納され、それぞれのデータが、移動局によって中央コンピュータ装置から移動局へ送信されて移動局の表示部に表示されると、本発明の方法の有利な実施例が得られる。このようにして、移動局の記憶領域は、中央コンピュータへのデータ転送のために負荷を受けすぎることがなくなる。
【0022】
移動局の表示部上の視覚的要素として少なくとも2つのメニュー項目が用いられることによって、移動局のユーザにとっての明確さが向上する。
【0023】
有利なことに、さらに本発明の方法によって、メニューの視覚的要素が移動局のキャッシュにバッファされる。これにより、移動局の記憶領域が節約でき、したがって移動局のサイズが低減され得る。
【0024】
さらなる利点は、従属請求項の主題から生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
好ましい実施例
図1を参照すると、符号10は本発明の移動局を表わす。移動局10は、従来の必要な技術的装置の他に、ハウジング16に収容されるキーボード12および表示部14を含む。キーボードは数字キー18および特殊記号キー20からなる。しかし、キー18および20は、追加的な他の機能に割当てられ得る。さらに、移動局は、ハウジング内にマイクロフォン22およびスピーカ24を有する。表示部には、異なる視覚的要素26が行列状に示される。制御ピン28を動かすことによって所望の視覚的要素26が選択され得る。本実施例においては、視覚的要素26の中から絵柄要素「スポーツ」28が選択されている。
【0026】
本発明の移動局のユーザは、本例では「スポーツ」というテキストが書かれている、テキストフィールド30によって所望の選択を認識する。各視覚的要素26は1つの固有のメニュー項目と関連付けられる。たとえば、図示される表示部には、「検索、発信(cont
act)、音楽、メール、ゲーム、地図および交通」の視覚的要素26が示される。メニュー項目は各レベルで固有の視覚的要素26を有する。しかし、視覚的要素26の個数はレベルによって異なり得る。
【0027】
視覚的要素26を選択することでメニュー項目を検索することにより、メニュー選択の次のレベルに到達する。ここでもまた、視覚的要素がメニュー項目として現れる。
【0028】
図2においてさらに、本発明の移動局10が図示される。したがって、対応する要素は、前掲の図1と同じ参照符号をもって表わされる。図1の実施例と比較して、図2の移動局10はキー12および制御ピン28を有しない。その代わり、移動局10は接触感知式の表示部32を有する。このような接触感知式の表示部32は「タッチスクリーン」とも呼ばれる。基本的に、タッチスクリーン32は制御ピン28と同様に動作する。しかし、視覚的要素26の選択は、表示部32上の対応する要素26に触れることによって行われる。
【0029】
タッチスクリーン32を用いることにより、他の実施例で用いられるようなキーボードはなくても済む。キーボード12は、タッチスクリーン32における対応する記号によって模擬される。このようにして、所望であれば、表示部32の全体が表示部として利用され得る。キーボードの模擬は、キーが必要とされる場合のみ必要となる。
【0030】
図3は、移動局10のさらなる実施例を示す。対応する要素は、前掲の実施例と同じく、同じ参照符号で表わされる。しかし、この実施例においては、今回はいわゆるタッチパッド34がナビゲーション要素として採用される。タッチパッド34は接触感知式の面であり、触れることによって個別のメニュー項目が選択され得る。その接触がタッチパッドの表面のどの位置で起こるかに依存して、対応するメニュー項目が選択される。
【0031】
図4は、移動体電気通信網36を示す基本的な概略図である。移動体電気通信網は、送受信マスト38および移動局10a−10dによって表される。移動局は、前掲の図を参照して説明されたタイプのものである。移動体電気通信網36は中央コンピュータ40を有する。各メニュー項目のためのすべての視覚的要素26は中央コンピュータ40に格納される。移動局10がメニューを問い合わせると、このメニュー項目に対応する視覚的要素28が中央コンピュータ40から送信される。このようにすると、移動局は視覚的要素26を長期間格納しておく必要がない。要素は、移動局10の、図示されていないキャッシュに短期間バッファされるのみである。この方法によって、移動局10のリソースが経済的に用いられるだけでなく、視覚的要素26も最大限に標準化される。これにより、移動局のユーザのための視覚的要素26についての非常に高い認知度が実現できる。ユーザは知らないメニューの中で迷わなくてすむ。
【0032】
図5において、たとえば、選択メニュー42の多様なレベルE0,E1,E2およびE3が図示される。長方形44の各々は視覚的要素26であり、その固有のメニュー項目を示す。各レベルE0,E1,E2およびE3の、斜線を施した長方形46は、それぞれ選択されたメニュー項目である。この方法で、ユーザが次のレベルに行くために、あるレベルのすべてのメニュー項目を見なければならない状態をさらに回避することができる。そのために当然、従来の方法よりも著しく迅速に、所望のメニュー項目に到達し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】制御ピンを用いる本発明の移動局の第1の実施例の詳細を示す、基本的な概略図である。
【図2】タッチスクリーンを用いる本発明の移動局の第2の実施例の詳細を示す、基本的な概略図である。
【図3】タッチパッドを用いる本発明の移動局の第2の実施例の詳細を示す、基本的な概略図である。
【図4】本発明の移動局を用いる移動体電気通信網を示す、基本的な概略図である。
【図5】本発明の移動局のためのメニュー選択の多様なレベルを示す、基本的な概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体電気通信網(36)のための、特にGSM規格またはUMTS規格に従う移動局(10)であって、移動体電気通信網(36)は中央コンピュータ装置(40)を有し、移動局(10)は、
(a)受信部および送信部と、
(b)メニュー項目を伴う階層的メニューナビゲーションを有する表示部(14)と、
(c)移動局(10)を操作するメニュー項目を選択するための制御部(28)と、
(d)表示部(14)にメニュー項目を表示するための手段とを含み、さらに、
(e)メニュー項目のための視覚的および/または聴覚的要素(26)を移動体電気通信網(36)のコンピュータ装置(40)から集中的に検索し、表示するための手段によって特徴付けられる、移動局(10)。
【請求項2】
各メニュー項目は、視覚的および/または聴覚的要素(26)によって表わされることを特徴とする、請求項1に記載の移動局(10)。
【請求項3】
表示部(14)上の視覚的および/または聴覚的要素(26)をテキスト(30)によって説明するために手段が設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の移動局(10)。
【請求項4】
視覚的および/または聴覚的要素(26)をテキスト(30)によって説明するための手段は、対応するメニュー項目が選択されたときのみ応答することを特徴とする、請求項3に記載の移動局(10)。
【請求項5】
表示部(14)は、接触を感知する制御部(32)として設計され、メニュー項目の視覚的要素(26)が触れられると、その都度メニュー項目が選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の移動局(10)。
【請求項6】
ナビゲーション要素(28,34)は制御部として設けられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の移動局(10)。
【請求項7】
ナビゲーション要素は、制御ピン(28)またはタッチパッド(34)として設けられることを特徴とする、請求項6に記載の移動局(10)。
【請求項8】
視覚的要素(26)はカラーで与えられることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の移動局(10)。
【請求項9】
メニュー項目の視覚的要素(26)は予め固定的に定められることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の移動局(10)。
【請求項10】
視覚的要素(26)は調整可能であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の移動局(10)。
【請求項11】
少なくとも2つの視覚的要素(26)を表示するための手段が設けられることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の移動局(10)。
【請求項12】
視覚的要素(26)がバッファされるキャッシュが設けられることを特徴とする、前掲の請求項のいずれか1項に記載の移動局(10)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の移動局(10)のための方法であって、メニ
ュー項目の視覚的および/または聴覚的要素のためのデータは移動体電気通信網(36)の中央コンピュータ装置(40)に格納され、これらのデータは、それぞれのメニュー項目が検索されると中央コンピュータ装置によって移動局(10)へ送信されて移動局の表示部(14)に表示されることを特徴とする、方法。
【請求項14】
メニュー項目の視覚的および/または聴覚的要素(26)の、テキストによる説明が、移動体電気通信網(36)の中央コンピュータ装置(40)に格納され、それぞれのデータが移動局(10)によって中央コンピュータ装置(40)から移動局(10)へ送信されて移動局(10)の表示部(14)に表示されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つのメニュー項目は、移動局(10)の表示部(14)上に視覚的要素(26)として表示されることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
メニューの視覚的要素(26)は移動局(10)のキャッシュにバッファされることを特徴とする、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−505156(P2006−505156A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545927(P2004−545927)
【出願日】平成15年10月22日(2003.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011668
【国際公開番号】WO2004/039087
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505152273)ボーダフォン・ホールディング・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (4)
【氏名又は名称原語表記】VODAFONE HOLDING GMBH
【Fターム(参考)】