説明

走査電子顕微鏡

【課題】光学顕微鏡による観察面の直接観察では発見しにくい、平坦で特徴の少ない面内の極小領域に規則性を持って点在する試料であった場合に、アライメントを容易にする。
【解決手段】走査電子顕微鏡の試料室外もしくは試料室内に、走査電子顕微鏡の観察面に対して斜め方向に光を照射して反射光を検出する光学顕微鏡ユニット24を設ける。アライメントの際には、複数ある観察対象部位から任意に選択した観察対象部位で、電子顕微鏡の観察面とは異なる端面を斜めから観察した光顕画像を撮影する。撮影した画像をテンプレートマッチングの手法を用いて解析し、実画像上における観察位置の座標情報を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査電子顕微鏡、観察部位の特定(アライメント)のための光学顕微鏡を備えた走査電子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
走査電子顕微鏡において、光学顕微鏡を備えたものがある。走査電子顕微鏡に備えられた光学顕微鏡は、大抵の場合、電子線の照射位置を大雑把に決めるために使用される。電子線の照射前に、光学顕微鏡の広い視野画像から電子線の照射位置が大まかに見積もられる。その後、必要に応じて走査電子線画像の倍率を順次大きくして、最終的な電子線の走査範囲が決定される。
【0003】
従来の光学顕微鏡を備えた走査電子顕微鏡で、光源の光軸が電子線の光軸に対して角度を持ったものがあり、特許文献1には、そのような走査電子顕微鏡の構成例が示されている。当該走査電子顕微鏡に関して、図9を用いて説明する。
【0004】
走査電子顕微鏡1の試料室7の外に該走査電子顕微鏡の光軸と試料8上で交差可能な光軸を有する長焦点の光学電子顕微鏡65を設け、試料台14の移動による該光学顕微鏡の視野内での画像の移動方向と走査電子顕微鏡の視野内での画像の移動方向を一致させる。一方、走査電子顕微鏡の光軸途中からレーザー光照射手段66により、レーザー光67を走査電子顕微鏡の1次電子線3の光軸と一致させて試料に照射する。レーザー光の照射位置を光学顕微鏡で観察し、電子顕微鏡による観察対象部位9がレーザー光の照射位置にくるように試料ホルダを移動させる。これによって観察対象部位を1次電子線の走査中心に移動させることが可能になる。1次電子線の照射点から放出される2次粒子を図示しない検出器によって検出することで走査電子顕微鏡画像が得られる。
【0005】
【特許文献1】特開2004-319518
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、観察位置を特定に光学顕微鏡画像を用いる場合、目印になる何らかの構造(例えば凹凸、構造物の境界線など)が無いと、観察箇所の特定が困難である。特開2004-319518に開示された観察位置の特定方法では、光学顕微鏡の観察面と電子顕微鏡の観察面が一致している。しかし、試料によっては、電子顕微鏡の観察面ないし観察部位が平坦で構造的な特徴が少ない場合がある。そのような試料の一例として、例えば、薄膜磁気ヘッドや、シリコン基板上に機械部品、センサー、電子回路等を集積したデバイスであるMEMS(Micro Electro Mechanical System)がある。
【0007】
例えば薄膜磁気ヘッドの浮上面を走査電子顕微鏡で観察または計測する場合、光学顕微鏡レベルの視野サイズでは構造的な特徴がほとんど識別できない。浮上面は研磨処理されており、浮上面の凹凸は極端に少ないためである。このような試料に対しては、特開2004-319518に開示された方法では電子線の照射位置の特定は困難である。
【0008】
本発明は、走査電子顕微鏡による観察の事前に行う光学顕微鏡による観察対象部位の位置の特定(アライメント) 作業において、電子線による観察対象部位が、光学顕微鏡による観察面の直接観察では発見しにくい部位、すなわち平坦で特徴の少ない面内に存在する部位であった場合に、アライメントを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特開2004-319518号公報に開示された観察位置の特定方法では、光学顕微鏡の観察面と電子顕微鏡の観察面が一致しており、光学顕微鏡による観察位置の特定が困難である。薄膜磁気ヘッドやMEMSデバイスの場合、観察対象となる浮上面とは異なる位置に、試料の構造が露出している面あるいは部位があり、この面であれば光学顕微鏡でも電子線照射位置を特定しやすい。なお、ここで言う"露出"とは、構造物が実際に露出している場合のみではなく、光学顕微鏡で使用する光の波長域に対して透明な材質の膜が構造物上に形成されている場合も含む。以下の説明では、このような構造が露出した光学顕微鏡で観察しやすい面を光学アライメント用観察面と称する。
【0010】
本発明では、光学顕微鏡の観察面と走査電子顕微鏡の観察面を変えることにより、アライメントを容易にする。より具体的には、光学顕微鏡用の光源を、照射光の光軸が電子線光軸に対して角度を持つような位置に配置することにより、上記光学アライメント用観察面が観察できるようにする。光学アライメント用観察面から得られる反射光(ないしは反射光の分布情報)は、電子線の照射位置を予測するために使用される。以上のアライメント方法により、従来の装置ではアライメントが困難であった試料に対しても高速かつ容易にアライメントが実行可能になり、従って装置への試料搬入から各種計測開始までの所要時間が短縮される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、走査電子顕微鏡による観察対象部位が、磁気ヘッドrow barの書き込み、読み込み素子に代表されるような、光学顕微鏡による観察面の直接観察では発見しにくい、平坦で特徴の少ない面内の極小領域に規則性を持って点在する試料であった場合でも、アライメントを迅速に、容易に行うことが可能になる。
【実施例1】
【0012】
本実施例では、観察対象として磁気ヘッド用のrow barを用いた場合の走査電子顕微鏡の使用形態について説明する。なお、以下の説明において使用される"画像"ないしは"画像情報"という用語は、電子線照射やイオンビーム照射により発生する二次電子、反射電子あるいは後方散乱電子などの二次荷電粒子を検出して得られる信号の二次元強度分布データも含み、必ずしも視覚的に確認できる状態の情報のみには限定されない。
【0013】
図1には、本実施例の走査電子顕微鏡の全体構成について示す。図1に示した走査電子顕微鏡は、大まかには、試料に対して電子線を照射するための機構を備えた電子光学鏡筒1と、被観察試料を保持する試料ホルダやステージを格納する試料室7,電子光学系鏡筒1や試料室の各構成部品を制御するための制御系、制御系の更に上位の制御処理や各種画像処理、あるいはユーザインタフェースに関わる情報処理を行う情報処理手段により構成される。
【0014】
電子光学系鏡筒1は、電子銃2,磁場レンズ4,5、走査コイル10、対物レンズ6,2次粒子検出器11,12,13、ExBフィルター17等により構成される。対物レンズ6は、電子光学系鏡筒1の最下部に配置されるため、位置的には試料室7の内部に配置される場合もあるが、便宜上、電子光学系鏡筒1に属する構成要素であるとして説明する。電子銃2から発生させた電子線3を、該電子線を収束させる効果をもった磁場レンズ4および磁場レンズ5によって所望の光学条件に設定し、対物レンズ6によって試料室7内の試料8の観察対象部位9に収束させる。電子線は偏向コイル10によって該試料上を所望の倍率に対応した視野で走査が可能であり、観察対象部位から発生した2次粒子は2次粒子検出器11、12、13によって検出される。倍率の変更は、偏向コイルの励磁電流の強度を変え、電子線の走査範囲(即ち視野)を変更することで行われる。試料台14にはリターディング制御電源15により、リターディング電圧を印加することができる。また、試料台は、所望の位置に試料を自動もしくは手動で移動させることができる試料台駆動装置16を備えている。
【0015】
本実施例の走査電子顕微鏡は、三つの2次粒子検出器A,B,Cを備えている。第一の2次粒子検出器A11はEverhart Thornley型の検出器であり、シンチレータとライトガイドと電子増倍管からなっており、対物レンズを通過して電子銃方向に向かう2次粒子もしくは、2次粒子が試料室内構造物(図示せず)と散乱して発生する粒子(以降では、これを副次粒子と呼ぶ)のうち、対物レンズを通過して電子銃に向かう副次粒子を検出する。本実施例では、低エネルギーの粒子のみを該2次粒子検出器Aの方向に偏向することのできるExBフィルター17および、電圧を印加することで、低エネルギーの粒子を遮蔽することができるエネルギーフィルター用の電界供給装置(図示せず)を備え、所望の粒子を選択的に、該2次粒子検出器Aにより検出することができる。2次粒子検出器AはEverhart Thornley型に限定せず、半導体検出器やマイクロチャンネルプレートであってもよい。
【0016】
第二の2次粒子検出器B12はEverhart Thornley型の検出器であり、試料室内に挿入されている。該2次粒子検出器BはEverhart Thornley型に限定せず、半導体検出器やマイクロチャンネルプレートであってもよい。2次粒子検出器Bは低エネルギーの2次粒子を該2次粒子検出器Bに向けて加速するための補助電極18を備えていても良い。該補助電極には補助電極用電源19により所望の電圧を印加する。
【0017】
第三の2次粒子検出器C13は試料の直上に配置された、半導体検出器である。該2次粒子検出器で検出された2次粒子信号は、2次粒子検出器C用増幅器20によって電気的に増幅される。2次粒子検出器Cはマイクロチャンネルプレートであってもよい。
【0018】
三つの検出器は全てが必要であるわけではなく、一つ以上あれば、いくつであってもどの組み合わせであってもよい。
【0019】
走査電子顕微鏡では、前記の2次粒子検出器によって検出された2次粒子を電気信号として増幅し、画像処理部21でA/D変換され、偏向コイルでの走査と同期したラスター像を画像出力端末22に表示する。
以上が本実施例の走査電子顕微鏡の基本的な構成である。
【0020】
次に、光学顕微鏡による観察面の直接観察では電子線照射位置を発見しにくいような試料に対して、光学顕微鏡によるアライメントを迅速かつ容易に行うための構成例について説明する。
【0021】
対物レンズの下磁路構成部材には、透明な光透過板23が取り付けられており、真空封止してある。対物レンズの側壁には穴を設け、光学顕微鏡ユニット24を導入する。光学顕微鏡ユニットは、図2に示したように、光源25、反射ミラー26、レンズ27,28、光検出器29からなっている。反射ミラーは例えば試料上面である走査電子顕微鏡の観察面30に対して22.5°傾けてあり、試料上面に入射する光源の光軸31が観察面に対して45°の角度になるようにしてある。光源には、例えばハロゲン光源を用い、光検出器には、例えばCCDカメラを用いる。レンズ、光検出器は倍率を複数段階で制御できるように、複数セットして有ってもよく、倍率の切り替えは、倍率切り替え用ミラー駆動装置32を用いて、倍率切換え用ミラー33aを光路に抜き差し34し、倍率切り替え用ミラーaおよびb35で光の経路を切り替えることで行う。ここでは倍率の組み合わせの例として、20倍用レンズ27と200倍用レンズ28を用いたときの例を示した。なお、焦点の切り替えは、ハーフミラーを用いても良い。この場合、倍率切り替え用ミラー駆動装置32は必要なく、倍率切り替え用ミラー33aをハーフミラーとすればよい。光学顕微鏡の焦点の調整は焦点調整用ユニット駆動装置36により、ユニット全体を上下37させることで行う。なお、焦点の切り替えは、レンズに図示しないズームレンズを用い、ズームレンズの焦点距離を調整することで行っても良い。
【0022】
また、光学顕微鏡ユニットの配置は、対物レンズ内部に限定されない。例えば、光学顕微鏡ユニットおよび、反射ミラーが対物レンズより下に配置されていてもよい。また、光学顕微鏡ユニットを適切な角度で配置することにより、反射ミラーを介さず、直接試料を観察できるような配置にしてもよい。
【0023】
光学顕微鏡の焦点は、試料室内に、標準試料などを実際の観察時と同様に配置し、走査電子顕微鏡の観察対象部位9とは異なる端面にある光学顕微鏡の観察対象部位38に合わせる。この状態で、走査電子顕微鏡による観察を行い、電子線の走査中心39と、観察対象部位9の両者の2次元的な相対位置関係40を、アライメントのための情報処理を行うアライメント制御用情報処理装置41(図1参照)に記憶させておく。なお、相対位置関係40は設計寸法やCADデータなどから抽出してもよい。また、走査中心39と試料台駆動装置16の座標中心を該情報処理装置上で一致させておく。これにより、電子ビーム走査制御の座標系と試料台駆動装置16制御の座標系とが一致し、ステージ移動による観察対象部位9の走査中心39への移動を再現性良く実行することが、走査電子顕微鏡による観察を行わなわずとも可能となる。
【0024】
図3には、本実施例で観察試料とする磁気ヘッドrow bar42の外観図を示す。磁気ヘッドrow barには磁気ヘッドスライダ43が一定間隔で複数個形成されており、各磁気ヘッドスライダ43の端部に読み出し、書き込み素子44が形成されている。読み出し、書き込み素子44の走査電子線画像を取得するには、読み出し、書き込み素子44の配置された領域に電子線を照射する必要がある。しかしながら、読み出し、書き込み素子44が配置されたスライダ面、即ちrow bar上面は平坦で特徴が少なく、大きさも数十μm程度である。従って、スライダ面の光学顕微鏡画像から読み出し、書き込み素子の位置を特定することは困難である。一方、row barにはスライダ面とは別の面に、構造的な特徴があるために画像上で位置を特定しやすい面が存在する。
【0025】
スライダ末端部の断面には、信号読み出し、信号出力のための電極46が、各磁気ヘッド43ごとに形成されている。電極は数十μm程度大きさで、円形もしくは矩形もしくは線分に囲まれた形状をしており、一つの磁気ヘッドに対して特徴的な配置で複数個ならんでいる。このため、光学顕微鏡による観察で見つけやすい。光学顕微鏡による観察では、走査電子顕微鏡による観察面30と、電極面の両者が視野に入る方向から観察する。ただし、どちらか一方のみを観察しても良い。このような断面は、光学アライメント用観察面として好適であり、本実施例においては、この面を電極面45と称する。
【0026】
次に、図1,2で説明した走査電子顕微鏡を用いて、図3に示された磁気ヘッドrow bar上の読み出し/書き込み素子の観察を行う場合のアライメント手順について説明する。
まず、row barを試料ホルダ上に配置する手順について、図4を用いて説明する。図4には、試料ホルダ47上に、複数の磁気ヘッドrow bar42を、走査電子顕微鏡による観察面30が上になるように載置した上面図を示す。複数の磁気ヘッドrow bar42は、各々がおおよそ平行になるように載置される。このとき、載置する磁気ヘッドrow barは一本であっても良い。また、磁気ヘッドrow barを載置するため、図4に示す試料ホルダ47は、トレー型の試料ホルダを想定している。あるいは、磁気ヘッドrow barの長さと幅と高さに合わせた複数の溝をトレーの表面に形成して、磁気ヘッドrow barを溝の上に寝かせるような形で載置しても良い。このとき、試料の上面と、試料ホルダの面の高さが同じになるため、試料台にリターディング電位を印加したとき、試料面上で均一なリターディング電位を供給できる。
【0027】
試料ホルダの座標軸をx軸48、y軸49と定義する。なお、試料ホルダ47は、試料室内の試料台上に載置される(後述)が、図4は、試料ホルダの座標軸と座標中心とが、試料台の持つ座標軸、座標中心と一致している前提で示されている。実際に電子顕微鏡で観測を行うべき読み出し/書き込み素子の位置情報は、設計寸法やCADデータなどから予想することができる。本実施例では、各磁気ヘッドの観察対象部位44の試料台の座標中心50からの相対位置(x1,y1)51をあらかじめアライメント制御用情報処理装置41内の記憶手段に記憶させておく。この際、記憶手段には、row bar上の磁気ヘッドの管理番号と位置情報(x1,y1)とを対応させて格納すると、管理が行いやすい。
【0028】
次に、試料ホルダ47を走査電子顕微鏡の試料台14上に載置する。載置の際には、試料台の位置制御のためにステージ駆動系が備えている座標系の中心39(あるいは、試料台の中心)と試料ホルダの中心50とがなるべく一致し、かつx軸48とy軸49の方向が試料台の駆動軸であるX軸52、Y軸53となるべく一致するように載置する。図5には、複数の磁気ヘッドrow bar42が載置された試料ホルダを試料台に載せた状態の上面図を示す。本実施例では、光学顕微鏡から出射される光の光軸方向は、図5のY軸方向斜め下向きで、走査電子顕微鏡による観察面30と、電極面45の両者が視野にはいるような角度となるように設定されているものとする。
【0029】
ここで、試料ホルダ47の中心位置と向きとが、試料台の座標中心と座標軸とに対して一致するように、試料ホルダ47が試料台上に載置されていれば、設計データから予測される素子位置(x1,y1)51に走査中心が来るように試料台駆動系を制御することにより、素子位置(x1,y1)を1次電子線の照射位置に移動することができる。また完全に一致しないまでも、試料ホルダ47の試料台への載置精度がある閾値以上であれば、やはりアライメントを行う必要はない。しかし実際には、試料ホルダ47の中心と試料台の座標中心との間には配置精度に応じたXY面内の位置誤差が生じ、かつ、試料ホルダ47の向きと試料台の座標軸との間には、配置精度に応じた回転誤差が生じる。従って、試料台の位置制御座標系から見た素子位置 (x2,y2)と、row barの設計データから推定される素子位置(x1,y1)との間には、配置精度に起因するズレ56が生じ、高倍率での観察時には、観察対象部位が視野内に入らない事態が生じる。なお、図5において、ズレ56が同じ座標中心から見た結果のずれであることを示すため、位置(x1,y1)(x2,y2)とをそれぞれ、試料台の座標中心からの位置ベクトルで表示している。試料台の座標中心39及び座標軸52,53と試料ホルダ47の座標中心50及び座標軸48,53とがそれぞれ一致すれば、位置(x1,y1)(x2,y2)は互いに一致する。
【0030】
また、試料ホルダ47が試料台に対して十分な載置精度を持って載置されたとしても、被観測試料(本実施例では磁気ヘッドrow bar)が試料ホルダに対して十分な平行度を持って載置されていなければ、試料台の位置制御座標系から見た素子位置 (x2,y2)と、row barの設計データから推定される素子位置(x1,y1)との間には、結局ズレが生じることになる。このため、実際の素子観測時には、アライメント作業が必要となる。
【0031】
アライメント時には、低倍の光学顕微鏡の画像情報を用いて、全ての観察対象部位に関して、実像上における(x2,y2)を特定し、アライメント制御用情報処理装置41に記憶させる。アライメントは、段階的に高倍率を変えて、画像情報を取得することで精度を高める。各段階のアライメントの前には、設置精度などによるズレが無かったときに見えるはずの画像を参照画像(以降ではこれをテンプレート画像と呼ぶ。)としてあらかじめアライメント制御用情報処理装置41内の記憶手段に記憶させておく。なおテンプレート画像は、row barの管理情報(製造ロット番号や製品コード番号など)とアライメント実行のための付帯情報(アライメント用画像の撮像倍率など)のデータと対応させて記憶させておくと、アライメント操作実行の装置の操作性が向上し、自動化も行いやすくなる。テンプレート画像は、アライメントを行う倍率に応じて、適切な視野サイズの画像データを選択する必要がある。例えば、テンプレート画像の視野サイズは、同じ倍率でのアライメント用画像の視野サイズと同じかそれよりも小さい必要がある。
【0032】
テンプレート画像の取得時には、あらかじめ光学顕微鏡、走査電子顕微鏡の焦点位置を標準サンプルなどを用いて合わせておく。テンプレート画像の取得は自動で行っても、手動で行ってもよく、各段階のアライメントを行う前であればどのタイミングで行ってもよい。なお、テンプレート画像は、上記の設置精度などによるズレが無かったときに見えるはずの画像と比較して回転していてもよい。また、テンプレート画像は、撮影した実像である必要はなく、特徴的な部位だけ模式的に描いたものであってもよく、設計寸法やCADデータなどから作成してもよい。
【0033】
以下、アライメントを低倍率から高倍率へ三段階に分けて実行した例を用いて、アライメントの具体的な手順について説明する。
第一段階のアライメントでは、光学顕微鏡の倍率を最低倍率である20倍にしてアライメントを行う。まず、装置の使用者が装置の動作をアライメント調整モードに切り替える。この切替動作は、例えば画像出力端末22に表示されるボタンやアイコンのクリック、あるいは図示されてはいないが、画像出力端末22に接続された操作卓から操作することにより実行される。
【0034】
装置の使用者が、アライメントを開始させると、図6に示したように、画像出力端末22の表示画面にアライメントに用いる磁気ヘッドの選択画面が表示される。すなわち、画像出力端末22のディスプレイ画面57上に、あらかじめ入力しておいた試料ホルダと載置された磁気ヘッドrow barの概略上面図58が表示される。この画面上で使用者は、各row barごとにアライメント用の磁気ヘッド59を複数個指定する。row bar上に形成された複数の磁気ヘッドには、各々設計データからの推定素子位置(x1,y1)が設定されており、前述の通り、アライメント制御用情報処理装置41に格納されている。アライメント制御用情報処理装置41は、画面上で使用者が選択した磁気ヘッドの位置情報から当該磁気ヘッドの管理番号(row bar上において磁気ヘッドに付与されるインデックス番号)を引き当て、対応する座標情報(x1,y1)の値を記憶手段から読み出す。なお、アライメント用磁気ヘッドの選択は、アライメントの各段階のはじめに毎回行わなくてもよく、選択を飛ばし、前の段階時に選んだアライメント用磁気ヘッドを次の段階でもそのまま用いてもよい。
【0035】
次に、それぞれの選択した磁気ヘッドに対して、記憶手段から読み出された観察対象位置の位置情報(x1,y1)をもとに試料台を移動させ、撮像を行う。図6で選択された磁気ヘッドへのステージ移動後、倍率20倍で撮影された光学顕微鏡画像の一例を図7aに示す。図7aでは、図6で選択された(すなわち、選択された管理番号に対応する)磁気ヘッドの設計データ上の読み出し/書き込み素子の位置(x1,y1)が位置39,取得された光学顕微鏡画像上における読み出し/書き込み素子の位置(x2,y2)が位置44で示されている。(x1,y1)を目標にステージ駆動を制御したため、図7aに示す光学顕微鏡画像では、(x1,y1)が視野の中心に位置している。
【0036】
図7aに示された光学顕微鏡画像の撮像が終了すると、得られた画像情報を用いて、第一段階目のアライメントが実行される。アライメントの実行に際しては、まずアライメント制御用情報処理装置41内の記憶手段から、光学顕微鏡画像の倍率に応じたテンプレート画像が読み出される。本実施例のアライメント第一段階用のテンプレート画像61を図7bに示す。ここで示したテンプレート画像は、実像ではなく、特徴的な電極部位のみを模式的に描いたものである。アライメント制御用情報処理装置41は、第一段階で撮影した画像データ上で、テンプレート画像を移動させながら、画像データを構成する画素同士の比較演算を行い、一致度が所定の閾値を越えた領域を算出する。このとき、テンプレート画像と比較して得られた画像が回転していても、画像処理による特徴点の抽出において、頑健性(ロバスト性)は影響を受けない。また、一致度の閾値は、通常は、アライメント制御用情報処理装置41内の記憶手段に予め格納しておくが、検査条件の設定の都度、入力するようにしても良い。なお、画素演算の計算処理は計算機に対する負担が大きいため、本実施例の走査電子顕微鏡においては、テンプレートマッチングは画像解析装置60により実行される。
【0037】
テンプレート画像に一致する領域が実像上で定まれば、実画像データ上における読み出し/書き込み素子の位置(x2,y2)は、設計データから推定できる。すなわち、テンプレート画像に含まれる領域内の任意を適当に選んで代表点とし、当該代表点から読み出し/書き込み素子の位置までの位置ベクトルを設計データ上で計算する。更に、実画像上で上記代表点に対応する位置の位置ベクトル(試料台の位置制御座標系の原点を起点とする)と読み出し/書き込み素子の位置ベクトルとを加算する。この演算処理により、実画像データ上における素子位置(x2,y2)が推定できる。以上の演算処理は、アライメント制御用情報処理装置41内に存在する演算手段により実行される。
【0038】
なお、図7aにおいては、得られた光学顕微鏡画像上に磁気ヘッドが2つ含まれており、テンプレートマッチングを行うと、マッチング条件を満たす領域が2つ算出される。そこで、マッチング条件を満たす領域の数を、マッチングを開始する実画像データ領域から順にカウントして、マッチング条件を満たす領域の位置情報(実際には、代表点の座標情報)と対応付けて、アライメント制御用情報処理装置41内の記憶手段に格納しておく。実際の(x2,y2)の推定演算の際には、カウントされた領域の数と、図6で選択された磁気ヘッドの管理番号とを対照して、最も確からしい領域を選択する。画像上に含まれる磁気ヘッドの数が3つ以上の複数の場合においても同様である。なお、得られた光学顕微鏡画像中に、マッチング条件を満たす領域が見つからなかった場合には、テンプレート画像と同様の画像が得られるよう、試料台を動かしながら自動もしくは手動で周辺探索を行う。あるいは、テンプレート画像を変えて、再度マッチングを実行する。
【0039】
実画像上での(x2,y2)が決まると、アライメント制御用情報処理装置41から試料台駆動装置16へ素子位置(x2,y2)の座標情報が伝達され、(x2,y2)が視野の中心になるように試料台が移動される。図7cには、ステージ駆動により推定された(x2,y2)を視野中心へ移動させる様子を模式的に示した。ここで、光学顕微鏡の光軸と、電子線の光軸との間の角度が有限の値をもつ(すなわち、光学顕微鏡の光軸に垂直なxy座標系と一次電子線の光軸に垂直なxy座標系とが異なる)ため、光学顕微鏡の画面上での移動量と、試料台の移動量は異なっている。アライメント制御用処理装置41は、光学顕微鏡の画像データから試料台の移動量を計算する演算処理、ないしは光学顕微鏡の画像データから計算される移動量68を試料台の移動量に変換する演算処理を実行する。演算処理によって得られた試料台の移動量は試料台駆動装置16に伝送され、試料台が適切に移動される。アライメント制御用処理装置41には、上記光学顕微鏡画像から試料ステージ制御量を計算するための計算式、あるいは光学顕微鏡画像と電子顕微鏡画像間の座標変換式が格納され、これらの計算式、あるいは座標変換式は、電子光学系鏡筒に対する光学顕微鏡の取付角度ないしは光学顕微鏡の光軸と電子線の光軸に応じて定められる。同時に、得られた素子位置(x2,y2)の位置情報は、アライメント制御用情報処理装置41内の記憶手段に格納される。
【0040】
以上、他の磁気ヘッドについても同様の動作を行い、選択された全ての磁気ヘッドについて、アライメントを実行する。なお、以上の説明では、選択された各磁気ヘッドについて、1つの磁気ヘッドに対してアライメントが完了した後に他の磁気ヘッドの磁気ヘッドのアライメントを実行するシーケンスを前提として説明を行ったが、選択された全磁気ヘッドの20倍光学顕微鏡画像を撮像して、その後、テンプレートマッチングによる素子位置(x2,y2)の推定ステップを実行しても良い。また、row barに形成された全ての磁気ヘッドで同様にして位置特定を行ってもよいが、一般に1本の磁気ヘッドrow barに対して、二つの磁気ヘッドで位置特定を行えば、そのrow bar上の全ての磁気ヘッドの位置情報は、設計寸法やCADデータなどから特定でき、アライメント作業を高速化できる。このとき、選択する磁気ヘッドは、row barの端もしくは、端から一つ内側のものを指定すると行ないやすい。更にまた、試料台上に載置された各磁気ヘッドrow barが、各々平行度が非常に高いように載置され、各磁気ヘッドrow bar間の相対的位置が厳密に特定できる場合には、全てのrow barでアライメント用の磁気ヘッドを選ぶ必要はなく、1本の磁気ヘッドrow bar上の複数個の磁気ヘッドのみアライメント用の磁気ヘッドとして指定してもよい。各磁気ヘッドrow barが厳密に平行に載置されておらず、各々の相対位置が厳密に特定できない場合には、各磁気ヘッドrow barごとにアライメントに使用する磁気ヘッドを複数個指定する。
【0041】
次に、第二段階のアライメントについて説明する。第二段階のアライメントでは、光学顕微鏡の倍率を200倍に設定し、初期の位置情報に第一段階で得られた位置情報を用いて、第一段階と同様の動作を行い、より精度よく位置情報を取得する。
【0042】
第三段階のアライメントでは、実際に磁気ヘッドrow barの観察対象部位を走査電子顕微鏡により観察する。第二段階で得られた位置情報をもとに試料台を移動し、走査電子顕微鏡によって観察を行う。このときの倍率は500倍から1000倍の倍率を用いると観察対象部位を特定しやすい。このとき得られた画像を図8aに示す。また、第三段階用のテンプレート画像62を図8bに示す。図8bに示されたテンプレート画像のデータもアライメント制御用情報処理装置41内の記憶手段に、磁気ヘッドrow barの参照番号と対比して格納されており、アライメントの際には、記憶手段から呼び出されて、テンプレートマッチングが実行される。第三段階のテンプレート画像と比較して得られた画像が回転している場合は、走査電子顕微鏡のもつ走査軸回転機構(ラスタローテーション機構)により視野を回転63させ、テンプレート画像と走査電子顕微鏡の観察画像を一致させる。場合によっては、次の段階で走査電子顕微鏡によるアライメントを、さらに高倍、例えば、20000倍から40000倍で行っても良い。
【0043】
走査電子顕微鏡によるアライメントを行う場合には、視野の移動64を試料台の駆動系によって行うのではなく、走査電子顕微鏡のもつ走査中心シフト機構(ビームシフト機構)を用いて行っても良い。
【0044】
以上の各段階を試料台上の全ての磁気ヘッドrow barで行い、試料台上の全ての観察対象部位のアライメントを精度よく行う。全段階において、アライメント用の画像の取得の際には、テンプレート画像と取得した画像が一致するように、光学顕微鏡もしくは走査電子顕微鏡の焦点を微調整してもよい。アライメントにより得られた位置情報から実際に観察を自動で行う場合には、所望の倍率で撮影したテンプレート画像を基準として、所望の画像が得られるように、試料台の駆動、ビームシフト、ラスタロータリゼーション、焦点の微調整を行う。
【0045】
本実施例で説明したアライメント機能を備えることにより、磁気ヘッドなど、電子線による観察対象部位が平坦で形状的な特徴が少ない場合であっても、アライメント実行時間が少なく、かつ使い勝手の良い走査電子顕微鏡が実現される。
【実施例2】
【0046】
本実施例では、測長試料として磁気ヘッドを対象とする測長システムの実施例について説明する。本実施例の測長システムのハードウェア構成は、概ね図1に説明した走査電子顕微鏡システムの構成とほぼ同じであるが、測長対象試料の設計データないしはCADデータが格納された外部サーバが接続されている点、画像解析装置60に測長用のソフトウェアが格納されている点で実施例1とは異なる。
【0047】
以下、図1〜図8を用いて説明を行うが、試料搬入からアライメント動作までの動作は、実施例1と同等なので、説明を省略する。測長対象となる磁気ヘッドは、図6と同様の上面図上で特定される。アライメントで得られた位置情報に従って観察対象部位に1次電子線の光学中心が来るように、試料台の駆動系もしくはビームシフトを行い、所望の部位の測長を行う。図8cに示されるように、測長を行う倍率でのアライメントが終了すると、図8cの視野倍率で撮像を行い、測長部位の走査電子顕微鏡画像を取得する。画像ではなく、測長部位のラインプロファイルのみを取得しても良い。
【0048】
取得された二次電子ないし反射電子の二次元強度分布データは、画像解析装置60に電送され、ラインプロファイルあるいはその他の解析アルゴリズムにより測長が実行される。測長部位の二次元強度分布データは、同一視野倍率に対して数回程度取得され、各データ毎の測長値の平均値が画像出力端末22に表示される。同時に、得られた測長値は、磁気ヘッドの参照番号と共に、アライメント制御用情報処理装置41内の記憶手段に格納される。
【0049】
本実施例のアライメント機能を備えることにより、アライメント実行時間が少なく、従ってスループットの高い測長システムが実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に基づく走査電子顕微鏡の実施例を示す図。
【図2】本発明に基づく走査電子顕微鏡の実施例を示す図。
【図3】本発明が有効な試料の一例、磁気ヘッドrow bar試料を示す図。
【図4】磁気ヘッドrow bar試料を載置する試料ホルダの例を示す図。
【図5】試料ホルダを走査電子顕微鏡の試料室内に設置する際の一例を示す図。
【図6】本発明に基づく走査電子顕微鏡の画像出力端末に表示された試料ホルダと載置された磁気row barの概略上面図。
【図7】(a)第一段階のアライメント時に最初に得られた画像を示す図、(b) 第一段階のアライメント用テンプレート画像を示す図、(c) 第一段階のアライメント時の移動後の画像を示す図。
【図8】(a)第三段階のアライメント時に最初に得られた画像を示す図、(b) 第三段階のアライメント用テンプレート画像を示す図、(c) 第三段階のアライメント時に最初に得られた画像を示す図。
【図9】従来の走査電子顕微鏡の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1…走査電子顕微鏡、2…電子銃、3…電子線、4…磁場レンズ、5…磁場レンズ、6…対物レンズ、7…試料室、8…試料、9…観察対象部位、10…偏向コイル、11…2次粒子検出器A、12…2次粒子検出器B、13…2次粒子検出器C、14…試料台、15…リターディング制御電源、16…試料台駆動装置、17…ExBフィルター、18…補助電極、19…補助電極制御電源、20…2次粒子検出器C用増幅器、21…画像処理部、22…画像出力端末、23…光透過板、24…光学顕微鏡ユニット、25…光源、26…反射ミラー、27…20倍用レンズ、28…200倍用レンズ、29…光検出器、30…走査電子顕微鏡の観察面、31…光源の光軸、32…倍率切り替え用ミラー駆動装置、33…倍率切り替え用ミラーa/ハーフミラー、34…倍率切り替え用ミラーの上下運動、35…倍率切り替え用ミラーb、36…焦点調整用ユニット駆動装置、37…光学顕微鏡ユニットの上下運動、38…光学顕微鏡の観察対象部位、39…1次電子線の走査中心、40…1次電子線の走査中心と観察対象部位の2次元的な相対位置関係、41…アライメント制御用情報処理装置、42…磁気ヘッドrow bar、43…磁気ヘッド、44…読み出し書き込み素子(観察対象部位)、45…電極面、46…電極、47…試料ホルダ、48…x軸、49…y軸、50…試料ホルダの中心、51…試料ホルダの中心50からの相対位置(x1,y1)、52…X軸、53…Y軸、54…X軸、Y軸上の位置(x1,y1)、55…実際の位置(x2,y2)、56…ズレ、57…画像処理端末のディスプレイ画面、58…試料ホルダと載置された磁気ヘッドの概略上面図、59…アライメント用磁気ヘッド、60…画像解析装置、61…アライメント第一段階用テンプレート画像、62…アライメント第三段階用テンプレート画像、63…ラスタロータリゼーションによる画像の回転、64…視野の移動、65…長焦点光学顕微鏡、66…レーザー光照射手段、67…レーザー光、68…アライメント時の光学顕微鏡上での移動量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料ホルダ上に載置された試料に対して電子線を照射し、発生する二次粒子を検出する電子光学鏡筒と、
前記試料に対して光を照射して、反射光を検出することにより前記試料の光学像を取得する光学顕微鏡ユニットと、
前記試料ホルダを移動する手段とを備え、
前記光学顕微鏡ユニットの照射光の照射位置が属する面が、前記電子線の照射位置が属する面とは異なることを特徴とする走査電子顕微鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の走査電子顕微鏡において、
前記電子線の照射位置を、前記光学顕微鏡ユニットから得られる画像情報を用いて推定する情報処理手段を備えたことを特徴とする走査電子顕微鏡。
【請求項3】
請求項1に記載の走査電子顕微鏡において、
前記試料ホルダの位置制御のための座標系上における任意の位置と、該任意位置の前記光学像上における位置との位置ずれ量を計算する情報処理手段を備えたことを特徴とする走査電子顕微鏡。
【請求項4】
請求項2または3に記載の走査電子顕微鏡において、
前記情報処理手段は、前記光学顕微鏡ユニットの照射光の照射位置が属する面の座標系から前記電子線の照射位置が属する面の座標系へ座標変換を行って、前記電子線の照射位置を算出することを特徴とする走査電子顕微鏡。
【請求項5】
請求項2に記載の走査電子顕微鏡において、
前記情報処理装置は、設計データから計算される前記電子線の照射位置を、前記光学顕微鏡画像に対してテンプレートマッチングを実行することにより計算することを特徴とする走査電子顕微鏡。
【請求項6】
請求項3に記載の走査電子顕微鏡において、
前記情報処理装置は、前記位置づれ量を、前記光学像に対してテンプレートマッチングを実行することにより計算することを特徴とする走査電子顕微鏡。
【請求項7】
請求項5または6に記載の走査電子顕微鏡において、
前記テンプレートマッチングに使用される画像データが格納された記憶手段を備えたことを特徴とする走査電子顕微鏡。
【請求項8】
請求項5または6に記載の走査電子顕微鏡において、
前記情報処理手段は、前記テンプレートマッチングの条件を満たす領域の数を、テンプレートマッチングの開始領域からカウントし、前記電子線照射位置ないし前記位置づれ量を、カウントされた数と対応付けて記憶することを特徴とする走査電子顕微鏡。
【請求項9】
請求項1に記載の走査電子顕微鏡において、
前記電子光学鏡筒は対物レンズを備え、
前記光学顕微鏡ユニットは、当該電子光学鏡筒の外側から真空ポートを介して該対物レンズ内に挿入され、
更に、前記光学顕微鏡ユニットの光路と前記対物レンズの構成部材の交差する位置に、光を透過する部材が設けられたことを特徴とする走査電子顕微鏡。
【請求項10】
試料の所定領域に電子線を照射して得られる二次粒子の二次元分布情報を元に、前記所定領域内の特定部位の寸法を計測する測長システムにおいて、
前記試料に対して電子線を照射し、前記二次粒子を検出する電子光学鏡筒と、
前記試料が載置される試料ホルダと、
前記試料に対して光を照射し反射光を検出することにより前記試料の光学像を取得する光学顕微鏡ユニットと、
前記二次粒子により得られる画像の視野を変更する手段と、
前記二次粒子の検出信号を元に前記二次元分布情報を算出し、前記寸法計測を実行する情報処理手段とを備え、
前記光学顕微鏡ユニットが、前記電子線照射領域が属する面とは異なる面に光が照射されるように配置されたことを特徴とする測長システム。
【請求項11】
請求項10に記載の測長システムにおいて、
前記試料の設計データを格納するサーバを備えたことを特徴とする測長システム。
【請求項12】
請求項10に記載の測長システムにおいて、
前記試料が磁気ヘッドrow barであることを特徴とする測長システム。
【請求項13】
試料の所定領域に電子線を照射して得られる二次粒子の二次元分布情報を元に、前記所定領域内の特定部位の寸法を計測する測長方法であって、
前記試料上で、前記電子線の照射領域が属する面とは異なる面に光を照射して光学像を取得し、
当該光学像を元に、前記所定領域の位置を推定し、
該推定位置に電子線を照射して前記二次元分布情報を取得し、
得られた二次元分布情報を用いて前記特定部位の寸法計測を行うことを特徴とする測長方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−112596(P2008−112596A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293478(P2006−293478)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】