説明

車両状態通知装置および車両状態通知システム

【課題】 本発明は、車両状態通知装置および車両状態通知システムに関し、車両使用者への車載機器の操作忘れ通知を車両使用者個々の特性に合わせて適切に行うことを目的とする。
【解決手段】 エンジンやエアコン等の車載機器があるべき状態にない場合、車載機10からセンタ14へその車載機器の状態が車両使用者の操作忘れに該当する可能性がある旨を車両の状態情報と共に送信する。また、センタ14の有するデータベース62に、車両使用者ごとの車載機器の操作に関する履歴情報を蓄積する。そして、センタ14に、データベース62に蓄積されているその車両使用者におけるその車載機器の操作に関する履歴情報を基に、その車載機器の状態が本当に車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別させて、肯定判定がなされる場合にのみ車両使用者の所持する携帯端末12へその車載機器の操作忘れが生じている旨を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両状態通知装置および車両状態通知システムに係り、特に、車両使用者により操作可能な車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものである場合にその旨を車両使用者へ通知するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヘッドライトの消し忘れや車両ドアの半ドア,車両キーの抜き忘れなどを検出し、かかる検出がなされた場合に車両側又は車両使用者の携帯する携帯機側においてその旨の報知を行うシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムは、ヘッドランプをオン・オフさせるランプスイッチと、車両ドアの開状態を検出するドア開センサと、イグニションキーの差し込み・抜き取りを検出するイグニションキー検出センサと、を有する車載機を備えている。この車載機は、車両使用者に携帯される携帯機の発する車両ドアのアンロック信号の受信強度が所定強度以下となった時点で、ヘッドランプがオンしていること、車両ドアが開状態にあること、又はイグニションキーが差し込まれていることを検出する場合に、ヘッドランプの消し忘れ、半ドア、又はキー抜き忘れが生じたとして、その旨の報知を行う。
【特許文献1】特開2001−164807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、車両使用者は、携帯機を所持して車両から降車するとき、本当にうっかりして車両操作を忘れることもあるが、使用者によっては故意或いは自由意思で、ヘッドランプを付けたまま、車両ドアを半ドアにしたまま、又はキーを差し込んだままに車両状態を維持させることがある。かかる場合に車両使用者の操作忘れが生じているとして報知がなされると、車両使用者にとっては車載機器の操作忘れに該当しないにもかかわらず無駄な報知がなされることとなり、車両使用者に煩わしさなどを与えることとなってしまう。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、車両使用者への車載機器の操作忘れ通知を車両使用者個々の特性に合致して適切に行うことが可能な車両状態通知装置および車両状態通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、車両使用者により操作可能な車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別する操作忘れ有無判別手段と、前記操作忘れ有無判別手段により前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであると判別される場合は、該車載機器が操作忘れ状態にある旨を車両使用者へ通知し、一方、前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものでないと判別される場合は、該車載機器が操作忘れ状態にある旨の車両使用者への通知を禁止する通知制御手段と、を備える車両状態通知装置であって、車両使用者による前記車載機器の操作に関する履歴情報を格納する履歴記憶手段を有し、前記操作忘れ有無判別手段は、前記履歴記憶手段に格納されている前記履歴情報に基づいて、前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別する車両状態通知装置により達成される。
【0006】
本発明において、車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かの判別は、車両使用者による車載機器の操作に関する履歴情報に基づいて行われる。このため、かかる操作忘れの判定に車両使用者の車載機器の操作に関する履歴が考慮される。従って、判定結果としての車両使用者への車載機器の操作忘れ通知が車両使用者個々の特性に合致したものとなる。
【0007】
尚、請求項2に記載する如く、請求項1記載の車両状態通知装置において、前記履歴記憶手段は、前記車載機器が操作忘れ状態にある旨の車両使用者への通知が行われた後における車両使用者の対応内容を前記履歴情報として格納することとしてもよい。
【0008】
この場合には、請求項3に記載する如く、請求項2記載の車両状態通知装置において、車両使用者からの遠隔操作指示に従って前記車載機器を自動操作する自動操作手段を備えることとしてもよい。
【0009】
また、請求項4に記載する如く、請求項1又は2記載の車両状態通知装置において、前記履歴記憶手段は、少なくとも前記操作忘れ有無判別手段による判別対象である前記車載機器の状態が生じた際における車両状況を前記履歴情報として格納することとしてもよい。
【0010】
この場合には、請求項5に記載する如く、請求項4記載の車両状態通知装置において、前記操作忘れ有無判別手段は、現在の車両状況を前記履歴記憶手段に格納されている過去の車両状況と比較した結果に基づいて、前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別することとすればよい。
【0011】
また、上記の目的は、請求項6に記載する如く、車両使用者により操作可能な車載機器の状態を所定条件の成立時に通報する車載機と、前記車載機から通報される前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別して、肯定判定がなされる場合は該車載機器が操作忘れ状態にある旨を車両使用者へ通知し、一方、否定判定がなされる場合は該車載機器が操作忘れ状態にある旨の車両使用者への通知を禁止するセンタと、車両使用者に所持され、前記センタから通知された前記車載機器が操作忘れ状態にある旨を車両使用者へ向けて出力する携帯機と、からなる車両状態通知システムであって、前記センタは、車両使用者による前記車載機器の操作に関する履歴情報を格納する履歴記憶手段を有し、該履歴記憶手段に格納されている前記履歴情報に基づいて、前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別する車両状態通知システムにより達成される。
【0012】
本発明において、車載機からセンタに通報された車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かの判別は、センタの有する履歴記憶手段に記憶されている車両使用者による車載機器の操作に関する履歴情報に基づいて行われる。このため、かかる操作忘れの判定に車両使用者の操作機器の操作に関する履歴が考慮される。従って、判定結果としての車両使用者(携帯機)への車載機器の操作忘れ通知が車両使用者個々の特性に合致したものとなる。
【0013】
尚、これらの発明において、「操作忘れによるもの」とは、車両使用者の故意や意思によるもの以外かつ偶発的に起こるもの以外によるものをいう。
【発明の効果】
【0014】
請求項1乃至6記載の発明によれば、車両使用者への車載機器の操作忘れ通知を車両使用者個々の特性に合致して適切に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施例である車両状態通知システムの構成図を示す。本実施例のシステムは、車両に搭載される車載機10と、その車両の運転者や所有者などの正規の車両使用者に携帯・所持される携帯電話やパソコン,PDA等の携帯端末12と、車載機10と携帯端末12との間における情報を管理するセンタ14と、により構成されている。本実施例の車両状態通知システムは、特に車両使用者が車両から降車した後等に、車両において車両使用者の操作可能な車載機器が車両使用者による操作忘れを伴って放置される場合にその旨を車両使用者へ通知するシステムである。
【0016】
車載機10は、時計機能を有する車載用電子制御ユニット(以下、車載ECUと称す)20を備えている。車載ECU20は、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。車載ECU20は、自車両の電話番号を含む識別情報及び上記したセンタ14の電話番号などを格納する記憶装置を有している。車載ECU20には、送受信機22が接続されている。送受信機22は、所定の通信ネットワークを通じてセンタ14と無線通信を行うことが可能となっている。送受信機22は、車載機10の情報を通信ネットワークを介してセンタ14へ送信する機能、及び、センタ14から通信ネットワークを介して送信される情報を車載機10に受信する機能を有している。車載ECU20は、送受信機22との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
【0017】
車載ECU20には、また、GPS(Global Positioning System)受信機24が接続されている。GPS受信機24は、GPS衛星から送信される電波を受信することにより自車両の絶対位置に応じた信号を車載ECU20に対して供給する。車載ECU20は、GPS受信機24からの信号に基づいて自車両の絶対位置を検出する。
【0018】
車載ECU20には、車両使用者により手動操作可能な車載機器(例えば、オン・オフされるエアコン及びエンジン、開閉されるウィンドウ及び車両ドアやトランク,バックドア,エンジンフード,スライドルーフなどの開閉ドア、並びに、ロック・アンロックされる車両ドア等、点灯・消灯する灯火類であるヘッドランプ、フォグランプ、スモールランプ、ハザードランプ、ウィンカー、及びルームランプなど)の操作状態を検出するためのスイッチ・センサ類26が接続されている。このスイッチ・センサ類26は、エアコンをオン・オフさせるためのスイッチ、ウィンドウ、車両ドア、トランク、バックドア、エンジンフード、若しくはスライドルーフの開閉状態を検知するためのスイッチ、車両ドアのロック・アンロックを検知するためのセンサ、又は、ヘッドランプ、フォグランプ、スモールランプ、ハザードランプ、若しくはウィンカーを点灯・消灯させるためのスイッチなどである。車載ECU20は、上記したスイッチ・センサ類26の出力信号に基づいて、上記の車載機器の操作状態を検出する。例えば、エアコンやエンジンのオン・オフ、ウィンドウや車両ドア等の開閉、車両ドアのロック・アンロック、又は灯火類の点灯・消灯を検出する。
【0019】
車載ECU20には、また、車両の状態及び車両の置かれている状況を検出するセンサ類として、人検出センサ30、外気温センサ32、及び車室内温度センサ34が接続されている。人検出センサ30は、車室内に配設された、例えば車室内を撮影するカメラ、電波や超音波,赤外線などを利用して物体を検知する感知センサ、車両シートに加わる荷重を検知する荷重センサなどであり、車室内に存在する乗員に応じた信号を車載ECU20に対して出力する。車載ECU20は、人検出センサ30の出力信号に基づいて、具体的には、カメラによる撮像画像を処理することにより、感知センサの検知結果を処理することにより、或いは、荷重センサによる検知荷重が所定値以上であるか否かを判別することにより、車室内に乗員が存在するか否かを判別すると共に、車室内に存在する乗員の人数を検出する。尚、人検出センサ30は、人の携帯する車両キーの発する自己を特定するための信号を受信する車内用アンテナを有し、その車内用アンテナにかかる信号が受信されるか否かに基づいて車室内に車両キーが存在するか否かを判定して、車室内に存在する乗員に応じた信号を出力するものであってもよい。
【0020】
外気温センサ32は、車室外の気温に応じた信号を車載ECU20に対して出力する。また、車室内温度センサ34は、車室内の温度に応じた信号を車載ECU20に対して出力する。車載ECU20は、外気温センサ32の出力信号に基づいて車外の気温を検出すると共に、車室内温度センサ34の出力信号に基づいて車室内の温度を検出し、そして、車外気温が所定値(例えば30℃)以上であるか、及び、車室内温度が所定値(例えば40℃)以上であるか否かを判別する。
【0021】
車載ECU20には、また、入出力部40が接続されている。入出力部40は、車両に乗車した人により操作され得ると共に、車両に乗車した人へ向けてスピーカによる音声・警報出力及びディスプレイによる表示出力を行い、また、車両周囲の人へ向けてホーンやブザー,外部スピーカによる音声・警報出力を行う装置である。車載ECU20は、車両乗員による入出力部40への操作を検出し、また、入出力部40が出力すべき際にその入出力部40に対して指令信号を供給する。
【0022】
車載ECU20は、上記した車両使用者の操作可能な車載機器が車両使用者による操作忘れを伴って放置される場合にその旨を車両使用者へ通知するか否かが車載機器ごとに設定された通知許否情報を記憶する記憶装置42を有している。この通知許否情報は、車両使用者による入出力部40の操作によって車載機器ごとに随時変更可能なものとされている。
【0023】
車載ECU20には、更に、上記した車両使用者により手動操作可能な車載機器を自動的に操作する各種のアクチュエータ44が接続されている。これらのアクチュエータ44は、例えば、車両動力であるエンジンを始動させる若しくは停止させるエンジン始動アクチュエータ、各車両ドアに設けられたウィンドウを開閉するウィンドウ開閉アクチュエータ、各車両ドアを開閉するドア開閉アクチュエータ、各車両ドアを施解錠するドアロック・アンロックアクチュエータ、灯火類を点灯・消灯するスイッチなどである。これらの各アクチュエータ44は、車載ECU20から供給される指令に従って制御される。車載ECU20は、後に詳述する如く、センタ14から送信される操作指令信号が送受信機22で受信された場合に、適当なアクチュエータ44に対してその機能を発揮させるための指令信号を供給する。
【0024】
携帯端末12は、時計機能を有する携帯用電子制御ユニット(以下、携帯ECUと称す)50を備えている。携帯ECU50は、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。携帯ECU50は、自携帯端末12に対応する車両の電話番号及び自携帯端末12のメールアドレスや電話番号を含む識別情報並びに上記したセンタ14の電話番号などを格納する記憶装置を有している。携帯ECU50には、送受信機52が接続されている。送受信機52は、所定の通信ネットワークを通じてセンタ14と無線通信を行うことが可能となっている。送受信機52は、携帯端末12の情報を通信ネットワークを介してセンタ14へ送信する機能、及び、センタ14から通信ネットワークを介して送信される情報を携帯端末12に受信する機能を有している。携帯ECU50は、送受信機52との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
【0025】
携帯ECU52には、車両使用者により手動入力操作されると共に、車両使用者へ向けて音声出力や表示出力を行う入出力部54が接続されている。携帯端末12は、webブラウザを有しており、入出力部54への入力操作により通信ネットワークを介して外部のwebサーバーに蓄積されたファイルやデータを閲覧可能であり、センタ14の提供する各種の情報例えば後述のアクチュエータ44による車両操作を要求するためのweb画面を取得可能である。
【0026】
センタ14は、高速演算可能なホストコンピュータ60を備えている。ホストコンピュータ60は、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。ホストコンピュータ60には、大容量のデータベース62が接続されている。データベース62には、センタ14を利用する利用者である車両の正規使用者の識別情報や携帯端末12のメールアドレス,電話番号及び車両の識別情報や電話番号などの顧客情報が格納されている。また、データベース62には、後に詳述する如く、車両使用者ごとに或いは車両ごとに上記した車載機器の操作に関する履歴情報が格納される。
【0027】
センタ14には、送受信機64が接続されている。送受信機64は、所定の通信ネットワークを通じて車載機10及び携帯端末12と無線通信を行うことが可能となっている。送受信機64は、センタ14の情報を通信ネットワークを介して車載機10及び携帯端末12へ送信する機能、並びに、車載機10及び携帯端末12から通信ネットワークを介して送信される情報をセンタ14に受信する機能を有している。センタ14のホストコンピュータ60は、送受信機64との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
【0028】
以下、図2を参照して、本実施例の車両状態通知システムの動作について説明する。図2は、本実施例の車両状態通知システムにおいて実行される制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。尚、この車両状態通知システムにおいて、車載機10、携帯端末12、及びセンタ14はそれぞれ、以下に示す機能を実現するためのプログラムをROM等に有し、そのプログラムに従って動作する。これらのプログラムは、CDやDVD,ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることが可能である。
【0029】
本実施例の車両状態通知システムにおいては、車両使用者が正規に車両に乗車し車両をイグニションオン若しくはアクセサリオンで使用しているときには、車載機10は、例えばエンジンやエアコンが作動し続ける状態や灯火類が点灯し続ける状態,車両ドア等の半ドア状態など、各車載機器があるべき状態にないと判別することはなく、また、これら車載機器の車両使用者による操作忘れが生じている可能性がある旨をセンタ14へ通報することはない。
【0030】
一方、車両使用者がイグニションオフ操作及びアクセサリオフ操作を行って車両使用を中止した後、又は、車両使用者が降車して車両ドアが閉じられ若しくはロックされた後、何ら車載機器の操作が行われることなく所定時間(例えば1分や5分等;但し、車載機器ごとに異なるものであってもよい。)が経過すると、或いは、降車した車両使用者の携帯する車両キーの発する発信信号が車載アンテナに受信されなくなること等により車両使用者が車両から所定距離以上離れたと判定されると(ステップ100での肯定判定)、車載機10は、その時点で、スイッチ・センサ類26の状態に基づいて、エアコン及びエンジンがオン状態に作動しているか否か、開閉ドアが開放若しくは半ドア状態にあるか否か、車両ドアがアンロック状態にあるか否か、及び、灯火類が点灯状態にあるか否かを判別し、そして、各車載機器があるべき状態にないか否か、すなわち、車載機器の車両使用者による操作忘れが生じている可能性があるか否かを判別する(ステップ102)。尚、ここで、車載機器のあるべき状態とは、エンジンやエアコンについてはオフ状態のことであり、ウィンドウや開閉ドアについては完全なる閉じ状態のことであり、車両ドアについてはロック状態のことであり、また、灯火類については消灯状態のことである。
【0031】
車載機10は、その判別結果としてすべての車載機器があるべき状態にあり、操作忘れの可能性がないと判定する場合は、操作忘れが生じている可能性のある旨のセンタ14への通知を行わない一方、少なくとも一の車載機器があるべき状態になく、操作忘れの可能性があると判別する場合は、その車載機器に関する操作忘れ通知が記憶装置42の通知許否設定において許可されているときに限り、その車載機器の操作忘れが生じている可能性のある旨をセンタ14へメールなどにより通報する(ステップ104)。尚、その車載機器に関する操作忘れ通知を不要とする通知許否設定が記憶装置42でなされているときには、操作忘れが生じている可能性のある旨のセンタ14への通知を行わない。
【0032】
センタ14は、車載機10から車載機器の操作忘れが生じている可能性のある旨の通知を受けた場合(ステップ200)、後に詳述する如く、データベース62に格納されている車載機器の操作に関する履歴情報に基づいて、その車載機器の状態が本当に車両使用者の故意や自由意思によるものでなく操作忘れによるものであるかを判別する(ステップ202)。その結果、車載機器の状態が操作忘れによるものでないと判別する場合は、その操作忘れが生じている旨の車両使用者への通知を行わない。一方、車載機器の状態が操作忘れによるものであると判別する場合は、その操作忘れが生じている旨を車両使用者へ通知すべくそのことを示す情報を当該車載機10に対応する携帯端末12にメールなどにより送信する(ステップ204)。携帯端末12は、センタ14から送信される操作忘れ情報を受信した場合(ステップ300)、その車載機器の操作忘れを車両使用者に知らせるべく入出力部54から音声出力及びディスプレイ表示を行う(ステップ302)。
【0033】
このように本実施例の車両状態通知システムにおいては、車両使用者がイグニションオフ及びアクセサリオフにより車両使用を中止した後又は降車後にドアロック等を行った後、何れかの車載機器があるべき状態になく操作忘れ状態にある場合、その車載機器の操作忘れ情報を車載機10からセンタ14を通じて携帯端末12へ送信することにより、携帯端末12を所持する車両使用者に車載機器の操作忘れをその車載機器を特定して知らせることができる。このため、車両使用者が、オン操作したエアコンや灯火類等の車載機器のオフ操作をうっかり忘れた場合や開けた車両ドアや窓等の車載機器の完全なる閉操作を行わなかった場合等にも、その車両使用者にその後の対応を適切に取らせることが可能となる。
【0034】
また、かかるシステムにおいては、少なくとも一の車載機器があるべき状態になく、操作忘れの可能性があると判別される場合にも、その車載機器に関する操作忘れ通知が車載機10の記憶装置42の通知許否設定において許可されていないときには、操作忘れが生じている可能性のある旨のセンタ14への通知が行われない。この記憶装置42の通知許否設定は、車両使用者による車載機10での入力部40の操作によって変更可能である。従って、本実施例のシステムによれば、車両使用者による車載機器の操作忘れの通知に関し車両使用者の意思を尊重することが可能となっており、この点から車載機器の操作忘れ通知を車両使用者の意思に反しないように適切に実現することが可能となっている。
【0035】
また、本実施例において、車両使用者は、特に車両から離れた地点等で、自発的に或いはセンタ14から携帯端末12を介して車載機器の操作忘れを通知された後、車両暖機等のためエンジンやエアコンを始動させ若しくは停止させること、盗難防止等のため車両ドアのウィンドウを開いている状態から完全に若しくはある程度閉じること、盗難防止等のため車両ドアを施錠させること、又は、灯火類の消灯を希望する場合、携帯端末12の入出力部54を操作してwebブラウザを起動させる。センタ14は、携帯端末12の操作によって遠隔的に車載機10の有する車載機器を駆動させるのに必要な車両操作を要求するフォーマットを格納している。携帯端末12は、webブラウザを起動した状態で車両使用者による操作に従ってセンタ14と通信ネットワークを介して無線通信接続し、センタ14の有する車両操作を要求するためのweb画面を提供するようにセンタ14に要求する。センタ14は、携帯端末12からの要求に従って車両操作を要求するためのweb画面を携帯端末12に提供する。携帯端末12は、上記処理に従ってセンタ14から車両操作を要求するためのweb画面を取得する。
【0036】
このweb画面には、携帯端末12の操作によって遠隔制御することが可能な車両操作の項目が設けられている。携帯端末12は、遠隔制御可能な車両操作の項目ごとに設けられたチェックボックスにおけるチェックの有無に基づいて、何れの車載機器の遠隔駆動(車両操作)が車両使用者に希望されているか否かを判別する。携帯端末12は、車両使用者による操作によって上記何れかのチェックボックスにチェックが入った状態で送信要求がなされると、そのチェックに対応する車載機器の遠隔駆動が希望されていることをセンタ14に通知すべくその車両操作要求情報をセンタ14に対して送信する。
【0037】
センタ14は、車両操作を要求するためのweb画面を携帯端末12に提供した後に、その携帯端末12から送信される車両操作要求情報を受信した場合、携帯端末12における操作によって特定の車載機器の遠隔駆動が要求されていることを示す車両操作指令信号を車載機10に対して送信する。車載機10は、センタ14から送信される車両操作指令信号を受信した場合、適当なアクチュエータ44へ指令信号を供給してその車両操作要求に応じた車載機器の駆動を実行する。
【0038】
このように本実施例においては、車載機器の駆動は、車両に対する車両使用者の手動操作に従って行われ得ると共に、携帯端末12が車両使用者によりリモート操作されてセンタ14から車載機10へ車両操作要求がなされたことに起因するアクチュエータ44による自動操作に従って行われ得る。このため、車両使用者は、車両に搭乗していなくても車両から離れた場所において携帯端末12のリモート操作により車載機器を駆動させることができる。従って、本実施例のシステムによれば、車両使用者が車両において車載機器の手動操作を忘れていた場合等において上記の如く操作忘れ通知を受けた後にも、携帯端末12をリモート操作することで、アクチュエータ44による車載機器の遠隔駆動を実現することが可能となり、これにより、車載機器を所望の状態へ遠隔的に移行させることが可能となっている。
【0039】
ところで、車両使用者は、イグニションオフ及びアクセサリオフにより車両使用を中止した後や降車後に車両を離れるとき、本当にうっかりして車載機器の操作を忘れることもあるが、故意や自由意思で車載機器を所定の状態に維持させることがある。例えば、ある車両使用者にとってはイグニションオフかつアクセサリオフ後にルームランプを点灯させて車室内で作業を行うこと等が一般的となっていることがある。かかる場合に車載機器の車両使用者による操作忘れ(例えばルームランプの消し忘れ)が生じているとして、車両使用者への操作忘れの通知がなされると、携帯端末12を所持する車両使用者にとっては車載機器の操作忘れに該当しないにもかかわらず通知がなされることとなり、その車両使用者に煩わしさを与えることとなってしまう。そこで、本実施例の車両状態通知システムは、かかる点を考慮して車載機器の操作忘れの通知を車両使用者個々の特性に合わせて適切に行う点に特徴を有している。以下、本実施例の特徴部について説明する。
【0040】
本実施例の如く携帯端末12のリモート操作により車載機器の遠隔駆動を行い得るシステムでは、携帯端末12を所持する車両使用者は、センタ14からの車載機器の操作忘れ通知を受けると、本当にうっかりして車載機器の操作忘れをしていたときには、直ちに携帯端末12をリモート操作してその車載機器を遠隔駆動によって所望の状態に移行させようとすると考えられ、一方、故意や自由意思で車載機器の操作をしていなかったときには、携帯端末12をリモート操作することはなく車載機器の遠隔駆動を実行することはないと考えられる。そして、時間帯や季節,外気温,車両位置を含む車両状態が同じであるような状況では、同一の車両使用者の行動又は同じ営業所の営業車を使用する使用者の行動に関し同じ傾向が現れる可能性は高いと考えられる。例えば、車両使用者によっては車両を自宅駐車場や会社駐車場に駐車してイグニションオフかつアクセサリオフを行った後にルームランプを点けて車室内で日記や日誌を書いたり、又は、自宅等のシャッター付きの駐車場では故意に車両ドアを施錠せず或いはウィンドウを開けたまま降車して車両を駐車することが恒常的であることがある。
【0041】
図3は、本実施例においてセンタ14が車両使用者へ車載機器の操作忘れの通知を行ううえでの判断材料について説明するための図を示す。本実施例において、車載機10は、ある車載機器の操作忘れが生じている可能性のある旨をその機器を特定してセンタ14へ通報する際、同時に、その時点で検出される車室内における乗員の有無や乗車人数、外気温、車室内温度、車両位置などの車両情報を通報時間情報と共に添付してセンタ14に対して送信する。
【0042】
センタ14は、車載機10からの車載機器の操作忘れに関する通報を受けた場合、その車載機器の状態が本当に車両使用者のうっかりした操作忘れによるものであるか否か、言い換えれば、車載機10からの通報に応答して車載機器の操作忘れ通知を車両使用者に対して行う必要があるか否かを判別する。この判別は、データベース62に格納されている、その操作忘れの通知対象である車載機器の車両使用者による過去における操作に関する図3に示す如き履歴情報に基づいて行われる。
【0043】
ここで、データベース62に格納される履歴情報は、車両使用者ごとに又は車両ごとに、過去にセンタ14から車両使用者(携帯端末12)へその車載機器の操作忘れが通知された場合におけるその後の車両使用者の対応・反応内容すなわち携帯端末12のリモート操作によるその車載機器の遠隔駆動の有無、並びに、その車両使用者への操作忘れ通知の前提となる車載機10からセンタ14への通報時に同時に添付された上記各種の車両情報及び時間情報などであると共に、更に、次に同様の車両状態が生じた際にその車載機器の操作忘れを通知する必要性を数値化した具体的な値(例えば○回当たりに一回通知をすべきことを示すパーセント;通知必要度)である。
【0044】
尚、この履歴情報としての通知必要度は、事象ごとに(すなわち、車載機器ごとの共通の車両状態単位で)設定されるものであって、例えば、車両使用者への操作忘れ通報に対して車両使用者がその車載機器の遠隔駆動を実行するための携帯端末12のリモート操作を行わなかったときには、その車載機器の操作忘れ通知の必要性を示す通知必要度は一回当たり所定量ずつ低下し、一方、車両使用者への操作忘れ通報に対して車両使用者がその車載機器の遠隔駆動を実行するための携帯端末12のリモート操作を行ったときには、その車載機器の操作忘れ通知の必要性を示す通知必要度は一回当たり所定量ずつ上昇することとしてもよい。
【0045】
センタ14は、車載機10からの車載機器の操作忘れに関する通報を受けると、車載機器の操作忘れ通知を車両使用者に対して行う必要があるか否かを判別するうえで、まず、車載機10からの通報内容からその操作忘れの通知対象に係る車載機器を情報抽出して特定し、また、その通報内容から乗員の有無や乗車人数,外気温などの車両情報及び通報時間情報を抽出する。そして、操作忘れ通知の対象である特定した車載機器とその各種の抽出した車両情報等とから、データベース62に格納されているその車載機器の操作に関する履歴情報を参照して、その車載機器の操作忘れ通知を車両使用者に対して行う必要性を判別する。具体的には、同じような車両状態でその車載機器の操作忘れを通知する必要度が50%であったときには、その確率で車両使用者への操作忘れ通知を実行する。
【0046】
例えば、図3に示す如き履歴情報がデータベース62に格納されている状況において、車載機10からセンタ14へ操作忘れが生じている可能性があるとして通報された車載機器の状態がルームランプの点灯であって、同時に送信されてきた車両状態が車室内に乗員が存在し、車両位置が自宅付近にあり、時間帯が夜8:00近傍であるものである場合においては、過去に同じような状況で操作忘れ通知が行われても車両使用者の反応がなく、車両使用者の車室内での所用のため携帯端末12のリモート操作によるルームランプの消灯が行われない傾向があると判断できる(例えば通知必要度10%)ので、上記した車載機10からセンタ14へ通報された車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものではないすなわち故意又は自由意思によるものである可能性が高いとして、車両使用者への操作忘れ通知を行わないことを決定する。尚、この場合にも、通知必要度が10%であるときは、10回当たりに一回は車両使用者への操作忘れ通知を行うこととしてもよい。
【0047】
また、車載機10からセンタ14へ操作忘れが生じている可能性があるとして通報された車載機器の状態がエアコン又はエンジンのオン状態であって、同時に送信されてきた車両状態が車室内に乗員が存在せず、車両位置が頻繁に通う自宅に最寄りのコンビニエンスストア付近にあり、外気温が30℃に達しているものである場合においては、過去に同じような状況で操作忘れ通知が行われても車両使用者の反応がなく、車室内の過熱防止等のため携帯端末12のリモート操作によるエアコン又はエンジンのオフが行われない傾向があると判断できる(例えば通知必要度20%)ので、上記した車載機10からセンタ14へ通報された車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものではない可能性が高いとして、車両使用者への操作忘れ通知を行わないことを決定する。尚、この場合にも、通知必要度が20%であるときは、5回当たりに一回は車両使用者への操作忘れ通知を行うこととしてもよい。
【0048】
更に、車載機10からセンタ14へ操作忘れが生じている可能性があるとして通報された車載機器の状態がウィンドウの開放であって、同時に送信されてきた車両状態が車室内に乗員が存在せず、車両位置が自宅付近にあり、外気温が25℃程度に達しているものである場合においては、過去に同じような状況で操作忘れ通知が行われても車両使用者の反応がなく、車室内の過熱防止のため携帯端末12のリモート操作によるウィンドウの閉じが行われない傾向があると判断できる(例えば通知必要度10%)ので、上記した車載機10からセンタ14へ通報された車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものではない可能性が高いとして、車両使用者への操作忘れ通知を行わないことを決定する。尚、この場合にも、通知必要度が10%であるときは、10回当たりに一回は車両使用者への操作忘れ通知を行うこととしてもよい。
【0049】
一方、車載機10から操作忘れが生じている可能性があるとして通報された車載機器の状態がルームランプの点灯であって、同時に送信されてきた車両状態が車室内に乗員が存在せず、車両位置が自宅以外の任意の場所であるものである場合においては、過去に同じような状況で操作忘れ通知が行われた際に車両使用者が反応して携帯端末12のリモート操作によりルームランプの消灯を行う傾向があると判断できる(例えば通知必要度90%)ので、上記した車載機10からセンタ14へ通報された車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものである可能性が高いとして、車両使用者への操作忘れ通知を行うことを決定し、実際に車両使用者(携帯端末12)への操作忘れ通知を実行する。尚、この場合にも、通知必要度が90%であるときは、10回当たりに一回は車両使用者への操作忘れ通知を行わないこととしてもよい。
【0050】
携帯端末12は、センタ14から送信される車載機器の操作忘れ通知を受信すると、その受信情報から操作忘れが生じている車載機器とその操作忘れの種類とを特定し、その車載機器の操作忘れを車両使用者に知らせるべく、入出力部54から音声出力及びディスプレイ表示出力を行う。
【0051】
このように、本実施例の車両状態通知システムにおいては、車載機10からセンタ14へ車載機器の操作状態が車両使用者の操作忘れに該当する可能性のあることが通報されると、そのすべての通報に対応してセンタ14から車両使用者の所持する携帯端末12へ車載機器の操作忘れが生じている旨の通知がなされるわけではなく、センタ14が車両使用者への操作忘れ通知の必要性を判別して通知の必要があると判断するもののみ、センタ14から携帯端末12への車載機器の操作忘れ通知がなされる。
【0052】
上記したセンタ14における車両使用者への操作忘れ通知の必要性の判別は、データベース62に格納されている車両使用者ごとの又は車両ごとの、その操作忘れの通知対象である車載機器の車両使用者による過去における操作に関する図3に示す如き履歴情報に基づいて行われる。すなわち、センタ14における車載機器の操作忘れが生じていると判定するうえでの条件は車両使用者ごと又は車両ごとに異なる。かかる構成によれば、車載機器の操作忘れ通知の必要性の判別には、過去における車両に乗車する車両使用者個々の癖などを含む特性が反映されるので、従って、本実施例の車両状態通知システムによれば、センタ14から車両使用者への車載機器の操作忘れ通知を、その車両使用者の意思に反しないように車両使用者個々の特性に合わせて適切に実行することが可能となっている。
【0053】
このため、本実施例によれば、車両使用者は、車載機器の操作をうっかり忘れていたときにのみセンタ14からの通知でその操作忘れを知ることが可能となる一方、車載機器の操作を故意や自由意思で行わなかったときにはセンタ14からの通知を受けないので、センタ14からの車載機器の操作忘れ通知に関し車両使用者に煩わしさをできるだけ与えないようにすることが可能となっている。尚、このシステムによれば、データベース62に蓄積される履歴情報が多くなるほど、センタ14から車両使用者への車載機器の操作忘れ通知に関する信頼性が高くなるので、より精度のよい車両状態通知システムが構築されることとなる。
【0054】
ところで、上記の実施例においては、センタ14が特許請求の範囲に記載した「車両状態通知装置」に、携帯端末12が特許請求の範囲に記載した「携帯機」に、エンジン、エアコン、ウィンドウ、開閉ドア、車両ドア、並びに灯火類などが特許請求の範囲に記載した「車載機器」に、データベース62が特許請求の範囲に記載した「履歴記憶手段」に、それぞれ相当していると共に、センタ14のホストコンピュータ60が、図2に示すルーチン中ステップ202の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「操作忘れ有無判別手段」が、ステップ202の処理後にステップ204の処理を実行する又は実行しないことにより特許請求の範囲に記載した「通知制御手段」が、携帯端末12から送信される車両操作要求情報を受信して車載機10に対して特定の車載機器の遠隔駆動を実現すべくその遠隔駆動が要求されていることを示す車両操作指令信号を送信することにより特許請求の範囲に記載した「自動操作手段」が、それぞれ実現されている。
【0055】
尚、上記の実施例においては、センタ14が、車載機10からの送信情報に基づいて車両使用者の操作し得る車載機器の操作状態が操作忘れによるものであるか否かの判別を行い、否定判別がなされる場合には携帯端末12への操作忘れ通知を行わないことにより車両使用者への通知禁止を実現することとしているが、車両使用者ごとの或いは車両ごとの車載機器の操作に関する履歴情報を格納する記憶装置をセンタ14に代えて車載機10に設けたうえで、車載機10が、車載機器の操作状態が操作忘れによるものであるか否かの判別を行い、否定判別がなされる場合にはセンタ14への操作忘れ通知を行わないことにより車両使用者への通知禁止を実現することとしてもよい。この場合には、車載機10が特許請求の範囲に記載した「車両状態通知装置」に相当することとなる。
【0056】
また、同様に、車載機10からセンタ14を通じて携帯端末12へ車両情報や時間情報を供給して、かかる車両状態等を携帯端末12にモニタさせたうえで、携帯端末12が、車載機器の操作状態が操作忘れによるものであるか否かの判別を行い、否定判別がなされる場合には入出力部54からの操作忘れ通知に関する音声出力及びディスプレイ表示を行わないことにより車両使用者への通知禁止を実現することとしてもよい。この場合には、携帯端末12が特許請求の範囲に記載した「車両状態通知装置」に相当することとなる。
【0057】
また、上記の実施例においては、センタ14から携帯端末12への操作忘れ通知後にセンタ14のデータベース62に格納する履歴情報としての車両使用者の対応内容として、携帯端末12のリモート操作による車載機器の遠隔駆動の有無情報を用いることとしているが、車両使用者は車載機器の操作をうっかり忘れていた状態でセンタ14からのその操作忘れの通知を受けたとき、車両の近くに位置すれば携帯端末12のリモート操作を行わずにその車載機器を直接手動で操作することが考えられるので、センタ14が携帯端末12への操作忘れ通知後の例えば10分後に車載機10に車載機器の状態を問い合わせ、車載機10が車載機器があるべき状態に至っているか否かをセンタ14へ返答することにより、センタ14がその返答内容から車両使用者の対応内容を推定し、その情報をデータベース62に履歴情報として格納することとしてもよい。
【0058】
また、同様に、携帯端末12がカメラ機能や音声送受機能を有している場合には、センタ14から携帯端末12への操作忘れ通知後にセンタ14のデータベース62に格納する履歴情報としての車両使用者の対応内容として、携帯端末12の撮影する車両使用者の顔の表情や声の調子を携帯端末12からセンタ14へデータ送信してセンタ14に音声認識させ或いは画像処理させて得られる情報を用いることとしてもよい。尚、この場合、データベース62への履歴情報の格納は、センタ14が自動的に行うこととなるが、センタ14から携帯端末12への操作忘れ通知後における車両使用者の対応内容が車両使用者自身から携帯端末12を用いてセンタ14にいるオペレータへ音声や画像を通じて通知される場合には、データベース62への履歴情報の格納は、そのオペレータがその通知に従ってデータベース62への入力操作を行うことにより実現するものであってもよい。
【0059】
また、上記の実施例においては、車両状態通知システムを、車両に搭載される車載機10と、車両使用者に携帯される携帯端末12と、情報管理を行うセンタ14とにより構成するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、センタ14を有さない車載機10と携帯端末12とにより構成されるシステムに適用することとしてもよい。
【0060】
更に、上記の実施例においては、車載機器の車両使用者への操作忘れ通知を車両使用者の携帯する携帯端末12を通じて行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両からのブザー出力や報知出力,スピーカによる音声出力などにより上記の操作忘れ通知を行うものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施例である車両状態通知システムの構成図である。
【図2】本実施例の車両状態通知システムにおいて実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図3】本実施例において車両使用者への車載機器の操作忘れの通知を行ううえでの判断材料について説明するための図である。
【符号の説明】
【0062】
10 車載機
12 携帯機
14 センタ
60 ホストコンピュータ
62 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両使用者により操作可能な車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別する操作忘れ有無判別手段と、前記操作忘れ有無判別手段により前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであると判別される場合は、該車載機器が操作忘れ状態にある旨を車両使用者へ通知し、一方、前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものでないと判別される場合は、該車載機器が操作忘れ状態にある旨の車両使用者への通知を禁止する通知制御手段と、を備える車両状態通知装置であって、
車両使用者による前記車載機器の操作に関する履歴情報を格納する履歴記憶手段を有し、
前記操作忘れ有無判別手段は、前記履歴記憶手段に格納されている前記履歴情報に基づいて、前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別することを特徴とする車両状態通知装置。
【請求項2】
前記履歴記憶手段は、前記車載機器が操作忘れ状態にある旨の車両使用者への通知が行われた後における車両使用者の対応内容を前記履歴情報として格納することを特徴とする請求項1記載の車両状態通知装置。
【請求項3】
車両使用者からの遠隔操作指示に従って前記車載機器を自動操作する自動操作手段を備えることを特徴とする請求項2記載の車両状態通知装置。
【請求項4】
前記履歴記憶手段は、少なくとも前記操作忘れ有無判別手段による判別対象である前記車載機器の状態が生じた際における車両状況を前記履歴情報として格納することを特徴とする請求項1又は2記載の車両状態通知装置。
【請求項5】
前記操作忘れ有無判別手段は、現在の車両状況を前記履歴記憶手段に格納されている過去の車両状況と比較した結果に基づいて、前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別することを特徴とする請求項4記載の車両状態通知装置。
【請求項6】
車両使用者により操作可能な車載機器の状態を所定条件の成立時に通報する車載機と、前記車載機から通報される前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別して、肯定判定がなされる場合は該車載機器が操作忘れ状態にある旨を車両使用者へ通知し、一方、否定判定がなされる場合は該車載機器が操作忘れ状態にある旨の車両使用者への通知を禁止するセンタと、車両使用者に所持され、前記センタから通知された前記車載機器が操作忘れ状態にある旨を車両使用者へ向けて出力する携帯機と、からなる車両状態通知システムであって、
前記センタは、車両使用者による前記車載機器の操作に関する履歴情報を格納する履歴記憶手段を有し、該履歴記憶手段に格納されている前記履歴情報に基づいて、前記車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものであるか否かを判別することを特徴とする車両状態通知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−65766(P2006−65766A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250395(P2004−250395)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】