走行車輌
【課題】 本発明の課題は、ブレーキペダルの踏込み操作により、前後進とも変速レバーを高速側から低速中立側へ復帰できるようにし、簡潔な構成でもって前後進共に減速精度並びに安全性の向上を図ることにある。
【解決手段】 本発明は、前後方向の操作で前後進の変速が可能な変速レバー(31)と踏込回動操作でブレーキ装置を作動させるブレーキペダル(21)を備え、ブレーキペダル(21)と一体回動する作動部分が変速レバー(31)と一体回動する被作動部分に接当して変速レバーを低速側へ復帰させるべく連動構成し、作動部分及び被作動部分は前進側用(24f),(33f)と後進側用(24b),(33b)とを備えた構成とする。
【解決手段】 本発明は、前後方向の操作で前後進の変速が可能な変速レバー(31)と踏込回動操作でブレーキ装置を作動させるブレーキペダル(21)を備え、ブレーキペダル(21)と一体回動する作動部分が変速レバー(31)と一体回動する被作動部分に接当して変速レバーを低速側へ復帰させるべく連動構成し、作動部分及び被作動部分は前進側用(24f),(33f)と後進側用(24b),(33b)とを備えた構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行中、ブレーキペダルの踏み込み操作に連動して変速レバーを低速域に戻す手段を備えた走行車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、変速レバーの前側方向への回動操作で変速域が高速側となるように設定し、ブレーキペダルアームと一体回動する作動部分がブレーキ操作時に変速レバーと一体回動する被操作部分に接当して変速レバーを高速側から低速側に強制復帰させるように連動構成したものがある。
【特許文献1】特開2003−333907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる従来技術のものでは、変速レバーは前進側での変速域しか低速側に復帰できない構成であり、後進側では低速側への復帰ができないため、後進時の安全性に問題がある。
本発明の課題は、上記問題点を解消することにあり、簡単な構成でもって後進時でも変速レバーの低速側への復帰を可能とし、前後進共に減速精度アップと安全性向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、前後方向の操作で前後進の変速が可能な変速レバー(31)と踏込回動操作でブレーキ装置を作動させるブレーキペダル(21)を備え、ブレキペダル(21)と一体回動する作動部分(24)が変速レバー(31)と一体回動する被作動部分(33)に接当して変速レバーを低速側へ復帰させるべく連動構成し、作動部分(24)及び被作動部分(33)は前進側用(24f),(33f)と後進側用(24b),(33b)とを備え、前進側用と後進側用とで回動軸方向へ位置をずらせて設定してあることを特徴とする。
【0005】
変速レバー(31)は、前後方向の回動操作で変速装置を駆動し前後進走行速度を任意に変速制御する。ブレーキペダル(21)は踏込み回動操作でブレーキ装置を作動し、制動状態と非制動状態とに切替制御する。
【0006】
そして、変速レバー(31)が前進側での高速側に操作されている時において、ブレーキペダル(21)を踏込み回動操作すると、ブレーキ装置が作動し走行部に制動力が付与されると同時に、ブレーキペダル(21)と一体回動する前進側用作動部分(24f)が変速レバー(31)と一体回動する前進側用被作動部分(33f)に接当することにより、該変速レバー(31)が前進高速側から低速側中立位置へ強制復帰されることになる。また、変速レバー(31)が後進側での高速域に操作されている時でも、ブレーキペダル(21)を踏込み回動操作すると、ブレーキ装置が作動し走行部に制動力が付与されると同時に、ブレーキペダル(21)と一体回動する後進側用作動部分(24b)が変速レバー(31)と一体回動する後進側用被作動部分(33b)に接当することにより、該変速レバー(31)が後進高速側から低速側中立位置へ強制復帰されることになる。
【0007】
前進高速走行時、或は後進走行時において、緊急時にブレーキをかけて急停車すると、必ず、変速レバーが高速位置から中立位置へ確実に強制復帰されるので、機体は前後進走行時にかかわらず確実に停車し安全である。
【発明の効果】
【0008】
以上要するに、請求項1の本発明によれば、ブレーキペダル(21)と変速レバー(31)の一体回動する作動部分(24),(33)と被作動部分(24),(33)が前進側用(24f),(33f)と後進側用(24b),(33b)とにそれぞれ設けられて互いに当接することにより減速連動するので、減速連動構成が簡潔となり、前後進共に変速レバーの中立位置への強制復帰を確実にでき、緊急時の安全性をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、走行車輌の一例として6条植田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、ステアリングハンドル5下方にはフロントカバー6が設置され、また、車体後方部には昇降可能な苗植付部7が装備されている。操縦装置の後側に運転席8が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0010】
前記ステアリングハンドル5は、これの回動操作によりステアリングポスト9内のステアリング軸からステアリングケース内の減速機構、ピットマンア−ム及び操向ロッド等を介して左右の前輪2,2を操向させ操舵するようになっている。 苗植付部7は、車体の後部に昇降リンク機構10を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ11の伸縮作動により昇降する構成である。
【0011】
また、この苗植付部7には、左右に往復動する苗載タンク12、1株分の苗を切取って土中に植込む苗植付具13を有する2条分植付装置14,14、苗植付面を滑走しながら整地するフロ−ト(サイドフロ−ト)15,15、センタフロ−ト15S等を備えている。車体1の後部上方には施肥装置27が設けられ、苗植付部7の苗植付近くには施肥装置27に連通する施肥ノズル28が設けられている。
【0012】
走行ミッション装置は、エンジンEから入力された回転動力を左右前輪2,2及び左右後輪3,3に伝動するよう車体1の前側部でステップフロア16の下方に配置してミッションケース17内に装備した構成としている。このミッションケース17から後方へ延びる植付伝動軸、植付クラッチケース18を介して苗植付部7へ動力を伝達するようになっている。
【0013】
エンジンEの回転動力は、エンジン出力プーリからベルト19を介して油圧式無段変速装置(HST)20の入力軸に伝えられ、HST入力軸から油圧ポンプを駆動するように連動されてあり、更に、HST20の出力軸からミッションケ−ス17内のミッションに入力伝達されるようになっている。
【0014】
ブレーキペダル21は、左右後輪のブレーキ装置を制動操作するように構成されてあり、ステアリングハンドル5の右側下方に配置され、このブレーキペダル21を踏込み回動操作するとブレーキ装置が作動してブレーキがかかり、機体が停止するようになっている。
【0015】
ブレーキペダル21のペダルアーム22の基部は、機体に回動自在に軸支された左右横方向の回動軸23に外嵌されて固定され、ペダル21を踏込み操作すると回動軸23も一体に回動するよう構成している。そして、ペダルアーム22の基部には、該ペダルアームと一体回動する前進側用作動部分24fと後進側用作動部分24bが回動軸23方向に位置をずらせて突設されている。
【0016】
変速レバー31は、前後方向の操作でHST20を変速制御するもので、前記ブレーキペダル21の近くに配置され、機体に軸架された左右横方向の回動軸32を支点として前後方向に揺動操作する構成であり、中立Nから前側方向Fへの回動操作で前進速となり、中立Nから後側方向Bへの回動操作で後進速となるよう連動構成している。そして、変速レバー31の基部には、該変速レバーと一体回動する前進側用被作動部分33fと後進側用被作動部分33bが回動軸332方向に位置をずらせて突設されている。
【0017】
前進側用被作動部分33fは、前進側の方が速度が速いため、後進側用被作動部分33bより長くして減速連動作用が確実になるよう構成している。また、前進側及び後進側用被作動部分33f,33bは、長穴34,34及び締付具35,35を介して回動固定自在に構成され、変速レバーの復帰作動タイミングを適正に調整できる構成としている。
【0018】
ここで、変速レバー31とブレーキペダル21との操作連動関係について説明すると、変速レバー31が前進側での高速側に操作されている時においてのみ、ブレーキペダル21を踏込み回動操作すると、ブレーキ装置が作動し走行部に制動力が付与されると同時に、ブレーキペダル21の前進側用作動部分24fが変速レバー31の前進側用被作動部分33fに接当して該前進側用被作動部分33fを押し上げ作動することにより、該変速レバー31が前進高速側Fから一気に低速側中立位置Nへ強制復帰される。また、変速レバー31が後進側での高速域に操作されている時においてのみ、ブレーキペダル21を踏込み回動操作すると、ブレーキ装置が作動し走行部に制動力が付与されると同時に、ブレーキペダル21の後進側用作動部分24bが変速レバー31の後進側用被作動部分33bに接当して押し上げ作動することにより、該変速レバー31が後進高速側Bから中立位置Nへ強制復帰される。
【0019】
図4に示すように、フロントカバー6が横軸芯Pを回動支点として上方に大きく開放できるようにステアリングポスト9の前部をフロントカバーの後面形状に合わせて後方に深く切り欠いだ構成としている。ステアリングポスト前面の切欠き部9aの存在により、フロントカバー6を仮想線で示す位置まで上方に大きく開放することができ、メンテナンスが容易にできる。
【0020】
図5、図6に示す実施例は、施肥装置付田植機において、施肥装置27の上方を覆うことのできる折り畳み可能な幌状のレインバイザー38を設けたものである。このレインバイザ38ーは、支持フレーム39の前端部に左右横方向の支軸40を介して回動自在に枢着してあり、図5のように、施肥装置27の上方を覆う被覆状態と、図6のように施肥装置の上方を開放して折り畳み収納する非被覆状態とに切替自在に構成している。雨天時には被覆状態に切り替えて肥料が雨に濡れないようにし、晴天時には開放した状態で作業を行なう。
【0021】
また、図7に示す実施例では、施肥装置付田植機の略全体の上方を覆うレインバイザー41において、このバイザー41は屋根の後端が前端より下位となるよう傾斜させて雨水が後方に流れるようにして前方視界の確保を図るようにしている。また、バイザーの後端を苗載せタンク12上に臨ませておくと、バイザー上を流下する雨水が直接苗載せタンク12上に落下することになり苗の滑りを促進することができる。
【0022】
図8に示す実施例では、運転部の上方にステー42を介して装着支持されたサンバイザー43の後部に、左右方向扇状に拡がり可能な扇子形状のレインバイザー44を設けることにより、運転部の後方に設置された施肥装置の上方を被覆して雨除けを行う構成としている。
【0023】
図9は、目抜きステップフロアの泥飛散侵入防止装置に関する構成例を示すもので、目抜き構成としたステップフロア16の格子部46には、ピン軸47回りに揺動開閉する開閉蓋48を設け、操作レバー49の操作により往復動可能な連動杆50を介して一斉に揺動開閉する構成としている。通常はレバー49が「開」の位置で使用することで、格子状開口(目抜き穴)部により対地側の透視効果が期待できる。泥が侵入する状態になった時(走行時の前輪からの泥跳ねや、湿田時ステップ上まで泥が跳ね上がってくる状態)には、レバーを「閉」の位置に操作することにより、各開閉蓋48…が閉まり泥の侵入を防ぐ。この時、開閉蓋はステップ格子部の下にあるため、ステップ上の滑り止め効果は変わらない。
【0024】
図10に示す実施例について説明すると、HST20のトラニオンアーム53を挟む左右両側には、支点Q回りに回動可能な2枚のカムプレート54,54がハサミ状に配置して設けられ、トラニオンアーム53が作動すると、これに連動してカムプレート54,54が張圧スプリング56に抗して左右逆方向に拡がり、同時にスロットル操作部55,55も左右方向へ拡がることによってスロットルワイヤー57が引っ張られることになる。なお、54aはカムローラ、58はストッパーを示す。このような構成によると、従来型のオートアクセルに比べて簡素化することができ、安価に実施することができる。
【0025】
図11〜図13に示す実施例について説明する。
後輪クラッチケース60と一体型のギヤ爪61を設け、通常の旋回時(ステアリングハンドルの旋回操作に連動して旋回内側のクラッチを切りにして旋回)には、多板クラッチ62を「切」状態とし、強制駆動が必要な場合(多板クラッチの摩耗、異常負荷時のクラッチ板のすべり等)にのみ、別に設けた強制クラッチレバー63の操作でオーバストロークさせ、一体型ギヤ爪61を後輪駆動ハブ64に噛み合わせ(図11から図12の状態)、多板クラッチを無視して動力を伝達する構成としている。後輪クラッチケース60は作動カム65によってストロークさせる構成であり、また、作動カム65は、このカム作動アーム66を前記強制クラッチレバー(ペダル)63と、ステアリングハンドルによる前輪の操向操舵機構とにそれぞれ連動機構67,68を介して連動連結している。
【0026】
通常旋回時でカメ状態になった時、旋回時における旋回内側の後輪を強制駆動することができるので、小回り旋回が可能となり、異常な走行負荷時にあっても圃場からの脱出が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】変速レバーとブレーキペダルの操作連動機構を示す側面図
【図4】田植機要部の側面図
【図5】施肥装置付田植機の要部の側面図
【図6】同上側面図
【図7】施肥装置付田植機の要部の側面図
【図8】サンバイザー及びレインバイザーの斜視図
【図9】図2に示すステップフロアのA−A線断面図
【図10】トラニオンアームとスロットルとの連動構成を示す平面図
【図11】後輪強制駆動機構要部の切断側面図
【図12】後輪強制駆動機構要部の切断側面図
【図13】作動カムの操作連動機構を示す展開図
【符号の説明】
【0028】
21 ブレーキペダル 22 ペダルアーム
23 回動軸 24f 前進側用作動部分
24b 後進側用作動部分
31 変速レバー 32 回動軸
33f 前進側用被作動部分 33b 後進側用被作動部分
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行中、ブレーキペダルの踏み込み操作に連動して変速レバーを低速域に戻す手段を備えた走行車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、変速レバーの前側方向への回動操作で変速域が高速側となるように設定し、ブレーキペダルアームと一体回動する作動部分がブレーキ操作時に変速レバーと一体回動する被操作部分に接当して変速レバーを高速側から低速側に強制復帰させるように連動構成したものがある。
【特許文献1】特開2003−333907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる従来技術のものでは、変速レバーは前進側での変速域しか低速側に復帰できない構成であり、後進側では低速側への復帰ができないため、後進時の安全性に問題がある。
本発明の課題は、上記問題点を解消することにあり、簡単な構成でもって後進時でも変速レバーの低速側への復帰を可能とし、前後進共に減速精度アップと安全性向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、前後方向の操作で前後進の変速が可能な変速レバー(31)と踏込回動操作でブレーキ装置を作動させるブレーキペダル(21)を備え、ブレキペダル(21)と一体回動する作動部分(24)が変速レバー(31)と一体回動する被作動部分(33)に接当して変速レバーを低速側へ復帰させるべく連動構成し、作動部分(24)及び被作動部分(33)は前進側用(24f),(33f)と後進側用(24b),(33b)とを備え、前進側用と後進側用とで回動軸方向へ位置をずらせて設定してあることを特徴とする。
【0005】
変速レバー(31)は、前後方向の回動操作で変速装置を駆動し前後進走行速度を任意に変速制御する。ブレーキペダル(21)は踏込み回動操作でブレーキ装置を作動し、制動状態と非制動状態とに切替制御する。
【0006】
そして、変速レバー(31)が前進側での高速側に操作されている時において、ブレーキペダル(21)を踏込み回動操作すると、ブレーキ装置が作動し走行部に制動力が付与されると同時に、ブレーキペダル(21)と一体回動する前進側用作動部分(24f)が変速レバー(31)と一体回動する前進側用被作動部分(33f)に接当することにより、該変速レバー(31)が前進高速側から低速側中立位置へ強制復帰されることになる。また、変速レバー(31)が後進側での高速域に操作されている時でも、ブレーキペダル(21)を踏込み回動操作すると、ブレーキ装置が作動し走行部に制動力が付与されると同時に、ブレーキペダル(21)と一体回動する後進側用作動部分(24b)が変速レバー(31)と一体回動する後進側用被作動部分(33b)に接当することにより、該変速レバー(31)が後進高速側から低速側中立位置へ強制復帰されることになる。
【0007】
前進高速走行時、或は後進走行時において、緊急時にブレーキをかけて急停車すると、必ず、変速レバーが高速位置から中立位置へ確実に強制復帰されるので、機体は前後進走行時にかかわらず確実に停車し安全である。
【発明の効果】
【0008】
以上要するに、請求項1の本発明によれば、ブレーキペダル(21)と変速レバー(31)の一体回動する作動部分(24),(33)と被作動部分(24),(33)が前進側用(24f),(33f)と後進側用(24b),(33b)とにそれぞれ設けられて互いに当接することにより減速連動するので、減速連動構成が簡潔となり、前後進共に変速レバーの中立位置への強制復帰を確実にでき、緊急時の安全性をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、走行車輌の一例として6条植田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、ステアリングハンドル5下方にはフロントカバー6が設置され、また、車体後方部には昇降可能な苗植付部7が装備されている。操縦装置の後側に運転席8が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0010】
前記ステアリングハンドル5は、これの回動操作によりステアリングポスト9内のステアリング軸からステアリングケース内の減速機構、ピットマンア−ム及び操向ロッド等を介して左右の前輪2,2を操向させ操舵するようになっている。 苗植付部7は、車体の後部に昇降リンク機構10を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ11の伸縮作動により昇降する構成である。
【0011】
また、この苗植付部7には、左右に往復動する苗載タンク12、1株分の苗を切取って土中に植込む苗植付具13を有する2条分植付装置14,14、苗植付面を滑走しながら整地するフロ−ト(サイドフロ−ト)15,15、センタフロ−ト15S等を備えている。車体1の後部上方には施肥装置27が設けられ、苗植付部7の苗植付近くには施肥装置27に連通する施肥ノズル28が設けられている。
【0012】
走行ミッション装置は、エンジンEから入力された回転動力を左右前輪2,2及び左右後輪3,3に伝動するよう車体1の前側部でステップフロア16の下方に配置してミッションケース17内に装備した構成としている。このミッションケース17から後方へ延びる植付伝動軸、植付クラッチケース18を介して苗植付部7へ動力を伝達するようになっている。
【0013】
エンジンEの回転動力は、エンジン出力プーリからベルト19を介して油圧式無段変速装置(HST)20の入力軸に伝えられ、HST入力軸から油圧ポンプを駆動するように連動されてあり、更に、HST20の出力軸からミッションケ−ス17内のミッションに入力伝達されるようになっている。
【0014】
ブレーキペダル21は、左右後輪のブレーキ装置を制動操作するように構成されてあり、ステアリングハンドル5の右側下方に配置され、このブレーキペダル21を踏込み回動操作するとブレーキ装置が作動してブレーキがかかり、機体が停止するようになっている。
【0015】
ブレーキペダル21のペダルアーム22の基部は、機体に回動自在に軸支された左右横方向の回動軸23に外嵌されて固定され、ペダル21を踏込み操作すると回動軸23も一体に回動するよう構成している。そして、ペダルアーム22の基部には、該ペダルアームと一体回動する前進側用作動部分24fと後進側用作動部分24bが回動軸23方向に位置をずらせて突設されている。
【0016】
変速レバー31は、前後方向の操作でHST20を変速制御するもので、前記ブレーキペダル21の近くに配置され、機体に軸架された左右横方向の回動軸32を支点として前後方向に揺動操作する構成であり、中立Nから前側方向Fへの回動操作で前進速となり、中立Nから後側方向Bへの回動操作で後進速となるよう連動構成している。そして、変速レバー31の基部には、該変速レバーと一体回動する前進側用被作動部分33fと後進側用被作動部分33bが回動軸332方向に位置をずらせて突設されている。
【0017】
前進側用被作動部分33fは、前進側の方が速度が速いため、後進側用被作動部分33bより長くして減速連動作用が確実になるよう構成している。また、前進側及び後進側用被作動部分33f,33bは、長穴34,34及び締付具35,35を介して回動固定自在に構成され、変速レバーの復帰作動タイミングを適正に調整できる構成としている。
【0018】
ここで、変速レバー31とブレーキペダル21との操作連動関係について説明すると、変速レバー31が前進側での高速側に操作されている時においてのみ、ブレーキペダル21を踏込み回動操作すると、ブレーキ装置が作動し走行部に制動力が付与されると同時に、ブレーキペダル21の前進側用作動部分24fが変速レバー31の前進側用被作動部分33fに接当して該前進側用被作動部分33fを押し上げ作動することにより、該変速レバー31が前進高速側Fから一気に低速側中立位置Nへ強制復帰される。また、変速レバー31が後進側での高速域に操作されている時においてのみ、ブレーキペダル21を踏込み回動操作すると、ブレーキ装置が作動し走行部に制動力が付与されると同時に、ブレーキペダル21の後進側用作動部分24bが変速レバー31の後進側用被作動部分33bに接当して押し上げ作動することにより、該変速レバー31が後進高速側Bから中立位置Nへ強制復帰される。
【0019】
図4に示すように、フロントカバー6が横軸芯Pを回動支点として上方に大きく開放できるようにステアリングポスト9の前部をフロントカバーの後面形状に合わせて後方に深く切り欠いだ構成としている。ステアリングポスト前面の切欠き部9aの存在により、フロントカバー6を仮想線で示す位置まで上方に大きく開放することができ、メンテナンスが容易にできる。
【0020】
図5、図6に示す実施例は、施肥装置付田植機において、施肥装置27の上方を覆うことのできる折り畳み可能な幌状のレインバイザー38を設けたものである。このレインバイザ38ーは、支持フレーム39の前端部に左右横方向の支軸40を介して回動自在に枢着してあり、図5のように、施肥装置27の上方を覆う被覆状態と、図6のように施肥装置の上方を開放して折り畳み収納する非被覆状態とに切替自在に構成している。雨天時には被覆状態に切り替えて肥料が雨に濡れないようにし、晴天時には開放した状態で作業を行なう。
【0021】
また、図7に示す実施例では、施肥装置付田植機の略全体の上方を覆うレインバイザー41において、このバイザー41は屋根の後端が前端より下位となるよう傾斜させて雨水が後方に流れるようにして前方視界の確保を図るようにしている。また、バイザーの後端を苗載せタンク12上に臨ませておくと、バイザー上を流下する雨水が直接苗載せタンク12上に落下することになり苗の滑りを促進することができる。
【0022】
図8に示す実施例では、運転部の上方にステー42を介して装着支持されたサンバイザー43の後部に、左右方向扇状に拡がり可能な扇子形状のレインバイザー44を設けることにより、運転部の後方に設置された施肥装置の上方を被覆して雨除けを行う構成としている。
【0023】
図9は、目抜きステップフロアの泥飛散侵入防止装置に関する構成例を示すもので、目抜き構成としたステップフロア16の格子部46には、ピン軸47回りに揺動開閉する開閉蓋48を設け、操作レバー49の操作により往復動可能な連動杆50を介して一斉に揺動開閉する構成としている。通常はレバー49が「開」の位置で使用することで、格子状開口(目抜き穴)部により対地側の透視効果が期待できる。泥が侵入する状態になった時(走行時の前輪からの泥跳ねや、湿田時ステップ上まで泥が跳ね上がってくる状態)には、レバーを「閉」の位置に操作することにより、各開閉蓋48…が閉まり泥の侵入を防ぐ。この時、開閉蓋はステップ格子部の下にあるため、ステップ上の滑り止め効果は変わらない。
【0024】
図10に示す実施例について説明すると、HST20のトラニオンアーム53を挟む左右両側には、支点Q回りに回動可能な2枚のカムプレート54,54がハサミ状に配置して設けられ、トラニオンアーム53が作動すると、これに連動してカムプレート54,54が張圧スプリング56に抗して左右逆方向に拡がり、同時にスロットル操作部55,55も左右方向へ拡がることによってスロットルワイヤー57が引っ張られることになる。なお、54aはカムローラ、58はストッパーを示す。このような構成によると、従来型のオートアクセルに比べて簡素化することができ、安価に実施することができる。
【0025】
図11〜図13に示す実施例について説明する。
後輪クラッチケース60と一体型のギヤ爪61を設け、通常の旋回時(ステアリングハンドルの旋回操作に連動して旋回内側のクラッチを切りにして旋回)には、多板クラッチ62を「切」状態とし、強制駆動が必要な場合(多板クラッチの摩耗、異常負荷時のクラッチ板のすべり等)にのみ、別に設けた強制クラッチレバー63の操作でオーバストロークさせ、一体型ギヤ爪61を後輪駆動ハブ64に噛み合わせ(図11から図12の状態)、多板クラッチを無視して動力を伝達する構成としている。後輪クラッチケース60は作動カム65によってストロークさせる構成であり、また、作動カム65は、このカム作動アーム66を前記強制クラッチレバー(ペダル)63と、ステアリングハンドルによる前輪の操向操舵機構とにそれぞれ連動機構67,68を介して連動連結している。
【0026】
通常旋回時でカメ状態になった時、旋回時における旋回内側の後輪を強制駆動することができるので、小回り旋回が可能となり、異常な走行負荷時にあっても圃場からの脱出が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】変速レバーとブレーキペダルの操作連動機構を示す側面図
【図4】田植機要部の側面図
【図5】施肥装置付田植機の要部の側面図
【図6】同上側面図
【図7】施肥装置付田植機の要部の側面図
【図8】サンバイザー及びレインバイザーの斜視図
【図9】図2に示すステップフロアのA−A線断面図
【図10】トラニオンアームとスロットルとの連動構成を示す平面図
【図11】後輪強制駆動機構要部の切断側面図
【図12】後輪強制駆動機構要部の切断側面図
【図13】作動カムの操作連動機構を示す展開図
【符号の説明】
【0028】
21 ブレーキペダル 22 ペダルアーム
23 回動軸 24f 前進側用作動部分
24b 後進側用作動部分
31 変速レバー 32 回動軸
33f 前進側用被作動部分 33b 後進側用被作動部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向の操作で前後進の変速が可能な変速レバー(31)と踏込回動操作でブレーキ装置を作動させるブレーキペダル(21)を備え、ブレキペダル(21)と一体回動する作動部分(24)が変速レバー(31)と一体回動する被作動部分(33)に接当して変速レバーを低速側へ復帰させるべく連動構成し、作動部分(24)及び被作動部分(33)は前進側用(24f),(33f)と後進側用(24b),(33b)とを備え、前進側用と後進側用とで回動軸方向へ位置をずらせて設定してあることを特徴とする走行車輌。
【請求項1】
前後方向の操作で前後進の変速が可能な変速レバー(31)と踏込回動操作でブレーキ装置を作動させるブレーキペダル(21)を備え、ブレキペダル(21)と一体回動する作動部分(24)が変速レバー(31)と一体回動する被作動部分(33)に接当して変速レバーを低速側へ復帰させるべく連動構成し、作動部分(24)及び被作動部分(33)は前進側用(24f),(33f)と後進側用(24b),(33b)とを備え、前進側用と後進側用とで回動軸方向へ位置をずらせて設定してあることを特徴とする走行車輌。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−174933(P2007−174933A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374842(P2005−374842)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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