説明

赤外線放射マイクロデバイス用のハウジング及び該ハウジングの製造方法

赤外線放射マイクロデバイス、このようなデバイス用の被覆材、及びその製造方法であって、該デバイスが、基板及び被覆材及び赤外線放射線検出、放射または反射赤外線マイクロユニットを有し、赤外線マイクロユニットが、基板と被覆材との間に画定されたキャビティ内に配置され、被覆材が、赤外線放射線の透過率を高める反射防止表面テクスチャを有し、付加的なプロセスにおいて、被覆材の基板側及び/または基板の被覆材側上に形成された分離フレームが、基板と被覆材との間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、例えば、赤外線マイクロ−ボロメータセンサー、赤外線マイクロ−ミラーまたは赤外線放射線放射マイクロ−デバイスのような赤外線放射マイクロデバイスの分野に関する。また、本出願は、特にウェハーレベルでの、このようなデバイスの製造方法及びパッケージングについても言及する。
【背景技術】
【0002】
CMOS読み出し回路上に組み込まれた抵抗ボロメータマイクロ−ブリッジに基づく非冷却赤外線アレイ検出器が、典型的には、約8μm〜14μmの範囲の波長で作動する様々な用途におけるそれらの可能性を示している。赤外線放射の検出原理が、測定される電気抵抗の変化を生じさせる吸収されたIR−放射線による検出器として機能するマイクロ−ボロメータアレイの温度上昇に基づいている。半導体基板上の非冷却マイクロ−ボロメータアレイの性能が、それらの熱的分離に大きく依存する。このため、ボロメータ設計が、基板に対するサスペンション構造の最小の熱的結合について、最適化されなければならない。さらに、分子の熱フローにより、マイクロ−ボロメータアレイの周囲のガス環境が、熱伝導を増大させるため、従って、高真空パッケージングが、デバイス全体の性能を改善するために有利である。
【0003】
湿気、汚れ、破壊的な機械力及び腐食等の環境ストレスから赤外線マイクロ−ボロメータアレイを保護するために、マイクロシステムのパッケージング技術において周知であるハーメチックウェハーボンディングが、適用されることが可能である。赤外線放射検出マイクロ−ボロメータセンサーユニットが、基板上に設けられ、被覆材によって覆われてよく、基板及び被覆材が、ボロメータセンサーユニットが配置されるキャビティを提供する。ボロメータセンサーユニットの周囲において十分に低い圧力の雰囲気または真空の雰囲気を提供するように適用されながらも、マイクロ−ボロメータセンサーユニットをIR−放射線に露出させ、IR−放射線を伝送するように、被覆材が、IR−放射線に対して十分に透明でなければならない。
【0004】
通常、基板ウェハー上の赤外線マイクロ−ボロメータアレイを覆うための被覆材用材料として、シリコンが使用される。シリコンが、センサーウェハーと同じ膨張率を有し、約1μm〜18μmの範囲の赤外線透過が可能であり、大部分の半導体及びMEMSプロセス及び反射防止コーティングプロセスに適合し、真空/低圧パッケージ材料として極めて良好な特性を示し、パッケージへの空気圧に耐えるように機械的に堅固である。しかしながら、シリコン被覆材材料の使用は、IR−放射線の挿入損失を低減するような適当な作用を必要とする。さもなければ、3,45であるその高い屈折率のため、最大50−60%の入射IR−放射線が、被覆材のシリコン材料表面によって反射される。
【0005】
シリコンの反射損失を低減させるために、被覆材上にマイクロ−構造化表面テクスチャを設けることが知られている。特許文献1では、最初に、ポスト領域をエッチングし、上記の表面テクスチャを形成し、その後、付加的なエッチングプロセスにより100μmの深さのキャビティを形成することを教示している。この方法が、減法プロセスと称される。この方法の欠点は、表面テクスチャを形成した後のキャビティのエッチングプロセスが、構造の形状、特に、ポストの側部形状に悪影響を及ぼし、該ポストの直径が低減され、該ポストが、平坦なレンズ形状構造に変形されるとまではいかなくても、該ポストのプロファイルが円錐形となる。形状及び外形の損失が、結果として、流入するIR−放射線の望ましくない高い反射を生じさせ、従って、高い挿入損失を生じさせる。
【0006】
最初にキャビティを設け、その後に表面テクスチャをエッチングすることは、現在は、上記課題に対する解決策とはならないと考えられる。予め形成された50μmよりも深いキャビティの内部の挿入損失を低減させることが可能である幾何学的仕様を有するマイクロ−構造化表面テクスチャの形成は、困難であり、最先端を遥かに越えるものである。この理由は、IR−放射線の反射損失を低減させるために、マイクロ−構造化表面テクスチャの微細部分を生成するために必要とされる高い分解能のウェハーステッパーが、制限された焦点の深さを有し、これが、キャビティの底部でのテクスチャリングプロセスに対するそれらの使用を不適当なものにするためである。
【0007】
マイクロ−構造化表面テクスチャの対策に加え、IR−放射線の挿入損失を低減させる他の可能性も存在する。例えば、低減された屈折率を有する光学界面層が、シリコン材料上に設けられてよい。界面層が、AlNまたはダイヤモンド様炭素(DLC)のような単一薄膜であってよく、または、Ge−ZnSのような多層薄膜であってよい。これらの反射防止素子の物理的特性、プロセス条件及びプロセス統合リスクが、全く異なる。特許文献2(Honeywell)では、被覆材の材料自体以外の材料の反射防止コーティングをキャビティ内部に設けることが教示されている。しかしながら、周知の反射防止層の堆積プロセス及びガス放出特性に応じ、この解決策が、問題となるように思われる。アルゴン及び水素のガス放出が、スパッタリングされた薄膜コーティング内で観察される。いずれのゲッター材料によっても吸収されることが不可能なこれらのガスの発生に加え、320℃であるその低い分解温度及び悪い構造特性のため、IR用途Ge−ZnS用の主に使用される反射防止システムが、極めて制限される。さらに、密封されたキャビティ内に組み込まれる全ての層の真空適合性が、不可欠である。対処するマイクロパッケージの利用可能な体積が、著しく制限された物理的バッファー容量を有し、さらに、過度の圧力を結果として生じうるキャビティの内部の薄膜スタックの微量ガスのガス放出が、特定の真空レベルのはるか外側のレベルに上昇する。
【0008】
ウェハーボンディングは、高真空環境下で実施されるが、マイクローボロメータセンサーユニットに適合するデバイスキャビティ中の真空レベルが、典型的には、表面ガス放出によって低減される。結果として生じる真空度の低下が、センサーデバイスの精度及び測定品質を低減させる。この欠点を克服するために、デバイスの耐用年数の間、継続的にガス放出された分子を移動させるゲッター活性材料を組み込むことが一般的に知られている。精度及び測定品質に対する真空度の低下の影響を最小化するための他の可能性は、ガス放出の影響が少ない十分な体積を有するキャビティを設けることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0072384号明細書
【特許文献2】欧州特許第0734589号明細書
【特許文献3】独国特許出願第102008060796.7号明細書
【特許文献4】国際公開第2007/054524号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】M.E.Motamedi,W.H.Southwell,W.J.Gunning,“Antireflection surfaces in silicon using binary optics technology”,Applied Optics Vol.31,No.22,1992,pages 4371−4376
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術に基づき、赤外線放射マイクロデバイス用ハウジング及びマルチハウジングウェハーユニット、並びに、このようなハウジング及びウェハーユニットの製造方法を提供することであり、特に、8〜12μmの範囲のIR−放射線の透過が改善され、センサーキャビティ中へのガス放出の影響を最小化する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的に対するデバイス側の解決策が、基板及び被覆材を備えた赤外線放射マイクロデバイス用のハウジングであり、赤外線放射線検出、放射または反射赤外線マイクロユニットをハウジングするためのキャビティが、基板と被覆材との間に画定され、この被覆材が、赤外線放射線の透過率を高めるように反射防止表面テクスチャを有し、基板の被覆材側及び/または被覆材の基板側上に付加的なプロセスで形成された、例えばCTE適合型であるシリコーン分離フレームが、基板と被覆材との間に配置される。
【0013】
本発明によるハウジングが、例えば、赤外線マイクロ−ボロメータセンサー、赤外線マイクロ−ミラーまたは赤外線マイクロ−エミッタ−等の赤外線放射マイクロデバイスに使用されることが可能である。ハウジングが、基板及び被覆材を備え、その間に分離フレームを備えて互いに結合され、基板、被覆材及び分離フレームが、キャビティを提供し、このキャビティが、赤外線マイクロユニットをハウジングする。好ましくは、キャビティが、ハーメチックシールされ、その中が高真空となる。被覆材の材料自体が、好ましくは約30−50%のIR−放射線透過率を有する。好ましくは、被覆材の材料が、シリコンである;しかしながら、同様なIR−放射線透過率を有する任意の材料が、使用されてよく、例えば、ゲルマニウムまたは結晶状長石である。同様なことが、基板材料にも当てはまる。
【0014】
本発明によると、被覆材が、被覆材の材料を介した赤外線放射線の透過率を高める反射防止表面テクスチャを有する。単純化を目的として、以下においては、テクスチャとのみ称する。テクスチャが、被覆材上の任意の適当な場所上、特に、被覆材の基板側上、または被覆材の基板から遠い側上、または両側上に、配置されてよい。本説明の趣旨における被覆材の基板側とは、被覆材と基板とが互いに結合された場合に、基板に向けられた被覆材の側である。従って、被覆材の基板側とは、被覆材と基板との間に設けられたキャビティに向けられた被覆材の側である。被覆材の基板から遠い側とは、被覆材の基板側と反対側、すなわち、ハウジングの外側に向かう側である。テクスチャの領域は、IR−放射線の透過率が高められた領域であり、IR−放射線窓と指定されてもよい。
【0015】
IR−放射線の透過率を高めるために被覆材の基板側上に反射防止素子としてテクスチャを使用することにより、反射防止素子の真空適合性が、極めて良好であり、透過特性及び技術の成熟により、高い収率の150mmウェハー及び200mmウェハー上にこれらの素子を形成することが可能となる。反射防止表面テクスチャの構造が、例えば、アルゴンのようなプロセスガスを放出せず、IR−マイクロデバイスの製造の全てのプロセスフローと適合し、高プロセス温度耐性及び化学的不活性を有する。テクスチャが、高い精度及び良好な光学品質で設けられることが可能である一方、同時に、赤外線マイクロユニットが、ガス放出プロセスガス、特に、捕集が不可能なガスの悪影響を低減させるために十分な体積のキャビティ内に設けられることが可能である。換言すると、最先端の技術において課題となっている、反射防止表面テクスチャの品質の低減を引き起こすことなく、キャビティの体積を増大させることが可能である。付加的な分離フレームにより得られる大きなキャビティの高さが、多−反射によるゴースト画像の抑制に役立つ。本発明によると、反射防止表面テクスチャが、長波長の透過率を高め、一方、7μm以下の短波長を遮断する透過窓を提供しうる。
【0016】
一般的に、テクスチャが、隆起部(elevations)、好ましくはポスト、またはくぼみ部、好ましくは穴、またはそれらの両方によって形成される。これが、被覆材の材料内に、または材料の外にエッチングされてよい。有利には、テクスチャが、幾何パターンで設けられる。反射防止表面テクスチャが、少なくとも被覆材の基板側上に配置される場合が好ましい。赤外線放射線の透過率をさらに高めるために、反射防止表面テクスチャが、被覆材の両側上に配置されてもよい。この場合、被覆材の基板から遠い側上の、すなわち、被覆材の外側上の、反射防止表面テクスチャが、キャビティ内の被覆材の表面下の0〜50μmに設けられてよい。これが、スクラッチングの防止に役立つ。被覆材の基板側上の反射防止表面テクスチャの上表面が、好ましくは、キャビティの天井面と同じ高さである。被覆材の外側及び/または内側表面上の反射防止表面テクスチャの一部が、2μm〜5μmの範囲の短波長及び長波長の遮断に対して定義された領域で最適化されてよい。
【0017】
いずれの場合においても、被覆材のいずれの側上の反射防止表面テクスチャが、幾何学的に定義されたシリンダーによって、好ましくは400nm〜3000nmの間の直径、好ましくは5000nm未満の空間、及び好ましくは600nm〜1800nmのエッチング深さを有する六角形または正方形パターンに、形成されてよい。2,6μmのピッチ及び1,5μmのエッチング深さを有する六角形の周期で、1,57μmの直径を有する円形ピラーが、良好な性能を示す。シミュレーション結果から、1,4μmの辺長、2,04μmのピッチ及び1,35μmの高さを有する正方形ピラーが、最適である。一実施形態において、テクスチャ形状が、少なくとも800nmの深さでエッチングされる。
【0018】
非特許文献1によると、エッチングされたピラーアレイの有効屈折率neffが、基板材料の屈折率n及び全体のフィールド領域fに対するピラーfのフィルファクタf=f/fに依存する。ピラーの対称フィールドが、およそ、
【数1】

によって与えられる両方の入射偏光成分に対して、同じ有効屈折率neffを有する2−次元(交差した)長方形回折格子として考慮されてよく、正方形ピラーの体積分率f=a/b(円形ピラーに対して、フィルファクタまたは体積分率f=π(d/2)/b)であり、a及びbが、ピラー幅及びピッチである。図7を参照し、所望の体積分率fが、neff=√nを設定し、fに対して、式(2)を解くことにより、決定される。正方形及び六角形の周期性の同じピラー構造の体積分率が、因子fhexa=(2/√3)・fsquare≒1.15・fsquareによって異なる。
【0019】
回折格子の周期性bが、回折及び散乱を回避するために注目される、対象となる波長を遥かに上回らなければならない。この特性が、8μm以下の短い赤外線波長に対して望ましくない狭い透過域を生じさせる。基板中の回折の開始に対する最大のピッチが、式(3)によって与えられ、入射光角がθであり、基板の前段の媒体の屈折率がnである:
【数2】

【0020】
ボロメータデバイスの光学ハウジングが、30°以上の入射角の光を遮断し、注目される最小波長が、8μmである場合、典型的なピラーピッチが、約2μmである。
【0021】
垂直な入射光に対して、ピラーピッチが、b=2,34μm以上でなければならない。この周期に基づいて、有効屈折率neff=1,85を達成するために、ピラー直径a=1,67μmが最適である。エッチング深さについて、tは、光学厚さにおける4分の1波であり、
【数3】

λが、反射が最小になる位置での中心波長である。10μmの中心波長及びシリコン被覆材に対して、エッチング深さを、およそt=1,35μmとするべきである。
【0022】
さらに詳細なシミュレーションは、形状因子が、光学特性に最も影響を及ぼすパラメータであることを示している。これは、構造が、それらの形状内で、極めて正確に再生されなければならないことを意味し、これは本発明の利点の一つである
【0023】
既に上記において述べたように、反射防止表面テクスチャが、被覆材の両側上に設けられることが可能である。この際、被覆材の基板から遠い側上に設けられたテクスチャと、被覆材の基板側上に設けられたテクスチャと、が異なる場合、特に有利である。例えば、形状、各方向の寸法、特に、基板表面に直交する方向の寸法、配置及び隆起部及び/またはくぼみ部の組成の一つ、いくつかまたは全てが、異なることが可能である。2つの異なるテクスチャが、ステップフィルターとして機能する。本発明によって、ステップフィルターが、被覆材の材料自体、特にシリコンによる構造によって設けられることが可能となることは都合がよい。表面テクスチャの隆起部/くぼみ部の空間または所望の中心波長に対するその周期性により、被覆材を介したそれらの望ましくない挿入及び透過(短波長透過)を増大させるある特定の短波長に対して、回折及び散乱が生じることが出来ることを本発明者は発見した。わずかに異なる短波長透過特性を有する上部及び下部被覆表面上の2つの異なるテクスチャの組み合わせが、適用されることが可能であり、付加的な薄膜多−層コーティングを使用することなく7μm以下の波長の有効な遮断(高バンドパスフィルター)を達成することが可能である。
【0024】
シリコーン分離フレームが、被覆材と基板との間の結合材料として機能し、好ましくは、基板と被覆材との間のハーメチックシールを形成する。シリコーン分離フレームが、好ましくは、少なくとも一部において、多−結晶シリコンからなる。分離フレームの厚さにより、基板と被覆材との間のキャビティの体積が定義される。反射防止表面テクスチャに影響を与えるいずれの分断を生じさせることなく、分離フレームの厚さにより、マイクロ−ボロメータユニットをハウジングするキャビティの体積を増加させることが可能であることは本発明の利点である。製造の間に、付加的なプロセスにおいて、基板の被覆材側及び/または被覆材の基板側上に、分離フレームが、形成される。基板と被覆材との間の距離を定義し、従って、キャビティの体積を定義するために、分離フレームを使用することにより、高いIR−放射線透過率に役立つ、正確な形状を有する反射防止表面構造体を極めて正確に設けることが可能である。大きな体積のキャビティを設ける場合、テクスチャの正確性の質が、悪化しない。従って、良好な光特性を有し、同時に、大きなキャビティ体積を有する赤外線放射マイクロデバイスを、設けることが可能である。
【0025】
分離フレームが、シリコン、好ましくは、少なくとも一部が多−結晶シリコンから形成される。分離フレームに対するシリコンの使用により、シリコン被覆材及び/またはシリコン基板の場合、薄膜反射防止コーティング堆積物と比較して、被覆材上の熱機械応力が、低減される。利点を有する分離フレーム構造の付加的な堆積プロセスが、十分なウェハースループットを有する成熟したプロセスである。好ましくは、シリコン分離フレームが、反射防止表面テクスチャの周囲に構築される。シリコン分離フレームによって形成されたキャビティが、好ましくは、約1−1000μmの深さである。シリコン分離フレームが、好ましくは、20μm〜800μmの幅であり、最も好ましくは、80〜300μmである。好ましくは、シリコン分離フレームが、被覆材及び/または基板に対して、物質−物質(substance−to−substance)結合される。これは、付加的な接着剤、ガラスフリットまたは金属層が使用される必要がないことを意味する。また、好ましくは、シリコン分離フレーム及び被覆材及び基板との間の各々に、シリコン酸化物層が存在しない。
【0026】
赤外線マイクロユニットが、赤外線センサー、赤外線マイクロ−ボロメータ、赤外線マイクロ−ミラーまたは赤外線放射線放射マイクロ−デバイスであってよい。特に、これが、一般的なマイクロ−ボロメータセンサーアレイであってよい。これが、被覆材、基板及び分離フレームによって画定されたキャビティ内に配置され、環境に対してハーメチックシールされる。キャビティ内が、真空または少なくとも極めて低圧雰囲気とされる。本発明の好ましい実施形態によると、赤外線マイクロユニットが、好ましくは、被覆材の反射防止表面テクスチャと反対側の、基板上に配置される。
【0027】
付加的なIRマイクロユニット、特に、赤外線センサー素子が、各デバイスのIRマイクロユニットのそばに、特に、IRマイクロボロメータユニットのそばに、配置されることが可能である。付加的なIRマイクロボロメータユニットが、必ずしも、8μm〜12μmの赤外線放射に曝されない。これらの特定のセンサー素子により、キャビティ真空チェック、改善されたバックグラウンド検出及びさらなる機能等のデバイスの自己診断機能が可能となる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によると、薄膜反射防止コーティングが、被覆材の基板側上の反射防止表面テクスチャと反対側の被覆材の基板から遠い側上に配置される。好ましくは、薄膜反射防止コーティングが、5,5または8μmよりも長い波長に対し、高い透過特性を有する。薄膜反射防止コーティングが、このような短波長を除去するフィルターとして機能することが可能であり、例えば、太陽光のある部分をフェードアウトさせることに起因して、画質に有利である。キャビティ内への放出ガス効果を回避するために、被覆材の基板側上に、すなわち、赤外線マイクロデバイスをハウジングするキャビティと向かい合う被覆材の一側上に、反射防止表面テクスチャを設けることは有利であるが、被覆材の基板から遠い側上における、反射防止層の使用は、キャビティ中の真空の質に影響を及ぼさない。特定の実施形態によると、GeZnS多−層膜が、短波長放射の良好な抑制を提供することが可能である。好ましくは、薄膜反射防止コーティングが、基板の屈折率の平方根、
n=√n
と等しい屈折率を有する4分の1波長層スタックであり、ここで、nが、基板の屈折率である(例えば、シリコン λ=10μmに対してn=3,42)。有利には、反射防止膜コーティングと反射防止表面テクスチャのどちらも、複屈折ではなく、これは、表面透過率が、入射光の両偏光成分に対して同じであることを意味する。
【0029】
本発明の他の実施形態によると、被覆材の基板から遠い側が、赤外線遮断層でコーティングされてよい。この層が、反射防止表面テクスチャと反対側の領域を除く被覆材の全体上に設けられてよく、これは、IR−放射線窓を除くことを意味する。赤外線遮断層が、TEOS−層(オルトケイ酸テトラエチル)のようなシリコン酸化物層または例えばAlのような金属層であってよい。赤外線遮断層が、IR−放射線窓の領域内に配置されないため、これが、IRマイクロデバイスの画質のような光特性を高めうる光ダイヤフラムまたはレンズ開口を提供する。
【0030】
真空の質を高めるために、さらなる実施形態によると、ゲッター材料が、ハウジングキャビティ中に設けられてよい。しかしながら、小さな反応性表面のため、典型的な薄膜ゲッターが、極めて制限されたゲッター能力のみを有する。従って、被覆材の基板側の一部が、任意のテクスチャで構造化される場合、テクスチャが、ゲッター活性金属膜でコーティングされることが有利である。シリコン中のトレンチ構造の垂直側上にゲッター膜を堆積することにより達成された誘導柱状結晶成長によって実現された有効なゲッター表面の増加によって、蒸着薄膜ゲッターのゲッター能力が改善されることが可能である。このようなゲッター配置が、参照により本明細書に組み込まれる特許文献3により周知である。任意のテクスチャが、基板または被覆材の上にまたはその中に、第一微細構造として形成される。好ましくは、任意のテクスチャが、エッチングすることにより、特に、例えばCF及びSFをのような活性ガスで、交互にドライエッチングすることにより、形成される。異方性ドライエッチングまたは高速エッチングが、特に適している。また、任意のテクスチャが、レーザー彫刻によって形成されることが可能である。任意のテクスチャ構造が、基板/被覆材中にまたは基板/被覆材に形成されることにより、この構造が、基板−/被覆材平面に関して、基本的に垂直または傾いた壁または表面を備える。これらの傾いたまたは垂直な領域が、ゲッター材料でコーティングされる表面を構成する。任意のテクスチャを設けることにより、基板/被覆材の表面が拡大され、平坦な基板−/被覆材表面と比較して、さらなるゲッター材料が、堆積されることが可能である。
【0031】
ゲッター材料が、第二微細構造の形で、任意のテクスチャの上にコーティングされてよく、任意のテクスチャのそばの第二微細構造が、有効なゲッター表面をさらに拡大する。任意のテクスチャによる拡大に加え、ゲッター材料自体の第二微細構造が、有効なゲッター表面をさらに拡大する。
【0032】
ゲッター材料が、蒸着またはスパッタリングによって適用されることが可能である。特に、任意のテクスチャの垂直または傾斜表面上において、2つの異なる反応性ガスを循環/交互に用いるドライエッチングの場合、波または突起状隆起部及び/またはくぼみ部が形成されうる。これらの隆起部/くぼみ部は、ゲッター材料が、有利に堆積される核生成点として機能し、ゲッター材料が、第二微細構造を提供する薄層構造を形成する。隣接する薄層間の距離が、ガス変更頻度に応じて60〜400nmの範囲にある。適当なゲッター材料が、Ti、Cr、Zr、Al、V、Co、Hf、Ba、Fe、Laのような金属を含み、特に、例えば、TiAl、ZrAl、TiSi、TiZrまたはZrCoのようなこれらの金属の任意の所望の合金または清浄金属を含む。多孔性SiOの使用が、特に有利である。2つまたはそれ以上の清浄金属または合金または定義された順序の異なるゲッター材料層を設けることも可能である。
【0033】
他の実施形態によると、シールフレーム金属化部が、分離フレーム上に設けられる。好ましくは、シールフレーム金属化部が、約1μmの薄膜層から形成される。好ましくは、金属化部が、Au、AuSn、Auln、またはAu/はんだ、またはそれらの組み合わせを含む。好ましくは、密封後のキャビティの内側の全ガス圧が、1・10E−4mbar以下であり、金属シールフレームの達成された密封性が、10E−14mbar l/sの標準的な空気漏れ速度よりも良い。この低い真空レベルが、センサーアレイの素子間のいずれのクロストークを有利に低減させる。キャビティシールが、電気接触パッドを備えた周辺領域によって囲まれる集積読み出し回路の活性表面の一部上に形成されることが可能である。
【0034】
金属シールフレーム材料が、分離フレームの両側に設けられてもよい。この付加的なシールフレーム材料が、マイクロデバイスの封止内の過度の金属融液のぬれの拡散を制御するために使用されることが可能である。分離フレームの側部におけるシールフレーム材料が、過度のはんだを吸収するバッファ層として機能する。従って、分離フレームの側部におけるシールフレーム材料が、液体はんだ材料の液滴に対して、極めて小さなぬれ角を有するべきである。一般的に、このような材料が、付加的に、液体はんだ材料に対してある収容力を有し、これは、“吸い込み(sucked in)”であり、これが、付加的に、所望の効果に貢献する。このようなバッファが、参照により本願明細書に組み込まれる特許文献4により周知である。さらなる実施形態によると、金属被覆シールが、集積読み出し回路の一部上に配置される。全ての必要な電気的相互接続が、ウェハーパッシベーションの下でシールフレームを通過し、密封されたハウジングの外側の個々の結合パッドを接続する。
【0035】
以下の説明から明らかとなるように、また、本発明が、IR−マイクロデバイス及びウェハーレベルでのそれらの製造方法に注目する。従って、また、本発明が、本発明による赤外線放射マイクロデバイスを備えたマルチハウジングウェハーユニットに注目する。このようなマルチハウジングウェハーユニットが、ウェハーダイシングによる、ウェハーレベルでの赤外線放射マイクロデバイスの製造に使用されることが可能である。IR−マイクロデバイスの全体に関して、本発明の説明において行われた任意の開示は、マルチハウジングウェハーユニットについても注目する。
【0036】
方法の側面について、本発明は、好ましくはウェハーレベルでの、赤外線放射マイクロデバイス用のハウジングの製造方法に注目し、該ハウジングが、被覆材及び基板を備え、このプロセスが、次のステップを含む:
− 表面テクスチャを形成するためのパターンで被覆材をマスキングするステップ、
− 被覆材の有効屈折率を低減させるくぼみ部及び/または隆起部を備えた表面テクスチャを有する領域を形成するために、被覆材をエッチングするステップ、
− 基板の被覆材側または被覆材の基板側上にシリコン分離フレームを設けるステップ、及び
− 基板、被覆材及び分離フレームが、赤外線放射マイクロデバイスをハウジングするためのキャビティを形成するように、好ましくは高真空下で、基板及び被覆材を、中間分離フレームに結合するステップ。
【0037】
本説明の一部及び特許請求の範囲は、単一のIR−マイクロデバイスに基づくハウジングの製造方法を対象としているが、本発明は、ウェハーレベルでのマルチハウジングウェハーユニットの製造方法にも注目する。この場合、基板及び/または被覆材が、各々、基板ウェハー及び被覆材ウェハーの形で設けられる。マルチハウジングウェハーユニットが、付加的なプロセスで設けられる少なくとも一つの分離フレームによって互いに結合される基板ウェハー及び被覆材ウェハーを含む。基板ウェハー、被覆材ウェハー及び分離フレームによって、一つまたはそれ以上のIR−放射線マイクロユニットをハウジングする少なくとも一つの好ましくは多数のキャビティが形成される。各IRマイクロユニットに対して有利に、別個の分離フレームが設けられる。換言すると、マルチハウジングウェハーユニットが、以下のIR−放射線マイクロデバイスの製造の間に、個別化されることが意図されている多数のIR−放射線マイクロデバイス(ボロメータセンサー、マイクロミラー、IRエミッタ)を備える。便宜上、以下の説明において、また、使用される被覆材及び基板との表現が、各々、被覆材ウェハー及び基板ウェハーとの意を有する。
【0038】
本発明による方法により、平坦な被覆材表面の材料から反射防止表面テクスチャを第一に形成し、その後、付加的な堆積プロセスによって分離フレームの構造に構築することが可能である。付加的な堆積プロセスによって、付加的な材料が、被覆材表面または基板表面上に付着/適応され、結合される別個の基板によって付着されまたは堆積膜層として適応される被覆材/基板表面に対して隆起した表面を有する分離フレームを形成する。これは、改善された赤外線挿入のためのウェハー表面修正後に、キャビティが形成されることが可能であることを意味する。キャビティの体積及び被覆材と基板との間の距離が、反射防止表面テクスチャが設けられた後の分離フレームによって定義されるため、反射防止表面テクスチャの品質及び正確性を低減させうる付加的なステップが必要とされない。反射防止表面テクスチャが被覆材上に設けられた後、次の処理ステップの間におけるテクスチャの品質の低減を防ぐ保護用エッチング停止層が設けられることが可能である。このため、テクスチャが、その幾何的な形及び形状、従って、その所望の反射防止特性を維持する。さらに、予め成形されたキャビティ内ではなく、平坦な被覆基板上に反射防止表面テクスチャを設けることが可能であり、このことが、反射防止表面テクスチャの品質、特に、マイクロデバイスの画質をさらに高めるが、これは、テクスチャが、エッチング手段の注目している層内に形成されることが可能であるためである。好ましくは、シリコン分離フレームが、エピタキシャル法で、被覆材及び/または基板材料上に成長する。
【0039】
好ましくは、反射防止表面テクスチャが、少なくとも、被覆材の基板側上に設けられる。ハウジングの説明において既に述べたように、これが、被覆材の両側上に設けられてもよい。被覆材の基板から遠い側上のテクスチャが、例えば、高速気相エッチングによって、キャビティ内で、被覆材の表面下の0〜50μmまでエッチングされてよい。好ましくは、被覆材の基板から遠い側上のテクスチャが、ポストとして、被覆材の基板側上のテクスチャと異なる隆起の、または、穴として、被覆材の基板側上のテクスチャと異なるくぼみの定義された幾何パターンでエッチングされる。いずれの場合においても、被覆材のいずれの側上のテクスチャが、六角形または立方体のパターンに、幾何学的に定義された円柱をエッチングすることにより形成されてよく、好ましくは400nm〜3000nmの間の直径、好ましくは5000nm未満の間隔、好ましくは600nm〜1800nmのエッチング深さを有する。一実施形態において、テクスチャ形状が、少なくとも800nmの深さまでエッチングされる。
【0040】
センサーデバイスハウジングが、好ましくは金属シール材料を有する各チップ(IR−マイクロユニット)の周囲の分離フレームの準備下における改善された赤外線反射防止表面を備えた赤外線透過材料の被覆材のような被覆材ウェハーを使用し、ウェハーボンディングによって実施されることが可能である。被覆材が、位置合わせされ、高真空または特定のガスまたはガス混合物とすることが可能である制御された雰囲気下において基板としての基板ウェハーと結合される。これによって、好ましくは、各IR−マイクロユニットの周囲に、定義されたキャビティ体積が形成され、最大のセンサー感度を得るための理想的な作業環境を提供する。
【0041】
好ましくは、シリコン分離フレームが、被覆材及び/または基板と物質−物質結合される。好ましくは、付加的な接着剤、ガラスフリットまたは金属層が使用されない。さらに好ましくは、シリコン分離フレーム及び被覆材及び基板の各間に、シリコン酸化物層が存在しない。好ましくは、基板及び被覆材ウェハーが、結合の直前にプラズマ−活性され、結合部が形成され、圧力下及び200℃〜450℃の範囲の適用温度下でアニールされる。良好な結合部形成及び密封性のために、ウェハーの反り、全厚の変化及び粗さに関して、基板及び被覆材の両方の表面品質が優れていることが有利である。3nmよりも優れた結合部における合わせ表面の表面粗さが好ましく、さらに好ましくは、約1nmの粗さが使用されることが可能である。
【0042】
本発明の一実施形態によると、シリコン分離フレームの成長領域を画定する構造化TEOS層で被覆材または基板をマスキングし、シリコン分離フレーム用の材料を堆積し、定義されたパターンの被覆材または基板におけるTEOS層を除去することにより、分離フレームが、シリコン分離フレームの形で設けられる。この意味において、“構造化TEOS層”は、TEOS層が被覆材を完全に覆わないが、シリコン材料成長が生じない被覆材のそれらの領域のみを覆うことを意味する。
【0043】
厚い分離層が、2つの異なる形のシリコンの低圧化学気相成長法(LP−CVD)によって堆積されることが可能である。露出された基板表面材料に応じ、前駆ガス及びバックエッチング及び核生成プロセスが、第一に、基板に適用され、全体のシリコン層または選択的なシリコン成長(リング形等)が達成される。全体の分離層の堆積後、エッチングプロセスが、定義された高さの個々の分離フレームを形成する。シリコン分離フレームが、直接的に設けられることが可能であり、センサーウェハー上の金のフレームとの共晶の金/シリコンシール結合を形成する。必要な接合温度を下げるために、付加的な金属のAuSnシール材料が、分離フレーム上に堆積されることが可能であり、共晶の金/すずシール結合を形成する。この技術が、シリコン以外の他の材料の分離フレームに対しても適用されることが可能である。
【0044】
あるいは、周知のウェハーボンディング技術を使用し、被覆材ウェハーまたは被覆材の内側にウェハー基板を結合することにより、分離層が、設けられることが可能である。特に、低減された有効屈折率の領域を提供する表面テクスチャを備えた被覆材上に非構造化TEOS層を堆積し、TEOS層上に好ましくはエピタキシャル反応器内でCVDシリコン層を堆積し、分離フレームを定義するパターンでCVDシリコン層をマスキングし、CVDシリコン層をエッチングし、及び表面テクスチャを露出させるように被覆材ウェハーからTEOS層を除去することにより、分離フレームが、シリコン分離フレームの形で設けられてよい。本発明による非構造化TEOS層が、完成した被覆材を覆う。
【0045】
また、あるいは、低減された有効屈折率の領域を提供する表面テクスチャを備えた被覆材上に非構造化TEOS層を堆積し、シリコンウェハーをTEOS層に結合し、分離フレームを定義するパターンでシリコンウェハーをマスキングし、シリコンの材料から分離フレームを形成するようにシリコンウェハーをエッチングし、及び表面テクスチャを露出させるように被覆材からTEOS層を除去することにより、分離フレームが、シリコン分離フレームの形で設けられてよい。エッチング停止層を提供することは、TEOS層の一つの利点である。しかしながら、TEOS層に加え、例えば、LP−CVD酸化物、PE−CVD酸化物、PE−CVD窒化物または熱的酸化等の、エッチング停止層に対する他の可能性がある。TEOSが、いずれの残余を有することなくドライ−エッチングされることが可能である。シリコン分離フレームの付加的な堆積の利点は、被覆材または基板材料上において極めて低い応力下で、極めて高いフレームが設けられることが可能であることである。基礎構造の費用を下げるために、既存の基礎構造が使用されることが可能である。単結晶シリコンの使用により、透過を低減させることが可能である。
【0046】
上記の異なる可能性の上述のTEOS層の使用により、表面テクスチャ領域上にいずれのシリコン残余物を残すことなく、シリコン分離フレームが、堆積されることが可能であり、その品質が、悪影響を受けない。例えば、テクスチャ領域内における付加的なシリコンの酸化が、防止されることが可能である。
【0047】
既に上記において述べたように、テクスチャが、被覆材上の任意の適当な位置上に、特に、被覆材の基板から遠い側上または両側上に、配置されてよい。本発明の好ましい実施形態に従い、被覆材の基板から遠い側上にテクスチャを設けるために、本方法が、低減された屈折率の領域と反対の基板から遠い側上の領域を除き、被覆材をマスキングするステップと、基板から遠い側上のTEOS層をエッチングするステップと、キャビティを形成するように基板から遠い側上の被覆材の材料をエッチングするステップと、キャビティの内側においてパターンで被覆材をマスキングするステップと、パターンに従う表面テクスチャを有する領域を形成するようにマスクされた被覆材をエッチングするステップと、の付加的なステップを含み、表面テクスチャが、被覆材の有効屈折率を低減させるくぼみ部及び/または隆起部を備え、低減された有効屈折率の領域を提供する。分離フレームを形成する間に、TEOS層が、被覆材上に設けられる場合に、これが特に有利であるが、これは、このようなTEOS層が、通常、被覆材の各側上に堆積されるからであり、分離フレームを設けることを目的として既に存在するTEOS層が、同時に、被覆材の基板から遠い側上にテクスチャを設けるために使用されてよい。
【0048】
有利には、上述の各方法が、好ましくは、アルゴンを含まない蒸着プロセスによって、基板または被覆材上にゲッター材料を適用する付加的なステップを含んでよい。また、ゲッター材料を適用する方法に関し、特許文献3が参照され、本願明細書に組み込まれる。
【0049】
一実施形態において、本方法が、低減された屈折率の領域と反対の基板から遠い側上の領域(IR−窓を除くことを意味する)を除き、被覆材をマスキングするステップと、基板から遠い側上のTEOS層をエッチングするステップと、キャビティを形成するように基板から遠い側上の被覆材の材料をエッチングするステップと、キャビティの内側においてパターンで被覆材をマスキングするステップと、パターンに従う表面テクスチャを有する領域を形成するようにマスクされた被覆材をエッチングするステップと、の付加的なステップを含んでよく、表面テクスチャが、被覆材の有効屈折率を低減させるくぼみ部及び/または隆起部を備え、低減された有効屈折率の領域を提供する。
【0050】
本方法が、金及びすずの電気めっきにより、シリコン分離フレーム上にシールフレーム金属化部を設ける付加的なステップをさらに含んでよい。特に、熱蒸着による、金属接着促進層、好ましくは、金属接着薄膜促進層の全体的な金属堆積、熱蒸着またはスパッタリングによる、電気的電極層、好ましくは、電気電極薄膜層の堆積のステップと、選択的な金属堆積のために分離フレームをマスキングするステップと、すず被覆材層及び/または下に任意のニッケルまたは銅キャリア層を備えた金含有合金−層または金−層を電気めっきするステップと、適用された金属堆積物を有する分離フレームをマスキングするステップと、接着促進層を露出するように露出された電気的電極層をエッチングするステップと、重複及びゲッター領域を有する金属堆積物を付加的にマスキングするステップと、被覆材を露出させ、ゲッター領域として接着促進領域を画定するように、露出された接着促進層をエッチングするステップと、含む方法によって、シールフレームが、設けられてよい。金属接着促進層が、好ましくは、Ti、Cr、W、TiW、Mo、Ta、NiCrまたはこれらの混合物を含む。電気的電極層が、好ましくは、Au、Cu、Agまたはこれらの混合物を含む。一実施形態によると、金属堆積物が、キャビティを形成する分離フレームの両側にも設けられ、これらの両側を濡らし、ハウジングを密封する間における過度のはんだを吸収するために使用される上述のバッファ層を設ける。熱蒸着の代替手段が、金属薄膜層のスパッタリングであってよい。
【0051】
Tiを含む金属接着層の場合、Tiが、ゲッター材料として機能しうる。従って、Tiに基づく接着促進層が、分離フレームの上であってデバイスのゲッター領域とすることが意図される領域に対して堆積されてよい。その後、Ti−被覆分離フレーム及び“ゲッター領域”が、マスクされ、以下のエッチングプロセスの後で、Ti含有コーティングが、これらの領域に残る。
【0052】
本方法が、被覆材上に、特に、被覆材の基板から遠い側上に、Ge−ZnS層を堆積するステップをさらに含んでよい。Ge−ZnS層が、ある波長を削除する干渉フィルターとして機能することが可能である、ハイパスフィルターとして機能することが可能である。複数の波長を除去するために、複数のGe−ZnSの層が、異なる層厚(最大50)で設けられてよい。
【0053】
キャップウェハーの上表面が、IR窓領域を除き、IR遮断層で完全にコーティングされてよい。このIR遮断層が、IRマイクロデバイスの画質等の光学特性を高めうる光学的な絞りまたはレンズ開口として機能することが可能である。IRマイクロデバイスの製造の間に、TEOS層が、被覆材に適用される場合に、このTEOS層が、IR遮断層として機能してよく、好ましくは、さらなる製造の間に移動されない。
【0054】
本方法が、ウェハーレベルで実施される場合、本方法が、基板ウェハー及び/または被覆材ウェハーをダイシングする付加的なステップを含んでよい。特に有利には、ウェハーダイシングが、基板ウェハーをダイシングすることなく接触パッドを露出させるように第一に被覆材ウェハーをダイシングすることにより実施される。被覆材ウェハーをダイシングした後で、基板ウェハーの配置された全てのマイクロデバイスの接触パッドが、暴露される。ここで、接触されることが可能であり、一種の品質制御のようなマイクロデバイスの性能の測定(電気デバイス特性評価)を実施する。完成したマルチハウジングウェハーユニットが、配置され、制御デバイスに対して調節されるため、ウェハーの品質制御が、特に有利である。一旦調節されると、品質制御を容易にする付加的な調節ステップを有することなく、マルチハウジングウェハーユニット上のすべての単一のIRマイクロデバイスが、制御されることが可能である。電気デバイス特性評価に対して、ダイシングされた被覆材ウェハーを備えたダイシングされていない基板が、試験ガス雰囲気に露出されることが可能である。この後、好ましくは、赤外線マイクロユニットの熱絶縁特性を検出することにより、各IR−マイクロデバイスの真空レベルが、測定されることが可能である。この方法により、漏れ(leaking)デバイスが、識別されることが可能であり、基板ウェハー上におけるそれらの位置が、後の排除のために記憶されることが可能である。電気デバイス特性評価を実施した後で、基板ウェハーが、ダイシングされ、デバイスに個別化される。
【0055】
本発明を説明し、本処理を説明するために、好ましい実施形態が、添付の図面を参照し、非−制限的な実施例のみを目的として、ここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一つの好ましい実施形態の個別のデバイスの切断側面図を示す。
【図2】本発明の一つの好ましい実施形態の個別のデバイスの切断側面図を示す。
【図3】本発明の一つの好ましい実施形態の個別のデバイスの切断側面図を示す。
【図4】本発明の一つの好ましい実施形態のキャップウェハー及びデバイスウェハーダイシングプロセスの順序の切断側面図を示す。
【図5】(キャップ前側プロセスを有さない)本発明による検出器パッケージの製造方法のフローチャートを示す。
【図6】波長範囲にわたる図1〜3の赤外線窓の透過率のグラフを示す。
【図7】非特許文献1による、式(2)から計算された偏波−無依存四角柱構造に対する予測屈折率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明による赤外線マイクロ−ボロメータアレイセンサー100の実施例を示す図1を参照する。図1が、代表的なパッケージ構造のセンサー100の断面を示す。100mm以上の直径、少なくとも300μmの厚さを有する2つの丸いシリコンウェハー101及び102が、使用される;しかしながら、ゲルマニウム等の他の赤外線透明基板材料が適切である。被覆材101の材料中における赤外線吸収を低減させる被覆材101を製造するために、両側が研磨された、1Ohm・cm以上の抵抗、低結晶欠陥密度及び低酸素量を有する高抵抗シリコン被覆材ウェハーが好ましい。
【0058】
被覆材101と基板102との間に配置された分離フレーム140の使用により、キャビティ116が、形成される。分離フレーム140が、例えばIR−マイクロユニットに対するボロメータセンサー120、121及び122、並びにゲッター層115を包囲する。
【0059】
分離フレーム140が、シリコンから形成され、垂直高さの少なくとも一部に対して丸い側壁を有する。シリコンフレームの結晶構造が、長さ及び幅のフレーム形状にわたって、エピタキシャル単結晶シリコンから、部分的多結晶または多結晶まで変化しうる。分離フレーム140と、シリコン被覆材101との間の界面層141が、存在してよく、TEOS、SiO、SiNまたはシリコン核生成層等の誘電膜から構成される。表面テクスチャ195、198及び115の微細構造生成が、被覆材101上で実施された後で、シリコン分離フレーム140が、付加的なプロセスにおいて堆積される。分離フレームの高さが、1μm〜500μmの間で変化することが可能であり、幅が、20μm〜数mmの間で変化することが可能であり、この実施例において、約180μmの幅及び約70μmの高さが選択される。
【0060】
金属シール結合部150が、分離フレーム140を、センサー基板102に接合する。シール結合部が、集積読み出し回路124の一部の上部上に位置される。ハーメチック金属シールが、異なる冶金範囲で形成されることが可能であり、過渡的液相形成(transient liquid phase formation)上の軟質はんだ合金から、金属間拡散結合、熱圧着結合、共晶接合までである。2つの異なる共晶技術が、好ましい:約300℃での共晶金−すずウェハーボンディング及び約400℃での共晶金−シリコンウェハーボンディングである。開示される技術が、本出願の発明者によって開発され、特許文献4に開示された従来技術を活用し、これによると、過剰の液体溶融のためのシールフレームの周囲に濡れバッファを有し、265℃〜450℃の間の温度で、金属シール結合に基づき、キャビティ内の微細構造をハーメチックシールするために、被覆材ウェハーが、使用されることが可能である。両方の場合において、電気めっきにより、好ましくは約3μmの厚さで、リング型の金が堆積される。電気めっきにより、好ましくは少なくとも約2μmの厚さで、すずの層が堆積される。この技術が、封止されるセンサー部品の温度耐性に大きく依存する。両方の結合技術が、高真空環境中で実施される。シール形成後、ハーメチックシールが、キャビティ116の内側の真空を維持し、環境からデバイスを保護する。
【0061】
被覆材の下側の周囲が、キャビティの天井に対して、800nmから60μmの範囲の陥凹領域118を有し、キャップダイシングプロセス中における高いプロセス耐性を可能にする。この実施例において、約20μmの陥凹深さが形成される。被覆材の外側表面が、マーキング領域131及び赤外線窓領域117にのみ開口を有する赤外線バリア層130でコーティングされる。スクラッチ保護のために、赤外線窓117が、被覆材の外側表面に対してくぼまされる。陥凹深さの許容範囲が、0μm〜50μmの間である;いくつかの応用において、必ずしも陥凹部が必要とされなくてもよい。この実施例において、赤外線窓に対し、約8μmの陥凹深さが好ましい。赤外線窓117が、ボロメータアレイ120及び付加的なボロメータ121の上に配置され、好ましくは、センサーアレイよりも0μm〜200μm大きく、ウェハーボンディングプロセスの間におけるアライメント耐性を補う。この実施例において、窓の各側部の60μmのオーバーサイジングが好ましい。
【0062】
赤外線窓117内の陥凹表面が、ポストの定義されたテクスチャ190で構造化される。シリコン基板101内に、ポスト191が、反応性イオンエッチングによってエッチングされ、シリコン表面の有効屈折率を下げる材料密度を低減させる。正確なエッチング形状が、シリコン被覆材を通過する選択された中心波長及びポストの形に依存する。ポストが、全く同じエッチング深さ、及び、好ましくは、同じ側壁角を有し、これが、この実施例において、10μmの中心波長に対して、1300〜1700nmの間の深さ、及び、約90°の側壁角である。ポストの外形が、円形、正方形、星形形状及び他の形から、任意に選択されることが可能であるが、この実施例では、全く同じ上表面レベルを有する下部の底部表面から直立して約1500nmの直径の円形円筒状ポストが好ましい。ポストが、定義された間隔192を有し、この実施例において、約1100nmである。
【0063】
ポスト上部領域190で位置合わせされたポストの別個の領域195が、被覆材の内側上である。領域195内のポスト196が、ポスト領域190と同じ幾何学的寸法、特性、及び間隔197を有してよい。他の実施例において、領域195内のポストが、異なる形状に設計されてよく、7μm以下の短波長を遮断するが、これらの形状が、ポスト195の寸法とほんの少しだけ異なりうる。特別な場合において、2μm〜5μmの範囲の選択された短波長に対して最適化された異なる透過特性を有するポストの付加的領域198が、ポストの領域195のそばに形成され、専用のマイクロボロメータ121と垂直に位置合わせされ、高度な検出機能を可能にする。
【0064】
パッケージ被覆材100内のボロメータアレイ120が、集積読み出し回路124を覆う最終的なウェハー表面安定化部123の上部上のシリコンの半導体基板102上に製造される。センサー画素が、長方形マトリックスの行及び列に整列され、いまだ、赤外線放射に露出された領域内のボロメータアレイ120のそばに、行または領域を形成するように、付加的な画素121が存在してよい。一つまたはそれ以上の個々のボロメータセンサー122が、赤外線放射に露出されない領域内に位置されてよく、真空計またはバックグラウンドモニターとして使用される。これらのセンサーが、アレイ120内のボロメータセンサーと異なる設計を有してよく、キャビティの内側の残留大気による熱的結合に対するそれらの感度を高める。ほとんどの用途において、アレイ120が、室温または大気温度で、非冷却で操作される。−50℃から最大+80℃の間の温度範囲での操作が、可能である。熱機械的応力を最小化する純シリコンに基づく構造の使用により、パッケージ被覆材100が、0K付近の温度での操作をも可能にする。従って、苛酷な環境での操作が、可能である。集積読み出し回路124が、ウァームボディからの吸収入射赤外線放射により、各ボロメータ内の抵抗変化を測定し、信号を処理し、最終的なウェハー表面安定化部123の下で、信号を、分離フレーム140の外側の電気的接触パッド160に配線する。
【0065】
図2は、本発明の他の実施形態としての赤外線マイクロ−ボロメータアレイセンサー100の代表的なパッケージ被覆材構造の断面である。図1〜3の図において、部品を特定するために、同一の参照符号が、使用される。この実施例において、陥凹赤外線窓117領域を除き、被覆材の外側表面が、バリア層130でコーティングされる。パッケージ被覆材の全体表面が、薄膜赤外線反射防止コーティング132でコーティングされる。説明されるこの実施例において、好ましい反射防止コーティング132が、約1μmの層厚であり、7〜8μm以下の短波長放射線を遮断するように最適化されたGe−ZnSの多−層膜システムである。しかしながら、本発明の趣旨において、AlNまたはダイヤモンド様炭素のような異なる代替の単一層コーティングが、設けられることも可能である。
【0066】
図3は、本発明によるさらなる他の実施形態としての赤外線マイクロ−ボロメータアレイセンサー100の代表的なパッケージ被覆材構造の断面である。この実施例において、シリコン分離フレーム145が、シリコン基板102以外の異なる結晶格子の界面層を有さない単結晶である。パッケージ被覆材を介した空気中のヘリウムの自然分圧からのヘリウム透過が、最小化されることが可能であるため、この構造が、キャビティ116の内側の高真空を達成し、維持するために極めて有利である。また、例えばヘリウムクライオスタットのように、デバイスが、ヘリウムを含む人工ガス環境で操作される場合に、この特性が、有益である。
【0067】
図4は、被覆材ウェハー及びデバイスウェハーのダイシングを可能にする本発明の一実施形態としての、被覆材ウェハー及びデバイスウェハー構造200の断面側面図である。本発明の趣旨において、被覆材ウェハー101が、ウェハー結合ステップ後まで、接触パッド160に対する直接的な電気的接続を設けるための開口穴を有さない。好ましい実施形態として、被覆材ウェハーが、各分離フレームの周囲に陥凹周辺領域230を提供し、分離フレームの高さと、陥凹深さ118と、金属シールフレーム150の高さと、の和によって与えられる陥凹高さを有する。この実施例において、被覆材ウェハーの陥凹周辺領域の内側表面が、センサーウェハー102の表面よりも約93μm〜98μm上側である。被覆材ウェハー220の一部が、ダブルラインダイシングプロセスで切断され、接触パッドへの接続を形成する。被覆材ウェハーダイシングプロセスが、回転ダイシングブレード210を用いて実施され、該回転ダイシングブレード210が、ハーメチックシールフレームと接触することを回避するために、センサーウェハー表面の上の定義された高さで、各センサーデバイスの周囲の分離フレームに対してオフセットする定義された外側で作動する。ダイサーの冷却及び洗浄水ジェットを用いて、部分220が、除去される。ダイシング路240内で、回転ダイシングブレード210を用いて、第二ダイシングステップが、実施され、センサーウェハーが、個々の密封されたマイクロ−ボロメータアレイセンサーに個別化される。
【0068】
図5は、本発明の選択的なエピタキシャルシリコン堆積を使用する一実施形態としての、図1〜3の検出器パッケージ被覆材100の、キャビティ側の形成、密封及びウェハーダイシングの方法300のフローチャートである。ブロック310において、平坦なシリコンウェハーの表面を、赤外線窓117と位置合わせされた多数の個々のテクスチャパターン195で覆うために、レジストマスクが、設けられる。
【0069】
ブロック320において、シリコン被覆材101のキャビティ天井上における有効屈折率を低減させるポスト195を有する領域(反射防止表面テクスチャ)を形成するために、パターンが、定義された深さまでエッチングされる。好ましくは、異方性反応性イオンエッチング(RIE)プロセスを用いて、エッチングが、実施される。本発明による実施例において、ポストの形状に応じ、及び10μmの中心波長に基づき、1,3μm〜1,6μmの間のエッチング深さが好ましい。
【0070】
ブロック330が、構造化TEOS層を堆積し、シリコン分離フレーム140の選択的な成長領域を画定する無機マスクを定義する。シリコンが、基板ウェハーの露出されたシリコンの領域にのみ堆積される。TEOS層が、ポストの領域、ゲッター領域に対する表面トポグラフィ、及び全てのリソグラフィマークのような、ウェハーの全ての詳細な構造を、コンフォーマルに覆い、保護する。この実施例において、TEOS層が200nmの厚さである。
【0071】
ブロック340が、シリコン分離フレーム140の堆積を示し、キャビティの深さ及びシールフレームの幅を定義する。大部分の完成したフレーム領域におけるシリコン成長メカニズムが、層応力を最小まで低減させるエピタキシャルである。極めて厚い分離フレームを、成長させることが可能であるが、この実施例が、分離フレーム高さを約70μmに制限し、高いウェハースループットを達成する。
【0072】
ブロック350が、被覆材のキャビティ側上のTEOS層の除去を示し、ポスト領域195を有するウェハー表面101を、露出させる。
【0073】
ブロック360において、チタン/金めっきベース金属化部及び付加的なチタンベースゲッター金属化部115が、アルゴンを含まない蒸着プロセスによって、ウェハー上に設けられる。めっきベースの好ましい層厚が、約30nmのチタン及び約100nmの金である。ゲッター層の好ましい層厚が、約500nmである。
【0074】
ブロック370において、厚いレジストマスクが、ウェハー上に設けられ、金/すずシールフレーム金属化部が、電気めっきによって、シリコン分離フレームの上のみに、堆積される。この実施例において、第一に、6μm未満の厚さの金が、めっきされ、次に、3,5μm未満の厚さの薄層が続く。
【0075】
ブロック380において、ウェハーボンディングを可能にする高真空下で、ウェハーボンディングが実施される。ウェハーが、互いに整列され、約100μmの間隔で保持され、これらが、共に圧力を受け、シール150が、温度及び静的力下で形成される前に、約5・10E−5mbarまで全キャビティが排気される。この実施例において、共晶金/すず結合が、約30分の付加的な期間で、約300℃で形成され、チタンゲッター115を熱的に活性化する。
【0076】
ブロック390において、2つのステップで実施されるウェハーダイシングプロセス200を用いて、デバイスが、個別化される。被覆材ウェハー101をダイシングした後で、部分220が、除去され、接触パッド160へとの直接的な接続が利用可能である。これが、標準的なウェハープローブを使用し、ウェハーレベルでの、電気デバイス特性評価及びハーメチック試験を可能にする。最後のダイシングステップにおいて、センサーウェハーが、ダイシング路240に沿ってダイシングされ、ダイシングテープ上でデバイスを分離する。
【0077】
図6が、3μm〜15μmの近赤外線バンドにわたる、図1〜3の赤外線窓の透過率のグラフを示す。曲線410が、約7μmでのハイパス及び約4μmでの側部透過(side transmission)バンドパスを有する反射防止表面テクスチャのような定義された形状のポストの単一側領域を有する窓の透過率を描く。曲線420が、約7,5μmでのハイパス特性及び約5,5μmでの側部透過を有する反射防止表面テクスチャのような他の定義された形状のポストの単一側領域を有する窓の透過率を描く。本発明によると、図1に示されるような赤外線窓117におけるパッケージ被覆材101の各側上において組み合わせた物に適用される場合、2つの異なる表面テクスチャの短波長遮断特性が、改善されることが可能である。曲線430が、Ge−ZnS多−層システムの理想的な8μm〜12μmのバンドパス特性を示す。典型的には、50〜80の層が、それらのフィルターコーティングのために必要とされるため、これらが極めて高価である。曲線440が、10層未満で実現されることが可能なGe−ZnSハイパスフィルターシステムを記録する。好ましい実施形態において、図2及び3に示されるような、7μm〜8μmの範囲において開始する高い透過率を有するポストの領域と、8μmの範囲で開始する高い透過率を有する被覆材の外側上のGe−ZnSハイパスフィルターの組み合わせが、適用される。Ge−ZnS薄膜多−層システムが、200℃以下の基板温度で、蒸着によって堆積され、約320℃の劣化温度を有する。多−層システムが、スクラッチに敏感であり、ウェットエッチングによって構造化することが困難である。実施例において、従って、ウェハーボンディング及びゲッター活性化プロセスが終了した後にのみ、フィルターが、非構造化膜として、被覆材ウェハー上に設けられる。
【符号の説明】
【0078】
100 赤外線マイクロ−ボロメータアレイセンサー
101 被覆材
102 基板
115 ゲッター層
116 キャビティ
117 赤外線窓
118 陥凹領域
120 ボロメータセンサー
121 ボロメータセンサー
122 ボロメータセンサー
123 ウェハー表面安定化部
124 集積読み出し回路
130 バリア層
131 マーキング領域
140 分離フレーム
141 界面層
150 シール
160 電気的接触パッド
190 ポスト領域
191 ポスト
192 間隔
195 ポスト領域
196 ポスト
197 間隔
198 ポストの付加的領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線放射マイクロデバイス用ハウジングであって、
基板及び被覆材を備え、
赤外線放射線検出、放射または反射赤外線マイクロユニットをハウジングするキャビティが、前記基板と前記被覆材との間に配置され、
前記被覆材が、赤外線放射線の透過率を高める反射防止表面テクスチャを有し、
付加的なプロセスにおいて、前記被覆材の基板側及び/または前記基板の被覆材側上に形成されたシリコン分離フレームが、基板と被覆材との間に配置されていることを特徴とするハウジング。
【請求項2】
前記反射防止表面テクスチャが、少なくとも前記被覆材の基板側上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記反射防止表面テクスチャが、前記被覆材の材料中にエッチングされた、隆起部、好ましくはポスト、またはくぼみ部、好ましくは穴によって形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のハウジング。
【請求項4】
前記被覆材の基板から遠い側上に、薄膜反射防止コーティングが、前記反射防止表面テクスチャの反対側に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項5】
前記反射防止表面テクスチャと反対側の領域を除き、前記被覆材の基板から遠い側が、赤外線遮断層でコーティングされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項6】
前記被覆材の基板側の一部が、ゲッター活性金属膜でコーティングされた任意のテクスチャで構造化されたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のハウジングを少なくとも一つ備えるマルチハウジングウェハーユニット。
【請求項8】
好ましくはウェハーレベルでの、赤外線放射マイクロデバイス用のハウジングの製造方法であって、前記ハウジングが、被覆材及び基板を備え、前記方法が、:
表面テクスチャを形成するためのパターンで前記被覆材をマスキングするステップ、
前記被覆材の有効屈折率を低減させるくぼみ部及び/または隆起部を備えた前記表面テクスチャを有する領域を形成するように、前記被覆材をエッチングするステップ、
前記基板の被覆材側または前記被覆材の基板側上にシリコン分離フレームを設けるステップ、及び
基板、被覆材及び分離フレームが、赤外線放射マイクロデバイスをハウジングするためのキャビティを形成するように、好ましくは高真空下で、基板及び被覆材を、中間分離フレームに結合するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記シリコン分離フレームの成長領域を画定する構造化TEOS層で被覆材または基板をマスキングするステップ、
前記シリコン分離フレーム用の材料を堆積するステップ、及び
前記被覆材または前記基板の前記TEOS層を除去するステップにより、前記シリコン分離フレームを設けることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
低減された有効屈折率の領域を提供する前記表面テクスチャを有する前記被覆材上に非構造化TEOS層を堆積するステップ、
前記TEOS層上にCVDシリコン層を堆積するステップ、
前記分離フレームを画定するパターンで前記CVDシリコン層をマスキングするステップ、
前記CVDシリコン層をエッチングするステップ、及び
前記表面テクスチャを露出させるように、前記被覆材ウェハーから前記TEOS層を除去するステップにより、前記シリコン分離フレームを設けることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
低減された有効屈折率の領域を提供する前記表面テクスチャを有する前記被覆材上に非構造化TEOS層を堆積するステップ、
前記TEOS層にシリコンウェハーを結合するステップ、
前記分離フレームを画定するパターンで前記シリコンウェハーをマスキングするステップ、
前記シリコンの材料から前記分離フレームを形成するように、前記シリコンウェハーをエッチングするステップ、及び
前記表面テクスチャを露出させるように、前記被覆材から前記TEOS層を除去するステップにより、前記シリコン分離フレームを設けることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
低減された屈折率の領域と反対の前記基板から遠い側上の領域を除き、前記被覆材をマスキングするステップ、
前記基板から遠い側上のTEOS層をエッチングするステップ、
キャビティを形成するように、前記基板から遠い側上の前記被覆材の材料をエッチングするステップ、
前記キャビティの内側に、パターンで前記被覆材をマスキングするステップ、
前記パターンに従う表面テクスチャを有する領域を形成するように、前記マスクされた被覆材をエッチングするステップであって、低減された有効屈折率の領域を設けるように、前記表面テクスチャが、前記被覆材の有効屈折率を低減させるくぼみ部及び/または隆起部を備える、ステップ、からなる付加的なステップを含むことを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
好ましくは、アルゴンを含まない蒸着プロセスによって、前記被覆材または前記基板上にゲッター材料を設ける付加的なステップを含むことを特徴とする請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
金及びすず電気めっきにより、前記シリコン分離フレーム上にシールフレーム金属化部を設ける付加的なステップを含むことを特徴とする請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
熱蒸着による金属接着促進層の完全な金属堆積ステップ、
熱蒸着またはスパッタリングによる電気的電極層の堆積ステップ、
選択的な金属堆積のための選択的な堆積材料のために前記分離フレームをマスキングするステップ、
すず被覆材層及び/または下に任意のニッケルまたは銅キャリア層を有する金層または金含有合金層を電気めっきするステップ、
設けられた金属堆積物を有する前記分離フレームをマスキングするステップ、
前記接着促進層を露出するように、露出された前記電気的電極層をエッチングするステップ、
重複及びゲッター領域を有する金属堆積物を付加的にマスキングするステップ、
前記被覆材を露出させ、ゲッター領域として接着促進領域を画定するように、露出された前記接着促進層をエッチングするステップ、からなる付加的なステップを含むことを特徴とする請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記被覆材上に、特に、前記被覆材の基板から遠い側上にGe−ZnS層を堆積する付加的なステップをさらに含むことを特徴とする請求項8から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記基板及び/または被覆材が、各々、基板ウェハー及び被覆材ウェハーの形で設けられることを特徴とする請求項8から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
被覆材ウェハー及び/または基板ウェハーダイシングの付加的なステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記被覆材ウェハーが、電気的接触パッドを露出させるようにダイシングされ、
ダイシングされた前記被覆材ウェハーが、試験ガス雰囲気に露出され、
好ましくは、赤外線マイクロユニットの熱絶縁特性を検出することにより、真空レベルが、測定され、
漏れデバイスが、識別され、
前記基板ウェハーが、ダイシングされ、赤外線放射マイクロデバイスに個別化されることを特徴とする請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−530257(P2012−530257A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515521(P2012−515521)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058748
【国際公開番号】WO2010/146183
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(500242786)フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ. (47)
【出願人】(511307340)
【Fターム(参考)】