車両周辺画像表示システム
【課題】障害物が検出された場合に検出された障害物と車両とを含む俯瞰画像を表示する車両周辺画像表示システムに関するものである。
【解決手段】車両2において駐車操作が行われていると判定された場合に、後方カメラ3で撮像したカメラ画像から車両2の上方から車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成し、特にクリアランスソナー7〜9によって車両2の所定距離内(例えば150cm以内)に障害物を検出した場合には、検出された障害物と車両2とを含むトリミング範囲でトリミングした俯瞰画像を液晶ディスプレイ5に表示するように構成する。
【解決手段】車両2において駐車操作が行われていると判定された場合に、後方カメラ3で撮像したカメラ画像から車両2の上方から車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成し、特にクリアランスソナー7〜9によって車両2の所定距離内(例えば150cm以内)に障害物を検出した場合には、検出された障害物と車両2とを含むトリミング範囲でトリミングした俯瞰画像を液晶ディスプレイ5に表示するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両上方から車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を表示する車両周辺画像表示システムに関し、特に、障害物が検出された場合に検出された障害物と車両とを含む俯瞰画像を表示する車両周辺画像表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーションシステムの普及にともなって、車両の周辺の状況を車室内の表示装置に表示する画像表示システムを搭載する車両が増加している。車両の周辺の状況としては、例えば、他車の位置、障害物の状況、センターラインや停止線等の道路標示等があるが、車両の後方や、前方のバンパー下及びコーナー部等の死角は通常運転者からは認識することが困難となっている。従って、画像表示システムはこれらの死角における周辺の状況を、車両に設置したカメラ等の撮像装置によって撮像し、車両を右折、左折又はバック等をさせる際に表示装置に表示することにより、運転者の補助を行うものである。
このような表示システムは、車両運転時に運転者の負担の軽減を図るものであり、運転中に運転者が取得することが必要な情報の多さに鑑みると、視認性に優れ、違和感なく一見して運転者が必要な情報を取得できる画像を取得できる画像を表示することが望ましい。
【0003】
そこで、従来より車両周辺をカメラによって撮像し、撮像した画像に基づいて車両上方から車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成して表示を行う技術について知られている。例えば、特開2003−115100号公報では、駐車を行う際に駐車を行う自車周辺の俯瞰画像を表示するとともに、更に自車の移動に伴って自動的に俯瞰画像の表示範囲や縮尺を変更する画像表示システムについて記載されている。このような技術によれば、利用者は車両周辺の様子と共に車両と周辺にある地物や障害物との関係を、俯瞰画像より直感的に把握することができる。
【特許文献1】特開2003−115100号公報(第3頁〜第5頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された画像表示システムでは、特に縮尺が拡大された状況では、利用者は自車周囲の限られた範囲のみしか視認することができなかった。従って、自車の近傍に人や自転車等の障害物が接近したとしても運転者からは障害物の姿が確認できない為に、障害物と接触するまで又は極めて近い距離に接近するまで運転者が障害物の存在に気付かないことが多く、接触の可能性が高くなっていた。
一方で、縮尺を小さくして広範囲の俯瞰画像のみを表示することとすると、俯瞰画像から正確な自車の位置や方向が把握し難くなり、運転操作が困難となる。
【0005】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、車両周囲に位置する障害物を考慮して、適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することが可能となり、利用者に正確な周辺環境を容易に把握させることを可能とした車両周辺画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車両周辺画像表示システム(1)は、車両の周辺を撮像する撮像手段(3)と、前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段(4)と、画像表示手段(5)と、前記俯瞰画像生成手段によって生成された俯瞰画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段(4)と、を有する車両周辺画像表示システムにおいて、車両周辺の障害物を検出する障害物検出手段(7〜9)を有し、前記表示制御手段は前記障害物検出手段によって障害物が検出された場合に、検出された障害物と車両とを含む前記俯瞰画像を前記画像表示手段に表示することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る車両周辺画像表示システム(1)は、請求項1に記載の車両周辺画像表示システムにおいて、前記表示制御手段(4)は検出された障害物と車両とが前記画像表示手段(5)に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲で俯瞰画像を表示することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る車両周辺画像表示システム(1)は、請求項1又は請求項2に記載の車両周辺画像表示システムにおいて、駐車操作が行われたか否かを判定する駐車判定手段(4)を有し、前記表示制御手段(4)は前記駐車判定手段により駐車操作が行われたと判定された場合に前記画像表示手段(5)に対して俯瞰画像を表示することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る車両周辺画像表示システム(1)は、車両の周辺を撮像する撮像手段(3)と、前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段(4)と、画像表示手段(5)と、前記俯瞰画像生成手段によって生成された俯瞰画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段(4)と、を有する車両周辺画像表示システムにおいて、駐車操作が行われたか否かを判定する駐車判定手段(4)と、車両が駐車を行う駐車スペースを検出する駐車スペース検出手段(4)と、車両が前記駐車スペースに進入したか否かを判定する進入判定手段(4)と、車両周辺の障害物を検出する障害物検出手段(7〜9)と、を有し、前記表示制御手段は前記駐車判定手段により駐車操作が行われたと判定された場合に前記画像表示手段に対して第1の範囲の前記俯瞰画像を表示し、前記進入判定手段により車両が前記駐車スペースに進入したと判定された場合に前記第1の範囲より狭い第2の範囲の俯瞰画像を表示し、前記障害物検出手段により障害物が検出された場合に検出された障害物と車両とを含む第3の範囲の俯瞰画像を表示することを特徴とする。
尚、「第2の範囲」と「第3の範囲」は同一の範囲であっても良い。
【0010】
更に、請求項5に係る車両周辺画像表示システム(1)は、請求項4に記載の車両周辺画像表示システムにおいて、前記第3の範囲は検出された障害物と車両とが前記画像表示手段(5)に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1の車両周辺画像表示システムでは、撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成し、障害物が検出された場合に、検出された障害物と車両とを含む俯瞰画像を画像表示手段に表示するので、車両周囲に位置する障害物を考慮して、適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することが可能となる。従って、利用者に正確な周辺環境を容易に把握させることができる。
【0012】
また、請求項2の車両周辺画像表示システムでは、検出された障害物と車両とが画像表示手段に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲で俯瞰画像を表示するので、拡大された俯瞰画像から正確な自車の位置や方向が把握することができるとともに、車両の周囲に位置する障害物を確認することが可能となる。
【0013】
また、請求項3の車両周辺画像表示システムでは、駐車操作が行われたと判定された場合に画像表示手段に対して俯瞰画像を表示するので、利用者にとって周囲環境の情報が特に必要な駐車操作時において、車両周囲に位置する障害物を考慮して、適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することができる。従って、利用者は駐車操作を容易に行うことが可能となる。
【0014】
また、請求項4の車両周辺画像表示システムでは、撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成し、駐車操作が行われたと判定された場合に画像表示手段に対して第1の範囲の俯瞰画像を表示し、車両が駐車スペースに進入したと判定された場合に第1の範囲より狭い第2の範囲の俯瞰画像を表示し、障害物が検出された場合に検出された障害物と車両とを含む第3の範囲の俯瞰画像を表示するので、現在の車両の状況に合わせた見易い範囲のみで俯瞰画像を表示することが可能となる。また、車両の周囲に障害物が位置する場合には、障害物を考慮した適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することが可能となる。従って、利用者に正確な周辺環境を容易に把握させることができる。
【0015】
更に、請求項5の車両周辺画像表示システムでは、検出された障害物と車両とが画像表示手段に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲で俯瞰画像を表示するので、拡大された俯瞰画像から正確な自車の位置や方向が把握することができるとともに、車両の周囲に位置する障害物を確認することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る車両周辺画像表示システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1の概略構成図である。図2は本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1の制御系を模式的に示すブロック図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1は、車両2に対して設置された後方カメラ(撮像手段)3と、画像表示ECU(俯瞰画像生成手段、表示制御手段、駐車判定手段、駐車スペース検出手段、進入判定手段)4と、液晶ディスプレイ(画像表示手段)5と、スピーカ6と、画像表示ECU4に接続されたクリアランスソナー7〜9や車速センサ10、ステアリングセンサ11、ジャイロセンサ12、シフトポジションセンサ13等の各種センサで構成されている。
【0018】
後方カメラ3は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたものであり、車両2の後方に装着されたナンバープレートの上中央付近に取り付けられ、視線方向を水平より45度下方に向けて設置される。そして、後退時に車両2の進行方向となる車両後方を撮像し、その撮像された画像(図10参照)は後述のように画像表示ECU4によって車両2上方より車両2周辺を俯瞰した俯瞰画像(図11参照)に変換されて液晶ディスプレイ5に表示される。
【0019】
また、画像表示ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)4は、駐車操作が行われた際に後方カメラ3により撮像した画像から車両2上方より車両2周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する処理や、駐車スペースに進入した場合や障害物を検出した場合に液晶ディスプレイ5に表示する俯瞰画像のトリミング範囲を変更する処理や、後退時の車両2の予測進路を推定して、その軌跡を俯瞰画像に重畳して表示する処理等を行う電子制御ユニットである。尚、画像表示ECU4はナビゲーション装置の制御に使用するECUと兼用してもよい。また、画像表示ECU4の詳細な構成については後述する。
【0020】
液晶ディスプレイ5は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、後退を行う時において車両2の周辺の俯瞰画像を表示する。尚、液晶ディスプレイ5はナビゲーション装置に使用するものと兼用してもよい。
【0021】
また、スピーカ6は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、運転支援に関する案内音声や警告音等を出力する。
【0022】
また、クリアランスソナー7〜9は、車両2の後方バンパの左角、中央、右角の計3箇所にそれぞれ取り付けられており、音波送信部と音波受信部とから基本的に構成されている。そして、音波送信部から車両2の左右の斜め後方及び後方の3方向に対して超音波を放射するとともに対象物(具体的には駐車車両、自転車、歩行者等)によって反射された反射波を音波受信部で受信する。その結果、受信した反射波の強度や波長に基づいて車両2の周囲に位置する障害物までの距離を検出することが可能となる。
【0023】
また、車速センサ10は、車両の車輪の回転に応じて車速パルスを発生させ、車両の移動距離や車速を検出するセンサである。ステアリングセンサ11は、ステアリング装置の内部に取り付けられており、ステアリングホイールを転舵した場合の舵角を検出するセンサである。ジャイロセンサ12は車両2の旋回角を検出するセンサである。また、シフトポジションセンサ13は、シフトレバー(図示せず)に内蔵され、シフト位置が「P(パーキング)」、「N(ニュートラル)」、「R(リバース)」、「D(ドライブ)」、「2(2速)」、「L(ロー)」のいずれの位置となっているかを検出する。
その結果、画像表示ECU4は車速センサ10の出力信号に基づいて車両2の現在の車速を検出し、ステアリングセンサ11の出力信号に基づいて車両2の舵角を検出する。また、ジャイロセンサ12によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出する。更に、シフトポジションセンサ13によって車両2の現在のシフト位置を検出する。
【0024】
次に、画像表示ECU4の詳細について図2を用いて説明すると、画像表示ECU4はCPU31を核として構成されており、CPU31には記憶手段であるROM32及びRAM33が接続されている。そして、ROM32には駐車操作時において後方カメラ3で撮像した画像から俯瞰画像を生成し、現在の状況に応じた適当な範囲で液晶ディスプレイ5に対して生成した俯瞰画像を表示する駐車画像表示制御処理プログラム(図3〜図8参照)、その他、液晶ディスプレイ5等の制御上必要な各種のプログラム等が格納されている。また、RAM33はCPU31で演算された各種データを一時的に記憶しておくメモリである。
更に、ROM32には、例えば車両2の車輪の半径、車幅、最小旋回半径、後方カメラ3の光軸方向(本実施形態では下方45度)や車両2に対する後方カメラ3の設置位置等の各種パラメータについて記憶されている。そして、CPU31は後述するように記憶された各種パラメータ情報を用いることによって後方カメラ3で撮像された画像から後退時における車両2の予測進路の推定を行う。
また、RAM33には後述する各種のフラグ(“STT”、“FLGM”)や変数(“NSW”、“STR”、“ΔDM”、“Δd”、“Dx”)が格納される。更に、液晶ディスプレイ5に表示する表示画像等を一時的に格納する。尚、表示画像を格納するV−RAMをRAMとは別に設けるようにしても良い。
【0025】
続いて、前記構成を有する本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1の画像表示ECU4が実行する駐車画像表示制御処理プログラムについて図3に基づき説明する。図3は本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1における駐車画像表示制御処理プログラムのフローチャートである。ここで、駐車画像表示制御処理プログラムは、駐車操作時において後方カメラ3で撮像した画像から俯瞰画像を生成し、現在の状況に応じた適当な範囲で液晶ディスプレイ5に対して生成した俯瞰画像を表示する処理を行うプログラムである。尚、以下の図3乃至図8にフローチャートで示されるプログラムは画像表示ECU4が備えているROM32やRAM33に記憶されており、CPU31により所定間隔(例えば200ms毎)で繰り返し実行される。
【0026】
駐車画像表示制御処理プログラムでは、先ずステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU31は駐車操作が行われているか否かの判定に基づいて液晶ディスプレイ5の表示画面の切り替えを行う後述のシステム起動管理処理(図4)を行う。
【0027】
次に、S2においてCPU31は、クリアランスソナー7〜9や車速センサ10、ステアリングセンサ11等の各種センサからの信号の入力を行う後述の車両信号入力処理(図5)を行う。
【0028】
続いて、S3においてCPU31は、後方カメラ3で撮像した画像に基づいて自車の上方より自車周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する後述の画像合成処理(図7)を行う。
【0029】
そして、S4においてCPU31は、前記S3で生成された俯瞰画像を現在の状況に応じた適当なトリミング範囲で液晶ディスプレイ5に対して表示する後述の画像表示処理(図8)を行う。尚、上記S4の処理が表示制御手段の処理に相当する。
【0030】
次に、前記S1でCPU31が実行するシステム起動管理処理のサブ処理プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係るシステム起動管理処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0031】
システム起動管理処理では、先ずS11でCPU31はシフトポジションセンサ13からシフト位置を特定するシフトポジションセンサ信号“NSW”を入力する。そして、S12でCPU31はNSW=R(リバース)であるか否か、即ち、シフト位置を「R」として駐車操作を行っているか否かを判定する。尚、上記S11の処理が駐車判定手段の処理に相当する。
【0032】
その結果、NSW=Rであると判定された場合(S12:YES)には、更に車両周辺画像表示システム1が起動中であることを示すフラグ“STT”がONとなっているか否かを判定する(S13)。
そして、STT=ONであると判定された場合(S13:YES)には、既に車両周辺画像表示システム1が起動中であるので、システム起動管理処理を終了し、S2の車両信号入力処理へと移行する。
【0033】
一方、STT=OFFであると判定された場合(S13:NO)には、現在の液晶ディスプレイ5に表示される表示画面を通常画面から駐車案内画面へと切り換える(S14)。ここで、通常画面とは例えばナビゲーション装置による地図画像や経路情報等を表示した画面が該当する。また、駐車案内画面とは後述するように駐車を行う自車の上方から自車周辺を俯瞰した俯瞰画像(図11〜図16参照)を所定の範囲で表示した画面が該当する。
【0034】
次に、S15ではCPU31は、車両周辺画像表示システムを起動させたことに基づいてフラグ“STT”をONする。更に、S16では単位時間当りに車両がバックで進んだ距離を示す変数“ΔDM”を初期化(0を代入)する。その後、S2の車両信号入力処理へと移行する。
【0035】
一方、前記S12の判定処理において、NSW≠Rであると判定された場合(S12:NO)には、更にフラグ“STT”がONとなっているか否かを判定する(S17)。
そして、STT=OFFであると判定された場合(S17:NO)には、車両周辺画像表示システム1の起動を行うことなく処理を終了する。
【0036】
一方、STT=ONであると判定された場合(S17:YES)には、現在の液晶ディスプレイ5に表示される表示画面を駐車案内画面から通常画面へと切り換える(S18)。次に、S19ではCPU31は、車両周辺画像表示システム1を終了させることに基づいてフラグ“STT”をOFFとする。そして、S20では各種変数(“NSW”、“STR”、“ΔDM”、“Δd”、“Dx”)を初期化する。
【0037】
次に、前記S2でCPU31が実行する車両信号入力処理のサブ処理プログラムについて図5に基づき説明する。図5は本実施形態に係る車両信号入力処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0038】
車両信号入力処理では、先ずS31でCPU31はステアリングセンサ11からステアリングの舵角を特定するステアリングセンサ信号“STR”を入力する。そして、S32でCPU31は車速センサ10から出力された車速パルス信号“Vp”をカウントし、単位時間当りに自車がバックで進んだ移動距離“Δd”を算出する。
【0039】
続いて、S33でCPU31は、システム起動以降に自車がバックで進んだトータルの距離“ΔDM”に対して前記S32に算出されたΔdを加算することにより、ΔDMの値を更新する。その後、S34では自車の周囲に位置する障害物を検出する後述のクリアランスソナー信号入力処理(図6)が行われ、画像合成処理(S3)へと移行する。
【0040】
次に、前記S34でCPU31が実行するクリアランスソナー信号入力処理のサブ処理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係るクリアランスソナー信号入力処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0041】
クリアランスソナー信号入力処理では、先ずS41でCPU31はクリアランスソナー7〜9から障害物までの距離[cm]を特定するソナー信号“CSDn(n=1、2、3)”を入力する。ここで、図9に示すように本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1では、クリアランスソナー7は車両2の左後方へと超音波を送出し、ソナー信号CSD1を得る。また、クリアランスソナー8は車両2の後方へと超音波を送出し、ソナー信号CSD2を得る。更に、クリアランスソナー9は車両2の右後方へと超音波を送出し、ソナー信号CSD3を得る。
【0042】
そして、S42でCPU31は、前記S41で入力されたソナー信号を150で割り、その値を超えない最大の整数に1を加えた値を“CSDnP(クリアランスソナー7からの信号に基づく値がCSD1P、クリアランスソナー8からの信号に基づく値がCSD2P、クリアランスソナー9からの信号に基づく値がCSD3P)”として算出する。
【0043】
そして、S43でCPU31は、前記S42で算出されたCSDnPについて、2<CSDnP≦3が成立するか否か、即ち、自車から検出した障害物までの距離が150cmより遠く300cm以下であるか否か判定される。その結果、2<CSDnP≦3が成立すると判定された場合(S43:YES)には、障害物までの距離を示す障害物距離フラグ“DAn”に「2」を代入する(S44)。
【0044】
一方、前記S42で算出されたCSDnPについて、2<CSDnP≦3が成立しないと判定された場合(S43:NO)には、更に、S45において3<CSDnPが成立するか否か、即ち、自車から検出した障害物までの距離が300cmより遠いか若しくは検出することができなかったかが判定される。その結果、3<CSDnPが成立すると判定された場合(S45:YES)には、障害物距離フラグである“DAn”に「0」を代入する(S46)。
【0045】
それに対して、前記S42で算出されたCSDnPについて、3<CSDnPも成立しないと判定された場合(S45:NO)には、CSDnP=1が成立することとなる。即ち、自車から検出した障害物までの距離が150cmより近いこととなり、障害物距離フラグである“DAn”にCSDnPの値(即ち「1」)を代入する(S47)。
【0046】
その後、S48ではn=3であるか否か、即ち全てのクリアランスソナー7〜9について上記のS41〜S47の処理が行われたか否かが判定される。
【0047】
その結果、n≠3であると判定された場合(S48:NO)にはnの値に1を加算(S49)した後にS41へと戻り、残りのクリアランスソナー7〜9についてDAnを特定する処理を行う。一方、n=3であると判定された場合(S48:YES)にはS50へと移行し、nの値を初期化する。その後、S3の画像合成処理へと移行する
【0048】
次に、前記S3でCPU31が実行する画像合成処理のサブ処理プログラムについて図7に基づき説明する。図7は本実施形態に係る画像合成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0049】
画像合成処理では、先ずS51でCPU31は後方カメラ3で撮像した自車の後方環境のカメラ画像を取得する。その後、S52でCPU31は前記S51で取得したカメラ画像について画像外縁付近に発生する歪みを補正する歪み補正計算処理を行う。
【0050】
続いて、S53でCPU31は、前記S52で歪みを補正したカメラ画像に対して、所定の俯瞰変換処理を施すことにより、上方の視点から垂直下方に見下ろした俯瞰画像を現在画像IM−prとして生成する。尚、撮像した画像の視点変換を行う俯瞰変換処理は既に公知(例えば、特開平10−211849号公報参照)の技術であるので、ここではその説明は省略する。
【0051】
更に、S54では前記S53で生成した現在画像IM−prに対して、システムが起動してからのトータルの走行距離を特定する距離インデックスΔDMを添付し(S54)、ΔDMが添付された現在画像IM−prをメモリ(例えば、RAM33)へ書き込む(S55)。
【0052】
次に、S56でCPU31は現在位置に対して読み出すべき過去画像のインデックスINDを算出する。具体的には、システムが起動してからの走行距離ΔDMに対してDx(現在位置に対して読み出すべき過去画像のインデックスを計算する為の定数(固定値))を引いた値をINDとして算出する。
【0053】
そして、S57でCPU31は前記S56で算出されたINDの値に基づいて、該当する過去画像IM−indをメモリから読み出す。更に、S58においてCPU31は、前記S57で読み出された過去画像IM−indを前記S31で入力されたステアリングセンサ信号に基づいて回転変換する回転変換処理を行い、IM−rotを生成する。具体的には、自車が旋回している場合に、その旋回角度に従って俯瞰画像を補正する処理である。
【0054】
続いて、S59でCPU31は、前記S53で生成された現在画像IM−prと、S58で生成された回転変換後の過去画像IM−rotとを合成し、合成俯瞰画像IM−dspを生成する。それによって、自車上方から自車周辺を撮像した俯瞰画像が生成される。
例えば、図10は後方カメラ3によって撮像されたカメラ画像40を示した図であり、図11は図10に示すカメラ画像40を撮像した時点において自車の液晶ディスプレイ5に表示される俯瞰画像である駐車案内画面50を示した図である。図10及び図11に示すように、カメラ画像40において撮像されている他の駐車車両52、53及び駐車区画線54〜56は、自車両51の上方から見下ろした場合に撮像される形状及び配置へと変換されて駐車案内画面50に表示される。また、カメラ画像40では撮像されない自車両51の画像についても、上方から見下ろした形状で駐車案内画面50の所定位置に表示される。尚、駐車案内画面50において自車両51が表示される位置は、駐車スペース58へと進入する前は常に固定であり、自車両51が後退するにつれて自車両51の周囲の画像が変化した俯瞰画像に更新される。尚、上記S52〜S59の処理が俯瞰画像生成手段の処理に相当する。
【0055】
次に、前記S4でCPU31が実行する画像表示処理のサブ処理プログラムについて図8に基づき説明する。図8は本実施形態に係る画像表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0056】
画像表示処理では、先ずS61でCPU31は自車が駐車スペースに進入したことを示すフラグ“FLGM”がONとなっているか否かを判定する。そして、“FLGM”がONであると判定された場合(S61:YES)には、S72へと移行して後述するように自車周辺の範囲のみを拡大した俯瞰画像の表示を継続して行う。
【0057】
一方、“FLGM”がOFFであると判定された場合(S61:YES)には、前記S59で生成された合成俯瞰画像IM−dspから駐車枠の左右の区画線を線分LL、LRとして認識して抽出する(S62)。具体的には、先ず、NTSCのようなアナログ通信手段や、i−linkのようなデジタル通信手段を用いて合成俯瞰画像IM−dspを入力し、jpeg、mpeg等のデジタル画像フォーマットに変換する。次に、駐車枠が一般に白線又は黄線であることを用いて、撮像画像中の駐車枠が描かれた路面と他の路面を輝度差に基づいて輝度補正を行う。その後、対象となる駐車枠を画像から分離する2値化処理、歪みを補正する幾何学処理、画像の雑音を除去する平滑化処理等を行い、駐車枠と他の路面との境界線を検出する。例えば、図11に示す俯瞰画像からは駐車区画線54、55がそれぞれ線分LL、LRとして抽出される。そして、抽出された線分LL、LRによって、駐車スペース58の範囲が特定され検出されることとなる。尚、上記S62の処理が駐車スペース検出手段の処理に相当する。
【0058】
次に、S63でCPU31は前記S62で抽出された駐車枠区画線の線分LL、LRを直線近似処理することにより、画像表示座標系における式LNL、LNRを算出する。
【0059】
続いて、S64でCPU31はステアリングセンサ信号STRが「0」であるか否か、即ち、自車が旋回することなく直線状に後退しているか否か判定される。そして、STR≠0であると判定された場合(S64:NO)、即ち、自車が旋回しつつ後退中である場合には、第1のトリミング範囲(第1の範囲)を設定する(S65)。
そして、S66でCPU31は、前記S66で設定された第1のトリミング範囲により前記S59で生成された合成俯瞰画像IM−dspをトリミングし、更に、液晶ディスプレイ5に表示可能な表示範囲に合わせてトリミングした画像を拡大又は縮小変換して画像表示ECU4の備えるV−RAMへと転送する(S66)。そして、トリミングされた画像を液晶ディスプレイ5に表示する。その結果、図11や図12に示すように第1のトリミング範囲でトリミングされた自車両51の上方から自車両周辺の広範囲を俯瞰した俯瞰画像が液晶ディスプレイ5に表示されることとなる。尚、V−RAMはRAM33と共用するようにしても良い。
【0060】
また、S67ではステアリングセンサ信号STRに基づいて車両の走行軌跡を予測する。そして、走行軌跡を示したガイド線56、57と駐車スペース58を示すスペース線59を画面上に描画することにより、俯瞰画像に重畳して表示する。
【0061】
一方、前記S64でSTR=0であると判定された場合(S64:YES)、即ち、直線状に後退していると判定された場合には、続いて、LNLとLNRの端点の座標LNLeとLNReを算出する(S68)。
【0062】
その後、S69では、自車の後端を含む直線Ys(図11、図12参照)のY座標よりLNLとLNRの端点の座標LNLeとLNReのいずれかのY座標が大きいか否か、即ち、自車が駐車区画線の線分LL、LRで区画された駐車スペース58へと進入したか否かが判定される。尚、上記S69の処理が進入判定手段の処理に相当する。
【0063】
その結果、座標LNLeとLNReのY座標がいずれもYsより小さいと判定された場合(S69:NO)には、駐車スペースへと進入していないと判定され、S65へと移行し、継続して第1のトリミング範囲でトリミングされた俯瞰画像の表示が行われる。
【0064】
それに対して、座標LNLeとLNReのいずれかのY座標がYsより大きいと判定された場合(S69:YES)にはS70へと移行し、自車が駐車スペース58に進入したことを示すフラグ“FLGM”がONとなっているか否かを判定する。そして、“FLGM”がOFFであると判定された場合(S70:NO)には、FLGMをONする(S71)。一方、既に“FLGM”がONであると判定された場合(S70:YES)には、S71へと移行する。
【0065】
S72ではCPU31は、第2のトリミング範囲(第2の範囲)を設定する。尚、第2のトリミング範囲は第1のトリミング範囲より狭い範囲となっている。
【0066】
続いて、S73では中央に配置されたクリアランスソナー8のソナー信号に基づいて前記S44、S46、S47で特定された障害物距離フラグ“DA2”が「1」であるか否か、即ち、自車後方の150cm以内に障害物を検出したか否かが判定される。そして、DA2=1であると判定された場合(S73:YES)には、自車後方の150cm以内に障害物を検出したことを示す障害物検出フラグ“FLGDA2”を「ON」とする。一方、DA2≠1であると判定された場合(S73:NO)には、S75へと移行する。
【0067】
S75では左方に配置されたクリアランスソナー7のソナー信号に基づいて前記S44、S46、S47で特定された障害物距離フラグ“DA1”が「1」であるか否か、即ち、自車左後方の150cm以内に障害物を検出したか否かが判定される。そして、DA1=1であると判定された場合(S75:YES)には、自車左後方の150cm以内に障害物を検出したことを示す障害物検出フラグ“FLGDA1”を「ON」とする。一方、DA1≠1であると判定された場合(S75:NO)には、S77へと移行する。
【0068】
更に、S77では右方に配置されたクリアランスソナー9のソナー信号に基づいて前記S44、S46、S47で特定された障害物距離フラグ“DA3”が「1」であるか否か、即ち、自車右後方の150cm以内に障害物を検出したか否かが判定される。そして、DA3=1であると判定された場合(S77:YES)には、自車右後方の150cm以内に障害物を検出したことを示す障害物検出フラグ“FLGDA3”を「ON」とする。一方、DA3≠1であると判定された場合(S77:NO)には、S79へと移行する。
【0069】
そして、S79では前記S72で設定された第2のトリミング範囲を“FLGDA1〜3”の設定に基づいて拡張した第3のトリミング範囲(第3の範囲)を新たに設定する(S79)。具体的には、“FLGDA1”がONに設定されている場合には左後方に1、5m拡張し、“FLGDA2”がONに設定されている場合には後方に1、5m拡張し、“FLGDA3”がONに設定されている場合には右後方に1、5m拡張した第3のトリミング範囲を設定する(S80)。尚、複数のフラグがONに設定されている場合には、第2のトリミング範囲をONに設定されている各フラグに対応する複数方向にそれぞれ拡張した第3のトリミング範囲を設定する。一方、DA2≠1であると判定された場合(S73:NO)には、S75へと移行する。
【0070】
次に、S80でCPU31は前記S72で設定された第2のトリミング範囲、若しくは前記S79で第3のトリミング範囲が設定されていた場合には第3のトリミング範囲により前記S59で生成された合成俯瞰画像IM−dspをトリミングし、更に、液晶ディスプレイ5に表示可能な表示範囲に合わせてトリミングした画像を拡大又は縮小変換して画像表示ECU4の備えるV−RAMへと転送する。そして、トリミングされた画像を液晶ディスプレイ5に表示する。
【0071】
その結果、クリアランスソナー7〜9でいずれも150cm以内で障害物が検出されなかった場合には、図13に示す第2のトリミング範囲でトリミングされた自車両51の上方から自車両周辺を俯瞰した俯瞰画像に基づく駐車案内画面60が液晶ディスプレイ5に表示されることとなる。ここで、図13に示すように駐車案内画面60では自車両51が最も大きくなるような範囲で表示され、その結果、自車両51とその周囲の極狭い範囲のみが表示される。
【0072】
また、クリアランスソナー7で150cm以内に障害物が検出された場合には、図14に示す第3のトリミング範囲でトリミングされた自車両51の上方から自車両周辺を俯瞰した俯瞰画像に基づく駐車案内画面61が液晶ディスプレイ5に表示されることとなる。ここで、図14に示すように駐車案内画面61では自車両51と検出された障害物(図14では自転車65)を含み、且つ液晶ディスプレイ5に表示可能な最も狭い範囲により俯瞰画像が表示される。尚、第3のトリミング範囲は左後方に1.5mだけ範囲が拡大されたことに伴って、第2のトリミング範囲よりも範囲が広くなる。
【0073】
また、クリアランスソナー8で150cm以内に障害物が検出された場合には、図15に示す第3のトリミング範囲でトリミングされた自車両51の上方から自車両周辺を俯瞰した俯瞰画像に基づく駐車案内画面62が液晶ディスプレイ5に表示されることとなる。ここで、図15に示すように駐車案内画面62では自車両51と検出された障害物(図15では自転車65)を含み、且つ液晶ディスプレイ5に表示可能な最も狭い範囲により俯瞰画像が表示される。尚、第3のトリミング範囲は後方に1.5mだけ範囲が拡大されたことに伴って、第2のトリミング範囲よりも範囲が広くなる。
【0074】
更に、クリアランスソナー9で150cm以内に障害物が検出された場合には、図16に示す第3のトリミング範囲でトリミングされた自車両51の上方から自車両周辺を俯瞰した俯瞰画像に基づく駐車案内画面63が液晶ディスプレイ5に表示されることとなる。ここで、図16に示すように駐車案内画面63では自車両51と検出された障害物(図16では自転車65)を含み、且つ液晶ディスプレイ5に表示可能な最も狭い範囲により俯瞰画像が表示される。尚、第3のトリミング範囲は右後方に1.5mだけ範囲が拡大されたことに伴って、第2のトリミング範囲よりも範囲が広くなる。
【0075】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1では車両2において駐車操作が行われていると判定された場合(S12:YES)に、後方カメラ3で撮像したカメラ画像から車両2の上方から車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成し(S52〜S59)、特にクリアランスソナー7〜9によって車両2の所定距離内(本実施形態では150cm以内)に障害物を検出した場合には、検出された障害物と車両2とを含む第3のトリミング範囲でトリミングした俯瞰画像を液晶ディスプレイ5に表示するので、車両周囲に位置する障害物を考慮して、適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することが可能となる。従って、利用者に正確な周辺環境を容易に把握させることができる。
また、障害物が検出された場合には、検出された障害物と車両2とが液晶ディスプレイ5に対して表示可能であって且つ最も狭いトリミング範囲で俯瞰画像を表示するので、拡大された俯瞰画像から正確な自車の位置や方向が把握することができるとともに、車両の周囲に位置する障害物を確認することが可能となる。
また、駐車操作が行われたと判定された場合に液晶ディスプレイ5に対して俯瞰画像を表示するので、利用者にとって周囲環境の情報が特に必要な駐車操作時において、車両周囲に位置する障害物を考慮して、適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することができる。従って、利用者は駐車操作を容易に行うことが可能となる。
また、車両2が駐車スペースに進入する前は、車両2の周囲を広範囲に表示した第1のトリミング範囲に基づく俯瞰画像(図11、図12参照)を駐車案内画面50として表示し、車両2が駐車スペースへと進入した際には第1のトリミング範囲より狭い第2のトリミング範囲に基づく俯瞰画像(図13参照)を駐車案内画面60として表示し、更に、クリアランスソナー7〜9によって車両2の所定距離内(本実施形態では150cm以内)に障害物を検出した場合には、第2のトリミング範囲より広い第3のトリミング範囲によって俯瞰画像(図14〜図16参照)を駐車案内画面62〜64として表示するので、現在の車両の状況に合わせた見易い範囲で俯瞰画像を表示することが可能となる。
【0076】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではクリアランスソナー7〜9によって車両2の後方に障害物が検出された場合に、車両と障害物を含む第3のトリミング範囲でトリミングした俯瞰画像を表示することとしているが、クリアランスソナーを車両の前方や側方に新たに配置することによって、車両2の前方や側方に障害物が検出された場合にも、車両と障害物を含む第3のトリミング範囲でトリミングした俯瞰画像を表示するようにしても良い。また、障害物の検出手段はクリアランスソナーに限られること無く、例えばカメラで撮像した画像に基づいて障害物を検出するようにしても良い。
【0077】
また、第2のトリミング範囲と第3のトリミング範囲とは同一の範囲であっても良い。その際には、ディスプレイの表示領域を変更することのみによって、検出された障害物を新たに表示するようにする。
【0078】
また、本実施形態ではクリアランスソナー7〜9によって車両2の後方に障害物が検出された場合に、車両と障害物とを同一の表示ウィンドウで表示することとしているが、障害物の俯瞰画像は車両を表示するウィンドウと別のウィンドウで表示するようにしても良い。
【0079】
また、駐車操作が開始された場合に、液晶ディスプレイ5の左半分に対してはナビゲーション装置による自車周囲の地図画面を表示し、右側半分に対してのみに駐車案内画面50、60(図11〜図13)を表示するようにしても良い。そして、特に車両2の後方に障害物が検出された場合には、地図画面を消去し、車両2と障害物を含む駐車案内画面62〜64(図14〜図16)の表示領域を拡大して表示するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態に係る車両周辺画像表示システムの概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る車両周辺画像表示システムの制御系を模式的に示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る駐車画像表示制御処理プログラムのフローチャートである。
【図4】本実施形態に係るシステム起動管理処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る車両信号入力処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図6】本実施形態に係るクリアランスソナー信号入力処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る画像合成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る画像表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図9】車両の障害物の検出方向を示した模式図である。
【図10】後方カメラによって撮像されたカメラ画像を示した図である。
【図11】図10に示すカメラ画像を撮像した時点において自車の液晶ディスプレイに表示される俯瞰画像を示した図である。
【図12】液晶ディスプレイに表示される第1のトリミング範囲に基づく俯瞰画像を示した図である。
【図13】液晶ディスプレイに表示される第2のトリミング範囲に基づく俯瞰画像を示した図である。
【図14】車両の左後方に障害物が検出された場合に、液晶ディスプレイに表示される第3のトリミング範囲に基づく俯瞰画像を示した図である。
【図15】車両の後方に障害物が検出された場合に、液晶ディスプレイに表示される第3のトリミング範囲に基づく俯瞰画像を示した図である。
【図16】車両の右後方に障害物が検出された場合に、液晶ディスプレイに表示される第3のトリミング範囲に基づく俯瞰画像を示した図である。
【符号の説明】
【0081】
1 車両周辺画像表示システム
2 車両
3 後方カメラ
4 画像表示ECU
5 液晶ディスプレイ
7〜9 クリアランスソナー
31 CPU
32 ROM
33 RAM
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両上方から車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を表示する車両周辺画像表示システムに関し、特に、障害物が検出された場合に検出された障害物と車両とを含む俯瞰画像を表示する車両周辺画像表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーションシステムの普及にともなって、車両の周辺の状況を車室内の表示装置に表示する画像表示システムを搭載する車両が増加している。車両の周辺の状況としては、例えば、他車の位置、障害物の状況、センターラインや停止線等の道路標示等があるが、車両の後方や、前方のバンパー下及びコーナー部等の死角は通常運転者からは認識することが困難となっている。従って、画像表示システムはこれらの死角における周辺の状況を、車両に設置したカメラ等の撮像装置によって撮像し、車両を右折、左折又はバック等をさせる際に表示装置に表示することにより、運転者の補助を行うものである。
このような表示システムは、車両運転時に運転者の負担の軽減を図るものであり、運転中に運転者が取得することが必要な情報の多さに鑑みると、視認性に優れ、違和感なく一見して運転者が必要な情報を取得できる画像を取得できる画像を表示することが望ましい。
【0003】
そこで、従来より車両周辺をカメラによって撮像し、撮像した画像に基づいて車両上方から車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成して表示を行う技術について知られている。例えば、特開2003−115100号公報では、駐車を行う際に駐車を行う自車周辺の俯瞰画像を表示するとともに、更に自車の移動に伴って自動的に俯瞰画像の表示範囲や縮尺を変更する画像表示システムについて記載されている。このような技術によれば、利用者は車両周辺の様子と共に車両と周辺にある地物や障害物との関係を、俯瞰画像より直感的に把握することができる。
【特許文献1】特開2003−115100号公報(第3頁〜第5頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された画像表示システムでは、特に縮尺が拡大された状況では、利用者は自車周囲の限られた範囲のみしか視認することができなかった。従って、自車の近傍に人や自転車等の障害物が接近したとしても運転者からは障害物の姿が確認できない為に、障害物と接触するまで又は極めて近い距離に接近するまで運転者が障害物の存在に気付かないことが多く、接触の可能性が高くなっていた。
一方で、縮尺を小さくして広範囲の俯瞰画像のみを表示することとすると、俯瞰画像から正確な自車の位置や方向が把握し難くなり、運転操作が困難となる。
【0005】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、車両周囲に位置する障害物を考慮して、適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することが可能となり、利用者に正確な周辺環境を容易に把握させることを可能とした車両周辺画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車両周辺画像表示システム(1)は、車両の周辺を撮像する撮像手段(3)と、前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段(4)と、画像表示手段(5)と、前記俯瞰画像生成手段によって生成された俯瞰画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段(4)と、を有する車両周辺画像表示システムにおいて、車両周辺の障害物を検出する障害物検出手段(7〜9)を有し、前記表示制御手段は前記障害物検出手段によって障害物が検出された場合に、検出された障害物と車両とを含む前記俯瞰画像を前記画像表示手段に表示することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る車両周辺画像表示システム(1)は、請求項1に記載の車両周辺画像表示システムにおいて、前記表示制御手段(4)は検出された障害物と車両とが前記画像表示手段(5)に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲で俯瞰画像を表示することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る車両周辺画像表示システム(1)は、請求項1又は請求項2に記載の車両周辺画像表示システムにおいて、駐車操作が行われたか否かを判定する駐車判定手段(4)を有し、前記表示制御手段(4)は前記駐車判定手段により駐車操作が行われたと判定された場合に前記画像表示手段(5)に対して俯瞰画像を表示することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る車両周辺画像表示システム(1)は、車両の周辺を撮像する撮像手段(3)と、前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段(4)と、画像表示手段(5)と、前記俯瞰画像生成手段によって生成された俯瞰画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段(4)と、を有する車両周辺画像表示システムにおいて、駐車操作が行われたか否かを判定する駐車判定手段(4)と、車両が駐車を行う駐車スペースを検出する駐車スペース検出手段(4)と、車両が前記駐車スペースに進入したか否かを判定する進入判定手段(4)と、車両周辺の障害物を検出する障害物検出手段(7〜9)と、を有し、前記表示制御手段は前記駐車判定手段により駐車操作が行われたと判定された場合に前記画像表示手段に対して第1の範囲の前記俯瞰画像を表示し、前記進入判定手段により車両が前記駐車スペースに進入したと判定された場合に前記第1の範囲より狭い第2の範囲の俯瞰画像を表示し、前記障害物検出手段により障害物が検出された場合に検出された障害物と車両とを含む第3の範囲の俯瞰画像を表示することを特徴とする。
尚、「第2の範囲」と「第3の範囲」は同一の範囲であっても良い。
【0010】
更に、請求項5に係る車両周辺画像表示システム(1)は、請求項4に記載の車両周辺画像表示システムにおいて、前記第3の範囲は検出された障害物と車両とが前記画像表示手段(5)に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1の車両周辺画像表示システムでは、撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成し、障害物が検出された場合に、検出された障害物と車両とを含む俯瞰画像を画像表示手段に表示するので、車両周囲に位置する障害物を考慮して、適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することが可能となる。従って、利用者に正確な周辺環境を容易に把握させることができる。
【0012】
また、請求項2の車両周辺画像表示システムでは、検出された障害物と車両とが画像表示手段に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲で俯瞰画像を表示するので、拡大された俯瞰画像から正確な自車の位置や方向が把握することができるとともに、車両の周囲に位置する障害物を確認することが可能となる。
【0013】
また、請求項3の車両周辺画像表示システムでは、駐車操作が行われたと判定された場合に画像表示手段に対して俯瞰画像を表示するので、利用者にとって周囲環境の情報が特に必要な駐車操作時において、車両周囲に位置する障害物を考慮して、適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することができる。従って、利用者は駐車操作を容易に行うことが可能となる。
【0014】
また、請求項4の車両周辺画像表示システムでは、撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成し、駐車操作が行われたと判定された場合に画像表示手段に対して第1の範囲の俯瞰画像を表示し、車両が駐車スペースに進入したと判定された場合に第1の範囲より狭い第2の範囲の俯瞰画像を表示し、障害物が検出された場合に検出された障害物と車両とを含む第3の範囲の俯瞰画像を表示するので、現在の車両の状況に合わせた見易い範囲のみで俯瞰画像を表示することが可能となる。また、車両の周囲に障害物が位置する場合には、障害物を考慮した適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することが可能となる。従って、利用者に正確な周辺環境を容易に把握させることができる。
【0015】
更に、請求項5の車両周辺画像表示システムでは、検出された障害物と車両とが画像表示手段に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲で俯瞰画像を表示するので、拡大された俯瞰画像から正確な自車の位置や方向が把握することができるとともに、車両の周囲に位置する障害物を確認することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る車両周辺画像表示システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1の概略構成図である。図2は本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1の制御系を模式的に示すブロック図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1は、車両2に対して設置された後方カメラ(撮像手段)3と、画像表示ECU(俯瞰画像生成手段、表示制御手段、駐車判定手段、駐車スペース検出手段、進入判定手段)4と、液晶ディスプレイ(画像表示手段)5と、スピーカ6と、画像表示ECU4に接続されたクリアランスソナー7〜9や車速センサ10、ステアリングセンサ11、ジャイロセンサ12、シフトポジションセンサ13等の各種センサで構成されている。
【0018】
後方カメラ3は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたものであり、車両2の後方に装着されたナンバープレートの上中央付近に取り付けられ、視線方向を水平より45度下方に向けて設置される。そして、後退時に車両2の進行方向となる車両後方を撮像し、その撮像された画像(図10参照)は後述のように画像表示ECU4によって車両2上方より車両2周辺を俯瞰した俯瞰画像(図11参照)に変換されて液晶ディスプレイ5に表示される。
【0019】
また、画像表示ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)4は、駐車操作が行われた際に後方カメラ3により撮像した画像から車両2上方より車両2周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する処理や、駐車スペースに進入した場合や障害物を検出した場合に液晶ディスプレイ5に表示する俯瞰画像のトリミング範囲を変更する処理や、後退時の車両2の予測進路を推定して、その軌跡を俯瞰画像に重畳して表示する処理等を行う電子制御ユニットである。尚、画像表示ECU4はナビゲーション装置の制御に使用するECUと兼用してもよい。また、画像表示ECU4の詳細な構成については後述する。
【0020】
液晶ディスプレイ5は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、後退を行う時において車両2の周辺の俯瞰画像を表示する。尚、液晶ディスプレイ5はナビゲーション装置に使用するものと兼用してもよい。
【0021】
また、スピーカ6は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、運転支援に関する案内音声や警告音等を出力する。
【0022】
また、クリアランスソナー7〜9は、車両2の後方バンパの左角、中央、右角の計3箇所にそれぞれ取り付けられており、音波送信部と音波受信部とから基本的に構成されている。そして、音波送信部から車両2の左右の斜め後方及び後方の3方向に対して超音波を放射するとともに対象物(具体的には駐車車両、自転車、歩行者等)によって反射された反射波を音波受信部で受信する。その結果、受信した反射波の強度や波長に基づいて車両2の周囲に位置する障害物までの距離を検出することが可能となる。
【0023】
また、車速センサ10は、車両の車輪の回転に応じて車速パルスを発生させ、車両の移動距離や車速を検出するセンサである。ステアリングセンサ11は、ステアリング装置の内部に取り付けられており、ステアリングホイールを転舵した場合の舵角を検出するセンサである。ジャイロセンサ12は車両2の旋回角を検出するセンサである。また、シフトポジションセンサ13は、シフトレバー(図示せず)に内蔵され、シフト位置が「P(パーキング)」、「N(ニュートラル)」、「R(リバース)」、「D(ドライブ)」、「2(2速)」、「L(ロー)」のいずれの位置となっているかを検出する。
その結果、画像表示ECU4は車速センサ10の出力信号に基づいて車両2の現在の車速を検出し、ステアリングセンサ11の出力信号に基づいて車両2の舵角を検出する。また、ジャイロセンサ12によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出する。更に、シフトポジションセンサ13によって車両2の現在のシフト位置を検出する。
【0024】
次に、画像表示ECU4の詳細について図2を用いて説明すると、画像表示ECU4はCPU31を核として構成されており、CPU31には記憶手段であるROM32及びRAM33が接続されている。そして、ROM32には駐車操作時において後方カメラ3で撮像した画像から俯瞰画像を生成し、現在の状況に応じた適当な範囲で液晶ディスプレイ5に対して生成した俯瞰画像を表示する駐車画像表示制御処理プログラム(図3〜図8参照)、その他、液晶ディスプレイ5等の制御上必要な各種のプログラム等が格納されている。また、RAM33はCPU31で演算された各種データを一時的に記憶しておくメモリである。
更に、ROM32には、例えば車両2の車輪の半径、車幅、最小旋回半径、後方カメラ3の光軸方向(本実施形態では下方45度)や車両2に対する後方カメラ3の設置位置等の各種パラメータについて記憶されている。そして、CPU31は後述するように記憶された各種パラメータ情報を用いることによって後方カメラ3で撮像された画像から後退時における車両2の予測進路の推定を行う。
また、RAM33には後述する各種のフラグ(“STT”、“FLGM”)や変数(“NSW”、“STR”、“ΔDM”、“Δd”、“Dx”)が格納される。更に、液晶ディスプレイ5に表示する表示画像等を一時的に格納する。尚、表示画像を格納するV−RAMをRAMとは別に設けるようにしても良い。
【0025】
続いて、前記構成を有する本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1の画像表示ECU4が実行する駐車画像表示制御処理プログラムについて図3に基づき説明する。図3は本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1における駐車画像表示制御処理プログラムのフローチャートである。ここで、駐車画像表示制御処理プログラムは、駐車操作時において後方カメラ3で撮像した画像から俯瞰画像を生成し、現在の状況に応じた適当な範囲で液晶ディスプレイ5に対して生成した俯瞰画像を表示する処理を行うプログラムである。尚、以下の図3乃至図8にフローチャートで示されるプログラムは画像表示ECU4が備えているROM32やRAM33に記憶されており、CPU31により所定間隔(例えば200ms毎)で繰り返し実行される。
【0026】
駐車画像表示制御処理プログラムでは、先ずステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU31は駐車操作が行われているか否かの判定に基づいて液晶ディスプレイ5の表示画面の切り替えを行う後述のシステム起動管理処理(図4)を行う。
【0027】
次に、S2においてCPU31は、クリアランスソナー7〜9や車速センサ10、ステアリングセンサ11等の各種センサからの信号の入力を行う後述の車両信号入力処理(図5)を行う。
【0028】
続いて、S3においてCPU31は、後方カメラ3で撮像した画像に基づいて自車の上方より自車周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する後述の画像合成処理(図7)を行う。
【0029】
そして、S4においてCPU31は、前記S3で生成された俯瞰画像を現在の状況に応じた適当なトリミング範囲で液晶ディスプレイ5に対して表示する後述の画像表示処理(図8)を行う。尚、上記S4の処理が表示制御手段の処理に相当する。
【0030】
次に、前記S1でCPU31が実行するシステム起動管理処理のサブ処理プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係るシステム起動管理処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0031】
システム起動管理処理では、先ずS11でCPU31はシフトポジションセンサ13からシフト位置を特定するシフトポジションセンサ信号“NSW”を入力する。そして、S12でCPU31はNSW=R(リバース)であるか否か、即ち、シフト位置を「R」として駐車操作を行っているか否かを判定する。尚、上記S11の処理が駐車判定手段の処理に相当する。
【0032】
その結果、NSW=Rであると判定された場合(S12:YES)には、更に車両周辺画像表示システム1が起動中であることを示すフラグ“STT”がONとなっているか否かを判定する(S13)。
そして、STT=ONであると判定された場合(S13:YES)には、既に車両周辺画像表示システム1が起動中であるので、システム起動管理処理を終了し、S2の車両信号入力処理へと移行する。
【0033】
一方、STT=OFFであると判定された場合(S13:NO)には、現在の液晶ディスプレイ5に表示される表示画面を通常画面から駐車案内画面へと切り換える(S14)。ここで、通常画面とは例えばナビゲーション装置による地図画像や経路情報等を表示した画面が該当する。また、駐車案内画面とは後述するように駐車を行う自車の上方から自車周辺を俯瞰した俯瞰画像(図11〜図16参照)を所定の範囲で表示した画面が該当する。
【0034】
次に、S15ではCPU31は、車両周辺画像表示システムを起動させたことに基づいてフラグ“STT”をONする。更に、S16では単位時間当りに車両がバックで進んだ距離を示す変数“ΔDM”を初期化(0を代入)する。その後、S2の車両信号入力処理へと移行する。
【0035】
一方、前記S12の判定処理において、NSW≠Rであると判定された場合(S12:NO)には、更にフラグ“STT”がONとなっているか否かを判定する(S17)。
そして、STT=OFFであると判定された場合(S17:NO)には、車両周辺画像表示システム1の起動を行うことなく処理を終了する。
【0036】
一方、STT=ONであると判定された場合(S17:YES)には、現在の液晶ディスプレイ5に表示される表示画面を駐車案内画面から通常画面へと切り換える(S18)。次に、S19ではCPU31は、車両周辺画像表示システム1を終了させることに基づいてフラグ“STT”をOFFとする。そして、S20では各種変数(“NSW”、“STR”、“ΔDM”、“Δd”、“Dx”)を初期化する。
【0037】
次に、前記S2でCPU31が実行する車両信号入力処理のサブ処理プログラムについて図5に基づき説明する。図5は本実施形態に係る車両信号入力処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0038】
車両信号入力処理では、先ずS31でCPU31はステアリングセンサ11からステアリングの舵角を特定するステアリングセンサ信号“STR”を入力する。そして、S32でCPU31は車速センサ10から出力された車速パルス信号“Vp”をカウントし、単位時間当りに自車がバックで進んだ移動距離“Δd”を算出する。
【0039】
続いて、S33でCPU31は、システム起動以降に自車がバックで進んだトータルの距離“ΔDM”に対して前記S32に算出されたΔdを加算することにより、ΔDMの値を更新する。その後、S34では自車の周囲に位置する障害物を検出する後述のクリアランスソナー信号入力処理(図6)が行われ、画像合成処理(S3)へと移行する。
【0040】
次に、前記S34でCPU31が実行するクリアランスソナー信号入力処理のサブ処理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係るクリアランスソナー信号入力処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0041】
クリアランスソナー信号入力処理では、先ずS41でCPU31はクリアランスソナー7〜9から障害物までの距離[cm]を特定するソナー信号“CSDn(n=1、2、3)”を入力する。ここで、図9に示すように本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1では、クリアランスソナー7は車両2の左後方へと超音波を送出し、ソナー信号CSD1を得る。また、クリアランスソナー8は車両2の後方へと超音波を送出し、ソナー信号CSD2を得る。更に、クリアランスソナー9は車両2の右後方へと超音波を送出し、ソナー信号CSD3を得る。
【0042】
そして、S42でCPU31は、前記S41で入力されたソナー信号を150で割り、その値を超えない最大の整数に1を加えた値を“CSDnP(クリアランスソナー7からの信号に基づく値がCSD1P、クリアランスソナー8からの信号に基づく値がCSD2P、クリアランスソナー9からの信号に基づく値がCSD3P)”として算出する。
【0043】
そして、S43でCPU31は、前記S42で算出されたCSDnPについて、2<CSDnP≦3が成立するか否か、即ち、自車から検出した障害物までの距離が150cmより遠く300cm以下であるか否か判定される。その結果、2<CSDnP≦3が成立すると判定された場合(S43:YES)には、障害物までの距離を示す障害物距離フラグ“DAn”に「2」を代入する(S44)。
【0044】
一方、前記S42で算出されたCSDnPについて、2<CSDnP≦3が成立しないと判定された場合(S43:NO)には、更に、S45において3<CSDnPが成立するか否か、即ち、自車から検出した障害物までの距離が300cmより遠いか若しくは検出することができなかったかが判定される。その結果、3<CSDnPが成立すると判定された場合(S45:YES)には、障害物距離フラグである“DAn”に「0」を代入する(S46)。
【0045】
それに対して、前記S42で算出されたCSDnPについて、3<CSDnPも成立しないと判定された場合(S45:NO)には、CSDnP=1が成立することとなる。即ち、自車から検出した障害物までの距離が150cmより近いこととなり、障害物距離フラグである“DAn”にCSDnPの値(即ち「1」)を代入する(S47)。
【0046】
その後、S48ではn=3であるか否か、即ち全てのクリアランスソナー7〜9について上記のS41〜S47の処理が行われたか否かが判定される。
【0047】
その結果、n≠3であると判定された場合(S48:NO)にはnの値に1を加算(S49)した後にS41へと戻り、残りのクリアランスソナー7〜9についてDAnを特定する処理を行う。一方、n=3であると判定された場合(S48:YES)にはS50へと移行し、nの値を初期化する。その後、S3の画像合成処理へと移行する
【0048】
次に、前記S3でCPU31が実行する画像合成処理のサブ処理プログラムについて図7に基づき説明する。図7は本実施形態に係る画像合成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0049】
画像合成処理では、先ずS51でCPU31は後方カメラ3で撮像した自車の後方環境のカメラ画像を取得する。その後、S52でCPU31は前記S51で取得したカメラ画像について画像外縁付近に発生する歪みを補正する歪み補正計算処理を行う。
【0050】
続いて、S53でCPU31は、前記S52で歪みを補正したカメラ画像に対して、所定の俯瞰変換処理を施すことにより、上方の視点から垂直下方に見下ろした俯瞰画像を現在画像IM−prとして生成する。尚、撮像した画像の視点変換を行う俯瞰変換処理は既に公知(例えば、特開平10−211849号公報参照)の技術であるので、ここではその説明は省略する。
【0051】
更に、S54では前記S53で生成した現在画像IM−prに対して、システムが起動してからのトータルの走行距離を特定する距離インデックスΔDMを添付し(S54)、ΔDMが添付された現在画像IM−prをメモリ(例えば、RAM33)へ書き込む(S55)。
【0052】
次に、S56でCPU31は現在位置に対して読み出すべき過去画像のインデックスINDを算出する。具体的には、システムが起動してからの走行距離ΔDMに対してDx(現在位置に対して読み出すべき過去画像のインデックスを計算する為の定数(固定値))を引いた値をINDとして算出する。
【0053】
そして、S57でCPU31は前記S56で算出されたINDの値に基づいて、該当する過去画像IM−indをメモリから読み出す。更に、S58においてCPU31は、前記S57で読み出された過去画像IM−indを前記S31で入力されたステアリングセンサ信号に基づいて回転変換する回転変換処理を行い、IM−rotを生成する。具体的には、自車が旋回している場合に、その旋回角度に従って俯瞰画像を補正する処理である。
【0054】
続いて、S59でCPU31は、前記S53で生成された現在画像IM−prと、S58で生成された回転変換後の過去画像IM−rotとを合成し、合成俯瞰画像IM−dspを生成する。それによって、自車上方から自車周辺を撮像した俯瞰画像が生成される。
例えば、図10は後方カメラ3によって撮像されたカメラ画像40を示した図であり、図11は図10に示すカメラ画像40を撮像した時点において自車の液晶ディスプレイ5に表示される俯瞰画像である駐車案内画面50を示した図である。図10及び図11に示すように、カメラ画像40において撮像されている他の駐車車両52、53及び駐車区画線54〜56は、自車両51の上方から見下ろした場合に撮像される形状及び配置へと変換されて駐車案内画面50に表示される。また、カメラ画像40では撮像されない自車両51の画像についても、上方から見下ろした形状で駐車案内画面50の所定位置に表示される。尚、駐車案内画面50において自車両51が表示される位置は、駐車スペース58へと進入する前は常に固定であり、自車両51が後退するにつれて自車両51の周囲の画像が変化した俯瞰画像に更新される。尚、上記S52〜S59の処理が俯瞰画像生成手段の処理に相当する。
【0055】
次に、前記S4でCPU31が実行する画像表示処理のサブ処理プログラムについて図8に基づき説明する。図8は本実施形態に係る画像表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0056】
画像表示処理では、先ずS61でCPU31は自車が駐車スペースに進入したことを示すフラグ“FLGM”がONとなっているか否かを判定する。そして、“FLGM”がONであると判定された場合(S61:YES)には、S72へと移行して後述するように自車周辺の範囲のみを拡大した俯瞰画像の表示を継続して行う。
【0057】
一方、“FLGM”がOFFであると判定された場合(S61:YES)には、前記S59で生成された合成俯瞰画像IM−dspから駐車枠の左右の区画線を線分LL、LRとして認識して抽出する(S62)。具体的には、先ず、NTSCのようなアナログ通信手段や、i−linkのようなデジタル通信手段を用いて合成俯瞰画像IM−dspを入力し、jpeg、mpeg等のデジタル画像フォーマットに変換する。次に、駐車枠が一般に白線又は黄線であることを用いて、撮像画像中の駐車枠が描かれた路面と他の路面を輝度差に基づいて輝度補正を行う。その後、対象となる駐車枠を画像から分離する2値化処理、歪みを補正する幾何学処理、画像の雑音を除去する平滑化処理等を行い、駐車枠と他の路面との境界線を検出する。例えば、図11に示す俯瞰画像からは駐車区画線54、55がそれぞれ線分LL、LRとして抽出される。そして、抽出された線分LL、LRによって、駐車スペース58の範囲が特定され検出されることとなる。尚、上記S62の処理が駐車スペース検出手段の処理に相当する。
【0058】
次に、S63でCPU31は前記S62で抽出された駐車枠区画線の線分LL、LRを直線近似処理することにより、画像表示座標系における式LNL、LNRを算出する。
【0059】
続いて、S64でCPU31はステアリングセンサ信号STRが「0」であるか否か、即ち、自車が旋回することなく直線状に後退しているか否か判定される。そして、STR≠0であると判定された場合(S64:NO)、即ち、自車が旋回しつつ後退中である場合には、第1のトリミング範囲(第1の範囲)を設定する(S65)。
そして、S66でCPU31は、前記S66で設定された第1のトリミング範囲により前記S59で生成された合成俯瞰画像IM−dspをトリミングし、更に、液晶ディスプレイ5に表示可能な表示範囲に合わせてトリミングした画像を拡大又は縮小変換して画像表示ECU4の備えるV−RAMへと転送する(S66)。そして、トリミングされた画像を液晶ディスプレイ5に表示する。その結果、図11や図12に示すように第1のトリミング範囲でトリミングされた自車両51の上方から自車両周辺の広範囲を俯瞰した俯瞰画像が液晶ディスプレイ5に表示されることとなる。尚、V−RAMはRAM33と共用するようにしても良い。
【0060】
また、S67ではステアリングセンサ信号STRに基づいて車両の走行軌跡を予測する。そして、走行軌跡を示したガイド線56、57と駐車スペース58を示すスペース線59を画面上に描画することにより、俯瞰画像に重畳して表示する。
【0061】
一方、前記S64でSTR=0であると判定された場合(S64:YES)、即ち、直線状に後退していると判定された場合には、続いて、LNLとLNRの端点の座標LNLeとLNReを算出する(S68)。
【0062】
その後、S69では、自車の後端を含む直線Ys(図11、図12参照)のY座標よりLNLとLNRの端点の座標LNLeとLNReのいずれかのY座標が大きいか否か、即ち、自車が駐車区画線の線分LL、LRで区画された駐車スペース58へと進入したか否かが判定される。尚、上記S69の処理が進入判定手段の処理に相当する。
【0063】
その結果、座標LNLeとLNReのY座標がいずれもYsより小さいと判定された場合(S69:NO)には、駐車スペースへと進入していないと判定され、S65へと移行し、継続して第1のトリミング範囲でトリミングされた俯瞰画像の表示が行われる。
【0064】
それに対して、座標LNLeとLNReのいずれかのY座標がYsより大きいと判定された場合(S69:YES)にはS70へと移行し、自車が駐車スペース58に進入したことを示すフラグ“FLGM”がONとなっているか否かを判定する。そして、“FLGM”がOFFであると判定された場合(S70:NO)には、FLGMをONする(S71)。一方、既に“FLGM”がONであると判定された場合(S70:YES)には、S71へと移行する。
【0065】
S72ではCPU31は、第2のトリミング範囲(第2の範囲)を設定する。尚、第2のトリミング範囲は第1のトリミング範囲より狭い範囲となっている。
【0066】
続いて、S73では中央に配置されたクリアランスソナー8のソナー信号に基づいて前記S44、S46、S47で特定された障害物距離フラグ“DA2”が「1」であるか否か、即ち、自車後方の150cm以内に障害物を検出したか否かが判定される。そして、DA2=1であると判定された場合(S73:YES)には、自車後方の150cm以内に障害物を検出したことを示す障害物検出フラグ“FLGDA2”を「ON」とする。一方、DA2≠1であると判定された場合(S73:NO)には、S75へと移行する。
【0067】
S75では左方に配置されたクリアランスソナー7のソナー信号に基づいて前記S44、S46、S47で特定された障害物距離フラグ“DA1”が「1」であるか否か、即ち、自車左後方の150cm以内に障害物を検出したか否かが判定される。そして、DA1=1であると判定された場合(S75:YES)には、自車左後方の150cm以内に障害物を検出したことを示す障害物検出フラグ“FLGDA1”を「ON」とする。一方、DA1≠1であると判定された場合(S75:NO)には、S77へと移行する。
【0068】
更に、S77では右方に配置されたクリアランスソナー9のソナー信号に基づいて前記S44、S46、S47で特定された障害物距離フラグ“DA3”が「1」であるか否か、即ち、自車右後方の150cm以内に障害物を検出したか否かが判定される。そして、DA3=1であると判定された場合(S77:YES)には、自車右後方の150cm以内に障害物を検出したことを示す障害物検出フラグ“FLGDA3”を「ON」とする。一方、DA3≠1であると判定された場合(S77:NO)には、S79へと移行する。
【0069】
そして、S79では前記S72で設定された第2のトリミング範囲を“FLGDA1〜3”の設定に基づいて拡張した第3のトリミング範囲(第3の範囲)を新たに設定する(S79)。具体的には、“FLGDA1”がONに設定されている場合には左後方に1、5m拡張し、“FLGDA2”がONに設定されている場合には後方に1、5m拡張し、“FLGDA3”がONに設定されている場合には右後方に1、5m拡張した第3のトリミング範囲を設定する(S80)。尚、複数のフラグがONに設定されている場合には、第2のトリミング範囲をONに設定されている各フラグに対応する複数方向にそれぞれ拡張した第3のトリミング範囲を設定する。一方、DA2≠1であると判定された場合(S73:NO)には、S75へと移行する。
【0070】
次に、S80でCPU31は前記S72で設定された第2のトリミング範囲、若しくは前記S79で第3のトリミング範囲が設定されていた場合には第3のトリミング範囲により前記S59で生成された合成俯瞰画像IM−dspをトリミングし、更に、液晶ディスプレイ5に表示可能な表示範囲に合わせてトリミングした画像を拡大又は縮小変換して画像表示ECU4の備えるV−RAMへと転送する。そして、トリミングされた画像を液晶ディスプレイ5に表示する。
【0071】
その結果、クリアランスソナー7〜9でいずれも150cm以内で障害物が検出されなかった場合には、図13に示す第2のトリミング範囲でトリミングされた自車両51の上方から自車両周辺を俯瞰した俯瞰画像に基づく駐車案内画面60が液晶ディスプレイ5に表示されることとなる。ここで、図13に示すように駐車案内画面60では自車両51が最も大きくなるような範囲で表示され、その結果、自車両51とその周囲の極狭い範囲のみが表示される。
【0072】
また、クリアランスソナー7で150cm以内に障害物が検出された場合には、図14に示す第3のトリミング範囲でトリミングされた自車両51の上方から自車両周辺を俯瞰した俯瞰画像に基づく駐車案内画面61が液晶ディスプレイ5に表示されることとなる。ここで、図14に示すように駐車案内画面61では自車両51と検出された障害物(図14では自転車65)を含み、且つ液晶ディスプレイ5に表示可能な最も狭い範囲により俯瞰画像が表示される。尚、第3のトリミング範囲は左後方に1.5mだけ範囲が拡大されたことに伴って、第2のトリミング範囲よりも範囲が広くなる。
【0073】
また、クリアランスソナー8で150cm以内に障害物が検出された場合には、図15に示す第3のトリミング範囲でトリミングされた自車両51の上方から自車両周辺を俯瞰した俯瞰画像に基づく駐車案内画面62が液晶ディスプレイ5に表示されることとなる。ここで、図15に示すように駐車案内画面62では自車両51と検出された障害物(図15では自転車65)を含み、且つ液晶ディスプレイ5に表示可能な最も狭い範囲により俯瞰画像が表示される。尚、第3のトリミング範囲は後方に1.5mだけ範囲が拡大されたことに伴って、第2のトリミング範囲よりも範囲が広くなる。
【0074】
更に、クリアランスソナー9で150cm以内に障害物が検出された場合には、図16に示す第3のトリミング範囲でトリミングされた自車両51の上方から自車両周辺を俯瞰した俯瞰画像に基づく駐車案内画面63が液晶ディスプレイ5に表示されることとなる。ここで、図16に示すように駐車案内画面63では自車両51と検出された障害物(図16では自転車65)を含み、且つ液晶ディスプレイ5に表示可能な最も狭い範囲により俯瞰画像が表示される。尚、第3のトリミング範囲は右後方に1.5mだけ範囲が拡大されたことに伴って、第2のトリミング範囲よりも範囲が広くなる。
【0075】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る車両周辺画像表示システム1では車両2において駐車操作が行われていると判定された場合(S12:YES)に、後方カメラ3で撮像したカメラ画像から車両2の上方から車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成し(S52〜S59)、特にクリアランスソナー7〜9によって車両2の所定距離内(本実施形態では150cm以内)に障害物を検出した場合には、検出された障害物と車両2とを含む第3のトリミング範囲でトリミングした俯瞰画像を液晶ディスプレイ5に表示するので、車両周囲に位置する障害物を考慮して、適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することが可能となる。従って、利用者に正確な周辺環境を容易に把握させることができる。
また、障害物が検出された場合には、検出された障害物と車両2とが液晶ディスプレイ5に対して表示可能であって且つ最も狭いトリミング範囲で俯瞰画像を表示するので、拡大された俯瞰画像から正確な自車の位置や方向が把握することができるとともに、車両の周囲に位置する障害物を確認することが可能となる。
また、駐車操作が行われたと判定された場合に液晶ディスプレイ5に対して俯瞰画像を表示するので、利用者にとって周囲環境の情報が特に必要な駐車操作時において、車両周囲に位置する障害物を考慮して、適切な範囲により障害物を含めた俯瞰画像を表示することができる。従って、利用者は駐車操作を容易に行うことが可能となる。
また、車両2が駐車スペースに進入する前は、車両2の周囲を広範囲に表示した第1のトリミング範囲に基づく俯瞰画像(図11、図12参照)を駐車案内画面50として表示し、車両2が駐車スペースへと進入した際には第1のトリミング範囲より狭い第2のトリミング範囲に基づく俯瞰画像(図13参照)を駐車案内画面60として表示し、更に、クリアランスソナー7〜9によって車両2の所定距離内(本実施形態では150cm以内)に障害物を検出した場合には、第2のトリミング範囲より広い第3のトリミング範囲によって俯瞰画像(図14〜図16参照)を駐車案内画面62〜64として表示するので、現在の車両の状況に合わせた見易い範囲で俯瞰画像を表示することが可能となる。
【0076】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではクリアランスソナー7〜9によって車両2の後方に障害物が検出された場合に、車両と障害物を含む第3のトリミング範囲でトリミングした俯瞰画像を表示することとしているが、クリアランスソナーを車両の前方や側方に新たに配置することによって、車両2の前方や側方に障害物が検出された場合にも、車両と障害物を含む第3のトリミング範囲でトリミングした俯瞰画像を表示するようにしても良い。また、障害物の検出手段はクリアランスソナーに限られること無く、例えばカメラで撮像した画像に基づいて障害物を検出するようにしても良い。
【0077】
また、第2のトリミング範囲と第3のトリミング範囲とは同一の範囲であっても良い。その際には、ディスプレイの表示領域を変更することのみによって、検出された障害物を新たに表示するようにする。
【0078】
また、本実施形態ではクリアランスソナー7〜9によって車両2の後方に障害物が検出された場合に、車両と障害物とを同一の表示ウィンドウで表示することとしているが、障害物の俯瞰画像は車両を表示するウィンドウと別のウィンドウで表示するようにしても良い。
【0079】
また、駐車操作が開始された場合に、液晶ディスプレイ5の左半分に対してはナビゲーション装置による自車周囲の地図画面を表示し、右側半分に対してのみに駐車案内画面50、60(図11〜図13)を表示するようにしても良い。そして、特に車両2の後方に障害物が検出された場合には、地図画面を消去し、車両2と障害物を含む駐車案内画面62〜64(図14〜図16)の表示領域を拡大して表示するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態に係る車両周辺画像表示システムの概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る車両周辺画像表示システムの制御系を模式的に示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る駐車画像表示制御処理プログラムのフローチャートである。
【図4】本実施形態に係るシステム起動管理処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る車両信号入力処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図6】本実施形態に係るクリアランスソナー信号入力処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る画像合成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る画像表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図9】車両の障害物の検出方向を示した模式図である。
【図10】後方カメラによって撮像されたカメラ画像を示した図である。
【図11】図10に示すカメラ画像を撮像した時点において自車の液晶ディスプレイに表示される俯瞰画像を示した図である。
【図12】液晶ディスプレイに表示される第1のトリミング範囲に基づく俯瞰画像を示した図である。
【図13】液晶ディスプレイに表示される第2のトリミング範囲に基づく俯瞰画像を示した図である。
【図14】車両の左後方に障害物が検出された場合に、液晶ディスプレイに表示される第3のトリミング範囲に基づく俯瞰画像を示した図である。
【図15】車両の後方に障害物が検出された場合に、液晶ディスプレイに表示される第3のトリミング範囲に基づく俯瞰画像を示した図である。
【図16】車両の右後方に障害物が検出された場合に、液晶ディスプレイに表示される第3のトリミング範囲に基づく俯瞰画像を示した図である。
【符号の説明】
【0081】
1 車両周辺画像表示システム
2 車両
3 後方カメラ
4 画像表示ECU
5 液晶ディスプレイ
7〜9 クリアランスソナー
31 CPU
32 ROM
33 RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段と、
画像表示手段と、
前記俯瞰画像生成手段によって生成された俯瞰画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段と、を有する車両周辺画像表示システムにおいて、
車両周辺の障害物を検出する障害物検出手段を有し、
前記表示制御手段は前記障害物検出手段によって障害物が検出された場合に、検出された障害物と車両とを含む前記俯瞰画像を前記画像表示手段に表示することを特徴とする車両周辺画像表示システム。
【請求項2】
前記表示制御手段は検出された障害物と車両とが前記画像表示手段に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲で俯瞰画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車両周辺画像表示システム。
【請求項3】
駐車操作が行われたか否かを判定する駐車判定手段を有し、
前記表示制御手段は前記駐車判定手段により駐車操作が行われたと判定された場合に前記画像表示手段に対して俯瞰画像を表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両周辺画像表示システム。
【請求項4】
車両の周辺を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段と、
画像表示手段と、
前記俯瞰画像生成手段によって生成された俯瞰画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段と、を有する車両周辺画像表示システムにおいて、
駐車操作が行われたか否かを判定する駐車判定手段と、
車両が駐車を行う駐車スペースを検出する駐車スペース検出手段と、
車両が前記駐車スペースに進入したか否かを判定する進入判定手段と、
車両周辺の障害物を検出する障害物検出手段と、を有し、
前記表示制御手段は前記駐車判定手段により駐車操作が行われたと判定された場合に前記画像表示手段に対して第1の範囲の前記俯瞰画像を表示し、前記進入判定手段により車両が前記駐車スペースに進入したと判定された場合に前記第1の範囲より狭い第2の範囲の俯瞰画像を表示し、前記障害物検出手段により障害物が検出された場合に検出された障害物と車両とを含む第3の範囲の俯瞰画像を表示することを特徴とする車両周辺画像表示システム。
【請求項5】
前記第3の範囲は検出された障害物と車両とが前記画像表示手段に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲であることを特徴とする請求項4に記載の車両周辺画像表示システム。
【請求項1】
車両の周辺を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段と、
画像表示手段と、
前記俯瞰画像生成手段によって生成された俯瞰画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段と、を有する車両周辺画像表示システムにおいて、
車両周辺の障害物を検出する障害物検出手段を有し、
前記表示制御手段は前記障害物検出手段によって障害物が検出された場合に、検出された障害物と車両とを含む前記俯瞰画像を前記画像表示手段に表示することを特徴とする車両周辺画像表示システム。
【請求項2】
前記表示制御手段は検出された障害物と車両とが前記画像表示手段に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲で俯瞰画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の車両周辺画像表示システム。
【請求項3】
駐車操作が行われたか否かを判定する駐車判定手段を有し、
前記表示制御手段は前記駐車判定手段により駐車操作が行われたと判定された場合に前記画像表示手段に対して俯瞰画像を表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両周辺画像表示システム。
【請求項4】
車両の周辺を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて車両上方より車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成手段と、
画像表示手段と、
前記俯瞰画像生成手段によって生成された俯瞰画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段と、を有する車両周辺画像表示システムにおいて、
駐車操作が行われたか否かを判定する駐車判定手段と、
車両が駐車を行う駐車スペースを検出する駐車スペース検出手段と、
車両が前記駐車スペースに進入したか否かを判定する進入判定手段と、
車両周辺の障害物を検出する障害物検出手段と、を有し、
前記表示制御手段は前記駐車判定手段により駐車操作が行われたと判定された場合に前記画像表示手段に対して第1の範囲の前記俯瞰画像を表示し、前記進入判定手段により車両が前記駐車スペースに進入したと判定された場合に前記第1の範囲より狭い第2の範囲の俯瞰画像を表示し、前記障害物検出手段により障害物が検出された場合に検出された障害物と車両とを含む第3の範囲の俯瞰画像を表示することを特徴とする車両周辺画像表示システム。
【請求項5】
前記第3の範囲は検出された障害物と車両とが前記画像表示手段に対して表示可能であって且つ最も狭い範囲であることを特徴とする請求項4に記載の車両周辺画像表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−30705(P2008−30705A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208555(P2006−208555)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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