説明

車載用装置および車載用システム

【課題】操作が簡単なセキュリティ部を備えた車載用装置を提供する。
【解決手段】携帯電話装置30から送信される認証コードを受信する近距離無線通信手段21と、カーナビゲーション装置10の正規ユーザの認証コードを格納する正規ユーザ認証コード格納手段22と、近距離無線通信手段21が受信した認証コードと正規ユーザ認証コード格納手段22に格納された正規ユーザの認証コードとを照合して、両認証コードが一致するか否かを判断する認証コード判断手段23と、認証コード判断手段23が両認証コードの一致を確認した場合に、カーナビゲーション装置10を起動するセキュリティ制御手段24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載用装置、特に、セキュリティ部を備える車載用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置にセキュリティ部を備えることが知られている。セキュリティ部は、ユーザがキーボード等からマニュアル入力した認証コード(ユーザID、パスワードなど)と、セキュリティ部に登録された正規ユーザの認証コードを照合して、両者が一致した場合に、カーナビゲーション装置を機能させる装置である。セキュリティ部を備えたカーナビゲーション装置は、正規ユーザ以外には機能しないから、セキュリティ部はカーナビゲーション装置の盗難を抑制する効果がある。
【0003】
また、走行履歴、目的地設定履歴、各種画像等の情報(以下、個人情報という)を個々のユーザ毎に登録できるようにしたカーナビゲーション装置が知られている。これらの個人情報はプライバシー保護の観点から保護される必要がある。そこで、カーナビゲーション装置のセキュリティ部に個人情報を保護する機能を与えることも提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、車内の所定の位置にドライバーがカードキーを挿入すると、イグニッションがONされ、その後、ID入力手段が前記カードキーから前記ドライバーのIDを読み取り、ナビゲーションコンピュータで前記ドライバーのIDとナビゲーションコンピュータに記憶されているIDとを照合し、前記ドライバーのIDと一致するIDが存在する場合に、当該IDに適合する走行履歴をディスプレイに表示するカーナビゲーションシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2000−193474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、認証コードのマニュアル入力は、ユーザにとって煩わしいという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に開示されたカードキーによる認証コードの入力は、操作の煩雑さをある程度解決するものであるが、カードキーを着衣のポケット等から取り出して、所定のスロット等に挿入するという操作は、やはり煩わしさがある。
【0007】
また、特許文献1に開示されたカーナビゲーションシステムでは、2人のユーザA,Bが同じ車内に居て、各自の走行履歴を確認したいと思った時は、まずユーザAのカードキーを使って、カーナビゲーションシステムを立ち上げて、ユーザAの走行履歴をカーナビゲーションシステムのディスプレイに表示し、その後ユーザAのカードキーを抜き取って、カーナビゲーションシステムを一旦立ち下げて、次にユーザBのカードキーを使って、カーナビゲーションシムテムを立ち上げなおす必要があった。
【0008】
このような操作は非常に煩わしいし、特許文献1のカーナビゲーションシステムのような自動車のイグニッションと一体になったシステムにおいては、走行中にこのような操作を行うことは出来なかった。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、操作が簡単なセキュリティ部を備えた車載用装置を提供するものである。また、個人情報を適切に保護しつつ、複数の個人情報へ同時にアクセスすることが可能なセキュリティ部を備えた車載用装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車載用装置は、セキュリティ部と本体部とを備える車載用装置において、前記セキュリティ部は、携帯端末から送信される認証コードを受信する近距離無線通信手段と、前記本体部の正規ユーザの認証コードを格納する認証コード格納手段と、前記近距離無線通信手段が受信した認証コードと前記認証コード格納手段に格納された正規ユーザの認証コードを照合して、両認証コードが一致したか否かを判断する認証コード判断手段と、前記認証コード判断手段が、前記両認証コードの一致を確認した場合に、前記本体部を起動するセキュリティ制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、前記セキュリティ部は、前記本体部の主電源を投入した時に起動してもよい。
【0012】
また、前記近距離無線通信手段は、通信可能範囲に所在する携帯端末を探索するとともに、発見された携帯端末に認証コードの送信を要求してもよい。
【0013】
また、前記近距離無線通信手段はブルートゥース(ブルートゥース エスアイジー,インコーポレイテッド社の登録商標)による近距離無線通信手段であってもよい。
【0014】
また、前記本体部は、前記正規ユーザの個人情報を格納する個人情報格納手段を備えるとともに、前記セキュリティ制御手段は、前記本体部の起動時に、起動時に一致した認証コードに対応する個人情報へのアクセスを許可してもよい。
【0015】
また、前記認証コード判断手段は、前記近距離無線通信手段が前記本体部の起動後に他の認証コードを受信した場合に、当該他の認証コードと前記認証コード格納手段に格納された正規ユーザの認証コードを照合するとともに、前記セキュリティ制御手段は、前記認証コード判断手段が両者の一致を確認した場合に、当該他の認証コードに対応する個人情報へのアクセスを許可してもよい。
【0016】
また、前記セキュリティ制御手段は、前記本体部の起動時に前記近距離無線通信手段が受信した認証コードに対応する個人情報と、前記本体部の起動後に前記近距離無線通信手段が受信した認証コードに対応する個人情報の、いずれかをユーザに選択させて、前記ユーザが選択したいずれか1の認証コードに対応する個人情報へのアクセスを許可してもよい。
【0017】
また、前記セキュリティ制御手段は、前記近距離無線通信手段が前記認証コード格納手段に格納された全ての正規ユーザの認証コードを受信しなくなった場合に、本体部を停止してもよい。
【0018】
本発明に係る車載用システムは、セキュリティ部と本体部とを備える車載用システムにおいて、前記セキュリティ部は、携帯端末から送信される認証コードを受信する近距離無線通信手段と、前記本体部の正規ユーザの認証コードを格納する認証コード格納手段と、前記近距離無線通信手段が受信した認証コードと前記認証コード格納手段に格納された正規ユーザの認証コードを照合して、両認証コードが一致したか否かを判断する認証コード判断手段と、前記認証コード判断手段が、前記両認証コードの一致を確認した場合に、前記本体部を起動するセキュリティ制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、操作が簡単なセキュリティ部を備えた車載用装置を提供できる。また、個人情報を適切に保護しつつ、複数の個人情報へ同時にアクセスすることが可能な車載用装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明に係る車載用装置100の概念的な構成を示す図である。図1に示すように、カーナビゲーション装置10は、セキュリティ部20によって保護され、セキュリティ部20は携帯端末30から送信される認証コードと、正規ユーザの認証コードを照合して、両者が一致した場合に、カーナビゲーション装置10を起動する。なお、説明の便宜のために、カーナビゲーション装置10とセキュリティ部20を独立したブロックで表示しているが、一般にカーナビゲーション装置10とセキュリティ部20は同一の筐体に収められている。また、カーナビゲーション装置10とセキュリティ部20のハードウェアを共通にしてもよい。
【0021】
カーナビゲーション装置10は、個人情報格納手段11を備える。
【0022】
個人情報格納手段11は、カーナビゲーション装置10を使用する複数のユーザの走行履歴、目的地設定履歴、システム設定履歴、各種画像等の個人情報を個々のユーザ毎に格納する記憶装置である。また前記個人情報には各ユーザの認証コードが付されて、当該個人情報とその所有者の関係を明白にしている。
【0023】
セキュリティ部20は、近距離無線通信手段21と、正規ユーザ認証コード格納手段22と、認証コード判断手段23と、セキュリティ制御手段24とを備える。
【0024】
近距離無線通信手段21は、携帯電話30との間で無線通信を行う無線通信装置である。
【0025】
正規ユーザ認証コード格納手段22は、カーナビゲーション装置10の使用資格を有する正規ユーザの認証コードを格納する記憶装置である。なお、正規ユーザ認証コード格納手段22は必ずしも専用のハードウェアを備える必要はない。例えば、カーナビゲーション装置10の個人情報格納手段11を構成する記憶装置の一部を正規ユーザ認証コード格納手段22として使用してもよい。
【0026】
認証コード判断手段23は、携帯電話30から送信されて近距離無線通信手段21で受信した認証コードと、正規ユーザ認証コード格納手段22に格納された正規ユーザの認証コードとを照合して、両認証コードが一致するか否かを判断する判断手段である。
【0027】
セキュリティ制御手段24は、認証コード判断手段23が、両認証コードの一致を確認した場合に、カーナビゲーション装置10を起動するコンピュータである。
【0028】
また、セキュリティ制御手段24は、携帯電話30から送信された正規ユーザの認証コードに対応する個人情報の読み出し、書き込みをカーナビゲーション装置10に許可する。また、セキュリティ制御手段24は、近距離無線通信手段21が正規ユーザの認証コードを受信しなくなった場合に、カーナビゲーション装置10を停止する。
【0029】
なお、上記のセキュリティ制御手段24は、後述するプログラムをセキュリティ制御手段24にインストールして、実行することによって実現される。したがって、セキュリティ制御手段24は必ずしも専用のハードウェア(CPU)を必要としない。例えば、カーナビゲーション装置10を制御するCPU(不図示)に所定のプログラムをインストールして、セキュリティ制御手段24を実現してもよい。
【0030】
携帯電話30は、近距離無線通信手段31と、専有者認証コード格納手段32とを備える。
【0031】
近距離無線通信手段31は、セキュリティ部20の近距離無線通信手段21との間で無線通信を行う無線通信装置である。
【0032】
専有者認証コード格納手段32は、携帯端末30を専有する専有者に固有の認証コードを格納する記憶装置である。
【0033】
また、近距離無線通信手段21,31は、ブルートゥース(登録商標)規格にしたがって無線通信を行う。
【0034】
なお、ブルートゥースは2.4GHzの周波数帯を用いて、半径10〜100メートル程度の範囲にある、ブルートゥース搭載機器の間で最大3Mbps(EDR使用時)の速度の無線通信を行うことができる通信規格であり、携帯電話等に搭載されて、携帯電話等間もしくは携帯電話等と他のブルートゥースH搭載機器のデータの受け渡しに使われている。また、ブルートゥースには電波強度を規定したClassという概念があるが、本実施形態ではClass2を採用して、10メートル以内にあるセキュリティ部20と携帯電話30の間で無線通信を行うことができる。
【0035】
[カーナビゲーション装置の起動]
図2は、セキュリティ制御手段24で実行されてカーナビゲーション装置10を起動する起動プログラム41を示すフローチャートである。以下、図2を参照しながら、セキュリティ制御手段24がカーナビゲーション装置10を起動する手順を説明する。
【0036】
まず、自動車(不図示)に装備されたカーナビゲーション装置10を使用するユーザは、自分の認証コードを格納した携帯電話30を携帯して、自動車に乗車する。前記ユーザがカーナビゲーション装置10の主電源を投入すると、起動プログラム41がスタートする。
【0037】
(ステップ1)まず、セキュリティ制御手段24は、近距離無線通信手段21に携帯電話30を探索させる。なお、近距離無線通信手段21による携帯電話30の探索の手順、方法等はブルートゥース規格に定められているので、説明を省略する。
【0038】
(ステップ2)近距離無線通信手段21が、電波到達範囲にある携帯電話30を発見したら、ステップ3に進み、電波到達範囲で携帯電話30を発見しなかったら、起動プログラム41は終了する。
【0039】
(ステップ3)携帯電話30を発見したら、近距離無線通信手段21から携帯電話30の近距離無線通信手段31に認証コードの送信を要求する。認証コードの送信の要求を受けた近距離無線通信手段31は専有者認証コード格納手段32から携帯電話30の専有者の認証コードを読み出して、近距離無線通信手段21に送信する。
【0040】
(ステップ4)携帯電話30の近距離無線通信手段31から送信された認証コードを近距離無線通信手段21が受信したら、認証コード判断手段23が、携帯電話30から送信された認証コードと正規ユーザ認証コード格納手段22から読み出した正規ユーザの認証コードとを照合する。
【0041】
(ステップ5)携帯電話30から送信された認証コードと、正規ユーザの認証コードとが一致したら、認証コード判断手段23が、その旨をセキュリティ制御手段24に通知して、ステップ6に進む。一致しなかったら、起動プログラム41は終了する。
【0042】
(ステップ6)カーナビゲーション装置10を起動する。なお、携帯電話30から送信されて、正規ユーザ認証コード格納手段22から読み出された正規ユーザの認証コードと一致した認証コード、つまり、カーナビゲーション装置10の起動に使用された認証コードを起動コードと呼ぶことにする。
【0043】
(ステップ7)前記起動コードに対応する個人情報の個人情報格納手段11からの読み出しと書き込みを許可する。
【0044】
[他のユーザの個人情報へのアクセス許可]
カーナビゲーション装置10の起動時には、起動時に認識された正規ユーザの個人情報へのアクセスが許可されるが、車内に他の正規ユーザがいる場合は、他の正規ユーザの個人情報へのアクセスも許可される。
【0045】
図3は、セキュリティ制御手段24で実行されて他のユーザの個人情報へのアクセスを許可するアクセス許可プログラム42を示すフローチャートである。以下、図3を参照しながら、セキュリティ制御手段24が他のユーザの個人情報へのアクセスを許可する手順を説明する。
【0046】
2人のユーザA,Bがカーナビゲーション装置10を備えた自動車(不図示)にそれぞれの認証コードを格納した携帯電話30を携帯して乗車して、カーナビゲーション装置10の主電源を投入し、セキュリティ部20が最初にユーザAの携帯電話30を認識してカーナビゲーション装置10を起動した場合を考える。この時、カーナビゲーション装置10はユーザAの認証コードを起動コードとして起動されている。
【0047】
カーナビゲーション装置10を起動したら、セキュリティ制御手段24はアクセス許可プログラム42を起動し、以後、所定時間毎にアクセス許可プログラム42の起動を繰り返す。カーナビゲーション装置10の起動後、時間が経過してから他のユーザが乗車する場合もあるからである。
【0048】
(ステップ11)セキュリティ制御手段24は、近距離無線通信手段21に携帯電話30を探索させる。
【0049】
(ステップ12)近距離無線通信手段21が、電波到達範囲にある携帯電話30を発見したら、ステップ13に進み、電波到達範囲で携帯電話30を発見しなかったら、アクセス許可プログラム42は終了する。
【0050】
(ステップ13)近距離無線通信手段21から、発見された全ての携帯電話30(この場合、ユーザA,Bの2台の携帯電話30が発見される)の近距離無線通信手段31に認証コードの送信を要求する。認証コードの送信の要求を受けた近距離無線通信手段31は、専有者認証コード格納手段32から携帯電話30の専有者の認証コードを読み出して、近距離無線通信手段21に送信する。
【0051】
(ステップ14)携帯電話30の近距離無線通信手段31から送信された認証コードを、近距離無線通信手段21が受信したら、認証コード判断手段23は、近距離無線通信手段21が受信した認証コードと正規ユーザ認証コード格納手段22から読み出した正規ユーザの認証コードとを照合する。
【0052】
(ステップ15)近距離無線通信手段21が受信した認証コードが、正規ユーザの認証コードと一致したら、認証コード判断手段23は、その旨をセキュリティ制御手段24に通知して、ステップ16に進む。全ての認証コードが一致しなかったら、アクセス許可プログラム42は終了する。なお、ステップ14で近距離無線通信手段21が受信して、ステップ15で認証コード判断手段23が正規ユーザの認証コードとの一致を確認した認証コードを追加コードと呼ぶことにする。
【0053】
(ステップ16)前記追加コードが、起動コードあるいは他の追加コード(アクセス制御プログラム42が、2回以上実行された場合、先のアクセス許可プログラム42の実行中に追加コードが発生することがある)と一致したら、アクセス許可プログラム42は終了する。いずれにも一致しない場合は、ステップ17に進む。
【0054】
(ステップ17)ステップ16で新たに認識された追加コード(この場合ユーザBの認証コード)に対応する個人情報の個人情報格納手段11からの読み出しと書き込みを許可する。
【0055】
[個人情報の選択]
以上、アクセス許可プログラム42が実行されると、ユーザAの個人情報に加えて、ユーザBの個人情報へのアクセス(読み出しと書き込み)が可能になる。しかしながら、カーナビゲーション装置10のディスプレイ装置(不図示)に表示できる情報量は限られているので、ユーザAおよびBの個人情報を同時に表示することは難しい。そこで、セキュリティ部20がアクセスを許可した複数のユーザの個人情報の中から、いずれか1のユーザの個人情報をユーザに選択させて、アクセスするようにしている。
【0056】
図4は、セキュリティ制御手段24で実行されて、複数のユーザの個人情報の中から、いずれか1のユーザの個人情報をユーザに選択させる個人情報選択プログラム43を示すフローチャートである。以下、図4を参照しながら、複数のユーザの個人情報の中から、いずれか1のユーザの個人情報をユーザに選択させる手順を説明する。
【0057】
個人情報選択プログラム43は、セキュリティ制御装置20が、追加コードに対応する個人情報へのアクセスを許可した後、つまり、アクセス許可プログラム42のステップ17が実行されて終了した後にスタートする。
【0058】
(ステップ21)カーナビゲーション装置10のディスプレイ装置(不図示)に、図5に示すようなメッセージを表示して、ユーザA,Bに対して、新たに認識された正規ユーザの個人情報へのアクセスの要否を尋ねる。そして、ユーザA,Bはこの質問に対する回答をカーナビゲーション装置10に入力する。
【0059】
(ステップ22)カーナビゲーション装置10は、ユーザの回答に応じて、カーナビゲーション装置10のディスプレイ装置の表示を切り替える。すなわち、ユーザが入力した回答が「はい」ならば、新たに認識されたユーザBの個人情報を表示し、「いいえ」ならば、従来選択されていたユーザAの個人情報の表示を続ける。
【0060】
[カーナビゲーション装置の自動停止]
また、セキュリティ制御装置20は、カーナビゲーション装置10の側から正規ユーザが誰もいなくなったときに、カーナビゲーション装置10を自動的に停止させることができる。なお、カーナビゲーション装置10は、この自動停止を有効または無効にする選択をする選択スイッチ(不図示)を備える。この選択スイッチは、自動車に乗車した全ての者が操作できる。
【0061】
図6は、セキュリティ制御手段24で実行されてカーナビゲーション装置10を自動的に停止させる自動停止プログラム44を示すフローチャートである。以下、図6を参照しながら、セキュリティ制御手段24がカーナビゲーション装置10を自動的に停止させる手順を説明する。なお、自動停止プログラム44はカーナビゲーション装置10の動作中に、所定の時間を空けて繰り返し実行される。
【0062】
(ステップ31)セキュリティ制御手段24は、近距離無線通信手段21に携帯電話30を探索させる。
【0063】
(ステップ32)近距離無線通信手段21が、電波到達範囲にある携帯電話30を発見したら、ステップ33に進み、電波到達範囲で携帯電話30を発見しなかったら、ステップ37に進む。
【0064】
(ステップ33)近距離無線通信手段21から、発見された全ての携帯電話30の近距離無線通信手段31に認証コードの送信を要求する。認証コードの送信の要求を受けた近距離無線通信手段31は、専有者認証コード格納手段32から携帯電話30の専有者の認証コードを読み出して、近距離無線通信手段21に送信する。
【0065】
(ステップ34)携帯電話30の近距離無線通信手段31から送信された認証コードを、近距離無線通信手段21が受信したら、認証コード判断手段23が、その認証コードと正規ユーザ認証コード格納手段22から読み出した正規ユーザの認証コードとを照合する。
【0066】
(ステップ35)全ての携帯電話30から送信された認証コードのいずれかが正規ユーザの認証コードと一致したら、自動停止プログラム44は終了する。全ての認証コードが一致しなかったら、ステップ36に進む。
【0067】
(ステップ36)前記選択スイッチが有効または無効のいずれとなっているかを、セキュリティ制御手段24が判断する。前記選択スイッチが有効となっていればステップ37に進み、無効となっていれば自動終了プログラム44は終了する。
【0068】
このように構成されているので、前記選択スイッチが無効となっていれば、正規ユーザが自動車から離れても、カーナビゲーション装置10の主電源は遮断されない。これにより、正規ユーザが一時的に自動車から離れた場合でも、車内に残った正規ユーザ以外の者が、カーナビゲーション装置10で目的地変更や走行ルートの再検索等のナビ操作を行ったり、音楽やTV等を視聴したりできる。
【0069】
(ステップ37)セキュリティ制御手段24から、カーナビゲーション装置10に所定の停止シーケンスの実行を指令し、前記シーケンスの終了後、カーナビゲーション装置10およびセキュリティ部20の主電源を遮断する。
【0070】
あるいは、ステップ37の実行に先立って、図7に示すメッセージをカーナビゲーション装置10のディスプレイ装置(不図示)に表示して、車内に残った正規ユーザ以外の者に主電源を遮断するか否かを選択させてもよい。「はい」が選択されると、カーナビゲーション装置10およびセキュリティ部20の主電源は遮断される。一方、「いいえ」が選択されると、カーナビゲーション装置10の主電源は遮断されないので、前述した様に、カーナビゲーション装置10で、目的地変更や走行ルート再検索等のナビ操作を行ったり、音楽やTV等を視聴したりできる。なお、「はい」または「いいえ」のいずれも所定時間内(例えば3分以内)に選択されない場合には、タイマにより、カーナビゲーション装置10およびセキュリティ部20の主電源を遮断してもよい。
【0071】
あるいは、ステップ37において、カーナビゲーション装置10の主電源を遮断する代わりに、カーナビゲーション装置10の一部の操作を制限してもよい。例えば、正規ユーザが自動車から一時的に離れたときに、オーディオ操作はできるが、ナビ操作ができなくなるような制限をしてもよい。
【0072】
以上、説明したように、セキュリティ部20は、カーナビゲーション装置10の周囲にある携帯電話30を自動的に探索し、携帯電話装置30が送信する認証コードをカーナビゲーション装置10の正規ユーザの認証コードと照合するので、ユーザによる認証コードのマニュアル入力を必要としない。
【0073】
また、複数の正規ユーザがカーナビゲーション装置10の側にいる場合に、それを自動的に認識して、認識した複数の正規ユーザの個人情報へのアクセスを許可することができる。
【0074】
また、カーナビゲーション装置10の側に正規ユーザが誰もいなくなった場合に、それを自動的に認識して、カーナビゲーション装置10を自動的に停止させることができる。
【0075】
なお、本実施形態においては、本体部の具体例として、自動車に固定されたカーナビゲーション装置10を取り上げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、いわゆるポータブルナビゲーション装置やカーオーディオ装置等に本発明を適用することもできる。
【0076】
また、携帯端末の具体例として、携帯電話装置30を取り上げたが、本発明の携帯端末とは、近距離無線通信手段を備えた、携帯可能な情報通信機器の全てを包含する大概念である。例えば、PHS、PDA、ポケットベルなどが本発明の携帯端末に含まれる。
【0077】
また、本発明は認証コードのマニュアル入力の煩わしさを解消することを目的にしているが、認証コードをマニュアル入力する手段を補助的に備えたカーナビゲーション装置を本発明の技術的範囲から排除するものではない。例えば、ユーザIDとパスワードをマニュアル入力する手段を補助的に備えてもよい。あるいは、正規ユーザを声紋、指紋等で認証する生体情報認証手段を補助的に備えてもよい。
【0078】
なお、本実施形態においては、説明の便宜のために、カーナビゲーション装置10とセキュリティ部20を別体にしたが、これは本発明の車載用装置がカーナビゲーション装置10にセキュリティ部20を外付けした装置に限定されることを意味するものではない。セキュリティ部20とカーナビゲーション装置10を同一の筐体に収めた装置が、本発明の技術的範囲に含まれることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る車載用装置の概念的な構成を示す図である。
【図2】起動プログラムを示すフローチャートである。
【図3】アクセス許可プログラムを示すフローチャートである。
【図4】個人情報選択プログラムを示すフローチャートである。
【図5】個人情報選択プログラムの実行中にカーナビゲーション装置のディスプレイ装置に表示されるメッセージの例である。
【図6】自動停止プログラムを示すフローチャートである。
【図7】自動停止プログラムの実行中にカーナビゲーション装置のディスプレイ装置に表示されるメッセージの例である。
【符号の説明】
【0080】
10 カーナビゲーション装置
11 個人情報格納手段
20 セキュリティ部
21 近距離無線通信手段
22 正規ユーザ認証コード格納手段
23 認証コード判断手段
24 セキュリティ制御手段
30 携帯電話
31 近距離無線通信手段
32 専有者認証コード格納手段
41 起動プログラム
42 アクセス許可プログラム
43 個人情報選択プログラム
44 自動停止プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティ部と本体部とを備える車載用装置において、
前記セキュリティ部は、
携帯端末から送信される認証コードを受信する近距離無線通信手段と、
前記本体部の正規ユーザの認証コードを格納する認証コード格納手段と、
前記近距離無線通信手段が受信した認証コードと前記認証コード格納手段に格納された正規ユーザの認証コードを照合して、両認証コードが一致したか否かを判断する認証コード判断手段と、
前記認証コード判断手段が、前記両認証コードの一致を確認した場合に、前記本体部を起動するセキュリティ制御手段とを有する
ことを特徴とする車載用装置。
【請求項2】
前記セキュリティ部は、
前記本体部の主電源を投入した時に起動される
ことを特徴とする請求項1に記載の車載用装置。
【請求項3】
前記近距離無線通信手段は、
通信可能範囲に所在する携帯端末を探索するとともに、発見された携帯端末に認証コードの送信を要求する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載用装置。
【請求項4】
前記近距離無線通信手段は、
ブルートゥースによる近距離無線通信手段である
ことを特徴とする請求項1に記載の車載用装置。
【請求項5】
前記本体部は、
前記正規ユーザの個人情報を格納する個人情報格納手段を備えるとともに、
前記セキュリティ制御手段は、
前記本体部の起動時に、起動時に一致した認証コードに対応する個人情報へのアクセスを許可する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載用装置。
【請求項6】
前記認証コード判断手段は、
前記近距離無線通信手段が前記本体部の起動後に他の認証コードを受信した場合に、当該他の認証コードと前記認証コード格納手段に格納された正規ユーザの認証コードを照合するとともに、
前記セキュリティ制御手段は、前記認証コード判断手段が両者の一致を確認した場合に、当該他の認証コードに対応する個人情報へのアクセスを許可する
ことを特徴とする請求項5に記載の車載用装置。
【請求項7】
前記セキュリティ制御手段は、
前記本体部の起動時に前記近距離無線通信手段が受信した認証コードに対応する個人情報と、前記本体部の起動後に前記近距離無線通信手段が受信した認証コードに対応する個人情報の、いずれかをユーザに選択させて、前記ユーザが選択したいずれか1の認証コードに対応する個人情報へのアクセスを許可する
ことを特徴とする請求項6に記載の車載用装置。
【請求項8】
前記セキュリティ制御手段は、
前記近距離無線通信手段が前記認証コード格納手段に格納された全ての正規ユーザの認証コードを受信しなくなった場合に、本体部を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載用装置。
【請求項9】
セキュリティ部と本体部とを備える車載用システムにおいて、
前記セキュリティ部は、
携帯端末から送信される認証コードを受信する近距離無線通信手段と、
前記本体部の正規ユーザの認証コードを格納する認証コード格納手段と、
前記近距離無線通信手段が受信した認証コードと前記認証コード格納手段に格納された正規ユーザの認証コードを照合して、両認証コードが一致したか否かを判断する認証コード判断手段と、
前記認証コード判断手段が、前記両認証コードの一致を確認した場合に、前記本体部を起動するセキュリティ制御手段とを有する
ことを特徴とする車載用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−244078(P2009−244078A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90617(P2008−90617)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】