説明

車載情報装置

【課題】現実感のあるドライバ視点表示を実現できる車載情報装置を提供する。
【解決手段】車両の現在位置を検出する現在位置検出手段12,13,14と、風景画像データ、道路画像データおよび3次元建物画像データを記憶する記憶手段20と、現在位置検出手段で検出された現在位置に対応する風景画像データ、道路画像データおよび3次元建物画像データを記憶装置から取得して合成し、該合成した画像に、車両または車両周辺の変化する事象を表す画像データをさらに合成してドライバの視点から見た画像であるドライバ視点画像を生成する制御手段10と、制御手段で生成されたドライバ視点画像を表示する表示手段24,25を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載されて、運転を支援するための情報をユーザに提示する車載情報装置に関し、特に前方の風景画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図データと自車位置とに基づきドライバの視点による前方風景を合成してモニタに表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなドライバの視点による前方風景の表示を、この明細書では、「ドライバ視点表示」という。また、特許文献2は、道路の起伏に従ってドライバ視点表示を効果的に変更して表示する技術を開示している。さらに、特許文献3は、ドライバ視点表示として、前方の建物を3次元(以下、「3D」という場合もある)で表示する技術を開示している。
【0003】
このようなドライバ視点表示によれば、ドライバは、自己の視点による現実の風景と、モニタに表示された風景とを対比できるため、ドライバが現在地を認識しやすいという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−208816号公報
【特許文献2】特開平10−143066号公報
【特許文献3】特開平9−319302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の走行時には、ドライバからは前方風景だけでなく、例えばボンネットなどといった自車両の一部も見えるため、車両の一部が合成されていないドライバ視点表示では現実感がなく、ドライバに違和感を生じさせる。また、現実の道路には他の車両が走行していたり、天候の変化などによる前方風景が変化したりするが、それらが反映されていないため、従来のドライバ視点表示は、現実と乖離しており、現実感がなく、違和感を生じる原因となっている。
【0006】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、現実感のあるドライバ視点表示を実現できる車載情報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明に係る車載情報装置は、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、風景画像データ、道路画像データおよび3次元建物画像データを記憶する記憶手段と、現在位置検出手段で検出された現在位置に対応する風景画像データ、道路画像データおよび3次元建物画像データを記憶装置から取得して合成し、該合成した画像に、車両または車両周辺の変化する事象を表す画像データをさらに合成してドライバの視点から見た画像であるドライバ視点画像を生成する制御手段と、制御手段で生成されたドライバ視点画像を表示する表示手段とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る車載情報装置によれば、風景画像、道路画像および3次元建物画像からなる画像に、さらに車両または車両周辺の変化する事象を表す画像を合成して表示するように構成したので、現実感のあるドライバ視点表示を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載情報装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る車載情報装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係る車載情報装置においてボンネット画像が生成される際のボンネットの表示形態を決定する処理を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係る車載情報装置の処理過程で形成されるドライバ視点画像の例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る車載情報装置で形成されるドライバ視点画像の例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る車載情報装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る車載情報装置で形成されるドライバ視点画像の例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る車載情報装置で形成される他のドライバ視点画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る車載情報装置の構成を示すブロック図である。この車載情報装置は、CPU(Central Processing Unit)10、内蔵メモリ11、GPS(Global Positioning System)受信機12、車速センサ13、方位センサ14、タッチパネル15、ラジオ受信機18、DTV(Digital TeleVision)受信機19、HDD(Hard Disk Drive)20、CD(Compact Disc)/DVD(Digital Versatile Disk)ドライブ21、携帯電話22、車内LAN(Local Area Network)インタフェース23、描画チップ24、液晶モニタ25、アンプ26およびスピーカ27を備えている。
【0011】
CPU10は、この発明の制御手段の一部に対応し、内蔵メモリ11、GPS受信機12、車速センサ13、方位センサ14、タッチパネル15、ラジオ受信機18、DTV受信機19、HDD20、CD/DVDドライブ21、携帯電話22、車内LANインタフェース23、描画チップ24およびアンプ26との間でデータを送受して所定の処理を実行することにより車載情報装置の全体を制御する。このCPU10で実行される処理の詳細は、後述する。
【0012】
内蔵メモリ11は、この発明の制御手段の他の一部に対応し、例えばRAM(Random Access Memory)から構成されている。この内蔵メモリ11には、HDD20から読み込まれたプログラムが展開される。CPU10は、この内蔵メモリ11に展開されたプログラムに従って動作する。また、内蔵メモリ11は、CPU10が処理中のデータを一時的に記憶するために使用される。
【0013】
GPS受信機12は、GPS衛星からアンテナを介して受信されたGPS信号に基づき車両の現在位置を検出する。このGPS受信機12で検出された車両の現在位置を表す現在位置データは、CPU10に送られる。
【0014】
車速センサ13は、この車載情報装置が搭載された車両から送られてくる車速パルスに基づき車両の移動速度を検出する。この車速センサ13で検出された車両の移動速度を表す速度データは、CPU10に送られる。方位センサ14は、車両の進行方位を検出する。この方位センサ14で検出された車両の進行方位を表す方位データはCPU10に送られる。
【0015】
車速センサ13からの速度データおよび方位センサ14からの方位データを受け取ったCPU10は、これら速度データおよび方位データに基づいて自立航法により車両の現在位置を検出して現在位置データを生成する。これにより、例えばトンネルまたはビルディングの谷間に入るなどによってGPS受信機12で車両の現在位置を検出できなくなっても、自立航法によって車両の現在位置を検出できるので、車載情報装置は、常に正しい車両の現在位置を検出できる。この発明の現在位置検出手段は、これらGPS受信機12、車速センサ13および方位センサ14から構成されている。
【0016】
タッチパネル15は、液晶モニタ25の画面上に載置されており、車載情報装置に対する種々の指示を入力するために使用される。このタッチパネル15は、タッチされた位置に応じた信号を発生し、操作データとしてCPU10に送る。CPU10は、この操作データに応答して、例えば、液晶モニタ25への表示モードの変更(例えば、2次元地図表示モードからドライバ視点表示モードへの変更)、画面のスクロール、施設探索、経路探索または誘導案内などを実現するための処理を実行する。
【0017】
ラジオ受信機18は、ラジオ放送を受信して音声信号を再生し、CPU10に送る。CPU10は、ラジオ受信機18から送られてくる音声信号をアンプ26に送る。これにより、後述するように、スピーカ27からラジオ放送の音声が出力される。
【0018】
DTV受信機19は、デジタルテレビジョン放送を受信して音声信号および映像信号を再生し、CPU10に送る。CPU10は、DTV受信機19から送られてくる映像信号を描画チップ24に送るとともに、音声信号をアンプ26に送る。これにより、後述するように、液晶モニタ25にデジタルテレビジョン放送の映像が表示されるとともに、スピーカ27からデジタルテレビジョン放送の音声が出力される。
【0019】
また、DTV受信機19から映像信号を受け取ったCPU10は、この映像信号の中から天気情報を取得し、後述する車両画像の表示態様に反映させる。この天気情報の取得に使用される際のDTV受信機19は、この発明の天気情報取得手段に対応する。
【0020】
HDD20は、この発明の記憶手段に対応し、車両画像データ、地図データベース、3次元建物画像データおよびプログラムを格納している。車両画像データは、運転席より前方に存在する車両の一部がドライバ視点で描かれた画像(以下、「ドライバ視点画像」という)であり、この車両画像データには、ボンネット、ヘッドライト、ミラー、ピラーおよびメータパネルなどの画像が含まれる。また、地図データベースには、地図データの他に、前方の3次元表現された風景画像データおよび3次元表現された道路画像データなどが含まれる。このHDD20に格納されているデータは、CPU10によって読み出される。
【0021】
CD/DVDドライブ21は、装着されたCDまたはDVD21aに記録されている内容を再生する。このCD/DVDドライブ21で再生することにより得られた音声信号および映像信号は、CPU10に送られる。CPU10は、CD/DVDドライブ21から送られてくる映像信号を描画チップ24に送るとともに、音声信号をアンプ26に送る。これにより、後述するように、液晶モニタ25に映像が表示されるとともに、スピーカ27から音声が出力される。
【0022】
携帯電話22は、外部との通信を制御するために使用される。すなわち、外部からの送信されてくる電波を受信して電気信号に変換し、受信信号としてCPU10に送るとともに、CPU10から送られてくる送信信号を電波に変換して外部に送信する。この携帯電話22は、例えば、外部のサーバから天気情報を取得するために使用される。この天気情報の取得に使用される際の携帯電話22は、この発明の天気情報取得手段に対応する。
【0023】
車内LANインタフェース23は、車内LANとCPU10との間の通信を制御する。CPU10は、この車内LANインタフェース23を介して車両内部で発生される車両の操作状態を表す車両情報、例えば、ヘッドライトのオン/オフを示すヘッドライトデータ、速度メータが示している速度を表す速度データ、サイドミラーの開閉を示すサイドミラーデータ、ウインカーが作動中か否かを示すウインカーデータなどを取得する。これらの車両情報は、CPU10において、車両の変化する事象として認識される。この車内LANインタフェース23は、この発明の車両情報取得手段に対応する。
【0024】
なお、実施の形態1に係る車載情報装置では、車両情報を、車内LANインタフェース23を介してCPU10に取り込むように構成しているが、車両情報を直接にCPU10に取り込むように構成することもできる。
【0025】
描画チップ24は、CPU10から送られてくる表示データに基づき画像を描画し、映像信号として液晶モニタ25に送る。液晶モニタ25は、描画チップ24から送られてくる映像信号に基づき画像を表示する。これら描画チップ24および液晶モニタ25は、この発明の表示手段に対応する。
【0026】
アンプ26は、CPU10から送られてくる音声データに基づき音声信号を生成して増幅し、スピーカ27に送る。スピーカ27は、アンプ26から送られてくる増幅された音声信号に応じた音声を出力する。
【0027】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係る車載情報装置の動作を、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0028】
タッチパネル15が操作されることにより、液晶モニタ25への表示モードが、他の表示モードからドライバ視点表示モードに変更されると、まず、現在位置が計算される(ステップST11)。すなわち、CPU10は、GPS受信機12から受け取った現在位置データから現在位置を計算し、または、車速センサ13から受け取った車速データと方位センサ14から受け取った方位データとに基づき自律航法により現在位置を計算する。
【0029】
次いで、風景画像が生成される(ステップST12)。すなわち、CPU10は、HDD20の地図データベースから風景画像データを取得し、内蔵メモリ11に設けられた画像生成エリアに格納する。
【0030】
次いで、道路画像が生成されて重ねられる(ステップST13)。すなわち、CPU10は、HDD20の地図データベースから道路画像データを取得し、上述した風景画像が格納されている画像生成エリアに重ねて展開する。
【0031】
次いで、3次元建物画像が遠方から生成して重ねられる(ステップST14)。すなわち、CPU10は、HDD20から3次元建物画像データを取得し遠方の画像から順次に画像を生成し、上述した風景画像および道路画像が格納されている画像生成エリアに重ねる。これにより、例えば図4に示すような、従来と同様の、遠方の風景画像、道路画像および3次元建物画像によって構成されたドライバ視点画像が形成される。
【0032】
次いで、ボンネット画像が生成されて重ねられる(ステップST15)。すなわち、CPU10は、HDD20に車両画像データとして格納されているボンネット画像データを取得し、ステップST14で生成されたドライバ視点画像が格納されている画像生成エリアに重ねる。ボンネット画像には、ヘッドライトの画像が付加されている。これにより、図5に示すような、遠方の風景画像、道路画像および3次元建物画像が合成された画像に、ボンネット画像が重ねられドライバ視点画像が形成される。
【0033】
このボンネット画像を重ねる際に、ボンネット画像は、時刻および天気に応じて、その表示態様が変更される。図3は、ボンネット画像の表示態様を変更する処理を示すフローチャートである。この処理では、まず、現在の時間帯が調べられる(ステップST21)。すなわち、CPU10は、図示しない時計機構(この発明の時刻取得手段に対応する)から時刻を取得し、時間帯を調べる。このステップST21において、時間帯が「夜」であることが判断されると、ボンネット画像が暗色に変更される(ステップST22)。すなわち、CPU10は、ボンネット画像の明度を下げる処理を実行する。その後、シーケンスはステップST24に進む。
【0034】
一方、ステップST21において、時間帯が「昼」であることが判断されると、ボンネット画像が明色に変更される(ステップST23)。すなわち、CPU10は、ボンネット画像の明度を上げる処理を実行する。その後、シーケンスはステップST24に進む。なお、「夜」であるか「昼」であるかの判断は、時計機構に保持されているカレンダーを取得し、このカレンダーに従って決定することができる。
【0035】
ステップST24では、天気が調べられる。すなわち、CPU10は、DTV受信機19または図示しないサーバから携帯電話22を経由して天気情報を取得し、この取得した天気情報に基づいて「晴」であるか「雨」または「曇」であるかを調べる。このステップST24において「晴」であることが判断されると、ボンネット画像の彩度が上げられる(ステップST25)。すなわち、CPU10は、ボンネット画像の彩度を上げる処理を実行する。その後、図2のフローチャートに示す処理にリターンする。
【0036】
一方、ステップST24において「雨」または「曇」であることが判断されると、ボンネット画像の彩度が下げられる(ステップST26)。すなわち、CPU10は、ボンネット画像の彩度を下げる処理を実行する。その後、図2のフローチャートに示す処理にリターンする。なお、図3のフローチャートに示す処理では、時刻および天気に応じてボンネット画像の表示形態を変更する場合について説明したが、さらに、車内LANインタフェース23を介して送られてくる車両情報に応じてボンネット画像の表示形態を変更するように構成できる。例えば、ヘッドライトデータがヘッドライトのオンを示している場合はボンネット画像を暗色に変更し、ヘッドライトのオフを示している場合はボンネット画像を明色に変更するように構成できる。
【0037】
図2に示すフローチャートのステップST16では、ヘッドランプがオンであるかどうかが調べられる。すなわち、CPU10は、車内LANインタフェース23を介して取得したヘッドライトデータがヘッドライトのオンを示しているかどうかを調べる。
【0038】
このステップST16において、ヘッドランプがオンでないことが判断されると、シーケンスはステップST18に進む。一方、ステップST16において、ヘッドランプがオンであることが判断されると、ヘッドライト画像を光らせる処理が行われる(ステップST17)。すなわち、CPU10は、ステップST15で生成して重ねられたボンネット画像の中のヘッドライト画像を明るい色に変更する。その後、シーケンスはステップST18に進む。
【0039】
ステップST18では、表示処理が実行される。すなわち、CPU10は、内蔵メモリ11の画像生成エリアに格納されている内容を、表示データとして描画チップ24に送る。描画チップ24は、CPU10から送られてくる表示データに基づき画像を描画し、映像信号として液晶モニタ25に送る。液晶モニタ25は、描画チップ24から送られてくる映像信号に基づき画像を表示する。これにより、例えば図5に示すような画像が液晶モニタ25に表示される。
【0040】
その後、シーケンスはステップST11に戻り上述した処理が繰り返される。この繰り返しは、例えば、1/30秒毎に行われる。
【0041】
なお、上述した実施の形態1に係る車載情報装置においては、車両画像としてヘッドライトを有するボンネット画像を表示する場合について説明したが、サイドミラー、ピラー、メータパネルなどを表示するように構成することもできる。メータパネルを表示する場合は、車内LANインタフェース23から送られてくる速度データに応じてメータパネルの表示内容を変更するように構成することができる。
【0042】
また、夜間は建物および道路も暗く表示し、ヘッドライトがオンの場合は、ヘッドライトで道路が照らされるような画面を生成するように構成することもできる。
【0043】
また、時計機構に含まれるカレンダーから算出した太陽の位置と方位センサ14から得られる自車両が向いている方位を加味して、ボンネット画像に陰影や光沢を付与するように構成することもできる。また、天気情報に応じて建物画像に陰影を付与したり、風景を変更したりすることもできる。
【0044】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2に係る車載情報装置の構成を示すブロック図である。この車載情報装置は、図1に示した車載情報装置にカメラ16および画像認識装置17が追加されて構成されている。
【0045】
カメラ16には、図示は省略するが、車両の前方を撮影するフロントカメラ、後方を撮影するリアカメラ、側方を撮影するサイドカメラが含まれている。このカメラ16で撮影することにより得られた画像信号は、画像認識装置17に送られる。
【0046】
画像認識装置17は、カメラ16から送られてくる画像信号によって示される画像を解析することにより、車両周辺の変化する事象、例えば、移動している車両の有無、車両の色彩、車両までの距離または車両の移動速度などを検知する。この画像認識装置17で検知された変化する事象を示すデータは、CPU10に送られる。この発明の前方車両検知手段は、カメラ16に含まれるフロントカメラと画像認識装置17によって構成されている。また、この発明の後方車両検知手段は、カメラ16に含まれるリアカメラと画像認識装置17によって構成されている。
【0047】
なお、この発明の前方車両検知手段および後方車両検知手段は、レーザレーダ装置によって構成することもできる。この場合、レーザレーダ装置は、前方、側方または後方に向けてレーザ光を照射し、その反射光を受信することにより、車両の有無、車両までの距離または車両の移動速度などを検知することができる。
【0048】
上記のように構成される、実施の形態2に係る車載情報装置では、カメラ16に含まれるフロントカメラで撮影することにより得られた画像信号が画像認識装置17に送られる。画像認識装置17は、カメラ16から送られてくる画像信号によって示される画像を解析することにより、車両周辺の変化する事象、例えば、移動している車両の有無、車両の色彩、車両までの距離または車両の移動速度などを検知する。この画像認識装置17における検知により得られたデータは、CPU10に送られる。
【0049】
CPU10は、画像認識装置17から送られてくるデータに基づき、画像認識装置17で検知された車両の移動速度に基づき、移動している車両であるかどうかを判断し、移動している車両である場合に、該車両を表す画像を生成して、実施の形態1に係る車載情報装置で生成したドライバ視点画像にさらに合成する。より詳しくは、図2に示したフローチャートのステップST15とステップST16との間で、車両を表す画像を生成して重ねる処理を実行する。これにより、図7に示すような、遠方の風景画像、道路画像および3次元建物画像が合成された画像に、ボンネット画像が重ねられ、さらに、車両を表す画像が重ねられたドライバ視点画像が形成される。
【0050】
なお、車両を表す画像としては、デフォルメされた画像または画像認識装置17で認識された形状に基づき特定された車種に応じた画像を用いることができる。また、車両を表す画像の色としては、画像認識装置17で検知された車両の色彩を用いることができる。また、車両を表す画像の大きさは、画像認識装置17で検知された車両までの距離に基づいて決定することができる。さらに、車両を表す画像としては、カメラ16に含まれるフロントカメラで撮影した画像をそのまま用いることもできる。
【0051】
また、HDD20の車両画像データにバックミラーの画像データを格納しておき、CPU10は、上記のようにして生成したドライバ視点画像に、HDD20の車両画像から取得したバックミラーの画像を合成し、カメラ16に含まれるリアカメラからの画像信号に基づき画像認識装置17で車両が検知された場合に、この検知された後方の車両を表す画像を、変化する事象を表す画像として、該バックミラーの画像に合成するように構成できる。これにより、図8(a)に示すような、遠方の風景画像、道路画像および3次元建物画像が合成された画像に、ボンネット画像および前方の車両を表す画像が重ねられ、さらに、後方の車両を表す画像を含むバックミラー画像が重ねられたドライバ視点画像が形成される。なお、カメラ16に含まれるリアカメラからの画像信号に基づき画像認識装置17で車両が検知されない場合、バックミラ−画像には、図8(b)に示すように、後方の車両を表す画像(変化する事象を表す画像)は含まれない。
【0052】
同様に、HDD20の車両画像データにサイドミラーの画像データを格納しておき、CPU10は、上記のようにして生成したドライバ視点画像に、HDD20の車両画像から取得したサイドミラーの画像を合成し、カメラ16に含まれるサイドカメラからの画像信号に基づく画像認識装置17で車両が検知された場合に、この検知された後側方の車両を表す画像を、変化する事象を表す画像として、該サイドミラーの画像に合成するように構成することもできる。
【0053】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2に係る車載情報装置では、風景画像、道路画像および3次元建物画像が合成された画像に、ボンネット画像または車両を表す画像を合成するように構成したが、カメラ16に含まれるフロントカメラで撮影された実写画像に、ボンネット画像または車両を表す画像を合成して表示するように構成することもできる。
【0054】
また、上述した実施の形態1および実施の形態2に係る車載情報装置では、ボンネットの画像は左車線の上に表示する例を示した(図5、図7および図8参照)が、カメラ16から送られてくる画像信号を受け取った画像認識装置17において車線を検出し、複数の車線が検出された場合は、自車が走行している車線の上にボンネット画像を表示するように構成することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 CPU(制御手段)、11 内蔵メモリ(制御手段)、12 GPS受信機(現在位置検出手段)、13 車速センサ(現在位置検出手段)、14 方位センサ(現在位置検出手段)、15 タッチパネル、16 カメラ(前方車両検知手段、後方車両検知手段)、17 画像認識装置(前方車両検知手段、後方車両検知手段)、18 ラジオ受信機、19 DTV受信機(天気情報取得手段)、20 HDD(記憶手段)、21 CD/DVDドライブ、22 携帯電話(天気情報取得手段)、23 車内LANインタフェース(車両情報取得手段)、24 描画チップ(表示手段)、25 液晶モニタ(表示手段)、26 アンプ、27 スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
風景画像データ、道路画像データおよび3次元建物画像データを記憶する記憶手段と、
前記現在位置検出手段で検出された現在位置に対応する風景画像データ、道路画像データおよび3次元建物画像データを前記記憶装置から取得して合成し、該合成した画像に、車両または車両周辺の変化する事象を表す画像データをさらに合成してドライバの視点から見たドライバ視点画像を生成する制御手段と、
前記制御手段で生成されたドライバ視点画像を表示する表示手段
とを備えた車載情報装置。
【請求項2】
記憶手段は、運転席より前方の車両の一部を表す車両画像データを記憶し、
制御手段は、生成したドライバ視点画像に、前記記憶装置から取得した車両画像データを合成したドライバ視点画像を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の車載情報装置。
【請求項3】
車両の操作状態を表す車両情報を取得する車両情報取得手段と、
時刻情報を取得する時刻取得手段と、
天気情報を取得する天気情報取得手段とを備え、
制御手段は、前記車両情報取得手段で取得された車両情報、前記時刻取得手段により取得された時刻情報および前記天気情報取得手段で取得された天気情報の少なくとも1つに基づいて車両画像の表示態様を変更する
ことを特徴とする請求項2記載の車載情報装置。
【請求項4】
前方の車両を検知する前方車両検知手段を備え、
制御手段は、前記前方車両検知手段によって車両が検知された場合に、該検知された車両を表す画像を、変化する事象を表す画像として使用する
ことを特徴とする請求項1記載の車載情報装置。
【請求項5】
記憶手段に記憶される車両画像データはボンネットの画像データを含み、
制御手段は、生成したドライバ視点画像に、前記記憶装置から取得したボンネットの画像データを合成したドライバ視点画像を生成する
ことを特徴とする請求項2記載の車載情報装置。
【請求項6】
後方の車両を検知する後方車両検知手段を備え、
記憶手段に記憶される車両画像データはバックミラーの画像データを含み、
制御手段は、生成したドライバ視点画像に、前記記憶装置から取得したバックミラーの画像データを合成し、前記後方車両検知手段によって車両が検知された場合に、該検知された車両を表す画像を変化する事象を表す画像として、該バックミラーの画像データに合成したドライバ視点画像を生成する
ことを特徴とする請求項2記載の車載情報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−175329(P2010−175329A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16773(P2009−16773)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】