説明

車両迷走判定装置及び目的地案内装置

【課題】車両が目的地の近傍で迷走しても、設定された複数の目的地を順次案内することができる技術を提供する。
【解決手段】目的地の位置を設定可能な地図情報が格納された地図情報データベース10と、車両の現在位置を検出するGPS車載器20と、車両の速度を検出する車速検出器30と、車両の駐車又は停車の際に操作される機器が操作されたことを検出する駐停車用機器信号入力装置40と制御部50とを備える車両迷走判定装置1において、制御部50で、GPS車載器20で検出された車両の現在位置が地図情報データベース10に設定された目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、車速検出器30で検出された車両の速度が所定の値以上であるか、又は車両の速度が所定の値より小さくても、駐停車用機器信号入力装置40でパーキングブレーキ42又はハザードランプSW44が操作されたことが検出されない場合に車両が迷走していると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地に向かう経路途中で車両が迷走しているか否かを判定する迷走判定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地への経路を案内する案内装置には、目的地を複数設定し、1つの目的地に到着したら次の目的地を順次使用者に提示していくものがあった。この案内装置では、目的地にある程度近づいたら、目的地に到着したと判定して次の目的地を提示するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−64672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記の案内装置では、その目的地に到着していないにもかかわらず、目的地へ到着したと判定され、次の目的地が提示される場合があった。
例えば、目的地が町中にある駐車場のように進入口が限られるようなものであった場合、目的地への案内は正確に行われたにもかかわらず、目的地(駐車場)への進入路が見つからないため、目的地近傍で迷走してしまうといった状況が発生することがある。
【0004】
このような場合、上記案内装置では、目的地として設定された場所にある程度近づいたら目的地に到着したと判定されるので、実際には迷走しているにもかかわらず次の目的地が提示されてしまう。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、車両が目的地の近傍で迷走しても、設定された複数の目的地を順次案内することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる問題を解決するためになされた請求項1に記載の車両迷走判定装置は、地図情報データベース(10:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)、現在位置検出手段(20)、駐停車用機器操作検出手段(40)及び迷走判定手段(50)を備えている。
【0007】
地図情報データベース(10)は、目的地の位置を設定可能な地図情報が格納されたデータベースであり、現在位置検出手段(20)は、車両の現在位置を検出し、車速検出手段(30)は、車両の速度を検出する。また、駐停車用機器操作検出手段(40)は、車両の駐車又は停車の際に操作される機器が操作されたことを検出する。
【0008】
迷走判定手段(50)は、現在位置検出手段(20)で検出された車両の現在位置が地図情報データベース(10)に設定された目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、車速検出手段(30)で検出された車両の速度が所定の値以上であるか又は車両の速度が所定の値より小さくても、駐停車用機器操作検出手段(40)で車両の駐車又は停車の際に操作される機器が操作されたことが検出されない場合に、車両が迷走していると判定する。
【0009】
このような、車両迷走判定装置によれば、車両が目的地近傍まで到達しているにもかかわらず、その目的地近傍で車両が迷走していることを判定することができる。以下、それについて説明する。
【0010】
「目的地の位置から所定の範囲」とは、車両がその所定の範囲内に入った場合、車両が目的地に到着したと判定されるように予め設定されている範囲のことである。したがって、車両が目的地の位置から所定の範囲内に入った場合、本来であれば、車両は停止するはずである。
【0011】
ところが、目的地の位置から所定の範囲内に入ったにもかかわらず車両が所定の値以上の速度で走行している場合には何らかの原因で停止することができない状態、すなわち迷走している状態であると考えられる。
【0012】
また、目的地から所定の範囲内にあって、車両の速度が所定の値よりも小さくなった場合であっても、運転者が駐車又は停車の際に作動させるべき機器を操作しなかった場合には、何らかの原因で運転者が車両をすぐに発進できる状態にしていること、すなわち、目的地に到着したことに確信が持てない状態であると考えられる。
【0013】
したがって、車両が目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、車速検出手段(30)で検出された車両の速度が所定の値以上であるか又は車両の速度が所定の値より小さくても、駐停車用機器操作検出手段(40)で車両を駐車又は停車する際に操作される機器が操作されたことが検出されない場合には、車両が迷走していると判定できる。
【0014】
なお、「車両の駐車又は停車の際に操作される機器」とは、例えば、パーキングブレーキやハザードランプである。
また、車両が迷走していることを判定する他の車両迷走判定装置としては、請求項2に記載のようなものが考えられる。すなわち、前述の地図情報データベース(10)及び現在位置検出手段(20)に、車両の方位を検出する方位検出手段(80)及び迷走判定手段(50)を備える。
【0015】
そして、迷走判定手段(50)において、車両が目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、方位検出手段(80)で検出された車両の方位が所定の角度以上変化した場合に、車両が迷走していると判定するのである。
【0016】
前述のように、車両が目的地の位置から所定の範囲内に入った場合、本来であれば車両は停止するはずであるにもかかわらず、車両の方位が所定の角度以上変化するのは、車両が目的地の近傍を迷走している状態を示していると考えられる。
【0017】
したがって、請求項2に記載の車両迷走判定装置によれば、車両が迷走していることを判定することができる。
ところで、車両が迷走した場合には、比較的短い時間内に同一地点を何度も通過する場合がある。そこで、請求項3に記載のように、目的地の位置を設定可能な地図情報が格納された地図情報データベース(10)と、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段(20)と、現在位置検出手段(20)で検出された車両の現在位置が前記地図情報データベース(10)に設定された目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、現在位置検出手段(20)で検出された車両の位置が所定の時間内に目的地の位置から所定の範囲内において同一の場所を所定回数以上通過した場合に、車両が迷走していると判定する迷走判定手段(50)と、を備えるようにするとよい。
【0018】
このようにすると、所定の時間内に目的地からの所定の範囲内において、同一地点を複数回通過したことを検出し、検出された同一地点を複数回通過した回数により車両が迷走していることが判定できる。
【0019】
また、車両が目的地近傍に来ているにもかかわらず、目的地が目視できなかったり、目的地への進入口が見つからなかったりした場合には、運転者は戸惑うので、運転者には、通常の運転状態とは異なる特徴的な身体的行動の変化が現れることが考えられる。
【0020】
そこで、請求項4に記載のように、前述の地図情報データベース(10)、現在位置検出手段(20)及び迷走判定手段(50)以外に、運転者行動検出手段(90,92)を備え、迷走判定手段(50)では、現在位置検出手段(20)で検出された車両の現在位置が地図情報データベース(10)に設定された目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、運転者行動検出手段(90,92)で検出された運転者の特徴的な身体的行動に変化があるか否かを判定し、運転者の特徴的な身体的行動に変化がある場合に、車両が迷走していると判定する。
【0021】
このようにすれば、車両が目的地の近傍で迷走し、運転者が戸惑ったときに生じる運転者の身体的行動の変化をとらえることができるので、その運転者の身体的行動の変化によって車両が迷走していることを判定することができる。
【0022】
ところで、車両が迷走したときに運転者が示す特徴的な身体的行動の変化として、特定の言葉を発する場合がある。例えば、「あれ?」あるいは「ここかな?」といった言葉である。
【0023】
そこで、請求項5に記載のように、運転者行動検出手段(90,92)は、車両が迷走した際に車両の運転者が特徴的に示す身体的行動として、運転者の発するそれら特定の言葉を検出するようにすればよい。
【0024】
このように、特定の言葉を発するという、運転者が示す特徴的な身体的行動の変化を運動者行動検出手段によって検出することによって車両が迷走していることを判定できるのである
また、車両が迷走したときに運転者が特徴的に示す身体的行動の変化としては、顔や身体の一部が所定時間内に通常の運転状態のときに比べ異なる動きをする場合もある。例えば、目的地や目的地を見つけるための目印となるものを目視で認識するために顔を左右に動かす、いわゆる「きょろきょろ」する状態になったり、上半身を大きく左右に動かしたり、上半身をねじったりする場合がある。
【0025】
そこで、請求項6に記載のように、運転者行動検出手段(90,92)は、運転者の顔又は身体の一部の画像を取得する撮像手段(90)を備え、撮像手段(90)で取得した運転者の顔又は身体の一部の画像に基づき、運転者の顔又は身体の一部が通常の運転状態に比べ異なる動きをすることを認識することによって、車両が迷走した際に車両の運転者が特徴的な行動を検出すれば、車両が迷走していることを判定できる。
【0026】
ところで、車両が所定の範囲内に入った場合、すぐに迷走判定をしない方がよい場合もある。例えば、目的地が駐車場であるような場合、車両が駐車場に入ってから車両を停止させるまでに駐車のための後進操作や切り返し操作を行うことがある。そのような操作によって、車両が正常な動きをしているにもかかわらず車両が迷走していると判定されることを避ける必要がある。
【0027】
そこで、請求項7に記載のように、迷走判定手段(50)が、車両が所定の範囲内に入ってから車両が迷走していることを判定するまでの時間を設定可能に構成されているとよい。
【0028】
このようにすれば、車両が所定の範囲内に入ってから設定された時間が経過するまでは迷走判定が行われない。したがって、設定された時間が経過するまで、駐停車などのための車両の正常な動きによっては迷走判定が行われなくなるので、使用者にとって使いやすい車両迷走判定装置となる。
【0029】
請求項8に記載の目的地案内装置は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の車両迷走判定装置を備えた目的地案内装置である。この目的地案内装置は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の車両迷走判定装置の他に、目的地設定手段(60)、提示手段(70,72)及び目的地案内手段(50)を備えている。
【0030】
目的地設定手段(60)は、複数の目的地を訪れる順番とともに設定するためのものであり、提示手段(70,72)は、目的地設定手段(60)で設定された目的地までの案内のための情報を提示するものである。
【0031】
目的地案内手段(50)は、車両迷走判定装置の現在位置検出手段(20)で検出された車両の現在位置から目的地設定手段(60)で設定された複数の目的地までの経路を設定された順番に算定し、算定した経路を提示手段(70,72)に提示させる。
【0032】
また、目的地案内手段(50)は、車両迷走判定装置で車両が迷走していると判定されなかった場合は、目的地に到着したと判定して次の目的地までの経路を算定し、車両迷走判定装置で車両が迷走していると判定された場合には、目的地に到着したことを判定せず、次の目的地までの経路を算定しないことを特徴としている。
【0033】
このように構成された目的地案内装置によれば、車両が迷走していなければ、目的地に到着したと判定され、次の目的地までの経路が算定され、算定された経路が提示手段(70,72)に提示される。逆に、車両が迷走していると判定されたときには目的地に到着したと判定されず、次の目的地までの経路が算定されないので、次の目的地までの経路が提示手段(70,72)に提示されない。
【0034】
したがって、複数の目標が、訪れる順番とともに設定されており、各目的地までの経路が順番に案内される目的地案内装置の場合、迷走せずに1つの目的地に到着すれば、次の目的地が提示される。一方、目的地近傍で迷走している間は、目的地到着判定がされないので、次の目的地への経路案内がされることがない。
【0035】
車両が迷走中に、次の目的地への経路案内がされることがないので、運転者が現在迷走しながら探している目的地までの経路が再設定されたものと誤解したりすることがなくなるので、運転者にとって使いやすい目的地案内装置となる。
【0036】
さらに、車両が迷走していると判定された場合には、目的地に到着したと判定しないとともに、請求項10に記載のように、再度、その目的地までの経路を提示手段(70,72)に提示するようにするとより使いやすい目的地案内装置となる。
【0037】
ここで、「その目的地」とは、迷走していると判定される前に案内されていた目的地を意味している。
さらに、車両が目的地近傍に到達した場合、運転者によっては、先ず、自分自身で納得ゆくまで目的地を目視で確認しようとする場合や全く目視での確認をしようとしない場合などがある。そこで、請求項10に記載のように、迷走判定がされてから再度その目的地までの経路を提示するまでの時間を設定することが可能であれば、提示手段(70,72)に経路を提示するまでの時間を運転者の特性や好みに合わせて設定できるので、運転者にとって使いやすい目的地案内装置となる。
【0038】
また、車両が迷走している途中に運転者の気が変わって、目的地に到着するのをあきらめたりすることがある。そこで、請求項11に記載のように、目的地案内手段(50)は、迷走判定手段(50)に備えられた現在位置検出手段(20)によって、車両の現在位置が所定の範囲から外れた場合には、目的地までの経路を提示手段(70,72)に提示しないようにすると、運転者の気が変わり、目的地に到着しないで、別の目的地に向かうような場合に都合がよい。
【0039】
ところで、車両が迷走している場合、運転者が目的地までの案内が提示手段(70,72)に提示されることを希望しない場合もある。そこで、請求項12に記載のように、運転者が目的地案内を終了するか否かの指令を入力するための入力手段(60)を備え、目的地案内手段(50)は、車両迷走判定装置で車両が迷走していると判定されたときに、車両の運転者に対して、目的地案内を終了する旨を提示手段(70,72)に提示させ、その提示の後、入力手段(60)を介して目的地案内を終了する旨の指令の入力があった場合には、目的地案内を終了し、目的地案内を終了しない旨の指令の入力があった場合には、目的地に到着したことを判定しないようにする。
【0040】
このようにすると、車両が迷走している場合に、運転者の希望に応じて目的地までの案内が提示されたり、提示されなかったりするので、運転者にとって使いやすい目的地案内装置となる。
【0041】
ところで、1つの目的地しか設定されていない場合には、次の目的地が存在しない。したがって、目的地に到着したときに次の目的地への案内を行う必要がない。
そこで、請求項13に記載のように、目的地設定手段(60)によって、1つの目的地しか設定されていない場合、目的地案内手段(50)は、車両迷走判定手段(50)で車両が迷走していると判定されたときであっても、目的地に到着したことを判定するようにするとよい。
【0042】
このようにすると、設定されている目的地が1つしかないときには、その目的地以外の目的地がないことが運転者に分かるので、運転者に不必要な錯誤や迷いを生じさせることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
[第1実施形態]
(車両案内装置1の構成)
第1実施形態として、図1、図2、図3及び図4に基づいて、車両の迷走判定を行う車両案内装置1について説明する。
【0044】
図1は、車両案内装置1の概略構成を示すブロック図である。車両案内装置1は、図1に示すように、地図情報データベース10、GPS車載器20、車速検出器30、駐停車用機器信号入力装置40、表示装置70、音声出力装置72及びタッチセンサ60を備えている。
【0045】
地図情報データベース10は、目的地の位置を設定可能な地図情報が格納されており、大容量の記憶装置、例えば、ハードディスク、DVD−ROMあるいはCD−ROMなどに設けられている。
【0046】
GPS車載器20は、車両の現在位置を検出するためのものであり、GPS衛星から時間情報を受信する図示しないアンテナ、受信機、レートセンサなどから構成されている。GPS車載器20は、4つのGPS衛星から受信した時間情報の差から車両の現在位置を検出し、また、GPS衛星から時間情報が受信できない場合には、レートセンサを利用して車両の現在位置を検出する。
【0047】
車速検出器30は、車両の速度を検出するものであり、図示しない車軸の単位時間当たりの回転数から車両の速度を検出する。
駐停車用機器信号入力装置40は、車両の駐車又は停車の際に操作される機器(駐停車用機器)が操作されたことを検出するものである。駐停車用機器とは、例えば、パーキングブレーキ42、ハザードランプスイッチ44(以下、ハザードランプSW44とも呼ぶ。)などである。
【0048】
駐停車用機器信号入力装置40は、運転者により駐停車用機器の操作がなされた場合に、駐停車用機器が操作されたことを検出し、制御部50へ検出信号を出力する。
例えば、車両が停止し、運転者がパーキングブレーキ42を引いたときにパーキングブレーキ42が作動する位置が予め設定されており、パーキングブレーキ42がその設定位置になったことを検出し、検出信号を制御部50へ出力する。また、ハザードランプSW44の場合は、ハザードランプSW44が押されたことを検出し、検出信号を制御部50へ出力する。
【0049】
タッチセンサ60は、複数の目的地を訪れる順番とともに設定するためのものであり、表示装置70の画面に設けられている。運転者などの指先が近接若しくは接触した場合に作動し、表示装置70に表示される表示に従って、目的地を順次入力できるように構成されている。
【0050】
また、タッチセンサ60は、運転者が目的地案内を終了するか否かの指令の入力を行うためにも使用される。この場合、表示装置70に、目的地案内を終了するか否かを運転者に問う旨の表示がなされ、その表示部分に運転者の指が近接若しくは接触した場合に、目的地案内を終了するか否かの指令が入力されることになる。
【0051】
表示装置70及び音声出力装置72は、タッチセンサ60で設定された目的地までの案内のための情報を提示するものである。表示装置70は、LCDやCRTにより構成されており、目的地までの案内のための情報を表示する。
【0052】
また、音声出力装置72は、図示しないアンプやスピーカから構成されており、目的地までの案内のための情報を音声により報知する。
制御部50は、図示しないCPU、ROM、RAM及びI/Oなどから構成され以下の(ア)〜(カ)に示す処理を行う。
【0053】
(ア)GPS車載器20で検出された車両の現在位置から、タッチセンサ60で設定された目的地までの経路を設定された順番に算定し、算定した経路を表示装置70に表示したり、音声出力装置72により報知したりする。
【0054】
(イ)GPS車載器20で検出された車両の現在位置が地図情報データベース10に設定された目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、車速検出器30で検出された車両の速度が所定の値以上であるか、又は車両の速度が所定の値より小さくても、駐停車用機器信号入力装置40で車両の駐車又は停車の際に操作される機器が操作されたことが検出されない場合に、車両が迷走していると判定する。
【0055】
(ウ)車両が迷走していると判定されなかった場合は、目的地に到着したと判定して次の目的地までの経路を算定し、車両が迷走していると判定された場合には、目的地に到着したことを判定せず、次の目的地までの経路を算定しない。
【0056】
(エ)車両が迷走していると判定されたときに、車両の運転者に対して、目的地案内を終了する旨を表示装置70に表示したり、音声出力装置72により報知したりする。
(オ)表示や報知の後タッチセンサ60を介して目的地案内を終了する旨の指令の入力があった場合には、目的地案内を終了し、目的地案内を終了しない旨の指令の入力があった場合には、目的地に到着したことを判定しない。
【0057】
(カ)タッチセンサ60によって、1つの目的地しか設定されていない場合、車両が迷走していると判定されたときであっても、目的地に到着したことを判定する。
(制御部50での処理)
次に、制御部50において実行される目的地到着判定処理を図2に基づいて説明する。図2は、制御部50において実行される処理のフローチャートである。
【0058】
目的地到着判定処理では、図2に示すように、S100において、GPS車載器20から車両の現在位置が取得され、続くS105において、タッチセンサ60を介して入力された目的地が取得される。目的地が複数入力されている場合には、最初の目的地が取得される。
【0059】
続くS110では、S100において取得された車両の現在位置からS105において取得された目的地までの経路が算定され、続くS115では、S110において算定された目的地までの経路に基づいて経路案内が行われる。
【0060】
S115における経路案内では、地図情報データベース10から地図データが読み込まれ、表示装置70に地図として表示される。また、車両の現在位置がその地図上に表示され、目的地まで車両の進行すべき方向が矢印などで表示されるとともに、交差点などでは、音声出力装置72によって曲がる方向などが音声で報知される。
【0061】
続くS120では、車両が目的地近傍で迷走しているか否かを判定する迷走判定処理が行われる。この迷走判定処理の詳細については後述する。
続くS125では、判定なしフラグがONであるか否かが判定される。つまり、迷走判定処理において、迷走判定が行われたか否かが判定される。そして、判定なしフラグがON、つまり、迷走判定が行われなかったと判定された場合(S125:Yes)は、S160において判定なしフラグがリセットされ、処理がS100に戻され、本目的地到着判定処理が繰り返される。
【0062】
一方、判定なしフラグがONではない、つまり、迷走判定が行われたと判定された場合(S125:No)は、処理がS130へ移行される。
S130では、S120の迷走判定処理の結果、迷走判定フラグがONであるか否か、つまり、迷走しているか否かの判定が行われる。迷走判定フラグがONであると判定された場合(S130:Yes)、つまり、迷走している場合には、処理がS155へ移行される。
【0063】
一方、迷走判定フラグがONではないと判定された場合(S130:No)、つまり、迷走していない場合には、S135において、表示装置70に目的地に到達した旨の表示がなされるとともに、音声出力装置72に目的地に到達した旨の報知がなされる。
【0064】
続くS140では、到達した目的地がタッチセンサ60において設定された目的地のうち最終目的地であるか否かが判定される。そして、最終目的地でない場合(S140:No)、処理がS160へ移行され、すべてのフラグがリセットされた後、処理がS100へ移行されて、次の目的に対し、本目的地到着判定処理が繰り返される。
【0065】
到着した目的地が最終目的地であった場合(S140:Yes)には、続くS145において、タッチセンサ60を介して目的地案内を終了する旨の指令が入力されたか否かの情報が取得される。
【0066】
続くS150において、目的地案内を終了する旨の指令の入力がなされているか否かが判定される。そして、目的地案内を終了する旨の指令の入力がなされていない場合(S150:No)、処理がS160へ移行され、すべてのフラグがリセットされた後、処理がS100へ移行されて、本目的地到着判定処理が繰り返される。
【0067】
目的地案内を終了する旨の指令の入力がなされている場合(S150:Yes)、処理がS155へ移行され、S155において表示装置70に目的地案内を終了する旨の表示がなされるとともに、音声出力装置72に目的地案内を終了する旨の報知がなされ、処理が終了となる。
【0068】
(迷走判定処理)
次に、図3に基づいて、迷走判定処理について説明する。図3に示す迷走判定処理は、目的地判定処理のサブルーチンである。
【0069】
迷走判定処理では、図3に示すように、S200において、タッチセンサ60において設定された目的地が1つであるか否かが判定される。目的地が1つの場合(S200:Yes)は、処理がS240へ移行され、S240において判定なしフラグがONとされ処理が終了となる。一方、目的地が2つ以上ある場合(S200:No)は、処理がS205へ移行される。
【0070】
S205では、メインルーチンである目的地到着判定処理のS100において取得された車両の現在位置(図2参照)が、設定されている目的地から所定の範囲内にあるか否かが判定される。
【0071】
そして、目的地から所定の範囲内にないと判定された場合(S205:No)は、処理がS240へ移行され、S240において判定なしフラグがONとされ処理が終了となる。一方、目的地から所定の範囲内にあると判定された場合(S205:Yes)は、処理がS210へ移行される。
【0072】
S210では、車速検出器30から車両の速度が取得され、続くS215において、車速が所定の値(本第1実施形態では8km/h)未満であるか否かが判定される。車速が8km/h未満でない場合(S215:No)は、処理がS210へ戻され、車速の取得と判定が繰り返される。一方、車速が8km/h未満の場合(S215:Yes)は、処理がS220へ移行される。
【0073】
なお、車速の所定の値は、8km/hでなくとも、徐行状態であればよく、8km/hよりも小さい値や多少大きな値であってもよい。
S220では、駐停車用機器信号入力装置40からパーキングブレーキ42の状態が取得され、続くS225において、パーキングブレーキ42が作動している状態であるか否かが判定される。
【0074】
S225においてパーキングブレーキ42が作動している状態であると判定された場合(S225:Yes)は、続くS230において迷走フラグがOFFとされた後、処理が終了となる。一方、パーキングブレーキ42が作動している状態であると判定された場合(S225:No)は、S235において迷走フラグがONとされた後、処理が終了となる。
【0075】
(車両案内装置1の特徴)
以上のような車両案内装置1によれば、図4に示すように、車両が目的地近傍で迷走していることが判定できる。
【0076】
つまり、車両が目的地の位置から所定の範囲内に入った場合、本来であれば、車両は停止するはずである。ところが、目的地の位置から所定の範囲内に入ったにもかかわらず車両が所定の値(8km/h)以上の速度で走行しているということは何らかの原因で停止することができない状態、すなわち迷走している状態であると考えられる。
【0077】
また、目的地から所定の範囲内にあって、車両の速度が所定の値よりも小さくなった場合であっても、運転者が駐車又は停車の際に作動させるべき機器を操作しなかった場合には、何らかの原因で運転者が車両をすぐに発進できる状態にしていること、すなわち、目的地に到着したことに確信が持てない状態であると考えられる。
【0078】
したがって、車両が目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、車速検出器30で検出された車両の速度が所定の値以上であるか又は車両の速度が所定の値より小さくても、駐停車用機器信号入力装置40で、パーキングブレーキ42やハザードランプSW44が操作されたことが検出されない場合には、車両が迷走していると判定できる。
【0079】
また、目的地近傍で車両が迷走していなければ、目的地に到着したと判定され、次の目的地までの経路が算定される。そして、算定された経路が表示装置70や音声出力装置72に提示される。
【0080】
逆に、車両が迷走していると判定されたときには目的地に到着したと判定されず、次の目的地までの経路が算定されないので、次の目的地までの経路が表示装置70に表示されたり音声出力装置72によって報知されることがない。
【0081】
したがって、複数の目標が、訪れる順番とともに設定されており、各目的地までの経路が順番に案内される目的地案内装置の場合、迷走せずに1つの目的地に到着すれば、次の目的地が提示される。一方、目的地近傍で迷走している間は、目的地到着判定がされないので、次の目的地への経路案内がされることがない。
【0082】
また、車両が迷走中に、次の目的地への経路案内がされることがないので、運転者が現在迷走しながら探している目的地までの経路が再設定されたものと誤解したりすることがなくなる。したがって、運転者にとって使いやすい車両案内装置1となる。
【0083】
また、運転者が目的地案内を終了するか否かの指令を入力するためのタッチセンサ60を備えており、制御部50は、車両が迷走していると判定されたときに、運転者に対して、目的地案内を終了する旨が表示装置70に表示されるとともに音声出力装置72により報知される。
【0084】
そして、表示や報知の後、タッチセンサ60を介して目的地案内を終了する旨の指令の入力があった場合には、目的地案内を終了し、目的地案内を終了しない旨の指令の入力があった場合には、目的地に到着したことが判定されない。
【0085】
したがって、車両が迷走している場合に、運転者の希望に応じて目的地までの案内が提示されたり、提示されなかったりするので、運転者にとって使いやすい車両案内装置1となる。
【0086】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態として、図5、図6、図7及び図8に基づいて、車両の進行方向に基づいて車両の迷走判定を行う車両案内装置2について説明する。なお、第2実施形態における車両案内装置2の構成は第1実施形態における車両案内装置1と類似しているので、同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0087】
(車両案内装置2の構成)
図5は、車両案内装置2の概略の構成を示すブロック図である。車両案内装置2は、図5に示すように、図2に示す第1実施形態の車両案内装置1の車速検出器30及び駐停車用機器信号入力装置40に代え、ジャイロ80を備えた構成となっている。
【0088】
(制御部50での処理)
制御部50では、第1実施形態における目的地判定処理(図2参照)に代えて、図6に示す目的地判定処理が行われている。図6に示す目的地判定処理では、S300において、GPS車載器20から車両の現在位置が取得され、続くS305において、タッチセンサ60から目的地が取得される。
【0089】
続くS310では、タッチセンサ60を介して入力された再表示時間が取得される。この再表示時間は、目的地近傍で車両が迷走した場合、いったん目的地までの経路案内を終了した後、目的地までの経路案内を再開するまでの時間である。
【0090】
続くS315では、S300において取得された車両の現在位置からS305において取得された目的地までの経路が算定され、続くS320では、S315において算定された目的地までの経路に基づいて経路案内が行われる。
【0091】
続くS325では、車両が目的地近傍で迷走しているか否かを判定する迷走判定処理が行われる。この迷走判定処理の詳細については後述する。
続くS330では、判定なしフラグがONであるか否かが判定される。つまり、迷走判定処理において、迷走判定が行われたか否かが判定される。そして、判定なしフラグがON、つまり、迷走判定が行われなかったと判定された場合(S330:Yes)は、S375において判定なしフラグがリセットされ、処理がS300に戻され、本目的地到着判定処理が繰り返される。
【0092】
一方、判定なしフラグがONではない、つまり、迷走判定が行われたと判定された場合(S330:No)は、処理がS335へ移行される。
S335では、S325の迷走判定処理の結果、迷走判定フラグがONであるか否か、つまり、迷走しているか否かの判定が行われる。迷走判定フラグがONであると判定された場合(S335:Yes)、つまり、迷走している場合には、処理がS360へ移行される。
【0093】
一方、迷走判定フラグがONではないと判定された場合(S335:No)、つまり、迷走していない場合には、続くS340において、表示装置70に目的地に到達した旨の表示がなされるとともに、音声出力装置72に、目的地に到達した旨の報知がなされる。
【0094】
続くS345では、到達した目的地が最終目的地か否かが判定される。到達した目的地が最終目的地でないと判定された場合(S345:No)は、S375においてすべてのフラグがリセットされ、処理がS300へ戻されて、本目的地判定処理が繰り返される。
【0095】
到達した目的地が最終目的地であると判定された場合(S345:Yes)は、S350において、表示装置70に目的地案内を終了する旨の表示がなされるとともに、音声出力装置72に目的地案内を終了する旨の報知がなされ、処理が終了となる。
【0096】
S335において、迷走していないと判定され、S360へ処理が移行された場合には、S360において、表示装置70に目的地案内を終了する旨の表示がなされるとともに、音声出力装置72に目的地案内を終了する旨の報知がなされる。
【0097】
続くS365では、S310において取得された再表示時間が経過したか否かが判定される。再表示時間が経過したと判定された場合(S365:Yes)は、処理がS320へ移行され経路案内が再開される。
【0098】
再表示時間が経過していないと判定された場合(S365:No)は、S370において、タッチセンサ60を介して目的地案内を終了する旨の指令が入力されたか否かの情報が取得され、続くS375において、案内を終了する旨の指令が入力されたか否かが判定される。
【0099】
案内を終了する旨の指令が入力されていないと判定された場合(S375:No)は、処理がS365へ処理が戻され、案内を終了する旨の指令が入力されていると判定された場合(S375:Yes)には、S350へ処理が移行され、表示装置70と音声出力装置72に目的地案内を終了する旨の報知がなされ、処理が終了となる。
【0100】
(迷走判定処理)
次に、図7に基づいて、迷走判定処理について説明する。迷走判定処理は、目的地判定処理のサブルーチンである。
【0101】
迷走判定処理は、図7に示すように、S400において、タッチセンサ60において設定された目的地が1つであるか否かが判定される。目的地が1つの場合(S400:Yes)は、処理がS465へ移行され、S465において判定なしフラグがONとされ処理が終了となる。一方、目的地が2つ以上ある場合(S400:No)は、処理がS405へ移行される。
【0102】
S405では、メインルーチンである目的地到着判定処理のS300において取得された車両の現在位置(図6参照)が、設定されている目的地から所定の範囲内にあるか否かが判定される。
【0103】
そして、目的地から所定の範囲内にないと判定された場合(S405:No)は、処理がS465へ移行され、S465において判定なしフラグがONとされ処理が終了となる。一方、目的地から所定の範囲内にあると判定された場合(S405:Yes)は、処理がS410へ移行される。
【0104】
S410では、表示装置70に目的地近傍である旨の表示がなされ、続くS415において、到着判定を行うまでの時間をカウントするためのタイマがスタートされる。そして、続くS420では、ジャイロ80から車両の方位(車両方位A)が取得され、続くS425において、車両方位を比較する時間をカウントするためのタイマがスタートされる。
【0105】
続くS430では、S425においてスタートされたタイマにより所定時間が経過したか否かが判定される。そして、所定時間が経過していなければ、所定時間が経過するまでS430が繰り返される。
【0106】
所定時間が経過したら、S440において車両の方位(車両方位B)が取得され、続くS445において、S420にて取得された車両方位Aと車両方位Bとの差が90°以内であるか否かが判定される。
【0107】
車両方位Aと車両方位Bとの差が90°以内でないと判定された場合(S445:No)は、処理がS450へ移行され、車両方位Aと車両方位Bとの差が90°より大きい場合(S445:Yes)には、S460において迷走フラグがONされ、処理が終了となる。
【0108】
S450では、タイマの時間が設定時間内であるか否かが判定され、設定時間内の場合(S450:Yes)は、処理がS420へ戻されて、車両方位の取得と比較の処理が繰り返される。タイマの時間が設定時間内でない場合(S450:No)には、S455において迷走フラグがOFFにされ処理が終了となる。
【0109】
(車両案内装置2の特徴)
以上のような車両案内装置2によれば、目的地近傍で車両が迷走していることが判定できる。
【0110】
つまり、制御部50において、目的地の位置から所定の範囲内にあるとき、車両が図8のポイントAからポイントBまで走行する間にジャイロ80で検出された車両の方位が所定の角度(90°)以上変化した場合、車両が迷走していると判定される。
【0111】
前述のように、車両が目的地の位置から所定の範囲内に入った場合、本来であれば車両は停止するはずであるにもかかわらず、車両の方位が所定の角度(90°)以上変化するのは、車両が目的地の近傍を迷走している状態を示していると考えられる。
【0112】
したがって、車両案内装置2によれば、車両が迷走していることを判定することができる。
さらに、迷走判定がされてから再度その目的地までの経路を提示するまでの時間を設定することが可能となっているので、表示装置70に表示させたり音声出力装置72によって報知したりして、経路を提示するまでの時間を運転者の特性や好みに合わせて設定できる。したがって、運転者にとって使いやすい車両案内装置2となる。
【0113】
また、制御部50は、GPS車載器20によって、車両の現在位置が所定の範囲から外れたことが検出された場合には、目的地までの経路を表示装置に表示したり、音声出力装置72によって報知しないようになっている。したがって、運転者の気が変わり、設定された目的地に到着しないで、別の目的地に向かうような場合に都合がよい。
【0114】
[第3実施形態]
次に、車両が目的地近傍で同じ地点を通過しているか否かにより迷走判定を行う車両案内装置について説明する。この車両案内装置の構成及び制御部50(図5参照)における目的地判定処理は、第2実施形態の車両案内装置と同じであるため、構成及び目的地判定処理の説明は省略する。
【0115】
(迷走判定処理)
図9に基づいて、第3実施形態における迷走判定処理について説明する。迷走判定処理は、第2実施形態の迷走判定処理(図7参照)と類似しているため、同じ処理には同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0116】
第3実施形態における迷走判定処理は、図9に示すように第2実施形態の迷走判定処理(図7参照)のS420においてジャイロ80から車両方位Aが取得される代わりに、GPS車載器20から車両の現在位置(車両位置情報A)が取得されるとともに、ジャイロ80からその地点の通過方向が取得される。
【0117】
そして、S440においてジャイロ80から車両方位Bが取得される代わりに、GPS車載器20から車両の現在位置(車両位置情報B)が取得されるとともに、ジャイロ80からその地点の通過方向が取得される。
【0118】
また、S445において車両方位AとBとの差が比較される代わりに、S420において取得された車両位置情報AとS440において取得された車両位置情報Bとが一致しているか否かが判定される。
【0119】
そして、車両位置情報Aと車両位置情報Bとが一致しない場合(S445:No)には、S450へ処理が移行される。S450及びそれ以降の処理は第2実施形態の迷走判定処理を同じである。
【0120】
一方、車両位置情報Aと車両位置情報Bとが一致する場合(S445:Yes)には、第2実施形態の迷走判定処理にはないステップであるS447において、A地点とB地点の通過方向が一致しているか否かが判定される。
【0121】
そして、通過方向が一致した場合(S447:Yes)は、処理がS450へ移行され、通過方向が一致しない場合(S447:No)は、処理がS460へ移行され、第2実施形態の迷走判定処理を同じように迷走フラグがONにされ、処理が終了となる。
【0122】
(特徴)
以上のような車両案内装置によれば、図10に示すようにして、目的地近傍で車両が迷走していることが判定できる。
【0123】
つまり、所定の時間内に目的地からの所定の範囲内において、同一地点(ポイントC)をどの方向から複数回通過したかが検出され、検出された同一地点を複数回通過した回数により車両が迷走していることが判定できる。
【0124】
[第4実施形態]
次に、車両の運転者の身体の動きの変化から迷走判定を行う車両案内装置3について図11及び図12に基づいて説明する。この車両案内装置の構成は第2実施形態の車両案内装置(図5参照)と類似であるため、同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。また、制御部50(図5参照)における目的地判定処理は、第2実施形態の車両案内装置と類似であるため、目的地判定処理の説明は省略する。
【0125】
(構成)
図11は、車両案内装置3の概略の構成を示すブロック図である。車両案内装置3は、図11に示すように、第2実施形態の車両案内装置2(図5参照)のジャイロ80の代わりに車室内カメラ90及びマイクロホン92を備えている。
【0126】
車室内カメラ90は、車室前部に運転者の身体を撮影できるように取り付けられており、マイクロホン92は、車室前部に運転者が発する声を取得できるように取り付けられている。
【0127】
(迷走判定処理)
次に、第4実施形態における迷走判定処理について図12に基づき説明する。迷走判定処理は、第2実施形態の迷走判定処理(図7参照)と類似しているため、同じ処理には同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0128】
第4実施形態における迷走判定処理は、図12に示すように第2実施形態の迷走判定処理(図7参照)のS420においてジャイロ80から車両方位Aが取得される代わりに、車室内カメラ90からカメラ画像A、つまり運転者の身体の画像が取得される。
【0129】
そして、S425において、カメラ画像を比較するための時間をカウントするタイマがスタートされる。
続く、S440においてジャイロ80から車両方位Bが取得される代わりに、車室内カメラ90からカメラ画像が取得される。
【0130】
また、S445において車両方位AとBとの差が比較される代わりに、S420において取得されたカメラ画像AとS440において取得されたカメラ画像Bとの差から、運転者の身体の動きの変化が特徴的であるか否かが判定される。
【0131】
例えば、目的地や目的地を見つけるための目印となるものを目視で認識するために所定時間(S430で判定される所定時間)内に顔を左右に頻繁に動かす、いわゆる「きょろきょろ」する状態になったり、所定時間内に上半身を大きく左右に動かしたり、上半身をねじったりする場合がある。
【0132】
そして、カメラ画像Aとカメラ画像Bとの差から運転者の身体の動きの変化が特徴的ではないと判定された場合(S445:No)には、S450へ処理が移行される。S450及びそれ以降の処理は第2実施形態の迷走判定処理を同じである。
【0133】
一方、カメラ画像Aとカメラ画像Bとの差から運転者の動きの変化が特徴的であると判定された場合(S445:Yes)には、処理がS460へ移行され、第2実施形態の迷走判定処理を同じように迷走フラグがONにされ、処理が終了となる。
【0134】
(特徴)
車室内カメラ90によって運転者の画像を取得し、その運転者の動きを画像認識することによって、運転者の通常の運転状態に比べ異なる動きをするという運転者の示す特徴的な身体的行動の変化を検出できる。したがって、車両が迷走していることを判定できる。
【0135】
[第5実施形態]
次に、運転者の発する声から迷走判定を行う車両案内装置について図13に基づいて説明する。この車両案内装置の構成は第4実施形態の車両案内装置3(図11参照)と同じであり、制御部50(図11参照)における目的地判定処理は、第2実施形態の車両案内装置と同じであるため、構成と目的地判定処理の説明は省略する。
【0136】
(迷走判定処理)
第5実施形態における迷走判定処理について図13に基づき説明する。迷走判定処理は、第4実施形態の迷走判定処理(図11参照)と類似しているため、同じ処理には同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0137】
第5実施形態における迷走判定処理は、図13に示すように第5実施形態の迷走判定処理(図11参照)のS420において、車室内カメラ90からカメラ画像Aが取得される代わりに、マイクロホン92から運転者の声が取得される。
【0138】
そして、S425において、カメラ画像を比較するための時間をカウントするタイマがスタートされる代わりに、S420において取得された運転者の声の内容、つまり、運転者がどのような内容の言葉を発したかが音声処理によって解析される。
【0139】
そして、S430の所定時間の経過処理及びS440のカメラ画像Bの取得処理は削除され、S445において、S425にて解析された運転者の声の内容が特定の言葉であるか否かが判定される。
【0140】
ここで、「運転者の声が特定の言葉である」とは、運転者の声が、予め制御部50のROMなどに登録しておいた言葉、例えば、「あれ?」あるいは「ここかな?」といった、車両が迷走したときに運転者が発する言葉を意味している。
【0141】
そして、運転者の声が特定の言葉でないと判定された場合(S455:No)は、S450へ処理が移行される。S450及びそれ以降の処理は第4実施形態の迷走判定処理を同じである。
【0142】
一方、運転者の声が特定の言葉であると判定された場合(S455:Yes)には、処理がS460へ移行され、第4実施形態の迷走判定処理を同じように迷走フラグがONにされ、処理が終了となる。
【0143】
(特徴)
このように、特定の言葉を発するという、運転者が示す特徴的な身体的行動の変化をマイクロホン92によって検出することによって車両が迷走していることを判定できる。
【0144】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、運転者に対する情報の提示は、表示装置70と音声出力装置72の両方を用いてもよいが、いずれかを単独で使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】車両案内装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における目的地判定処理のフローチャートである。
【図3】第1実施形態における迷走判定処理のフローチャートである。
【図4】第1実施形態において目的地近傍で車両の迷走判定をする様子を示す図である。
【図5】車両案内装置2の概略の構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態における目的地判定処理のフローチャートである
【図7】第2実施形態における迷走判定処理のフローチャートである。
【図8】第2実施形態において目的地近傍で車両の迷走判定をする様子を示す図である。
【図9】第3実施形態における迷走判定処理のフローチャートである。
【図10】第3実施形態において目的地近傍で車両の迷走判定をする様子を示す図である。
【図11】車両案内装置3の概略の構成を示すブロック図である。
【図12】第4実施形態における迷走判定処理のフローチャートである。
【図13】第5実施形態における迷走判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0146】
1,2,3…車両案内装置、10…地図情報データベース、20…GPS車載器、30…車速検出器、40…駐停車用機器信号入力装置、42…パーキングブレーキ、44…ハザードランプスイッチ(ハザードランプSW)、50…制御部、60…タッチセンサ、70…表示装置、72…音声出力装置、80…ジャイロ、90…車室内カメラ、92…マイクロホン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地の位置を設定可能な地図情報が格納された地図情報データベースと、
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記車両の駐車又は停車の際に操作される機器が操作されたことを検出する駐停車用機器操作検出手段と、
前記現在位置検出手段で検出された前記車両の現在位置が前記地図情報データベースに設定された前記目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、前記車速検出手段で検出された前記車両の速度が所定の値以上であるか又は前記車両の速度が前記所定の値より小さくても、前記駐停車用機器操作検出手段で前記車両の駐車又は停車の際に操作される機器が操作されたことが検出されない場合に、前記車両が迷走していると判定する迷走判定手段と、
を備えたことを特徴とする車両迷走判定装置。
【請求項2】
目的地の位置を設定可能な地図情報が格納された地図情報データベースと、
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記車両の方位を検出する方位検出手段と、
前記現在位置検出手段で検出された前記車両の現在位置が前記地図情報データベースに設定された前記目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、前記方位検出手段で検出された前記車両の方位が所定の角度以上変化した場合に、前記車両が迷走していると判定する迷走判定手段と、
を備えていることを特徴とする車両迷走判定装置。
【請求項3】
目的地の位置を設定可能な地図情報が格納された地図情報データベースと、
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記現在位置検出手段で検出された前記車両の現在位置が前記地図情報データベースに設定された前記目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、前記現在位置検出手段で検出された前記車両の位置が所定の時間内に前記目的地の位置から所定の範囲内において同一の場所を所定回数以上通過した場合に、前記車両が迷走していると判定する迷走判定手段と、
を備えていることを特徴とする車両迷走判定装置。
【請求項4】
目的地の位置を設定可能な地図情報データベースと、
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記車両が迷走した際に前記車両の運転者が特徴的に示す身体的行動を検出する運転者行動検出手段と、
前記現在位置検出手段で検出された前記車両の現在位置が前記地図情報データベースに設定された前記目的地の位置から所定の範囲内にあるときに、前記運転者行動検出手段で検出された前記運転者の特徴的な身体的行動に変化があるか否かを判定し、前記運転者の特徴的な身体的行動に変化がある場合に、前記車両が迷走していると判定する迷走判定手段と、
を備えたことを特徴とする車両迷走判定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両迷走判定装置において、
前記運転者行動検出手段は、前記車両が迷走した際に前記車両の運転者が特徴的に示す身体的行動として、前記運転者の発する特定の言葉を検出することを特徴とする車両迷走判定装置。
【請求項6】
請求項4に記載の車両迷走判定装置において、
前記運転者行動検出手段は、前記運転者の顔又は身体の一部の画像を取得する撮像手段を備え、前記撮像手段で取得した前記運転者の顔又は身体の一部の画像に基づき、前記運転者の顔又は身体の一部が通常の運転状態に比べ異なる動きをすることを認識することによって、前記車両が迷走した際に前記車両の運転者が特徴的な行動を検出することを特徴とする車両迷走判定装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れかに記載の車両迷走判定装置において、
前記迷走判定手段は、前記車両が所定の範囲内に入ってから前記車両が迷走していることを判定するまでの時間を設定可能に構成されていることを特徴とする車両迷走判定装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の車両迷走判定装置と、
複数の目的地を訪れる順番とともに設定するための目的地設定手段と、
前記目的地設定手段で設定された目的地までの案内のための情報を提示する提示手段と、
前記車両迷走判定装置の前記現在位置検出手段で検出された前記車両の現在位置から前記目的地設定手段で設定された複数の目的地までの経路を設定された順番に算定し、算定した経路を前記提示手段に提示させる目的地案内手段と、
を備え、
前記目的地案内手段は、
前記車両迷走判定装置で前記車両が迷走していると判定されなかった場合は、前記目的地に到着したと判定して次の目的地までの経路を算定し、
前記車両迷走判定装置で前記車両が迷走していると判定された場合には、前記目的地に到着したことを判定せず、次の目的地までの経路を算定しないことを特徴とする目的地案内装置。
【請求項9】
請求項8に記載の目的地案内装置において、
前記目的地案内手段は、前記車両迷走判定装置において前記車両が迷走していると判定されている場合には、再度その目的地までの経路を前記提示手段に提示させることを特徴とする目的地案内装置。
【請求項10】
請求項9に記載の目的地案内装置において、
前記目的地案内手段は、前記車両が迷走していると判定されてから、再度その目的地までの経路を前記提示手段に提示するまでの時間を設定可能に構成されていることを特徴とする目的地案内装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の目的地案内装置において、
前記目的地案内手段は、前記迷走判定手段に備えられた前記現在位置検出手段によって、前記車両の現在位置が前記所定の範囲から外れた場合には、前記目的地までの経路を前記提示手段に提示しないことを特徴とする目的地案内装置。
【請求項12】
請求項8に記載の目的地案内装置において、
運転者が目的地案内を終了するか否かの指令を入力するための入力手段を備え、
前記目的地案内手段は、前記車両迷走判定装置で前記車両が迷走していると判定されたときに、前記車両の運転者に対して、目的地案内を終了する旨を前記提示手段に提示させ、その提示の後前記入力手段を介して目的地案内を終了する旨の指令の入力があった場合には、目的地案内を終了し、目的地案内を終了しない旨の指令の入力があった場合には、前記目的地に到着したことを判定しないことを特徴とする目的地案内装置。
【請求項13】
請求項8〜請求項11に記載の目的地案内装置において、
前記目的地設定手段によって、1つの目的地しか設定されていない場合、前記目的地案内手段は、前記車両迷走判定手段で前記車両が迷走していると判定されたときであっても、前記目的地に到着したことを判定することを特徴とする目的地案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−157813(P2008−157813A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348281(P2006−348281)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】