説明

記憶装置およびDLL回路制御方法

【課題】セルフリフレッシュ動作後にDLL回路がロック動作を実行しない状況での記憶装置の評価を行うことが可能な記憶装置を提供する。
【解決手段】通常モードとテストモードとを有しセルフリフレッシュ動作を行う記憶装置は、DLL回路と制御部とを含む。DLL回路は、入力信号を受け付けると入力信号を遅延した遅延信号を出力し、また、入力信号と遅延信号との位相差が所定値になるように遅延信号の遅延量を設定するロック動作を行い、その後、位相差が所定値である状態を維持する。制御部は、通常モード下でセルフリフレッシュ動作が実行された後には、DLL回路にロック動作を実行させ、テストモード下でセルフリフレッシュ動作が実行された後には、DLL回路にロック動作を実行させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置およびDLL(Delay Line Loop)回路制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および2には、内部クロックを外部クロックに同期させるためにDLL回路が搭載された半導体装置が記載されている。また、DLL回路が搭載されたDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の記憶装置も知られている。
【0003】
DLL回路は、外部クロックよりも所定の位相(例えば、1サイクル)遅れた内部クロックを生成する。
【0004】
DRAM内のDLL回路は、DRAMのセルフリフレッシュ動作に応じて初期化され、セルフリフレッシュ動作後に、内部クロックが外部クロックよりも所定の位相(例えば、1サイクル)だけ遅れた状態になるように、内部クロックの出力タイミングを制御する動作(以下「ロック動作」と称する)を行う。なお、セルフリフレッシュ動作は、DRAM内のメモリセルに記憶されているデータを読み出した後、読み出されたデータを元のメモリセルに再格納する動作である。
【0005】
図3は、DLL回路1Aが搭載された記憶装置(以下では「DRAM」とする)100を示したブロック図である。
【0006】
図3において、記憶装置100は、DLL回路1Aと、消費電流制御回路17と、初期化回路18と、を含む。DLL回路1Aは、入力回路11と、可変遅延回路12と、レプリカ13と、位相検出器14Rおよび14Fと、Rise制御回路15Rと、Fall制御回路15Fと、Riseカウンタ16Rと、Fallカウンタ16Fと、を含む。可変遅延回路12は、立ち上がり用ディレイライン(以下、単に「ディレイライン」とも称する)12aと、立ち下がり用ディレイライン(以下、単に「ディレイライン」とも称する)12bと、を含む。
【0007】
なお、図3では、入力回路を「IN」と示し、レプリカを「Replica」と示し、位相検出器を「Phase Detector」と示し、Rise制御回路を「Rise Controller」と示し、Fall制御回路を「Fall Controller」と示し、Riseカウンタを「Rise Counter」と示し、Fallカウンタを「Fall Counter」と示し、消費電流制御回路を「Power Controller」と示し、初期化回路を「Reset Controller」と示し、立ち上がり用ディレイラインを「Rise Delay Line」と示し、立ち下がり用ディレイラインを「Fall Delay Line」と示してある。
【0008】
DLL回路1Aは、入力信号である外部クロックCKおよびCKBを受け付けると、外部クロックCKを遅延した遅延信号CK−2を出力する。また、DLL回路1Aは、外部クロックCKと遅延信号CK−2との位相差が所定値(以下では、1サイクル)になるように、遅延信号CK−2の遅延量を設定するロック動作を行う。DLL回路1Aは、ロック動作を行った後、外部クロックCKと遅延信号CK−2との位相差が所定値(1サイクル)である状態を維持する。
【0009】
入力回路11は、相補関係にある外部クロックCKおよびCKBを入力する。外部クロックCKと外部クロックCKBは相補関係にあるため、外部クロックCKBは、外部クロックCKの波形を反転した波形を有する。
【0010】
入力回路11は、外部クロックCKと同相のクロックCK−1をシングルエンドで可変遅延回路12に出力する。
【0011】
可変遅延回路12は、ディレイライン12aおよび12bを含む。ディレイライン12aおよび12bのそれぞれは、連続して連なる遅延素子(Delay Line)を含む。
【0012】
可変遅延回路12は、Riseカウンタ16Rのカウント値に基づいて、ディレイライン12aの遅延量を決定する。また、可変遅延回路12は、Fallカウンタ16Fのカウント値に基づいて、ディレイライン12bの遅延量を決定する。
【0013】
なお、ディレイライン12aおよび12bの遅延量を決定する動作は公知技術であるため、ディレイライン12aおよび12bの遅延量を決定する動作の説明は省略する。
【0014】
可変遅延回路12は、ディレイライン12aおよび12bを用いてクロックCK−1を遅延した遅延信号CK−2を、出力端子DQに出力する。例えば、可変遅延回路12は、ディレイライン12aからの出力とディレイライン12bからの出力とに基づいて遅延信号CK−2を生成する論理回路を有し、この論理回路の出力つまり遅延信号CK−2を出力端子DQに出力する。
【0015】
遅延信号CK−2の立ち上がりエッジの位相は、クロックCK−1の立ち上がりエッジの位相を、ディレイライン12aの遅延量だけ遅延した位相となる。また、遅延信号CK−2の立ち下がりエッジの位相は、クロックCK−1の立ち下がりエッジの位相を、ディレイライン12bの遅延量だけ遅延した位相となる。
【0016】
出力端子DQに出力された遅延信号CK−2は、例えば、記憶装置100の内部クロックとして用いられる。
【0017】
レプリカ13は、レプリカ回路とも称され、可変遅延回路12から出力端子DQまでの実際の信号ルート(以下、単に「信号ルート」と称する)による遅延量と等価の遅延量を有する回路である。
【0018】
レプリカ13は、遅延信号CK−2を信号ルートによる遅延量だけ遅延したクロックRCLKを、位相検出器14Rに出力する。クロックRCLKは、外部クロックCKに同相のクロックとなる。
【0019】
また、レプリカ13は、クロックRCLKの波形を反転したクロックFCLKを、位相検出器14Fに出力する。クロックFCLKは、外部クロックCKBに同相のクロックとなる。
【0020】
位相検出器14Rは、外部クロックCKと、レプリカ13からのクロックRCLK(外部クロックCKと同相)と、のそれぞれの立ち上がりエッジの位相を比較する。位相検出器14Rは、位相の比較結果をRise制御回路15Rに出力する。
【0021】
Rise制御回路15Rは、位相検出器14Rから位相の比較結果を受け付けると、位相検出器14Rからの位相の比較結果に応じてRiseカウンタ16Rにアップ信号またはダウン信号を出力する。
【0022】
具体的には、Rise制御回路15Rは、位相検出器14Rからの位相の比較結果が、クロックRCLKの立ち上がりエッジの位相が外部クロックCKの立ち上がりエッジの位相よりも遅れていることを表す場合、クロックRCLKの立ち上がりエッジの位相を進めるように、Riseカウンタ16Rのカウント値を制御する。
【0023】
また、Rise制御回路15Rは、位相検出器14Rからの位相の比較結果が、クロックRCLKの立ち上がりエッジの位相が外部クロックCKの立ち上がりエッジの位相よりも進んでいる場合、クロックRCLKの立ち上がりエッジの位相を遅らせるように、Riseカウンタ16Rのカウント値を制御する。
【0024】
Riseカウンタ16Rは、アップ信号を受け付けるとカウント値をアップし、ダウン信号を受け付けるとカウント値をダウンする。
【0025】
位相検出器14Fは、外部クロックCKBと、レプリカ13からのクロックFCLK(外部クロックCKBと同相)と、のそれぞれの立ち上がりエッジの位相を比較する。位相検出器14Fは、位相の比較結果をFall制御回路15Fに出力する。
【0026】
Fall制御回路15Fは、位相検出器14Fからの位相の比較結果を受け付けると、位相検出器14Fからの位相の比較結果に応じてFallカウンタ16Fにアップ信号またはダウン信号を出力する。
【0027】
具体的には、Fall制御回路15Fは、位相検出器14Fからの位相の比較結果が、クロックFCLKの立ち上がりエッジの位相が外部クロックCKBの立ち上がりエッジの位相よりも遅れていることを表す場合、クロックFCLKの立ち上がりエッジの位相を進めるように、Fallカウンタ16Fのカウント動作を制御する。
【0028】
また、Fall制御回路15Fは、位相検出器14Fからの位相の比較結果が、クロックFCLKの立ち上がりエッジの位相が外部クロックCKBの立ち上がりエッジの位相よりも進んでいる場合、クロックFCLKの立ち上がりエッジの位相を遅らせるように、Fallカウンタ16Fのカウント動作を制御する。
【0029】
Fallカウンタ16Fは、アップ信号を受け付けるとカウント値をアップし、ダウン信号を受け付けるとカウント値をダウンする。
【0030】
消費電流制御回路17は、DLL回路1Aの消費電流を制御する。
【0031】
消費電流制御回路17は、DRAMの仕様で定められた条件下において、パワーダウンの対象となるDLL回路内の各回路に対し停止命令を発行する。DLL回路1A内の各回路は、停止命令を受け付けると、パワーダウンモードに移行する。なお、DLL回路1A内の各回路は、パワーダウンモードになると、低消費電力状態になり、遅延信号CK−2の出力を停止する。
【0032】
初期化回路18は、DLL回路1Aを初期化する。初期化回路18は、記憶装置(DRAM100でのセルフリフレッシュ動作中に発行され続けるSRF(セルフリフレッシュ)信号を受け付けている間は、初期化信号をDLL回路1Aに発行し続ける。SRF信号は、セルフリフレッシュ動作の実行を意味する信号である。
【0033】
DLL回路1AがSRF信号を受け付けている間、Riseカウンタ16RおよびFallカウンタ16Fは初期化され続ける。Riseカウンタ16RおよびFallカウンタ16Fは初期化されると、Riseカウンタ16Rのカウント値およびFallカウンタ16Fのカウント値がデフォルト(初期値)になる。
【0034】
なお、初期化回路18は、セルフリフレッシュ動作時以外にも、デバイスの起動時、または、DRAMの仕様で定められた条件下において、DLL回路1Aに初期化信号を発行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】特開平8−167890号公報
【特許文献2】特開2006−226732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
上述したDRAM内のDLL回路は、セルフリフレッシュ動作に応じて初期化され、セルフリフレッシュ動作後にロック動作を行う。なお、ロック動作は、DLL回路が初期化された後に、遅延信号CK−2が外部クロックCKよりも所定の位相(例えば、1サイクル)だけ遅れた状態になるように、遅延信号CK−2の出力タイミングを制御する動作である。
【0037】
このため、上述したDLL回路を有するDRAM(記憶装置)では、セルフリフレッシュ動作後にDLL回路がロック動作を実行しない状況でのDRAM(記憶装置)の評価を行うことができないという問題があることを本願発明者は明らかにした。
【0038】
例えば、ロック動作を実施するDLL回路と、セルフリフレッシュ動作中に動作するリフレッシュ回路と、のそれぞれの動作を切り分けて評価することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明の記憶装置は、通常モードとテストモードとを有しセルフリフレッシュ動作を行う記憶装置であって、入力信号を受け付けると当該入力信号を遅延した遅延信号を出力し、また、前記入力信号と前記遅延信号との位相差が所定値になるように前記遅延信号の遅延量を設定するロック動作を行い、その後、前記位相差が前記所定値である状態を維持するDLL回路と、前記通常モード下で前記セルフリフレッシュ動作が実行された後には、前記DLL回路に前記ロック動作を実行させ、前記テストモード下で前記セルフリフレッシュ動作が実行された後には、前記DLL回路に前記ロック動作を実行させない制御部と、を含む。
【0040】
本発明のDLL回路制御方法は、入力信号を受け付けると当該入力信号を遅延した遅延信号を出力し前記入力信号と前記遅延信号との位相差が所定値になるように前記遅延信号の遅延量を設定するロック動作を行いその後前記位相差が前記所定値である状態を維持するDLL回路を含み、通常モードとテストモードとを有しセルフリフレッシュ動作を行う記憶装置でのDLL回路制御方法であって、前記通常モード下で前記セルフリフレッシュ動作が実行された後には、前記DLL回路に前記ロック動作を実行させ、前記テストモード下で前記セルフリフレッシュ動作が実行された後には、前記DLL回路に前記ロック動作を実行させない制御ステップを含む。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、制御部は、通常モード下で前記セルフリフレッシュ動作が実行された後には、DLL回路にロック動作を実行させ、テストモード下でセルフリフレッシュ動作が実行された後には、DLL回路にロック動作を実行させない。
【0042】
このため、テストモード下では、セルフリフレッシュ動作後にDLL回路によるロック動作が実行されなくなる。よって、セルフリフレッシュ動作後にDLL回路がロック動作を実行しない状況での記憶装置(例えば、DRAM)の評価を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態を示したブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示したブロック図である。
【図3】関連技術のDLL回路を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0045】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の記憶装置1を示したブロック図である。なお、図1において、図3に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0046】
図1に示した記憶装置1と、図3に示した記憶装置100と、の相違点は、記憶装置1が、セレクタ19を含む点である。
【0047】
以下、図1に示した記憶装置1について、図3に示した記憶装置100と異なる点を中心に説明する。
【0048】
図1において、記憶装置1は、例えば、DRAMを有する半導体記憶装置であり、DLL回路1Aと、制御部1Bと、を含む。
【0049】
記憶装置1は、通常モードとテストモードとを有する。また、記憶装置1は、セルフリフレッシュ動作を実行する。
【0050】
DLL回路1Aは、入力信号である外部クロックCKおよびCKBを受け付けると、外部クロックCKおよびCKBと所定の位相関係を有する遅延信号CK−2を出力する。なお、DLL回路1Aの詳細な動作は、既に図3を参照して説明してあるので、ここでは割愛する。
【0051】
制御部1Bは、消費電流制御回路17と、初期化回路18と、セレクタ19と、を含む。
【0052】
制御部1Bは、通常モード下でセルフリフレッシュ動作が実行された後には、DLL回路1Aにロック動作を実行させ、テストモード下でセルフリフレッシュ動作が実行された後には、DLL回路1Aにロック動作を実行させない。
【0053】
本実施形態では、制御部1Bは、通常モード下でSRF信号を受け付けている間は、DLL回路1A(具体的には、Riseカウンタ16RおよびFallカウンタ16F)を初期化し続ける。制御部1Bは、テストモード下でSRF信号を受け付けている間は、DLL回路1A(具体的には、Riseカウンタ16RおよびFallカウンタ16F)を初期化せず、かつ、Rise制御回路15RがRiseカウンタ16Rのカウント値(調整値)を変更することを禁止し、かつ、Fall制御回路15FがFallカウンタ16Fのカウント値(調整値)を変更することを禁止する。
【0054】
なお、Rise制御回路15Rは、Riseカウンタ16Rのカウント値の初期化が終了すると、位相検出器14Rにて検出された位相差が所定値(1サイクル)になるように、Riseカウンタ16Rのカウント値を再設定する。
【0055】
また、Fall制御回路15Fは、Fallカウンタ16Fのカウント値の初期化が終了すると、位相検出器14Fにて検出された位相差が所定値(1サイクル)になるように、Fallカウンタ16Fのカウント値を再設定する。
【0056】
つまり、本実施形態では、カウンタ16Rおよび16Fのカウント値の初期化が終了すると、制御回路15Rおよび15Fが、ロック動作を再び実行する。
【0057】
セレクタ19は、記憶装置1がテストモードであるか通常モードであるかを示すTest Mode(テストモード)信号を受け付ける。本実施形態では、Test Mode信号=“L”が通常モードを示し、Test Mode信号=“H”がテストモードを示す。
【0058】
セレクタ19は、Test Mode信号が通常モードを示す状況でSRF信号を受け付けた場合には、SRF信号を初期化回路18に出力する。初期化回路18は、SRF信号を受け付けると、DLL回路1Aを初期化する。
【0059】
セレクタ19は、Test Mode信号がテストモードを示す状況でSRF信号を受け付けた場合には、SRF信号を初期化回路18に出力せずにSRF信号を消費電流制御回路17に出力する。
【0060】
消費電流制御回路17は、SRF信号を受け付けると、DLL回路1A内の各回路に停止指令を発行する。
【0061】
DLL回路1A内の各回路は、停止命令を受け付けると、パワーダウンモードに移行する。DLL回路1A内の各回路は、パワーダウンモードになると、例えば、入力された信号は受け付けるが、出力信号は発生しない低消費電力状態になる。
【0062】
このように、本実施形態による記憶装置1は、通常モードとテストモードとを有しセルフリフレッシュ動作を行う記憶装置であって、入力信号を受け付けると入力信号を遅延した遅延信号を出力し、また、入力信号と遅延信号との位相差が所定値になるように遅延信号の遅延量を設定するロック動作を行い、その後、位相差が所定値である状態を維持するDLL回路1Aと、通常モード下でセルフリフレッシュ動作が実行された後には、DLL回路1Aにロック動作を実行させ、テストモード下でセルフリフレッシュ動作が実行された後には、DLL回路1Aにロック動作を実行させない制御部1Bと、を含む。
【0063】
また、本実施形態による記憶装置1では、DLL回路1Aは、遅延信号の遅延量を調整するための調整値を保持するカウンタ16Rおよび16Fと、入力信号と遅延信号との位相差を検出する位相検出器14Rおよび14Fと、位相検出器14Rおよび14Fにて検出された位相差が所定値になるように、カウンタ16Rおよび16F内の調整値を設定する制御回路15Rおよび15Fと、カウンタ16Rおよび16F内の調整値に基づいて遅延信号の遅延量を制御する可変遅延回路12と、を含み、制御部1Bは、セルフリフレッシュ動作の実行を意味するSRF(セルフリフレッシュ)信号を通常モード下で受け付けている間は、カウンタ16Rおよび16F内の調整値を初期化し続け、テストモード下でSRF信号を受け付けている間は、制御回路15Rおよび15Fがカウンタ16Rおよび16F内の調整値を変更することを禁止し、制御回路15Rおよび15Fは、カウンタ16Rおよび16F内の調整値の初期化が終了すると、位相検出器14Rおよび14Fにて検出された位相差が所定値になるように、カウンタ16Rおよび16F内の調整値を再設定する。
【0064】
次に、動作を説明する。
【0065】
セレクタ19は、Test Mode信号が通常モードを示す状況でSRF信号を受け付けた場合には、そのSRF信号を初期化回路18に出力する。初期化回路18は、SRF信号を受け付けると、DLL回路1Aを初期化する。
【0066】
このため、通常モード下でセルフリフレッシュ動作が実行されると、DLL回路1Aは初期化され、セルフリフレッシュ動作が終了すると、DLL回路1Aは、ロック動作を実行する。ロック動作は、DLL回路1Aは初期化されセルフリフレッシュ動作が終了した後に、遅延信号CK−2が外部クロックCKよりも所定の位相(例えば、1サイクル)だけ遅れた状態になるように、遅延信号CK−2の出力タイミングを制御する動作である。
【0067】
本実施形態では、DLL回路1Aがロック動作を行うことによって、遅延信号CK−2が外部クロックCKよりも1サイクルだけ遅れた状態になる。さらに言えば、DLL回路1Aがロック動作を行うことによって、クロックRCLKが外部クロックCKよりも1サイクルだけ遅れた状態になり、かつ、クロックFCLKが外部クロックCKBよりも1サイクルだけ遅れた状態になる。
【0068】
一方、セレクタ19は、Test Mode信号がテストモードを示す状況でSRF信号を受け付けた場合には、そのSRF信号を初期化回路18に出力せずに消費電流制御回路17に出力する。
【0069】
消費電流制御回路17は、SRF信号を受け付けると、DLL回路1Aの各回路に対し停止命令を発行する。DLL回路1A内の各回路は、停止命令を受け付けると、パワーダウンモードに移行する。
【0070】
このため、テストモード下でセルフリフレッシュ動作が実行されると、DLL回路1Aは初期化されず、よって、DLL回路1Aは、セルフリフレッシュ実行後にロック動作を行わない。また、セルフリフレッシュ動作時にDLL回路1Aにて消費される電流が、消費電流制御回路17によって減らされる。
【0071】
本実施形態によれば、制御部1Bは、通常モード下でセルフリフレッシュ動作が実行された後には、DLL回路1Aにロック動作を実行させ、テストモード下でセルフリフレッシュ動作が実行された後には、DLL回路1Aにロック動作を実行させない。
【0072】
このため、テストモードでは、セルフリフレッシュ動作後のDLL回路1Aによるロック動作が実行されなくなる。よって、セルフリフレッシュ動作後にDLL回路1Aがロック動作を実行しない状況での記憶装置(例えば、DRAM)の評価を行うことが可能になる。
【0073】
また、本実施形態では、制御部1Bは、SRF信号を通常モード下で受け付けている間は、カウンタ16Rおよび16F内のカウント値を初期化し続け、テストモード下でSRF信号を受け付けている間は、制御回路15Rおよび15Fがカウンタ16Rおよび16F内のカウント値を変更することを禁止する。制御回路15Rおよび15Fは、カウンタ16Rおよび16F内のカウント値の初期化が終了すると、位相検出器14Rおよび14Fにて検出された位相差が所定値になるように、カウンタ16Rおよび16F内のカウント値を再設定する。
【0074】
このため、SRF信号を利用して、カウンタ16Rおよび16F内のカウント値の初期化のタイミング、および、ロック動作のタイミングを決定することが可能になる。
【0075】
なお、記憶装置1がテストコードを入力可能であれば、動作モードが通常モードかテストモードかを示すテストコードが、Test Mode信号として用いられてもよい。
【0076】
また、記憶装置1がテストコードを入力できない場合には、例えば、Fuse(ヒューズ)などのスイッチを用いることによって、動作モードが通常モードかテストモードかを示すTest Mode信号が生成されてもよい。
【0077】
なお、Fuseを用いて動作モードを切り換える場合、動作モードを一度切り換えると、動作モードを元の状態に戻すことはできない。このため、Test Mode信号としては、テストコードが用いられることが望ましい。
【0078】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、セルフリフレッシュ動作中に外部クロックCKおよびCKBが停止する場合でも、テストモード下でセルフリフレッシュ動作中にDLL回路1Aを初期化することを防止してDLL回路1Aのロック動作を禁止する記憶装置に関する。なお、セルフリフレッシュ動作中に外部クロックを停止する技術に関しては、GDDR5(Graphics Double Data Rate version 5)にて仕様化されている。
【0079】
図2は、第2実施形態の記憶装置10を示したブロック図である。なお、図2において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0080】
第2実施形態の記憶装置10は、第1実施形態の記憶装置1が有するセレクタ19の代わりにセレクタ19aを含む。セレクタ19aと、消費電流制御回路17と、初期化回路18とは、制御部1B1に含まれる。また、外部クロックCKおよびCKBは、セルフリフレッシュ動作の間、停止する。
【0081】
第2実施形態の記憶装置10では、テストモード下でのセルフリフレッシュ動作中にセレクタ19aから出力されるSFR信号が、消費電流制御回路17だけでなく、Rise制御回路15RおよびFall制御回路15Fにも入力される点が、第1実施形態の記憶装置1と異なる。
【0082】
制御部1B1は、通常モード下でSFR信号を受け付けている間、DLL回路1A(具体的には、Riseカウンタ16RおよびFallカウンタ16F)を初期化する。
【0083】
制御部1B1は、テストモード下でSRF信号を受け付けている間、DLL回路1Aを初期化せずに、DLL回路1A内のRiseカウンタ16RおよびFallカウンタ16Fのそれぞれのカウント値が変更されることを禁止する。
【0084】
また、制御部1B1は、テストモード下でSRF信号を受け付けている間、さらに、Rise制御回路15Rが位相検出器14Rでの位相の比較結果を受け付けることを禁止すると共に、Fall制御回路15Fが位相検出器14Fでの位相の比較結果を受け付けることを禁止する。
【0085】
セレクタ19aは、Test Mode信号が通常モードを示す状況でSRF信号を受け付けている間は、そのSRF信号を初期化回路18に出力する。初期化回路18は、SRF信号を受け付けると、DLL回路1A(具体的には、Riseカウンタ16RおよびFallカウンタ16F)を初期化する。
【0086】
セレクタ19aは、Test Mode信号がテストモードを示す状況でSRF信号を受け付けている間は、そのSRF信号を、初期化回路18に出力せずに、消費電流制御回路17とRise制御回路15RとFall制御回路15Fとに出力する。
【0087】
消費電流制御回路17は、SRF信号を受け付けると、DLL回路1A内の各回路に停止指令を発行して、DLL回路1A内の各回路をパワーダウンモードに設定する。
【0088】
Rise制御回路15Rは、SRF信号を受け付けると、位相検出器14Rでの位相の比較結果を受け付けることを中止する。
【0089】
Fall制御回路15Fは、SRF信号を受け付けると、位相検出器14Fでの位相の比較結果を受け付けることを中止する。
【0090】
このように、本実施形態による記憶装置10では、入力信号である外部クロックCKおよびCKBは、セルフリフレッシュ動作が実行されている間、DLL回路1Aへの入力が停止されるものである。
【0091】
本実施形態によれば、第1実施形態の記憶装置1が奏する効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0092】
本実施形態では、入力信号である外部クロックCKおよびCKBは、セルフリフレッシュ動作が実行されている間、DLL回路1Aへの入力が停止される場合にも、セルフリフレッシュ動作後にDLL回路1Aがロック動作を実行しない状況での記憶装置(例えば、DRAM)の評価を行うことが可能になる。
【0093】
なお、上記各実施形態では、DLL回路1Aは、テストモード下のセルフリフレッシュ動作後にロック動作を行わない。このため、例えば、セルフリフレッシュ動作中の温度変動によって、セルフリフレッシュ後の遅延信号CK−2と外部クロックCKとの位相差が所定の位相と異なってしまう可能性がある。よって、上記各実施形態において、セルフリフレッシュ動作中の温度変動に起因する遅延信号CK−2と外部クロックCKとの位相差の乱れを少なくするために、例えば、テストモード下で評価されるDLL回路1Aの温度、さらに言えば、DLL回路1Aを含む記憶装置の温度が、テストモードでの評価の期間、一定に維持されてもよい。
【0094】
なお、上記各実施形態において、DLL回路1Aは、図1に示したものに限らず適宜変更可能である。
【0095】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0096】
1、10 記憶装置
1A DLL回路
1B、1B1 制御部
11 入力回路
12 可変遅延回路
12a 立ち上がり用ディレイライン
12b 立ち下がり用ディレイライン
13 レプリカ
14R、14F 位相検出器
15R Rise制御回路
15F Fall制御回路
16R Riseカウンタ
16F Fallカウンタ
17 消費電流制御回路
18 初期化回路
19、19a セレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常モードとテストモードとを有しセルフリフレッシュ動作を行う記憶装置であって、
入力信号を受け付けると当該入力信号を遅延した遅延信号を出力し、また、前記入力信号と前記遅延信号との位相差が所定値になるように前記遅延信号の遅延量を設定するロック動作を行い、その後、前記位相差が前記所定値である状態を維持するDLL回路と、
前記通常モード下で前記セルフリフレッシュ動作が実行された後には、前記DLL回路に前記ロック動作を実行させ、前記テストモード下で前記セルフリフレッシュ動作が実行された後には、前記DLL回路に前記ロック動作を実行させない制御部と、を含む記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記憶装置において、
前記DLL回路は、
前記遅延信号の遅延量を調整するための調整値を保持するカウンタと、
前記入力信号と前記遅延信号との位相差を検出する位相検出器と、
前記位相検出器にて検出された位相差が前記所定値になるように、前記カウンタ内の調整値を設定する制御回路と、
前記カウンタ内の調整値に基づいて前記遅延信号の遅延量を制御する可変遅延回路と、を含み、
前記制御部は、前記セルフリフレッシュ動作の実行を意味するセルフリフレッシュ信号を前記通常モード下で受け付けている間は、前記カウンタ内の調整値を初期化し続け、前記テストモード下で前記セルフリフレッシュ信号を受け付けている間は、前記制御回路が前記カウンタ内の調整値を変更することを禁止し、
前記制御回路は、前記カウンタ内の調整値の初期化が終了すると、前記位相検出器にて検出された位相差が前記所定値になるように、前記カウンタ内の調整値を再設定する、記憶装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記憶装置において、
前記入力信号は、前記セルフリフレッシュ動作が実行されている間、前記DLL回路への入力が停止されるものである、記憶装置。
【請求項4】
入力信号を受け付けると当該入力信号を遅延した遅延信号を出力し前記入力信号と前記遅延信号との位相差が所定値になるように前記遅延信号の遅延量を設定するロック動作を行いその後前記位相差が前記所定値である状態を維持するDLL回路を含み、通常モードとテストモードとを有しセルフリフレッシュ動作を行う記憶装置でのDLL回路制御方法であって、
前記通常モード下で前記セルフリフレッシュ動作が実行された後には、前記DLL回路に前記ロック動作を実行させ、前記テストモード下で前記セルフリフレッシュ動作が実行された後には、前記DLL回路に前記ロック動作を実行させない制御ステップを含むDLL回路制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載のDLL回路制御方法において、
前記DLL回路は、
前記遅延信号の遅延量を調整するための調整値を保持するカウンタと、
前記入力信号と前記遅延信号との位相差を検出する位相検出器と、
前記位相検出器にて検出された位相差が前記所定値になるように、前記カウンタ内の調整値を設定する制御回路と、
前記カウンタ内の調整値に基づいて前記遅延信号の遅延量を制御する可変遅延回路と、を含むものであり、
前記制御ステップでは、前記セルフリフレッシュ動作の実行を意味するセルフリフレッシュ信号を前記通常モード下で受け付けている間は、前記カウンタ内の調整値を初期化し続け、前記テストモード下で前記セルフリフレッシュ信号を受け付けている間は、前記制御回路が前記カウンタ内の調整値を変更することを禁止し、前記制御回路が、前記カウンタ内の調整値の初期化が終了すると、前記位相検出器にて検出された位相差が前記所定値になるように、前記カウンタ内の調整値を再設定する、DLL回路制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のDLL回路制御方法において、
前記入力信号は、前記セルフリフレッシュ動作が実行されている間、前記DLL回路への入力が停止されるものである、DLL回路制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−165265(P2011−165265A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26494(P2010−26494)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】