説明

超音波走査データを用いて物体を検査する方法およびシステム

【課題】修理およびメンテナンスフォローアップ作業をより効果的に行うためにパイプラインおよび同様の物体の亀裂の深さを正確に推定する、改良された技術を提供すること。
【解決手段】超音波走査データから亀裂(40)の深さを推定する方法および装置を提供する。この方法は、複数のセンサ(34、36、38)の1つからの信号をそれぞれ表す複数の振幅応答を、超音波走査データからマッピングするステップを含む。この方法は、さらに、これら複数のマッピングされた振幅応答の中で、それぞれが亀裂からの反射信号を示す標識である複数の線形応答を突き止めるステップを含む。所与の亀裂(40)からの線形応答に対応する1つまたは複数のセンサ(34、36、38)を識別する。識別されたセンサからのデータを用いて、亀裂(40)の深さを推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に検査システムに関し、特に、超音波データを使用してパイプラインの亀裂および切欠きの検出およびサイジングを行う、パイプライン検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある場所から別の場所に大量の物質を輸送することを可能にするパイプラインは、様々な産業で広く使用されている。油および/またはガスなど様々な流体が、パイプラインを用いて、安価かつ効率的に輸送される。粒子状物質、および流体に懸濁させたその他の小さな固体も、パイプラインを通じて輸送されることがある。通常、地下パイプラインおよび水中(深海)パイプラインは、しばしば高圧、高温(または低温)、高流量などの極限状態で、エネルギー関連産業にとって重要な膨大な量の油製品およびガス製品を輸送している。
【0003】
構成しているパイプに傷が生じると、パイプラインのインフラの経時変化とともに、パイプラインの完全性が低下する可能性がある。腐蝕その他のパイプラインの欠陥は、微小な脆弱箇所、地盤沈下、局所的な工事計画、地震活動、天候、通常の使用による磨耗および引裂きなどによって起こる可能性がある。したがって、表に表れない欠陥および異常は、腐蝕、機械的損傷、疲労亀裂、応力腐蝕割れ、水素誘起割れ、または凹みもしくはしわによる歪みの形でパイプライン表面に現れる可能性がある。
【0004】
既存のパイプライン網を維持および保護することは、難題であることが分かっている。現況技術によるインライン検査システムでは、パイプライン検査ゲージ(PIG)を使用している。PIGは、パイプラインの一部の中を進み、複数のセンサからデータを得る。PIGの通常の1行程は、100kmを超えることもある。PIGから得られたデータを分析し、その分析結果を実際に使用するプロセスは、負担になることが多い。様々なPIGがあるが、一般的なものは、腐蝕の検出に使用される漏洩磁束PIG、および亀裂の検出に使用される超音波PIGである。現在のデータ分析方法では、超音波亀裂検出技術を用いて100kmのパイプライン部分のデータを分析および評価するのに、平均で約200人日必要となる。
【0005】
傷(例えば亀裂など)を正確にサイジングすることは、パイプラインの欠陥の影響および重大性を評価する上で重要な役割を果たす。傷の大きさに関する正確な情報がなければ、パイプラインの品質を評価する、またはそのような物体の残り寿命の推定分析を行うことが困難になる可能性がある。手作業で亀裂のサイジングを行うと、主観的になり、かつオペレータに依存することになるので、それによりサイジングの推定値に一貫性がなくなる恐れがある。
【0006】
PIGに基づくパイプライン検査において亀裂の大きさを推定する超音波非破壊評価(NDE)方法は、エコー振幅低下を伴い、また距離振幅補正曲線を使用する。こうした技術のほとんどでは、反射振幅および音響陰影情報の評価が手作業で行われる。振幅データしか使用しない場合には、亀裂または亀裂状の傷を識別しようとする際に、信頼性が低くなることがある。これは、反射音声信号の振幅が、亀裂または亀裂状の傷の形状、大きさ、タイプ、向きおよび位置によって決まるからである。
【特許文献1】米国特許文献第2003/0136195号公報
【特許文献2】米国特許文献6,243,657号公報
【特許文献3】米国特許文献5,675、084号公報
【特許文献4】英国特許文献2380794A号公報
【特許文献5】WO03/021249A2号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、修理およびメンテナンスフォローアップ作業をより効果的に行うためにパイプラインおよび同様の物体の亀裂の深さを正確に推定する、改良された技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡略に述べると、本技術の一態様によれば、超音波走査データから亀裂の深さを推定する方法が提供される。この方法では、亀裂のサイジングを行うために、円周方向に分布した超音波センサアレイを利用する。この方法は、超音波走査データ(Bスコープ)から複数の振幅応答をマッピングすることを含む。マッピングされた各振幅応答は、複数のセンサの1つからの信号を表す。この方法は、複数のマッピングされた振幅応答の中で複数の線形応答を突き止めることをさらに含む。各線形応答は、亀裂からの反射信号を示す標識である。特定の亀裂(反射体)に対応する線形応答が識別され、識別されたセンサからのデータを用いて、亀裂の深さが推定される。
【0009】
別の態様によれば、超音波走査データから亀裂の深さを推定する装置が提供される。この装置は、複数の振幅応答を超音波走査データからマッピングし、複数の線形応答を突き止めるようになされた振幅プロセッサを含む。マッピングされた各振幅応答は、それぞれのセンサ信号を表し、各線形応答は、亀裂からの反射信号を示す標識である。さらに、この装置は、それぞれの線形応答に対応するセンサを識別し、それぞれのセンサからのデータを用いて亀裂の深さを推定するようになされた亀裂サイズ検出部を含む。
【0010】
本発明の上記その他の特徴、態様および利点は、全体を通じて同じ部分は同じ参照番号で示してある添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、より良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本技術の様々な態様は、物体に生じた亀裂および亀裂状の傷の深さの識別および推定に関する。パイプラインに適用した場合に関してこれらの態様の説明を行うが、本明細書の記載の技術は、例えば線路、あるいは板または棒に生じた亀裂および亀裂状の傷の深さの推定など、その他の環境にも等しく適用することができる。
【0012】
図1は、参照番号10で全体を示す、パイプライン検査システムを示すブロック図である。パイプライン検査システム10は、パイプライン12およびパイプライン検査ゲージ(PIG)14を含む。PIG14は、パイプラインの中に配置された走査装置であり、パイプライン12の壁面に生じた亀裂などの傷を発見するために通常使用される。PIG14は、パイプライン内の流体流とともに、パイプラインの全長にわたって移送される。PIGは、通常、パイプラインの壁面に囲まれた内側で円周方向に超音波信号を送信し、パイプラインの壁面の内側で反射信号を受信するように構成される。図1に示すように、PIG14は、複数のセンサ18を含む。センサ18は、通常は、超音波信号の送信機および受信機として機能するトランスデューサである。センサ18は、パイプラインの内面から一定の距離を保つように構成することもでき、圧電センサであっても、またはこの種の適用業務に適したその他のセンサであってもよい。また、PIG14は、パイプライン内でのPIG14の位置および向きを決定する位置部(POC)20も含む。PIG14は、センサ18によって獲得されたデータを受信するデータ取得システム(DAS)22をさらに含む。電源(PS)24が、センサ18、POC20、DAS22、およびPIG14内のその他の関連する構成要素に電力を供給する。当業者なら、PIG14は、DASなどによって獲得した各レコードにタイムスタンプするオンボードクロックなど、追加の構成要素を有することもできることを理解するであろう。
【0013】
また、パイプライン検査システム10は、亀裂サイズ検出部26を含み、亀裂サイズ検出部26は、PIG14内に組み込むことも、または遠隔に配置することもできる。図2〜図5を参照してより詳細に述べるように、本技術の態様によれば、亀裂サイズ検出部26は、複数のセンサからのデータを使用して亀裂の深さを推定するために使用される。また、パイプライン検査システムは、例えば後処理部からの結果を表示し、ユーザ/オペレータ入力を含む外部入力を行うためのオフラインコンピュータシステムなどの出力(O/P)装置28に接続することもできる。
【0014】
本技術の態様では、超音波線追跡手法を使用する。波線追跡は、パイプ壁面内の超音波ビームの伝搬をシミュレートする。このシミュレーションは、実際のBスコープおよびAスコープにおける反射体の位置を推定するために使用される。当業者なら理解するであろうが、超音波のBスコープは、一般に空間走査線を介してセンサが受信した信号を示し、Aスコープは、一般に任意の特定の位置でセンサが受信した信号を示す。検査はオフラインで行われるが、検査時には、微妙な手動操作によってこの構成要素を2次元に走査し、亀裂の先端を突き止めることができる。パイプラインの検査では、本技術は、PIGの移動によって軸方向の走査を行いながら、円周方向の走査を行う代わりに空間的に離散して配置されたセンサを使用する。
【0015】
図2は、図1に示すパイプライン12の断面図であり、パイプラインの外表面30に生じた軸方向の亀裂40、および亀裂40の近傍の複数のセンサ(34、36、38)を示している。パイプラインの周囲には、(この具体的な例ではPIGの周りに位置決めすることによって)超音波信号を送受信する複数のセンサが配置される。1つの例では、伝送超音波パルスを液体媒体(例えば油や水)を通して斜めに入射させることによってパイプ壁面内で発生させることができる超音波剪断波を利用することができる。この同一のセンサ(トランスデューサ)は、例えばパルスエコー技術を用いて、超音波信号の送信および受信の両方に使用することができる。パルスエコー技術は、同一のトランスデューサで超音波パルスの伝送およびエコーの検出を行う方式の超音波方法である。
【0016】
図示の例では、センサ34、36および38は、それぞれ超音波線42、48および54が既知の角度θでパイプラインに当たるように配置される。これらの線は、パイプラインの表面まで進行し、参照番号46、52、および62で示す経路で概略的に示すように反射されることも、あるいは経路50、56、58および60で示すように再伝搬することもある。亀裂周辺の離散空間位置から亀裂の存在を感知するこれらのセンサから得られた情報は、亀裂の検出およびサイジングに使用される。図示の例では、センサ34は、亀裂40の根元から0.5スキップ距離の位置に配置される。スキップ距離とは、所定の角度で測定した、パイプラインの内表面と外表面の間の距離である。1例では、スキップ距離を計算するために使用する角度は、45度であった。この図示の例では、センサ38は、センサ34から1.0スキップ距離の位置にあり、センサ36は、測位が良好に行われる亀裂40の領域から有意な反射を受け取るように配置される。一般に、亀裂の根元から受信される反射信号は、いずれも強い信号であり、亀裂の深さを推定するのに有用である。図示の例では、センサ36は、亀裂40の根元付近からの反射信号を受信する。図示の例における亀裂の推定深さは、当該亀裂の周囲の異なるセンサ(34、36および38)から取り込む亀裂の反射点の最大深さである。
【0017】
この場合も、外表面30(半スキップ距離)または内表面32(全スキップ距離)の亀裂の起点に対して、亀裂の存在を識別することができる。スキップ距離は、センサが受信している信号が、パイプラインの外表面の亀裂によるものか、内表面の亀裂によるものかを判定するのに有用である。
【0018】
図3は、PIG14(図1)がパイプライン12の中を移動する際の3つのセンサ34、36および38それぞれのBスコープを示す図である。PIG14がパイプライン12に沿って移動するにつれて、異なるセンサが亀裂40(図2)を認識し、対応するBスコープが得られる。矢印98は、一括して参照番号94で示してあるy軸にとった時間に対するオドメータ位置(走行距離)を示す。オドメータ位置は、PIGがパイプライン中をどの程度進行しているかを反映するものであり、キロメートル単位で示してある。標識100、102および104は、それぞれ図2に示す亀裂からセンサ34、36および38が受け取った信号応答である。参照番号106、108および110が示す距離は、個々のセンサから見た亀裂の最大深さを示す標識であり、本技術の態様によれば、スキップ距離値(0.5、1.0、1.5および2.0)を用いて計算される。実際には、標識100、102および104上の各点を、それぞれのAスコープを用いて分析して、正確な深さ推定値を得ることができる。例えば、参照番号112、114および116によって大まかに示される点をAスコープとして見て、図4を参照して述べるようにさらなる情報を得ることもできる。
【0019】
図4は、まとめて参照番号64で示す図2に示すセンサ34、36および38のAスコープを示す概略図である。図3の点112、114および116に対応するAスコープを、スキップ距離(入力エコー、0.5スキップ、1.0スキップ、1.5スキップ、2.0スキップ)に関して示してある。本技術の態様によれば、入力エコーの後の0.5スキップ距離間隔の任意の信号応答は、傷を示す標識である。したがって、スパイク76、78および80は、パイプライン表面の傷を示す標識である。距離82、84および86は、幾何学的パラメータ、伝搬時間、およびスキップ距離の値を用いて計算される。本技術によれば、次いで、個々のAスコープから得られるこれらの計算結果を用いて、各センサによって観察される最大深さ値を計算する。本技術の態様によれば、次いで、全てのセンサの中から最大の深さの値を、亀裂の推定深さとして選択する。
【0020】
したがって、深さ推定値を計算するために、本明細書の記載の技術では、センサの軸方向位置、パイプライン表面から反射体/傷まで伝搬して戻るまでの音波伝搬時間である伝搬時間(ToF)、パイプライン表面からの超音波信号の進行の開始を示す入力エコー時間などのパラメータを使用する。さらに、幾何学的パラメータを使用して、半スキップ値を計算することもできる。この場合、このスキップ値も、亀裂の深さ値の計算に使用される。
【0021】
図5は、本技術の態様による例示的なステップを示す例示的な流れ図120である。ステップ122は、任意の物体、例えばパイプラインの周囲の複数のセンサから受信した超音波走査データについて複数の振幅応答をマッピングするステップである。当業者なら理解するであろうが、マッピングされた各振幅応答は、これら複数のセンサの1つからの信号を表す。マッピングされた振幅応答は、市販のソフトウェアを用いて得ることができる。ステップ124で、ユーザ(データ分析者)、またはその自動代替物、例えばソフトウェアプログラムは、データ分析ソフトウェアで所与の領域のBスコープを観察し、亀裂または亀裂状の傷および切欠き状の傷の通常のシグネチャと一致する顕著な線形標識(複数の線形応答)を判定することができる。各線形応答は、通常は、亀裂からの反射信号を示す標識である。これらの線形標識が傷カテゴリのいずれかの特徴的な応答を示す場合には、個々のトラックに関する情報が取り込まれる。この情報は、例えば、応答の振幅およびスキップ距離を含むことがある。したがって、ステップ126で、それぞれの線形応答に対応する各センサを識別する。例えば、図3のBスコープに示すような、線形標識の各点の位置、センサ数、伝搬時間値などのデータは、これらのセンサに関連して得られる。また、このデータを調整して、特定のノイズパラメータを除去することもできる。1例では、全てのAスコープについての壁面の厚さ、パイプの直径、媒体中の超音波の速度、軸方向位置および入力エコー時間に関する情報、ならびに全てのセンサの生Bスコープデータを、データファイルから抽出することもできる。亀裂からの信号を受信するセンサの数が増えれば、亀裂の深さの推定精度が高くなることに留意されたい。また、例えば亀裂の根元(または先端)からの情報を取り込むセンサなど、一部のセンサは、深さ推定値に関するより有用な情報を提供する。次いで、ステップ128に示すように、位置、スキップ距離値、伝搬時間および入力エコー時間を用いて、深さの値を計算することができる。報告される深さの値は、Bスコープ中の識別された点についての深さ推定値である。1例では、線形標識に対応する全ての点がカバーされるまで、各点ごとにこの分析を行うこともできる。別の例では、トラック内の全ての点の座標を求め、その後にこの技術を順次実行することもできる。また、各トラックについて、報告される出力は、トラック中の全ての点の中の最大深さ推定値とすることができる。あるいは、報告される出力は、当該亀裂の平均深さ推定値であってもよい。最大深さ推定値または平均深さ推定値の計算は、当該の傷の周囲の全てのセンサを考慮して行うことができる。
【0022】
前述の流れ図は、パイプラインに関する本技術の態様による一実施形態の機能および動作を示すことは、当業者には理解されるであろう。この点に関連して、各ブロック/構成要素は、1つまたは複数の特定の論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能な命令を含むコードのモジュール、セグメント、または部分を表す。また、代替の実施態様によっては、これらのブロックに記載した機能が図面に記載した以外の順序で行われる、あるいは例えば、必要な機能に応じて、実際にはほぼ同時に、または逆の順序で行われることもあることにも留意されたい。また、さらに別のブロックを追加することもできることを、当業者なら理解するであろう。さらに、これらの機能は、C++、MATLAB、またはJAVA(登録商標)などのプログラミング言語(ただしその他の言語も使用可能)で実施することもできる。
【0023】
上述の本発明の様々な実施形態および態様は、論理機能を実施するための実行可能な命令の番号付きリストの作成を容易にすることができる。このような番号付きリストは、任意のコンピュータ可読媒体に実施して、命令を取り出して実行することができるコンピュータベースシステムによって、またはこれと組み合わせて利用することができる。本願の文脈では、コンピュータ可読媒体は、命令を収容、記憶、通信、伝搬、伝送または移送することができる任意の手段にすることができる。コンピュータ可読媒体は、電子式、磁気式、光学式、電磁気式または赤外線式のシステム、装置またはデバイスにすることができる。例示的なコンピュータ可読媒体を列挙すると(ただしこれらに限定されない)、1本または複数本のワイヤを有する電気接続(電子式)、携帯型コンピュータディスケット(磁気式)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(磁気式)、読取り専用メモリ(ROM)(磁気式)、消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)(磁気式)、光ファイバ(光学式)、および携帯型コンパクトディスク読取り専用メモリ(CDROM)(光学式)などが挙げられる。
【0024】
コンピュータ可読媒体は、命令が印刷される紙その他の適当な媒体であってもよいことに留意されたい。例えば、紙その他の媒体を光学走査することによって命令を電子的に取り込み、その後、必要ならコンパイル、解釈またはその他の適当な方法で処理し、その後にコンピュータのメモリに記憶することもできる。
【0025】
また、本明細書の記載の技術は、アルゴリズムとして組み込むことも、あるいはプログラムされたチップを用いることによってハードウェアを介して実装することもできることも、当業者なら理解するであろう。また、アルゴリズムまたはハードウェアの実装は、PIGに組み込むことも、遠隔処理システムの一部とすることもできる。
【0026】
本明細書に記載の本技術の態様は、既存の傷検出および深さ推定技術に優るいくつかの利点を有する。これらの利点としては、亀裂の深さ推定精度の向上、手作業による亀裂の深さの分析の減少、および深さ推定の自動化などがある。本技術の態様は、主観性およびオペレータ依存性を軽減し、報告時間を短縮する上でも有用である。したがって、本技術の態様は、パイプラインの亀裂深さ推定の問題に対処するものであり、深さの計算において分析者の介在を必要としない自動化されたサイジング方法を提供するものである。
【0027】
本明細書では、本発明の特定の特徴についてのみ図示および説明したが、多くの修正および変更を当業者なら思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨を逸脱することなく、このような全ての修正および変更をカバーするものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の態様によるパイプライン検査システムを示すブロック図である。
【図2】本技術の態様による、パイプラインの表面上の亀裂、およびパイプラインの周囲に配置された超音波信号を送信および受信する複数のセンサを示す、図1に示すパイプラインの断面図である。
【図3】本技術の態様による、Bスコープで得られる亀裂からの反射信号に対応する例示的な走査データを示す図である。
【図4】本技術の態様による、図3に示す3つの離散センサのBスコープの特定の点に対応するAスコープで得られる例示的な走査データを示す図である。
【図5】本技術の態様による、パイプラインの亀裂を検査する方法の例示的なステップを示す流れ図である。
【符号の説明】
【0029】
10 パイプライン検査システム
12 パイプライン
14 PIG
18 センサ
20 位置検出部
22 DAS
24 電源
26 亀裂サイズ検出部
28 出力装置
30 外表面
32 内表面
34 センサ
36 センサ
38 センサ
40 亀裂
42 伝送信号
44 センサの配向角
46 反射信号
48 伝送信号
50 反射信号
52 反射信号
54 伝送信号
56〜62 複数の反射信号
64 3つのセンサのAスコープ
70〜80 信号スパイク
82〜86 スキップ距離からの差
90 異なるAスコープ
94 時間軸
98 軸方向位置
100〜104 線形標識
106〜108 差分
112〜116 Bスコープ上の点
120 流れ図
122〜128 流れ図の各ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波走査データから亀裂(40)の深さを推定する方法であって、
複数のセンサ(34)の1つからの信号をそれぞれ表す複数の振幅応答を、超音波走査データからマッピングするステップと、
前記複数のマッピングされた振幅応答の中で、それぞれが前記亀裂(40)からの反射信号を示す標識である複数の線形応答を突き止めるステップと、
前記亀裂(40)からの前記線形応答に対応する1つまたは複数のセンサ(34)を識別するステップと、
前記1つまたは複数のセンサ(34)からのデータを用いて、前記亀裂(40)の深さを推定するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記複数のセンサ(34、36、38)からのデータが、センサ信号の位置、伝搬時間、入力エコー時間に関するデータを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記亀裂(40)からの反射信号を受信する前記複数のセンサのそれぞれからのデータを用いて、前記亀裂(40)の最大深さ推定値を計算するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記亀裂からの反射信号を受信する前記複数のセンサ(34、36、38)のそれぞれからのデータを用いて、前記亀裂(40)の平均深さ推定値を計算するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記それぞれのセンサ(34、36、38)のスキップ距離値を用いて、前記亀裂(40)の深さを推定するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記亀裂(40)がパイプラインの外表面(30)から発生しているか内表面(32)から発生しているかを判定するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
信号が、超音波ビームの中心線を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
超音波走査データから亀裂(40)の深さを推定する装置(12)であって、
各センサの信号をそれぞれ表す複数の振幅応答を超音波走査データからマッピングし、それぞれが前記亀裂からの反射信号を示す標識である複数の線形応答を突き止めるようになされた振幅プロセッサ(22)と、
それぞれの線形応答に対応するセンサを識別し、それぞれのセンサからのデータを用いて前記亀裂の深さを推定するようになされた亀裂サイズ検出部(26)とを含む装置。
【請求項9】
前記それぞれのセンサ(34、36、38)からのデータが、センサ信号の位置、伝搬時間、入力エコー時間に関するデータを含むことを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記亀裂サイズ検出部(26)が、前記亀裂(40)からの反射信号を受信する複数のセンサ(34、36、38)のそれぞれからのデータを用いて、前記亀裂(40)の最大深さ推定値を計算するように構成されることを特徴とする請求項8記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−284578(P2006−284578A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93436(P2006−93436)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】