説明

車両用アルコール検知システム

【課題】 運転者の呼気に含まれるアルコール濃度を計測する前の測定準備期間を従来よりも少しでも短縮し、すばやく計測を開始できる車両用アルコール検知システムを提供する。
【解決手段】 車両の運転席に着座したユーザーの呼気に含まれるアルコール濃度を検出するアルコール検出手段11,19bに対し、初期状態から予め定められた安定作動状態に移行させるための測定準備処理が実行される車両用アルコール検知システム1において、車外のユーザーが車両に搭乗してイグニッションON操作をするに至るまでの運転前期間のうち、車両に乗車するよりも前の段階で車両になされる所定の運転前操作を検知し、これに伴い上記測定準備処理を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用アルコール検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−224319号公報
【0003】
車両(例えば、自動車)の飲酒運転は重大な社会問題となっていて、運転者が酒気を帯びた状態で車両を運転することは厳禁されている。それにも拘らず、従来の車両では、酒気帯び状態の運転者が運転するか否かは、当該運転者の自覚に頼っていた。このため、酒気を帯びた運転者が車両を運転することを強制的に防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。これらの技術は、車両にアルコール検知装置(アルコール濃度測定装置)を搭載し、運転者が酒気を帯びていないことが確認されなければ、例えばエンジン始動を禁ずるものである。
【0004】
一般的な車両用のアルコール検知装置は、アルコールセンサを備えて構成され、吹き込み口に吹き込まれた呼気からその呼気に含まれるアルコール濃度を測定して、被験者の酒気帯び度を検出するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のアルコール検知装置においては、アルコールセンサの測定精度向上のため、測定前には必ず測定準備処理が数十秒の時間をかけて実施される。このため、測定前のそうした数十秒の待ち時間が生じてしまい、運転者がなかなか運転できないことに苛立ちを感じてしまう。特に、明らかに酒気帯びの可能性がない状態を自覚するユーザーであればなおさらである。
【0006】
本発明の課題は、運転者の呼気に含まれるアルコール濃度を計測する前の測定準備期間を従来よりも少しでも短縮し、すばやく計測を開始できる車両用アルコール検知システムを提供することにある。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両用アルコール検知システムは、
車両の運転席に着座したユーザーの呼気に含まれるアルコール濃度を検出するアルコール検出手段と、
前記アルコール検出手段を初期状態から予め定められた安定作動状態に移行させるための測定準備処理を行う測定準備処理実行手段と、
前記アルコール検出手段の前記安定作動状態において、測定された前記アルコール濃度が前記閾レベルを下回る場合には、前記車両に対し通常走行を許可する一方で、同じく測定された前記アルコール濃度が前記閾レベルを上回る場合には、前記車両に対し少なくとも予め定められた車速レベルを上回る走行を禁止する走行制限を設定する車両走行制限手段と、
車外のユーザーが当該車両に搭乗してイグニッションON操作をするに至るまでの運転前期間の中で必須に出力される予め定められた運転前出力信号を検知する運転前出力信号検知手段と、
前記運転前出力信号を検知するに伴い、前記測定準備処理実行手段に対し前記測定準備処理を開始させる測定準備処理開始指示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
従来のアルコール検出手段は、イグニッションON操作に伴い測定準備処理が開始される構成が採用されているため、測定準備処理が完了するまでに一定の時間を要し、さらに車両を運転可能となるまでにはさらなる時間を要していた。ところが、上記本発明の構成によれば、イグニッションON操作がされるよりも前の段階で既に測定準備処理が開始されるから、測定準備処理を待つ時間をわずかでも省略することができ、すばやく計測処理を開始できる。
【0009】
本発明において、アルコール検知手段は、アルコール濃度を検出するために前記ユーザーの呼気が吹き込まれる呼気測定室と、当該呼気測定室内の残留ガスを循環させるファンと、を有して構成することができる。この場合、測定準備処理実行手段は、前記測定準備処理として、少なくとも当該ファンを作動させる処理を実行するように構成できる。呼気測定室内の残留ガスの循環は、上記のファンが駆動して直ちに完了するものではなく所定の時間を要するものである。上記構成によれば、このファンの駆動がいち早く開始されるから、ユーザーが測定を開始する際にその駆動完了を待つ待ち時間を少しでも省略することができ、すばやく計測処理を開始できる。
【0010】
また、本発明において、アルコール検知手段は、所定のセンサ部位が予め定められた温度に到達するよう加熱されることを前提に前記安定作動状態に移行するものとすることができる。この場合、測定準備処理実行手段は、前記測定準備処理として、少なくとも当該加熱を実施するものとできる。所定のセンサ部位を加熱して、これを所定温度に到達させるためには所定の時間を要するものである。上記構成によれば、この加熱処理がいち早く開始されるから、ユーザーが測定を開始する際にその加熱完了を待つ待ち時間を少しでも省略することができ、すばやく計測処理を開始できる。なお、上記ファンの駆動と組み合わせて測定準備処理を実施する態様であってもよい。
【0011】
ところで、本発明における運転前出力信号は、前記ユーザーが車外に位置して前記車両に乗車していない状態において出力される信号とすることができる。この場合、車両に乗り込む前の段階で測定準備処理を開始することができるから、すばやく計測処理を開始できる。
【0012】
また、本発明において、運転前出力信号検知手段は、前記運転前出力信号として、前記運転前期間において必須に実施されるユーザーによる予め定められた運転前操作に基づいて出力される予め定められた出力信号、あるいは前記運転前操作に基づいて実施される所定処理にて出力される予め定められた出力信号を検知するものとできる。測定準備処理が無意味に頻発するようでは電源の消耗が激しくなるという課題が残る。従って、測定準備処理は、運転が見込まれる適切な状況下においてのみ実施されることが望ましい。上記実施形態においては、車両に対する何がしかのユーザー操作があったことを前提に測定準備処理が開始される。車両に対するユーザー操作があったということはその後そのユーザーが車両を運転する可能性があるということであるから、こうしたタイミングで測定準備処理を開始すれば、電源の無駄な消耗を抑制できる。
【0013】
ところで、本発明においては、車両にユーザーが乗車していない段階であっても、アルコール検出手段の測定準備処理を開始することが可能である。その一例として、本発明における車両を、車両周辺の予め定められたキー探索エリア内にポーリング電波を無線出力し、その応答信号の無線受信に基づいて該キー探索エリア内に存在するスマートキーを探索するとともに、当該スマートキーから無線受信するIDコードを照合し、その照合結果に基づいてドアロックの開錠許可を与え、そのドアロックの開錠許可状態において所定のドアロック開錠操作が検知された場合にドアロック機構を作動して開錠するスマートエントリーシステムを搭載したものとし、以下のように構成したものを例示できる。即ち、運転前出力信号検知手段を、前記運転前操作として、車外の前記ユーザーが前記スマートキーを所持した状態で前記キー探索エリア内に進入するエリア進入操作を定め、当該エリア進入操作に伴い前記スマートキーから出力される無線信号の受信に基づいて出力される予め定められた出力信号、あるいは当該無線信号の受信に基づいて前記スマートエントリーシステムにおいて実施される所定の処理にて出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するようにした構成である。このように構成することにより、車両の乗車しようとするユーザーが、未だ車両に乗車していない搭乗前の段階であってもアルコール検出手段の測定準備処理を開始できるので、アルコール濃度測定前に測定準備処理を待つ時間を大きく省略することができる。また、ユーザーがキー探索エリア内に進入する動作(操作)をすることが前提となって測定準備処理が開始されるため、無駄な測定準備処理が実行され難くなり、電源の無駄な消耗を抑制できる。
【0014】
また、この運転前出力信号検知手段は、前記スマートエントリーシステムにおいて、前記IDコードの前記照合結果が前記ドアロックの開錠許可を与えるものであると判定された場合に出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものとできる。ドアロックの開錠許可が与えられた状況というのは、スマートエントリーシステムにおいて照合OKの判定が下り、車両に対応するスマートキーがキー探索エリア内にあると判定された状況である。この状況では、スマートキーを持つユーザーが車両を運転する可能性が極めて高い。従って、スマートエントリーシステムにおいてドアロックの開錠許可が与えられたときに測定準備処理を開始することで、無駄な測定準備処理が実行され難くなり、電源の無駄な消耗を抑制できる。
【0015】
また、この前記運転前出力信号検知手段は、前記スマートエントリーシステムにおいて、前記IDコードの前記照合結果が前記ドアロックの開錠許可を与えるものであると判定された状態で、前記ドアロック開錠操作が検知された場合に出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものとできる。ドアロックの開錠許可が与えられるだけでなく、実際にドアロック開錠操作がなされたときに測定準備処理を開始することで、無駄な測定準備処理が一層実行され難くなり、電源の無駄な消耗を抑制できる。
【0016】
また、本発明において、車両にユーザーが乗車していない段階において、アルコール検出手段の測定準備処理の開始を可能とする一例として、本発明の車両を、車外の携帯キーから送信されるドアロック開錠要求信号及びキー固有のIDコードを無線受信し、無線受信した前記IDコードを照合するとともに、その照合結果と、対応する前記ロック開錠信号とに基づいて、ドアロック機構を作動して開錠するキーレスエントリーシステムを搭載したものとし、以下のように構成したものも例示できる。即ち、運転前出力信号検知手段を、前記運転前操作として、車外の前記ユーザーが所持する前記携帯キーになされる予め定められたドアロック開錠操作を定め、当該ドアロック開錠操作に伴い前記携帯キーから出力される無線信号の受信に基づき出力される出力信号、あるいは当該無線信号の受信に基づいて前記キーレスエントリーシステムにおいて実施される所定の処理にて出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するようにした構成である。このように構成することにより、車両の乗車しようとするユーザーが、未だ車両に乗車していない搭乗前の段階であってもアルコール検出手段の測定準備処理を開始できるので、アルコール濃度測定前に測定準備処理を待つ時間を大きく省略することができる。また、ユーザーによる携帯キーへの明らかな操作が前提となって測定準備処理が開始されるので、無駄な測定準備処理が一層実行され難くなり、電源の無駄な消耗を抑制できる。
【0017】
また、この場合の運転前出力信号検知手段は、前記キーレスエントリーシステムにおいて実施される前記IDコードの前記照合結果と、対応する前記ドアロック開錠要求信号に基づいて、前記ドアロックが開錠されるに際し出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものとできる。携帯キーから無線送信されるドアロック開錠要求信号が受信・認識され、それによってドアロックが開錠された状況は、その携帯キーを所持するユーザーが車両に乗車する意思を有している状況である可能性が高く、さらにはその後に運転が行われる可能性も高い。従って、上記のドアロック開錠のタイミングで測定準備処理を開始することで、無駄な測定準備処理が一層実行され難くなり、電源の無駄な消耗を抑制できる。また、キーレスエントリーシステムにおいては、ユーザーが車両から比較的遠距離にあってもドアロック開錠が可能であるから、より早い段階でアルコール検出手段の測定準備処理を開始することができ、アルコール濃度測定前に測定準備処理を待つ時間を大きく省略できる。
【0018】
なお、特に、スマートエントリーシステムやキーレスエントリーを搭載していない車両、ないしはそれらの機能を搭載しているがその機能を無効化しているような車両において、運転前出力信号検知手段は、前記運転前操作として、車外の前記ユーザーによる前記車両のドアの開操作を定め、当該ドアの開操作に基づいて前記ドアが閉状態から開状態となったことが検知された場合に出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものとできる。ドアロック開錠操作がなされたという状況では、その後に車両を運転する可能性が極めて高い。従って、ドアロックの開錠操作がなされたときに測定準備処理を開始することで、無駄な測定準備処理が実行され難くなり、無駄な電源の消耗も抑制できる。
【0019】
また、運転前出力信号検知手段は、前記運転前操作として、車外の前記ユーザーによる前記車両のドアロック開錠操作を定め、当該ドアロック開錠操作に基づいて前記ドアロックが開錠されるに際し出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものとして構成することもできる。ドアの開操作がなされたという状況では、その後に車両を運転する可能性が極めて高い。従って、ドアの開操作がなされたときに測定準備処理を開始することで、無駄な測定準備処理が実行され難くなり、無駄な電源の消耗も抑制できる。上述のスマートエントリーシステムや、キーレスエントリーシステムを搭載した車両、あるいはそれらが搭載されていないか、それらの機能が無効化されている車両のいずれであっても、実現可能となる。
【0020】
ところで、車両には、発車時刻が予め定められているものがある。例えば、人や貨物を輸送する輸送車両においては、予め決められた時刻に発車するよう運行管理がなされている車両や、そうした運行管理システムに属しているような車両がある。こうした場合の運転前出力信号検知手段は、測定準備処理開始指示手段は、予め定められた基準時刻よりも前に定められた所定の測定準備処理開始時刻が到来したタイミングで出力される基準時刻信号を検知するものとして構成できる。つまり、予め決められた発車時刻を上記の基準時刻として定め、その発車時刻よりも前の所定の時刻になると、測定準備処理が開始されるようにすることができる。これにより、発車時刻になって運転を開始するために乗車したユーザーは直ちにアルコール濃度測定をすることができ、そのまま出発することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用アルコール検知システムの構成を示すブロック図である。図1の車両用アルコール検知システム1は、アルコール検知装置100、スマートエントリーシステム20、ボデーECU400、エンジンECU500が車載LAN90を介して互いが通信可能に接続し、互いが連携する形で実現されている。各ECU10,200,300,400,500は、CPU,ROM,RAM,メモリ等を有した周知のマイコンとして構成されている。
【0023】
スマートエントリーシステム20は、図8及び図9に示すように、無線携帯機であるスマートキー30と、キー照合を行う照合ECU300と、ドアロックの開閉駆動制御を行うドアECU200とを有して構成されている。また、図10に示すように、ボデーECU400は、エンジンスイッチ40への操作内容に基づいて、アクセサリーONとする出力やイグニッションONとする出力を実施し、エンジンECU500は、エンジンスイッチ40への所定のエンジン始動操作に基づいてスターターリレーをONとする出力を実施するとともに、アクセル開度センサ502の検出結果やその他のエンジン系センサの検出結果に基づいてアクチュエータ501を駆動する周知のエンジン駆動制御(噴射制御等)を実施する。
【0024】
図2は、本実施形態におけるアルコール検知装置100の外観図であり、(a)が正面図、(b)が背面図であり、図3は、図2のA−A断面図である。ここでのアルコール検知装置100には、ケース19の正面部の上部に、被測定者が吹きかけた呼気を吸い込むための吸気口19aが設けられているとともに、その下方に、呼気のアルコール濃度の測定結果が表示されるディスプレイをなす表示装置14(表示手段)が設けられている。吸気口19aは円筒状で、ケース19の表面から突出している。また、ケース19の背面部には、アルコール濃度が測定された呼気を強制的に排出するための排気ファン15Fが取り付けられている。
【0025】
表示装置14は、例えばLEDディスプレイであり、計算されたアルコール濃度の測定値を表示するために、ケース19の正面部に外側から表示面が視認可能な形で基板16に取り付けられている。なお、表示装置14は、車両のセンターコンソール上部に配置される表示装置やメーター表示装置等で兼用されるものであってもよい。
【0026】
また、基板16の背面部には、アルコールセンサ11と残留ガス検出部12が取り付けられている。基板16は、ケース19に内装されたカバー体18によって覆われている。このカバー体18は、ケース19の内部を、基板16が収容される基板収容室19cと呼気測定室19bとに区画している。基板16に取り付けられたアルコールセンサ11と残留ガス検出部(センサ)12の各先端部は、カバー体18を突出して、呼気測定室19bに配置されている。呼気測定室19bの収容容量は、成人の1呼吸分である。本実施形態においては、アルコールセンサ11と呼気測定室19bとを有した形で、本発明のアルコール検出手段を構成している。
【0027】
図4は、アルコール検知装置100の構成を示す概略図である。本発明のアルコール検出手段をなすアルコールセンサ11は、アルコール濃度測定を開始するに際し、初期状態から予め定められた安定作動状態に移行させるための測定準備処理を要するものである。
【0028】
本実施形態におけるアルコールセンサ11は半導体センサであり、白金より成るコイル15Cに酸化スズ等の金属酸化物11Bをコーティングして焼結したものである。アルコールセンサ11の機能について説明する。清浄な空気(アルコール分を含まない空気)中では、空気中の酸素原子と金属酸化物(酸化スズ)11B中の電子が結合しているため、金属酸化物11Bには電気が流れにくい状態となっている。このとき、コイル15Cに電流を流し、金属酸化物11Bを所定温度に加熱する(エージング)。これが完了した状態で金属酸化物11Bにアルコール分を含む呼気が接触すると、呼気中のアルコール分と表面の酸素原子とが反応し、金属酸化物11B中の電子と結合している酸素原子が剥ぎ取られる。これにより、金属酸化物11B中の電子が自由になって電気が流れるようになる。この変化を検出回路11Aにて検出し、金属酸化物11Bの電気抵抗値の変化を計測することにより、呼気中のアルコール濃度が測定される。
【0029】
また、呼気測定室19b内の状態を測定するために、呼気測定室19b内の残留ガスを検出する残留ガス検出部(残留ガス検出手段)12が設けられている。本実施形態の残留ガス検出部12は酸素センサであり、呼気測定室19b中の酸素濃度を測定するものである。これにより、呼気測定室19b内の呼気が排出されたかどうかを検知して、新たな測定が可能かどうかを判断するためのものである。残留ガス検出部12として、酸素センサ12の他に、二酸化炭素センサを取り付けて、呼気測定室19b内の二酸化炭素濃度をも測定するようにしてもよい。
【0030】
図5は、アルコール検知装置100の構成を示すブロック図である。上記したアルコールセンサ11、残留ガス検出部12、表示装置14は、アルコール検知ECU10(制御手段)に接続されている。アルコール検知ECU10は、CPU、ROM、RAM、さらには他のメモリや時間計時用のタイマーを有した周知のマイコンとして構成されている。アルコールセンサ11によるアルコール濃度の測定は、測定開始スイッチへの測定開始操作を前提に可能とされており、アルコール検知ECU10は、アルコールセンサ11の検出結果情報に基づいてアルコール濃度を計算するアルコール濃度演算手段として機能するとともに、その測定結果は表示装置14に表示される。
【0031】
また、アルコール検知ECU10には、測定準備処理を実施するための動作部(測定準備動作部)が接続されている。本実施形態における測定準備動作部15は、排気ファン15F及びコイル(ヒータ)15Cである。なお、これらを駆動するための電源は本実施形態においては車載バッテリーVBである。排気ファン15Fは、車載バッテリーVBを電源とするモータによって回転駆動する構成を有し、駆動回路15Eを介して接続するアルコール検知ECU10によって駆動制御される。ここでは、アルコール検知ECU10に接続する図示しない温度センサによって呼気測定室19b内の温度が検出され、アルコール検知ECU10は、その検出温度に基づいて、排気ファン15Fのモータの回転速度を制御する。ヒータ15Cは、車載バッテリーVBを電源とし、電源回路15Dを介して通電がなされることで加熱する。その通電は、駆動回路15Aを介して接続するアルコール検知ECU10によって制御される。
【0032】
図7は、本実施形態における測定準備処理の流れを示すフローチャートである。この測定準備処理は、アルコール検知ECU10のCPUが、所定記憶部に記憶された測定準備プログラムを実行する形でなされる処理である。
【0033】
まず、S20では、アルコール検知ECU10のCPUが、上述した測定準備処理を実施するタイミングであるか否かを判定する。測定準備処理の開始タイミングであると判定された場合には、アルコール検知ECU10の所定記憶部に設けられた、アルコール検知装置100が安定作動状態であることを示す安定作動フラグをリセットした上でS21に進み、測定準備処理の開始タイミングでないと判定された場合には本処理を終了する。
【0034】
なお、本実施形態における測定準備処理の開始タイミングは、この車両用アルコール検知システム1を搭載した車両に未だ乗車していない車外のユーザーによって、当該車両に対し非接触で遠隔的になされる車外遠隔操作(運転前操作)を検知し、当該車外遠隔操作が検知されたタイミング、あるいは当該車外遠隔操作の検知に基づいて当該システム1にて実施される所定処理の予め決められたタイミングと定めている。つまり、少なくとも車外のユーザーが車両に搭乗してアルコール濃度測定開始操作(ここではイグニッションON操作)をする前の運転前期間の中で必須の信号出力(運転前出力信号)が検知されたタイミングで、測定準備処理が開始されるようになっている。
【0035】
ここでは、当該車外遠隔操作として、車外のユーザーが車両に対応する携帯キー30を所持した状態でキー探索エリア内に進入する操作(エリア進入操作)と、車外のユーザーが所持する車両に対応する携帯キーになされる予め定められたドアロック開錠操作との双方を定めており、図11及び図12に示すスマートエントリーシステム20が実施する処理において、携帯キー30側から受信したIDコードの照合結果に基づいて、ドアロックの開錠許可(開錠指示も含む)を与えるものと判定された場合に、測定準備処理が開始される。具体的に言えば、このようにして開錠許可を与えるとの判定がなされた際に出力される予め決められた信号(開錠許可信号)を照合ECU300が検知して、測定準備処理の開始を指示する制御信号をアルコール検知ECU10に送信し、これを受信したアルコール検知ECU10が測定準備処理を実施するタイミングであると判定する。このため、本実施形態においては、ユーザーが車内に乗車するよりも前に測定準備処理が開始されるようになっている。
【0036】
S21では、アルコール検知ECU10のCPUが、測定準備動作部(測定準備処理実行手段)15C,15Fに測定準備動作を実施させるための駆動指令をそれぞれ出力する。これにより、アルコール検知装置100に駆動電力を供給する電源供給手段(ここではバッテリーVB)から、これら駆動部15C,15Fにそれぞれ駆動電力が供給され、それぞれの動作が開始する。ここでは、上記駆動指令に係る信号によって回路15Dのスイッチ15SがONに切り替えられることで、コイル15Cへの通電が開始してコイル15Cが加熱される。また、排気ファン15Fを回転動作させる駆動モータにも駆動電力が供給されて、排気ファン15Fが回転を開始する。
【0037】
また、これら測定準備動作部15の駆動に伴い、S22にて、アルコール検知ECU10のCPUがタイマーを作動し、時間カウントが開始する。S23にて、タイマーにより所定の時間が経過したと判定された場合にはS24に進む。つまり、本実施形態においては、所定時間が経過したことで、金属酸化物11Bのエージング処理が完了し、なおかつ呼気測定室19b内の排気処理が完了して、安定測定が可能な状態となったと判定する。
【0038】
なお、呼気測定室19b中に残留する残留ガスの検出部12が設けられている場合には、残留ガス検出部12の検出結果が、予め決められた濃度分布を満たした場合を、呼気測定室19b内の排気処理が完了して測定が可能な状態となったと判定してもよい。本実施形態においては、残留ガス検出部12として酸素センサが設けられているので、これにより検出される呼気測定室19b中の酸素濃度が所定レベルを下回った場合に、呼気測定室19b内の排気処理が完了し、測定が可能な状態となったと判定してもよい。ただし、本実施形態の残留ガス検出部12は、検出が可能な状態となるまでに、ヒータ15Cと同様、測定準備動作としてのヒータ15Bを加熱する暖気動作が必要となる。従って、タイマーにより所定の時間が経過したと判定された場合に、残留ガス検出部12による検出を実施し、その検出結果が基準をクリアした場合に、測定が可能な状態となったと判定するようにできる。つまり、この場合、測定準備動作部15はヒータ15Bも含むことになる。
【0039】
S24では、測定準備完了を通知する。具体的に言えば、アルコール検知装置100が初期状態から予め定められた安定作動状態に移行したと判定され、当該安定作動状態となったことを車室内にて報知する。なお、この報知は、例えば表示装置14に画面表示する形で行ってもよいし、この他にも、音出力装置によりブザー音や音声にて報知するようにしてもよい。また、このときアルコール検知ECU10の所定記憶部に設けられた安定作動フラグをセットする。
【0040】
続くS25では、アルコール濃度測定が開始され、S26にてその測定が完了したか否かを判定する。例えばアルコール濃度計算の終了(図6のS5のYes)により、測定完了と判断する。完了した場合には、全ての測定準備動作部15を停止させ、バッテリーVBからの電力供給を遮断する。これにより、バッテリーVBの無駄な消耗を抑制できる。
【0041】
なお、本実施形態のアルコールセンサ11は、ヒータ15Cの加熱駆動を継続した形でアルコール濃度測定するものであるが、ヒータ15Cを停止した状態でアルコール濃度測定を実施可能なものに変更することもでき、バッテリーVBの消耗をより一層抑制できる。この場合、測定準備動作が完了したS24のタイミングで中にて、ヒータ15CへのバッテリーVBからの電力供給を遮断する。
【0042】
この測定準備処理が実施されることで、アルコール検知ECU10が、本発明の運転前出力信号検知手段及び測定準備処理開始指示手段として機能する。
【0043】
図6は、本実施形態におけるアルコール濃度測定処理の流れを示すフローチャートである。このアルコール濃度測定処理は、アルコール検知ECU10のCPUが、所定記憶部に記憶されたアルコール濃度測定プログラムを実行する形でなされる処理である。
【0044】
まず、S1では、アルコール検知ECU10のCPUが、アルコール濃度測定を開始するか否かの判定を行う。この判定は、アルコール濃度測定を開始するための開始操作の有無に基づいて判定される。ここでは、車室内のエンジンスイッチ40においてイグニッションリレーをONとするための操作(イグニッションON操作)を、アルコール濃度測定を開始するための開始操作として定めるものとする。なお、ユーザーがエンジン始動スイッチ40に対するスターターリレーをONするための操作(いわゆるエンジン始動操作)は、イグニッションONを前提に実施される操作であるから、このエンジン始動操作もアルコール濃度測定の開始操作であるといえる。ただし、本実施形態においては、後述するように、この段階でスターターリレーがONとなるとは限らない。アルコール濃度測定の開始操作があった場合にはS2に進み、無ければ本処理を終了する。
【0045】
S2では、既に述べた測定準備処理が完了しているか否かを判定する。本実施形態においては、ユーザーが車外にいる段階で測定準備処理が開始されていることから、当該ユーザーが車室内の乗り込んでエンジンスイッチ40を操作する前の段階で既に測定準備処理が完了している可能性もあるし、完了していなくとも完了までの待ち時間は少なくて済む。なお、ここでの測定準備処理の完了判定は、アルコール検知ECU10の所定記憶部に記憶された安定作動フラグの状態を確認して行うものとする。S2は、測定準備処理が完了するまで繰り返し実施され、完了判定がなされるとS3に進む。
【0046】
S2からS3に進むことで、アルコール検知装置100はスタンバイ状態(検知可能待機状態)となる。スタンバイ状態となったS3においては、例えば、表示装置14に「息を吹きかけて下さい」と表示する。音声案内であってもよい。これを受けた被測定者は、図示しない吸気口19aを開閉する吸気口開閉体を、同じく図示しない操作部への開操作により開状態とした上で、吸気口19aに口を近づけて呼気を吹きかける。このとき被測定者は、2呼吸以上の呼気を吹きかけることにより、呼気測定室を呼気で充満させることが望ましい。図3において、呼気の流れを矢印Pで示す。それに伴い、酸素濃度が徐々に低下し、二酸化炭素濃度が徐々に上昇する。そして、吹きかけられた呼気にアルコール分が含まれていると、アルコール濃度が徐々に上昇する。これにより、S4でのアルコール濃度測定が開始する。
【0047】
S4において、呼気測定室19bに流入した呼気が、アルコールセンサ11に接触すると、呼気中のアルコール分が検出されるとともに、その検出結果に基づいてアルコール濃度が計算される。このとき表示装置14には、アルコール濃度の測定中を示す「判定中」との表示がされる。
【0048】
続くS5にて、アルコール濃度の測定が終了したと判定されると、S6に進む。S6では、測定されたアルコール濃度が予め定められた閾レベルを下回る場合には、S7にてエンジンECU500に対し車両に対し通常走行を許可する制御信号を出力する一方で、同じく測定されたアルコール濃度が前記閾レベルを上回る場合には、S9にてエンジンECU500に対し車両に対し少なくとも予め定められた車速レベルを上回る走行を禁止する走行制限を設定する制御信号を出力する(車両走行制限手段)。
【0049】
なお、ここでの走行制限は、エンジン始動操作が無効化され、エンジン始動が禁止される形でなされる。つまり、エンジン始動スイッチ40に対するスターターリレーをONするための操作(エンジン始動操作)が無効化される。具体的に言えば、アルコール検知ECU10が、図1及び図10に示すエンジンECU500に対し所定の走行制限の設定を指示する制御信号を送信し、これを受けたエンジンECU500が、エンジン始動スイッチ40に対するエンジン始動操作があってもエンジン始動がされないよう、スターターリレーをONとする出力を禁止する。
【0050】
続いて、表示装置14には、例えば「アルコール濃度 *.**mg/L」(Lはリットル)というような形で、アルコール濃度の測定結果が表示される。さらに、表示装置14には、測定されたアルコール濃度が閾レベルを下回ると判定されている場合には「運転可能です。」等のように、通常運転が可能であるとの表示がなされ(S8)、閾レベルを上回ると判定されている場合には「アルコールが検出されました。運転できません。」等のように、走行制限が設定されたとの表示がなされる(S10)。これにより、被測定者は、現在の状態における自身の酒気帯び度合いと、走行制限が設定されたか否かを認識できる。これらS8及びS10の後、本処理は終了する。
【0051】
以下、本実施形態のスマートエントリーシステム20について、簡単に説明する。
【0052】
スマートエントリーシステム20は、車両に搭載される照合ECU300と、スマートキー(携帯キー:いわゆる無線携帯キーや電子キーと称されるものである)20と、ドアECU200とを含んで構成されている。
【0053】
図8に示すように、照合ECU300には、車両10に固有の照合用のマスターコード(マスターID)を記憶した外部の記憶装置301、車室外発信機311、車室内発信機312、受信機320、エンジンスイッチ40、運転席のドアロックを施錠・開錠するための操作部302、他席のドアロックを施錠・開錠するための操作部303が接続されている。照合ECU300のROMないしメモリには、スマートエントリーシステム及びキーレスエントリシステムを実現するための各種プログラムが記憶され、これらがCPUより実行可能とされている。
【0054】
車室外発信機311は、車両の運転席、助手席及びトランク開閉用ドアに設けられている。車室外発信機311は、例えば各ドアのハンドル部に内蔵されており、その周囲に定期的に問い合わせ信号(ポーリング信号やリクエスト信号:LF(長波)帯域の電磁波)を送信する。こうした問い合わせ信号は、各ドアから70cm〜1m程度の予め定められたキー応答エリア(車外検知エリア)内にのみ届くよう出力調整されている。
【0055】
車室内発信機312は、車室内に設けられるものであり、車種によっては、フロントとリアとにそれぞれ設けられている。また、車両後部のトランク内にも設けられている。車室内発信機312は、車室内に定期的に問い合わせ信号(例えばLF(長波)帯域の電磁波)を送信する。この問い合わせ信号は、車室内にて予め定められたキー応答エリア(車内検知エリア)内にのみ届くようその出力が調整されている。
【0056】
受信機320は、各キー応答エリア内のスマートキー30からの応答信号や操作信号(レスポンス信号や施錠・開錠要求信号:RF(高周波)帯域の電磁波)を受信し、照合ECU300に送る。なお、スマートキー30からの送信信号には、スマートキー30がキー応答エリアの何れに存在するかを識別可能なデータが含まれている。
【0057】
スマートキー30(携帯キー)は、照合ECU300との間でデータの無線送受信が可能な携帯型無線装置としての機能を果たす。本実施形態においては、対応する車両固有のIDコードを記憶した制御部35に対し、無線受信部(LF(長波)帯域の電磁波を受信)31、無線送信部(RF(高周波)帯域の電磁波)を送信)32、ドアロック開錠操作部33、ドアロック施錠操作部34が接続する構成を有する。制御部35は、発信機311、312からの問い合わせ信号(ここではポーリング信号)の受信や操作部33、34への操作に伴いによって起動し、メモリに記憶されているIDコードを含むレスポンス信号を、車両側の受信機320に送信する。
【0058】
図9に示すように、ドアECU200は、車両ドア(トランクのドア等を含めてもよい)のロック又はアンロック制御を司る制御主体である。このドアECU200には、ドアロックの施錠/開錠状態を切り換えるためのドアロック駆動部(モータやその駆動回路)201,202や、それら施錠状態/開錠状態を検出する検出部211,212、ドアの開閉状態を検知する検出部221,222等が接続されている。
【0059】
図11は、スマートエントリーによるドアロック開錠処理の流れを簡単に示す図である。照合ECU300は、予め定められた周期で、車外の携帯キーを探索するための問い合わせ信号としてポーリング信号(ポーリング電波)を発信機311から無線出力させている。これに対し、スマートキー30を携帯したユーザーが、このスマートキー30をキー応答エリア(車外検知エリア)内に位置させるようにする操作を行うと、スマートキー30は、受信部31にて当該ポーリング信号を無線受信し、これに応答する所定のレスポンス信号を送信部32から無線出力する。車両側がこのレスポンス信号を受信機320にて無線受信すると、照合ECU300が、このレスポンス信号に基づいて、自車に対応するスマートキー3の存在確認を実施する。存在が確認された場合には、対応するスマートキー30に対しキー固有のIDコードを要求するためのリクエスト信号を発信機311から無線出力させる。当該リクエスト信号を受信部31にて無線受信したスマートキー30は、これに応答するレスポンス信号として、制御部35が記憶するIDコードを含む信号を送信部32から無線出力する。照合ECU300は、このレスポンス信号を受信機320にて無線受信すると、このレスポンス信号に含まれるIDコードと、自身が記憶するマスターコードとを照合し(照合処理)、照合一致(照合OK)の場合にはドアECU200にドアロックの開錠を許可する制御信号を出力し、他方、照合不一致(照合NG)の場合にはドアECU200にドアロックの開錠を禁止する制御信号を出力する。
【0060】
ドアECU200は、図11の処理によって受信した制御信号によりドアロックの開錠が許可された状態(開錠許可モード)となっていると、ドアの車外側に設けられたドアロック開錠操作部302や303に対し所定のドアロック開錠操作がなされるに伴い、対応するドアのドアロック駆動部201や202を駆動して、そのドアロックを開錠状態とする。他方、図11の処理によって受信した制御信号によりドアロックの開錠が禁止された状態(開錠禁止モード)となっていると、ドアの車外側に設けられたドアロック開錠操作部302や303に対し所定のドアロック開錠操作がなされたとしても、当該操作が無効化され、対応するドアのドアロック駆動部201や202は駆動せず、当該ドアロックは施錠状態のままとなる。
【0061】
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。以下、上記実施形態とは異なる実施形態について説明する。なお、共通の構成部分いついては上記実施形態と同様の符号を付することで説明を省略する。
【0062】
上記第一実施形態では、スマートエントリーのドアロック開錠処理に必須に含まれる照合処理において、照合一致との判定出力信号を検知するに伴い測定準備処理を開始するものであったが、その開始タイミングは上記実施形態のようなタイミングに限られず、アルコール濃度測定開始操作(ここではイグニッションON操作)よりも前の段階(運転前期間)であればよい。また、より望ましくは、車外のユーザーがドアを開ける前の段階(運転前期間)であるとよく、さらに望ましくは、車外のユーザーがドアロックを開錠する前の段階(運転前期間)であるとよい。より早い段階で測定準備処理を開始できれば、より早い段階でアルコール濃度測定を開始することができ、ひいてはより早く車両の運転が可能となる。そうした運転前期間において必須に出力される出力信号を、本発明を構成するいずれかのECUが検知したことに基づいて(例えば当該出力信号の信号エッジが検知された場合に)、当該ECUがアルコール検知ECU10に測定準備処理の開始を指示する制御信号を出力する。
【0063】
また、その具体的な測定準備処理の開始タイミングは、上記実施形態での開始タイミングに限られるものではなく、例えばスマートエントリーによるドアロック開錠処理においてスマートキー(携帯キー)30から無線送信された予め定められた出力信号を無線受信したタイミングとすることができる。この場合、照合ECU300が、当該出力信号の無線受信に伴い車両側で出力される所定の出力信号(当該無線受信に係る所定の出力信号)を検知した場合に、アルコール検知ECU10に対し測定準備処理の開始を指示する制御信号を出力する。この場合、受信した信号の内容(例えばIDコード等)とは無関係に測定準備処理が開始されるため、処理がシンプルになるとともに、より素早い開始が見込める。
【0064】
また、別の測定準備処理の開始タイミングとしては、上記実施形態とは異なり、例えばスマートエントリーのドアロック開錠処理においてスマートキー30の照合処理が照合一致と判定され、ドアロックECU200にドアロックの開錠許可が送信された状態で、なおかつドアロックを施錠・開錠するための操作部302、303に対し所定のドアロック開錠操作(ドアロックを施錠状態から開錠状態とする所定の操作)がなされ、これが照合ECU300に検知されたタイミングとすることができる。この場合、これらの条件下でのドアロック開錠操作に伴い出力される所定のドアロック開錠操作信号を照合ECU300が検知して、アルコール検知ECU10に測定準備処理の開始を指示する制御信号を出力する。
【0065】
また、測定準備処理の開始タイミングを与える信号については、スマートエントリーではなく、キーレスエントリーにおけるドアロック開錠処理において必須に出力される所定信号であってもよく、これを検知するに伴い測定準備処理を開始するようにしてもよい。
【0066】
上記実施形態のスマートエントリーシステム20においては、いわゆるキーレスエントリーによるドアロック開錠処理も可能となっている。図12は、キーエントリーシステム20により実施されるドアロック開錠処理の流れを簡単に示す図である。スマートキー(携帯キー)30には、ドアロック開錠操作部33が設けられており、車外のユーザーが、所持している携帯キー30の当該ドアロック開錠操作部33を操作することによって制御部35が起動し、ドア開錠を要求するドアロック開錠要求信号と、制御部35に記憶されたキー固有のIDコードをと含む信号を送信部32から無線出力する。車両はこの信号を受信機320にて受信するとともに、これに含まれるIDコードと、自身が記憶しているマスターコードとを照合し(照合処理)、照合一致(照合OK)の場合には、ドアECU200に対しドアロックの開錠を指示する制御信号を送信し、照合不一致(照合NG)の場合にはドアロックの開錠を指示しない。
【0067】
ドアECU200は、図12の処理によって受信した制御信号によりドアロックの開錠指示を受けると、対応するドアのドアロック駆動部201、202を駆動して、ドアロックを開錠状態とする。他方、ドアロックの開錠指示がなければ、対応するドアのドアロック駆動部201や202を駆動せず、ドアロックは施錠状態のままとなる。
【0068】
こうしたキーレスエントリーシステムを搭載する場合には、例えばスマートキー(携帯キー)30から無線受信したIDコードの照合結果と、同様にスマートキー(携帯キー)30から無線受信した対応するドアロック開錠要求信号とに基づいて、ドアロックを開錠するとされた場合に、測定準備処理を開始するようにすることができる。具体的には、当該照合結果とドアロック開錠要求信号とに基づいてドアロックが開錠されるに際し出力される予め定められた出力信号(運転前出力信号)を照合ECU300が検知して、アルコール検知ECU10に測定準備処理の開始を指示する制御信号を出力する。また、スマートキー(携帯キー)30から何がしかの無線信号を受信した場合に、これに係る信号を検知した照合ECU300がアルコール検知ECU10に測定準備処理の開始を指示する制御信号を出力するようにしてもよい。
【0069】
なお、スマートエントリーとキーレスエントリーとの双方のドアロック開錠処理が可能である場合には、どちらか一方ではなく双方の処理に、測定準備処理の開始のタイミングが定められているとよい。キーレスエントリーのドアロック開錠処理のみが可能な場合には、当然、キーレスエントリーのドアロック開錠処理に、測定準備処理の開始のタイミングを定める。
【0070】
また、それらスマートエントリーやキーレスエントリーの機能が意図的ないしは偶然的に停止した状態となることがありうることも考慮すれば、スマートエントリーとキーレスエントリーとは無関係に、測定準備処理の開始のタイミングを定めてもよい。例えば、ドアロックの状態が開錠状態であるか施錠状態であるかを検知するドアロック状態検出部の検出結果に基づいて、ドアECU200が、ドアロックの施錠状態から開錠状態への切り替わりを検知した場合に、測定準備処理の開始を指示する制御信号をアルコール検知ECU10に出力するようにしてもよい。施錠状態から開錠状態に切り替わった場合に既に測定準備処理が開始されていると判定されれば、そのタイミングでの測定準備処理の開始は省略すればよい。なお、ドアロックの施錠・開錠ではなく、ドアの開閉状態を検知するドア開閉状態検出部の検出結果に基づいて、ドアECU200が、ドアの開状態から閉状態への切り替わりを検知した場合に、測定準備処理の開始を指示する制御信号をアルコール検知ECU10に出力するようにしてもよい。スマートエントリーやキーレスエントリーの機能を搭載していない場合にも、上記構成は有効である。
【0071】
また、スマートエントリーやキーレスエントリーによるドアロック開錠処理が実施可能な実施形態においては、それらによるドアロック開錠処理でなされる照合処理による照合一致が、測定準備処理を開始する前提となるようにすることができる。これにより、無駄な測定準備処理を減じて、測定準備処理を実施するために要する電源の消耗を抑制できる。
【0072】
また、スマートエントリーシステム20を搭載する車両においては、スマートスタートシステムも搭載されることが多い。図1においては、スマートキー30と、照合ECU300とエンジンスイッチ40とエンジンECU500とを有した形でスマートスタートシステム50が構成されている。ユーザーがスマートキー30を所持した状態で車室内のキー探索エリア(車内検知エリア)内に進入するエリア進入操作(運転前操作)がなされると、当該操作に伴いスマートキー30から無線出力される所定信号の受信に基づいた出力信号、あるいは当該所定信号の無線受信に基づいてスマートスタートシステムにおいて実施される予め定められた処理での所定出力信号(運転前出力信号)を、照合ECU300が検知するようにした構成とすることもできる。
【0073】
図13は、スマートスタートによるエンジン始動処理の流れを簡単に示す図である。図13のエンジン始動処理は、ドアの開状態が検出されるに伴い実施される。まずは照合ECU300が発信機312からIDコード要求信号を無線出力し、そのレスポンス信号としてスマートキー30から無線送信される信号を受信機320で無線受信する。照合ECU300がその受信信号に含まれるIDコードと、自身が記憶するマスターコードとを照合して、照合一致の場合はエンジンECU500に対しエンジン始動を許可する制御信号を出力し、照合不一致の場合はエンジンECU500に対しエンジン始動を禁止する制御信号を出力する。そして、この構成において、例えば、照合ECU300がIDコードを含む信号を受信した受信信号を照合ECU300が検知した際に、照合ECU300がその検知信号をアルコール検知ECU10に送信し、これに基づいてアルコール検知ECU10が測定準備処理を開始するようにしてもよいし、また、照合一致に伴い出力される所定の信号を照合ECU300が検知した際に、測定準備処理の開始を指示する制御信号をアルコール検知ECU10に送信するようにしてもよい。
【0074】
また、スマートエントリーやキーレスエントリーのドアロック開錠処理や、スマートスタートによるエンジン始動処理におけるキーと車両間での各種の無線通信は、上記のような通信手順に限られず、例えばより多くの通信にてなされたり、より少ない通信にてなされるような通信形態であってもよい。例えば、IDコードを受信した後に、チャレンジ信号を車両の発信機311あるいは312から無線送信し、スマートキー30がこれに所定の暗号化を施して返信し、車両側(照合ECU300)にてこれを解読するような通信等が追加されていてもよい。従って、測定準備処理の開始タイミングは、照合処理による照合一致のタイミングに限らず、最終的にドアロックを開錠させる許可(開錠指示を含む)が確定した段階で与えられるようにすれば、無駄な測定準備処理をより減じることができ、余計な電源の消耗を抑制できる。
【0075】
ところで、以下では、図14及び図15を用いて、上記した実施形態とは異なる形で、測定準備処理を開始させる実施形態について説明する。
【0076】
図14及び図15に示す実施形態は、図1に示すブロック図に、運行管理システム600が組み込まれた形で構成されている。この運行管理システム600では、多数の車両の発車時刻を管理するために、各車両の運行予定情報を記憶する外部サーバー700が設けられる一方で、各車両には、運行管理ECU60が搭載されている。運行管理ECU60は、CPU、ROM、RAM、時計IC(リアルタイムクロックIC)を有した周知のマイコン構成を有している。時計ICは、CPUからの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものであり、CPUは時計ICから日時の情報を取得できる。また、CPUは、記憶装置601に記憶されている運行管理プログラムを実行し、これにより、外部サーバー700から無線送信されてくる次回発車時刻情報を無線受信し、これを記憶装置601に記憶するとともに、さらに、時計ICから取得する日時情報に基づいて、記憶されている次回発車時刻から所定時間前(例えば5分前等)となったことを運行管理ECU60が検知した際に、測定準備処理の開始を指示する制御信号をアルコール検知ECU10に送信するようになっている。これにより、発車前に搭乗した運転者が速やかにアルコール濃度測定が可能となる。
【0077】
なお、このような実施形態に限らず、予め定められた基準時刻(例えば発車時刻、発車予定時刻)を設定する基準時刻設定手段と、設定された基準時刻よりも前に定められた所定の測定準備処理開始時刻が到来するに伴い基準時刻信号を出力する基準時刻出力手段と、出力された基準時刻信号を検知する基準時刻信号検知手段とを有して構成し、自車両のみで処理が完結される構成としてもよい。例えば、発車予定時刻を入力可能な操作部を設け、さらにその発車時刻の前のどの時間タイミングで測定準備処理を開始するかを入力可能な操作部(測定準備処理開始時刻を入力可能な操作部)を設け、それぞれの操作部で設定された発車予定時刻と測定準備処理開始時刻とに基づいて、測定準備処理が開始されるように構成することもできる。
【0078】
ところで、本発明のアルコール検知手段は、アルコール濃度測定を開始するに際し、初期状態から予め定められた安定作動状態に移行させるための測定準備処理を要するものであればよい。例えば、アルコールセンサ11は、半導体センサに限らず、電気化学反応による起電力の変化を利用したものや、アルコール蒸気の分子が特定の波長の赤外線を吸収する特性を利用したものを用いてもよい。本発明の測定準備処理は、加熱等のような、アルコールセンサに対する直接的な処理だけでなく、呼気測定室19b内の排気処理のような、測定環境を安定化させる処理も測定準備処理に含むことができる。本実施形態のアルコールセンサのように、測定準備処理にヒータの加熱処理が含まれる半導体センサのようなセンサあれば、本発明を適用する効果は極めて高い。
【0079】
本発明のアルコール濃度測定の結果に基づく走行制限は、上記実施形態のようなエンジン始動操作の無効化に限られるものではなく、車両に対し少なくとも予め定められた車速レベルを上回る走行を禁止する走行制限であればよい。例えば、エンジンECU500が、車速検出部(車速センサ401)の検出結果に基づいて、車両の所定速度以上での走行を禁止するようなエンジン駆動制御(噴射制御等)を実施するようにしてもよいし、シフトポジションをドライブポジションに切り替える操作を無効化したり、ロックするようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態においては、ファン15Fをアルコール濃度測定中も駆動させているが、その駆動モードとして、呼気測定室19b内の残留ガスを排出する排出モードと、アルコール濃度測定中に適度に呼気測定室19b内に進入したガスを攪拌する攪拌モードとを切り替えて設定することを可能としてもよい。具体的には、ファン15Fの回転速度が排出モードよりも攪拌モードの方が小さくなるように各モードの回転速度を定めることができる。
【0081】
また、ヒータ15Cは、車両停止時において予め定められた周期で加熱処理を繰り返すようにしておくことで、図7の測定準備処理において設定されている所定時間(S23)を短縮することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態である車両用アルコール検知システムを示すブロック図。
【図2】アルコール検知装置の正面図及び背面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】アルコールセンサの構成を説明する図。
【図5】アルコール検知装置のブロック図。
【図6】アルコール濃度測定処理の流れを示すフローチャート。
【図7】測定準備処理の流れを示すフローチャート。
【図8】スマートエントリーシステムの構成を示す第一のブロック図。
【図9】スマートエントリーシステムの構成を示す第二のブロック図。
【図10】車両用アルコール検知システムの一部の構成を示すブロック図。
【図11】スマートエントリーによるドアロック開錠処理の流れを示すフローチャート。
【図12】キーレスエントリーによるドアロック開錠処理の流れを示すフローチャート。
【図13】スマートスタートによるエンジン始動処理の流れを示すフローチャート。
【図14】図1とは異なる本発明の実施形態を示すブロック図。
【図15】図14に含まれる運行管理システムの一例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0083】
1 車両用アルコール検知システム
100 アルコール検知装置
10 アルコール検知ECU
11 アルコールセンサ
11A 検出回路
15 測定準備動作部
15F 排気ファン
15C コイル
19b 呼気測定室
20 スマートエントリーシステム
30 スマートキー
300 照合ECU
200 ドアECU
400 ボデーECU
500 エンジンECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席に着座したユーザーの呼気に含まれるアルコール濃度を検出するアルコール検出手段と、
前記アルコール検出手段を初期状態から予め定められた安定作動状態に移行させるための測定準備処理を行う測定準備処理実行手段と、
前記アルコール検出手段の前記安定作動状態において、測定された前記アルコール濃度が前記閾レベルを下回る場合には、前記車両に対し通常走行を許可する一方で、同じく測定された前記アルコール濃度が前記閾レベルを上回る場合には、前記車両に対し少なくとも予め定められた車速レベルを上回る走行を禁止する走行制限を設定する車両走行制限手段と、
車外のユーザーが当該車両に搭乗してイグニッションON操作をするに至るまでの運転前期間の中で必須に出力される予め定められた運転前出力信号を検知する運転前出力信号検知手段と、
前記運転前出力信号を検知するに伴い、前記測定準備処理実行手段に対し前記測定準備処理を開始させる測定準備処理開始指示手段と、
を備えることを特徴とする車両用アルコール検知システム。
【請求項2】
前記アルコール検知手段は、アルコール濃度を検出するために前記ユーザーの呼気が吹き込まれる呼気測定室と、当該呼気測定室内の残留ガスを循環させるファンと、を有しており、前記測定準備処理実行手段は、当該ファンを作動させる処理を前記測定準備処理として実行するものである請求項1記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項3】
前記アルコール検知手段は、所定のセンサ部位が予め定められた温度に到達するよう加熱されることを前提に前記安定作動状態に移行するものであり、前記測定準備処理実行手段は、当該加熱を実施する処理を前記測定準備処理として実行するものである請求項1又は請求項2に記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項4】
前記運転前出力信号は、前記ユーザーが車外に位置して前記車両に乗車していない状態において出力される信号である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項5】
前記運転前出力信号検知手段は、前記運転前出力信号として、前記運転前期間において必須に実施されるユーザーによる予め定められた運転前操作に基づいて出力される予め定められた出力信号、あるいは前記運転前操作に基づいて実施される所定処理にて出力される予め定められた出力信号を検知するものである請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項6】
前記車両は、車両周辺の予め定められたキー探索エリア内にポーリング電波を無線出力し、その応答信号の無線受信に基づいて該キー探索エリア内に存在するスマートキーを探索するとともに、当該スマートキーから無線受信するIDコードを照合し、その照合結果に基づいてドアロックの開錠許可を与え、そのドアロックの開錠許可状態において所定のドアロック開錠操作が検知された場合にドアロック機構を作動して開錠するスマートエントリーシステムを搭載しており、
前記運転前出力信号検知手段は、前記運転前操作として、車外の前記ユーザーが前記スマートキーを所持した状態で前記キー探索エリア内に進入するエリア進入操作を定め、当該エリア進入操作に伴い前記スマートキーから出力される無線信号の受信に基づいて出力される予め定められた出力信号、あるいは当該無線信号の受信に基づいて前記スマートエントリーシステムにおいて実施される所定の処理にて出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものである請求項5記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項7】
前記運転前出力信号検知手段は、前記スマートエントリーシステムにおいて、前記IDコードの前記照合結果が前記ドアロックの開錠許可を与えるものであると判定された場合に出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものである請求項6記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項8】
前記運転前出力信号検知手段は、前記スマートエントリーシステムにおいて、前記IDコードの前記照合結果が前記ドアロックの開錠許可を与えるものであると判定された状態で、前記ドアロック開錠操作が検知された場合に出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものである請求項6記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項9】
前記車両は、車外の携帯キーから送信されるドアロック開錠要求信号及びキー固有のIDコードを無線受信し、無線受信した前記IDコードを照合するとともに、その照合結果と、対応する前記ロック開錠信号とに基づいて、ドアロック機構を作動して開錠するキーレスエントリーシステムを搭載しており、
前記運転前出力信号検知手段は、前記運転前操作として、車外の前記ユーザーが所持する前記携帯キーになされる予め定められたドアロック開錠操作を定め、当該ドアロック開錠操作に伴い前記携帯キーから出力される無線信号の受信に基づき出力される出力信号、あるいは当該無線信号の受信に基づいて前記キーレスエントリーシステムにおいて実施される所定の処理にて出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものである請求項5記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項10】
前記運転前出力信号検知手段は、前記キーレスエントリーシステムにおいて実施される前記IDコードの前記照合結果と、対応する前記ドアロック開錠要求信号に基づいて、前記ドアロックが開錠されるに際し出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものである請求項9記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項11】
前記運転前出力信号検知手段は、前記運転前操作として、車外の前記ユーザーによる前記車両のドアロック開錠操作を定め、当該ドアロック開錠操作に基づいて前記ドアロックが開錠されるに際し出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものである請求項5記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項12】
前記運転前出力信号検知手段は、前記運転前操作として、車外の前記ユーザーによる前記車両のドアの開操作を定め、当該ドアの開操作に基づいて前記ドアが閉状態から開状態となったことが検知された場合に出力される予め定められた出力信号を、前記運転前出力信号として検知するものである請求項5記載の車両用アルコール検知システム。
【請求項13】
前記運転前出力信号検知手段は、測定準備処理開始指示手段は、予め定められた基準時刻よりも前に定められた所定の測定準備処理開始時刻が到来したタイミングで出力される基準時刻信号を検知するものである請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用アルコール検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−47055(P2010−47055A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211001(P2008−211001)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】