説明

選果システム

【課題】移送装置による載置台からトレイへの青果物の移送能率の低下を極力抑制するとともに、載置台からトレイへ青果物を移送する際に移送装置の吸着部に吸着された青果物が当該吸着部から落下することを抑制することができる選果システムを提供することを課題とする。
【解決手段】載置台搬送装置51によって搬送される載置台5に載置される青果物6を吸着部66で吸着してトレイ8へ移送する移送装置60を備え、載置台5に載置される青果物6をトレイに詰める、選果システム1であって、移送装置60は、青果物6を吸着した状態で吸着部66が上方へ移動するときの平均速度、または、青果物6を吸着した状態で吸着部66が下方へ移動するときの平均速度が、青果物6を吸着した状態で吸着部66が水平方向へ移動するときの平均速度に比べて遅い速度となるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置台に載置される青果物を搬送するとともに、当該載置台に載置される青果物をトレイに詰める選果システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、載置台搬送装置によって搬送される載置台に載置される青果物を吸着部で吸着してトレイへ移送する移送装置を備え、載置台に載置される青果物をトレイに詰める、選果システムの技術は公知となっている(特許文献1参照)。
【0003】
このような選果システムにおける載置台からトレイへの青果物の移送は、例えば以下のようにおこなわれるものがある。
まず、載置台に載置される青果物を移送装置の吸着部が吸着すると、当該吸着部を上方移動させて、吸着部の移動を開始させる。次に、前記移動中の吸着部の移動方向を変更させる。具体的には、前記上方移動の停止後にトレイの上方まで移送装置の吸着部を水平移動させ、当該水平移動停止後に吸着部を下方移動させる。そして、移送装置の吸着部がトレイの所定位置に到達した後に、吸着部に吸着された青果物を開放し、載置台からトレイへの青果物の移送が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−52487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、青果物の移動時の慣性力は、青果物の重量が下方に加わるため、同じ移動速度であれば、水平方向への移動時よりも上下方向への移動時の方が大きくなる。
このため、このような選果システムでは、青果物を吸着した移送装置の吸着部を上下方向に移動させるときに、慣性力によって当該青果物が吸着部から落下する場合があった。
【0006】
また、前記移送装置の吸着部からの青果物の落下を抑制するために吸着部の移動速度を遅くして青果物への慣性の働きを小さくする構成とした場合には、吸着部の移動速度が遅い速度で一定であるため、移送装置による載置台からトレイへの青果物の移送能率が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、移送装置による載置台からトレイへの青果物の移送能率の低下を極力抑制するとともに、載置台からトレイへ青果物を移送する際に移送装置の吸着部に吸着された青果物が当該吸着部から落下することを抑制することができる選果システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、載置台搬送装置によって搬送される載置台に載置される青果物を吸着部で吸着してトレイへ移送する移送装置を備え、前記載置台に載置される前記青果物を前記トレイに詰める、選果システムであって、前記移送装置は、前記青果物を吸着した状態で前記吸着部が上方へ移動するときの平均速度、または、前記青果物を吸着した状態で前記吸着部が下方へ移動するときの平均速度が、前記青果物を吸着した状態で前記吸着部が水平方向へ移動するときの平均速度に比べて遅い速度となるように構成されるものである。
【0010】
請求項2においては、前記移送装置は、前記吸着部の上方への移動と前記吸着部の水平方向の移動と、または、前記吸着部の下方への移動と前記吸着部の水平方向の移動と、が同時におこなわれるように構成されるものである。
【0011】
請求項3においては、前記トレイを搬送するトレイ搬送装置を複数台有し、前記移送装置は前記複数台のトレイ搬送装置毎に配置され、前記複数台のトレイ搬送装置によって搬送されるそれぞれのトレイへ複数個の前記青果物を同時に移送可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
即ち、請求項1に記載の発明によれば、移送装置による載置台からトレイへの青果物の移送能率の低下を極力抑制するとともに、載置台からトレイへ青果物を移送する際に慣性力によって吸着部から青果物が落下することを抑制することができる。
【0014】
即ち、請求項2に記載の発明によれば、移送装置による載置台からトレイへの青果物の移送能率の低下を更に抑制するとともに、載置台からトレイへ青果物を移送する際に慣性力によって吸着部から青果物が落下することを抑制することができる。
【0015】
即ち、請求項3に記載の発明によれば、移送装置による載置台からトレイへの青果物の移送能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る選果システムの全体的な構成を示した模式図。
【図2】(a)は本発明の実施形態に係る選果システムの載置台を示した平面図、(b)は同じく側面図。
【図3】本発明の実施形態に係る選果システムの移送部を示した斜視図。
【図4】同じく平面図。
【図5】本発明の実施形態に係る選果システムの移送部において青果物を移送する状態を示した模式図。
【図6】本発明の実施形態に係る選果システムの移送部において青果物を移送する際における移送装置の吸着部の移動時間と移動速度との関係を示した図。
【図7】同じく吸着部の移動時間と移動速度との関係を示した図。
【図8】同じく吸着部の移動時間と移動速度との関係を示した図。
【図9】(a)は本発明の実施形態に係る選果システムの移送部において青果物を移送する状態を示した平面図、(b)は同じく平面図、(c)は同じく平面図、(d)は同じく平面図。
【図10】本発明の実施形態に係る選果システムの移送部を示した模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る選果システム1について、図1から図10を用いて説明する。なお、図中で示す白色矢印は載置台5またはトレイ8の搬送方向を示すものとして説明する。
【0018】
選果システム1は、載置台5に載置される青果物6を搬送するとともに、当該載置台5に載置される青果物6を等級および階級毎にトレイ8に詰めるシステムである。
【0019】
ここで、青果物6とは、イチゴ、ミニトマト、ミズナス等の可食部6a表面が比較的柔らかく、がく片(通称:へた)部6bを有するものを示す(図4参照)。本実施形態では、青果物6は、イチゴであるものとして説明する。青果物6の主軸Xは、青果物6のがく片部6bの中央と、可食部6aの先端部(がく片部6bと反対側の先端部)と、を結ぶ仮想の直線を示す。
【0020】
またここで、青果物6が詰められるトレイ8は、プラスチック等の合成樹脂素材からなる平面視長方形の部材であり、載置台5から移送された青果物6が収納される収納部8aを縦横に複数個有して構成される。トレイ8では、24個(長手方向に6個、短手方向に4個)の収納部8a・8a・・・が配置される(図4参照)。
トレイ8の収納部8aは、略横に寝かせた青果物6が収まるような形状に合わせて凹状にトレイ8の上面が形成されて構成される。トレイ8の収納部8aが形成される部分の下面は、収納部8aが形成されることによって凸状に形成される。
トレイ8の収納部8aは、所定角度傾斜するように配置される。本実施形態では、トレイ8の収納部8aは、トレイ8の長手方向に対して平面視で左方(反時計周り)に略45度傾くように配置され、収納効率を高めている。
【0021】
また、選果システム1は、図1に示すように、作業者によって載置台5に青果物6が載置される青果物載置部30と、青果物載置部30において載置台5に載置された青果物6の品質を計測する品質計測部40と、品質計測部40における計測結果に基づいて青果物6をその等級および階級毎に載置台5からトレイ8に移送する移送部50と、を備える。選果システム1では、主搬送装置11に沿って上流側から順に、青果物載置部30、品質計測部40、移送部50、が配置される。
【0022】
選果システム1は、主搬送装置11の下流側端に廃棄ライン14を備える。選果システム1では、青果物6は、規格外に変形しているもの、規格外に大きすぎるものまたは小さすぎるもの、規格外に変質しているもの、傷が付いているもの、がく片部6bがないもの、残留農薬が規定値以上のもの等の場合には、廃棄ライン14に搬送される。
【0023】
選果システム1は、青果物載置部30において青果物6が載置台5に正確に載置されていなかった場合に、品質計測部40の下流側から、主搬送装置11の上流側に当該載置台5を戻す、リターンライン12を備える。
【0024】
選果システム1は、移送部50において青果物6がトレイ8へ移送されて青果物6が載置されていない(空の状態)載置台5を、移送部50の終端から主搬送装置11の上流側に戻す、載置台戻りライン13を備える。
【0025】
選果システム1は、制御装置を備える。選果システム1の制御装置は、種々の情報を記憶する記憶手段を有し、また、種々の機構や装置等に接続されてこれを制御するものである。
【0026】
載置台5は、青果物6が載置されるものであり、図2に示すように、略円筒状に形成される。載置台5は、その上面に青果物6が載置される載置部5aと、その平面視中央部に上下方向に貫通する貫通孔5bと、を有して構成される。
載置台の載置部5aは、貫通孔5bに向かって低くなる略円錐形の凹状に形成され、略横に寝かせた青果物6が収まるように構成される。載置台5の貫通孔5bは、後述する、品質計測部40の投光手段から照射される光が上方(または下方)から下方(または上方)に貫通孔5b内を通って、受光手段がこれを受光可能なように構成される。
【0027】
また、載置台5の側面(若しくは底面)には、ID認識手段が貼設される。具体的には、載置台5のID認識手段は、バーコードや二次元コードや磁気テープやICチップ等で構成される。載置台5のID認識手段には、認識番号が記される(IDが書込まれる)。載置台5のID認識手段における認識番号は、品質計測部40や移送部50において、それぞれ図示しない読取手段によって読取られる。
【0028】
選果システム1の主搬送装置11は、ベルトコンベアにより構成される。主搬送装置11の搬送ベルトの搬送面上には、青果物6が載置されていない載置台5、または、青果物載置部30において青果物6が載置された載置台5が載せられて搬送される。
【0029】
選果システム1の青果物載置部30では、主搬送装置11の上流側の両側または一側に、複数の作業者が位置して、当該作業者によって主搬送装置11により搬送される載置台5に青果物6が載置される。
詳述すると、青果物載置部30では、複数の作業者が、主搬送装置11の上流側の左右両側、または、左右一側に、搬送方向に沿って並んで位置する。そして、青果物載置部30では、主搬送装置11の搬送面に載せられて搬送されてきた載置台5の載置部5aに、略横に寝かせるようにして青果物6を載置する(図4参照)。このとき、青果物6は、載置台5の貫通孔5bの上方に位置するようにして、載置部5a上に載置される。
【0030】
選果システム1の品質計測部40は、載置台5に載置されて主搬送装置11により搬送されてくる青果物6の質量を計測する質量計、青果物6を撮影するCCDカメラ等の撮影手段、撮影手段で撮影された画像に関する情報の画像処理をおこなう画像処理手段、青果物6の内部の品質を計測する投光手段および受光手段、等が配置されて構成される。
そして、品質計測部40では、青果物6の質量、青果物6の大きさ、青果物6の変質度合い、青果物6の傷の有無、青果物6のがく片部6bの有無、載置台5に載置される青果物6の向き(がく片部6bの向き、および、主軸Xの傾斜する方向)、青果物6の糖度や酸度、青果物6の残留農薬濃度、および、品質計測部40に配置される読取手段によって読取られた載置台5の認識番号、に関する情報が制御装置に送信されて、その記憶手段に記憶される。
【0031】
選果システム1の移送部50は、図1に示すように、主搬送装置11の左右両側に複数配置される。
移送部50では、主搬送装置11によって搬送されてくる載置台5を主搬送装置11から各移送部50に搬送して、当該載置台5に載置される青果物6をトレイ8の収納部8aに移送する。各移送部50・50・・・に分岐させる載置台5は、これに載置される青果物6の等級および階級等によって異なる。当該青果物6の等級および階級等は、移送部50毎に予め設定されている。本実施形態では、主搬送装置11の搬送方向に対して左右それぞれに3つずつ移送部50が配置される。
【0032】
移送部50は、主搬送装置11の左側または右側に搬送路が分岐するように配置される載置台搬送装置51と、主搬送装置11と載置台搬送装置51との分岐部分(載置台搬送装置51の始端側)に配置される分岐装置52と、載置台5に載置される青果物6の向きを修正する方向修正装置と、トレイ8を搬送するトレイ搬送装置53と、載置台5に載置された青果物6をトレイ8に移送する移送装置60と、を有して構成される。
【0033】
移送部50の分岐装置52は、主搬送装置11と載置台搬送装置51との分岐部分において、青果物6が載置された載置台5を主搬送装置11から移送部50に分岐させ、載置台搬送装置51へ移送させるものである。
【0034】
ここで、青果物6が載置された載置台5が主搬送装置11によって搬送されてくると、移送部50に配置された読取手段によって、当該載置台5の認識番号が読取られて、当該認識番号に関する情報が制御装置に送信される。
そして、制御装置は、前記送信された認識番号に関する情報に関連付けられた、青果物6の等級および階級等に関する情報が、移送部50に設定された青果物6の等級および階級と一致するかについて判断する。
制御装置によって前記青果物6の等級および階級等が前記移送部50の等級および階級等と一致すると判断された場合には、青果物6が載置される載置台5は、移送部50の分岐装置52により載置台搬送装置51へ移送される。
制御装置によって前記青果物6の等級および階級が、前記移送部50の等級および階級等と一致しないと判断された場合には、そのまま主搬送装置11により下流へ搬送されて、下流側の移送部50で同様の判断がされる。
【0035】
なお、制御装置は、前記送信された認識番号に関する情報に関連付けられた、青果物6の変質度合い、青果物6の傷の有無、青果物6のがく片部6bの有無、青果物6の残留農薬濃度、等に関する情報、に基づいて、当該青果物6が規格外のものかについて判断する。
制御装置によって前記青果物6が、規格外に変形している、規格外に大きすぎまたは小さすぎる、規格外に変質している、傷が付いている、がく片部6bがない、残留農薬濃度が規定値以上、等と判断された場合には、当該青果物6が載置された載置台5は、廃棄ライン14に搬送される。
【0036】
移送部50の載置台搬送装置51は、主搬送装置11から分岐装置52によって移送された青果物6が載置された載置台5を搬送するものである。移送部50の載置台搬送装置51は、その搬送方向が主搬送装置11の搬送方向に対して直交するように配置される。
【0037】
移送部50の方向修正装置は、載置台搬送装置51によって搬送される載置台5の向きを修正して、後述する移送装置60の吸着部66によって青果物6のがく片部6bを吸着可能なように、当該載置台5に載置される青果物6の向き(青果物6のがく片部6bの向き)を修正する。
移送部50の方向修正装置は、青果物6が載置された載置台5を平面視で時計回りまたは反時計周りに回転させて、青果物6のがく片部6bが載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に135度の方向を向くように(後述する移送装置60の吸着部66によって青果物6のがく片部6bを吸着可能なように)、青果物6の向きを修正する。
ここで、移送部50の方向修正装置における青果物6の向きを修正する動作は、移送部50の読取手段によって読取られた載置台5の認識番号に関する情報に関連付けられた青果物6の向き(がく片部6bの向き)に関する情報に基づいて、制御装置によって制御される。
【0038】
移送部50のトレイ搬送装置53は、図3または図4に示すように、ベルトコンベアによって構成され、その搬送方向が載置台搬送装置51の搬送方向と同一方向となるように、載置台搬送装置51に平行して並べて配置される。移送部50のトレイ搬送装置53は、載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に配置される。
【0039】
移送部50のトレイ搬送装置53では、トレイ8は、収納部8aのがく片部収納位置8bがトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に135度の方向を向くようにしてトレイ搬送装置53の搬送面上に載せられて搬送される。つまり、移送部50のトレイ搬送装置53では、トレイ8は、その収納軸Zがトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に略135度(左方に45度)傾くようにしてトレイ搬送装置53の搬送面上に載せられて搬送される。
ここで、トレイ8のがく片部収納位置8bとは、トレイ8の収納部8aに青果物6が収納されたときに青果物6のがく片部6bが位置する部分を示す。また、トレイ8の収納軸Zとは、トレイ8の収納部8aにおける、がく片部収納位置8bの中央と、収納部8aに青果物6が収納されたときにその先端部が位置する部分と、を結ぶ仮想の直線を示す。
【0040】
移送部50の移送装置60は、載置台搬送装置51によって搬送される載置台5に載置される青果物6をトレイ搬送装置53によって搬送されるトレイ8へ移送するものであり、制御装置に接続される。
移送部50の移送装置60は、載置台5に載置された青果物6をトレイ8へ移すものであり、主として移送レール61、シリンダブラケット62、上下シリンダ63、支持部64、吸着シリンダ65、および、吸着部66、を具備する。
【0041】
移送部50の移送装置60の移送レール61は、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して左右方向にまたがるように(直交するように)、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の上方に配置される。
移送部50の移送装置60のシリンダブラケット62は、移送レール61の下面に、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して直交する方向、且つ水平方向(矢印Aの方向)に摺動可能に支持される。移送装置60の移送レール61にはリニアアクチュエータ61aが設けられて、シリンダブラケット62を水平方向に摺動駆動可能としている。移送装置60のリニアアクチュエータ61aは例えば電動シリンダまたはリニアモータ等で構成され、速度変更可能とし、制御装置によって移動速度が制御される。
移送部50の移送装置60のシリンダブラケット62には上下シリンダ63が固定される。
移送部50の移送装置60の上下シリンダ63には上下方向(矢印Bの方向)に伸縮可能なピストンロッドが設けられ、ピストンロッドの先端(下端)には支持部64が固定され、支持部64には吸着シリンダ65が固定される。移送装置60の上下シリンダ63及び吸着シリンダ65は、例えば電動シリンダまたはリニアモータ等で構成され、速度変更可能とし、制御装置によって移動速度が制御される。
移送部50の移送装置60の吸着シリンダ65にはピストンロッドが突設され、当該ピストンロッドの先端(下端)には吸着部66が固定される。移送部50の移送装置60の吸着シリンダ65のピストンロッドは、平面視で載置台搬送装置51上の載置台5に載置された青果物6の主軸Xとトレイ搬送装置53上のトレイ8の収納軸Zとに平行(矢印Cの方向)で、やや下方に伸縮可能に構成される。
移送部50の移送装置60の吸着部66は、図示せぬポンプまたはエジェクタと接続され、当該ポンプまたはエジェクタにより空気を吸引することにより、吸着部66の先端に青果物6を吸着することができる。移送部50の移送装置60の吸着部66は、青果物6のがく片部6b側からこれを吸着するように構成される。
【0042】
また、移送部50の移送装置60は、その吸着部66による青果物6の吸着が完了したことを検知することができる真空センサ(空圧センサ)を備える。移送部50の移送装置60の真空センサは、吸着部66による青果物6の吸着の完了を感知したら、その旨の情報を制御装置に送信するように構成される。
このとき、制御装置は、前記青果物6の吸着の完了を感知した旨の情報に基づいて、移送装置60の上下シリンダ63のアームを上方に縮めて吸着部66(青果物6)の上昇移動を開始させるように、移送装置60を制御する。
【0043】
以下では、上述の如く構成された移送部50の移送装置60における青果物6のパック詰め作業について説明する。
【0044】
まず、移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53によって、青果物6が載置された載置台5およびトレイ8がそれぞれ所定の位置まで搬送されてくる。移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53は、前記所定の位置まで青果物6が載置された載置台5およびトレイ8が搬送されてくると、その搬送動作が停止する。
このとき、青果物6のがく片部6bと、トレイ8の収納部8aにおけるがく片部収納位置8bとが、同一方向(移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に135度の方向)を向くように、青果物6が載置された載置台5およびトレイ8がそれぞれ搬送される。また、青果物6の主軸Xと、トレイ8の収納軸Zと、が平面視で平行するように、青果物6が載置された載置台5およびトレイ8がそれぞれ搬送される。
【0045】
次に、移送部50の移送装置60のリニアアクチュエータ61aを作動してシリンダブラケット62を摺動させ、吸着部66を載置台5の上方に位置させる。そして、上下シリンダ63を伸長させて吸着部66を下降させ、下端位置で吸着シリンダ65を伸長させて、載置台5に載置された青果物6に向かって吸着部66の先端部を当該青果物6(青果物6のがく片部6b)に近接させる。
ここで、移送部50の移送装置60の前記ポンプ等により空気を吸引し、移送装置60の吸着部66の先端部に青果物6のがく片部6bを吸着させる。
次に、移送部50の移送装置60の吸着センサにより吸引圧を検知し、移送装置60の吸着部66による青果物6の吸着を確認すると、図5に示すように、吸着シリンダ65を縮小しながら上下シリンダ63を縮小させて青果物6を吸着した吸着部66(青果物6)を上昇移動させる。そして、前記吸着部66が上昇位置に移動した後、移送装置60のリニアアクチュエータ61aを作動して、シリンダブラケット62をトレイ搬送装置53側に摺動させて、吸着部66(青果物6)をトレイ8の所定の収納部8aの上方まで水平移動させる。
そして、前記吸着部66の水平移動後、移送部50の移送装置60の上下シリンダ63を伸長させて吸着部66(青果物6)を下降移動させる。
【0046】
移送装置60の吸着部66(青果物6)がトレイ8まで到達すると、吸着シリンダ65を伸長させて、青果物6をトレイ8の収納部8aに収納し、移送部50の移送装置60の前記ポンプ等による空気の吸引を終了して吸着部66より青果物6を開放する。このとき、青果物6は、そのがく片部6bをトレイ8の収納部8aにおけるがく片部収納位置8bに位置させるとともに、青果物6の主軸Xとトレイ8の収納軸Zとを略平行させ、略横に寝かせるようにして収納される(図4参照)。その後、移送装置60の吸着シリンダ65を縮小しながら上下シリンダ63を縮小させて初期位置まで移動する。
上記作業を繰り返すことで、トレイ8に複数個の青果物6・6・・・を並べて詰めることができる。なお、上記作業は、トレイ8の収納部8aのうち移送部50のトレイ搬送装置53の搬送方向の最も下流側に位置する収納部8aの列(トレイ搬送装置53の搬送方向に対して直交する方向に配置された収納部8a・8a・・・)から順次おこなわれる。
【0047】
なお、移送部50の載置台搬送装置51は、移送部50の移送装置60による青果物6のトレイ8への移送が終了すると、その搬送動作が再開され、空の載置台5は載置台戻りライン13へ搬送されるように構成される。
また、移送部50のトレイ搬送装置53は、青果物6が収納された収納部8aの属する列すべてに青果物6が収納されると、次の列に搬送され、全ての列(トレイ8全ての収納部8a)に青果物6が収納されると、次のトレイ8が載置位置まで搬送されるように構成される。
【0048】
移送部50の移送装置60は、図6に示すように、前記青果物6を吸着した状態で吸着部66が上方へ移動するときの上方平均速度Va、または、前記青果物6を吸着した状態で吸着部66が下方へ移動するときの下方平均速度Vcは、前記青果物6を吸着した状態で吸着部66が水平方向へ移動するときの水平平均速度Vbに比べて遅い速度となるように構成される。つまり、上下シリンダ63の作動による前記吸着部66が上方へ移動するときの上方平均速度Va、または、前記吸着部66が下方へ移動するときの下方平均速度Vcは、リニアアクチュエータ61aの作動による前記吸着部66が水平方向へ移動するときの水平平均速度Vbよりも遅くなるように制御される。
【0049】
詳述すると、移送装置60の吸着部66に青果物6を吸着した状態で青果物6を移送する場合において青果物6を上方へ移動させるとき、吸着部66は、青果物6の吸着時の停止した状態から上下シリンダ63が作動されて加速されて上方へ移動し、上方搬送速度v1に達するとその速度を維持し、上端の停止位置手前の所定位置から減速されて上端の停止位置で停止される。このときの平均速度を上方平均速度Vaとする。
次に、移送装置60の吸着部66は、前記上端の停止位置で停止した状態からリニアアクチュエータ61aを作動させて水平方向へ加速されて移動し、水平搬送速度v2に達するとその速度を維持しトレイ8上方位置手前の所定位置から減速し、トレイ8上方位置で停止する。このときの平均速度を水平平均速度Vbとする。
次に、移送装置60の吸着部66は、前記トレイ8上方位置で停止した状態から上下シリンダ63が作動されて加速されて下方へ移動し、下方搬送速度v1に達するとその速度を維持し、下端の停止位置手前の所定位置から減速されて下端の停止位置で停止する。このときの平均速度を下方平均速度Vcとする。本実施形態では、上方平均速度Vaと下方平均速度Vcとは同じ速度となるように設定している。
このとき、青果物6の移動時の慣性力は、青果物6の重量が下方に加わるため、同じ速度であれば、水平方向への移動時よりも上下方向への移動時の方が大きくなる。このため、移送装置60では、上方平均速度Va・下方平均速度Vcを水平平均速度Vbに比べて遅い速度として(遅い速度で一定ではなく)、青果物6の上下方向への移動時の慣性力を小さくしている。
したがって、選果システム1によれば、移送装置60による載置台5からトレイ8への青果物6の移送能率の低下を極力抑制するとともに、載置台5からトレイ8へ青果物6を移送する際に慣性力によって吸着部66から青果物6が落下することを抑制することができる。また、加速と減速も同様に上下方向を水平方向よりも小さくするほうが、そのときの慣性力も小さくなる。
なお、載置台5からトレイ8へ青果物6を移送する際に慣性力によって吸着部66から青果物6が落下することを抑制するために、上方平均速度Va・下方平均速度Vcを水平平均速度Vbよりも遅くなるように制御する代わりに、上方(下方)搬送速度v1を水平搬送速度v2よりも遅くなるように制御する構成とすることもできるが、吸着部66の上下方向の移動距離が短い場合には、速度が一定になることなく加速が終了すると同時に減速する場合もあるので、本実施形態では、平均速度を比較するようにしている。
【0050】
また、図7に示すように、移送装置60の吸着部66の上方への移動(上昇)と吸着部66の水平方向の移動と、または、吸着部66の下方への移動(下降)と吸着部66の水平方向の移動と、が同時におこなうように制御することも可能である。この場合の青果物6の移動軌跡は上方を凸とした湾曲状となるため、青果物6の移動距離が短くなってその移送時間を短くすることができる。なおこのとき、上方平均速度Va・下方平均速度Vcと水平平均速度Vbとは、前述と同様に、慣性力によって吸着部66から青果物6が落下することを抑制する構成とする。
このように構成することにより、移送装置60による載置台5からトレイ8への青果物6の移送能率の低下を更に抑制するとともに、載置台5からトレイ8へ青果物6を移送する際に慣性力によって吸着部66から青果物6が落下することを抑制することができる。
【0051】
また、移送装置60では、青果物6をトレイ8へ移送する際に、青果物6は載置台5の凹状の載置部5aに載置された状態からを取り出されるため、吸着部66の上方への移動を開始すると同時に吸着部66の水平方向への移動を開始すると、載置台5に青果物6が引掛かるおそれがある。また、移送装置60では、青果物6をトレイ8へ移送する際に、青果物6はトレイ8の凹状の収納部8a内に収納されるため、吸着部66の下方への移動と吸着部66の水平方向への移動とを同時におこないながらトレイ8の凹状の収納部8a内に青果物6を収納すると、トレイ8に青果物6が引掛かるおそれがある。
このようなことを防止するために、図8に示すように、移送装置60では、青果物6を吸着した状態からまず吸着部66の上方への移動を開始させ(t0)、載置台5の載置部5aにおける凹部の上端から青果物6が完全に出た後に吸着部66の水平方向への移動を開始させ(t1)、前記吸着部66の水平方向への移動を停止する前に吸着部66の下方への移動を開始させて(t2)、前記吸着部66の水平方向への移動が停止したときにトレイ8の収納部8aの直上方に青果物6を位置させ(t3)、そのまま吸着部66を下方に移動させてトレイ8の収納部8aに青果物6を収納する(t4)ように制御する。
このように構成することにより、載置台5から青果物6を取出すとき、または、トレイ8に青果物6を収納するときに、載置台5またはトレイ8に青果物6が引掛かることを防止することができる。なおこのとき、上方平均速度Va・下方平均速度Vcと水平平均速度Vbとは、前述と同様に、慣性力によって吸着部66から青果物6が落下することを抑制することができる構成とする。
この場合、移送装置60の吸着部66の上方への移動を停止する時間と吸着部66の水平方向への移動を開始する時間が異なり、また、吸着部66の水平方向への移動を停止する時間と吸着部66の下方への移動を開始する時間が異なるため、吸着部66の上方への移動の停止と水平方向への移動の開始とを同時におこなうこと、または、吸着部66の水平方向への移動の停止と下方への移動の開始とを同時におこなうことと比べてその際の青果物6の慣性力を小さくすることができる。またこの場合の青果物6の移動軌跡はその一部が湾曲状となるため、青果物6の移動距離が短くなってその移送時間を短くすることができる。
したがって、移送装置60による載置台5からトレイ8への青果物6の移送能率の低下を更に抑制するとともに、載置台5からトレイ8へ青果物6を移送する際に慣性力によって吸着部66から青果物6が落下することを抑制することができる。
【0052】
また、載置台5からトレイ8への青果物6の移送を効率良くおこなうことが可能な構成としては、例えば、移送装置60の吸着部66が、搬送動作中の移送部50の載置台搬送装置51によって搬送されてくる載置台5に同期するように移動しながら当該青果物6(青果物6のがく片部6b)を吸着する、構成がある(図9参照)。
例えば、移送部50において、移送装置60における吸着部66の先端部が載置台搬送装置51における搬送方向の上流側の範囲を向くように吸着部66を配置して、吸着部66の上流側の近傍の所定の位置まで載置台5が搬送されると(図9(a))、移送装置60の吸着部66における載置台5の搬送方向と同方向への移動を開始させてこれの移動速度を加速させ、吸着部66の移動速度と載置台搬送装置51の搬送速度とが同一速度となるようにする(図9(b)参照)。移送装置60の吸着部66の移動速度と載置台搬送装置51の搬送速度とが同一速度となると、移送部50の移送装置60は、吸着シリンダ65を伸長させて前記載置台5に載置される青果物6を吸着し(図9(c)参照)、青果物6の吸着を確認すると、吸着シリンダ65を縮小して青果物6を上昇移動させて、載置台5の搬送方向への移動を停止し、トレイ搬送装置53方向へ移動する(図9(d)参照)。
青果物6がトレイ8へ移送されて収納された後、移送装置60の吸着部66は初期位置までもどされる。
このように構成することにより、前記載置台搬送装置51の搬送動作が継続されながら(載置台搬送装置51の搬送動作を停止することなく)吸着部66によって青果物6を吸着して当該青果物6をトレイ8へ移送するため、載置台5からトレイ8への青果物6の移送を効率良く移送することができる。
【0053】
なおこのとき、移送部50の載置台搬送装置51は、移送装置60の吸着部66の上流側の近傍の所定の位置まで載置台5を搬送した際に(図9(a))、当該載置台5の搬送速度を減速するように構成してもよい。
このように構成することにより、前記移送装置60の吸着部66による移動しながらの青果物6の吸着をより確実におこなうことができる。
【0054】
移送部50は、図10に示すように、複数台のトレイ搬送装置53・53・・・を有し、当該複数台のトレイ搬送装置53・53・・・によって搬送されるそれぞれのトレイ8・8・・・へ複数個の青果物6を同時に移送可能に構成してもよい。
このように移送部50が構成されることにより、移送部50の移送装置60による載置台5からトレイ8への青果物6の移送能率を向上させることができる。
【0055】
このように構成される移送部50では、例えば、複数台の移送装置60・60・・・が配置される。複数台の移送装置60・60・・・は、前記複数台のトレイ搬送装置53・53・・・毎(前記複数台のトレイ搬送装置53・53・・・と同数)配置される。
トレイ搬送装置53・53・・・毎に配置された移送装置60は、その配置された載置台搬送装置51上にある載置台5に載置された青果物6をトレイ8移送するように構成される。このようにして、複数台の移送装置60・60・・・によって、複数台のトレイ搬送装置53・53・・・によって搬送されるそれぞれのトレイ8・8・・・へ、複数個の青果物6・6・・・を同時に移送可能に構成される。
【0056】
移送部50の複数台のトレイ搬送装置53・53・・・は、第一トレイ搬送装置53aと、第二トレイ搬送装置53bとで構成される。
移送部50の第一トレイ搬送装置53aは、載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に、載置台搬送装置51に平行して並べて配置される。第二トレイ搬送装置53bは、載置台搬送装置51の搬送方向に対して左方に、載置台搬送装置51に平行して並べて配置される。
【0057】
移送部50の第一トレイ搬送装置53aおよび第二トレイ搬送装置53bでは、トレイ8は、その収納部8aにおける青果物6のがく片部6bの収納位置がトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に135度の方向を向くようにしてトレイ搬送装置53の搬送面上に載せられて搬送される。つまり、移送部50の第一トレイ搬送装置53aおよび第二トレイ搬送装置53bでは、トレイ8は、その収納軸Zが第一トレイ搬送装置53aおよび第二トレイ搬送装置53bの搬送方向に対して右方に略135度(左方に45度)傾くようにして第一トレイ搬送装置53aまたは第二トレイ搬送装置53bの搬送面上に載せられてそれぞれ搬送される。
【0058】
移送部50の第一トレイ搬送装置53aおよび第二トレイ搬送装置53bは、所定の位置までそれぞれトレイ8を搬送すると、その搬送動作がそれぞれ停止するように構成される。
このとき、移送部50の第一トレイ搬送装置53aおよび第二トレイ搬送装置53bは、第一トレイ搬送装置53aにおけるトレイ8の停止位置が第二トレイ搬送装置53bにおけるトレイ8の停止位置よりも載置台搬送装置51の搬送方向に対して下流側に位置するように構成される。このとき、第一トレイ搬送装置53aにおけるトレイ8の停止位置は、後述する第一移送装置60aの下方に位置し、第二トレイ搬送装置53bにおけるトレイ8の停止位置は、第二移送装置60bの下方に位置する。
【0059】
移送部50の載置台搬送装置51は、第一トレイ搬送装置53a上で停止されたトレイ8の搬送方向の下流側の側方(左方)、および、第二トレイ搬送装置53b上で停止されたトレイ8の搬送方向の下流側の側方(右方)に(載置台搬送装置51の搬送方向の上流側と下流側とに並ぶように)、載置台5・5をそれぞれ搬送するように構成される。また、載置台搬送装置51により搬送される載置台5・5は、第一移送装置60aと、第二移送装置60bの下方で停止するように図示しない停止手段により停止される。
【0060】
移送部50の複数台の移送装置60・60・・・は、第一移送装置60aと、第二移送装置60bとで構成される。
移送部50の第一移送装置60aは、第一トレイ搬送装置53a上のトレイ8に載置台5に載置された青果物6を移送するものである。第一移送装置60aは、載置台搬送装置51および第一トレイ搬送装置53aの搬送方向に対して左右方向にまたがるように(直交するように)、載置台搬送装置51および第一トレイ搬送装置53aの上方に配置される。
また、移送部50の第二移送装置60bは、第二トレイ搬送装置53b上のトレイ8に載置台5に載置された青果物6を移送するものである。第二移送装置60bは、載置台搬送装置51および第二トレイ搬送装置53bの搬送方向に対して左右方向にまたがるように(直交するように)、載置台搬送装置51および第二トレイ搬送装置53bの上方に配置される。即ち、第二移送装置60bは、上載置台搬送装置51の搬送方向に対して第一移送装置60aの上流側に配置される。
【0061】
このように構成された移送部50では、載置台搬送装置51によって載置台5・5が所定の位置まで搬送され、第一トレイ搬送装置53aおよび第二トレイ搬送装置53bによってトレイ8・8がそれぞれ所定の位置まで搬送されてくる。
そして、移送部50の第一移送装置60aは、載置台搬送装置51下におけるその搬送方向の下流側の載置台5に載置された青果物6を、第一トレイ搬送装置53a上のトレイ8に移送する。これと同様に、第二トレイ搬送装置53bは、載置台搬送装置51下におけるその搬送方向の上流側の載置台5に載置された青果物6を、第二トレイ搬送装置53b上のトレイ8に移送する。
【0062】
このように移送部50が構成されることにより、前記移送装置60による載置台5からトレイ8への青果物6の移送能率を向上させる構成を、簡易に実現することができる。
【0063】
また、移送部50の載置台搬送装置51は、これに搬送される載置台5の載置部5aと、第一移送装置60aの吸着部66による青果物6の吸着位置と、を結ぶ直線が、載置台搬送装置51の搬送方向に対して直交する位置に載置台5を搬送するように構成される。載置台搬送装置51は、これに搬送される載置台5の載置部5aと、第二移送装置60bの吸着部66による青果物6の吸着位置と、を結ぶ直線が、載置台搬送装置51の搬送方向に対して直交する位置に載置台5を搬送するように構成される。
移送部50の第一トレイ搬送装置53aは、これに搬送されるトレイ8の収納部8aの収納部8a(例えば、青果物6が収納されていない最も下流側の収納部8a)と、第一移送装置60aによる青果物6の吸着位置と、を結ぶ直線が、載置台搬送装置51の搬送方向に対して直交する位置にトレイ8を搬送するように構成される。移送部50の第二トレイ搬送装置53bは、これに搬送されるトレイ8の収納部8aの収納部8aと、第二移送装置60bによる青果物6の吸着位置と、を結ぶ直線が、載置台搬送装置51の搬送方向に対して直交する位置にトレイ8を搬送するように構成される。
【0064】
このため、選果システム1では、移送部50の第一移送装置60aおよび第二移送装置60bのそれぞれの吸着部66・66によって載置台5・5に載置される青果物6・6をそれぞれ吸着してこれをトレイ8・8に移送する際における吸着部66・66の移動方向を、最短距離に構成することができる。
したがって、選果システム1によれば、移送部50の第一移送装置60aおよび第二移送装置60bによる載置台5・5に載置された青果物6・6のトレイ8・8への移送動作をより効率良くおこなうことができる。
【符号の説明】
【0065】
1 選果システム
5 載置台
6 青果物
8 トレイ
30 青果物載置部
40 品質計測部
50 移送部
51 載置台搬送装置
53 トレイ搬送装置
60 移送装置
66 吸着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台搬送装置によって搬送される載置台に載置される青果物を吸着部で吸着してトレイへ移送する移送装置を備え、前記載置台に載置される前記青果物を前記トレイに詰める、選果システムであって、
前記移送装置は、前記青果物を吸着した状態で前記吸着部が上方へ移動するときの平均速度、または、前記青果物を吸着した状態で前記吸着部が下方へ移動するときの平均速度が、前記青果物を吸着した状態で前記吸着部が水平方向へ移動するときの平均速度に比べて遅い速度となるように構成される、選果システム。
【請求項2】
前記移送装置は、前記吸着部の上方への移動と前記吸着部の水平方向の移動と、または、前記吸着部の下方への移動と前記吸着部の水平方向の移動と、が同時におこなわれるように構成される、請求項1に記載の選果システム。
【請求項3】
前記トレイを搬送するトレイ搬送装置を複数台有し、
前記移送装置は前記複数台のトレイ搬送装置毎に配置され、
前記複数台のトレイ搬送装置によって搬送されるそれぞれのトレイへ複数個の前記青果物を同時に移送可能に構成される、請求項1または請求項2に記載の選果システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−229111(P2012−229111A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99854(P2011−99854)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】