説明

車両の駆動装置

【課題】第2電動機の動力伝達状態の切り替えに伴う燃費悪化を抑制できる車両の駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置1Aは、第2モータ・ジェネレータ6の回転を変速するとともに、その動力を出力部5に伝達する第1伝達状態と動力分割機構4のリングギアRに伝達する第2伝達状態との間で伝達状態を切り替え可能な伝達切替機構7を備え、伝達切替機構7は、動力分割機構4のサンギアS、リングギアR及びキャリアCの各回転数が互いに異なり、かつ第2モータ・ジェネレータ6の回転数が内燃機関2の回転数よりも高い状態で第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を切り替えることができるように、第1伝達状態における第1ギア対27の変速比と、第2伝達状態における第2ギア対28の変速比とがそれぞれ設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動源として内燃機関とともに2つの電動機が設けられた車両の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関及び第1モータ・ジェネレータが遊星歯車機構として構成された動力分割機構に連結され、動力分割機構から出力された動力を出力軸に伝達し、第2モータ・ジェネレータの動力を内燃機関又は出力軸のいずれか一方に伝達する切替機構を有し、その切替機構が第2モータ・ジェネレータの動力伝達先を出力軸から内燃機関に切り替える際に、第1モータ・ジェネレータの回転数が0回転の場合に内燃機関の回転数と第2モータ・ジェネレータの回転数とが同期するように構成された機構を利用して、第2モータ・ジェネレータ及び内燃機関の各回転数を同期させる車両の駆動装置が知られている(特許文献1(段落0021、図1))。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−284042号公報
【特許文献2】特開2005−297590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の駆動装置は、第2モータ・ジェネレータの動力伝達先を切り替えることができるのが、第2モータ・ジェネレータ及び内燃機関の各回転数が同期した時に限られる。このため、その同期時における回転数が内燃機関にとって高すぎたり、第2モータ・ジェネレータにとっては低すぎたりして、内燃機関及び第2モータ・ジェネレータの効率が悪くなる可能性があるので、燃費が悪化するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、第2電動機の動力伝達状態の切り替えに伴う燃費悪化を抑制できる車両の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の駆動装置は、内燃機関、第1電動機及び第2電動機の少なくとも一つを駆動源として、車両を駆動する駆動力を出力部を介して出力する車両の駆動装置において、互いに差動回転可能な3つの回転要素を有し、前記3つの回転要素のいずれか一つの第1回転要素が前記第1電動機に、他の一つの第2回転要素が前記出力部に、残りの一つの第3回転要素が前記内燃機関に、それぞれ連結された動力分割機構と、前記第2電動機の回転を変速するとともに、前記第2電動機の動力を前記出力部に伝達する第1伝達状態と前記第2電動機の動力を前記第3回転要素に伝達する第2伝達状態との間で前記第2電動機の動力伝達状態を切り替え可能な伝達切替機構と、を備え、前記伝達切替機構は、前記3つの回転要素の各回転数が互いに異なり、かつ前記第2電動機の回転数が前記内燃機関の回転数よりも高い状態で前記第2電動機の動力伝達状態を切り替えることができるように、前記第1伝達状態における前記第2電動機から前記出力部に至る変速比と、前記第2伝達状態における前記第2電動機から前記第3回転要素に至る変速比とがそれぞれ設定されているものである(請求項1)。
【0007】
第1の駆動装置によれば、第2電動機の動力伝達状態の切り替えが、第2電動機が変速されることによって内燃機関の回転数よりも高い状態で行われる。そのため、例えば車両の走行状態が低回転高負荷時のような状態であっても、第2電動機の動力伝達状態の切り替え時において第2電動機の回転数が低くなりすぎることを抑制できる。これにより、第2電動機が効率的に運転された状態で動力伝達状態を切り替えることができるので、その切り替えに伴う燃費悪化を抑制できる。また、第1の駆動装置は、動力分割機構の3つの回転要素の各回転数が互いに異なる状態で第2電動機の動力伝達状態を切り替えることができる。第1電動機の回転数が0の場合、電力の変換を伴う動力伝達が生じずに動力の伝達効率が良好になる。このような動力の伝達が生じる状態をメカニカルポイントと称することがあるが、第1の駆動装置によればメカニカルポイントにおいて第2電動機の動力伝達状態を切り替えることも可能であるので、メカニカルポイントにおける切り替えを実行することにより、燃費悪化を更に抑制できる。
【0008】
本発明の第2の駆動装置は、内燃機関、第1電動機及び第2電動機の少なくとも一つを駆動源として、車両を駆動する駆動力を出力部を介して出力する車両の駆動装置において、互いに差動回転可能な3つの回転要素を有し、前記3つの回転要素のいずれか一つの第1回転要素に前記第1電動機が連結され、残りの第2回転要素及び第3回転要素のそれぞれに対して前記出力部又は前記内燃機関が択一的に連結される動力分割機構と、前記出力部が前記第2回転要素に、前記内燃機関が前記第3回転要素にそれぞれ連結される第1連結状態と、前記出力部が前記第3回転要素に、前記内燃機関が前記第2回転要素にそれぞれ連結される第2連結状態との間で、前記動力分割機構に対する前記出力部及び前記内燃機関の連結状態を切り替え可能な連結切替機構と、前記第2電動機の回転を変速した状態で、前記第2電動機の動力を前記第2回転要素に伝達する第1伝達状態と前記第2電動機の動力を前記第3回転要素に伝達する第2伝達状態との間で前記第2電動機の動力伝達状態を切り替えることができるとともに、前記3つの回転要素の各回転数が互いに異なり、かつ前記第2電動機の回転数と前記内燃機関の回転数とが異なる状態で前記第2電動機の動力伝達状態を切り替えることができるように、前記第1伝達状態における前記第2電動機から前記第2回転要素に至る変速比と、前記第2伝達状態における前記第2電動機から前記第3回転要素に至る変速比とがそれぞれ設定された伝達切替機構と、前記第1連結状態の下で前記第1伝達状態に切り替えられた第1駆動モード、前記第1連結状態の下で前記第2伝達状態に切り替えられた第2駆動モード、前記第2連結状態の下で前記第2伝達状態に切り替えられた第3駆動モード、並びに前記第2連結状態の下で前記第1伝達状態に切り替えられた第4駆動モードの順番で、これらの駆動モードが前記出力部の回転数が増加するに従って移行するように、前記連結切替機構及び前記伝達切替機構をそれぞれ制御する制御手段とを備えるものである(請求項2)。
【0009】
第2の駆動装置によれば、第2電動機の動力伝達状態の切り替えが、第2電動機が変速されることによって内燃機関の回転数と第2電動機の回転数とが互いに異なる状態で行われる。そのため、内燃機関及び第2電動機の各回転数が一致していなくても、第2電動機の動力伝達状態を切り替えることができる。このため、第2電動機の動力伝達状態の切り替え時における内燃機関及び第2電動機の各回転数が内燃機関にとって高すぎたり第2電動機にとって低すぎたりすることを防止できるので、その切り替えに伴う燃費の悪化を抑制できる。また、動力分割機構に対する出力部及び内燃機関の各連結先の切り替えと、第2電動機の動力伝達状態の切り替えとを組み合わせることにより、4つの駆動モードを実現でき、これら4つの駆動モードが出力部の回転数の増加に従って移行するため、広範囲に亘り効率の良い動力伝達を行うことができる。従って、燃費の悪化を更に抑制できる。
【0010】
第2の駆動装置の一態様において、前記制御手段は、前記第1電動機の回転数が0である所定状態で、前記第1駆動モードから前記第2駆動モードへ、前記第3駆動モードから前記第4駆動モードへそれぞれ移行するように、前記伝達切替機構を制御してもよい(請求項3)。第1電動機の回転数が0である場合、電力の変換を伴う動力伝達が生じずに動力の伝達効率が良好になる。このような動力の伝達が生じる状態をメカニカルポイントと称することがある。この態様によれば、第1駆動モードから第2駆動モードへの移行と、第3駆動モードから第4駆動モードへの移行とが、それぞれメカニカルポイントで行われることになるので、燃費悪化を更に抑制できる。
【0011】
第2の駆動装置に適用される動力分割機構の構成は適宜設定すればよい。例えば、前記動力分割機構は、前記3つの回転要素を共線図上に配置したときに、前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素の順番に並び、かつ前記第1回転要素と前記第2回転要素との間隔が前記第2回転要素と前記第3回転要素との間隔よりも長くなるように構成されてもよいし(請求項4)、また、前記動力分割機構は、前記3つの回転要素を共線図上に配置したときに、前記第3回転要素、前記第1回転要素、及び前記第2回転要素の順番に並び、かつ前記第3回転要素と前記第1回転要素との間隔が前記第1回転要素と前記第2回転要素との間隔よりも長くなるように構成されてもよい(請求項5)。後者の態様によれば、共線図上に並ぶ3つの回転要素のうちの中央の第1回転要素に第1電動機が連結されるため、第1電動機の回転数を前者の態様に比較して低くすることができるので燃費悪化の抑制効果が向上する。
【0012】
第1又は第2の駆動装置の一態様において、前記伝達切替機構は、前記3つの回転要素の回転中心に位置する第1軸線に対して平行に延びる第2軸線上に並べられた第1駆動ギア及び第2駆動ギアと、前記第1駆動ギアと噛み合うとともに前記第2回転要素の回転が伝達され前記第1軸線上に配置された第1被駆動ギアと、前記第2駆動ギアと噛み合うとともに前記第3回転要素の回転が伝達され前記第1軸線上に配置された第2被駆動ギアと、前記第2軸線上に設けられ前記第2電動機の回転が伝達される伝達軸に対して前記第1駆動ギア又は前記第2駆動ギアのいずれか一方を選択的に結合させることにより、前記第1伝達状態又は前記第2伝達状態を成立させる結合機構と、を有してもよい(請求項6)。この態様によれば、伝達切替機構を動力分割機構と分離させた状態で構成できるので、例えば、伝達切替機構と動力分割機構とを複数の遊星歯車機構を組み合わせて構成する態様と比較して装置構成を簡素化できる。また、第1伝達状態及び第2伝達状態の各変速比は、互いに噛み合う駆動ギアと被駆動ギアとからなるギア対のギア比の調整により設定できるため、伝達切替機構と動力分割機構とを複数の遊星歯車機構を組み合わせて構成する態様と比べて設計自由度が高い。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の第1駆動装置又は第2の駆動装置によれば、内燃機関及び第2電動機の各回転数が同期した(一致した)状態でなくても第2電動機の動力伝達状態を切り替えることができるので、動力伝達状態の切り替えに伴う燃費悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の形態に係る駆動装置の全体構成を概略的に示した図。
【図2】第1の形態に係る第1伝達状態における共線図。
【図3】第1の形態に係る切り替えの過渡状態における共線図。
【図4】第1の形態に係る第2伝達状態における共線図。
【図5】第2の形態に係る駆動装置の全体構成を概略的に示した図。
【図6】第2の形態に係る第2伝達状態における共線図。
【図7】第2の形態に係る切り替えの過渡状態における共線図。
【図8】第2の形態に係る第1伝達状態における共線図。
【図9】第3の形態に係る駆動装置の全体構成を概略的に示した図。
【図10】第3の形態に係る第1伝達状態における共線図。
【図11】第3の形態に係る切り替えの過渡状態における共線図。
【図12】第3の形態に係る第2伝達状態における共線図。
【図13】第4の形態に係る駆動装置の全体構成を概略的に示した図。
【図14A】第4の形態に係る第1駆動モードの実行時における動力伝達状態を示した図。
【図14B】第4の形態に係る第1駆動モード実行時における共線図。
【図15】第4の形態に係る第1駆動モードから第2駆動モードへの移行時における共線図。
【図16A】第4の形態に係る第2駆動モードの実行時における動力伝達状態を示した図。
【図16B】第4の形態に係る第2駆動モード実行時における共線図。
【図17】第4の形態に係る第2駆動モードから第3駆動モードへの移行時における共線図。
【図18A】第4の形態に係る第3駆動モードの実行時における動力伝達状態を示した図。
【図18B】第4の形態に係る第3駆動モード実行時における共線図。
【図19】第4の形態に係る第3駆動モードから第4駆動モードへの移行時における共線図。
【図20A】第4の形態に係る第4駆動モードの実行時における動力伝達状態を示した図。
【図20B】第4の形態に係る第4駆動モード実行時における共線図。
【図21】第5の形態に係る駆動装置の全体構成を概略的に示した図。
【図22A】第5の形態に係る第1駆動モードの実行時における動力伝達状態を示した図。
【図22B】第5の形態に係る第1駆動モード実行時における共線図。
【図23】第5の形態に係る第1駆動モードから第2駆動モードへの移行時における共線図。
【図24A】第5の形態に係る第2駆動モードの実行時における動力伝達状態を示した図。
【図24B】第5の形態に係る第2駆動モード実行時における共線図。
【図25】第5の形態に係る第2駆動モードから第3駆動モードへの移行時における共線図。
【図26A】第5の形態に係る第3駆動モードの実行時における動力伝達状態を示した図。
【図26B】第5の形態に係る第3駆動モード実行時における共線図。
【図27】第5の形態に係る第3駆動モードから第4駆動モードへの移行時における共線図。
【図28A】第5の形態に係る第4駆動モードの実行時における動力伝達状態を示した図。
【図28B】第5の形態に係る第4駆動モード実行時における共線図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の形態)
図1は本発明の第1の形態に係る駆動装置の全体構成を概略的に示している。駆動装置1Aが適用された車両はいわゆるハイブリッド車両として構成される。周知のようにハイブリッド車両は、内燃機関を走行用の駆動力源として備えるとともに、電動機を他の走行用の駆動力源として備えた車両である。駆動装置1Aが適用されることにより、その車両は駆動輪と内燃機関とが車両前部に位置するFFレイアウトの車両として構成される。
【0016】
駆動装置1Aは、内燃機関2と、第1モータ・ジェネレータ3と、内燃機関2及び第1モータ・ジェネレータ3がそれぞれ連結された動力分割機構4と、動力分割機構4からの動力が伝達される出力部5と、第2モータ・ジェネレータ6と、第2モータ・ジェネレータ6の回転を変速するとともに、その動力伝達状態を切り替える伝達切替機構7とを備えている。駆動装置1Aは内燃機関2、第1モータ・ジェネレータ3及び第2モータ・ジェネレータ6の少なくとも一つを駆動源として、車両を駆動するための駆動力を出力部5を介して出力できる。第1モータ・ジェネレータ3は本発明に係る第1電動機に、第2モータ・ジェネレータ6は本発明に係る第2電動機にそれぞれ相当する。これら第1モータ・ジェネレータ3と第2モータ・ジェネレータ6とは同様の構成を持っていて、電動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備えている。走行路面への駆動力の伝達は出力部5に連結された不図示の駆動輪にて行われる。出力部5は動力分割機構4からの出力を伝達する中間軸8と、駆動輪に動力を伝達するための出力軸9とを備えており、これらの軸8、9の間にはギア列10が設けられている。ギア列10は中間軸8に固定された駆動ギア11と、出力軸9に固定されて、駆動ギア11に噛み合う被駆動ギア12とを備えている。なお、図示の便宜上、駆動ギア11と被駆動ギア12との間隔は広げられており、その噛み合いは破線で示されている。
【0017】
内燃機関2は、火花点火型の多気筒内燃機関として構成されており、その動力は機関軸15及びギア列16を介して動力分割機構4に伝達される。機関軸15と内燃機関2との間には不図示のダンパが介在しており、内燃機関2のトルク変動はダンパにて吸収される。ギア列16は機関軸15に固定された駆動ギア17と、その駆動ギア17と噛み合う被駆動ギア18とを備えている。
【0018】
動力分割機構4は、相互に差動回転可能な3つの回転要素を持つシングルピニオン型の遊星歯車機構として構成されており、外歯歯車であるサンギアSと、そのサンギアSに対して同軸的に配置された内歯歯車であるリングギアRと、これらのギアS、Rに噛み合うピニオン20を自転かつ公転自在に保持するキャリアCとを備えている。これら回転要素の回転中心は第1軸線Ax1に一致しており、その第1軸線Ax1上には中間軸8が配置されている。この形態では、第1モータ・ジェネレータ3がサンギアSに、出力部5の中間軸8がキャリアCに、内燃機関2の動力を伝達する被駆動ギア18がリングギアRにそれぞれ連結されている。従って、本形態においては、サンギアSが本発明に係る第1回転要素に、キャリアCが本発明に係る第2回転要素に、リングギアRが本発明に係る第3回転要素にそれぞれ相当する。
【0019】
伝達切替機構7は、第2モータ・ジェネレータ6の動力を出力部5に伝達する第1伝達状態と、リングギアRに伝達する第2伝達状態との間で第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を切り替えることができる。こうした機能を実現するため、伝達切替機構7は、第2モータ・ジェネレータ6の動力が伝達される伝達軸としてのモータ軸25と中間軸8との間に配置された第1ギア対27と、そのモータ軸25と動力分割機構4のリングギアRとの間に配置された第2ギア対28と、これらギア対27、28を選択的に成立させて、モータ軸25と中間軸8との間に伝達経路を形成する状態とモータ軸25とリングギアRとの間に動力伝達経路を形成する状態とを成立させる結合機構30とを備えている。
【0020】
第1ギア対27は、第1軸線Ax1に対して平行に延びる第2軸線Ax2上に配置された駆動ギア31と、その駆動ギア31に噛み合うとともに、キャリアCの回転が伝達される中間軸8に固定された被駆動ギア32とを含む。また、第2ギア対28は、第2軸線Ax2上において駆動ギア31と並べて配置された駆動ギア33を含んでおり、この駆動ギア33は、機関軸15に固定された駆動ギア17と噛み合う被駆動ギア18に噛み合っている。つまり、この形態では駆動ギア33と被駆動ギア18とによって第2ギア対28が構成される。なお、図示のように、2つの駆動ギア33、17を被駆動ギア18に共通に噛み合わせる代わりに、駆動ギア33と単独に噛み合う被駆動ギア(不図示)をリングギアRに設け、駆動ギア33とその被駆動ギアとによって第2ギア対28を構成することも可能である。本形態においては、図示の駆動ギア31が本発明に係る第1駆動ギアに、駆動ギア33が本発明に係る第2駆動ギアに、被駆動ギア32が本発明に係る第1被駆動ギアに、被駆動ギア18が本発明に係る第2被駆動ギアにそれぞれ相当する。
【0021】
結合機構30は、モータ軸25に固定されたハブ35と、ハブ35と一体回転可能な状態で噛み合いかつ第2軸線Ax2方向に移動可能なスリーブ36とを含んだ周知のドグクラッチとして構成されている。このスリーブ36は、ハブ35と噛み合った状態で駆動ギア31と噛み合う第1位置と、ハブ35と噛み合った状態で駆動ギア33と噛み合う第2位置との間で移動できる。図1はスリーブ36が第1位置に移動した状態を示している。従って、結合機構30はスリーブ36を第1位置と第2位置との間で移動させることにより、これら駆動ギア31、33をモータ軸25に対して選択的に結合させることができる。これにより、結合機構30は、上述した第1伝達状態と第2伝達状態とを選択的に成立させることができる。
【0022】
伝達切替機構7は、動力分割機構4のサンギアS、キャリアC及びリングギアRの3つの回転要素の各回転数が互いに異なり、かつ第2モータ・ジェネレータ6の回転数が内燃機関2の回転数よりも高い状態で動力伝達状態を切り替えることができるように、第1ギア対27及び第2ギア対28の各ギア比(変速比)が設定されている。即ち、伝達切替機構7はこうした条件で第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を切り替えることができるように、第1ギア対27が成立する第1伝達状態における第2モータ・ジェネレータ6から出力部5に至る変速比と、第2ギア対28が成立する第2伝達状態における第2モータ・ジェネレータ6からリングギアRに至る変速比とがそれぞれ設定されている。
【0023】
図2〜図4は、第1伝達状態から第2伝達状態への切り替え過程を示した共線図であり、図2は第1伝達状態における共線図、図3は切り替えの過渡状態における共線図、図4は第2伝達状態における共線図である。なお、これらの図及び他の共線図において、「MG1」は第1モータ・ジェネレータ3を、「MG2」は第2モータ・ジェネレータ6を、「Eng」は内燃機関2を、「Out」は出力軸9をそれぞれ示す。
【0024】
図2に示すように、第1伝達状態においては第1ギア対27が成立し、第2モータ・ジェネレータ6の回転が第1ギア対27によって減速されて、その動力が出力部5に伝達される。第1伝達状態から第2伝達状態へ切り替える場合には、図3に示すように、動力分割機構4の各回転要素の回転数が互いに異なり、かつ第1モータ・ジェネレータ3の回転数が0であるメカニカルポイントに制御される。このとき伝達切替機構7の共線図と動力分割機構4の共線図とが重なり合う。つまり、伝達切替機構7はメカニカルポイントにおいて、第2ギア対28の駆動ギア33の回転数と内燃機関2の回転数とが一致するように、各ギア対27、28の変速比が設定されている。そのため、メカニカルポイントを維持した状態で、第1ギア対27を解放し、かつ第2ギア対28を成立させることができ、第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第1伝達状態から第2伝達状態へ切り替えることができる。第2伝達状態においては、図4に示すように、第2モータ・ジェネレータ6の回転数が第2ギア対28にて減速されて、その動力がリングギアRに伝達される。なお、上記では第1伝達状態から第2伝達状態への切り替えについて説明したが、本形態においては、第2伝達状態から第1伝達状態への切り替えについても上記と同様の条件で実施することが可能である。
【0025】
このように、第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態の切り替え時には、図3に示したように第2モータ・ジェネレータ6の回転数が内燃機関2の回転数よりも高い状態にあるので、例えば車両の走行状態が低回転高負荷時のような状態であっても、第2モータ・ジェネレータ6の回転数が低くなりすぎることを抑制できる。これにより、第2モータ・ジェネレータ6が効率的に運転された状態で動力伝達状態を切り替えることができるので、その切り替えに伴う燃費悪化を抑制できる。更に、その切り替えは、動力伝達効率上有利なメカニカルポイントで行うことができるので、燃費悪化の抑制効果を向上できる。
【0026】
また、駆動装置1Aは、伝達切替機構7が動力分割機構4と分離して構成されているので、これらの機構を複数の遊星歯車機構の組み合わせで構成する形態と比較して装置構成を簡素化できる。また、伝達切替機構7が実現する第1伝達状態及び第2伝達状態の各変速比は各ギア対27、28の調整により設定できるため、駆動装置1Aは複数の遊星歯車機構を組み合わせる上記形態と比べて設計自由度が高い。
【0027】
(第2の形態)
次に、図5〜図8を参照しながら第2の形態を説明する。図5は第2の形態に係る駆動装置1Bの全体構成を概略的に示している。駆動装置1Bは、第1の形態に係る駆動装置1Aと同等の効果を達成できる変形例に相当する。以下の説明においては、第1の形態の駆動装置1Aと共通の構成には同一の参照符号を図面に付して説明を省略又は簡略化する。
【0028】
駆動装置1Bは、動力分割機構4のキャリアCが第1モータ・ジェネレータ3に、リングギアRが出力部5に、サンギアSが内燃機関2にそれぞれ連結されている。従って、本形態においては、キャリアCが本発明に係る第1回転要素に、リングギアRが本発明に係る第2回転要素に、サンギアSが本発明に係る第3回転要素に、それぞれ相当する。内燃機関2の機関軸15とサンギアSとの間には、サンギアSと一体回転する第1連結軸30と、その第1連結軸30の回転方向を逆転させる逆転機構31と、逆転機構31に結合されて、第1連結軸30と同軸かつその外周に配置された第2連結軸33とが介在している。機関軸15と第2連結軸33との間にはギア列34が設けられており、そのギア列34は機関軸15に固定された駆動ギア35と、その駆動ギア35に噛み合いかつ第2連結軸33に固定された被駆動ギア36とを含む。出力部5に設けられた出力軸9とリングギアRとの間にはギア列37が設けられており、そのギア列37はリングギアRに固定された中間ギア38と、出力軸9に固定されて中間ギア38に噛み合う被駆動ギア39とを備えている。
【0029】
駆動装置1Bは、第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第1伝達状態と第2伝達状態との間で切り替えるために第1の形態と同様の構成を持つ伝達切替機構40が設けられている。伝達切替機構40は、モータ軸25とリングギアRとの間に配置された第1ギア対41と、モータ軸25と第2連結軸33との間に配置された第2ギア対42と、これらギア対41、42を選択的に成立させてモータ軸25とリングギアRとの間に動力伝達経路を形成する状態とモータ軸25と第2連結軸33との間に動力伝達経路を形成する状態とを成立させる結合機構43とを備えている。第1ギア対41は、第2軸線Ax2上に配置された駆動ギア45を含んでおり、その駆動ギア45は、リングギアRと一体回転する中間ギア38に噛み合っている。つまり、この形態では駆動ギア45と中間ギア38とによって第1ギア対41が構成される。なお、図示のように、駆動ギア45と被駆動ギア39とを中間ギア38に共通に噛み合わせる代わりに、駆動ギア45と単独で噛み合う被駆動ギア(不図示)をリングギアRに設け、駆動ギア45とその被駆動ギアとによって第1ギア対41を構成することもできる。一方、第2ギア対42は、第2軸線Ax2上において駆動ギア45と並べて配置された駆動ギア46と、その駆動ギア46に噛み合うとともに第2連結軸33に固定された被駆動ギア47とを含んでいる。本形態において、図示の駆動ギア45が本発明に係る第1駆動ギアに、駆動ギア46が本発明に係る第2駆動ギアに、中間ギア38が本発明に係る第1被駆動ギアに、被駆動ギア47は本発明に係る第2被駆動ギアにそれぞれ相当する。
【0030】
結合機構43は、周知のドグクラッチとして構成されており、モータ軸25に固定されたハブ48と、ハブ48と一体回転可能な状態で噛み合いかつ第2軸線Ax2方向に移動可能なスリーブ49とを含んでいる。このスリーブ49は第1の形態と同様にハブ48と噛み合った状態で駆動ギア45と噛み合う第1位置と、ハブ48と噛み合った状態で駆動ギア46と噛み合う第2位置との間で移動できる。図5はスリーブ49が第2位置に移動した状態を示している。従って、結合機構43はスリーブ49を第1位置と第2位置との間で移動させることにより、これら駆動ギア45、46をモータ軸25に対して選択的に結合させることができる。これにより、結合機構43は上述した第1伝達状態と第2伝達状態とを選択的に成立させることができる。
【0031】
伝達切替機構40は、第1の形態と同様に、動力分割機構4のサンギアS、キャリアC及びリングギアRの3つの回転要素の各回転数が互いに異なり、かつ第2モータ・ジェネレータ6の回転数が内燃機関2の回転数よりも高い状態で動力伝達状態を切り替えることができるように、第1ギア対41及び第2ギア対42の各ギア比(変速比)が設定されている。即ち、伝達切替機構40はこうした条件で第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を切り替えることができるように、第1ギア対41が成立する第1伝達状態における第2モータ・ジェネレータ6から出力部5に至る変速比と、第2ギア対42が成立する第2伝達状態における第2モータ・ジェネレータ6からサンギアSに至る変速比とがそれぞれ設定されている。
【0032】
図6〜図8は、第2伝達状態から第1伝達状態への切り替え過程を示した共線図であり、図6は第2伝達状態における共線図、図7は切り替えの過渡状態における共線図、図8は第1伝達状態における共線図である。なお、これらの図においては、図示の便宜上、図中左側から右側に向かって、動力分割機構4の共線図、伝達切替機構40の駆動ギア46(第2ギア対42)に関する共線図、及び伝達切替機構40の駆動ギア45(第1ギア対41)に関する共線図を並べて示している。
【0033】
図6に示すように、第2伝達状態においては第2ギア対42が成立し、第2モータ・ジェネレータ6の回転が第2ギア対42によって増速され、かつ逆転機構31にて逆転されて、その動力がサンギアSに伝達される。第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替える場合には、図7に示すように、動力分割機構4の各回転要素の回転数が互いに異なり、かつ第1モータ・ジェネレータ3の回転数が0であるメカニカルポイントに制御される。このとき、図7に示された第2ギア対42に関する共線図と第1ギア対41に関する共線図とを比較すれば明らかなように、第2モータ・ジェネレータ6のモータ軸25の回転数と、第1ギア対41の駆動ギア45の回転数とが同一回転数となる。つまり、伝達切替機構40はメカニカルポイントにおいて、第2モータ・ジェネレータ6の回転数と第1ギア対41の駆動ギア45の回転数とが一致するように、各ギア対41、42の変速比が設定されている。そのため、メカニカルポイントを維持した状態で、第2ギア対42を解放し、かつ第1ギア対41を成立させることができ、第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替えることができる。第1伝達状態においては、図8に示すように、第2モータ・ジェネレータ6の回転数が第1ギア対41にて増速されてその動力がリングギアRに伝達される。なお、上記では第2伝達状態から第1伝達状態への切り替えについて説明したが、本形態においては、第1伝達状態から第2伝達状態への切り替えについても上記と同様の条件で実施することが可能である。以上の説明から明らかなように、駆動装置1Bは第1の形態に係る駆動装置1Aと同等の効果を達成することができる。
【0034】
(第3の形態)
次に、図9〜図12を参照しながら第3の形態を説明する。図9は第3の形態に係る駆動装置1Cの全体構成を概略的に示している。駆動装置1Cは、上述した各形態に係る駆動装置1A、1Bと同等の効果を達成できる変形例に相当する。以下の説明においては、駆動装置1A又は駆動装置1Bと共通の構成には同一の参照符号を図面に付して説明を省略又は簡略化する。
【0035】
駆動装置1Cは、動力分割機構4のキャリアCが第1モータ・ジェネレータ3に、サンギアSが出力部5に、リングギアRが内燃機関2にそれぞれ連結されている。従って、キャリアCが本発明に係る第1回転要素に、サンギアSが本発明に係る第2回転要素に、リングギアRが本発明に係る第3回転要素に、それぞれ相当する。サンギアSと出力部5との間には、サンギアSと一体回転する第1連結軸50と、その第1連結軸50の回転方向を逆転させる逆転機構51と、逆転機構51に結合されて、第1連結軸50と同軸かつその外周に配置された第2連結軸53とが介在している。出力部5に設けられた出力軸9と第2連結軸53との間にはギア列54が設けられており、そのギア列54は第2連結軸54に固定された中間ギア55と、その中間ギア55に噛み合いかつ出力軸9に固定された被駆動ギア56とを備えている。なお、図示の便宜上、中間ギア55と被駆動ギア56との間隔は広げられており、その噛み合いは破線で示されている。内燃機関2の機関軸15とリングギアRとの間にはギア列57が設けられており、そのギア列57は機関軸15に固定された駆動ギア58と、その駆動ギア58に噛み合いかつリングギアRに固定された被駆動ギア59とを含む。
【0036】
駆動装置1Cには、第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第1伝達状態と第2伝達状態との間で切り替えるために上記各形態と同様の構成を持つ伝達切替機構60が設けられている。伝達切替機構60は、モータ軸25と第2連結軸53との間に配置された第1ギア対61と、モータ軸25とリングギアRとの間に配置された第2ギア対62と、これらギア対61、62を選択的に成立させてモータ軸25と第2連結軸53(サンギアS)との間に動力伝達経路を形成する状態とモータ軸25とリングギアRとの間に動力伝達経路を形成する状態とを成立させる結合機構63とを備えている。第1ギア対61は、第2軸線Ax2上に配置された駆動ギア65を含んでおり、その駆動ギア65は、第2連結軸53に固定された中間ギア55に噛み合っている。つまり、この形態では駆動ギア65と中間ギア55とによって第1ギア列61が構成される。一方、第2ギア対62は、第2軸線Ax2上において駆動ギア65と並べて配置された駆動ギア66を含んでおり、その駆動ギア66は、リングギアRに固定された被駆動ギア59に噛み合っている。つまり、この形態では駆動ギア66と被駆動ギア59とによって第2ギア列62が構成される。なお、図示のように、駆動ギア65と被駆動ギア56とを中間ギア55に、駆動ギア66と駆動ギア58とを被駆動ギア59にそれぞれ共通に噛み合わせる代わりに、駆動ギア65と単独で噛み合う被駆動ギア(不図示)を第2連結軸53に、駆動ギア66と単独で噛み合う被駆動ギア(不図示)をリングギアRにそれぞれ設け、これらの被駆動ギアと各駆動ギア65、66とによって第1ギア対61及び第2ギア対62をそれぞれ構成することもできる。本形態においては、図示の駆動ギア65が本発明に係る第1駆動ギアに、駆動ギア66が本発明に係る第2駆動ギアに、中間ギア55が本発明に係る第1被駆動ギアに、被駆動ギア59が本発明に係る第2被駆動ギアにそれぞれ相当する。
【0037】
結合機構63は、周知のドグクラッチとして構成されており、モータ軸25に固定されたハブ70と、ハブ70と一体回転可能な状態で噛み合いかつ第2軸線Ax2方向に移動可能なスリーブ71とを含んでいる。このスリーブ71は上記各形態と同様にハブ70と噛み合った状態で駆動ギア65と噛み合う第1位置と、ハブ70と噛み合った状態で駆動ギア66と噛み合う第2位置との間で移動できる。図9はハブ70が第1位置に移動した状態を示している。従って、結合機構63はスリーブ71を第1位置と第2位置との間で移動させることにより、これら駆動ギア65、66をモータ軸25に対して選択的に結合させることができる。これにより、結合機構63は上述した第1伝達状態と第2伝達状態とを選択的に成立させることができる。
【0038】
伝達切替機構60は、上記各形態と同様に、動力分割機構4のサンギアS、キャリアC及びリングギアRの3つの回転要素の各回転数が互いに異なり、かつ第2モータ・ジェネレータ6の回転数が内燃機関2の回転数よりも高い状態で動力伝達状態を切り替えることができるように、第1ギア対61及び第2ギア対62の各ギア比(変速比)が設定されている。即ち、伝達切替機構60は、こうした条件で第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を切り替えることができるように、第1ギア対61が成立する第1伝達状態における第2モータ・ジェネレータ6から出力部5に至る変速比と、第2ギア対62が成立する第2伝達状態における第2モータ・ジェネレータ6からリングギアRに至る変速比とがそれぞれ設定されている。
【0039】
図10〜図12は、第1伝達状態から第2伝達状態への切り替え過程を示した共線図であり、図10は第1伝達状態における共線図、図11は切り替えの過渡状態における共線図、図12は第2伝達状態における共線図である。なお、これらの図においては、図示の便宜上、図中左側から右側に向かって、動力分割機構4の共線図、伝達切替機構60の駆動ギア61(第1ギア対62)に関する共線図、及び伝達切替機構60の駆動ギア66(第2ギア対62)に関する共線図を並べて示している。
【0040】
図10に示すように、第1伝達状態においては第1ギア対61が成立し、第2モータ・ジェネレータ6の回転が第1ギア対61によって増速され、かつ逆転機構51にて逆転されて、その動力がサンギアSに伝達される。第1伝達状態から第2伝達状態へ切り替える場合には、図11に示すように、動力分割機構4の各回転要素の回転数が互いに異なり、かつ第1モータ・ジェネレータ3の回転数が0であるメカニカルポイントに制御される。このとき、図11に示された第1ギア対61に関する共線図と第2ギア対62に関する共線図とを比較すれば明らかなように、第2モータ・ジェネレータ6のモータ軸25の回転数と、第2ギア対62の駆動ギア66の回転数とが同一回転数となる。つまり、伝達切替機構60はメカニカルポイントにおいて、第2モータ・ジェネレータ6の回転数と第2ギア対62の駆動ギア45の回転数とが一致するように、各ギア対61、62の変速比が設定されている。そのため、メカニカルポイントを維持した状態で、第1ギア対61を解放し、かつ第2ギア対62を成立させることができ、第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第1伝達状態から第2伝達状態へ切り替えることができる。第2伝達状態においては、図12に示すように、第2モータ・ジェネレータ6の回転数が第2ギア対62にて増速されてその動力がリングギアRに伝達される。なお、上記では第1伝達状態から第2伝達状態への切り替えについて説明したが、本形態においては、第2伝達状態から第1伝達状態への切り替えについても上記と同様の条件で実施することが可能である。以上の説明から明らかなように、駆動装置1Cは上記各形態に係る駆動装置1A、1Bと同等の効果を達成することができる。
【0041】
(第4の形態)
次に、本発明の第4の形態について説明する。図13は第4の形態に係る駆動装置1Dの全体構成を概略的に示している。駆動装置1Dは、上記各形態の機構の一部を利用して4つの駆動モードを実現できる特徴を有している。以下の説明においては、上記各形態と共通の構成には図面に同一の参照符号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0042】
駆動装置1Dは、内燃機関2、第1モータ・ジェネレータ3及び第2モータ・ジェネレータ6の少なくとも一つを駆動源として、車両を駆動するための駆動力を出力部75を介して出力できる。駆動装置1Dは、動力分割機構4のサンギアSが第1モータ・ジェネレータ3に連結されており、残りのキャリアCとリングギアRとに対しては、出力部75及び内燃機関2が択一的に連結される。即ち、駆動装置1Dは、キャリアCが出力部75に、リングギアRが内燃機関2にそれぞれ連結された第1連結状態と、その連結状態とは反対に、キャリアCが内燃機関2に、リングギアRが出力部75にそれぞれ連結される第2連結状態との間で連結関係が切り替えられる。従って、本形態においては、サンギアSが本発明に係る第1回転要素に、キャリアCが本発明に係る第2回転要素に、リングギアRが本発明に係る第3回転要素にそれぞれ相当する。
【0043】
出力部75は動力分割機構4のキャリアCと一体回転する中間軸76と、不図示の駆動輪に動力を伝達するための出力軸77とを備えている。中間軸76とリングギアRとは互いに同軸的に配置されており、リングギアRは中間軸76の外周側に配置されている。中間軸76と出力軸77との間には第1ギア列78が介在し、リングギアRと出力軸77との間には第2ギア列79が介在している。第1ギア列78は中間軸76に固定された第1中間ギア80と、その第1中間ギア80と噛み合いかつ出力軸77と同軸に配置された被駆動ギア81とを含んでいる。一方、第2ギア列79はリングギアRに固定された第2中間ギア82と、第2中間ギア82に噛み合いかつ出力軸77と同軸に配置された被駆動ギア83とを含んでいる。なお、図示の便宜上、第1中間ギア80と被駆動ギア81との間隔及び第2中間ギア82と被駆動ギア83との間隔はそれぞれ広げられており、それらの噛み合いは破線で示されている。
【0044】
内燃機関2の機関軸15と動力分割機構4との間にはギア列85が介在しており、そのギア列85は、機関軸15に固定された駆動ギア86と、その駆動ギア86と噛み合いかつ第1軸線Ax1上において上記した2つの中間ギア80、82に挟まれた状態で配置された被駆動ギア87とを含んでいる。
【0045】
駆動装置1Dには、出力部75及び内燃機関2の動力分割機構4に対する連結関係を切り替える連結切替機構90が設けられている。連結切替機構90は、出力軸77に対して2つの被駆動ギア81、83を選択的に結合できる第1結合機構91と、内燃機関2の動力が伝達される駆動ギア86を2つの中間ギア80、82のいずれか一方に結合できる第2結合機構92とを備えている。第1結合機構91は2つの被駆動ギア81、83の間に配置され、出力軸77に固定されたハブ93と、ハブ93と一体回転可能な状態で噛み合いかつ出力軸77の軸線方向に移動可能なスリーブ94とを含んだ周知のドグクラッチとして構成されている。このスリーブ94は、ハブ93と噛み合った状態で被駆動ギア81と噛み合う第1位置と、ハブ93と噛み合った状態で被駆動ギア83と噛み合う第2位置との間で移動できる。一方、第2結合機構92は中間軸76と各ギア80、87、82との間に挿入され、これらのギア80、87、82と噛み合った状態で第1軸線Ax1方向に移動可能なスリーブ95を含んだ周知のドグクラッチとして構成されている。スリーブ95は被駆動ギア87と第2中間ギア82とに噛み合う第1位置と、被駆動ギア87と第1中間ギア80とに噛み合う第2位置との間で移動できる。
【0046】
図13に示すように、第1結合機構91及び第2結合機構92の各スリーブ94、95が第1位置に移動した場合には、出力部75がキャリアCに、内燃機関2がリングギアRにそれぞれ連結されて第1連結状態が成立する。一方、各スリーブ94、95が図示とは反対側の第2位置に移動した場合は、これらの連結関係が入れ替わり、出力部75がリングギアRに、内燃機関2がキャリアCにそれぞれ連結されて第2連結状態が成立する。従って、連結切替機構90の各結合機構91、92を操作することによって、第1連結状態と第2連結状態との間で動力分割機構4に対する出力部75及び内燃機関2の連結状態を切り替えることができる。
【0047】
駆動装置1Dには、第2モータ・ジェネレータ6の回転を変速するとともに、その動力をキャリアCに伝達する第1伝達状態と、リングギアRに伝達する第2伝達状態との間で第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を切り替える伝達切替機構97が設けられている。伝達切替機構97は、第2モータ・ジェネレータ6のモータ軸25と中間軸76との間に配置された第1ギア対98と、モータ軸25とリングギアRとの間に配置された第2ギア対99と、これらのギア対98、99を選択的に成立させて、モータ軸25と中間軸76(キャリアC)との間に伝達経路を形成する状態とモータ軸25とリングギアRとの間に動力伝達経路を形成する状態とを成立させる結合機構100とを備えている。
【0048】
第1ギア対98は、第2軸線Ax2上に配置された駆動ギア101と、その駆動ギア101に噛み合うとともに、中間軸76に固定された被駆動ギア102とを含む。また、第2ギア対99は、第2軸線Ax2上において駆動ギア101と並べて配置された駆動ギア103を含んでおり、この駆動ギア103は、リングギアRに固定された第2中間ギア82に噛み合っている。つまり、この形態では駆動ギア103と第2中間ギア82とによって第2ギア対99が構成される。なお、図示のように、駆動ギア103と被駆動ギア83とを第2中間ギア82に共通に噛み合わせる代わりに、駆動ギア103と単独に噛み合う被駆動ギア(不図示)をリングギアRに設け、駆動ギア103とその被駆動ギアとによって第2ギア対99を構成することも可能である。本形態においては、図示の駆動ギア101が本発明に係る第1駆動ギアに、駆動ギア103が本発明に係る第2駆動ギアに、被駆動ギア102が本発明に係る第1被駆動ギアに、第2中間ギア82が本発明に係る第2被駆動ギアにそれぞれ相当する。
【0049】
結合機構100は、上記各形態と同様に、モータ軸25に固定されたハブ105と、ハブ105と一体回転可能な状態で噛み合いかつ第2軸線Ax2方向に移動可能なスリーブ106とを含んだ周知のドグクラッチとして構成されている。このスリーブ106は、ハブ105と噛み合った状態で駆動ギア101と噛み合う第1位置と、ハブ106と噛み合った状態で駆動ギア103と噛み合う第2位置との間で移動できる。図13はスリーブ106が第1位置に移動した状態を示している。従って、結合機構100はスリーブ106を第1位置と第2位置との間で移動させることにより、これら駆動ギア101、103をモータ軸25に対して選択的に結合させることができる。これにより、結合機構100は、上述した第1伝達状態と第2伝達状態とを選択的に成立させることができる。
【0050】
伝達切替機構97は、上述した各形態と同様に、動力分割機構4のサンギアS、キャリアC及びリングギアRの3つの回転要素の各回転数が互いに異なり、かつ第2モータ・ジェネレータ6の回転数が内燃機関2の回転数よりも高い状態で動力伝達状態を切り替えることができるように、第1ギア対98及び第2ギア対99の各ギア比(変速比)が設定されている。
【0051】
駆動装置1Dは、連結切替機構90による連結状態の切り替えと、伝達切替機構97による伝達状態の切り替えとを組み合わせることにより、第1連結状態の下で第1伝達状態に切り替えられた第1駆動モード、第1連結状態の下で第2伝達状態に切り替えられた第2駆動モード、第2連結状態の下で第2伝達状態に切り替えられた第3駆動モード、及び第2連結状態の下で第1伝達状態に切り替えられた第4駆動モードをそれぞれ実現できる。図13に示したように、これら4つの駆動モードの移行制御は、駆動装置1Dに設けられたコンピュータユニットである駆動制御装置120が、出力軸77の回転数に対応した信号を出力する車速センサ121の出力信号等に基づいて各切替機構90、97を制御することにより行われる。駆動制御装置120には駆動モードを適正に移行させるための制御プログラムが保持されており、その制御プログラムは適時に読み出されて所定周期で繰り返し実行される。その制御プログラムは、出力軸77の回転数、換言すれば出力部75の回転数が増加するに従って、第1駆動モード、第2駆動モード、第3駆動モード及び第4駆動モードの順番でこれらの駆動モードが移行するように各切替機構90、97を制御する制御手段として、駆動制御装置120を機能させることができる。
【0052】
図14A〜図20Bの一連の図は、各駆動モードの実行時及び各駆動モードの切替時における駆動装置1Dの動力伝達状態及び機械的結合状態を示している。なお、これらの図に示された太い実線で描かれた矢印線は内燃機関2の動力及びその方向を、太い破線で描かれた矢印線は各モータ・ジェネレータ3、6の力行時における動力及びその方向を、太い一点鎖線で描かれた矢印線は各モータ・ジェネレータ3、6の回生時における動力及びその方向を、それぞれ示している。
【0053】
図14Aは第1駆動モードの実行時における動力伝達状態を示しており、図14Bは第1駆動モード実行時における共線図を示している。これらの図に示すように、第1駆動モードでは、内燃機関2がリングギアRに出力部75がキャリアCにそれぞれ連結された第1連結状態で第2モータ・ジェネレータ6の動力がキャリアCに伝達される。そのため、内燃機関2の動力は、動力分割機構4のリングギアRに入力され、その一部が第1モータ・ジェネレータ3による回生に用いられてからキャリアCを介して出力される。そして、キャリアCから出力された動力に対して、第2モータ・ジェネレータ6の動力が付加されて出力軸77から車両の駆動力として出力される。第1モータ・ジェネレータ3で回生されたエネルギーは細い実線で描かれた矢印線で示すように第2モータ・ジェネレータ6に供給される。なお、動力分割機構4は図14B等に示したようにサンギアS、キャリアC、及びリングギアRの順番で共線図上にこれらが並び、かつサンギアSとキャリアCとの間隔がキャリアCとリングギアRとの間隔よりも長くなるように構成されている。第1駆動モードは低速側で伝達効率に優れた駆動モードである。
【0054】
図14A及び図14Bに示した第1駆動モードの状態で車速が増加して(出力軸77の回転数が増加して)、第1モータ・ジェネレータ3の回転数が0以上となると伝達効率が低下する。そのため、第1駆動モードの状態で第1連結状態を維持しつつ第2モータ・ジェネレータ6の動力をキャリアCに伝達する第1伝達状態からリングギアRに伝達する第2伝達状態へ切り替えることにより、駆動モードを第1駆動モードから第2駆動モードへ移行させる。
【0055】
図15は第1駆動モードから第2駆動モードへの移行時における共線図を示している。この図に示すように、このモード移行時では、上記第1の形態と同様に、第1モータ・ジェネレータ3の回転数が0となるメカニカルポイントにおいて、伝達切替機構97の共線図と動力分割機構4の共線図とが重なり合う。そのため、メカニカルポイントを維持した状態で、第1ギア対98を解放し、かつ第2ギア対99を成立させることができ、第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第1伝達状態から第2伝達状態へ切り替え可能である。従って、動力伝達効率を悪化させることなく第1駆動モードから第2駆動モードへの移行が完了する。
【0056】
図16Aは第2駆動モードの実行時における動力伝達状態を示しており、図16Bは第2駆動モード実行時における共線図を示している。これらの図に示すように、第2駆動モードでは、内燃機関2がリングギアRに出力部75がキャリアCにそれぞれ連結された第1連結状態で第2モータ・ジェネレータ6とリングギアRとの間に動力伝達経路が形成される。このため、内燃機関2の動力は、その一部が第2モータ・ジェネレータ6による回生に用いられて動力分割機構4のリングギアRに入力され、その入力された動力に対して第1モータ・ジェネレータ3の動力がサンギアSを介して付加されてからキャリアCを介して出力される。そして、キャリアCから出力された動力は車両の駆動力として出力軸77から出力される。第2モータ・ジェネレータ6で回生されたエネルギーは細い実線で描かれた矢印線で示すように第1モータ・ジェネレータ3に供給される。
【0057】
図16A及び図16Bに示した第2駆動モードは高回転側に変化するに従って伝達効率が悪化して行く傾向がある。そのため、車速の増加に伴って伝達効率が許容範囲を超えて低下する前に第2駆動モードから第3駆動モードへ駆動モードを移行させる。この駆動モードの移行は、第2伝達状態のままで第1連結状態から第2連結状態へ切り替えることにより行う。即ち、内燃機関2がリングギアRに、出力部75がキャリアCにそれぞれ連結された状態から、これらの連結関係を入れ替えることにより、第2駆動モードから第3駆動モードへ移行させる。
【0058】
図17は第2駆動モードから第3駆動モードへの移行時における共線図を示している。この図に示すように、動力分割機構4に対する内燃機関2及び出力部75の連結関係の切り替えは、動力分割機構4のサンギアS、キャリアC、及びリングギアRの各回転数が一致した状態で行うことができる。そのため、この移行制御においてはこれら要素の各回転数を一致させるための同期制御が合わせて行われ、これにより第2駆動モードから第3駆動モードへの移行が完了する。
【0059】
図18Aは第3駆動モードの実行時における動力伝達状態を示しており、図18Bは第3駆動モード実行時における共線図を示している。これらの図に示すように、第3駆動モードでは、内燃機関2がキャリアCに出力部75がリングギアRにそれぞれ連結された第2連結状態で第2モータ・ジェネレータ6とリングギアRとの間に動力伝達経路が形成される。そのため、内燃機関2の動力は、動力分割機構4のキャリアCに入力され、その一部が第1モータ・ジェネレータ3による回生に用いられてからリングギアRを介して出力される。そして、リングギアRから出力された動力に対して、第2モータ・ジェネレータ6の動力が付加されて出力軸77から車両の駆動力として出力される。第1モータ・ジェネレータ3で回生されたエネルギーは細い実線で描かれた矢印線で示すように第2モータ・ジェネレータ6に供給される。
【0060】
図18A及び図18Bに示した第3駆動モードは高回転側への変化に伴って第1モータ・ジェネレータ3の回転数が0以下になるといわゆる動力循環が生じて伝達効率が悪化する。そのため、第2連結状態を維持しつつ第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第2伝達状態から第1連結状態へ切り替えることにより、駆動モードを第3駆動モードから第4駆動モードへ移行させる。
【0061】
図19は、第3駆動モードから第4駆動モードへの移行時における共線図を示している。この図に示すように、このモード移行時では、第1駆動モードから第2駆動モードへの移行時と同様に、第1モータ・ジェネレータ3の回転数が0となるメカニカルポイントにおいて、伝達切替機構97の共線図と動力分割機構4の共線図とが重なり合う。そのため、メカニカルポイントを維持した状態で第2ギア対99を解放し、かつ第1ギア対98を成立させることができ、第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替え可能である。従って、動力伝達効率を悪化させることなく第3駆動モードから第4駆動モードへの移行が完了する。
【0062】
図20Aは第4駆動モードの実行時における動力伝達状態を示しており、図20Bは第4駆動モード実行時における共線図を示している。これらの図に示すように、第4駆動モードでは、内燃機関2がキャリアCに出力部75がリングギアRにそれぞれ連結された第2連結状態で第2モータ・ジェネレータ6とキャリアCとの間に動力伝達経路が形成される。そのため、内燃機関2の動力はその一部が第2モータ・ジェネレータ6による回生に用いられて動力分割機構4のキャリアCに入力され、その入力された動力に対して第1モータ・ジェネレータ3の動力がサンギアSを介して付加されてからリングギアRを介して出力される。そして、リングギアRから出力された動力は車両の駆動力として出力軸77から出力される。第2モータ・ジェネレータ6で回生されたエネルギーは細い実線で描かれた矢印線で示すように第1モータ・ジェネレータ3に供給される。この場合、第2モータ・ジェネレータ6の回生に用いられるエネルギーは動力分割機構4を介在させずに内燃機関2の動力から分配されたものに相当し、その分配後の残りの動力が動力分割機構4において第1モータ・ジェネレータ3の動力と合成されて出力部へ出力される。即ち、第4駆動モードにおいては、伝達動力の流れがいわゆる動力分流となって動力循環が生じないため、高回転側への変化に伴う伝達効率の低下が動力循環が生じる第3駆動モードに比べて緩やかである。従って、第4駆動モードは高回転側で伝達効率に優れた駆動モードである。
【0063】
このように、駆動装置1Dにおいては、上述した4つの駆動モードを実現でき、更にこれら4つの駆動モードが出力部の回転数の増加に従って移行するため、広範囲に亘り効率の良い動力伝達を行うことができる。しかも、第1駆動モードから第2駆動モードへの移行と、第3駆動モードから第4駆動モードへの移行とが、上述した各形態の切替機構と同様の切替機構97を利用することにより、それぞれメカニカルポイントで行われることになるので高い伝達効率を維持することが可能となり燃費悪化を抑制できる。また、これらのモード切替時においては、内燃機関2の回転数よりも第2モータ・ジェネレータ6の回転数が高い状態で行われる。このため、例えば車両の走行状態が低回転高負荷時のような状態であっても、第2モータ・ジェネレータ6の回転数が低くなりすぎることを抑制できる。これにより、第2モータ・ジェネレータ6が効率的に運転された状態で動力伝達状態を切り替えることができるので、その切り替えに伴う燃費悪化を抑制できる。なお、上記の手順とは逆の手順で連結切替機構90及び伝達切替機構97をそれぞれ操作することにより、車速の減少に従って第4駆動モード、第3駆動モード、第2駆動モード及び第1駆動モードの順番に各駆動モードを移行させることも勿論可能である。
【0064】
また、駆動装置1Dは、上述した各形態と同様に、伝達切替機構97が動力分割機構4と分離して構成されているので、これらの機構を複数の遊星歯車機構の組み合わせで構成する形態と比較して装置構成を簡素化できる。更に、伝達切替機構97が実現する第1伝達状態及び第2伝達状態の各変速比は各ギア対98、99の調整により設定できるため、駆動装置1Dは複数の遊星歯車機構を組み合わせる上記形態と比べて設計自由度が高い。
【0065】
(第5の形態)
次に、本発明の第5の形態について説明する。図21は第5の形態に係る駆動装置1Eの全体構成を概略的に示している。駆動装置1Eは、上記第4の形態の変形例に相当し、上述した4つの駆動モードを実現できる特徴を有している。以下の説明においては、上記各形態と共通の構成には図面に同一の参照符号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0066】
駆動装置1Eは、内燃機関2、第1モータ・ジェネレータ3及び第2モータ・ジェネレータ6の少なくとも一つを駆動源として、車両を駆動するための駆動力を出力部125を介して出力できる。駆動装置1Eは、動力分割機構4のキャリアCが第1モータ・ジェネレータ3に連結されており、残りのサンギアSとリングギアRとに対しては、出力部125及び内燃機関2が択一的に連結される。即ち、駆動装置1Eは、リングギアRが出力部125に、サンギアSが内燃機関2にそれぞれ連結された第1連結状態と、その連結状態とは反対に、リングギアRが内燃機関2に、サンギアSが出力部125にそれぞれ連結される第2連結状態との間で連結関係が切り替えられる。従って、本形態においては、キャリアCが本発明に係る第1回転要素に、リングギアRが本発明に係る第2回転要素に、サンギアSが本発明に係る第3回転要素にそれぞれ相当する。
【0067】
出力部125は動力分割機構4のサンギアSと一体回転する第1中間軸126と、その第1中間軸126の回転方向を逆転させる逆転機構127と、逆転機構127に結合されて第1中間軸126と同軸かつその外周に配置された第2中間軸128と、不図示の駆動輪に動力を伝達するための出力軸130とを備えている。第1中間軸126、第2中間軸128及びリングギアRとは互いに同軸的に配置されており、リングギアRは第1中間軸126の外周側に配置されている。リングギアRと出力軸130との間には第1ギア列131が介在し、第2中間軸128と出力軸130との間には第2ギア列132が介在している。第1ギア列131はリングギアRに固定された第1中間ギア133と、その第1中間ギア133と噛み合いかつ出力軸130と同軸に配置された被駆動ギア134とを含んでいる。一方、第2ギア列79は第2中間軸128に固定された第2中間ギア135と、その第2中間ギア135に噛み合いかつ出力軸130と同軸に配置された被駆動ギア136とを含んでいる。
【0068】
内燃機関2の機関軸15と動力分割機構4との間にはギア列140が介在しており、そのギア列140は、機関軸15に固定された駆動ギア141と、その駆動ギア141と噛み合いかつ第1軸線Ax1上において上記した2つの中間ギア133、135に挟まれた状態で配置された被駆動ギア142とを含んでいる。
【0069】
駆動装置1Eには、出力部125及び内燃機関2の動力分割機構4に対する連結関係を切り替える連結切替機構145が設けられている。連結切替機構145は出力軸130に対して2つの被駆動ギア134、136を選択的に結合できる第1結合機構146と、内燃機関2の動力が伝達される駆動ギア141を2つの中間ギア133、135のいずれか一方に結合できる第2結合機構147とを備えている。第1結合機構146は上記第4の形態と同様に周知のドグクラッチとして構成されており、スリーブ151がハブ150と噛み合った状態で被駆動ギア134と噛み合う第1位置と、ハブ150と噛み合った状態で被駆動ギア136と噛み合う第2位置との間で移動できる。一方、第2結合機構147も第4の形態と同様に、スリーブ153が被駆動ギア142と第2中間ギア135と噛み合う第1位置と、被駆動ギア142と第1中間ギア133と噛み合う第2位置との間で移動できる。
【0070】
図21に示すように、第1結合機構146及び第2結合機構147の各スリーブ151、153が第1位置に移動した場合には、出力部125がリングギアRに、内燃機関2がサンギアSにそれぞれ連結されて第1連結状態が成立する。一方、各スリーブ151、153が図示とは反対側の第2位置に移動した場合は、これらの連結関係が入れ替わり、出力部125がサンギアSに、内燃機関2がリングギアRにそれぞれ連結されて第2連結状態が成立する。従って、連結切替機構145の各結合機構146、147を操作することによって、第1連結状態と第2連結状態との間で動力分割機構4に対する出力部125及び内燃機関2の連結状態を切り替えることができる。
【0071】
駆動装置1Eには、第2モータ・ジェネレータ6の回転を変速するとともに、その動力をリングギアRに伝達する第1伝達状態と、サンギアSに伝達する第2伝達状態との間で第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を切り替える伝達切替機構155が設けられている。伝達切替機構155は、第2モータ・ジェネレータ6のモータ軸25とリングギアRとの間に配置された第1ギア対156と、モータ軸と第2中間軸128との間に配置された第2ギア対157と、これらギア対156、157を選択的に成立させて、モータ軸25とリングギアRとの間に伝達経路を形成する状態とモータ軸25と第2中間軸128(サンギアS)との間に伝達経路を形成する状態とを成立させる結合機構158とを備えている。
【0072】
第1ギア対156は、第2軸線Ax2上に配置された駆動ギア159を含んでおり、その駆動ギア159は、リングギアRに固定された第1中間ギア133に噛み合っている。つまり、この形態では駆動ギア159と第1中間ギア133とによって第1ギア対156が構成される。なお、図示のように、駆動ギア159と被駆動ギア134とを第1中間ギア133に共通に噛み合わせる代わりに、駆動ギア159と単独に噛み合う被駆動ギア(不図示)をリングギアRに設け、駆動ギア159とその被駆動ギアとによって第1ギア対156を構成することも可能である。一方、第2ギア対157は、第2軸線Ax2上において、駆動ギア159と並べて配置された駆動ギア160と、その駆動ギア160に噛み合うとともに、第2中間軸128に固定された被駆動ギア161とを含んでいる。本形態においては、図示の駆動ギア159が本発明に係る第1駆動ギアに、駆動ギア160が本発明に係る第2駆動ギアに、第1中間ギア133が本発明に係る第1被駆動ギアに、被駆動ギア161が本発明に係る第2被駆動ギアにそれぞれ相当する。
【0073】
結合機構158は、上記第5の形態と同様に、スリーブ165が、ハブ164と噛み合った状態で駆動ギア159と噛み合う第1位置と、ハブ164と噛み合った状態で駆動ギア160と噛み合う第2位置との間で移動できる。図21はスリーブ165が第1位置に移動した状態を示している。従って、結合機構158はスリーブ165を第1位置と第2位置との間で移動させることにより、これら駆動ギア159、160をモータ軸25に対して選択的に結合させることができる。これにより、結合機構158は、上述した第1伝達状態と第2伝達状態とを選択的に成立させることができる。
【0074】
伝達切替機構155は、動力分割機構4のサンギアS、キャリアC及びリングギアRの3つの回転要素の各回転数が互いに異なり、かつ第2モータ・ジェネレータ6の回転数と内燃機関2の回転数とが異なる状態で動力伝達状態を切り替えることができるように、第1ギア対159及び第2ギア対157の各ギア比(変速比)が設定されている。
【0075】
駆動装置1Eは、第5の形態と同様に、連結切替機構145による連結状態の切り替えと、伝達切替機構155による伝達状態の切り替えとを組み合わせることにより、上述した4つの駆動モードを実現でき、更にこれらの駆動モードを駆動制御装置120の制御によって、出力軸130の回転数の増加に応じて第5の形態と同様の順番で移行させることができる。そのため、本形態においても駆動制御装置120が本発明に係る制御手段として機能する。
【0076】
図22A〜図28Bの一連の図は、各駆動モードの実行時及び各駆動モードの切替時における駆動装置1Eの動力伝達状態及び機械的結合状態を示している。なお、これらの図に示された太い実線で描かれた矢印線は内燃機関2の動力及びその方向を、太い破線で描かれた矢印線は各モータ・ジェネレータ3、6の力行時における動力及びその方向を、太い一点鎖線で描かれた矢印線は各モータ・ジェネレータ3、6の回生時における動力及びその方向を、それぞれ示している。
【0077】
図22Aは第1駆動モードの実行時における動力伝達状態を示しており、図22Bは第1駆動モード実行時における共線図を示している。これらの図に示すように、第1駆動モードでは、内燃機関2がサンギアSに出力部125がリングギアRにそれぞれ連結された第1連結状態で第2モータ・ジェネレータ6の動力がリングギアRに伝達される。そのため、内燃機関2の動力は、動力分割機構4のサンギアSに入力され、その一部が第1モータ・ジェネレータ3による回生に用いられてからリングギアRを介して出力される。そして、リングギアRから出力された動力に対して、第2モータ・ジェネレータ6の動力が付加されて出力軸130から車両の駆動力として出力される。第1モータ・ジェネレータ3で回生されたエネルギーは細い実線で描かれた矢印線で示すように第2モータ・ジェネレータ6に供給される。第1駆動モードは低速側で伝達効率に優れた駆動モードである。
【0078】
図22A及び図22Bに示した第1駆動モードの状態で車速が増加して行くに従い(出力軸130の回転数が増加して行くに従い)、伝達効率が低下する。そのため、第1駆動モードの状態で第1連結状態を維持しつつ第2モータ・ジェネレータ6の動力をリングギアRに伝達する第1伝達状態からサンギアSに伝達する第2伝達状態へ切り替えることにより、駆動モードを第1駆動モードから第2駆動モードへ移行させる。
【0079】
図23は第1駆動モードから第2駆動モードへの移行時における共線図を示している。この図に示すように、このモード移行時では、第5の形態と同様にメカニカルポイントを維持した状態で第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第1伝達状態から第2伝達状態へ切り替え可能である。
【0080】
図24Aは第2駆動モードの実行時における動力伝達状態を示しており、図24Bは第2駆動モード実行時における共線図を示している。これらの図に示すように、第2駆動モードでは、内燃機関2がサンギアSに出力部125がリングギアRにそれぞれ連結された第1連結状態で第2モータ・ジェネレータ6とサンギアSとの間に動力伝達経路が形成される。そのため、内燃機関2の動力は、その一部が第2モータ・ジェネレータ6による回生に用いられて動力分割機構4のサンギアSに入力され、その入力された動力に対して第1モータ・ジェネレータ3の動力がキャリアCを介して付加されてからリングギアRを介して出力される。そして、リングギアRから出力された動力は車両の駆動力として出力軸130から出力される。第2モータ・ジェネレータ6で回生されたエネルギーは細い実線で描かれた矢印線で示すように第1モータ・ジェネレータ3に供給される。
【0081】
図24A及び図24Bに示した第2駆動モードは高回転側に変化するに従って伝達効率が悪化して行くので、車速の増加に伴って伝達効率が許容範囲を超えて低下する前に第2駆動モードから第3駆動モードへ駆動モードを移行させる。この駆動モードの移行は、第2伝達状態のままで第1連結状態から第2連結状態へ切り替えることにより行う。即ち、内燃機関2がサンギアSに、出力部125がリングギアRにそれぞれ連結された状態から、これらの連結関係を入れ替えることにより、第2駆動モードから第3駆動モードへ移行させる。
【0082】
図25は第2駆動モードから第3駆動モードへの移行時における共線図を示している。この図に示すように、動力分割機構4に対する内燃機関2及び出力部125の連結関係の切り替えは、内燃機関2及び出力軸130の各回転数を一致させる同期制御とともに行われ、これにより、第2駆動モードから第3駆動モードへの移行が完了する。
【0083】
図26Aは第3駆動モードの実行時における動力伝達状態を示しており、図26Bは第3駆動モード実行時における共線図を示している。これらの図に示すように、第3駆動モードでは、内燃機関2がリングギアRに出力部125がサンギアSにそれぞれ連結された第2連結状態で第2モータ・ジェネレータ6とサンギアSとの間に動力伝達経路が形成される。そのため、内燃機関2の動力は、動力分割機構4のリングギアRに入力され、その一部が第1モータ・ジェネレータ3による回生に用いられてからサンギアSを介して出力される。そして、サンギアSから出力された動力に対して、第2モータ・ジェネレータ6の動力が付加されて出力軸130から車両の駆動力として出力される。第1モータ・ジェネレータ3で回生されたエネルギーは細い実線で描かれた矢印線で示すように第2モータ・ジェネレータ6に供給される。
【0084】
図26A及び図26Bに示した第3駆動モードは高回転側への変化に伴って第1モータ・ジェネレータ3の回転数が0以下になるといわゆる動力循環が生じて伝達効率が悪化する。そのため、第2連結状態を維持しつつ第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第2伝達状態から第1連結状態へ切り替えることにより、駆動モードを第3駆動モードから第4駆動モードへ移行させる。
【0085】
図27は、第3駆動モードから第4駆動モードへの移行時における共線図を示している。この図に示すように、このモード移行時では、第1駆動モードから第2駆動モードへの移行時と同様に、メカニカルポイントを維持した状態で第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態を第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替え可能である。従って、動力伝達効率を悪化させることなく第3駆動モードから第4駆動モードへの移行が完了する。
【0086】
図28Aは第4駆動モードの実行時における動力伝達状態を示しており、図28Bは第4駆動モード実行時における共線図を示している。これらの図に示すように、第4駆動モードでは、内燃機関2がリングギアRに出力部125がサンギアSにそれぞれ連結された第2連結状態で第2モータ・ジェネレータ6とリングギアRとの間に動力伝達経路が形成される。そのため、内燃機関2の動力はその一部が第2モータ・ジェネレータ6による回生に用いられて動力分割機構4のリングギアRに入力され、その入力された動力に対して第1モータ・ジェネレータ3の動力がキャリアCを介して付加されてからサンギアSを介して出力される。そして、サンギアSから出力された動力は車両の駆動力として出力軸130から出力される。第2モータ・ジェネレータ6で回生されたエネルギーは細い実線で描かれた矢印線で示すように第1モータ・ジェネレータ3に供給される。この場合、第5の形態と同様に動力分流となって動力循環が生じないため、第4駆動モードは高回転側で伝達効率に優れた駆動モードである。
【0087】
このように、駆動装置1Eにおいても第5の形態と同等の効果を達成できる。特に、駆動モードの切り替え時における内燃機関2及び第2モータ・ジェネレータ6の各回転数が同一でなく異なっているため、第2モータ・ジェネレータ6の動力伝達状態の切り替え時における内燃機関2及び第2モータ・ジェネレータ6の各回転数が内燃機関2にとって高すぎたり第2モータ・ジェネレータ6にとって低すぎたりすることを防止できるので、その切り替えに伴う燃費の悪化を抑制できる。
【0088】
また、本形態に係る駆動装置1Eは、第1モータ・ジェネレータ3が共線図上に並ぶ3つの回転要素のうちの中央に位置するキャリアCに連結されるため、上述した各駆動モード時の共線図を第4の形態の場合と比較すれば明らかなように、第1モータ・ジェネレータ3の回転数を第4の形態に比べて低くすることができる。従って、燃費悪化の抑制効果が第4の形態よりも向上する。
【0089】
本発明は、上記各形態に限定されず種々の形態にて実施することができる。上述した動力分割機構の構成は一例にすぎず、これを機構学上等価な別形態に変更することも可能である。例えば、動力分割機構をダブルピニオン型の遊星歯車機構として構成し、各回転要素の連結関係が上記各形態と同様となるように設定して本発明を実施することもできる。また、複数の遊星歯車機構を組み合わせることによって伝達切替機構と動力分割機構とを構成することも可能である。更に、動力分割機構の各回転要素に対する連結関係も別形態に変更することも可能である。更に、動力分割機構を遊星歯車機構で構成することは一例にすぎず、例えば歯車ではない摩擦車(ローラ)を回転要素として持つ遊星ローラ機構に置き換えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1A〜1E 駆動装置
2 内燃機関
3 第1モータ・ジェネレータ(第1電動機)
4 動力分割機構
5 出力部
6 第2モータ・ジェネレータ(第2電動機)
7、40、60 伝達切替機構
90、145 連結切替機構
97、155 伝達切替機構
Ax1 第1軸線
Ax2 第2軸線
S サンギア
C キャリア
R リングギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関、第1電動機及び第2電動機の少なくとも一つを駆動源として、車両を駆動する駆動力を出力部を介して出力する車両の駆動装置において、
互いに差動回転可能な3つの回転要素を有し、前記3つの回転要素のいずれか一つの第1回転要素が前記第1電動機に、他の一つの第2回転要素が前記出力部に、残りの一つの第3回転要素が前記内燃機関に、それぞれ連結された動力分割機構と、
前記第2電動機の回転を変速するとともに、前記第2電動機の動力を前記出力部に伝達する第1伝達状態と前記第2電動機の動力を前記第3回転要素に伝達する第2伝達状態との間で前記第2電動機の動力伝達状態を切り替え可能な伝達切替機構と、を備え、
前記伝達切替機構は、前記3つの回転要素の各回転数が互いに異なり、かつ前記第2電動機の回転数が前記内燃機関の回転数よりも高い状態で前記第2電動機の動力伝達状態を切り替えることができるように、前記第1伝達状態における前記第2電動機から前記出力部に至る変速比と、前記第2伝達状態における前記第2電動機から前記第3回転要素に至る変速比とがそれぞれ設定されている、ことを特徴とする車両の駆動装置。
【請求項2】
内燃機関、第1電動機及び第2電動機の少なくとも一つを駆動源として、車両を駆動する駆動力を出力部を介して出力する車両の駆動装置において、
互いに差動回転可能な3つの回転要素を有し、前記3つの回転要素のいずれか一つの第1回転要素に前記第1電動機が連結され、残りの第2回転要素及び第3回転要素のそれぞれに対して前記出力部又は前記内燃機関が択一的に連結される動力分割機構と、
前記出力部が前記第2回転要素に、前記内燃機関が前記第3回転要素にそれぞれ連結される第1連結状態と、前記出力部が前記第3回転要素に、前記内燃機関が前記第2回転要素にそれぞれ連結される第2連結状態との間で、前記動力分割機構に対する前記出力部及び前記内燃機関の連結状態を切り替え可能な連結切替機構と、
前記第2電動機の回転を変速した状態で、前記第2電動機の動力を前記第2回転要素に伝達する第1伝達状態と前記第2電動機の動力を前記第3回転要素に伝達する第2伝達状態との間で前記第2電動機の動力伝達状態を切り替えることができるとともに、前記3つの回転要素の各回転数が互いに異なり、かつ前記第2電動機の回転数と前記内燃機関の回転数とが異なる状態で前記第2電動機の動力伝達状態を切り替えることができるように、前記第1伝達状態における前記第2電動機から前記第2回転要素に至る変速比と、前記第2伝達状態における前記第2電動機から前記第3回転要素に至る変速比とがそれぞれ設定された伝達切替機構と、
前記第1連結状態の下で前記第1伝達状態に切り替えられた第1駆動モード、前記第1連結状態の下で前記第2伝達状態に切り替えられた第2駆動モード、前記第2連結状態の下で前記第2伝達状態に切り替えられた第3駆動モード、並びに前記第2連結状態の下で前記第1伝達状態に切り替えられた第4駆動モードの順番で、これらの駆動モードが前記出力部の回転数が増加するに従って移行するように、前記連結切替機構及び前記伝達切替機構をそれぞれ制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする車両の駆動装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1電動機の回転数が0である所定状態で、前記第1駆動モードから前記第2駆動モードへ、前記第3駆動モードから前記第4駆動モードへそれぞれ移行するように、前記伝達切替機構を制御する請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記動力分割機構は、前記3つの回転要素を共線図上に配置したときに、前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素の順番に並び、かつ前記第1回転要素と前記第2回転要素との間隔が前記第2回転要素と前記第3回転要素との間隔よりも長くなるように構成されている請求項2又は3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記動力分割機構は、前記3つの回転要素を共線図上に配置したときに、前記第3回転要素、前記第1回転要素、及び前記第2回転要素の順番に並び、かつ前記第3回転要素と前記第1回転要素との間隔が前記第1回転要素と前記第2回転要素との間隔よりも長くなるように構成されている請求項2又は3に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記伝達切替機構は、前記3つの回転要素の回転中心に位置する第1軸線に対して平行に延びる第2軸線上に並べられた第1駆動ギア及び第2駆動ギアと、前記第1駆動ギアと噛み合うとともに前記第2回転要素の回転が伝達され前記第1軸線上に配置された第1被駆動ギアと、前記第2駆動ギアと噛み合うとともに前記第3回転要素の回転が伝達され前記第1軸線上に配置された第2被駆動ギアと、前記第2軸線上に設けられ前記第2電動機の回転が伝達される伝達軸に対して前記第1駆動ギア又は前記第2駆動ギアのいずれか一方を選択的に結合させることにより、前記第1伝達状態又は前記第2伝達状態を成立させる結合機構と、を有している請求項1〜5のいずれか一項に記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【公開番号】特開2011−5996(P2011−5996A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152629(P2009−152629)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】