説明

車両用操作反力制御装置

【課題】運転者毎の個人差に合わせて車両の操作機構の反力を得ることにより運転負担をより軽減することが出来る車両用操作反力制御装置を提供する。
【解決手段】本発明は、車両用操作反力制御装置であって、運転者の人間系力学特性と操作機構の機械系力学特性との系全体の力学特性を設定する系全体力学特性設定手段と、系全体の力学特性に含まれる所定の評価指標の値を定める評価指標値設定手段と、運転者の人間系力学特性の値を定める人間系力学特性値設定手段と、運転者の力学特性値とを系全体の力学特性に入力すると共に、評価指標値設定手段により定められた評価指標値が得られるように系全体の力学特性における操作機構の機械系力学特性の値を定める機械系力学特性値設定手段と、この機械系力学特性値設定手段により定められた操作機構の機械系力学特性の値に基づいて操作機構の操作反力を制御する操作反力制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御装置に係り、特に、車両の操作機構の操作反力を制御する車両用操作反力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にステアリングホイール等の車両の操作機構について、車速や路面状況に応じて操舵反力を付与するもの(特許文献1)や、車速とタイヤ切れ角の目標値と実際値との偏差により目標操舵反力を定め、その目標操舵反力が得られるように操舵反力を付与するもの(特許文献2)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−078947号公報
【特許文献2】特開2004−210024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、人間四肢の力学特性は考慮されていないため、種々の運転状況や個人差に適合した操作機器の機械的特性、例えばステアリングの操舵特性を得ることが出来ず、運転者に負担が生じたり、望ましい車両特性を得るには限界があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、運転者毎の個人差に合わせて車両の操作機構の反力を得ることにより運転負担をより軽減することが出来る車両用操作反力制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明は、車両の操作機構の操作反力を制御する車両用操作反力制御装置であって、運転者の人間系力学特性と操作機構の機械系力学特性との系全体の力学特性を設定する系全体力学特性設定手段と、この系全体力学特性設定手段により設定された系全体の力学特性に含まれる所定の評価指標の値を定める評価指標値設定手段と、運転者の人間系力学特性の値を定める人間系力学特性値設定手段と、この人間系力学特性値設定手段により定められた運転者の力学特性値とを系全体の力学特性に入力すると共に、評価指標値設定手段により定められた評価指標値が得られるように系全体の力学特性における操作機構の機械系力学特性の値を定める機械系力学特性値設定手段と、この機械系力学特性値設定手段により定められた操作機構の機械系力学特性の値に基づいて操作機構の操作反力を制御する操作反力制御手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、人間系力学特性値設定手段により定められた運転者の力学特性値を系全体の力学特性に入力すると共に評価指標値設定手段により定められた評価指標値が得られるように、操作機構の機械系力学特性の値を定めるようにし、この設定された操作機構の機械系力学特性の値により、操作機構の操作反力を制御するようにしているので、運転者毎の個人差に合わせて車両の操作機構の反力を得ることにより運転負担をより軽減することが出来る。
【0007】
また、本発明において、好ましくは、人間系力学特性は上記運転者の慣性(Mh)、粘性(Bh)、剛性(Kh)で表される機械インピーダンス特性であり、機械系力学特性は操作機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)で表される機械インピーダンス特性であり、評価指標は、系全体の力学特性を運転者の慣性(Mh)、粘性(Bh)、剛性(Kh)及び操作機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)をパラメータとする人間系と機械系の1自由度の並列モデルで表現して得られる減衰係数ζである。
このように構成された本発明においては、運転者の人間系力学特性と操作機構の機械系力学特性との系全体の力学特性を適切に設定することが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、減衰係数ζは、車両の車速に応じて異なる値に設定される。
このように構成された本発明においては、車両の走行状態に応じたより適切な減衰係数ζを得て、適切な操作機構の反力を得ることが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、系全体は、腕とステアリングの系、或いは、脚とペダルの系、或いは、腕とレバーの系である。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、減衰係数ζは、腕とステアリングの系、或いは、脚とペダルの系、或いは、腕とレバーの系のそれぞれに応じて異なる値に設定される。
このように構成された本発明においては、減衰係数ζを機械操作系に応じて設定するので、各機械系に応じたより適切な車両の操作機構の反力を得ることが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、系全体は、運転者の腕とステアリング機構の系であり、機械系力学特性値設定手段は、減衰係数ζが所定の値となるようなステアリング機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)の値を定め、操作反力制御手段は、それらの機械インピーダンス特性となるような反力を電動パワーステアリングモータに発生させる。
このように構成された本発明においては、より適切なステアリングの操作反力を得て、運転者のステアリングの操作負担が適切なものになる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、ステアリング機構はステアバイワイヤ機構である。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、系全体は、運転者の脚とブレーキペダル機構との系であり、機械系力学特性値設定手段は、減衰係数ζが所定の値となるようなブレーキペダル機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)を定め、操作反力制御手段は、それらの機械インピーダンス特性となるような反力をブレーキペダル機構の反力発生モータに発生させる。
このように構成された本発明においては、より適切なブレーキペダルの操作反力を得て、運転者のブレーキペダルの操作負担が適切なものになる。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、系全体は、運転者の脚とアクセルペダル機構との系であり、機械系力学特性値設定手段は、減衰係数ζが所定の値となるようなアクセルペダル機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)を定め、操作反力制御手段は、それらの機械インピーダンス特性となるような反力をアクセルペダル機構の反力発生モータに発生させる。
このように構成された本発明においては、より適切なアクセルペダルの操作反力を得て、運転者のアクセルペダルの操作負担が適切なものになる。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、系全体は、運転者の腕とシフトレバー機構との系であり、機械系力学特性値設定手段は、減衰係数ζが所定の値となるようなシフトレバー機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)を定め、操作反力制御手段は、それらの機械インピーダンス特性となるような反力をシフトレバーの反力発生モータに発生させる。
このように構成された本発明においては、より適切なシフトレバーの操作反力を得て、運転者のシフトレバーの操作負担が適切なものになる。
【0016】
また、本発明において、好ましくは、系全体は、運転者の腕とステアリング機構との系であり、人間系力学特性により定められる運転者の慣性(Mh)、粘性(Bh)、剛性(Kh)は、それぞれ、操舵角(θ)が大きい程慣性(Mh)が小さくなり、操舵トルク(τ)が大きい程粘性(Bh)が小さくなり、操舵トルク(τ)が大きい程剛性(Kh)が大きくなる。
このように構成された本発明においては、より人間の特性に適合した人間系の機械インピーダンスを定めることが出来、その結果、より適切な機械系の操作反力を得ることが出来る。
【0017】
また、本発明において、好ましくは、評価指標設定手段により定められる減衰係数ζは、操舵開始時に小さい値に設定され、操舵が進むと大きい値に設定される。
このように構成された本発明においては、減衰係数ζが操舵開始時に小さい値に設定され、操舵が進むと大きい値に設定されたステアリング機構により、車両の応答性と安定性との両立を図ることが出来る。
【0018】
また、本発明において、好ましくは、評価指標設定手段により定められる減衰係数ζは、操舵角(θ)の値に応じて変化するように設定される。
このように構成された本発明においては、減衰係数ζが操舵角(θ)の値に応じて変化するように設定されたステアリング機構により、車両の応答性と安定性との両立を図ることが出来る。
【発明の効果】
【0019】
本発明による車両用操作反力制御装置によれば、運転者毎の個人差に合わせて車両の操作機構の反力を得ることにより運転負担をより軽減することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、図1及び図2により、本発明の実施形態による車両用操作反力制御装置において用いられる「人間−機械モデル(生体運動インピーダンス)」について説明する。図1は、本発明の実施形態による車両用操作反力制御装置が適用されたステアリング装置及びそのステアリング装置を操舵する運転者を示す模式図であり、図2は、本発明の実施形態による人間−機械系のインピーダンスを1自由度の並列モデルで示す人間−機械系モデルである。
自動車においては、人間、特に運転者は、自動車に備わった機械システム、例えば、図1に示すようにステアリングを操作したり、その他各種ペダル、ギアシフトレバーなどを操作する。その際、人間は、そのような機械システムの操縦系と接触してその機械特性、例えば、ステアリングの重さやペダルの操作反力など、を知覚し、状況に応じて身体各部位の姿勢や筋を調節して自らの運転特性を巧みに変化させている。例えば、ステアリング操作では、運転者は車両速度や道路のカーブの曲率などに応じて腕全体をかたくしたり、やわらかくしたりする。本発明では、このような人間の運動特性を、慣性Mh、剛性Kh、粘性Bh、といった機械インピーダンスを用いて表現する。
【0021】
一方、機械としての例えばステアリング装置に関しては、ステアリングの慣性Ms、剛性Ks、粘性Bsにより、ステアリング回転軸周りの動特性を表現する。ステアリングホイールを握るドライバーは、ステアリングホイール側からみるとステアリングホイールの回転に対する抵抗とみなすことができる。本明細書ではこの抵抗のことを、ドライバーの「人間インピーダンス」とよぶ。人間インピーダンスはドライバーの操舵力に規定する値である。操舵力はドライバーによって異なるから、ドライバーによって人間インピーダンスは異なるといえる。従って、この人間インピーダンスを求めることで、ドライバーに応じた操舵反力を設定することが可能である。
【0022】
ここで、ステアリング装置の回転軸周りの動特性は、以下の(1)式で表される。
【数1】

Msはステアリングの慣性、Bs(θ)、Ks(θ)は、操舵角度θを変数とする可変粘弾性、θvは操舵力τに対するステアリングの理想角度、θcは剛性に関する平衡点である。
【0023】
一方、本発明では、人間−機械系(ステアリング系)を、図2のようにモデリングして表現している。上述したように、図2において、Mhは人間側の慣性、Khは人間側の剛性、Bhは人間側の粘性であり、Msは機械側の慣性、Ksは機械側の剛性、Bsは機械側の粘性である。ここで、人間と機械系の各インピーダンス特性は、操舵角度及び操舵力によって変化する。
【0024】
人間側インピーダンス及び機械側インピーダンスの結合モデルを図2に示すように機械インピーダンスを用いて1自由度の並列モデルで表現すると、人間−ステアリング系全体の減衰係数ζは、以下の(2)式で表される。
【数2】

ζ(ゼータ)は、人間−機械系全体の減衰係数である。本発明においては、これら系全体の減衰係数ζにより、運転者のインピーダンス特性(Mh、Kh、Bh)に応じて、ステアリング操舵インピーダンス特性(Ms、Ks、Bs)、ひいてはステアリング操舵特性を調節するようにしている。
本発明では、人間系のインピーダンス及び機械系のインピーダンスが結合した図2に示すモデル及び(2)式を用いて、後述するようにステアリング特性、例えば操作反力を制御する。
【0025】
次に、図3により、本発明の第1実施形態による車両用操作反力制御装置を説明する。第1実施形態は、操作反力制御装置がステアリング系の装置に適用されたものである。図3は、本発明の実施形態による車両用操作反力制御装置が適用されたステアリング系の概略構成図である。
図3に示すように、ステアリング系は、運転者により操作されるステアリングホイール2と、操舵角センサ4と、操舵トルクセンサ6と、ステアリングホイール2に操舵反力を与える操舵反力発生モータ(電動パワーステアリングモータ)8とを備える。符号Hは、運転者の腕或いは手である。なお、電動パワーステアリングモータは、油圧によるパワーステアリングでも良い。
【0026】
操舵反力発生モータ8は、コントロールユニット(C/U)10により制御される。このコントロールユニット10は、操舵角センサ4及び操舵トルクセンサ6からの信号と、車速センサ12からの信号が入力されるようになっている。コントロールユニット10は、これらの信号を受けて、ステアリング系が所定の機械インピーダンスとなるように、操舵反力発生モータ8を制御する。コントロールユニット10は、ステアリングモータ20に接続され、ステアリングモータ20は、ステアリングロッド22を駆動する。駆動されたステアリングロッド22によって、車輪24が操舵される。この図3に示すように、本実施形態のステアリング系はステアバイワイヤ装置として構成されている。
【0027】
次に、図4により、本発明の実施形態による車両用操作反力制御装置の基本的な処理フローを説明する。図4は、本発明の実施形態による車両用操作反力制御装置の基本的な処理内容を示すフローチャートである。Sは各ステップを示す。
車両用操作反力制御装置は、先ず、S1において、操舵角センサ4から操舵角θを、操舵トルクセンサ6から操舵トルクτを、車速センサ12から車速Vを入力する。
次に、S2において、人間系のインピーダンスである、慣性Mh、粘性Bh、剛性Khを算出する。これは、後述するように、S1で入力された操舵角θ及び操舵力τに基づいて、所定のマップにより算出される。
【0028】
次に、S3において、人間−ステアリング系全体の減衰係数ζを設定する。これは、後述するように、S1で入力された車速V、操舵角θ及び操舵角の変化量Δθに基づいて、所定のマップにより算出される。
次に、S4において、ステアリング系インピーダンスを算出する。これは、S2で算出した人間系のインピーダンス、S3で設定した減衰係数ζと、上述した(2)式により、ステアリング系インピーダンスである慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksを算出する。
次に、S5において、S4で算出された慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksが得られるように、操舵反力発生モータ8(図3参照)を制御する。
【0029】
次に、図5乃至図8により、上述したS2における処理、即ち、人間系のインピーダンスである慣性Mh、粘性Bh、剛性Khの算出方法を説明する。図5は、人間系インピーダンスの算出処理を示すフローチャートであり、図6乃至図8は、それぞれ、慣性Mh、粘性Bh、剛性Khを求めるためのマップである。ここで、これらのマップは、操舵角と操舵トルクによって変化する人間の機械インピーダンス特性を、所望の範囲において近似表現する数式モデルを用いて描画したものである。数式モデルに含まれるパラメータは,所望の範囲において異なる実験条件下で測定した十分な数の離散データをフィッティングすることで得られる。
【0030】
図5に示すように、先ず、S21において、S1(図4参照)で入力された操舵角θ及び操舵トルクτを検出する。
次に、S22において、S21で検出された操舵角θ及び操舵トルクτと、図6乃至図8のマップとにより、走行中に逐次、人間系インピーダンスである慣性Mh、粘性Bh、剛性Khを算出する。
【0031】
即ち、S22においては、図6に示すマップにより、操舵角θ及び操舵トルクτに応じた慣性Mhを算出する。この図6に示すマップでは、操舵角θが大きくなるにつれて慣性Mhが小さくなるようなマップとなっている。
また、図7に示すマップにより、操舵角θ及び操舵トルクτに応じた粘性Bhを算出する。この図7に示すマップでは、操舵トルクτが大きくなるにつれて粘性Bhが小さくなるようなマップとなっている。
【0032】
また、図8に示すマップにより、操舵角θ及び操舵トルクτに応じた剛性Khを算出する。この図8に示すマップでは、操舵トルクτが大きくなるにつれて剛性Khが大きくなるようなマップとなっている。
なお、このS22においては、図6乃至図8のようなマップを運転者毎に設け、例えば、ICカードによる個人認識或いは車室内カメラによる個人認識により、運転者に応じたマップを利用しても良い。
【0033】
次に、図9及び図10により、上述したS3における処理、即ち、人間−ステアリング系全体の減衰係数ζの方法を説明する。図9は、本発明の実施形態による人間−ステアリング系全体の減衰係数ζの算出処理を示すフローチャートであり、図10は、本発明の実施形態による人間−ステアリング系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
図9に示すように、先ず、S31において、S1(図4参照)で入力された操舵角θ及び車速Vを検出する。さらに、S31においては、検出された操舵角θから所定時間毎の操舵角変化量Δθを算出する。
次に、S32において、S31で検出された操舵角θ、車速V及び操舵角変化量Δθと、図10に示すマップとにより、減衰係数ζを設定する。
【0034】
例えば、図10に示すように、操舵角θ、車速V及び操舵角変化量Δθの各値により、高速走行時且つ直進時であるか、或いは、高速走行時且つ操舵時(レーンチェンジ時)であるか、或いは、低速走行時且つ直進時であるか、或いは、低速走行時且つ操舵時であるかを判別する。そして、判別された条件に応じて、ζを0.9、或いは、0.7、或いは、0.8、或いは、0.6と設定する。ζが0.9及び0.8と比較的大きい場合は、安定性を重視した場合であり、ζが0.7及び0.6と比較的小さい場合は、応答性を重視した場合である。
【0035】
なお、図11に図10の第1の変形例を示す。図11は、本発明の実施形態の第1変形例による人間−ステアリング系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
図11は、操舵角θ、車速V及び操舵角変化量Δθの各値により、高速走行時且つ直進時であるか等を判別する点では図10と同様であるが、減衰係数ζの値が図10とは一部が異なっている。
【0036】
即ち、高速走行時且つ直進時であるか、或いは、低速走行時且つ直進時である、安定性を重視する場合は、図10と同じであり、それぞれ、0.9、0.8である。一方、高速走行時且つ操舵時(レーンチェンジ時)には、操舵開始時にζを0.7として応答性を高め、その後操舵が進むとζを0.9として安定性を高めるようにしている。また、低速走行時且つ操舵時においても、操舵開始時にはζを0.6として応答性を高め、その後操舵が進むとζを0.7として安定性を高めるようにしている。
【0037】
さらに、図12に図10の第2の変形例を示す。図12は、本発明の実施形態の第2変形例による人間−ステアリング系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
図12は、操舵角θ、車速V及び操舵角変化量Δθの各値により、高速走行時且つ直進時であるか等を判別する点では図10と同様であるが、減衰係数ζの値が図10とは一部が異なっている。
【0038】
即ち、高速走行時且つ直進時であるか、或いは、低速走行時且つ直進時である、安定性を重視する場合は、図10と同じであり、それぞれ、0.9、0.8である。一方、高速走行時且つ操舵時(レーンチェンジ時)には、所定の係数k1、k0と、操舵角θにより、ζの値を操舵角に応じて変化するようにしている。k1を正の値とすれば、操舵開始時には、ζがk0であり、操舵が進むにつれてζの値が大きくなり安定性が徐々に高まるようになっている。k0の値を小さくすれば、操舵開始時の応答性を高め、k0の値を大きくすれば、操舵開始時から安定性を高めることが出来る。
【0039】
次に、図13乃至図16により、上述したS3における処理、即ち、人間−ステアリング系全体の減衰係数ζの方法を説明する。図13は、本発明の実施形態によるステアリングの機械系インピーダンスの算出処理を示すフローチャートであり、図14は、本発明の実施形態による操舵角θに対する人間−ステアリング系全体の減衰係数ζの設定例の一つであり、図15は、本発明の実施形態による所定のζを定めるために用いる慣性Ms及び剛性Ksを示す線図であり、図16は、本発明の実施形態による所定のζを定めるための図13及び図15により得られた粘性Bsを示す線図である。
【0040】
図13に示すS41において、S2(図4参照)において算出した人間系の慣性Mh、粘性Bh、剛性Khに対して、S3(図4参照)で設定されたζとなるように、ステアリング系の慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksを算出する。
ここで、図14は、操舵角θに対する人間−ステアリング系全体の減衰係数ζの設定例の一つである。図10乃至図12に示すマップの他、この図14に示すように、ζが操舵角θに応じて曲線を描いて変化するようにしても良い。ここでは、この図14に示すようなζが得られるようなステアリング系の慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksを算出する。
【0041】
そして、S41において、例えば、図15に示すような慣性Ms及び剛性Ksの関係を規定し、そして、図14に示す減衰係数ζの値となるように図14及び図15と、上述した(2)式から図16に示すような粘性Bsを求める。慣性Ms及び剛性Ksは、図15から求める。本実施形態では、S41において、慣性Ms及び剛性Ksを予め所定の値に定めておいて、ステアリングの機械インピーダンスに比較的大きな影響を与える粘性Bsを算出するようにしている。即ち、図15に示すように、慣性Msを0.03[Nms2/rad]と固定し、剛性Ksを操舵角θに対して図中の実線で示すように変化させるものとする。これらの図14及び図15と上述した(2)式により、図16に示すような粘性Bsの線図が得られる。
【0042】
従って、上述したS5において、操舵角θに応じて、図15に示す慣性Ms、剛性Ksと、図16に示す粘性Bsの値となるように操舵反力発生モータ8を制御すれば、図14で示すζの値が得られ、さらに、S2(図4参照)で定めた人間系インピーダンスに応じた操舵反力をステアリング2に与えることが出来る。
【0043】
次に、主に図17乃至図19により、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、操作反力制御装置がペダル系の装置に適用されたものである。図17は、本発明の第2実施形態によるペダル装置及びそのペダル装置を操作する運転者の脚を示す模式図であり、図18は、本発明の第2実施形態による人間−ブレーキペダル系全体の減衰係数ζを設定するためのマップであり、図19は、本発明の第2実施形態による人間−アクセルペダル系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
先ず、図17に示すように、第2実施形態は、ペダル操作系についての車両用操作反力制御装置となっている。ペダル操作系は、運転者の脚により操作されるペダル32と、ペダルの操作量を計測するペダル操作量センサ34と、ペダルの操作力を計測するペダル操作反力センサ36と、ペダル32に操作反力を与える操作反力発生モータ38とを備える。符号HLは、運転者の脚である。
【0044】
操作反力発生モータ38は、コントロールユニット(C/U)40により制御される。このコントロールユニット40は、ペダル操作量センサ34及びペダル操作反力センサ36からの信号と、車速センサ42及び前方状況監視カメラ44の信号が入力されるようになっている。コントロールユニット40は、これらの信号を受けて、ペダル系が所定の機械インピーダンスとなるように、操作反力発生モータ38を制御する。
【0045】
この第2実施形態では、人間−ペダル系全体のインピーダンスを求める。即ち、第1実施形態で述べた手法と同様に、この第2実施形態においても、図17に示す人間(人間の脚)−機械(ペダル装置)系を、図2に示すようにモデリングして表現する。従って、(2)式を用いて、第1実施形態と同様に、系全体の減衰係数ζにより、運転者の脚のインピーダンス特性(Mh、Kh、Bh)に応じて、ペダル操作インピーダンス特性(Mh、Kh、Bh)、ひいてはペダル操作特性を調節するようにすることができる。
【0046】
そして、第1実施形態と同様に、図4に示すフローチャートを用いる。先ず、S1において、ペダル操作量センサ34から操作量Xpを、ペダル操作反力センサ36から操作力Fpを、車速センサ42から車速Vを入力する。次に、S2において、図5のフローと、図6乃至図8と同様のマップにより、人間系のインピーダンスである、慣性Mh、粘性Bh、剛性Khを算出する。具体的には、図6乃至図8が、ペダル操作量Xpと、ペダル操作反力Fpに対して、それぞれ、慣性Mh、粘性Bh、剛性Khが定められるようになっている。
【0047】
次に、S3において、図9のフロー及び図10と同様なマップ(本実施形態では図18)により、人間−ペダル系全体の減衰係数ζを設定する。即ち、この第2実施形態では、ペダルがブレーキペダルの場合、図18に示すように、前方状況監視カメラ44により歩行者が検知され且つ車速Vが所定値(例えば40km/h)以上の場合は衝突回避時(急ブレーキ時)であるものとして、ζを0.7として応答性を重視し、その他の場合は通常走行時であるものとして、ζを1.0として安定性を高めるようにしている。
【0048】
或いは、ペダルがアクセルペダルの場合、図19に示すように、前方状況監視カメラ44により前方車両が検知され、車速Vが所定値(例えば40km/h)以上であり且つペダル操作速度ΔXpが所定値(例えば30mm)以上の場合は高速走行中の追越し加速時であるものとして、ζを0.7として応答性を重視し、車速Vが所定値(例えば40km/h)以下の場合は通常走行時(街走行時)であるものとして、ζを1.0として安定性を高めるようにしている。
【0049】
次に、S4において、ペダル系インピーダンスを算出する。これは、S2で算出した人間系のインピーダンス、S3で設定した減衰係数ζと、上述した(2)式により、ペダル系インピーダンスである慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksを算出する。このS4においても第1実施形態と同様に、図14乃至図16と同様な線図(この場合、横軸がペダル操作量Xpとなる)から慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksを算出する。そして、S5において、S4で算出された慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksが得られるように、操作反力発生モータ38(図17参照)を制御する。
なお、ペダルは、ブレーキペダル、アクセルペダル及びクラッチペダルなどの種々のペダルに適用可能である。
【0050】
次に、主に図20及び図21により、本発明の第3実施形態を説明する。第2実施形態は、操作反力制御装置がレバー系の装置に適用されたものである。図20は、本発明の第3実施形態によるレバー装置及びそのレバー装置を操作する運転者の手を示す模式図であり、図21は、本発明の第3実施形態による人間−レバー系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
図20に示すように、第3実施形態は、レバー操作系についての車両用操作反力制御装置となっている。レバー操作系は、運転者の手により操作されるレバー52と、レバーの操作量を計測するレバー操作量センサ54と、レバーの操作力を計測するレバー操作反力センサ56と、レバー52に操作反力を与える操作反力発生モータ58とを備える。符号Hは、運転者の手或いは腕である。
【0051】
操作反力発生モータ58は、コントロールユニット(C/U)60により制御される。このコントロールユニット60は、レバー操作量センサ54及びレバー操作反力センサ56からの信号、車速センサ62からの信号、及び、スロットルセンサ64からの信号が入力されるようになっている。コントロールユニット60は、これらの信号を受けて、レバー系が所定の機械インピーダンスとなるように、操作反力発生モータ58を制御する。
【0052】
この第3実施形態では、人間−レバー系全体のインピーダンスを求める。即ち、第1実施形態で述べた手法と同様に、この第3実施形態においても、図20に示す人間−機械系(人間の脚−レバー装置系)を、図2に示すようにモデリングして表現する。従って、(2)式を用いて、第1実施形態と同様に、系全体の減衰係数ζにより、運転者の手のインピーダンス特性(Mh、Kh、Bh)に応じて、レバー操作インピーダンス特性(Ms、Ks、Bs)、ひいてはレバー操作特性を調節するようにすることができる。
【0053】
そして、第1実施形態と同様に、図4に示すフローチャートを用いる。先ず、S1において、レバー操作量センサ54から操作量XLを、ペダル操作反力センサ56から操作力FLを、車速センサ62から車速Vを入力する。次に、S2において、図5のフローと、図6乃至図8と同様のマップにより、人間系のインピーダンスである、慣性Mh、粘性Bh、剛性Khを算出する。具体的には、図6乃至図8が、レバー操作量XLと、レバー操作反力FLに対して、それぞれ、慣性Mh、粘性Bh、剛性Khが定められるようになっている。
【0054】
次に、S3において、図9のフロー及び図10と同様なマップにより、人間−レバー系全体の減衰係数ζを設定する。即ち、この第3実施形態では、レバーがシフトレバーの場合、図21に示すように、スロットルバルブ開度TVOが所定値(例えば、10°)以下の場合で且つ車速変化(加速或いは減速)が所定値(例えば、20km/h)の場合は、下り坂走行時のエンジンブレーキ必要時であるものとして、ζを0.7として応答性を重視し、その他の場合は通常走行時(街走行時)であるものとして、ζを1.0として安定性を高めるようにしている。
【0055】
次に、S4において、レバー系インピーダンスを算出する。これは、S2で算出した人間系のインピーダンス、S3で設定した減衰係数ζと、上述した(2)式により、レバー系インピーダンスである慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksを算出する。このS4においても第1実施形態と同様に、図14乃至図16と同様な線図(この場合、横軸がレバー操作量XLとなる)から慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksを算出する。そして、S5において、S4で算出された慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksが得られるように、操作反力発生モータ58(図20参照)を制御する。
【0056】
図22乃至25により、ζを変化させた場合の人間系或いは機械系の応答の変化の実験による検証結果について説明する。図22は、実験装置の概略図であり、図23は、実験により得られた減衰係数ζを変化させた場合のペダルを踏む足先の速度の変化を示す線図であり、図24(a)は、実験により得られた操舵角に対する減衰係数ζの変化が異なる3つのパターンを示す線図であり、図24(b)は、実験により得られた図24(a)のζの変化に対応して得られるステアリングトルクの変化を示す線図であり、図25(a)〜(c)は、実験により得られた減衰係数ζが異なる4つのパターンにおけるステアリング操舵角θ、操舵速度θ’及び機械系の粘性Bsである。
【0057】
先ず、図22に示すように、実験では、被験者Hにステアリング100を操作させ、操舵角センサ102により操舵角を、トルクセンサ104により操舵トルクを検出する。DSP(デジタルシグナルプロセッサ)108により、操舵反力発生モータ106が制御されると共にデータがサンプリングされる。ディスプレイ110には、操舵する目標位置を示すターゲット及び実際のステアリング角度が表示される。DSP108には、トルク・エンコーダ112が接続され、トルク・エンコーダ112にはディスプレイ110が接続されている。
【0058】
次に、このような実験装置により得られた実験結果について説明する。先ず、図23に示すように、ζを1.0と0.7とで異なるものとした場合、粘性Bhも変化する。そして、そのような粘性Bhの変化に伴い、図23に示すように、ζが大きい場合は、足先速度が低く、ζが小さい場合には、足先速度が大きくなることが分かる。
【0059】
次に、図24(a)に示すようにζを変化させた場合には、図24(b)に示すようにトルク変動が異なるものとなる。例えば、ζが大きく変化するパターン1の場合には、トルク変動が大きくなり、運転者にとって扱いにくいものとなる。一方、ζの変化が小さいパターン2の場合には、トルク変動が小さく且つ操舵角θに対する変化率(傾き)が一定で運転者にとって扱い易いものとなる。また、パターン3では、操舵角θに対する変化率(傾き)が一定ではなく運転者にとって扱いにくいものとなる。
【0060】
次に、図25(a)〜(c)に示すように、ζの違いによって、操舵角θ、操舵速度θ’及び粘性Bsの時間(横軸)に対する変化の様子が異なることが分かる。これらの線図によれば、ζが小さいときには、応答性が高くなり、ζが大きいときには安定性が高くなることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態による車両用操作反力制御装置が適用されたステアリング装置及びそのステアリング装置を操舵する運転者を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態による人間−機械系のインピーダンスを1自由度の並列モデルで示す人間−機械系モデルである。
【図3】本発明の実施形態による車両用操作反力制御装置が適用されたステアリング系の概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態による車両用操作反力制御装置の基本的な処理内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態による運転者の人間系インピーダンスの算出処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態による操舵角及び操舵トルクと慣性Mhとの関係を示すマップである。
【図7】本発明の実施形態による操舵角及び操舵トルクと粘性Bhとの関係を示すマップである。
【図8】本発明の実施形態による操舵角及び操舵トルクと剛性Khとの関係を示すマップである。
【図9】本発明の実施形態による人間−ステアリング系全体の減衰係数ζの算出処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態による人間−ステアリング系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
【図11】本発明の実施形態の第1変形例による人間−ステアリング系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
【図12】本発明の実施形態の第2変形例による人間−ステアリング系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
【図13】本発明の実施形態によるステアリングの機械系インピーダンスの算出処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態による操舵角θに対する人間−ステアリング系全体の減衰係数ζの設定例の一つである。
【図15】本発明の実施形態による所定のζを定めるために用いる慣性Ms及び剛性Ksを示す線図である。
【図16】本発明の実施形態による所定のζを定めるための図13及び図15により得られた粘性Bsを示す線図である。
【図17】本発明の第2実施形態によるペダル装置及びそのペダル装置を操作する運転者の脚を示す模式図である。
【図18】本発明の第2実施形態による人間−ブレーキペダル系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
【図19】本発明の第2実施形態による人間−アクセルペダル系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
【図20】本発明の第3実施形態によるレバー装置及びそのレバー装置を操作する運転者の手を示す模式図である。
【図21】本発明の第3実施形態による人間−レバー系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
【図22】実験装置の概略図である。
【図23】実験により得られた減衰係数ζを変化させた場合のペダルを踏む脚先の速度の変化を示す線図である。実験により得られた減衰係数ζが異なる4つのパターンにおけるステアリング操舵角θ、操舵速度θ’及び機械系の粘性Bsである。
【図24】実験により得られた操舵角に対する減衰係数ζの変化が異なる3つのパターンを示す線図(a)及び実験により得られた図24(a)のζの変化に対応して得られるステアリングトルクの変化を示す線図である(b)。
【図25】実験により得られた減衰係数ζが異なる4つのパターンにおけるステアリング操舵角θ(a)、操舵速度θ’(b)及び機械系の粘性Bs(c)である。
【符号の説明】
【0062】
2 ステアリングホイール
4 操舵角センサ
6 操舵トルクセンサ
8 操舵反力発生モータ
10 コントロールユニット
12 車速センサ
20 ステアリングモータ
32 ペダル
34 ペダル操作量センサ
36 ペダル操作反力センサ
38 操作反力発生モータ
40 コントロールユニット
42 車速センサ
44 前方状況監視カメラ
52 レバー
54 レバー操作量センサ
56 レバー操作反力センサ
58 操作反力発生モータ
60 コントロールユニット
62 車速センサ
64 スロットルセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操作機構の操作反力を制御する車両用操作反力制御装置であって、
運転者の人間系力学特性と上記操作機構の機械系力学特性との系全体の力学特性を設定する系全体力学特性設定手段と、
この系全体力学特性設定手段により設定された系全体の力学特性に含まれる所定の評価指標の値を定める評価指標値設定手段と、
上記運転者の人間系力学特性の値を定める人間系力学特性値設定手段と、
この人間系力学特性値設定手段により定められた運転者の力学特性値とを上記系全体の力学特性に入力すると共に、上記評価指標値設定手段により定められた評価指標値が得られるように上記系全体の力学特性における上記操作機構の機械系力学特性の値を定める機械系力学特性値設定手段と、
この機械系力学特性値設定手段により定められた上記操作機構の機械系力学特性の値に基づいて上記操作機構の操作反力を制御する操作反力制御手段と、
を有することを特徴とする車両用操作反力制御装置。
【請求項2】
上記人間系力学特性は上記運転者の慣性(Mh)、粘性(Bh)、剛性(Kh)で表される機械インピーダンス特性であり、上記機械系力学特性は上記操作機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)で表される機械インピーダンス特性であり、上記評価指標は、上記系全体の力学特性を上記運転者の慣性(Mh)、粘性(Bh)、剛性(Kh)及び上記操作機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)をパラメータとする人間系と機械系の1自由度の並列モデルで表現して得られる減衰係数ζである請求項1に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項3】
上記減衰係数ζは、上記車両の車速に応じて異なる値に設定される請求項2に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項4】
上記系全体は、腕とステアリングの系、或いは、脚とペダルの系、或いは、腕とレバーの系である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項5】
上記減衰係数ζは、上記腕とステアリングの系、或いは、脚とペダルの系、或いは、腕とレバーの系のそれぞれに応じて異なる値に設定される請求項4に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項6】
上記系全体は、運転者の腕とステアリング機構の系であり、上記機械系力学特性値設定手段は、上記減衰係数ζが所定の値となるような上記ステアリング機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)の値を定め、上記操作反力制御手段は、それらの機械インピーダンス特性となるような反力を電動パワーステアリングモータに発生させる請求項2に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項7】
上記ステアリング機構はステアバイワイヤ機構である請求項6に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項8】
上記系全体は、運転者の脚とブレーキペダル機構との系であり、上記機械系力学特性値設定手段は、上記減衰係数ζが所定の値となるような上記ブレーキペダル機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)を定め、上記操作反力制御手段は、それらの機械インピーダンス特性となるような反力を上記ブレーキペダル機構の反力発生モータに発生させる請求項2に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項9】
上記系全体は、運転者の脚とアクセルペダル機構との系であり、上記機械系力学特性値設定手段は、上記減衰係数ζが所定の値となるような上記アクセルペダル機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)を定め、上記操作反力制御手段は、それらの機械インピーダンス特性となるような反力を上記アクセルペダル機構の反力発生モータに発生させる請求項2に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項10】
上記系全体は、運転者の腕とシフトレバー機構との系であり、上記機械系力学特性値設定手段は、上記減衰係数ζが所定の値となるような上記シフトレバー機構の慣性(Ms)、粘性(Bs)、剛性(Ks)を定め、上記操作反力制御手段は、それらの機械インピーダンス特性となるような反力を上記シフトレバーの反力発生モータに発生させる請求項2に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項11】
上記系全体は、運転者の腕とステアリング機構との系であり、上記人間系力学特性により定められる上記運転者の慣性(Mh)、粘性(Bh)、剛性(Kh)は、それぞれ、操舵角(θ)が大きい程慣性(Mh)が小さくなり、操舵トルク(τ)が大きい程粘性(Bh)が小さくなり、操舵トルク(τ)が大きい程剛性(Kh)が大きくなる請求項2に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項12】
上記評価指標設定手段により定められる上記減衰係数ζは、操舵開始時に小さい値に設定され、操舵が進むと大きい値に設定される請求項2に記載の車両用操作反力制御装置。
【請求項13】
上記評価指標設定手段により定められる上記減衰係数ζは、操舵角(θ)の値に応じて変化するように設定される請求項2に記載の車両用操作反力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−296605(P2008−296605A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141473(P2007−141473)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年12月14日 「社団法人 計測自動制御学会」発行 「(社)計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 講演概要集」 第119頁 平成18年12月14日 「社団法人 計測自動制御学会」発行 「(社)計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 講演論文集(CD−ROM)」 第205頁〜第206頁 平成19年4月10日 「IEEE」発行 「2007 IEEE International Conference on Robotics and Automation Rome,Italy 10−14 April 2007(講演概要集)」 第132頁 平成19年4月10日 「IEEE」発行 「2007 IEEE International Conference on Robotics and Automation Rome,Italy 10−14 April 2007(論文集、DVD)」 第3627頁〜第3632頁
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】