説明

道路情報配信システムおよび移動体端末装置

【課題】ユーザであるドライバーに対し、各車両の実際の走行状態に合わせた道路状況をより迅速かつ容易に把握させる。
【解決手段】車両101に搭載されたカメラ部102により撮影した画像を撮影時の車両101の位置に対応づけて更新しつつ保存するサーバ116に対し、車両109に搭載された移動体端末装置111が自己位置とともに画像送信要求を送信すると、当該移動体端末装置111に対し、サーバ116から移動体端末装置111の自己位置から所定距離範囲内で他の車両101に搭載されたカメラ102により撮影された撮影画像が配信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路情報配信システムおよび移動体端末装置に係り、特に最新の道路混雑状況などの道路情報を取得するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるナビゲーション装置として、目的地までの経路案内を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなナビゲーション装置においては、ユーザはハードディスク装置などの外部記憶装置に記憶された地点データベースを利用して、あるいは、ユーザが任意に設定する地図上の地点から目的地設定し経路計算を行って、得られた誘導経路およびジャイロスコープや車速パルスを用いた自立航法により得られる自車位置あるいはGPS(Global Positioning System)やFM多重放送を利用した電波航法から推定した自車位置とを、マップマッチングしながらディスプレイ画面上に表示して経路誘導を行う。
【特許文献1】特開2008−052671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のナビゲーション装置においては、FM多重放送波に重畳された交通情報に基づいて、経路案内を行う地図画面上に道路の渋滞情報などを重畳して表示するものが知られている。
上記従来の渋滞情報は、渋滞している状態はわかるものの、実際の渋滞の度合いを各ドライバーが判断することはできず、また、リアルタイム性が低かったため、既に渋滞が解消しているにもかかわらず、表示は渋滞状態のままであるという不具合があった。
また、実際に車両が走行している位置にかかわらず、同一の情報が配信されるため、必ずしも全てのドライバーにとって有用な情報とは限らないという不具合があった。
そこで、本発明の目的は、ユーザであるドライバーに対し、各車両の実際の走行状態に合わせた道路状況をより迅速かつ容易に把握させることが可能な道路情報配信システムおよび移動体端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の第1態様は、移動体に搭載されたカメラにより撮影した画像を撮影時の前記移動体の位置に対応づけて更新しつつ保存するサーバに対し、いずれかの移動体に搭載された移動体端末装置が自己位置とともに画像送信要求を送信すると、当該画像送信要求を送信した移動体端末装置に対し、前記サーバから前記自己位置から所定距離範囲内で他の移動体に搭載されたカメラにより撮影された撮影画像が配信されることを特徴とする。
上記構成によれば、いずれかの移動体に搭載された移動体端末装置が自己位置とともに画像送信要求を送信すると、当該画像送信要求を送信した移動体端末装置に対し、サーバから移動体端末装置の自己位置から所定距離範囲内で他の移動体に搭載されたカメラにより撮影された撮影画像が配信されるので、各移動体端末装置が搭載された車両の実際の走行状態に合わせた道路状況に対応する撮影画像をより迅速かつ容易に取得することができる。
【0005】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記移動体端末装置は、前記自己位置が所定の条件で変化した場合に、最新の自己位置とともに前記画像送信要求を送信することを特徴とする。
上記構成によれば、移動体端末装置の自己位置の変化状態に応じて最新の道路情報を得ることが可能となる。
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記移動体端末装置は、所定の時間が経過する毎に最新の自己位置とともに前記画像送信要求を行うことを特徴とする。
上記構成によれば、刻々と変化する道路情報をタイムリーに取得することが可能となる。
【0006】
本発明の第4の態様は、第1の態様ないし第3の態様のいずれかにおいて、前記所定距離範囲内で撮影された撮影画像のうち、画像送信要求を送信した移動体端末装置を搭載した移動体の進行方向において撮影された画像のみを配信することを特徴とする。
上記構成によれば、これから移動体が進行する方向の道路情報のみが配信されるので、より有効に配信された道路情報を利用することができる。
本発明の第5の態様は第1の態様ないし第4の態様のいずれかにおいて、前記サーバは、前記保存した画像が前記撮影時の時刻から所定時間以上経過した場合に当該画像を消去するので、配信される側である移動体端末装置側では、常に最新の道路情報を得ることが可能となる。
【0007】
本発明の第6の態様は、移動体に搭載されたカメラにより撮影した画像を撮影時の前記移動体の位置に対応づけて更新しつつ保存するサーバに通信ネットワークを介して接続され、移動体に搭載される移動体端末装置であって、当該移動体端末装置が自己位置とともに画像送信要求を送信する画像送信要求部と、前記画像送信要求に基づいて前記サーバから前記自己位置から所定距離範囲内で他の移動体に搭載されたカメラにより撮影された撮影画像を受信する画像受信部と、前記画像受信部により受信した画像を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、画像送信要求部は、当該移動体端末装置が自己位置とともに画像送信要求を送信する。
これにより、画像受信部は、画像送信要求に基づいてサーバから自己位置から所定距離範囲内で他の移動体に搭載されたカメラにより撮影された撮影画像を受信し、表示部は、画像受信部により受信した画像を表示するので、各移動体端末装置が搭載された車両の実際の走行状態に合わせた道路状況に対応する撮影画像をより迅速かつ容易に取得することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動体端末装置が自己位置とともに画像送信要求を送信すると、当該画像送信要求を送信した移動体端末装置に対し、サーバから自己位置から所定距離範囲内で他の移動体に搭載されたカメラにより撮影された撮影画像が配信されるので、ユーザであるドライバーに対し、各車両の実際の走行状態に合わせた道路状況をより迅速かつ容易に把握させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、道路情報配信システムの概要構成ブロック図である。
道路情報配信システム100は、大別すると、移動体である車両101に搭載され、カメラ部102および通信アンテナ103を別体に有する移動体端末装置104と、移動体である車両105に搭載され、カメラ部106および通信アンテナ107を別体に有する移動体端末装置108と、移動体である車両109に搭載され、通信アンテナ110を別体に有するた移動体端末111と、を備えている。ここで、移動体端末装置104、108、111は、自己位置を測定するためのGPS測位装置(GPSユニット)を備えている。
【0010】
また、道路情報配信システム100は、カメラ部を有する移動体端末装置(図1の場合、移動体端末装置104および移動体端末装置108)から通信アンテナ115を介して撮影画像および撮影位置に関する情報(以下、撮影位置情報という。例えば、緯度・経度座標)を受信して記憶するとともに、いずれかの移動体端末装置(104、108、111)から当該移動体端末装置の現在位置および画像送信要求を受けると、当該移動端末装置の現在位置から所定距離範囲内で他の移動体に搭載されたカメラ部により撮影された撮影画像を配信するサーバ116を備えている。
【0011】
図2は、移動体端末装置およびサーバの機能構成ブロック図である。
図2においては、説明の簡略化のため、移動体端末装置として移動体端末装置104および移動体端末装置111を記載している。
移動体端末装置104は、車両101周囲(特に車両前方)の画像を撮影し撮影画像データDGを出力するカメラ部102と、通信アンテナ103を介してサーバ116との間の通信を行う通信部121と、自己位置を測位し測位データDP1を出力する測位部122と、カメラ部102で撮影した撮影画像に対応する撮影画像データDGおよび当該撮影画像の撮影位置に対応する測位データDP1を記憶する記憶部123と、を備えている。
移動体端末装置111は、通信アンテナ110を介してサーバ116との間の通信を行う通信部131と、自己位置を測位し測位データDP2を出力する測位部132と、サーバ116から取得した撮影画像データDGに対応する撮影画像を表示する表示部133と、を備えている。
【0012】
一方、サーバ116は、移動体端末装置104から通信アンテナ115を介して受信した撮影画像データDGと、当該撮影画像データDGに対応する撮影位置情報としての測位データDP1とを対応づけて記憶する画像データベース(DB)141を有している。
ここで、概要動作を説明する。
車両101に搭載された移動体端末装置104は、カメラ部102により当該車両101の周囲の撮影を行い、得られた撮影画像データDGを記憶部123に記憶する。これと同時に移動体端末装置104は、測位部122により撮影画像の撮影位置に対応する測位データDPを出力し、記憶部123に記憶する。
これらの結果、通信部121は、所定送信タイミングにおいて、新たな撮影画像データDGが存在する場合には、当該撮影画像データDGと対応する測位データDP1とを通信アンテナ103を介してサーバ116に送信する。
【0013】
これによりサーバ116は、受信した撮影画像データDGと対応する測位データDP1と記憶する。
その後、車両109に搭載された移動体端末装置111が通信アンテナ110を介して自己位置としての測位データDP2とともに画像送信要求をサーバ116に送信すると、サーバ116は、画像DB141を参照し、画像DB141に記憶されている測位データDP1を読み出し、測位データDP2に対応する移動体端末装置111の現在位置から所定距離範囲内で撮影された撮影画像データDGが一つ以上存在する場合にはそれらを抽出し、移動体端末装置111に対して通信アンテナ115を介して送信する。また移動体端末装置111の現在位置から所定距離範囲内で撮影された撮影画像データDGが存在しない場合には、サーバ116は、その旨を移動体端末装置111に通知する。
【0014】
具体的には、移動体端末装置104が撮影した撮影画像の撮影位置が、移動体端末装置111の自己位置から所定距離範囲内に位置していた場合には、当該移動体端末装置104のカメラ部により撮影された撮影画像データDGが読み出されて、移動体端末装置111に配信されることとなる。
これにより、移動体端末装置111の通信部131は、通信アンテナ110を介して当該移動体端末装置111の現在位置から所定距離範囲内で撮影された撮影画像データDGを受信し、表示部133に撮影画像データDGに対応する撮影画像を道路情報として表示することとなる。
【0015】
この場合において、移動体端末装置111が搭載された車両109において有効な道路情報としての撮影画像は、車両109の進行方向あるいは進行経路上において撮影された撮影画像であるので、サーバ116がそのような撮影画像を抽出するようにしたり、移動体端末装置111がナビゲーション機能を有する場合には、そのような撮影画像を抽出するようにしたりすることが可能である。
これらの結果、移動体端末装置111が搭載された車両109のドライバーは、自車両の進行方向前方にある程度離れた位置の道路状況のように、自己の運転に影響を与えるとともに、直接確認することが困難な道路状況(自車両から所定距離範囲内の道路状況)を容易に把握することができる。
【0016】
次により具体的な実施形態について説明する。
図3は、移動体端末装置を携帯型のナビゲーション装置として構成した場合の概要構成ブロック図である。
ナビゲーション装置10は、車両に搭載され、車両の経路案内を行うナビゲーション機能や施設検索機能を有する装置である。
ナビゲーション装置10は、絶対位置方位検出機能を有するGPS(Global Positioning System)ユニット11と、相対方位検出機能を有するジャイロユニット12と、車速検出部13と、FM受信部14と、ビーコン受信部15と、表示部16と、指示入力部17と、ユーザインターフェース部18と、制御部20と、情報記憶部21と、記録媒体読書部22と、通信制御部23と、メモリ部25と、カメラ部26と、無線通信機器40と、音声再生部41と、を備えている。
【0017】
GPSユニット11は、図示しないGPS受信機を有し、GPSアンテナ11Aを介してGPS衛星からのGPS電波を受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号から、当該ナビゲーション装置10が搭載された車両の現在地を示す位置座標(緯度・経度座標)と進行方向とを演算により取得するとともに、GPS信号に含まれる日時情報と車両の現在地の時差とから車両の現在地における日時情報(年、月、日、時、分等)を演算により取得し、これら情報を制御部20に出力する。
ジャイロユニット12は、ジャイロセンサにより車両の相対的な方位を検出して制御部20に出力する。
車速検出部13は、所定の入力端子を介して車両側から入力された車速パルスPSに基づいて車両の速度を演算により求め、制御部20に出力する。
【0018】
FM受信部14は、FMアンテナ14Aを介してFM多重放送波を受信し、FM多重放送波に重畳された交通情報(VICS[登録商標:Vehicle Information and Communication System]情報)を取得し、所定の処理を施して制御部20に出力する。
ビーコン受信部15は、ビーコン用アンテナ15Aを介してビーコン情報を受信し、所定の処理を施して制御部20に出力する。
【0019】
表示部16は、例えば、タッチパネル付きの液晶表示装置が適用され、制御部20の制御の下、各種情報を表示する。指示入力部17は、ナビゲーション装置10が備える各種操作子やタッチパネルの操作を検出する操作検出部と、リモートコントローラ(図示せず)からの送信信号を受信する受信部等から構成され、ユーザからの各種指示を制御部20に出力する。ユーザインターフェース部18は、I/O制御回路やドライバ等であり、表示部16及び指示入力部17と、制御部20とを接続するインターフェースである。
【0020】
制御部20は、このナビゲーション装置10全体を制御するものであり、CPU及びその周辺回路から構成され、制御部20のCPUは、後述するメモリ部25を構成するROM30に記憶された制御プログラム等の各種データを読み出し、後述するメモリ部25を構成するDRAM31をワークエリアとして使用して、指示入力部17を介して入力されたユーザ指示に応じて、ナビゲーション装置10の各部の制御処理を行う。
【0021】
情報記憶部21は、地図データ、楽曲データ等を記憶する記憶手段であり、具体的には、ハードディスク装置、CD−ROMやDVD−ROM等のディスク状記録媒体に記憶された上記各データを読み出し可能な読取装置等が適用される。
記録媒体読書部22は、制御部20の制御の下、このナビゲーション装置10に接続された外部記録媒体に対してデータの記録・読み出しを行うものであり、外部記録媒体は、例えば、メモリースティック(登録商標)、メモリカード、CFカード(登録商標)が適用される。
通信制御部23は、制御部20の制御の下、このナビゲーション装置10に接続された無線通信機器(例えば、携帯電話機)40を介して情報センターやインターネットにアクセスし、無線通信ネットワークを介して各種情報を受信する。
【0022】
制御部20は、ユーザにより動作モードとしてナビゲーションモードへの移行が指示されると、CPUによりナビゲーションプログラムを実行し、表示部16に地図等を表示する。より具体的には、制御部20は、GPSユニット11とジャイロユニット12との検出結果に基づき車両の現在地及び進行方向を特定し、現在地周辺の地図を表示させる。また、制御部20は、目的地が設定された場合、目的地までの最適経路を計算し、表示地図中に表示して目的地まで経路案内処理を実行する経路案内手段として機能する。
【0023】
このナビゲーションモード中、制御部20は、FM受信部14やビーコン受信部15から各種交通情報を入力すると、その情報を表示する処理(例えば、渋滞情報等を文字表示、簡易図形表示或いは地図表示する処理)を行う。
また、制御部20は、ユーザにより動作モードとして検索モードへの移行が指示されると、検索用の制御プログラムを実行し、ユーザの希望する条件に適合する施設(観光名所、観光地、温泉、コンビニエンスストア、駐車場等)を検索する検索処理を実行する。
メモリ部25は、制御プログラム等の各種データを不揮発的に記憶するROM30と、ワークエリア等として各種データを一時的に記憶するDRAM31と、ワークエリア等として各種データを一時的に記憶するとともに、車両のアクセサリ電源等のメイン電源がオフの間も、電池等でバックアップされてメモリ内容を保持するようにされているSRAM32と、表示部16の表示用データが格納されるVRAM33と、を備えている。
【0024】
カメラ部26は、CCDやCMOSなどの撮像素子を有し、撮影対象の画像を電気信号に変換し、撮影データを生成して制御部20に出力する。
無線通信機器40は、例えば、無線LANの標準規格であるIEEE802.11a/IEEE802.11bに対応するいわゆるWiFi(登録商標)通信機器、ブルートゥース(登録商標)規格に則ったブルートゥース通信機器あるいは携帯電話端末装置のうち少なくともいずれか一つの通信機能を実現する装置として構成されており、通信アンテナ40Aを介して間接的あるいは直接的にインターネットなどの外部の通信ネットワークを介してサーバ116と接続され、通信結果を制御部20に出力する。
音声再生部41は、スピーカ装置、アンプなどを有し、制御部20の制御下でナビゲーション音声あるいはユーザに対する入力指示音声などの各種音声の再生出力を行う。
【0025】
次に実施形態の動作について説明する。
図4は、具体的な実施形態の処理タイミングチャートである。
以下の説明においては、移動体端末装置104で撮影した撮影画像を移動体端末装置108で利用する場合について図3を参照して説明する。
移動体端末装置104の制御部20は、所定の画像撮影タイミングとなると、GPSユニット11から当該移動体端末装置104が搭載された車両101の現在地(自己位置)を示す位置座標(緯度・経度座標)と進行方向とを演算により測位データDP1として取得し(ステップS11)、DRAM31に格納する。
次に制御部20は、カメラ部26を制御し、撮影を行わせて撮影画像データDGを取得し(ステップS12)、撮影時刻を表す撮影時刻データDTをDRAM31に格納する。
【0026】
次に移動体端末装置104の制御部20は、DRAM31から撮影画像データDGおよび当該撮影画像データDGに対応する測位データDP1を読み出し、通信制御部23、無線通信機器40および通信アンテナ40A並びにインターネットなどの外部の通信ネットワークを介してサーバ116に接続し、撮影画像データDG、当該撮影画像データDGに対応する測位データDP1および撮影時刻データDTをアップロードする画像アップロード処理を行う(ステップS13)。
一方、サーバ116は、移動体端末装置104により、撮影画像データDG、当該撮影画像データDGに対応する測位データDP1のアップロードがなされると、これらを対応づけて画像DB141に記憶する。
【0027】
図5は、画像データベースのデータフォーマットの説明図である。
画像データベース141は、移動体端末装置(104、108)から送信された撮影画像データDGを記憶する撮影画像データ記憶部142と、移動体端末装置(104、108)から送信された測位データDP(DP1)を記憶する測位データ記憶部143と、移動体端末装置(104、108)から送信された撮影時刻データDTを記憶する撮影時刻データ記憶部144と、を備えている。
【0028】
したがって、サーバ116は、各データの対応関係を維持したまま、移動体端末装置104によりアップロードされた撮影画像データDGを撮影画像データ記憶部142に記憶し、当該撮影画像データDGに対応する測位データDP1を測位データ記憶部143に記憶し、撮影時刻データDTを撮影時刻データ記憶部144に記憶する画像保存処理を行う(ステップS21)。
一方、移動体端末装置108の制御部20は、所定の画像取得タイミングとなると、GPSユニット11から当該移動体端末装置108が搭載された車両105の現在地(自己位置)を示す位置座標(緯度・経度座標)と進行方向とを演算により測位データDP2として取得し(ステップS31)、DRAM31に格納する。
【0029】
続いて移動体端末装置108の制御部20は、通信制御部23、無線通信機器40および通信アンテナ40A並びにインターネットなどの外部の通信ネットワークを介してサーバ116に接続し、自己位置としての測位データDP2とともに画像送信要求をサーバ116に送信する画像取得要求処理を行う(ステップS32)。
この画像取得要求を受けて、サーバ116は、画像DB141を参照し、画像DB141の測位データ記憶部143を参照して、移動体端末装置108から送信された測位データDP2に対応する位置から所定距離範囲内(例えば、半径500m以内、半径1km以内等ユーザが予め設定した距離範囲以内)で撮影された撮影画像を抽出する画像抽出処理を行う(ステップS22)。なお、距離範囲としては、半径500m以上、かつ、半径1km以内のように指定することも可能である。さらに所定距離範囲の指定に加えて、進行方向(0[゜]方向)に対して左右方向に±45[゜]の扇形の範囲内のように指定することも可能である。
【0030】
図6は、画像抽出処理における画像抽出対象範囲の説明図である。
図6に示すように、画像取得要求を行った移動体端末装置108が搭載されている車両105がある道路RD上を矢印A方向に進行している場合には、移動体端末装置108から送信された測位データDP2に対応する位置から所定距離Lの範囲内で撮影された撮影画像を抽出することとなる。
具体的には、図6に示すように、測位データDP2に対応する位置から所定距離Lの範囲内に位置する車両101に搭載された移動体端末装置104により撮影された撮影画像が抽出されることとなる。
【0031】
この場合において、画像送信要求を行っている移動体端末装置108が搭載されている車両105のドライバー(運転者)にとって、より有用な撮影画像を提供するため、車両の移動方向も推定可能であれば、進行方向前方で撮影された撮影画像のみを抽出するようにしてもよい。さらに抽出した撮影画像の撮影時刻データDTを参照し、より新しい撮影画像から所定数の撮影画像を再抽出するようにしてもよい。さらにまた、抽出後の撮影画像が所定枚数(所定容量)を超えている場合には、通信トラフィックを軽減するため、所定枚数(所定容量)以下となるように適宜選択するように構成することも可能である。
そして、サーバ116は、抽出した一または複数の撮影画像に対応する撮影画像データDGを対応する測位データDPとともに、通信アンテナ115および外部の通信ネットワークを介して画像送信要求元の移動体端末装置108に対して送信する(ステップS23)。
【0032】
これにより移動体端末装置108の制御部20は、通信アンテナ40A、無線通信機器40および通信制御部23を介して受信する(ステップS33)。
この結果、移動体端末装置108の制御部20は、受信した一または複数の撮影画像に対応する撮影画像データDGおよび対応する測位データDP(DP1)のなかから、経路案内状態などに応じてより最適な撮影画像を選択して表示部16に表示出力することとなる。
【0033】
図7は、表示部における表示例の説明図である。
表示部16の表示画面16Aは、各種アイコンなどが表示されたタイトルバー表示部16Bと、経路案内を行う地図が表示された地図表示部16Cと、サーバ116より受信した撮影画像を表示する撮影画像表示部16Dと、現在再生中の音楽等に関する再生情報が表示された再生情報表示部16Eと、を備えている。なお、各表示部16B〜16Eは、固定的に表示されるものではなく、いずれかの表示部のみを拡大あるいは縮小して表示したり、一部の表示部のみを表示したりするように構成することも可能である。
図7において、タイトルバー表示部16Bには、現在時刻や、動作状態に関する各種アイコンが表示されている。
地図表示部16Cには、地図MAP上に自車位置マークMPが道路RD上において、進行方向(矢印A方向に相当)を認識可能な状態で表示されている。
そして、自車位置から、道路RDの実距離L範囲内の前方には、受信した撮影画像データDGに対応する測位データDP(DP1)に対応する位置に画像撮影位置を表すカメラ形状を有するアイコンCMが表示されている。
【0034】
一方、撮影画像表示部16Dには、サーバ116から送信されたアイコンCMに対応する画像が表示されている。すなわち、図6に示したように、車両101の周囲は、渋滞により混雑しており、撮影画像表示部16Dにも混雑している状況が表示されることとなる。
したがって、車両105のドライバーは、撮影画像表示部16Dに表示される撮影画像を参照することにより、例えば、交差点CRにおいて、矢印B方向に進路を変更するなどの対応が可能となる。
【0035】
以上の説明のように本実施形態によれば、複雑な処理を行うことなく、各ユーザ(ドライバー)が必要とする最新の道路情報を迅速かつ容易に取得して車載用端末装置で出力(表示)することができる。
したがって、前方の道路状況などを容易に把握することができ、最適な対応をとることができ、より快適な運転を行うことができる。
【0036】
以上の説明は、表示対象の撮影画像を移動体端末装置が自動的に選択する場合について説明したが、地図画面上あるいはユーザが指定した地点に最も近い場所で撮影された最新の画像を表示するように構成することも可能である。このような構成を採ることにより、ドライバーが進行しようとする交差点あるいは道路の混雑状況などをより容易に把握することが可能であり、混雑状況に応じて他の経路を経由するように計画を変更することが可能となる。
【0037】
また、以上の説明においては、撮影画像として静止画の場合について説明したが、短時間の動画を用いることも可能である。このような構成を採ることにより、渋滞時における車両速度などを撮影画像表示側の移動体端末装置のユーザが判断して、的確な対応をとることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】道路情報配信システムの概要構成ブロック図である。
【図2】移動体端末装置およびサーバの機能構成ブロック図である。
【図3】移動体端末装置を携帯型のナビゲーション装置として構成した場合の概要構成ブロック図である。
【図4】具体的な実施形態の処理タイミングチャートである。
【図5】画像データベースのデータフォーマットの説明図である。
【図6】画像抽出処理における画像抽出対象範囲の説明図である。
【図7】表示部における表示例の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
10 ナビゲーション装置
11 GPSユニット
16 表示部
16A 表示画面
16B タイトルバー表示部
16C 地図表示部
16D 撮影画像表示部
16E 再生情報表示部
17 指示入力部
18 ユーザインターフェース部
20 制御部
21 情報記憶部
22 記録媒体読書部
23 通信制御部
25 メモリ部
26 カメラ部
40 無線通信機器
40A 通信アンテナ
100 道路情報配信システム
101、105、109 車両
102、106 カメラ部
103、107、110 通信アンテナ
104、108、111 移動体端末装置
115 通信アンテナ
116 サーバ
121、131 通信部
122、132 測位部
123 記憶部
133 表示部
141 画像データベース
142 撮影画像データ記憶部
143 測位データ記憶部
144 撮影時刻データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されたカメラにより撮影した画像を撮影時の前記移動体の位置に対応づけて更新しつつ保存するサーバに対し、いずれかの移動体に搭載された移動体端末装置が自己位置とともに画像送信要求を送信すると、当該画像送信要求を送信した移動体端末装置に対し、前記サーバから前記自己位置から所定距離範囲内で他の移動体に搭載されたカメラにより撮影された撮影画像が配信されることを特徴とする道路情報配信システム。
【請求項2】
請求項1記載の道路情報配信システムにおいて、
前記移動体端末装置は、前記自己位置が所定の条件で変化した場合に、最新の自己位置とともに前記画像送信要求を送信することを特徴とする道路情報配信システム。
【請求項3】
請求項1記載の道路情報配信システムにおいて、
前記移動体端末装置は、所定の時間が経過する毎に最新の自己位置とともに前記画像送信要求を行うことを特徴とする道路情報配信システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の道路情報配信システムにおいて、
前記所定距離範囲内で撮影された撮影画像のうち、画像送信要求を送信した移動体端末装置を搭載した移動体の進行方向において撮影された画像のみを配信することを特徴とする道路情報配信システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の道路情報配信システムにおいて、
前記サーバは、前記保存した画像が前記撮影時の時刻から所定時間以上経過した場合に当該画像を消去することを特徴とする道路情報配信システム。
【請求項6】
移動体に搭載されたカメラにより撮影した画像を撮影時の前記移動体の位置に対応づけて更新しつつ保存するサーバに通信ネットワークを介して接続され、移動体に搭載される移動体端末装置であって、
当該移動体端末装置が自己位置とともに画像送信要求を送信する画像送信要求部と、
前記画像送信要求に基づいて前記サーバから前記自己位置から所定距離範囲内で他の移動体に搭載されたカメラにより撮影された撮影画像を受信する画像受信部と、
前記画像受信部により受信した画像を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする移動体端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−288212(P2009−288212A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144163(P2008−144163)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】