説明

車両用運転支援装置および車両用運転支援方法

【課題】オートクルーズ制御がオンの状態で、ブレーキ操作を行わなくてもカーブ路を走行できるか否かの情報をユーザに提供する。
【解決手段】道路情報を取得し、取得した道路情報、および、定速走行制御時の一定速度に基づいて、定速走行制御中に一定速度でカーブ路を走行する際に必要となる必要旋回ヨーモーメントを算出するとともに、定速走行制御中に一定速度でカーブ路を走行する際に、車両が走行可能な限界ヨーモーメントを算出する。そして、車両がカーブ路に進入する前に、必要旋回ヨーモーメント65および限界ヨーモーメント64を、表示装置に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を一定速度で走行させる定速走行制御を利用して、車両の運転を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバのアクセル操作を必要とせずに、ドライバが設定した速度で定速走行するオートクルーズ制御が知られている(特許文献1参照)。このオートクルーズ制御では、定速走行状態でドライバがブレーキ操作を行うと、定速走行が解除される。
【特許文献1】特開平8−183369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のオートクルーズ制御では、オートクルーズ制御がオンの状態で、走行路の前方にカーブ路が現れた場合に、ブレーキ操作を行って車両を減速させる必要があるか否かを各ドライバが判断する必要がある。従って、実際には、ブレーキ操作を行わなくてもカーブ路を走行できるような状況であっても、ドライバがブレーキ操作を行う必要があると判断して、ブレーキ操作を行えば、オートクルーズ制御がオフとなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による車両用運転支援装置は、車両を一定速度で走行させる定速走行制御を行う定速走行制御手段と、道路情報を取得する道路情報取得手段と、道路情報取得手段で取得された道路情報、および、一定速度に基づいて、定速走行制御中に一定速度でカーブ路を走行する際に必要となる必要旋回ヨーモーメントを算出する必要旋回ヨーモーメント算出手段と、定速走行制御中に一定速度でカーブ路を走行する際に、車両が走行可能な限界ヨーモーメントを算出する限界ヨーモーメント算出手段と、車両がカーブ路に進入する前に、必要旋回ヨーモーメントおよび限界ヨーモーメントを、表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0005】
本発明による車両用運転支援方法は、車両を一定速度で走行させる定速走行制御を行う車両用運転支援方法であって、道路情報を取得し、取得した道路情報、および、一定速度に基づいて、定速走行制御中に一定速度でカーブ路を走行する際に必要となる必要旋回ヨーモーメントを算出し、定速走行制御中に一定速度でカーブ路を走行する際に、車両が走行可能な限界ヨーモーメントを算出し、車両がカーブ路に進入する前に、必要旋回ヨーモーメントおよび限界ヨーモーメントを、表示装置に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、定速走行制御を解除せずに、カーブ路を走行できるか否かをドライバが容易に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。
【0008】
図1は、一実施の形態における車両用運転支援装置を搭載した車両の主要構成を示す全体システム図である。この車両は、後輪駆動ベースの四輪駆動車であり、車速を一定速度に保つオートクルーズ制御(定速走行制御)機能を備えている。
【0009】
エンジン1の駆動力は、自動変速機2を介して、トランスファー3に伝達され、トランスファー3内のトルク配分クラッチ(不図示)で、左右の前輪4a,4bおよび左右の後輪5a,5bへのトルク配分が行われる。左右の前輪4a,4bへは、フロントプロペラシャフト6およびフロントディファレンシャル7を介して、トルクが伝達される。また、左右の後輪5a,5bへは、リアプロペラシャフト8および左右駆動力配分装置9を介して、トルクが伝達される。
【0010】
左右駆動力配分装置9は、リアプロペラシャフト8を介して伝達される駆動力を、左右の後輪5a,5bに伝達/切断するためのクラッチ10a,10bを備えている。クラッチ10a,10bのクラッチ締結力に応じて、左右の後輪5a,5bにそれぞれ伝達される駆動力が変化する。右後輪5aおよび左後輪5bにそれぞれ伝達される駆動力を変えることにより、カーブ路を走行する際の走行性能が向上する。例えば、左旋回時には、左側のクラッチ10bの締結力に対して、右側のクラッチ10aの締結力を強くすることにより、旋回外側の後輪駆動トルクを旋回内側の駆動トルクよりも大きくすることができ、旋回性能を向上させることができる。ここでは、左右駆動力配分装置9により、右後輪5aおよび左後輪5bにそれぞれ伝達される駆動力の割合を調整する制御を、左右駆動力配分制御と呼ぶ。
【0011】
ECU10は、トランスファー3内に設けられているトルク配分クラッチ(不図示)に対して、クラッチ締結指令を出して、トルク配分クラッチのクラッチ締結力を制御する。また、ECU10は、アクチュエータ27(図2参照)に対して、左右駆動力配分装置9内に設けられているクラッチ10a,10bの締結力を制御するためのクラッチ締結指令を出して、クラッチ10a,10bのクラッチ締結力を制御することにより、左右の後輪5a,5bに伝達される駆動力を制御する。
【0012】
図2は、ECU10に入力される信号およびECU10から出力される信号を説明するための図である。ECU10には、バス26を介して、車速センサ20によって検出される車速、ヨーレートセンサ21によって検出される車両のヨーレート、操舵角センサ22によって検出されるステアリング操舵角、ブレーキセンサ23によって検出されるブレーキの有無、ナビゲーションコントローラ24から出力されるナビゲーション情報、クルーズコントローラ25から出力されるクルーズコントロール情報が入力される。ナビゲーション情報には、少なくとも、走行路の道路情報が含まれる。
【0013】
ECU10は、各センサ20〜23および各コントローラ24〜25から入力される情報に基づいて、クラッチ10a,10bのクラッチ締結力を制御するためのクラッチ締結指令をアクチュエータ27に出す。アクチュエータ27は、ECU10から受け取ったクラッチ締結指令に基づいて、クラッチ10a,10bのクラッチ締結力を制御する。
【0014】
ECU10は、また、後述するように、オートクルーズ制御を作動させた状態で、カーブ路を走行できるか否かをドライバが容易に判断できる情報をディスプレイ28に表示させる。
【0015】
図3は、ECU10によって行われる処理の内容を示すフローチャートである。クルーズコントローラ25から、車速を一定速に保つオートクルーズ制御が開始されたことを示す信号が入力されると、ステップS10の処理を開始する。
【0016】
ステップS10では、車速センサ20によって検出される車速のデータを取得する。この車速は、オートクルーズ制御において設定されている車速である。ステップS20では、ナビゲーションコントローラ24からナビゲーション情報を取得する。
【0017】
ステップS30では、ステップS10で取得した車速のデータ、および、ステップS20で取得したナビゲーション情報に基づいて、車両前方に存在するカーブ路を走行する際に必要な旋回ヨーモーメントを求める。例えば、車速および道路のカーブ半径Rと、カーブ路を走行する際に必要な旋回ヨーモーメントとの関係を定めたデータを予め用意しておき、取得した車速およびカーブ半径Rに基づいて、上記データを参照することにより、車両前方に存在するカーブ路を走行する際に必要な旋回ヨーモーメントを求める。カーブ半径Rは、ナビゲーション情報に含まれている。
【0018】
図4は、車両前方に複数のカーブ路が連続して存在する道路を走行する場合において、ステップS30で求められたヨーモーメントの一例を示す図である。図4において、横軸は時間であり、縦軸の正方向は、右旋回時に必要なヨーモーメント、縦軸の負方向は、左旋回時に必要なヨーモーメントを示している。すなわち、車両前方には、最初に右旋回のカーブ路が存在し、その後、左旋回のカーブ路、右旋回のカーブ路というように、方向が異なる複数のカーブ路が存在している。
【0019】
なお、車両前方にカーブ路が存在しない場合、また、自車両の位置から車両前方のカーブ路までの距離が所定距離以上の場合には、ステップS30の処理を行わずに、ステップS10に戻るようにしてもよい。
【0020】
ステップS40では、オートクルーズ制御が行われている状態で、左右駆動力配分装置9による左右駆動力配分制御を利用して車両が走行可能な限界ヨーモーメントを求める。上述したように、車両の旋回時に、左右駆動力配分制御を利用することにより、車両が走行可能な限界ヨーモーメントは大きくなる(旋回性能が向上する)。
【0021】
限界ヨーモーメントは、ステップS10で取得された車速、カーブ半径R、および、路面の状況に基づいて求める。本実施の形態では、路面の状況は、ワイパの作動状況に応じて、路面が乾いているか、濡れているかの2段階で区別する。ここでは、車速、カーブ半径Rおよび路面の状況と、左右駆動力配分装置9による左右駆動力配分制御を利用して車両が走行可能な限界ヨーモーメントとの関係を定めたデータを予め用意しておき、車速、カーブ半径Rおよび路面の状況に基づいて、上記データを参照することにより、限界ヨーモーメントを定める。
【0022】
図4では、路面が乾いている状況および濡れている状況にそれぞれ応じた限界ヨーモーメントを示している。図4に示すように、路面が濡れている状況に対して、路面が乾いている状況の方が限界ヨーモーメントは大きくなる。
【0023】
ステップS50では、オートクルーズ制御が作動したままの状態で、左右駆動力配分装置9による左右駆動力配分制御を利用することによって、車両前方のカーブ路を走行可能か否かを判定する。この判定は、ステップS30で求めた必要旋回ヨーモーメントがステップS40で求めた限界ヨーモーメント以下であるか否かに基づいて行う。必要旋回ヨーモーメントが限界ヨーモーメント以下である場合には、オートクルーズ制御が作動したままの状態で、車両前方のカーブ路を走行可能であると判定して、ステップS60に進む。一方、必要旋回ヨーモーメントが限界ヨーモーメントより大きい場合には、オートクルーズ制御を解除しなければカーブ路を走行できないと判定して、ステップS130に進み、オートクルーズ制御を解除するための指令をクルーズコントローラ25に出力する。この指令に基づいて、クルーズコントローラ25は、オートクルーズ制御を解除する。
【0024】
ステップS60では、後述する必要旋回ヨーモーメントおよび限界ヨーモーメントの表示を行うための表示位置に自車両が到達したか否かを判定する。上記表示を行うための表示位置は、車速に応じた値で、カーブ路の入口からの距離により規定する。図5は、車速Vspと、上記表示を行うためのカーブ路の入口からの距離との関係を定めた図である。図5に示すように、車速が速くなるほど、カーブ路の入口から遠い位置において、できるだけ早く表示を開始するようにする。ここでは、図5に示すような関係を有するデータを予め用意しておき、オートクルーズ制御で設定されている車速から、予め用意しておいたデータを参照することにより、カーブ路の入口からの表示位置までの距離を求める。続いて、ナビゲーションコントローラ24から入力されるナビゲーション情報に基づいて、求めた表示位置に自車両が到達したか否かを判定する。求めた表示位置に自車両が到達していないと判定すると、ステップS60で待機し、求めた表示位置に自車両が到達したと判定すると、ステップS70に進む。
【0025】
ステップS70では、ステップS30で求めた必要旋回ヨーモーメントと、ステップS40で求めた限界ヨーモーメントとの大小関係をユーザ(ドライバ)が判別できる情報をディスプレイ28に表示させる。
【0026】
図6は、必要旋回ヨーモーメントと限界ヨーモーメントとの大小関係を示す表示の一例である。図6では、スピードメーター61およびタコメーター62の真ん中上部に、必要旋回ヨーモーメントと限界ヨーモーメントとを表示するための表示エリア63を設けた例を示している。この表示エリア63が上述したディスプレイ28に対応する。表示エリア63では、限界ヨーモーメントを点線64で示し、必要旋回ヨーモーメントをバー65で示している。中央線66を基準として、右側(R)が右旋回時のヨーモーメントであり、左側(L)が左旋回時のヨーモーメントである。例えば、右旋回時のヨーモーメントは、値が小さいほど中央線66に近い位置に表示され、値が大きいほど、中央線66から遠い位置に表示される。
【0027】
ドライバは、点線64で示される限界ヨーモーメントと、バー65で表示される必要旋回ヨーモーメントとを見ることにより、限界ヨーモーメントと必要旋回ヨーモーメントのどちらが大きいかを容易に把握することができる。これにより、バー65で表示される必要旋回ヨーモーメントが点線64で示される限界ヨーモーメント以下であれば、オートクルーズ制御を解除せずに、カーブ路を旋回できることを容易に判断することができる。逆に、バー65で表示される必要旋回ヨーモーメントが点線64で示される限界ヨーモーメントより大きければ、オートクルーズ制御を解除する必要があると判断できる。
【0028】
ステップS80では、ブレーキセンサ23から入力されるブレーキ信号に基づいて、ブレーキが踏まれていない(ブレーキOFF)か否かを判定する。ブレーキが踏まれたと判定すると、ステップS130に進み、オートクルーズ制御を解除するための指令をクルーズコントローラ25に出力する。この指令に基づいて、クルーズコントローラ25は、オートクルーズ制御を解除する。一方、ブレーキが踏まれていないと判定すると、ステップS90に進む。
【0029】
ステップS90では、ステアリング操舵の方向がカーブ路の旋回方向と同じ方向であるか否かを判定する。ステアリング操舵の方向は、操舵角センサ22によって検出される操舵角に基づいて判定する。また、カーブ路の旋回方向は、ナビゲーションコントローラ24から入力されるナビゲーション情報に基づいて判定する。例えば、ドライバが道路上の障害物を回避するために、旋回方向と異なる方向にステアリング操作を行った場合等、ステアリング操舵の方向がカーブ路の旋回方向と異なる方向であると判定すると、ステップS130に進み、オートクルーズ制御を解除するための指令をクルーズコントローラ25に出力する。この指令に基づいて、クルーズコントローラ25は、オートクルーズ制御を解除する。
【0030】
一方、ステップS90において、ステアリング操舵の方向がカーブ路の旋回方向と同じ方向であると判定すると、ステップS100に進む。ステップS100では、次式(1)の関係を満たすか否かを判定する。式(1)において、TVYは、ステップS30で求められた必要旋回ヨーモーメント、STYは、車両に実際に発生しているヨーモーメント、αmaxは、所定のしきい値をそれぞれ表す。なお、車両に実際に発生しているヨーモーメントは、既知の方法により求めることができる。
【0031】
STY−TVY≦αmax (1)
【0032】
式(1)は、ドライバが過剰なステアリング操作を行っていないかを判定するための式である。式(1)が成り立たない場合には、ドライバが過剰なステアリング操作を行ったと判断して、ステップ130に進み、オートクルーズ制御を解除するための指令をクルーズコントローラ25に出力する。この指令に基づいて、クルーズコントローラ25は、オートクルーズ制御を解除する。一方、式(1)が成り立つ場合には、ドライバによる過剰なステアリング操作は無いと判断して、ステップS110に進む。
【0033】
ステップS110では、次式(2)より、左右駆動力配分装置9による左右駆動力配分制御によって発生させるヨーモーメントαを求め、求めたヨーモーメントαに基づいて、アクチュエータ27に対して、クラッチ締結指令を出す。
【0034】
α=TVY−STY (2)
【0035】
上述したように、TVYは、TVYは、ステップS30で求められた必要旋回ヨーモーメント、STYは、車両に実際に発生しているヨーモーメントである。すなわち、必要旋回ヨーモーメントから、車両に実際に発生しているヨーモーメントを減算した分を、左右駆動力配分制御によって発生させるヨーモーメントαとする。
【0036】
ステップS120では、クルーズコントローラ25から出力されるクルーズコントロール情報に基づいて、オートクルーズ制御が解除されたか否かを判定する。オートクルーズ制御が解除されていないと判定すると、ステップS10に戻り、オートクルーズ制御が解除されたと判定すると、フローチャートの処理を終了する。
【0037】
一実施の形態における車両用運転支援装置によれば、道路情報を取得し、取得した道路情報、および、定速走行制御時の一定速度に基づいて、定速走行制御中に一定速度でカーブ路を走行する際に必要となる必要旋回ヨーモーメントを算出するとともに、定速走行制御中に一定速度でカーブ路を走行する際に、車両が走行可能な限界ヨーモーメントを算出する。そして、算出した必要旋回ヨーモーメントおよび限界ヨーモーメントを、表示装置に表示させる。これにより、ドライバは、定速走行制御が作動している状態でカーブ路に進入する際に、定速走行制御を解除しなくてもカーブ路を走行できるか否かを容易に判断することができる。
【0038】
また、定速走行制御時の一定速度に基づいて、必要旋回ヨーモーメントおよび限界ヨーモーメントを表示させる位置である表示位置を決定するとともに、車両の位置が表示位置に到達したか否かを判定し、車両の位置が表示位置に到達したと判定すると、必要旋回ヨーモーメントおよび限界ヨーモーメントを表示装置に表示させる。これにより、車速に応じた適切な位置にて、必要旋回ヨーモーメントおよび限界ヨーモーメントを表示させることができる。
【0039】
さらに、一実施の形態における車両用運転支援装置によれば、左右の車輪に伝達する駆動力の配分を調整する制御である左右駆動力配分制御を行うことを前提として、限界ヨーモーメントを算出する。また、必要旋回ヨーモーメントが限界ヨーモーメント以下の場合に、左右駆動力配分制御を行う。これにより、限界ヨーモーメントを拡大させることができるので、定速走行制御を解除せずに、カーブ路を走行できる可能性が高くなる。定速走行制御を解除せずに、カーブ路を走行する場合、ドライバが減速操作を行う必要が無くなるため、ドライバの操作負担が軽減するとともに、加減速を減らすことができるので、燃費面で有利になる。
【0040】
また、車両の旋回中に、ドライバのステアリング操舵方向が車両の旋回方向と異なる方向の場合に、定速走行制御を解除するので、安全性を向上させることができる。
【0041】
さらに、路面の状況に応じて、限界ヨーモーメントを算出するので、路面の状況に応じた適切な限界ヨーモーメントを算出することができる。
【0042】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、上述した一実施の形態では、車両用運転支援装置を後輪駆動ベースの四輪駆動車に搭載した例を挙げて説明したが、オートクルーズ制御および左右駆動力配分制御を行うことができる車両であれば、どのような車両にも適用することができる。
【0043】
限界ヨーモーメントは、車速、カーブ半径R、および、路面の状況に基づいて求めたが、さらに、外気温、乗員を含む車両全体の重量等を考慮して、求めるようにしてもよい。
【0044】
道路情報は、ナビゲーションコントローラ24からナビゲーション情報として取得したが、例えば、VICSを利用して取得するようにしてもよい。
【0045】
必要旋回ヨーモーメントおよび限界ヨーモーメントを、ディスプレイ28に表示させる方法は、図6に示すものに限定されることはなく、ドライバが両者の大小関係を判断できる表示方法であれば、どのような表示方法であってもよい。また、オートクルーズ制御を解除せずに、カーブ路を走行できるか否かを、表示だけでなく、音声でドライバに伝えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】一実施の形態における車両用運転支援装置を搭載した車両の主要構成を示す全体システム図である。
【図2】ECUに入力される信号およびECUから出力される信号を説明するための図である。
【図3】ECUによって行われる処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】車両前方に複数のカーブ路が連続して存在する道路を走行する場合において、必要な旋回ヨーモーメントの一例を示す図である。
【図5】車速と、表示を行うためのカーブ路の入口からの距離との関係を定めた図である。
【図6】必要旋回ヨーモーメントと限界ヨーモーメントとの大小関係を示す表示の一例である。
【符号の説明】
【0047】
1…エンジン
2…自動変速機
3…トランスファー
4a,4b…左右の前輪
5a,5b…左右の後輪
6…フロントプロペラシャフト
7…フロントディファレンシャル
8…リアプロペラシャフト
9…左右駆動力配分装置
10a,10b…クラッチ
20…車速センサ
21…ヨーレートセンサ
22…操舵角センサ
23…ブレーキセンサ
24…ナビゲーションコントローラ
25…クルーズコントローラ
26…バス
27…アクチュエータ
28…ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を一定速度で走行させる定速走行制御を行う定速走行制御手段と、
道路情報を取得する道路情報取得手段と、
前記道路情報取得手段で取得された道路情報、および、前記一定速度に基づいて、前記定速走行制御中に前記一定速度でカーブ路を走行する際に必要となる必要旋回ヨーモーメントを算出する必要旋回ヨーモーメント算出手段と、
前記定速走行制御中に前記一定速度で前記カーブ路を走行する際、車両が走行可能な限界ヨーモーメントを算出する限界ヨーモーメント算出手段と、
車両が前記カーブ路に進入する前に、前記必要旋回ヨーモーメントおよび前記限界ヨーモーメントを、表示装置に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用運転支援装置において、
前記一定速度に基づいて、前記必要旋回ヨーモーメントおよび前記限界ヨーモーメントを表示させる位置である表示位置を決定する表示位置決定手段と、
車両の位置が前記表示位置に到達したか否かを判定する位置判定手段と、
をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記位置判定手段によって、車両の位置が前記表示位置に到達したと判定されると、前記必要旋回ヨーモーメントおよび前記限界ヨーモーメントを前記表示装置に表示させることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用運転支援装置において、
左右の車輪に伝達する駆動力の配分を調整する制御である左右駆動力配分制御を行う左右駆動力配分制御手段をさらに備え、
前記限界ヨーモーメント算出手段は、前記左右駆動力配分制御手段による左右駆動力配分制御を行うことを前提として、前記限界ヨーモーメントを算出することを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用運転支援装置において、
前記左右駆動力配分制御手段は、前記定速走行制御時に、前記必要旋回ヨーモーメントが前記限界ヨーモーメント以下の場合に、前記左右駆動力配分制御を行うことを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の車両用運転支援装置において、
ドライバのステアリング操舵方向を検出するステアリング操舵方向検出手段と、
車両の旋回中に、前記ドライバのステアリング操舵方向が車両の旋回方向と異なる方向の場合に、前記定速走行制御を解除する定速走行制御解除手段と、
をさらに備えることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の車両用運転支援装置において、
車両に発生している実ヨーモーメントを算出する実ヨーモーメント算出手段と、
前記実ヨーモーメントおよび前記必要旋回ヨーモーメントに基づいて、ドライバが過剰なステアリング操作を行っていないか判定する過剰ステアリング操作判定手段と、
前記過剰ステアリング操作判定手段によって、ドライバが過剰なステアリング操作を行っていると判定されると、前記定速走行制御を解除する定速走行制御解除手段と、
をさらに備えることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の車両用運転支援装置において、
路面の状況を判定する路面状況判定手段をさらに備え、
前記限界ヨーモーメント算出手段は、さらに前記路面の状況を考慮して、前記限界ヨーモーメントを算出することを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項8】
車両を一定速度で走行させる定速走行制御を行う車両用運転支援方法において、
道路情報を取得し、
前記取得した道路情報、および、前記一定速度に基づいて、前記定速走行制御中に前記一定速度でカーブ路を走行する際に必要となる必要旋回ヨーモーメントを算出し、
前記定速走行制御中に前記一定速度で前記カーブ路を走行する際に、車両が走行可能な限界ヨーモーメントを算出し、
車両が前記カーブ路に進入する前に、前記必要旋回ヨーモーメントおよび前記限界ヨーモーメントを、表示装置に表示させることを特徴とする車両用運転支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−149568(P2010−149568A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327250(P2008−327250)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】