説明

路面形状測定方法および測定システム

【課題】所定の測定可能範囲にある物体の3次元形状を測定可能な測定ユニットを用い、この測定可能範囲よりも大きい路面の任意領域の3次元形状を、正確かつ簡単に測定する路面形状測定方法および測定システムを提供する。
【解決手段】路面上の任意領域を囲むように前記板状部材が配置された状態で、測定可能範囲が定められた3次元形状測定ユニットの位置または姿勢の少なくともいずれか一方を繰り返し変更させて、路面の測定対象範囲を繰り返し変更させ、変更の度に、3次元形状測定ユニットに測定対象範囲の3次元形状の形状データを、1組の形状データとして取得させて、取得された複数組の3次元形状データを、各組の形状データそれぞれに含まれる前記板状部材の形状データに基づいて統合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の測定可能範囲にある物体の3次元形状を測定可能な測定ユニットを用い、この測定可能範囲よりも大きい路面の任意領域の3次元形状を測定する、路面形状測定方法および測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
路面上をタイヤが転動する際の、タイヤの振動特性(いわゆるNVH;ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス等)、制動特性、また、タイヤの摩耗特性などは、タイヤ自体の特性もさることながら、路面特性も強く影響するものである。すなわち、特性の異なる複数の路面それぞれで同一のタイヤを転動させた際、このタイヤの上記特性は各路面毎に異なる。特定の路面で転動させることを目的としたタイヤを開発・設計する場合は、タイヤの上記特性それぞれが、この特定の路面で転動させた際に、所望の条件を満たすようにする必要がある。このように、タイヤ固有の特性を把握するためには、また、転動させる路面に応じた特性のタイヤを開発、設計するには、転動させる路面の特性(路面粗さなど)も正確に把握しておくことが必要である。
【0003】
このような路面の特性を把握するための、路面の表面形状の測定装置が、例えば下記特許文献1に開示されている。下記特許文献1記載の路面粗さの測定方法は、サンドバッチ法によって測定された路面粗さ(TD値)が同一な複数の路面について、これら複数の路面のミクロ粗さおよびマクロ粗さがそれぞれ異なっていれば、タイヤの騒音テストや制動テストの結果が異なるといった問題点を解決することを目的としている。下記特許文献1記載の路面粗さの測定方法では、レーザ変位計を路面から一定距離を隔てて水平移動させ、サンプリング間隔λのオリジナルデータ列と、オリジナルデータ列を、サンプリング間隔λの整数n倍のずれピッチλだけずらせた、ずれデータf(x+λ)からなるずれデータ列とを作成している。そして、このオリジナルデータ列とずれデータ列とを用いて、路面のマクロ粗さとミクロ粗さとを検出している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の路面粗さの測定方法では、レーザ変位計を路面から一定距離だけ隔てて水平移動させる必要があった。図12は、特許文献1の図2に対応する図であり、特許文献1記載の路面粗さ測定方法で用いられている路面粗さ測定装置101の概略側面図である。特許文献1の路面粗さ測定装置101は、路面102上に載置される本体フレーム103に、レーザ変位計104と、このレーザ変位計104を路面102から一定距離Lを隔てて水平移動させる移動手段105とが設けられている。移動手段105は、本体フレーム103の支持片103A、103A間に水平に架け渡された一対のガイド軸106に沿って、レーザ変位計104を水平移動させている。
【0005】
特許文献1における、一定距離L、水平移動、などの言葉の定義については明確ではないが、特許文型1記載の路面粗さの測定装置は、ガイド軸106に応じて規定されるレーザ変位計の位置から路面102までの、ガイド軸106の延在方向に略垂直な方向の距離を計測するものであることが理解される。特許文献1記載の路面粗さ計測装置を用いて、ガイド軸106の長さ(図12における左右方向の長さ)以上の範囲に渡って路面粗さを連続的に測定しようとした場合、路面粗さ測定装置101自体を、ガイド軸106の長さ方向に平行移動し、移動前後における測定データを合成することが考えられる。しかし、例えば、図13に示すように、ある程度の凹凸をもつ路面の表面を、路面粗さ測定装置101を用いて測定する際、ガイド軸106の長さ方向に沿って移動させて測定し、移動前後における測定データを合成しようとしても、基準となるガイド軸106の延在方向が一致していないため、測定データを正確に合成することができない。仮に、路面粗さ測定装置101自体の移動量(3次元位置、方向)を、正確に把握することができれば、移動前後における測定データを正確に合成することも可能ではあろう。しかし、多様なうねりをもつ路面に載置された路面粗さ測定装置101の、3次元位置や方向を正確に把握することは困難であり、仮に合成できるとしても、データの合成には多大な時間と労力を要する。
【0006】
そこで、本発明は、所定の測定可能範囲にある物体の3次元形状を測定可能な測定ユニットを用い、この測定可能範囲よりも大きい路面の任意領域の3次元形状を測定する、路面形状測定方法および測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、路面の任意領域の3次元形状を、測定可能範囲が定められた測定ユニットを用いて測定する路面の3次元形状測定方法であって、前記路面の任意領域は、前記測定ユニットの測定可能範囲よりも大きく、前記路面に、前記路面の任意領域を囲むような板状部材が載置されている状態で、前記測定ユニットの位置または姿勢の少なくともいずれか一方を繰り返し変更することで、前記測定可能範囲に対応する前記路面の測定対象範囲を繰り返し変更し、変更の度に、変更後の前記測定対象範囲の3次元形状の形状データを、1組の形状データとして繰り返し取得するデータ取得ステップと、前記データ取得ステップにおいて取得された複数組の3次元形状データを、各組の形状データそれぞれに含まれる前記板状部材の形状データに基づいて統合する統合ステップとを有することを特徴とする路面形状測定方法を提供する。
【0008】
なお、前記データ取得ステップでは、複数組の前記3次元形状データに、前記路面の前記任意領域の同じ部分の形状データ、および前記板状部材の同じ部分の形状データが含まれるよう、前記測定ユニットの位置または姿勢の少なくとも一方を繰り返し変更し、前記データ統合ステップでは、複数組の前記3次元形状データのうち、前記板状部材の同じ部分の形状データが同じ位置にくるよう、少なくとも一組の3次元形状データを写像変換することにより、前記路面の前記任意領域全体の3次元形状データを作成することが好ましい。
【0009】
また、前記板状部材には、前記測定ユニットによって3次元形状データが取得された際、この板状部材の3次元形状データを部分毎に特徴づけるマークが設けられており、前記データ取得ステップでは、複数組の前記3次元形状データに、前記路面の前記任意領域の同じ部分の形状データ、および前記板状部材の前記マーク部分の形状データが含まれるよう、前記測定ユニットの位置または姿勢の少なくとも一方を繰り返し変更し、前記データ統合ステップでは、複数組の前記3次元形状データのうち、前記板状部材の前記マーク部分の形状データが同じ位置にくるよう、少なくとも一組の3次元形状データを写像変換することが好ましい。
【0010】
また、前記3次元形状測定ユニットは、前記測定可能範囲にレーザ光を照射して、前記測定可能範囲にある測定対象物の表面からの前記レーザ光の反射光に基づき、前記測定対象物の3次元形状を測定するレーザ型3次元形状測定ユニットであり、前記データ取得ステップでは、前記測定可能範囲に対応する前記路面の測定対象範囲に入射する前記レーザ光以外の光、および、前記レーザ型3次元形状測定ユニットの受光面に入射する前記レーザ光以外の光を遮光した状態で、前記3次元形状の形状データを取得することが好ましい。
【0011】
本発明は、また、路面の任意領域の3次元形状を測定する装置であって、測定可能範囲が定められた3次元形状測定ユニットと、前記任意領域を囲むように前記路面上に配置される板状部材と、前記路面に、前記路面の任意領域を囲むように前記板状部材が載置されている状態で、前記3次元形状測定ユニットの位置または姿勢の少なくともいずれか一方を調整することで、前記測定可能範囲に対応する前記路面の測定対象範囲を設定する調整手段と、前記路面上に、前記任意領域を囲むように前記板状部材が配置された状態で、前記調整手段に前記3次元形状測定ユニットの位置または姿勢の少なくともいずれか一方を繰り返し変更させて、前記路面の測定対象範囲を繰り返し変更させ、変更の度に、前記3次元形状測定ユニットに前記測定対象範囲の3次元形状の形状データを、1組の形状データとして取得させる測定動作制御手段と、取得された複数組の3次元形状データを、各組の形状データそれぞれに含まれる前記板状部材の形状データに基づいて統合する統合手段とを有することを特徴とする路面形状測定装置を、併せて提供する。
【0012】
なお、前記測定動作制御手段は、複数組の前記3次元形状データに、前記路面の前記任意領域の同じ部分の形状データ、および前記板状部材の同じ部分の形状データが含まれるよう、前記3次元形状測定ユニットの位置または姿勢の少なくとも一方を繰り返し変更させて、前記統合手段は、複数組の前記3次元形状データのうち、前記板状部材の同じ部分の形状データが同じ位置にくるよう、少なくとも一組の3次元形状データを写像変換することにより、前記路面の前記任意領域全体の3次元形状データを作成することが好ましい。
【0013】
また、前記板状部材には、前記3次元形状測定ユニットによって3次元形状データが取得された際、この板状部材の3次元形状データを部分毎に特徴づけるマークが設けられており、前記測定動作制御手段は、複数組の前記3次元形状データに、前記路面の前記任意領域の同じ部分の形状データ、および前記板状部材の前記マーク部分の形状データが含まれるよう、前記3次元形状測定ユニットの位置または姿勢の少なくとも一方を繰り返し変更させて、前記統合手段は、複数組の前記3次元形状データのうち、前記板状部材の前記マーク部分の形状データが同じ位置にくるよう、少なくとも一組の3次元形状データを写像変換することが好ましい。
【0014】
また、前記3次元形状測定ユニットは、前記測定可能範囲にレーザ光を照射して、前記測定可能範囲にある測定対象物の表面からの前記レーザ光の反射光に基づき、前記測定対象物の3次元形状を測定するレーザ型3次元形状測定ユニットであり、前記測定可能範囲に入射する前記レーザ光以外の光、および前記レーザ型3次元形状測定装置の受光面に入射する前記レーザ光以外の光、を遮光する遮光手段を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、比較的広い範囲に渡って、路面の表面形状を、簡単かつ短時間で測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の路面形状測定方法および路面形状測定装置について、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、以下に詳細に説明する。図1は、本発明の路面形状測定装置の一例である路面形状測定装置10(以降、単に装置10という)について説明する概略斜視図である。図1は、装置10を用いて、路面12の特定領域11全体を表す3次元形状データを取得する場合について示している。図2は、図1に示すS−S’線に沿って、路面12、および路面12に載置された板状部材20を切断した際の、路面12および板状部材20の断面図である。装置10は、路面12を含む所定の測定対象範囲の3次元形状を、測定対象範囲A,B、C、Dと順次測定し、測定によって得られた各測定対象範囲の3次元形状データそれぞれを座標変換することで、各測定対象範囲A,B、C、Dの3次元形状データを合成して、路面12の特定領域11全体を含む3次元形状データを導出する。
【0017】
装置10は、表面形状を測定する対象である特定領域11全体を囲むように路面12に載置される枠状の板状部材20と、所定の測定可能範囲18にある物体の3次元形状を測定することができる3次元形状測定手段30(以降、3次元スキャナ30とする)と、3次元スキャナ30の位置および方向の少なくともいずれか一方を調整することで、3次元スキャナの測定可能範囲18の位置を調整して、3次元スキャナによって3次元形状を測定する測定対象範囲の位置および形状を調整することができる測定対象範囲調整手段42(調整手段42)と、3次元スキャナ30および調整手段42の動作を制御し、かつ、3次元スキャナ30が取得した各測定対象範囲A〜Dそれぞれの3次元形状データを受け取り、各測定対象範囲A〜Dの3次元形状データを統合して、路面12の特定領域11全体を含む、1つの3次元形状データを生成するコンピュータ50と、を有する。
【0018】
3次元スキャナ30は、3次元スキャナ30の設置位置や方向(姿勢)に応じて定まる、限られた測定可能範囲に位置する物体の3次元形状を測定するものである。装置10は、後述する調整手段42によって、3次元スキャナ30の位置および方向(姿勢)を調整することができる構成となっている。3次元スキャナ30は、調整手段42によって位置および方向(姿勢)が調整されることで、測定対象範囲が調整される。これにより、路面12のうち、測定可能範囲に対応する測定対象範囲A〜Dそれぞれの3次元形状を測定する。
【0019】
調整手段42は、3次元スキャナ30の位置および姿勢を調整する。本実施形態では、調整手段42は、図1に示す矢印X方向(図1における左右方向)に3次元スキャナ30を移動させることができ、また、図1に示す矢印θ方向に3次元スキャナ30の角度(姿勢)を変化させることができる構成となっている。調整手段42としては、例えば、ステッピングモータとボールネジを用いて構成される公知の移動手段を用いればよく、手段の詳細については特に限定されない。なお、図1に示す実施形態では、図1に示す矢印X方向(図1における左右方向)に、3次元スキャナ30を移動することができる構成となっているが、本実施形態の調整手段42では、3次元スキャナ30の3次元位置および姿勢の調整範囲は特に限定されない。例えば、公知のクレーンカメラなどを用いて、3次元スキャナ30の3次元位置および姿勢を任意に調整してもよい。また、測定を行なうオペレータ自身が、3次元スキャナ30の位置や角度(姿勢)を動かすことで、3次元スキャナ30による測定可能領域18の位置を調整して、測定対象範囲を設定してもよい。
【0020】
調整手段42は、後述するコンピュータ50の調整動作制御信号出力部60(以降、調整動作制御部60とする)(図6参照)と接続されており、この調整動作制御部60から出力される制御信号に応じて、3次元スキャナ30の位置および姿勢を制御する。本実施形態の装置10は、調整動作制御部60から出力された制御信号に応じて3次元スキャナ30の位置および姿勢を制御して、3次元スキャナ30の測定可能範囲18に対応する、測定対象範囲A、B、C、Dそれぞれの3次元形状を順次測定する。
【0021】
図1および図2に示すように、測定対象範囲A、B、C、Dは、各部分の端部同士が重なっており、隣り合った測定対象範囲と一部が重複している。すなわち、各測定対象範囲A,B,C,Dそれぞれに含まれる、板状部材20の表面の一部および路面12の一部は、隣り合った測定対象範囲と一部が重複している。各測定対象範囲A、B、C、Dの3次元形状データは、このような重複領域の3次元形状データをそれぞれ含んでいる。なお、図1においては図示していないが、装置10は、各部分路面A〜Dの表面および3次元スキャナ30の後述する光学系36に、3次元スキャナから出射される後述のレーザ光以外の光が入射することを防ぐための、遮光手段16(図4参照)を有している。
【0022】
図3は、3次元スキャナ30の構成を説明する図である。3次元スキャナ30は、CPU31、ドライバー回路32、レーザダイオード33、ガルバノミラー34、光学系35,36、CCD素子37、AD変換器38、FIFO39,信号処理プロセッサ40、及びフレームメモリ41を有する。
【0023】
3次元スキャナ30では、コンピュータ50の計測動作制御信号出力部70(以降、計測動作制御部70とする)(図6参照)から出力される測定開始指示に応じて、CPU31が測定開始のトリガー信号を生成し、図示されないクロックジェネレータを起動してクロック信号を生成する。このクロック信号はCCD素子37、AD変換器38、FIFO39、信号処理プロセッサ40に供給される。一方、トリガー信号の生成により、ドライバー回路32はレーザ光照射の信号を生成し、レーザダイオード33に供給する。レーザダイオード33は、これによりレーザ光を照射し、レーザ光をスリット光とし、このレーザ光の照射の信号に合わせて駆動を開始したガルバノミラー34を振らして、光学系35を介して照射されるスリット状のレーザ光を路面12および板状部材20上でスキャンさせる。
【0024】
一方、光学系36を介して集束したレーザ光の反射光をCCD素子37にて受光し、生成された画像信号をAD変換器38によりデジタル信号とし、FIFO39を介して画像信号を順番に信号処理プロセッサ40に供給する。信号処理プロセッサ40は、光切断方法を用いた周知のアルゴリズムを実行する回路が組み込まれており、供給された画像信号から、路面12および板状部材20の3次元形状データを生成する部分である。この3次元形状データは、フレームメモリ41に逐次書き込まれ、必要に応じて呼び出される。画像信号から3次元形状データを生成する処理方法は、周知の光切断法を用いたアルゴリズムである。光切断法は、スリット光を測定対象物に照射し、測定対象物の曲がった帯状の反射光をCCD素子等のカメラで撮影し、画像における結像位置から3次元形状データを求める方法である。このときの演算は三角測量の原理に基づいて行われる。
生成された路面12及び板状部材20の3次元形状データは、コンピュータ50のデータ取得部82(図3参照)に供給される。
【0025】
3次元形状測定ユニット30は、以上の作用を行うように構成された装置である。このようなユニットとして、例えば光切断方法を用いた非接触3次元デジタイザVIVID9i((株)コニカ ミノルタ社製)が例示される。
【0026】
なお、スキャナ30によって各測定対象範囲の3次元形状を測定する場合、図4(a)および(b)に示すように、各測定対象範囲毎に、複数の異なる角度それぞれからスキャン(測定)することが好ましい。図4(a)および(b)では、測定対象範囲Bについて3次元形状を測定する場合の例を示している。測定対象範囲12の表面には、大小様々な凹凸が存在しており、3次元スキャナ30の配置位置によっては、3次元スキャナ30から照射されるレーザ光が届かない(影になる)部分が生じ、正確な3次元形状データが得られない場合(データが欠落する場合)もある。3次元スキャナ30によって異なる角度から複数回スキャン(測定)することで、ある角度ではレーザ光が届かなかった部分でも、他の角度からレーザ光を照射することができ、各測定対象範囲の3次元形状データそれぞれを、欠落なく取得することができる。
【0027】
図5は、路面12に載置された板状部材20を拡大して示す上面図である。板状部材20は、測定対象範囲の3次元形状データを測定する際、路面12とともに3次元形状が測定される。この板状部材20の3次元形状データは、各測定対象範囲の3次元形状データを座標変換する際の基準となる。図5に示すように、板状部材20の表面には、マーク22が設けられている。マーク22は、3次元スキャナ30によって取得された板状部材20の3次元形状データを、部分毎に特徴づける(部分毎に識別可能とする)ために設けられたものである。ここで、3次元スキャナ30によって取得された板状部材20の3次元形状データを部分毎に特徴づけるとは、3次元スキャナ30によって取得した測定対象範囲A〜Dそれぞれに含まれる、板状部分20に対応する3次元データそれぞれを、各測定対象範囲毎に相違させることをいう。
【0028】
本実施形態では、図5に示すように、板状部材20の表面に、1,2,3,4,・・・と、数字を表すマーク22が一定間隔でそれぞれ設けられている。このマーク22は、1,2,3,4,・・・と、それぞれ数字の形状に塗料が塗られているものである。このマーク22の塗料は、3次元スキャナ30から出射されるレーザ光に対する反射特性が、板状部材20表面の、マーク22以外の部分表面24と異なっている。そのため、3次元スキャナ30によって板状部材20の3次元形状データを取得した場合、各マーク22に対応する部分が、それぞれのマークが表す数字の形状に応じた凸状または凹状となった次元形状データが取得される。なお、本発明において、マーク22の形状は、数字を表す形状であることに限定されない。また、本発明では、板状部材20の3次元形状データを部分毎に特徴づけるために、部分表面24とは異なる反射特性の塗料を、数字など特定の形状に塗ることに限定されない。例えば、板状部材の表面に数字などの特定形状を表す凸状部を実際に設け、各凸状部の形状によって板状部材20の表面形状を部分毎に特徴づけてもよい。また、板状部材20の表面にランダムな凹凸を設け、板状部分20に対応する3次元データそれぞれを、各測定対象範囲毎に異ならせてもよい。
【0029】
図1および図2に示す本実施形態では、路面12における特定領域11は、略四角形状となっている。本発明において、路面12の特定領域11の形状は特に限定されない。特定領域11の形状が略四角形状でない場合であっても、板状部材20の形状を調整して、特定領域11の周囲を板状部材20によって囲めばよい。
【0030】
図6は、コンピュータ50の機能について説明する、コンピュータ50の概略ブロック図である。コンピュータ50は、調整手段42の動作を制御するための調整手段動作制御部60と、3次元スキャナ30の計測動作を制御するための計測動作制御部70と、データ処理部80とを有する。調整手段動作制御部60、計測動作制御部70、およびデータ処理部80は、コンピュータ50の制御部52によって動作が制御される。調整手段動作制御部60、および計測動作制御部70の機能については、上述したとおりである。
【0031】
データ処理部80は、3次元スキャナ30によって取得された、各測定対象範囲A〜Dそれぞれの3次元形状データを受け取り、各測定対象範囲の3次元形状データそれぞれに含まれる板状部材20の3次元形状データに基づいて、各測定対象範囲の3次元形状データそれぞれについて座標変換をおこなう。そして、各測定対象範囲A〜Dの3次元形状データが統合された、特定対象領域11全体の3次元形状データを導出する。データ処理部80は、データ取得部82、板状部材3次元データ抽出部84、板状部基準座標変換部86、路面形状基準座標変換部88、および、形状データ合成・統合部90(統合部90)を有する。
【0032】
データ取得部82は、3次元スキャナ30が取得した測定対象範囲A〜Dそれぞれの3次元形状データを、3次元スキャナ30から受け取る。データ取得部82が受け取った、測定対象範囲A〜Dそれぞれの3次元形状データは、コンピュータ50の図示しない記憶手段に記憶される。板状部材3次元データ抽出部84は、コンピュータ50の図示しない記憶手段に記憶された、測定対象範囲A〜Dそれぞれの3次元形状データについて、板状部材20の3次元形状データをそれぞれ抽出する。板状部材20の3次元形状データは、上述のように、数字を表した形状のマーク22に対応した凸状部または凹状部を有しており、コンピュータ50の図示しない記憶手段には、板状部材20のこのような形状が予め記憶されている。板状部材3次元データ抽出部84は、コンピュータ50の記憶手段が予め記憶している、このような板状部材20の形状データに基づいて、測定対象範囲A〜Dそれぞれの3次元形状データの中から、板状部材20に対応する3次元形状データをそれぞれ抽出することができる。
【0033】
板状部基準座標変換部86は、各測定対象範囲の3次元形状データのうちの、板状部材20に対応する3次元形状データ(板状部3次元形状データ)に基づいて、各測定対象範囲の3次元形状データを座標変換する。具体的には、隣り合った2つの測定対象範囲それぞれの、上記重複領域における板状部3次元形状データが一致するように、隣り合った2つの測定対象範囲のうち一方の測定対象範囲の3次元形状データ全体を座標変換する。
【0034】
本実施形態では、隣り合っている測定対象範囲Aと測定対象範囲Bとについて、測定対象範囲Aと測定対象範囲Bとの重複領域における、測定対象範囲Aの板状部3次元形状データと、測定対象範囲Bの板状部3次元形状データとが一致するように、測定対象範囲Bの3次元形状データ全体を座標変換する。そして、測定対象範囲Bの3次元形状データ全体が座標変換された後、座標変換後の測定対象範囲Bの板状部3次元形状データと、測定対象範囲Cの板状部3次元形状データとが一致するように、測定対象範囲Cの3次元形状データ全体を座標変換する。そして、測定対象範囲Cの3次元形状データ全体が座標変換された後、座標変換後の測定対象範囲Cの板状部3次元形状データと、測定対象範囲Dの板状部3次元形状データとが一致するように、測定対象範囲Dの3次元形状データ全体を座標変換する。結果として、測定対象範囲Aの板状部3次元形状データを基準とし、測定対象範囲B〜測定対象範囲Dそれぞれの板状部3次元形状データが一致するように、測定対象範囲B〜測定対象範囲Dそれぞれの3次元形状データが座標変換される。
【0035】
具体的には、図7に示すように、測定対象範囲Aの板状部3次元形状データDと、測定対象範囲Bの板状部3次元形状データDについて、測定対象範囲Aと測定対象範囲Bとの重複領域における3次元形状データが略一致するように、測定対象範囲Bの3次元形状データを座標変換する。測定対象範囲Aと測定対象範囲Bとの重複領域には、数字6と7とをそれぞれ表す、マーク22に対応する3次元形状データが存在している。このマーク22に対応する3次元形状データが無い場合、板状部3次元形状データDと板状部3次元形状データDとは、ともに、単に略平面を表す3次元形状データになる。板状部材20にマーク22が設けられていることで、すなわち、板状部3次元形状データDおよび板状部3次元形状データDに、マーク22に対応する3次元形状データがそれぞれ存在していることで、板状部3次元形状データDと板状部3次元形状データDとを、簡単に一致させることができる。この点について、測定空間C、測定空間Dについて座標変換する場合についても、同様である。
【0036】
路面形状基準座標変換部88は、板状部基準座標変換部86によって座標変換された後の、路面B〜路面Dそれぞれの3次元形状データを、必要に応じてさらに座標変換する。路面形状基準座標変換部88による座標変換が実施された後では、各測定空間の上記重複領域に対応する部分では、隣接する2つの測定空間の3次元形状データは基本的に一致している。路面形状基準座標変換部88では、上記重複領域に対応する部分について、隣接する2つの測定空間の3次元形状データにずれが生じている場合など、隣接する2つの測定空間の3次元形状データが一致するように座標変換を行なう。このような微調整を行なうことで、各測定空間の3次元形状測定における誤差や、座標変換処理における誤差を修正することができ、測定空間12の特定領域について、より高精度の3次元形状データを得ることができる。
【0037】
形状データ合成・統合部90は、路面形状基準座標変換部88において微調整された後の、各測定空間の座標変換後の3次元形状データを受け取り、これらの3次元形状データを統合して、路面12の特定領域全体の3次元形状データを作成する。なお、処理部80は、図4に示すように、各測定空間毎に、複数回にわたって3次元形状データを取得した場合、取得した複数の3次元形状データそれぞれについて、上記の各処理を実施して、すなわち、複数の3次元形状データそれぞれを座標変換して、路面12の特定領域全体の3次元形状データを作成すればよい。
【0038】
ディスプレイ54は、各測定対象範囲の3次元形状データを用いて再現される3次元形状や、統合化された3次元形状データに基づいて再現される路面の3次元形状や、統合化された3次元形状データに基づく、路面12の各種の断面プロファイル形状を画面表示し、また、写像変換や統合化の処理のための入力画面を表示する部分である。マウス・キーボード62は、ディスプレイ54に表示された入力画面や各種3次元形状の表示に対して所望の入力指示を与える入力操作系である。
【0039】
図8は、本発明の路面形状評価方法のフローチャート図の一例であり、図1に示す装置10を用いて、路面12の特定領域11全体の表面プロファイルを測定する場合の例を示している。まず、路面12の特定対象領域について、基準板である板状部材20が路面12に載置される(ステップS100)。
【0040】
次に、装置10の3次元スキャナ30によって最初に測定する領域、すなわち測定対象範囲を設定する(ステップS102)。本実施形態では、図1に示す測定対象範囲Aを設定する。この設定は、例えば、コンピュータ50に接続されたキーボードやマウスを用いて、オペレータが入力することで行なえばよい。また、例えば、コンピュータ50に、特定領域の大きさや位置の情報が入力されることで、コンピュータ50によって自動的に設定されてもよい。
【0041】
次に、ステップS102において設定された測定対象範囲について、3次元形状データを取得する(ステップS104)。ステップS102では、コンピュータ50によって、3次元スキャナ30の位置および姿勢が制御されるとともに、3次元スキャナ30の計測動作が制御されて、測定対象範囲Aの3次元形状が測定される。
【0042】
次に、測定対象である特定領域全体の3次元形状データが取得されたか否かが判定される(ステップS106)。測定対象である特定領域全体について3次元形状データが取得された場合、取得した各測定対象範囲の3次元形状データが統合される。第1回目の判定では、この判定結果はNoとなる。ステップS106において、判定結果がNoである場合、ステップS102の測定対象範囲の設定が再度実施され、次の測定対象範囲Bが設定される。そして、測定対象範囲BについてステップS104の3次元形状データの取得が実施された後、ステップS106の判定が実施される。以降、特定対象領域全体について、3次元形状データが取得されるまで(図1に示す本実施形態では、測定対象範囲Dの3次元形状データが取得されるまで)、ステップS102〜ステップS104の処理が繰り返される。
【0043】
特定対象領域全体について、3次元形状データが取得され、ステップS106における判定がYesとなると、取得された各測定対象範囲の3次元形状データの統合が行なわれる(ステップS108)。
【0044】
ステップS108の3次元形状データの統合は、データ処理部80が、複数の3次元形状データそれぞれに含まれる板状部材20の3次元形状データに基づき、複数の3次元形状データそれぞれの座標変換をおこなうことで行なわれる。
【0045】
具体的には、板状部材3次元データ抽出部84が、コンピュータ50の図示しない記憶手段に記憶された、測定対象範囲A〜Dそれぞれの3次元形状データの中から、板状部材20の3次元形状データを抽出する。そして、板状部基準座標変換部86が、各測定対象範囲の3次元形状データのうちの、板状部材20に対応する3次元形状データに基づいて、各測定対象範囲の3次元形状データを座標変換する。図9は、装置10を用いて取得された3次元形状データの一例であり、各測定対象範囲の3次元形状データD’、D’、D’を、それぞれの測定対象範囲に含まれる板状部材の3次元形状データに基づいて座標変換した状態を示している。図8では、板状部部材に囲まれた特定領域を、3つの測定対象範囲に分割して、3次元形状データをそれぞれ取得している。図9を見てもわかるように、数字を表すマークが設けられた板状部材に比べ、路面に対応する部分は大小の凹凸がランダムに存在している。各測定対象範囲における路面の3次元形状データに基づいて、各測定対象範囲毎の重複領域の3次元形状データを、隣り合った各測定対象範囲同士で一致させることは非常に困難であり、仮に可能であったとしても、多大な時間と労力を要する。本発明では、判別が容易なマークが設けられた板状部材の3次元形状を基準として、各測定対象範囲における板状部材の3次元形状データが一致するように、各測定対象範囲の3次元形状データ全体を座標変換するので、各測定対象範囲の3次元形状データを、短時間で、簡単かつ高精度に座標変換することができる。
【0046】
そして、路面形状基準座標変換部88が、板状部基準座標変換部によって座標変換された後の、各3次元形状データD〜Dそれぞれについて、隣接する2つの測定対象範囲の3次元形状データが一致するように、微調整のための座標変換を行なう。そして、形状データ合成・統合部90が、路面形状基準座標変換部88において微調整された、各測定対象範囲の3次元形状データを統合し、1つの合成データとする。本発明の路面形状測定方法は、このようにして、路面12の特定領域全体の3次元形状データを生成する。
【0047】
図10は、図9に示す各測定対象範囲の3次元形状データD’、D’、D’が、微調整されて統合化された、測定対象範囲である路面範囲全体の3次元形状データである。本発明の路面形状測定装置および路面形状測定方法で得られた、このような統合化された3次元形状データに基づいて再現される路面の3次元形状や、統合化された3次元形状データに基づく、路面12の各種の断面プロファイル形状を、モニタ60に画面表示することで、任意の人物に、路面12全体の3次元形状を直感的に把握させることができる。
【0048】
また、コンピュータ50によって、例えば、このような比較的広い範囲で統合された3次元形状データについて、3次元形状データの座標上に参照平面を作成し、所定の間隔で設定した各測定点との距離を計算して路面粗さ分布を出力することもできる。また、任意の断面を抜き出し路面性状を出力することもできる。図11は、本発明の路面形状測定装置および路面形状測定方法によって取得された路面の3次元形状データを用い、路面性状を解析した例を示している。図11(a)は、図1に示す3次元形状測定装置によって得られた、路面の3次元形状データに基づいて再現される路面の3次元形状を表す図である。図11(b)〜(l)は、図11(a)に示される路面の3次元形状を、図11(a)における左右方向に水平な直線に沿って分割した際の断面形状をそれぞれ示しており、図11(a)における上下方向に、5mm間隔で設定した直線に沿った断面図である。本発明の路面形状測定装置および路面形状測定方法では、3次元形状データが短時間で簡単に取得することができ、図11に示すような路面性状についての詳細なデータを、簡単かつ高精度に取得することができる。また、図11(b)〜(l)に示すような3次元形状データについて、空間周波数分析を行い路面粗さスペクトラムを出力することもできる。本発明の路面形状測定装置および路面形状測定方法によれば、3次元形状測定装置固有の測定範囲に限定されず、任意の路面について、比較的広い範囲で統合された、精度の高い3次元形状データを取得することができる。このような比較的広い範囲で統合された、精度の高い3次元形状データを用いて、上記のような各解析を実施することで、路面形状についての多様な情報を、精度良く把握することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、路面12の特定領域を、A、B、C、Dの4つの測定対象範囲に分けて測定している。逆にいえば、3次元スキャナ20の測定可能範囲に対応する測定対象範囲の大きさに対し、路面12の特定領域の大きさを、この測定対象範囲の大きさの略4倍〜5倍に設定している。本発明において、3次元形状を測定する路面における特定領域の大きさや形状は限定されない。
【0050】
なお、本発明の路面形状測定方法および路面形状測定装置は、上記各実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の路面形状測定装置の一例の概略斜視図である。
【図2】図1に示す路面形状測定装置を構成する板状部材,および路面の概略断面図であり、図1に示すS−S’線に沿って切断した状態を示している。
【図3】図1に示す路面形状測定装置を構成する3次元スキャナの概略構成図である。
【図4】(a)および(b)は、図1に示す路面形状測定装置によって各測定空間の3次元形状を測定する状態について説明する概略側面図である。
【図5】路面に載置される板状部材を拡大して示す概略上面図である。
【図6】図1に示す路面形状測定装置を構成するコンピュータの概略ブロック図である。
【図7】図6に示すコンピュータの処理部において行われる座標変換処理について説明する図であり、板状部3次元データを3次元モデルとして表した図である。
【図8】本発明の路面形状測定方法の一例のフローチャート図である。
【図9】図1に示す路面形状測定装置を用いて取得された3次元形状データの一例であり、各測定空間毎の3次元形状データを分割して示している。
【図10】図9に示す各測定空間毎の3次元形状データを、統合した状態を示している。
【図11】本発明の路面形状測定装置および路面形状測定方法によって取得された路面の3次元形状データを用い、路面性状を解析した例を示しており、図11(a)は、図1に示す3次元形状測定装置によって得られた、路面の3次元形状データに基づいて再現される路面の3次元形状を表す図である。また、図11(b)〜(l)は、図11(a)に示される路面の3次元形状を、図11(a)における左右方向に水平な直線に沿って分割した際の断面形状をそれぞれ示している。
【図12】従来の路面粗さ測定装置について説明する概略側面図である。
【図13】図12に示す従来の路面粗さ測定装置を用いて、比較的広い範囲の路面粗さを測定する場合について説明する概略側面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 路面形状測定装置
11 特定領域
12 路面
18 測定可能範囲
20 板状部材
22 マーク
24 部分表面
30 3次元形状測定手段
31 CPU
32 ドライバー回路
33 レーザダイオード
34 ガルバノミラー
35,36 光学系
37 CCD素子
38 AD変換器
39 FIFO
40 信号処理プロセッサ
41 フレームメモリ41
42 測定空間調整手段
50 コンピュータ
52 制御部
54 ディスプレイ
60 調整動作制御信号出力部
62 マウス・キーボード
70 計測動作制御部
80 データ処理部
82 データ取得部
84 板状部材3次元データ抽出部
86 板状部基準座標変換部
88 路面形状基準座標変換部
90 形状データ合成・統合部
101 路面粗さ測定装置
102 路面
103 本体フレーム
103A 支持片
104 レーザ変位計
105 移動手段
106 ガイド軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面の任意領域の3次元形状を、測定可能範囲が定められた測定ユニットを用いて測定する路面の3次元形状測定方法であって、
前記路面の任意領域は、前記測定ユニットの測定可能範囲よりも大きく、
前記路面に、前記路面の任意領域を囲むような板状部材が載置されている状態で、前記測定ユニットの位置または姿勢の少なくともいずれか一方を繰り返し変更することで、前記測定可能範囲に対応する前記路面の測定対象範囲を繰り返し変更し、変更の度に、変更後の前記測定対象範囲の3次元形状の形状データを、1組の形状データとして繰り返し取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップにおいて取得された複数組の3次元形状データを、各組の形状データそれぞれに含まれる前記板状部材の形状データに基づいて統合する統合ステップとを有することを特徴とする路面形状測定方法。
【請求項2】
前記データ取得ステップでは、複数組の前記3次元形状データに、前記路面の前記任意領域の同じ部分の形状データ、および前記板状部材の同じ部分の形状データが含まれるよう、前記測定ユニットの位置または姿勢の少なくとも一方を繰り返し変更し、
前記データ統合ステップでは、複数組の前記3次元形状データのうち、前記板状部材の同じ部分の形状データが同じ位置にくるよう、少なくとも一組の3次元形状データを写像変換することにより、前記路面の前記任意領域全体の3次元形状データを作成することを特徴とする請求項1記載の路面形状測定方法。
【請求項3】
前記板状部材には、前記測定ユニットによって3次元形状データが取得された際、この板状部材の3次元形状データを部分毎に特徴づけるマークが設けられており、
前記データ取得ステップでは、複数組の前記3次元形状データに、前記路面の前記任意領域の同じ部分の形状データ、および前記板状部材の前記マーク部分の形状データが含まれるよう、前記測定ユニットの位置または姿勢の少なくとも一方を繰り返し変更し、
前記データ統合ステップでは、複数組の前記3次元形状データのうち、前記板状部材の前記マーク部分の形状データが同じ位置にくるよう、少なくとも一組の3次元形状データを写像変換することを特徴とする請求項2記載の路面形状測定方法。
【請求項4】
前記測定ユニットは、前記測定可能範囲にレーザ光を照射して、前記測定可能範囲にある測定対象物の表面からの前記レーザ光の反射光に基づき、前記測定対象物の3次元形状を測定するレーザ型3次元形状測定ユニットであり、
前記データ取得ステップでは、前記測定可能範囲に対応する前記路面の測定対象範囲に入射する前記レーザ光以外の光、および、前記レーザ型3次元形状測定ユニットの受光面に入射する前記レーザ光以外の光を遮光した状態で、前記3次元形状の形状データを取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の路面形状測定方法。
【請求項5】
路面の任意領域の3次元形状を測定する装置であって、
測定可能範囲が定められた3次元形状測定ユニットと、
前記任意領域を囲むように前記路面上に配置される板状部材と、
前記路面に、前記路面の任意領域を囲むように前記板状部材が載置されている状態で、前記3次元形状測定ユニットの位置または姿勢の少なくともいずれか一方を調整することで、前記測定可能範囲に対応する前記路面の測定対象範囲を設定する調整手段と、
前記路面上に、前記任意領域を囲むように前記板状部材が配置された状態で、前記調整手段に前記3次元形状測定ユニットの位置または姿勢の少なくともいずれか一方を繰り返し変更させて、前記路面の測定対象範囲を繰り返し変更させ、変更の度に、前記3次元形状測定ユニットに前記測定対象範囲の3次元形状の形状データを、1組の形状データとして取得させる測定動作制御手段と、
取得された複数組の3次元形状データを、各組の形状データそれぞれに含まれる前記板状部材の形状データに基づいて統合する統合手段とを有することを特徴とする路面形状測定装置。
【請求項6】
前記測定動作制御手段は、複数組の前記3次元形状データに、前記路面の前記任意領域の同じ部分の形状データ、および前記板状部材の同じ部分の形状データが含まれるよう、前記3次元形状測定ユニットの位置または姿勢の少なくとも一方を繰り返し変更させて、
前記統合手段は、複数組の前記3次元形状データのうち、前記板状部材の同じ部分の形状データが同じ位置にくるよう、少なくとも一組の3次元形状データを写像変換することにより、前記路面の前記任意領域全体の3次元形状データを作成することを特徴とする請求項5記載の路面形状測定装置。
【請求項7】
前記板状部材には、前記測定ユニットによって3次元形状データが取得された際、この板状部材の3次元形状データを部分毎に特徴づけるマークが設けられており、
前記測定動作制御手段は、複数組の前記3次元形状データに、前記路面の前記任意領域の同じ部分の形状データ、および前記板状部材の前記マーク部分の形状データが含まれるよう、前記3次元形状測定ユニットの位置または姿勢の少なくとも一方を繰り返し変更させて、
前記統合手段は、複数組の前記3次元形状データのうち、前記板状部材の前記マーク部分の形状データが同じ位置にくるよう、少なくとも一組の3次元形状データを写像変換することを特徴とする請求項6記載の路面形状測定装置。
【請求項8】
前記3次元形状測定ユニットは、前記測定可能範囲にレーザ光を照射して、前記測定可能範囲にある測定対象物の表面からの前記レーザ光の反射光に基づき、前記測定対象物の3次元形状を測定するレーザ型3次元形状測定ユニットであり、
前記測定可能範囲に入射する前記レーザ光以外の光、および前記レーザ型3次元形状測定装置の受光面に入射する前記レーザ光以外の光、を遮光する遮光手段を有することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の路面形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−170851(P2007−170851A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365177(P2005−365177)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】