説明

車両制御装置

【課題】先行車と自車との相対的な制動応答特性の差異に関わらず、追従走行制御時に適切に自車を減速させることのできる車両制御装置を提供すること。
【解決手段】車両制御装置2に、自車1の前方を走行する先行車100の走行情報を取得し、取得した走行情報に基づいて自車1の走行状態を制御する通信追従走行制御ECU40と、先行車100の減速ジャーク情報を取得する先行車走行情報取得部45と、通信追従走行制御ECU40が先行車100の減速に応じて自車1を減速させるタイミングを先行車100の減速ジャーク情報に基づいて変化させる減速度算出部33と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両では、車両の走行時における運転の容易性の向上や、運転者による運転操作の負担の軽減、さらに、車両の走行時における安全性を向上させるために、車両の走行時における制御を自動的に行わせる制御装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された車両追突防止装置では、車両の前方画像を撮影した画像の中から前方を走行する車両を抽出し、先行車に追突する危険性がある場合には、自動制動を行っている。また、先行車に追突をする危険性を判断する際には、撮影した画像から抽出した車両の大きさを判断し、例えば、先行車が小型車である場合には、制動性能が高い先行車の急ブレーキに備えて減速タイミングを早めたり、制動機構の制動力を強めに設定したりする。これにより、先行車への追突を適切に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−27100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年では自車を先行車に追従させることにより、より運転者の負担を軽減する追従走行制御が開発されており、この追従走行制御では、先行車との車間時間を所定の時間に維持して、先行車の加減速を行う。しかし、制動時における制動応答特性は、車両の種類によって大きく異なる場合があり、先行車の減速度の変化が自車の減速度の変化よりも大きい場合は、先行車の減速時に先行車と自車との車間時間を維持するのが難しくなる。この場合、追従走行を行い続けるのが困難になる場合があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、先行車と自車との相対的な制動応答特性の差異に関わらず、追従走行制御時に適切に自車を減速させることのできる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両制御装置は、自車前方を走行する先行車の走行情報を取得し、取得した走行情報に基づいて自車の走行状態を制御する追従走行制御手段と、前記先行車の減速ジャーク情報を取得する減速ジャーク取得手段と、前記追従走行制御手段が前記先行車の減速に応じて前記自車を減速させるタイミングを前記先行車の減速ジャーク情報に基づいて変化させる減速タイミング制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両制御装置は、自車前方を走行する先行車の走行情報を取得し、取得した走行情報に基づいて自車の走行状態を制御する追従走行制御手段と、前記先行車の減速ジャーク情報を取得する減速ジャーク情報取得手段と、前記先行車の減速ジャーク性能が自車の減速ジャーク性能よりも高い場合は、前記先行車の減速ジャーク性能が前記自車の減速ジャーク性能よりも低い場合に比べて、前記走行車の減速に応じて前記追従走行制御手段で前記自車を減速させるタイミングを早める減速タイミング早期化手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両制御装置は、自車前方を走行する先行車の減速ジャーク情報を取得する減速ジャーク取得手段と、前記先行車と前記自車との車間時間または車間距離を前記先行車の減速ジャークに基づいて変化させる車間制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両制御装置は、自車前方の先行車の減速ジャーク情報を取得する減速ジャーク情報取得手段と、前記先行車の減速ジャーク性能が自車の減速ジャーク性能よりも高い場合は、前記先行車の減速ジャーク性能が自車の減速ジャーク性能よりも低い場合に比べて前記先行車と前記自車との車間時間または車間距離を増加する車間関係増加手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、上記車両制御装置において、前記減速ジャーク情報取得手段は、車車間通信によって前記先行車の減速ジャーク情報を取得することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車両制御装置は、先行車の減速時に、先行車と自車との相対的な制動応答特性の差異に関わらず、追従走行制御時に適切に自車を減速させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る車両制御装置が設けられた車両の概略図である。
【図2】図2は、図1に示す車両制御装置の要部構成図である。
【図3】図3は、追従走行についての説明図である。
【図4】図4は、先行車の減速時における先行車と自車との加速度及び相対加速度を示す説明図である。
【図5】図5は、先行車の減速開始後に遅れて自車が減速をする場合における説明図である。
【図6】図6は、図5で説明する減速に対して小さい減速度で減速をする場合における説明図である。
【図7】図7は、図5で説明する減速に対して初速が遅い場合における説明図である。
【図8】図8は、減速時における自車と先行車との加速度、相対加速度、相対速度の関係を示す説明図である。
【図9】図9は、追従走行制御時における減速時の先行車と自車との加速度の説明図である。
【図10】図10は、等価反応時間についての説明図である。
【図11】図11は、先行車と自車とで減速時の最大ジャークが異なる場合における加速度、相対加速度、相対速度の関係を示す説明図である。
【図12】図12は、等価反応時間についての説明図である。
【図13】図13は、通信途絶の発生時における制御の説明図である。
【図14】図14は、等価反応時間を用いて制動制御を行う場合におけるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る車両制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
〔実施形態〕
図1は、本発明の実施形態に係る車両制御装置が設けられた車両の概略図である。実施形態に係る車両制御装置2を備える車両1は、内燃機関であるエンジン5が動力源として搭載され、エンジン5で発生する動力が自動変速機(図示省略)等の駆動装置を経由して車輪3に伝達されることにより、走行可能になっている。また、この車両1は、車輪3を制動することにより走行中の車両1の制動をする制動手段であるブレーキ装置(図示省略)が設けられており、ブレーキ装置を作動させる際における油圧を制御するブレーキ油圧制御装置8が設けられている。また、駆動装置には、エンジン5の動力を車輪3に伝達する際における回転速度を検出することを介して車速を検出する車速検出手段である車速センサ10が設けられている。
【0016】
また、車両1には、前方を走行する他の車両や走行方向に位置する障害物等を検出する前方状況検出手段であるレーダー12と、他の車両との間で走行状態の情報等の通信が可能な車車間通信手段である車車間通信装置15とが設けられている。このうち、レーダー12は、検出波としてレーザーを用いるレーザーレーダーや、ミリ波を用いるミリ波レーダーなど、車両1に搭載可能なレーダーであれば、その形態は問わない。また、車車間通信装置15には、電磁波の送受信を行うアンテナや、信号の送信装置、受信装置等、無線通信を行うのに必要な各装置が含まれる。
【0017】
これらのエンジン5やブレーキ油圧制御装置8、車速センサ10、レーダー12、車車間通信装置15は、車両1に搭載されると共に車両1の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)に接続されている。このECUとしては、車両1の走行制御を行う走行制御ECU20と、他の車両と通信を行いながら、先行車に追従する走行を行う走行制御である通信追従走行制御を行う通信追従走行制御ECU40と、他の車両とは通信を行わず、自律して先行車に追従する走行を行う走行制御である自律追従走行制御を行う自律追従走行制御ECU60と、を有している。即ち、通信追従走行制御ECU40と自律追従走行制御ECU60とは、共に自車前方を走行する先行車の走行情報を取得し、取得した走行情報に基づいて自車の走行状態を制御する追従走行制御手段として設けられている。
【0018】
図2は、図1に示す車両制御装置の要部構成図である。ECUに接続される各部のうち、エンジン5やブレーキ油圧制御装置8、車速センサ10等の、車両1の走行に用いる装置は走行制御ECU20に接続されており、また、この走行制御ECU20には、車両1の減速時に運転者が操作をするブレーキペダル(図示省略)の操作量を検出するブレーキセンサ9が接続されている。走行制御ECU20は、車速センサ10やブレーキセンサ9等の検出手段による検出結果に基づいてエンジン5やブレーキ油圧制御装置8等を作動させることにより、車両1の走行制御を行う。
【0019】
また、他の車両との通信に用いる車車間通信装置15は、通信追従走行制御ECU40に接続されており、通信追従走行制御ECU40は、車車間通信装置15によって他の車両と走行状態の情報等の通信を行いつつ、走行制御ECU20に制御信号を送信して車両1の走行制御を行うことにより、通信追従走行制御を行う。また、前方を走行する他の車両等を検出することにより自律追従走行制御に用いることができるレーダー12は、自律追従走行制御ECU60に接続されており、自律追従走行制御ECU60は、レーダー12によって先行車を検出しつつ、走行制御ECU20に制御信号を送信して車両1の走行制御を行うことにより、自律追従走行制御を行う。
【0020】
また、走行制御ECU20、通信追従走行制御ECU40、自律追従走行制御ECU60は、それぞれ互いに接続され、情報や信号のやり取りが可能になっている。これらの走行制御ECU20、通信追従走行制御ECU40、自律追従走行制御ECU60のハード構成は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部等を備えた公知の構成であるため、説明は省略する。
【0021】
これらのECUのうち、走行制御ECU20は、エンジン5の運転制御を行うエンジン制御部21と、ブレーキ油圧制御装置8を制御することにより制動力の制御を行うブレーキ制御部22と、車速センサ10での検出結果より車速を取得する車速取得部25と、ブレーキセンサ9での検出結果よりブレーキペダルの操作の状態を取得するブレーキ操作取得部26と、車両1の走行時における走行モードを、通信追従走行制御と自律追従走行制御、及びこれらの追従走行制御を行わずに運転者の運転操作によって行う走行制御であるマニュアル走行制御との間で切り替える走行モード切替部28と、レーダー12での検出結果に基づいて先行車との車間時間を検出する車間時間検出手段である車間時間検出部30と、自車と先行車との減速時における減速ジャークが異なる場合における先行車の減速後の自車の反応時間を、双方の車両の減速ジャークが同じ状態である場合に置き換えて用いる等価反応時間である等価反応時間算出部31と、先行車の減速時に等価反応時間が現在の車間時間未満となるように自車の減速度を発生させることができるか否かを判定する減速度判定部32と、先行車の減速度に基づいて自車の減速度を算出する減速度算出部33と、レーダー12での検出結果に基づいて先行車との相対速度を算出する相対速度算出部34と、減速制御を行う際に用いる相対速度を算出する減速時相対速度算出部35と、を有している。
【0022】
また、通信追従走行制御ECU40は、通信追従走行制御時における車間距離を、通信追従走行制御時用に予め設定される車間時間に基づいて車間距離を設定する車間距離設定部41と、車車間通信装置15で行なう車車間通信により先行車の走行情報を取得する先行車走行情報取得部45と、先行車の減速時における最大減速度を導出する先行車最大減速度導出部46と、車車間通信装置15によって行う先行車との通信が途絶しているか否かを判定する通信途絶判定部51と、を有している。
【0023】
また、自律追従走行制御ECU60は、レーダー12での検出結果より、車両1の前方の状態を取得する前方状態取得部61と、自律追従走行制御時における車間距離を、自律追従走行制御時用に予め設定される車間時間と車速取得部25で取得した車速とに基づいて車間距離を設定する車間距離設定部62と、先行車の減速時における減速度を導出する先行車減速度導出部63と、を有している。
【0024】
この実施形態に係る車両制御装置2は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両1の通常の走行時は、運転者がアクセルペダル(図示省略)やブレーキペダルを操作することにより、エンジン5やブレーキ油圧制御装置8等の各アクチュエータが作動し、車両1は運転者の運転操作に応じて走行をする。例えば、エンジン5で発生する動力を調節する場合には、走行制御ECU20が有するエンジン制御部21によってエンジン5を制御し、制動力を発生させる場合には、走行制御ECU20が有するブレーキ制御部22でブレーキ油圧制御装置8を制御することにより、制動力を発生させる。
【0025】
また、この車両1の走行時には、車両1の各部に設けられるセンサ類によって車両1の走行状態や運転者の運転操作が検出され、車両1の走行制御に用いられる。例えば、車速センサ10で検出した検出結果は、走行制御ECU20が有する車速取得部25で取得し、車速を用いて走行制御を行う際に使用される。同様に、ブレーキセンサ9で検出した検出結果は、運転者が行うブレーキ操作の操作量として走行制御ECU20が有するブレーキ操作取得部26で取得し、取得した操作量に応じてブレーキ制御部22でブレーキ油圧制御装置8を制御し、制動力を発生させる。
【0026】
また、この車両1は、追従走行の操作スイッチ(図示省略)を操作する等、運転者の意思に基づいて必要に応じて、当該車両1の前方を走行する他の車両を追従する追従走行制御を行うことが可能に設けられている。つまり、運転者による運転操作を支援する走行制御として、追従走行制御を行うことが可能に設けられている。この追従走行制御は、車両1の走行時の状態に応じて、通信追従走行制御と自律追従走行制御とが使い分けられる。
【0027】
図3は、追従走行についての説明図である。まず、自律追従走行制御について説明すると、自律追従走行制御を行う場合は、レーダー12によって車両1の前方の状態を検出し、レーダー12での検出結果に基づいて、自律追従走行制御ECU60が有する前方状態取得部61によって車両1の前方の状態を取得する。この前方状態取得部61では、車両1の前方を走行する他の車両である先行車100の有無を検出し、先行車100が存在する場合には、先行車100との距離を、レーダー12での検出結果に基づいて取得する。
【0028】
また、自律追従走行制御時には、車間距離設定部62によって、走行制御ECU20が有する車速取得部25で取得した車速に応じた車間距離を設定する。この車間距離を設定する場合には、車間距離設定部62は、自律追従走行を行う際に適した先行車100との間の時間として予め設定されて記憶部に記憶されている自律追従走行用の車間時間と、走行制御ECU20が有する車速取得部25で取得した車速とに基づいて設定する。
【0029】
自律追従走行制御ECU60は、前方状態取得部61で取得する先行車100との車間距離が、車間距離設定部62で設定した車間距離と同程度になるように車両1の速度を調節するように、走行制御ECU20に信号を送信する。この信号を受けた走行制御ECU20は、エンジン制御部21やブレーキ制御部22で駆動力や制動力を調節することにより、先行車100との車間距離を車間距離設定部62で設定した車間距離と同程度の距離に維持する。これにより、先行車100に追従する追従走行を行う。
【0030】
次に、通信追従走行制御について説明すると、通信追従走行制御は、周囲を走行する他の車両が、互いに走行情報の通信を行うことができる車両である通信車の場合に行う。即ち、先行車100が通信車である場合に、通信追従走行制御を行うことができる。通信追従走行制御を行う場合には、車車間通信装置15を介して先行車100との間で車車間通信を行い、先行車100の走行情報を取得する。
【0031】
先行車100の走行情報の取得は、車車間通信装置15によって先行車100との間で行った車車間通信により、先行車100より送信された走行情報を、通信追従走行制御ECU40が有する先行車走行情報取得部45で取得する。なお、この走行情報には、通信車の運動状態の情報や運転者の運転操作の情報、さらに、通信車の位置情報も含まれている。
【0032】
先行車100の走行情報を取得したら、車速取得部25で取得した車速、及び先行車100の車速や先行車100の運転者の現在の運転操作に応じて、車間距離設定部41で先行車100との車間距離を設定する。通信追従走行制御時の車間距離を設定する場合は、自律追従走行制御時の車間距離を設定する場合と同様に、車間距離設定部41は、通信追従走行を行う際に適した先行車100との間の時間として予め設定されて記憶部に記憶されている通信追従走行用の車間時間と、車速取得部25で取得した車速、及び先行車走行情報取得部45で取得した先行車100の走行情報とに基づいて設定する。なお、通信追従走行用の車間時間は、自律追従走行用の車間時間よりも短い時間で設定されている。このため、通信追従走行時の車間距離は、自律追従走行時の車間距離よりも短い距離で設定される。
【0033】
通信追従走行制御ECU40は、先行車走行情報取得部45で取得した先行車100の位置情報に基づいて、先行車100との車間距離が、車間距離設定部41で設定した車間距離と同程度になるように車両1の速度を調節するように、走行制御ECU20に信号を送信する。このように、信号が送信された走行制御ECU20で信号に従って駆動力や制動力を調節し、先行車100との車間距離を車間距離設定部41で設定した車間距離と同程度の距離に維持することにより、先行車100に追従する追従走行を行う。
【0034】
これらの追従走行制御は、通信追従走行制御と自律追従走行制御とのうち、通信追従走行制御を優先して使用し、通信追従走行制御での先行車100との通信状態によって使い分ける。具体的には、追従走行制御を行う場合には、車車間通信装置15によって行う先行車100との通信が、途絶しているか否かを、通信追従走行制御ECU40が有する通信途絶判定部51で判定し、通信追従走行制御ECU40は走行制御ECU20に対して判定結果を送信する。判定結果が伝達された走行制御ECU20は、判定結果に応じて走行モード切替部28で走行モードの切り替えを行う。
【0035】
この走行モード切替部28は、通信追従走行制御と、自律追従走行制御と、さらに、追従走行制御を行わずに運転者が運転操作を行うことにより全ての運転指示を運転者が行うマニュアルモードと、を走行モードとして切り替えることができるように設けられており、走行モードの切り替えを行う場合には、通信途絶判定部51での判定も用いて切り替える。
【0036】
走行モード切替部28では、これらのように走行モードを切り替えるが、追従走行を行うことを運転者が指示している状態で、先行車100と通信を行っているとの判定が伝達された場合には、走行モードを通信追従走行制御に切り替える。また、追従走行を行うことを運転者が指示している状態で、先行車100と通信が途絶しているとの判定が伝達された場合には、走行モードを自律追従走行制御に切り替える。つまり、追従走行を行うことを運転者が指示している場合には、先行車100との間で通信が可能な場合には通信追従走行制御を行い、先行車100と通信が途絶したら自律追従走行制御に切り替える。また、追従走行を行うことを運転者が指示していない場合には、先行車100と通信を行っているか否かの判定を行わずに、走行モードをマニュアルモードに切り替える。
【0037】
追従走行を行う場合には、これらのように先行車100との通信の状況によって通信追従走行制御と自律追従走行制御とを切り替え、先行車100の走行状態に合わせて走行制御を行う。また、通信追従走行制御と自律追従走行制御を行っている場合における先行車100の減速時は、いずれの追従走行制御時においても、先行車100に対する車間時間が経過するまでに、先行車100の減速度と同じ大きさの減速度を、自らの車両1、即ち自車1に発生させる。
【0038】
追従走行制御時には、このように先行車100の減速度に応じて自車1を減速させるが、ここで、先行車100が減速する場合における自車1と先行車100との双方の車両の加速度の変化について説明する。
【0039】
図4は、先行車の減速時における先行車と自車との加速度及び相対加速度を示す説明図である。自車1と先行車100とが同じ速度で走行し、双方の車両の相対加速度が0の状態で先行車100の後方を自車1が走行している場合に、先行車100が減速した場合、減速方向の加速度が大きくなるため、先行車100の加速度である先行車加速度110が大きくなる。このように、自車1の速度が変化しない状態で先行車100が減速し、先行車加速度110が大きくなった場合、先行車100と自車1との間に加速度の差が発生する。これにより、自車1と先行車100との相対加速度115は大きくなる。
【0040】
通常、車両が減速をする場合には、減速度は減速度が0の状態から、そのときの運転状況に応じた最大減速度など所定の減速度まで時間が経過するに従って大きくなり、所定の減速度になったら、車両はその減速度で減速を続ける。このため、先行車100は、先行車加速度110が最大減速度a1_maxで一定の状態になり、この最大減速度a1_maxで減速を続ける。また、このように先行車加速度110が最大減速度a1_maxで一定になった場合には、相対加速度115も一定になる。
【0041】
その後、自車1が減速を開始すると、自車1の加速度である自車加速度111が大きくなる。このように、先行車加速度110が一定の状態で自車加速度111が大きくなると、自車1と先行車100との加速度の差は小さくなり始めるので、一定の状態になっていた相対加速度115は小さくなり始める。さらに自車加速度111が大きくなり、自車加速度111が先行車加速度110と同じ大きさになったら、相対加速度115は0になる。
【0042】
先行車100の減速時には、自車1と先行車100との加速度はこのように変化するが、この加速度の変化に基づいて、先行車100の減速時における車間距離について説明すると、先行車100が減速をした場合には、自車1は先行車100の減速に対して、上述したように減速遅れが発生して減速をする。このため、相対加速度115が大きくなるが、相対加速度115が大きくなった場合には、相対速度も変化する。つまり、自車1が減速を開始していない状態の場合には、車速が一定の自車1の速度に対して、先行車100の速度は低下するため、相対速度が大きくなる方向に変化する。これにより、自車1と先行車100との車間距離は、時間が経過するに従って小さくなる。
【0043】
相対速度が大きくなる方向への変化は、自車1が減速を開始しても、自車1の減速度が先行車100の減速度と同じ大きさになるまで続く。このため、先行車100の減速後、自車1の減速度が先行車100の減速度と同じ大きさになるまでは相対速度が大きくなり続け、自車1の減速度が先行車100の減速度と同じ大きさになったら、相対速度は一定になる。自車1と先行車100との減速度が同じ大きさになった場合、このように相対速度は一定になるが、速度差は存在し続けるので、減速度が同じ大きさになった場合でも双方の車間距離は小さくなり続ける。
【0044】
次に、先行車100と自車1との減速時における車間距離の変化について説明する。図5は、先行車の減速開始後に遅れて自車が減速をする場合における説明図である。なお、この図5は、減速前の車速V=100km/h、減速度a=0.8G、先行車100の減速に対する自車1の応答遅れdt=1sの場合についての説明図になっている。自車1が先行車100の後方を、所定の車間距離をあけてほぼ同じ車速で走行をしている場合に、先行車100が減速を開始して先行車加速度110が減速方向に大きくなると、自車1に対する先行車100の相対加速度115は、自車1に対して減速する方向に大きくなる。また、この例では、減速度が0.8Gの場合について説明するので、先行車加速度110は0.8Gまで大きくなったら、その後は、先行車100は0.8Gの減速度で減速を続ける。このため、相対加速度115は、先行車加速度110が0.8Gに到達した以降は、所定の期間は一定になる。
【0045】
また、このように先行車100が減速を開始して減速度を発生させている場合には、時間が経過するに従って先行車速度117が低下するが、自車1が減速していない場合には、自車1と先行車100との相対速度120は、先行車100の速度が自車1の速度に対して減速する方向に大きくなる。これらにより、自車1と先行車100との車間距離125は、時間が経過するに従って小さくなる。
【0046】
このように先行車100が減速することにより、先行車100と自車1との車間距離125は小さくなるが、自車1が応答遅れ時間dtの経過後に減速を開始すると、自車加速度111も先行車加速度110と同様に減速方向に大きくなる。これにより、先行車加速度110と自車加速度111との差が小さくなるので、自車1に対して減速する方向に大きくなっている先行車100の相対加速度115は小さくなる。また、この例では、自車加速度111も先行車加速度110と同様に0.8Gまで大きくなったら、その後は、自車1は0.8Gの減速度で減速を続けるので、自車加速度111が0.8Gに到達したら、自車加速度111は0.8Gで一定になる。この場合、自車加速度111と先行車加速度110とは差が無くなるので、相対加速度115は0になる。
【0047】
また、自車1が減速を開始すると、自車速度118が低下するため相対速度120の変化が緩やかになり、自車加速度111が一定になった場合には、相対速度120も一定の大きさになる。先行車加速度110と自車加速度111とが共に0.8Gで同じ大きさになり、相対加速度115が0になった場合でも、先行車100の減速に対する自車1の減速の応答遅れにより、先行車速度117と自車速度118とは共に低下しつつ、相対速度120は一定の大きさで維持される。このため、車間距離125は、時間が経過するに従って小さくなる。
【0048】
この状態で先行車100と自車1とが共に同じ大きさの減速度で減速し続けると、先に減速を開始した先行車100が先に停止をし、その後に自車1が停止をする。このように、減速前の車速V=100km/hで、減速度a=0.8G、先行車100の減速に対する自車1の応答遅れdt=1sの場合に、先行車100と自車1とが共に停止をするまで減速し続けた場合、詰まる車間距離125は、約27.7mになる。この距離は、減速前の車速V=100km/hに、応答遅れdt=1sを乗算した値になっている。
【0049】
図6は、図5で説明する減速に対して小さい減速度で減速をする場合における説明図である。この図6は、図5を用いて説明した減速時と同様に、減速前の車速V=100km/hで、先行車100の減速に対する自車1の応答遅れdt=1sだが、減速度a=0.4Gで減速をする場合についての説明図になっている。このように、減速度が0.4Gで減速をする場合も、先行車100が減速をすると、先行車100は、先行車加速度110が0.4Gになるまで減速度が大きくなり、先行車加速度110が0.4Gになったら、先行車100は0.4Gの減速度で減速を続ける。また、先行車100が減速し、自車1が減速前の状態の場合には、相対加速度115は先行車加速度110が大きくなるに従って大きくなり、先行車加速度110が0.4Gに到達したら、減速度が0.8Gの場合よりも小さい大きさで所定の期間維持される。
【0050】
また、このように0.4Gの減速度で先行車100が減速する場合には、先行車速度117は、減速度が0.8Gの場合よりも緩やかな傾きで低下する。このため、自車1が減速していない場合には、自車1と先行車100との相対速度120は、減速度が0.8Gの場合よりも緩やかな傾きで大きくなる。これらにより、自車1と先行車100との車間距離125は、時間が経過するに従って、減速度が0.8Gの場合よりも緩やかな傾きで小さくなる。
【0051】
このように先行車100が減速を開始した後、自車1が応答遅れ時間dtの経過後に減速を開始すると、自車加速度111も先行車加速度110と同様に0.4Gまで大きくなり、自車加速度111が0.4Gに到達したら、自車加速度111は0.4Gで一定になる。これにより、相対加速度115は0になる。
【0052】
また、自車1が減速を開始し、自車加速度111が一定になった場合には、減速度が0.8Gの場合と同様に相対速度120も一定の大きさになる。また、このように0.4Gの減速度で減速する場合も0.8Gの減速度で減速をする場合と同様に、相対加速度115が0になっても先行車100の減速に対する自車1の減速の応答遅れにより、相対速度120は一定の大きさで維持され、車間距離125は、時間が経過するに従って小さくなる。
【0053】
この状態で、先行車100と自車1とが共に停止をするまで減速を続けると、詰まる車間距離125は、減速度が0.8Gの場合と同様に約27.7mになる。つまり、先行車100と自車1との初速が同じ車速で、減速時における減速度が同じ大きさの場合には、減速度の大きさに関わらず、詰まる車間距離125は応答遅れに応じた距離になる。
【0054】
減速時における車間距離125は、先行車100と自車1との初速と減速度とが同じ大きさであれば、このように減速度の大きさに関わらず詰まる距離は同じ距離になるが、先行車100と自車1の初速は、減速時に詰まる車間距離125に影響する。次に、異なる初速の場合について説明する。
【0055】
図7は、図5で説明する減速に対して初速が遅い場合における説明図である。この図7は、図5を用いて説明した減速時と同様に、減速時における減速度a=0.8Gで、先行車100の減速に対する自車1の応答遅れdt=1sだが、減速前の車速V=50km/hである場合についての説明図になっている。
【0056】
このように、減速前の車速が遅い場合でも、0.8Gの減速度で減速をする場合には、減速前の車速が100km/hの場合と同様の傾きで先行車加速度110や自車加速度111は変化し、相対加速度115も減速前の車速が100km/hの場合と同様な変化をする。これにより、先行車速度117や自車速度118が、減速前の車速が100km/hの場合と同様な変化をするため、相対速度120や車間距離125も、減速前の車速が100km/hの場合と同様な変化をする。
【0057】
しかし、減速前の速度が50km/hの場合は、減速を開始してから停止をするまでの距離が短くなるため、詰まる車間距離125は短くなる。つまり、先行車100の減速の開始後、応答遅れを有して自車1が減速をする場合、車間距離125の変化の度合いは、減速前の速度が100km/hの場合と変わらないが、減速前の速度が50km/hの場合は初速が遅いため、減速を開始してから車両が停止するまでの時間が短くなっている。このため、減速時に詰まる車間距離125は短くなっており、具体的には、詰まる車間距離125は、減速前の車速V=50km/hに応答遅れdt=1sを乗算した約13.9mになる。
【0058】
これらのように、先行車100と同じ減速度で自車1が減速をする場合に詰まる車間距離125は、減速時における減速度に関わらず、応答遅れ時間×初速になる。このため、減速度に関わらず、応答遅れ時間が短くなるに従って詰まる車間距離125は小さくなり、応答遅れ時間が0s、即ち、先行車100と全く同じ減速ができれば、減速後の車間距離125は、減速前の車間時間と同じ車間時間で示される距離になる。
【0059】
先行車100の後方を自車1が走行している場合に、先行車100が減速することにより自車1も減速をする場合に詰まる車間距離125は、このように応答遅れ時間の影響が大きいが、次に、先行車100と自車1とが減速する際に、追突が発生する可能性を低減できる減速状態について説明する。
【0060】
図8は、減速時における自車と先行車との加速度、相対加速度、相対速度の関係を示す説明図である。減速時における複雑な事象をシンプルに抽象化して説明すると、先行車100と自車1とが減速する場合には、自車1は、先行車100の減速後に車間時間と同じ反応時間で反応して、先行車100の減速度以上の減速度で減速をすることにより、追突が発生する可能性を低減できる。例えば、車間時間が0.8sの場合は、先行車100の減速開始後、0.8sで反応して減速を開始し、先行車100の減速度以上の減速度で減速をすることにより、自車1は先行車100への追突が発生する可能性を低減できる。
【0061】
つまり、経過時間に対する減速度の変化の度合いであるジャークが、先行車100と自車1とで同じ場合には、先行車100の制動に対する自車1の応答遅れ時間である反応時間tdelayと、設定車間時間τとの関係が(tdelay≦τ)を満たすことができれば、追突が発生する可能性を低減できる。即ち、応答遅れにより発生する相対速度を、ある値以下にすることにより、追突が発生する可能性を低減できる。
【0062】
減速時の追突発生の可能性低減を相対速度の観点で考慮する場合について説明すると、まず、自車1と先行車100とで減速度のジャークが同じ場合には、先行車100の減速時における減速度を示す先行車加速度110と、自車1の減速時における減速度を示す自車加速度111とは、経過時間に対して同じ傾きになる。
【0063】
このため、先行車加速度110と自車加速度111とが同じジャークで、自車加速度111の最大値が先行車加速度110の最大値である先行車最大減速度a1_maxよりも大きい場合に、自車加速度111が先行車加速度110に対して反応時間tdelayの分遅れて発生する場合における、応答遅れ時間に起因する加速度の差の総量は、先行車加速度110と自車加速度111との傾き部分と、先行車最大減速度a1_max及び減速度の最小値(0)で囲まれる平行四辺形の面積Sによって示すことができる。
【0064】
この加速度(減速度)の差の総量を、相対加速度で示すと、先行車100が減速を開始し、応答遅れによって自車1が減速を開始していない場合には、相対加速度の最大値は先行車最大減速度a1_maxになる。また、先行車100の減速時に自車1の応答遅れ時間が発生する場合には、相対加速度としてこの先行車最大減速度a1_maxが応答遅れ時間の間、即ち、反応時間tdelayの間発生することになる。このため、応答遅れ時間に起因する相対加速度の総量は、先行車最大減速度a1_maxに反応時間tdelayを乗算した値になり、先行車最大減速度a1_maxと反応時間tdelayとで囲まれる部分の面積Sによって示すことができる。
【0065】
これらのように、応答遅れが発生する場合における加速度や相対加速度の総量は、加速度の平行四辺形の面積Sや相対加速度の面積Sによって示すことができ、これらの面積は、先行車最大減速度a1_maxと反応時間tdelayとを乗算することによって算出することができる。また、先行車100の減速開始後に自車1が減速をする場合に追突が発生する可能性を低減するためには、反応時間tdelayと、設定車間時間τとの関係が(tdelay≦τ)を満たすことができればよいので、これらを整理すると、下記の式(1)で示すことができる。
(相対加速度面積)=S(平行四辺形の面積)≦τ(設定車間時間)・a1_max(先行車最大減速度)・・・(1)
【0066】
また、この相対加速度面積Sは、反応時間tdelayの間の加速度の総量であるため、換言すると、反応時間tdelayの経過後の自車1と先行車100との相対速度Vを表すことになる。また、先行車100と自車1との減速度のジャークが同じ場合には、追突が発生する可能性を低減するには{tdelay(反応時間)≦τ(設定車間時間)}の関係が満たされていればよいため、先行車100と自車1の減速終了時に、自車1が先行車100に追突する直前の距離になる相対速度の最大値をVr_maxとすると、この相対速度の最大値Vr_maxは、設定車間時間τと先行車最大減速度a1_maxとを乗じた値になる。このため、自車1の応答遅れにより発生する相対速度Vを、下記の式(2)に示すように相対速度の最大値Vr_max以下にすることにより、追突が発生する可能性を低減できる。
(相対速度)≦Vr_max=τ(設定車間時間)・a1_max(先行車最大減速度)・・・(2)
【0067】
この式(2)では、制動の立ち上がりのみでなく、制動定常領域も含めた追突発生の可能性低減の条件となっている。このため、先行車100が減速した際に、自車1の制動の立ち上がりが遅れた場合でも、最終的に式(2)を満たす制動を行うことにより、先行車100への追突が発生する可能性を低減できる。つまり、制動の立ち上がり以降も、レーダー12を用いて先行車100との相対速度を検出するなどの適切なフィードバック制御を行い、最終的に式(2)を満たす制動を行うことにより、追突発生の可能性を低減する制御を行うための時間を確保することができる。
【0068】
図9は、追従走行制御時における減速時の先行車と自車との加速度の説明図である。先行車100の減速開始後に自車1を減速させる場合には、上述したように自車1の応答遅れが大きく関わってくるため、先行車100の後方を走行する際に追突が発生する可能性を低減する場合には、自車1の応答遅れを考慮して走行する必要がある。次に、減速時の応答遅れを考慮して車間時間を設定する場合について説明する。例えば、0.8sの車間時間での追従走行制御時に、先行車100が急制動を行った場合には、通信追従走行制御では応答遅れは通信遅れ(0.1s)程度なので、先行車100の減速とほぼ同じタイミングで減速をすることができる。このため、通信追従走行制御では、0.8sの車間時間で追従走行を行っている場合に十分な早さで制動を開始することができる。
【0069】
また、通信追従走行時に通信途絶によって自律追従走行制御を行う場合には、設定車間時間である0.8s以内に先行車100の減速度以上の減速度で減速をすれば、先行車100への追突が発生する可能性を低減できる。自律追従走行制御時には、レーダー12での検出結果に基づいて先行車100の減速度を推定し、0.8s以内に推定した減速度を発生させることにより、追突が発生する可能性を低減できる。
【0070】
また、定常速度での追従走行時には、初期相対速度は0になるが、追いつきや割り込みなどの場合には、初期相対速度が発生する。例えば、先行車100が減速を開始した時点での先行車100の車速が80km/hで、その時点での自車1の車速が100km/hの場合には、初期相対速度は20km/hになる。このように初期相対速度がある場合に、先行車100が急減速した場合でも追突発生の可能性を低減できる制御について説明すると、車両間で発生する応答遅れによる相対速度と初期相対速度との和が、車両間で持っている相対速度マージンと同じになる等価反応時間を定義する。自車1を減速させる際には、この等価反応時間が設定車間時間を越えないように減速度を制御する。
【0071】
図10は、等価反応時間についての説明図である。この等価反応時間について説明すると、等価反応時間は、初期相対速度Vr0に対応する値を加えた際に相対加速度面積S(図8参照)と同じ面積になり、且つ、高さが先行車最大減速度a1_maxになる平行四辺形の底辺の大きさが、等価反応時間xになる。相対加速度面積Sは、先行車最大減速度a1_maxと設定車間時間τとを乗算した値になっているため、これらを式で表すと、下記の式(3)になる。
1_max・x+Vr0=a1_max・τ・・・(3)
【0072】
この式(3)を、等価反応時間xを求める式に変形すると、下記の式(4)になる。
x=τ−(Vr0/a1_max)・・・(4)
【0073】
この式(4)で明らかなように、設定車間時間τから初期相対速度Vr0対応分を引いた時間内に、先行車100と同じ減速度以上の減速度を自車1に発生させることにより、先行車100の減速時に初期相対速度Vr0が発生している場合でも、先行車100への追突が発生する可能性を低減できる。
【0074】
また、この等価反応時間xは、設定車間時間τと比較することにより自車1と先行車100との追突発生の可能性を低減する制御を行うことができる時間となっているため、初期相対速度Vr0が発生していない場合の反応時間tdelayと同様に扱うことができる。即ち、初期相対速度Vr0が発生している場合でも、等価反応時間xに換算することにより、初期相対速度Vr0が発生していない場合と同様に、等価反応時間x=tdelayとして扱い、{tdelay(等価反応時間)≦τ(設定車間時間)}を満たす等価反応時間を導出することにより、追突発生の可能性を低減できる制動制御を行うことができる。
【0075】
また、車両によって制動時における制動応答特性が異なるため、先行車100の減速度以上の減速度を自車1で発生させることができない場合がある。この場合も、応答遅れを等価反応時間に換算して車間時間を設定し、この設定車間時間以内に減速度を発生させる。具体的には、車車間通信装置15によって先行車100と自車1とで制動応答特性を通信し、異なる応答特性の車両間で発生する遅れによる相対速度が同じになるように等価反応時間を算出し、ブレーキ性能や制動時の反応速度、さらに車両の制動時の特性等のブレーキ特性の固体差まで含め、どんな車速や加速度でも、追突が発生する可能性を低減できる減速度を発生させる。
【0076】
図11は、先行車と自車とで減速時の最大ジャークが異なる場合における加速度、相対加速度、相対速度の関係を示す説明図である。先行車100と自車1とで制動応答特性が異なる場合の一例として、経過時間に対する減速度の変化の度合い、即ち減速ジャークが、自車1よりも先行車100の方が大きい場合について説明する。なお、以下の説明では、経過時間に対する減速度の変化が大きい状態を、減速ジャークが大きい、と表現し、経過時間に対する減速度の変化が比較的小さく、変化が緩やかな状態を、減速ジャークが小さい、と表現して説明する。
【0077】
先行車100との間で車車間通信を行い、先行車走行情報取得部45で取得した先行車100の走行情報のうち、先行車100の最大の減速ジャークが自車1の最大の減速ジャークよりも大きい場合、即ち、自車1の最大の減速ジャークが先行車100の最大の減速ジャークよりも小さい場合には、自車加速度111は、先行車加速度110と比較して経過時間に対する減速度の変化が緩やかになる。このため、先行車100の減速の開始後、自車1の反応時間が経過してから自車1が減速した場合における相対加速度115は、自車1の減速が開始される前に先行車100の減速度によって大きくなる相対加速度115の変化の度合いよりも、自車1の減速の開始後に自車1の減速度によって小さくなる相対加速度115の変化の度合いの方が小さくなる。
【0078】
また、このように自車1の減速ジャークが先行車100の減速ジャークよりも小さい場合には、自車加速度111が先行車加速度110に対して反応時間の分遅れて発生する場合における、応答遅れ時間に起因する加速度の差の総量は、先行車加速度110と自車加速度111との傾き部分と、先行車最大減速度a1_max及び減速度の最小値(0)で囲まれる台形の面積Sによって示すことができる。
【0079】
つまり、自車1の減速ジャークは先行車100の減速ジャークよりも小さいため、自車1の減速を開始してから、自車加速度111が先行車最大減速度a1_maxと同じ大きさの減速度になるまでの時間が、先行車100の減速を開始してから、先行車加速度110が先行車最大減速度a1_maxに到達するまでの時間よりも長くなっている。このため、先行車加速度110が先行車最大減速度a1_maxに到達してから、自車加速度111が先行車最大減速度a1_maxと同じ大きさの減速度になるまでの時間は、先行車100の減速開始後、自車1の減速を開始するまでの反応時間よりも長くなっている。
【0080】
従って、反応時間を有して自車1が減速を開始することに起因する加速度の差の総量を示す台形の形状は、反応時間側よりも、先行車加速度110が先行車最大減速度a1_maxに到達してから自車加速度111が先行車最大減速度a1_maxと同じ大きさの減速度になるまでの時間の方が長くなる形状になる。
【0081】
図12は、等価反応時間についての説明図である。自車1の減速ジャークが先行車100の減速ジャークよりも小さい場合における、反応時間を有して自車1が減速を開始することに起因する加速度の差の総量は、図11に示すように台形で表すことができるが、自車1と先行車100の減速ジャークとが同じ場合には、加速度の差の総量は平行四辺形の面積Sで示すことができる。また、このように自車1と先行車100の減速ジャークとが同じ場合には、先行車100の減速時に自車1が先行車100に追突しないようにする場合には、反応時間が設定車間時間未満になるように制御する。
【0082】
このため、自車1の減速ジャークが先行車100の減速ジャークよりも小さい場合に、先行車100の減速時に自車1が先行車100に追突しないようにする際に、同様な考えに基づいて自車1の減速制御を行う場合には、加速度の差の総量を示す台形の面積Sの大きさと同じ大きさで、高さが先行車最大減速度a1_maxになる平行四辺形を、等価平行四辺形140として設定する。さらに、この等価平行四辺形140の底辺を等価反応時間tdelayとし、この等価反応時間tdelayが設定車間時間τ以下になるようにして、自車1の減速制御を行なう。なお、この等価反応時間tdelayは、元の台形の底辺である反応時間よりも長くなっている。
【0083】
つまり、自車1の減速ジャークが先行車100の減速ジャークよりも小さい場合には、双方の車両の加速度の差の総量を示す台形の面積Sと同一面積の等価平行四辺形140を求め、この等価平行四辺形140の底辺を等価反応時間tdelayと設定車間時間τとが(tdelay≦τ)の関係を満たすように、自車1の減速度を調節する。即ち、自車1の減速ジャークが先行車100の減速ジャークよりも小さい場合には、等価反応時間tdelayが設定車間時間τ以内となるように自車1の減速タイミングや設定車間時間を変更することにより、(tdelay≦τ)の関係を満たすように制御する。
【0084】
例えば、自車1の減速ジャークが先行車100の減速ジャークよりも小さい場合に、自車1の減速タイミングを変えることによって(tdelay≦τ)の関係を満たす場合には、先行車100が減速した際の制動開始のタイミングを早めることにより自車1の減速タイミングを早くする。また、自車1の減速ジャークが先行車100の減速ジャークよりも小さい場合に、設定車間時間を変更することによって(tdelay≦τ)の関係を満たす場合には、追従走行制御における自車1と先行車100との車間時間、または車間距離を大きく設定する。これにより、自車1と先行車100とで減速ジャークが異なる場合でも、双方の車両で減速ジャークが同じ場合における減速制御と同じ手法で、先行車100の減速時に自車1の先行車100に対する追突発生の可能性を低減できる減速制御を行うことができる。
【0085】
なお、このように自車1の減速タイミングや車間時間の設定に用いる先行車100の減速ジャークは、車車間通信以外で取得してもよく、例えば、レーダー12で先行車100の走行状態を検出しながら先行車100の後方を継続的に追従走行し、レーダー12での検出結果に基づいて学習によって取得してもよい。また、車車間通信で取得した減速ジャークは、通信追従走行制御時のみでなく、自律追従走行制御時でも使用し、自律追従走行制御時に、車車間通信で取得した減速ジャークを用いて自車1の減速タイミングや車間時間を設定してもよい。
【0086】
また、自車1の減速タイミングや車間時間の設定に用いる先行車100の減速ジャークは、自車1の直前を走行する先行車100のみでなく、さらにその前方を走行する先行車の減速ジャークを用いてもよい。車車間通信を行う場合には、自車1の直前の先行車100のみでなく、所定の範囲の車両の走行情報を取得することができ、また、3台以上の車両が隊列走行をする場合には、直前の先行車のさらに前方を走行する先行車の減速ジャークも自車1の減速に影響するため、自車1の直前の先行車100以外の先行車の減速ジャークを用いて、減速タイミングや車間時間を設定してもよい。また、車車間通信で取得した減速ジャークは、レーダー12による先行車100の走行状態の検出結果や、路面μ等によって適宜補正するのが好ましい。
【0087】
先行車100の減速に合わせて自車1を減速させる場合には、これらのように先行車100の減速度と車間時間とを用いて、上述した各式を満たすことができる自車1の減速度を導出して自車1を減速させることにより、先行車100への追突が発生する可能性を低減できる。次に、追従走行制御時に、先行車100の減速時に上述した条件を用いて先行車100への追突発生の可能性を低減できる制御について、通信追従走行制御と自律追従走行制御とに分けて具体的に説明する。まず、通信追従走行制御では、車車間通信によって先行車100の走行情報を取得して追従走行制御を行うため、先行車100が減速をする際には、先行車100の最大の減速ジャーク等の減速に関する情報も取得する。例えば、先行車100の運転者がブレーキペダルに対して制動操作を行うことによって減速をする場合には、制動操作の情報を先行車走行情報取得部45で取得する。また、先行車100が、さらにその前方の車両に対して追従走行制御を行っている場合など、運転者の運転支援制御を行っている場合には、運転支援制御によって先行車100を減速させる際の減速制御の情報を先行車走行情報取得部45で取得する。また、先行車走行情報取得部45は、先行車100の減速ジャーク情報を取得する減速ジャーク取得手段としても設けられており、先行車100の減速ジャーク情報を取得し、さらに、この減速ジャーク情報より、最大の減速ジャークの情報も取得する。
【0088】
車車間通信を用いて先行車100の減速時における走行情報を先行車走行情報取得部45で取得した通信追従走行制御ECU40は、先行車走行情報取得部45で取得した減速時の情報に基づいて、先行車最大減速度導出部46で先行車100の最大減速度を導出する。先行車最大減速度導出部46で先行車100の最大減速度を導出する場合には、例えば、先行車100の減速時の情報として制動操作の情報を用いる場合には、運転者がブレーキペダルを操作する際における操作量や操作速度に基づいて、この運転者の制動操作によって発生する減速度を導出し、さらに、この制動操作を行った場合における最大減速度を、先行車最大減速度導出部46で導出する。
【0089】
また、先行車100の減速時の情報として運転支援制御によって先行車100を減速させる際の減速制御の情報を用いる場合には、運転支援制御によって指示する減速度の指示に基づいて先行車100の減速度を取得し、さらに、この減速指示を行った場合における最大減速度を、先行車最大減速度導出部46で導出する。先行車最大減速度導出部46で、先行車100の減速時における先行車100の最大減速度を導出したら、自車1の最大の減速ジャークと、先行車100の最大減速度、さらに、先行車走行情報取得部45で取得した先行車100の最大の減速ジャークとより、走行制御ECU20が有する等価反応時間算出部31で、等価反応時間を算出する。また、この等価反応時間と、通信追従走行制御ECU40の先行車最大減速度導出部46で導出した先行車100の最大減速度である先行車最大減速度とは、走行制御ECU20に伝達され、等価反応時間と先行車最大減速度とに基づいて、走行制御ECU20の減速度算出部33で自車1の減速度を算出する。
【0090】
減速度算出部33で自車1の減速度を算出する場合には、減速前の自車1の車速に基づいて設定される車間時間に基づいて算出し、この車間時間が経過する時点で、自車1の減速度が先行車100の減速度と同じ大きさになるように、減速度の変位量、即ち、経過時間に対する減速度の変化の度合いを算出する。この減速度の変化の度合いを算出する場合には、減速度の立ち上がり以降の減速度も含めて制御可能な値として算出する。具体的には、通信追従走行用に予め設定されている設定車間時間τと、先行車最大減速度導出部46で導出した先行車100の最大減速度である先行車最大減速度a1_maxとを用いて、上記式(2)である(Vr_max=τ・a1_max)を減速時相対速度算出部35で演算して、相対速度の最大値Vr_maxを算出する。その際に、先行車100の減速ジャーク性能と自車1の減速ジャーク性能とを比較し、先行車100の減速ジャーク性能が自車1の減速ジャーク性能よりも高い場合は、先行車100の減速ジャークが自車1の減速ジャーク性能よりも低い場合に比べて、走行車100の減速に応じて通信追従走行制御ECU40で自車1を減速させるタイミングを早めた状態で、相対速度の最大値Vr_maxを算出する。
【0091】
このように、自車1を減速させるタイミングを早める場合には、設定車間時間τと等価反応時間算出部31で算出した等価反応時間tdelayとを比較し、自車1の減速ジャーク性能で(等価反応時間tdelay≦設定車間時間τ)の関係を満たすことができるまで減速させるタイミングを早める。これにより、減速度の立ち上がり以降も含めて自車1の減速度を制御可能な値を算出する。つまり、相対速度の最大値Vr_maxは、自車1を減速させる際における減速度を、現在の車速から車間時間が経過する時点で先行車100の減速度と同じ大きさの減速度にするのに必要な減速度の変化量を実現できる値になっている。
【0092】
また、減速度算出部32は、このように通信追従走行制御ECU40が先行車100の減速に応じて自車1を減速させるタイミングを先行車100の減速ジャーク情報に基づいて変化させる減速タイミング制御手段として設けられ、さらに、先行車100の減速ジャーク性能が自車1の減速ジャーク性能よりも高い場合に先行車100の減速ジャーク性能が自車1の減速ジャーク性能よりも低い場合に比べて自車1の減速タイミングを早める減速タイミング早期化手段としても設けられている。この減速度算出部32で、減速ジャーク情報に基づいて、このように減速タイミングを変化させることにより、自車1の減速ジャーク性能と先行車100の減速ジャーク性能とを考慮した減速度を算出する。
【0093】
これに対し、自律追従走行制御を行う場合には、自律追従走行制御ECU60は、前方状態取得部61で取得する先行車100との車間距離に基づいて、先行車100の減速度を導出する。つまり、前方状態取得部61で取得する自車1と先行車100との車間距離の変化の度合いに基づいて、先行車100の減速時における減速度を先行車減速度導出部63で導出する。
【0094】
また、この先行車減速度導出部63では、導出した先行車100の減速度の変化の度合いや車速、そのときの走行環境等に基づいて、先行車100の最大減速度である先行車最大減速度を導出し、さらに、先行車100の最大の減速ジャークも導出する。先行車減速度導出部63で、先行車最大減速度を導出したら、自車1の最大の減速ジャークと、先行車100の最大減速度、さらに、先行車100の最大の減速ジャークとより、走行制御ECU20が有する等価反応時間算出部31で、等価反応時間を算出する。また、この等価反応時間と、自律追従走行制御ECU60の先行車減速度導出部63で導出した先行車最大減速度とは、先行車100の走行情報として走行制御ECU20に伝達され、等価反応時間と先行車最大減速度に基づいて、走行制御ECU20の減速度算出部33で自車1の減速度を算出する。
【0095】
自律追従走行制御時に減速度算出部33で自車1の減速度を算出する場合には、通信追従走行制御時と同様に、減速前の自車1の車速に基づいて設定される車間時間に基づいて算出する。つまり、自律追従走行用に予め設定されている設定車間時間τと、先行車減速度導出部63で導出した先行車100の最大減速度である先行車最大減速度a1_maxとを用いて、上記式(2)である(Vr_max=τ・a1_max)を減速時相対速度算出部35で演算して、相対速度の最大値Vr_maxを算出する。その際に、先行車100の減速ジャーク性能が自車1の減速ジャーク性能よりも高い場合は、先行車100の減速ジャーク性能が自車1の減速ジャーク性能よりも低い場合に比べて、走行車100の減速に応じて自律追従走行制御ECU60で自車1を減速させるタイミングを早めた状態で、相対速度の最大値Vr_maxを算出する。
【0096】
このように、自車1を減速させるタイミングを早める場合には、通信追従走行制御時と同様に、自車1の減速ジャーク性能で(等価反応時間tdelay≦設定車間時間τ)の関係を満たすことができるまで減速させるタイミングを早める。これにより、自車1を減速させる際における減速度を、減速度の立ち上がり以降も含めて制御可能にし、現在の車速から車間時間が経過する時点で先行車100の減速度と同じ大きさの減速度にするのに必要な減速度の変化量を実現できる値である相対速度の最大値Vr_maxを算出する。
【0097】
なお、自車1の減速ジャーク性能で(等価反応時間tdelay≦設定車間時間τ)の関係を満たす場合には、減速タイミング以外で調節してもよい。例えば、車間距離設定部41や車間距離設定部62を、先行車100と自車1との車間時間または車間距離を先行車100の減速ジャークに基づいて変化させる車間制御手段として設け、減速時に(等価反応時間tdelay≦設定車間時間τ)の関係を満たすことができるように、車間時間または車間距離を減速ジャークに基づいて変化させてもよい。詳しくは、車間距離設定部41や車間距離設定部62は、先行車100の減速ジャーク性能が自車1の減速ジャーク性能よりも高い場合は、先行車100の減速ジャーク性能が自車1の減速ジャーク性能よりも低い場合に比べて先行車100と自車1との車間時間または車間距離を増加させる車間関係増加手段として設け、減速時に(等価反応時間tdelay≦設定車間時間τ)の関係を満たすことができるように、車間時間または車間距離を変化させてもよい。
【0098】
また、通信追従走行制御では、車車間通信によって先行車100の走行情報を取得するため、先行車100の減速度や減速開始のタイミングを、より正確に認識することができるが、自律追従走行制御では、自車1と先行車100との車間距離に基づいて先行車100の減速度を導出する。このため、自律追従走行制御で導出する先行車100の減速度は、通信追従走行制御で導出する先行車100の減速度よりも精度が低くなっている。これにより、自律追従走行制御では、実際の先行車100と自車1との相対的な走行状態に最適な自車1の減速制御を、通信追従走行制御と比較して行い難くなっているが、この自律追従走行制御でも、通信追従走行制御時と同様に、極力車間時間が経過する時点を目標として自車1の減速度を算出するのが好ましい。
【0099】
通信追従走行制御や自律追従走行制御で、これらのように先行車100の減速度に基づいて自車1の減速度を導出したら、ブレーキ制御部22では、この導出した減速度を自車1に発生させるために、導出した減速度に応じてブレーキ油圧制御装置8を制御する。その際に、通信追従走行制御と自律追従走行制御とのいずれの場合でも、レーダー12での検出結果の変化の度合いより相対速度算出部34で先行車100との相対速度Vを算出し、この相対速度Vが、減速時相対速度算出部35で算出した相対速度の最大値Vr_max以下になるように減速度を制御する。このため、実際に制動力を調節して自車1に減速度を発生させる場合には、減速度の立ち上がり以降の制御も含めて減速度の制御を行い、減速度のフィードバック制御を行う。これにより、算出した減速度を適切に自車1に発生させる。
【0100】
また、通信追従走行制御中は、通信途絶の判定を行いながら制御をするが、通信途絶時の先行車100への追突が発生する可能性をより確実に低減するために、通信途絶が発生し始めたら、通信途絶判定が確定する前に、通信途絶中にブレーキ制御の準備を開始する。図13は、通信途絶の発生時における制御の説明図である。例えば、0.8sの車間時間で通信追従走行制御を行う場合について説明すると、車間時間が0.8sの場合には、先行車100の減速度と同じ大きさの減速度を自車1で発生させることができる場合には、先行車100の減速開始後、0.8s以内に自車1の減速を開始することにより、先行車100への追突発生の可能性を低減する。つまり、先行車加速度110の立ち上がり後、自車加速度111は、0.8s以内に立ち上げるが、通信追従走行制御に用いる車車間通信では、0.1s程度の通信遅れが発生する。このため、通信追従走行制御時に車車間通信によって自車1で検出することができる先行車加速度110である通信検出先行車加速度130は、先行車加速度110の0.1s後に自車1で検出する。
【0101】
また、先行車100の減速は、レーダー12によっても検出することができ、通信追従走行制御時における通信途絶時には、先行車100の減速はレーダー12で検出するが、先行車100の減速をレーダー12で検出する場合、0.3s程度のレーダー認識遅れが発生する。このため、レーダー12によって自車1で検出することができる先行車加速度110であるレーダー検出先行車加速度131は、先行車加速度110の0.3s後に自車1で検出する。
【0102】
また、ブレーキ油圧制御装置8に制御信号を送信し、ホイールシリンダ等のアクチュエータで実際に制動力を発生させる場合には、0.3s程度の応答遅れが発生する。このため、先行車100の減速開始後の自車1の反応時間が、自車1と先行車100との間に車間時間を設定される設定車間時間以下になるように減速度の制御を行う場合には、遅くとも設定車間時間よりも0.3s前には、自車1に自車加速度111を発生させる自車要求加速度135で減速指示を行う。このため、通信追従走行制御時に先行車100が減速を開始したことを先行車走行情報取得部45で取得した後に、通信が途絶した場合には、設定車間時間の0.3s前、つまり、先行車100の減速開始後0.5sまでは通信の途絶判定を待つ。
【0103】
詳しくは、先行車100の減速開始後に通信が途絶した場合には、レーダー12で先行車100の走行状態を検出できる0.3sが経過するまでは、通信が途絶してもレーダー12での検出結果を用いて自車1の減速制御を行うことができるので、0.3sが経過するまでは通信が復帰するのを待つ。先行車100の減速開始後、0.3sが経過したら、レーダー12での検出結果を用いて自車1の減速制御を行うことができなくなるので、ブレーキ油圧制御装置8で発生させる油圧立ち上げを準備した状態で、通信の途絶判定を待つ。
【0104】
一方、ブレーキ油圧制御装置8で発生させる油圧立ち上げを準備した状態で、先行車100の減速開始後0.5sまでに通信が復帰した場合には、油圧を0にして、通常の通信追従走行制御に戻る。つまり、先行車100が減速を開始し、レーダー認識遅れ後にレーダー12で先行車100の検出が可能になる時間であるtと、自車要求加速度135で減速指示を行う時間であるtとが(t≦t)の関係を満たさない場合において、通信途絶が発生した場合に、通信途絶判定前のブレーキアクチュエータへの要求を開始する。換言すると、通信追従走行制御を行う場合には、先行車100の減速制御の開始時点tから、先行車100の減速制御の開始を走行情報に基づいて自車1が検出するまでの検出遅れ時間であるレーダー認識遅れτsensorと、自車1が減速制御信号を送信した時点から自車1が実際に減速制御を開始するまでの制御応答遅れ時間であるアクチュエータ応答遅れτactと、先行車100と自車1との車間時間である設定車間時間τsetと、の関係が(τsensor+τact≦τset)を満たすことが要件となる。レーダー認識遅れτsensorと、アクチュエータ応答遅れτactと、設定車間時間τsetとが、この要件を満たさない場合に、上記通信途絶時の制御を行う。
【0105】
また、通信途絶判定時間要件は、通信途絶判定時間τcomと、アクチュエータ応答遅れτactと、設定車間時間τsetとの関係が(τcom+τact≦τset)になる通信途絶判定時間τcomとなっている。このため、設定車間時間τsetのアクチュエータ応答遅れτact分前には、減速度指令を開始する。つまり、通信途絶の判定を我慢できるのは、設定車間時間τsetのアクチュエータ応答遅れτact分前までになる。
【0106】
また、通信追従走行制御時における先行車100の減速時に通信途絶判定がされた場合には、先行車100との通信が途絶されている旨を運転者に伝達する。例えば、通信途絶判定時間τcomが経過した時点で警報音を発することにより、通信が途絶している旨を運転者に伝達する。運転者は、この警報を聞いてから所定時間経過後に、ブレーキ操作を行う。つまり、運転者は警報を聞いてから運転者自身の反応遅れにより、通信の途絶が判定されてから運転者ブレーキ操作遅れτdriverの経過後にブレーキ操作をする。
【0107】
これらのように、通信追従走行制御中に通信が途絶した場合でも、自車1の減速度が立ち上がるまでの領域Aでは、等価反応時間tdelayと設定車間時間τとが(tdelay≦τ)の関係を満たすように、設定車間時間τsetからアクチュエータ応答遅れτact分早く、先行車100以上の減速度を指令開始する。また、自車1の減速度が立ち上がった後の領域Bでは、相対速度Vと、設定車間時間τと、先行車最大減速度a1_maxとが(V≦Vr_max=τ・a1_max)の関係を満たすように、自車1の減速度の立ち上がり以降もレーダー12での検出結果に基づいて、適切なフィードバック制御を行う。
【0108】
また、通信追従走行制御中、または自律追従走行制御中に、先行車100と自車1との間に他の車両が割り込んだ場合には、この車両1と自車との車間時間は、通信追従走行制御や自律追従走行制御で設定されている車間時間とは異なる車間時間になる。この場合は、レーダー12で、この車両を検出し、検出結果に基づいて車間時間を設定する。
【0109】
つまり、通信追従走行制御中と自律追従走行制御中とのいずれの場合においても、追従走行制御中はレーダー12で自車1の前方の状態を検出し、検出結果を自律追従走行制御ECU60が有する前方状態取得部61で取得しながら追従走行制御を行っているが、追従走行制御中に先行車100と自車1との車間距離よりも近い位置に、自車1との相対速度があまり大きくない障害物が現れた場合には、この障害物を他の車両として判断する。この場合、この車両を先行車100として判断し、レーダー12での検出結果に基づいて前方状態取得部61で、この新たな先行車100との車間距離を取得し、前方状態取得部61で取得した車間距離と車速取得部25で取得した現在の車速とに基づいて、車間時間検出部30で車間時間を検出する。
【0110】
通信追従走行制御中や自律追従走行制御中に、自車1の前方に他の車両が割り込むことにより新たな先行車100が現れた場合には、このように車間時間検出部30で検出した車間時間に基づいて追従走行制御を行う。このため、この新たな先行車100が減速した場合には、車間時間検出部30で検出した車間時間が経過するまでに、先行車100との減速度と同じ大きさの減速度を自車1に発生させる。
【0111】
また、先行車100と自車1とで制動応答特性が異なり、先行車100の減速時における最大の減速ジャークを自車1で発生することができない場合には、車間距離を大きくすることにより車間時間を大きくし、等価反応時間が車間時間よりも小さくなるようにする。
【0112】
図14は、等価反応時間を用いて制動制御を行う場合におけるフロー図である。次に、自車1と先行車100とで制動応答特性が異なる場合において先行車100が減速をした際に、等価反応時間を用いて自車1を減速させる制御を行う場合の処理手順について説明する。等価反応時間を用いて制動制御を行う場合には、まず、先行車100の走行情報を取得する(ステップST101)。この走行情報の取得は、通信追従走行制御ECU40が有する先行車走行情報取得部45で行う。先行車走行情報取得部45は、車車間通信装置15が先行車100との間で車車間通信を行い、この通信によって先行車100からのデータを受信した車車間通信装置15より、先行車100の走行情報を取得する。先行車走行情報取得部45で取得する走行情報としては、例えば、先行車100の車速や加速度、減速時における最大ジャーク等を取得する。
【0113】
次に、自車1の最大ジャーク、想定最大減速度から等価反応時間を算出する(ステップST102)。この等価反応時間の算出は、走行制御ECU20が有する等価反応時間算出部31で行う。等価反応時間算出部31で等価反応時間を算出する際に用いる自車1の最大ジャーク、つまり、最大となる減速ジャークは、現在走行をしている道路の摩擦μに基づいて推定する。この摩擦μは、車両1の走行時に駆動力や制動力を道路に伝達した場合における実際の加速度や減速度に基づいて、予め推定しておく。また、想定最大減速度は、通信追従走行制御ECU40が有する先行車最大減速度導出部46で、先行車走行情報取得部45で取得した先行車100の走行情報より、先行車100の減速時における先行車100の最大減速度を導出する。等価反応時間算出部31は、自車1の最大の減速ジャークと、先行車100の最大減速度、さらに、先行車走行情報取得部45で取得した先行車100の最大の減速ジャークとより、まず、先行車100の減速に対して反応時間を有して自車1が減速を開始することに起因する加速度の差の総量を示す台形の面積Sを求める。また、この台形の面積Sと同じ大きさで、且つ、高さが先行車の最大減速度になる平行四辺形を導出する。等価反応時間算出部31は、この平行四辺形の底辺の長さを等価反応時間として算出する。
【0114】
次に、等価反応時間<現在車間時間となるように先行車100以上の減速度が出せるか否かを判定する(ステップST103)。この判定は、走行制御ECU20が有する減速度判定部32で行う。つまり、通信追従走行制御で用いる車車間通信が途絶した場合におけるレーダー12の認識遅れや、減速に用いるアクチュエータの応答遅れ等を考慮した上で、等価反応時間を現在の車間時間未満にして先行車100の減速度以上の減速度を発生させることができるか否かを減速度判定部32で判定する。
【0115】
減速度判定部32での判定(ステップST103)により、等価反応時間<現在車間時間となるように先行車100以上の減速度が出せると判定した場合には、通信途絶後、等価反応時間以内に先行車100以上の減速度を発生させる(ステップST104)。これにより、通信が途絶した場合でも先行車100への追突が発生する可能性を低減できる減速度を発生する。
【0116】
これに対し、減速度判定部32での判定(ステップST103)により、等価反応時間<現在車間時間となるように先行車100以上の減速度を出すことができないと判定した場合には、車間を広げる(ステップST105)。つまり、この場合は、先行車100と自車1との車間距離を大きくすることにより、車間時間を等価反応時間よりも大きくする。これにより、先行車100の減速開始後、車間時間が経過するまでに先行車100の減速度以上の減速度を自車1で発生させることができるようにする。
【0117】
以上の車両制御装置2は、先行車100が減速した際の自車1の減速タイミングを、取得した先行車100の走行情報における先行車100の減速ジャークに基づいて変化させるため、追従走行制御時に先行車100の制動応答特性が自車1の制動応答特性よりも高い場合でも、その差を考慮した自車1の減速を行うことができる。この結果、先行車100と自車1との相対的な制動応答特性の差異に関わらず、追従走行制御時に適切に自車1を減速させることができる。
【0118】
また、先行車100の減速ジャークの性能が高い場合には、先行車100の減速ジャークの性能が低い場合に比べて、先行車100の減速時に自車1の減速開始のタイミングを早めるので、先行車100の制動応答特性が相対的に高い事に起因して、先行車100の減速時に自車1が先行車100に近付き過ぎることを抑制することができる。この結果、先行車100と自車1との相対的な制動応答特性の差異に関わらず、追従走行制御時に適切に自車1を減速させることができる。
【0119】
また、先行車100の走行情報は、自車1と先行車100との間で車車間通信を行うことにより取得することができるので、先行車100の減速ジャークを、精度よく自車1で取得することができる。従って、先行車100の減速ジャークに応じて自車1の減速タイミングを変えたり、自車1と先行車100との車間時間や車間距離を変えたりする場合でも、精度よく所望の制御が可能になるように変えることができる。この結果、より確実に、先行車100と自車1との相対的な制動応答特性の差異に関わらず、追従走行制御時に適切に自車1を減速させることができる。
【0120】
また、追従走行制御時における自車1と先行車100との車間時間または車間距離を、取得した先行車100の走行情報における先行車100の減速ジャークに基づいて変えた場合も、先行車100の制動応答特性が自車1の制動応答特性よりも高い場合に、その差を考慮した自車1の減速を実現することができる。この結果、先行車100と自車1との相対的な制動応答特性の差異に関わらず、追従走行制御時に適切に自車1を減速させることができる。
【0121】
また、先行車100の減速ジャークの性能が高い場合には、先行車100の減速ジャークの性能が低い場合に比べて、追従走行時の自車1と先行車100との車間時間または車間距離を大きくするので、先行車100の制動応答特性が相対的に高い事に起因して、先行車100の減速時に自車1が先行車100に近付き過ぎることを抑制することができる。この結果、先行車100と自車1との相対的な制動応答特性の差異に関わらず、追従走行制御時に適切に自車1を減速させることができる。
【0122】
また、これらのように、相対的な制動応答特性の差異に関わらず適切に自車1を減速させることにより、自車1が先行車100の後方を追従走行している場合に、先行車100の制動応答特性が高く、この先行車100が減速した場合でも、自車1の先行車100に対する追突が発生する可能性を低減できる。この結果、追従走行制御を行う際における安全性を、より確実に向上させることができる。
【0123】
なお、上述した実施形態に係る車両制御装置2における各数値は、車両制御装置2、或いは追従走行制御時の一例を示したものであるため、車両制御装置2や追従走行制御時における各数値は、上述したものに限られない。
【0124】
また、上述した実施形態に係る車両制御装置2では、先行車100への追従走行制御を行っている場合に、先行車100の減速時における自車1の減速度が、車間時間が経過するまでに先行車100の減速度と同じ大きさの減速度になるように制御を行うが、車両1には、他の装置を備えて減速制御を行なってもよい。車両1には、例えば、実施形態に係る車両制御装置2の他に、通常の走行時に先行車100に追突しそうな場合に、運転者に対して警告したりブレーキをかけたりする装置であるプリクラッシュセーフティ(PCS)装置が備えられていてもよい。この場合、通信追従走行制御ECU40や自律追従走行制御ECU60とは別に、PCS制御を行うPCS制御部としてPCSECU(図示省略)を設け、レーダー12での検出結果よりPCS制御を行うとPCSECUで判断した場合には、ブレーキ油圧制御装置8を制御して減速度を自車1に発生させる。これにより、PCS制御時でも、極力先行車100への追突発生の可能性を低減することができる。
【0125】
つまり、実施形態に係る車両制御装置2では、先行車100の走行情報を積極的に取得し、先行車100の減速度に応じて自車1の減速度が大きくなり過ぎないように適切な減速を行うが、PCS装置では、先行車100への追突が発生する可能性がある場合に、この可能性を低減するように自車1を減速させる。このように、実施形態に係る車両制御装置2とPCS装置とを備えることにより、走行時の状況に応じて異なる減速制御を行うことができ、より適切に走行状況に応じた減速を行うことができる。また、このようにPCS装置を設けることにより、追従走行時のみでなく、追従走行を行わない通常の走行時でも、PCS装置によって先行車100への追突が発生する可能性を低減することができる。
【0126】
また、PCS装置によるPCS制御は、追従走行制御と併用して行ってもよく、追従走行制御時における先行車100の通常の減速時には車両制御装置2で減速制御を行い、先行車100が急激な減速を行うことにより先行車100に追突しそうになった場合には、PCS装置で減速制御を行ってもよい。これにより、追従走行制御における先行車100への追突が発生する可能性を、より確実に低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上のように、本発明に係る車両制御装置は、先行車への追従走行制御を行う車両に有用であり、特に、先行車との間で車車間通信を行なう場合に適している。
【符号の説明】
【0128】
1 車両(自車)
2 車両制御装置
12 レーダー
15 車車間通信装置
20 走行制御ECU
22 ブレーキ制御部
28 走行モード切替部
30 車間時間検出部
31 等価反応時間算出部
32 減速度判定部
33 減速度算出部
34 相対速度算出部
35 減速時相対速度算出部
40 通信追従走行制御ECU
41 車間距離設定部
45 先行車走行情報取得部
46 先行車最大減速度導出部
51 通信途絶判定部
60 自律追従走行制御ECU
61 前方状態取得部
62 車間距離設定部
63 先行車減速度導出部
100 先行車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車前方を走行する先行車の走行情報を取得し、取得した走行情報に基づいて自車の走行状態を制御する追従走行制御手段と、
前記先行車の減速ジャーク情報を取得する減速ジャーク取得手段と、
前記追従走行制御手段が前記先行車の減速に応じて前記自車を減速させるタイミングを前記先行車の減速ジャーク情報に基づいて変化させる減速タイミング制御手段と、
を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
自車前方を走行する先行車の走行情報を取得し、取得した走行情報に基づいて自車の走行状態を制御する追従走行制御手段と、
前記先行車の減速ジャーク情報を取得する減速ジャーク情報取得手段と、
前記先行車の減速ジャーク性能が自車の減速ジャーク性能よりも高い場合は、前記先行車の減速ジャーク性能が前記自車の減速ジャーク性能よりも低い場合に比べて、前記走行車の減速に応じて前記追従走行制御手段で前記自車を減速させるタイミングを早める減速タイミング早期化手段と、
を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項3】
自車前方を走行する先行車の減速ジャーク情報を取得する減速ジャーク取得手段と、
前記先行車と前記自車との車間時間または車間距離を前記先行車の減速ジャークに基づいて変化させる車間制御手段と、
を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項4】
自車前方の先行車の減速ジャーク情報を取得する減速ジャーク情報取得手段と、
前記先行車の減速ジャーク性能が自車の減速ジャーク性能よりも高い場合は、前記先行車の減速ジャーク性能が自車の減速ジャーク性能よりも低い場合に比べて前記先行車と前記自車との車間時間または車間距離を増加する車間関係増加手段と、
を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項5】
前記減速ジャーク情報取得手段は、車車間通信によって前記先行車の減速ジャーク情報を取得することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−35817(P2012−35817A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180450(P2010−180450)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】