説明

車両用表示装置

【課題】 運転者などの乗員に対する利便性を向上する。
【解決手段】 車両用のコンビネーションメータAは、車室内のインストルメントパネルにて車両後方に向けて配置される表示パネル部10cと、受信回路60で受信される天気予報情報を表示パネル部10cにより表示させるマイクロコンピュータ40とを備える。したがって、天気予報情報が表示パネル部10cにより表示されて運転者などの乗員に報知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内のインストルメントパネルに配置される表示パネルにより情報表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車室内のインストルメントパネルにて運転席側に向けて配置されて、車速計、エンジン回転数計、および表示パネルから組み合わされて構成される車両用計器がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述の車両用計器の表示パネルでは、メンテ時期、燃費などの限られた情報しか表示させていなかった。
【0004】
そこで、本発明者は、近年、FM文字多重放送局から各種の情報が放送されていることに着目して、このFM文字多重放送局からの情報を用いて乗員に対する利便性を高めることを考えた。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、文字多重放送局から放送される情報を用いて乗員に対する利便性を高めることのできる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
文字多重放送局から放送される文字情報を受信する受信回路(60)を備える車両に適用されて、
車室内のインストルメントパネルにて車両後方に向けて配置される表示パネル(10c)と、
前記受信回路で受信される文字情報を前記表示パネルにより表示させる制御手段(40)と、
を備える車両用表示装置。
【0007】
したがって、文字多重放送局から放送される文字情報を乗員に報知することができるので、乗員に対する利便性を高めることができる。
【0008】
ここで、具体的には、請求項2に記載の発明によれば、前記表示パネルは、車両情報を表示する計器(A)内に設けられている。
【0009】
特に、請求項3に記載の発明の如く、請求項1または2に記載の車両用表示装置において、制御手段は、人が乗車したと判定したときに、前記文字情報を前記表示パネルにより表示させれば、文字情報が乗員に対して気付かれ易い。
【0010】
また、請求項4に記載の発明の如く、前記制御手段は、人が乗車したと判定した後に前記表示パネルにより前記文字情報を一定期間表示させてもよい。
【0011】
また、請求項5に記載の発明の如く、文字情報としては天気予報情報であってもよく、請求項6に記載の発明の如く、文字情報としては地震速報情報であってもよい。
【0012】
ここで、請求項7に記載の発明の如く、制御手段が前記地震速報情報を前記受信回路により受信されたと判定したときには、警告手段(70)が、地震速報情報の受信を乗員に知らせるための警告音を発生すれば、乗員が表示パネルを見なくても、地震速報情報の受信を知ることができる。
【0013】
そして、請求項8に記載の発明の如く、前記制御手段が前記地震速報情報を前記受信回路により受信されたと判定後、当該車両が停止したと判定した場合には、前記地震速報情報を前記表示パネルにより表示させれば、乗員にとっては、運転に支障を来すことなく、地震速報情報を見ることができる。
【0014】
請求項9に記載の発明では、文字多重放送局から放送される文字情報を受信する受信回路(60)を備える車両に適用されて、
車室内のインストルメントパネルにて車両後方に向けて配置される表示パネル(10c)と、
前記表示パネルにより時刻を表示する制御手段(40)と、備えており、
前記文字多重放送局は、時計の時刻を調整するための時刻修正情報を放送するものであり、
前記受信回路は前記時刻修正情報を受信するものであり、
前記制御手段は、前記受信回路により受信される前記時刻修正情報に基づいて、時刻修正をすることを特徴とする。
【0015】
したがって、自動的に時刻調整することができるので、乗員に対する利便性を高めることができる。
【0016】
ここで、請求項10に記載の発明の如く、前記制御手段は、前記表示パネルが時刻を表示していない状態で、前記時刻修正するようにしてもよい。
【0017】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る車両用表示装置が適用されるコンビネーションメータAを示しており、このコンビネーションメータAは自動車の車室内のインストルメントパネルの後壁にて運転座席の前側に配設されている。
【0019】
コンビネーションメータAは計器板10を備えており、この計器板10は、図1にて示すごとく、目盛り盤10a、10b及び表示パネル部10cから構成されている。
【0020】
目盛り盤10a、10bは左右に並べられており、目盛り盤10a、10bには、それぞれ、円弧状パターン表示部11、12が形成されている。円弧状パターン表示部11は車速目盛りパターンを表し、円弧状パターン表示部12はエンジン回転数目盛りパターンを表す。
【0021】
表示パネル部10cは、円弧状パターン表示部11、12の間にて配置されており、表示パネル部10cは、液晶表示パネル、或いはELパネルなどが用いられている。
【0022】
また、コンビネーションメータAは、指針20、30を備えており、指針20、30は、目盛り盤10a、10b上を回転して車速、エンジン回転数を指示表示する。
【0023】
次に、本実施形態のコンビネーションメータAの電気的構成について図2を用いて説明する。図2はコンビネーションメータAの電気的構成を示す模式図である。
【0024】
コンビネーションメータAは、アクチュエータ50A、50Bを備えており、アクチュエータ50A、50Bは、それぞれ指針軸を介して指針20、30を回動駆動させる。
【0025】
なお、アクチュエータ50A、50Bとしては、それぞれ、ステッピングモータ、或いは、交差コイル式回動機などが用いられる。
【0026】
コンビネーションメータAは、受信回路60、スピーカ70、時計モジュール80およびマイクロコンピュータ40を備えており、受信回路60は、車載バッテリBから直接的に給電されている。受信回路60は、一定期間毎に、FM文字多重放送局から放送される天気予報情報を受信アンテナを介して受信してその天気予報情報を内蔵メモリに記憶する。なお、FM文字多重放送局は、一定期間毎に天気予報情報を放送しているものとする。
【0027】
スピーカ70は、警告音などを車室内に向けて発生し、時計モジュール80は、車載バッテリBから直接的に給電されて、時刻を示す時刻信号を出力する回路である。
【0028】
マイクロコンピュータ40は車載バッテリBから直接的に給電されており、このマイクロコンピュータ40は車速センサにより検出される車速情報に基づいてアクチュエータ50Aを制御したり、エンジン回転数センサにより検出される回転数情報に基づいてアクチュエータ50Bを制御したり、表示パネル部10cにより各種情報を表示させたりする制御処理を実行する。
【0029】
以下、マイクロコンピュータ40による制御処理について図3を用いて具体的に説明する。図3はマイクロコンピュータ40による制御処理を示すフローチャートであり、マイクロコンピュータ40は、図3のフローチャートにしてたがって、コンピュータプログラムを実行する。このコンピュータプログラムは、イグニッションスイッチIGがOFFのときに、一定期間毎に実行される。
【0030】
先ず、人が運転席に乗車したか否かを判定し(ステップS100)、イグニッションスイッチIGがONされたとき、人が運転席に乗車したとしてYesと判定する。これに伴い、FM文字多重放送局からの天気予報情報を受信回路60から取得して、この天気予報情報を文字情報として表示パネル部10cにより表示させる(ステップ110)。
【0031】
その後、一定期間経過すると(ステップS120:Yes)、天気予報情報の表示を停止して、時計モジュール80からの時刻信号に基づいて時刻を表示パネル部10cにより表示させる(ステップS130)。
【0032】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0033】
すなわち、本実施形態のコンビネーションメータAは、車室内のインストルメントパネルにて車両後方に向けて配置される表示パネル部10cと、受信回路60で受信される天気予報情報を表示パネル部10cにより表示させるマイクロコンピュータ40とを備える。
【0034】
したがって、天気予報情報が表示パネル部10cにより表示されて運転者などの乗員に報知されるので、運転者などの乗員に対する利便性を向上することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、マイクロコンピュータ40は人が運転席に乗車したと判定したときに天気予報情報を表示パネル部10cにより表示させることを特徴としている。
【0036】
したがって、表示パネル部10cにより表示される天気予報情報が運転者に対して注目され易く、また運転者にとっては下車する際には雨傘などを用意もすることができる。
【0037】
上述の第1実施形態では、イグニッションスイッチIGがONされたとき、人が運転席に乗車したと判定した例について説明したが、これに限らず、運転席ドアの開放に伴い人が運転席に乗車したと判定してもよい。この場合、運転席ドアの開放に伴いONする常開型スイッチを設け、この常開型スイッチから出力されるスイッチ信号に基づいてマイクロコンピュータ40により、人が運転席に乗車した否かを判定することになる。
【0038】
また、運転席に人が着座するとその人の体重でONする常開型スイッチを運転席に埋め込み、この常開型スイッチから出力されるスイッチ信号に基づいてマイクロコンピュータ40により、人が着座したか否か(つまり、運転席に乗車した否か)を判定してもよい。
【0039】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、天気予報を乗員に報知する例について説明したが、本第2実施形態では、これに代えて、地震情報を乗員に報知する例について説明知する。
【0040】
この場合のマイクロコンピュータ40による制御処理を図4に示す。
【0041】
図4はマイクロコンピュータ40による制御処理を示すフローチャートであり、マイクロコンピュータ40は、図4のフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムを実行する。このコンピュータプログラムは、イグニッションスイッチIGがONのときに一定期間毎に実行される。
【0042】
先ず、受信回路60によりFM文字多重放送局から地震情報を受信したか否かを判定する(ステップS200)。
【0043】
ここで、地震情報には、地震予知を示す文字情報以外に、地震情報を識別するための識別情報が含まれており、この識別情報を含む情報を受信回路60により受信したときには、FM文字多重放送局から地震情報を受信したとしてYesと判定する。
【0044】
この場合、FM文字多重放送局からの地震情報を内蔵メモリに記憶して、スピーカ70から警告音を車室内に向けて発生する(ステップS210)。その後、車速センサから出力される車速信号に基づいて車速が一定速度未満(例えば、5km/h)になったか否かを判定する(ステップS220)。
【0045】
ここで、車速が一定速度以上であると判定されると、スピーカ70による警告音の発生を継続する。その後、車速が一定速度未満になると、車両が停止したと判定して、スピーカ70による警告音の発生を停止して、上述の如く内蔵メモリに記憶されたFM文字多重放送局から地震情報に基づいて、地震情報を表示パネル部10cにより表示させる(ステップS230)。
【0046】
次に、本第2実施形態の作用効果について説明する。
【0047】
すなわち、本第2実施形態のマイクロコンピュータ40がFM文字多重放送局から地震情報を受信したと判定したときには、スピーカ70から警告音を車室内に向けて発生する。したがって、運転者にとっては、運転中には、表示パネル部10cを視なくても、FM文字多重放送局から地震情報を受信したことを知ることができる。
【0048】
また、車両停止後、表示パネル部10cによりFM文字多重放送局から地震情報を表示するので、運転者は、運転に支障を来すことなく、FM文字多重放送局から地震情報を知ることができる。
【0049】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、マイクロコンピュータ40が時刻を表示パネル部10cにより表示させる例について説明したが、これに加えて、FM文字多重放送局からの情報に基づいて時計モジュール80の時刻を修正するようにしてもよい。
【0050】
具体的には、FM文字多重放送局は、時計の時刻を修正するための時刻修正情報を放送するものであり、受信回路60は時刻修正情報を受信するものであり、マイクロコンピュータ40は、受信回路60により受信される時刻修正情報に基づいて、時刻修正をする。
【0051】
ここで、表示パネル部10cが時刻を表示している状態で、時刻修正するとこの時刻修正に伴う時刻表示の変化で運転者に違和感を与える可能性がある。一方、マイクロコンピュータ40は、表示パネル部10cが時刻を表示していない状態で、時計モジュール80の時刻を修正すれば、この時刻修正に伴って、運転者に違和感を与えることはない。
【0052】
上述の実施形態では、受信回路60をコンビネーションメータA内に設けた例について説明したが、これに代えて、受信回路60をコンビネーションメータAとは別に配置するようにしてもよい。
【0053】
上述の実施形態では、表示パネル部10cをコンビネーションメータA内に配置した例について説明したが、これに限らず、インストルメントパネルの後壁であれば、表示パネル部10cをコンビネーションメータAから離れて配置してもよい。
【0054】
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、受信回路60が請求項1に記載の「文字多重放送局から放送される文字情報を受信する受信回路」に相当し、表示パネル部10cが請求項1に記載の「車室内のインストルメントパネルにて車両後方に向けて配置される表示パネル」に相当し、マイクロコンピュータ40が請求項1に記載の「受信回路で受信される文字情報を前記表示パネルにより表示させる制御手段」に相当し、コンビネーションメータAが「車両情報を表示する計器」に相当し、スピーカ70が請求項7に記載の「地震速報情報の受信を乗員に知らせるための警告音を発生するための警告手段」に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態のコンビネーションメータの正面図である。
【図2】図1のコンビネーションメータの電気的構成を示す模式図である。
【図3】図2のマイクロコンピュータの制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るマイクロコンピュータの制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
A…コンビネーションメータ、10c…表示パネル部、
40…マイクロコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字多重放送局から放送される文字情報を受信する受信回路(60)を備える車両に適用されて、
車室内のインストルメントパネルにて車両後方に向けて配置される表示パネル(10c)と、
前記受信回路で受信される文字情報を前記表示パネルにより表示させる制御手段(40)と、
を備える車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルは、車両情報を表示する計器(A)内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、人が乗車したと判定したときに、前記文字情報を前記表示パネルにより表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、人が乗車したと判定した後に前記表示パネルにより前記文字情報を一定期間表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記文字情報は天気予報情報であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記文字情報は地震速報情報であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記制御手段が前記地震速報情報を前記受信回路により受信されたと判定したときには、前記地震速報情報の受信を乗員に知らせるための警告音を発生するための警告手段(70)を備えることを特徴とする請求項6に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記制御手段が前記地震速報情報を前記受信回路により受信されたと判定後、当該車両が停止したと判定した場合には、前記地震速報情報を前記表示パネルにより表示させることを特徴とする請求項7に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
文字多重放送局から放送される文字情報を受信する受信回路(60)を備える車両に適用されて、
車室内のインストルメントパネルにて車両後方に向けて配置される表示パネル(10c)と、
前記表示パネルにより時刻を表示する制御手段(40)と、備えており、
前記文字多重放送局は、時計の時刻を調整するための時刻修正情報を放送するものであり、
前記受信回路は前記時刻修正情報を受信するものであり、
前記制御手段は、前記受信回路により受信される前記時刻修正情報に基づいて、時刻修正をすることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記表示パネルが時刻を表示していない状態で、前記時刻修正することを特徴とする請求項9に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−264619(P2006−264619A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88760(P2005−88760)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】