説明

車載装置、情報配信システム、及び、カーナビゲーションシステム

【課題】新設されたり変更されたりした施設や道路などが走行中の道路周辺にあった場合は、その都度、地図データを更新することができる車載装置、情報配信システム、及びナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】道路上又は道路周辺の複数の施設に設置される第1通信手段を用いて、電子地図上の道路又は施設に関する道路施設データを取得する車載装置であって、道路施設データを含む電子地図データを記憶する記憶手段202と、各通信手段から車両毎に送信された道路施設データを、道路施設データ毎に受信する第2通信手段205と、第2通信手段により受信した道路施設データに基づいて記憶手段に記憶される電子地図データを更新する情報更新手段206とを備える車載装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信手段とデータ通信を行なう車載装置、情報配信システム、及び、カーナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置に記憶される地図データの更新について、様々な技術が提案されている。例えば、特開2007−114422号公報には、地図情報配信センター側で、ナビゲーション装置に記憶される地図データのバージョンと最新地図データのバージョンとの比較結果である差分情報をナビゲーション装置に送信し、ナビゲーション装置は差分情報に基づいて、指定した地域の地図データの更新を行なう技術が開示されている。
【0003】
また、特開2001−50765号公報には、誘導経路と車両位置とが相違するときは、携帯電話を用いて情報センターから最新の地図データをダウンロードする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−114422号公報
【特許文献2】特開2001−50765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に記載された技術では、指定した地域の最新の地図データや差分情報を更新することはできるが、新設されたり変更されたりした施設毎や道路毎の更新には対応できない。また、地図データの更新については、車両側から情報配信センター側へ更新の指示をしたり、定期的に更新を行なったりすることが想定されているが、これでは走行中に新設された施設などがあった場合に、その都度その施設を地図データに反映させることはできない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、新設されたり変更されたりした施設や道路などが走行中の道路周辺にあった場合は、その都度、走行中の車両に搭載される車載装置に記憶されている地図データを更新することができる車載装置、情報配信システム、及びナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面の車載装置は、道路上又は道路周辺の複数の施設に設置される第1通信手段を用いて、電子地図上の道路又は施設に関する道路施設データを取得する車載装置であって、前記道路施設データを含む電子地図データを記憶する記憶手段と、各通信手段から車両毎に送信された前記道路施設データを、前記道路施設データ毎に受信する第2通信手段と、前記第2通信手段により受信した道路施設データに基づいて前記記憶手段に記憶される電子地図データを更新する情報更新手段とを備える。
【0007】
また、前記車載装置に搭載される車両に車両IDが付され、前記第2通信手段は、前記第1通信手段に前記車両IDを送信してもよい。
【0008】
また、前記情報更新手段は、前記電子地図データを更新できなかった場合、前記道路施設データに基づいて当該電子地図データを再度更新してもよい。
【0009】
また、前記情報更新手段は、当該電子地図データを更新できなかった場合、更新できなかった旨を前記第2通信手段に通知し、前記第2通信手段は、前記更新できなかった旨を表すデータを前記第1通信手段に送信してもよい。
【0010】
本発明の他の局面の情報配信システムは、ネットワークを介してデータ通信可能に接続され、道路上又は道路周辺の複数の施設に設置される第1通信手段とサーバーとを備える情報配信システムであって、前記サーバーは、前記第1通信手段の周辺の電子地図上の道路又は施設に関する道路施設データについて、当該第1通信手段に当該道路施設データ毎に送信する第2通信手段を備え、前記第1通信手段は、前記第2通信手段より前記道路施設データを受信する度に、当該道路施設データを送信する。
【0011】
また、前記第1通信手段は、車両に付される車両IDを受信し、当該車両IDを前記サーバーに送信し、前記サーバーは、前記第2通信手段により受信した車両IDを記憶する記憶手段と、前記第2通信手段により受信した車両IDと、前記記憶手段に記憶される車両IDとを比較し、前記車両に搭載される車載装置に記憶される電子地図データが、前記道路施設データに基づいて更新されているか否かを判定する判定手段とを備えてもよい。
【0012】
また、前記サーバーは、前記第2通信手段により前記電子地図データが更新できなかったことを示すデータを受信した場合、当該データを送信した車両の車両IDを前記記憶手段に記憶しなくてもよい。
【0013】
本発明の他の局面のナビゲーションシステムは、道路上又は道路周辺の複数の施設に設置される第1通信手段によりデータ通信可能に接続される車載装置とサーバーとを備えるナビゲーションシステムであって、前記サーバーは、前記第1通信手段の周辺の電子地図上の道路又は施設に関する道路施設データについて、当該道路施設データ毎に送信する第2通信手段とを備え、前記車載装置は、前記第1通信手段を介して、車両毎に送信される前記道路施設データを、当該道路施設データ毎に受信する第3通信手段と、前記道路施設データを含む電子地図データを記憶する記憶手段と、前記第3通信手段により受信した道路施設データに基づいて前記電子地図データを更新する情報更新手段とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、新設されたり変更されたりした施設や道路などが走行中の道路周辺にあった場合は、その都度、走行中の車両に搭載される車載装置に記憶されている地図データを更新することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の一実施例に係るナビゲーションシステムは、例えば、図1に示すようなシステム構成を成す。図1は、本発明によるナビゲーションシステムの概略システム構成図である。
【0017】
図1に示すように、実施例1に係るナビゲーションシステム100は、サーバー101、通信手段102、車両に搭載される車載装置103を含む構成である。サーバー101は、新たに設置された施設や道路に関する電子地図上のデータ(以下、道路施設データという)を記憶する。道路施設データは、道路上や道路周辺の施設に設置される通信手段102の位置情報、アイコン情報及び識別情報を含む。
【0018】
通信手段102は、例えば、光ビーコンや電波ビーコンなどであり、サーバー101から受信した所定の車両向けデータを、車両毎に送信する中継器である。つまり、サーバー101から1つずつ受信した道路施設データを、車両毎に1つずつ送信する。また、通信手段102は、道路上又は道路周辺の複数の施設に設置される。ここで、施設とは、信号機、道路標識、電柱、建物、料金所などのことをいう。
【0019】
車両に搭載される車載装置103は、通信手段102より1つずつ受信した道路施設データが、自装置で記憶する電子地図データ(以下、単に地図データと言う)にすでに記憶されているか否かを判定して、記憶されていない場合に、受信した道路施設データに基づいて地図データを更新する。次に、車載装置103は、更新された地図データに基づいてナビゲーションを行なう。
【0020】
以下、ナビゲーションシステム100の主要機能構成について図2を用いて説明する。図2は、実施例1によるナビゲーションシステムの主要機能構成を示す概略機能ブロック図である。
【0021】
車載装置103は、ナビ機能手段201、記憶手段202、位置情報取得手段203、GPS(全地球測位システム)204、通信手段205、情報更新手段206を含む。サーバー101は、通信手段207、記憶手段208を含む。
【0022】
まず、サーバー101側について説明する。通信手段207は、記憶手段208から道路施設データを読み出して、道路上や道路周辺の複数の施設に設定されている通信手段102に関連付けられている道路施設データを1つずつ送信する。
【0023】
このとき、通信手段102は、サーバー101から1つずつ道路施設データを受信するたびに、車両に搭載される車載装置103に送信する。また、通信手段102は、車両に対して1つずつ道路施設データを送信する。
【0024】
次に、車載装置103側について説明する。ナビ機能手段201は、図3を用いて具体的に説明する。
【0025】
図3は、ナビ機能手段201の主要機能構成を示す機能ブロック図である。ナビ機能手段201は、主要な構成として、CPU301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、入力手段304、表示手段305を含む。
【0026】
ナビ機能手段201は、車両の現在地(以下、「自車位置」と言う)を取得して、自車位置周辺の道路地図を表示する機能や、出発地から目的地までの推奨経路を演算する機能、演算された推奨経路に基づいて経路誘導を行う機能などを備えている。
【0027】
また、ナビ機能手段201は、自車位置情報と記憶手段202である地図データベース内の詳細な地図データに基づいて、ディスプレイ画面などに、現在地、目的地までの走行経路、距離、推定時間等をナビゲーションする。
【0028】
また、ナビ機能手段201は、方向指示入力装置(方向指示器)やステアリングの操舵角センサからの情報に基づいて、自車両の進行経路を判定する。以下、詳しく説明を行う。
【0029】
CPU301は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、全体を制御する回路である。また、ROM302は、CPU301で実行される所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を格納するメモリである。
【0030】
RAM303は、CPU301がROM302に格納された所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を実行して各種の制御を行うときの作業エリア(ワーク領域)として使用するメモリである。
【0031】
よって、CPU301が、所定の記憶領域に格納された地図データや自車位置情報に基づいて所定の経路探索処理を行うことで、その処理結果が推奨経路として表示される。また、CPU301は、更新された地図データを取得したときは、更新後の地図データに基づいて経路探索処理などを行なう。
【0032】
入力手段304は、操作者が上記操作画面を介して各種入力操作を行う。入力手段304は、表示手段305の表示画面上に重畳するように設けられたタッチパネルスイッチや、カーソルの移動や表示画面のスクロールを指示するジョイスティックなどを含む。更に、入力手段304は、リモコンスイッチであってもよく、表示画面周辺に設けられたハードウェアキーであってもよい。
【0033】
表示手段305は、CPU301から画像メモリに一時的に格納された画像データなどの各種データを表示画面に表示する。例えば、表示手段305の表示画面には、自車位置を表す自車位置マークや経路情報及び誘導情報などが道路地図とともに表示される。
【0034】
また、表示手段305には、ナビ機能手段201が有する機能に対して操作者が動作要求や設定を行うための操作画面も表示される。
【0035】
また、表示手段305は、VICS(Vehicle Information and Communication System:登録商標)により受信した交通情報、方向指示入力装置(方向指示器)及びステアリングの操舵角センサからの情報に基づいて、自車両の進行経路を判定し、進行経路に関する交通規制情報を表示する。
【0036】
図2に戻り、記憶手段202は、地図データを記憶するデータベースである。地図データは、地図に関する情報であり、地図表示用データ、経路探索用データ、誘導データ(交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド施設情報など)などから構成される。
【0037】
また、地図データは、電子地図上の道路や踏切に関する道路データ、または、電子地図上の観光地や各種施設の情報に関するPOI(Point of Interest)データなどを有する。道路データとPOIデータなどを総称して道路施設データと呼び、道路施設データは、識別子であるIDを有する。
【0038】
また、地図表示用データは、道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。誘導データは、交差点の名称などから成るデータであり、演算された推奨経路に基づき運転者などに推奨経路を誘導する際に用いられる。
【0039】
なお、記憶手段202は、不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)が用いられるが、CD−ROM(Compact Disk - ROM)やDVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体でもよい。
【0040】
また、CD−ROM(Compact Disk - ROM)やDVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体に格納された各種情報は、ドライブ装置を介して読み取ることが可能である。よって、必要に応じて記録媒体をドライブ装置にセットすることで、各種情報を得ることができる。
【0041】
位置情報取得手段203は、GPS204からのGPS信号や、車両の進行方向を検出するジャイロセンサ、及び車速を検出する車速センサに基づいて、自車位置情報を取得する。GPS204は、人工衛星であり位置情報を割り出すためのGPS信号を出力する。
【0042】
通信手段205は、サーバー101からの道路施設データなどを電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送を介して受信する。なお、通信手段205は、サーバー101から1つずつ送信される道路施設データを1つずつ受信する。
【0043】
情報更新手段206は、通信手段205が受信した道路施設データを取得し、記憶手段202に記憶される地図データとの比較を行なう。具体的な比較の方法は、自車位置情報に基づいて記憶手段202から読み出した自車位置周辺の地図データの中に、通信手段205より取得した道路施設データがあるか否かを、IDを用いて比較する。
【0044】
受信した道路施設データと同じIDの道路データやPOIデータが記憶手段202にあれば、その道路施設データは地図データに既に存在すると分かり、記憶手段202に同じIDの道路データやPOIデータがなければ、その道路施設データは地図データには存在しないので、地図データを更新する必要がある。
【0045】
情報更新手段206の地図データの更新については、通信手段205より取得した道路施設データを記憶手段202に記憶し、道路施設データに含まれる位置情報に基づいて電子地図上の配置位置を特定する。
【0046】
新たに記憶手段202に記憶された道路施設データは、道路施設データに含まれるアイコン情報などに基づいて、特定された電子地図上の配置位置に表示される。
【0047】
ここで、図4を用いて地図データの更新について説明する。図4は、地図データの更新処理について表示画面を用いて説明する図である。図4(a)は、車両がT字路に進入する場合の表示画面を示す図である。ここでは、記憶手段202に記憶されている地図データのバージョンが古く、現在はT字路ではなく、十字路に道路が拡張されていることを想定する。
【0048】
車載装置103は、信号機に設置される通信手段102を用いて、拡張された道路データに関する道路施設データを取得し、地図データの更新を行なう。図4(b)は、地図データが更新された場合の表示画面を示す図である。
【0049】
さらに、十字路の左角にガソリンスタンド(GS)が新たに建設されたことを想定する。このとき、車載装置103は、信号機に設置される通信手段102を用いて、ガソリンスタンドに関する道路施設データを取得し、地図データの更新を行なう。図4(c)は、地図データがさらに更新された場合の表示画面を示す図である。
【0050】
図4に示すように、記憶手段202に記憶されている地図データにない道路施設データについて、1つずつ地図データを更新することができる。
【0051】
図2に戻り、サーバー101について説明する。通信手段207は、記憶手段207から道路施設データを読出し、道路施設データに関連付けられている通信手段102に、読み出した道路施設データを1つずつ送信する。
【0052】
記憶手段208は、道路施設データを、道路施設データ周辺にある通信手段102と関連付けて記憶する。例えば、図5に示すように、通信手段ごとに、道路施設データが関連付けられている。図5は、通信手段と道路施設データとの関係テーブルの例を示す図である。
【0053】
図5の例では、通信手段には、1つ又は複数の道路施設データが関連付けられている。この道路施設データは、関連付けられている通信手段102に1つずつ送信される。
【0054】
次に、実施例1による車載装置の地図データの更新処理について図6を用いて説明する。図6は、実施例1による車載装置における地図データの更新処理を説明するためのフローチャートである。ステップ601では、通信手段205が、通信手段102を介してサーバー101から道路施設データを1つずつ受信して、情報更新手段206に受信した道路施設データを出力する。
【0055】
ステップ601に続いてステップ602に進み、情報更新手段206が、自車位置情報に基づいて、記憶手段202に記憶される地図データに含まれる道路データ、POIデータを取得する。なお、取得する道路データまたはPOIデータは、自車位置情報に基づいて範囲を絞り込んで取得してもよいし、取得した道路施設データの種別情報に基づいて、同じ種別のものだけを取得するようにしてもよい。
【0056】
ステップ602に続いてステップ603に進み、情報更新手段206が、通信手段205より取得した道路施設データと、記憶手段202より取得した道路データ、POIデータとの比較を行い、差分があるか否かを判定する。ここで、差分判定はそれぞれのデータに含まれているIDを用いて、同じIDがあるか否かで判定を行なう。
【0057】
ステップ603の判定結果がYESの場合、つまり、差分があると判定された場合、ステップ604に進み、情報更新手段206が、取得した道路施設データを記憶手段202に記憶することで地図データの更新を行なう。
【0058】
ステップ604に続いてステップ605に進み、ナビ機能手段201が、更新された地図データに基づいて、ナビゲーションを行う。
【0059】
以上、実施例1によるナビゲーションシステムによれば、新設されたり変更されたりした施設や道路などが走行中の道路周辺にあった場合は、その都度、走行中の車両に搭載される車載装置に記憶されている地図データを更新することができる。
【0060】
また、各通信手段が通信するデータのデータ容量は小さいので、各通信手段、車載装置などに多大な処理負荷を与えることなく、ナビゲーションシステムを実現することができる。
【0061】
また、サーバー側では、電子地図データをバージョンごとに記憶する必要がなく、新規な道路施設データを記憶すればよいので、サーバー側の記憶容量は従来よりも少なくて済む。
【0062】
なお、実施例1では、サーバー側が送信する道路施設データは1つずつとしたが、サーバーから送信される道路施設データは複数であってもよく、かかる場合は、中継器である通信手段が、受信した複数の道路施設データを1つずつ車両に送信するようにすればよい。
【0063】
なお、実施例1では、サーバー101が道路施設データを記憶することにしたが、道路上又は道路周辺の施設に記憶部を設け、この記憶部に道路施設データを記憶させる場合には、サーバー101は必ずしも必要ではない。この際、通信手段102を介して道路上又は道路周辺の施設と車載装置とで前述したデータ通信を行なうことにより、実施例1の目的を達成することができる。
【実施例2】
【0064】
実施例2によるナビゲーションシステムについて図7を用いて説明する。実施例2によるナビゲーションシステムは、車載装置が車両IDをサーバーに送ることにより、サーバー側で、車載装置に記憶されている地図データが更新されているか否かを判定する。
【0065】
図7は、実施例2によるナビゲーションシステムの主要機能構成を示す概略機能ブロック図である。車載装置700は、取得手段701、通信手段702、ナビ機能手段201、記憶手段202、位置情報取得手段203、GPS204を含む。
【0066】
サーバー704は、通信手段705、更新判定手段706、記憶手段707を含む。なお、図7に示す構成要素で、図2に示す構成要素と同様の機能のものは、図2と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
なお、実施例2において、道路上又は道路周辺の施設に設置される通信手段703は、双方向通信が可能な通信手段とする。例えば、通信手段703はDSRC(Dedicated Short Range Communication)機器などである。
【0068】
まず、車載装置700について説明する。取得手段701は、車載装置700を搭載している車両の識別情報である車両IDを取得する。実施例2では、車両には車両IDが付されることを想定している。取得手段701は、取得した車両IDを通信手段702に出力する。
【0069】
通信手段702は、取得手段701より取得した車両IDを、通信手段703を介してサーバー704に送信する。サーバー704から道路施設データを受信する処理は実施例1と同様である。
【0070】
次に、サーバー704について説明する。通信手段705は、車載装置700から通信手段703を介して車両IDを受信し、受信した車両IDを更新判定手段706に出力する。
【0071】
更新判定手段706は、通信手段705より取得した車両IDと、記憶手段707に記憶され、通信手段705ごとに関連付けられている車両IDとを比較し、同じIDがあるか否かを判定する。記憶手段707に同じIDがあれば、車載装置700に記憶される地図データは更新されていると判定し、道路施設データを車載装置700に送信しない。
【0072】
また、記憶手段707に同じIDがなければ、車載装置700に記憶される地図データは更新されていないと判定し、道路施設データを車載装置700に送信し、受信した車両IDを記憶手段707に記憶する。なお、更新判定手段706は、車両IDを受信するごとに前述した更新判定を行なう。
【0073】
記憶手段707は、図5に示すテーブルに加えて、通信手段703と車両IDとの関係テーブルを記憶する。図8は、通信手段と車両IDとの関係テーブルの例を示す図である。図8に示す関係テーブルについて説明すると、通信手段Aに関連付けられる道路施設データを既に記憶している車載装置は、車両IDが23、154、78などである。
【0074】
つまり、車両IDが23、154、78などの車両は、通信手段A付近を過去に通過したことがあり、そのときに通信手段Aに関連付けられる道路施設データを車載装置に記憶し、地図データが更新されていると判断される。
【0075】
通信手段Bについては、新設されたばかりの施設に設置されたため、まだ通信手段B付近を車両が1台も通過していないか、また、車両があまり通過しない場所に設置されたため、通信手段B付近を車両が1台も通過していないかなどが考えられる。
【0076】
通信手段C、Dについても、通信手段A、Bと同様にして、各通信手段に関連付けられている道路施設データに基づいて地図データが更新されているか否かの判断を、このテーブルを用いてすることができる。
【0077】
ここで、実施例2による車載装置の地図データの更新処理について図9を用いて説明する。図9は、実施例2による車載装置における地図データの更新処理を説明するためのフローチャートである。なお、図9に示す処理について、図6に示す処理と同様の処理を行なうものは、図6と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
ステップ901では、取得手段701が、車両IDを取得し、取得した車両IDを通信手段702に出力する。
【0079】
ステップ901に続いてステップ902に進み、通信手段702が、取得手段701より取得した車両IDを、通信手段703を介してサーバー704に送信する。
【0080】
ステップ902に続いてステップ903に進み、通信手段702が、サーバー704から通信手段703を介して、道路施設データを受信したか否かを判定する。通信手段702が道路施設データを受信すれば、ステップ602に進み、ステップ602以降の処理は、図6に示す処理と同様の処理を行なう。
【0081】
次に、実施例2によるサーバーの更新判定処理について図10を用いて説明する。図10は、実施例2によるサーバーの更新判定を説明するためのフローチャートである。ステップ1001では、通信手段705が、車載装置700より車両IDを、通信手段703を介して受信し、受信した車両IDを更新判定手段706に出力する。
【0082】
ステップ1001に続いてステップ1002に進み、更新判定手段706が、通信手段705より取得した車両IDと、記憶手段707より読み出した車両IDとを比較し、車載装置に記憶されている地図データの更新判定を行なう。地図データの更新判定の内容は以下に示す。
【0083】
ステップ1002の判定で、記憶手段707に同じIDがあると判定された場合、車載装置に記憶されている地図データは、車両IDを送信した通信手段703に関連付けられている道路施設データに基づいて既に更新されている(更新済)と判定する。
【0084】
ステップ1002の判定で、記憶手段707に同じIDがないと判定された場合、車載装置に記憶されている地図データは、車両IDを送信した通信手段703に関連付けられている道路施設データに基づいて更新されていない(未更新)と判定する。
【0085】
ステップ1002の判定結果が未更新である場合、ステップ1003に進み、更新判定手段706が、車両IDを送信した通信手段703に関連付けられている道路施設データを取得して、取得した道路施設データを通信手段705に出力する。
【0086】
ステップ1003に続いてステップ1004に進み、通信手段705が、更新判定手段706より取得した道路施設データを、通信手段703を介して車載装置700に送信する。
【0087】
以上、実施例2によるナビゲーションシステムによれば、車載装置が、施設に設置されている通信手段を介して、車両IDをサーバーに送信することで、サーバー側で、車載装置に記憶されている地図データの更新判定を行なうことができる。
【0088】
よって、車載装置では、施設に設置されている通信手段付近を通過するたびに更新判定を行なう必要がなく、一度通過すれば、付近の最新の地図データを用いてナビゲーションを行うことができる。
【0089】
また、図9に示すように、車載装置側でも取得した道路施設データと、既存データとの差分処理を行なう理由は、新設などされた道路を車両が初めて通過する場合であっても、最新の地図データを車載装置が記憶していれば、地図データの更新は不要だからである。よって、車載装置側でも差分処理を行なうことで、無駄な処理を省くことができる。
【0090】
なお、実施例2においても、サーバー704が備える構成要素を、道路上又は道路周辺の施設に備えさせるようにすれば、サーバー704は必ずしも必要ではない。この際、通信手段703を介して道路上又は道路周辺の施設と車載装置とで前述したデータ通信を行なうことにより、実施例2の目的を達成することができる。
【0091】
[変形例1]
実施例2におけるナビゲーションシステムの変形例1として、車載装置が道路施設データを取得しても、取得した道路施設データに基づいて、地図データを適切に更新できなかった場合について説明する。
【0092】
情報更新手段206が、記憶手段202に道路施設データを記憶することで、ナビ機能手段201は、更新された地図データに基づいてナビゲーションを開始する。しかし、更新された地図データが適切に表示できない場合、例えば、道路施設データを受信するときにデータが壊れていたため、更新された地図データを適切に表示できないとき、再度更新を行なうため、ナビ機能手段201は、道路施設データの再送要求を通信手段702に行なう。
【0093】
通信手段702は、ナビ機能手段201より再送要求を受けたら、道路施設データの再送要求をサーバー704に行い、道路施設データをサーバー704から再度受信する。道路施設データの受信後の処理は、前述した処理と同じである。
【0094】
以上、変形例1によるナビゲーションシステムによれば、更新された地図データを適切に表示できない場合に、道路施設データの再送要求を行なうことで、より確実に地図データの更新を行うことができる。
【0095】
[変形例2]
実施例2におけるナビゲーションシステムの変形例2として、車載装置が道路施設データを取得しても、取得した道路施設データに基づいて、地図データを適切に更新できなかった場合についての別の例について説明する。
【0096】
変形例1と同様に、ナビ機能手段201が、取得した道路施設データに基づいて更新された地図データを適切に表示できないとき、更新できなかったことを示すデータを通信手段702に出力する。
【0097】
ここで、図11は、更新された地図データを適切に表示できなかったときの表示画面の一例を示す図である。ナビ機能手段201は、更新された地図データを適切に表示できないときは、図11に示すように、地図データを適切に更新できなかった旨の表示を行なえば、地図データを適切に更新できなかったことをユーザーに報知することができる。
【0098】
通信手段702は、更新できなかったことを示すデータを車両IDとともに、通信手段703を介してサーバー704に送信する。サーバー704は、更新できなかったことを示すデータを車両IDとともに受信すると、受信した車両IDを記憶手段707から削除する。具体的にはサーバー704に削除手段を設け、通信手段705より取得した車両IDと同じ車両IDであり、かつ、通信手段705に関連付けられている車両IDを記憶手段707から削除する。
【0099】
以上、変形例2によるナビゲーションシステムによれば、更新された地図データを適切に表示できない場合に、更新できなかったことを示すデータをサーバーに送信することにより、サーバー側で、更新できなかった車両を特定することができる。よって、サーバー側と車両側とで地図データに関するデータの整合性をとることができる。
【0100】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、上記変形例以外にも種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明によるナビゲーションシステムの概略システム構成図。
【図2】実施例1によるナビゲーションシステムの主要機能構成を示す概略機能ブロック図。
【図3】ナビ機能手段201の主要機能構成を示す機能ブロック図。
【図4】地図データの更新処理について表示画面を用いて説明する図。
【図5】通信手段と道路施設データとの関係テーブルの例を示す図。
【図6】実施例1による車載装置における地図データの更新処理を説明するためのフローチャート。
【図7】実施例2によるナビゲーションシステムの主要機能構成を示す概略機能ブロック図。
【図8】通信手段と車両IDとの関係テーブルの例を示す図。
【図9】実施例2による車載装置における地図データの更新処理を説明するためのフローチャート。
【図10】実施例2によるサーバーの更新判定を説明するためのフローチャート。
【図11】表示画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0102】
100 ナビゲーションシステム
101、704サーバー
102、703 通信手段
103、700 車載装置
201 ナビ機能手段
202 記憶手段
203 位置情報取得手段
204 GPS
205、702 通信手段
206 情報更新手段
207、705 通信手段
208、707 記憶手段
701 取得手段
706 更新判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上又は道路周辺の複数の施設に設置される第1通信手段を用いて、電子地図上の道路又は施設に関する道路施設データを取得する車載装置であって、
前記道路施設データを含む電子地図データを記憶する記憶手段と、
各通信手段から車両毎に送信された前記道路施設データを、前記道路施設データ毎に受信する第2通信手段と、
前記第2通信手段により受信した道路施設データに基づいて前記記憶手段に記憶される電子地図データを更新する情報更新手段と
を備える車載装置。
【請求項2】
前記車載装置に搭載される車両に車両IDが付され、
前記第2通信手段は、前記第1通信手段に前記車両IDを送信する請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記情報更新手段は、
前記電子地図データを更新できなかった場合、前記道路施設データに基づいて当該電子地図データを再度更新する請求項1又は2に記載の車両装置。
【請求項4】
前記情報更新手段は、
当該電子地図データを更新できなかった場合、更新できなかった旨を前記第2通信手段に通知し、
前記第2通信手段は、
前記更新できなかった旨を表すデータを前記第1通信手段に送信する請求項1又は2に記載の車両装置。
【請求項5】
ネットワークを介してデータ通信可能に接続され、道路上又は道路周辺の複数の施設に設置される第1通信手段とサーバーとを備える情報配信システムであって、
前記サーバーは、
前記第1通信手段の周辺の電子地図上の道路又は施設に関する道路施設データについて、当該第1通信手段に当該道路施設データ毎に送信する第2通信手段を備え、
前記第1通信手段は、
前記第2通信手段より前記道路施設データを受信する度に、当該道路施設データを送信する情報配信システム。
【請求項6】
前記第1通信手段は、
車両に付される車両IDを受信し、当該車両IDを前記サーバーに送信し、
前記サーバーは、
前記第2通信手段により受信した車両IDを記憶する記憶手段と、
前記第2通信手段により受信した車両IDと、前記記憶手段に記憶される車両IDとを比較し、前記車両に搭載される車載装置に記憶される電子地図データが、前記道路施設データに基づいて更新されているか否かを判定する判定手段と
を備える請求項5に記載の情報配信システム。
【請求項7】
前記サーバーは、
前記第2通信手段により前記電子地図データが更新できなかったことを示すデータを受信した場合、当該データを送信した車両の車両IDを前記記憶手段に記憶しない請求項6に記載の情報配信システム。
【請求項8】
道路上又は道路周辺の複数の施設に設置される第1通信手段によりデータ通信可能に接続される車載装置とサーバーとを備えるナビゲーションシステムであって、
前記サーバーは、
前記第1通信手段の周辺の電子地図上の道路又は施設に関する道路施設データについて、当該道路施設データ毎に送信する第2通信手段と
を備え、
前記車載装置は、
前記第1通信手段を介して、車両毎に送信される前記道路施設データを、当該道路施設データ毎に受信する第3通信手段と、
前記道路施設データを含む電子地図データを記憶する記憶手段と、
前記第3通信手段により受信した道路施設データに基づいて前記電子地図データを更新する情報更新手段とを備えるナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−250754(P2009−250754A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98230(P2008−98230)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】