説明

車両制御システムおよび車載器

【課題】携帯機と車載器との間で無線通信を行うに際し、車載器に使用される振動子の発振周波数の温度ばらつきを軽減する。
【解決手段】受信IC22には車載器20の温度を測定する第2温度センサ27が内蔵されている。そして、補正部23は、携帯機10の第1振動子11および車載器20の第2振動子21の周波数温度特性のデータマップがそれぞれ記憶されており、受信IC22から携帯機10の温度を示す送信側温度情報を入力すると共に第2温度センサ27から車載器20の温度を示す受信側温度情報を入力し、送信側温度情報、受信側温度情報、およびデータマップに基づいて取得したオフセット値を第2振動子21に付加することで、第2振動子21の第2周波数を第1振動子11の第1周波数に近づける補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機と車載器との間で無線通信を行う車両制御システムおよび車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザがキーをシリンダに差し込まなくてもドアの施錠や解錠を行うことができるキーレスエントリシステムやスマートエントリシステム(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0003】
キーレスエントリシステムは、ユーザがキー(携帯機)に設けられたボタンを操作することでキーから無線信号が送信され、無線信号を受信した車載器が車両のドアの施錠または解除を行うシステムである。
【0004】
また、スマートエントリシステムは、車両に搭載された車載器(スマートECU)がリクエスト信号を送信すると、リクエスト信号に応答したスマートキー(携帯機)が応答信号を送信し、車載器が受信した応答信号の照合を行い、この照合結果に基づいて車両のドアの施錠または解除を行うシステムである。
【0005】
これらのシステムでは、携帯機と車載器との間で無線通信を行うため、携帯機や車載器は電波を生成するための振動子をそれぞれ備えている。ここで、振動子は一定の周波数を発生させる素子であり、温度補償回路によって温度による周波数変化が低減されるように構成された温度補償水晶発振器(Temperature Compensated X’tal Oscillator;TCXO)等の発振器とは異なるデバイスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−156851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、振動子は温度に応じた周波数で発振するという周波数温度特性を持っているので、振動子の温度が変化すると振動子の発振周波数が変化してしまう。すなわち、振動子は周波数の温度ばらつきを持っている。
【0008】
例えば、振動子として水晶を用いる場合、水晶は温度に対して周波数が3次関数で変化する周波数温度特性を有している。また、振動子としてSAWレゾネータを用いる場合、SAWレゾネータは温度に対して周波数が2次関数で変化する周波数温度特性を有している。
【0009】
そして、上述のように、少なくとも車載器は携帯機から送信された無線信号を受信しなければならない。しかし、車載器に搭載された振動子の周波数には温度ばらつきが含まれているので、車載器では受信周波数の温度ばらつきを含むようにフィルタ帯域を広く設定しなければならない。このように、フィルタ帯域を広く設定すると、車載器は妨害波(つまりノイズ)を受信しやすくなるので、感度、耐ノイズ性能に大きく影響してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上記点に鑑み、携帯機と車載器との間で無線通信を行うに際し、車載器に使用される振動子の発振周波数の温度ばらつきを軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ユーザに携帯される携帯機(10)との無線通信を行うものあり、携帯機(10)は第1周波数で発振する第1振動子(11)を駆動して第1周波数の無線信号を生成すると共に無線信号に携帯機(10)の温度を示す送信側温度情報を含んで送信するようになっており、携帯機(10)から無線信号を受信してユーザの車載機器に対する操作の許可または不許可を制御する車載器であって、以下の点を特徴としている。
【0012】
すなわち、第2周波数で発振する第2振動子(21)と、当該車載器の温度を測定する第2温度センサ(27)と、第2振動子(21)を駆動して生成した第2周波数の基準信号に基づいて動作すると共に、送信側温度情報を含んだ無線信号を受信する受信IC(22)と、を備えている。また、第1振動子(11)および第2振動子(21)の周波数温度特性のデータマップがそれぞれ記憶されており、受信IC(22)から送信側温度情報を入力すると共に第2温度センサ(27)から当該車載器の温度を示す受信側温度情報を入力し、送信側温度情報、受信側温度情報、およびデータマップに基づいて取得したオフセット値を第2振動子(21)に付加することで、第2振動子(21)の第2周波数を第1振動子(11)の第1周波数に近づける補正を行う補正部(23)と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
このように、送信側温度情報、受信側温度情報、およびデータマップに基づいたオフセット値を第2振動子(21)に付加しているので、第2振動子(21)の第2周波数が携帯機(10)の第1周波数に近づくように第2振動子(21)の発振周波数を微調することができる。したがって、車載器に使用される第2振動子(21)の発振周波数の温度ばらつきを軽減することができる。
【0014】
そして、請求項1に記載の発明では車載器についての記載であるが、ユーザに携帯される携帯機(10)と車両に搭載される車載器(20)とを備えた車両制御システムとして構成することもできる。この場合、車載器(20)の構成は上記と同じ構成とすることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明のように、携帯機(10)は、第1周波数で発振する第1振動子(11)と、当該携帯機(10)の温度を測定する第1温度センサ(14)と、第1振動子(11)を駆動して第1周波数の無線信号を生成すると共に、無線信号に第1温度センサ(14)で測定された携帯機(10)の温度を示す送信側温度情報を含んで送信する送信IC(12)と、を備えた構成とすることができる。
【0016】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両制御システムのブロック図である。
【図2】携帯機に用いられる第1振動子の周波数温度特性の一例を示した図である。
【図3】車載器20に用いられる第2振動子の周波数温度特性の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。本実施形態で示される車両制御システムは、携帯機と車載器との無線通信に基づいて、ユーザの車載機器に対する操作の許可または不許可を制御するシステムである。以下では、車両制御システムとして、例えばスマートエントリシステムを例に説明する。この場合、車載機器は車両のドアの開閉機器となる。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制御システムのブロック図である。この図に示されるように、車両制御システムは、ユーザに携帯される携帯機10と、車両に搭載された車載器20と、を備えて構成されている。
【0020】
携帯機10は、車両に搭載された車載器20との間でスマートエントリシステムを識別するためのいわゆるスマート携帯機であり、ユーザが所持するだけで車両のドアのロックまたはアンロックの操作を行うことができるものである。このような携帯機10は、第1振動子11と、送信IC12と、を備えている。
【0021】
第1振動子11は、第1周波数(例えば300MHz程度)で発振する振動子であり、送信IC12に接続されている。また、第1振動子11として例えばSAWレゾネータが用いられる。
【0022】
図2は、SAWレゾネータの周波数温度特性を示した図である。図2において、横軸は温度を示し、縦軸は例えば室温(25℃付近)の周波数を基準としたときの周波数のずれ(温度ばらつき)を示している。この図に示されるように、SAWレゾネータは、温度に対して周波数が2次曲線を描く特性になっている。このため、SAWレゾネータの温度が室温よりも高くなるかまたは小さくなると、それぞれ周波数が小さくなる方向に周波数の温度ばらつきが大きくなる。
【0023】
送信IC12は、第1振動子11を駆動することで第1周波数の無線信号を生成するためのICである。無線信号には、ID照合のためのIDコードや車載機器に対するユーザの許可または不許可の情報が含まれる。
【0024】
また、送信IC12は当該送信IC12すなわち携帯機10の温度を測定する第1温度センサ14を内蔵している。このため、送信IC12は、第1温度センサ14で測定された携帯機10の温度を示す送信側温度情報を無線信号に含めてアンテナ13を介して送信する。
【0025】
なお、携帯機10には図示しない電源が備えられており、常時稼働できるようになっている。また、携帯機10には、車載器20が携帯機10にIDコードを要求するリクエスト信号を受信するためのアンテナやそのIDコードを電圧信号に復調するIC等も備えられている。以上が携帯機10の構成である。
【0026】
車載器20は、携帯機10との間でスマートエントリシステムを識別するIDコードの送受信を行い、車両のドアのロックまたはアンロックを制御するものである。このような車載器20は、第2振動子21と、受信IC22と、補正部23と、を備えている。
【0027】
第2振動子21は、第2周波数で発振する振動子であり、受信IC22に接続されている。第2振動子21として例えば水晶が用いられる。
【0028】
図3は、水晶の周波数温度特性を示した図である。図3において、横軸は温度を示し、縦軸は例えば室温の周波数を基準としたときの周波数のずれ(温度ばらつき)を示している。この図に示されるように、水晶は、温度に対して周波数が3次曲線を描く特性になっている。このため、水晶の温度が室温よりも高くなると周波数が大きくなる方向に周波数の温度ばらつきが大きくなり、水晶の温度が室温よりも低くなると周波数が小さくなる方向に周波数の温度ばらつきが大きくなる。
【0029】
受信IC22は、車載器20に備えられたアンテナ24を介して携帯機10からの無線信号を受信するICである。受信IC22はインバータ25や図示しない抵抗で構成されたクロック発生回路26を備えており、第2振動子21はこのクロック発生回路26に接続されている。
【0030】
そして、受信IC22は、第2振動子21を駆動することでクロック発生回路26に第2周波数の基準信号(Clock)を生成させる。このクロック発生回路26には第2周波数の基準信号(Clock)を8逓倍、32逓倍、64逓倍等するPLL回路が含まれている。受信IC22は、PLL回路で生成された基準信号に基づいて動作する。
【0031】
また、受信IC22は第2温度センサ27を内蔵している。この第2温度センサ27により、受信IC22の温度、すなわち受信IC22が搭載された車載器20の温度が測定される。受信IC22で得られた受信側温度情報は補正部23に出力される。受信IC22は間欠動作するようになっているため、受信側温度情報は例えば150msや250ms毎に受信IC22から補正部23に出力される。温度センサ27から補正部23への出力は例えばシリアル通信/直線で行われる。
【0032】
なお、受信IC22には、上記のクロック発生回路26や第2温度センサ27の他、アンプ、ミキサ、復調回路等の図示しない回路も含まれている。
【0033】
補正部23は、第2振動子21の第2周波数を第1振動子11の第1周波数に近づける補正を行うものである。すなわち、補正部23は第2振動子21の第2周波数を補正することで携帯機10と車載器20との電波通信使用上の周波数を補正する。このような補正部23は受信IC22から入力した基準信号(Clock)に基づいて動作する。また、補正部23としてMPU(Micro Processing Unit)やDAC(Digital to Analog Converter)等の電圧変換可能な回路装置が採用される。本実施形態では補正部23としてMPUを採用する。
【0034】
上述のように、携帯機10はユーザに携帯され、車載器20は車両に搭載されているので、携帯機10の温度と車載器20の温度とは異なる。このため、携帯機10に搭載された第1振動子11の第1周波数には携帯機10の温度に応じた温度ばらつきが含まれている。また、車載器20に搭載された第2振動子21の第2周波数には車載器20の温度に応じた温度ばらつきが含まれている。したがって、補正部23は、受信IC22が温度ばらつきを含んだ第1周波数の無線信号を受信することができるように、第2周波数を第1周波数に近づける補正を行う。
【0035】
具体的に、補正部23は第2振動子21の第2周波数を補正するため、第1振動子11の周波数温度特性のデータマップ(Tx補正)と第2振動子21の周波数温度特性のデータマップ(Rx補正)とをそれぞれ有している。データマップは、補正部23に内蔵されたROMやFLASH等の記憶素子28に格納されている。これらのデータマップは、例えば図2および図3に示される各周波数温度特性において温度と周波数が電圧値や容量値等の数値に変換された数値化マップであり、さらに第2振動子21に付加すべきオフセット値が温度毎に設定されている。なお、図2および図3に示される周波数温度特性すべてが数値化されている必要はなく、例えば高温時マップや低温時マップというように所定の温度範囲の特性について数値化されたデータマップでも良い。
【0036】
ここで、「オフセット値」は静電容量であり、「付加」には第2振動子21の静電容量の増加または減少の両方が含まれる。これにより、第2振動子21は、付加されたオフセット値の分だけ変化した第2周波数を発生させる。つまり、第2振動子21の第2周波数の温度ばらつきが補正される。
【0037】
また、補正部23は、第2振動子21にオフセット値を付加するための容量素子29を備えている。容量素子29は第2振動子21に接続されている。本実施形態では、容量素子29は、バリキャップとコンデンサアレイとの組み合わせで構成されている。バリキャップは端子に印加される電圧に従って静電容量が変化するダイオードであり、印加された電圧に従って素早く静電容量を変化させることができる素子である。また、コンデンサアレイは、例えばスイッチとコンデンサとが直列接続されたものが複数並列に接続された回路である。各スイッチのオン/オフ制御により、コンデンサアレイの高精度な合成容量が得られる。
【0038】
したがって、データマップには「オフセット値」を実現するためのバリキャップの印加電圧やコンデンサアレイの合成容量(コンデンサに接続された各スイッチのオン/オフ情報)が含まれている。
【0039】
なお、図示しないが、車載器20には特定周波数を選択的に通過させるバンドパスフィルタや携帯機10との間でIDコードを照合するための判定回路、携帯機10にIDコードを要求するためのリクエスト信号を送信するアンテナ等も備えられている。以上が車載器20の構成である。
【0040】
次に、スマートエントリシステムの処理および車載器20の補正部23の作動について説明する。
【0041】
まず、ユーザが携帯機10を所持した状態で車両に近づき、スマートエントリシステムのセンシングエリアに入ると、携帯機10は車載器20からリクエスト信号を受信し、それに対応して自動的にIDコードを含んだ無線信号を送信する。これにより、車載器20でIDコード認証が行われ、それが一致するとドアのロック・アンロックの操作が可能となる。したがって、ユーザが携帯機10を携帯した状態でドアハンドルを握るとドアが解錠され、ユーザが例えばドアのロックスイッチを押すとドアが施錠される。
【0042】
そして、携帯機10はリクエスト信号に対して無線信号を送信する際に、第1温度センサ14で測定された携帯機10の温度を示す送信側温度情報を無線信号に含ませて送信する。なお、ユーザが車載機器を操作する際の無線信号に送信側温度情報を含ませても良い。
【0043】
また、車載器20では、受信IC22で受信した携帯機10からの送信側温度情報が補正部23に出力される一方、受信IC22に内蔵された第2温度センサ27で測定された車載器20の温度を示す受信側温度情報が補正部23に入力される。
【0044】
したがって、補正部23は、これら送信側温度情報と受信側温度情報と各振動子11、21のデータマップとに基づいて、第2振動子21の第2周波数が第1振動子11の第1周波数に近づくように第2振動子21に付加するためのオフセット値をデータマップから取得する。
【0045】
すなわち、携帯機10と車載器20は元々同じような環境で動作するようにそれぞれ周波数が設定されているが、車載器20が置かれる環境は携帯機10とは全く異なるため、車載器20の電波温度環境を携帯機10の電波温度環境に合わせることで車載器20における第2振動子21の第2周波数の温度ばらつきの軽減を図る。このための手段が車載器20に備えられた補正部23であり、補正部23がデータマップに基づいて第2振動子21の第2周波数を第1振動子11の第1周波数に近づける補正を行うことで、車載器20における第2周波数の温度ばらつきの軽減を図る。
【0046】
例えば、季節が夏の場合、携帯機10および車載器20の温度は共に高くなる。このため、図2に示されるように、携帯機10に搭載された第1振動子11の第1周波数は小さくなる方向にずれる。一方、図3に示されるように、車載器20に搭載された第2振動子21の第2周波数は大きくなる方向にずれる。また、第2周波数の基準信号は、受信IC22のPLL回路にて逓倍されるため、周波数のずれも逓倍される。
【0047】
このように、車載器20で用いられる基準信号の第2周波数は、第1振動子11および第2振動子21の周波数温度特性および受信IC22のPLL回路によって第1周波数からかなりずれる。しかしながら、車載器20において、補正部23の容量素子29によって第2振動子21の高温時のオフセット値(静電容量)を第2振動子21に付加するので、第2振動子21の発振周波数である第2周波数を第1周波数に近づけることができる。また、受信IC22のPLL回路において第2周波数を逓倍する際に、第2周波数に含まれる周波数の温度ばらつきが逓倍されずに済む。
【0048】
季節が冬の場合、ユーザに携帯される携帯機10の温度は例えば室温以上とされるが、車両に搭載された車載器20の温度は外気温とされる。このため、図2に示されるように第1振動子11の第1周波数は小さくなる方向にずれ、図3に示されるように第2振動子21の第2周波数も小さくなる方向にずれる。このように、第1周波数および第2周波数は共に周波数が小さくなる方向にずれる。このような冬の季節においても、車載器20において、補正部23の容量素子29によって第2振動子21の低温時のオフセット値(静電容量)を第2振動子21に付加するので、第2振動子21の発振周波数である第2周波数を第1周波数に近づけることができる。また、上述のように受信IC22ではPLL回路によって周波数の温度ばらつきが逓倍されずに済む。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では送信IC12の第1温度センサ14で得られた送信側温度情報および受信IC22の第2温度センサ27で得られた受信側温度情報を利用して、第2振動子21の第2周波数が携帯機10の第1周波数に近づくように容量素子29にオフセット値を付加している。これにより、第2振動子21の第2周波数を微調することができ、車載器20に使用される第2振動子21の第2周波数の温度ばらつきを軽減することができる。
【0050】
また、第2振動子21の静電容量に補正を掛けることで、車載器20において第2振動子21の温度ばらつき分だけ広帯域なフィルタ設定は不要となり、必要最低限のフィルタ帯域に狭めることができる。すなわち、車載器20のフィルタ帯域を広く設定する必要がないので、妨害波を受信しにくくなり、感度、耐ノイズ性能の低下を回避できる。
【0051】
さらに、温度特性が良い振動子を使用しなくても、補正可能なばらつきまで仕様緩和ができるため、第1振動子11や第2振動子21として安価な部品を使用することができる。
【0052】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された車両制御システムの構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明の特徴を含んだ他の構成とすることもできる。例えば、上記実施形態ではスマートエントリシステムを例に説明したが、携帯機10を用いて例えばイグニッションをスタートさせるスタートシステムやドアの開閉等の操作を行うキーレスエントリシステムに本発明を適用することもできる。
【0053】
また、上記の実施形態では、第2振動子21に容量素子29としてバリキャップとコンデンサアレイとの組み合わせを用いることを説明したが、オフセット値を生成する手段はバリキャップのみでも良いし、コンデンサアレイのみでも良い。また、他の手段を用いても良い。
【0054】
上記の実施形態では、第1温度センサ14は送信IC12に内蔵され、第2温度センサ27は受信IC22に内蔵されていたが、これは温度センサを内蔵したICの一例を示したものである。したがって、第1温度センサ14は送信IC12とは別体として携帯機10に設けられたものでも良い。同様に、第2温度センサ27は受信IC22とは別体として車載器20に設けられたものでも良い。
【符号の説明】
【0055】
10 携帯機
11 第1振動子
12 送信IC
14 第1温度センサ
20 車載器
21 第2振動子
22 受信IC
23 補正部
27 第2温度センサ
28 記憶素子
29 容量素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに携帯される携帯機(10)との無線通信を行うものあり、
前記携帯機(10)は、第1周波数で発振する第1振動子(11)を駆動して前記第1周波数の無線信号を生成すると共に前記無線信号に前記携帯機(10)の温度を示す送信側温度情報を含んで送信するようになっており、
前記携帯機(10)から前記無線信号を受信して前記ユーザの車載機器に対する操作の許可または不許可を制御する車載器であって、
第2周波数で発振する第2振動子(21)と、
当該車載器の温度を測定する第2温度センサ(27)と、
前記第2振動子(21)を駆動して生成した前記第2周波数の基準信号に基づいて動作すると共に、前記送信側温度情報を含んだ無線信号を受信する受信IC(22)と、
前記第1振動子(11)および前記第2振動子(21)の周波数温度特性のデータマップがそれぞれ記憶されており、前記受信IC(22)から前記送信側温度情報を入力すると共に前記第2温度センサ(27)から当該車載器の温度を示す受信側温度情報を入力し、前記送信側温度情報、前記受信側温度情報、および前記データマップに基づいて取得したオフセット値を前記第2振動子(21)に付加することで、前記第2振動子(21)の第2周波数を前記第1振動子(11)の第1周波数に近づける補正を行う補正部(23)と、を備えていることを特徴とする車載器。
【請求項2】
ユーザに携帯される携帯機(10)と車両に搭載される車載器(20)とを備え、前記携帯機(10)と前記車載器(20)との無線通信に基づいて、前記ユーザの車載機器に対する操作の許可または不許可を制御する車両制御システムであって、
前記携帯機(10)は、
第1周波数で発振する第1振動子(11)と、
当該携帯機(10)の温度を測定する第1温度センサ(14)と、
前記第1振動子(11)を駆動して前記第1周波数の無線信号を生成すると共に、前記無線信号に前記第1温度センサ(14)で測定された前記携帯機(10)の温度を示す送信側温度情報を含んで送信する送信IC(12)と、を備え、
前記車載器(20)は、
第2周波数で発振する第2振動子(21)と、
当該車載器(20)の温度を測定する第2温度センサ(27)と、
前記第2振動子(21)を駆動して生成した前記第2周波数の基準信号に基づいて動作すると共に、前記送信側温度情報を含んだ無線信号を受信する受信IC(22)と、
前記第1振動子(11)および前記第2振動子(21)の周波数温度特性のデータマップがそれぞれ記憶されており、前記受信IC(22)から前記送信側温度情報を入力すると共に前記第2温度センサ(27)から前記車載器(20)の温度を示す受信側温度情報を入力し、前記送信側温度情報、前記受信側温度情報、および前記データマップに基づいて取得したオフセット値を前記第2振動子(21)に付加することで、前記第2振動子(21)の第2周波数を前記第1振動子(11)の第1周波数に近づける補正を行う補正部(23)と、を備えていることを特徴とする車両制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−85096(P2012−85096A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229501(P2010−229501)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】