説明

読み出しマージンが改良されたマルチビット磁気ランダムアクセスメモリセル

【課題】読み出しマージンが改良されたマルチビット磁気ランダムアクセスメモリセルを提供する。
【解決手段】第1の磁化方向を有する第1の磁性層21と第2の磁化方向を有する第2の磁性層23との間にトンネル障壁層22を備える磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セルであって、第2の磁化方向が、第1の磁化方向に対して第1の方向から第2の方向に調節可能であり、前記磁気トンネル接合がさらに電気的に接続されるスイッチング抵抗素子62を備え、スイッチング抵抗素子を通してスイッチング電流が流されるときに第1のスイッチング抵抗レベルから第2のスイッチング抵抗レベルに切り換えることができるスイッチング抵抗を有し、それにより、MRAMセルのMRAMセル抵抗が、接合抵抗及びスイッチング抵抗の抵抗レベルに応じて少なくとも4つの異なるセル抵抗レベルを有することができる磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み出しマージンが改良され、マルチビットMRAMセルとして使用することができる、トンネル磁気接合ベースの磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セルに関する。また、本発明は、MRAMセルに複数データビットを書き込む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可変抵抗材料を採用するメモリデバイスには、抵抗性ランダムアクセスメモリ(RRAM)、相変化ランダムアクセルメモリ(PRAM)、強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM)、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)などが含まれる。上に列挙した不揮発性メモリデバイスは、可変抵抗材料の抵抗の変化(RRAM)、非晶質状態と結晶状態を有する相変化材料(PRAM)、異なる極性状態を有する強磁性材料(FRAM)、及び/又は異なる磁化状態を有する強磁性材料の磁気トンネル接合膜(MRAM)に基づいてデータを記憶することができる。
【0003】
磁気トンネル接合が周囲温度で強い磁気抵抗を有することができるので、MRAMに基づくデバイスが改めて注目されている。MRAMには、高い読み出し及び書き込み速度(数ナノ秒以下)、不揮発性、及び電離放射線に対する不感受性など、多くの利点がある。いわゆる「磁気抵抗効果」又はGMRを有するMRAMが最初に提案された。そのようなMRAMは、磁性金属層と非磁性金属層を交互に複数積層することによって形成された。GMR素子は、比較的大きい磁気抵抗変化率を示すが、欠点として、大きな磁場を印加する必要があり、したがって情報の書き込み及び読み出しを行うのに大きな電流を必要とする。
【0004】
磁気トンネル接合を有するMRAMセルの開発により、これらのMRAMの性能及び動作モードの大幅な改良が可能になった。そのようなMRAMセルは、特許文献1に記載されている。図1は、第1の強磁性層21と第2の強磁性層23の間にトンネル障壁層22を備える磁気トンネル接合2を備える従来のMRAMセル1を示す。磁気トンネル接合2は、一端で第1の電流線4に電気的に接続され、他端で選択CMOSトランジスタ3に電気的に接続される。図1に示されるMRAMセル1はさらに第2の電流線5を備え、第2の電流線5は、第1の電流線4に直交に配設される。この構成は、磁気トンネル接合2と選択トランジスタ3の間にストラップ7を有し、それにより、第2の電流線5を磁気トンネル接合2と位置合わせして配設することができる。
【0005】
第1及び第2の強磁性層21、23は、典型的には異なる保磁力を有し、好ましくはFe、Co、Niなどの3d金属及びそれらの合金からなり、場合によっては、強磁性層を非晶質化してそれらの境界面を平坦化するためにホウ素を含む。トンネル障壁層22は、典型的にはアルミナ(Al)又はMgOから成る薄い絶縁層である。各強磁性層21、23を反強磁性層(図示せず)と結合させることができ、反強磁性層の役割は、それが結合する強磁性層をトラップすることであり、したがって、結合された強磁性層21、22の磁化はピン止めされ、自由に回転することはできず、外部磁場の効果の下で可逆にのみ回転することができる。
【0006】
従来のMRAMセル1の書き込み操作中、選択トランジスタ3は遮断モードに設定され、したがって磁気トンネル接合2を通って電流が流れない。第1の磁場電流41が第1の電流線4に流されて第1の磁場42を発生し、第2の磁場電流51が第2の電流線5に流されて第2の磁場52を発生する。第1及び第2の磁場42、52は、第2の磁性層23の磁場方向を切り換え、それによりMRAMセル1への書き込みを行うように適合される。複数のMRAMセル1を備えるアレイでは、併用した第1の磁場42と第2の磁場52の効果の下で、第1の電流線4と第2の電流線5の交点に位置されたセル1にのみ書き込みが行われ、又はそのセル1のみがアドレス指定される。このとき、書き込み操作は選択的なものである。
【0007】
図2は、別の構成でのMRAMセル1を示し、ここではセル1が第2の電流5を備えていない。この構成では、書き込み操作は、選択トランジスタ3が飽和モードにあるときに磁気トンネル接合2を通してスピン偏極書き込み電流31を流すステップを有することができる。スピン偏極書き込み電流31は、第2の磁性層23で局所スピントルクを誘発するようにスピン偏極される。
【0008】
読み出し操作中、書き込まれているセル1の選択トランジスタ3を飽和モードに設定することによって、このセル1の磁気トンネル接合2を通して読み出し電流32が選択的に流されて、磁気トンネル接合2の接合抵抗(RMTJ)を測定する。測定された接合抵抗(RMTJ)を、基準MRAMセル(図示せず)に関して測定された基準抵抗と比較することによって、MRAMセル1の磁気抵抗を求めることができる。測定された低い接合抵抗RMTJ(又はレベル状態「0」)は、第1の強磁性層21の磁化方向に平行に向けられた第2の強磁性層23の磁化方向に対応し、測定された高い接合抵抗RMTJ(又はレベル状態「1」)は、第1の強磁性層21の磁化方向に反平行に向けられた第2の強磁性層23の磁化方向に対応する。高い接合抵抗(RMTJ)と低い接合抵抗(RMTJ)の値の差、又はトンネル磁気抵抗は、強磁性層を構成する材料、及び場合によってはこれらの強磁性層に対して行われる熱処理に応じて決まる。材料及び/又は熱処理の適切な選択によって、最大70%のトンネル磁気抵抗に達することができる。
【0009】
上述したような2つのレベル状態「0」と「1」よりも多くのレベル状態を書き込むことができるようにするマルチレベル状態書き込み操作を用いたMRAMセルも提案されている。マルチレベル状態書き込み操作を用いたそのようなMRAMセルは、特許文献2に開示されている。ここで、第2の強磁性層又は記憶層の磁化は、第1の強磁性層又は基準層の磁化方向に平行な方向と反平行な方向との間の任意の中間方向に向けることができる。記憶層の磁化を中間方向に向けることは、第1及び第2の電流線4、5の垂直方向に沿って適切な相対強度で磁場を発生させることによって実現することができ、又は線4、5の一方で発生させられる磁場をスピン偏極書き込み電流と組み合わせることによって実現することができる(例えば、図1のMRAMセル構成の場合)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5640343号明細書
【特許文献2】米国特許第6950335号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来から提案されているマルチレベル状態書き込み操作を用いたMRAMセルの1つの欠点は、各状態に対応する抵抗レベルが比較的小さくなりうる点である。
【0012】
近年、高いトンネル磁気抵抗を提供するMgOから成るトンネル障壁層を使用することによって、読み出しマージンが増加されたMRAMセルが得られている。トンネル磁気抵抗のこの増加は、MgO障壁の結晶構造に起因しており、この結晶構造は、単結晶であるか、又はbcc(001)結晶配向で高度に組織化されている。より特定的には、bccFe又はCo電極を有するエピタキシャルMgOトンネル障壁層を備える磁気トンネル接合、又は多結晶bccCoFe又はCo電極を有する組織化トンネル障壁層を備える磁気トンネル接合、又はCoFeB/MgO/CoFeB構造と非晶質CoFeB電極を備える磁気トンネル接合に関して、室温で約150%を超える磁気抵抗が得られている。CoFeB/MgO/CoFeB構造と非晶質CoFeB電極を備える磁気トンネル接合の場合には、MgOトンネル障壁層を、非晶質CoFeB層の上に、高度に配向されたbcc(001)組織を有するように成長させる。堆積後、高い磁気抵抗を実現するために、CoFeB電極でも同一のテクスチャを誘発するように熱アニーリングが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セルが、第1の磁化方向を有する第1の磁性層と第2の磁化方向を有する第2の磁性層との間にトンネル障壁層を備える磁気トンネル接合を備えることができ、第2の磁化方向が、磁気トンネル接合の接合抵抗を第1の接合抵抗レベルから第2の接合抵抗レベルに変えるために第1の磁化方向に対して第1の方向から第2の方向に調節可能であり、前記磁気トンネル接合がさらにスイッチング抵抗素子を備え、スイッチング抵抗素子が、磁気トンネル接合に電気的に接続され、スイッチング抵抗素子を通してスイッチング電流が流されるときに第1のスイッチング抵抗レベルから第2のスイッチング抵抗レベルに切り換えることができるスイッチング抵抗を有し、それにより、MRAMセルのMRAMセル抵抗が、接合抵抗とスイッチング抵抗との抵抗レベルに応じて少なくとも4つの異なるセル抵抗レベルを有することができることを特徴とする。
【0014】
一実施形態では、MRAMセルはさらに、磁気トンネル接合の一端に電気的に接続された第1の電流線と、磁気トンネル接合の他端に電気的に接続された選択トランジスタとを備えることができ、選択トランジスタは、電流線でスイッチング電流を磁気トンネル接合及びスイッチング抵抗素子に流すように選択可能である。
【0015】
スイッチング抵抗素子は第1又は第2の磁性層と接触することがあり、又はトンネル障壁層がスイッチング抵抗素子から成ることがある。
【0016】
一実施形態では、スイッチング抵抗素子は、Al、NiO、TiO、MgO、又はペロブスカイト型酸化物から選択される材料から形成することができる。
【0017】
また、本発明は、MRAMセルに複数データビットを書き込むための方法であって、
磁気トンネル接合にスイッチング電流を流すことによって磁気トンネル接合を高温しきい値に加熱するステップであって、スイッチング電流が、磁気トンネル接合を高温しきい値で加熱するのに適した加熱の大きさを有するステップと、
接合抵抗を第1の接合抵抗レベルから第2の接合抵抗レベルに変えるように第2の磁性層の第2の磁化方向を調節するステップと、
スイッチング抵抗素子を通してスイッチング電流を流すことによって、スイッチング抵抗を第1のスイッチング抵抗レベルから第2のスイッチング抵抗レベルに切り換えるステップと、を有する方法に関する。
【0018】
スイッチング抵抗を切り換える前記ステップは、スイッチング電流の極性を変えるステップを有することができ、又は加熱の大きさよりも低い第1のスイッチングの大きさを有するスイッチング電流を流すステップを有することができる。
【0019】
一実施形態では、スイッチング抵抗を切り換える前記ステップは、スイッチング電流の大きさを第1のスイッチングの大きさから第2のスイッチングの大きさに変えるステップを有することができる。
【0020】
別の実施形態では、第2の磁性層の第2の磁化方向を調節する前記ステップは、第1の磁場を印加するステップを有することができ、第1の磁場に従って第2の磁性層の第2の磁化方向が調節される。
【0021】
さらに別の実施形態では、第2の磁性層の第2の磁化方向を調節する前記ステップは、磁気トンネル接合にスピン偏極されたスイッチング電流を流すステップを有することができる。
【0022】
本明細書で開示したMRAMセルは、磁気トンネル接合の接合抵抗とスイッチング抵抗素子のスイッチング抵抗とを組み合わせることによって、従来のMRAMセルに比べて改良された読み出しマージンを実現する。
【0023】
さらに、MRAMセル1は、少なくとも4つの異なるセル抵抗レベルを書き込むためのマルチビットMRAMセルとして使用することもできるようになる。このマルチビットMRAMセルのセル抵抗レベルは、従来のマルチビットMRAMセルで実現されるセル抵抗レベルよりも大きい。
【0024】
本発明は、例として提示されて図面に示される一実施形態の説明からより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来のMRAMセルを示す図である。
【図2】別の構成での図1のMRAMセルを示す図である。
【図3】一実施形態によるMRAMセルを示す図である。
【図4】一実施形態による図3のMRAMセルの書き込み操作を示す図である。
【図5】別の実施形態による図3のMRAMセルの書き込み操作を示す図である。
【図6】さらに別の実施形態による図3のMRAMセルの書き込み操作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一実施形態による磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セル1が図3に示される。MRAMセルは、第1の磁化方向を有する第1の磁性層21と第2の磁化方向を有する第2の磁性層23との間に配設されたトンネル障壁層22を備える磁気トンネル接合2を備える。第2の磁化方向は、第1の磁化方向に対して第1の方向から第2の方向に調節可能であり、それにより、磁気トンネル接合2の接合抵抗RMTJを第1の接合抵抗レベルから第2の接合抵抗レベルに変える。図3の例では、メモリ素子がさらに、磁気トンネル接合2の一端に電気的に接続された第1の電流線4と、磁気トンネル接合2の他端に電気的に接続された選択トランジスタ3とを備える。
【0027】
第2の強磁性層すなわち記憶層23は、典型的には、パーマロイ(Ni80Fe20)、Co90Fe10、又はFe、Co、若しくはNiを含む他の合金から成る群から選択される平面磁化を有する材料から形成することができる。好ましい一実施形態では、第2の強磁性層23は反強磁性記憶層(図示せず)によって交換結合され、それにより第2の強磁性層23の磁化方向は、低温しきい値で反強磁性記憶層によってピン止めされ、高温しきい値で自由に向きを定めることができる。反強磁性記憶層は、IrMnやFeMn、又は任意の他の適切な材料など、マンガンベースの合金から形成することができる。高温しきい値は、典型的には約120℃以上の温度である。
【0028】
第1の磁性層21は、Fe、Co、又はNiベースの合金から形成することができる強磁性層である。好ましくは、第1の磁性層21は、第1の強磁性基準層と第2の強磁性基準層を備える合成反強磁性体ピンド層を備え、強磁性基準層はどちらもFe、Co、Niベースの合金から形成され、それらの間に例えばルテニウムから成る非強磁性基準層を挿入することによって反強磁性結合される。好ましい一実施形態では、第1の磁性層又は基準層21は反強磁性基準層によって反強磁性結合され、この反強磁性基準層は、高温しきい値よりも高い温度で第1の磁性層21の磁化方向をピン止めする。好ましくは、反強磁性基準層は、PtMnやNiMnなどMnベースの合金から形成される。トンネル障壁層22は、典型的にはアルミナ(Al)又はMgOから成る薄い絶縁層である。
【0029】
一実施形態では、磁気トンネル接合2はさらにスイッチング抵抗素子62を備える。図3の例では、スイッチング抵抗素子は、トンネル障壁層22と接触する面とは反対側の第1の強磁性層21の面で、第1の強磁性層21と接触して位置されたスイッチング抵抗層62として表されている。スイッチング抵抗素子62は、スイッチング抵抗Rを有し、スイッチング抵抗Rは、スイッチング抵抗素子62を通してスイッチング電流31が流されるときに(又はスイッチング抵抗素子62に電圧が印加されるときに)第1のスイッチング抵抗レベルから第2のスイッチング抵抗レベルに可逆に切り換えることができる。そのようなスイッチング抵抗素子は、抵抗性ランダムアクセスメモリ(RRAM)で使用されることがよくあり、その際、典型的には、遷移金属酸化物から成るスイッチング抵抗素子が2つの金属電極の間に設けられる。このとき、MRAMセル1のMRAMセル抵抗Rは、直列の接合抵抗RMTJとスイッチング抵抗Rに対応する。
【0030】
スイッチング抵抗素子62は、好ましくは不均質の酸素含有分を含むアルミナ(Al)、NiO、TiO、若しくはMgOを含む酸化物、又はPCMO(Pr0.7Ca0.3MnO)若しくはSrTiOなどペロブスカイト型酸化物、又はこれらの酸化物の任意のものの組合せから形成することができる。使用される酸化物及びその製造法に応じて、スイッチング抵抗素子62は、双極又は単極スイッチング抵抗スイッチング挙動を示すことができる。スイッチング抵抗素子62が双極抵抗スイッチング挙動を示す場合、スイッチング抵抗Rは、スイッチング抵抗素子62を通って流れるスイッチング電流31(又はスイッチング抵抗電流62に印加される電圧)の極性を第1のスイッチング極性から第2のスイッチング極性に変えることによって切り換えられる。あるいは、スイッチング抵抗素子62が単極抵抗スイッチング挙動を示す場合、スイッチング抵抗Rは、スイッチング抵抗素子62を通って流れるスイッチング電流31(又はスイッチング抵抗電流62に印加される電圧)の大きさを第1のスイッチングの大きさから第2のスイッチングの大きさに変えることによって切り換えられる。
【0031】
単極抵抗スイッチングの利点は、電流/電圧極性を切り換えるのに専用の追加のトランジスタが必要なく、したがってMRAMセル1をより小さく作製することができることである。単極抵抗スイッチング挙動は、典型的には、スイッチング抵抗素子62が遷移金属酸化物から成るときに得ることができ、一方、双極抵抗スイッチング挙動は、スイッチング抵抗素子62がペロブスカイト型酸化物、又は不均質の化学量論の酸素を含む酸化物から成るときに実現することができる。
【0032】
スイッチング抵抗層62の他の構成も可能である。例えば、スイッチング抵抗層62は、第1又は第2の強磁性層21、23と接触し、かつ場合によってはトンネル障壁層22とも接触するように配設することができる。あるいは、スイッチング抵抗層62をトンネル障壁層22の内部に設けることができる。好ましい一実施形態では、トンネル障壁層22がスイッチング抵抗素子62から成る。この構成では、磁気トンネル接合2は、第1及び第2の磁気層21、23の間に配設されたスイッチング抵抗層62を備え、すなわち、トンネル障壁層22が、好ましくは不均質の酸素含有分を含むアルミナ、NiO、TiO、若しくはMgOを含む酸化物、又はPCMO(Pr0.7Ca0.3MnO)やSrTiOなどのペロブスカイト型酸化物、又はこれらの酸化物の任意のものの組合せから形成することができる。
【0033】
一実施形態では、MRAMセル1への書き込み操作中、上述したように、第1の磁場電流41が第1の電流線4に流される。第1の磁場電流41は第1の磁場42を発生し、この第1の磁場42が第2の磁性層23に印加され、それにより、第1の磁場42に従って、第2の磁性層23の磁化方向を第1の磁化方向に対して調節する。このとき、磁気トンネル接合2の接合抵抗RMTJを、第1の接合抵抗レベルから第2の接合抵抗レベルに変えることができる。選択トランジスタ3は、電流が磁気トンネル接合2を通って流れないように遮断モードに設定することができる。
【0034】
好ましい一実施形態では、書き込み操作は熱アシスト法に従って行われる。より特定的には、熱アシスト書き込み操作は、
磁気トンネル接合2を加熱するステップと、
同時に(又は短い時間遅延の後に)、及び磁気トンネル接合2が高温しきい値に達した後に、第2の強磁性層23の磁化方向を調節するステップと、
磁気トンネル接合2を低温しきい値に冷却するステップであって、第2の強磁性層23の磁化方向が書き込み状態で凍結されるステップと、を有する。
【0035】
第2の強磁性層23の磁化方向を調節するステップは、第2の強磁性層23の磁化方向を調節するように適合された第1の磁場42を発生するように第1の磁場電流41を第1の電流線4に流すことによって行うことができる。第1の磁場42は、磁気トンネル接合2の冷却中に維持することができ、磁気トンネル接合2が低温しきい値に達すると除去することができる。
【0036】
磁気トンネル接合2を加熱するステップは、選択トランジスタ3が飽和モードに設定されているときに、第1の電流線4で加熱電流を磁気トンネル接合2に流すことによって行うことができる。次いで、磁気トンネル接合2を冷却するステップは、選択トランジスタ3を遮断モードに設定することによって加熱電流をオフすることによって行われる。
【0037】
熱アシスト書き込み操作は、典型的には、第2の強磁性層23に交換結合する反強磁性記憶層(図示せず)を磁気トンネル接合2がさらに備えるMRAMセル1で行われる。この構成では、反強磁性記憶層は、低温しきい値で第2の強磁性層23の磁化をピン止めし、高温しきい値で第2の強磁性層23の磁化を自由にする。そのような熱アシスト書き込み操作は特許文献2に記載されている。熱アシスト書き込み操作は、第2の強磁性層23の磁化方向を整列させるために使用される第1の磁場42を減少できるようにし、したがってMRAMセル1の電力消費を減少させる。
【0038】
好ましい一実施形態では、書き込み操作はさらに、スイッチング抵抗素子62のスイッチング抵抗Rを第1のスイッチング抵抗レベルから第2のスイッチング抵抗レベルに可逆に切り換えるステップを有する。これは、選択トランジスタ3が飽和モードにあるときに、磁気トンネル接合2及びスイッチング抵抗素子62を通してスイッチング電流31を流すことによって行うことができる。
【0039】
読み出し操作中、書き込まれているセル1の選択トランジスタ3を飽和モードに設定することによって、このセル1の磁気トンネル接合2を通して読み出し電流32が選択的に流されて、MRAMセル1のMRAMセル抵抗Rを測定する。MRAMセル抵抗Rは、スイッチング抵抗Rと直列の接合抵抗RMTJに対応し、接合抵抗RMTJは、第1の強磁性層21の磁化方向に対する第2の強磁性層23の磁化方向によって決定される。
【実施例】
【0040】
実施例1
一実施形態に従うMRAMセル1への書き込み操作が図4に概略的に示されている。熱アシスト書き込み操作は、磁気トンネル接合2を加熱するステップと、第1の磁場電流41を第1の電流線4に流して第1の磁場42を発生させることによって接合抵抗RMTJを変えるステップとを有する。例えば双極抵抗スイッチング挙動を示すスイッチング抵抗素子62の場合に、スイッチング抵抗Rが、磁気トンネル接合2に流れるスイッチング電流31の極性に従って切り換えられる。ここで、スイッチング電流31は加熱電流として使用することもできる。この実施形態では、スイッチング電流31が、磁気トンネル接合を高温しきい値で加熱するのに必要とされるスイッチング電流31の加熱の大きさよりも低い第1のスイッチングの大きさで流されるときに、スイッチング抵抗Rを切り換えることができると仮定する。
【0041】
より特定的には、図4(a)が書き込み操作の第1のステップを示し、このステップでは、スイッチング電流31が、磁気トンネル接合2を高温しきい値で加熱するのに適した加熱の大きさで印加される。第1の磁場電流41が第1の極性で印加されて、第1の磁場42を第1の方向で発生し、接合抵抗RMTJを第1の接合抵抗レベルから第2の接合抵抗レベルに変える。例えば、第2の強磁性層23の磁化を第1の強磁性層21の磁化方向に平行な方向に調節することができ、それにより接合抵抗RMTJの低い接合抵抗レベルRMTJ,lowに対応する。スイッチング電流31が第1の大きさよりも高い加熱の大きさで印加されるので、スイッチング抵抗Rは、スイッチング電流31の極性に従って第1のスイッチング抵抗レベル、例えば低いスイッチング抵抗レベルRS,lowに切り換えられる。
【0042】
図4(b)に示される第2のステップでは、第1の磁場42は印加されず、接合抵抗RMTJはその低い接合抵抗レベルRMTJ,lowのままである。スイッチング電流31は、ステップ(a)でのスイッチング電流とはその極性を逆にして磁気トンネル接合2に流され、それによりスイッチング抵抗Rを高いスイッチング抵抗レベルRS,highに切り換える。ここで、ステップ(b)に示されるように、スイッチング電流31は、好ましくは、より低い第1のスイッチングの大きさで流される。
【0043】
図4(c)に示される第3のステップでは、第1の磁場電流41が第2の極性で印加されて、第1の方向とは逆の第2の方向で第1の磁場42を発生して、第2の強磁性層23の磁化を第1の強磁性層21の磁化方向とは反平行の方向に調節する。これにより、接合抵抗RMTJが高い接合抵抗レベルRMTJ,highとなる。スイッチング電流31は、ステップ(b)と同じ極性で磁気トンネル接合2に流されるが、第1の大きさを有し、磁気トンネル接合を高温しきい値で加熱する。スイッチング電流31の極性はステップ(b)と同じであるので、スイッチング抵抗Rはその高いスイッチング抵抗レベルRS,highのままである。
【0044】
図4(d)に示される第4のステップでは、第1の磁場42は印加されず、接合抵抗RMTJはステップ(c)の高い接合抵抗レベルRMTJ,highのままである。スイッチング電流31は、ステップ(c)のスイッチング電流とはその極性を逆にして第1のスイッチングの大きさで流され、それによりスイッチング抵抗Rは低いスイッチング抵抗レベルRS,lowに切り換えられる。その結果、接合抵抗RMTJとスイッチング抵抗Rの2つの抵抗レベルの組合せによって、MRAMセル抵抗Rの4つの異なるセル抵抗レベルがMRAMセル1に書き込まれている。
【0045】
実施例2
図5は、別の実施形態によるMRAMセル1の熱アシスト書き込み操作を示す。この実施形態では、例えば単極抵抗スイッチング挙動を示すスイッチング抵抗素子62の場合に、スイッチング抵抗Rがスイッチング電流31の大きさに従って切り換えられると仮定する。より特定的には、スイッチング抵抗Rは、スイッチング電流31が第1のスイッチングの大きさで流されるときに低いスイッチング抵抗レベルRS,lowに切り換えられ、スイッチング電流31が第1のスイッチングの大きさよりも高い第2のスイッチングの大きさで流されるときに高いスイッチング抵抗レベルRS,highに切り換えられると仮定する。さらに、第1及び第2のスイッチングの大きさは加熱の大きさよりも低いと仮定する。
【0046】
図5のステップ(a)で、第1の磁場電流41は、接合抵抗RMTJを低い接合抵抗レベルRMTJ,lowに設定するように適合された方向で第1の磁場42を発生するように第1の電流線4に流される(図4(a)のステップと同様)。スイッチング電流31は、加熱の大きさで磁気トンネル接合2に流され、磁気トンネル接合2を高温しきい値で加熱し、スイッチング抵抗Rをその高いスイッチング抵抗レベルRS,highに切り換える(加熱の大きさは第2のスイッチングの大きさよりも高い)。
【0047】
図5(b)では、第1の磁場42は印加されず、接合抵抗RMTJは低い接合抵抗レベルRMTJ,lowのままである。スイッチング電流31は、第1のスイッチングの大きさで流され、スイッチング抵抗Rをその低いスイッチング抵抗レベルRS,lowに切り換える。図5(c)では、第1の磁場電流41が第2の極性で印加され、それにより接合抵抗RMTJは高い接合抵抗レベルRMTJ,highに変えられる。スイッチング電流31は、加熱の大きさで流され、磁気トンネル接合2を高温しきい値で加熱し、スイッチング抵抗Rをその高いスイッチング抵抗レベルRS,highに切り換える。
【0048】
実施例3
図6に示されるさらに別の実施形態では、MRAMセル1の熱アシスト書き込み操作は、磁気トンネル接合2に流されるスイッチング電流31をスピン偏極させることによって接合抵抗RMTJを変えるステップを有する。スピン偏極スイッチング電流31は、第2の磁性層23での局所スピントルクを誘発し、スピン偏極電流の極性に従って第2の磁性層23の磁化方向を調節する。スピン偏極電流は、磁気トンネル接合2が高温しきい値で加熱されるように加熱の大きさで流さなければならない。この実施形態では、スイッチング抵抗素子62は双極抵抗スイッチング挙動を示し、加熱の大きさは第1のスイッチングの大きさよりも低いと仮定する。
【0049】
より特定的には、図6(a)に示されるステップでは、スイッチング電極31が第1のスイッチングの大きさで流され、それにより、スイッチング電流31の極性に従って、スイッチング抵抗Rを例えば低いスイッチング抵抗レベルRS,lowに切り換える。しかし、第1のスイッチングの大きさは、第2の磁性層23の磁化方向を調節するには低すぎ、したがって接合抵抗RMTJを変えるには低すぎる。
【0050】
図6(b)では、スピン偏極スイッチング電流31の大きさが加熱の大きさに増加され、それにより、スイッチング電流31の極性に従って、第2の磁性層23の磁化方向を例えば低い接合抵抗レベルRMTJ,lowに調節することができる。スイッチング電流31の極性はステップ(a)と同じであるので、スイッチング抵抗Rのスイッチング抵抗レベルは変わらない。ステップ(c)では、スピン偏極スイッチング電流31が、ステップ(a)及び(b)のスイッチング電流とは極性を逆にして流され、それにより、スイッチング抵抗Rを高いスイッチング抵抗レベルRS,highに切り換える。スイッチング電流31の大きさは第1のスイッチングの大きさであり、接合抵抗RMTJは低い接合抵抗レベルRMTJ,lowのままである。ステップ(d)では、スピン極性スイッチング電流31の大きさが加熱の大きさに高められ、それにより接合抵抗RMTJを高い接合抵抗レベルRMTJ,highに調節することができる。スイッチング抵抗Rは高いスイッチング抵抗レベルRS,highのままである。
【0051】
上の3つの実施形態で示したように、接合抵抗RMTJとスイッチング抵抗Rの2つの抵抗レベルの組合せによって、MRAMセル抵抗Rの少なくとも4つの異なるセル抵抗レベルをMRAMセル1に書き込むことができる。これは、第1の磁場電流41及びスイッチング電流31の極性、ならびにスイッチング電流31の大きさを適当に変えることによって実現される。また、これは、書き込み操作がスピン偏極電流を使用して行われ、スイッチング抵抗素子62が双極抵抗スイッチング挙動を示すときには、スイッチング電流の極性及び大きさを適当に変えることによって実現することができる。さらに、これは、書き込み操作がスピン偏極電流を使用して行われ、スイッチング抵抗素子62が単極抵抗スイッチング挙動を示すときには、スイッチング電流の大きさのみを適当に変えることによって実現することができる。スイッチング抵抗Rが切り換えられるスイッチング電流31の大きさ(第1の大きさ及び場合によっては第2の大きさ)は、接合抵抗RMTJを変えることができる大きさ(加熱の大きさ)とは異なると仮定する。
【0052】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態を取ることができ、それらの特定の実施例を図面に例として示し、本明細書で詳細に述べた。しかし、本発明は、開示した特定の形態又は方法に限定されず、逆に、すべての修正形態、均等形態、及び代替形態を網羅するものと理解すべきである。
【0053】
例えば、MRAMセル1は、図1の例で示されるように第2の電流線5を備えることができる。このとき、第2の磁場電流51を第2の電流線5に流して第2の磁場52を発生させることができる。このとき、第1の磁場42と第2の磁場52の効果を併用して第2の磁性層23の磁化方向を調節することができる。この構成では、第1の電流線4と第2の電流線5の垂直方向に沿った第1の磁場電流41と第2の磁場電流51の相対強度及び場合によっては極性を適切に調節することによって、第2の強磁性層23の磁化を任意の中間方向に調節することができる。あるいは、第2の強磁性層23の磁化を任意の中間方向に調節することは、線4、5の一方で発生される磁場をスピン偏極書き込み電流33と組み合わせることによって実現することができる。これはさらに、上述した書き込み操作の1つと組み合わせることができ、MRAMセル1に5つ以上のセル抵抗レベルを書き込むことができるようにする。あるいは、第2の電流線5を第1の電流線4の上に、例えば第1の電流線4と平行に配設することができる。
【0054】
本明細書で開示したMRAMセル1は、磁気トンネル接合2の接合抵抗RMTJがスイッチング抵抗素子62、22のスイッチング抵抗Rと組み合わされるので、従来のMRAMセルに比べて改良された読み出しマージンを実現する。したがって、MRAMセル抵抗Rのセル抵抗レベルは、従来のマルチビットMRAMセルで実現されるセル抵抗レベルよりも大きい。
【0055】
図示しない一実施形態によれば、メモリデバイスは、いくつかの実施形態によるMRAMセル1を複数備えるアレイを備える。MRAMセル1は、1本又は複数本の第1の電流線4によって接続することができる。メモリデバイスはさらに、MRAMセル1それぞれの選択トランジスタ3のゲートに接続された1本又は複数本のワード線を備えることができ、それにより、選択トランジスタ3を制御して、MRAMセル1の1つを選択的にアドレス指定する、又はそのセルに書き込むことができるようにする。
【符号の説明】
【0056】
1 MRAMセル
2 磁気トンネル接合
21 第1の強磁性層、基準層
22 トンネル障壁層
23 第2の強磁性層、記憶層
3 選択トランジスタ
31 スピン偏極書き込み電流、スイッチング電流
32 読み出し電流
4 第1の電流線
41 第1の磁場電流
42 第1の磁場
5 第2の電流線
51 第2の磁場電流
52 第2の磁場
62 スイッチング抵抗素子
7 ストラップ
MRAMセル抵抗
スイッチング抵抗
MTJ 接合抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁化方向を有する第1の磁性層と第2の磁化方向を有する第2の磁性層との間にトンネル障壁層を備える磁気トンネル接合から成る磁気ランダムアクセスメモリセルにおいて、
前記磁気トンネル接合の接合抵抗を第1の接合抵抗レベルから第2の接合抵抗レベルに変えるため、前記第2の磁化方向が、前記第1の磁化方向に対して第1の方向から第2の方向に調節可能であり、
前記磁気トンネル接合は、この磁気トンネル接合に電気的に接続されていて且つスイッチング抵抗を有するスイッチング抵抗素子をさらに備え、
スイッチング電流が、前記スイッチング抵抗素子に通電される時に、前記スイッチング抵抗が、第1のスイッチング抵抗レベルから第2のスイッチング抵抗レベルに切り換えられ得る結果、前記磁気ランダムアクセスメモリセルの磁気ランダムアクセスメモリセル抵抗が、前記接合抵抗と前記スイッチング抵抗との抵抗レベルに応じて少なくとも4つの異なるセル抵抗レベルを有し得る、磁気ランダムアクセスメモリセル。
【請求項2】
前記スイッチング抵抗素子は、前記第1の磁性層又は第2の磁性層に接触している、請求項1に記載の磁気ランダムアクセスメモリセル。
【請求項3】
前記スイッチング抵抗素子は、双極スイッチング抵抗又は単極スイッチング抵抗を有する、請求項1に記載の磁気ランダムアクセスメモリセル。
【請求項4】
前記トンネル障壁層は、前記スイッチング抵抗素子から成る、請求項1に記載の磁気ランダムアクセスメモリセル。
【請求項5】
前記スイッチング抵抗素子は、Al、NiO、TiO、MgO又はペロブスカイト型酸化物から選択された材料から成る、請求項1に記載の磁気ランダムアクセスメモリセル。
【請求項6】
複数の磁気ランダムアクセスメモリセルを備えるメモリデバイスにおいて、
各磁気ランダムアクセスメモリセルは、1つの磁気トンネル接合を備え、この磁気トンネル接合は、第1の磁化方向を有する第1の磁性層と第2の磁化方向を有する第2の磁性層との間にトンネル障壁層を有し、
前記磁気トンネル接合の接合抵抗を第1の接合抵抗レベルから第2の接合抵抗レベルに変えるため、前記第2の磁化方向が、前記第1の磁化方向に対して第1の方向から第2の方向に調節可能であり、
前記磁気トンネル接合は、この磁気トンネル接合に電気的に接続されていて且つスイッチング抵抗を有するスイッチング抵抗素子をさらに備え、
スイッチング電流が、前記スイッチング抵抗素子に通電される時に、前記スイッチング抵抗が、第1のスイッチング抵抗レベルから第2のスイッチング抵抗レベルに切り換えられ得る結果、前記磁気ランダムアクセスメモリセルの磁気ランダムアクセスメモリセル抵抗が、前記接合抵抗と前記スイッチング抵抗との抵抗レベルに応じて少なくとも4つの異なるセル抵抗レベルを有し得る、メモリデバイス。
【請求項7】
磁気ランダムアクセスメモリセルに複数のデータビットを書き込むための方法であって、前記磁気ランダムアクセスメモリセルは、1つの磁気トンネル接合を備え、この磁気トンネル接合は、第1の磁化方向を有する第1の磁性層と第2の磁化方向を有する第2の磁性層との間にトンネル障壁層を有し、
前記磁気トンネル接合の接合抵抗を第1の接合抵抗レベルから第2の接合抵抗レベルに変えるため、前記第2の磁化方向が、前記第1の磁化方向に対して第1の方向から第2の方向に調節可能であり、
前記磁気トンネル接合は、この磁気トンネル接合に電気的に接続されていて且つスイッチング抵抗を有するスイッチング抵抗素子をさらに備え、
スイッチング電流が、前記スイッチング抵抗素子に通電される時に、前記スイッチング抵抗が、第1のスイッチング抵抗レベルから第2のスイッチング抵抗レベルに切り換えられ得る当該方法において、
前記磁気トンネル接合を高温しきい値に加熱するステップと、
前記磁気トンネル接合が、前記高温しきい値に達した後に、前記接合抵抗を前記第1の接合抵抗レベルから前記第2の接合抵抗レベルに変えるため、前記第2の磁性層の前記第2の磁化方向を調節するステップと、
前記磁気ランダムアクセスメモリセルの抵抗が、前記接合抵抗と前記スイッチング抵抗との抵抗レベルに応じて少なくとも4つの異なる抵抗レベルを有するように、前記スイッチング電流を前記スイッチング抵抗素子に通電することによって、前記スイッチング抵抗を前記第1のスイッチング抵抗レベルから前記第2のスイッチング抵抗レベルに切り換えるステップとから成る当該方法。
【請求項8】
前記スイッチング抵抗素子は、双極スイッチング抵抗を有し、前記スイッチング抵抗を切り換える前記ステップが、前記スイッチング電流の極性を反転させるステップを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スイッチング抵抗素子は、単極スイッチング抵抗を有し、前記スイッチング抵抗を切り換える前記ステップは、前記スイッチング抵抗を前記第1のスイッチング抵抗レベルに切り換えるための第1のスイッチングの大きさを有する前記スイッチング電流を流すステップと、前記スイッチング抵抗を前記第2のスイッチング抵抗レベルに切り換えるための第2のスイッチングの大きさを有する前記スイッチング電流を流すステップとを有し、前記第2のスイッチングの大きさは、前記第1のスイッチングの大きさより高く且つ前記加熱の大きさより低い、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の磁化方向を調節する前記ステップは、第1の磁場を印加するステップ又はスピン偏極された前記スイッチング電流を前記磁気トンネル接合に流すステップを有する、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−129529(P2012−129529A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−274124(P2011−274124)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.RRAM
2.FRAM
【出願人】(509096201)クロッカス・テクノロジー・ソシエテ・アノニム (33)
【Fターム(参考)】