車両誘導装置及び車両誘導システム
【課題】極めて効率良く、最適な目的地への誘導を誘導対象車両に指示することができる、改良された車両誘導装置及び車両誘導システムを提供する。
【解決手段】緊急車両誘導装置は、誘導対象車両の目的地に対する予測走行経路を算出して、その予測走行経路上にある監視カメラの映像を、最も近いものから適切な順番で表示装置に表示する。そして、誘導対象車両が交差点を通過したか、或は監視カメラを通過したかのいずれかで、予測走行経路を再計算し、改めて表示装置に表示すべき監視カメラの映像を選択し直す。
【解決手段】緊急車両誘導装置は、誘導対象車両の目的地に対する予測走行経路を算出して、その予測走行経路上にある監視カメラの映像を、最も近いものから適切な順番で表示装置に表示する。そして、誘導対象車両が交差点を通過したか、或は監視カメラを通過したかのいずれかで、予測走行経路を再計算し、改めて表示装置に表示すべき監視カメラの映像を選択し直す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両誘導装置及び車両誘導システムに関する。
より詳細には、指定した緊急車両の進行方向上に設置された各監視カメラの映像を自動的に選択する、緊急車両誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時や事件・事故発生時等では、警備や消防・警察等の緊急車両を、より早く安全に目的地に到達させることが必要である。しかしながら、災害発生時等は、道路の寸断や避難車両による大混雑等が発生し、最適な経路で緊急車両を目的地に誘導することが非常に困難になる場合がある。
従来の緊急車両の誘導方法としては、予め設定された道路地図上に自車両の現在位置や走行ルートを表示する車載用のナビゲーション装置を用いるのが一般的であるが、前述のように、これだけでは災害時の突発的な事象に対する対応は不十分である。
【0003】
このような課題を解決するために、特許文献1では、本部側にて、緊急車両を誘導する最適な経路情報を作成し、無線通信により作成した経路情報を車両に送信し、車両側でその経路情報を受信して、車載装置に表示するという方式が提案されている。
【0004】
一方、映像監視装置は、近年のブロードバンドネットワーク等の高速通信網の発達と、映像の高圧縮技術の確立およびセキュリティへの関心の高まり等を背景に、急激に配備数が増加している。特に、近年、監視カメラの価格が低下したことにより、様々な箇所に設置されるようになってきている。例えば、コンビニエンスストアや銀行等の主要店舗内の侵入防犯監視や商店街等の街頭監視、駐車場の夜間監視、主要交差点や高速道路の出入り口、河川の流量監視等にも、監視カメラは設置されている。
【0005】
これら監視カメラの映像は、かつてはそのカメラに接続されているビデオテープレコーダ等に録画するだけであったが、近年では、ネットワークを経由する映像データの収集及び記録が普及している。
一例として、特許文献2には各地点に配置された複数の監視カメラのリアルタイムの映像を、ブロードバンドネットワークを経由して、本部内の映像表示装置等の大型表示モニタに表示するとか、本部内の映像保存用サーバにその映像を格納する等の技術が開示されている。
【特許文献1】特許公開2001−319297
【特許文献2】特許公開2003−289528
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許文献1に開示される緊急車両の誘導方法では、例えば、誘導対象となる緊急車両の進行方向の走行予定道路が寸断されているとか、避難車両による大渋滞が発生しているとかのリアルタイムの情報を把握していない状態で誘導を行っており、最適で安全な誘導とはなっていない。
一方、前述の特許文献2に開示される映像監視装置を用いて、複数の道路上の監視カメラの映像を大型表示モニタ等に表示し、その映像を見ながら車両を誘導する方式が考えられる。
現状の映像監視の方法は、監視対象となる映像が複数存在し、映像監視を行う操作者が、大型表示モニタ上に表示する監視カメラの映像を、その都度一つ一つ指定して映像を表示させる操作となっている。ここで、複数の緊急車両を効率的に誘導する場合、緊急車両ごとに監視カメラの映像を切り替える必要が発生するが、全て人手での操作となるため、効率的ではない。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、極めて効率良く、最適な目的地への誘導を誘導対象車両に指示することができる、改良された車両誘導装置及び車両誘導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の車両誘導装置は、所定の位置と縮尺に基づく地図画像を作成する地図表示部と、車両をユニークに識別する車両IDフィールドと、前記車両の現在位置情報が記録される現在地緯度経度フィールドと、前記車両が向かうべき目的位置の位置情報が記録される目的地緯度経度フィールドとを備える車両位置テーブルの、指定されたレコードの前記現在位置情報及び前記目的位置の位置情報から予測走行経路情報を作成する車両走行経路算出部と、前記車両位置テーブルから前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記車両の位置を示す車両位置画像を作成する車両位置表示部と、監視カメラをユニークに識別するカメラIDフィールドと、前記監視カメラが設置されている位置情報が記録される設置緯度経度フィールドとを備えるカメラ位置マスタと、前記予測走行経路情報に属する前記監視カメラの位置を前記カメラ位置マスタから取得して、カメラ選択情報を作成するカメラ選択部と、前記カメラ選択情報から前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記監視カメラの位置を示す監視カメラ位置画像を作成するカメラ位置表示部と、前記カメラ選択情報から前記監視カメラが出力する映像データを選択する映像データ表示部と、前記地図画像と前記車両位置画像と前記監視カメラ位置画像を重畳合成すると共に、前記選択された映像データを合成して表示装置に送出する表示制御部とよりなるものである。
【0009】
緊急車両誘導装置は、誘導対象車両の目的地に対する予測走行経路を算出して、その予測走行経路上にある監視カメラの映像を、最も近いものから適切な順番で表示装置に表示する。
そして、誘導対象車両が交差点を通過したか、或は監視カメラを通過したかのいずれかで、予測走行経路を再計算し、改めて表示装置に表示すべき監視カメラの映像を選択し直す。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、極めて効率良く、最適な目的地への誘導を誘導対象車両に指示することができる、改良された車両誘導装置及び車両誘導システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図11を参照して説明する。
【0012】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態の例である、緊急車両誘導システムの全体構成図である。
緊急車両誘導システム101は、緊急車両102と、緊急車両102が走行する市街地の道路103の脇に設置されている監視カメラ104と、監視カメラ104が接続されるネットワーク105と、緊急車両102の位置情報を出力する車両位置サーバ106と、同様に、車両位置サーバ106とネットワーク105に接続される緊急車両誘導装置107と、緊急車両誘導装置107に接続される表示装置108及び操作部109と、からなる。
市街地を走行している救急車、消防車、パトカー等の緊急車両102には、位置情報取得部ともいえるカーナビゲーション装置110と、位置情報送信部ともいえる移動無線機111が内蔵されている。
【0013】
カーナビゲーション装置110は周知のGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)による、およそ10m程度の誤差で現在位置の緯度・経度を把握する機能が備わっている。このため、カーナビゲーション装置110にはGPSアンテナ112が接続されている。
移動無線機111は、例えば1秒の間隔でカーナビゲーション装置110から現在位置の緯度・経度の情報を読み取り、電波をアンテナ113から発して指令センター114内の車両位置サーバ106へ送信する。
【0014】
一方、指令センター114には車両位置サーバ106と、これに接続される緊急車両誘導装置107が設けられている。
車両位置サーバ106はアンテナ115で緊急車両102から発される電波を受信し、緊急車両102の現在位置を内部の記憶装置に保持する。
緊急車両誘導装置107は、大型ディスプレイよりなる表示装置108に管轄の地域の地図を表示するとともに、車両位置サーバ106から緊急車両102の現在位置の情報を受け取り、緊急車両102の現在位置を地図上にアイコンで重畳表示する。更に、緊急車両誘導装置107は、マウスで緊急車両102を選択し、目的地を入力することで、ナビゲーションの指示を行うことができる。
【0015】
指令センター114が管轄する地域の道路の脇の、主に交差点に監視カメラ104が多数設置されている。
監視カメラ104は専用のネットワーク105に接続されており、ネットワーク105を通じて指令センター114内の緊急車両誘導装置107に動画像データを送信する。
緊急車両誘導装置107は、緊急車両102が目的地に到達するまでの走行経路を予測演算し、その経路上に存在する複数の監視カメラ104の映像を、表示装置108に表示する。
表示装置108に表示される監視カメラ104の映像は、道路の状況を映し出す。道路が混雑していれば、その道路は緊急車両102の通行に適していないことが判るので、別の走行経路を選択し、緊急車両102に業務用無線通信等にて連絡を行い、ルート変更を指示する。
【0016】
緊急車両102が走行するに連れて、緊急車両102が監視カメラ104を通過する。通過された監視カメラ104の映像はもはや不要であるので、その監視カメラ104の映像表示を停止し、代わりに走行経路上の更に先に配置されている監視カメラ104の映像を映し出す。
従来技術では、この監視カメラ104の映像の選択と破棄を、手動で行っていたので、作業量が膨大であった。本実施形態では、この監視カメラ104の映像の選択と破棄を、緊急車両102の移動に伴い自動で行う。
【0017】
[緊急車両誘導装置107]
図2は、緊急車両誘導装置107の機能ブロック図である。但し、緊急車両誘導装置107に接続されている車両位置サーバ106等も記載している。
緊急車両誘導装置107のハードウェア構成は、一般的なパソコンと同じである。CPU、ROM、RAM、ハードディスク装置等の不揮発性ストレージ、ディスプレイ、キーボード、マウス、ネットワーク、及びこれらに接続されるバスよりなる、極めて周知の構成である。図2は、プログラムによって実現される機能を中心に記載したブロック図である。
【0018】
ハードディスク装置よりなる不揮発性ストレージ202には、表示装置108に地図を表示させるための地図データ203と、車両の走行経路を予測演算する際に必要な道路データ204と、道路103の脇に設置されている監視カメラ104の設置場所等が格納されているカメラ位置マスタ205が格納されている。
地図データ203は地図表示部206に読み込まれ、地図画像を描画する。
地図の中心位置及び縮尺は制御部207から与えられる。
制御部207に接続されている、キーボード116及びマウス117等のポインティングデバイスよりなる操作部109の指示によって、地図の中心位置及び縮尺は変更される。地図表示部206は、制御部207から与えられる地図の中心位置及び縮尺が変更されると、直ちに地図画像の再描画を行う。
【0019】
車両位置表示部208は、車両位置サーバ106から後述する車両位置テーブル209を読み込み、地図上の緊急車両102の位置を、アイコンで描画する。
車両位置表示部208も制御部207から地図の中心位置及び縮尺が与えられ、地図表示部206が生成する地図画像と中心位置及び縮尺が一致する車両位置画像を生成する。
なお、操作部109で選択された、誘導指示の対象となる一つの緊急車両102(以下「誘導対象車両」と略)については、制御部207から経路指示を行う誘導対象車両の車両IDを取得して、車両位置テーブル209中の、操作部109で選択された一の車両のレコードを特定する。そして、当該緊急車両102について、他の緊急車両102と色分け或は点滅表示を行う等で、表示の区別を行う。
【0020】
車両走行経路算出部210は、車両位置サーバ106から車両位置テーブル209を読み込むと共に、制御部207から経路指示を行う誘導対象車両の車両IDを取得して、車両位置テーブル209中の、操作部109で選択された誘導対象車両のレコードを特定する。そして、当該誘導対象車両について、複数の予測走行経路の算出を行う。カーナビゲーション装置110等でいわゆる「ルート探索」として周知の、経路探索を行う。経路探索はA*(エースター)探索アルゴリズム等の、周知の探索技術を用いる。なお、探索技術の詳細は割愛する。
【0021】
車両走行経路表示部211は、必要に応じて、車両走行経路算出部210が算出した、操作部109で選択された一つの緊急車両102の予測走行経路を表示する画像を生成する。
車両走行経路表示部211も制御部207から地図の中心位置及び縮尺が与えられ、地図表示部206が生成する地図画像、及び車両位置表示部208が生成する車両位置画像と中心位置及び縮尺が一致する、予測経路画像を生成する。
【0022】
車両走行経路算出部210が算出した予測走行経路情報は、カメラ選択部212に入力される。カメラ選択部212は、カメラ位置マスタ205を読み込み、予測走行経路上に存在する監視カメラ104を選び出す。
【0023】
カメラ位置表示部213は、地図内に配置されている監視カメラ104をアイコンで表示する画像を生成する。特に、操作部109で選択された誘導対象車両の予測走行経路上に存在する監視カメラ104については、色分け或は点滅表示を行うことで、表示の区別を行う。
カメラ位置表示部213も制御部207から地図の中心位置及び縮尺が与えられ、地図表示部206が生成する地図画像、車両位置表示部208が生成する車両位置画像、及び車両走行経路表示部211が生成する予測経路画像と中心位置及び縮尺が一致する、監視カメラ位置画像を生成する。
【0024】
カメラ選択部212が作成した、予測走行経路上の監視カメラの情報は、映像データ表示部214に入力される。
映像データ表示部214は、ネットワーク105を通じて複数の監視カメラが出力する圧縮映像データを受信する。映像データ受信機能の一例としては、ネットワーク105はTCP/IPネットワークであり、映像データ表示部214のネットワーク105とのインターフェース部分にはwebサーバが稼動している。つまり、複数の監視カメラ104a、104b、104c…が発する映像データは、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)にて送信され、映像データ表示部214で受信される。
映像データ表示部214は、複数の監視カメラ104の圧縮映像データのうち、カメラ選択部212から受け取った予測走行経路上の監視カメラ104の情報の圧縮映像データを選択して受信し、デコード処理を施した後、これを表示制御部215に送出する。
【0025】
表示制御部215は、地図表示部206が生成する地図画像、車両位置表示部208が生成する車両位置画像、車両走行経路表示部211が生成する予測経路画像、及びカメラ位置表示部213が生成する監視カメラ位置画像を重ね合わせて、一つの合成地図画像に合成すると共に、合成地図画像の周囲に映像データ表示部214が出力する監視カメラ映像を配置する、画像合成処理を行う。
表示制御部215によって作成された合成画像は、大型ディスプレイ等の表示装置108で表示される。
【0026】
制御部207は、操作部109の操作情報に従い、a)表示装置108に表示されている地図画像の縮尺や中心位置の変更、b)緊急車両102が向かう目的地の入力、c)地図画像上に存在する緊急車両102のうち、目的地へ向かわせる車両(一台以上)の指定、d)地図画像上に存在する、目的地に向かう緊急車両102のうち、経路の誘導指示を行う誘導対象車両(一台)の指定、を行う。
【0027】
[監視カメラ104]
図3は監視カメラ104の機能ブロック図である。
カメラモジュール302はCCDカメラ或はCMOSカメラよりなる。
カメラモジュール302が出力するデジタル画像データは、エンコーダ303に送出される。
エンコーダ303は、入力されるデジタル画像データに所定のフレームレートで圧縮処理を施す。
圧縮処理されたデジタル画像データ(圧縮画像データ)は、通信部304によって、ストリーム形式のデータとして、ネットワーク105を通じて映像データ表示部214に送信される。
【0028】
[車両位置サーバ106]
図4は車両位置サーバ106の機能ブロック図である。
各緊急車両から送信される電波は、アンテナ115を通じて受信部402で受信される。
受信部402は、緊急車両102から受信した電波を復調して、当該緊急車両102のID情報と位置情報を得ると、これらを制御部403に出力する。
制御部403は、受信部402から緊急車両102のID情報と、緯度と経度よりなる位置情報を得ると同時に、リアルタイムクロック404から現在日時情報を得て、これら情報をRAM405内に設けられる車両位置テーブル209に書き込む。
リアルタイムクロック404はマイコンやパソコンに搭載される、一般的な日時情報を出力する集積回路である。
通信部406は制御部403を通じて、車両位置テーブル209を一定間隔で緊急車両誘導装置107に送信する。また、通信部406は緊急車両誘導装置107から送信される車両IDと目的位置情報及び状態情報を制御部403に送る。制御部403は、通信部406から受信したこれら情報を車両位置テーブル209に書き込む。
【0029】
[車両位置テーブル209]
図5は車両位置テーブル209の概略図である。各フィールドの名称とサンプルのレコードが記述されている。
「車両ID」フィールドは、緊急車両102をユニークに識別するために、各緊急車両に付されている番号が記録される。
「車両名」フィールドは、緊急車両102を個別に識別するための名称が記録される。
「現在の緯度経度」フィールドは、緊急車両102の現在位置情報が記録される。
「状態」フィールドは、緊急車両102の状態が記録される。「状態」フィールドの値が、
「急行」の場合は、目的地へ向かう命令が発されていることを示し、
「巡回」の場合は、目的地が設定されておらず、市街地を巡回していることを示し、
「待機」の場合は、目的地が設定されておらず、市街地も巡回せず、待機場所で待機していることを示す。
「目的地緯度経度」フィールドは、緊急車両102が向かうべき目的位置の位置情報が記録される。これは「状態」フィールドの値が「急行」のレコードのみ、位置情報が記録される。
「位置取得日時」フィールドは、緊急車両102の現在位置情報を「現在の緯度経度」フィールドに記録した日時が記録される。
【0030】
車両位置サーバ106の制御部403は、各々の緊急車両から緯度と経度と車両のID情報よりなる、各緊急車両の位置情報を受信部402から受信し、車両位置テーブル209の「車両ID」フィールドに受信した車両IDを、「現在の緯度経度」フィールドに受信した現在位置情報を書き込む。この時、リアルタイムクロック404から取得した現在日時情報を、「位置取得日時」フィールドに書き込む。
制御部403は、車両IDと車両名が対応付けられて記録されている、別途図示しない車両マスタから、車両IDに対応する車両名を取得し、車両位置テーブル209の「車両名」フィールドに車両名を書き込む。なお、車両マスタは車両位置サーバ106内に設けても、緊急車両誘導装置107の不揮発性ストレージ202に設けてもよい。
制御部403は、緊急車両誘導装置107から発された、緊急車両の車両IDと、各々の緊急車両に対する状態と、目的地の緯度経度情報を通信部406から受信すると、車両IDで車両位置テーブル209を検索し、該当するレコードの「状態」フィールドに状態情報を、「目的地緯度経度」フィールドに目的地の緯度経度情報を書き込む。
【0031】
「車両名」フィールドの車両名は、緊急車両誘導装置107の車両位置表示部208が表示装置108に表示する緊急車両のアイコンに表示する車両名に用いられる。
「状態」フィールドの状態情報は、緊急車両のアイコンの色分け或は点滅表示等の、表示状態を変更することによって、各緊急車両の状態を目視確認できるようにするために用いられる。
「目的地緯度経度」フィールドの目的地の緯度経度情報は、車両走行経路算出部210が予測走行経路情報を算出するために用いられる。
【0032】
[カメラ位置マスタ205]
図6は緊急車両誘導装置107の不揮発性ストレージ202内にあるカメラ位置マスタ205の概略図である。各フィールドの名称とサンプルのレコードが記述されている。
「カメラID」フィールドは、監視カメラ104をユニークに識別するために、各監視カメラ104に付されている番号が記録される。
「カメラ名」フィールドは、監視カメラ104を個別に識別するための名称が記録される。
「設置緯度経度」フィールドは、監視カメラ104を設置した位置情報が記録される。
「方位」フィールドは、監視カメラ104の撮影方向が記録される。
「設置道路ID」フィールドは、監視カメラ104を設置した道路の一部分をユニークに識別するための情報である。この、「道路の一部分」の詳細については、図7にて後述する。
「設置日」フィールドは、監視カメラ104を設置した日が記録される。
【0033】
「カメラ名」フィールドのカメラ名は、緊急車両誘導装置107のカメラ位置表示部213が表示装置108に表示する監視カメラのアイコンに表示する監視カメラの名称に用いられる。
【0034】
[監視カメラと道路の関係]
図7(a)、(b)及び(c)は、監視カメラと道路の関係を模式的に示す図である。
図7(a)は、道路と、道路103の脇に設置されている監視カメラを模式的に示す。
道路702は必ずしも交差点等が均一な間隔で敷設されている訳ではない。したがって、監視カメラ703a、703b、703c…が設置される位置は、道路の状態によって必ずしも均等な間隔でない場合もあるし、また必ずしも交差点付近に設置されなければならない訳でもない。
【0035】
図7(b)は、図7(a)の道路を、線で模式化した図である。
道路は幅を持っているので、これを直線或は曲線で模式化する。
監視カメラ104は、その線上に存在する点704a、704b、704c…として考える。
図7(c)は、図7(b)の模式化した道路とカメラの関係を模式的に示す図である。
道路702は、カメラが存在する点を始点とし、次のカメラが存在する点の直前位置を終点とする、線分の集合体として考えることができる。
図7(c)では、始点705cから終点706cまでの線分に、「国道6_289」という設置道路IDを付与している。
同様に、始点705bから終点706bまでの線分に、「国道6_290」という設置道路IDを付与している。
この、監視カメラ104と道路の区分の関係の意味については、後述する。
これ以降、監視カメラ104を視点とし、次の監視カメラ104の直前位置までの線分を、道路線分と呼ぶ。
【0036】
この、道路線分と監視カメラのカメラIDの対応関係が、道路データ204に記憶されている。
したがって、車両走行経路算出部210が誘導対象車両の予測走行経路を算出すると、予測走行経路に該当する道路線分の情報を得ることができる。そして、道路線分に対応する監視カメラのカメラIDを得ることもできる。
【0037】
[映像の選択を切り換える処理]
図8は、緊急車両誘導装置107の監視カメラ104の映像の選択を切り換える処理の流れを示すフローチャートである。
処理を開始すると(S801)、車両位置表示部208は、車両位置サーバ106から車両位置テーブル209を取得する(S802)。次に、車両位置表示部208は、車両位置テーブル209に記録されている各緊急車両の位置を地図上に配置するための車両位置画像を生成する。この車両位置画像は、各緊急車両の位置は表示制御部215を通じて表示装置108に表示される(S803)。この時、車両位置表示部208は、制御部207が誘導対象車両の車両IDを保持している場合は、制御部207から誘導対象車両の車両IDを取得する。そして、車両位置テーブル209中の経路指示を行う車両のレコードを特定し、誘導対象車両のアイコンを色分け或は点滅表示する。
【0038】
次に、制御部207は操作者が誘導対象車両を選択指定しているか否かを確認する(S804)。操作者による誘導対象車両の指定がない場合は(S804のNO)、処理を終了する(S812)。
誘導対象車両があれば(S804のYES)、制御部207は次に、予め記憶しておいてある誘導対象車両の直前の位置と、現在の位置とを比較する(S805)。先ず、誘導対象車両が交差点を通過したか否かを確認する(S806)。もし、交差点を通過していないのならば(S806のNO)、次に直前まで表示装置108に表示していた映像の監視カメラ104を通過したか否かを確認する(S807)。
誘導対象車両が交差点を通過せず(S806のNO)、且つ監視カメラ104も通過していない(S807のNO)場合は、制御部207は、現在の誘導対象車両の位置を記憶した(S811)後、処理を終了する(S812)。
【0039】
誘導対象車両が交差点を通過したか(S806のYES)、或は監視カメラ104を通過した(S807のYES)場合は、制御部207は車両走行経路算出部210を制御して、誘導対象車両に対する目的地への予測走行経路を演算させる(S808)。
次に、カメラ選択部212は、ステップS808で車両走行経路算出部210が改めて算出し直した予測走行経路に基づいて、予測走行経路上に存在する監視カメラ104を選択する(S809)。
カメラ選択部212が選択した監視カメラ104のリストは、映像データ表示部214に供給される。映像データ表示部214は、選択対象となった監視カメラ104の映像を表示する(S810)。その後、制御部207は現在の誘導対象車両の位置を記憶した(S811)後、処理を終了する(S812)。
【0040】
ステップS801からS812までの一連の処理は、例えば1秒間隔で定期的に実行される(S812からS801へ)。
【0041】
[予測走行経路]
図9は車両走行経路算出部210が算出する、誘導対象車両の予測走行経路の一例を示す図である。
車両走行経路算出部210は、所定の経路探索アルゴリズムを用いて、誘導対象車両902から目的地までの複数の走行経路を算出する。
図9では、車両走行経路算出部210によって第一予測経路903、第二予測経路904及び第三予測経路905が算出され、表示装置108に表示されている状態を示している。車両走行経路算出部210は、車両位置サーバ106から指定された誘導対象車両902及び目的地の位置情報を取得すると、第一予測経路903、第二予測経路904及び第三予測経路905を算出する。車両走行経路表示部211はこれら算出された予測経路情報から予測経路画像を生成する。生成された予測経路画像は、表示制御部215で地図表示部206が生成した地図画像と重畳合成され、合成地図画像906が形成される。この合成地図画像906が、表示装置108に表示される。
【0042】
なお、予測走行経路は、表示装置108に表示される地図画像の表示状態に応じて、表示を行わない設定にすることもできる。
【0043】
[誘導対象車両の位置と映像の表示の関係]
図10は、表示装置108に表示される地図画像と監視カメラ104の画像を示す図である。
表示装置108の右半分は、地図画像が広い面積で表示される。この地図画像の中で、誘導対象車両902と、目的地と、道路沿いに配置されている監視カメラ104がアイコンで表示されている。
なお、図10及び後述する図11の、表示装置108の画面レイアウトはあくまでも一例であり、特に監視カメラ映像の配置はこれに限られるものではない。
【0044】
図10の合成地図画像906には、監視カメラと、誘導対象車両902と、誘導対象ではない緊急車両1013と、目的地907が表示されている。
合成地図画像906には、監視カメラとして、「監視カメラA」1002、「監視カメラB」1003、「監視カメラC」1004、「監視カメラD」1005、「監視カメラE」1006、「監視カメラF」1007、「監視カメラG」1008、「監視カメラH」1009、「監視カメラI」1010、「監視カメラJ」1011及び「監視カメラK」1012が表示されている。
合成地図画像906の左側には、監視カメラの映像が表示されている。各監視カメラの映像は、第一映像表示領域1021、第二映像表示領域1022、第三映像表示領域1023、第四映像表示領域1024、第五映像表示領域1025、そして第六映像表示領域1026に表示される。
【0045】
図10に示すように、第一映像表示領域1021には「監視カメラA」1002の映像が、第二映像表示領域1022には「監視カメラB」1003の映像が、第三映像表示領域1023には「監視カメラC」1004の映像が、第四映像表示領域1024には「監視カメラD」1005の映像が、第五映像表示領域1025には「監視カメラE」1006の映像が、第六映像表示領域1026には「監視カメラF」1007の映像が、それぞれ表示されている。
【0046】
これら監視カメラは、図9で示した第一予測経路903、第二予測経路904及び第三予測経路905上に位置している監視カメラを、誘導対象車両902から最も近い順、且つ最適な予測走行経路上の監視カメラから順に配置している。つまり、監視カメラの映像を表示する順番は、誘導対象車両からの距離と、予測走行経路の優先順位とを考慮して演算することで決定される。
車両走行経路算出部210が算出する複数の予測走行経路は、その距離の短い順で、順位が決定できる。そこで、例えば、最短距離である、1番目の予測経路の係数を「1」、その次に短い距離である2番目の予測経路の係数を「1.5」、その次に短い距離である3番目の予測経路の係数を「2」というように、係数を予め定めておく。この係数と、監視カメラの誘導対象車両との距離を乗算して、評価値を算出する。そして、評価値でソートして、監視カメラの映像の表示順を決定する。
【0047】
図11は、表示装置108に表示される地図画像と監視カメラ104の画像を示す図である。図10から所定時間を経過した状態を示す図である。
図11に示すように、第一映像表示領域1021には「監視カメラB」1003の映像が、第二映像表示領域1022には「監視カメラC」1004の映像が、第三映像表示領域1023には「監視カメラD」1005の映像が、第四映像表示領域1024には「監視カメラF」1007の映像が、第五映像表示領域1025には「監視カメラG」1008の映像が、第六映像表示領域1026には「監視カメラH」1009の映像が、それぞれ表示されている。
【0048】
図10と比較すると、誘導対象車両902が「監視カメラA」1002を通過した位置に存在している。誘導対象車両902が「監視カメラA」1002を通過すると、もはやその「監視カメラA」1002の映像は見る必要がない。そこで、予測走行経路を再度算出すると、通過した「監視カメラA」1002はその予測走行経路には存在しなくなる。同様に、「監視カメラE」1006も予測走行経路には存在しなくなる。
また、表示装置108に表示する監視カメラの映像は、第一映像表示領域1021から第六映像表示領域1026まで、合計6箇所である。今、「監視カメラA」1002と「監視カメラE」1006を映像表示対象から除外すると、二つ分の監視カメラの映像を新たに追加する必要が生じる。そこで、カメラ選択部212が改めて予測走行経路に基づいて新たな監視カメラの映像を追加する。このことに該当する監視カメラが、「監視カメラG」1008と「監視カメラH」1009である。
したがって、車両走行経路算出部210が算出した予測走行経路に基づいてカメラ選択部212が監視カメラを選択し、監視カメラを通過したときに車両走行経路算出部210に予測走行経路を再計算させることで、見る必要のなくなった監視カメラの映像を自動的に除外すると共に、新たに見る必要が生じた監視カメラの映像を自動的に追加ことができる。
【0049】
表示対象から外す監視カメラは、二種類ある。
一つは、予測走行経路に存在しない監視カメラである。つまり、誘導対象車両がその走行を進めることにより、交差点を通過する等で予測走行経路が変化した結果、予測走行経路から外れてしまった監視カメラである。図11では、「監視カメラE」1006がこれに該当する。
もう一つは、予測走行経路に存在しているが、現在誘導対象車両が位置している道路線分に属する監視カメラである。図11では、「監視カメラA」1002がこれに該当する。
【0050】
車両走行経路算出部210が予測走行経路を再計算する必要性は、監視カメラ104を通過したときだけに限らない。誘導対象車両902が交差点を通過すると、その時点で予測走行経路に変化が生じる可能性がある。そこで、予測走行経路の再計算処理は、監視カメラ104の通過と、交差点の通過の両方で行う。
【0051】
以上説明した機能を有する緊急車両誘導装置107によって、表示装置108には、誘導対象車両902と、予測走行経路上の監視カメラの映像を、誘導対象車両902に近い順から適切に表示される。そして、誘導対象車両902が走行するに連れて表示する必要がなくなった監視カメラの映像は表示装置108から自動的に表示されなくなり、代わりに新たな監視カメラの映像が追加表示されるようになる。
緊急車両誘導装置107の操作者は、表示装置108に表示される監視カメラの映像と地図を見て、どの道路が混雑しているのか、或は空いていて走行に最適なのかを目視判断し、無線で誘導対象車両902の乗務員に指示を連絡することができる。また、その際、誘導対象車両902が走行するに連れて表示される監視カメラの映像は自動的に切り替わるので、従来の緊急車両誘導装置で必要だった、手作業による監視カメラの映像の選択作業を行う必要がない。
【0052】
本実施形態には、以下のような応用例が考えられる。
(1)負荷軽減のため、緊急車両誘導装置107の映像データ表示部214を、独立した装置にすることができる。この場合、表示装置108は合成地図画像を表示するものと、監視カメラの映像を表示するものの、二つを用意することとなる。
【0053】
(2)車両位置サーバ106は、緊急車両誘導装置107と一体化した構成にすることもできる。
(3)車両位置サーバ106は、USBインターフェースで緊急車両誘導装置107に接続される周辺機器として構成することもできる。
【0054】
本実施形態では、緊急車両誘導システムを開示した。
緊急車両誘導装置107は、市街地を走行する緊急車両の内の一つを誘導対象車両として指定すると、直ちに誘導対象車両の目的地に対する予測走行経路を算出して、その予測走行経路上にある監視カメラの映像を、最も近いものから適切な順番で表示装置に表示する。
そして、誘導対象車両が交差点を通過したか、或は監視カメラを通過したかのいずれかで、予測走行経路を再計算し、改めて表示装置に表示すべき監視カメラの映像を選択し直す。
このような緊急車両誘導装置107の構成と作用により、従来では手作業で監視カメラの映像の切替を行わなかった手間が省略され、極めて効率良く、また最適な目的地への誘導を、誘導対象車両に指示することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態の例である、緊急車両誘導システムの全体構成図である。
【図2】緊急車両誘導装置の機能ブロック図である。
【図3】監視カメラの機能ブロック図である。
【図4】車両位置サーバの機能ブロック図である。
【図5】車両位置テーブルの概略図である。
【図6】カメラ位置マスタの概略図である。
【図7】監視カメラと道路の関係を模式的に示す図である。
【図8】緊急車両誘導装置の監視カメラの映像の選択を切り換える処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】車両走行経路算出部が算出する、誘導対象車両の予測走行経路の一例を示す図である。
【図10】表示装置に表示される地図画像と監視カメラの画像を示す図である。
【図11】表示装置に表示される地図画像と監視カメラの画像を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
101…緊急車両誘導システム、102…緊急車両、103…道路、104…監視カメラ、105…ネットワーク、106…車両位置サーバ、107…緊急車両誘導装置、108…表示装置、109…操作部、110…カーナビゲーション装置、111…移動無線機、112…GPSアンテナ、113…アンテナ、114…指令センター、115…アンテナ、202…不揮発性ストレージ、203…地図データ、204…道路データ、205…カメラ位置マスタ、206…地図表示部、207…制御部、208…車両位置表示部、209…車両位置テーブル、210…車両走行経路算出部、211…車両走行経路表示部、212…カメラ選択部、213…カメラ位置表示部、214…映像データ表示部、215…表示制御部、302…カメラモジュール、303…エンコーダ、304…通信部、402…受信部、403…制御部、404…リアルタイムクロック、405…RAM、406…通信部、702…道路、703a、703b、703c…監視カメラ、704a、704b、704c…点、705b、705c…始点、706b、706c…終点、902…誘導対象車両、903…第一予測経路、904…第二予測経路、905…第三予測経路、906…合成地図画像、907…目的地、1013…緊急車両、1002…「監視カメラA」、1003…「監視カメラB」、1004…「監視カメラC」、1005…「監視カメラD」、1006…「監視カメラE」、1007…「監視カメラF」、1008…「監視カメラG」、1009…「監視カメラH」、1010…「監視カメラI」、1011…「監視カメラJ」、1021…第一映像表示領域、1022…第二映像表示領域、1023…第三映像表示領域、1024…第四映像表示領域、1025…第五映像表示領域、1026…第六映像表示領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両誘導装置及び車両誘導システムに関する。
より詳細には、指定した緊急車両の進行方向上に設置された各監視カメラの映像を自動的に選択する、緊急車両誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時や事件・事故発生時等では、警備や消防・警察等の緊急車両を、より早く安全に目的地に到達させることが必要である。しかしながら、災害発生時等は、道路の寸断や避難車両による大混雑等が発生し、最適な経路で緊急車両を目的地に誘導することが非常に困難になる場合がある。
従来の緊急車両の誘導方法としては、予め設定された道路地図上に自車両の現在位置や走行ルートを表示する車載用のナビゲーション装置を用いるのが一般的であるが、前述のように、これだけでは災害時の突発的な事象に対する対応は不十分である。
【0003】
このような課題を解決するために、特許文献1では、本部側にて、緊急車両を誘導する最適な経路情報を作成し、無線通信により作成した経路情報を車両に送信し、車両側でその経路情報を受信して、車載装置に表示するという方式が提案されている。
【0004】
一方、映像監視装置は、近年のブロードバンドネットワーク等の高速通信網の発達と、映像の高圧縮技術の確立およびセキュリティへの関心の高まり等を背景に、急激に配備数が増加している。特に、近年、監視カメラの価格が低下したことにより、様々な箇所に設置されるようになってきている。例えば、コンビニエンスストアや銀行等の主要店舗内の侵入防犯監視や商店街等の街頭監視、駐車場の夜間監視、主要交差点や高速道路の出入り口、河川の流量監視等にも、監視カメラは設置されている。
【0005】
これら監視カメラの映像は、かつてはそのカメラに接続されているビデオテープレコーダ等に録画するだけであったが、近年では、ネットワークを経由する映像データの収集及び記録が普及している。
一例として、特許文献2には各地点に配置された複数の監視カメラのリアルタイムの映像を、ブロードバンドネットワークを経由して、本部内の映像表示装置等の大型表示モニタに表示するとか、本部内の映像保存用サーバにその映像を格納する等の技術が開示されている。
【特許文献1】特許公開2001−319297
【特許文献2】特許公開2003−289528
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許文献1に開示される緊急車両の誘導方法では、例えば、誘導対象となる緊急車両の進行方向の走行予定道路が寸断されているとか、避難車両による大渋滞が発生しているとかのリアルタイムの情報を把握していない状態で誘導を行っており、最適で安全な誘導とはなっていない。
一方、前述の特許文献2に開示される映像監視装置を用いて、複数の道路上の監視カメラの映像を大型表示モニタ等に表示し、その映像を見ながら車両を誘導する方式が考えられる。
現状の映像監視の方法は、監視対象となる映像が複数存在し、映像監視を行う操作者が、大型表示モニタ上に表示する監視カメラの映像を、その都度一つ一つ指定して映像を表示させる操作となっている。ここで、複数の緊急車両を効率的に誘導する場合、緊急車両ごとに監視カメラの映像を切り替える必要が発生するが、全て人手での操作となるため、効率的ではない。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、極めて効率良く、最適な目的地への誘導を誘導対象車両に指示することができる、改良された車両誘導装置及び車両誘導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の車両誘導装置は、所定の位置と縮尺に基づく地図画像を作成する地図表示部と、車両をユニークに識別する車両IDフィールドと、前記車両の現在位置情報が記録される現在地緯度経度フィールドと、前記車両が向かうべき目的位置の位置情報が記録される目的地緯度経度フィールドとを備える車両位置テーブルの、指定されたレコードの前記現在位置情報及び前記目的位置の位置情報から予測走行経路情報を作成する車両走行経路算出部と、前記車両位置テーブルから前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記車両の位置を示す車両位置画像を作成する車両位置表示部と、監視カメラをユニークに識別するカメラIDフィールドと、前記監視カメラが設置されている位置情報が記録される設置緯度経度フィールドとを備えるカメラ位置マスタと、前記予測走行経路情報に属する前記監視カメラの位置を前記カメラ位置マスタから取得して、カメラ選択情報を作成するカメラ選択部と、前記カメラ選択情報から前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記監視カメラの位置を示す監視カメラ位置画像を作成するカメラ位置表示部と、前記カメラ選択情報から前記監視カメラが出力する映像データを選択する映像データ表示部と、前記地図画像と前記車両位置画像と前記監視カメラ位置画像を重畳合成すると共に、前記選択された映像データを合成して表示装置に送出する表示制御部とよりなるものである。
【0009】
緊急車両誘導装置は、誘導対象車両の目的地に対する予測走行経路を算出して、その予測走行経路上にある監視カメラの映像を、最も近いものから適切な順番で表示装置に表示する。
そして、誘導対象車両が交差点を通過したか、或は監視カメラを通過したかのいずれかで、予測走行経路を再計算し、改めて表示装置に表示すべき監視カメラの映像を選択し直す。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、極めて効率良く、最適な目的地への誘導を誘導対象車両に指示することができる、改良された車両誘導装置及び車両誘導システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図11を参照して説明する。
【0012】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態の例である、緊急車両誘導システムの全体構成図である。
緊急車両誘導システム101は、緊急車両102と、緊急車両102が走行する市街地の道路103の脇に設置されている監視カメラ104と、監視カメラ104が接続されるネットワーク105と、緊急車両102の位置情報を出力する車両位置サーバ106と、同様に、車両位置サーバ106とネットワーク105に接続される緊急車両誘導装置107と、緊急車両誘導装置107に接続される表示装置108及び操作部109と、からなる。
市街地を走行している救急車、消防車、パトカー等の緊急車両102には、位置情報取得部ともいえるカーナビゲーション装置110と、位置情報送信部ともいえる移動無線機111が内蔵されている。
【0013】
カーナビゲーション装置110は周知のGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)による、およそ10m程度の誤差で現在位置の緯度・経度を把握する機能が備わっている。このため、カーナビゲーション装置110にはGPSアンテナ112が接続されている。
移動無線機111は、例えば1秒の間隔でカーナビゲーション装置110から現在位置の緯度・経度の情報を読み取り、電波をアンテナ113から発して指令センター114内の車両位置サーバ106へ送信する。
【0014】
一方、指令センター114には車両位置サーバ106と、これに接続される緊急車両誘導装置107が設けられている。
車両位置サーバ106はアンテナ115で緊急車両102から発される電波を受信し、緊急車両102の現在位置を内部の記憶装置に保持する。
緊急車両誘導装置107は、大型ディスプレイよりなる表示装置108に管轄の地域の地図を表示するとともに、車両位置サーバ106から緊急車両102の現在位置の情報を受け取り、緊急車両102の現在位置を地図上にアイコンで重畳表示する。更に、緊急車両誘導装置107は、マウスで緊急車両102を選択し、目的地を入力することで、ナビゲーションの指示を行うことができる。
【0015】
指令センター114が管轄する地域の道路の脇の、主に交差点に監視カメラ104が多数設置されている。
監視カメラ104は専用のネットワーク105に接続されており、ネットワーク105を通じて指令センター114内の緊急車両誘導装置107に動画像データを送信する。
緊急車両誘導装置107は、緊急車両102が目的地に到達するまでの走行経路を予測演算し、その経路上に存在する複数の監視カメラ104の映像を、表示装置108に表示する。
表示装置108に表示される監視カメラ104の映像は、道路の状況を映し出す。道路が混雑していれば、その道路は緊急車両102の通行に適していないことが判るので、別の走行経路を選択し、緊急車両102に業務用無線通信等にて連絡を行い、ルート変更を指示する。
【0016】
緊急車両102が走行するに連れて、緊急車両102が監視カメラ104を通過する。通過された監視カメラ104の映像はもはや不要であるので、その監視カメラ104の映像表示を停止し、代わりに走行経路上の更に先に配置されている監視カメラ104の映像を映し出す。
従来技術では、この監視カメラ104の映像の選択と破棄を、手動で行っていたので、作業量が膨大であった。本実施形態では、この監視カメラ104の映像の選択と破棄を、緊急車両102の移動に伴い自動で行う。
【0017】
[緊急車両誘導装置107]
図2は、緊急車両誘導装置107の機能ブロック図である。但し、緊急車両誘導装置107に接続されている車両位置サーバ106等も記載している。
緊急車両誘導装置107のハードウェア構成は、一般的なパソコンと同じである。CPU、ROM、RAM、ハードディスク装置等の不揮発性ストレージ、ディスプレイ、キーボード、マウス、ネットワーク、及びこれらに接続されるバスよりなる、極めて周知の構成である。図2は、プログラムによって実現される機能を中心に記載したブロック図である。
【0018】
ハードディスク装置よりなる不揮発性ストレージ202には、表示装置108に地図を表示させるための地図データ203と、車両の走行経路を予測演算する際に必要な道路データ204と、道路103の脇に設置されている監視カメラ104の設置場所等が格納されているカメラ位置マスタ205が格納されている。
地図データ203は地図表示部206に読み込まれ、地図画像を描画する。
地図の中心位置及び縮尺は制御部207から与えられる。
制御部207に接続されている、キーボード116及びマウス117等のポインティングデバイスよりなる操作部109の指示によって、地図の中心位置及び縮尺は変更される。地図表示部206は、制御部207から与えられる地図の中心位置及び縮尺が変更されると、直ちに地図画像の再描画を行う。
【0019】
車両位置表示部208は、車両位置サーバ106から後述する車両位置テーブル209を読み込み、地図上の緊急車両102の位置を、アイコンで描画する。
車両位置表示部208も制御部207から地図の中心位置及び縮尺が与えられ、地図表示部206が生成する地図画像と中心位置及び縮尺が一致する車両位置画像を生成する。
なお、操作部109で選択された、誘導指示の対象となる一つの緊急車両102(以下「誘導対象車両」と略)については、制御部207から経路指示を行う誘導対象車両の車両IDを取得して、車両位置テーブル209中の、操作部109で選択された一の車両のレコードを特定する。そして、当該緊急車両102について、他の緊急車両102と色分け或は点滅表示を行う等で、表示の区別を行う。
【0020】
車両走行経路算出部210は、車両位置サーバ106から車両位置テーブル209を読み込むと共に、制御部207から経路指示を行う誘導対象車両の車両IDを取得して、車両位置テーブル209中の、操作部109で選択された誘導対象車両のレコードを特定する。そして、当該誘導対象車両について、複数の予測走行経路の算出を行う。カーナビゲーション装置110等でいわゆる「ルート探索」として周知の、経路探索を行う。経路探索はA*(エースター)探索アルゴリズム等の、周知の探索技術を用いる。なお、探索技術の詳細は割愛する。
【0021】
車両走行経路表示部211は、必要に応じて、車両走行経路算出部210が算出した、操作部109で選択された一つの緊急車両102の予測走行経路を表示する画像を生成する。
車両走行経路表示部211も制御部207から地図の中心位置及び縮尺が与えられ、地図表示部206が生成する地図画像、及び車両位置表示部208が生成する車両位置画像と中心位置及び縮尺が一致する、予測経路画像を生成する。
【0022】
車両走行経路算出部210が算出した予測走行経路情報は、カメラ選択部212に入力される。カメラ選択部212は、カメラ位置マスタ205を読み込み、予測走行経路上に存在する監視カメラ104を選び出す。
【0023】
カメラ位置表示部213は、地図内に配置されている監視カメラ104をアイコンで表示する画像を生成する。特に、操作部109で選択された誘導対象車両の予測走行経路上に存在する監視カメラ104については、色分け或は点滅表示を行うことで、表示の区別を行う。
カメラ位置表示部213も制御部207から地図の中心位置及び縮尺が与えられ、地図表示部206が生成する地図画像、車両位置表示部208が生成する車両位置画像、及び車両走行経路表示部211が生成する予測経路画像と中心位置及び縮尺が一致する、監視カメラ位置画像を生成する。
【0024】
カメラ選択部212が作成した、予測走行経路上の監視カメラの情報は、映像データ表示部214に入力される。
映像データ表示部214は、ネットワーク105を通じて複数の監視カメラが出力する圧縮映像データを受信する。映像データ受信機能の一例としては、ネットワーク105はTCP/IPネットワークであり、映像データ表示部214のネットワーク105とのインターフェース部分にはwebサーバが稼動している。つまり、複数の監視カメラ104a、104b、104c…が発する映像データは、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)にて送信され、映像データ表示部214で受信される。
映像データ表示部214は、複数の監視カメラ104の圧縮映像データのうち、カメラ選択部212から受け取った予測走行経路上の監視カメラ104の情報の圧縮映像データを選択して受信し、デコード処理を施した後、これを表示制御部215に送出する。
【0025】
表示制御部215は、地図表示部206が生成する地図画像、車両位置表示部208が生成する車両位置画像、車両走行経路表示部211が生成する予測経路画像、及びカメラ位置表示部213が生成する監視カメラ位置画像を重ね合わせて、一つの合成地図画像に合成すると共に、合成地図画像の周囲に映像データ表示部214が出力する監視カメラ映像を配置する、画像合成処理を行う。
表示制御部215によって作成された合成画像は、大型ディスプレイ等の表示装置108で表示される。
【0026】
制御部207は、操作部109の操作情報に従い、a)表示装置108に表示されている地図画像の縮尺や中心位置の変更、b)緊急車両102が向かう目的地の入力、c)地図画像上に存在する緊急車両102のうち、目的地へ向かわせる車両(一台以上)の指定、d)地図画像上に存在する、目的地に向かう緊急車両102のうち、経路の誘導指示を行う誘導対象車両(一台)の指定、を行う。
【0027】
[監視カメラ104]
図3は監視カメラ104の機能ブロック図である。
カメラモジュール302はCCDカメラ或はCMOSカメラよりなる。
カメラモジュール302が出力するデジタル画像データは、エンコーダ303に送出される。
エンコーダ303は、入力されるデジタル画像データに所定のフレームレートで圧縮処理を施す。
圧縮処理されたデジタル画像データ(圧縮画像データ)は、通信部304によって、ストリーム形式のデータとして、ネットワーク105を通じて映像データ表示部214に送信される。
【0028】
[車両位置サーバ106]
図4は車両位置サーバ106の機能ブロック図である。
各緊急車両から送信される電波は、アンテナ115を通じて受信部402で受信される。
受信部402は、緊急車両102から受信した電波を復調して、当該緊急車両102のID情報と位置情報を得ると、これらを制御部403に出力する。
制御部403は、受信部402から緊急車両102のID情報と、緯度と経度よりなる位置情報を得ると同時に、リアルタイムクロック404から現在日時情報を得て、これら情報をRAM405内に設けられる車両位置テーブル209に書き込む。
リアルタイムクロック404はマイコンやパソコンに搭載される、一般的な日時情報を出力する集積回路である。
通信部406は制御部403を通じて、車両位置テーブル209を一定間隔で緊急車両誘導装置107に送信する。また、通信部406は緊急車両誘導装置107から送信される車両IDと目的位置情報及び状態情報を制御部403に送る。制御部403は、通信部406から受信したこれら情報を車両位置テーブル209に書き込む。
【0029】
[車両位置テーブル209]
図5は車両位置テーブル209の概略図である。各フィールドの名称とサンプルのレコードが記述されている。
「車両ID」フィールドは、緊急車両102をユニークに識別するために、各緊急車両に付されている番号が記録される。
「車両名」フィールドは、緊急車両102を個別に識別するための名称が記録される。
「現在の緯度経度」フィールドは、緊急車両102の現在位置情報が記録される。
「状態」フィールドは、緊急車両102の状態が記録される。「状態」フィールドの値が、
「急行」の場合は、目的地へ向かう命令が発されていることを示し、
「巡回」の場合は、目的地が設定されておらず、市街地を巡回していることを示し、
「待機」の場合は、目的地が設定されておらず、市街地も巡回せず、待機場所で待機していることを示す。
「目的地緯度経度」フィールドは、緊急車両102が向かうべき目的位置の位置情報が記録される。これは「状態」フィールドの値が「急行」のレコードのみ、位置情報が記録される。
「位置取得日時」フィールドは、緊急車両102の現在位置情報を「現在の緯度経度」フィールドに記録した日時が記録される。
【0030】
車両位置サーバ106の制御部403は、各々の緊急車両から緯度と経度と車両のID情報よりなる、各緊急車両の位置情報を受信部402から受信し、車両位置テーブル209の「車両ID」フィールドに受信した車両IDを、「現在の緯度経度」フィールドに受信した現在位置情報を書き込む。この時、リアルタイムクロック404から取得した現在日時情報を、「位置取得日時」フィールドに書き込む。
制御部403は、車両IDと車両名が対応付けられて記録されている、別途図示しない車両マスタから、車両IDに対応する車両名を取得し、車両位置テーブル209の「車両名」フィールドに車両名を書き込む。なお、車両マスタは車両位置サーバ106内に設けても、緊急車両誘導装置107の不揮発性ストレージ202に設けてもよい。
制御部403は、緊急車両誘導装置107から発された、緊急車両の車両IDと、各々の緊急車両に対する状態と、目的地の緯度経度情報を通信部406から受信すると、車両IDで車両位置テーブル209を検索し、該当するレコードの「状態」フィールドに状態情報を、「目的地緯度経度」フィールドに目的地の緯度経度情報を書き込む。
【0031】
「車両名」フィールドの車両名は、緊急車両誘導装置107の車両位置表示部208が表示装置108に表示する緊急車両のアイコンに表示する車両名に用いられる。
「状態」フィールドの状態情報は、緊急車両のアイコンの色分け或は点滅表示等の、表示状態を変更することによって、各緊急車両の状態を目視確認できるようにするために用いられる。
「目的地緯度経度」フィールドの目的地の緯度経度情報は、車両走行経路算出部210が予測走行経路情報を算出するために用いられる。
【0032】
[カメラ位置マスタ205]
図6は緊急車両誘導装置107の不揮発性ストレージ202内にあるカメラ位置マスタ205の概略図である。各フィールドの名称とサンプルのレコードが記述されている。
「カメラID」フィールドは、監視カメラ104をユニークに識別するために、各監視カメラ104に付されている番号が記録される。
「カメラ名」フィールドは、監視カメラ104を個別に識別するための名称が記録される。
「設置緯度経度」フィールドは、監視カメラ104を設置した位置情報が記録される。
「方位」フィールドは、監視カメラ104の撮影方向が記録される。
「設置道路ID」フィールドは、監視カメラ104を設置した道路の一部分をユニークに識別するための情報である。この、「道路の一部分」の詳細については、図7にて後述する。
「設置日」フィールドは、監視カメラ104を設置した日が記録される。
【0033】
「カメラ名」フィールドのカメラ名は、緊急車両誘導装置107のカメラ位置表示部213が表示装置108に表示する監視カメラのアイコンに表示する監視カメラの名称に用いられる。
【0034】
[監視カメラと道路の関係]
図7(a)、(b)及び(c)は、監視カメラと道路の関係を模式的に示す図である。
図7(a)は、道路と、道路103の脇に設置されている監視カメラを模式的に示す。
道路702は必ずしも交差点等が均一な間隔で敷設されている訳ではない。したがって、監視カメラ703a、703b、703c…が設置される位置は、道路の状態によって必ずしも均等な間隔でない場合もあるし、また必ずしも交差点付近に設置されなければならない訳でもない。
【0035】
図7(b)は、図7(a)の道路を、線で模式化した図である。
道路は幅を持っているので、これを直線或は曲線で模式化する。
監視カメラ104は、その線上に存在する点704a、704b、704c…として考える。
図7(c)は、図7(b)の模式化した道路とカメラの関係を模式的に示す図である。
道路702は、カメラが存在する点を始点とし、次のカメラが存在する点の直前位置を終点とする、線分の集合体として考えることができる。
図7(c)では、始点705cから終点706cまでの線分に、「国道6_289」という設置道路IDを付与している。
同様に、始点705bから終点706bまでの線分に、「国道6_290」という設置道路IDを付与している。
この、監視カメラ104と道路の区分の関係の意味については、後述する。
これ以降、監視カメラ104を視点とし、次の監視カメラ104の直前位置までの線分を、道路線分と呼ぶ。
【0036】
この、道路線分と監視カメラのカメラIDの対応関係が、道路データ204に記憶されている。
したがって、車両走行経路算出部210が誘導対象車両の予測走行経路を算出すると、予測走行経路に該当する道路線分の情報を得ることができる。そして、道路線分に対応する監視カメラのカメラIDを得ることもできる。
【0037】
[映像の選択を切り換える処理]
図8は、緊急車両誘導装置107の監視カメラ104の映像の選択を切り換える処理の流れを示すフローチャートである。
処理を開始すると(S801)、車両位置表示部208は、車両位置サーバ106から車両位置テーブル209を取得する(S802)。次に、車両位置表示部208は、車両位置テーブル209に記録されている各緊急車両の位置を地図上に配置するための車両位置画像を生成する。この車両位置画像は、各緊急車両の位置は表示制御部215を通じて表示装置108に表示される(S803)。この時、車両位置表示部208は、制御部207が誘導対象車両の車両IDを保持している場合は、制御部207から誘導対象車両の車両IDを取得する。そして、車両位置テーブル209中の経路指示を行う車両のレコードを特定し、誘導対象車両のアイコンを色分け或は点滅表示する。
【0038】
次に、制御部207は操作者が誘導対象車両を選択指定しているか否かを確認する(S804)。操作者による誘導対象車両の指定がない場合は(S804のNO)、処理を終了する(S812)。
誘導対象車両があれば(S804のYES)、制御部207は次に、予め記憶しておいてある誘導対象車両の直前の位置と、現在の位置とを比較する(S805)。先ず、誘導対象車両が交差点を通過したか否かを確認する(S806)。もし、交差点を通過していないのならば(S806のNO)、次に直前まで表示装置108に表示していた映像の監視カメラ104を通過したか否かを確認する(S807)。
誘導対象車両が交差点を通過せず(S806のNO)、且つ監視カメラ104も通過していない(S807のNO)場合は、制御部207は、現在の誘導対象車両の位置を記憶した(S811)後、処理を終了する(S812)。
【0039】
誘導対象車両が交差点を通過したか(S806のYES)、或は監視カメラ104を通過した(S807のYES)場合は、制御部207は車両走行経路算出部210を制御して、誘導対象車両に対する目的地への予測走行経路を演算させる(S808)。
次に、カメラ選択部212は、ステップS808で車両走行経路算出部210が改めて算出し直した予測走行経路に基づいて、予測走行経路上に存在する監視カメラ104を選択する(S809)。
カメラ選択部212が選択した監視カメラ104のリストは、映像データ表示部214に供給される。映像データ表示部214は、選択対象となった監視カメラ104の映像を表示する(S810)。その後、制御部207は現在の誘導対象車両の位置を記憶した(S811)後、処理を終了する(S812)。
【0040】
ステップS801からS812までの一連の処理は、例えば1秒間隔で定期的に実行される(S812からS801へ)。
【0041】
[予測走行経路]
図9は車両走行経路算出部210が算出する、誘導対象車両の予測走行経路の一例を示す図である。
車両走行経路算出部210は、所定の経路探索アルゴリズムを用いて、誘導対象車両902から目的地までの複数の走行経路を算出する。
図9では、車両走行経路算出部210によって第一予測経路903、第二予測経路904及び第三予測経路905が算出され、表示装置108に表示されている状態を示している。車両走行経路算出部210は、車両位置サーバ106から指定された誘導対象車両902及び目的地の位置情報を取得すると、第一予測経路903、第二予測経路904及び第三予測経路905を算出する。車両走行経路表示部211はこれら算出された予測経路情報から予測経路画像を生成する。生成された予測経路画像は、表示制御部215で地図表示部206が生成した地図画像と重畳合成され、合成地図画像906が形成される。この合成地図画像906が、表示装置108に表示される。
【0042】
なお、予測走行経路は、表示装置108に表示される地図画像の表示状態に応じて、表示を行わない設定にすることもできる。
【0043】
[誘導対象車両の位置と映像の表示の関係]
図10は、表示装置108に表示される地図画像と監視カメラ104の画像を示す図である。
表示装置108の右半分は、地図画像が広い面積で表示される。この地図画像の中で、誘導対象車両902と、目的地と、道路沿いに配置されている監視カメラ104がアイコンで表示されている。
なお、図10及び後述する図11の、表示装置108の画面レイアウトはあくまでも一例であり、特に監視カメラ映像の配置はこれに限られるものではない。
【0044】
図10の合成地図画像906には、監視カメラと、誘導対象車両902と、誘導対象ではない緊急車両1013と、目的地907が表示されている。
合成地図画像906には、監視カメラとして、「監視カメラA」1002、「監視カメラB」1003、「監視カメラC」1004、「監視カメラD」1005、「監視カメラE」1006、「監視カメラF」1007、「監視カメラG」1008、「監視カメラH」1009、「監視カメラI」1010、「監視カメラJ」1011及び「監視カメラK」1012が表示されている。
合成地図画像906の左側には、監視カメラの映像が表示されている。各監視カメラの映像は、第一映像表示領域1021、第二映像表示領域1022、第三映像表示領域1023、第四映像表示領域1024、第五映像表示領域1025、そして第六映像表示領域1026に表示される。
【0045】
図10に示すように、第一映像表示領域1021には「監視カメラA」1002の映像が、第二映像表示領域1022には「監視カメラB」1003の映像が、第三映像表示領域1023には「監視カメラC」1004の映像が、第四映像表示領域1024には「監視カメラD」1005の映像が、第五映像表示領域1025には「監視カメラE」1006の映像が、第六映像表示領域1026には「監視カメラF」1007の映像が、それぞれ表示されている。
【0046】
これら監視カメラは、図9で示した第一予測経路903、第二予測経路904及び第三予測経路905上に位置している監視カメラを、誘導対象車両902から最も近い順、且つ最適な予測走行経路上の監視カメラから順に配置している。つまり、監視カメラの映像を表示する順番は、誘導対象車両からの距離と、予測走行経路の優先順位とを考慮して演算することで決定される。
車両走行経路算出部210が算出する複数の予測走行経路は、その距離の短い順で、順位が決定できる。そこで、例えば、最短距離である、1番目の予測経路の係数を「1」、その次に短い距離である2番目の予測経路の係数を「1.5」、その次に短い距離である3番目の予測経路の係数を「2」というように、係数を予め定めておく。この係数と、監視カメラの誘導対象車両との距離を乗算して、評価値を算出する。そして、評価値でソートして、監視カメラの映像の表示順を決定する。
【0047】
図11は、表示装置108に表示される地図画像と監視カメラ104の画像を示す図である。図10から所定時間を経過した状態を示す図である。
図11に示すように、第一映像表示領域1021には「監視カメラB」1003の映像が、第二映像表示領域1022には「監視カメラC」1004の映像が、第三映像表示領域1023には「監視カメラD」1005の映像が、第四映像表示領域1024には「監視カメラF」1007の映像が、第五映像表示領域1025には「監視カメラG」1008の映像が、第六映像表示領域1026には「監視カメラH」1009の映像が、それぞれ表示されている。
【0048】
図10と比較すると、誘導対象車両902が「監視カメラA」1002を通過した位置に存在している。誘導対象車両902が「監視カメラA」1002を通過すると、もはやその「監視カメラA」1002の映像は見る必要がない。そこで、予測走行経路を再度算出すると、通過した「監視カメラA」1002はその予測走行経路には存在しなくなる。同様に、「監視カメラE」1006も予測走行経路には存在しなくなる。
また、表示装置108に表示する監視カメラの映像は、第一映像表示領域1021から第六映像表示領域1026まで、合計6箇所である。今、「監視カメラA」1002と「監視カメラE」1006を映像表示対象から除外すると、二つ分の監視カメラの映像を新たに追加する必要が生じる。そこで、カメラ選択部212が改めて予測走行経路に基づいて新たな監視カメラの映像を追加する。このことに該当する監視カメラが、「監視カメラG」1008と「監視カメラH」1009である。
したがって、車両走行経路算出部210が算出した予測走行経路に基づいてカメラ選択部212が監視カメラを選択し、監視カメラを通過したときに車両走行経路算出部210に予測走行経路を再計算させることで、見る必要のなくなった監視カメラの映像を自動的に除外すると共に、新たに見る必要が生じた監視カメラの映像を自動的に追加ことができる。
【0049】
表示対象から外す監視カメラは、二種類ある。
一つは、予測走行経路に存在しない監視カメラである。つまり、誘導対象車両がその走行を進めることにより、交差点を通過する等で予測走行経路が変化した結果、予測走行経路から外れてしまった監視カメラである。図11では、「監視カメラE」1006がこれに該当する。
もう一つは、予測走行経路に存在しているが、現在誘導対象車両が位置している道路線分に属する監視カメラである。図11では、「監視カメラA」1002がこれに該当する。
【0050】
車両走行経路算出部210が予測走行経路を再計算する必要性は、監視カメラ104を通過したときだけに限らない。誘導対象車両902が交差点を通過すると、その時点で予測走行経路に変化が生じる可能性がある。そこで、予測走行経路の再計算処理は、監視カメラ104の通過と、交差点の通過の両方で行う。
【0051】
以上説明した機能を有する緊急車両誘導装置107によって、表示装置108には、誘導対象車両902と、予測走行経路上の監視カメラの映像を、誘導対象車両902に近い順から適切に表示される。そして、誘導対象車両902が走行するに連れて表示する必要がなくなった監視カメラの映像は表示装置108から自動的に表示されなくなり、代わりに新たな監視カメラの映像が追加表示されるようになる。
緊急車両誘導装置107の操作者は、表示装置108に表示される監視カメラの映像と地図を見て、どの道路が混雑しているのか、或は空いていて走行に最適なのかを目視判断し、無線で誘導対象車両902の乗務員に指示を連絡することができる。また、その際、誘導対象車両902が走行するに連れて表示される監視カメラの映像は自動的に切り替わるので、従来の緊急車両誘導装置で必要だった、手作業による監視カメラの映像の選択作業を行う必要がない。
【0052】
本実施形態には、以下のような応用例が考えられる。
(1)負荷軽減のため、緊急車両誘導装置107の映像データ表示部214を、独立した装置にすることができる。この場合、表示装置108は合成地図画像を表示するものと、監視カメラの映像を表示するものの、二つを用意することとなる。
【0053】
(2)車両位置サーバ106は、緊急車両誘導装置107と一体化した構成にすることもできる。
(3)車両位置サーバ106は、USBインターフェースで緊急車両誘導装置107に接続される周辺機器として構成することもできる。
【0054】
本実施形態では、緊急車両誘導システムを開示した。
緊急車両誘導装置107は、市街地を走行する緊急車両の内の一つを誘導対象車両として指定すると、直ちに誘導対象車両の目的地に対する予測走行経路を算出して、その予測走行経路上にある監視カメラの映像を、最も近いものから適切な順番で表示装置に表示する。
そして、誘導対象車両が交差点を通過したか、或は監視カメラを通過したかのいずれかで、予測走行経路を再計算し、改めて表示装置に表示すべき監視カメラの映像を選択し直す。
このような緊急車両誘導装置107の構成と作用により、従来では手作業で監視カメラの映像の切替を行わなかった手間が省略され、極めて効率良く、また最適な目的地への誘導を、誘導対象車両に指示することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態の例である、緊急車両誘導システムの全体構成図である。
【図2】緊急車両誘導装置の機能ブロック図である。
【図3】監視カメラの機能ブロック図である。
【図4】車両位置サーバの機能ブロック図である。
【図5】車両位置テーブルの概略図である。
【図6】カメラ位置マスタの概略図である。
【図7】監視カメラと道路の関係を模式的に示す図である。
【図8】緊急車両誘導装置の監視カメラの映像の選択を切り換える処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】車両走行経路算出部が算出する、誘導対象車両の予測走行経路の一例を示す図である。
【図10】表示装置に表示される地図画像と監視カメラの画像を示す図である。
【図11】表示装置に表示される地図画像と監視カメラの画像を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
101…緊急車両誘導システム、102…緊急車両、103…道路、104…監視カメラ、105…ネットワーク、106…車両位置サーバ、107…緊急車両誘導装置、108…表示装置、109…操作部、110…カーナビゲーション装置、111…移動無線機、112…GPSアンテナ、113…アンテナ、114…指令センター、115…アンテナ、202…不揮発性ストレージ、203…地図データ、204…道路データ、205…カメラ位置マスタ、206…地図表示部、207…制御部、208…車両位置表示部、209…車両位置テーブル、210…車両走行経路算出部、211…車両走行経路表示部、212…カメラ選択部、213…カメラ位置表示部、214…映像データ表示部、215…表示制御部、302…カメラモジュール、303…エンコーダ、304…通信部、402…受信部、403…制御部、404…リアルタイムクロック、405…RAM、406…通信部、702…道路、703a、703b、703c…監視カメラ、704a、704b、704c…点、705b、705c…始点、706b、706c…終点、902…誘導対象車両、903…第一予測経路、904…第二予測経路、905…第三予測経路、906…合成地図画像、907…目的地、1013…緊急車両、1002…「監視カメラA」、1003…「監視カメラB」、1004…「監視カメラC」、1005…「監視カメラD」、1006…「監視カメラE」、1007…「監視カメラF」、1008…「監視カメラG」、1009…「監視カメラH」、1010…「監視カメラI」、1011…「監視カメラJ」、1021…第一映像表示領域、1022…第二映像表示領域、1023…第三映像表示領域、1024…第四映像表示領域、1025…第五映像表示領域、1026…第六映像表示領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置と縮尺に基づく地図画像を作成する地図表示部と、
車両をユニークに識別する車両IDフィールドと、前記車両の現在位置情報が記録される現在地緯度経度フィールドと、前記車両が向かうべき目的位置の位置情報が記録される目的地緯度経度フィールドとを備える車両位置テーブルの、指定されたレコードの前記現在位置情報及び前記目的位置の位置情報から予測走行経路情報を作成する車両走行経路算出部と、
前記車両位置テーブルから、前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記車両の位置を示す車両位置画像を作成する車両位置表示部と、
監視カメラをユニークに識別するカメラIDフィールドと、前記監視カメラが設置されている位置情報が記録される設置緯度経度フィールドとを備えるカメラ位置マスタと、
前記予測走行経路情報に属する前記監視カメラの位置を前記カメラ位置マスタから取得して、カメラ選択情報を作成するカメラ選択部と、
前記カメラ選択情報から前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記監視カメラの位置を示す監視カメラ位置画像を作成するカメラ位置表示部と、
前記カメラ選択情報から前記監視カメラが出力する映像データを選択する映像データ表示部と、
前記地図画像と前記車両位置画像と前記監視カメラ位置画像を重畳合成すると共に、前記選択された映像データを合成して表示装置に送出する表示制御部と
よりなる車両誘導装置。
【請求項2】
更に、
前記予測走行経路情報から前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、予測走行経路を示す予測経路画像を作成するカメラ位置表示部と
を備え、
前記表示制御部は、前記地図画像と前記車両位置画像と前記予測経路画像と前記監視カメラ位置画像を重畳合成するものである、請求項1記載の車両誘導装置。
【請求項3】
現在位置情報を取得する位置情報取得部と、前記現在位置情報を無線送信する位置情報送信部とを備える車両と、
カメラモジュールと、前記カメラモジュールが生成する映像データを圧縮エンコードするエンコーダと、前記エンコーダが出力する圧縮映像データを所定の送信先へ送信する通信部とを備え、前記車両が通過する道路の混雑状態を確認可能な位置に設置されている複数の監視カメラと、
前記複数の監視カメラが接続されるネットワークと、
前記車両から無線送信された前記現在位置情報を受信して復調する受信部と、前記車両をユニークに識別する車両IDフィールドと、前記現在位置情報が記録される現在の緯度経度フィールドと、前記車両が向かうべき目的位置の位置情報が記録される目的地緯度経度フィールドとを備える車両位置テーブルと、前記車両位置テーブルを所定の送信先へ送信する通信部とを備える車両位置サーバと、
所定の位置と縮尺に基づく地図画像を作成する地図表示部と、前記車両位置サーバから前記車両位置テーブルを受信し、前記車両位置テーブルの指定されたレコードの前記現在位置情報及び前記目的位置の位置情報から予測走行経路情報を作成する車両走行経路算出部と、前記車両位置テーブルから前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記車両の位置を示す車両位置画像を作成する車両位置表示部と、前記監視カメラをユニークに識別するカメラIDフィールドと、前記監視カメラが設置されている位置情報が記録される設置緯度経度フィールドとを備えるカメラ位置マスタと、前記予測走行経路情報に属する前記監視カメラの位置を前記カメラ位置マスタから取得して、カメラ選択情報を作成するカメラ選択部と、前記カメラ選択情報から前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記監視カメラの位置を示す監視カメラ位置画像を作成するカメラ位置表示部と、前記カメラ選択情報から前記ネットワークを通じて前記監視カメラが出力する前記圧縮映像データを選択してデコードする映像データ表示部と、前記地図画像と前記車両位置画像と前記監視カメラ位置画像を重畳合成すると共に、前記選択された映像データを合成して表示装置に送出する表示制御部とを備える車両誘導装置と
よりなる車両誘導システム。
【請求項1】
所定の位置と縮尺に基づく地図画像を作成する地図表示部と、
車両をユニークに識別する車両IDフィールドと、前記車両の現在位置情報が記録される現在地緯度経度フィールドと、前記車両が向かうべき目的位置の位置情報が記録される目的地緯度経度フィールドとを備える車両位置テーブルの、指定されたレコードの前記現在位置情報及び前記目的位置の位置情報から予測走行経路情報を作成する車両走行経路算出部と、
前記車両位置テーブルから、前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記車両の位置を示す車両位置画像を作成する車両位置表示部と、
監視カメラをユニークに識別するカメラIDフィールドと、前記監視カメラが設置されている位置情報が記録される設置緯度経度フィールドとを備えるカメラ位置マスタと、
前記予測走行経路情報に属する前記監視カメラの位置を前記カメラ位置マスタから取得して、カメラ選択情報を作成するカメラ選択部と、
前記カメラ選択情報から前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記監視カメラの位置を示す監視カメラ位置画像を作成するカメラ位置表示部と、
前記カメラ選択情報から前記監視カメラが出力する映像データを選択する映像データ表示部と、
前記地図画像と前記車両位置画像と前記監視カメラ位置画像を重畳合成すると共に、前記選択された映像データを合成して表示装置に送出する表示制御部と
よりなる車両誘導装置。
【請求項2】
更に、
前記予測走行経路情報から前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、予測走行経路を示す予測経路画像を作成するカメラ位置表示部と
を備え、
前記表示制御部は、前記地図画像と前記車両位置画像と前記予測経路画像と前記監視カメラ位置画像を重畳合成するものである、請求項1記載の車両誘導装置。
【請求項3】
現在位置情報を取得する位置情報取得部と、前記現在位置情報を無線送信する位置情報送信部とを備える車両と、
カメラモジュールと、前記カメラモジュールが生成する映像データを圧縮エンコードするエンコーダと、前記エンコーダが出力する圧縮映像データを所定の送信先へ送信する通信部とを備え、前記車両が通過する道路の混雑状態を確認可能な位置に設置されている複数の監視カメラと、
前記複数の監視カメラが接続されるネットワークと、
前記車両から無線送信された前記現在位置情報を受信して復調する受信部と、前記車両をユニークに識別する車両IDフィールドと、前記現在位置情報が記録される現在の緯度経度フィールドと、前記車両が向かうべき目的位置の位置情報が記録される目的地緯度経度フィールドとを備える車両位置テーブルと、前記車両位置テーブルを所定の送信先へ送信する通信部とを備える車両位置サーバと、
所定の位置と縮尺に基づく地図画像を作成する地図表示部と、前記車両位置サーバから前記車両位置テーブルを受信し、前記車両位置テーブルの指定されたレコードの前記現在位置情報及び前記目的位置の位置情報から予測走行経路情報を作成する車両走行経路算出部と、前記車両位置テーブルから前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記車両の位置を示す車両位置画像を作成する車両位置表示部と、前記監視カメラをユニークに識別するカメラIDフィールドと、前記監視カメラが設置されている位置情報が記録される設置緯度経度フィールドとを備えるカメラ位置マスタと、前記予測走行経路情報に属する前記監視カメラの位置を前記カメラ位置マスタから取得して、カメラ選択情報を作成するカメラ選択部と、前記カメラ選択情報から前記地図画像の中心位置及び縮尺が一致する、前記監視カメラの位置を示す監視カメラ位置画像を作成するカメラ位置表示部と、前記カメラ選択情報から前記ネットワークを通じて前記監視カメラが出力する前記圧縮映像データを選択してデコードする映像データ表示部と、前記地図画像と前記車両位置画像と前記監視カメラ位置画像を重畳合成すると共に、前記選択された映像データを合成して表示装置に送出する表示制御部とを備える車両誘導装置と
よりなる車両誘導システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−66120(P2010−66120A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232598(P2008−232598)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】
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