説明

走行制御システム及び走行制御方法

【課題】ナビゲーション装置が保持する情報を利用して車両の走行支援制御を行う際に、不適切な情報に基づき好ましくない制御がなされることを抑止し、各種走行支援サービスに適した走行支援制御を実現し、安全性,運転性の向上を図る。
【解決手段】ナビゲーション装置は、環境情報に対する信頼度を表す確度情報を求める情報確度算出手段を備え、データベースの車両位置周辺の環境情報を制御装置に送信する際、その環境情報に対する確度情報を付加して制御装置に送信する。制御装置は、ナビゲーション装置から送られる確度情報に基づいて、送られてきた環境情報を走行制御に利用するか否か判定する情報利用判定手段を備え、受信した環境情報の利用が不適切であると判定した場合、ナビゲーション装置から受信した環境情報を利用せずに走行制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両において、運転者による車両の運転操作を支援する走行制御システム及び走行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、先行車両との間の車間距離を計測し、先行車両との車間距離を一定に保ちつつ先行車両に追従するように自車両の走行を制御する自動追従制御(以下、ACCと呼ぶ)を始め、レーダやカメラなどを用いて車両の周囲環境を認識して走行支援を行う走行制御技術が実用化されてきている。
【0003】
また、地図情報に基づいて目的地までの経路案内などを行うナビゲーション装置が多くの車両に搭載されるようになりつつあり、ナビゲーション装置の持つ道路形状情報を利用して、車両の変速機制御を行うような製品も実用化されている。
【0004】
このような中、たとえば、下記特許文献1には、走行中の車両の現在位置に対応する道路種別等の走行情報をナビゲーション装置の持つデータベースより取得し、取得した走行情報に基づいて後輪の舵角制御、サスペンションの減衰力制御を行う車両運動制御装置が開示されている。
【0005】
このようにナビゲーション装置の持つ情報を利用して車両の制御を行う場合、ナビゲーション装置から提供される情報が信用できるものであることが要求されるが、ナビゲーション装置の故障等により提供される情報が常時信用できるものであるとは限らない。このため、特許文献1に開示される技術では、ナビゲーション装置の自己診断結果に基づいて、ナビゲーション装置が正常である場合には、その情報を用いて制御を行い、ナビゲーション装置が異常である場合には、予め用意された制御規則にしたがって車両を制御する。
【0006】
【特許文献1】特開平5−262251号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来技術においては、ナビゲーション装置の自己診断の結果が正常か異常かに応じて制御規則を変更している。しかしながら、ナビゲーション装置の機能が正常であっても、車両の走行状態やコンテンツ鮮度によってその情報が必ずしも信用できる状態であるとは限らず、ナビゲーション装置の保持している情報自体の確度が高い必要がある。
【0008】
また、走行制御技術により提供される走行支援サービスには、危険警報,自動追従制御,自動制動制御,自動衝突回避制御など各種のものが存在するが、対象とする走行制御技術やそれらにおける情報の利用目的によってナビゲーション装置の保持する情報を利用するか否かの判断基準は異なってくる。このため、ナビゲーション装置保持する情報を「正常/異常」の2値で画一的に判断すると、目的とする走行支援サービスに適した走行制御ができなくなる場合がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、ナビゲーション装置が保持する情報を利用した走行制御の信頼性を高めることにある。
【0010】
また、本発明の更なる目的は、ナビゲーション装置が保持する情報を利用した危険警報,自動追従制御,自動制動制御及び自動衝突回避制御等の各種走行支援サービスに適した走行制御を実現し、安全性,運転性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、本発明による走行制御装置は、車両の現在位置を取得する車両位置情報取得手段、道路並びにその周辺の環境に関する環境情報を格納するデータベース、及び環境情報の信頼度を示す確度情報を求める確度情報算出手段を備えたナビゲーション装置と、該ナビゲーション装置により提供される環境情報を利用して車両の走行を制御する制御装置とを有する。
【0012】
ナビゲーション装置は、車両位置情報取得手段により取得された車両位置に基づき、当該車両位置に係る環境情報をデータベースから獲得し、獲得した環境情報についての確度情報を確度情報算出手段により求め、当該確度情報を獲得した環境情報と共に制御装置に送信する。
【0013】
制御装置は、受信した確度情報に基づいて、当該確度情報と共に受信した環境情報の利用可否を判定し、利用可と判定された場合にその環境情報を利用して車両の走行を制御する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ナビゲーション装置が保持する情報を利用して車両の走行支援制御を行う際に、不適切な情報に基づいた危険な制御が行われることを回避することができる。また、確度情報の多値表現により、同一の情報であっても走行支援機能毎に柔軟にその利用可否の判断を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施形態において、走行制御システムは、車両の現在位置を検出する車両位置情報取得部、及び車両位置周辺の環境情報を保持するデータベースを有するナビゲーション装置と、データベースに保持された環境情報を利用して車両の走行制御を行う制御装置とを備える。ナビゲーション装置は、環境情報に対する信頼度を表す確度情報を求める情報確度算出手段を備え、データベースに保持され、制御装置により利用可能な環境情報を制御装置に送信する際、その環境情報に対する確度情報を付加して制御装置に送信する。制御装置は、ナビゲーション装置から送られる確度情報に基づいて、ナビゲーション装置から送られてきた環境情報を走行制御に利用するか否か判定する情報利用判定手段を備え、受信した環境情報の利用が不適切であると判定した場合、ナビゲーション装置から受信した環境情報を利用せずに走行制御を行うように走行制御ロジックを切り替える。
【0016】
ナビゲーション装置は、複数の情報源に起因する環境情報を制御装置に送る際、環境情報に付加して制御装置に送る確度情報として、各情報源の確度情報のうち最も小さい値を採用する。
【0017】
走行制御システムは、制御装置がナビゲーション装置から送られてくる環境情報を自身の走行制御に利用しないと判定し、ナビゲーション装置から受信した環境情報を利用せずに走行制御を行うように走行制御ロジックを切り替えた場合、その旨を乗員に通知する通知装置を有する。
【0018】
また、走行制御システムが、単一または複数の制御装置により、環境情報を利用する複数種類の走行制御を実現する場合、制御装置の情報利用判定手段は、各走行制御の種類毎に異なる判定基準に従って確度情報の判定を行う。走行制御システムは、情報利用判定手段が用いる判定基準を変更するための情報を入力する入力装置を有し、情報利用判定手段は、入力装置から入力された情報にしたがって判定基準を変更する機能を備える。さらに、情報利用判定手段は、車両の周囲環境の変化を検知、若しくは予測した情報に基づき、環境情報の利用可否の判定基準を動的に変化させる。
【0019】
情報確度算出手段は、データベースの情報の確度情報、車両位置情報取得手段により求められる車両位置情報の確度情報のいずれか、または、全てを用いて、ナビゲーション装置が送信する情報に対する確度情報を算出する。また、情報確度算出手段は、具体的には、車両位置情報取得手段において求まる現走行道路の候補数が多いほど、車両位置情報の確度情報を示す数値を小さくする。
【0020】
本発明の他の実施形態において、走行制御システムは、車両の現在位置を検出する車両位置情報取得手段および車両位置周辺の環境情報を保持するデータベースを有するナビゲーション装置と、乗員による運転操作を支援して車両の走行制御を行う制御装置と、ナビゲーション装置に接続され車外の機器と通信するための通信装置とを有する。ナビゲーション装置は、通信装置を解して、利用者の要求に応じて、または自動的に車外から情報を獲得し、データベースの確度情報を更新する。ナビゲーション装置は、データベースに保持される環境情報を制御装置に送信する際に、更新した確度情報をもとに送信する環境情報に対する信頼度を表す確度情報を算出し、それを付加して送信する確度情報算出手段を有する。制御装置は、送られてきた確度情報を予め定められた判定基準と比較して送られてくるデータベースの情報を利用するか否か判定する情報判定手段を備え、受信した環境情報が情報判定手段により利用不可と判定された場合には、その環境情報を利用せずに走行制御を行う。
【0021】
ナビゲーション装置は、通信手段を用いて車外から得た情報を利用者の指示によりデータベースの情報として更新した時は当該情報に対応する確度情報の数値を最大とし、更新しなかった時は、当該情報に対応する確度情報の数値をある一定値小さくする。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の一実施例に係るナビ協調走行制御システムの概略を示すブロック図である。
【0023】
ナビ協調走行制御システムは、ナビゲーション装置1、車両を制御する複数の制御装置2、ドライバに制御機能の作動状態を示すインジケータ9、乗員が設定などを入力可能な入力装置11、車外から各構成要素にアクセス可能にするための外部コネクタ12、およびそれらを接続するバス3を有して構成される。
【0024】
ナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する車両位置情報取得部4、地図情報および店舗などの環境情報を含むデータベース5、及びナビゲーション装置1が提供する情報の確度を求める情報確度算出部8を有する。スピーカ10は、音で乗員に通知するためのものであり、インジケータ9と接続される。
【0025】
制御装置2は、ナビゲーション装置1により提供される情報を利用して、自動追従制御,自動制動制御,自動衝突回避制御など各々において一つもしくは複数の車両制御を行う。各制御装置2は、各々の達成すべき機能を実現するために各種制御を行う制御ロジック部6と、ナビゲーション装置1により提供される情報の利用判断を行うナビ情報利用判定部7を持つ。
【0026】
ナビゲーション装置1と各制御装置2とを接続するバス3の間には、安全のため、図示しないゲートウェイ装置のような情報のフィルタリング装置を設けることができる。また、インジケータ9とスピーカ10は、関係する制御装置2に直接接続されていてもよく、あるいは、ナビゲーション装置1の内部に設けられていてもよい。
【0027】
外部設定装置13は、外部コネクタ12を介してバス3に接続され、規定のインタフェースに従い各構成要素が保持する情報を取得または修正することができる。
【0028】
以下、本実施例では、上述した構成において、カーブ進入に際して自動的に制動制御を行う走行制御を例に具体的に説明する。
【0029】
図2は、カーブ進入に際して実施される自動制動制御時にナビゲーション装置1で実施される自動制動制御処理のフローを示すフローチャートである。この処理は、所定の時間間隔、たとえば10ms間隔で定期的に実施される。
【0030】
ナビゲーション装置1は、車両位置情報取得部4により図示しないGPSやジャイロ等で得られる自車の現在位置に基づいてデータベース5を検索し、自車の走行している道路、及びその道路上での自車の位置等を含む自車位置情報を取得する。 (ステップST201)。続いて、取得した自車位置情報の確度を求める。自車位置情報の確度は、例えば、自車位置情報を取得時に自車が走行している道路を決定する際、その候補として得られる道路(候補道路)の数に基づいて求めることができる。候補道路数が多いほど確度は低くなり、候補道路数が少ないほど確度は高くなる。本実施例では、車両位置情報取得部4における自車位置情報の取得過程で得られる候補道路数の逆数値に従い、0〜100%の数値で確度を表す。例えば、候補道路数が1つの時は確度100%であり、候補道路数が2つ存在する時は確度50%となる(ステップST202)。
【0031】
次に、ナビゲーション装置1は、得られた自車位置情報に基づき、データベース5から進行方向前方にあるカーブに関するカーブ情報を取得する。カーブ情報には、カーブ進入地点の位置情報、カーブの曲率を表す曲率情報が含まれる(ステップST203)。その後、得られたカーブ情報の確度を求める。本実施例では、データベースに格納されている情報について、現実状況と差が生じているのかどうか判断できないため、情報が更新されない状況下ではデータベース5から取得される情報の確度は一定(例えば100%)であるものとして扱う(ステップST204)。
【0032】
続いて、ステップST203で得た情報から、カーブ進入地点までに減速を達成すべき目標設定速度を算出するとともに、車両の持つ減速能力から求まる減速開始地点を求める(ST205,206)。
【0033】
次に、ステップST201で求めた自車位置情報とステップST204で求めた減速開始地点とから、自車が減速開始地点に到達しているか否か判別し、自車が減速開始地点に到達していなければ、処理を一旦終了する(ステップST207)。
【0034】
ステップST207において自車が減速開始地点に到達していると判断された場合、情報確度算出部8により、ステップST202で得られた自車位置情報の確度とステップ
ST204で得られたカーブ情報の確度とに基づいて、ステップST205で求めた目標設定速度情報の確度を求める。本実施例では、カーブ情報の確度と自車位置情報の確度の最小値を、目標設定速度情報の確度とする(ステップST208)。
【0035】
ナビゲーション装置1は、このようにして得られた目標設定速度情報と共に、その確度を示す確度情報を、自動制動制御を行う制御装置2に向けて送信する (ステップST209)。
【0036】
図3は、ナビゲーション装置1から送信された目標設定速度情報およびその情報確度を受信した制御装置2により実行される自動制動制御処理のフローを示すフローチャートである。制御装置2における自動制動制御処理もナビゲーション装置1における自動制動制御処理と同様に、所定の周期で実行される。
【0037】
制御装置2は、自動制動制御処理の実行を開始すると、まず、ナビゲーション装置1から目標設定速度情報,確度情報を受信しているか否か調べ、目標設定速度情報,確度情報を受信していなければ、そのまま処理を終了する(ステップST301)。目標設定速度情報,確度情報を受信していれば、それらの情報を取得する(ステップST302,
ST303)。
【0038】
次に、制御装置2は、ナビ情報利用判定部7において、取得した確度情報により示される目標設定速度情報の確度を予め設定されているしきい値と比較する (ステップST304)。
【0039】
制御装置2は、目標設定速度情報の確度がしきい値を上回った場合、その目標設定速度情報に従った目標速度を新たな目標設定速度として設定し、制御ロジック部6による速度制御を行う(ステップST305,ST306)。
【0040】
一方、目標設定速度情報の確度がしきい値を下回った場合、制御装置2は、これまでの目標設定速度を維持したまま、走行制御を継続し(ステップST307)、以後ナビ協調走行制御機能が無効になることを、インジケータ9やスピーカ10を利用してユーザ(ドライバ)に通知する(ステップST308)。
【0041】
制御装置2は、目標設定速度情報の確度がしきい値を下回り、ナビ協調走行制御機能が無効になることをユーザに通知した後は、再びユーザによるナビ協調走行制御機能の再設定が行われるまで本処理の実行を抑止し、ナビ協調走行制御機能が機能しないように制御する。
【0042】
ここでは、上述したように、目標設定速度の確度があらかじめ定められたしきい値を下回ったときに、それ以降、ナビ協調走行制御機能が機能しないように制御しているが、制御装置2の自動制動制御処理の実行を抑止することなく、それ以降の実行時において、確度情報がしきい値を上回った場合に、ナビ協調走行制御機能を使った制御を再開するようにしてもよい。この場合、ナビ協調走行制御機能が再び有効となった旨をインジケータ9やスピーカ10を利用してユーザに通知する。
【0043】
以上説明した実施例では、危険警報,自動追従制御,自動制動制御,自動衝突回避制御など、複数の走行支援サービスの機能は、それぞれ異なる制御装置2により実現される。各制御装置2がナビゲーション装置1から提供される情報の利用判定に用いる確度情報のしきい値は、他の制御装置2が用いるしきい値と一致する必要はなく、その制御対象によって異なるものとできる。例えば、警報を出力する際のしきい値を、制動制御を行う際のしきい値よりも低くするよう、段階的にしきい値を設定することが可能である。しきい値の具体的な設定の仕方は、提供しようとする走行支援サービスにおけるナビゲーション装置1から得られる情報の利用コンセプトに拠る。また、複数の走行支援サービスの機能を単一の制御装置で実現した場合でも、各々の走行支援サービス機能ごと異なるしきい値を設定してよい。
【0044】
これらしきい値は、入力装置11から各制御装置2にアクセスし、その設定値を変更できるようにしてもよいし、車両の整備時などに、外部コネクタ12に外部設定装置13を接続して、車外から各制御装置2にアクセスし設定値を変更できるようにしてもよい。また、車両に搭載されている図示しないセンサや外部から受けた情報により、車両の周囲環境が既定している状態から変化したことを検知、もしくは予測した場合には、より厳密な制御を行うためしきい値を動的に変化させるようにしてもよい。例えば、路面状況の悪化を予測した場合には、しきい値の数値を上げるといったことも可能である。
【実施例2】
【0045】
図4は、本発明の他の実施例に係るナビ協調走行制御システムの概略を示すブロック図である。
【0046】
本実施例におけるナビ協調走行制御システムは、ナビゲーション装置1が車外の情報管理装置と通信し、外部から送られてくる情報に基づいてデータベース5の内容を更新する。このために、ナビゲーション装置1には、車外の機器と通信するための通信装置41が接続されている。また、外部には、ナビゲーション装置1のデータベース5に格納される情報を管理する情報管理装置42が存在している。ナビゲーション装置1は、通信装置
41を介して情報管理装置42と通信を行い、データベース5に格納されている情報の更新を行う機能を有する。
【0047】
その他、図1と同一の参照番号が付され構成要素については、第1実施例で説明したナビ協調走行制御システムと同様のものであり、ここでは説明を省略する。
【0048】
図5は、データベース5が持つ情報を更新するための更新処理フローを示すフローチャートである。ナビゲーション装置1は、ユーザから確認希望対象エリアの更新情報の有無を確認する指示を受けた場合、もしくは、ナビゲーション装置1の処理機能として自動的に確認を行う機能を持つ場合には、あらかじめ定められたタイミングで以下の処理を実行する。
【0049】
ナビゲーション装置1は通信装置41を介して情報管理装置42に接続し(ステップ
ST501)、問い合わせ対象エリアについて、前回情報を更新した時期を情報管理装置42に送信する(ステップST502)。
【0050】
情報管理装置42は、受信した更新時期の情報から該当エリアに関してより新しい情報があるか判定し、更新要否情報を返信する。ナビゲーション装置1は、情報管理装置42から送り返されてくる対象エリアについての更新要否情報を受信し(ステップST503)、更新要否情報に基づいてデータベース5が保持する対象エリアについての情報が古くなっており、更新が必要な情報が存在するか否か判定する(ステップST504)。ナビゲーション装置1は、情報の更新の必要が無ければ、ステップST510の処理に進み、情報管理装置42との接続を切断して処理を終了する。
【0051】
一方、データベース5の情報の更新が必要である場合、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して新しい情報をダウンロードしてデータベース5内の情報を更新するか否か問い合わせる(ステップST505)。ユーザがデータベース5の情報の更新を希望する場合、ナビゲーション装置1は、該当する情報をダウンロードしてデータベース5を更新し、対象エリアについての情報の確度を表す確度情報を最新の情報であることを表す100%として更新する(ステップST506〜ST508)。
【0052】
ステップST505において、ユーザが情報の更新を希望しない場合、ナビゲーション装置1は、対象エリアについての確度情報を現在保持している確度情報の値から一定値分(例えば10%)少なくなるよう更新する(ステップST509)。
【0053】
その後、ナビゲーション装置1は情報管理装置42との接続を切断し処理を終了する
(ステップST510)。
【0054】
上述した処理において、問い合わせの対象とするエリアは、自車の走行地点を中心としたある一定の距離範囲とするが、ナビゲーション装置1が走行経路を設定している場合は、その経路に沿った周辺のエリアを対象エリアとしてもよい。
【0055】
また、車外から情報を受信してデータベース内の情報を更新可能な情報として、渋滞情報,規制情報などの交通情報や、天候情報など、予報も含めた様々な即時性の強い情報がある。これら情報も、その確度に応じて走行制御に利用することができる。このような情報については、その特性から、情報の配信段階において情報管理装置42により対応する情報の確度情報を付加して配信する。この場合、確度情報としては、例えば、情報が得られてからの経過時間に対応した確度情報を用いることができる。このような情報を受信したナビゲーション装置1では、情報確度算出部8において情報管理装置42から送られてきた確度情報も加味した上で制御装置2に送信する確度情報を求め、制御装置2において、この確度情報に従い、提供される情報を利用するか否か判断するようにすればよい。
【0056】
以上説明した実施例に拠れば、ナビゲーション装置が保持する情報の確度に応じてその情報を走行制御に利用でき、誤った情報に基づいた危険な制御を回避することが可能となる。また、確度情報を多値表現することにより、同一の情報であっても実現される走行支援機能毎に柔軟にその利用可否の判断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施例に係るナビ協調走行制御システムの概略を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置1で実施される自動制動制御処理のフローを示すフローチャートである。
【図3】制御装置2により実行される自動制動制御処理のフローを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施例に係るナビ協調走行制御システムの概略を示すブロック図である。
【図5】データベース5が保持する情報の更新処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1…ナビゲーション装置、2…制御装置、3…バス、4…車両位置情報取得部、5…データベース、6…制御ロジック部、7…ナビ情報利用判定部、8…情報確度算出部、9…インジケータ、10…スピーカ、11…入力装置、12…外部コネクタ、13…外部設定装置、41…通信装置、42…情報管理装置。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を取得する車両位置情報取得手段、道路並びにその周辺の環境に関する環境情報を格納するデータベース、及び前記環境情報の信頼度を示す確度情報を求める確度情報算出手段を備えたナビゲーション装置と、該ナビゲーション装置により提供される環境情報を利用して車両の走行を制御する制御装置とを有する走行制御システムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、前記車両位置情報取得手段により取得された車両位置に基づき、当該車両位置に係る環境情報を前記データベースから獲得し、当該獲得した環境情報についての確度情報を前記確度情報算出手段により求め、当該確度情報を前記獲得した前記環境情報と共に前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、受信した確度情報に基づいて、当該確度情報と共に受信した前記環境情報の利用可否を判定し、利用可と判定された場合に前記環境情報を利用して車両の走行を制御する走行制御システム。
【請求項2】
前記確度情報算出手段は、前記受信した確度情報をあらかじめ設定されたしきい値と比較し、該比較の結果に基づいて前記環境情報の利用可否を判定する請求項1記載の走行制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記判定の結果、前記環境情報の利用が不可であると判定された場合、前記環境情報の利用を抑止して車両の走行を制御する請求項1または2記載の走行制御システム。
【請求項4】
請求項3記載の走行制御システムにおいて、前記制御装置が前記環境情報の利用が不可であると判定した場合に、前記制御装置による前記環境情報を利用した走行の制御が行われないことを通知する通知手段を有する走行制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、車両の周囲環境に関する情報を取得するセンサーから送られてくる情報に基づいて、周囲環境の変化を認識した場合、前記しきい値を変更する請求項2記載の走行制御システム。
【請求項6】
請求項1記載の走行制御システムにおいて、
車両の外部に設けられ、前記データベースに格納される環境情報の少なくとも一部の情報を管理する情報管理装置と通信するための通信装置を備え、
前記ナビゲーション装置は、前記通信装置を介して前記情報管理装置と通信し、前記データベースに格納された環境情報の中で更新すべき情報の有無を判定し、更新すべき情報が存在する場合には、ユーザからの指示に従い、前記情報管理装置から更新情報を取得し、当該更新情報により前記データベースに格納された対応する環境情報を更新する走行制御システム。
【請求項7】
前記確度情報算出手段は、前記更新の際、更新された環境情報に対する確度情報として最大の確度情報を求め、当該確度情報を前記環境情報に対応付けて前記データベースに格納し、前記ユーザからの指示により更新を行わない場合には、前記データベースに格納された該当する環境情報に対応して格納された確度情報により示される信頼度を所定量だけ減少させる請求項6記載の走行制御システム。
【請求項8】
ナビゲーション装置との通信により、道路並びにその周辺の環境に関する環境情報を取得し、該環境情報を利用して車両の走行を制御する走行制御における走行制御方法であって、
車両の現在位置情報に基づいて取得される車両の環境情報と、該環境情報を用いて算出される環境情報確度とを受信し、
該環境情報確度に基づいて、当該環境情報確度と共に受信した前記環境情報の利用可否を判定し、
当該判定により、利用可と判定された場合に前記環境情報を利用して車両の走行を制御する走行制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−196776(P2007−196776A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15761(P2006−15761)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】